JP2018091372A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転軸の回転数が所定以上の高速回転時であっても、機内側から機外側へ潤滑油が漏洩することを防止する。
【解決手段】ハウジング202に対して回転する回転軸201の外周面201aに装着される円筒部31、および、当該円筒部の内側の端部から回転軸の軸線とは垂直な方向へ延びる円環状のフランジ部33を有するスリンガー30と、ハウジングに装着され、スリンガーのフランジ部の外側面33aと摺動自在に接触することにより潤滑油をハウジングの機内側Aへシールするメインリップ22を有するシール部10とを備え、フランジ部の外側面においてメインリップと接触する部分には、回転時に潤滑油をハウジングの機内側へ戻す排出作用を発揮するための排出用ネジ部が形成され、かつ、排出用ネジ部とは反対向きであり排出作用を弱めるための吸込部が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】ハウジング202に対して回転する回転軸201の外周面201aに装着される円筒部31、および、当該円筒部の内側の端部から回転軸の軸線とは垂直な方向へ延びる円環状のフランジ部33を有するスリンガー30と、ハウジングに装着され、スリンガーのフランジ部の外側面33aと摺動自在に接触することにより潤滑油をハウジングの機内側Aへシールするメインリップ22を有するシール部10とを備え、フランジ部の外側面においてメインリップと接触する部分には、回転時に潤滑油をハウジングの機内側へ戻す排出作用を発揮するための排出用ネジ部が形成され、かつ、排出用ネジ部とは反対向きであり排出作用を弱めるための吸込部が形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、密封装置に関し、例えば、自動車関連の分野において回転用シールとして用いられ、特に、機内に潤滑油が存在するエンジン用シールとして用いられるものである。
従来、エンジン用シールとして用いられる密封装置としては、機内に密封されている潤滑油が機外へ漏洩することを防止するために、例えば、エンジンハウジングとクランクシャフトとの間に装着されている。この密封装置としては、スリンガーのフランジ部に設けられたネジ部によって、クランクシャフトの回転時にポンピング作用を発揮し、機内の潤滑油をシールしている(例えば、特許文献1を参照。)。
図9および図10に示すように、このような密封装置100としては、回転軸201の外周面に装着されて当該回転軸201とともに回転するスリンガー101と、ハウジング202の内周面に装着されるシール部102とを備えている。
この密封装置100では、スリンガー101のフランジ部103の軸方向における機外B側の端面である機外側端面103aに対して、シール部102のメインリップ111が摺動可能に密接することにより、機内Aに存在する潤滑油(オイル)が機外Bへ漏洩することを防止している。
図10に示すように、この密封装置100においては、メインリップ111が摺動可能に密接するスリンガー101のフランジ部103の機外側端面103aに対してネジ部104が設けられている。
ネジ部104は、一定の間隔でそれぞれ独立して配置され、回転軸201の回転方向に対応して内径側から外径側へ右回転で進む4等配の螺旋状の溝であり、個々の溝の始点および終点がそれぞれ異なっている。このネジ部104は、スリンガー101のフランジ部103の機外側端面103aに形成され、シール部102のメインリップ111のリップ先端111aがネジ部104の範囲内で接触している。
したがって、密封装置100では、スリンガー101とシール部102との間に囲まれた空間Sへ潤滑油が漏洩した場合でも、回転軸201とともにスリンガー101が回転したときのフランジ部103の遠心力により潤滑油を空間Sから機内A側へ戻す振切作用と、当該フランジ部103の回転時におけるネジ部104の影響により潤滑油を空間Sから機内A側へ戻す作用(以下、これを「ネジ作用」ともいう。)とを奏することができる。なお、このような振切作用およびネジ作用の双方により潤滑油を空間Sから機内A側へ戻す効果をポンピング効果という。
しかしながら、上述した密封装置100においては、図11に示すように、エンジンの回転数が例えば8000rpm(revolution per minute)程度以上の高速になると、スリンガー101のフランジ部103の機外側端面103aに付着する潤滑油の層の厚さが急激に薄くなる現象が生じる。
そうすると密封装置100では、スリンガー101のフランジ部103の機外側端面103aとメインリップ111のリップ先端111aとの接触点間およびその周辺には、潤滑油の層(液層)と潤滑油の存在しない空気の層(気層)とが発生して気液二層流が形成される。
