以下、図面を参照しながら、実施形態に係るX線CT装置を説明する。なお、以下の実施形態では、重複する説明は適宜省略する。
(実施形態)
図1を参照しながら、実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。図1は、実施形態に係るX線CT装置1の構成の例を示す図である。X線CT装置1は、図1に示すように、架台10と、寝台20と、コンソール30とを備える。なお、X線CT装置1の構成は、下記の構成に限定されるものではない。
架台10は、高電圧発生回路11と、コリメータ調整回路12と、架台駆動回路13と、X線照射装置14と、検出器15と、データ収集回路16と、回転フレーム17とを備える。
高電圧発生回路11は、後述するX線管141に管電圧を供給する。コリメータ調整回路12は、後述するコリメータ143の開口度及び位置を調整する。これにより、コリメータ調整回路12は、X線管141が被検体Pに照射するX線の照射範囲を調整する。架台駆動回路13は、回転フレーム17を回転させる。これにより、架台駆動回路13は、被検体Pを中心とした円軌道上でX線照射装置14及び検出器15を旋回させる。高電圧発生回路11、コリメータ調整回路12及び架台駆動回路13は、後述する記憶回路35に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現する。高電圧発生回路11、コリメータ調整回路12及び架台駆動回路13は、例えば、プロセッサにより実現される。
X線照射装置14は、X線管141と、ウェッジ142と、コリメータ143とを備える。X線管141は、被検体PにX線を照射する。X線管141は、高電圧発生回路11が供給する管電圧により、ビーム状のX線を発生させる。このビーム状のX線は、コーンビームとも呼ばれる。ウェッジ142は、X線管141から照射されたX線の線量を調節するためのX線フィルタである。コリメータ143は、X線の照射範囲を調整するためのスリットである。コリメータ143の開口度及び位置は、コリメータ調整回路12により調整される。コリメータ143の開口度の調整により、例えば、コーンビームのファン角及びコーン角が調整される。
検出器15は、検出素子を有する。これらの検出素子は、第1方向及び第1方向と交差する第2方向に規則的に配置される。例えば、第1方向は回転フレーム17の円周方向、第2方向はスライス方向である。ここで、スライス方向は体軸方向である。検出素子は、入射したX線の強度を検出する。なお、このような検出器は、多列検出器と呼ばれる。
検出素子は、シンチレータ、フォトダイオード及び検出回路を有する。検出回路の入力端子は、フォトダイオードの出力端子に接続されている。検出回路の出力端子は、データ収集回路16の入力端子に接続されている。
検出素子は、次のような方法により、入射したX線の強度を検出する。まず、検出素子は、入射したX線をシンチレータにより光に変換する。次に、検出素子は、その光をフォトダイオードにより電荷に変換する。そして、検出素子は、この電荷を検出回路により電気信号に変換し、後述するデータ収集回路16へ出力する。シンチレータ及びフォトダイオードを有する検出素子を備える検出器は、固体検出器とも呼ばれる。
データ収集回路16は、検出素子が出力した電気信号に基づいて投影データを生成する。投影データは、例えば、サイノグラムである。サイノグラムとは、X線管141の各位置において検出器15が検出した信号を並べたデータである。ここで、X線管141の位置は、ビュー(View)と呼ばれる。あるビューにおける検出素子の回転フレーム17の円周方向の列は、チャンネル(Channel)と呼ばれる。サイノグラムは、第1方向をビュー方向とし、第1方向と直交する第2方向を検出器15のチャンネル方向とする2次元直交座標系に、検出器15が検出したX線の強度を割り当てたデータである。データ収集回路16は、スライス方向の列単位でサイノグラムを生成する。データ収集回路16は、例えば、プロセッサにより実現される。なお、データ収集回路16は、DAS(Data Acquisition System)とも呼ばれる。
回転フレーム17は、円環状のフレームである。回転フレーム17は、X線照射装置14と検出器15とを被検体Pを挟んで対向するように保持する。回転フレーム17は、架台駆動回路13により駆動され、被検体Pを中心とした円軌道上を高速で回転する。
寝台20は、天板21と、寝台駆動回路22とを備える。天板21は、被検体Pが載せられる板状の部材である。寝台駆動回路22は、被検体Pが載せられた天板21を体軸方向へ移動させることにより、被検体Pを架台10の撮影口内で移動させる。寝台駆動回路22は、後述する記憶回路35に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現する。寝台駆動回路22は、例えば、プロセッサにより実現される。
