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JP2018070521A - 睡眠充実剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ストレス下で生ずる睡眠時間の減少を回復させる作用を有し、かつ自然界に存在し、食品等にも含まれている化合物を有効成分とする、自然な(生理的な)睡眠を誘導する組成物の提供。【解決手段】麦芽油、米糠油、サトウキビ、ミツロウ等に含まれる長鎖脂肪族アルコールである、オクタコサノール(C28H58O)、その薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群から選択される少なくとも一種の有効成分を含む、睡眠充実剤。医薬組成物、医薬部外品又は飲食品組成物である睡眠充実剤。【選択図】なし

Description

本発明は、オクタコサノール、その塩、及びそれらの溶媒和物からなる群から選択される少なくとも一種の有効成分を含む、睡眠充実剤に関する。
オクタコサノール(ポリコサノール)は、麦芽油、米糠油、サトウキビ、ミツロウ等に含まれる長鎖脂肪族アルコールである(非特許文献1)。オクタコサノールは、抗パーキンソン症候群活性に加え、酸化防止活性および強壮活性のような様々な重要な生物活性を有する(非特許文献2)。さらに、オクタコサノールを含む長鎖脂肪族アルコールの混合物は脂肪組織の重量を減少させ(非特許文献3)、コレステロール合成を抑制することが報告されている(非特許文献4)。また、オクタコサノール単独投与によりLDLコレステロールが減りHDLコレステロールが増加することが報告されている(非特許文献5)。オクタコサノールは、脂質代謝に関連する以外にも、血小板凝集能低下作用(非特許文献6)、抗潰瘍作用(非特許文献7)、抗炎症作用(非特許文献8及び9)等の薬理活性を示すことが知られている。
絶えず変化する環境や仕事での要求は人のストレスの原因となるが、このような中で健康的な生活を維持することは、現代社会において大きな課題である。ストレスは睡眠障害(不眠症)の主な原因の1つである。不眠症は、一般人口の中の10〜15%の人が患っており、また高齢者人口でみると30〜60%の人が患っているといわれている、最も一般的な神経精神障害の1つである(非特許文献10)。不眠症は、身体状態、ホルモン状態および神経化学的な状態の異常に起因して起こる肥満、心疾患、抑うつ、注意欠陥等を含む他の疾病と密接につながる(非特許文献11)。不眠症は、交通事故、仕事量の減少による生産性の低下、及び治療のための医療コストの増加等につながり、社会に大きな経済的損失をもたらす。過去の評価では、不眠症の経済へ影響は、毎年60〜700億ドルといわれている(非特許文献12)。
不眠症を治療する目的でベンゾジアゼピンのような化学合成剤が使用されるが(非特許文献13)、このような薬剤は、脳内でGABA活性を上昇させ、離脱症状等の副作用や依存症等の好ましくない効果を誘導することが知られている。また、このような化学合成剤によって誘導される睡眠は、自然な(生理的な)睡眠とは異なる(非特許文献13)。
Irmak S, Dunford NT. 2005. J Agric Food Chem 53: 5583-5586. Wang T, Liu YY, Wang X, Yang N, Zhu HB, Zuo PP. 2010. Acta Pharmacol Sin 31: 765-774. Arruzazabala ML, Carbajal D, Mas R, Molina V, Valdes S, Laguna A. 1994. Biol Res 27: 205-208. Singh DK, Li L, Porter TD. 2006. J Pharmacol Exp Ther 318: 1020-1026. Arruzazabala ML, Molina V, Mas R, Fernandez L, Carbajal D, Valdes S, Castano G. 2002. Clin Exp Pharmacol Physiol 29: 891-897. Arruzazabala ML, Carbajal D, Mas R, Garcia M, Fraga V. 1993. Thromb Res 69: 321-327. Carbajal D, Molina V, Valdes S, Arruzazabala L, Mas R. 1995. J Pharm Pharmacol 47: 731-733. Fernandez-Arche A, Marquez-Martin A, de la Puerta Vazquez R, Perona JS, Terencio C, Perez-Camino C, Ruiz-Gutierrez V. 2009.J Nutr Biochem 20: 155-162. Ravelo Y, Molina V, Carbajal D, Fernandez L, Fernandez JC, Arruzazabala ML, Mas R. 