以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による送電装置が適用される電力伝送システムの全体構成図である。図1を参照して、この電力伝送システムは、送電装置10と、受電装置20とを備える。受電装置20は、たとえば、送電装置10から供給され蓄えられた電力を用いて走行可能な車両等に搭載される。
送電装置10は、力率改善(PFC(Power Factor Correction))回路210と、インバータ220と、フィルタ回路230と、送電部240とを含む。また、送電装置10は、電源ECU(Electronic Control Unit)250と、通信部260と、電圧センサ270と、電流センサ272,274とをさらに含む。
PFC回路210は、商用系統電源等の交流電源100から受ける電力を整流及び昇圧してインバータ220へ供給するとともに、入力電流を正弦波に近づけることで力率を改善する。このPFC回路210には、公知の種々のPFC回路を採用し得る。なお、PFC回路210に代えて、力率改善機能を有しない整流器を採用してもよい。
インバータ220は、電源ECU250によって制御され、PFC回路210から受ける直流電力を、所定の周波数(たとえば数十kHz)を有する送電電力(交流)に変換する。インバータ220は、電源ECU250からの制御信号に従ってスイッチング周波数を変更することにより、送電電力の周波数を調整することができる。インバータ220によって生成された送電電力は、フィルタ回路230を通じて送電部240へ供給される。インバータ220は、たとえば単相フルブリッジ回路によって構成される。
フィルタ回路230は、インバータ220と送電部240との間に設けられ、インバータ220から発生する高調波ノイズを抑制する。フィルタ回路230は、たとえば、インダクタ及びキャパシタを含むLCフィルタによって構成される。
送電部240は、インバータ220により生成される交流電力(送電電力)をインバータ220からフィルタ回路230を通じて受け、送電部240の周囲に生成される磁界を通じて受電装置20の受電部310へ非接触で送電する。送電部240は、受電部310へ非接触で送電するための共振回路を含む(図示せず)。共振回路は、コイルとキャパシタとによって構成され得るが、コイルのみで所望の共振状態が形成される場合には、キャパシタを設けなくてもよい。
電圧センサ270は、インバータ220の出力電圧Vを検出し、その検出値を電源ECU250へ出力する。電流センサ272は、インバータ220に流れる電流すなわちインバータ220の出力電流Iinvを検出し、その検出値を電源ECU250へ出力する。なお、電圧センサ270及び電流センサ272の検出値に基づいて、インバータ220から送電部240へ供給される送電電力を検出することができる。電流センサ274は、送電部240に流れる電流Isを検出し、その検出値を電源ECU250へ出力する。
電源ECU250は、CPU(Central Processing Unit)、処理プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、各種信号を入出力するための入出力ポート等を含み(いずれも図示せず)、上述の各センサ等からの信号を受けるとともに、送電装置10における各種機器の制御を実行する。たとえば、電源ECU250は、送電装置10から受電装置20への電力伝送が行なわれるときに、送電電力(交流)をインバータ220が生成するようにインバータ220のスイッチング制御を実行する。なお、各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
この実施の形態に従う送電装置10では、電源ECU250により実行される主要な制御として、電源ECU250は、送電装置10から受電装置20への電力伝送の実行時に、送電電力を目標電力にするための制御(以下「送電電力制御」とも称する。)を実行する。具体的には、電源ECU250は、インバータ220の出力電圧のデューティ(duty)を調整することによって、送電電力を目標電力に制御する。
なお、インバータ220の出力電圧のデューティとは、出力電圧波形(矩形波)の周期に対する正(又は負)の電圧出力時間の比として定義される。インバータ220のスイッチング素子(オン/オフ期間比0.5)の動作タイミングを変化させることによって、インバータ出力電圧のデューティを調整することができる。送電電力の目標電力は、たとえば受電装置20の受電状況に基づいて生成される。この実施の形態では、受電装置20において、受電電力の目標値と検出値との偏差に基づいて送電電力の目標電力が生成され、受電装置20から送電装置10へ送信される。