この場合、潤滑油を空間Sから機内A側へ戻すネジ作用が働く一方で、スリンガー101のフランジ部103の機外側端面103aに付着する潤滑油の層の厚さが薄くなった分だけ潤滑油の振切作用が低減する。その結果、密封装置100では、空間Sから機内A側へ潤滑油を十分に戻すことができなくなり、当該空間Sに侵入した潤滑油が機内A側から機外B側へ漏洩するおそれがあった。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、回転軸の回転数が所定以上の高速回転時であっても、機内側から機外側へ潤滑油が漏洩することを防止し得る密封装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明においては、ハウジングに対して回転する回転軸の外周面に装着される円筒部、および、当該円筒部の内側の端部から前記回転軸の軸線とは垂直な方向へ延びる円環状のフランジ部を有するスリンガーと、前記ハウジングに装着され、前記スリンガーのフランジ部の外側面と摺動自在に接触することにより潤滑油を前記ハウジングの機内側へシールするメインリップを有するシール部とを備え、前記フランジ部の外側面において前記メインリップと接触する部分には、回転時に前記潤滑油を前記ハウジングの機内側へ戻す排出作用を発揮するための排出用ネジ部が形成され、かつ、前記排出用ネジ部とは反対向きであり前記排出作用を弱めるための吸込部が形成されていることを特徴とする。
本発明において、前記吸込用部は、前記フランジ部の外側面において前記排出用ネジ部よりも外径側に形成されていることを特徴とする。
本発明において、前記吸込部は、前記フランジ部の外側面において前記排出用ネジ部に重ねられて形成されていることを特徴とする。
本発明において、前記吸込部は、ネジ溝からなる油吸込ネジ溝、または、凸の壁状からなる油吸込壁であることを特徴とする。
本発明によれば、回転軸の回転数が所定以上の高速回転時であっても、機内側から機外側へ潤滑油が漏洩することを防止し得る密封装置を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の装着状態を示す断面図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の単体の構成を示す拡大断面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置のスリンガーの構成を示す平面図である。図4は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置において、スリンガーのポンピング効果の説明に供する平面図である。図5は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置において、回転数とスリンガーのフランジ部に付着している潤滑油の層厚さとの関係を示すグラフである。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の装着状態を示す断面図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の単体の構成を示す拡大断面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置のスリンガーの構成を示す平面図である。図4は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置において、スリンガーのポンピング効果の説明に供する平面図である。図5は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置において、回転数とスリンガーのフランジ部に付着している潤滑油の層厚さとの関係を示すグラフである。
以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(図1参照)方向を外側とし、軸線x方向において矢印b(図1参照)方向を内側とする。より具体的には、外側とは、エンジンから離れる機外B側であり、内側とは、エンジンの内部方向であり機内A側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1の矢印c方向)を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1の矢印d方向)を内周側とする。
<密封装置の構成>
図1乃至図3に示すように、本発明の実施の形態に係る密封装置としてのオイルシール1は、機内Aに潤滑油が存在する自動車用エンジンのシールとして用いられ、機内Aの潤滑油が機外Bへ漏洩するのを防止するとともに、機外Bから機内Aへダスト等の異物が侵入するのを防止するものである。
図1乃至図3に示すように、本発明の実施の形態に係る密封装置としてのオイルシール1は、機内Aに潤滑油が存在する自動車用エンジンのシールとして用いられ、機内Aの潤滑油が機外Bへ漏洩するのを防止するとともに、機外Bから機内Aへダスト等の異物が侵入するのを防止するものである。