2011.J Nat Med 65: 330-335. Gooneratne NS, Vitiello MV. 2014. Clin Geriatr Med 30: 591-627. Patchev V, Felszeghy K, Koranyi L. 1991. Homeost Health Dis 33: 97-108. Kessler RC, Berglund PA, Coulouvrat C, Hajak G, Roth T, Shahly V, Shillington AC, Stephenson JJ, Walsh JK. 2011.Sleep 34: 1161-1171. Xu Q, Xu XH, Qu WM, Lazarus M, Urade Y, Huang ZL. 2014. Pharmacology, Biochemistry and Behavior 116:129-136
本発明の課題は、不眠症を治療するために現在使用される化学合成剤が有する副作用および薬物依存性等を回避した、睡眠充実作用を有する組成物を提供することを課題とする。また、ストレス下で生ずる睡眠時間の減少を回復させる作用を有し、かつ自然界に存在し、食品等にも含まれている化合物を有効成分とする、自然な(生理的な)睡眠を誘導する組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねたところ、オクタコサノールにストレス下の睡眠においてノンレム(NREM)睡眠時間を延長する作用、ノンレム睡眠及びレム(REM)睡眠の潜時を短縮する作用があることを見出した。さらにオクタコサノールによって誘導される睡眠が生理的な睡眠であることを見出した。
本発明は、当該知見に基づいて完成されたものであり、以下の態様を含む。
項1.オクタコサノール、その薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群から選択される少なくとも一種の有効成分を含む、睡眠充実剤。
項2.有効成分がオクタコサノールである、項1に記載の睡眠充実剤。
項3.オクタコサノールが単離又は合成されたものである、項1又は2に記載の睡眠充実剤。
項4.ストレスを受けた個体に投与されるものである、項1〜3のいずれか一項に記載の睡眠充実剤。
項5.第一夜効果を相殺するものである、項1〜3のいずれか一項に記載の睡眠充実剤。
項6.医薬組成物、医薬部外品、又は飲食品組成物である、項1〜5のいずれか一項に記載の睡眠充実剤。
本発明によれば、ストレス下の睡眠において、ノンレム睡眠時間を延長することができ、またノンレム睡眠及びレム睡眠の潜時を短縮することができる。さらに、本発明によれば生理的な睡眠を誘導することができる。
マウスへのオクタコサノールの経口投与が、NREM睡眠、REM睡眠及び覚醒段階に与える影響を示すグラフである。オクタコサノール(黒丸)又はビヒクル(白丸)を投与した後の、各群の1時間あたりのNREM睡眠時間(A)、REM睡眠時間(B)、及び覚醒時間(C)を1時間毎にプロットした。x軸の黒いバーおよび白いバーは、それぞれ12時間の暗期、及び12時間の明期を示す。データは平均値±SEMとして示す。統計学的比較は対応のあるt検定(paired t-test)で評価した。 マウスへのオクタコサノール(100、又は200mg/kg)の経口投与が自発運動(LMA)を減少させたことを示すグラフである。グラフは、オクタコサノール100mg/kg(灰色の丸)、オクタコサノール200mg/kg(黒丸)、又はビヒクル(白丸)を経口投与後2時間の間10分間隔で記録したLMAの時間的経過を示す。n数は各群5とした。*はビヒクルに対してp<0.05であることを、**はビヒクルに対してp<0.01であることを、+はビヒクルに対してp<0.05であることを、++はビヒクルに対してp<0.01であることを示す。p値は一元配置分散分析によって求めた。 マウスへのオクタコサノール経口投与は、用量依存的にNREM睡眠時間を増加させ、また覚醒時間を減少させたことを示すグラフである。A、BおよびCは、マウスにオクタコサノール100mg/kg(灰色丸)、オクタコサノール200mg/kg(黒丸)又はビヒクル(白丸)をそれぞれ投与した後の、各群の1時間あたりのNREM睡眠時間(A)、REM睡眠時間(B)、又は覚醒時間(C)を1時間毎にプロットしたものである。Dは、マウスにオクタコサノール100mg/kg(灰色棒)、オクタコサノール200mg/kg(黒棒)又はビヒクル(白棒)をそれぞれ投与した後の暗期中の5時間内でのNREM睡眠時間、REM睡眠時間、覚醒時間のそれぞれの合計時間を示すグラフである。Eは、マウスにオクタコサノール200mg/kg(黒棒)、又はビヒクル(灰色線)をそれぞれ投与した後に続く暗期6時間のNREM睡眠時のEEGの周波数別出力密度分布を示す。x軸の黒いバーおよび白いバーは、それぞれ12時間の暗期、及び12時間の明期を示す。n数は各群5とした。*はビヒクルに対してp<0.05であることを、**はビヒクルに対してp<0.01であることを、+はビヒクルに対してp<0.05であることを、++はビヒクルに対してp<0.01であることを示す。