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JP2018052225A - 車両用ブレーキシステム - Google Patents

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JP2018052225A
JP2018052225A JP2016188519A JP2016188519A JP2018052225A JP 2018052225 A JP2018052225 A JP 2018052225A JP 2016188519 A JP2016188519 A JP 2016188519A JP 2016188519 A JP2016188519 A JP 2016188519A JP 2018052225 A JP2018052225 A JP 2018052225A
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山本 直樹
Naoki Yamamoto
直樹 山本
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Abstract

【課題】 実用性の高い車両用ブレーキシステムを提供する。【解決手段】 前輪と後輪との一方に液圧ブレーキ装置32を、前輪と後輪との他方に電動ブレーキ装置を設け、その液圧ブレーキ装置のアクチュエータユニット44を、車輪制動器46が有するホイールシリンダに作動液を加圧して供給するポンプ60と、作動液の圧力を制御可能に保持するための制御保持弁64とを含むように構成する。液圧ブレーキ装置,電動ブレーキ装置各々の長所を活かした実用的な車両用ブレーキシステムが実現される。液圧ブレーキ装置が、前輪と後輪との一方に対してだけ設けられており、また、保持制御弁だけで液圧制動力を制御できることから、その液圧ブレーキ装置を含む車両用ブレーキシステムは、コンパクトなシステムとなる。【選択図】 図2

Description

本発明は、車両を制動するためのブレーキシステムに関する。
従来の車両用ブレーキシステムの多くは、例えば、下記特許文献1に示すように、液圧ブレーキ装置によって構成されている。その一方で、下記特許文献2に示すような電動ブレーキ装置によって構成されるものも存在する。
特開2004−338582号公報 特開2001−263395号公報
液圧ブレーキ装置には、信頼性に優れるという長所が、電動ブレーキ装置には、応答性が良好であるという長所が、それぞれあり、一方で、それらのブレーキ装置は、それぞれ、欠点を有している。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用ブレーキシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の車両用ブレーキシステムは、
運転者によって操作されるブレーキ操作部材と、
前輪と後輪との一方に対して設けられ、前記ブレーキ操作部材の操作に応じて、作動液の液圧に依存した制動力である液圧制動力を発生させる液圧ブレーキ装置と、
前輪と後輪との他方に対して設けられ、電動モータの作動に依存した制動力である電動制動力を発生させる電動ブレーキ装置と
を備え、
前記液圧ブレーキ装置が、
前記前輪と後輪との一方と一体的に回転させられる回転体と、
その回転体に押し付けられる摩擦部材と、
その摩擦部材を回転体に押し付けるために、自身に供給される作動液によって作動するホイールシリンダと、
そのホイールシリンダに作動液を加圧して供給するポンプと、
前記ホイールシリンダに供給される作動液の圧力を制御可能に保持するための制御保持弁と
を含んで構成される。
本発明の車両用ブレーキシステムによれば、液圧ブレーキ装置,電動ブレーキ装置が、それぞれ、前輪と後輪との一方,他方に配置されていることから、上述の各ブレーキ装置の長所を活かした実用的な車両用ブレーキシステムが実現される。また、本発明の車両用ブレーキシステムによれば、液圧ブレーキ装置が、前輪と後輪との一方に対してだけ設けられているため、コンパクトであり、その結果、車両用ブレーキシステム自体がコンパクトになる。さらに、その液圧ブレーキ装置では、一般的な液圧ブレーキ装置が増圧用,減圧用の2つの制御弁を有するのと異なり、1つの制御弁、つまり、上記制御保持弁で液圧制動力を制御できることから、さらにコンパクトな液圧ブレーキ装置となり、車両用ブレーキシステム自体がさらにコンパクトなものとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。そして、請求可能発明のうちのいくつかのものが、請求項に係る発明となり得る。
(0)運転者によって操作されるブレーキ操作部材と、
前輪と後輪との一方に対して設けられ、前記ブレーキ操作部材の操作に応じて、作動液の液圧に依存した制動力である液圧制動力を発生させる液圧ブレーキ装置と、
前輪と後輪との他方に対して設けられ、電動モータの作動に依存した制動力である電動制動力を発生させる電動ブレーキ装置と
を備えた車両用ブレーキシステム。
本態様は、請求可能発明の基本的態様であり、本態様によれば、液圧ブレーキ装置の高信頼性,電動ブレーキ装置の高応答性といった各ブレーキ装置の長所を活かした実用的な車両用ブレーキシステムを構築することが可能である。また、液圧ブレーキ装置を前輪と後輪との両方に対して設ける必要がないため、液圧ブレーキ装置をコンパクトなものとすることが可能であり、ひいては、当該車両用ブレーキシステム自体をコンパクトなものとすることが可能である。
液圧ブレーキ装置の望ましい具体的構成については、下記の項において説明する。電動ブレーキ装置は、電動モータが発生させる力を制御しつつ、その力を、何らかの運動変換機構を介して、車輪の回転を停止若しくは減速させる力として作用させるものである限り、具体的な構造が特に限定されるものではない。