オイルシール1は、エンジンハウジング(以下、これを単に「ハウジング」ともいう。)202の内周側(矢印d方向)の面である内周面202aに装着されるシール部10と、ハウジング202に対して回転する回転軸としてのクランクシャフト201の外周側(矢印c方向)の面である外周面201aに装着されるスリンガー30とを備え、これらが組み合わされて構成されている。
シール部10は、補強環20と、当該補強環20と一体に形成された弾性体部21とを備えている。補強環20は、軸線xを中心とする環状の金属材からなる。補強環20の金属材としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。一方、弾性体部21の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
補強環20は、例えばプレス加工や鍛造によって製造され、弾性体部21は成形型を用いて架橋(加硫)成型によって成形される。この架橋成型の際に、補強環20は成形型の中に配置されており、弾性体部21が架橋(加硫)接着により補強環20に接着され、弾性体部21が補強環20と一体的に成形される。
補強環20は、例えば、断面略L字状の形状を呈しており、円筒部20a、外周側円盤部20b、テーパー部20c、および、内周側円盤部20dを備え、円筒部20a、外周側円盤部20b、テーパー部20c、および、内周側円盤部20dが全て一体に形成されている。
この場合、円筒部20aは、外周側(矢印c方向)に向かって凸状に膨出した湾曲形状を有している。また、外周側円盤部20b、テーパー部20c、および、内周側円盤部20dは、全体略S字状のフランジ部を形成している。
円筒部20aは、軸線xに沿って略平行に延びる円筒状の部分であり、ハウジング202の内周面202aに対して内嵌される。外周側円盤部20bは、軸線xと略垂直な方向、すなわち、円筒部20aの外側(矢印a方向)の端部から内周側(矢印d方向)へ向かって広がる中空円盤状の部分である。テーパー部20cは、外周側円盤部20bの内周側(矢印d方向)の端部から更に内周側(矢印d方向)および内側(矢印b方向)に向かって斜めに延びる中空円盤状の部分である。内周側円盤部20dは、テーパー部20cの内周側(矢印d方向)の端部からさらに内周側(矢印d方向)に向かって拡がる中空円盤状の部分である。
なお、補強環20の円筒部20aは、この場合、外周側(矢印c方向)に向かって凸状に膨出した湾曲形状を有しているが、これに限るものではなく、軸線xに沿って真っ直ぐに延びる円筒状の部分であってもよい。また、補強環20は、外周側円盤部20b、テーパー部20c、および、内周側円盤部20dにより全体略S字状に形成されたフランジ部を有しているが、外周側円盤部20b、テーパー部20c、および、内周側円盤部20dが軸線xと略垂直な方向に真っ直ぐに延びたフランジ部を有していてもよい。
弾性体部21は、補強環20に一体に取り付けられており、当該補強環20を外側(矢印a方向)、外周側(矢印c方向)の一部、および、内周側(矢印c方向)から覆うように当該補強環20と一体的に成形されている。
弾性体部21は、補強環20の円筒部20aにおける外周側(矢印c方向)の一部を覆うリップ被覆部21aと、補強環20の外周側円盤部20bを外側(矢印a方向)から覆うリップ被覆部21bと、補強環20のテーパー部20cを覆うリップ被覆部21cと、補強環20の内周側円盤部20dを外側(矢印a方向)から覆うリップ被覆部21dと、リップ被覆部21dと一体化されたリップ腰部21eと、当該リップ腰部21eと一体に形成されたメインリップ22、ダストリップ23、および、中間リップ24とを備えている。
弾性体部21のリップ腰部21eは、補強環20の内周側円盤部20dにおける内周側(矢印d方向)の端部の近傍に位置する部分であり、メインリップ22、ダストリップ23、および、中間リップ24の基部である。
弾性体部21のメインリップ22は、リップ腰部21eの内側(矢印b方向)の端部から更に内側(矢印b方向)かつ外周側(矢印c方向)に向かって斜めに延びる環状のリップ部分であり、内周側(矢印d方向)から外周側(矢印c方向)へ向かって拡径している。
弾性体部21のダストリップ23は、リップ腰部21eの内周側(矢印d方向)の端部から外側(矢印a方向)かつ内周側(矢印d方向)に向かって斜めに延びる環状のリップ部分であり、外周側(矢印c方向)から内周側(矢印d方向)へ向かって拡径している。なお、ダストリップ23が延びる延び方向は、メインリップ22の延び方向とはほぼ反対向きである。
弾性体部21の中間リップ24は、リップ腰部21eにおいてメインリップ22よりも内周側(矢印d方向)に位置し、かつ、ダストリップ23よりも内側(矢印b方向)に位置し、リップ腰部21eの内周側(矢印d方向)の端部から内側(矢印b方向)に向かって僅かに延びる環状のリップ部分である。中間リップ24は、そのリップ長が短く、リップ先端がスリンガー30と接触することはない。
スリンガー30は、円筒部31と、フランジ部33とを備えている。このスリンガー30は、クランクシャフト201に装着された状態で、当該クランクシャフト201の回転とともに連れ回ることになる。