p値は、AからC、及びD(タイムコースデータ)については対応のあるt検定(paired t−test)によって求め、Eについては、一元配置分散分析によって求めた後最小有意差(LDS)検定によって検定した。 オクタコサノール投与後のマウスにおいて、睡眠潜時が著しく減少することを示すグラフである。マウスにオクタコサノール100mg/kg(暗灰色棒)、オクタコサノール200mg/kg(黒棒)又はビヒクル(明灰色棒)を投与した後のNREM睡眠およびREM睡眠が始まるまでの潜時の変化を示した。n数は各群5とした。*はビヒクルに対してp<0.05であることを、**はビヒクルに対してp<0.01であることを示す。用量依存性を示すデータに関し、p値は一元配置分散分析によって求めた。 マウスにオクタコサノール(黒棒)又はビヒクル(明灰色棒)を経口投与した後の睡眠構造の質的な解析結果を示すグラフである。Aは、暗期のはじめの6時間中の左から覚醒、REM睡眠、NREM睡眠の各出現回数の変化を示すグラフである。Bは、左から覚醒、REM睡眠及びNREM睡眠の平均持続時間を示すグラフである。Cは左から、NREM睡眠から覚醒、覚醒からNREM睡眠、NREM睡眠からREM睡眠、REM睡眠から覚醒への移行回数を表わすグラフである。Dは、NREM睡眠の持続時間の分布を示すグラフである。データは平均値±SEMとして示す。n数は各群5とした。*はビヒクルに対してp<0.05であることを、**はビヒクルに対してp<0.01であることを示す。p値は、対応のあるt検定(paired t-test)によって求めた。NR:NREM睡眠段階、W:覚醒段階、R:REM睡眠段階。 マウスへのオクタコサノール(200mg/kg)の経口投与が、コルチコステロンを減少させることを示すグラフである。グラフは、マウスから心臓採血によって採取した血液から分離された血漿を使用して測定したコルチコステロンの濃度を示す。n数は各群5とした。*はビヒクルに対してp<0.05であることを示す。p値は、対応のあるt検定(paired t-test)によって求めた。
1.用語の説明
初めに、本明細書において使用される用語について説明する。
本発明において、「睡眠充実」とは睡眠を充実させることをいい、好ましくは、(1)ストレス下で減少する睡眠時間を理想的な睡眠時間に近づける又は回復さること;(2)ストレス下でも寝付きをよくすること;(3)自然に覚醒すること;及び(4)睡眠中の脳波の周波数別出力密度分布が生理的な(自然な)睡眠に近似するか同等であること;から選択される少なくとも一種を含む。より好ましくは、(1)ストレス下で減少する睡眠時間を理想的な睡眠時間に近づける又は回復さること;及び(2)ストレス下でも寝付きをよくすることを含み、さらにより好ましくは、(1)ストレス下で減少する睡眠時間を理想的な睡眠時間に近づける又は回復さること;(2)ストレス下でも寝付きをよくすること;及び(3)自然に覚醒することを含み、最も好ましくは(1)ストレス下で減少する睡眠時間を理想的な睡眠時間に近づける又は回復さること;(2)ストレス下でも寝付きをよくすること;(3)自然に覚醒すること;及び(4)睡眠中の脳波の周波数別出力密度分布が生理的な睡眠に近似するか同等であることを含む。より具体的には、ストレス下において、一晩の睡眠における1回あたりのノンレム睡眠時間を延長させ、及び一晩あたりのノンレム睡眠時間の合計時間を増加させること、並びにノンレム睡眠及びレム睡眠の入眠潜時を短縮させることをいう。好ましくは、一晩の睡眠における1回あたりのノンレム睡眠時間を延長させ、及び一晩あたりのノンレム睡眠時間の合計時間を増加させ、並びにノンレム睡眠及びレム睡眠の入眠潜時を短縮させることにより第一夜効果を相殺し、第一夜効果により減少した睡眠時間を回復させ、生理的な睡眠をもたらすことを意味する。なお、好ましくは「睡眠充実」という文言には、眠りを深くすることは含まれない。
理想的な睡眠は、個体がヒトである場合には、1エピソード(ノンレム睡眠の開始からレム睡眠の終了までの1サイクル)の時間が90〜120分程度(典型的には約90分)、この間のノンレム睡眠の合計時間は第1段階が5〜10%、第2段階が45〜55%、第3段階が15〜25%程度、及び、レム睡眠時間が20〜25%程度である。また、一夜当たりの総睡眠時間が8時間を超え、4〜6回の睡眠エピソードを含み、中途覚醒がない睡眠である。但し、異常な振動や音、外気温の変化等の刺激により、容易に自発的に覚醒できる睡眠である。
一方、現代の日本人の一夜当たりの総睡眠時間は、10〜60代の男女1206人を対象としたアイシン精機による2014年度の調査によれば、平日では5時間未満が18.5%、5〜6時間が36.2%、6〜7時間が31.5%、7〜8時間が11.8%、8時間以上は2.1%であり、休日は5時間未満が4.2%、5〜6時間が15.8%、6〜7時間が29.9%、7〜8時間が30.0%、8時間以上は20.1%である。従って、平日は慢性的な睡眠不足であり、その不足を休日に補っている状況である。
