本発明の一実施の形態の焦点調節装置について以下に説明する。この焦点調節装置は、一眼レフデジタルスチルカメラなどの撮像装置に備えられており、合焦ロック機能付きの自動焦点調節(AF)を行う。すなわち、撮像装置の撮影画面内に設定された複数の焦点検出エリアにおいて、撮影レンズの焦点調節状態(この一実施の形態ではデフォーカス量)を検出し、いずれかのエリアのデフォーカス量に基づいて撮影レンズを合焦駆動する。そして、撮影レンズが合焦状態であることが検出されると、撮影レンズの駆動を禁止して合焦ロックを行う。さらに焦点調節装置は、構図変更時に合焦ロックを解除する機能を有する。すなわち、合焦ロック中に構図の変更が検出されると、合焦ロックを解除して焦点調節を再開可能とする。
図1は、焦点調節装置を備えた撮像装置(一眼レフデジタルスチルカメラ)1の構成を示す。なお、図1では本願発明と直接関係のないカメラの機器および回路についての図示と説明を省略する。撮像装置1は、カメラ本体2に交換レンズ3が交換可能に装着される。カメラ本体2には被写体像を撮像して画像を記録するための第1撮像素子4が設けられる。この第1撮像素子4はCCDやCMOSなどにより構成することができる。撮影時にはクイックリターンミラー5およびサブミラー6が実線で示す撮影光路外の位置に退避してシャッター7が開放され、撮影レンズ8により第1撮像素子4の受光面に被写体像が結像される。
カメラ本体2の底部には、撮影レンズ8の焦点調節状態を検出するための焦点検出光学系9と測距素子10が設けられている。ここでは、瞳分割型位相差検出方式による焦点検出方法を採用した例を示す。焦点検出光学系9は、撮影レンズ8を通過した対の焦点検出用光束を測距素子10の受光面へ導き、対の光像を結像させる。測距素子10は、たとえば対のCCDラインセンサを備え、対の光像に応じた焦点検出信号を出力する。撮影前にはクイックリターンミラー5およびサブミラー6が破線で示すような撮影光路内の位置に設定されている。これにより、撮影レンズ8からの対の焦点検出用光束はクイックリターンミラー5のハーフミラー部を透過し、サブミラー6により反射されて焦点検出光学系9および測距素子10へ導かれる。
カメラ本体2の上部にはファインダー光学系が設けられている。撮影前にはクイックリターンミラー5およびサブミラー6が破線で示す位置にある。これにより、撮影レンズ8からの被写体光はクイックリターンミラー5に反射されて焦点板11へ導かれ、焦点板11上に被写体像が結像する。液晶表示素子12は、焦点板11上に結像された被写体像に焦点検出エリアマークなどの情報を重畳表示するとともに、被写体像外の位置に露出値などの種々の撮影情報を表示する。焦点板11上の被写体像はペンタダハプリズム13および接眼レンズ14を介して接眼窓15へ導かれ、撮影者が被写体像を視認することができる。
また、カメラ本体2上部のファインダー光学系には、被写体追尾や測光のために被写体像を撮像する第2撮像素子16が設けられる。撮影前に焦点板11上に結像された被写体像は、ペンタダハプリズム13、プリズム17および結像レンズ18を介して第2撮像素子16へ導かれ、第2撮像素子16の受光面に被写体像が再結像される。第2撮像素子16は被写体像に応じた画像信号を出力する。詳細を後述するが、この第2撮像素子16により撮像された被写体像に基づいて追尾制御と露出演算が行われる。
カメラ本体2にはまた、ボディ駆動制御装置19、操作部材20などが設けられる。ボディ駆動制御装置19は、詳細を後述するマイクロコンピューターとメモリ、A/D変換器などの周辺部品から構成され、撮像装置1の種々の制御と演算を行う。操作部材20には、レリーズボタン、焦点検出エリア選択スイッチ、撮影モード選択スイッチなどの撮像装置1を操作するためのスイッチやセレクター類が含まれる。
交換レンズ3には、ズーミングレンズ8a、フォーカシングレンズ8b、絞り21、レンズ駆動制御装置22などが設けられる。なお、ここでは撮影レンズ8をズーミングレンズ8a、フォーカシングレンズ8bおよび絞り21で代表的に表すが、撮影レンズ8の構成は図1に示す構成に限定されない。レンズ駆動制御装置22は図示しないマイクロコンピューターとメモリ、駆動回路、アクチュエーターなどの周辺部品から構成され、レンズ8a、8bおよび絞り21の駆動制御とそれらの設定位置検出を行う。レンズ駆動制御装置22に内蔵されるメモリには、交換レンズ3の焦点距離や開放絞り値などの情報が記憶されている。
ボディ駆動制御装置19とレンズ駆動制御装置22はレンズマウント部の接点23を介して通信を行う。たとえば、ボディ駆動制御装置19からレンズ駆動制御装置22へレンズ駆動量や絞り値などの情報を送信し、レンズ駆動制御装置22からボディ駆動制御装置19へレンズ情報や絞り情報を送信する。