コンソール30は、入力回路31と、ディスプレイ32と、投影データ記憶回路33と、画像記憶回路34と、記憶回路35と、処理回路36とを備える。
入力回路31は、指示や設定を入力するユーザにより使用される。入力回路31は、例えば、マウス、キーボードに含まれる。入力回路31は、ユーザが入力した指示や設定を処理回路36に転送する。入力回路31は、例えば、プロセッサにより実現される。
ディスプレイ32は、ユーザが参照するモニタである。ディスプレイ32は、例えば、液晶ディスプレイである。ディスプレイ32は、例えば、処理回路36からCT画像データ、GUI(Graphical User Interface)を表示する旨の指示を受ける。これにより、ディスプレイ32は、CT画像データ及びGUIを表示する。GUIは、ユーザが指示や設定を入力する際に使用される。なお、CT画像データとは、CT画像そのもの又はCT画像を表示する基となるデータを意味する。
投影データ記憶回路33は、後述する前処理機能362が前処理を施した投影データを記憶する。なお、前処理機能362により前処理が施された投影データは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。画像記憶回路34は、後述する画像生成機能363により生成された予備画像データ、部分画像データ及びCT画像データを記憶する。
記憶回路35は、高電圧発生回路11、コリメータ調整回路12、架台駆動回路13及びデータ収集回路16が上述した機能を実現するためのプログラムを記憶する。記憶回路35は、寝台駆動回路22が上述した機能を実現するためのプログラムを記憶する。記憶回路35は、処理回路36が後述する機能それぞれを実現するためのプログラムを記憶する。
投影データ記憶回路33、画像記憶回路34及び記憶回路35は、記憶されている情報をコンピュータにより読み出すことができる記憶媒体を有する。記憶媒体は、例えば、ハードディスクである。
処理回路36は、スキャン制御機能361、前処理機能362、画像生成機能363、取得機能364、推定機能365、変更機能366、報知機能367及び制御機能368を有する。制御機能368は、架台10、寝台20及びコンソール30の各構成要素を目的に応じて適切なタイミングで動作させ、スキャンを実行させる機能である。その他の機能の詳細は、後述する。なお、処理回路36は、例えば、プロセッサにより実現される。
図2から図7を参照しながら、実施形態に係るX線CT装置1の処理の一例について説明する。図2は、実施形態に係るX線CT装置1が行う処理の一例を示すフローチャートである。図3は、被検体Pの冠状面の予備画像データに描出された肺と第1のスキャン範囲との位置関係の例を示す図である。図4は、第1のスキャン範囲の終端における被検体Pの横断面の部分画像データの例を示す図である。図5は、実施形態に係るX線CT装置が推定した肺の位置と第1のスキャン範囲との位置関係の例を示す図である。図6は、実施形態に係るX線CT装置が推定した肺の位置と第2のスキャン範囲との位置関係の例を示す図である。図7は、第2のスキャン範囲の終端における被検体Pの横断面の部分画像データの例を示す図である。
以下、X線CT装置1が、被検体Pの肺Cを、被検体Pの頭部側から腹部側へ向かってスキャンする場合を例に挙げて説明する。なお、「肺C」のように、スキャンの対象として設定された部位は、スキャン対象部位とも記載する。スキャン対象部位は、「肺」や「肺及び肝臓」のように1又は複数の部位として設定されてもよいし、「胸部」のように包括的な単位で設定されてもよい。
処理回路36は、図2に示すように、予備スキャンを実行し、予備画像データを生成する(ステップS1)。ステップS1の処理は、例えば、次のようなものである。
処理回路36は、記憶回路35からスキャン制御機能361に相当するプログラムを読み出して実行する。スキャン制御機能361は、架台10、寝台20及びコンソール30の各構成要素を目的に応じて適切なタイミングで動作させ、スキャンを実行する機能である。処理回路36は、スキャン制御機能361を実行することにより、息を止めている被検体Pの肺Cをスキャンし、スキャン対象部位及びその周辺の予備投影データを収集する。
ここで、処理回路36は、予備スキャンを2次元で行ってもよいし、3次元で行ってもよい。例えば、2次元の予備スキャンを行う場合、処理回路36は、回転フレーム17を固定した状態で、X線管141からX線を照射しながら天板21を移動させ、被検体Pを体軸方向に沿ってスキャンする。そして、処理回路36は、記憶回路35から画像生成機能363に相当するプログラムを読み出して実行することにより、予備投影データに対して画像生成処理を行い、予備画像データを生成する。
