以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
《発明の実施形態1》
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係るグリッパ1を示す。該グリッパ1は、ワークW1を挟持できるとともに工作機械M1における回転状態のチャック10(図4参照)に対して上記ワークW1を受け渡すことができるようになっている。尚、本発明では、工作機械M1にチャック10が含まれるものとする。
上記グリッパ1は、産業用ロボットRにおけるアーム先端R1(被取付体)に取り付けられたベース体2と、該ベース体2に回転自在に取り付けられた回転体3とを備えている。
上記ベース体2は、正面視で略C字状をなすベースプレート21を備え、該ベースプレート21は、上記アーム先端R1に固定されている。
上記ベースプレート21の中途部には、長方形板状のサブプレート21cが上記ベースプレート21の外周縁部に沿うように固定され、上記ベースプレート21における一端側の中途部と他端側の中途部とには、それぞれ貫通孔21aが形成されている。
また、上記ベースプレート21の一端側と他端側とにおける各貫通孔21aの両側には、それぞれ一対の螺合穴21bが形成されている。
上記ベースプレート21の内方には、当該ベースプレート21の板厚方向に貫通する回転支持孔22aを有する略リング状の支持フレーム22(支持体)が配設されている。
該支持フレーム22は、上記アーム先端R1の反対側に位置するフレーム本体23と、上記アーム先端R1側に位置するカバーリング24とを備えている。
上記フレーム本体23の外周縁部における上記アーム先端R1側には、上記支持フレーム22の中心線と直交する方向に互いに反対側に張り出す一対の張出板部23aが形成され、該両張出板部23aは、上記ベースプレート21の上記アーム先端R1側に位置している。
上記各張出板部23aの外周縁部は、正面視で上記ベースプレート21の一端側と他端側とにそれぞれ対応する湾曲形状をなしている。
上記各張出板部23aにおける上記ベースプレート21の各貫通孔21aに対応する位置には、図3に示すように、上記支持フレーム22の中心線に沿って上記アーム先端R1から離れるように延びる細長い嵌合ピン4(位置決め手段)が固定され、該各嵌合ピン4は、上記各貫通孔21aに遊嵌している。
また、上記各張出板部23aの上記各螺合穴21bに対応する位置には、図1及び図2に示すように、それぞれ取付孔23cが形成され、該各取付孔23cには、円筒状をなすゴム部材25(弾性体)が嵌め込まれている。
そして、上記各ゴム部材25に締結ボルト20aを挿通するとともに当該締結ボルト20aを上記各螺合穴21bに螺合させることにより、上記フレーム本体23と上記ベースプレート21との間に上記各ゴム部材25が介在する状態で上記ベースプレート21に上記フレーム本体23が取り付けられるようになっている。
また、上記フレーム本体23には、図2に示すように、上記アーム先端R1側に開口する円形凹部23bが上記支持フレーム22の中心線周りに所定の間隔をあけて6つ形成されている。
上記各円形凹部23bの開口部分には、中央にスライド孔26aを有するピストンカバー26が嵌め込まれ、該ピストンカバー26と上記円形凹部23bの内周面とで囲まれる部分がシリンダ室S1となっている。
該シリンダ室S1には、側面視で略T字状をなすピストン27が収容されている。
該ピストン27は、上記シリンダ室S1を上記アーム先端R1側と当該アーム先端R1の反対側とに区画する円板部27aと、該円板部27aの中央部から上記アーム先端R1側に突設されたスライド軸部27bとを備えている。
該スライド軸部27bは、上記ピストンカバー26のスライド孔26aにスライド可能に嵌挿され、上記スライド軸部27bには、当該スライド軸部27bの突出端に開口するネジ穴27cが形成されている。
そして、上記ピストン27は、図示しないエア給排通路を介して上記シリンダ室S1にエアを給排させることによって上記支持フレーム22の中心線に沿ってスライドするようになっている。