図2はボディ駆動制御装置19の詳細な構成を示す。なお、本願発明と直接関係のない制御機能については図示と説明を省略する。ボディ駆動制御装置19は素子制御回路19a、A/D変換器19b、マイクロコンピューター19c、メモリ19dなどを備えている。素子制御回路19aは第2撮像素子16の電荷の蓄積と読み出しを制御する。A/D変換器19bは、第2撮像素子16から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。マイクロコンピューター19cは、ソフトウエア形態により追尾制御部19e、露出制御部19f、焦点検出演算部19g、レンズ駆動量演算部19hおよびモード設定部19iを構成する。メモリ19dは、画像追尾用のテンプレート画像やデフォーカス量などの情報、あるいは撮影レンズ8の焦点距離、開放F値、絞り値、像ズレ量からデフォーカス量への変換係数などのレンズ情報を記憶する。
追尾制御部19eは、第2撮像素子16により撮像した被写体像の内、撮影者が手動で指定した追尾対象位置、あるいはカメラ1が自動で設定した追尾対象位置に対応する画像をテンプレート画像(基準画像)としてメモリ19dに記憶させる。また、その後に繰り
返し撮影される画像の中からテンプレート画像と一致または類似する画像領域を検索することによって対象の位置を認識する。露出演算部19fは、第2撮像素子16により撮像した画像信号に基づいて露出値を演算する。
焦点検出演算部19gは、測距素子10から出力される対の光像に応じた焦点検出信号に基づいて撮影レンズ8の焦点調節状態、ここではデフォーカス量を検出する。なお、詳細を後述するが、撮影レンズ8の撮影画面内には複数の焦点検出位置(焦点検出エリア)が設定されており、測距素子10はこの焦点検出エリアごとに対の光像に応じた焦点検出信号を出力する。焦点検出演算部19gは、測距素子10から焦点検出エリアごとに出力される対の光像に応じた焦点検出信号に基づいて、各焦点検出エリアに対するデフォーカス量を検出する。レンズ駆動量演算部19hは検出されたデフォーカス量をレンズ駆動量に変換する。
モード設定部19iは、撮像装置1(焦点調節装置)に対して、2種類のAFモードのいずれかを選択可能である。モード設定部19iにより選択される2種類のAFモードのうち一方は、単独AFモードと呼ばれている。単独AFモードが選択された場合、撮像装
置1において検出されたデフォーカス量に基づく撮影レンズ8の焦点調節が行われ、合焦状態になると合焦ロックされて撮影レンズ8の焦点調節が禁止される。この合焦ロック中に構図の変更が検出されると、合焦ロックが解除され、焦点調節が再開される。なお、構図変更の検出方法については後で詳しく説明する。モード設定部19iにより選択される2種類のAFモードのうち他方は、連続AFモードと呼ばれている。連続AFモードが選択された場合、撮像装置1において検出されたデフォーカス量に基づく撮影レンズ8の焦点調節が繰り返し行われる。この連続AFモードでは、合焦状態になっても合焦ロックは行われない。
図3は第2撮像素子16の詳細な構成を示す正面図である。第2撮像素子16は、マトリクス状に配列された複数の画素(光電変換素子)26(ここでは横16個×縦12個=192個)を備えている。各画素26は図4に示すように3個の部分26a、26b、26cに分割され、これらの部分26a、26b、26cにはそれぞれ赤R、緑G、青Bの原色フィルターが設けられている。これにより、各画素26ごとに被写体像のRGB信号を出力することができる。
次に、撮像装置1(焦点調節装置)における焦点調節動作を説明する。図5〜図7は、焦点調節動作を説明するための図である。また、図8〜図12は、焦点調節動作時にボディ駆動制御装置19が実行する処理を示すフローチャートである。これらの図を用いて、以下に焦点調節動作の説明を行う。
なお、撮影者がレリーズボタンを全押しして撮影を行うとき以外は、クイックリターンミラー5が図1に破線で示す撮影光路内に設定されており、撮影レンズ8から入射した被写体光は焦点板11上に結像される。そして、焦点板11上の被写体像はペンタダハプリズム13、プリズム17および結像レンズ18を介して第2撮像素子16へ導かれ、第2撮像素子16から被写体像信号が繰り返し出力される。
撮影レンズ8による撮影画面内には複数の焦点検出エリアが設定されている。液晶表示素子12は、焦点板11上の被写体像に各焦点検出エリアを示すエリアマークを重畳表示して、各焦点検出エリアの位置を撮影者に提示する。ここでは、図5に示すように、撮影画面内の11カ所に焦点検出エリア45a〜45kが設定された例を示す。また、操作部材20の焦点検出エリア選択スイッチにより任意のエリアを選択すると、そのエリアのマークが点灯表示される。