本発明において、「個体」は、特に制限されないが、個体にはヒト及びヒト以外の哺乳動物が含まれる。ヒト以外の哺乳動物としては、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、サル等が挙げられる。好ましくは、ヒト、ネコ、イヌ、ウサギ、ブタ、サルである。また、個体の年齢、性別は問わない。
2.睡眠充実剤
本発明の睡眠充実剤は、オクタコサノール、その薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群から選択される少なくとも一種の有効成分を含む。
本発明において、オクタコサノールは、1−オクタコサノールを意味し、好ましくはIUPAC名:オクタコサン−1−オール、又はCAS番号:557−61−9で表される化合物である。
オクタコサノールの塩は、薬学的に許容される限り制限されない。例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、リン酸塩等を挙げることができる。
また、オクタコサノール、又はオクタコサノールの薬学的に許容される塩と溶媒和物を形成する溶媒も、特に制限されない。例えば、例えば、エタノール、アセトン、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル、又はこれらの混合物等を挙げることができる。好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール又はこれらの混合物である。
オクタコサノール、その薬学的に許容される塩、及びそれらの溶媒和物は、合成されたもの、単離されたもの、又は精製されたものであることが好ましい。
また、本発明の睡眠充実剤は、睡眠を充実させるための唯一の有効成分としてオクタコサノール、その薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、ユビデカレノン、アスタキサンチン、アスタキサンチンのエステル、黒ショウガ抽出物、魚油及、シールオイル、ポリフェノール、ガジュツ、グリフォニアシンプリシフォリア抽出物、アンドログラホリド等を含まない方がより好ましい。
睡眠充実剤の投与量は、マウスの投与量から換算することができる。マウスにおける投与量がオクタコサノールに換算して1回当たり50〜300mg/kg程度であるため、他の動物に関しては、マウスの投与量から公知の方法に従って体重又は体表面積に応じて算出することができる。例えば、ヒトの場合の睡眠充実剤の1回当たりの最大投与量は、オクタコサノールに換算して5,000mg/kg、好ましくは1,000mg/kg、より好ましくは500mg/kg、さらに好ましくは300mg/kgである。睡眠充実剤の1回当たりの最小投与量は、オクタコサノールに換算して50mg/kg、好ましくは100mg/kg、より好ましくは300mg/kgである。
睡眠充実剤の投与は、就寝前30以内、好ましくは10分以内、さらに好ましく就寝直前に行うことができる。投与回数は、1日に1回であるが、必要に応じて就寝後1エピソード終了時、又は2エピソード終了時等、睡眠時間帯の途中の覚醒時に再度投与しても良い。睡眠充実剤の投与は、毎日行ってもよいが、ストレス時又は外泊時等の必要時にのみ投与してもよい。
睡眠充実剤は、経口投与、筋肉注射、皮下注射、及び/又は血管内投与等により投与することができる。
睡眠充実剤は、有効成分と適当な製剤用の担体又は添加剤を組み合わせて調製することができる。当該製剤の調製に用いられる担体や添加剤としては、製剤の剤形に応じて通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、界面活性剤等を例示できる。
上記配合剤又は製剤が経口投与されるもの(舌下に投与されるものを含む)である場合の剤形は、特に制限されないが、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(硬質カプセル剤及び軟質カプセル剤を含む)、液剤、丸剤、懸濁剤、ゼリー製剤、及び乳剤等を例示できる。また上記配合剤又は製剤が、非経口投与されるものである場合には、注射剤、点滴剤、坐剤、点鼻剤、及び経肺投与剤等を例示できる。
上記配合剤又は製剤が、錠剤、散剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤等の経口用固形製剤である場合の調製に際しては、担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、メチルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム等の賦形剤;単シロップ、プドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、水、エタノール、リン酸カリウム等の結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤;白糖、ステアリン酸、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、デンプン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。