さらに、電源ECU250は、上記の送電電力制御を実行するとともに、送電電力が維持される下で、送電部240に含まれる送電コイル(後述)に流れる電流Isを最小にするための制御(以下「送電コイル電流制御」とも称する。)を実行する。詳細については後述するが、送電電力が維持される下で、送電コイルに流れる電流が小さいほど、送電部240(送電コイル)と受電部310(受電コイル)との間の電力伝送効率は高くなる。そこで、電源ECU250は、送電電力制御を実行しつつ、送電コイルに流れる電流Isが最小となるようにインバータ220の駆動周波数(インバータ220のスイッチング周波数であり、送電電力の周波数でもある。)を調整する。なお、電源ECU250は、インバータ220の駆動周波数すなわち送電電力の周波数を所定の周波数帯(規格等によって定められ得る。)において調整可能であり、この周波数帯を外れて周波数を調整することはしない。
通信部260は、受電装置20の通信部370と無線通信するように構成される。通信部260は、受電装置20から送信される送電電力の目標(目標電力)を受信するほか、電力伝送の開始/停止に関する情報を受電装置20とやり取りしたり、受電装置20の受電状況(受電電圧や受電電流、受電電力等)を受電装置20から受信したりする。
一方、受電装置20は、受電部310と、フィルタ回路320と、整流部330と、リレー回路340と、蓄電装置350とを含む。また、受電装置20は、充電ECU360と、通信部370と、電圧センサ380と、電流センサ382とをさらに含む。
受電部310は、送電装置10の送電部240から出力される電力(交流)を、磁界を通じて非接触で受電する。受電部310は、たとえば、送電部240から非接触で受電するための共振回路を含む(図示せず)。共振回路は、コイルとキャパシタとによって構成され得るが、コイルのみで所望の共振状態が形成される場合には、キャパシタを設けなくてもよい。
フィルタ回路320は、受電部310と整流部330との間に設けられ、受電部310による受電時に発生する高調波ノイズを抑制する。フィルタ回路320は、たとえば、インダクタ及びキャパシタを含むLCフィルタによって構成される。整流部330は、受電部310によって受電された交流電力を整流して蓄電装置350へ出力する。整流部330は、整流器とともに平滑用のキャパシタを含んで構成される。
蓄電装置350は、再充電可能な直流電源であり、たとえばリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池を含んで構成される。蓄電装置350は、整流部330から出力される電力を蓄える。そして、蓄電装置350は、その蓄えられた電力を図示しない負荷駆動装置等へ供給する。なお、蓄電装置350として電気二重層キャパシタ等も採用可能である。
リレー回路340は、整流部330と蓄電装置350との間に設けられる。リレー回路340は、送電装置10による蓄電装置350の充電時にオン(導通状態)にされる。電圧センサ380は、整流部330の出力電圧(受電電圧)を検出し、その検出値を充電ECU360へ出力する。電流センサ382は、整流部330からの出力電流(受電電流)を検出し、その検出値を充電ECU360へ出力する。電圧センサ380及び電流センサ382の検出値に基づいて、受電部310による受電電力(蓄電装置350の充電電力に相当する。)を検出することができる。電圧センサ380及び電流センサ382は、受電部310と整流部330との間(たとえば、フィルタ回路320と整流部330との間)に設けてもよい。
充電ECU360は、CPU、ROM、RAM、入出力ポート等を含み(いずれも図示せず)、上記の各センサ等からの信号を受けるとともに、受電装置20における各種機器の制御を行なう。各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
充電ECU360により実行される主要な制御として、充電ECU360は、送電装置10からの受電中に、受電装置20における受電電力が所望の目標となるように、送電装置10における送電電力の目標(目標電力)を生成する。具体的には、充電ECU360は、受電電力の目標と検出値との偏差に基づいて、送電装置10における送電電力の目標を生成する。そして、充電ECU360は、生成された送電電力の目標(目標電力)を通信部370によって送電装置10へ送信する。
通信部370は、送電装置10の通信部260と無線通信するように構成される。通信部370は、充電ECU360において生成される送電電力の目標(目標電力)を送電装置10へ送信するほか、電力伝送の開始/停止に関する情報を送電装置10とやり取りしたり、受電装置20の受電状況(受電電圧や受電電流、受電電力等)を送電装置10へ送信したりする。
この電力伝送システムにおいては、送電装置10において、インバータ220からフィルタ回路230を通じて送電部240へ、交流の送電電力が供給される。送電部240及び受電部310の各々は、共振回路を含み、送電電力の周波数において共振するように設計されている。
インバータ220からフィルタ回路230を通じて送電部240へ交流の電力が供給されると、送電部240の共振回路を構成するコイルと、受電部310の共振回路を構成するコイルとの間に形成される磁界を通じて、送電部240から受電部310へエネルギー(電力)が移動する。受電部310へ移動したエネルギー(電力)は、フィルタ回路320及び整流部330を通じて蓄電装置350へ供給される。
