JP2018002865A - 防曇層形成用組成物、積層体、及び積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
表面に、保護膜などの保護手段を表面に備えていても、長期間の経時により、徐々に埃、塵又は泥汚れなどが表面に堆積したり、風雨時の雨水に濡れたり等の要因により、保護手段の所望の機能又は性能が発揮されなくなる場合がある。
通常は、保護部材の表面を親水性とすることで、表面の曇りによる光透過性の低下を抑え、かつ、水性の汚れを付着し難くしている。
特許文献2に記載の水性防汚コート剤は、シリカ粒子の表面親水性により防曇性を発現することができ、得られた防曇層は水による溶出が生じにくいため、水垂れが生じた場合でも、水垂れの痕跡が残り難く、防曇層の持続性はより良好となった。
しかし、近年、ヘッドライトの光源として従来のランプに代えて、発光ダイオード(以下、LEDと称することがある)が使用された場合には、発熱が生じないため、ヘッドライトカバーに結露がより生じやすくなり、特に、寒冷地ではヘッドライトカバー自体の冷え込みにより結露水の吸着量が多くなる場合がある。このため、従来よりもさらに吸水量が増え、かつ、水垂れの痕跡が残り難い防曇層の形成が望まれている。
本発明の別の実施形態の課題は、既述の積層体を、不良品発生率が低く、生産性よく製造することができる防曇層形成用組成物、及びそれを用いた積層体の製造方法を提供することである。
<1> 1次粒子の平均粒径が2nm以上100nm以下であるシリカ粒子、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、N−メチロールエーテル基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋官能基を有するビニル系単量体に由来の構造単位と、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル系単量体に由来の構造単位と、アルキル(メタ)アクリレート系単量体に由来の構造単位と、を少なくとも含む共重合体、並びに、下記一般式(1)で表される化合物の加水分解物を含む防曇層形成用組成物。
<3> 基材と、基材上に設けられ、1次粒子の平均粒径が2nm以上100nm以下であるシリカ粒子、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、N−メチロールエーテル基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋官能基を有するビニル単量体に由来の構造単位と、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル系単量体に由来の構造単位と、アルキル(メタ)アクリレート系単量体に由来の構造単位と、を少なくとも含む共重合体、並びに、下記一般式(1)で表される化合物の加水分解縮合物を含む防曇層と、を有する積層体。
一般式(1)中、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の1価の有機基を表す。nは、1〜20の整数を表す。
<4> 防曇層の厚みが1μm以上10μm以下である<3>に記載の積層体。
<5> 防曇層の表面の平均表面粗さRaが10nm以上100nm以下である<3>又は<4>に記載の積層体。
<8> 防曇層の全質量に対するシリカ粒子の含有量が50質量%以上99質量%以下であり、防曇層の全質量に対する共重合体の含有量が0.5質量%以上49.5質量%以下であり、防曇層の全質量に対する一般式(1)で表される化合物の加水分解縮合物の含有量が0.5質量%以上49.5質量%以下である<3>〜<7>のいずれか1つに記載の積層体。
<12> 防曇層を形成する工程は、少なくとも第1の防曇層と第2の防曇層とを有する2層以上の重層構造の防曇層を形成する工程であり、基材上に、シリカ粒子、共重合体、及び一般式(1)で表される化合物の加水分解物を含み、共重合体の含有量が、組成物の全量に対し50質量%以上である第2の防曇層形成用組成物を付与して、第2の防曇層を形成する工程、及び、形成された第2の防曇層上に、シリカ粒子、共重合体、及び一般式(1)で表される化合物の加水分解物を含み、一般式(1)で表される化合物の加水分解物とシリカ粒子との総含有量が、組成物の全量に対し50質量%以上である第1の防曇層形成用組成物を付与して、第1の防曇層を形成する工程、を含む<10>又は<11>に記載の積層体の製造方法。
本発明の別の実施形態によれば、既述の積層体を、不良品発生率が低く、生産性よく製造することができる防曇層形成用組成物、及びそれを用いた積層体の製造方法が提供される。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の成分の合計量を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書における「固形分」の語は、溶剤を除く成分を意味し、溶剤以外の低分子量成分などの液状の成分も本明細書における「固形分」に含まれる。
本明細書において「溶媒」とは、水、有機溶剤、及び水と有機溶剤との混合溶媒を意味する。
また、本明細書では、アクリル及びメタクリルの双方或いはいずれかを「(メタ)アクリル」と表記する場合がある。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本実施形態の防曇層形成用組成物は、1次粒子の平均粒径が2nm以上100nm以下であるシリカ粒子、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、N−メチロールエーテル基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋官能基を有するビニル系単量体に由来の構造単位と、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル系単量体に由来の構造単位と、アルキル(メタ)アクリレート系単量体に由来の構造単位と、を少なくとも含む共重合体、並びに、下記一般式(1)で表される化合物の加水分解物を含む。
本実施形態の防曇層形成用組成物は、以下に詳述する積層体の防曇層の形成に好適に用いられる。
特定シロキサン化合物は、水と共存することで、少なくとも一部が加水分解される。したがって、本実施形態に係る防曇層形成用組成物には、特定シロキサン化合物の加水分解物が含まれる。
特定シロキサン化合物の加水分解物は、特定シロキサン化合物と水とが反応することで、特定シロキサン化合物のケイ素原子に結合したOR1、OR2、OR3、及びOR4の少なくとも一部がヒドロキシ基に置換された化合物であり、親水性基であるヒドロキシ基に起因して、例えば塗布及び乾燥を経て形成される防曇層は表面親水性が良好となると推定される。
ここで、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位としては、例えば、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来の構造単位が挙げられる。
本実施形態の積層体は、基材と、基材上に設けられ、1次粒子の平均粒径が2nm以上100nm以下であるシリカ粒子、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、N−メチロールエーテル基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋官能基を有するビニル系単量体に由来の構造単位と、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル系単量体に由来の構造単位と、アルキル(メタ)アクリレート系単量体に由来の構造単位とを少なくとも含む共重合体、並びに、下記一般式(1)で表される化合物の加水分解縮合物を含む防曇層と、を有する積層体である。
本実施形態の積層体に用いられる基材としては、特に制限はない。例えば、ガラス、樹脂材料(プラスチックス材料)、金属、セラミックス等の各種材料から選ばれる1種以上を含む基材より、積層体の使用目的等に応じて、適宜選択して用いることができる。