ここで錠剤には、内服錠(裸錠、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠、二重錠、多層錠など)、チュアブル錠(口腔内で咀嚼しながら摂取するものを含む)、口中錠(トローチ等のように口腔内で溶解させたなら摂取するものを含む)、舌下錠、及びバッカル錠が含まれる。
上記配合剤又は製剤が、丸剤の経口用固形製剤である場合の調製に際しては、担体として、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン等の結合剤;ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
上記配合剤又は製剤が、カプセル剤の経口用固形製剤である場合の調製に際しては、カプセル剤は有効成分を上記で例示した各種の担体と混合し、硬質カプセル、又は軟質カプセル等に充填して調製される。
上記配合剤又は製剤が液剤の場合には、液状を有していればよく、水性又は油性の懸濁液、溶液、シロップ、エリキシル剤、ドリンク剤であってもよい。液剤は通常の添加剤を用いて常法に従い、調製される。また液剤を充填する容器は、密閉できるものであれば制限されず、ガラス容器、アルミ製容器、及びプラスチック製容器であってもよい。
上記配合剤又は製剤が注射剤の場合の調製に際しては、担体として例えば水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等の希釈剤;クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のpH調整剤;リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム等の緩衝剤;ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等の安定化剤;凍結乾燥した際の成形剤として例えばマンニトール、イノシトール、マルトース、シュクロース、ラクトース等の糖類を使用できる。なお、この場合等張性の溶液を調整するに十分な量のブドウ糖或いはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、無痛化剤、局所麻酔剤等を添加しても良い。これらの担体を添加して、常法により皮下、筋肉内、静脈内用注射剤を製造することができる。
上記配合剤又は製剤が点滴剤の場合には、投与化合物を生理食塩水、リンゲル液等を基本とした等張電解質輸液製剤に溶解して調製することができる。
3.医薬組成物、医薬部外品、及び飲食品組成物
本発明の睡眠充実剤は、医薬組成物、又は医薬部外品として使用することができる。各組成物の投与量、投与方法、及び製剤形態は、上記2.の説明に準ずる。
また、本発明の睡眠充実剤は、飲食品組成物として使用することができる。
本態様の飲食品組成物には、一般食品、保健機能食品(機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品)が含まれる。保健機能食品の定義及び分類は、日本の健康増進法、及び食品衛生法に定めるところによる。
本態様の飲食品組成物には、ペット(イヌ、ネコ、ウサギ、ブタなど)に対する飲食品(ペットフード)に対する飲食品(飼料組成物)も含まれる。
なお、各国の国内法において、飲食品組成物に疾患との関係を表示することが禁じられている場合には、上記用途の表示を国内法に抵触しない表示に変更することができる。例えば、ストレス、緊張、又は考え事で眠れないときに;寝具(特に枕)がかわって眠れないときに、等の表現や睡眠期間の回復を連想させるイラスト等を付して用途を表示することができる。
本態様の飲食品組成物としては、特に制限されることはないが、例えば飲料(例:乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実飲料、アルコール飲料、スポーツ飲料、粉末飲料、茶飲料など)、冷菓(例:ゼリー、ババロア、プリンなど)、氷菓(例:アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット)、菓子類(例:クッキー、ビスケット、おかき、飴類、チョコレート類、ガム類)、パン類、麺類(例:中華麺、パスタ、うどん、蕎麦、素麺)、スープ類(粉末または固形スープを含む)、調味料(例:ドレッシング、ジュレ、ソース、マヨネーズ様ソース、たれ)などを挙げることができる。
また本発明の飲食品組成物は、上記形態を有する飲食品の他に、サプリメント形態の飲食品組成物、及び病者用食品(要介護者用食品、及び嚥下困難者用食品を含む)を含む。このようなサプリメント形態の飲食品組成物や病者用食品として調製する場合、継続的な摂取が容易にできるように、上記2.に記載に記載されている剤形のうち、例えば、液剤(ドリンク剤)、シロップ剤、ドライシロップ剤、ゼリー製剤(用時調製用のものを含む。以下同じ)、顆粒剤、散剤、丸剤、錠剤、カプセル剤(硬カプセル剤、軟カプセル剤)、トローチ剤、チュアブル剤等の製剤形態に調製することが好ましい。好ましくは、液剤(ドリンク剤)、ゼリー製剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤(硬カプセル剤、軟カプセル剤)であり、より好ましくは液剤(ドリンク剤)、ゼリー製剤である。
