上記特許文献1〜3に見られる電源装置では、2つの直流電源として、互いに特性が異なる直流電源を使用することが可能である。このため、かかる電源装置の全体は、2つの直流電源の特性を複合させた特性(それぞれの直流電源だけでは実現することが困難な特性)を実現することが可能となる。
しかるに、特許文献1〜3に見られる電源装置では、2つの直流電源を、負荷に対して並列もしくは直列に接続し得るようにするために、多数のスイッチ素子を必要とする。このため、これらのスイッチ素子のオンオフの制御が複雑なものとなりやすいと共に、これらのスイッチ素子での電力損失も増大しやすい。
また、各直流電源毎に昇圧回路を備えるために、これらの昇圧回路と、多数のスイッチ素子とを含む電源装置の構成が大型しやすい。
さらに、2つの直流電源を並列に接続する状況では、一方の直流電源から他方の直流電源への電流が相互に影響しないように抑制することが必要となる。この場合、特に、2つの直流電源の特性の相違に起因して、各直流電源毎の昇圧回路の制御の複雑化もしくは高精度化が助長されやすい。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、2つの直流電源を用いて構成された電源装置であって、複雑な制御を必要としない簡易な構成で優れた特性を実現できる電源装置を提供することを目的とする。
さらに、かかる電源装置を備える輸送機器を提供することを目的とする。
本発明の電源装置は、かかる目的を達成するために、直列に接続された第1直流電源及び第2直流電源と、
インダクタ及びスイッチ素子を含み、前記スイッチ素子のオンオフの制御により前記第1直流電源の電圧を変換するように該第1直流電源に接続された電圧変換器と、
前記第2直流電源の正極及び負極のうちの前記第1直流電源側の極と反対側の極と、前記電圧変換器とにそれぞれ接続された一対の出力端子部と、
前記スイッチ素子のオンオフを制御する制御部とを備え、
前記第2直流電源の電圧に、前記電圧変換器により前記第1直流電源の電圧を変換してなる変換電圧を加え合わせた合成電圧を前記一対の出力端子部の間に生成するように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
なお、本発明において、「前記第1直流電源の電圧を変換する」というのは、より詳しくは、前記第1直流電源の電圧から、該電圧の大きさを変化させた電圧を生成することを意味する。この場合、前記第1直流電源の電圧の変換は、昇圧に限らず、降圧も含み得る。
上記第1発明によれば、第1直流電源及び第2直流電源のうちの第1直流電源に対してだけ、前記電圧変換器による電圧の変換が行われる。
このため、第1直流電源として、電圧変換に適した電源(例えば電圧変換に対する応答性が高い電源、あるいは、電圧変換に起因した劣化の進行が生じ難い電源等)を採用し、第2直流電源として、電圧変換に適さない電源(例えば、出力電圧もしくは容量は大きいものの、電圧変換に起因する劣化の進行が生じ易い電源等)を採用し得る。
そして、第2直流電源に対して前記電圧変換器による電圧変換を行うことで、前記一対の出力端子部の間に、前記第1直流電源の電圧以上の種々様々な電圧を発生することが可能となる。
また、この場合、第1直流電源として電圧変換に適した電源を使用することで、該電圧変換時に、第2直流電源の通電電流を許容最大値以下に維持したままで、第1直流電源を流れる電流を比較的大きな可変幅で変化させることが可能となる。ひいては、前記一対の出力端子部の間に生成し得る電圧の変化幅を大きくすることが可能となる。
このように第1直流電源及び第2直流電源として、互いに特性が異なる電源を採用し得ると共に、第1直流電源及び第2直流電源のそれぞれだけでは得られない特性を実現できる。
また、本発明の電源装置は、インダクタ及びスイッチ素子を含む電圧変換器が、第1直流電源側にだけ備えるため、該電圧変換器を比較的少ないスイッチ素子を使用して簡易に構成し得ると共に、該電圧変換器のスイッチ素子のオンオフを制御するだけで、前記一対の出力端子部の間に生成する電圧を制御できる。
よって、第1発明の電源装置によれば、複雑な制御を必要としない簡易な構成で優れた特性を実現できる。
上記第1発明では、前記電圧変換器は、例えば次のような構成のものを採用し得る。すなわち、前記電圧変換器は、前記インダクタとしての第1コイル及び第2コイルを有する変圧器と、前記スイッチ素子としての第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子とを含み、前記変圧器の前記第1コイルのうちの該第1コイルの一端から途中部までの部分コイルと前記第1スイッチ素子とが前記第1直流電源の正極及び負極の間に直列に接続されており、前記変圧器の前記第2コイルのうちの該第2コイルの一端から途中部までの部分コイルと前記第2スイッチ素子とが前記第1直流電源の正極及び負極の間に直列に接続されており、前記第1コイル及び第2コイルのそれぞれの他端が、前記一対の出力端子部のうちの一方の出力端子部に接続されているという構成のものを採用し得る。この場合、本発明では、前記制御部は、前記第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を交互にオンオフさせる機能を有するように構成される(第2発明)。
なお、第2発明において、前記第1コイル及び第2コイルのそれぞれの「途中部」というのは、それぞれのコイルの両端の間の中間部を意味する。該「途中部」は、それぞれのコイルの両端のそれぞれ距離が等しい中点に限らず、該コイルの一端側又は他端側により近い部分であってもよい。そして、前記第1コイル及び第2コイルのそれぞれの「部分コイル」は、それぞれのコイルの全体のうち、該コイルの一端と途中部との間の部分のコイルを意味する。
また、前記第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を交互にオンオフさせるというのは、第2スイッチ素子をオフ状態としつつ、第1スイッチ素子をオン状態とすることと、第1スイッチ素子をオフ状態としつつ、第2スイッチ素子をオン状態とすることとを交互に繰り返すことを意味する。
上記第2発明によれば、前記第2スイッチ素子をオフ状態としつつ、前記第1スイッチ素子をオン状態に制御したときには、前記第1直流電源から通電される前記第1コイルの部分コイルと、前記第2コイルとの相互誘導によって、第1直流電源の電圧を昇圧してなる電圧を第1コイルで生成することができる。
