以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における変位量計測装置について説明する。変位量計測装置は、火力、水力、原子力発電所などに設置される回転機械(タービン、発電機など)の回転体(ロータ)の計測対象面の変位量を計測するための装置である。本実施の形態においては、計測対象面が摺動面である例について説明する。摺動面とは、図示しない回転体軸受などの回転体の周囲の構造物と回転時に擦れる面をいう。
(第1の実施の形態)
まず、図1乃至図5を用いて、本発明の第1の実施の形態における変位量計測装置10について説明する。本実施の形態では、変位量計測装置10が測定時に回転機械1の回転体2に固定される例について説明する。
図1に示すように、変位量計測装置10は、ベースユニット20と、ベースユニット20に設けられた一対の固定ユニット30と、ベースユニット20に対して直線移動可能なテーブル50と、を備えている。テーブル50には、アーム機構60を介して変位計70が設けられている。
図1および図2に示すように、ベースユニット20は、一対の支持プレート21と、一対の支持プレート21を連結した一対のリニアガイド22(ガイド部材)と、を有している。一対のリニアガイド22は、互いに平行に延びており、テーブル50の直線移動を案内している。本実施の形態では、一対のリニアガイド22は、上下方向に沿うように配置されており、下側のリニアガイド22に、受台23を介して一対の固定ユニット30が取り付けられている。すなわち、本実施の形態による変位量計測装置10は、一対のリニアガイド22が上下方向に沿うように配置されて使用される。
一対のリニアガイド22の間には、ねじ軸24が設けられている。このねじ軸24は、リニアガイド22に平行に延びている。ねじ軸24には、テーブル50に設けられたテーブルナット51(後述)が螺合されている。
一対の支持プレート21のうちの一方の支持プレート21に、ねじ軸24を回転駆動するモータ25(駆動部)が取り付けられている。モータ25は、テーブル50を直線移動させるためのものである。当該一方の支持プレート21には、円板状の回転板26が回転可能に設けられており、この回転板26がモータ25の回転軸(図示せず)に連結されている。ねじ軸24は、この回転板26にキー(図示せず)によって連結されている。他方の支持プレート21には、装置軸受27が設けられており、この装置軸受27にねじ軸24が回転可能に支持されている。このような構成により、モータ25が駆動されるとねじ軸24が回転するようになっている。
一対のリニアガイド22は、テーブル50の側とは反対側において、ベースプレート28aによって連結されている。このベースプレート28aは、一方のリニアガイド22から他方のリニアガイド22に延びており、一対のリニアガイド22が、ベースプレート28aによって互いに連結されている。
ベースプレート28aと各リニアガイド22に、複数のリブ28b(補強部材)が連結されている。各リブ28bは、ベースプレート28aのテーブル50の側の面と、対応するリニアガイド22の内面(他方のリニアガイド22を向く面)とに連結されている。すなわち、上側のリブ28bは、ベースプレート28aと、上側のリニアガイド22の下面に連結されており、下側のリブ28bは、ベースプレート28aと、下側のリニアガイド22の上面に連結されている。
図1に示すように、上側のリニアガイド22には、把手29が設けられている。図1に示す形態では、2つの把手29が設けられている例が示されているが、把手29の個数は任意である。
本実施の形態では、上述した固定ユニット30は、回転機械1の回転体2に固定可能に構成されている。
より具体的には、図3に示すように、固定ユニット30は、回転体2を押圧する押圧ブロック31と、回転体2および押圧ブロック31に巻き掛けられたベルト32と、ベルト32に張力を付与する張力付与部33と、を有している。押圧ブロック31とベースユニット20の受台23との間には、固定プレート34が介在されている。ベルト32は、押圧ブロック31と固定プレート34との間を通っており、固定プレート34は、押圧ブロック31に取り外し可能になっている。本実施の形態では、固定プレート34の下面(押圧ブロック31の側の面)に、ベルト32が挿入されるベルト溝35が設けられているが、このベルト溝35は、押圧ブロック31の上面(固定プレート34の側の面)に設けられていてもよい。このような構成により、ベルト32に張力を付与することで、押圧ブロック31が回転体2を押圧し、固定ユニット30が回転体2に固定される。なお、張力付与部33には、例えばベルト荷締機を用いることが好適であるが、ベルト32に張力を付与して固定ユニット30を回転体2に対して固定可能であれば特に限られることはない。
