世界の石炭資源のうちの約半分は、褐炭や亜瀝青炭といった高含水率の石炭(いわゆる低品位炭)であり、近年ますます、このような低品位炭の有効活用が求められている。
褐炭などの低品位炭を燃料として使用するためには、前処理として、乾燥処理および粉砕処理を行う必要がある。例えば、褐炭の含水率は約60wt%と極めて高く、その乾燥処理および粉砕処理を、十分な経済性(採算ベース)を確保しつつ行うことは必ずしも容易ではない。
高含水率の石炭の前処理方法の一例としては、原料(含水率60wt%の褐炭など)を、ジョークラッシャーやハンマークラッシャーなどで粗粉砕し、粗粉砕された原料を、スチームチューブドライヤなどの間接乾燥機で乾燥する(例えば、含水率約15wt%まで)。続いて、乾燥済みの石炭を、ボールミルやローラミルなどを用いて微粉砕し、所望の粒度の石炭を得る(特許文献1参照)。ここで、原料の乾燥に、スチームチューブドライヤなどの間接乾燥機を用いることで、処理中の石炭の発火を防止している。
しかしながら、上述した従来の低品位炭の処理方法は、乾燥機の前段に粗粉砕用のクラッシャーを配置すると共に、乾燥機の後段に微粉砕用のミルを配置する構成であり、必要な機器点数が多く、処理フローが複雑になるという問題がある。
一方、機器点数を減らして処理フローを簡素化しようとすると、個々の機器で必要とされるエネルギー(供給熱量など)が大きくなり、低品位炭の乾燥処理および粉砕処理に必要となるトータルのエネルギーが膨大なものとなるという問題がある。
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、処理に必要なトータルのエネルギーを抑制しつつ、簡素な処理フローによって、高含水率の石炭に対して乾燥処理および粉砕処理を行うことができる石炭処理システムおよび処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、石炭に対して乾燥処理および粉砕処理を行うための石炭処理システムであって、ミルケーシング内に熱風を供給しながら前記石炭を粉砕するための竪型ローラミルと、前記竪型ローラミルによって粉砕され、前記熱風によって予備的に乾燥された前記石炭を、所望の含水率までさらに乾燥するための乾燥機と、を備えたことを特徴とする。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記竪型ローラミルに投入される前記石炭の含水率が55wt%〜65wt%である、ことを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記乾燥機に投入される前記石炭の含水率が30wt%〜50wt%である、ことを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第1乃至第3のいずれかの態様において、前記所望の含水率が30wt%未満である、ことを特徴とする。
本発明の第5の態様は、第1乃至第4のいずれかの態様において、前記竪型ローラミルによって粉砕された前記石炭の粒度が0.5mm以下である、ことを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の第6の態様は、石炭に対して乾燥処理および粉砕処理を行うための石炭処理方法であって、ミルケーシング内に熱風を供給しながら竪型ローラミルによって前記石炭を粉砕する加熱粉砕工程と、前記竪型ローラミルによって粉砕され、前記熱風によって予備的に乾燥された前記石炭を、乾燥機によって所望の含水率までさらに乾燥する乾燥工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記竪型ローラミルに投入される前記石炭の含水率が55wt%〜65wt%である、ことを特徴とする。
本発明の第8の態様は、第6または第7の態様において、前記乾燥機に投入される前記石炭の含水率が30wt%〜50wt%である、ことを特徴とする。
本発明の第9の態様は、第6乃至第8のいずれかの態様において、前記所望の含水率が30wt%未満である、ことを特徴とする。
本発明の第10の態様は、第6乃至第9のいずれかの態様において、前記竪型ローラミルによって粉砕された前記石炭の粒度が0.5mm以下である、ことを特徴とする。
本発明によれば、処理に必要なトータルのエネルギーを抑制しつつ、簡素な処理フローによって、高含水率の石炭に対して乾燥処理および粉砕処理を行うことができる石炭処理システムおよび処理方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態による石炭処理システムおよび処理方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態による石炭処理システムおよび処理方法は、褐炭や亜瀝青炭などの高含水率の石炭(低品位炭)に対して、乾燥処理および粉砕処理を行って、所望の含水率・粒度の石炭(乾燥微粉炭)を生成するためのものである。
処理対象物としての石炭は、例えば、含水率が約55wt%〜約65wt%で、最大粒度が約50mmの褐炭である。
図1に示したように、処理対象物である石炭は、まず初めに竪型ローラミル1に投入される。竪型ローラミル1のケーシング内には熱風が供給されており、石炭の粉砕処理は、熱風の供給下で実施される(加熱粉砕工程)。