図8のフローチャートに示す処理は、撮影者が操作部材20の焦点検出エリア選択スイッチによりいずれかの焦点検出エリアを選択し、この状態で操作部材20のレリーズボタンを半押しすることにより実行される。ステップS1において、ボディ駆動制御装置19は、モード設定部19iにより設定されているAFモードが単独AFモードと連続AFモードのいずれであるかを判定する。単独AFモードが設定されている場合はステップS2へ進み、連続AFモードが設定されている場合はステップS11へ進む。
ステップS2において、ボディ駆動制御装置19は、撮影者がレリーズボタンを半押ししたときに選択されていた焦点検出エリアを初回エリアとして決定する。この初回エリアの情報は、メモリ19dに記憶される。これにより、初回エリアに対応する被写体が、ステップS5で行う追尾初期処理における追尾対象の被写体として指定される。なお、ここでは撮影者が初回エリアを選択して追尾対象の被写体を手動で指定する例を示したが、例えば自動的に被写体を認識する機能を備えたカメラでは被写体認識結果に基づいて初回エリアおよび追尾対象被写体を設定してもよい。
ステップS3において、ボディ駆動制御装置19は、図9に示す合焦ロック処理を実行
する。図9のステップS31において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS2で決定された初回エリアに対する焦点検出を行う。ここでは、焦点検出演算部19gにより、測距素子10から出力される焦点検出信号に基づいて、初回エリアに対するデフォーカス量を検出する。
ステップS32において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS31で検出したデフォーカス量に基づいて、撮影レンズ8が合焦状態であるか否かを判定する。デフォーカス量が所定の範囲内であれば合焦状態であると判定してステップS33へ進み、そうでなければ合焦状態ではないと判定してステップS34へ進む。
ステップS33において、ボディ駆動制御装置19は、合焦ロックを行う。ここでは、レンズ駆動制御装置22によるフォーカシングレンズ8bの駆動を制限することにより、撮影レンズ8の焦点調節を禁止する。ステップS33を実行したら、ボディ駆動制御装置19は図9の合焦ロック処理を終了し、図8のステップS4へ進む。
ステップS34において、ボディ駆動制御装置19は、撮影レンズ8を合焦位置へと駆動する。ここでは、レンズ駆動量演算部19hにより、ステップS31で検出したデフォーカス量をレンズ駆動量に変換してレンズ駆動制御装置22へ出力する。これにより、フォーカシングレンズ8bがレンズ駆動制御装置22によってレンズ駆動量だけ駆動され、撮影レンズ8の焦点調節が行われる。ステップS34を実行したら、ボディ駆動制御装置19はステップS31へ戻る。
以上説明した合焦ロック処理が実行されることにより、合焦状態となるまで撮影レンズ8の焦点調節が繰り返し行われる。また、合焦状態となった後は合焦ロックが行われ、撮影レンズ8の焦点調節が禁止される。
図8のステップS4において、ボディ駆動制御装置19は、第2撮像素子16から出力される画像信号に基づいて、追尾初期画像(画像追尾処理を開始して最初に取得する画像)を取得する。この追尾初期画像は、下記の式(1)に示すように、画素ごとのRGB値で表される。なお、式(1)において、x,yは画素の位置を表す座標値である。
R[x,y]、G[x,y]、B[x,y] ・・・(1)
上記式(1)によって表される画素ごとのRGB値に基づいて、各画素の色情報RG、BG、および輝度情報Lが下記式(2)のように算出される。なお、式(2)において、T、Gainは画像を取得したときの露光時間とゲインであり、Kr、Kg、Kbは所定の
色合成係数である。
RG[x,y]=Log2(R[x,y])−Log2(G[x,y]),
BG[x,y]=Log2(B[x,y])−Log2(G[x,y]),
L[x,y]=Log2(Kr×R[x,y]+Kg×G[x,y]+Kb×B[x,y])−Log2(T)−Log2(Gain) ・・・(2)
ステップS5において、ボディ駆動制御装置19は、図10に示す追尾初期処理を実行する。図10のステップS51において、ボディ駆動制御装置19は、追尾対象とする被写体が最初に存在する領域に当たる初期被写体領域を決定する。ここでは、ステップS4で取得した追尾初期画像の中で、ステップS2で決定した初回エリアの周辺にある所定範囲の領域、たとえば3×3画素の範囲の領域を初期被写体領域として決定する。これにより、たとえば焦点検出エリア45fが初回エリアとして設定された場合、図6に示すような被写体領域47が追尾初期画像内に設定される。
ステップS52において、ボディ駆動制御装置19は、追尾初期画像のうちステップS