また、基材として、樹脂材料も好適であり、例えば監視カメラの保護カバー、ヘッドライトの保護カバーなどの基材には樹脂材料が用いられることが多い。樹脂材料の中では、光、熱に対する耐久性に優れる点で、ポリカーボネート及びポリメチルメタクリレートが好ましい。
基材は、複合材料であってもよい。複合材料である基材としては、例えば、ガラス及び樹脂材料を含み、ガラスと樹脂材料とが混在して複合化した複合材、又は複数種の樹脂材料が混練又は貼合された樹脂複合材等のいずれでもよい。
基材の厚みとしては、例えば0.05mm〜10mmとすることができる。
なお、防曇層は、基材上に設けられれば、特に制限はない。基材が板状などで、2つの面を有する場合は、2つの面の少なくとも一方に設けられればよい。例えば、既述の監視カメラの保護カバーでは、少なくとも外側、即ち、外気に接する側の面に設けることができる。また、ヘッドライトのカバーの場合は、少なくとも内側、即ち、光源を有する側の面に設けることができる。
本実施形態の積層体における防曇層は、特定シリカ粒子、特定共重合体、及び特定シロキサン加水分解縮合物を含む。
本実施形態における防曇層は、上記構成としたため、特定シリカ粒子の形状に起因して防曇層表面に凹凸構造が形成されることで、防曇層表面の帯電防止効果がより向上し、埃等の汚れ付着防止機能が向上するために、積層体を製造する際、防曇層の形成時に製造環境における微細な埃が付着するのが抑制され、埃の付着による不良品の発生率が極めて低く、生産性が良好な製造が可能となる。
本実施形態における特定共重合体は、以下に詳述するように、親水性重合体部と疎水性重合体部とを含む。
表面親水性に優れる特定シリカ粒子と、親水性重合体部と疎水性重合体部とを含む特定共重合体と、特定シロキサン化合物の加水分解縮合物との機能が相俟って、防曇層の吸水量がより向上し、水垂れが起こり難くなる。さらに、防曇層中において特定シリカ粒子同士の間に微細な空隙が形成され、特定シリカ粒子間の空隙が湿潤時に水を保持する効果があるため、特許文献1に記載される如き親水性共重合体を含む防曇剤組成物を用いて形成された防曇層に比較して水分保持効果が著しく高まる。
また、防曇層は、特定共重合体における架橋構造と、特定シロキサン化合物の加水分解縮合物における強固な膜性とにより、特定シリカ粒子の保持性が良好であり、水を吸収した場合でも、水膨潤に起因する剥がれが抑制され、たとえ水垂れが発生しても水垂れの痕跡が残り難くなると推定される。
本明細書では、水垂れが発生しても水垂れの痕跡が残り難くなる特性を、耐水垂れ性が良好であると称することがある。
本実施形態の防曇層は、特定シリカ粒子の少なくとも1種を含有する。
特定シリカ粒子は、防曇層の耐傷性を高め、さらに、親水性を発揮させる機能を有する。すなわち、特定シリカ粒子は硬いフィラーとしての役割を担い、かつ、粒子表面のヒドロキシ基が作用して防曇層の親水性向上に寄与する。
特定シリカ粒子の平均一次粒子径が100nm以下であることで、防曇層の膜性が良好となり、防曇層において、特定シリカ粒子間に好ましい空隙を形成しやすくなる。
特定シリカ粒子の平均一次粒子径は、90nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。
特定シリカ粒子の平均一次粒子径の下限は、上記と同様の観点から2nmである。特定シリカ粒子の平均一次粒子径は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、15nm以上であることがさらに好ましい。
ヒュームドシリカは、ケイ素原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、例えば、ハロゲン化ケイ素(例えば、塩化ケイ素)等が挙げられる。
コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解及び縮合するゾルゲル法により合成することができる。コロイダルシリカの原料化合物としては、例えば、アルコキシケイ素(例えば、テトラエトキシシラン)、ハロゲン化シラン化合物(例えば、ジフェニルジクロロシラン)等が挙げられる。
本実施形態における防曇層に含まれる特定共重合体は、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、N−メチロールエーテル基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋官能基を有するビニル系単量体に由来の構造単位(A)と、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル系単量体に由来の構造単位(C))と、アルキル(メタ)アクリレート系単量体に由来の構造単位(D)と、を少なくとも含む共重合体である。
N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、N−メチロールエーテル基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基は、架橋性を有する官能基(即ち、架橋性官能基)であり、特定共重合体がこれら官能基を有するビニル単量体に由来の構造単位を含むことで、防曇層の膜性がより良好となる。
構造単位(A)の特定共重合体における含有量は、前述の構造単位(A)、(C)及び(D)の合計100質量部中に、好ましくは3〜20質量部、より好ましくは5〜16質量部である。
構造単位(C)の特定共重合体における含有量は、前述の構造単位(A)、(C)及び(D)の合計100質量部中に、好ましくは3〜20質量部、より好ましくは4〜16質量部である。
構造単位(D)の特定共重合体における含有量は、前述の構造単位(A)、(C)及び(D)の合計100質量部中に、好ましくは60〜94質量部、より好ましくは70〜91質量部である。
R22及びR23における炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。R22及びR23におけるアルキル基は、同じであっても、互いに異なっていてもよい。
R31における芳香族置換基を有する炭素数6〜20のアルキル基としては、芳香族置換基としてフェニル基、ナフチル基、ベンジル基等を有するアルキル基が好ましく、アルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。アルキル基は、置換基として、芳香族置換基を1つのみ有していてもよく、2以上有してもよい。芳香族置換基を2以上有する場合、互いに同じでも異なっていてもよい。
一般式(3)のLにおけるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、防曇性における親水性、防曇性等がより良好となるという観点から、エチレン基が好ましく、nは2以上4以下であることが好ましい。
特定共重合体が、アルキル(メタ)アクリレートを含むことにより、高温環境下における膜強度、基材との密着性及び耐熱性がより向上する。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、なかでも、メチルメタクリレートに由来の構造単位を含むことが、膜性改良の観点から好ましい。
架橋性官能基を有するビニル単量体に由来の構造単位が1質量%以上であり、親水性ビニル単量体に由来の構造単位が99質量%以下であることで、防曇層の架橋密度が高く、形成された防曇層への水の浸透性が抑制され、膜強度が良好となる。また、架橋性官能基を含むビニル単量体に由来の構造単位が30質量%以下であること、及び親水性ビニル単量体に由来の構造単位が70質量%以上であることで、防曇層中の架橋密度が高くなり過ぎず、良好な防曇性と基材との密着性が良好となる。
防曇性、密着性、膜強度等のバランスの観点からは、特定共重合体の親水性重合体部における架橋性官能基を有するN−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、N−メチロールエーテル基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋官能基を有するビニル単量体に由来の構造単位が親水性重合体部に含まれる全構造単位に対して5質量%〜20質量%、親水性ビニル単量体に由来の構造単位が、親水性重合体部に含まれる全構造単位に対して80質量%〜95質量%の範囲が特に好ましい。