上記カバーリング24は、上記フレーム本体23の上記アーム先端R1側に固定されている。
上記カバーリング24の上記各スライド孔26aに対応する位置には、当該スライド孔26aに連通する連通孔24aが形成され、該各連通孔24aには、上記スライド軸部27bの突出端側がスライド可能に嵌挿している。
また上記カバーリング24の外周縁部には、上記アーム先端R1側に延びる周壁部24bが形成され、該周壁部24bの内周面には、ゴム製の環状シール部材28が嵌め込まれている。
上記フレーム本体23の内周面には、一対のベアリングB1が隣接した状態で嵌め込まれている。
上記回転体3は、環状をなす回転フレーム31と、該回転フレーム31の内方に位置する回転プランジャ32とを備えている。
上記回転フレーム31は、上記フレーム本体23における上記アーム先端R1の反対側開口を覆う略円板状の第1回転部31aと、該第1回転部31aから上記アーム先端R1側に延びる円筒状をなす第2回転部31bとを備え、該第2回転部31bの筒中心線が上記支持フレーム22の中心線に一致している。
上記第2回転部31bは、上記両ベアリングB1の内方に嵌合しており、該両ベアリングB1によって上記回転フレーム31が上記第2回転部31bの筒中心線を回転軸心C1として当該回転軸心C1周りに上記支持フレーム22に対して回転するようになっている。
つまり、上記支持フレーム22は、当該支持フレーム22の内方に位置する上記回転体3を回転可能に支持している。
上記第1回転部31aの中心には、上記第2回転部31bの内方に連通する嵌挿孔31cが形成されている。
また、上記第1回転部31aにおける上記第2回転部31bの反対側には、上記回転軸心C1と直交する方向に延びる断面略T字状をなす3つのガイド溝31dが上記回転軸心C1周りに等間隔に形成され、上記ガイド溝31dの一端は上記嵌挿孔31cに開放する一方、上記ガイド溝31dの他端は、上記第1回転部31aの外周縁部に開放している。
さらに、上記第1回転部31aには、上記第2回転部31bの反対側に開口する3つのガイド穴31eが上記回転軸心C1周りに等間隔に形成され、各ガイド穴31eは、上記各ガイド溝31dの間にそれぞれ位置している。
上記各ガイド溝31dには、断面略T字状をなす角棒状のマスタージョウ33がスライド可能に嵌挿され、該各マスタージョウ33は、上記各ガイド溝31dによって上記回転軸心C1と直交する方向に案内されるようになっている。
上記各マスタージョウ33の上記回転軸心C1側には、当該回転軸心C1に対して直交する方向の断面が略T字状をなす切欠溝33aが形成され、該切欠溝33aは、上記アーム先端R1側に行くにつれて次第に回転軸心C1から離れるように傾斜して延びる形状をなしている。
上記回転プランジャ32は、上記嵌挿孔31cにスライド可能に嵌挿された回転軸部32aと、該回転軸部32aにおける上記アーム先端R1の反対側の端部に設けられ、回転軸心C1の延長方向から見て放射状に延びる3つの延出部32bとを備えている。
該各延出部32bの延出端側には、その断面が上記切欠溝33aに対応する略T字状の嵌合スライド部32cが形成され、該各嵌合スライド部32cは、上記各切欠溝33aにそれぞれスライド可能に嵌合している。
上記回転軸部32aの外周面には、一対のベアリングB2が隣接した状態で嵌め込まれている。
上記第1回転部31aには、略円盤状をなすフロントカバー34が上記第2回転部31bの反対側から上記第1回転部31aを覆うように取り付けられている。
上記フロントカバー34の中央には、上記第1回転部31aの嵌挿孔31cに対応する第1開口部34aが形成され、該第1開口部34aは、回転軸心C1の延長方向から見て三角形状をなす第1カバープレート35で覆われている。
また、上記フロントカバー34の上記各ガイド溝31dに対応する位置には、それぞれ第2開口部34bが形成され、上記フロントカバー34の上記各ガイド穴31eに対応する位置には、それぞれ第3開口部34cが形成されている。
上記各マスタージョウ33における上記第2回転部31bの反対側には、上記回転軸心C1と直交する方向に延びる略角棒状のトップジョウ36(挟持手段)が上記各第2開口部34bを介して着脱可能に取り付けられている。