また、前記第1スイッチ素子をオフ状態としつつ、前記第2スイッチ素子をオン状態に制御したときには、前記第2コイルの部分コイルと、前記第1コイルとの相互誘導によって、第1直流電源の電圧の昇圧を行うことができる。
従って、第1コイル及び第2コイルで交互に昇圧電圧を生成し得る。そして、これらの昇圧電圧を、第1直流電源及び第2直流電源の総和の電圧に加えた電圧が、前記一対の出力端子部に印加されることとなる。
このため、前記一対の出力端子部の間に、連続性の高い昇圧電圧を発生させることができる。
上記第2発明では、前記第1コイル及び前記第2コイルのそれぞれの巻き数が互いに同一に設定されていると共に、前記第1コイルの部分コイル及び前記第2コイルの部分コイルのそれぞれの巻き数が互いに同一に設定されていることが好適である(第3発明)。
これによれば、前記第1スイッチ素子をオン状態としたときと、前記第2スイッチ素子をオン状態としたときとのいずれの状況でも、第1コイル及び第2コイルのそれぞれで生成される昇圧電圧を揃えることができる。
ひいては、前記一対の出力端子部の間に生成される電圧の安定性を高めることができる。すなわち、該出力端子部から、外部負荷に安定性の高い電圧(リップルが少ない電圧)を供給できる。
前記電圧変換器は、次のような構成を採用することもできる。すなわち、前記電圧変換器は、前記インダクタとしてのコイルを含み、該コイルの一端が、前記第1直流電源の正極及び負極のうちの一方の極に接続されており、該コイルの他端が、前記一対の出力端子部のうちの一方の出力端子部に接続されると共に、前記スイッチ素子を介して前記第1直流電源の正極及び負極のうちの他方の極に接続されているという構成のものを採用し得る(第4発明)。
これによれば、前記スイッチ素子がオン状態に制御された状態で、前記コイルに前記第1直流電源から流れる電流によって、該コイルに電磁エネルギーが蓄えられる。続いて、前記スイッチ素子がオフ状態に切替えられると、該コイルの昇圧電圧が発生し、該昇圧電圧を、第1直流電源及び第2直流電源の総和の電圧に加えた電圧が、前記一対の出力端子部に印加されることとなる。
かかる第4発明によれば、極めて簡略な構成で本発明の電源装置を実現できる。また、電圧変換器の制御も簡易に行い得る。
上記第1〜第3発明では、前記第1直流電源及び前記第2直流電源は、それぞれ充電可能な蓄電器により構成され得る。この場合、前記第2直流電源の蓄電電力により前記第1直流電源を充電する充電回路をさらに備えていることが好ましい(第5発明)。
ここで、第1直流電源は、前記電圧変換器による電圧変換が行われる電源であるため、該第1直流電源は、第2直流電源に比して、蓄電電力の消費量が多くなり易い。
しかるに上記第5発明によれば、前記充電回路によって、第1直流電源に第2直流電源から、適宜、蓄電電力を補充できることとなる。このため、第1直流電源の蓄電電力が早期に枯渇してしまうのを防止できる。
かかる第5発明では、前記充電回路は、例えば、次のような構成を採用し得る。すなわち、前記充電回路は、前記第2直流電源の正極及び負極の間に直列に接続されたコイル及びスイッチ素子である充電用コイル及び充電用スイッチ素子を含み、該充電用コイルの両端が、前記第1直流電源の正極及び負極のそれぞれに接続されているという構成のものを採用し得る。この場合、前記制御部は、前記充電用スイッチ素子のオンオフを制御する機能をさらに備える(第6発明)。
これによれば、前記充電用スイッチ素子をオン状態に制御することで、前記第2直流電源から通電される前記充電用コイルに電磁エネルギーが蓄えられる。続いて、前記充電用スイッチ素子をオフ状態に切替えることによって、前記充電用コイルに蓄えられた電磁エネルギーによって、前記第1直流電源が充電される。従って、第6発明によれば、第2直流電源の蓄電電力を、前記充電用コイルを介して第1直流電源に移送して、該第1直流電源を充電することができることとなる。
この第6発明では、前記充電用コイルの両端のうちの少なくとも一端は、前記第1直流電源の負極から該充電用コイルを経由して前記第1直流電源の正極に向かう方向を順方向とするダイオードを介して前記第1直流電源に接続されていることが好ましい(第7発明)。
これによれば、第1直流電源が逆極性に充電されてしまうのを防止できる。特に、第1直流電源が例えば電気二重層コンデンサ等により構成されている場合には、該第1直流電源を適切に保護する上で効果的である。
前記第2発明又は第3発明に前記第5発明を適用した場合、すなわち、前記第2発明又は第3発明において、前記第1直流電源及び前記第2直流電源は、それぞれ充電可能な蓄電器により構成されており、前記第2直流電源の蓄電電力により前記第1直流電源を充電する充電回路をさらに備えている場合には、前記充電回路は、例えば次のような構成を採用することもできる。
すなわち、前記充電回路は、前記第2直流電源の正極及び負極の間に直列に接続されたコイル及びスイッチ素子である充電用コイル及び充電用スイッチ素子を含み、該充電用コイルは、前記第2直流電源からの通電時に、前記変圧器の前記第1コイル及び前記第2コイルの一方のコイルとの相互誘導によって当該一方のコイルの前記部分コイルに前記第1直流電源を充電可能な電圧が誘起されるように、前記第1コイル及び前記第2コイルが巻回されているコアに巻回されており、
前記電圧変換器の第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子のうち、前記変圧器の前記一方のコイルに直列に接続されたスイッチ素子には、該一方のコイルの部分コイルと前記第2直流電源との間で該第2直流電源の充電電流を流す方向を順方向とするダイオードが並列に接続されているという構成のものを採用し得る。
この場合、前記制御部は、前記充電用スイッチ素子のオンオフを制御する機能をさらに備える(第8発明)。
これによれば、前記充電用スイッチ素子をオン状態に制御したときには、前記第2直流電源から通電される前記充電用コイルと、前記変圧器の前記一方のコイルとの相互誘導により該一方のコイルの部分コイルに誘起される電圧によって、第1直流電源に前記ダイオードを介して充電電流が通電される。これにより、該第1直流電源を充電できる。