図3に示すように、押圧ブロック31は、回転体2に当接する一対の当接面(第1当接面36a、第2当接面36b)を含んでいる。第1当接面36aは、第2当接面36bに向かって固定プレート34に近づくように固定プレート34に対して傾斜している。第2当接面36bは、第1当接面36aに向かって固定プレート34に近づくように固定プレート34に対して傾斜している。
押圧ブロック31は、第1ブロック分割体31aと、第2ブロック分割体31bと、を含んでいる。このうち第1ブロック分割体31aは、第1当接面36aを含んでおり、第2ブロック分割体31bは、第2当接面36bを含んでいる。第1ブロック分割体31aと第2ブロック分割体31bは、互いに離間している。
本実施の形態では、図3に示すように、固定ユニット30とベースユニット20との間に、調整機構40が設けられている。この調整機構40は、固定ユニット30とベースユニット20との間の寸法、すなわちベースユニット20の高さ、を調整可能に構成されている。
図4に示すように、調整機構40は、固定プレート34から上側(ベースユニット20の側)に延びる調整ボルト41と、調整ボルト41を固定プレート34に係止する係止部42と、を有している。調整ボルト41は、雄ねじが形成された雄ねじ部41aと、雄ねじ部41aの下端部に設けられた被係止部41bと、を含んでいる。このうち被係止部41bが、係止部42に回転可能に係止されており、調整ボルト41の上方(固定プレート34から離れる方向)への移動を規制している。
一方、下側のリニアガイド22に設けられた受台23に、Tスロット溝43が設けられている。Tスロット溝43は、ねじ軸24の軸方向に延びており、Tスロット溝43の断面形状はT字状に形成されている。このTスロット溝43に、Tナット44が挿入されて係合されている。Tナット44は、Tスロット溝43の断面形状に対応するようにT字状に形成されている。また、Tナット44は、調整ボルト41の雄ねじ部41aに螺合する雌ねじ部44aを含んでいるが、Tスロット溝43に係合しているため、調整ボルト41の回転によって回転することが規制されている。このため、調整ボルト41の回転に伴い、Tナット44を介してベースユニット20が上下方向に移動し、固定ユニット30とベースユニット20との間の寸法が調整可能になっている。
調整ボルト41には、回り止め部45が設けられている。この回り止め部45は、任意の位置で調整ボルト41に固定され、受台23を支持している。より具体的には、回り止め部45は、一対の割り部材45aによって構成されており、一対の割り部材45aで調整ボルト41を挟み、割り部材45a同士を締付ボルト46で締め付けることにより、回り止め部45を調整ボルト41に固定している。回り止め部45の位置を調整する場合には、締付ボルト46を緩めて、割り部材45aの位置を調整すればよい。各割り部材45aの互いに対向する面に、調整ボルト41の雄ねじ部41aに螺合可能な雌ねじ部(図示せず)が形成されていることが好適である。
図1および図2に示すように、テーブル50には、上述したねじ軸24に螺合したテーブルナット51が設けられている。また、テーブル50に、一対のガイドブロック52が設けられている。ガイドブロック52は、対応するリニアガイド22に対して、ねじ軸24の軸方向に直交する方向で嵌合するとともに、ねじ軸24の軸方向に沿って摺動可能になっている。このようにして、テーブル50が、リニアガイド22に案内されながら、ねじ軸24の回転によって直線移動するように構成されている。テーブル50の移動方向は、ねじ軸24の軸方向に沿うようになる。ガイドブロック52は、リニアガイド22と転がり接触を行う複数のボール(図示せず)を有し、各ボールが、リニアガイド22に図示しない付勢手段によって付勢されていることが好適である。この場合、リニアガイド22に対するテーブル50のガタツキを防止でき、変位計70の位置精度を向上させることができる。
図1に示すように、テーブル50と変位計70とは、アーム機構60によって連結されている。本実施の形態では、アーム機構60は、テーブル50の側に設けられた第1アーム部61と、第1アーム部61に連結され、変位計70の側に設けられた第2アーム部62と、を有している。