図2は、図1に示した送電部240及び受電部310の構成を説明する回路図である。図2を参照して、送電部240は、送電コイル242と、キャパシタ244とを含む。キャパシタ244は、送電コイル242に直列に接続されて送電コイル242と共振回路を形成する。キャパシタ244は、送電部240の共振周波数を調整するために設けられる。送電コイル242及びキャパシタ244によって構成される共振回路の共振強度を示すQ値は、100以上であることが好ましい。なお、この回路図では、送電装置10において、インバータ220と送電部240との間のフィルタ回路230(図1)の図示は省略されている。
受電部310は、受電コイル312と、キャパシタ314とを含む。キャパシタ314は、受電コイル312に直列に接続されて受電コイル312と共振回路を形成する。キャパシタ314は、受電部310の共振周波数を調整するために設けられる。受電コイル312及びキャパシタ314によって構成される共振回路のQ値も、100以上であることが好ましい。
なお、特に図示しないが、送電コイル242及び受電コイル312の構造は特に限定されない。たとえば、送電部240と受電部310とが正対する場合に、送電部240と受電部310とが並ぶ方向に沿う軸に巻回される渦巻形状やらせん形状のコイルを送電コイル242及び受電コイル312の各々に採用することができる。或いは、送電部240と受電部310とが正対する場合に、送電部240と受電部310とが並ぶ方向を法線方向とするフェライト板に電線を巻回して成るコイルを送電コイル242及び受電コイル312の各々に採用してもよい。
ここで、受電コイル312のインダクタンスはL2であり、キャパシタ314のキャパシタンスはC2であるものとする。電気負荷390は、受電部310以降のフィルタ回路320、整流部330及び蓄電装置350(図1)である。インピーダンス395は、電気負荷390の等価インピーダンスを示し、そのインピーダンス値はRLであるものとする。すなわち、インピーダンス395は、受電部310以降の負荷インピーダンスである(以下では、電気負荷390の等価インピーダンスRLを「負荷インピーダンスRL」とも称する。)。なお、この負荷インピーダンスRLは、電気負荷390の回路構成、電気負荷390が受ける電力(受電電力)、及び電気負荷390に含まれる蓄電装置350(図1)の電圧(電気負荷390の電圧は蓄電装置350によって拘束される。)から算出することができる。
このような回路構成において、送電コイル242と受電コイル312との間の電力伝送効率ηは、次式にて表される。
ここで、I1は送電コイル242に流れる電流(すなわち電流Is)を示し、I2は受電コイル312に流れる電流を示す。また、r1は送電コイル242の巻線抵抗を示し、r2は受電コイル312の巻線抵抗を示す。電気負荷390の電圧は、蓄電装置350(図1)によって拘束されるので、電力が維持される下では電流I2及び負荷インピーダンスRLは略一定となる。したがって、式(1)から、電力伝送効率ηは電流I1の2乗に反比例することが理解される。すなわち、送電コイル242に流れる電流I1が小さいほど電力伝送効率ηは高くなる。
そこで、この実施の形態に従う送電装置10では、送電電力が維持される下で送電コイル242に流れる電流Is(図1)を最小にする送電コイル電流制御が実行される。この送電コイル電流制御には、制御対象に振動信号を与えることにより制御量の極値を探索する極値探索制御が適用される。すなわち、制御の詳細については後述するが、電源ECU250は、極値探索制御を用いて、送電電力の周波数を振動させることによって、送電コイル242に流れる電流Isが最小となる最適周波数を探索する。
この極値探索制御は、送電電力の周波数を振動させたことによる送電コイル242の電流Isの変化を検出し、電流Isが小さくなる方向に周波数を移動(操作)するものであるところ、周波数を振動させる操作(振動操作)と、極値探索制御の探索結果に基づく周波数の操作(制御に基づく移動操作)とが干渉することにより、周波数の振動操作による送電コイル242の電流Isの変化を誤検知し、その結果、周波数を誤操作してしまう可能性がある。
そこで、この実施の形態に従う送電装置10では、電源ECU250は、極値探索制御の探索結果による周波数の移動操作(制御に基づく移動操作)が、その移動操作量を算出するための周波数の振動操作と重ならないように、周波数を操作する。これにより、周波数の振動操作による送電コイル242の電流Isの変化を正確に検知することができる。したがって、この電力伝送システムによれば、極値探索制御の精度を向上させることができ、その結果、送電コイル242と受電コイル312との間の電力伝送効率を高めることができる。
図3は、電源ECU250により実行される送電電力制御及び送電コイル電流制御の制御ブロック図である。図3を参照して、電源ECU250は、送電電力制御を実行する第1の制御部400と、送電コイル電流制御を実行する第2の制御部500とを含む。
