現在の日本における地上デジタル放送方式であるISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式では、変調方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)を用いており、OFDMフレームの所定の周波数キャリア・シンボルにパイロット信号を割り当て、受信側では、このパイロット信号の受信状態から伝送路特性(伝送路応答)を算出し、データを正確に受信できるように構成されている(非特許文献1)。
一方、地上波によるスーパーハイビジョン放送等を想定した次世代地上デジタル放送方式(以下、次世代地上伝送方式ということもある。)では、伝送容量の拡大のために、多様な変調方式や新しい伝送方式の導入が検討されており、特に、送信側・受信側で共に複数のアンテナを利用するMIMO(Multi-Input Multi-Output)伝送方式や、送信側が複数のアンテナを使用し、受信側が一つのアンテナを使用するMISO(Multi-Input Single-Output)伝送方式が、精力的に研究されている。
MIMO伝送方式やMISO伝送方式では、各送信アンテナから受信アンテナまでの伝送路特性を個別に、できるだけ正確に推定する必要がある。そこで、直交化したパイロット信号を利用し、各送信アンテナから送信されるOFDM信号毎にパイロット信号を異ならせ、受信信号から各伝送路の特性を算出することが行われている。以下、送信アンテナ2本、受信アンテナ2本の2×2MIMO伝送方式を例として、その原理を簡単に説明する。
各送信アンテナから到来する信号の伝送路特性を個別に推定するため、既知のSP(Scattered Pilot)信号を利用する。送信アンテナをTx1,Tx2とし、受信アンテナをRx1,Rx2とする。Tx1とTx2から送信する2系列のSP信号を異ならせるため、Tx2から送信される一部のSP信号を符号反転し、Tx1のSP信号と直交するSP信号を送信する。
図5に、Tx1とTx2の2系統から送信する各OFDM信号における従来のパイロット信号の配置を示す。図5(A)に示すTx1側のSP信号の配置は、ISDB−Tと同じであり、キャリア(周波数)方向に12キャリアごとに、シンボル(時間)方向には4シンボルごとにSP信号が配置されている。図で、白い四角はデータシンボルを示し、斜め方向のハッチングの四角は通常(係数+1)のSP信号を示している。なお、OFDMフレームの端部のキャリアには、連続するCP(Continual Pilot)信号が配置されている。
図5(B)に、Tx2側のパイロット信号の配置を示す。SP信号及びCP信号の位置はTx1と同じであるが、一つ置きのSP信号が符号反転している。図5(B)で、斜め方向のハッチングの四角が通常(係数+1)のSP信号を示し、クロスハッチングの四角が、符号反転(係数−1を乗算)したSP信号を示す。なお、OFDMフレームの端部のキャリアには、Tx1と同一の連続するCP信号が配置されている。
受信アンテナRx1,Rx2では、送信アンテナTx1とTx2から送信された信号が混ざって受信されるため、SP信号もTx1とTx2のSP信号が混ざって受信される。そこで、SP信号とそれに隣接するSP信号を組み合わせて、Tx1からの伝送路特性とTx2からの伝送路特性を個別に推定する。ここでは、周波数方向に隣接するSP信号を組み合わせて伝送路特性を推定する。なお、時間方向に隣接するSP信号を組み合わせても、斜め方向に隣接するSP信号を組み合わせても、同様に計算可能である。
周波数方向に隣接するSP信号は、同一のシンボル行において、周波数(キャリア)方向に12キャリア離れているから、Tx1側のSP信号をP1(l,k)、P1(l,k+12)とし、Tx2側のSP信号をP2(l,k)、P2(l,k+12)とすると、P2(l,k+12)のみを符号反転するから、(1)式が成り立つ。ここで、lはシンボル番号、kはキャリア番号である。
送信アンテナTx1から受信アンテナRx1までの伝送路特性(伝送路応答)をh11、送信アンテナTx2から受信アンテナRx1までの伝送路特性(伝送路応答)をh12とすると、Rx1における受信信号R1(l,k)、R1(l,k+12)は、次式(2)で与えられる。
ここで、キャリアkとキャリア(k+12)との周波数間隔が狭く、伝送路特性が等しいと仮定すると、h11(l,k) = h11(l,k+12)、h12(l,k) = h12(l,k+12)が成り立つから、この仮定と(1)式及び(2)式から、次式(3)が導かれる。
