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JP2018071680A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

無段変速機の制御装置 Download PDF

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JP2018071680A
JP2018071680A JP2016212926A JP2016212926A JP2018071680A JP 2018071680 A JP2018071680 A JP 2018071680A JP 2016212926 A JP2016212926 A JP 2016212926A JP 2016212926 A JP2016212926 A JP 2016212926A JP 2018071680 A JP2018071680 A JP 2018071680A
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大城 岩佐
Motoki Iwasa
大城 岩佐
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JATCO Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
JATCO Ltd
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Abstract

【課題】アップシフト中に不要なエンジンブレーキが作用することを防止でき、運転者に与える違和感を軽減することができる無段変速機の制御装置を提供すること。【解決手段】モータジェネレータ2と駆動輪6との間に配された無段変速機構4と、無段変速機構4の変速比を目標変速比に向けて予め設定した標準速度で変速させるCVTコントロールユニット81と、を備え、無段変速機構4のダウンシフト時、ブレーキペダル63が踏み込まれ、且つ、無段変速機構4の実変速比がダウンシフト側に変化する条件が成立した後の期間のうち、少なくとも一部の期間でのダウン変速速度を標準速度よりも遅い制限速度に設定する構成とした。【選択図】図3

Description

本発明は、無段変速機の制御装置に関するものである。
従来、ブレーキペダルが踏み込まれたことに基づいて、無段変速機構の変速速度を規制する無段変速機の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007-255629号公報
しかしながら、アクセルペダルが踏み込まれた加速状態からアクセルペダルが解放された後、短時間の間にブレーキペダルが踏み込まれた場合では、意図しないエンジンブレーキが作用して運転者に違和感を与えるおそれがある。
すなわち、アクセルペダルを解放すると、無段変速機構における目標変速比は、最High変速比又はコースト走行時の到達目標変速比(コースト変速線)に向かってアップシフトする。その後、車速の低下に伴って、コースト変速線に沿いながらダウンシフトする。しかしながら、アクセルペダルの解放から短時間の間にブレーキペダルが踏み込まれた場合、アップシフト中にブレーキペダルが踏み込まれることになる。そして、このときに変速速度を規制すれば、アップシフトの変速速度が規制される。そのため、減速中の実変速比が最High変速比又はコースト変速比よりもLow側変速比となり、不要なエンジンブレーキの発生につながるという問題が生じる。
本発明は、意図しないエンジンブレーキの作用を防止して、運転者に与える違和感を低減できる無段変速機の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の無段変速機の制御装置は、走行用駆動源と駆動輪との間に配された無段変速機構と、無段変速機構の変速比を目標変速比に向けて予め設定した標準速度で変速させる変速制御手段と、を備えている。
そして、前記変速制御手段は、無段変速機構のダウンシフト時、ブレーキペダルが踏み込まれ、且つ、無段変速機構の実変速比がダウンシフト側に変化する条件が成立した後の期間のうち、少なくとも一部の期間でのダウン変速速度を標準速度よりも遅い制限速度に設定する。
本発明の無段変速機の制御装置では、アクセルペダルの解放から短時間の間にブレーキペダルが踏み込まれるような場合であっても、無段変速機構のアップシフト中の変速速度は標準速度となり、実変速比がダウンシフト側に変化したのちに変速速度が標準速度よりも遅くなる。
この結果、アップシフト中に不要なエンジンブレーキが作用することを防止でき、運転者に与える違和感を軽減することができる。
実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系及び制御系と、無段変速機構の油圧制御系を示す全体システム図である。 実施例1のCVTコントロールユニットにて実行される変速制御時の変速スケジュールを示す変速線図の一例である。 実施例1のCVTコントロールユニットにて実行される変速速度制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の無段変速機の制御装置において、変速速度制御を実施した際のアクセルフラグ・ブレーキフラグ・目標変速線・目標変速比・実変速比・目標プライマリストローク速度の絶対値・目標プライマリストローク位置・車速・車両Gの各特性を示すタイムチャートである。 変速速度の違いによる最Low変速比に到達直前の実変速比の変化を示す説明図である。
以下、本発明の無段変速機の制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、構成を説明する。
実施例1における制御装置は、1モータ・2クラッチによるパラレルハイブリッド駆動系を持ち、変速機をベルト式無段変速機とするFFハイブリッド車両に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「全体システム構成」、「無段変速機構の変速制御構成」、「変速速度制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系及び制御系と、無段変速機構の油圧制御系を示す。以下、図1に基づいて、実施例1の全体システム構成を示す。
実施例1のハイブリッド車両は、走行用駆動源としてエンジン1及びモータジェネレータ2を備える。エンジン1又はモータジェネレータ2の出力回転は、前後進切替機構3、無段変速機構4、終減速機構5を介して駆動輪6へと伝達される。
エンジン1には、エンジン制御アクチュエータ10が備えられる。エンジン制御アクチュエータ10は、後述するエンジンコントロールユニット84の指令に基づいてエンジン1を所望のトルクで動作させ、エンジン出力軸11を回転させる。エンジン1とモータジェネレータ2との間には、これらの間の回転を断続する第1クラッチ12が備えられる。