第1アーム部61は、上下方向に延びており、テーブル50に設けられた基部63に上下方向に移動可能に固定されている。すなわち、第1アーム部61は、基部63に締付ボルト64で締め付けて固定されている。この締付ボルト64を緩めることにより、第1アーム部61を上下方向に移動し、第1アーム部61の上下方向位置が調整可能になっている。
第1アーム部61の第2アーム部62の側の端部には、マグネットベース65が設けられている。マグネットベース65は、ノブ65aを含んでおり、ノブ65aを操作することでマグネットベース65の平坦状の吸着面65b(図5参照)に磁力を発生させたり、磁力を発生させないようにしたりすることが可能になっている。第2アーム部62の第1アーム部61の側の端部には、磁性を有するアームブロック部66が設けられている。このアームブロック部66は、マグネットベース65の吸着面65bに吸着可能な平坦状の被吸着面66a(図5参照)を含んでいる。マグネットベース65にアームブロック部66を吸着させる場合には、ノブ65aを操作して、マグネットベース65の吸着面65bに磁力を発生させる。一方、ノブ65aを操作してマグネットベース65の吸着面65bの磁力を消すと、アームブロック部66をマグネットベース65から離すことができる。このようにして、第1アーム部61に対する第2アーム部62の角度を調整することができる。
第2アーム部62には、変位計70を保持する変位計保持部67が設けられている。この変位計保持部67は、第2アーム部62にその長手方向に移動可能に固定されている。すなわち、変位計保持部67は、第2アーム部62にノブ68で締め付けて固定されている。このノブ68を緩めることにより、第2アーム部62をその長手方向に移動し、変位計保持部67の第2アーム部62の長手方向位置が調整可能になっている。また、変位計保持部67は、他の締付ボルト(図示せず)を緩めることにより、第2アーム部62の長手方向に対する角度を調整可能になっている。
図1に示すように、変位計70は、上述した変位計保持部67に保持されており、回転体2の摺動面3の変位量を計測する。本実施の形態では、変位計70が、摺動面3の輪郭に追従して接触する接触子71を有し、この接触子71の位置(回転体2の軸方向に直交する方向における位置)を検出することによって摺動面3の変位量を計測する接触式変位計の例が示されているが、これに限られることはない。また、変位計70により計測される変位量は、後述する健全面4を基準とした変位量とすることが好適であるが、これに限られることはない。
上述したモータ25は、制御ユニット80により制御されている。本実施の形態では、制御ユニット80は、制御部81と、表示部82と、を有している。このうち制御部81は、モータ25を制御するとともに、変位計70により計測された変位量を、計測点の軸方向位置情報と関連付けて収集し、記録するように構成されている。例えば、制御部81は、モータ25の回転量から計測点の軸方向位置情報を求めることができる。表示部82は、制御部81で記録された変位量を表示する。図1に示す形態では、制御部81は、モータ25および変位計70に配線接続されている例が示されているが、無線接続されていてもよい。
ところで、図5に示すように、ベースユニット20には、一対の距離センサ90が設けられている。距離センサ90は、変位量計測装置10が回転体2に固定された場合に、距離センサ90から回転体2の表面までの距離を計測する。これらの距離センサ90により計測された距離に基づいて、変位量計測装置10のテーブル50の移動方向(言い換えると、ねじ軸24の軸方向)が、回転体2の軸方向に沿っているか(言い換えると、平行であるか)否かを確認することができる。図5においては、距離センサ90は、各支持プレート21の固定ユニット30の側の端部に配置されている例が示されているが、上述した受台23に配置してもよく、任意である。また、一対の距離センサ90は、ねじ軸24の軸方向に沿うように配置されていることが好適である。すなわち、各距離センサ90を結ぶ線分がねじ軸24に平行になるように配置されていることが好適である。この場合、テーブル50の移動方向を回転体2の軸方向に容易に沿わせることができる。なお、距離センサ90は、制御部81に接続されており、距離センサ90により計測された距離は、表示部82で表示されるようになっている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、上述した変位量計測装置10を用いて、回転体2の摺動面3の変位量を計測する方法について説明する。なお、本実施の形態における摺動面3とは、回転体軸受などの構造物と半径方向で対向するラジアル摺動面を意味しているが、単に摺動面3と記す。