第1の制御部400は、減算部410と、コントローラ420とを含む。減算部410は、送電電力の目標を示す目標電力Psrから送電電力Psの検出値を減算し、その演算値をコントローラ420へ出力する。送電電力Psの検出値は、たとえば、図1に示した電圧センサ270及び電流センサ272の検出値に基づいて算出される。目標電力Psrは、たとえば、受電装置20の受電状況に基づいて受電装置20において生成され、受電装置20から送電装置10へ送信される。
コントローラ420は、目標電力Psrと送電電力Psとの偏差に基づいて、インバータ出力電圧のデューティ指令値を生成する。コントローラ420は、たとえば、目標電力Psrと送電電力Psとの偏差(減算部410の出力)を入力とするPI制御(比例積分制御)を実行することによって操作量を算出し、その算出された操作量をデューティ指令値とする。
第2の制御部500は、振動信号生成部510と、ハイパスフィルタ(HPF(High Pass Filter))520と、乗算部530と、ローパスフィルタ(LPF(Low Pass Filter))540と、コントローラ550と、加算部560と、タイミング調整部570とを含む。
振動信号生成部510は、振幅が十分小さく、かつ低周波数の振動信号を生成する。極値探索制御では、このような振動信号を用いることによって、送電電力の周波数fの、最適周波数(送電コイル242に流れる電流Isが最小となる周波数)への移行が監視される。
HPF520は、送電コイル242に流れる電流Isの検出値を受け、電流Isの直流成分を除去した信号を出力する。このHPF520は、振動信号生成部510により生成される振動信号に基づいて送電電力の周波数fを振動させたときの電流Isの傾き(微分係数)を抽出するものである。
乗算部530は、HPF520から出力される信号(電流Isの微分係数)に、振動信号生成部510により生成される振動信号を乗算し、振動信号と電流Isとの相関係数を算出する。この相関係数は、周波数fを変化させたときの電流Isの増減方向を示すものである。
LPF540は、乗算部530によって演算された相関係数の直流成分を抽出する。このLPF540の出力は、周波数fを最適周波数へ移行させるための周波数fの操作方向(増減方向)を示す。なお、このLPF540は、省略することも可能である。
コントローラ550は、LPF540の出力に基づいて、周波数fを最適周波数へ移行させるための周波数fの操作量(変更量)を算出する。コントローラ550は、たとえば、LPF540の出力信号を入力とするI制御(積分制御)を実行することによって、周波数fの操作量を算出する。加算部560は、コントローラ550の出力と、振動信号生成部510によって生成される振動信号とを加算し、その演算値を最終的な周波数fの操作量とする。
タイミング調整部570は、振動信号生成部510による振動信号の生成タイミングと、コントローラ550により演算される周波数の移動操作量の出力タイミングとを調整する。具体的には、タイミング調整部570は、コントローラ550の出力に基づく周波数の移動操作が、振動信号生成部510により生成される振動信号に基づく周波数の振動操作と重ならないように、振動信号生成部510及びコントローラ550の動作タイミングを調整する。
図4は、周波数の振動操作の実行期間と、振動操作の結果に基づく周波数の移動操作の実行期間とを説明するタイミングチャートである。図4を参照して、横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示す。期間T1は、振動信号生成部510により生成される振動信号に基づく周波数の振動操作が実行される期間である。期間T1に続く期間T2は、コントローラ550の出力に基づく周波数の移動操作が実行される期間である。周波数の振動操作が実行される期間T1と、周波数の移動操作が実行される期間T2とは、互いに重ならないように交互に設定される。
なお、この極値探索制御では、送電電力が維持される下で周波数の振動操作による送電コイル242の電流Isの変化を検出する必要があるので、周波数の振動操作が実行される期間T1については、周波数変化による電力変化が整定する時間+αの時間を確保するのが好ましい。一方、コントローラ550の出力に基づく周波数の移動操作が実行される期間T2については、必ずしも電力が維持されている必要はないので、期間T1よりも短い時間に設定し得る(たとえば、期間T1=電力整定時間+αに対して、期間T2=電力整定時間)。
図5は、振動信号生成部510により生成される振動信号に基づく周波数の振動操作と、コントローラ550の出力に基づく周波数の移動操作との一例を示した図である。図5を参照して、時刻t1からの期間T1において、振動信号生成部510により生成される振動信号に基づく周波数の振動操作(振幅A1)が実行される。その後、時刻t2からの期間T2において、期間T1での振動操作による送電コイル242の電流Isの変化に基づく、コントローラ550による周波数の移動操作(操作量B1)が実行される。周波数の振動操作が実行される期間T1と、周波数の移動操作が実行される期間T2とが重ならないように、周波数の振動操作と移動操作との実行タイミングが調整されているので、周波数の振動操作による送電コイル242の電流Isの変化を正確に検出することができ、その結果、コントローラ550による周波数の移動操作量の演算精度を向上させることができる。