モータジェネレータ2は、インバータ21から出力される電力により駆動される。モータジェネレータ2の回生電力は、インバータ21に入力される。インバータ21は、後述するモータコントロールユニット83の指令に基づいてモータジェネレータ2を所望のトルク又は所望の回転数で動作させる。モータジェネレータ2は、例えば三相交流により駆動される同期型回転電機により構成される。インバータ21は、バッテリ22に接続される。
前後進切替機構3は、エンジン1及びモータジェネレータ2からなる走行用駆動源と無段変速機構4との間に備えられる。前後進切替機構3は、モータ出力軸23から入力される回転を、正転方向(前進走行)又は逆転方向(後退走行)に切り替え、無段変速機構4へと入力する。前後進切替機構3は、ダブルピニオン式の遊星歯車機構30と、前進クラッチ31と、後退ブレーキ32とを備え、前進クラッチ31を締結した場合に正転方向に、後退ブレーキ32が締結されたときに逆転方向に切り替えられる。
遊星歯車機構30は、駆動源の回転が入力されるサンギヤと、リングギヤと、サンギヤ及び前記リングギヤと噛み合うピニオンギヤを支持するキャリアとにより構成される。前進クラッチ31は、締結状態によりサンギヤとキャリアとを一体回転可能に構成され、後退ブレーキ32は、締結状態によりリングギヤの回転を停止可能に構成される。
前後進切替機構3において、後退ブレーキ32は、前進クラッチ31の外周側に配置される。後退ブレーキ32は、締結時に互いに接触するフェーシング材の一方がケーシング等の非回転部材であるため、双方が回転部材である前進クラッチ31と比較して、潤滑油がフェーシング表面にスムーズに供給、排出されにくい。すなわち、後退ブレーキ32は前進クラッチ31に比べて、潤滑油による冷却が十分に行なわれにくく、発熱により耐久性が低下する恐れがある。このため、後退ブレーキ32は、フェーシング材の耐久性の低下を防止するために、前進クラッチ31の外周側に配置して、フェージング材の表面積を前進クラッチよりも増加させて構成することで発熱量の増加を抑制している。このような理由により、後退ブレーキ32が前進クラッチ31の外周側に配される構成としたため、外周側に配されるリングギヤを固定要素とすべく後退ブレーキ32によりリングギヤの回転を停止可能とし、リングギヤの回転を停止した状態にて、逆転方向の回転を得るべく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構30とした。その結果、前進走行時の減速比よりも後退走行時の減速比のほうが大きく設定されている。
前後進切替機構3の前進クラッチ31及び後退ブレーキ32の一方は、エンジン1及びモータジェネレータ2と無段変速機構4と間の回転を断続する第2クラッチとして構成される。
無段変速機構4は、プライマリプーリ42とセカンダリプーリ43とにベルト44が掛け渡されて構成され、プライマリプーリ42とセカンダリプーリ43との溝幅をそれぞれ変更することでベルト44の巻掛け径を変更して変速を行うベルト式無段変速機である。
プライマリプーリ42は、固定プーリ42aと可動プーリ42bとを備える。プライマリ油圧室45に供給されるプライマリ油圧により可動プーリ42bが可動することにより、プライマリプーリ42の溝幅が変更される。
セカンダリプーリ43は、固定プーリ43aと可動プーリ43bとを備える。セカンダリ油圧室46に供給されるセカンダリ油圧により可動プーリ43bが可動することにより、セカンダリプーリ43の溝幅が変更される。
ベルト44は、プライマリプーリ42の固定プーリ42aと可動プーリ42bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面と、セカンダリプーリ43の固定プーリ43aと可動プーリ43bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面に掛け渡される。
終減速機構5は、無段変速機構4の変速機出力軸41から入力される回転を駆動輪6に伝達する。終減速機構5は、複数の歯車列52及びデファレンシャルギヤ56を備える。デファレンシャルギヤ56には車軸51が連結され、駆動輪6を回転する。
駆動輪6には、ブレーキ61が備えられる。ブレーキ61は、後述するブレーキコントロールユニット82からの指令に基づいて、ブレーキアクチュエータ62により制動力が制御される。ブレーキアクチュエータ62は、ブレーキペダル63の踏力を検出するブレーキセンサ64の検出量に基づいて、ブレーキ61の制動力を制御する。ブレーキアクチュエータ62は液圧式であってもよく、ブレーキセンサ64がブレーキペダル63の踏力に基づいてブレーキ液圧に変換し、このブレーキ液圧に基づいて、ブレーキアクチュエータ62がブレーキ61の制動力を制御してもよい。
無段変速機構4のプライマリプーリ42及びセカンダリプーリ43には、変速油圧コントロールユニット7からの油圧が供給される。
変速油圧コントロールユニット7は、オイルポンプ70から出力される作動油(潤滑油にも用いられる)により発生する油圧をライン圧PLに制御するレギュレータ弁71と、レギュレータ弁71を動作させるライン圧ソレノイド72とを備える。ライン圧PLは、ライン圧油路73により第1調圧弁74及び第2調圧弁77に供給される。第1調圧弁74は、プライマリ圧ソレノイド75により動作されて、プライマリ圧油路76にプライマリ油圧を供給する。第2調圧弁77は、セカンダリ圧ソレノイド78に動作されて、セカンダリ圧油路79にセカンダリ油圧を供給する。ライン圧ソレノイド72、プライマリ圧ソレノイド75及びセカンダリ圧ソレノイド78は、CVTコントロールユニット81からの指令に応じて動作し、各油圧を制御する。また、変速油圧コントロールユニット7は、前後進切替機構3、無段変速機構4等に潤滑油を供給する。
CVTコントロールユニット81と、ブレーキコントロールユニット82と、モータコントロールユニット83と、エンジンコントロールユニット84とは、後述するハイブリッドコントロールモジュール80と共に、互いに通信可能なCAN通信線90を介して接続される。
CVTコントロールユニット81(変速制御装置)は、プライマリプーリ42の回転数(変速機入力回転数)を検出するプライマリ回転センサ88や、セカンダリプーリ43の回転数(変速機出力回転数)を検出するセカンダリ回転センサ89等からの信号が入力され、入力された信号に基づいて変速油圧コントロールユニット7に指令を送る。変速油圧コントロールユニット7の油圧は、無段変速機構4及び前後進切替機構3に供給される。つまり、CVTコントロールユニット81は、プライマリ油圧室45に供給されるプライマリ油圧と、セカンダリ油圧室46に供給されるセカンダリ油圧と、前後進切替機構3の前進クラッチ31及び後退ブレーキ32の締結状態とを制御する。
ハイブリッドコントロールモジュール80は、車両全体の消費エネルギーを管理し、エンジン1及びモータジェネレータ2の駆動を制御してエネルギー効率が高くなるように制御する。