51で決定した初期被写体領域内の画像を、画像追尾処理に用いるテンプレート画像(基準画像)として設定する。たとえば、図6に示す初期被写体領域47に対して、テンプレート画像48が設定される。このときの始点位置を(x,y)=(8,6)とすると、テンプレート画像48の色情報は次のように表される。
RGref[rx,ry]=RG[x,y]、
BGref[rx,ry]=BG[x,y]、
Lref[rx,ry]=L[x,y] (rx,ry=1〜3、x=8〜10、y=6〜8) ・・・(3)
ステップS52が実行されることにより、撮影レンズ8の焦点調節の対象とする被写体の像が、テンプレート画像、すなわち基準画像として設定される。設定されたテンプレート画像は、メモリ19dに記憶される。
ステップS53において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS51で決定した初期被写体領域の周囲に、被写体追尾時における探索領域を決定する。たとえば、初期被写体領域を中心に前後左右それぞれ3画素ずつ拡大した領域を探索領域に決定する。これにより、たとえば図6に示す被写体領域47に対して、探索領域49が設定される。ステップS53を実行したら、ボディ駆動制御装置19は図10の追尾初期処理を終了し、図8のステップS6へ進む。
ステップS6において、ボディ駆動制御装置19は、撮影者が操作部材20のレリーズボタンを全押ししたか否かを判定する。レリーズボタンが全押しされた場合、ボディ駆動制御装置19はステップS22へ進み、撮影制御を行う。このとき、撮影レンズ8による被写体像が第1撮像素子4によって撮像され、撮像画像が取得される。取得された撮像画像は図示しない記録媒体に記録される。ステップS22を実行したら、ボディ駆動制御装置19は図8の処理を終了する。
一方、ステップS6においてレリーズボタンが全押しされていないと判定した場合、ボディ駆動制御装置19はステップS7へ進む。ステップS7において、ボディ駆動制御装置19は、第2撮像素子16から出力される画像信号に基づいて追尾次画像を取得する。このときステップS4の処理と同様に、追尾次画像における各画素の色情報RG[x,y]
、BG[x,y]および輝度情報L[x,y]が算出され、メモリ19dに記憶される。
ステップS8において、ボディ駆動制御装置19は、図11に示す追尾演算処理を実行する。図11のステップS81において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS7で取得した追尾次画像のうち直近のステップS53またはS83で決定された探索領域内の画像から、テンプレート画像と同じサイズの画像を順次切り出す。そして、切り出した画像とテンプレート画像の対応する画素ごとに、色情報の差分Diffを算出する。
今、図7に示すように探索領域49の始点位置が(scx,scy)=(5,3)であるとすると、差分Diffの演算は次のようにして行う。
Diff[dx,dy]=ΣΣ{ABS(RG[scx+dx−1+rx,scy+dy−1+r
y]−RGref[rx,ry])+ABS(BG[scx+dx−1+rx,scy+dy−1+ry]−BGref[rx,ry])+ABS(L[scx+dx−1+rx,scy+dy−1+ry]−Lref[rx,ry])} ・・・(4)
(4)式において、dx,dy=1〜7、rx,ry=1〜3、scx=5、scy=3、ΣΣはrx=1〜3およびry=1〜3の総和演算である。
次に、(4)式により算出したすべての差分Diffの内、値が最小の差分を最小差分Min
Diffとする。図7に示す例では、最小差分MinDiffとなる位置(minx,miny)は(11,3)である。この最小差分MinDiffの値が小さいほど、テンプレート画像との類似性が
高いことになる。
ステップS82において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS81で算出した差分Diffに基づいて、新たな被写体領域を追尾次画像内で決定する。ここでは、差分Diffのうちで最小差分MinDiffを示す切り出し領域を新被写体領域に決定する。これにより、たとえば図7に示すような被写体領域47が追尾次画像内に設定される。こうして新被写体領域が決定されることにより、撮影レンズ8による画面内における基準画像に対応する像の位置が認識される。
ステップS83において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS82で決定した新被写体領域の周囲に、次回の被写体追尾時における探索領域を決定する。たとえばステップS53と同様に、新被写体領域を中心に前後左右それぞれ3画素ずつ拡大した領域を探索領域に決定する。ステップS83を実行したら、ボディ駆動制御装置19は図11の追尾演算処理を終了し、図8のステップS9へ進む。