また、例えば、3次元の予備スキャンを行う場合、処理回路36は、回転フレーム17を回転させた状態で、X線管141からX線を照射しながら天板21を移動させ、被検体Pを体軸方向に沿ってヘリカルスキャンする。具体的には、3次元の予備スキャンを行う場合、処理回路36は、架台10、寝台20及びコンソール30の各構成要素を次のように動作させる。
処理回路36は、寝台駆動回路22を制御することにより、被検体Pを載せた天板21を架台10に対して移動させる。同時に、処理回路36は、高電圧発生回路11を制御することによりX線管141へ管電圧を供給し、架台駆動回路13を制御することにより回転フレーム17を回転させる。処理回路36は、コリメータ調整回路12を制御することによりコリメータ143の開口度及び位置を調整する。処理回路36は、データ収集回路16を制御することにより、スキャン対象部位及びその周辺の予備投影データを収集する。なお、X線管141は、後述する本スキャンよりも低い線量のX線を照射する。
処理回路36は、記憶回路35から前処理機能362に相当するプログラムを読み出して実行する。前処理機能362は、データ収集回路16により生成された投影データを補正する機能である。この補正は、例えば、対数変換、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正、散乱線補正である。処理回路36は、前処理機能362により予備投影データにこれらの補正を施す。
処理回路36は、記憶回路35から画像生成機能363に相当するプログラムを読み出して実行する。画像生成機能363は、予備投影データを再構成し、予備画像データを生成する機能を含む。処理回路36は、画像生成機能363を実行することにより、スキャン対象部位及びその周辺の予備画像データを生成する。再構成法は、例えば、逆投影法、逐次近似法である。また、逆投影法は、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法である。
処理回路36は、図2に示すように、スキャン対象部位及び第1のスキャン範囲を設定する(ステップS2)。ステップS2の処理は、例えば、次のようなものである。
処理回路36は、記憶回路35から取得機能364に相当するプログラムを読み出して実行する。取得機能364は、スキャン対象部位及び第1のスキャン範囲を取得する機能である。例えば、処理回路36は、取得機能364を実行することにより、スキャン対象部位及び第1のスキャン範囲を設定する。
例えば、処理回路36は、入力回路31を介して、ユーザからスキャン対象部位の入力操作を受け付けることにより、スキャン対象部位を設定する。また、例えば、処理回路36は、ネットワークを介して、HIS(Hospital Information Systems)やRIS(Radiology Information Systems)を管理するサーバにアクセスし、検査の予約情報を参照することで、スキャン対象部位を設定する。一例を挙げると、処理回路36は、被検体Pの肺Cを、スキャン対象部位として設定する。
また、例えば、処理回路36は、予備スキャンにより収集された予備投影データに基づいて、第1のスキャン範囲を設定する。一例を挙げると、処理回路36は、まず、2次元又は3次元の予備スキャンにより収集された予備投影データから予備画像データを生成する。次に、処理回路36は、生成した予備画像データに対して表示用の処理を施し、予備画像を生成する。次に、処理回路36は、予備画像をディスプレイ32に表示させ、予備画像を参照したユーザから第1のスキャン範囲の入力操作を受け付ける。例えば、ユーザは、図3に示すように、予備画像Imにおける肺Cを含む領域A1を、第1のスキャン範囲として入力する。そして、処理回路36は、ユーザの入力操作に基づく領域A1を、第1のスキャン範囲として設定する。
第1のスキャン範囲については、ユーザが入力する場合に限らず、処理回路36が設定することもできる。例えば、処理回路36は、予備画像データにおいてスキャン対象部位に対応する範囲を、第1のスキャン範囲として設定する。一例を挙げると、処理回路36は、予備画像データから抽出したスキャン対象部位の解剖学的特徴点又は予備画像データに描出されたスキャン対象部位の輪郭に基づいて第1のスキャン範囲を設定する。或いは、処理回路36は、予備投影データの少なくとも一部の画素の輝度に基づいて第1のスキャン範囲を設定する。
なお、処理回路36がスキャン対象部位及び第1のスキャン範囲を設定する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、処理回路36は、スキャン対象部位及び第1のスキャン範囲の少なくとも一つを、外部装置から取得する場合であってもよい。ここで、外部装置とは、例えば、X線CT装置1とネットワークを介して接続されたワークステーションなどである。