ハイブリッドコントロールモジュール80には、アクセル開度センサ85、車速センサ86、インヒビタスイッチセンサ87等からの信号及びCAN通信線90を介して各コントロールユニットからの情報が入力される。ハイブリッドコントロールモジュール80は、これらの信号及び情報から、目標駆動トルクと目標制動トルクとを算出する。目標制動トルクから、モータジェネレータ2で発生可能な最大限の回生トルク分である回生制動トルク分を差し引いた残りを液圧制動トルクとし、回生制動トルクと液圧制動トルクの総和により目標制動トルクを得る。ハイブリッドコントロールモジュール80は、減速時にモータジェネレータ2で回生を実行させ、電力を回収する。
ブレーキコントロールユニット82は、ハイブリッドコントロールモジュール80からの制御指令に基づいて、ブレーキアクチュエータ62に駆動指令を出力する。ブレーキコントロールユニット82は、ブレーキアクチュエータ62で発生しているブレーキ液圧の情報を取得してハイブリッドコントロールモジュール80に送る。
モータコントロールユニット83は、ハイブリッドコントロールモジュール80からの制御指令に基づいて、インバータ21に対し目標力行指令(正トルク指令)又は目標回生指令(負トルク指令)を出力する。モータコントロールユニット83は、モータジェネレータ2に印加する実電流値等を検出することで、実モータ駆動トルク情報を取得し、ハイブリッドコントロールモジュール80に送る。
エンジンコントロールユニット84は、ハイブリッドコントロールモジュール80からの制御指令に基づき、エンジン制御アクチュエータ10に対し駆動指令を出力する。エンジンコントロールユニット84は、エンジン1の回転速度や燃料噴射量等により得られる実エンジン駆動トルク情報をハイブリッドコントロールモジュール80に送る。
ハイブリッドコントロールモジュール80は、次のようなモードに対応した制御を実行する。
実施例1のハイブリッド車両は、電気自動車モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車モード(以下、「HEVモード」という。)と、を有する。
「EVモード」は、第1クラッチ12を解放状態とし、駆動源をモータジェネレータ2のみとするモードである。「EVモード」は、例えば、要求駆動力が低く、バッテリSOC(State of Charge)が十分に確保されている場合に選択される。
「HEVモード」は、第1クラッチ12を締結状態とし、駆動源をエンジン1とモータジェネレータ2とするモードである。「HEVモード」は、例えば、要求駆動力が大きいとき、又は、モータジェネレータ2を駆動させるためのバッテリSOCが不足している場合に選択される。
[無段変速機構の変速制御構成]
CVTコントロールユニット81で実行される無段変速機構4の変速制御は、アクセル開度センサ85により検出されたアクセル開度APOと、車速センサ86により検出された車速VSPとにより特定される運転点(VSP,APO)の、図2の変速スケジュール上での位置により、目標プライマリ回転数Npri*を決めることで行われる。
ここで、変速スケジュール(変速目標)は、図2に示すように、車速VSPとアクセル開度APOにて示される運転点(VSP,APO)に応じて、最Low変速比と最High変速比による変速比幅の範囲内で変速比を無段階に変更するように設定されている。例えば、車速VSPが一定のときは、アクセル踏み込み操作を行うと目標プライマリ回転数Npri*が上昇し、運転点(VSP,APO)は最Low変速比に向かって移動するため、ダウンシフトとなる。一方、アクセル戻し操作を行うと目標プライマリ回転数Npri*が低下し、運転点(VSP,APO)は最High変速比に向かって移動してアップシフトとなる。さらに、アクセル開度APOが一定のときは、車速VSPが上昇するとアップシフトになり、車速VSPが低下するとダウンシフトになる。
なお、図2における太線特性は、アクセル足離し状態(APO=0)でコースト走行時となったときの到達目標変速比を示すコースト変速線である。つまり、車両減速時には、図2の矢印Aに示すように、車速VSPの低下にしたがって、最Low変速比に向かって変速比が変化するダウンシフトとなり、車速VSP=0(停車状態)のときに最Low変速比に戻される。
そして、無段変速機構4の変速油圧制御では、目標プライマリ回転数Npri*が決められると、実プライマリ回転数Npriとの偏差を無くすように、プライマリ油圧Ppriとセカンダリ油圧Psecとの差圧をフィードバック制御することで行われる。なお、実プライマリ回転数Npriは、プライマリ回転センサ88から取得される。
[変速速度制御処理構成]
図3は、実施例1のCVTコントロールユニットにて実行される変速速度制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、図3に示すフローチャートに基づいて実施例1の変速速度制御処理の各ステップを説明する。
ステップS1では、現在の目標変速比に基づいて、プライマリプーリ42のストローク位置の目標値(目標プライマリストローク位置)を算出すると共に、プライマリプーリ42のストローク速度の目標値(目標プライマリストローク速度)を算出し、ステップS2へ進む。
ここで、「目標プライマリストローク位置」を算出するには、まず、目標変速比からプライマリプーリ42におけるベルト44の現在の巻きつき半径を算出する。そして、算出した現在の巻きつき半径と、最Low変速比のときのプライマリプーリ42におけるベルト44の巻きつき半径と、プライマリプーリ42のシーブ面傾斜角度とから、目標プライマリストローク位置を算出する。
また、「目標プライマリストローク速度」を算出するには、目標プライマリストロークのサンプリング時間当たりの差分方程式で算出する。なお、車速とアクセル開度とに基づいて、例えば図2に示すような変速スケジュールを参照して、最終的な目標変速比である到達変速比を算出し、到達変速比から目標変速比を減算して目標時定数(変速種ごとに予め設定された標準時定数)で除算したものを目標変速速度として決定する。そして、この目標変速速度にプーリストローク速度倍率(プーリストローク速度と変速速度の比)を乗算して目標プライマリストローク速度を算出してもよい。
ステップS2では、ステップS1での目標プライマリストローク位置及び目標プライマリストローク速度の算出に続き、ハイブリッド車両の速度(車速)が、予め設定した制御開始許可車速以上であるか否かを判断する。YSE(車速≧制御開始許可車速)の場合にはステップS3へ進む。NO(車速<制御開始許可車速)の場合にはステップS13へ進む。
ここで、「制御開始許可車速」は、「制限速度」に設定した変速速度でダウンシフトする場合に、変速比が最Low変速比に達する前に車速がゼロになると想定される車速である。すなわち、車速が「制御開始許可車速」以下の状態では、ダウンシフトの変速速度(ダウン変速速度)を「制限速度」に設定すると、目標変速比が最Low変速比に達する前に車両が停止するおそれがあり、最Low変速比よりもHigh側の変速比での発進となるリスクが高まる。そのため、実施例1の変速速度制御処理は、車速≧制御開始許可車速となる場合にのみ実施する。
なお、車速は、車速センサ86により検出する。また、「制御開始許可速度」は、予め実験等に基づいて設定する。