(3)式を解いて、受信アンテナRx1についての伝送路特性が、次式(4)で求められる。
送信アンテナTx1とTx2から、受信アンテナRx2までの伝送路特性についても、同様に求めることができる。(非特許文献2、特許文献1)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1としての送信装置について説明する。図1は、送信装置の一例を示すブロック図である。この送信装置10は、いわゆるOFDM送信装置であり、誤り訂正符号化部11、マッピング部12、時空間符号化部13、OFDMフレーム構成部14,15、パイロット信号生成部16、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部17,18、及び送信アンテナTx1,Tx2を備えている。本発明の送信装置10は、MIMO伝送方式又はMISO伝送方式を行うものであり、OFDMフレーム構成部14,15、IFFT部17,18、及び送信アンテナTx1,Tx2は、送信系統に対応して少なくとも2系統備えている。
誤り訂正符号化部11は、送信装置10により送信されるデータ(例えば、映像信号のTS(トランスポートストリーム)等)を入力し、誤り訂正符号化処理を行い、符号化したデータをマッピング部12に出力する。誤り訂正符号としては、RS符号、畳み込み符号、ターボ符号、LDPC(Low Density Parity Check)符号等が用いられる。なお、誤り訂正符号化処理を行う際に、エネルギー拡散、及びインターリーブ等の処理を必要に応じて行っても良い。
マッピング部12は、誤り訂正符号化部11で誤り訂正符号化されたデータを入力とし、所定の変調方式によりIQ平面にマッピングしてデータキャリア変調を行う。マッピングしたデータを時空間符号化部13に出力する。変調方式としては、ISDB-Tで利用されていたQPSK(Quadrature Phase shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAMに加え、次世代地上伝送方式では、256QAM、1024QAM、4096QAM等を用いても良い。
時空間符号化部13は、マッピング部12でマッピングされたデータを入力とし、時空間符号化処理を行い、時空間符号化したデータを2系統に分け、それぞれの送信系統のOFDMフレーム構成部14,15に出力する。時空間符号化処理としては、例えば、時空間ブロック符号化(STBC:Space Time Block Coding)や、空間周波数ブロック符号(SFBC:Space Frequency Block Coding)が利用される。
OFDMフレーム構成部(第1と第2のOFDMフレーム構成部)14,15は、時空間符号化部13で時空間符号化されたデータを入力とし、これにパイロット信号(パイロットキャリア)及びTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control、制御情報キャリア)等を加えて、OFDMの伝送フレームを構成する。OFDMフレーム構成部14,15は、送信系統毎に備えられており、それぞれの系統のIFFT部17,18に、生成したOFDMフレーム信号を出力する。パイロット信号(SP信号、CP信号)は、パイロット信号生成部16から入力され、TMCCは、図示しないTMCC生成部で各種伝送パラメータに基づいて生成されて、入力される。OFDMフレーム構成部14,15が生成するそれぞれのOFDMフレームについては後述する。なお、後述のパイロット信号に所定の係数を乗算する処理は、OFDMフレーム構成部14,15で行っても良いし、また、パイロット信号生成部16で行っても良い。
パイロット信号生成部16は、パイロット信号(SP信号、CP信号)を生成し、OFDMフレーム構成部14,15に出力する。パイロット信号は、例えば、PRBS(Pseudo-random bit sequence:擬似ランダム・ビット・シーケンス)発生回路の出力Wiに対し、OFDMセグメントのキャリア番号iに相当するWiに関係付けられたBPSK(Binary Phase shift Keying)信号として生成する。なお、後述するパイロット信号に係数を乗算する処理は、パイロット信号生成部16で行っても良く、OFDMフレーム構成部14とOFDMフレーム構成部15に対して、係数を乗算したSP信号、CP信号を供給しても良い。OFDMフレーム構成部14,15とパイロット信号生成部16のどちらで乗算処理を行っても、技術的には等価である。