一例を挙げると、まず、処理回路36は、入力回路31を介して、ユーザからスキャン対象部位の入力操作を受け付けることにより、スキャン対象部位を設定する。次に、処理回路36は、ネットワークを介して、スキャン対象部位及び予備画像データを外部装置に送信する。次に、外部装置は、予備画像データにおいてスキャン対象部位に対応する範囲を、第1のスキャン範囲として設定する。そして、処理回路36は、外部装置から第1のスキャン範囲を取得する。
また、別の一例を挙げると、まず、外部装置は、ユーザからスキャン対象部位の入力操作を受け付けることにより、スキャン対象部位を設定する。また、外部装置は、ネットワークを介して、処理回路36から予備画像データを取得する。次に、外部装置は、予備画像データにおいてスキャン対象部位に対応する範囲を、第1のスキャン範囲として設定する。そして、処理回路36は、外部装置から、スキャン対象部位及び第1のスキャン範囲を取得する。
処理回路36は、図2に示すように、スキャン対象部位をスキャンしつつ、スキャン対象部位の位置を推定し、第1のスキャン範囲を第2のスキャン範囲に変更する(ステップS3)。ステップS3の処理は、例えば、次のようなものである。
処理回路36は、記憶回路35からスキャン制御機能361に相当するプログラムを読み出して実行する。処理回路36は、息を止めている被検体Pの肺Cをヘリカルスキャンし、第1のスキャン範囲の投影データを収集する。ステップS3で実行されるヘリカルスキャンは、本スキャンとも呼ばれる。
処理回路36は、記憶回路35から前処理機能362に相当するプログラムを読み出して実行する。処理回路36は、前処理機能362により投影データに補正を施す。
処理回路36は、記憶回路35から画像生成機能363に相当するプログラムを読み出して実行する。画像生成機能363は、スキャン対象部位がスキャンされている間に、当該スキャンにより収集されたスキャン対象部位の投影データを再構成することで部分画像データを生成する機能を含む。処理回路36は、画像生成機能363を実行することにより、ステップS3で実行されるスキャンにより収集された投影データを逐一再構成し、部分画像データを生成する。なお、部分画像データは、再構成されたスライスのデータであってもよいし、複数のスライスに基づくボリュームデータであってもよい。再構成法は、例えば、逆投影法、逐次近似法である。ただし、ステップS3で使用される再構成法は、部分画像データを迅速に生成することができるものが好ましい。
処理回路36は、記憶回路35から推定機能365に相当するプログラムを読み出して実行する。推定機能365は、スキャン対象部位がスキャンされている間に、当該スキャンにより収集されたスキャン対象部位の投影データに基づいてスキャン対象部位の位置を推定する機能である。例えば、処理回路36は、推定機能365を実行することにより、部分画像データに基づいてスキャン対象部位の位置を推定する。具体的には、処理回路36は、スキャン対象部位がスキャンされている間に、部分画像データを予備画像データと照合し、スキャン対象部位の位置を推定する。
より具体的には、処理回路36は、部分画像データから抽出した解剖学的特徴点を予備画像データから抽出した解剖学的特徴点と照合し、スキャン対象部位のスキャン方向における終端の位置を推定する。部分画像データから抽出される解剖学的特徴点は、3次元の部分画像データ上では3次元的に分布しており、2次元の部分画像データ上では2次元的に分布している。また、予備画像データから抽出される解剖学的特徴点は、3次元の予備画像データ上では3次元的に分布しており、2次元の予備画像データ上では2次元的に分布している。この推定結果は、ステップS3で実行されるスキャンにより収集された投影データが逐一再構成されることにより部分画像データが更新されるに伴い、更新される。
或いは、処理回路36は、肺Cの輪郭の形状が被検体Pの吸気量にあまり依存しないことから、肺Cの輪郭に基づいて終端の位置を推定する。例えば、処理回路36は、部分画像データから抽出したスキャン対象部位の輪郭を予備画像データから抽出したスキャン対象部位の輪郭と照合し、スキャン対象部位のスキャン方向における終端の位置を推定する。例えば、処理回路36は、肺Cの上部の輪郭及び容積が被検体Pの吸気量にあまり依存しないことから、部分画像データから抽出した肺Cの上部の輪郭を予備画像データから抽出した肺Cの上部の輪郭と揃え、これら二つの輪郭を照合し、肺Cのスキャン方向における終端の位置を推定する。この推定結果は、ステップS3で実行されるスキャンにより収集された投影データが逐一再構成されることにより部分画像データが更新されるにつれて、更新される。なお、ここで言う輪郭は、2次元的な輪郭及び3次元的な輪郭を含む。
或いは、処理回路36は、部分画像データから抽出したスキャン対象部位の面積と予備画像データから抽出したスキャン対象部位の面積との比に基づいて、スキャン対象部位のスキャン方向における終端の位置を推定する。この推定結果は、ステップS3で実行されるスキャンにより収集された投影データが逐一再構成されることにより部分画像データが更新されるにつれて、更新される。