ステップS3では、ステップS2での車速≧制御開始許可車速との判断に続き、アクセルペダルが解放されているか否か、つまり、アクセル足離し状態であるか否かを判断する。YES(アクセルOFF)の場合にはステップS4へ進む。NO(アクセルON)の場合にはステップS13へ進む。
なお、アクセルペダルのON/OFF状態は、アクセル開度センサ85により検出する。
ステップS4では、ステップS3でのアクセルOFFとの判断に続き、ブレーキペダルを踏み込んだ減速状態であるか否かを判断する。YES(ブレーキON)の場合にはステップS5へ進む。NO(ブレーキOFF)の場合にはステップS13へ進む。
なお、ブレーキペダルのON/OFF状態は、ブレーキセンサ64により検出する。
ステップS5では、ステップS4でのブレーキONとの判断に続き、ブレーキペダルの踏み込みによって生じた減速要求が緩減速であるか否かを判断する。YSE(緩減速要求)の場合にはステップS6へ進む。NO(急減速要求)の場合にはステップS13へ進む。
ここで、減速要求が緩減速であるか否かの判断は、所定時間当たりのセカンダリプーリ43の実回転数差(セカンダリ回転センサ89にて検出)を、所定の専用カットオフローパスフィルタにてフィルタ処理して算出した減速度(減速G)に基づいて判断する。この算出した減速度が、予め設定した「制御許可減速G」以下の状態を所定時間継続すれば、緩減速要求であると判断し、減速度が「制御許可減速G」を超えれば、急減速要求であると判断する。
なお、「制御許可減速G」は、ダウンシフトの変速速度を制限速度として最Low変速比とならずに停車した際の発進加速度が違和感とならない減速Gと、減速側のイナーシャショックが許容される減速Gと、のバランスで決める。
ステップS6では、ステップS5での緩減速要求との判断に続き、目標変速線の方向がダウンシフト方向であるか否か、すなわち、目標変速比がLow側の変速比へと変化しているか否かを判断する。YES(変速線の方向=ダウンシフト)の場合にはステップS7へ進む。NO(変速線の方向≠ダウンシフト)の場合にはステップS13へ進む。
ここで、目標変速線は、図2に示す変速スケジュールと、ハイブリッド車両の運転点(VSP,APO)に基づいて判断する。
ステップS7では、ステップS6での変速線の方向=ダウンシフトとの判断に続き、実変速比がダウンシフト側に変化しているか否か、すなわち、実変速比がLow側の変速比へと変化しているか否かを判断する。YES(実変速比=ダウンシフト)の場合にはステップS8へ進む。NO(実変速比≠ダウンシフト)の場合にはステップS13へ進む。
ここで、実変速比は、プライマリ回転センサ88にて検出したプライマリプーリ42の回転数を、セカンダリ回転センサ89にて検出したセカンダリプーリ43の回転数によって除算して算出する。
ステップS8では、ステップS7での実変速比=ダウンシフトとの判断に続き、変速速度の制限が可能であるか否かを判断する。YES(変速速度の制限可能)の場合にはステップS9へ進む。NO(変速速度の制限不可能)の場合にはステップS3へ戻る。
ここで、変速速度の制限が可能であるか否かは、現在の目標プライマリストローク速度(ステップS1にて算出)から所定の減速度にてこの目標プライマリストローク速度を減速したときに、ハイブリッド車両の車速が所定の最低車速に達するタイミングで、目標プライマリストローク位置が、最Low変速比となる位置よりも演算上のLow側位置になるか否かに基づいて判断する。
なお、「所定の減速度」とは、目標変速比の変化に対して実変速比の変化が追従可能な減速度であり、ダウンシフト中の実変速比が、コースト走行時の到達目標変速比よりもLow側の変速比にならない減速度の最大値(実験等に基づいて予め求める)に設定する。この「所定の減速度」にてダウン変速速度を減速するときの変速速度が、「標準速度」よりも遅い「制限速度」となる。つまり、「制限速度」は、無段変速機構4のダウンシフト中の実変速比が、コースト走行時の到達目標変速比よりもLow側変速比にならないダウン変速速度の最大値となる。
また、「所定の最低車速」とは、セカンダリ回転センサ89(無段変速機構4の変速機出力軸41の回転数を検出する回転数センサ)によって検知可能な回転速度の最小値であり、例えば4〜5km/h程度である。「車速が所定の最低車速に達するタイミング」は、演算時点の車速(車速センサ86にて検出)と、演算時点の減速Gとに基づいて算出する。
さらに、実変速比が最Low変速比に達する時点で、目標プライマリストローク速度として微小値を残す。この「微小値」とは、演算誤差により変速比Low戻し不良(目標変速比が最Low変速比に達する前に変速が停止すること)を防止するために必要な速度であり、演算誤差が生じても、実変速比が確実に最Low変速比に達するまではダウンシフトを継続させる速度である。
そして、目標プライマリストローク速度を所定の減速度で減速したときに、車速が所定の最低車速に達するタイミングで、目標プライマリストローク位置が最Low変速比となる位置よりもLow側になると判断したタイミングで、変速速度の制限が可能であると判断する。この結果、「標準速度」から「制限速度」への変速速度の切替タイミングが、「制限速度」にて無段変速機構4のダウンシフトを実施したときに、車速が所定の最低車速に達するタイミングで実変速比が最Low変速比に達するように設定される。
具体的には、下記式(1)〜(3)が成立するときに、変速速度の制限が可能であると判断する。
0 = V + a*t …(1)
x = x + 1/2*a*t …(2)
x ≦ x_L …(3)
ここで、V= 現在時刻の目標プライマリストローク速度[mm/s]
a= 所定の減速度[mm/s]
= 現在の目標プライマリストローク位置[mm]
= 最Low変速比での目標プライマリストローク位置[mm]
t= 車速が最低速度に達する時点までの時間[s]
である。
ステップS9では、ステップS8での変速速度の制限可能との判断に続き、ステップS8にて設定した「所定の減速度」にて目標プライマリストローク速度を制限しながらダウンシフトするときの変速速度、すなわち「制限速度」を算出し、ステップS10へ進む。
ここで、変速速度制限時の目標プライマリストローク速度(制限速度)は、「所定の減速度」と、現在の目標プライマリストローク速度(ステップS1にて算出)とから求める。
ステップS10では、ステップS9での変速速度制限時の目標プライマリストローク速度(制限速度)の算出に続き、このステップS9にて算出した目標プライマリストローク速度(制限速度)から、変速速度制限時の変速時定数(制限変速時定数)を設定する。そして、この制限変速時定数を用いて、変速速度を制限しつつ最終的に到達すべき目標値である最Low変速比まで変速比を変化させるときの過渡的な目標値である目標変速比を算出し、ステップS11へ進む。
ここで、無段変速機構4のベルト44のジオメトリから決められる単位プライマリストローク当たりの変速比変化量と、ステップS9にて算出した目標プライマリストローク速度の規制値とを掛け合わせることで、変速比変化率を求め、この変速比変化率を積分することで、新たな目標変速比を算出することができる。しかしながら、この場合では、ダウンシフトの途中でアクセルペダルが踏み込まれたときなどのアップシフト復帰時に、目標変速比に段差(ステップ的な変化)が生じる可能性がある。そのため、時定数に換算してから目標変速比を算出する。