まず、図5に示すように、変位量計測装置10を、回転機械1の回転体2に固定する。
この場合、まず、押圧ブロック31の第1ブロック分割体31aと第2ブロック分割体31bとが回転体2の摺動面3の近傍に配置される。続いて、回転体2および各ブロック分割体31a、31bにベルト32が巻き掛けられる。次に、第1ブロック分割体31aおよび第2ブロック分割体31bに、固定プレート34が取り付けられる。続いて、張力付与部33によって、ベルト32に張力が付与される。ここで、固定ユニット30のブロック分割体31a、31bは、回転体2の摺動面3の両側に設けられた健全面4に配置されることが好ましい。健全面4とは、摺動面3に連続して、摺動面3と同一形状に精度良く加工された面であるが、周囲の構造物とは擦れない面である。
このようにして、固定ユニット30が回転体2に固定される。その後、固定ユニット30に、予め組み立てられたベースユニット20、テーブル50、アーム機構60および変位計70が取り付けられ、回転体2に固定された変位量計測装置10が得られる。なお、固定プレート34が取り付けられる前にベルト32に張力を付与するようにしてもよい。
変位量計測装置10が回転体2に固定された後、テーブル50の移動方向が回転体2の軸方向に沿っているか否かが確認される。すなわち、各距離センサ90により計測された回転体2までの距離にずれがある場合、テーブル50の移動方向が、回転体2の軸方向とずれる場合が考えられる。このため、各距離センサ90により計測される距離がずれないように変位量計測装置10を回転体2に固定することが好ましい。
より具体的には、各支持プレート21に設けられた距離センサ90により、距離センサ90から回転体2の健全面4までの距離が計測される。距離センサ90により距離を計測する計測対象面を、健全面4とすることにより、テーブル50の移動方向を回転体2の軸方向に精度良く沿わせることができる。各距離センサ90により計測される距離がずれている場合には、調整機構40によって固定ユニット30とベースユニット20との間の寸法が調整される。この場合、まず、回り止め部45の締付ボルト46が緩められる。続いて、調整ボルト41を回転させて、ベースユニット20の高さが調整される。次に、所望の高さ位置で締付ボルト46を締め付けて回り止め部45が固定される。その後、再び、距離センサ90により健全面4までの距離が計測される。このようにして、固定ユニット30とベースユニット20との間の寸法が調整され、テーブル50の移動方向を回転体2の軸方向に沿わせることができる。
ところで、距離センサ90の計測対象面を健全面4とすることができない場合には、回転体2の任意の面を計測対象面としてもよい。この場合、回転体2の設計寸法を加味することにより、テーブル50の移動方向が回転体2の軸方向に沿っているか否かを確認することができる。
テーブル50の移動方向を確認した後、摺動面3の変位量が計測される。
この場合、まず、アーム機構60の第1アーム部61および第2アーム部62の位置や角度を調整することにより、変位計70の接触子71を、回転体2の摺動面3の所望の位置に接触させる。
続いて、モータ25が駆動されて、ねじ軸24が回転する。このことにより、変位計70がテーブル50とともに回転体2の軸方向に沿って移動(走査)する。
この間、変位計70により摺動面3の変位量が計測される。変位計70が回転体2の軸方向に沿って移動するため、計測される変位量は、回転体2の軸方向に直交する断面で見たときの摺動面3の同一の周方向位置における変位量を表わす。
計測された変位量が、計測点の軸方向位置情報と関連付けられて、制御部81に収集され記録されるとともに、表示部82で表示される。このような変位量から、摺動面3の軸方向に沿う平坦度を評価することができる。一般的に摺動面3の輪郭は、回転体2の軸方向で異なる傾向を示し得るが、摺動面3の周方向では同じ傾向を示す。このことから、摺動面3の周方向における任意の一の位置での変位量を得ることで、摺動面3の軸方向に沿う平坦度を評価することができる。しかしながら、アーム機構60の第1アーム部61および第2アーム部62の位置や角度を調整することにより、摺動面3の周方向において互いに異なる複数の位置での変位量を得るようにしてもよい。この場合には、摺動面3の平坦度の評価精度を向上させることができる。