IFFT部17,18は、OFDMフレーム構成部14,15から出力されるOFDMフレーム信号を入力とし、周波数領域のOFDM信号を逆高速フーリエ変換し、時間領域のOFDM信号を生成する。その後、図示しないが、GI(ガードインターバル)を付加し、ベースバンドの周波数を所定周波数帯のRF(Radio Frequency)に周波数変換する等の処理を行い、それぞれのOFDM信号は、送信系統毎に送信アンテナTx1,Tx2を介して放送波として送信される。
OFDMフレーム構成部14,15が生成するそれぞれのOFDMフレームについて、図を用いて説明する。図2は、符号反転方式で生成した直交パイロット信号を使用する例である。ここでは、既存の地上デジタル放送におけるパイロットキャリアの配置をそのまま利用し、データキャリア、パイロットキャリア等により伝送フレームを構成した例に基づいて説明するが、パイロット信号の配置は、これに限られるものではない。
図2(A)に、第1の送信系統(1系と呼ぶことがある)のOFDMフレーム構成部14が生成した、データシンボルとパイロット信号の配置の例を示す。時間方向補間後のキャリア間隔をDx,シンボル間隔をDyとしたとき、図は、Dx=3,Dy=4の例である。次世代地上伝送方式では、パイロット信号の配置(Dx,Dyの組合せ)が多数準備され、選択可能となる。なお、パイロット信号の配置は階層ごとに指定することが可能である。
図2(A)のOFDMフレームでは、SP信号が、キャリア(周波数)方向に12キャリアごとに、シンボル(時間)方向には4シンボルごとに配置されている。シンボル(時間)方向に1シンボルずれた行では、前の行よりもキャリア(周波数)方向にDx(3キャリア)ずれてSP信号が配置されている。また、OFDMフレームの端部(右端)のキャリアには、連続するCP(Continual Pilot)信号が配置されている。図5と同様に、白い四角はデータシンボルを示し、斜め方向のハッチングの四角は通常(係数+1を乗算)のパイロット信号を示している。
これに対し、第2の送信系統(2系と呼ぶことがある)のOFDMフレーム構成部15は、1系のOFDMフレームと同じパイロットキャリアの配置を利用するが、所定位置のパイロットキャリアを符号反転(位相反転)させて、伝送フレームを構成する。すなわち、2系のパイロット信号は、1系のパイロット信号に係数+1あるいは−1を乗じたものとする。
図2(B)に、2系のデータシンボルとパイロット信号の配置の例を示す。図で、白い四角はデータシンボルを示し、斜め方向のハッチングの四角は通常(1系のパイロット信号に係数+1を乗算)のパイロット信号を示しており、クロスハッチングの四角が、符号反転(1系のパイロット信号に係数−1を乗算)したパイロット信号を示している。図2(B)のOFDMフレームのパイロット信号配置は、1系のパイロット信号配置と同じであり、SP信号が、キャリア(周波数)方向に12キャリアごとに、シンボル(時間)方向には4キャリアごとに配置されており、シンボル(時間)方向に1シンボルずれた行では、前の行よりもキャリア(周波数)方向にDxずれてSP信号が配置されている。
図で、OFDMフレームの先頭(第1行)、左端(第1列)のキャリアのシンボルを通常(係数+1を乗算)とし、第2行第4列のシンボルを反転(係数−1を乗算)し、第3行第7列のシンボルを通常(係数+1を乗算)とし、第4行第10列のシンボルを反転(係数−1を乗算)する。そして、このOFDMフレームの先頭・左端のキャリアを含むキャリア−シンボル空間(4行12列)を基本ブロックとして、キャリア方向及びシンボル方向に基本ブロック単位で符号を交互に反転させて繰り返す。この結果、図2(B)のように、シンボル方向、キャリア方向、さらに斜め方向において、SP信号が交互に位相反転する。
本発明では、さらに、CP信号についても、符号反転方式により直交したパイロット信号を用いる。図2(B)において、OFDMフレームの端部(右端)のキャリアに配置されているCP信号について、OFDMフレームの先頭からDy個のシンボルを通常(係数+1を乗算)とし、次のDy個のシンボルを反転(係数−1を乗算)させ、その後も、Dyシンボルごとに係数を切り替える。換言すれば、CP信号は、SP信号の符号反転の関係性(周期性)を維持するように、符号が決定される。これにより、CP信号を、2系のSP信号としても利用できるようにする。