疎水性重合体部は、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル単量体に由来の構造単位(C)と、アルキル(メタ)アクリレ−トに由来の構造単位(D)とを含み、(C)及び(D)がブロック型構造をとっている共重合体部分である。アルキル(メタ)アクリレートに由来の構造単位は、既述の親水性重合体部に含まれうるアルキル(メタ)アクリレートと同じ単量体に由来の構造単位である。
カルボキシル基を有するビニル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。
リン酸基を有するビニル単量体としては、例えばモノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
これらの中で特に、アクリル酸が共重合性の面で好ましく使用される。
また、スルホン酸基、カルボン酸基及びリン酸基の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートに由来の構造単位の含有量が疎水性重合体部に含まれる全構造単位に対して70質量%以上、あるいはスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するビニル単量体に由来の構造単位の含有量が疎水性重合体部に含まれる全構造単位に対して30質量%以下である場合、防曇層と基材との密着性がより良好となる。また、アルキル(メタ)アクリレートに由来の構造単位の含有量が疎水性重合体部に含まれる全構造単位に対して99質量%以下であるか、あるいはスルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基、又はこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するビニル単量体に由来の構造単位の含有量が疎水性重合体部に含まれる全構造単位に対して1質量%以上であることで、防曇層の透明性がより良好となる。さらに、防曇層と基材との密着性、透明性等のバランスがより良好となるという観点からは、アルキル(メタ)アクリレートに由来の構造単位を疎水性重合体部に含まれる全構造単位に対して80質量%〜95質量%と、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するビニル単量体に由来の構造単位を疎水性重合体部に含まれる全構造単位に対して5質量%〜20質量%と、を含むことがより好ましい。
親水性重合体部が5質量%以上、あるいは疎水性重合体部が95質量%以下であることで、防曇層の親水性がより良好となり、防曇性及び防曇性の持続性がより向上する。
また、親水性重合体部が95質量%以下であるか、あるいは疎水性重合体部が5質量%以上であることで、防曇層と基材との密着性がより良好となる。防曇性、防曇性の持続性、防曇層の基材との密着性等のバランスから、親水性重合体部と疎水性重合体部の構成は、共重合体全量に対し、親水性重合体部が50質量%〜95質量%、疎水性重合体部が5質量%〜50質量%の範囲がさらに好ましい。
本実施形態に使用しうる特定共重合体は、例えば、特開平9-194282号公報に記載の方法で合成することができる。
防曇層の全固形分に対する特定共重合体の含有量は、0.5質量%以上49.5質量%以下であることが好ましく、1質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態における防曇層は、下記特定シロキサン化合物の加水分解縮合物の少なくとも1種を含有する。
防曇層が特定シロキサン化合物の加水分解縮合物を含むことで、防曇層における特定シリカ粒子の保持性が良好となり、防曇層の耐傷性と親水性が良好となる。
R1、R2、R3、又はR4がアルキル基を表す場合のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert―ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
R1、R2、R3、又はR4がアルケニル基を表す場合のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−メチル−ビニル基、2−メチル−ビニル基、n−2−プロペニル基、1,2−ジメチル−ビニル基、1−メチル−プロペニル基、2−メチル−プロペニル基、n−1−ブテニル基、n−2−ブテニル基、n−3−ブテニル基等が挙げられる。
特定シロキサン化合物においてR1〜R4における1価の有機基、好ましくはアルキル基の炭素数を1〜6とすることにより、特定シロキサン化合物は加水分解性が良好となる。なお、加水分解性がより良好であるという観点からは、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1又は2のアルキル基であることがさらに好ましい。
下記表1に、特定シロキサン化合物の例を、一般式(1)におけるR1、R2、R3、及びR4、並びにnにより記載する。但し、本実施形態における特定シロキサン化合物は、表1に記載の例示化合物に限定されるものではない。
特定シロキサン化合物は、水と共存することで、少なくとも一部が加水分解される。特定シロキサン化合物の加水分解物は、特定シロキサン化合物と水とが反応することで、特定シロキサン化合物のケイ素原子に結合したOR1、OR2、OR3、及びOR4の少なくとも一部がヒドロキシ基に置換された化合物であり、親水性基であるヒドロキシ基に起因して、例えば塗布及び乾燥を経て形成される防曇層は表面親水性が良好となると推定される。
加水分解反応に際して、必ずしも特定シロキサン化合物の末端基(即ち、−OR1、−OR2、−OR3、又は−OR4)が全て反応する必要はないが、例えば防曇層形成用塗布液の塗布、及び乾燥により得られる塗膜の親水性がより良好になるという観点からは、より多くの末端基が加水分解されていることが好ましい。
防曇層を形成するために用いられる防曇層形成用組成物には、特定シロキサン化合物の加水分解物が1種のみ含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
なお、本明細書におけるシラン化合物とは、加水分解性シリル基及びシラノール基から選ばれる少なくとも1種を有する化合物を指し、シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。
なお、一般式(1)で表されるシロキサン化合物は市販品としても入手可能であり、例えば、MKC(登録商標)シリケートMS51(三菱化学(株))〔R1、R2、R3、及びR4:メチル基、nの平均:5〕、シリケートMS56〔R1、R2、R3、及びR4:メチル基、nの平均:11〕、シリケートMS57〔R1、R2、R3、及びR4:メチル基、nの平均:13〕、シリケートMS56S〔R1、R2、R3、及びR4:メチル基、nの平均:16〕、メチルシリケート53A〔R1、R2、R3、及びR4:メチル基、nの平均:7〕、エチルシリケート40〔R1、R2、R3、及びR4:エチル基、nの平均:5〕、エチルシリケート48〔R1、R2、R3、及びR4:エチル基、nの平均:10〕等が挙げられる。
防曇層の厚みは1μm以上であることが好ましい。膜厚が1μm以上であることで、防曇層は耐傷性により優れる。防曇層の膜厚の上限値には特に制限はないが、透明性、耐水垂れ性の観点からは、10μm以下であることが好ましい。
防曇層の膜厚は、2μm以上8μm以下であることがより好ましく、3.5μm以上8μm以下であることがさらに好ましい。
防曇層の膜厚は、形成された積層体を、積層体における基材面と垂直方向、即ち、積層体の厚み方向にミクロトームで切削し、積層体の断面を得て、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)にて、切削断面を倍率50,000倍で観察し、膜厚を測定することができる。
防曇層は単層構造であってもよく、2層以上の重層構造であってもよい。
防曇層が重層構造である場合、重層構造の各防曇層は、いずれも特定シリカ粒子、特定共重合体、及び特定シロキサン化合物の加水分解縮合物を含有する。