上記第1回転部31aの各ガイド穴31eには、上記第3開口部34cを介してスライド棒37がスライド可能に嵌挿されている。
該スライド棒37には、上記アーム先端R1側に開口するバネ用凹部37aが形成され、該バネ用凹部37aには、当該バネ用凹部37aの底面と上記ガイド穴31eの底面とにそれぞれ当接するコイルバネ38(付勢部)が収容されている。
上記各スライド棒37における第2回転部31bの反対側には、中心が上記回転軸心C1に一致するリング部材39(押付部)が取り付けられ、該リング部材39は上記各トップジョウ36より上記アーム先端R1の反対側に位置している。
上記リング部材39と上記コイルバネ38とで本発明の圧接手段30を構成しており、上記各コイルバネ38は、上記リング部材39を上記アーム先端R1から離れる方向に付勢するようになっている。
上記リング部材39の各トップジョウ36に対応する位置には、上記リング部材39が上記各コイルバネ38の付勢力に抗してアーム先端R1側に移動した際、上記各トップジョウ36との接触を回避する干渉回避凹部39aがそれぞれ形成されている。
上記回転プランジャ32の上記アーム先端R1側には、側面視で略T字状をなす非回転プランジャ29が配設されている。
該非回転プランジャ29は、上記第2回転部31bの内方にスライド可能に嵌挿された円筒部29aと、該円筒部29aにおける上記アーム先端R1側の端部から上記回転軸心C1と直交する方向に広がるフランジ部29bとを備え、該フランジ部29bの外周縁部は、上記環状シール部材28に摺接可能に接している。
上記円筒部29aの内周面には、上記両ベアリングB2が嵌合しており、該両ベアリングB2によって上記回転プランジャ32が上記非回転プランジャ29に対して上記回転軸心C1周りに回転するようになっている。
つまり、上記回転フレーム31及び上記回転プランジャ32は、上記支持フレーム22及び非回転プランジャ29に対して上記回転軸心C1周りに回転するようになっている。
また、上記円筒部29aにおける上記アーム先端R1側の開口は、第2カバープレート29cで覆われている。
上記フランジ部29bの上記各ピストン27に対応する位置には、それぞれネジ挿通孔29dが形成され、該ネジ挿通孔29dに締結ボルト20bを挿通するとともに上記ネジ穴27cに螺合させることにより、上記ピストン27と上記非回転プランジャ29とが一体に固定されるようになっていて、上記回転プランジャ32及び上記非回転プランジャ29は、上記各ピストン27の上記シリンダ室S1におけるスライド動作に伴って上記回転軸心C1に沿ってスライドするようになっている。
そして、上記回転プランジャ32及び上記非回転プランジャ29をアーム先端R1側へスライドさせると、図4に示すように、上記回転プランジャ32の各延出部32bの嵌合スライド部32cが上記各マスタージョウ33の切欠溝33aに摺接しながら上記マスタージョウ33を上記回転軸心C1側に押圧するようになっている。
上記各マスタージョウ33は、上記嵌合スライド部32cによって上記回転軸心C1側に押圧されると、上記各ガイド溝31dに案内されて上記回転軸心C1に接近して上記各トップジョウ36がワークW1を挟持するようになっている。
一方、上記回転プランジャ32及び上記非回転プランジャ29をアーム先端R1の反対側へスライドさせると、図6に示すように、上記回転プランジャ32の各延出部32bの嵌合スライド部32cが上記各マスタージョウ33の切欠溝33aに摺接しながら上記マスタージョウ33を上記回転軸心C1の反対側に押圧するようになっている。
上記各マスタージョウ33は、上記嵌合スライド部32cによって上記回転軸心C1の反対側に押圧されると、上記各ガイド溝31dに案内されて上記回転軸心C1から離間して上記各トップジョウ36が上記ワークW1の挟持状態を解除するようになっている。
尚、本発明の実施形態1のグリッパ1は、各マスタージョウ33を上記回転軸心C1に接近させることで各トップジョウ36がワークW1をその外周面側から押圧して挟持しているが、開口部を有する内部空間がワークW1に設けられている場合、グリッパ1の各トップジョウ36をワークW1の内部空間に開口部から挿入するとともに、各マスタージョウ33を上記回転軸心C1から離間させることで各トップジョウ36がワークW1をその内周面側から押圧して挟持することもできるようになっている。