以下に、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるものではない。
1.材料と方法
(1)動物
実験には、体重24〜30g(11〜13週齢)のオスのC57BL/6マウス(日本エスエルシー株式会社;浜松、日本)を使用した。マウスは、自動的に制御された12時間毎の明期/暗期サイクル(照明の点灯は朝5時、100 lux以上の照明強度)で、50±5%の相対湿度、及び23±0.5℃の周囲温度に維持された、隔絶された通常の遮音録音室で飼育した。食物と水は自由に摂取させた。実験のプロトコルは、(公財)大阪バイオサイエンス研究所動物実験倫理委員会によって承認されたものである。また、不要な疼痛および不快を動物に与えないように努力し、使用する動物の数を最小限とするよう努力した。
(2)自発運動
個々のマウスの自発運動(Locomotor Activity:LMA)は、記録室の床の25 cm上に設置した、パッシブ赤外線方式センサー(バイオテックス日本;京都、日本)を使用して記録した。また、移動のカウントは1分毎にコンピューターに送り、マルチチャンネルカウンターユニット(ACT Monitor BA-2216(バイオテックス日本)で解析した。マウスを、個別にチャンバー内に置き、少なくとも3日間馴化したあと、薬学試験に供した。
(3)手術
ペントバルビタール(50 mg/kg腹腔内投与)の麻酔の下で、Kaushik et al (Exp Neurol 253: 82-90, 2014)に記載の方法に従って、マウスに睡眠ポリグラフィー検査用の脳波(EEG)電極、及び筋電図(EMG)電極を留置装着した。簡単に説明すると、EEG電極はマウスの頭蓋骨に埋め込んだ2本のステンレススチールねじ(直径1 mm)を使用した。片方のステンレススチールねじを、右前頭皮質(ブレグマの1.0 mm前部、及び1.5 mm外側)の硬膜外に留置し、もう一方を右頭骨頭頂部皮質(ラムダの1.0 mm前部、及び1.5 mm外側)の硬膜外に留置した。EMG電極は、絶縁された2本のステンレススチール製のテフロンコーティングされたワイヤー(直径0.2 mm)であり、僧帽筋の両側に留置した。EEG電極およびEMG電極は双方ともミクロコネクターに接続した。その後、電極を自己硬化性歯科用アクリル樹脂で頭蓋に固定した。抗生物質および鎮痛薬は、手術後5日まで投与した。
(4)EEG及びEMG記録、及び解析
マウスを8〜10日間術後回復させた後、4日間の習慣化/順化のため実験用ケージに移し、平衡錘付き記録リード線(counterbalanced recording leads)と接続した。
EEG及びEMGの記録を行う全てのマウスは異なった日にビヒクル及び様々な用量の薬剤の投与を受け、いずれか2種の薬剤の投与を行う場合、少なくとも2日間あけて行った。EEG及びEMGの記録、並びに薬剤の投与はそれぞれ暗期の開始時(17時)に行った。皮質のEEG及びEMG信号は増幅処理及びフィルタリング処理(EEG:0.5〜30Hz; EMG:20〜200Hz)を行った後、128Hzのサンプリングレートでデジタル化し、Kohtoh et al(Sleep Biol. Rhythms 6: 163-171, 2008)で報告されたSleepSignソフトウェア(キッセイコムテック株式会社;長野、日本)を使用して記録した。
睡眠ポリグラフィー検査の記録データは、覚醒、REM睡眠、NREM睡眠について10秒エポックで、Huang et al(Proc Natl Acad Sci U S A 98: 9965-9970, 2001)及びKohtoh et alに記載の標準クライテリアを使用してSleepSignソフトウェアによって、オフラインで、自動分析法でスコアリングした。スコアリングにより規定された睡眠覚醒段階は、必要に応じて目視で観察し、修正した。EEGのスペクトル解析は、高速フーリエ変換(FFT)によって行った。また、各0.5 Hzの範囲毎のEEG出力密度は、総出力(0.5〜35Hz)の合計に対する各範囲のパーセンテージを計算することにより平均化した。
(5)薬剤処理
オクタコサノール(シグマ・アルドリッチ)は100mg/kg又は200mg/kgの濃度でマウスに経口投与した。オクタコサノールは、20% Vit-E TPGS(D-α-トコフェロール ポリエチレングリコール1000コハク酸エステル)に懸濁した。Vit-E TPGS 20gを、75mlの蒸留水に加えオーバーナイトで穏やかに加熱しながらマグネチックスターラーで撹拌して溶解し、溶解後最終体積を100mlに合わせた。20% Vit-E TPGSをビヒクルとした。オクタコサノールは、使用直前にビヒクルに懸濁し、使い捨ての1mlの注射器および強制給餌針(0.9mmの直径)を使って10ml/kgとなるように経口投与した。ビヒクルも同様に投与した。投与と同時に、動物を収容しているケージは、覚醒状態を増加させるために新鮮な床敷きおよび食物がある新しいケージに交換した。