ステップS11では、ステップS10での目標変速比の算出に続き、無段変速機構4での実変速比の変化が生じているか否かを判断する。YES(変速比変化あり)の場合にはステップS12へ進む。NO(変速比固定)の場合にはステップS13へ進む。
ここで、実変速比は、ステップS7にて算出するように、プライマリプーリ42の回転数/セカンダリプーリ43の回転数、にて算出する。しかしながら、低回転数領域では、プライマリ回転センサ88及びセカンダリ回転センサ89の検出精度が悪化する。そのため、低回転数領域では変速速度の制限を解除する。
ステップS12では、ステップS11での変速比変化ありとの判断に続き、変速速度を「制限速度」に設定してのダウンシフトを実行し、ステップS3に戻る。
すなわち、実変速比がステップS10にて設定した目標変速比に追従するように、目標プライマリ回転数Npri*を決める。そして、この目標プライマリ回転数Npri*と実プライマリ回転数Npriとの偏差を無くすように、プライマリ油圧Ppriとセカンダリ油圧Psecとの差圧をフィードバック制御する。
ステップS13では、変速速度が予め設定した「標準速度」となるような通常変速時定数を設定する。そして、この通常変速時定数を用いて、最終的に到達すべき目標値である最Low変速比まで変速比を変化させるときの過渡的な目標値である目標変速比を算出し、ステップS14へ進む。
なお、「通常変速時定数」は、無段変速機構4に供給する油圧の応答性や、変速要求の大きさ等に基づいて予め設定する。
ステップS14では、ステップS13での目標変速比の算出に続き、変速速度を「標準速度」に設定しての変速を実行し、エンドへ進む。
すなわち、実変速比がステップS13にて設定した目標変速比に追従するように、目標プライマリ回転数Npri*を決める。そして、この目標プライマリ回転数Npri*と実プライマリ回転数Npriとの偏差を無くすように、プライマリ油圧Ppriとセカンダリ油圧Psecとの差圧をフィードバック制御する。
次に、作用を説明する。
実施例1の無段変速機の制御装置における作用を、「変速速度制御作用」、「その他の特徴的作用」に分けて説明する。
[変速速度制御作用]
図4は、実施例1の無段変速機の制御装置において、変速速度制御を実施した際のアクセルフラグ・ブレーキフラグ・目標変速線・目標変速比・実変速比・目標プライマリストローク速度の絶対値・目標プライマリストローク位置・車速・車両Gの各特性を示すタイムチャートである。以下、図3及び図4に基づき、実施例1の変速速度制御作用を説明する。
実施例1のハイブリッド車両において、図4に示す時刻t11時点でアクセルペダルが解放されると、アクセルフラグがONからOFFへと変化する。これにより、変速スケジュール(図2参照)上で、運転点(VSP,APO)が位置する目標変速線は最High変速比を示す最High変速線となり、目標変速比も変速線の変化に追従するように変化する。なお、この目標変速比は、目標変速線のローパスフィルタ処理によって求められる。
その後、目標変速比が最High変速比に達し、時刻t12時点で、目標変速線がLow側変速比側へと変化し始める。これにより、目標変速線の方向がダウンシフト方向となる。このとき、目標変速比もほぼ同時にLow側変速比側へと変化を開始する。
さらに、時刻t13時点でブレーキペダルが踏み込み操作されると、ブレーキフラグがOFFからONへと切り替わると共に、減速Gが増加して車速が低下し始める。
そして、時刻t14時点で、実変速比が最High変速比からLow側変速比へと変化を開始し、実変速比がダウンシフト側へと変化し始める。また、この時刻t14時点において、車速は「制御開始許可車速」を上回っている。一方、減速Gは「制御許可減速G」を下回った状態を維持している。
これにより、図3に示すフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進み、変速速度の制限が可能であるか否かが判断される。
しかしながら、時刻t14時点では、この時刻t14時点の目標プライマリストローク速度(図4においてx)から所定の減速度にてこの目標プライマリストローク速度を減速しても、ハイブリッド車両の車速が所定の最低車速に達するタイミング(時刻t16時点)で、目標プライマリストローク位置が、最Low変速比となる位置よりも演算上のLow側位置にはならない。そのため、変速速度の制限が不可能と判断され、ステップS13→ステップS14へと進んで、変速速度を「標準速度」に設定して変速(ダウンシフト)が実施される。
なお、このときの変速速度は、ダウンシフトの開始と同時に次第に速くなっていくように設定され、変速速度は徐々に加速していく。
そして、時刻t15時点において、車速が「制御開始許可速度」以上であって、上記式(1)〜(3)が成立すると、この時刻t15時点の目標プライマリストローク速度(図4においてy)から所定の減速度にてこの目標プライマリストローク速度を減速し、ハイブリッド車両の車速が所定の最低車速に達するタイミング(時刻t16時点)で、目標プライマリストローク位置が、最Low変速比となる位置よりも演算上のLow側位置になると判断される。これにより、ダウン変速速度の制限が可能であるとして、ステップS8→ステップS9→ステップS10へと進む。
これにより、予め設定された「所定の減速度(ダウンシフト中の実変速比が、コースト走行時の到達目標変速比よりもLow側変速比にならない減速度の最大値)」と、時刻t15時点での目標プライマリストローク速度(図4におけるy)と、に基づいて、変速速度制限時の目標プライマリストローク速度(制限速度)が算出される。そして、この制限速度から変速速度制限時の変速時定数(制限変速時定数)が設定され、この制限変速時定数を用いて目標変速比が算出される。
そして、この時刻t15時点では、変速比は変化しているため、ステップS11→ステップS12へと進み、変速速度を「制限速度」に設定した上でダウンシフトを実行する。つまり、プライマリストローク速度を「制限速度」に設定して、このプライマリストローク速度を減速させる。
この結果、変速速度が減速する期間では、目標変速比の速度変化が、変速速度を「標準速度」に設定した場合よりも緩やかになり、目標変速比の変化に対して実変速比が無理なく追従することができる。そして、時刻t16時点において車速が「最低車速」に達したタイミングで目標変速比が最Low変速比に達すると、ほぼ同時に実変速比も最Low変速比に達することができる。
このように、実施例1では、変速速度を「標準速度」よりも遅い「制限速度」に設定する際、無段変速機構4のダウンシフト時であって、ブレーキペダルが踏み込まれて減速し、且つ、無段変速機構4の実変速比がダウンシフト側に変化するといった条件が成立した後の期間のうちの、少なくとも一部の期間で実施する。
つまり、目標変速比への変速がダウンシフトであって、ブレーキペダルが踏み込まれていることに加え、実際の変速比(実変速比)がダウンシフト側に変化していることに基づいて、ダウンシフトの変速速度(ダウン変速速度)を比較的遅い「制限速度」に設定する。