スリンガー30の円筒部31は、軸線xに沿って略平行に延びる円筒状の部分であり、ハウジング202に対して回転する回転軸としてのクランクシャフト201の外周面201aに圧入して固定することにより装着される。スリンガー30の円筒部31は、外周側(矢印c方向)の面である外周面31aを有しており、その外周面31aに対して弾性体部21のダストリップ23のリップ先端が摺動自在に接触する。これにより、機外Bからダスト等の異物が機内Aに侵入することを防止している。
スリンガー30のフランジ部33は、円筒部31の内側(矢印b方向)の端部から軸線xとは垂直な方向の外周側(矢印c方向)へ向かって広がる中空円盤状の部分である。スリンガー30のフランジ部33は、外側(矢印a方向)の面である外側面33aを有しており、その外側面33aに対して弾性体部21のメインリップ22のリップ先端が摺動自在に接触する。これにより、潤滑油がハウジング202の機内Aから機外Bへ漏洩することを防止している。
このように、オイルシール1は、スリンガー30のフランジ部33の外側面33aと接触する弾性体部21のメインリップ22が機内A側に配置されて潤滑油の漏洩を防止するとともに、スリンガー30の円筒部31の外周面31aに接触する弾性体部21のダストリップ23が機外B側に配置されてダストの侵入を防止する構造を有している。
これに対して、一般的にハブベアリングに用いられるハブシールは、スリンガーのフランジ部と接触する弾性体部のサイドリップ(メインリップ22に相当)が機外B側に配置されてダストの侵入を防止するとともに、スリンガーの円筒部と接触するラジアルリップ(ダストリップ23に相当)が機内A側に配置されて潤滑剤の漏洩を防止する構造を有している。
すなわち、本発明のオイルシール1は、ハブベアリングに用いられるハブシールと比べて、スリンガーと接触するリップの配置が機内A側および機内B側において真逆であり、かつ、その役割についても逆であるため、ハブシールとは根本的に異なるシール構造を有するものである。
ところで、図3に示すように、スリンガー30は、フランジ部33の外側面33aのうち、外周側(矢印c方向)の端部領域Pに排出用ネジ部としての4本の螺旋状の油排出ネジ溝34を備えている。
これら4本の油排出ネジ溝34は、それぞれの始点stが互いに90度ずつ離間した位置に形成されるとともに、それぞれの終点etについても互いに90度ずつ離間した位置に形成されている。油排出ネジ溝34は、始点stから終点etまで約1周分程度の螺旋状に形成されているが、これに限るものではなく、半周程度、3/4周程度等の1周以下であったり、1周半程度、2周程度等の1周以上の螺旋状に形成されていてもよい。
また、油排出ネジ溝34は、フランジ部33の内径側からフランジ部33の外径側へ向かって右回転向きに次第に半径を大きくしながら進む4等配の溝としてそれぞれ独立して形成されている。ただし、これに限るものではなく、油排出ネジ溝34は、2等配、3等配、6等配等のその他種々の本数であってもよい。なお、この場合、スリンガー30は、油排出ネジ溝34とは逆に図中矢印で示すように左回転するものとする。
また、フランジ部33の端部領域Pに形成された4本の油排出ネジ溝34の更に外径側には、吸込部としての複数の油吸込ネジ溝38が等配に形成されている。
油吸込ネジ溝38は、油排出ネジ溝34とは反対向きであり、フランジ部33の内径側からフランジ部33の外径側へ向かって次第に中心から離れるように図中右から左へ向かって直線状に進む所定長さかつ所定深さのネジ溝である。油吸込ネジ溝38は、直線状に限るものではなく、同じ方向を向いていれば僅かに湾曲した円弧状であってもよい。また、油排出ネジ溝38の断面溝形状は略V字状であるが、これに限るものではなく、断面凹形状やその他の形状であってもよい。
ところで、弾性体部21のメインリップ22、ダストリップ23、および、スリンガー30の円筒部31の外周面31a、および、フランジ部33の外側面33aによって断面略三角形状の環状の閉じた空間Sが形成されている。
この空間Sは、スリンガー30のフランジ部33の外側面33aとメインリップ22のリップ先端との間を伝って機内A側から当該空間Sに漏洩する潤滑油を貯留する空間である。この空間Sに貯留された潤滑油は、ダストリップ23の存在により機外B側へ漏洩することが抑制されている。
<作用および効果>
以上の構成において、第1の実施の形態におけるオイルシール1は、シール部10がハウジング202の内周面202aに圧入して固定されるとともに、スリンガー30がクランクシャフト201の外周面201aに圧入して固定されることに装着される。
以上の構成において、第1の実施の形態におけるオイルシール1は、シール部10がハウジング202の内周面202aに圧入して固定されるとともに、スリンガー30がクランクシャフト201の外周面201aに圧入して固定されることに装着される。
このとき、シール部10における弾性体部21のダストリップ23をスリンガー30の円筒部31の外周面31aに所定の締め代で接触させるとともに、当該弾性体部21のメインリップ22をスリンガー30のフランジ部33の外側面33aに所定の締め代で接触させる。