(6)統計分析
データはすべて平均値±SEで表した。自発運動のタイムコースデータ、睡眠覚醒プロファイル、睡眠覚醒出現(発作)の回数、出現継続時間、段階移行、NREM睡眠段階の持続時間の分布およびEEG出力密度は、対応のあるt検定(paired t-test)、または対応のないt検定(unpaired t-test)によって統計学的な有意差を求めた。自発運動、NREM睡眠、REM睡眠、覚醒の量に対する用量依存的な影響を評価するために、一元配置分散分析により有意差を求め、Scheffeの方法のpost-hoc比較によって検定した。全ての統計解析において、p<0.05を有意差有りと判断した。
2.実験例1:正常なマウスにおけるオクタコサノールの睡眠誘導効果
オクタコサノール(200mg/kg)又はビヒクルを、暗期の開始時(17時)にマウスに経口投与し、経口投与から24時間睡眠を観察した。オクタコサノール投与群とビヒクル投与群の間には、NREM睡眠、REM睡眠及び覚醒の時間的経過には変化が認められなかった。この結果は、オクタコサノールが正常状態の睡眠には影響しないことを示唆していると考えられた。
3.実験例2:LMAに対するオクタコサノールの効果
持続的な1時間以上の覚醒を誘導するため、新しいケージにマウスを移すケージ交換実験を行った。非特許文献13に記載のされているように、動物を新しいケージに移すと周囲を警戒するための軽度な興奮状態に起因する穏やかなストレスを引き起し、第一夜効果と呼ばれる睡眠障害(覚醒増加に伴う睡眠減少)が現れる。オクタコサノール(100、又は200mg/kg)、又はビヒクルを投与しケージを交換し、経口投与後2時間の間10分間隔でLMAを記録した。
その結果、図2に示すようにオクタコサノール100mg/kg(灰色の丸)投与群、及びオクタコサノール200mg/kg(黒丸)は、ビヒクル投与群(白丸)と比較して投与後70分間のLMAが有意に減少した。また、オクタコサノール投与量に依存して、LMAが減少した。LMAは、睡眠の量に反比例するため、オクタコサノールによるLMAの減少により、睡眠量が増加する可能性が示唆された。
4.実験例3:NREM睡眠時間に対するオクタコサノールの効果
次にケージ交換実験を利用して、NREM睡眠時間、REM睡眠時間、又は覚醒時間に対するオクタコサノールの効果を評価した。マウスにオクタコサノール100mg/kg、オクタコサノール200mg/kg又はビヒクル(白丸)をそれぞれ投与した後、各群の1時間あたりのNREM睡眠時間、REM睡眠時間、又は覚醒時間を1時間毎にプロットした。図3Aに示すように、タイムコースによる評価では、オクタコサノール投与群では、ビヒクル投与群と比較して、投与時から投与後5時間までの間におけるNREM睡眠時間が有意に増加した。一方、図3Bに示すように、各単位時間当たりのREM睡眠のタイムコースによる評価では、オクタコサノール投与群とビヒクル投与群の間で有意な差は認められなかった。そして、NREM睡眠時間の増加に伴い、オクタコサノール投与群では覚醒時間が有意に減少した(図3C)。
図3Dに示すように、薬剤投与時から5時間以内のNREM睡眠時間の合計が、ビヒクル投与群では21.2±6.7分であったのに対して、オクタコサノール100mg/kg投与群では75.7±14.9分であり、オクタコサノール200mg/kg投与群では82.7±9.3分であり、ビヒクル投与群と比較してオクタコサノール投与群では、NREM睡眠時間の合計が有意に増加した。また、オクタコサノールの投与量が多いほどNREM睡眠時間が長くなることが示された。これに付随して、薬剤投与時から5時間以内の覚醒時間の合計は、ビヒクル投与群が278.4±6.9分であるのに対して、オクタコサノール100mg/kg投与群では219.2±15.8分であり、オクタコサノール200mg/kg投与群では213.0±9.7分となり、オクタコサノール投与群で有意に減少した。このことは、NREM睡眠時間の増加に伴って覚醒時間が減少したことを示していると考えられた。
また、薬剤投与時から5時間以内のREM睡眠時間の合計は、ビヒクル投与群が0.4±0.3分であるのに対して、オクタコサノール100mg/kg投与群では5.0±1.1分となり、オクタコサノール200mg/kg投与群では4.2±0.6分となり、顕著に増加していた。
これらの結果は、オクタコサノールにはストレス下で誘導される睡眠障害を改善する効果があることを示していると考えられる。
さらに、オクタコサノールによって誘発される睡眠の質を確認するためにEEGの出力密度を測定した(図3E)。暗期6時間のEEGの出力密度は、オクタコサノール200mg/kg投与群及びビヒクル投与群の間に差は認められなかった。このことから、オクタコサノールによって誘導される睡眠の質は、自然な睡眠、すなわち生理的な睡眠の質と同等であることが示された。