ステップS9において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS8の追尾演算処理の結果に基づいて、構図が変更されたか否かを判定する。ここでは、直近の追尾演算処理によって決定された被写体領域の位置が前回の位置より変化したか否かにより、構図が変更されたか否かを判定する。すなわち、繰り返し行われる追尾演算処理によって認識された基準画像に対応する像の位置が変化した場合は構図が変更されたと判定し、変化しなかった場合は構図が変更されていないと判定する。構図が変更されたと判定した場合、ボディ駆動制御装置19はステップS10へ進む。一方、構図が変更されていないと判定した場合、ボディ駆動制御装置19はステップS6へ戻り、前述したようなステップS6以降の処理を繰り返す。
なお、ステップS9で行う構図変更の判定において、変化後の像位置が連続して維持された場合、または所定時間以上維持された場合にのみ、像位置が変化したと判断して、構図変更の判定を下すようにしてもよい。すなわち、繰り返し行われる追尾演算処理によって認識された基準画像に対応する像の位置が移動し、その移動後の位置が連続して維持された場合、たとえば移動後の位置が3回以上維持された場合に、像位置が変化したと判断する。あるいは、移動後の位置が所定時間以上、たとえば1秒以上維持された場合に、像位置が変化したと判断する。このようにすれば、手ぶれ発生時や動きのある被写体の撮影時などに、構図が変更されたと誤って判定してしまうのを避けることができる。
ステップS10において、ボディ駆動制御装置19は、図12に示す再合焦処理を実行する。図12のステップS101において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS82で決定された新被写体領域に対応する焦点検出エリア、すなわち変化後の像位置に対応する焦点検出エリアに対して、焦点検出を行う。ここでは、焦点検出演算部19gにより、測距素子10から出力される焦点検出信号に基づいて、新被写体領域内に存在する焦点検出エリアに対してデフォーカス量を検出する。これにより、たとえば図7において、焦点検出エリア45cに対してデフォーカス量が検出される。
あるいは、ステップS101においてボディ駆動制御装置19は、変化後の像位置に対応する複数の焦点検出エリアに対してデフォーカス量をそれぞれ検出しておくこともできる。たとえば、新被写体領域内に複数の焦点検出エリアがある場合は、その各焦点検出エリアに対してデフォーカス量をそれぞれ検出する。あるいは、新被写体領域内に存在する焦点検出エリアと、その焦点検出エリアの周囲に存在する焦点検出エリアとに対して、デフォーカス量をそれぞれ検出する。
ステップS102において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS101で検出されたデフォーカス量に基づいて、撮影レンズ8を再合焦するか否かを判定する。ここでは、前回実行したステップS101(または、ステップS31)で検出されたデフォーカス量、すなわち変化前の像位置に対応する焦点検出エリアに対して検出されたデフォーカス量(以下、変化前デフォーカス量と称する)と、今回実行したステップS101で検出されたデフォーカス量、すなわち変化後の像位置に対応する焦点検出エリアに対して検出されたデフォーカス量(以下、変化後デフォーカス量と称する)とに基づいて、再合焦するか否かを判定する。再合焦すると判定した場合、すなわち撮影レンズ8の焦点調節を再開すると判定した場合に、ボディ駆動制御装置19はステップS103へ進む。一方、再合焦しないと判定した場合、すなわち撮影レンズ8の焦点調節を再開しないと判定した場合に、ボディ駆動制御装置19は図12の再合焦処理を終了し、図8のステップS6へ戻る。この場合、再合焦が行われないため、撮影レンズ8の合焦ロックは解除されず、撮影レンズ8の焦点調節も再開されない。
ステップS102においては、たとえば、変化前デフォーカス量と変化後デフォーカス量との差が所定のしきい値(たとえば900μm程度)未満である場合に再合焦すると判定する。すなわち、変化前の像位置に対する焦点調節状態と、変化後の像位置に対する焦点調節状態との差が小さい場合に、撮影レンズ8の再合焦を行うようにする。一方、変化前デフォーカス量と変化後デフォーカス量との差がしきい値以上である場合、すなわち変化前の像位置に対する焦点調節状態と変化後の像位置に対する焦点調節状態との差が大きい場合は、撮影レンズ8の再合焦を行わないようにする。これにより、誤った位置に被写体像を認識した場合などに、その誤った位置での焦点調節状態に応じて撮影レンズ8が再合焦してしまうのを避けることができる。