防曇層は、少なくとも第1の防曇層と第2の防曇層とを有する2層以上の重層構造の防曇層であり、第1の防曇層は、特定シロキサン化合物の加水分解縮合物と特定シリカ粒子との含有量の合計が、第1の防曇層の全量に対し50質量%以上であり、第2の防曇層は、特定共重合体の含有量が、第2の防曇層の全量に対し50質量%以上である重層構造の防曇層とすることも好ましい態様の一つである。
第1の防曇層、即ち、最表面に位置する防曇層において、特定シロキサン化合物の加水分解縮合物と特定シリカ粒子とを、総量で、第1の防曇層の全量の50質量%以上含むことで、表面親水性、耐水垂れ性、及び埃の付着防止性がより向上する。また、積層体の基材側に位置する第2の防曇層が、特定共重合体を、第2の防曇層全量の50質量%以上含む層であることで、防曇層と基材との密着性がより向上し、かつ、第1の防曇層における親水性を有する共重合体の含有量がより低いことにより、耐水垂れ性もより良好となる。
第1の防曇層及び第2の防曇層に含まれる特定シリカ粒子、特定共重合体及び特定シロキサン化合物の加水分解縮合物の含有量の総量は、既述の単層の防曇層における好ましい範囲と同様である。
第2の防曇層の膜厚は、0.1μm以上7μm以下であることが好ましく、1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
また、第1の防曇層と第2の防曇層との合計の厚みは、既述の如く、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
重層構造の防曇層の膜厚も、既述と同様の方法で測定することができる。
以下、本実施形態における防曇層の好ましい態様について述べる。
防曇層表面の平均表面粗さRaが10nm以上100nm以下であることが好ましく、15nm以上80nm以下であることがより好ましく、20nm以上50nm以下であることがさらに好ましい。
なお、ここで防曇層の表面とは、基材を有する側とは反対側の最表面を指す。例えば、防曇層が重層構造を有する場合、最表面に位置する防曇層の平均表面粗さを指す。
防曇層表面の平均表面粗さRaが既述の範囲にあることで、親水性が発揮されることに加え、静電気による埃の付着が効果的に抑制される。
防曇層の形成に用いるシリカ粒子の平均に一次粒子径及び含有量が既述の範囲であることで、本実施形態における防曇層の平均表面粗さRaが上記範囲に調整されやすくなる。
防曇層の平均表面粗さRaは以下のようにして測定することができる。
まず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)にて、探針径10nmのカンチレバーを使用し、表面形状を測定し、3次元データを求める。ここで、積層体を1cm角の大きさに切り取って、ピエゾスキャナー上の水平な試料台にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際、試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえ、計測の際は、表面の5μm×5μmの範囲を512×512点測定する。
上記で求められた3次元データ(f(x,y))を用い、平均粗さRaを求めることができる。
本実施形態における防曇層表面の平面視による全面積に対するシリカ粒子の面積の占める割合は、面積比で60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
防曇層表面における特定シリカ粒子の面積の占める割合が上記範囲であることで、積層体製造時における埃の付着抑制効果がより向上し、生産性が向上し、且つ、特定シリカ粒子の存在による耐水垂れ性がより良好となる。
積層体における防曇層の最表面をミクロトームにより、基材の面と平行な方向に切削して、表面におけるシリカ粒子に起因する凹凸がない領域まで切削して平滑な表面を作製する。次いで、得られた表面をFE−SEMにて倍率100,000倍で観察する。
表面を平面視にて観察することにより、特定シリカ粒子の存在する領域と、特定シリカ粒子が存在しない所謂バインダーのみの領域とが見分けられるため、観察領域の全面積を測定し、特定シリカ粒子の存在する領域の面積を測定し、防曇層表面の観察領域の全面積に対する特定シリカ粒子の面積が占める割合(面積比)を算出する。
特定シリカ粒子は防曇層内に均一に分散されているので、測定した面積比は、防曇層内における特定シリカ粒子の構成比率に近似する。
本実施形態の積層体は、監視カメラ、照明、及びセンサー灯具等を保護するための保護材(いわゆる保護カバー)、自動車、バイク等の二輪車、自転車などの車両用のミラー、及びヘッドライトの透明保護材の用途に好適に用いられる。
中でも、使用環境の温度差が大きい自動車、バイク等の二輪車、自転車などの車両用のヘッドライト、特に発熱を伴わないLED光源を用いたヘッドライトの用途に好適に適用することができる。
本実施形態の積層体の製造方法は、基材上に、1次粒子の平均粒径が2nm以上100nm以下であるシリカ粒子、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、N−メチロールエーテル基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋官能基を有するビニル系単量体に由来の構造単位と、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル系単量体に由来の構造単位と、アルキル(メタ)アクリレート系単量体に由来の構造単位とを少なくとも含む共重合体(特定共重合体)、並びに下記一般式(1)で表される化合物(特定シロキサン化合物)の加水分解物を含む防曇層形成用組成物を付与して防曇層を形成する工程を含む。
本実施形態の製造方法に用いられる防曇層形成用組成物は、既述の本実施形態の防曇層形成用組成物である。本実施形態の防曇層形成用組成物における、特定シリカ粒子と、特定共重合体は、積層体の説明において述べたものと同じである。
特定シロキサン化合物の加水分解物は、既述の特定シロキサン化合物と水との反応生成物である。
防曇層形成用組成物は、水を含有する。
水は、既述の如く、特定シロキサン化合物の加水分解縮合反応に寄与する。
本実施形態の防曇層形成用組成物に用い得る水は、不純物がより少ないという観点から、イオン交換水、純水、蒸留水等が好ましい。
水の含有量は、必要に応じて適宜定められる。水は、例えば、防曇層形成用組成物に含まれる全溶媒量に対して、1質量%〜20質量%含むことができ、5質量%〜15質量%含むことが好ましく、6質量%〜12質量%含むことがより好ましい。
防曇層形成用組成物は、特定シリカ粒子、特定共重合体、及び特定シロキサン加水分解物に加え、本実施形態の効果を損なわない範囲において、公知の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、水以外の溶剤、帯電防止剤、界面活性剤、特定シロキサン化合物の縮合反応を促進する触媒等が挙げられるが、既述の成分に限定されない。
本実施形態の防曇層形成用組成物は、溶媒として、水以外の溶剤を含むことができる。
水以外の溶剤としては、例えば、ケトン系溶剤、グリコール系溶剤、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、エーテル系溶剤等が挙げられる。
本実施形態の防曇層形成用組成物におけるケトン系溶剤は、組成物により形成される防曇層と基材との密着性に寄与する。
ケトン系溶剤としては、特に限定されず、アセトン、ジアセトンアルコール、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等が挙げられる。
アセトン(10.0)、ジアセトンアルコール(10.2)、アセチルアセトン(10.3)、シクロペンタノン(10.4)。
本実施形態の防曇層形成用組成物は、グリコール系溶剤を含むことができる。
本実施形態の防曇層形成用組成物がグリコール系溶剤を含むことで、塗装適性がより良好となる。詳細には、本実施形態の防曇層形成用組成物が、グリコール系溶剤を更に含むことで、組成物の粘度が高まり、塗装の際に防曇層形成用組成物の液垂れが生じ難くなる。