つまり、本発明の実施形態1のグリッパ1は、上記回転プランジャ32及び上記非回転プランジャ29のスライド動作により上記各延出部32bが上記各マスタージョウ33を上記各ガイド溝31dに沿っていずれか一方に移動させることで上記各トップジョウ36がワークW1を挟持するか、或いは、上記ワークW1の挟持状態を解除するようになっている。
上記チャック10は、上記工作機械M1の本体部分に取り付けられ、図4乃至図6に示すように、回転軸心C2周りに回転可能な短い円柱状をなすチャック本体11と、該チャック本体11の前面に設けられ、上記ワークW1を把持可能な3つの爪部材12(把持部)とを備え、該各爪部材12は、上記回転軸心C2周りに等間隔に配設されている。
上記チャック本体11の前面には、3つの突出部11aが上記回転軸心C2周りに等間隔に突設されている。
上記各突出部11aは、上記各爪部材12の間にそれぞれ位置しており、その突出端面は、上記各爪部材12より飛び出した位置となっている。
また、上記工作機械M1の上記チャック10を除く部分における上記回転軸心C2周りには、一対の嵌合穴13が形成されていて、該両嵌合穴13は、上記回転軸心C2を境に対称に位置している。
そして、上記各嵌合穴13は、それぞれ上記回転軸心C2に沿って開口しており、回転状態のチャック10に上記アーム先端R1を上記回転軸心C2に沿って接近させた際、図5に示すように、上記各嵌合ピン4が上記各嵌合穴13にそれぞれ嵌合して上記回転体3の回転軸心C1と上記チャック10の回転軸心C2とが一致するようになっている。
つまり、上記各嵌合穴13の内周面13aが本発明の基準部を構成していて、回転状態のチャック10に上記アーム先端R1を接近させると、上記各嵌合ピン4の外周面が上記各嵌合穴13の内周面に接触することにより、上記グリッパ1が上記工作機械M1と連係して上記回転軸心C1,C2が一致するようになっている。
また、上記各嵌合ピン4が上記各嵌合穴13に嵌合した状態で回転状態のチャック10にアーム先端R1をさらに接近させると、リング部材39が上記各突出部11aの突出端を押圧するようになっている。その後、さらに回転状態のチャック10にアーム先端R1を接近させると、各コイルバネ38の付勢力によってリング部材39が上記各突出部11aに圧接状態になり、リング部材39と各突出部11aとの間に発生する摩擦力によって上記回転体3と上記チャック10とが一体に回転するようになっている。
そして、図6に示すように、上記回転体3と上記チャック10とが一体に回転している状態において、上記チャック10の3つの爪部材12でワークW1を把持する一方、上記グリッパ1における各トップジョウ36のワークW1の挟持状態を解除することにより、上記グリッパ1が挟持するワークW1を上記チャック10に受け渡すことができるようになっている。
次に、回転状態のチャック10に対するグリッパ1に挟持したワークW1の受け渡しについて詳述する。
まず、図4に示すように、産業用ロボットRは、アーム先端R1に取り付けられたグリッパ1の各トップジョウ36でチャック10に受け渡すワークW1を挟持するとともに、アーム先端R1を回転体3の回転軸心C1がチャック10の回転軸心C2と同方向に向く姿勢にしてチャック10に接近させる。このとき、例えば、常時回転している外部回転ユニット14に回転体3の外周部分を接触させることにより、予め回転体3を回転軸心C1周りに回転させておいてもよい。
次に、アーム先端R1を回転軸心C1に沿ってチャック10に接近させる。すると、図5に示すように、各嵌合ピン4が各嵌合穴13に嵌合してグリッパ1の回転軸心C1とチャック10の回転軸心C2とが一致する。
上記回転体3の回転軸心C1と上記チャック10の回転軸心C2とが一致した状態でさらにアーム先端R1をチャック10に接近させると、図5に示すように、リング部材39が工作機械M1の各突出部11aに接触する。