本態様では、必ずしも、液圧ブレーキ装置と電動ブレーキ装置との両方ともが、発生させられる制動力が制御されるものであることを要しない。例えば、負圧ブースタを有するマスタシリンダを含んで構成される液圧ブレーキ装置では、ブレーキ操作部材に加えられた操作力に応じた制動力が、制御することなく得られる。そのような液圧ブレーキ装置を採用する場合、専ら、電動ブレーキ装置が発生させる制動力が制御されることになる。本態様は、そのような態様であってもよい。
本態様では、液圧ブレーキ装置が前輪に、電動ブレーキ装置が後輪に対して設けられてもよく、逆に、液圧ブレーキ装置が後輪に、電動ブレーキ装置が前輪に対して設けられてもよい。一般の車両では、前輪に付与される制動力が後輪に付与される制動力に比べて大きくされる。そのことを考慮すれば、前者であることが、つまり、信頼性の高い液圧ブレーキ装置を前輪に対して設けることが望ましい。なお、後に説明するが、車両用ブレーキシステムが回生ブレーキ装置を備える場合、その回生ブレーキ装置が前輪と後輪とのいずれに対して設けられるかによって、液圧ブレーキ装置,電動ブレーキ装置のそれぞれ、前輪と後輪とのいずれに設けるかを決定してもよい。
(1)前記液圧ブレーキ装置が、
前記前輪と後輪との一方と一体的に回転させられる回転体と、
その回転体に押し付けられる摩擦部材と、
その摩擦部材を回転体に押し付けるために、自身に供給される作動液によって作動するホイールシリンダと、
そのホイールシリンダに作動液を加圧して供給するポンプと、
前記ホイールシリンダに供給される作動液の圧力を制御可能に保持するための制御保持弁と
を含んで構成された( 0)項に記載の車両用ブレーキシステム。
本態様は、液圧ブレーキ装置の構造に関する限定を加えた態様である。制御弁を用いて液圧制動力を制御する多くの液圧ブレーキ装置は、ホイールシリンダに供給される作動液の圧力を増圧するための制御弁と、その作動液の圧力を減圧するための制御弁とを含んで構成されている。それに対して、本態様における液圧ブレーキ装置は、ポンプから直接的に高圧の作動液を供給しつつ、上記制御保持弁によって、供給される作動液の圧力を、例えば減圧することによって、目標となる圧力に保持することが可能である。つまり、1つの制御弁によって、液圧制動力を制御することが可能となる。したがって、本態様によれば、さらにコンパクトな液圧ブレーキ装置を構築することができ、当該車両用ブレーキシステム自体を、さらにコンパクトなものとすることが可能である。
(2)前記液圧ブレーキ装置が、さらに、
( a)前記ブレーキ操作部材に連結されたピストンと、( b)そのピストンの移動によって自身に導入された作動液が加圧される加圧室とを有し、前記ブレーキ操作部材に加えられる運転者の操作力によって作動液を加圧するマスタシリンダと、
そのマスタシリンダの前記加圧室において加圧された作動液を前記ホイールシリンダに供給するためのマスタ液通路と、
そのマスタ液通路を開通遮断する開閉弁と
を備え、
前記マスタシリンダから供給される作動液による前記ホイールシリンダの作動と、前記ポンプから供給される作動液による前記ホイールシリンダの作動とが、前記開閉弁の作動によって、選択的に実現されるように構成された( 1)項に記載の車両用ブレーキシステム。
本態様における液圧ブレーキ装置は、端的に言えば、マスタシリンダを介することによる運転者の操作力に依存した液圧制動力の発生と、上述のポンプおよび制御保持弁による操作力に依存しない液圧制動力の発生とを、切換可能とされている。本態様によれば、例えば、当該液圧ブレーキ装置において電気系の失陥が生じた際に、操作力に依存した液圧制動力を発生させるように構成することで、フェールセーフの観点において優れた車両用ブレーキシステムが実現される。そのフェールセーフの観点からすれば、上記開閉弁に電磁式弁を採用する場合、常開の電磁式弁、つまり、電流が供給されない状態(非励磁状態)においてマスタ液通路を開通させるようにされた電磁式弁を採用することが望ましい。
(3)前記液圧ブレーキ装置が、前記ポンプによって汲みだされる作動液が貯留されるリザーバと、そのリザーバと前記ポンプとを繋ぐリザーバ液通路とを備え、
前記制御保持弁が、前記ポンプから前記ホイールシリンダに供給される作動液の一部を通過せることで、その作動液の圧力を制御するとともに、その制御保持弁を通過する作動液が、前記リザーバ若しくは前記リザーバ液通路に流入するように構成された( 2)項に記載の車両用ブレーキシステム。
本態様における液圧ブレーキ装置では、液圧制動力が発生させられている状態で、ポンプから吐き出される作動液が、制御保持弁を介して効率的に還流させられることになる。効率を求めるのであれば、制御保持弁を通過する作動液が、リザーバではなく、リザーバ液通路に流入するように構成することが望ましい。制御保持弁を通過する作動液をリザーバ液通路に流入させる場合、その作動液がポンプに近い箇所においてリザーバ液通路に流入するようにすることが、さらに望ましい。なお、本態様は、上記マスタシリンダを採用する態様に適用されるだけでなく、マスタシリンダを採用しない態様に適用されてもよい。
(4)前記液圧ブレーキ装置が、
前記開閉弁が開けられることで前記マスタシリンダから供給される作動液によって前記ホイールシリンダが作動させられる際に、前記リザーバ若しくは前記リザーバ液通路に流入する作動液の流れを遮断する遮断弁を備えた( 3)項に記載の車両用ブレーキシステム。
本態様における液圧ブレーキ装置によれば、上述の操作力に依存した液圧制動力が発生させられる際に、ホイールシリンダに供給される作動液がリザーバに抜け出ることが効果的に防止される。上述の電気系の失陥に対するフェールセーフの観点からすれば、遮断弁に電磁式弁を採用する場合、常閉の電磁式弁、つまり、電流が供給されない状態(非励磁状態)において作動液の流れを遮断するようにされた電磁式弁を採用することが望ましい。
(5)前記リザーバが前記マスタシリンダの近傍に配置され、前記マスタシリンダの前記加圧室において、そのリザーバからの作動液が加圧されるように構成された( 3)項または( 4)項に記載の車両用ブレーキ装置。