さらに、処理回路36は、上述したスキャン対象部位の位置の推定と併せて、第1のスキャン範囲の終端における部分画像データにスキャン対象部位が描出されている場合、スキャン対象部位のスキャン方向における終端が第1のスキャン範囲の外にあると推定する。処理回路36は、例えば、図4に示すように第1のスキャン範囲の終端における部分画像データE1にスキャン対象部位である肺Cが描出されている場合、図5に示すように肺Cの体軸方向における終端が第1のスキャン範囲(領域A1)の外にあると推定する。ステップS3における被検体Pの吸気量がステップS1における被検体Pの吸気量よりも大きい場合、ステップS3における肺Cの容積は、ステップS1における肺Cの容積よりも大きくなる。このため、肺Cの体軸方向における終端は、第1のスキャン範囲の外に位置することがある。
なお、この場合、処理回路36は、第1のスキャン範囲の終端における予備画像データと第1のスキャン範囲の終端における部分画像データとを比較し、スキャン対象部位のスキャン方向における終端が第1のスキャン範囲の外にあると推定してもよい。すなわち、処理回路36は、第1のスキャン範囲の終端における予備画像データに肺Cが描出されておらず、第1のスキャン範囲の終端における部分画像データに肺Cが描出されている場合、両者を比較することにより、スキャン対象部位のスキャン方向における終端が第1のスキャン範囲の外にあると推定することができる。
処理回路36は、記憶回路35から変更機能366に相当するプログラムを読み出して実行する。処理回路36は、推定したスキャン対象部位の位置に基づいて、第1のスキャン範囲を第2のスキャン範囲に変更する。例えば、処理回路36は、部分画像データから抽出した解剖学的特徴点を予備画像データから抽出した解剖学的特徴点と照合した結果又は部分画像データから抽出したスキャン対象部位の輪郭を予備画像データから抽出したスキャン対象部位の輪郭と照合した結果に基づいて、第2のスキャン範囲の体積、すなわち第2のスキャン範囲の終端の位置を推定する。次に、処理回路36は、第1のスキャン範囲の終端における部分画像データに描出されているスキャン対象部位に基づいて、第2のスキャン範囲の体積、すなわち第2のスキャン範囲の終端の位置を決定する。そして、処理回路36は、スキャン対象部位がスキャンされている間に、推定機能365が推定したスキャン対象部位の位置に基づいて第1のスキャン範囲をスキャン対象部位の全てを含む第2のスキャン範囲に変更する。処理回路36は、例えば、図6に示すように、第2のスキャン範囲として、領域A2を設定する。領域A2は、スキャン対象部位である肺C全体を含む。
処理回路36は、記憶回路35から報知機能367に相当するプログラムを読み出して実行する。処理回路36は、第1のスキャン範囲を第2のスキャン範囲に変更した旨を報知する。例えば、処理回路36は、報知機能367を実行することにより、変更機能366が第1のスキャン範囲を第1のスキャン範囲よりも広い第2のスキャン範囲に変更した旨を報知する。第1のスキャン範囲を第2のスキャン範囲に変更した旨を報知する方法は、特に限定されない。処理回路36は、報知機能367を実行することにより、例えば、第1のスキャン範囲を第2のスキャン範囲に変更した旨を示すメッセージやアイコンをディスプレイ32に表示してもよい。或いは、処理回路36は、報知機能367を実行することにより、第1のスキャン範囲を第2のスキャン範囲に変更した旨を報知する音を発してもよい。
処理回路36は、図2に示すように、スキャン制御機能361を実行することにより、第2のスキャン範囲全体のスキャンが完了したか否かを判定する(ステップS4)。処理回路36は、例えば、図7に示すように第2のスキャン範囲の終端における部分画像データE2にスキャン対象部位である肺Cが描出されていない場合、第2のスキャン範囲全体のスキャンが完了したと判定する。処理回路36は、第2のスキャン範囲全体のスキャンが完了したと判定した場合(ステップS4肯定)、処理を終了する。処理回路36は、例えば、第2のスキャン範囲の終端における部分画像データにスキャン対象部位である肺Cが描出されている場合、第2のスキャン範囲全体のスキャンが完了していないと判定する。処理回路36は、第2のスキャン範囲全体のスキャンが完了していないと判定した場合(ステップS4否定)、処理をステップS3へ戻す。この場合、ステップS4における第2のスキャン範囲は、ステップS3において第1のスキャン範囲とみなされる。
以上、実施形態に係るX線CT装置1について説明した。X線CT装置1は、上述したように、スキャン対象部位がスキャンされている間に、当該スキャンにより収集されたスキャン対象部位の投影データに基づいてスキャン対象部位の位置を推定し、推定したスキャン対象部位の位置に基づいて第1のスキャン範囲をスキャン対象部位の全てを含む第2のスキャン範囲に変更する。このため、X線CT装置1は、スキャン対象部位の全体を一回のスキャンで確実にスキャンすることができる。また、X線CT装置1は、スキャン対象部位のCT画像データに継目が含まれてしまうことを防止することができる。さらに、X線CT装置1は、スキャン対象部位を追加でスキャンする必要が無く、不要な範囲をスキャンすることが無いため、被検体Pに照射するX線の線量を低減することができる。