弾性体部21のメインリップ22のリップ先端は、スリンガー30のフランジ部33の端部領域Pに形成された複数の油吸込ネジ溝38よりも内周側(矢印d方向)であって、かつ、4本の油排出ネジ溝34の何れかとメインリップ22のリップ先端とが必ず接触するように、シール部10とスリンガー30とが組み合わされる。
具体的には、図4に示すように、4本の油排出ネジ溝34のうち、油吸込ネジ溝38との境界となる最外径側の油排出ネジ溝34の近傍部分とメインリップ22のリップ先端とが接触するように配置されることが望ましい。
上述したように組み合わされて取り付けられたシール部10とスリンガー30とからなるオイルシール1は、クランクシャフト201の回転に伴ってスリンガー30が矢印に示すように左回転する。
このとき、オイルシール1は、フランジ部33の端部領域Pに形成された4本の油排出ネジ溝34の影響により、空間Sに貯留されている潤滑油を内周側(矢印d方向)から外周側(矢印c方向)へ向かって移動させ、フランジ部33の外側面33aとメインリップ22のリップ先端との間から機内Aに排出する(ネジ作用)ことができる。すなわち、油排出ネジ溝34は、油排出作用を機能として有している。
なお、オイルシール1では、弾性体部21の中間リップ24の存在により、空間Sに侵入してきた潤滑油を受け止めることができるので、ダストリップ23に潤滑油が直接到達することを防ぎながら空間Sの潤滑油を機内Aに排出することができる。
また、オイルシール1は、スリンガー30のフランジ部33の回転に伴う遠心力によって空間S内の潤滑油を内周側(矢印d方向)から外周側(矢印c方向)へ向かって移動させ、フランジ部33の外側面33aとメインリップ22のリップ先端との間から機内Aに潤滑油を振り切りながら排出する(振切作用)ことができる。
すなわち、オイルシール1は、油排出ネジ溝34の影響による空間Sの潤滑油に対するネジ作用と、フランジ部33の遠心力による空間Sの潤滑油に対する振切作用とにより、空間Sに存在する潤滑油を機内Aに排出するポンピング効果を働かせることができる。
ただし、オイルシール1は、フランジ部33の最外径側の油排出ネジ溝34と接触するメインリップ22のリップ先端よりも外径側に複数の油吸込ネジ溝38が形成されているため、フランジ部33が回転したときの複数の油吸込ネジ溝38による影響を受けて機内A側の潤滑油を空間Sへ送り込もうとする流れが生じる。
このような機内A側の潤滑油を空間Sへ送り込もうとする流れは、クランクシャフト201の回転数の増加に伴って強くなり、この流れにより空間Sの潤滑油を機内Aに排出するポンピング効果すなわち潤滑油の排出作用を弱めることができる。
したがって、オイルシール1では、フランジ部33の4本の油排出ネジ溝34の外径側に複数の油吸込ネジ溝38を形成しない場合に比べて、エンジンの回転数が例えば8000rpm程度以上の高速になった場合でも、空間Sの潤滑油を機内Aに排出する層流を減速させることができる。
これにより、オイルシール1は、図5に示すように、エンジンの回転数が増加した場合であっても、高回転になればなるほど、スリンガー30のフランジ部33の外側面33aに付着する潤滑油の層の厚さが薄くなることを従来(図11と同様の破線で示す)に比して抑制し(実線で示す)、気液二層流の発生を抑制することができる。
これにより、スリンガー30のフランジ部33の外側面33aに付着する潤滑油の層の厚さが薄くならない分だけ潤滑油の振切作用が低減することを抑制し、空間Sの潤滑油を機内Aへ十分に排出することが可能となる。かくして、オイルシール1は、機内Aの潤滑油が空間Sを介して機外Bへ漏洩するリスクを大幅に低減することができる。
<第2の実施の形態>
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置において、スリンガーの構成を示す平面図である。第2の実施の形態においては、図6に示すように、オイルシール1のシール部10の構成については、第1の実施の形態と同じであるが、スリンガー30は、フランジ部33の4本の油排出ネジ溝34の外径側に複数の油吸込ネジ溝38を形成しているのではなく、フランジ部33の4本の油排出ネジ溝34の上に重ねて(オーバーラップさせて)形成した複数の油吸込ネジ溝38を備えている。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置において、スリンガーの構成を示す平面図である。第2の実施の形態においては、図6に示すように、オイルシール1のシール部10の構成については、第1の実施の形態と同じであるが、スリンガー30は、フランジ部33の4本の油排出ネジ溝34の外径側に複数の油吸込ネジ溝38を形成しているのではなく、フランジ部33の4本の油排出ネジ溝34の上に重ねて(オーバーラップさせて)形成した複数の油吸込ネジ溝38を備えている。