また、オクタコサノールを400mg/kg投与した群についても検討したが、昏睡等の副作用は現れなかった。
5.実験例4:睡眠潜時に対するオクタコサノールの効果
オクタコサノール又はビヒクルの投与後、最初にNREM睡眠が現れた時間から睡眠潜時を算出した。ビヒクル投与群では睡眠潜時が117±38.06分であるのに対して、オクタコサノール100mg/kg投与群では36.10±4.15分であり、オクタコサノール200mg/kg投与群では28.50 ±1.81であり、ビヒクル投与群と比較して顕著に睡眠潜時が減少していた(図4)。また、図4に示すようにREM睡眠出現までの潜時も同様に減少した。
EEGパターン、及び睡眠構造の観察では異常は認められず、睡眠の反跳又は睡眠不足は、オクタコサノールによるNREM睡眠の増加効果が観察されてから24時間の観察では認められなかった。つまり、従来の睡眠作用を有する化学合成剤に見られる昏睡や過眠等の副作用は認められず、マウスが自然に覚醒していることが示唆された。周囲を警戒するための覚醒は障害されていないと考えられた。
6.オクタコサノールが睡眠構造に与える影響
睡眠−覚醒構造、及び質を各段階の出現回数、各段階の出現持続時間、段階移行、NREM睡眠段階の持続時間の分布を計算することによって評価した。
図5Aに示すように、ビヒクル又はオクタコサノールの投与開始から6時間まで観察したところ、ビヒクル投与群において、NREM睡眠の出現回数は16.6±2.38回、REM睡眠の出現回数は2.8±0.37回、覚醒時間は17.2±2.29回であったのに対して、オクタコサノール200mg/kg投与群では、NREM睡眠の出現回数は32.4±4.46回、REM睡眠の出現回数は5.4±1.03回、覚醒時間は32.8±4.59回であり、オクタコサノール投与群では全ての段階の出現回数が、ビヒクル投与群よりも顕著に増加していた。
また図5Bに示すように、覚醒の出現平均持続時間は、ビヒクル投与群で1172.4 ±216.11秒/発現であったのに対して、オクタコサノール200mg/kg投与群では、564.0±125.72秒/発現であり、オクタコサノール投与群の方が持続時間が短縮していた。
さらに図5Cに示すように、ビヒクル又はオクタコサノールの投与開始から6時間まで観察したところ、ビヒクル投与群では、覚醒段階からNREM睡眠段階への段階移行の回数が16.6±2.38回であり、NREM睡眠段階から覚醒段階への段階移行の回数が13.4±2.25回であったのに対して、オクタコサノール200mg/kg投与群では、覚醒段階からNREM睡眠段階への段階移行の回数が32.0±4.51回であり、NREM睡眠段階から覚醒段階への段階移行の回数が27.0±3.86回となり、オクタコサノール投与群では、段階移行回数が顕著に増加していた。
NREM睡眠段階の持続時間の分布をみると、図5Dに示すように、30秒より長く60秒までの範囲(〜60秒)、及び120秒より長く240秒までの範囲(〜240秒)の範囲においてビヒクル投与群よりもオクタコサノール投与群の方が増加する傾向にあった。
7.実験例6:ストレスに対するオクタコサノールの影響
非特許文献13に記載されているように、ケージ交換は第一夜効果を呼ばれるストレス症状を誘導する。この実験モデルを使って、オクタコサノールがマウスのストレスを減少できるかどうか、血漿中のコルチコステロンをストレスマーカーとして検討した。
オスのマウスにビヒクル又はオクタコサノールを投与し、ケージを新しいものに交換した。ケージを移してから1時間後にマウスをイソフルランでガス麻酔し、0.5%EDTAでプレコーティングした26Gの注射針を使って心臓採血した。血液を1.5 mlチューブに移し、10,000 r.p.m.で15分間遠心し血漿を回収し、測定まで−80℃で保管した。
血漿中のコルチコステロンの濃度(ng/ml)はLC-MS-MSによって測定した。
図6に示すように、ビヒクル投与群では175.8±8.5 ng/mlであったのに対して、オクタコサノール200mg/kg投与群では、137.4±8.6 ng/mlであり、オクタコサノールには、コルチコステロンの血中濃度を下げる作用があることが示された。
この結果は、オクタコサノールがマウスのストレスを緩和することにより、上記実験例2〜5に示された結果を引き起こしていることを示唆している。

Claims (4)

  1. オクタコサノール、その薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群から選択される少なくとも一種の有効成分を含む、睡眠充実剤。
  2. ストレスを受けた個体に投与されるものである、請求項1に記載の睡眠充実剤。
  3. 第一夜効果を相殺するものである、請求項1に記載の睡眠充実剤。
  4. 医薬組成物、医薬部外品、又は飲食品組成物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の睡眠充実剤。
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