本態様における液圧ブレーキ装置では、端的に言えば、マスタシリンダのためのリザーバとポンプのためのリザーバとが共通化されていると考えることができる。さらに言えば、マスタシリンダのためのリザーバを利用して、ポンプがそのリザーバから作動液をくみ上げると考えることができる。本態様における液圧ブレーキ装置によれば、マスタシリンダを採用する場合でもリザーバを1つ配設すればよく、その液圧ブレーキ装置は、コンパクトなものとなる。
(6)前記液圧ブレーキ装置が、
前記マスタ液通路に設けられ、前記開閉弁が閉じられることで前記ポンプから供給される作動液によって前記ホイールシリンダが作動させられる際に、前記ブレーキ操作部材にそれの操作に応じた反力を付与しつつそのブレーキ操作部材の操作を許容するためのストロークシミュレータを有する( 2)項ないし( 5)項のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム。
ポンプの作動による液圧制動力を発生させるために上記開閉弁が閉じられると、マスタシリンダで加圧された作動液はどこにも供給されなくなり、ブレーキ操作部材の操作ストロークは生じなくなる。したがって、ブレーキ操作のフィーリングは、悪いものとなってしまう。そのことを改善するために、本態様における液圧ブレーキ装置では、上記ストロークシミュレータが設けられている。本態様によれば、ブレーキ操作部材に加えられた操作力に依存しない液圧制動力を発生させる状態においても、適切なフィーリングでブレーキ操作部材を操作することが可能である。ストロークシミュレータの構造は特に限定されないが、例えば、上記マスタ液通路に連通して自身の容積が変動する作動液室と、その作動液室の容積の増加量に応じた力をその作動液室の作動液に作用させる弾性体とを含んで構成されるものを、ストロークシミュレータとして採用することが可能である。
(7)前記液圧ブレーキ装置の前記ポンプと前記制御保持弁とが、アクチュエータユニットに組み込まれている( 1)項ないし( 6)項のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム。
本態様における液圧ブレーキ装置は、ポンプと制御保持弁とを一体化させることによって、単一のユニットが構成されており、そのユニットであるアクチュエータユニットは、当該液圧ブレーキ装置のコンパクト化に寄与するものとなっている。アクチュエータユニットは、例えば、ポンプを作動させるためのモータが組み込まれたものでもよく、また、ポンプ,制御保持弁等の構成要素を互いに繋ぐ液通路が内部に形成されていることが望ましい。また、液圧ブレーキ装置が、上述の開閉弁や遮断弁を備える場合、それらもが組み込まれたものであってもよい。本態様におけるアクチュエータユニットは、当該液圧ブレーキ装置が前輪と後輪との一方に対して設けられたものであるため、比較的コンパクトなものとなる。
(8)前記制御保持弁が、
前記ホイールシリンダに供給される作動液の圧力を、自身に供給される電流に応じた圧力に減圧する電磁式リニア弁である( 1)項ないし( 7)項のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム。
上記制御保持弁として、減圧用の上記電磁式リニア弁を採用することにより、当該液圧ブレーキ装置が発生させる液圧制動力を容易かつ正確に制御することが可能となる。
(11)前記液圧制動力と前記電動制動力とが協調するように制御される( 0)項ないし( 8)項のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム。
本態様によれば、上記2種の制動力の協調制御により、車両全体に付与される制動力が適切なものとなる。本態様における「液圧制動力と電動制動力との協調」は、液圧制動力と電動制動力とが相互に調整を保ったまま、それらの制動力が車両を制動するための制動力(以下、「車両制動力」という場合がある)の一成分として機能しつつ、それらの制動力の少なくとも一方が制御されることを意味する。そのように制御される限り、具体的な制御態様は、特に限定されるものではない。例えば、後に説明する回生制動力が発生させられるか否かを問わず、前輪と後輪との制動力配分を設定された配分になるように液圧制動力と電動制動力との少なくとも一方を制御するような態様も、液圧制動力と電動制動力との協調の一態様となる。
(12)前記液圧制動力と前記電動制動力とが設定された配分で発生するように制御される(11)項に記載の車両用ブレーキシステム。
本態様は、液圧制動力と電動制動力との協調に関する限定を加えた態様である。本態様によれば、簡便な制御則に従ってそれら2つの制動力を制御できることで、車両全体に必要とされる適切な制動力を、容易に制御することが可能である。
(13)当該車両用ブレーキシステムが、
前記液圧ブレーキ装置と前記電動ブレーキ装置との一方が設けられている前輪と後輪との一方に対して設けられ、その前輪と後輪との一方の回転による発電を利用した制動力である回生制動力を発生させる回生ブレーキ装置を備え、
前記液圧制動力と前記電動制動力と前記回生制動力とが協調するように制御される(11)項または(12)項に記載の車両用ブレーキシステム。
本態様の車両用ブレーキシステムは、液圧ブレーキ装置と電動ブレーキ装置とに加え、上記回生ブレーキ装置を備えている。回生ブレーキ装置は、例えば、電気自動車,ハイブリッド自動車等、モータの力で駆動される車両において、そのモータを発電機として機能させ、車両の運動エネルギの一部を電気エネルギとして回収することで、その車両に対する制動力を発生させるブレーキ装置である。その制動力である回生制動力は、それの大きさが、車両の走行速度,電気エネルギが回収される電池の充電量等によって変動する。本態様の車両用ブレーキシステムは、その回生制動力の変動に、応答性の良好な電動制動力の制御によって対処することができるという利点を有することになる。そして、3種の制動力が協調して制御されるため、車両全体に適切な制動力が付与されることとなり、本態様の車両用ブレーキシステムは、電気自動車,ハイブリッド自動車等の車両用ブレーキシステムとして、特に実用性の高いものとなる。