図2(B)の先頭(第1行)のシンボルについてみると、右端のCP信号(+1)と右端から12キャリア左側にあるSP信号(−1)とは、所定間隔で周波数方向に隣接するSP信号の関係と同じであり、このCP信号とSP信号を組み合わせて伝送路特性を推定することができる。また、右端の列のみについてみると、先頭のCP信号(+1)と先頭からDy(=4)シンボル下のCP信号(−1)とは、所定間隔で時間方向に隣接するSP信号の関係と同じであり(左端の列のSP信号を参照)、このCP信号どうしを組み合わせて伝送路特性を推定することができる。さらに、先頭から5シンボル目のCP信号(−1)と、右端から4キャリア目の先頭から4シンボル目(右から4列目の4行目)のSP信号(+1)とは、所定間隔で斜め方向に隣接するSP信号の関係と同じであり、このCP信号とSP信号を組み合わせて伝送路特性を推定することができる。同様の斜め方向の隣接関係は、右から4キャリア目にある全てのSP信号とCP信号との間で成立し、これらから伝送路特性を推定することができる。
このように、本発明では、CP信号は、SP信号の符号反転(すなわち、乗算係数)の関係性(周期性)を維持するように、符号が決定され、SP信号としても利用できるから、実質的にSP信号を増加したことに相当し、従来よりも伝送路特性をより正確に推定することができる。また、従来、SP信号とCP信号とをそれぞれ別個に処理すると、処理が複雑化したが、本発明では、受信装置において、CP信号もSP信号と見なして一律に処理することができる(例えば、SP信号間で行っていた伝送路特性推定処理をCP信号の領域まで拡張して一括処理することができる)ので、処理の効率化を図ることができる。
次に、OFDMフレーム構成部14,15が生成するそれぞれのOFDMフレームについて、別の例を説明する。図3は、ヌル方式で生成した直交パイロット信号を使用する例である。第1の送信系統のOFDMフレーム構成部14は、例えば、図2のパイロットキャリアの配置をそのまま利用するが、所定位置のパイロットキャリアをヌルデータ(振幅0)として伝送フレームを構成する。
図3(A)に、1系のデータシンボルとパイロット信号の配置の例を示す。図は、Dx=3,Dy=4の例である。図で、白い四角はデータシンボルを示し、斜め方向のハッチングの四角は通常(係数+1を乗算)のパイロット信号を示しており、黒い四角が、ヌルデータ(係数0を乗算したパイロット信号)を示している。
図3(A)のOFDMフレームでは、SP信号が、キャリア(周波数)方向に12キャリアごとに、シンボル(時間)方向には4シンボルごとに配置されている。シンボル(時間)方向に1シンボルずれた行では、前の行よりもキャリア(周波数)方向にDx(3キャリア)ずれてSP信号が配置されている。また、OFDMフレームの端部(右端)のキャリアには、CP(Continual Pilot)信号が配置されている。
図3(A)で、OFDMフレームの先頭(第1行)、左端(第1列)のキャリアのシンボルを通常(係数+1を乗算)とし、第2行第4列のシンボルをヌルデータ(係数0を乗算)とし、第3行第7列のシンボルを通常(係数+1を乗算)とし、第4行第10列のシンボルをヌルデータ(係数0を乗算)とする。そして、このOFDMフレームの先頭・左端のキャリアを含むキャリア−シンボル空間(4行12列)を基準として、キャリア方向及びシンボル方向に、SP信号に係数+1(通常)と係数0(ヌル)を交互に乗算する。この結果、図3(A)のように、シンボル方向、キャリア方向、さらに斜め方向において、通常(係数+1を乗算)のSP信号とヌルデータ(係数0を乗算)のSP信号が交互に配置される。
本発明では、さらに、CP信号についても、ヌル方式により生成したパイロット信号を用いる。図3(A)において、OFDMフレームの端部(右端)のキャリアに配置されているCP信号について、OFDMフレームの先頭からDy個のシンボルを通常(係数+1を乗算)とし、次のDy個のシンボルをヌルデータ(係数0を乗算したパイロット信号)とし、その後、Dyシンボルごとに、CP信号に係数+1と係数0を交互に乗算する。これにより、CP信号は、通常(係数+1)のCP信号とヌルデータ(係数0)のCP信号がDyシンボルずつ繰り返される。
なお、図3(A)の配置は、図2(B)のパイロット信号のうち、符号反転(係数−1を乗算)されたパイロット信号を、ヌルデータ(係数0を乗算)のパイロット信号に置き換えたものに等しい。