この場合、4本の油排出ネジ溝34のうち、油吸込ネジ溝38との内径側の境界となる油排出ネジ溝34の近傍部分とメインリップ22のリップ先端とが接触するように配置されることが望ましい。
この第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、オイルシール1は、エンジンの回転数が増加した場合でも、スリンガー30のフランジ部33の外側面33aに付着する潤滑油の層の厚さが薄くなることを従来に比して抑制し、気液二層流の発生を低減することができる。かくして、第2の実施の形態におけるオイルシール1であっても、機内Aの潤滑油が空間Sを介して機外Bへ漏洩するリスクを大幅に低減することができる。
<第3の実施の形態>
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る密封装置の単体の構成を示す拡大断面図である。第3の実施の形態において、オイルシール1sは、図2との対応部分に同一符号を付した図7に示すように、第1の実施の形態におけるオイルシール1のスリンガー30については同じであるが、シール部10がダストリップ23の代わりに、弾性体部21のリップ被覆部21dの内周側(矢印d方向)の端部に断面略L字状のファブリック素材等からなる環状のダストリップ40が一体に固定された構成を有している。このダストリップ40は、比較的大きなダスト等の異物の侵入を防止する一方、空気を通過させることが可能である。
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る密封装置の単体の構成を示す拡大断面図である。第3の実施の形態において、オイルシール1sは、図2との対応部分に同一符号を付した図7に示すように、第1の実施の形態におけるオイルシール1のスリンガー30については同じであるが、シール部10がダストリップ23の代わりに、弾性体部21のリップ被覆部21dの内周側(矢印d方向)の端部に断面略L字状のファブリック素材等からなる環状のダストリップ40が一体に固定された構成を有している。このダストリップ40は、比較的大きなダスト等の異物の侵入を防止する一方、空気を通過させることが可能である。
この第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができ、機内Aの潤滑油が空間Sを介して機外Bへ漏洩するリスクを大幅に低減することができる。
<他の実施の形態>
なお、上述した第1乃至第3の実施の形態においては、油吸込ネジ溝38と油排出ネジ溝34との境界の近傍部分に弾性体部21のメインリップ22のリップ先端を接触させるように配置するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、ネジ作用が多少弱まることを許容できるのであれば、油吸込ネジ溝38と油排出ネジ溝34との境界よりも内径側の部分にメインリップ22のリップ先端を接触させるように配置してもよい。
なお、上述した第1乃至第3の実施の形態においては、油吸込ネジ溝38と油排出ネジ溝34との境界の近傍部分に弾性体部21のメインリップ22のリップ先端を接触させるように配置するようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、ネジ作用が多少弱まることを許容できるのであれば、油吸込ネジ溝38と油排出ネジ溝34との境界よりも内径側の部分にメインリップ22のリップ先端を接触させるように配置してもよい。
また、上述した第1乃至第3の実施の形態においては、フランジ部33の内径側から外径側へ向かって次第に中心から離れるように図中右から左へ向かって直線状に進む所定長さかつ所定深さのネジ溝として油吸込ネジ溝38を形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図8に示すように、オイルシール1xでは、ネジ溝ではなく、所定長さかつ所定高さの凸の壁状からなる油吸込壁39として形成するようにしてもよい。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係るオイルシール1に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題および効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
また、本実施の形態に係る密封装置としてのオイルシール1は、自動車用エンジンのシールとして用いられるものとしたが、本発明に係る密封装置の適用対象はこれに限られるものではなく、他の汎用機械、産業機械等、本発明の奏する効果を利用し得る全ての構成に対して、本発明は適用可能である。
1、1s、1x オイルシール
10、102 シール部
20 補強環
21 弾性体部
22 メインリップ
23、40 ダストリップ
24 中間リップ
30、101 スリンガー
31 円筒部
31a 外周面
33、103 フランジ部
33a 外側面
P 端部領域
34 油排出ネジ溝
38 油吸込ネジ溝
39 油吸込壁
100 密封装置
104 ネジ部
201 回転軸