このように本実施の形態によれば、ベースユニット20に直線移動可能なテーブル50にアーム機構60を介して変位計70が設けられ、変位計70により計測された変位量が、計測点の軸方向位置情報と関連付けて収集されている。このことにより、回転体2の軸方向に沿う変位量を計測することができる。また、変位量計測装置10のベースユニット20が、固定ユニット30を介して回転機械1の回転体2に固定可能になっている。このことにより、回転機械1に設置された状態で回転体2の摺動面3の軸方向に沿う変位量を直接的に計測することができる。そして、従来のように型を用いることを不要にできる。このため、回転体2の摺動面3の変位量の計測時間を短縮させることができる。その結果、摺動面3の平坦度の評価を容易かつ迅速に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、固定ユニット30の押圧ブロック31と回転機械1の回転体2にベルト32が巻き掛けられ、このベルト32に張力が付与されている。このことにより、固定ユニット30を回転体2に容易かつ迅速に固定することができる。
また、本実施の形態によれば、ベルト32は、固定プレート34と押圧ブロック31との間を通り、固定プレート34と押圧ブロック31は、互いに取り外し可能になっている。このことにより、ベルト32を押圧ブロック31に容易に巻き掛けることができる。このため、固定ユニット30を回転体2に容易かつ迅速に固定することができる。
また、本実施の形態によれば、押圧ブロック31の一方の当接面36a、36bが、他方の当接面36a、36bに向かって、固定プレート34に近づくように固定プレート34に対して傾斜している。このことにより、各当接面36a、36bから回転体2に付与される押圧力の方向を異ならせることができ、固定ユニット30と回転体2とをより一層強固に固定することができる。
また、本実施の形態によれば、一対のリニアガイド22が、テーブル50の側とは反対側において、一方のリニアガイド22から他方のリニアガイド22に延びるベースプレート28aによって連結されている。このことにより、一対のリニアガイド22が上下方向に沿うように配置された場合、アーム機構60やテーブル50などの重量によって、ベースユニット20が撓むことを防止し、剛性を向上させることができる。このため、テーブル50の直線移動の精度を向上させることができ、変位量の計測精度を向上させることができる。とりわけ、本実施の形態によれば、ベースプレート28aとリニアガイド22とにリブ28bが連結されているため、ベースユニット20の剛性をより一層向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、調整機構40によって、固定ユニット30とベースユニット20との間の寸法が調整可能になっている。このことにより、テーブル50の移動方向を回転体2の軸方向に沿うようにベースユニット20の配置を調整することができる。このため、変位量の計測精度を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、アーム機構60が、テーブル50の側に設けられた第1アーム部61と、変位計70の側に設けられた第2アーム部62と、を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、回転体2の摺動面3の所望の位置に変位計70の接触子71を接触させることができれば、アーム機構60の構成は任意である。
(第2の実施の形態)
次に、図6および図7を用いて、第2の実施の形態における変位量計測装置について説明する。
図6および図7に示す第2の実施の形態においては、変位計が、計測対象面に対して接触子を進退させる進退機構を有している点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図6および図7において、図1乃至図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図6に示すように、変位計70が、回転体2の摺動面3に接触する接触子71と、摺動面3に対して接触子71を進退させる進退機構100と、を有している。
進退機構100は、シリンダ室101を有するハウジング102と、シリンダ室101に摺動可能に収容されたピストン103と、ピストン103を摺動面3の側に進出させる加圧部104と、ピストン103を摺動面3の側から退避させる退避ばね105と、を含んでいる。このうちピストン103には、接触子71が取り付けられている。接触子71は、加圧部104によって、摺動面3の輪郭に接触子71が追従することが可能になっている。