第2の送信系統のOFDMフレーム構成部15は、1系のOFDMフレームと同じパイロットキャリアの配置を利用するが、通常(係数+1を乗算)のパイロット信号とヌルデータ(係数0を乗算)のパイロット信号について、係数(+1と0)を完全に入れ替えて、伝送フレームを構成する。図3(B)に、2系のデータシンボルとパイロット信号の配置の例を示す。図で、白い四角はデータシンボルを示し、斜め方向のハッチングの四角は通常(係数+1を乗算)のパイロット信号を示しており、黒い四角が、ヌルデータ(係数0を乗算したパイロット信号)を示している。
図3(B)のOFDMフレームでは、SP信号が、キャリア(周波数)方向に12キャリアごとに、シンボル(時間)方向には4キャリアごとに配置されており、シンボル(時間)方向に1シンボルずれた行では、前の行よりもキャリア(周波数)方向にDx(=3)ずれてSP信号が配置されている。図3(B)では、OFDMフレームの先頭(第1行)、左端(第1列)のキャリアのシンボルをヌルデータ(係数0を乗算)とし、これを基準に、シンボル方向、キャリア方向、さらに斜め方向において、ヌルデータ(係数0を乗算)のSP信号と通常(係数+1を乗算)のSP信号とが交互に配置される。
さらに、CP信号についても、ヌル方式により生成したパイロット信号を用いる。すなわち、2系においては、図3(B)のとおり、OFDMフレームの端部(右端)のキャリアに配置されているCP信号について、OFDMフレームの先頭からDy個のシンボルをヌルデータ(係数0を乗算したパイロット信号)とし、次のDy個のシンボルを通常(係数+1を乗算)とし、その後、Dyシンボルごとに、CP信号に係数0と係数+1を交互に乗算する。これにより、CP信号は、ヌルデータ(係数0)のCP信号と通常(係数+1)のCP信号がDyシンボルずつ繰り返される。
この結果、図3(B)のパイロット信号は、図3(A)のパイロット信号において、通常(係数+1を乗算)のパイロット信号と、ヌルデータ(係数0を乗算)のパイロット信号とについて、乗算係数(+1,0)を完全に置き換えたものに等しくなる。
このように、図3においても、CP信号は、SP信号の+1と0の係数乗算の関係性(周期性)を維持するように、通常のCP信号とヌルデータの配置が決定される。これにより、CP信号をSP信号としても利用できるようになる。1系と2系それぞれにおいて、CP信号と隣接するSP信号との符号関係(特に、斜め方向の隣接符号関係)は、他の隣接するSP信号の関係と同じであり、また、1系と2系で互いにSP信号(+1)とヌルデータ(0)が反対の関係になっている点も、CP信号において維持されている。これにより、CP信号とSP信号を組み合わせて伝送路特性を推定することができる。
本発明では、ヌル方式を採用した場合においても、CP信号は、SP信号の乗算係数の関係性(周期性)を維持するように、乗算係数(+1,0)が決定され、SP信号としても利用できるから、実質的にSP信号を増加したことに相当し、従来よりも伝送路特性をより正確に推定することができる。また、従来、SP信号とCP信号とをそれぞれ別個に処理すると、処理が複雑化したが、本発明では、受信装置において、CP信号もSP信号と見なして一律に処理することがきるので、処理の効率化を図ることができる。
なお、図2と図3のOFDMフレーム構造は、所定のシンボル(時間)間隔及びキャリア(周波数)間隔に分散して配置されるSP信号と、所定の周波数キャリアに連続的に配置されるCP信号とを含むOFDMフレームにおいて、少なくとも一方のOFDMフレームは、SP信号に対し、シンボル(時間)方向及びキャリア(周波数)方向に第1の係数と第2の係数を交互に乗算されているとともに、CP信号に対して、所定のシンボル(時間)間隔に対応する個数ごとに、第1の係数と第2の係数が交互に乗算されていると言うことができる。
上記の実施の形態1では、送信装置10の構成と動作について説明したが、本発明はこれに限らず、送信装置10に搭載される半導体チップであって、OFDMフレーム構成部14,15及びパイロット信号生成部16の機能を有するチップとして構成されてもよい。すなわち、送信装置に搭載され、所定のシンボル(時間)間隔及びキャリア(周波数)間隔に分散して配置されるSP信号と、所定の周波数キャリアに連続的に配置されるCP信号とを含むOFDMフレームを生成するチップにおいて、少なくとも、シンボル(時間)方向及びキャリア(周波数)方向に第1の係数と第2の係数を交互に乗算されたSP信号と、前記SP信号のシンボル(時間)間隔に対応する個数ごとに、第1の係数と第2の係数を交互に乗算されたCP信号を含むOFDMフレームを作成することができるチップとして構成されても良い。