さらに、アーム先端R1を上記チャック10に接近させると、リング部材39が各コイルバネ38の付勢力に抗してアーム先端R1側に移動しながら各突出部11aを押圧する。すると、回転体3に対して回転状態のチャック10における各突出部11aが摺接することにより発生する動摩擦力によって回転体3に対して回転方向に力が加わる。その後、各突出部11aに対するリング部材39の圧接力が高まるにつれて回転体3と各突出部11aとの間の動摩擦力も次第に高まって回転体3の回転数が徐々に上がっていき、最終的に、各突出部11aが回転体3に対して摺接しなくなって回転体3とチャック10とが一体に回転する。しかる後、図6に示すように、チャック10の各爪部材12がワークW1を把持するとともに、グリッパ1の各トップジョウ36がワークW1の挟持状態を解除することで、ワークW1の受け渡しが終了する。このように、本発明の実施形態1によると、グリッパ1に設けられた嵌合ピン4によってグリッパ1における回転体3の回転軸心C1を回転状態のチャック10の回転軸心C2に一致させることができ、さらには、グリッパ1側に制御部が無い場合であってもグリッパ1における回転体3とチャック10とを同一速度の回転で同期させることができるので、ワークW1に傷や変形を発生させることなくスムーズにワークW1を受け渡すことができる。また、グリッパ1における回転体3の回動動作に工作機械M1の駆動源以外の駆動源を必要としないので、グリッパ1を低コストな構造にできる。
また、アーム先端R1をチャック10に接近させる動作時において嵌合ピン4及び嵌合穴13によってチャック10に対する回転体3の位置が決まるようになるので、アーム先端R1のチャック10に対する接近動作時にかかる時間を利用して回転体3の回転軸心C1をチャック10の回転軸心C2に一致させることができ、ワークW1の受け渡しに掛かる時間を短縮することができる。
また、各嵌合ピン4はグリッパ1のベース体2に、各嵌合穴13は工作機械M1のチャック10を除く部分にそれぞれ設けられており、回転していない部分を利用してチャック10に対する回転体3の位置決めを行うので、回転体3のチャック10に対する位置決め時において回転動作を起因とした回転体3の変形や破損を防ぐことができ、グリッパ1の故障を少なくすることができる。
また、チャック10に対する回転体3の位置決めを各嵌合ピン4及び各嵌合穴13で行うので、簡単な構造で回転体3の回転軸心C1をチャック10の回転軸心C2に一致させることができ、低コストなグリッパ1にできる。
また、リング部材39が各突出部11aに接触した際、各コイルバネ38の付勢力に抗してリング部材39が工作機械M1の反対側に移動するようになるので、リング部材39と各突出部11aとの接触時に発生する衝撃が吸収され、グリッパ1に発生する故障を少なくすることができる。
また、リング部材39はリング状をなしているので、リング部材39が各突出部11aに接触した際、リング部材39が各突出部11aを押圧する際の反力が回転体3に対して当該回転体3の回転軸心C1周りに均等に加わり易くなる。したがって、チャック10の回転力が効率良くグリッパ1の回転体3に伝わるようになり、ワークW1の受け渡しをする際、チャック10とグリッパ1の回転体3とをスムーズに一体に回転させることができる。
また、グリッパ1のベース体2はリング状をなし、その内方の位置において回転体3を回転可能に支持しているので、グリッパ1の回転軸心C1に沿う方向の寸法が短くなり、コンパクトなグリッパ1にすることができる。
また、回転体3を支持する支持フレーム22とアーム先端R1に固定されたベースプレート21との間にゴム部材25が介在しているので、各嵌合ピン4及び各嵌合穴13によりチャック10に対する回転体3の位置を決める際、又は、リング部材39が各突出部11aに圧接する際、チャック10に対して回転体3が僅かに傾いていたとしても、ゴム部材25の収縮動作によってチャック10に対する回転体3の傾きが矯正されるようになる。したがって、グリッパ1及び工作機械M1に無駄な負荷を掛けることなくチャック10の回転軸心C2に対して回転体3の回転軸心C1を一致させることができる。
《発明の実施形態2》