シリンダ室101は、供給ライン106を介して加圧部104に連通しており、加圧部104からシリンダ室101に加圧空気が供給されるようになっている。供給ライン106の途中位置に、三方弁107が設けられており、この三方弁107から、シリンダ室101内の加圧空気を排出する排出ライン108が延びている。この三方弁107によって、シリンダ室101は、加圧部104または排出ライン108に、選択的に連通されるようになっている。ピストン103には、シール部109が設けられており、加圧空気が供給されたシリンダ室101の圧力の低下防止を図っている。なお、加圧空気の圧力は、シリンダ室101内のピストン103を、退避ばね105の付勢力に抗して摺動面3の側に押圧可能な圧力値に設定される。三方弁107は、制御部81によって制御されており、制御部81からの指令を受けて駆動される。
本実施の形態による変位量計測装置10は、例えば、図7に示すように、摺動面3に周方向に延びる溝5が設けられている場合に好適である。このような溝5は、計測非対象の部位である。
この図7に示す摺動面3の変位量を計測する場合、モータ25を駆動させて、変位計70が回転体2の軸方向に沿って移動する。接触子71が摺動面3上に位置している間、三方弁107が、シリンダ室101を加圧部104に連通する状態に切り替えられる。このことにより、シリンダ室101に加圧空気が供給されて、接触子71が摺動面3の側に進出して摺動面3に接触する。
一方、接触子71が溝5上に位置している間、三方弁107が、シリンダ室101を排出ライン108に連通する状態に切り替えられる。このことにより、シリンダ室101内の加圧空気が排出ライン108に排出され、接触子71が摺動面3の側から後退する。
接触子71を回転体2の軸方向に沿って移動させている間、接触子71が摺動面3上に位置しているか、溝5上に位置しているかに応じて三方弁107が切り替えられる。このことにより、接触子71を溝5から退避させることができ、溝5が設けられた摺動面3の変位量を断続的に計測することができる。なお、制御部81には、摺動面3に設けられた溝5の位置が予め記録されており、制御部81は、この溝5の位置に基づいて三方弁107の切り替えを制御する。
このように本実施の形態によれば、変位計70は、回転体2の摺動面3に対して接触子71を進退させる進退機構100を有している。このことにより、摺動面3に計測非対象となる部位(例えば、溝5)がある場合には、当該部位から接触子71を退避させることができ、摺動面3の変位量を断続的に計測することができる。このため、回転体2の摺動面3の軸方向に沿う変位量の計測時間を短縮させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、供給ライン106に設けられた三方弁107を切り替えることにより、接触子71の進出と退避とを切り替える例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、排出ライン108を、供給ライン106を介することなくシリンダ室101に直接的に連通させて、供給ライン106および排出ライン108に切替弁をそれぞれ設けるようにしてもよい。
(第3の実施の形態)
次に、図8および図9を用いて、第3の実施の形態における変位量計測装置について説明する。
図8および図9に示す第3の実施の形態においては、固定ユニットが、ベースユニットを回転機械に磁力で固定する固定ブロックと、ベースユニットに固定された、固定ブロックに回動可能に固定されたベース側部材と、を有している点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図8および図9において、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図8に示すように、固定ユニット30は、ベースユニット20を回転機械1に磁力で固定する固定ブロック120を有している。本実施の形態では、固定ユニット30は、上述した押圧ブロック31、ベルト32、張力付与部33、固定プレート34などは有していない。また、調整機構40も設けられていない。なお、固定ユニット30は、ベースユニット20の各支持プレート21に固定されていることが好適であるが、このことに限られることはない。固定ユニット30は、ベースユニット20のうちの支持プレート21以外の部位に固定されていてもよい。また、ベースユニット20を回転機械1に対して固定可能であれば、固定ブロック120の個数は任意である。