このように、SP信号の符号(乗算係数)の関係性(周期性)を維持するように符号(乗算係数)が決定されているCP信号を含むOFDM信号を生成する送信装置のチップを構成することができる。
また、複数の送信系統を備え、2種類のOFDM信号を送信する送信装置に搭載されるチップにおいて、第1の係数と第2の係数が+1と−1であり、一方のOFDMフレームにおいて係数乗算を行い、他方のOFDMフレームでは係数乗算を行わないことができる。また、第1の係数と第2の係数が+1と0であり、2種類のOFDMフレームにおいて、対応する位置のSP信号又はCP信号に乗算する係数を反対とすることができる。
また更に、上記の実施の形態1では、送信装置10の構成と動作について説明したが、本発明はこれに限らず、複数の送信系統によりOFDM信号を送信する送信方法として構成されてもよい。すなわち、図1のデータの流れに従って、送信されるデータを誤り訂正符号化処理する工程と、誤り訂正符号化されたデータを所定の変調方式によりIQ平面にマッピングする工程と、マッピングされたデータに時空間符号化処理を行い、時空間符号化したデータを2系統に分ける工程と、各系統の時空間符号化したデータに基づいて、所定のシンボル(時間)間隔及びキャリア(周波数)間隔に分散して配置されるSP信号と、所定の周波数キャリアに連続的に配置されるCP信号とを含むOFDMフレームを生成する工程であって、少なくとも、シンボル(時間)方向及びキャリア(周波数)方向に第1の係数と第2の係数を交互に乗算されたSP信号と、前記SP信号のシンボル(時間)間隔に対応する個数ごとに、第1の係数と第2の係数を交互に乗算されたCP信号を含むOFDMフレームを作成する工程と、生成されたOFDMフレームの信号を逆高速フーリエ変換し、時間領域のOFDM信号を生成する工程とを備えた、複数の送信系統によりOFDM信号を送信する送信方法として構成されても良い。
このように、SP信号の符号(乗算係数)の関係性(周期性)を維持するように符号(乗算係数)が決定されているCP信号を含むOFDM信号を送信する送信方法を構成することができる。
上記のチップ及び送信方法によれば、MIMO伝送方式又はMISO伝送方式において、SP信号を増加させることなく、伝送路特性をより正確に推定することが可能なOFDM信号を生成できる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2による受信装置について説明する。
図4は、受信装置の構成の一例を示すブロック図である。この受信装置20は、複数系統のOFDM送信信号を受信できる受信装置であり、受信アンテナRx1,Rx2、FFT(Fast Fourier Transform)部21,22、伝送路特性推定部23、時空間復号部24、デマッピング部25、及び誤り訂正復号部26を備えている。ここでは、受信アンテナとFFT部が2系統の、MIMO伝送方式の受信装置について説明するが、受信系統が1系統のMISO伝送方式の受信装置も、同様に構成することができる。
受信装置20の受信アンテナRx1,Rx2が、図1の送信装置10により送信されたOFDM信号を受信すると、周波数変換や、GI(ガードインターバル)の除去処理等(図示せず)を行った後、受信信号をそれぞれFFT部21,22に出力する。ここで、受信した少なくとも一つの送信系統から送信されるOFDM信号は、シンボル(時間)方向及びキャリア(周波数)方向に第1の係数と第2の係数(例えば、+1と−1)を交互に乗算されたSP信号と、SP信号のシンボル(時間)間隔に対応する個数ごとに、第1の係数と第2の係数を交互に乗算されたCP信号を含んでいる。
FFT部21,22は、GIが除去されたOFDM信号を入力とし、時間領域のOFDM信号を高速フーリエ変換し、周波数領域のOFDM信号を生成して、伝送路特性推定部23および時空間復号部24に出力する。
伝送路特性推定部23は、FFT部21,22よりそれぞれ入力された周波数領域に変換されたOFDM信号から、パイロット信号(SP,CP)を抽出する。抽出されたパイロット信号の受信状態(受信強度、位相等)に基づいて各パイロット信号位置の伝送路特性(伝送路応答)を推定し、その後、補間処理等の適宜の方法でパイロット信号位置以外の全てのシンボル位置における伝送路特性を推定し、推定された伝送路特性を時空間復号部24に出力する。
本発明において、受信したCP信号は、SP信号の符号(乗算係数)の関係性(周期性)を維持するように符号(乗算係数)が決定されているから、伝送路特性の推定にあたっては、CP信号をSP信号としても利用する。すなわち、SP信号どうしの組み合わせのみならず、SP信号とCP信号を組み合わせて、複数の送信系統からの伝送路特性を推定する。なお、CP信号もSP信号と見なして一律に処理することが望ましい。