図7は、本発明の実施形態2に係るグリッパ1の位置決め手段を示す。この実施形態2では、位置決め手段が嵌合ピン4の如きピン形状では無い点と、基準部が嵌合穴13の如き穴形状では無い点とが実施形態1と異なっているだけで、その他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを詳細に説明する。
実施形態2の工作機械M1には、チャック10の回転軸心C2に沿って延びる板部材15が上記回転軸心C2周りに3つ設けられ、上記各板部材15の外側の平坦面15aが本発明の基準部を構成している。
また、実施形態2のグリッパ1において、両張出板部23aに形成された4つの螺合穴21bのうちの3つの螺合穴21bに対応する位置には、回転軸心C1に沿って上記アーム先端R1から離れるように延びる細長い板バネ部材4a(位置決め手段)が固定され、各板バネ部材4aは、上記各板部材15に対応した位置となっている。
そして、回転状態のチャック10に上記アーム先端R1を接近させた際、上記各板バネ部材4aの先端部分が上記各板部材15の平坦面15aにそれぞれ摺接して上記回転体3の回転軸心C1と上記チャック10の回転軸心C2とが一致するようになっている。
以上より、本発明の実施形態2によると、チャック10に対してグリッパ1の位置決めを行う際、各板バネ部材4aが各平坦面15aに接触して板バネ部材4aが撓むと、撓んだ各板バネ部材4aの復元力が回転体3に対して加わって回転体3の回転軸心C1がチャック10の回転軸心C2に近づくようになるので、回転体の回転軸心C1及びチャック10の回転軸心C2を精度良く一致させることができる。
《発明の実施形態3》
図8は、本発明の実施形態3に係るグリッパ1の位置決め手段を示す。この実施形態3では、基準部が実施形態1の如き嵌合穴13ではなくて実施形態2の如き板部材15の平坦面15aであるとともに、板部材15が回転軸心C2周りに3つ設けられている点と、嵌合ピン4が上記各板部材15に対応するように3つ設けられ、回転状態のチャック10に上記アーム先端R1を接近させた際、上記各嵌合ピン4における先端部分の外周面が上記各板部材15の平坦面15aにそれぞれ摺接して上記回転体3の回転軸心C1と上記チャック10の回転軸心C2とを一致させている点とが実施形態1と異なっているだけで、その他は実施形態1と同じであるため、以下、詳細な説明を省略する。
以上より、本発明の実施形態3によると、工作機械M1の基準部を平坦な形状に変えても実施形態1と同様の効果を得ることができる。
《発明の実施形態4》
図9は、本発明の実施形態4に係るグリッパ1とチャック10とを示す。この実施形態4では、受け渡しを行うワークW1の形状、圧接手段30の構造、嵌合ピン4の構造及び工作機械M1の一部構造が実施形態1と異なっているだけで、その他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを詳細に説明する。
実施形態4において受け渡しを行うワークW1は、内部に中心孔W2を有する円筒状をなしている。
また、実施形態4のリング部材39は、筒中心線が回転軸心C1に一致する円筒状の押圧部39bを備え、該押圧部39bには、回転軸心C1に沿って延びてその両端が開口するピン挿通孔39cが回転軸心C1上に形成されている。
上記押圧部39bの基端側開口周縁には、径方向外側に放射状に延びる3つの延出部39dが形成され、該各延出部39dの延出端側が上記各スライド棒37におけるアーム先端R1の反対側に固定されている。
上記押圧部39bは、その先端側から上記ワークW1の中心孔W2に挿入可能となっていて、当該中心孔W2に挿入した状態で先端部分が上記中心孔W2の開口部分から飛び出すようになっている。
実施形態4の嵌合ピン4は、回転軸心C1上に位置し、且つ、上記非回転プランジャ29に固定され、上記回転プランジャ32の内方を通過して先端側が上記フロントカバー34の中央部分から飛び出している。すなわち、回転体3は、上記嵌合ピン4の周りを回転するようになっている。
上記嵌合ピン4は、上記回転軸心C1上に設けられた棒部材41を備えている。該棒部材41は、上記押圧部39bのピン挿通孔39cにスライド可能に嵌挿されていて、その先端側には、テーパ状のガイド面41aが形成されている。