そのため、アクセルペダルを解放したことで目標変速比が最High変速比又はコースト走行時の到達目標変速比(コースト変速線)に向かうアップシフトを行う間にブレーキペダルが踏み込まれるような場合であっても、アップシフトの実行中は変速速度が遅くなることはなく、その後、実変速比がコースト変速線に沿ってダウンシフトを開始したら、変速速度を遅くすることを可能としている。
この結果、減速中の実変速比が最High変速比又はコースト変速線よりもLow側の変速比になることがなく、アップシフト中に不要なエンジンブレーキが作用することを防止でき、運転者に与える違和感を低減することができる。
しかも、この実施例1では、無段変速機構4のダウンシフトの開始から所定タイミングまでの変速初期期間では、ダウン変速速度を加速し、その後、所定タイミングから変速完了までの変速後期期間では、このダウン変速速度を減速させて、実変速比を目標変速比に到達させるが、ダウン変速速度を減速させる期間(変速後期期間)において「制限速度」に設定する。
これにより、ダウンシフトの開始から変速速度が加速する変速初期期間では、変速速度が制限されることがない。そのため、実変速比と最終的な到達目標変速比(最Low変速比)との差が大きく、変速速度を加速しても変速オーバーシュートが発生しにくく、減速ショックの発生が生じる可能性が低い変速初期期間では、速やかにダウンシフトを進行させることができる。そして、変速速度を減速させる変速後期期間で、当該変速速度を遅くすることで、適切なタイミングで実変速比を最Low変速比に到達させて変速を完了させることができ、ショックの発生を適切に抑えることができる。
[その他の特徴的作用]
実施例1の制御装置では、上述のように、ブレーキペダル63を踏み込んで減速する際に生じるダウンシフト時、このときの変速速度(ダウン変速速度)を比較的遅い「制限速度」に設定する。
これにより、油圧応答性やプーリ慣性力等の影響でプライマリプーリ42が意図したタイミングよりも遅れて停止することを防止できる。
すなわち、一般的に、ダウン変速速度が比較的早い場合には、減速に伴うプライマリストローク速度も速くなる。そして、変速比を最Low変速比までダウンシフトさせる場合、最Low変速比に到達したらダウンシフトが完了するため、図4において細破線(比較例)で示すように、時刻tα時点で目標変速比が最Low変速比に到達したタイミングで目標プライマリストローク位置が最Low位置に到達して停止し、目標プライマリストローク速度がゼロになる。なお、このとき、目標プライマリストローク速度は「標準速度」に設定され、ダウンシフトの開始と同時に上昇(加速)し、目標変速比が最Low変速比の近傍になったら急低下(減速)させてゼロとする。
しかしながら、実際には、油圧応答性やプーリ慣性力により、プライマリプーリ42が意図したタイミングよりも遅れて停止する。これにより、図5において破線で示すように、無段変速機構4の実変速比が、コースト走行時の到達目標変速比(コースト変速線)よりもLow側変速比となって、機械的に最Low変速比に到達する。つまり、変速オーバーシュートが生じて、プライマリプーリの回転数が最Low変速線に沿う形で急に変化(停止)し、車速VSPとアクセル開度APOにて示される運転点(VSP,APO)が、図2に示す変速スケジュール上でコースト走行時の到達目標変速比であるコースト変速線で示される目標プライマリ回転数Npri*よりも高回転側に離間するダウンシフトになる。そのため、無段変速機構4の入力回転数と出力回転数との間に差が生じて、減速ショック(イナーシャを放出するための突き上げショック)が発生して、運転者に違和感を感じさせる。
これに対し、実施例1の制御装置のように、ダウンシフト時の変速速度(ダウン変速速度)を「標準速度」よりも遅い「制限速度」に設定することで、プライマリストローク速度の速いプライマリプーリ42を急停止させる最Low変速比へのダウンシフトであっても、プライマリプーリ42が意図したタイミングよりも遅れて停止することを防止できる。つまり、図5において実線で示すように、変速オーバーシュートを回避して、プライマリプーリの回転数を滑らかに減少させることができる。これにより、減速ショック(イナーシャを放出するための突き上げショック)を低減して、違和感の発生を抑制することができる。
特に、この実施例1では、制限速度を算出する際、変速速度を減速させるときの減速度を、無段変速機構4のダウンシフト中の実変速比が、コースト走行時の到達目標変速比よりもLow側変速比にならない減速度の最大値に設定している。そのため、変速速度は、ダウンシフト中の実変速比が、コースト走行時の到達目標変速比よりもLow側変速比にならない変速速度の最大値に設定される。
これにより、コースト走行時の到達目標変速比に沿ってダウンシフトさせるときに、実変速比がコースト走行時の到達目標変速比よりもLow側の変速比にならず、変速のオーバーシュートを防止して、実変速比を最Low変速比に円滑に到達させることができる。この結果、減速ショックや運転者の違和感を効果的に低減することができる。
そして、この実施例1の制御装置では、「標準速度」から「制限速度」へと変速速度を切り替えるときの変速速度の切替タイミングを、変速速度を「制限速度」に設定して無段変速機構4のダウンシフトを実施したときに、車速が所定の最低車速に達するタイミングで実変速比が最Low変速比(最終的な到達目標変速比)に達するように設定する。
これにより、変速速度を「制限速度」に設定することで、変速速度を「標準速度」に設定した場合と比べて、ダウンシフトの完了までに多くの時間を要しても、ハイブリッド車両が停車(車速=ゼロ)になるタイミングよりも前に、実変速比を最終的な到達目標変速比である最Low変速比とすることができる。つまり、車両停車時には、無段変速機構4の変速比を確実に最Low変速比に設定することができる。
この結果、発進時に無段変速機構4の変速比が、最Low変速比よりもHigh側の変速比となることを防止できる。
また、このときの「最低車速」を、実施例1では、無段変速機構4の変速機出力軸41の回転数を検出するセカンダリ回転センサ89において、検知可能な回転速度の最小値に設定している。
ここで、セカンダリ回転センサ89等の回転速度を検知するセンサは、停車直前の低回転領域では、回転速度を精度よく検出することができない。そのため、「最低車速」をセカンダリ回転センサ89にて検知可能な回転速度の最小値に設定することで、無段変速機構4の出力回転数が、セカンダリ回転センサ89によって検知可能な回転速度の最小値に達するまでに実変速比を最Low変速比に到達することになる、そのため、車両停車前に実変速比を確実に最Low変速比まで変速させることができる。
また、「最低車速」を、セカンダリ回転センサ89での検知可能な回転速度の最小値に設定したことで、この「最低車速」を最低限小さい値に設定することができ、変速速度の切替タイミングをできるだけ遅くすることができる。これにより、「標準速度」によってダウンシフトを行う時間をできるだけ長く確保することが可能となり、最Low変速比への変速(ダウンシフト)を促進することができる。
さらに、実施例1では、無段変速機構4の実変速比が最Low変速比に達する時点(時刻t16時点)の「制限速度」として、所定の微小値を設定している。