時空間復号部24は、伝送路特性推定部23から入力された伝送路特性と、FFT部21,22で周波数領域に変換されたOFDM信号に基づいて、OFDM信号のデータキャリア及び伝送路特性により時空間復号処理を行い、時空間復号したデータキャリア(シンボル)をデマッピング部25に出力する。時空間復号処理として、STBC等に対応した復号処理が行われる。
デマッピング部25は、時空間復号部24から時空間復号されたデータキャリア(シンボル)を入力とし、変調方式に対応したデマッピング(キャリア復調)を行い、処理結果を誤り訂正復号部26に出力する。変調方式として、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAM、4096QAM等が用いられる。
誤り訂正復号部26は、デマッピング部25でデマッピングされたデータを入力とし、送信側の誤り訂正符号化処理に対応した誤り訂正復号処理を行う。必要に応じて、デインターリーブ、エネルギー逆拡散等の処理を行っても良い。誤り訂正復号処理したデータを、受信装置の出力データとして出力する。
なお、実施の形態2の受信装置は、MIMO伝送方式の受信装置として説明したが、受信アンテナ、FFT部、伝送路特性推定部を1系統備える、MISO伝送方式に対応する受信装置であっても良い。
上記の実施の形態2では、受信装置20の構成と動作について説明したが、本発明はこれに限らず、受信装置20に搭載される半導体チップであって、伝送路特性推定部23の機能を有するチップとして構成されてもよい。すなわち、受信装置に搭載されるチップにおいて、少なくとも、シンボル(時間)方向及びキャリア(周波数)方向に第1の係数と第2の係数を交互に乗算されたSP信号と、前記SP信号のシンボル(時間)間隔に対応する個数ごとに、第1の係数と第2の係数を交互に乗算されたCP信号を含むOFDM信号を処理し、前記SP信号と前記CP信号を組み合わせて、前記複数の送信系統からの伝送路特性を推定することができるチップとして構成しても良い。また、受信装置に搭載されるチップにおいて、伝送路特性を推定する処理を、CP信号もSP信号と見なして一律に処理しても良い。
このように、SP信号の符号(乗算係数)の関係性(周期性)を維持するように符号(乗算係数)が決定されているCP信号を含むOFDM信号を受信する受信装置のチップにおいて、CP信号をSP信号としても利用し、伝送路特性を推定するチップを構成することができる。
また更に、上記の実施の形態2では、受信装置20の構成と動作について説明したが、本発明はこれに限らず、複数の送信系統から送信されるOFDM信号を受信し、伝送路特性の推定を行う受信方法として構成されてもよい。すなわち、図4のデータの流れに従って、複数の送信系統から送信されるOFDM信号を受信する工程と、受信したOFDM信号を高速フーリエ変換して周波数領域のOFDM信号を生成する工程であって、シンボル(時間)方向及びキャリア(周波数)方向に第1の係数と第2の係数を交互に乗算されたSP信号と、前記SP信号のシンボル(時間)間隔に対応する個数ごとに、第1の係数と第2の係数を交互に乗算されたCP信号を含んでいるOFDM信号を生成する工程と、前記SP信号と前記CP信号を組み合わせて、前記複数の送信系統からの伝送路特性を推定する工程と、推定された伝送路特性と周波数領域に変換されたOFDM信号に基づいて、時空間復号処理を行う工程と、時空間復号されたデータシンボルをデマッピング(キャリア復調)処理する工程と、デマッピングされたデータに対して誤り訂正復号処理を行う工程とを備えた、受信方法として構成されても良い。なお、受信方法における伝送路特性を推定する工程において、CP信号もSP信号と見なして一律に処理しても良い。
このように、SP信号の符号(乗算係数)の関係性(周期性)を維持するように符号(乗算係数)が決定されているCP信号を含むOFDM信号を受信する受信方法において、CP信号をSP信号としても利用し、伝送路特性を推定する受信方法を構成することができる。
本発明における受信装置、チップ、及び受信方法によれば、MIMO伝送方式又はMISO伝送方式において、CP信号をSP信号としても利用することにより、伝送路特性をより正確に推定することができる。
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。