この場合、前記充電用コイルは、前記変圧器のコアに巻回されているので、充電回路を小型に構成することができる。
上記第8発明では、前記充電回路は、前記充電用コイル及び充電用スイッチ素子の組として、第1充電用コイル及び第1充電用スイッチ素子の組と、第2充電用コイル及び第2充電用スイッチ素子の組との2組を備えており、前記第1充電用コイルは、前記第2直流電源からの通電時に、前記変圧器の前記第1コイルとの相互誘導によって該第1コイルの前記部分コイルに前記第1直流電源を充電可能な電圧が誘起されるように前記コアに巻回されており、前記第2充電用コイルは、前記第2直流電源からの通電時に、前記変圧器の前記第2コイルとの相互誘導によって該第2コイルの前記部分コイルに前記第1直流電源を充電可能な電圧が誘起されるように前記コアに巻回されており、
前記電圧変換器の第1スイッチ素子には、前記第1コイルの部分コイルと前記第2直流電源との間で該第2直流電源の充電電流を流す方向を順方向とするダイオードが並列に接続されており、前記電圧変換器の第2スイッチ素子には、前記第2コイルの部分コイルと前記第2直流電源との間で該第2直流電源の充電電流を流す方向を順方向とするダイオードが並列に接続されており、
前記制御部は、前記第1充電用スイッチ素子及び前記第2充電用スイッチ素子を交互にオンオフさせる機能を有することが好ましい(第9発明)。
なお、前記第1充電用スイッチ素子及び前記第2充電用スイッチ素子を交互にオンオフさせるということは、第2充電用スイッチ素子をオフ状態としつつ、第1充電用スイッチ素子をオン状態とすることと、第1充電用スイッチ素子をオフ状態としつつ、第2充電用スイッチ素子をオン状態とすることとを交互に繰り返すことを意味する。
上記第9発明によれば、前記変圧器の第1コイル及び第2コイルのそれぞれの部分コイルに交互に誘起電圧を発生させ、それぞれの誘起電圧により第1直流電源に充電電流を流して該第1直流電源を充電できる。
このため、第1直流電源に印加される充電電圧(前記誘起電圧)を連続的に発生させながら、該第1直流電源を効率よく充電することができる。
なお、特に第9発明において、第1充電用コイル及び第2充電用コイルの巻き数を互いに同一にした上で、該第9発明を前記第3発明と組み合わせた場合には、第1直流電源の充電電圧の安定性を高めることができる。
上記第8発明では、前記充電用コイルの巻き数に対する前記一方のコイルの部分コイルの巻き数の比率は、前記第2直流電源の満充電電圧に対する前記第1直流電源の満充電電圧の比率以上に設定されていることが好ましい(第10発明)。
同様に、上記第9発明では、前記第1充電用コイルの巻き数に対する前記第1コイルの部分コイルの巻き数の比率と、前記第2充電用コイルの巻き数に対する前記第2コイルの部分コイルの巻き数の比率とは、それぞれ、前記第2直流電源の満充電電圧と前記第1直流電源の満充電電圧との比率以上に設定されていることが好ましい(第11発明)。
これらの第10発明及び第11発明によれば、前記充電用コイル、あるいは、前記第1充電用コイル及び第2充電用コイルの巻き数を必要最低限に留めることができる。このため、前記コアの大型化、ひいては、前記電圧変換器及び充電回路の全体の大型化を防止できる。
上記第1〜第11発明では、前記第1直流電源は、前記第2直流電源よりも出力密度が高い蓄電器により構成され、前記第2直流電源は、前記第1直流電源よりもエネルギー密度が高い蓄電器により構成されていることが好適である(第12発明)。
これによれば、第2直流電源はエネルギー密度が相対的に高いため、蓄電エネルギー量が大きなもの(すなわち、大容量のもの)をすることができる。ひいては、本発明の電源装置から外部負荷に電力を供給し得る期間を長くすることができる。
また、この種の第2直流電源は、一般に、出力可能な最大電力をあまり大きくすることが困難であるものの、前記第1直流電源は出力密度が相対的に高いため、出力可能な最大電力が大きなものとすることができる。
このため、第1直流電源は、前記電圧変換器による電圧変換(特に昇圧動作)によって、大きな電力を第2直流電源の電力に付加することができる。ひいては、前記一対の出力端子部から、外部負荷に大きな電力を供給することが可能となる。
また、本発明の輸送機器は、上記第1〜第12発明の電源装置を備えることを特徴とする(第13発明)。
これによれば、前記第1〜第12発明に関して説明した効果を奏し得る輸送機器を実現できる。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1〜図3を参照して以下に説明する。図1に示すように、本実施形態の電源装置1Aは、第1直流電源2及び第2直流電源3と、第1直流電源2の電圧V1の大きさを変換してなる変換電圧を生成する電圧変換器4と、第2直流電源3の電力による第1直流電源2の充電を行う充電回路5と、図示しない外部負荷に電源電圧Voutを出力する一対の出力端子部6p,6nと、該電源電圧Voutを平滑化するために出力端子部6p,6nの間に介装された平滑コンデンサ7と、電圧変換器4及び充電回路5の動作制御を行う制御部8とを備える。
この電源装置1Aは、種々様々な用途に使用し得る。例えば、電源装置1Aは、輸送機器としてのハイブリッド車両、あるいは、電動車両に搭載され、該車両の動力源としての電動モータ(図示省略)の電源装置として使用され得る。この場合、電源装置1Aから外部負荷としての電動モータへの給電は、インバータ等のモータ駆動回路(図示省略)を介して行われる。
第1直流電源2及び第2直流電源3のそれぞれは、充電可能な1つ以上の蓄電器により構成されている。この場合、第1直流電源2及び第2直流電源3のそれぞれを構成する蓄電器として、互いに特性が異なる蓄電器が使用されている。
例えば、本実施形態では、第1直流電源2は、第2直流電源3よりも出力密度が高い1つ以上の蓄電器により構成され、第2直流電源3は、第1直流電源2よりもエネルギー密度が高い1つ以上の蓄電器により構成されている。
ここで、上記出力密度は、蓄電器の単位重量当たり又は単位体積当たりに出力可能な電気量(単位時間当たりの電気エネルギー量又は単位時間当たりの電荷量)であり、上記エネルギー密度は、蓄電器の単位重量当たり又は単位体積当たりに貯蔵し得る電気エネルギー量である。