なお、ステップS101において前述のように複数の焦点検出エリアに対してデフォーカス量をそれぞれ検出した場合、ステップS102においてボディ駆動制御装置19は、その複数の変化後デフォーカス量と変化前デフォーカス量とに基づいて、再合焦するか否かを判定してもよい。たとえば、変化前デフォーカス量といずれか少なくとも1つの変化後デフォーカス量との差が上記しきい値未満であれば再合焦すると判定し、変化前デフォーカス量と全ての変化後デフォーカス量との差が上記しきい値以上であれば再合焦しないと判定する。このようにすれば、ステップS102による再合焦の判定精度をさらに向上させることができる。
ステップS103において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS33で行った合焦ロックを解除する。これにより、撮影レンズ8の焦点調節の禁止が解除される。
ステップS104において、ボディ駆動制御装置19は、再合焦エリアを決定する。ここでは、ステップS101でデフォーカス量を検出した焦点検出エリアを再合焦エリアに決定する。これにより、たとえば図7において、焦点検出エリア45cが再合焦エリアとして設定される。
なお、ステップS101において前述のように複数の焦点検出エリアに対してデフォーカス量をそれぞれ検出した場合、ステップS104においてボディ駆動制御装置19は、その複数の焦点検出エリアのいずれかを選択して再合焦エリアとする。たとえば、変化前デフォーカス量との差が最小の変化後デフォーカス量が検出された焦点検出エリアを選択し、これを再合焦エリアに設定する。
ステップS105において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS104で決定した再合焦エリアに対して検出されたデフォーカス量に基づいて、撮影レンズ8を合焦位置へ
と駆動する。ここではステップS34と同様に、レンズ駆動量演算部19hにより、ステップS101で検出したデフォーカス量をレンズ駆動量に変換してレンズ駆動制御装置22へ出力する。これにより、フォーカシングレンズ8bがレンズ駆動制御装置22によってレンズ駆動量だけ駆動され、撮影レンズ8の焦点調節が再開される。
ステップS106において、ボディ駆動制御装置19は、図9の合焦ロック処理を実行する。すなわち、撮影レンズ8が合焦状態となるまで焦点調節を繰り返し行い、合焦状態となったら合焦ロックを行って撮影レンズ8の焦点調節を禁止する。合焦ロック処理を実行したら、ボディ駆動制御装置19はステップS6へ戻り、前述したようなステップS6以降の処理を繰り返す。単独AFモードが設定されている場合、ボディ駆動制御装置19は以上説明したような処理を実行する。
一方、ステップS1において連続AFモードが設定されていると判定した場合、ステップS11においてボディ駆動制御装置19は、ステップS2と同様の初回エリア決定処理を行う。次のステップS12において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS31と同様の焦点検出処理を行う。すなわち、ステップS11で決定した初回エリアに対するデフォーカス量を検出する。ステップS13において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS12で検出したデフォーカス量に基づいて、撮影レンズ8を駆動する。これにより、撮影レンズ8の焦点調節が行われる。
ステップS14において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS4と同様にして追尾初期画像を取得する。ステップS15において、ボディ駆動制御装置19は、図10に示す追尾初期処理を実行する。これにより、初期被写体領域が決定され、テンプレート画像が設定されると共に、探索領域が決定される。
ステップS16において、ボディ駆動制御装置19は、撮影者が操作部材20のレリーズボタンを全押ししたか否かを判定する。レリーズボタンが全押しされた場合、ボディ駆動制御装置19はステップS22へ進み、撮影制御を行って撮像画像を取得する。ステップS22を実行したら、ボディ駆動制御装置19は図8の処理を終了する。
一方、ステップS16においてレリーズボタンが全押しされていないと判定した場合、ボディ駆動制御装置19はステップS17へ進む。ステップS17において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS7と同様に追尾次画像を取得する。次のステップS18において、ボディ駆動制御装置19は、図11に示す追尾演算処理を実行する。これにより、追尾次画像に対して新たな被写体領域と探索領域が決定される。