(14)車両全体に必要とされる制動力である必要全体制動力のうちの前記回生制動力では賄いきれない不足制動力を、前記液圧制動力と前記電動制動力とによって賄うように、それら液圧制動力と電動制動力とが制御される(13)項に記載の車両用ブレーキシステム。
本態様は、3種の制動力、つまり、液圧制動力,電動制動力,回生制動力の協調に関する限定を加えた態様である。本態様によれば、3種の制動力の協調制御により、例えば回生制動力が変動するような場合でも、適切な必要全体制動力を簡便に確保することが可能となる。
実施例の車両用ブレーキシステムの全体構成を概念的に示す図である。 図1に示す車両用ブレーキシステムを構成する液圧ブレーキ装置の液圧回路図である。 図1に示す車両用ブレーキシステムを構成する液圧ブレーキ装置および電動ブレーキ装置の各々の車輪制動器を示す断面図である。 図1に示す車両用ブレーキシステムにおける制動力の制御を概念的に示すフローチャートである。
以下、請求可能発明を実施するための形態として、実施例の車両用ブレーキシステムをを、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
[A]車両駆動システムおよび車両用ブレーキシステムの概要
実施例の車両用ブレーキシステムが搭載される車両は、図1に模式的示すように、前輪10F,後輪10Rが2つずつあるハイブリッド車両であり、2つの前輪10Fが駆動輪とされている。まず、車両駆動システムについて説明すれば、本車両に搭載されている車両駆動システムは、駆動源としてのエンジン12と、主に発電機として機能するジェネレータ14と、それらエンジン12,ジェネレータ14が連結される動力分割機構16と、もう1つの駆動源である電動モータ18とを有している。
動力分割機構16は、エンジン12の回転を、ジェネレータ14の回転と出力軸の回転とに分割する機能を有している。電動モータ18の回転は、減速機として機能するリダクション機構20を介して出力軸に繋げられている。出力軸の回転は、差動機構22,ドライブシャフト24L,24Rを介して伝達され、左右の前輪10Fが回転駆動される。ジェネレータ16は、インバータ26Gを介してバッテリ28に繋がれており、ジェネレータ16の発電によって得られる電気エネルギは、バッテリ28に蓄えられる。また、電動モータ18も、インバータ26Mを介してバッテリ28に繋がれており、電動モータ18の作動,ジェネレータ16の作動は、インバータ26M,インバータ26Gをそれぞれ制御することによって制御される。バッテリ28の充電量の管理,インバータ26M,インバータ26Gの制御は、コンピュータ,当該車両駆動システムを構成する各機器の駆動回路(ドライバ)等を含んで構成されるハイブリッド電子制御ユニット(以下、図示してあるように「HB−ECU」と略す場合がある)29によって行われる。
本車両に搭載される実施例の車両用ブレーキシステムは、図1に模式的に示すように、大まかには、 (a)2つの前輪10Fの各々に制動力を付与する回生ブレーキ装置30と、 (b)回生ブレーキ装置30による制動力とは別に独立して、2つの前輪10Fの各々に制動力を付与する液圧ブレーキ装置32と、 (c)2つの後輪10Rの各々に制動力を付与する電動ブレーキ装置34とを含んで構成されている。
[B]回生ブレーキ装置の構成
回生ブレーキ装置30は、ハード的には、上記車両駆動システムの一部を構成するものと考えることができる。車両減速時には、前輪10Fの回転によって、電動モータ18は、バッテリ28からの電力の供給を受けずして回転する。その回転によって生じる起電力を利用して、電動モータ18は発電し、その発電した電力は、インバータ26Mを介して、バッテリ28に電気量として蓄積される。つまり、電動モータ18を発電機として機能させてバッテリ28が充電されるのである。充電された電気量に相当するエネルギの分だけ、前輪10Fの回転が、つまり、車両が減速させられる。本車両では、そのような回生ブレーキ装置30が構成されているのである。この回生ブレーキ装置30によって前輪10Fに付与される制動力(以下、「回生制動力」という場合がある)は、発電量に依拠するものであり、生じる回生制動力は、HB−ECU29が行うインバータ26Mの制御によって制御される。回生ブレーキ装置30は、一般的な構成のものを採用することができるため、回生ブレーキ装置30について詳しい説明は、省略することとする。
[C]液圧ブレーキ装置の構成
i)全体構成
液圧ブレーキ装置32は、大まかには、 (a)運転者によって操作されるブレーキ操作部材であるブレーキペダル40が連結されたマスタシリンダ42と、 (b)マスタシリンダ42からの作動液を自身を通過させることによって供給し、若しくは、自身が有するポンプ(後述する)によって加圧された作動液を調圧して供給するアクチュエータユニット44と、 (c)左右の前輪10Fに対してそれぞれ設けられて、アクチュエータユニット44からの作動液の圧力により、左右の前輪10Fの各々の回転を減速するための2つの車輪制動器46とを含んで構成されている。ちなみに、液圧ブレーキ装置32は、左右の前輪10Fに対応する2系統の装置とされている。
ii)マスタシリンダの構成
マスタシリンダ42は、図2に示すように、ハウジング内部に、ブレーキペダル40に連結されるとともに互いに直列的に配置された2つのピストン42aと、そのピストン42aの移動によって自身に導入された作動液が加圧される2つの加圧室42bとを含むタンデム型のシリンダ装置であり、作動液を大気圧下において貯留するリザーバ48が付設されている。つまり、リザーバ48は、マスタシリンダ42の近傍に配置され、そのリザーバ48からの作動液が、2つの加圧室42bの各々において加圧されるようになっている。そして、マスタシリンダ42は、ブレーキペダル40に加えられた力(以下、「ブレーキ操作力」と言う場合がある)に応じた圧力の作動液を、2つの前輪10Fに対応した2つの系統ごとに、アクチュエータユニット44に供給する。詳しく言えば、アクチュエータユニット44には、マスタシリンダ42から供給された作動液を自身を通過して車輪制動器46に向かわせる液通路が設けられており、本液圧ブレーキ装置32は、マスタシリンダ42から車輪制動器46へ作動液を供給するための液通路、すなわち、2つのマスタ液通路50を備える。つまり、本液圧ブレーキ装置32では、マスタシリンダ42から、それらマスタ液通路50を介して、車輪制動器46のそれぞれに、作動液が供給可能とされているのである。なお、車輪制動器46は、後に説明するホイールシリンダを有しており、詳しくは、作動液は、そのホイールシリンダに供給される。