本実施形態では、第1直流電源2を構成する蓄電器(出力密度が高い蓄電器)としては、例えば電気二重層コンデンサが使用される。また、第2直流電源3を構成する蓄電器(エネルギー密度が高い蓄電器)としては、例えばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池等が使用される。
なお、第1直流電源2が、複数の蓄電器(セル)により構成される場合には、該第1直流電源2は、当該複数の蓄電器を、並列接続、又は、直列接続、又は、それらを組み合わせた接続形態で相互に接続した構成の電源である。このことは、第2直流電源3が、複数の蓄電器(セル)により構成される場合でも同様である。
これらの第1直流電源2及び第2直流電源3は直列に接続されている。本実施形態では、第1直流電源2の負極が第2直流電源3の正極と同電位(又はほぼ同電位)となるように、第1直流電源2及び第2直流電源3が直列に接続されている。また、第2直流電源3の負極が、出力端子部6p,6nのうちの負極側の出力端子部6nと同電位(又はほぼ同電位)となるように該出力端子部6nに導通されている。
電圧変換器4は、本実施形態では、第1直流電源2の電圧V1を昇圧し得るように構成されていると共に、該電圧V1を昇圧してなる電圧を、第2直流電源3の電圧V2に加算(重畳)してなる電圧Voutを、出力端子部6p,6nの間に発生させるように第1直流電源2と、正極側の出力端子部6pとに接続されている。
この電圧変換器4は、本実施形態では、4つのスイッチ素子S1〜S4と、各スイッチ素子S1〜S4に各々並列接続された4つの還流ダイオードD1〜D4と、インダクタとしての2つのコイルC1,C2を有する変圧器TR1とを含むスイッチング方式のDC/DCコンバータである。
各スイッチ素子S1〜S4は、IGBT、FET等の半導体スイッチ素子により構成される。そして、還流ダイオードD1〜D4のそれぞれは、各スイッチ素子S1〜S4の通電可能方向と逆向きが順方向となるように各スイッチ素子S1〜S4に並列に接続されている。以降の説明では、各スイッチ素子S1〜S4と、対応するダイオードD1〜D4との組を、それぞれスイッチ部SD1〜SD4と称することがある。
変圧器TR1は、磁気相殺型変圧器であり、コイルC1,C2は、それぞれの通電により発生する磁束が互いに逆向きの磁束になるようにコアCR1に巻回されている。これらのコイルC1,C2の巻き数は互いに同一である。
なお、コイルC1,C2は、それぞれ本発明における第1コイル、第2コイルに相当する。
コイルC1,C2のそれぞれの一端は、第1直流電源2の正極と同電位(又はほぼ同電位)となるように該正極に接続されている。また、コイルC1,C2のそれぞれの他端は、スイッチ部SD3,SD4のそれぞれを介して正極側の出力端子部6pに接続されている。
なお、スイッチ部SD3,SD4のそれぞれの還流ダイオードD3,D4の順方向(スイッチ素子S3,S4の通電可能方向の逆方向)は、各コイルC1,C2から出力端子部6pに向かう方向である。
また、コイルC1,C2のそれぞれの両端間の途中部C1a,C2aは、スイッチ部SD1,SD2のそれぞれを介して第1直流電源2の負極に接続されている。コイルC1の第1直流電源2側の一端から途中部C1aまでの部分(以降、コイルC1の入力側部分コイルという)の巻き数と、コイルC2の第1直流電源2側の一端から途中部C2aまでの部分(以降、コイルC2の入力側部分コイルという)とは互いに同一である。各コイルC1,C2の入力側部分コイルは、本発明における部分コイルに相当する。
なお、スイッチ部SD1,SD2のそれぞれのスイッチ素子S1,S2の通電可能方向(還流ダイオードD1,D2の逆方向)は、各コイルC1,C2の途中部C1a,C2aから第1直流電源2の負極に向かう方向である。
補足すると、コイルC1,C2のそれぞれは、複数のコイルを直列接続した構造のものであってもよい。この場合、コイルC1,C2のそれぞれにおいて、隣り合うコイル同士に接続部を上記途中部として使用することもできる。
また、本実施形態では、出力端子部6p,6nから電力を給電する外部負荷(電動モータ)側から適宜、供給される回生電力を、第1直流電源2及び第2直流電源3に充電し得るようにするために、スイッチ部SD3,SD4のそれぞれのスイッチ素子S3,S4を備えている。ただし、第1直流電源2及び第2直流電源3に回生電力を充電しない場合には、スイッチ素子S3,S4を省略してよい。
充電回路5は、第2直流電源3の正極及び負極の間に直列に接続されたコイルC3及びスイッチ素子S5と、スイッチ素子S5に並列に接続された還流ダイオードD5と、コイルC3及びスイッチ素子S5の間の電流路上のノードと第1直流電源2の正極との間に介装されたダイオードD6とを備える。以降、スイッチ素子S5と還流ダイオードD5との組をスイッチ部SD5と称することがある。スイッチ部SD5の構成は、電圧変換器4の各スイッチ部SD1〜SD4と同じである。
ダイオードD6の順方向は、コイルC3及びスイッチ素子S5側から第1直流電源2の正極に向かう方向であり、スイッチ部SD5のスイッチ素子S5の通電可能方向(還流ダイオードD5の逆方向)は、コイルC3から第2直流電源3の負極に向かう方向である。
なお、充電回路5の上記コイルC3及びスイッチ素子S5は、それぞれ本発明における充電用コイル、充電用スイッチ素子に相当する。また、ダイオードD6は、本発明における充電回路に係るダイオードに相当する。
制御部8は、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。
この制御部8は、実装されたハードウェア構成又はプログラム(ソフトウェア構成)によって実現される機能によって、各スイッチ素子S1〜S5のオンオフを制御する処理を実行する。そして、本実施形態では、制御部8は、実行する制御処理のモードとして、電圧変換器4の動作制御を行う電圧変換制御モードと、充電回路5の動作制御を行う充電制御モードとを備える。
かかる電源装置A1の作動を以下に説明する。まず、前記電圧変換制御モードでの動作を説明する。外部負荷に電力を供給する状況(本実施形態では、外部負荷としての電動モータの力行運転時)に、制御部8は、電圧変換制御モードの制御処理を実行する。
この制御処理を図2を参照して説明する。この制御処理では、制御部8は、スイッチ素子S1,S2を交互にオンオフさせるように制御する。すなわち、制御部8は、スイッチ素子S2をオフ状態としつつ、スイッチ素子S1をオン状態にすることと、スイッチ素子S1とオフ状態としつつ、スイッチ素子S2をオン状態にすることとを交互に周期的に繰り返すように、スイッチ素子S1,S2を制御する。