また、上述したX線CT装置1は、予備画像データ及び部分画像データに基づいて、第2のスキャン範囲の終端の位置を推定する。そして、X線CT装置1は、この推定結果に基づいて、第1のスキャン範囲をスキャン対象部位の全てを含む第2のスキャン範囲に変更する。このため、X線CT装置1は、第1のスキャン範囲を可能な限り体積が小さい第2のスキャン範囲に速やかに変更し、スループットを向上させることができる。X線CT装置1が実行するこの処理は、スキャン対象部位のスキャンが短時間で完了する場合、特に有効である。
以下、上述した実施形態の変形例について説明する。
処理回路36は、図2のステップS3において、上述した処理の代わりに次のような処理を行ってもよい。処理回路36は、推定機能365を実行することにより、部分画像データから抽出した解剖学的特徴点に基づいてスキャン対象部位のスキャン方向における終端の位置を推定してもよい。或いは、処理回路36は、推定機能365を実行することにより、処理回路36は、部分画像データから抽出したスキャン対象部位の輪郭に基づいてスキャン対象部位のスキャン方向における終端の位置を推定してもよい。なお、これらの場合、予備画像データは、図2のステップS2で行われる第1のスキャン範囲の設定にのみ使用される。
次に、処理回路36は、変更機能366を実行することにより、部分画像データから抽出した解剖学的特徴点に基づいて推定したスキャン対象部位のスキャン方向における終端の位置又は部分画像データから抽出したスキャン対象部位の輪郭に基づいて推定したスキャン対象部位のスキャン方向における終端の位置に基づいて、第2のスキャン範囲の体積、すなわち第2のスキャン範囲の終端の位置を推定する。そして、処理回路36は、スキャン対象部位がスキャンされている間に、推定機能365が推定したスキャン対象部位の位置に基づいて第1のスキャン範囲をスキャン対象部位の全てを含む第2のスキャン範囲に変更する。
処理回路36は、図2のステップS1の処理を実行しなくてもよい。すなわち、処理回路36は、予備スキャンを実行し、予備画像データを生成しなくてもよい。この場合、処理回路36は、図2のステップS2において、事前に定められた方法によりスキャン対象部位及び第1のスキャン範囲を設定する。また、処理回路36は、図2のステップS3において、推定機能365を実行することにより、部分画像データから抽出した解剖学的特徴点に基づいてスキャン対象部位のスキャン方向における終端の位置を推定する。或いは、処理回路36は、図2のステップS3において、推定機能365を実行することにより、処理回路36は、部分画像データから抽出したスキャン対象部位の輪郭に基づいてスキャン対象部位のスキャン方向における終端の位置を推定する。
処理回路36は、図2のステップS3において、推定機能365を実行することにより、スキャン対象部位の部分画像データの代わりにスキャン対象部位の投影データの少なくとも一部の画素の輝度に基づいてスキャン対象部位の位置を推定してもよい。例えば、処理回路36は、図2のステップS3で収集された投影データのうちスキャン対象部位に相当する輝度を有する領域の蛇行の仕方に基づいて、被検体Pの横断面におけるスキャン対象部位の位置を推定する。また、処理回路36は、図2のステップS3で収集された投影データのうちスキャン対象部位に相当する輝度を有する領域のビュー方向におけるチャンネル方向の幅の変化に基づいて、被検体Pの冠状面及び矢状面におけるスキャン対象部位の位置を推定する。
処理回路36は、図2のステップS2において、取得機能364を実行することにより、予備画像データではなく、予備投影データに基づいて第1のスキャン範囲を設定してもよい。例えば、処理回路36は、図2のステップS1で収集された予備投影データのうちスキャン対象部位に相当する輝度を有する領域の蛇行の仕方に基づいて、被検体Pの横断面におけるスキャン対象部位の位置を特定する。また、処理回路36は、図2のステップS1で収集された予備投影データのうちスキャン対象部位に相当する輝度を有する領域のビュー方向におけるチャンネル方向の幅の変化に基づいて、被検体Pの冠状面及び矢状面におけるスキャン対象部位の位置を特定する。そして、処理回路36は、図2のステップS2において、取得機能364を実行することにより、スキャン対象部位の全体を含む第1のスキャン範囲を設定する。