また、マスタ液通路50の一方には、常閉型の電磁式開閉弁であるシミュレータ開通弁52を介して、ストロークシミュレータ54が繋げられている。通常作動時(電気的失陥が生じていない場合)には、シミュレータ開通弁52は励磁されて開弁状態とされ、ストロークシミュレータ54は機能する。後に説明するが、通常作動時には、2系統に対応してアクチュエータユニット44内に設けられた2つの電磁式開閉弁であるマスタカット弁56は閉弁状態とされるため、ストロークシミュレータ54は、ブレーキペダル40の踏込ストロークを担保するとともに、その踏込ストロークに応じた操作反力をブレーキペダル40に付与する。つまり、ストロークシミュレータ54は、通常作動時におけるブレーキ操作のフィーリングを向上させる手段として機能するのである。本ストロークシミュレータ54は、マスタ液通路50に連通して自身の容積が変動する作動液室と、その作動液室の容積の増加量に応じた力をその作動液室の作動液に作用させる弾性体をと含んで構成される一般的なものであるため、ストロークシミュレータ54についての詳しい説明は、ここでは省略する。
iii)アクチュエータユニットの構成
アクチュエータユニット44は、先に説明した2つのマスタ液通路50をそれぞれ開通遮断する常開型の電磁式開閉弁である2つのマスタカット弁56と、2系統に対応した2つのポンプ60と、それらポンプ60を駆動させるモータ62と、2系統に対応した2つの電磁式リニア弁である制御保持弁64と、それら制御保持弁64と直列的に配置された2つの常閉型の電磁式開閉弁である遮断弁66とを含んで構成されている。本液圧ブレーキ装置32では、単一のリザーバしか設けられておらず、2つのポンプ60は、上述のリザーバ48から、作動液を汲み上げるようにされており、そのために、2つのポンプ60とリザーバ48とを繋ぐリザーバ液通路68が設けられており、そのリザーバ液通路68の一部が、アクチュエータユニット44内に形成されている。それぞれのポンプ60は、吐出側において、上述のマスタ液通路50に繋がっており、そのマスタ液通路50の一部分を介して、車輪制動器46に、加圧された作動液を供給するようにされている。なお、それぞれのポンプ60の吐出側には、それぞれのポンプ60への作動液の逆流を防止するために、逆止弁70が設けられている。また、アクチュエータユニット44内には、それぞれのポンプ60と並列にマスタ液通路50とリザーバ液通路68とを繋ぐ2つの帰還路72が形成されており、それら帰還路72の各々に、上記制御保持弁64,遮断弁66が設けられている。
通常作動時には、マスタカット弁56,遮断弁66は、それぞれ閉弁状態,開弁状態とされる。モータ62によってポンプ60が駆動されることにより、リザーバ48の作動液が加圧されて、車輪制動器46に供給される。制御保持弁64は、車輪制動器46に供給される作動液の圧力を、自身に供給される電流に応じた圧力に調整する機能を有している。言い換えれば、その圧力を減圧する機能を有した減圧用電磁式リニア弁とされているのである。したがって、本液圧ブレーキ装置32では、マスタシリンダ42から供給される作動液の圧力に依存せずに、つまり、ブレーキペダル40に加えられるブレーキ操作力に依存せずに、制御保持弁64の制御によって、圧力の調整された作動液が車輪制動器46に供給される。なお、制御保持弁64が減圧用の弁であるため、作動液は、圧力の調整のために制御保持弁64を通過する。その通過した作動液は、帰還路72および開弁状態である遮断弁66を介して、リザーバ液通路68に、ひいては、リザーバ48に戻される。
ちなみに、当該液圧ブレーキ装置32が電気的に失陥しているような場合には、マスタカット弁56,遮断弁66がそれぞれ開弁状態,閉弁状態とされて、マスタシリンダ42からアクチュエータユニット44に供給される作動液が、車輪制動器46に供給されることになる。言い換えれば、開閉弁であるマスタカット弁56が開けられることでマスタシリンダ42から供給される作動液によって後述のホイールシリンダが作動させられる際に、遮断弁66は、リザーバ48若しくはリザーバ液通路68に流入する作動液の流れを遮断するのである。なお、アクチュエータユニット44内には、車輪制動器46に供給される作動液の圧力(以下、「ホイールシリンダ圧」と言う場合がある)を検出するためのホイールシリンダ圧センサ74,マスタシリンダ42から供給される作動液の圧力(以下、「マスタ圧」と言う場合がある)を検出するためのマスタ圧センサ76が、2系統に対応して、それぞれ2つずつ設けられている。
iv)車輪制動器の構成
前輪10Fの各々の回転を止めるための車輪制動器46は、図3(a)に模式的に示すようなディスクブレーキ装置である。この車輪制動器46は、前輪10Fと一体的に回転する回転体としてのディスクロータ80と、前輪10Fを回転可能に保持するキャリアに移動可能に支持されたキャリパ82とを含んで構成されている。キャリパ82には、それの一部をハウジングとするホイールシリンダ84が内蔵されている、ホイールシリンダ84が有するピストン86の先端側、および、キャリパ82のホイールシリンダ84が内蔵されている部分の反対側には、それらにそれぞれ係止され、かつ、ディスクロータ80を挟んで対向する1対のブレーキパッド(摩擦部材の一種である)88が設けられている。
ホイールシリンダ84の作動液室90に、アクチュエータユニット44からの作動液が供給され、その作動液の圧力により、1対のブレーキパッド88は、ディスクロータ80を挟み付ける。つまり、ホイールシリンダ84の作動によって、摩擦部材であるブレーキパッド88がディスクロータ80に押し付けられるのである。このようにして、車輪制動器46は、摩擦力を利用して、前輪10Fの回転を止めるための制動力、すなわち、車両を制動するための制動力(以下、「液圧制動力」と言う場合がある)を発生させる。この液圧制動力は、アクチュエータユニット44から供給される作動液の圧力に応じた大きさとなる。車輪制動器46は、一般的な構造のものであるため、車輪制動器46についての詳しい説明は省略する。