竪型ローラミル1で粉砕処理される石炭は、ローラにより回転テーブル上で粉砕されて微粉炭となり、セパレータによって分級されて所望の粒度にて回収されるが、その過程で、熱風によって加熱され、予備的な乾燥が行われる。すなわち、竪型ローラミル1では、石炭を微粉炭に粉砕する粉砕処理と共に、石炭を加熱して乾燥する予備的な加熱処理が行われる。
なお、ミルケーシング内に供給する熱風は、例えばボイラの排ガスを利用することができる。ここで、ミルケーシング内に供給する熱風の温度は、処理中の石炭が発火しない温度に設定される。
竪型ローラミル1によって粉砕され、熱風によって予備的に乾燥された石炭(微粉炭)は、例えば、含水率が約30wt%〜約50wt%で、粒度が約0.5mm以下である。なお、竪型ローラミルから回収される微粉炭の粒度は、セパレータの回転数を変えることで調整することができる。
竪型ローラミル1によって粉砕され、熱風によって予備的に乾燥された石炭(微粉炭)は、竪型ローラミル1の後段に設置された乾燥機2に投入され、所望の含水率までさらに乾燥される(乾燥工程)。乾燥機2により達成される所望の含水率は、例えば約30wt%未満である。
上述したように本実施形態による石炭処理システムおよび処理方法においては、含水率の高い石炭(褐炭や亜瀝青炭など)を、まず初めに竪型ローラミル1に投入して、熱風により石炭を加熱しながら粉砕処理し、しかる後に乾燥機2によって所望の含水率までさらに乾燥させるようにしたので、処理に必要なトータルのエネルギーを抑制しつつ、簡素な処理フローによって高含水率の石炭を処理することできる。
すなわち、従来の石炭処理システムのような、乾燥機の前段にクラッシャーを配置し、後段にボールミルを配置するという複雑な構成に比べて、本実施形態による石炭処理システムは、竪型ローラミル1と、その後段に配置した乾燥機2のみで足り、従来よりも構成および処理フローが大幅に簡素化されている。
また、本実施形態による石炭処理システムおよび方法においては、高含水率の石炭の乾燥処理を、竪型ローラミル1における予備的な乾燥処理と、竪型ローラミル1の後段に配置した乾燥機2における最終的な乾燥処理との二段階処理としたことにより、乾燥処理に必要なトータルのエネルギーを抑制することができる。
もし仮に、竪型ローラミル1の後段に乾燥機2を設置せずに、竪型ローラミル1における熱風のみで乾燥処理を完結させようとした場合、石炭の発火防止の観点から熱風の温度をあまり高く設定することができないので、乾燥効率を高めるためには、熱風の風量を大幅に増大させる必要があり、その結果、ファンの消費電力が大幅に増大してしまう。
なお、竪型ローラミル1に投入する石炭の投入量を少なくすれば、熱風の風量を増大させなくても所望の乾燥処理を達成できるかも知れないが、石炭の投入量が減少することにより、回転テーブル上に原料層を適切に形成できず、ミルの安定運転が困難になる可能性があり、投入量の下方調整には限界がある。
これに対して本実施形態による石炭処理システムおよび方法では、竪型ローラミル1が予備的な加熱処理を担当し、最終的な加熱処理を後段の乾燥機2が担当するようにしたので、ミルケーシング内に供給する熱風の風量を増大させる必要が無く、ファンの消費電力の増大を防止することができる。
また、乾燥機2に投入される石炭は、竪型ローラミル1によって既に微粉炭に粉砕されているので、例えばクラッシャーにより生成された粗粉炭に比べて、乾燥機2における乾燥効率が向上することが期待できる。乾燥機2における乾燥効率が向上すれば、例えば乾燥機2としてスチームチューブドライヤのような比較的価格の高い機器を使用するとしても、その設備仕様に対する要求が下がることで、購入価格を低減することが可能となる。
また、本実施形態による石炭処理システムおよび方法においては、竪型ローラミル1のケーシング内に熱風を供給しながら石炭の粉砕処理を行うようにしたので、回転テーブルやローラなどの表面温度が上昇して表面に処理対象物が付着し難くなり、高含水率の石炭を粉砕処理する場合でも、回転テーブルやローラの表面に石炭が付着して安定運転を阻害するという事態を防止できる。
なお、本実施形態による石炭処理システムおよび方法において、竪型ローラミルを使用することの利点について、ボールミルを使用する場合と比較して以下に説明する。
ボールミルは、その構造上、ミル内に導入できる熱風量が竪型ローラミルに比べて少ないため、処理中の原料に対する乾燥能力が低い。もし仮にボールミルにおいて熱風を多く入れると、ミル内風速が高くなり、原料が適切に粉砕されずに飛散して粉砕効率が悪化し、また、圧力損失が高くなるなど、種々の問題が出てくる。
また、原料の含水率が高い場合、粉砕処理中に原料がボールに付着することが予想され、やはり粉砕効率が低下してしまうと考えられる。
上記の通りであるから、含水率が60wt%にもなる原料を、ボールミルで適切に粉砕処理することは、極めて困難もしくは不可能である。
これに対して、本実施形態による石炭処理システムおよび方法においては、ボールミルに比べて乾燥能力が高く、ボールへの原料の付着という問題もない竪型ローラミルを採用することにより、含水率の高い原料を支障なく処理することができる。