処理回路36は、図2のステップS3において、推定機能365を実行することにより、スキャン対象部位がスキャンされている間に、部分画像データを予備画像データと照合する代わりにスキャン対象部位の投影データを予備投影データと照合し、スキャン対象部位の位置を推定してもよい。これにより、処理回路36は、画像生成機能363を実行し、投影データを再構成する必要が無いため、速やかにスキャン対象部位の位置を推定することができる。
処理回路36は、変更機能366を実行することにより、推定機能365がスキャン対象部位の全てが第1のスキャン範囲内にあると推定した場合、第1のスキャン範囲を第1のスキャン範囲よりも狭い第2のスキャン範囲に変更してもよい。この場合でも、第2のスキャン範囲は、スキャン対象部位の全てを含む。或いは、処理回路36は、変更機能366を実行することにより、推定機能365がスキャン対象部位の全てが第1のスキャン範囲内にあると推定した場合、第1のスキャン範囲を第1のスキャン範囲と位置及び体積が等しい第2のスキャン範囲に変更してもよい。このため、処理回路36は、スキャン対象部位の全体を一回のスキャンで確実にスキャンしつつ、被検体Pに照射するX線の線量を低減することができる。
処理回路36は、スキャン制御機能361を実行することにより、第2のスキャン範囲のうちスキャンされていない範囲の体積が閾値以下である場合、天板21の移動速度を低下させることによりヘリカルピッチを低下させてもよい。このため、処理回路36は、第2のスキャン範囲の終端で確実にスキャンを終了させることができる。また、処理回路36は、スキャン制御機能361を実行することにより、天板21の移動速度の低下に合わせて、被検体Pに照射されるX線の線量が第2のスキャン範囲のうちスキャンされていない範囲の体積が閾値よりも大きい場合と同じ線量となるようにX線管141の管電流を制御してもよい。このため、処理回路36は、天板21の移動速度を低下させたことにより被検体Pに照射される線量が増加することを抑制することができる。
処理回路36は、スキャン制御機能361を実行することにより、第2のスキャン範囲のうちスキャンされていない範囲の体積が閾値以下である場合、コリメータ143の開口度や位置を調整し、第2のスキャン範囲以外にX線が照射されないようにしてもよい。このようなコリメータ143の制御は、アクティブコリメータとも呼ばれる。これにより、処理回路36は、被検体Pに照射されるX線の線量が不必要に増加することを防止することができる。
上述した実施形態では、X線CT装置1がスキャン対象部位である肺Cを被検体Pの頭部側から腹部側へ向かってスキャンする場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。X線CT装置1は、スキャン対象部位である肺Cを被検体Pの腹部側から頭部側へ向かってスキャンしてもよい。ただし、肺Cは、被検体Pが息を吸うと被検体Pの腹部側へ向かって膨らむ。このため、X線CT装置1は、スキャン対象部位が肺Cである場合、肺Cを被検体Pの頭部側から腹部側へ向かってスキャンすることが好ましい。また、上述した実施形態は、スキャン対象部位を繰り返しスキャンする場合にも適用することができる。さらに、上述した実施形態は、スキャン対象部位が肺C以外である場合にも適用することができる。
また、上述した実施形態では、スキャン対象部位の位置を推定し、推定した位置に基づいて第1のスキャン範囲を第2のスキャン範囲に変更する場合について説明した。しかしながら実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、処理回路36は、スキャン対象部位がスキャンされている間に、収集した投影データからリアルタイムで再構成したスライスに基づいて、第1のスキャン範囲を第2のスキャン範囲に変更することができる。
以下、スライスに基づいてスキャン範囲を変更する場合について、スキャン対象部位が肺Cである場合を例として説明する。まず、処理回路36は、スキャン対象部位及び第1のスキャン範囲を取得し、スキャンを開始する。ここで、処理回路36は、肺Cがスキャンされている間、収集した投影データに基づいて、スライスをリアルタイムで再構成する。また、処理回路36は、再構成したスライスに肺Cが含まれているか否かをリアルタイムで判定する。例えば、処理回路36は、肺Cが空気で満たされており、かつ、空気のCT値が体組織と比較して著しく小さいことに基づいて、スライスに肺Cが含まれるか否かを判定することができる。なお、処理回路36は、第1のスキャン範囲のうちスキャンされていない範囲の体積が閾値以下となった後、ヘリカルピッチを低下させることとしてもよい。
そして、再構成されたスライスに肺Cが含まれないと判定された場合、処理回路36は、第1のスキャン範囲を、スライスに肺Cが含まれなくなった位置を終端とする第2のスキャン範囲に変更する。即ち、処理回路36は、リアルタイムで再構成されるスライスに肺Cが含まれなくなった時点でスキャンを終了する。これにより、処理回路36は、被検体Pの被曝量を低減するとともに、肺Cを一回のスキャンで確実にスキャンすることができる。