[D]電動ブレーキ装置の構成
電動ブレーキ装置34は、図1に示すように、後輪10Rの各々の回転を止めるための1対の車輪制動器100を含んで構成されている。車輪制動器100は、図3(b)に示すように、液圧ブレーキ装置32の車輪制動器46と類似する構造のものであり、車輪制動器46が作動液の圧力によって動作するのに対し、本車輪制動器100は、電動モータの力によって作動する。
車輪制動器100は、具体的には、後輪10Rと一体的に回転する回転体としてのディスクロータ102と、後輪10Rを回転可能に保持するキャリアに移動可能に支持されたキャリパ104とを含んで構成されている。キャリパ104には、電動アクチュエータ106が内蔵されている。電動アクチュエータ106は、 (a)キャリパ104に進退可能に保持されたプランジャ108と、 (b)キャリパ104に回転不能かつ進退可能に保持されて外周に雄ねじが形成されたねじロッド110と、 (c)ねじロッド110の雄ねじと螺合する雌ねじが形成され、回転可能かつ進退不能にキャリパに保持されたナット112と、 (d)そのナット112を回転させるための電動モータ114とを含んで構成されている。ちなみに、電動モータ114は、ナット112の外周に付設された磁石116と、キャリパ104に保持されたコイル118とを含んで構成されている。
電動アクチュエータ106のプランジャ108の先端側、および、キャリパ104の電動アクチュエータ106が配設されている部分の反対側には、それらにそれぞれ係止され、かつ、ディスクロータ102を挟んで対向する1対のブレーキパッド(摩擦部材の一種である)120が付設されている。電動アクチュエータ106は、駆動源である電動モータ114が回転することによって、ブレーキパッド120をディスクロータ102に押し付ける。つまり、電動アクチュエータ106は、プランジャ108,ねじロッド110,ナット112等を含んで構成される機構、すなわち、電動モータ114の力によって摩擦部材を動作させるための動作変換機構を有しているのである。つまり、電動ブレーキ装置34を構成する各車輪制動器100は、電動モータ114が発生させる力を制御しつつ、その力を、動作変換機構を介して、車輪の回転を停止若しくは減速させる力として作用させるのである。
上述のようにして、電動ブレーキ装置34を構成する車輪制動器100は、摩擦力を利用して、後輪10Rの回転を止めるための制動力、すなわち、車両を制動するための制動力(以下、「電動制動力」と言う場合がある)を発生させる。この電動制動力は、プランジャ108によるブレーキパッド120の押付力に依存するものとなる。その押付力を検出するため、車輪制動器100には、プランジャ108とブレーキパッド120との間に、ロードセルである押付力センサ122が設けられている。なお、車輪制動器100は、一般的な構造のものであるため、車輪制動器100についての詳しい説明は省略する。なお、図1に示すように、各車輪制動器100の電動モータ114には、上記バッテリ28とは別のバッテリである補機バッテリ124から電流が供給される。
[E]車両用ブレーキシステムの制御
i)制御システム
本車両用ブレーキシステムの制御、つまり、制動力F(各種制動力の総称である)の制御は、図1に示す制御システムによって行われる。具体的には、液圧ブレーキ装置32の制御は、液圧ブレーキ装置用電子制御ユニット(以下、「HY−ECU」と略す場合がある)130によって行われ、電動ブレーキ装置34の制御は、各車輪制動器100ごとに設けられた2つの電動ブレーキ用電子制御ユニット(以下、「EM−ECU」と略す場合がある)132によって行われる。HY−ECU130は、コンピュータと、液圧ブレーキ装置32を構成する各機器のドライバ(駆動回路)等とを含んで構成され、EM−ECU132は、コンピュータと、電動ブレーキ装置34を構成する各機器のドライバ(駆動回路)等とを含んで構成されている。先に説明したように、回生ブレーキ装置30の制御は、HB−ECU29によって行われる。
より具体的に言えば、HB−ECU29は、回生ブレーキ装置30を構成するインバータ26G,26Mの制御を、HY−ECU130は、液圧ブレーキ装置32を構成するアクチュエータユニット44の制御保持弁64の制御を、EM−ECU132は、電動ブレーキ装置34を構成する車輪制動器100の電動モータ114の制御を行うことによって、回生制動力FRG,液圧制動力FHY,電動制動力FEMが制御される。それによって、車両全体に付与される制動力Fである全体制動力FSUMが制御されることになる。本車両用ブレーキシステムでは、HB−ECU29,HY−ECU130,EM−ECU132は、車両内のネットワーク(CAN)にて、互いに接続されており、相互に通信を行いつつ、それぞれの制御を行うようにされている。HY−ECU130は、後に説明するように、本車両用ブレーキシステムにおいて、HB−ECU29,EM−ECU132をも統括するメイン電子制御ユニットとして機能する。
ii)基本的な制動力の制御
本車両用ブレーキシステムにおける基本的な制動力の制御は、概念的には、図4に示すフローチャートに示すようにして行われる。以下に、そのフローチャートに基づいて、基本的な制動力の制御について説明する。ちなみに、そのフローチャートに基づく処理は、短い時間ピッチ(例えば、数msec程度)で繰り返し行われる。
まず、ステップ1(以下、「S1」と略す。他のステップも同様である。)において、ブレーキペダル40の操作に基づいて、車両全体に必要な制動力F(4つの車輪10に付与される制動力Fの合計)である必要全体制動力FSUM *が決定される。詳しく言えば、図1,図2に示すように、ブレーキペダル40には、当該ブレーキペダル40の操作量である操作ストロークδを検出するための操作ストロークセンサ134が設けられており、HY−ECU130は、その操作ストロークセンサ134によって検出された操作ストロークδに制動力係数αFを掛けることによって、必要全体制動力FSUM *を求めるようにされている。ちなみに、この操作ストロークδは、ブレーキペダル40の操作の程度、つまり、ブレーキ操作の程度を示す操作値の一種であり、必要全体制動力FSUM *を示すパラメータと考えることができるものである。