202 ハウジング
S 空間
A 機内
B 機外
10、102 シール部
20 補強環
21 弾性体部
22 メインリップ
23、40 ダストリップ
24 中間リップ
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31 円筒部
31a 外周面
33、103 フランジ部
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38 油吸込ネジ溝
39 油吸込壁
100 密封装置
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S 空間
A 機内
B 機外
Claims (4)
- ハウジングに対して回転する回転軸の外周面に装着される円筒部、および、当該円筒部の内側の端部から前記回転軸の軸線とは垂直な方向へ延びる円環状のフランジ部を有するスリンガーと、
前記ハウジングに装着され、前記スリンガーのフランジ部の外側面と摺動自在に接触することにより潤滑油を前記ハウジングの機内側へシールするメインリップを有するシール部と
を備え、
前記フランジ部の外側面において前記メインリップと接触する部分には、回転時に前記潤滑油を前記ハウジングの機内側へ戻す排出作用を発揮するための排出用ネジ部が形成され、かつ、前記排出用ネジ部とは反対向きであり前記排出作用を弱めるための前記潤滑油に対する吸込部が形成されている
ことを特徴とする密封装置。 - 前記吸込部は、前記フランジ部の外側面において前記排出用ネジ部よりも外径側に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の密封装置。 - 前記吸込部は、前記フランジ部の外側面において前記排出用ネジ部に重ねられて形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の密封装置。 - 前記吸込部は、ネジ溝からなる油吸込ネジ溝、または、凸の壁状からなる油吸込壁である
ことを特徴とする請求項1乃至3何れか一項に記載の密封装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2016233727A JP2018091372A (ja) | 2016-12-01 | 2016-12-01 | 密封装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2016233727A JP2018091372A (ja) | 2016-12-01 | 2016-12-01 | 密封装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2018091372A true JP2018091372A (ja) | 2018-06-14 |
Family
ID=62565834
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2016233727A Pending JP2018091372A (ja) | 2016-12-01 | 2016-12-01 | 密封装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2018091372A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2020039982A1 (ja) | 2018-08-23 | 2020-02-27 | Nok株式会社 | 密封装置及びスリンガーの作製方法 |
| JP2020070912A (ja) * | 2018-11-02 | 2020-05-07 | Nok株式会社 | 密封装置 |
| CN116139732A (zh) * | 2022-05-25 | 2023-05-23 | 江苏丰尚智能科技有限公司 | 一种真空喷涂机 |
-
2016
- 2016-12-01 JP JP2016233727A patent/JP2018091372A/ja active Pending
Cited By (4)
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| WO2020039982A1 (ja) | 2018-08-23 | 2020-02-27 | Nok株式会社 | 密封装置及びスリンガーの作製方法 |
| JP2020070912A (ja) * | 2018-11-02 | 2020-05-07 | Nok株式会社 | 密封装置 |
| JP7203572B2 (ja) | 2018-11-02 | 2023-01-13 | Nok株式会社 | 密封装置 |
| CN116139732A (zh) * | 2022-05-25 | 2023-05-23 | 江苏丰尚智能科技有限公司 | 一种真空喷涂机 |
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