ここで、図2は、例えば、スイッチ素子S1をオフ状態とし、且つ、スイッチ素子S2をオン状態とした状況を表している。
この状況では、外部負荷に供給される電流は、白抜きの矢印Y1で示すように、負極側の出力端子部6nから、第2直流電源3、第1直流電源2、変圧器TR1のコイルC1、スイッチ部SD3のダイオードD3及び正極側の出力端子部6pを順に通って外部負荷側に流れる。この場合、外部負荷への供給電流は、第2直流電源3の通電電流(放電電流)と同じである。
同時に、白抜きの矢印Y2で示すように、第1直流電源2の正極から、コイルC2の入力側部分コイルと、オン状態のスイッチ素子S2とを経由して第1直流電源2の負極に至る電流路で電流が還流しつつ、コイルC2の入力側部分コイルに、第1直流電源2の電圧V1に一致もしくはほぼ一致する電圧が瞬時的に印加される(図2の矢印Y3を参照)。
この時、コイルC1,C2間の相互誘導によって、外部負荷への供給電流の電流路となるコイルC1の両端間に、コイルC2の入力側部分コイルの印加電圧をα倍に昇圧してなる大きさの誘起電圧(=α・V1)が発生する(図2の矢印Y4を参照)。
ここで、αは、コイルC2の入力側部分コイルの巻き数(=コイルC1の入力側部分コイルの巻き数)と、コイルC1の巻き数(=コイルC2の巻き数)との比に応じて規定される係数(>1)である。すなわち、コイルC1,C2のそれぞれの巻き数(全体の巻き数)をN、コイルC1,C2のそれぞれの入力側部分コイルの巻き数をnとおくと、α=N/nである。
このように、スイッチ素子S1をオフ状態とし、且つ、スイッチ素子S2をオン状態とした状況では、コイルC1に誘起電圧(=α・V1)が瞬時的に発生する。
また、スイッチ素子S1をオン状態とし、且つ、スイッチ素子S2をオフ状態とした状況でも上記と同様である。この状況では、外部負荷に供給される電流は、負極側の出力端子部6nから、第2直流電源3、第1直流電源2、変圧器TR1のコイルC2、スイッチ部SD4のダイオードD4及び正極側の出力端子部6pを順に通って外部負荷側に流れる。
同時に、第1直流電源2の正極から、コイルC1の入力側部分コイルと、オン状態のスイッチ素子S1とを経由して第1直流電源2の負極に至る電流路で電流が還流しつつ、コイルC2に誘起電圧(=α・V1)が瞬時的に発生する。
従って、スイッチ素子S1をオフ状態とし、且つ、スイッチ素子S2をオン状態とした状況と、スイッチ素子S1をオン状態とし、且つ、スイッチ素子S2をオフ状態とした状況とのいずれの状況でも、第1直流電源2の負極と、正極側の出力端子部6pとの間に、図2に示す如く、第1直流電源2の電圧V1を昇圧してなる電圧(=V1+α・V1=(1+α)・V1)が発生する。そして、この昇圧電圧を、第2直流電源3の電圧V2に加え合わせた電圧Vout(=(1+α)・V1+V2)(又はこれにほぼ一致する電圧)が出力端子部6p,6nの間に生成されることとなる。なお、この電圧Voutは、平滑コンデンサ7により平滑化される。
補足すると、上記電圧Vout(=(1+α)・V1+V2)は、より詳しくは、出力端子部6p,6nの間に生成し得る瞬時的な最大電圧である。該電圧Voutを平滑コンデンサ7により平滑化してなる電圧は、スイッチ素子S1,S2のそれぞれのオンオフのデューティ、あるいは、スイッチ素子S1,S2を交互にオンオフさせる周期を調整することで、可変的に制御することが可能である。
かかる電圧変換器4の動作によれば、電圧変換器4での昇圧動作のために、第1直流電源2には、外部負荷への供給電流(=第2直流電源3の通電電流)と、コイルC1,C2のそれぞれの入力側部分コイルを通る還流電流とを合わせた電流(>外部負荷への供給電流)よりも大きな電流が流れるものの、該第1直流電源2は、出力密度が高い蓄電器より構成されている。
このため、第1直流電源2の急激な電圧低下や劣化の進行が生じるのを回避しつつ、安定性の高い電圧で大きな電流を通電することができる。
ひいては、第2直流電源3の定格電流(最大許容電流)に近い大きな電流を外部負荷に供給する状況であっても、第1直流電源2及び第2直流電源3の総和の電圧(=V1+V2)よりも高い電圧Voutを出力端子部6p,6nから出力することができる。従って、出力端子部6p,6nから大きな電力を外部負荷に供給することができる。
また、スイッチ素子S1,S2のオンオフを交互に行うことで、コイルC1,C2のそれぞれにおける誘起電圧(=α・V1)の発生が交互に行われることとなるので、出力端子部6p,6nの間に生成される電圧Voutを、リップルの少ない安定性の高い電圧にすることができる。
また、第2直流電源3は、エネルギー密度が高い蓄電器により構成されているので、第2直流電源3は、大容量の電源にすることができる。このため、外部負荷に適切に電力を供給し得る期間(ひいては、車両の航続可能距離)を長くすることができる。
補足すると、第1直流電源2及び第2直流電源3に回生電力を充電する場合には、制御部8は、スイッチ素子S1,S2を上記の如く交互にオンオフさせることに併せて、スイッチ素子S3,S4のオンオフを交互に行うように、スイッチ素子S1〜S4を制御する。
この場合、より詳しくは、スイッチ素子S1をオン状態にする状況で、スイッチ素子S3がオフ状態で、且つスイッチ素子S4がオン状態になり、スイッチ素子S2をオン状態にする状況で、スイッチ素子S4がオフ状態で、且つスイッチ素子S3がオン状態となるように、スイッチ素子S1〜S4を制御する。
このようにすることにより、出力端子部6p,6sに外部負荷側から供給される回生電力の電圧が、電圧変換器4で降圧された上で、第1直流電源2及び第2直流電源3の直列回路に印加され、該第1直流電源2及び第2直流電源3が充電される。
次に、前記充電制御モードでの電源装置A1の動作を図3A及び図3Bを参照して説明する。第1直流電源2の蓄電電力がある程度少なくなると、制御部8は、充電制御モードの制御処理を実行する。
この制御処理では、制御部8は、充電回路5のスイッチ素子S5を周期的にオンオフさせるように該スイッチ素子S5を制御する。図3Aは、スイッチ素子S5をオン状態にした状況を示し、図3Bは、スイッチ素子S5をオン状態からオフ状態に切替えた状況を示している。