固定ブロック120は、ノブ120aを含んでおり、ノブ120aを操作することで、固定ブロック120の平坦状の吸着面120bに磁力を発生させたり、磁力を発生させないようにしたりすることが可能になっている。固定ブロック120の吸着面120bは、回転機械1の回転体2の周囲に設置された磁性を有する構造物6に当接させ、当該吸着面120bに磁力を発生させることにより、固定ブロック120を当該構造物6に固定させることができる。一方、吸着面120bの磁力を消すと、固定ブロック120を構造物6から離すことができ、変位量計測装置10を移動させることができる。
図8に示すように、ベースユニット20には、ベース側部材121が固定されている。このベース側部材121は、磁力やボルトなどを用いた任意の方法で、ベースユニット20の支持プレート21に固定されている。
ベース側部材121は、固定ブロック120に回動可能に固定されている。より具体的には、固定ブロック120とベース側部材121は、締付ボルト122で締め付けて固定されている。固定ブロック120およびベース側部材121には、この締付ボルト122が貫通する孔(図示せず)がそれぞれ設けられている。この締付ボルト122を、取り外さずに緩めることにより、締付ボルト122を中心にして、ベース側部材121を固定ブロック120に対して回動させることができるように構成されている。
本実施の形態による変位量計測装置10は、回転体2の周囲の構造物6に固定することができるため、例えば、回転体2に固定することができない場合に好適である。そして、第1の実施の形態と同様にして、回転体2の摺動面3(より詳細にはラジアル摺動面)に変位計70の接触子71を接触させる。この際、ベース側部材121を固定ブロック120に対して回動させて、ベースユニット20の姿勢を、変位計70の接触子71を摺動面3に接触可能な姿勢にすることができる。このようにして、図8に示すような回転体2の摺動面3の軸方向に沿う変位量を容易にかつ迅速に計測することができる。
また、本実施の形態による変位量計測装置10によれば、摺動面3の変位量を、摺動面3の周方向において異なる複数の位置で計測することができる。例えば、摺動面3の一の周方向位置における変位量を計測した後、回転体2を所望の角度回転させて、摺動面3の他の周方向位置における変位量を計測することができる。この場合、回転体2の回転角度を検出するためのセンサ(図示せず)を回転体2の周囲の構造物6に取り付けて、検出された回転角度を、得られた変位量に関連付けることが好ましい。
さらに、本実施の形態による変位量計測装置10は、図9に示すようなスラスト摺動面7の変位量を計測することができる。スラスト摺動面7とは、回転体軸受などの構造物6と回転体2の軸方向で対向する摺動面3を意味している。
すなわち、回転体2の周囲の構造物6に本実施の形態による変位量計測装置10を固定し、アーム機構60の第1アーム部61および第2アーム部62の位置や角度を調整して、変位計70の接触子71をスラスト摺動面7に接触させることができる。この際、ベース側部材121を固定ブロック120に対して回動させて、ベースユニット20の姿勢を、変位計70の接触子71をスラスト摺動面7に接触可能な姿勢にすることができる。テーブル50の移動方向は、回転体2の軸方向に直交する方向(回転体2の法線方向、図9における紙面に垂直な方向)に沿うように配置することで、スラスト摺動面7の法線方向における変位量を計測することができる。一般的にスラスト摺動面7の輪郭は、回転体2の法線方向に異なる傾向を示し得るが、スラスト摺動面7の周方向では同じ傾向を示す。このことから、スラスト摺動面7の周方向における任意の一の位置での変位量を得ることで、スラスト摺動面7の法線方向に沿う平坦度を評価することができる。なお、制御部81は、変位計70により計測された変位量が、計測点の法線方向位置情報と関連付けて収集し記録する。
このように本実施の形態によれば、固定ユニット30の固定ブロック120が、回転機械1に磁力で固定され、ベースユニット20に固定されたベース側部材121が、固定ブロック120に回動可能に固定されている。このことにより、固定ユニット30を回転機械1に容易かつ迅速に固定することができるとともに、ベースユニット20の姿勢を、変位計70の接触子71が摺動面3、7の任意の位置に容易に接触可能な姿勢にすることができる。このため、回転体2の摺動面3、7の変位量の計測時間を短縮させることができる。
以上述べた実施の形態によれば、回転体の計測対象面の変位量の計測時間を短縮することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。