ステップS19において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS82で決定された新被写体領域に対応する焦点検出エリア、すなわち変化後の像位置に対応する焦点検出エリアに対して焦点検出を行い、デフォーカス量を検出する。なお、このときステップS101と同様に、複数の焦点検出エリアに対してデフォーカス量をそれぞれ検出してもよい。次のステップS20において、ボディ駆動制御装置19は、合焦エリアを決定する。ここでは、ステップS19で複数の焦点検出エリアに対してデフォーカス量をそれぞれ検出した場合に、その複数のデフォーカス量に基づいて、いずれかの焦点検出エリアを合焦エリアに決定する。たとえば、前回検出した変化前デフォーカス量との差が最も小さいデフォーカス量が検出された焦点検出エリアを合焦エリアに決定する。なお、ステップS19で一つの焦点検出エリアに対してのみ焦点検出を行っていた場合は、その焦点検出エリアを合焦エリアとする。
ステップS21において、ボディ駆動制御装置19は、ステップS20で決定した合焦エリアに対して検出されたデフォーカス量に基づいて、撮影レンズ8を合焦位置へと駆動
する。これにより、フォーカシングレンズ8bがレンズ駆動制御装置22によってレンズ駆動量だけ駆動され、撮影レンズ8の焦点調節が行われる。
ステップS21を実行したら、ボディ駆動制御装置19はステップS16へ戻り、ステップS16以降の処理を繰り返し実行する。これにより、連続AFモードが設定されている場合は、変化後の像位置に対応する焦点検出エリアのデフォーカス量に基づく撮影レンズ8の焦点調節が繰り返し行われる。
なお、連続AFモードが設定されている場合は、上記のステップS18で追尾演算処理を行った後に、新被写体領域の画像情報を用いてテンプレート画像を更新する処理を加えてもよい。その場合、たとえば元のテンプレート画像の画像情報の8割に対して、新被写体領域の画像情報の2割を加えることにより、テンプレート画像を更新する。このようにすれば、テンプレート画像の画像情報に対して最新の画像情報が少しずつ更新され、追尾被写体の変化に追従しやすくなる。
たとえば図7に示す被写体領域47に対して、次のようにして更新の演算を行う。
RGref[rx,ry]=0.8×RGref[rx,ry]+0.2×RG[x,y],
BGref[rx,ry]=0.8×BGref[rx,ry]+0.2×BG[x,y],
Lref[rx,ry]=0.8×Lref[rx,ry]+0.2×L[x,y],
(rx,ry=1〜3、x=11〜13、y=3〜5) ・・・(5)
なお、テンプレート画像48を更新する際の今までのテンプレート画像における画像情報と、被写体領域47の画像情報との割合は、上述した固定値としてもよいし、最小差分MinDiffに応じて可変にしてもよい。
一方、単独AFモードが設定されている場合は、上記のようなテンプレート画像の更新を制限して行わないようにすることが好ましい。これは、単独AFモードが設定されている場合は被写体像の動きが比較的少ないと考えられることから、テンプレート画像を更新する必要がないためである。あるいは、AFモードの設定に関わらず、撮影者がテンプレート画像を更新するか否かを選択できるようにしてもよい。
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)撮像装置1に備えられたボディ駆動制御装置19は、撮影レンズ8の焦点調節状態に基づいて撮影レンズ8の焦点調節を行う(ステップS34)と共に、合焦状態であるときに合焦ロックを行って撮影レンズ8の焦点調節を禁止する(ステップS33)。また、撮影レンズ8の焦点調節の対象とする被写体の像を基準画像として設定し(ステップS52)、その後に追尾演算処理を行うことにより、撮影レンズ8による画面内における基準画像に対応する像の位置を繰り返し認識する(ステップS82)。さらに、合焦ロックにより撮影レンズ8の焦点調節が禁止されているときに、追尾演算処理によって認識された像の位置が変化した場合に、構図が変更されたと判定して再合焦処理を行う(ステップS9、S10)。これにより、撮影レンズ8の焦点調節の禁止を解除して(ステップS103)、撮影レンズ8の焦点調節を再開させる(ステップS105)。このようにしたので、合焦ロック中に構図を変更した場合に、合焦ロックを解除して焦点調節を再開することができる。
(2)ステップS9において、ボディ駆動制御装置19は、合焦ロックにより撮影レンズ8の焦点調節が禁止されているときに、追尾演算処理によって認識された像の位置が移動し、さらに移動後に繰り返し認識される像の位置が連続して維持される場合に、像の位置が変化したと判断して、構図変更の判定を下すことができる。このようにすれば、手ぶれ発生時や動きのある被写体の撮影時などに、構図が変更されたと誤って判定してしまうの