なお、参考例として、図6は、送電コイル電流制御において、周波数の振動操作と、制御結果に基づく周波数の移動操作とが重複する場合の周波数操作の一例を示す参考図である。図6を参照して、時刻t11からの期間T1において、周波数の振動操作(振幅A1)が実行される。その後、時刻t11から期間T1経過後の時刻t12において、再び周波数の振動操作(振幅A1)が実行される。また、このタイミングで、時刻t11から時刻t12の期間T1での振動操作による送電コイル電流の変化に基づく周波数の移動操作(操作量B1)も実行される。これにより、周波数はA2(=A1+B1)操作される。
そうすると、時刻t12から時刻t13の期間T1では、振幅A1の周波数の振動操作による送電コイル電流の変化を検出することができず、周波数の振動操作による送電コイル電流の変化を誤検出してしまう(A2の周波数変化に対する送電コイル電流の変化を検出)。したがって、時刻t13では、この誤検出された電流変化に基づいて、周波数の移動操作(操作量B2)が実行され、さらにこの移動操作量に振動操作分の操作量(A1)が重畳される。
このように、周波数の振動操作と、制御結果に基づく周波数の移動操作とが重複すると、周波数の振動操作による送電コイルの電流の変化を正確に検出することができず、極値探索制御の精度が低下する可能性がある。
これに対して、この実施の形態に従う送電装置10では、図4,5に示したように、周波数の振動操作と移動操作とが重ならないようにしたので、周波数の振動操作による送電コイル242の電流Isの変化を正確に検出することができ、その結果、極値探索制御による探索精度を高めることができる。
図7は、電源ECU250により実行される極値探索制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理は、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図7を参照して、電源ECU250は、インバータ220を制御することによって、送電電力の周波数を振動させる振動操作を実行する(ステップS10)。なお、このステップS10において実行される振動操作は、図4,5に示した期間T1における1回分の振動操作である。
次いで、電源ECU250は、振動操作期間が経過したか否かを判定する(ステップS20)。この振動操作期間は、図4,5で示した期間T1である。そして、ステップS20において振動操作期間が経過したものと判定されると(ステップS20においてYES)、電源ECU250は、送電コイル242に流れる電流Isの検出値を電流センサ274から受け、電流Isの検出結果を用いて、周波数の振動操作(振動信号)と電流Isとの相関係数を算出する(ステップS30)。なお、上述のように、この相関係数は、周波数を変化させたときの電流Isの増減方向を示すものである。
続いて、電源ECU250は、ステップS30において算出された相関係数を用いて、周波数を最適周波数へ移行させるための周波数の移動操作量を算出する(ステップS40)。たとえば、電源ECU250は、相関係数の直流成分を抽出し、その演算結果を入力とするI制御を実行することによって、周波数の移動操作量を算出する。そして、電源ECU250は、インバータ220を制御することによって、算出された移動操作量に基づいて周波数の移動操作を実行する(ステップS50)。
次いで、電源ECU250は、周波数の移動操作期間が経過したか否かを判定する(ステップS60)。この移動操作期間は、図4,5で示した期間T2である。そして、ステップS60において移動操作期間が経過したものと判定されると(ステップS60においてYES)、電源ECU250は、リターンへ処理を移行する。
以上のように、この実施の形態においては、送電電力の周波数を振動させることによって、送電コイル242に流れる電流Isが最小となる最適周波数を探索する極値探索制御が実行される。そして、極値探索制御の探索結果による周波数の移動操作が周波数の振動操作と重ならないように周波数が操作されるので、周波数の振動操作による送電コイル242の電流Isの変化を正確に検知することができる。したがって、この実施の形態によれば、極値探索制御の精度を向上させることができ、その結果、送電コイル242と受電コイル312との間の電力伝送効率を高めることができる。
なお、上記の実施の形態では、送電電力制御を実行する第1の制御部400のコントローラ420は、PI制御を実行するものとしたが、PI制御に代えて、I制御やP制御(比例制御)を実行するようにしてもよい。
また、上記においては、送電コイル電流制御を実行する第2の制御部500のコントローラ550は、I制御を実行するものとしたが、I制御に代えて、応答速度の向上を見込めるPI制御やP制御を実行するようにしてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。