本車両用ブレーキシステムでは、大まかに言えば、回生制動力FRGを優先的に発生させ、必要全体制動力FSUM *のうちの回生制動力FRGでは賄いきれない分である不足制動力FISを、液圧制動力FHYと電動制動力FEMとによって賄うようにされる。ちなみに、回生制動力FRG,液圧制動力FHY,電動制動力FEMは、それぞれ、回生ブレーキ装置30,液圧ブレーキ装置32,電動ブレーキ装置34によって前輪10F若しくは後輪10Rである2つの車輪10に付与される制動力Fの合計であり、実際には、2つの前輪10F若しくは後輪10Rの各々に、回生制動力FRG,液圧制動力FHY,電動制動力FEMの半分が付与されるが、簡略化のため、以下の説明では、2つの前輪10F,2つの後輪10Rを総合して仮想の1つの前輪10F,後輪10Rとみなし、それら1つの前輪10F,後輪10Rのいずれかに対して、回生制動力FRG,液圧制動力FHY,電動制動力FEMが付与されるものとして扱うこととする。
上述のことに従うべく、必要全体制動力FSUM *についての信号が、HY−ECU130からHB−ECU29に送信され、S2において、HB−ECU29は、その必要全体制動力FSUM *を超えない範囲において発生可能な最大の回生制動力FRGとして、目標回生制動力F* RGを決定する。その目標回生制動力F* RGについての信号は、HB−ECU29からHY−ECU130に返信される。
続くS3において、HY−ECU130は、必要全体制動力FSUM *から目標回生制動力F* RGを減じることで、上記不足制動力FISを決定する。次いで、不足制動力FISを液圧制動力FHYと電動制動力FEMとによって賄うために、詳しく言えば、液圧制動力FHYと電動制動力FEMとが設定された配分比(βHY:βEM)となるようにして賄うために、S4において、HY−ECU130は、不足制動力FISに、液圧制動力分配係数βHY,電動制動力分配係数βEM(βHY+βEM=1である)をそれぞれ乗じることで、発生させるべき液圧制動力FHY,電動制動力FEMとして、目標液圧制動力F* HY,目標電動制動力F* EMを決定する。目標電動制動力F* EMについての信号は、HY−ECU130からEM−ECU132に送信される。
そして、S5において、回生ブレーキ装置30,液圧ブレーキ装置32,電動ブレーキ装置34が、それぞれ、目標回生制動力F* RG,目標液圧制動力F* HY,目標電動制動力F* EMに基づいて制御される。具体的には、HB−ECU29は、回生制動力FRGが目標回生制動力F* RGとなるように、上述のインバータ26Mを制御し、HY−ECU130は、液圧制動力FHYが目標液圧制動力F* HYとなるように、上述のモータ62および制御保持弁64に供給される電流を制御し、EM−ECU132は、電動制動力FEMが目標電動制動力F* EMとなるように、上述の電動モータ114へ供給される電流を制御する
上記制御に従えば、回生制動力,液圧制動力,電動制動力は、互いに、協調するように制御される。具体的には、液圧制動力と電動制動力とで、必要全体制動力のうちの回生制動力によっては賄い切れない分である不足制動力を賄うように、回生制動力,液圧制動力,電動制動力が協調制御される。このような協調制御により、例えば車両走行速度やバッテリ28の充電状態が変動して回生制動力が変動するような場合でも、適切な必要全体制動力を簡便に確保することが可能となる。また、液圧制動力と電動制動力とが設定された配分(βHY:βEM)で発生するように、液圧制動力と電動制動力とが協調制御される。このような協調制御によれば、簡便な制御則に従ってそれら2つの制動力を制御できることで、車両全体に必要とされる適切な制動力を、容易に制御することが可能である。
[F]変形例
上記実施例の車両用ブレーキシステムでは、ブレーキ操作部材であるブレーキペダル40の操作ストロークを、必要全体制動力を示すパラメータとして用いていたが、操作ストロークに代えて、ブレーキペダル40に加えられる操作力を用いてもよい。また、上記実施例の車両用ブレーキシステムでは、HB−ECU29,HY−ECU130,EM−ECU132という3種の電子制御ユニットが協働して、制動力を制御するようにされていたが、単一の電子制御ユニットによって、回生制動力,液圧制動力,電動制動力の各々を制御するようにしてもよい。
上記実施例の車両用ブレーキステムは、前輪10Fに対して液圧ブレーキ装置32が設けられ、後輪10Rに対して電動ブレーキ装置34が設けられていたが、前輪10Fに対して電動ブレーキ装置が設けられ、後輪10Rに対して液圧ブレーキ装置が設けられるような車両ブレーキシステムを構築してもよい。また、実施例の車両用ブレーキシステムが搭載される車両は、前輪10Fが駆動輪とされているため、上記実施例の車両用ブレーキシステムは、前輪10Fに対して回生ブレーキ装置30が設けられていたが、後輪10Rに対して回生ブレーキ装置が設けられるような車両用ブレーキシステムを構築することも可能である。さらに、上記実施例の車両用ブレーキシステムでは、回生ブレーキ装置30と液圧ブレーキ装置32とが、同じ車輪に対して設けられていたが、回生ブレーキ装置と電動ブレーキ装置とが同じ車輪に対して設けられるような車両用ブレーキシステムを構築することも可能である。
上記実施例の車両用ブレーキシステムでは、電動ブレーキ装置34を構成する車輪制動器100の各々には、補機バッテリ124から電流が供給されるようになっていたが、車両駆動システムを構成するバッテリ28から電流が供給されるようにしてもよい。