スイッチ素子S5をオン状態にした状況では、図3Aに白抜きの矢印Y5で示すように、第2直流電源3の正極からコイルC3と、オン状態のスイッチ素子S5とを経由して第2直流電源3の負極に至る電流路で電流が還流することで、コイルC3に電磁エネルギーが蓄えられる。
次いで、スイッチ素子S5がオフ状態に切替えられた状況では、コイルC3に電流を流し続けるように起電力が発生する。これにより、図3Bに白抜きの矢印Y6で示すように、第1直流電源2の負極側から、コイルC3と、ダイオードD6とを経由して第1直流電源2の正極に至る電流路で電流が還流する。ひいては、コイルC3に蓄えられた電磁エネルギーによって、第1直流電源2が充電される。
換言すれば、スイッチ素子S5のオンオフの繰り返しによって、第2直流電源3の蓄電電力が、コイルC3を介して第1直流電源2に移送されることとなる。
なお、第1直流電源2の充電量(単位時間当たりの充電量)は、スイッチ素子S5のオンオフのデューティを調整することで制御し得る。
ここで、第1直流電源2は、第2直流電源3よりもエネルギー密度が低いため、前記昇圧制御モードでの電圧変換器4の動作によって、第1直流電源2の蓄電電力が早期に低下し易いものの、上記充電制御モードでの制御処理によって、エネルギー密度が高い第2直流電源3から第1直流電源2に適宜、蓄電電力を補充できる。
なお、充電回路5は、ダイオードD6を備えるため、第1直流電源2に逆電圧が印加されることが防止される。このため、電気二重層コンデンサにより構成される第1直流電源2を適切に保護することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図4及び図5を参照して以下に説明する。なお、本実施形態は、一部の構成だけが前記第1実施形態と相違する。このため、本実施形態の説明は、第1実施形態と相違する事項を中心に行い、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態の電源装置1Bは、第1実施形態の電圧変換器4と同じ構成の電圧変換器4を具備する一方、第1実施形態の充電回路5と異なる構成の充電回路11を具備する。この充電回路11は、インダクタとしての2つのコイルC4,C5と、2つのスイッチ素子S7,S8と、各スイッチ素子S7,S8に各々並列接続された2つの還流ダイオードD7,D8とを備える。以降、充電回路11の各スイッチ素子S7,S8と、対応するダイオードD7,D8との組を、それぞれスイッチ部SD7,SD8と称することがある。スイッチ部SD7,SD8のそれぞれの構成は、電圧変換器4の各スイッチ部SD1〜SD4と同じである。
コイルC4とスイッチ部SD7とを直列に接続したものと、コイルC5とスイッチ部SD8とを直列に接続したものとが、第2直流電源3の正極及び負極の間に並列に接続されている。この場合、コイルC4,C5が第2直流電源3の正極側に接続され、スイッチ部SD7,SD8が第2直流電源3の負極側に接続されている。
なお、スイッチ部SD7,SD8のそれぞれのスイッチ素子S7,S8の通電可能方向(還流ダイオードD7,D8の逆方向)は、各コイルC4,C5から第2直流電源3の負極に向かう方向である。
そして、本実施形態では、コイルC4,C5は、前記電圧変換器4の変圧器TR1のコアCR1に巻回されている。この場合、本実施形態では、コイルC4に第2直流電源3から通電した時にコイルC4の内側で発生する磁束の向きと、変圧器TR1のコイルC1の内側で発生する磁束の向きとが互いに逆向きになると共に、コイルC5に第2直流電源3から通電した時にコイルC5の内側で発生する磁束の向きと、変圧器TR1のコイルC2の内側で発生する磁束の向きとが互いに逆向きになるように、コイルC4,C5がコアCR1に巻回されている。
また、コイルC4,C5の巻き数は、互いに同一であると共に、前記変圧器TR1のコイルC1,C2のそれぞれの入力側部分コイルの巻き数の1/β倍(βについては後述する)の巻き数である。
また、本実施形態では、制御部8は、充電制御モードにおいては、上記の如く構成された充電回路11のスイッチ素子S7,S8を制御するように構成されている。
本実施形態の電源装置1Bは、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。
補足すると、前記コイルC4、コイルC5、スイッチ素子S7、スイッチ素子Sは、それぞれ、本発明における第1充電用コイル、第2充電用コイル、第1充電用スイッチ素子、第2充電用スイッチ素子に相当する。また、本実施形態では、電圧変換器4に備えられたダイオードD1,D2がそれぞれ本発明における充電回路に係るダイオードに相当する。
かかる電源装置1Bでは、昇圧制御モードでの制御処理及び電圧変換器4の動作は、第1実施形態と同じである。
一方、充電制御モードでは、制御部8は、充電回路11のスイッチ素子S7,S8を交互にオンオフさせるように制御する。すなわち、制御部8は、スイッチ素子S8をオフ状態としつつ、スイッチ素子S7をオン状態にすることと、スイッチ素子S7とオフ状態としつつ、スイッチ素子S8をオン状態にすることとを交互に周期的に繰り返すように、スイッチ素子S7,S8を制御する。
ここで、図5は、例えば、スイッチ素子S7をオン状態とし、且つ、スイッチ素子S8をオフ状態とした状況を表している。
この状況では、図5に白抜きの矢印Y7で示すように、第2直流電源3の正極からコイルC4と、オン状態のスイッチ素子S7と経由して第2直流電源3の負極に至る電流路で電流が還流しつつ、コイルC4に、第2直流電源3の電圧V2に一致もしくはほぼ一致する電圧が瞬時的に印加される(図5の矢印Y9を参照)。
この時、コイルC4と、変圧器TR1のコイルC1との間の相互誘導によって、コイルC1の入力側部分コイルに、コイルC4の印加電圧をβ倍の大きさの誘起電圧(=β・V2)が瞬時的に発生する(図5の矢印Y10を参照)。
ここで、βは、コイルC4の巻き数(=コイルC5の巻き数)と、コイルC1の入力側部分コイルの巻き数(=コイルC2の入力側部分コイルの巻き数)との比に応じて規定される係数である。すなわち、コイルC4,C5のそれぞれの巻き数をm、コイルC1,C2のそれぞれの入力側部分コイルの巻き数をnとおくと、β=n/mである。