また、上述した実施形態では、スキャン対象部位の終端までスキャンする場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、処理回路36は、スキャン対象部位の終端から、更に、所定の体積分スキャンを行う場合であってもよい。所定の体積は、本スキャンの開始前にユーザが設定する条件でもよいし、固定条件でもよい。
例えば、所定の体積は、スキャン対象部位の終端からの長さを用いて設定される。この場合、スキャン対象部位の終端から、設定した「長さ」の分、被検体Pが3次元でスキャンされることとなる。即ち、「長さ」を設定することで、所定の体積を設定することができる。一例を挙げると、所定の体積は、「肺Cの終端から3cm」のように設定される。
また、例えば、所定の体積は、スキャン対象部位の周辺の部位を用いて設定される。ここで、スキャン対象部位が肺Cである場合、周辺の部位としては、例えば、肝臓Lが挙げられる。一例を挙げると、所定の体積は、「肝臓の横断面面積が所定の面積となる位置まで」のように設定される。この場合、スキャン対象部位の終端から設定された「位置」まで、被検体Pが3次元でスキャンされることとなる。即ち、「位置」を設定することで、所定の体積を設定することができる。
ここで、スキャン対象部位の終端から、更に、所定の体積分のスキャンを行う場合について、図8及び図9を用いて説明する。図8及び図9は、所定の体積分のスキャンを更に行う場合について説明するための図である。
まず、処理回路36は、第1のスキャン範囲を取得する。例えば、処理回路36は、3次元で収集された予備画像データにおいて、肺Cの上端から、肝臓Lの横断面面積が所定の面積となる位置までを第1のスキャン範囲として設定する。次に、処理回路36は、スキャンを開始し、スライスをリアルタイムで再構成する。ここで、スライスに肝臓Lが含まれる場合、処理回路36は、スライスにおける肝臓Lの横断面面積をリアルタイムで取得する。例えば、処理回路36は、図8に示すように、部分画像データE3における肝臓Lの面積を取得する。なお、処理回路36は、第1のスキャン範囲のうちスキャンされていない範囲の体積が閾値以下となった後、ヘリカルピッチを低下させることとしてもよい。
そして、処理回路36は、第1のスキャン範囲を、肝臓Lの横断面面積が所定の面積となった位置を終端とする第2のスキャン範囲に変更する。具体的には、処理回路36は、図9に示すように、第2のスキャン範囲の終端の位置を、肝臓Lの体軸方向における所定の位置とする。即ち、処理回路36は、第1のスキャン範囲を、肺Cのスキャンが完了した位置から所定の体積分大きくした第2のスキャン範囲に変更し、肺Cの終端から所定の体積分スキャンを行なった時点でスキャンを終了する。これにより、処理回路36は、被検体Pの被曝量を低減するとともに、肺C及び所定の体積分のスキャンを、一回で確実に行うことができる。
上述したプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)である。また、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)は、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)である。
上述した実施形態では、高電圧発生回路11、コリメータ調整回路12、架台駆動回路13、データ収集回路16、寝台駆動回路22及び処理回路36は、記憶回路35に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現したが、これに限定されない。記憶回路35にプログラムを保存する代わりに、これらの回路それぞれにプログラムを直接組み込んでもよい。この場合、これらの回路は、直接組み込まれたプログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現する。
図1に示した各回路は、適宜分散又は統合されてもよい。例えば、処理回路36は、スキャン制御機能361、前処理機能362、画像生成機能363、取得機能364、推定機能365、変更機能366、報知機能367及び制御機能368それぞれの機能を実行するスキャン制御回路、前処理回路、画像生成回路、取得回路、推定回路、変更回路、報知回路及び制御回路に分散されてもよい。また、例えば、高電圧発生回路11、コリメータ調整回路12、架台駆動回路13、データ収集回路16、寝台駆動回路22及び処理回路36は、任意に統合されてもよい。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、スキャン対象部位を一回のスキャンで確実にスキャンすることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。