上記棒部材41には、その先端に開口するネジ取付穴41bが形成され、該ネジ取付穴41bには、ボルト41cが螺合している。
上記棒部材41の先端側には、図9及び図10に示すように、上記回転体3の回転軸心C1周りに等間隔に分割された4つの分割部42aからなる円筒体42が設けられ、上記各分割部42aの内側には、上記ガイド面41aに摺接可能に接する湾曲面42bが形成されている。
また、各分割部42aの外周面中途部には、回転軸心C1周りに延びる幅広の凹状溝42cがそれぞ形成され、隣り合う分割部42aの凹状溝42cは互いに対応する位置となっている。
上記各凹状溝42cには、上記回転軸心C1周りに螺旋状に延びるコイルバネ43(付勢手段)が嵌合され、該コイルバネ43は、上記各分割部42aを上記回転軸心C1側に付勢している。
実施形態4のチャック10には、支持軸収容孔10aが回転軸心C2上に形成され、該支持軸収容孔10aには、回転支持軸16が収容されている。
該回転支持軸16の外周面と上記支持軸収容孔10aの内周面との間には、一対のベアリングB3が回転軸心C2の延長方向に所定の間隔をあけて取り付けられ、上記チャック10は、上記回転支持軸16周りに回転するようになっている。
上記回転支持軸16は、チャック10の前面側に開口する収容凹部16aが形成され、該収容凹部16aには、位置決め用穴17aを有する有底円筒状のピン受止部材17がその開口部分をチャック10の前面側に向けた姿勢で収容されている。
上記位置決め用穴17aは、上記回転軸心C2上に設けられ、且つ、当該回転軸心C2に沿って開口している。
また、上記収容凹部16aには、上記ピン受止部材17をチャック10の前面側に付勢するコイルバネ18が収容されている。
そして、回転状態のチャック10に上記アーム先端R1を接近させると、図9及び図11に示すように、上記円筒体42が位置決め用穴17aに挿入されるとともに当該位置決め用穴17aの底面に接触するようになっている。すると、ピン受止部材17がコイルバネ18の付勢力に抗してアーム先端R1から離れる方向に移動するとともに、円筒体42における各分割部42aの湾曲面42bが棒部材41のガイド面41aに対して摺接することにより、円筒体42の各分割部42aが棒部材41の基端側にガイド面41aによって案内されながらコイルバネ43の付勢力に抗して回転体3の回転軸心C1から離れる方向に移動して位置決め用穴17aの内周面17b(基準部)に圧接するようになっている。上記位置決め用穴17aの内周面17bに対して各分割部42aの位置が決まると、棒部材41が上記各分割部42aの湾曲面42bに摺接しながら移動することにより回転体3の回転軸心C1がチャック10の回転軸心C2に近づくようになるので、回転体3の回転軸心C1をチャック10の回転軸心C2に精度良く一致させることができるようになっている。
また、上記円筒体42を上記位置決め用穴17aに嵌合させた状態で回転状態のチャック10にアーム先端R1をさらに接近させると、リング部材39の押圧部39bが上記チャック10の各爪部材12を除く部分を押圧するようになっている。その後、さらに回転状態のチャック10にアーム先端R1を接近させると、各コイルバネ38の付勢力によってリング部材39の押圧部39bが上記チャック10の各爪部材12を除く部分に圧接状態になり、リング部材39の押圧部39bと上記チャック10の各爪部材12を除く部分との間の摩擦力によって上記回転体3と上記チャック10とが一体に回転するようになっている。
そして、上記チャック10の3つの爪部材12でワークW1を把持する一方、上記グリッパ1における各トップジョウ36のワークW1の挟持状態を解除することにより、上記グリッパ1が挟持するワークW1を上記チャック10に受け渡すことができるようになっている。
このように、本発明の実施形態4では、回転状態のチャック10に上記アーム先端R1を接近させた際、グリッパ1に設けられた1つの嵌合ピン4によってチャック10の回転軸心C2に対して回転体3の回転軸心C1を精度良く一致させることができる。
《発明の実施形態5》