そして、本実施形態では、係数βの値が、第1直流電源2の満充電時の電圧V1(定格電圧)と第2直流電源3の満充電時の電圧V2(定格電圧)との比(=V1/V2)に一致もしくはほぼ一致するように、コイルC4,C5のそれぞれの巻き数mと、コイルC1,C2のそれぞれの入力側部分コイルの巻き数nとの比(=n/m)が設定されている。
このため、コイルC1の入力側部分コイルに瞬時的に発生する誘起電圧(=β・V2)は、第1直流電源2の定格電圧と同一もしくはほぼ同一の大きさの電圧となる。
また、該誘起電圧(=β・V2)は、図5に矢印Y10で示すように、コイルC1の途中部C1aから第1直流電源2側に向かう方向の電圧となる。
このため、図5に白抜きの矢印Y8で示すように、コイルC1の第1直流電源2側の一端から、第1直流電源2及びスイッチ部SD1のダイオードD1を経由してコイルC1の途中部C1aに至る電流路で電流が還流し、この電流により第1直流電源2が充電される。
また、スイッチ素子S8をオン状態とし、且つ、スイッチ素子S7をオフ状態とした状況でも上記と同様である。この状況では、第2直流電源3の正極からコイルC5と、オン状態のスイッチ素子S8と経由して第2直流電源3の負極に至る電流路で電流が還流しつつ、コイルC5に、第2直流電源3の電圧V2に一致もしくはほぼ一致する電圧が瞬時的に印加される。
さらにこれに応じて、変圧器TR1のコイルC2の入力側部分コイルに、V2のβ倍の誘起電圧(=β・V2)が発生する。そして、この誘起電圧に応じて、コイルC2の第1直流電源2側の一端から、第1直流電源2及びスイッチ部SD2のダイオードD2を経由してコイルC2の途中部C2aに至る電流路で電流が還流し、この電流により第1直流電源2が充電される。
従って、スイッチ素子S7をオン状態とし、且つ、スイッチ素子S8をオフ状態とした状況と、スイッチ素子S8をオン状態とし、且つ、スイッチ素子S7をオフ状態とした状況とのいずれの状況でも、コイルC1又はC2の入力側部分コイルに発生する誘起電圧に応じて流れる電流によって、第1直流電源2が充電される。
換言すれば、スイッチ素子S7,S8を交互にオンオフさせることを繰り返すことによって、第2直流電源3の蓄電電力が、コイルC4又はC5と、コイルC1又はC2の入力側部分コイルとを介して第1直流電源2に移送されることとなる。
なお、第1直流電源2の充電量(単位時間当たりの充電量)は、スイッチ素子S7,S8のそれぞれのオンオフのデューティ、あるいは、スイッチ素子S7,S8を交互にオンオフさせる周期を調整することで制御し得る。
このように、本実施形態によれば、上記した充電制御モードでの制御処理によって、第1実施形態の場合と同様に、エネルギー密度が高い第2直流電源3から第1直流電源2に適宜、蓄電電力を補充できる。
また、本実施形態では、変圧器TR1のコアCR1が、充電回路11のコイルC4,C5を巻回するコアとして使用されている。すなわち、コアCR1は、電圧変換器4及び充電回路11の共通の構成要素として使用される。このため、電源装置1Bをコンパクトに構成することができる。
さらに、2つのコイルC4,C5を用いて、変圧器TR1の2つのコイルC1,C2のそれぞれの入力側部分コイルに交互に誘起電圧を発生させるため、第1直流電源2に流入する電流のリップルを低減して、該電流の安定性を高めることができる。このため、第1直流電源2の充電電流の変動が少ないものとなって、該第1直流電源2を構成する蓄電器の劣化の進行を極力抑制することができる。
なお、本実施形態では、前記係数βの値(=n/m)が、第1直流電源2の満充電時の電圧V1(定格電圧)と第2直流電源3の満充電時の電圧V2(定格電圧)との比(=V1/V2)に一致もしくはほぼ一致するように、コイルC4,C5のそれぞれの巻き数mを設定した。ただし、コイルC4,C5のそれぞれの巻き数mを係数βの値(=n/m)が、上記電圧比(=V1/V2)よりも大きくなるように設定してもよい。
すなわち、コイルC4,C5のそれぞれの巻き数mを上記実施形態よりも少なくしてもよい。このようにすることにより、第1直流電源2の充電を可能としつつ、変圧器TR1のコアCR1をより一層小型にすることができる。
また、本実施形態では、充電回路5に2つのコイルC4,C5と2つのスイッチ素子S7,S8とを備えた。ただし、コイルC4及びスイッチ素子S7の組と、コイルC5及びスイッチ素子S8の組とのうちの一方の組だけを備えるようにしてもよい。この場合には、充電制御モードにおいて、当該一方の組のスイッチ素子S7又はS8のオンオフを周期的に行うことで、第1コイルC1及び第2コイルC2の一方の部分コイルに生じる誘起電圧によって、第1直流電源2が充電されることとなる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図6を参照して以下に説明する。なお、本実施形態は、一部の構成だけが前記第2実施形態と相違する。このため、本実施形態の説明は、第2実施形態と相違する事項を中心に行い、第2実施形態と同一の事項については説明を省略する。
前記第2実施形態の電源装置1Bでは、第1直流電源2及び第2直流電源3に回生電力を充電する場合に、コイルC4又はC5で誘起される電圧により第2直流電源3が充電されることとなるが、本実施形態の電源装置1B’は、かかる第2直流電源3の充電を防止し得るように構成されている。
さらに詳細には、電源装置1B’は、制御部8により制御可能なスイッチ素子S11と、ダイオードD11とを並列に接続してなるスイッチ部(以降、スイッチ部SD11という)をさらに備える。スイッチ部SD11の構成は、前記スイッチ部SD1等と同じである。
そして、スイッチ部SD11が、コイルC4,C5と、第2直流電源3との間で電流を還流させる電流路(詳しくは、第2直流電源3の正極から、コイルC4及びスイッチ部SD7の直列回路、又はコイルC5及びスイッチ部SD8の直列回路を通って第2直流電源3の負極に至る電流路)に介装されている。図示例の電源装置1B’では、コイルC4,C5のそれぞれの一端がスイッチ部SD11を介して第2直流電源3の正極に接続されている。
この場合、スイッチ部SD11のダイオードD11の順方向(スイッチ素子S11の通電可能方向と逆方向)は、第2直流電源3からコイルC4,C5の一端に向かう方向である。
本実施形態の電源装置1B’の構成は、以上説明した事項以外は、第2実施形態の電源装置1Bと同じである。