10F:前輪 10R:後輪 18:電動モータ 26M:インバータ 28:バッテリ 29:ハイブリッド電子制御ユニット(HB−ECU) 30:回生ブレーキ装置 32:液圧ブレーキ装置 34:電動ブレーキ装置 40:ブレーキペダル〔ブレーキ操作部材〕 42:マスタシリンダ 42a:ピストン 42b:加圧室 44:アクチュエータユニット 46:車輪制動器 48:リザーバ 50:マスタ液通路 54:ストロークシミュレータ 56:マスタカット弁〔開閉弁〕 60:ポンプ 64:制御保持弁 66:遮断弁 68:リザーバ液通路 72:帰還路 80:ディスクロータ〔回転体〕 82:キャリパ 84:ホイールシリンダ 88:ブレーキパッド〔摩擦部材〕 100:車輪制動器 114:電動モータ 120:ブレーキパッド〔摩擦部材〕 124:補機バッテリ 130:液圧ブレーキ装置用電子制御ユニット(HY−ECU) 132:電動ブレーキ装置用電子制御ユニット(EM−ECU) 134:操作ストロークセンサ δ:操作ストローク FSUM *:必要全体制動力 FRG *:目標回生制動力 FHY *:目標液圧制動力 FEM *:目標電動制動力 FIS:不足制動力 (βHY:βEM):分配比

Claims (12)

  1. 運転者によって操作されるブレーキ操作部材と、
    前輪と後輪との一方に対して設けられ、前記ブレーキ操作部材の操作に応じて、作動液の液圧に依存した制動力である液圧制動力を発生させる液圧ブレーキ装置と、
    前輪と後輪との他方に対して設けられ、電動モータの作動に依存した制動力である電動制動力を発生させる電動ブレーキ装置と
    を備えた車両用ブレーキシステムであって、
    前記液圧ブレーキ装置が、
    前記前輪と後輪との一方と一体的に回転させられる回転体と、
    その回転体に押し付けられる摩擦部材と、
    その摩擦部材を回転体に押し付けるために、自身に供給される作動液によって作動するホイールシリンダと、
    そのホイールシリンダに作動液を加圧して供給するポンプと、
    前記ホイールシリンダに供給される作動液の圧力を制御可能に保持するための制御保持弁と
    を含んで構成された車両用ブレーキシステム。
  2. 前記液圧ブレーキ装置が、さらに、
    ( a)前記ブレーキ操作部材に連結されたピストンと、( b)そのピストンの移動によって自身に導入された作動液が加圧される加圧室とを有し、前記ブレーキ操作部材に加えられる運転者の操作力によって作動液を加圧するマスタシリンダと、
    そのマスタシリンダの前記加圧室において加圧された作動液を前記ホイールシリンダに供給するためのマスタ液通路と、
    そのマスタ液通路を開通遮断する開閉弁と
    を備え、
    前記マスタシリンダから供給される作動液による前記ホイールシリンダの作動と、前記ポンプから供給される作動液による前記ホイールシリンダの作動とが、前記開閉弁の作動によって、選択的に実現されるように構成された請求項1に記載の車両用ブレーキシステム。
  3. 前記液圧ブレーキ装置が、前記ポンプによって汲みだされる作動液が貯留されるリザーバと、そのリザーバと前記ポンプとを繋ぐリザーバ液通路とを備え、
    前記制御保持弁が、前記ポンプから前記ホイールシリンダに供給される作動液の一部を通過させることで、その作動液の圧力を制御するとともに、その制御保持弁を通過する作動液が、前記リザーバ若しくは前記リザーバ液通路に流入するように構成された請求項2に記載の車両用ブレーキシステム。
  4. 前記液圧ブレーキ装置が、
    前記開閉弁が開けられることで前記マスタシリンダから供給される作動液によって前記ホイールシリンダが作動させられる際に、前記リザーバ若しくは前記リザーバ液通路に流入する作動液の流れを遮断する遮断弁を備えた請求項3に記載の車両用ブレーキシステム。
  5. 前記リザーバが前記マスタシリンダの近傍に配置され、前記マスタシリンダの前記加圧室において、そのリザーバからの作動液が加圧されるように構成された請求項3または請求項4に記載の車両用ブレーキ装置。
  6. 前記液圧ブレーキ装置が、
    前記マスタ液通路に設けられ、前記開閉弁が閉じられることで前記ポンプから供給される作動液によって前記ホイールシリンダが作動させられる際に、前記ブレーキ操作部材にそれの操作に応じた反力を付与しつつそのブレーキ操作部材の操作を許容するためのストロークシミュレータを有する請求項2ないし請求項5のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム。
  7. 前記液圧ブレーキ装置の前記ポンプと前記制御保持弁とが、アクチュエータユニットに組み込まれている請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム。
  8. 前記制御保持弁が、
    前記ホイールシリンダに供給される作動液の圧力を、自身に供給される電流に応じた圧力に減圧する電磁式リニア弁である請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム。
  9. 前記液圧制動力と前記電動制動力とが協調するように制御される請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム。
  10. 前記液圧制動力と前記電動制動力とが設定された配分で発生するように制御される請求項9に記載の車両用ブレーキシステム。
  11. 当該車両用ブレーキシステムが、
    前記液圧ブレーキ装置と前記電動ブレーキ装置との一方が設けられている前輪と後輪との一方に対して設けられ、その前輪と後輪との一方の回転による発電を利用した制動力である回生制動力を発生させる回生ブレーキ装置を備え、
    前記液圧制動力と前記電動制動力と前記回生制動力とが協調するように制御される請求項9または請求項10に記載の車両用ブレーキシステム。
  12. 車両全体に必要とされる制動力である必要全体制動力のうちの前記回生制動力では賄いきれない不足制動力を、前記液圧制動力と前記電動制動力とによって賄うように、それら液圧制動力と電動制動力とが制御される請求項11に記載の車両用ブレーキシステム。
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