そのため、演算誤差により目標変速比が最Low変速比に達する前に目標プライマリストローク速度がゼロになって、ダウンシフトが停止することを防止できる。つまり、目標変速比が最Low変速比に達するタイミングと、目標プライマリストローク速度がゼロになるタイミングがずれても、無段変速機構4の実変速比を最Low変速比まで戻すことができ、いわゆる変速比Low戻し不良(目標変速比が最Low変速比に達する前に変速が停止すること)を防止することができる。
また、この実施例1では、「制限速度」に設定した変速速度でダウンシフトすると、変速比が最Low変速比に達する前に車速がゼロになると想定される速度である「制御開始許可速度」を設定し、ハイブリッド車両の車速が、この「制御開始許可速度」未満のときには、変速速度の制限を行わず、「標準速度」のままでダウンシフトを実行する。
すなわち、変速速度を「制限速度」に設定した場合に、停車前に変速比が最Low変速比に到達できない運転状態になるときは、ダウンシフト時の変速速度を「制限速度」に設定することを禁止する。
そのため、変速速度を「制限速度」に設定したことで、停車前に変速比が最Low変速比に到達できない、ということを回避できる。これにより、無段変速機構4において、変速比が最Low変速比に到達する前に車両が停止し、High側変速比での発進となって、発進時の駆動力不足が生じることを防止できる。
次に、効果を説明する。
実施例1の無段変速機の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 走行用駆動源(モータジェネレータ2)と駆動輪6との間に配された無段変速機構4と、
前記無段変速機構4の変速比を目標変速比に向けて予め設定した標準速度で変速させる変速制御手段(CVTコントロールユニット81)と、を備え、
前記変速制御手段(CVTコントロールユニット81)は、前記無段変速機構4のダウンシフト時、ブレーキペダル63が踏み込まれ、且つ、前記無段変速機構4の実変速比がダウンシフト側に変化する条件が成立した後の期間のうち、少なくとも一部の期間でのダウン変速速度を前記標準速度よりも遅い制限速度に設定する構成とした。
これにより、アップシフト中に不要なエンジンブレーキが作用することを防止でき、運転者に与える違和感を軽減することができる。
(2) 前記変速制御手段(CVTコントロールユニット81)は、前記無段変速機構4のダウンシフトの開始から前記ダウン変速速度を加速し、その後前記ダウン変速速度を減速させて、前記実変速比を前記目標変速比に到達させる際、前記ダウン変速速度を減速させる期間で当該ダウン変速機構を前記制限速度に設定する構成とした。
これにより、(1)の効果に加え、速やかにダウンシフトを進行させつつ、適切なタイミングで実変速比を最Low変速比に到達させて、ショックの発生を適切に抑えることができる。
(3) 前記変速制御手段(CVTコントロールユニット81)は、前記制限速度を、前記無段変速機構4のダウンシフト中の実変速比が、コースト走行時の到達目標変速比よりもLow側変速比にならない変速速度の最大値に設定する構成とした。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、減速中の実変速比がコースト走行時の到達目標変速比よりもLow側の変速比になることがなく、プライマリプーリ42が意図したタイミングよりも遅れて停止することを防止できる。
(4) 前記変速制御手段(CVTコントロールユニット81)は、前記標準速度から前記制限速度への前記ダウン変速速度の切替タイミングを、前記制限速度にて前記無段変速機構4のダウンシフトを実施したときに、所定の車速(最低車速)に達するタイミングで前記無段変速機構4の実変速比が最Low変速比に達するように設定する構成とした。
これにより、(1)〜(3)のいずれかの効果に加え、車速がゼロになって停車する前に、無段変速機構4の実変速比を最Low変速比に到達させることができ、最Low変速比よりもHigh側の変速比での発進リスクを低減することができる。
(5) 前記変速制御手段(CVTコントロールユニット81)は、前記無段変速機構4の出力軸回転数を検出する回転数センサ(セカンダリ回転センサ89)によって検知可能な回転速度の最小値を、前記所定の車速(最低車速)に設定する構成とした。
これにより、(4)の効果に加え、所定の車速(最低車速)を適切に検出して、車両停車前に実変速比を確実に最Low変速比まで変速させることができる。また、変速速度の切替タイミングをできるだけ遅くして、「標準速度」によってダウンシフトを行う時間を長くして、ダウン変速を促進することができる。
(6) 前記変速制御手段(CVTコントロールユニット81)は、前記無段変速機構4の実変速比が最Low変速比に達する時点の制限速度として、所定の微小値を設定する構成とした。
これにより、(1)〜(5)のいずれかの効果に加え、演算誤差による変速比の最Low戻し不良の発生を防止することができる。
(7) 前記変速制御手段(CVTコントロールユニット81)は、前記ダウン変速速度を前記制限速度に設定した場合に、停車前に前記変速比が最Low変速比に到達できない運転状態になるときは、前記ダウン変速速度を前記制限速度に設定することを禁止する構成とした。
これにより、(1)〜(6)のいずれかの効果に加え、無段変速機構4において、変速比が最Low変速比に到達する前に車両が停止することを防止し、High側変速比での発進となることを防止できる。
以上、本発明の無段変速機の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、本発明を、走行用駆動源としてエンジン1とモータジェネレータ2を備えたハイブリッド車両に適用する例を示したが、これに限らない。無段変速機構を備えた車両であれば本発明を適用可能であるため、走行用駆動源としてエンジンのみを搭載したエンジン車や、モータジェネレータのみを搭載した電気自動車であってもよい。
また、実施例1では、無段変速機構4として、プライマリプーリ42とセカンダリプーリ43とベルト44とを有するベルト式無段変速機とする例を示したが、これに限らず、例えば一対のディスクと、複数のパワーローラを有するトロイダル式無段変速機や、チェーンの張力によって一対のプーリ間で動力を伝達するチェーン式無段変速機であってもよい。
また、実施例1では、ブレーキペダル63が踏み込まれ、且つ、無段変速機構4の実変速比がダウンシフト側に変化する条件が成立した後の期間(図4において時刻t12以降)のうち、ダウン変速速度を減速させる期間で当該ダウン変速機構を「制限速度」に設定する例を示した。しかしながら、これに限らず、例えば、ブレーキペダル63が踏み込まれて、実変速比がダウンシフト側に変化してから、このダウシフトが完了するまでの全期間において、ダウン変速速度を「制限速度」に設定してもよいし、ダウン変速速度を加速させる期間においてダウン変速速度を「制限速度」に設定してもよい。また、ダウン変速速度の加減速に関わらず、任意の期間でのダウン変速速度を「制限速度」に設定してもよい。