これらの中でも、グリコール系溶剤としては、基材への塗布性、例えば、レベリング等の面状を良化し得るという観点から、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、2−ブタノール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ベンジルアルコール、2−メチル−2−ブタノール等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジエチレングリコールモノへキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、イソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等が挙げられる。
防曇層形成用組成物は、水以外の溶剤を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
水以外の溶媒の含有量としては、防曇層形成用組成物の全量に対し、5質量%〜80質量%の範囲が好ましく、10質量%〜70質量%の範囲がより好ましい。
本実施形態の防曇層形成用組成物は、帯電防止剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。
帯電防止剤を含むことで、得られる防曇層に帯電防止性が付与され汚染物質の付着防止効果が向上し、防汚性がより良好となる。
帯電防止剤としてのイオン性の界面活性剤は、例えば、防曇層形成用組成物を基材に塗布して防曇層を形成する場合に、塗膜の膜面付近に偏析しやすい性質があり、少量の添加で効果が期待できる。
また、帯電防止剤としての金属酸化物粒子は、防曇層に帯電防止性を与えるために比較的多量の添加が必要とされる場合があるが、無機物であるため、防曇層の耐傷性を高める点で適している。
金属酸化物粒子は、サイズ、形状、又は素材が異なる粒子を2種以上使用してもよい。金属酸化物粒子の粒子形状には、特に制限はなく、球状であっても、板状であっても、針状であってもよい。
金属酸化物粒子は、屈折率が大きく、粒径が大きい場合には、透過光の過度の散乱による損失が発生しやすいため、平均一次粒子径が100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。
金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、粒子形状が球形又は断面楕円等の楕円形である場合は、分散した粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から300個以上の粒子について粒子の投影面積を測定し、投影面積から円相当径を求めることにより求められる。なお、金属酸化物粒子の形状が球状ではない場合、その他の方法、例えば動的光散乱法を用いて求められる。
本実施形態における防曇層形成用組成物は、さらに界面活性剤を含有することができる。
防曇層に界面活性剤が含有されることで、汚染物質の付着防止能がより向上する。
なお、ここでいう界面活性剤には、前述の帯電防止剤として挙げた帯電防止機能を有する化合物(例えば、イオン性の界面活性剤など)は含まない。
前述の帯電防止剤としてイオン性の界面活性剤を用いる場合、イオン性の界面活性剤は、前述のように膜中に過剰に加えられると、系内の電解質量が増えてシリカ粒子の凝集を招きやすいことから、ノニオン性の界面活性剤を併用することが好ましい。但し、ノニオン性の界面活性剤は、必ずしもイオン性の界面活性剤と併用する必要はなく、界面活性剤としてノニオン性の界面活性剤を単独で含有してもよい。
また、界面活性剤の含有量は、防曇層形成用組成物の全固形分に対して、50.0質量%以下が好ましく、40.0質量%以下がより好ましく、30.0質量%以下がさらに好ましい。
本実施形態における防曇層形成用組成物は、特定シロキサン化合物の縮合反応を促進する触媒(縮合促進触媒)の少なくとも1種を含有していてもよい。なお、縮合促進触媒の奏する効果については後述する。
酸触媒の例としては、硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、クロロ酢酸、蟻酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸などが挙げられる。
アルカリ触媒の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどが挙げられる。
有機金属触媒の例としては、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノ(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートなどのアルミキレート化合物;ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)などのジルコニウムキレート化合物;チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)などのチタンキレート化合物;及びジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエートなどの有機スズ化合物;等が挙げられる。
これらの触媒の中でも、酸触媒としては硝酸が好ましく、アルカリ触媒としては水酸化ナトリウムが好ましく、有機金属触媒としてはアルミキレート化合物又はジルコニウムキレート化合物が好ましい。これらの触媒の中でも、さらに好ましくは、有機金属触媒であり、特に好ましくはアルミキレート化合物である。
本実施形態の防曇層形成用組成物は、既述の各成分に加えて、必要に応じて、さらにその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、防曇層形成用組成物により形成される防曇層の膜性向上、基材との密着性向上等を目的として用いられる、既述の特定シロキサン加水分解物以外の膜形成性成分である密着助剤などが挙げられる。
防曇層形成用組成物が密着助剤を含むことで、防曇層形成用組成物により得られる防曇層と基材、なかでも、ポリカーボネート基材との密着性がより向上する。
密着助剤の中でも、防曇層と基材との密着性がより良好であるという観点から、末端に水酸基、カルボキシ基、又はリン酸基を有する化合物が好ましく、ポリウレタン、アクリル樹脂、及びポリリン酸塩がより好ましい。
ポリウレタンは、市販品を使用してもよく、例えば、三井化学株式会社製のタケラック(登録商標)Wシリーズ、WSシリーズ、WDシリーズ、三洋化成工業株式会社製のパーマリン(登録商標)シリーズ、ユーコート(登録商標)シリーズ、ユープレン(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸の単独重合体(ポリアクリル酸)、アクリル酸及びそのエステルなどのアクリル酸誘導体、メタクリル酸メチルなどのメタクリル酸誘導体などが挙げられる。
アクリル樹脂の中でもポリアクリル酸が好ましく、重量平均分子量が、2000〜500万のポリアクリル酸が好ましく、1万〜200万のポリアクリル酸がより好ましく、25万〜100万のポリアクリル酸がさらに好ましい。
ポリリン酸塩としては、例えば、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム等が挙げられる。ポリリン酸塩の重量平均分子量は500〜10万が好ましく、1000〜5万がより好ましい。
なお、重量平均分子量は、前述の方法により測定することができる。
基材上に、特定シリカ粒子、特定共重合体、及び特定シロキサン化合物の加水分解物を含む防曇層形成用組成物を付与して防曇層を得ることを含む。
さらに、本実施形態の防曇層形成用組成物を調製すること、基材に付与された防曇層形成用組成物を20℃以上150℃以下の温度で乾燥すること、を有することが好ましい。
本実施形態における防曇層形成用組成物は、シリカ粒子と、特定共重合体と、特定シロキサン加水分解物と、所望により含有させる他の成分と、を混合することで調製することができる。
また、防曇層形成用組成物の調製に際しては、さらに特定シロキサン化合物の縮合反応を促進する触媒(縮合促進触媒)を混合することが好ましい。