この電源装置1B’では、通常、第1直流電源2及び第2直流電源3に回生電力を充電する状況では、スイッチ素子S11をオフ状態に維持する。これにより、コイルC4,C5で誘起電圧が発生しても、コイルC4又はC5から第2直流電源3に充電電流が流れるのが、スイッチ部SD11のダイオードD11により阻止される。
従って、第1直流電源2及び第2直流電源3に回生電力を充電する場合に、コイルC4又はC5に誘起される電圧によって、第2直流電源3が充電されるのを防止することができる。なお、第2直流電源3に回生電力を任意で充電する状況で、スイッチ素子S11をオン状態にすることも可能である。
補足すると、スイッチ部SD11は、充電回路11のスイッチ部SD7,SD8と、第2直流電源3の負極及び出力端子部6nの間に介装してもよい。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図7を参照して説明する。なお、本実施形態は、一部の構成だけが前記第1実施形態と相違する。このため、本実施形態の説明は、第1実施形態と相違する事項を中心に行い、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態の電源装置1Cは、第1実施形態の充電回路5と同じ構成の充電回路5を具備する一方、第1実施形態の電圧変換器4と異なる構成の電圧変換器13を具備する。この電圧変換器13は、インダクタとしてのコイルC6と、2つのスイッチ素子S9,S10と、各スイッチ素子S9,S10に各々並列接続された2つの還流ダイオードD9,D10とを備える。
各スイッチ素子S9,S10は、IGBT、FET等の半導体スイッチ素子により構成される。そして、還流ダイオードD9,D10のそれぞれは、各スイッチ素子S9,S10の通電可能方向と逆向きが順方向となるように各スイッチ素子S9,S10に並列に接続されている。以降、電圧変換器13の各スイッチ素子S9,S10と、対応するダイオードD9,D10との組を、それぞれスイッチ部SD9,SD10と称することがある。スイッチ部SD9,SD10のそれぞれの構成は、第1実施形態で説明した電圧変換器4の各スイッチ部SD1〜SD4と同じである。
スイッチ部SD9,SD10は、第1直流電源2の負極と、正極側の出力端子部6pとの間に直列に接続されている。なお、スイッチ部SD9のスイッチ素子S9の通電可能方向(還流ダイオードD9の逆方向)とスイッチ部SD10のスイッチ素子S10の通電可能方向(還流ダイオードD10の逆方向)とは、いずれも出力端子部6pから第1直流電源2の負極に向かう方向である。
コイルC6の一端は、第1直流電源2の正極と同電位(又はほぼ同電位)となるように該正極に接続されている。また、コイルC6の他端は、スイッチ部SD9,SD10の間の電流路上のノードに接続されている。換言すれば、コイルC6の他端は、スイッチ部SD9を介して第1直流電源2の負極に接続されると共に、スイッチ部SD10を介して出力端子部6pに接続されている。
また、本実施形態では、制御部8は、昇圧制御モードにおいては、上記の如く構成された電圧変換器13のスイッチ素子S9,S10を制御するように構成されている。
本実施形態の電源装置1Cは、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。
補足すると、第1直流電源2及び第2直流電源3に回生電力を充電しない場合には、スイッチ素子S10を省略してよい。
かかる電源装置1Cでは、充電制御モードでの制御処理及び充電回路5の動作は、第1実施形態と同じである。
一方、昇圧制御モードでは、制御部8は、充電制御モードでは、制御部8は、電圧変換器13のスイッチ素子S9を周期的にオンオフさせるように該スイッチ素子S9を制御する。
この場合、スイッチ素子S9をオン状態にした状況では、外部負荷への供給電流が、負極側の出力端子部6nから、第2直流電源3、第1直流電源2、コイルC6、スイッチ部SD10のダイオードD10及び正極側の出力端子部6pを順に通って外部負荷側に流れる。同時に、第1直流電源2の正極からコイルC6及びオン状態のスイッチ素子S9を経由して第1直流電源2の負極に至る電流路で電流が還流することで、コイルC6に電磁エネルギーが蓄えられる。
次いで、スイッチ素子S9がオン状態からオフ状態に切替えられた状況では、コイルC6に、第1直流電源2側からスイッチ部SD10側に向かう電圧が誘起されることで、第1直流電源2の負極と正極側の出力端子部6pとの間に、第1直流電源2の電圧V1を昇圧してなる電圧(>V1)が発生する。そして、この昇圧電圧を、第2直流電源3の電圧V2に加え合わせた電圧Vout(>V1+V2)が、出力端子部6p,6nの間に生成される。
これにより、出力端子部6p,6nの間に、第1直流電源2及び第2直流電源3の総和の電圧(=V1+V2)よりも高い電圧Voutが生成されることとなる。
なお、出力端子部6p,6nの間の電圧Vout(平滑化した電圧)は、スイッチ素子S9のオンオフのデューティを調整することで可変的に制御し得る。
かかる電圧変換器13の動作によれば、電圧変換器13での昇圧動作のために、第1直流電源2には、スイッチ素子S9のオン状態で、外部負荷への供給電流(=第2直流電源3の通電電流)よりも大きな電流が流れるものの、該第1直流電源2は、出力密度が高い蓄電器より構成されているため、第1直流電源2の急激な電圧低下や劣化の進行が生じるのを回避しつつ、大きな電流を通電することができる。
ひいては、第1実施形態と同様に、第2直流電源3の定格電流(最大許容電流)に近い大きな電流を外部負荷に供給する状況であっても、第1直流電源2及び第2直流電源3の総和の電圧(=V1+V2)よりも高い電圧Voutを出力端子部6p,6nから出力することができる。
また、スイッチ素子S9のオンオフ制御だけで、昇圧動作を行うことができるので、電圧変換器13を小型且つ簡易な構成のものとすることができるとともに、該昇圧動作を簡易な制御処理で実現できる。
なお、以上説明した各実際形態では第2直流電源3の正極に第1直流電源の負極を接続する構成の電源装置1A〜1Cを示した。ただし、第2直流電源3の負極に第1直流電源の正極を接続した電源装置を構成することもできる。この場合には、出力端子部6p,6nのうちの正極側の出力端子部6pが第2直流電源3の正極に接続され、負極側の出力端子部6nが電圧変換器4又は13に接続されることとなる。