を避けることができる。
(3)あるいは、ステップS9においてボディ駆動制御装置19は、合焦ロックにより撮影レンズ8の焦点調節が禁止されているときに、追尾演算処理によって認識された像の位置が移動し、さらに移動後に繰り返し認識される像の位置が所定時間以上維持される場合に、像の位置が変化したと判断して、構図変更の判定を下すこともできる。このようにしても上記と同様に、手ぶれ発生時や動きのある被写体の撮影時などに、構図が変更されたと誤って判定してしまうのを避けることができる。
(4)ボディ駆動制御装置19は、撮影レンズ8による画面内に設定された複数の焦点検出エリアに対して、撮影レンズ8の焦点調節状態を示すデフォーカス量を検出する(ステップS31、S101)。また、ボディ駆動制御装置19は、追尾演算処理によって認識された像の位置が変化したときに、変化前の像の位置に対応する焦点検出エリアに対して検出された変化前デフォーカス量と、変化後の像の位置に対応する焦点検出エリアに対して検出された変化後デフォーカス量とに基づいて、撮影レンズ8の焦点調節を再開するか否かを判定する(ステップS102)。このようにしたので、被写体追尾によって誤った位置に被写体像を認識した場合などに、その誤った位置での焦点調節状態に応じて撮影レンズ8が再合焦してしまうのを避けることができる。
(5)ステップS102において、ボディ駆動制御装置19は、変化前デフォーカス量と変化後デフォーカス量との差が所定のしきい値未満である場合に、撮影レンズ8の焦点調節を再開すると判定することができる。このようにすれば、変化前デフォーカス量と変化後デフォーカス量とに基づいて、撮影レンズ8の焦点調節を再開するか否かを簡単かつ確実に判定することができる。
(6)なお、変化後デフォーカス量は、変化後の像の位置に対応する複数の焦点検出エリアに対して複数検出してもよい。このようにすれば、ステップS102による判定の精度をさらに向上させることができる。
(7)上記のように複数の焦点検出エリアに対して複数の変化後デフォーカス量を検出した場合、ボディ駆動制御装置19はステップS105において、その複数の変化後デフォーカス量のうち変化前デフォーカス量との差が最小のものに基づいて、撮影レンズ8の焦点調節を再開させることが好ましい。このようにすれば、構図変更時に撮影レンズ8をより一層適切な焦点調節状態とすることができる。
(8)ボディ駆動制御装置19は、モード設定部19iにより、検出されたデフォーカス量に基づいて撮影レンズ8の焦点調節を繰り返し行う連続AFモードと、検出されたデフォーカス量に基づいて撮影レンズ8の焦点調節を行った後に合焦ロックを行って撮影レンズ8の焦点調節を禁止する単独AFモードとを設定可能である。さらにボディ駆動制御装置19は、単独AFモードが設定されて撮影レンズ8の焦点調節が禁止された場合に、構図変更の判定および再合焦処理を実行して、撮影レンズ8による画面内における基準画像に対応する像の位置の変化に応じて撮影レンズ8の焦点調節の禁止を解除する。このようにしたので、通常は合焦後に焦点調節を禁止する単独AFモードであっても、構図変更によって生じるコサイン誤差によるピントずれを解消するように焦点調節制御を行うことができる。
(9)ボディ駆動制御装置19は、連続AFモードが設定されている場合には、ステップS18において追尾演算処理を行った後に、ステップS82で決定された新被写体領域の画像情報を用いて基準画像を更新してもよい。一方、単独AFモードが設定されている場合には、このような基準画像の更新を制限することが好ましい。このようにすれば、連続
AFモードでは追尾演算処理において被写体の変化に追従しやすくなる一方で、単独AFモードでは不要な基準画像の更新を避けることができる。
なお、上記実施の形態では、第1撮像素子4とは独立した焦点検出光学系9および測距素子10によって撮影レンズ8の焦点調節状態を検出するようにしたが、第1撮像素子4の撮像画素配列中に焦点検出用の画素を混在して設けたものの出力に基づいて焦点検出してもよい。すなわち、第1撮像素子4は、撮影レンズ8を介した光を受光して画像信号を出力する撮像画素と、撮影レンズ8を介した光を受光して焦点検出信号を出力する焦点検出画素とを含む複数の画素を有する。そして、ボディ駆動制御装置19は、焦点検出画素から出力される焦点検出信号に基づいてデフォーカス量を検出する。このようにしてもよい。なお、この場合に第1撮像素子4の焦点検出画素は、たとえばマイクロレンズと一つまたは複数の光電変換部からなり、撮影レンズ8の瞳の異なる領域を通過した一対の光束を受光するよう構成されている。そしてこの一対の光束の受光信号により、瞳分割方式の焦点検出を行うものである。