特定シロキサン化合物の加水分解反応は、室温(25℃)でも進行するが、反応促進のために、特定シロキサン化合物と水とを接触させて混合液を調製した後、得られた混合液を30℃〜50℃程度に加温してもよい。加水分解反応の反応時間は長い方がより反応が進むため好ましい。このため、十分に加水分解反応を進行させるという観点からは、加温状態で1時間〜36時間、反応させることも好ましい。
また、特定シロキサン化合物の加水分解反応を促進する触媒を、混合液中に共存させることで、半日程度でも親水性に必要な特定シロキサン化合物の加水分解物を得ることが可能である。
防曇層形成用組成物を基材に付与すると、防曇層形成用組成物中において、特定シロキサン化合物の加水分解物の縮合反応が進行するため、防曇層形成用組成物により形成される防曇層は特定シロキサン化合物の加水分解縮合物が含まれる。
分散剤としては、公知の界面活性剤等を用いればよく、分散剤は、1種単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
粘度調整剤として、増粘剤を用いてもよい。粘度調整剤として増粘剤を用いることで、防曇層形成用組成物の粘度を、塗布方法に応じて増大させることができる。
増粘剤としては特に限定されず、公知の増粘剤を用いることができる。増粘剤としては、防曇層形成用組成物の溶媒に応じて適宜使用することが好ましく、少量の添加で増粘させる効果が得られる点から、重量平均分子量が3,000以上10,000,000以下の増粘剤であることが好ましい。
増粘剤は、1種単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
粘度調整剤として用いうる粘度の高い溶剤としては、例えばグリコール系溶剤が挙げられる。
本明細書において「グリコール系溶剤」とは、炭化水素の二つ以上の炭素原子にそれぞれ一つずつヒドロキシ基が置換した構造のものをいう。
グリコール系溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
これらの中でも、グリコール系溶剤としては、特定シリカ粒子の分散性及び塗布した際の乾燥性がより良好となるという観点から、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
この際、特定シロキサン化合物の加水分解反応に用いた触媒をそのまま系内に留めて防曇層形成用組成物の含有成分とし、そのまま特定シロキサン化合物の縮合用触媒として使用すると効率がよい。
形成される膜の均一性と生産性が良好であるという観点から、防曇層形成用組成物を記載付与する方法としては、基材に塗布する方法が好ましい。
防曇層形成用組成物を基材に塗布する塗布法には特に制限はなく、例えば、スプレー塗布、刷毛塗布、ローラー塗布、バー塗布、ディップ塗布(浸漬塗布)等の公知の方法を適用することができる。
なかでも、基材上に防曇層形成用組成物を付与することが、スプレー塗布することを含むことが好ましい。
本実施形態の積層体の製造が用いられる分野における立体構造体のような、曲線や凹凸等、さまざまな形状の立体構造体へ塗布する場合には、スプレー塗布が好適であり、生産性高く積層体を製造することができる。本実施形態における防曇層形成用組成物は、液だれし難いため、スプレー塗布方法に好適に適用することができる。
なお、スプレー塗布する場合には、防曇層形成用組成物の粘度は、2mPa/s以上200mPa/s以下とすることが好ましく、3mPa/s以上100mPa/s以下がより好ましく、4mPa/s以上50mPa/s以下が更に好ましい。組成物の粘度は、例えば、既述の粘度調整剤などを用いて調整することができる。
スプレーノズルのノズル口径は、0.1mmφ以上1.8mmφ以下であることが好ましく、エア圧は、0.02MPa以上0.60MPa以下であることが好ましい。このような条件で塗布することで、塗布膜厚をより均一にすることができる。なお、スプレー塗布によって、更に好適な塗布膜を形成するためには、エア量、塗料噴出量、膜形成用組成物の噴出量、パターン開き等の調整が必要である。
清浄度は、特に限定されないが、例えば、塗布環境中の微粒子(即ち、パーティクル)による面状故障を抑制する観点から、クラス10,000以上の清浄度が好ましく、クラス1,000以上の清浄度であることがより好ましい。
防曇層形成用組成物膜の乾燥条件としては、膜を、表面温度20℃以上150℃以下にして1分間〜60分間加熱する乾燥条件が好ましく、表面温度40℃以上150℃以下にして1分間〜60分間加熱する乾燥条件がより好ましく、表面温度60℃以上150℃以下にして1分間〜30分間加熱する乾燥条件がさらに好ましく、表面温度90℃以上150℃以下にして1分間〜10分間加熱する乾燥条件がとくに好ましい。
塗膜の乾燥は、塗膜の表面形状を維持する観点から、高温短時間で行われることが好ましい。
なお、膜の表面温度は赤外線温度計等の測定手段により測定することができる。
防曇層の膜厚は、1.5μm以上9μm以下であることがより好ましく、2μm以上8μm以下であることがさらに好ましい。
重層構造の各防曇層を形成するための各防曇層形成用組成物は、いずれも特定シリカ粒子、特定共重合体、及び特定シロキサン化合物の加水分解物を含有する。
重層構造の防曇層を形成する場合、防曇層を形成する工程は、基材上に、少なくとも第1の防曇層と第2の防曇層とを有する2層以上の重層構造の防曇層を形成する工程であり、基材上に、特定シリカ粒子、特定共重合体、及び特定シロキサン化合物の加水分解物を含み、共重合体の含有量が、組成物の全量に対し50質量%以上である第2の防曇層形成用組成物を付与して、第2の防曇層を形成する工程、及び、形成された第2の防曇層上に、特定シリカ粒子、特定共重合体、及び特定シロキサン化合物の加水分解物を含み、特定シロキサン化合物の加水分解物と特定シリカ粒子との総含有量が、組成物の全固形分に対し50質量%以上である第1の防曇層形成用組成物を付与して、第1の防曇層を形成する工程、を含むこと好ましい。
重層構造の防曇層のそれぞれの組成は、目的に応じて適宜選択される。
なお、重層構造の防曇層の形成方法は、既述の逐次塗布方法に限定されず、例えば、2層以上を重層塗布してもよい。
−特定共重合体1の調製−
撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロ−トを取り付けたフラスコ中に、エチレングリコールモノエチルエーテル200gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら70℃まで加熱撹拌した。
さらに、下記式(4)で示されるポリメリックペルオキシドを4g、N,N−ジメチルアクリルアミドを50g、N−メチロールアクリルアミドを8g、メチルメタクリレートを12g、エチレングリコールモノエチルエーテルを40g含む単量体の混合物を調製し、既述のエチレングリコールモノエチルエーテル200g中に、2時間をかけて滴下を行い、更に2時間反応を行った。
その後、さらに、メチルメタクリレートを28gと、アクリル酸を2g含む単量体混合物を、30分をかけて滴下し、80℃で5時間反応を行った。反応後は25℃まで冷却し、固形分30%の特定共重合体1の溶液を得た。
−特定共重合体2の調製−
合成例1で用いた反応器に、プロピレングリコールモノメチルエ−テル200gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら85℃まで加熱撹拌し、t−ブチルペルオキシオクタノエートを6g、t−ブチルペルオキシメタクリロキシエチルカーボネ−トを6g、N−メチロ−ルアクリルアミドを10g、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−トを10g、N,N−ジメチルアクリルアミドを66g、プロピレングリコールモノメチルエーテルを40g含む単量体混合物を、プロピレングリコールモノメチルエ−テル200gを仕込んだ反応器に30分をかけて滴下し、更に2時間反応を行った。
その後、更に110℃まで加熱して、メチルメタクリレートを20g、アクリル酸を2g、プロピレングリコールモノメチルエーテルを40g含む単量体混合物を、30分かけて滴下し、更に4時間反応を行った。