なお、実施例1の制御装置は、アクセルペダルが解放されると共に、ブレーキペダルが踏み込まれて減速するときに、実変速比がダウンシフト側に変化する等の所定の条件が成立したとき、ダウンシフト時の変速速度を「制限速度」に設定する。
そのため、車両の停車を意図した減速に伴って生じるダウンシフト時に変速速度を遅らせることになり、例えばエンジンブレーキの作用を意図したレバー操作によって生じた減速に伴って生じダウンシフト時等では、変速速度を遅らせる本発明の変速速度制御は実施しなくてもよい。
また、作動油の粘度が高くなる低温時等オイルポンプ70からの油量収支が十分ではない運転状態では、変速速度が想定以上に遅くなり、車両が停車するまでに無段変速機構4の実変速比が最Low変速比に到達しなくなるおそれがある。そのため、これを回避するために、油量収支が十分ではないときには、変速速度を遅らせる本発明の変速速度制御は実施しなくてもよい。
さらに、運転モードとして、車両の加速要求に対する駆動源回転の反応を通常よりも高める「スポーツモード」が設定された場合には、減速時に作用するエンジンブレーキを通常モード時よりも強めることが望ましい。また、再発進時にはより大きな駆動力を要する。そのため、「スポーツモード」が設定された場合には、車両停車時に無段変速機構4の変速比が確実に最Low変速比へ戻ることを優先し、変速速度を遅らせる本発明の変速速度制御は実施しなくてもよい。
そして、ダウンシフト時に変速速度を遅らせる本発明の変速速度制御は、無段変速機構が有する発進クラッチ(又はロックアップクラッチ:実施例1では、第2クラッチとなる前後進切替機構3の前進クラッチ31及び後退ブレーキ32の一方)の解放車速が、比較的低車速側に設定される無段変速機構に適用することで、より高い効果を得ることができる。
すなわち、ハイブリッド車両や電気自動車のように、ジェネレータを搭載して駆動輪からのエネルギーを回生する回生機能を有するパワートレインを備えた電動車両では、減速走行時に回生する走行域をできるだけ長く確保することが望まれる。そのため、減速時には、駆動輪からの動力を低車速に達するまで回生すべく、減速に伴って発進クラッチを解放するときのクラッチ解放車速を低車速域に設定する。なお、「低車速域」とは、例えば10km/h程度である。
そして、このような電動車両では、減速状態(コースト走行状態)における無段変速機構の最Low変速比到達車速が、クラッチ解放車速よりも高くなる。
そのため、減速に伴うダウンシフト時、プライマリプーリが意図したタイミングよりも遅れて停止するときに、発進クラッチが締結した状態になっており、コースト変速線上の変速比よりも実変速比がLow側の変速比となるこの変化が、運転者にショックとして伝わりやすくなる。
一方、発進クラッチを解放するときのクラッチ解放車速が、比較的高車速域に設定されている無段変速機構(例えば、回生機能を有していないパワートレインを備えた車両に搭載された無段変速機構)であれば、減速状態(コースト走行状態)における無段変速機構の最Low変速比到達車速が、クラッチ解放車速よりも低くなる。そのため、減速に伴うダウンシフト時、プライマリプーリが意図したタイミングよりも遅れて停止しても、発進クラッチはすでに解放されている。
したがって、実変速比がコースト変速線上の変速比よりもLow側の変速比になる変化が生じても、この変速比の変化が運転者にとってショックとして伝わりにくい。
このように、特に回生機能を有するパワートレインを備えた電動車両の場合では、無段変速機構の実変速比が最Low変速比に達するタイミングで発進クラッチが締結状態であることが多く、ショックの発生が顕著となる。そのため、本発明の制御により、このショックを低減することができて、比較的効果が大きくなる。
1 エンジン
2 モータジェネレータ(走行用駆動源)
3 前後進切替機構
31 前進クラッチ
32 後退ブレーキ
4 無段変速機構
41 変速機出力軸
42 プライマリプーリ
43 セカンダリプーリ
44 ベルト
6 駆動輪
80 ハイブリッドコントロールモジュール
81 CVTコントロールユニット(変速制御手段)

Claims (7)

  1. 走行用駆動源と駆動輪との間に配された無段変速機構と、
    前記無段変速機構の変速比を目標変速比に向けて予め設定した標準速度で変速させる変速制御手段と、を備え、
    前記変速制御手段は、前記無段変速機構のダウンシフト時、ブレーキペダルが踏み込まれ、且つ、前記無段変速機構の実変速比がダウンシフト側に変化する条件が成立した後の期間のうち、少なくとも一部の期間でのダウン変速速度を前記標準速度よりも遅い制限速度に設定する
    ことを特徴とする無段変速機の制御装置。
  2. 請求項1に記載された無段変速機の制御装置において、
    前記変速制御手段は、前記無段変速機構のダウンシフトの開始から前記ダウン変速速度を加速し、その後前記ダウン変速速度を減速させて、前記実変速比を前記目標変速比に到達させる際、前記ダウン変速速度を減速させる期間で当該ダウン変速機構を前記制限速度に設定する
    ことを特徴とする無段変速機の制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された無段変速機の制御装置において、
    前記変速制御手段は、前記制限速度を、前記無段変速機構のダウンシフト中の実変速比が、コースト走行時の到達目標変速比よりもLow側変速比にならない変速速度の最大値に設定する
    ことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された無段変速機の制御装置において、
    前記変速制御手段は、前記標準速度から前記制限速度への前記ダウン変速速度の切替タイミングを、前記制限速度にて前記無段変速機構のダウンシフトを実施したときに、所定の車速に達するタイミングで前記無段変速機構の実変速比が最Low変速比に達するように設定する
    ことを特徴とする無段変速機の制御装置。
  5. 請求項4に記載された無段変速機の制御装置において、
    前記変速制御手段は、前記無段変速機構の出力軸回転数を検出する回転数センサによって検知可能な回転速度の最小値を、前記所定の車速に設定する
    ことを特徴とする無段変速機の制御装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された無段変速機の制御装置において、
    前記変速制御手段は、前記無段変速機構の実変速比が最Low変速比に達する時点の制限速度として、所定の微小値を設定する
    ことを特徴とする無段変速機の制御装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載された無段変速機の制御装置において、
    前記変速制御手段は、前記ダウン変速速度を前記制限速度に設定した場合に、停車前に前記変速比が最Low変速比に到達できない運転状態になるときは、前記ダウン変速速度を前記制限速度に設定することを禁止する
    ことを特徴とする無段変速機の制御装置。

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