図12及び図13は、本発明の実施形態5に係るグリッパ1とチャック10とを示す。この実施形態5では、位置決め手段の構造、圧接手段の構造及び工作機械M1の一部構造が実施形態1と異なっているだけで、その他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを詳細に説明する。
実施形態5において受け渡しを行うワークW1は、内部に中心孔W2を有する円筒状をなしている。
実施形態5には、実施形態1の如き嵌合ピン4は無く、上記フロントカバー34の中央部分に位置決め棒5(位置決め手段)が1つ設けられている。
該位置決め棒5は、その基端部分が上記フロントカバー34に固定され、上記回転体3と上記回転軸心C1周りに一体に回転するようになっている。つまり、実施形態5の位置決め手段は、回転体3に設けられている。
また、上記位置決め棒5は、上記各トップジョウ36に挟持された状態のワークW1の中心孔W2に嵌挿されるようになっている。
さらに、上記位置決め棒5の先端部分には、内周面がテーパ状をなす係合穴5aが形成され、該係合穴5aの内周面5bが本発明の圧接手段を構成している。
実施形態5のチャック10には、ピン収容孔10bが回転軸心C2上に形成され、該ピン収容孔10b内周面の中途部には、回転軸心C2周りに延びる外側環条突条部10cが形成されている。
上記ピン収容孔10bには、略ペン形状をなす基準ピン6(基準部)が回転軸心C2に沿う方向にスライド可能に収容され、該基準ピン6の外周面は、上記外側環条突条部10cの突出面に摺接可能に接している。
また、上記基準ピン6は、上記チャック10と回転軸心C2周りに一体に回転するようになっている。
さらに、上記基準ピン6の先端側外周面には、上記係合穴5aの内周面に対応するテーパ面6a(基準部)が形成されている。
それに加えて、上記基準ピン6外周面の中途部には、回転軸心C2周りに延びる内側環条突条部6bが形成され、該内側環条突条部6bは、外側環条突条部10cよりアーム先端R1の反対側に位置している。
上記ピン収容孔10bにおける上記基準ピン6の基端側には、コイルバネ7が収容され、該コイルバネ7は、上記基準ピン6をチャック10の前面側に付勢している。
そして、図12及び図13に示すように、回転状態のチャック10に上記アーム先端R1を接近させて上記位置決め棒5の係合穴5aに基準ピン6の先端部分を嵌合させると、基準ピン6のテーパ面6aが係合穴5aのテーパ状をなす内周面5bに案内されることにより、回転体3の回転軸心C1がチャック10の回転軸心C2に一致するようになっている。そして、さらにアーム先端R1をチャック10に対して押し込むと、基準ピン6のテーパ面6aに対して係合穴5aの内周面5bが摺接することにより発生する動摩擦力によって回転体3に対して回転方向に力が加わるようになっている。その後、係合穴5aの内周面5bに対する基準ピン6のテーパ面6aの圧接力が高まるにつれて係合穴5aの内周面5bと基準ピン6のテーパ面6aとの間の動摩擦力も次第に高まって回転体3の回転数が徐々に上がっていき、最終的に、チャック10がグリッパ1の回転体3に対して摺接しなくなってチャック10とグリッパ1の回転体3とが一体に回転するようになっている。
そして、上記チャック10の3つの爪部材12でワークW1を把持する一方、上記グリッパ1における各トップジョウ36のワークW1の挟持状態を解除することにより、上記グリッパ1が挟持するワークW1を上記チャック10に受け渡すことができるようになっている。
このように、本発明の実施形態5によると、チャック10に対する回転体3の位置決めとチャック10に対する回転体3の圧接とを同一部品で行えるようになるので、部品点数を減らして低コストなグリッパ1にできる。
尚、本発明の実施形態1〜5では、グリッパ1を産業用ロボットRのアーム先端R1に取り付けて使用しているが、これに限らず、例えば、グリッパ1を自動機等に取り付けて使用してもよい。
また、本発明の実施形態1〜5では、ガイド溝31dが回転軸心C1周りに3つ設けられているが、回転軸心C1周りに2つだけ設けた構造であってもよいし、4つ以上設けた構造であってもよい。