反応後は、25℃まで冷却して固形分30質量%の特定共重合体2の溶液を得た。
以下の方法で、実施例1の積層体を作製した。
エタノール81.07gに対して、特定シロキサン化合物(一般式(1)で表される化合物R1〜R4:いずれもメチル基(n=5))3.06g及びアルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノ(アセチルアセトネート)の1質量%イソプロパノール溶液(化合物の縮合促進触媒)0.94gを添加して混合し、混合液を得た。
得られた混合液に対して、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(エチレンオキサイド部の繰り返し数15;界面活性を示す成分であるノニオン性界面活性剤)0.057gを溶解させた水溶液114.80gを徐々に加え、室温で12時間以上攪拌した。これにより、特定シロキサン化合物を加水分解させることで、コート剤母液1を調製した。
次に、得られた防曇層形成用組成物Aを、アネスト岩田社製、エアースプレーガンW−101−101Gを用いて、透明アクリル基材上に塗装した。塗布量は60mL/m2であった。
防曇層形成用組成物Aを塗装した後、80℃40分間乾燥硬化を行った。その後、25℃の条件で1日間放置し、透明アクリル基材上に防曇層を有する実施例1の積層体を得た。
用いた透明アクリル基材は、厚さ:5mm、基材単独でのヘイズは0.4%であった。
上記実施例1における特定シリカ粒子の添加量を、1.90gから3.15gに変えた以外は、実施例1と同様の方法で実施例2の積層体を得た。
上記実施例1における特定シリカ粒子の添加量を、1.90gから4.20gに変えた以外は、実施例1と同様の方法で実施例3の積層体を得た。
上記実施例1における合成例1で得た特定共重合体1溶液の添加量を1.50gから3.20gに変えた以外は、実施例1と同様の方法で実施例4の積層体を得た。
実施例1で用いたコート剤母液1:13.00gと、エタノールを8.50g、水を3.50g含む混合溶媒に対して、アニオン性界面活性剤であるジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム((キシダ化学(株)製を固形分濃度0.2質量%に希釈した水溶液))2.30g、シリカ粒子(日産化学工業(株)製「スノーテックスOUP」(固形分濃度15質量%、一次粒径40nm〜100nm):特定シリカ粒子))3.40gを添加し30分撹拌して混合液を得た。
得られた混合液に、さらに、合成例2で得た特定共重合体2溶液を1.50g添加し、防曇層形成用組成物Bを得た。
得られた防曇層形成用組成物Bを、アネスト岩田社製、エアースプレーガンW−101−101Gを用いて、透明ポリカーボネート基材上に塗装した。塗布量は90mL/m2であった。
防曇層形成用組成物Bを塗装した後、40℃5分間予備乾燥を行った後、120℃20分間乾燥硬化を行った。その後、25℃の条件で1日間放置して、透明ポリカーボネート基材上に防曇層を有する実施例5の積層体を得た。
用いた透明ポリカーボネート基材は、厚さ:5mm、基材単独でのヘイズは0.4%であった。
上記実施例5において防曇層形成用組成物Bのスプレー塗装時の液吐出量を0.25倍(22.5mL/m2)とした以外は、実施例5と同様の方法で実施例6の積層体を得た。
上記実施例5において、防曇層形成用組成物Bのスプレー塗装時の液吐出量を2倍(180mL/m2)とした以外は、実施例5と同様の方法で実施例7の積層体を得た。
上記合成例1で得た特定共重合体1溶液1.50gを、1−メトキシ−2−プロパノールで希釈し、仕上がり膜厚が1μmとなる量で、アネスト岩田社製エアースプレーガンW−101−101Gを用いて、実施例1で用いたのと同じ透明アクリル基材上に塗装し、80℃40分間乾燥硬化を行って第2の防曇層を形成した。
形成した第2の防曇層上に、実施例1で得たコート剤母液1を13.00gと、エタノール10.00g、水2.00g、及びアニオン性界面活性剤であるジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム((キシダ化学(株)製を固形分濃度0.2質量%に希釈した水溶液))2.30g、及び特定シリカ粒子(日産化学工業(株)製「スノーテックスO−30」(固形分濃度30質量%、一次粒径10nm〜15nm):特定シリカ粒子)1.90gを添加し、30分撹拌した液を、アネスト岩田社製、エアースプレーガンW−101−101Gを用いて仕上がり厚みが200nmとなるよう塗装し、120℃20分間乾燥硬化を行って、第1の防曇層を形成した。その後、25℃の条件で1日間放置して、透明アクリル基材上に、第2の防曇層と第1の防曇層とをこの順に有する実施例8の積層体を得た。
上記実施例1におけるコート剤母液1において、特定シロキサン化合物(一般式(1)で表される化合物R1〜R4:いずれもメチル基(n=5))をテトラメトキシシラン(東京化成工業(株)製(n=1))に変え、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノ(アセチルアセトネート)の1質量%イソプロパノール溶液(化合物の縮合促進触媒)を添加せず、撹拌時間を12時間から1分間に変えた以外は、実施例1と同様の方法で実施例9の積層体を得た。
上記実施例1で用いたコート剤母液1の代わりに、エタノールを13.00g添加した以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の積層体を得た。
上記実施例1における防曇層形成用組成物1に特定シリカ粒子を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で比較例2の積層体を得た。
上記実施例1における防曇層形成用組成物1に合成例1で得た特定共重合体1溶液を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で比較例3の積層体を得た。
得られた各実施例及び比較例の積層体における防曇層の物性及び性能評価を以下のようにして実施した。
結果を表2に示す。
まず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM):NANONAVI STATION/SPA500(日立ハイテク社製)、カンチレバー:SI−DF20(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて表面形状を測定し、3次元データを求めた。ここで、積層体を1cm角の大きさに切り取って、ピエゾスキャナー上の水平な試料台にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際、試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえ、計測の際は、表面の5μm×5μmの範囲を512×512点測定した。
上記で求められた3次元データ(f(x,y))を用い、平均粗さRaを求めた。
防曇層の膜厚は、形成された積層体を、積層体における基材面と垂直方向、即ち、積層体の厚み方向にミクロトームで切削し、積層体の断面を得て、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)にて、切削断面を倍率50,000倍で観察し、測定した。
60℃の湯浴を用意し、得られた積層体の防曇層の予め定めた5cm×5cmの領域のみに温浴からの蒸気を当て、蒸気を当てた後、25℃50%RHの環境下で積層体を垂直に立てて、水垂れが生じない上限条件での質量増加量を測定し、蒸気を当てた単位面積当たりの質量増加量を吸水量(mg/cm2)とした。
得られた積層体に対し、日本電色工業社製ヘイズメーターSH7000を用いて380nm〜780nmの波長範囲でヘイズを測定した。
積層体における防曇層の最表面をミクロトームにより、基材の面と平行な方向に切削して、表面におけるシリカ粒子に起因する凹凸がない領域まで切削して平滑な表面を作製する。次いで、得られた表面をFE−SEMにて倍率100,000倍で観察した。
表面を平面視にて観察することにより、特定シリカ粒子の存在する領域と、特定シリカ粒子が存在しない所謂バインダーのみの領域とが見分けられるため、観察領域の全面積を測定し、特定シリカ粒子の存在する領域の面積を測定し、防曇層表面の観察領域の全面積に対する特定シリカ粒子の面積が占める割合(面積比)を算出した。
なお、表2においては、評価項目を「シリカ粒子占有比率」と記載している。
〔初期防曇性の評価〕
60℃の湯浴を用意し、得られた積層体の防曇層の予め定めた5cm×5cmの領域に蒸気を1分間当て続け、その後、25℃50%RHの環境下で防曇層表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:目視にて防曇層に曇りが認められなかった。
B:目視にて確認できる曇りが防曇層の一部に認められた。
C:防曇層の蒸気を当てた領域の全域に曇りが認められた。
60℃の湯浴を用意し、得られた積層体の防曇層の予め定めた5cm×5cmの領域に蒸気を5時間当て続け、その後、25℃50%RHの環境下で防曇層表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:目視にて防曇層に曇りが認められなかった。
B:目視にて確認できる曇りが防曇層の一部に認められた。
C:防曇層の蒸気を当てた領域の全域に曇りが認められた。
60℃の湯浴を用意し、得られた積層体の防曇層の予め定めた5cm×5cmの領域に蒸気を1分間当て続けた後、積層体を垂直に傾けて水垂れを起こさせた。
この処理を50回繰返し、防曇層の溶出剥離による水垂れの跡が認められるまでの繰り返し回数を計測した。表2には「水垂れ発生回数」として記載した。回数が多いほど耐水垂れ性に優れると評価する。
即ち、繰り返し回数が少ない場合、少ない回数で溶出剥離が生じたことを意味し、50回以上とは、50回繰り返しても溶出剥離が生じなかったことを示す。
実施例1〜実施例9、及び比較例1〜比較例3の積層体を、クラス10,000のクリーン環境下、及びクラス1,000のクリーン環境下で、それぞれ100枚作製した。即ち、クリーン環境下で基材表面に対して防曇層の塗装を実施し、得られた積層体を確認し、ゴミ付が発生した積層体を不良品とし、ゴミ付きが発生しなかった積層体を良品とし、不良品発生率を評価した。
一方、特定シロキサン化合物の加水分解物を含まない防曇層形成用組成物を用いた比較例1及び特定シリカ粒子を含まない防曇層形成用組成物を用いた比較例2の積層体における防曇層は、防曇性の持続性、耐水垂れ性が劣っていた。さらに、比較例2では、さらに、不良品率が高く、生産性にも劣っていた。
特定共重合体を含まない防曇層形成用組成物を用いた比較例3の積層体における防曇層は、防曇性及び防曇性の持続性は良好であるが、耐水垂れ性において、なお改良の余地があることがわかる。
Claims (12)
- 1次粒子の平均粒径が2nm以上100nm以下であるシリカ粒子、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、N−メチロールエーテル基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋官能基を有するビニル系単量体に由来の構造単位と、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル系単量体に由来の構造単位と、アルキル(メタ)アクリレート系単量体に由来の構造単位と、を少なくとも含む共重合体、並びに、下記一般式(1)で表される化合物の加水分解物を含む防曇層形成用組成物。
一般式(1)中、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の1価の有機基を表す。nは、1〜20の整数を表す。 - 前記共重合体が、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、N−メチロールエーテル基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋官能基を有するビニル単量体に由来の構造単位と、親水性ビニル単量体に由来の構造単位と、を含む親水性重合体部、及び、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル単量体に由来の構造単位と、アルキル(メタ)アクリレートに由来の構造単位と、を含む疎水性重合体部よりなる共重合体である請求項1に記載の防曇層形成用組成物。
- 基材と、
基材上に設けられ、1次粒子の平均粒径が2nm以上100nm以下であるシリカ粒子、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、N−メチロールエーテル基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋官能基を有するビニル系単量体に由来の構造単位、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル系単量体に由来の構造単位、及び、アルキル(メタ)アクリレート系単量体に由来の構造単位とを少なくとも有する共重合体、並びに、下記一般式(1)で表される化合物の加水分解縮合物を含む防曇層と、を有する積層体。
一般式(1)中、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の1価の有機基を表す。nは、1〜20の整数を表す。 - 前記防曇層の厚みが1μm以上10μm以下である請求項3記載の積層体。
- 前記防曇層の表面の平均表面粗さRaが10nm以上100nm以下である請求項3又は請求項4に記載の積層体。
- 前記防曇層の表面を平面視した場合の、防曇層の全面積に対するシリカ粒子の占める面積の割合が、面積比で60%以上である請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記防曇層の表面を平面視した場合の、防曇層の全面積に対するシリカ粒子の占める面積の割合が、面積比で80%以上である請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記防曇層の全質量に対する前記シリカ粒子の含有量が50質量%以上99質量%以下であり、前記防曇層の全質量に対する前記共重合体の含有量が0.5質量%以上49.5質量%以下であり、前記防曇層の全質量に対する前記一般式(1)で表される化合物の加水分解縮合物の含有量が0.5質量%以上49.5質量%以下である請求項3〜請求項7のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記防曇層が、少なくとも第1の防曇層と第2の防曇層とを有する2層以上の重層構造の防曇層であり、
前記第1の防曇層は、前記一般式(1)で表される化合物の加水分解縮合物と前記シリカ粒子との含有量の合計が、前記第1の防曇層の全量に対し50質量%以上であり、
前記第2の防曇層は、前記共重合体の含有量が、前記第2の防曇層の全量に対し50質量%以上である請求項3〜請求項8のいずれか1項に記載の積層体。 - 基材上に、請求項1又は請求項2に記載の防曇層形成用組成物を付与して防曇層を形成する工程を含む積層体の製造方法。
- 前記防曇層を形成する工程は、前記基材上に前記防曇層形成用組成物をスプレー塗布する工程を含む請求項10に記載の積層体の製造方法。
- 前記防曇層を形成する工程は、少なくとも第1の防曇層と第2の防曇層とを有する2層以上の重層構造の防曇層を形成する工程であり、
前記基材上に、前記シリカ粒子、前記共重合体、及び前記一般式(1)で表される化合物の加水分解物を含み、前記共重合体の含有量が、組成物の全量に対し50質量%以上である第2の防曇層形成用組成物を付与して、第2の防曇層を形成する工程、及び、
形成された前記第2の防曇層上に、前記シリカ粒子、前記共重合体、及び前記一般式(1)で表される化合物の加水分解物を含み、前記一般式(1)で表される化合物の加水分解物と前記シリカ粒子との総含有量が、組成物の全固形分に対し50質量%以上である第1の防曇層形成用組成物を付与して、第1の防曇層を形成する工程、
を含む請求項10又は請求項11に記載の積層体の製造方法。
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