以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
冷凍機油は、潤滑油基油と、下記式(A)で表される化合物とを含有する。
[式(A)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に1価の炭化水素基を表し、R
3は2価の炭化水素基を表し、Xは−COOR
4基を含む極性基を表す。R
4は水素原子又は1価の炭化水素基を表す。]
潤滑油基油としては、炭化水素油、含酸素油等が挙げられる。炭化水素油としては、鉱油系炭化水素油及び合成系炭化水素油が例示される。含酸素油としては、エステル、エーテル、カーボネート、ケトン、シリコーン、ポリシロキサン等が例示される。
鉱油系炭化水素油は、パラフィン系、ナフテン系等の原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤精製、水素化精製、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化脱ろう、白土処理、硫酸洗浄などの方法で精製することによって得ることができる。これらの精製方法は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
合成系炭化水素油としては、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリα−オレフィン(PAO)、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
アルキルベンゼンは、下記アルキルベンゼン(a1)及びアルキルベンゼン(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
アルキルベンゼン(a1):炭素数1〜19のアルキル基を1〜4個有し、かつそのアルキル基の合計炭素数が9〜19であるアルキルベンゼン(好ましくは、炭素数1〜15のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が9〜15であるアルキルベンゼン)
アルキルベンゼン(a2):炭素数1〜40のアルキル基を1〜4個有し、かつそのアルキル基の合計炭素数が20〜40であるアルキルベンゼン(好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が20〜30であるアルキルベンゼン)
アルキルベンゼン(a1)が有する炭素数1〜19のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(すべての異性体を含む、以下同様)、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基及びエイコシル基が挙げられる。これらのアルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であってもよく、安定性、粘度特性等の点から、好ましくは分枝状である。アルキル基は、特に入手可能性の点から、より好ましくは、プロピレン、ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基である。
アルキルベンゼン(a1)中のアルキル基の個数は、1〜4個であり、安定性、入手可能性の点から、好ましくは1個又は2個(すなわちモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、又はこれらの混合物)である。
アルキルベンゼン(a1)は、単一構造のアルキルベンゼンであってもよく、炭素数1〜19のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が9〜19であるという条件を満たすアルキルベンゼンであれば、異なる構造を有するアルキルベンゼンの混合物であってもよい。
アルキルベンゼン(a2)が有する炭素数1〜40のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(すべての異性体を含む、以下同様)、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、ヘキサトリアコンチル基、ヘプタトリアコンチル基、オクタトリアコンチル基、ノナトリアコンチル基及びテトラコンチル基が挙げられる。これらのアルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であってもよく、安定性、粘度特性等の点から、好ましくは分枝状である。アルキル基は、特に入手可能性の点から、より好ましくは、プロピレン、ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基である。アルキル基は、引火点がより高い点からは、より好ましくは、直鎖パラフィン、直鎖α−オレフィン又はこれらのハロゲン化物などの直鎖状アルキル化剤から誘導される直鎖状または分枝状アルキル基であり、更に好ましくは分枝状アルキル基である。
アルキルベンゼン(a2)中のアルキル基の個数は、1〜4個であり、安定性、入手可能性の点から、好ましくは1個又は2個(すなわちモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、又はこれらの混合物)である。
アルキルベンゼン(a2)は、単一構造のアルキルベンゼンであってもよく、炭素数1〜40のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が20〜40であるという条件を満たすアルキルベンゼンであれば、異なる構造を有するアルキルベンゼンの混合物であってもよい。
ポリα−オレフィン(PAO)は、例えば末端の一方にのみ二重結合を有する炭素数6〜18の直鎖オレフィンの数分子を重合させ、次に水素添加して得られる化合物である。ポリα−オレフィンは、例えば炭素数10のα−デセン又は炭素数12のα−ドデセンの3量体あるいは4量体を中心とする分子量分布を有するイソパラフィンであってよい。
エステルとしては、芳香族エステル、二塩基酸エステル、ポリオールエステル、コンプレックスエステル、炭酸エステル及びこれらの混合物等が例示される。エステルは、好ましくはポリオールエステル又はコンプレックスエステルである。
ポリオールエステルは、多価アルコールと脂肪酸とのエステルである。脂肪酸は、好ましくは飽和脂肪酸である。脂肪酸の炭素数は、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜18、更に好ましくは4〜9、特に好ましくは5〜9である。ポリオールエステルは、多価アルコールの水酸基の一部がエステル化されずに水酸基のまま残っている部分エステルであってもよく、全ての水酸基がエステル化された完全エステルであってもよく、また部分エステルと完全エステルとの混合物であってもよい。ポリオールエステルの水酸基価は、好ましくは10mgKOH/g以下、より好ましくは5mgKOH/g以下、更に好ましくは3mgKOH/g以下である。
ポリオールエステルを構成する脂肪酸のうち、炭素数4〜20の脂肪酸の割合は、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。
炭素数4〜20の脂肪酸としては、具体的には、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸及びイコサン酸が挙げられる。これらの脂肪酸は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。脂肪酸は、好ましくはα位及び/又はβ位に分岐を有する脂肪酸であり、より好ましくは、2−メチルプロパン酸、2−メチルブタン酸、2−メチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−メチルヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸及び2−エチルヘキサデカン酸から選ばれ、更に好ましくは、2−メチルプロパン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸から選ばれる。
脂肪酸は、炭素数4〜20の脂肪酸以外の脂肪酸を含んでいてもよい。炭素数4〜20の脂肪酸以外の脂肪酸は、例えば炭素数21〜24の脂肪酸であってよい。炭素数21〜24の脂肪酸は、ヘンイコ酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸等であってよく、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
ポリオールエステルを構成する多価アルコールは、好ましくは2〜6個の水酸基を有する多価アルコールである。多価アルコールの炭素数は、好ましくは4〜12、より好ましくは5〜10である。多価アルコールは、好ましくは、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどのヒンダードアルコールであり、冷媒との相溶性及び加水分解安定性に特に優れることから、より好ましくは、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、又はペンタエリスリトールとジペンタエリスリトールとの混合エステルである。
コンプレックスエステルは、例えば以下の(a)又は(b)の方法で合成されるエステルである。
(a)多価アルコールと多塩基酸とのモル比を調整して、多塩基酸のカルボキシル基の一部がエステル化されずに残存するエステル中間体を合成し、次いでその残存するカルボキシル基を一価アルコールでエステル化する方法
(b)多価アルコールと多塩基酸とのモル比を調整して、多価アルコールの水酸基の一部がエステル化されずに残存するエステル中間体を合成し、次いでその残存する水酸基を一価脂肪酸でエステル化する方法
上記(b)の方法により得られるコンプレックスエステルは、冷凍機油としての使用時に加水分解すると比較的強い酸が生成するため、上記(a)の方法により得られるコンプレックスエステルに比べて安定性が若干劣る傾向にある。そのため、コンプレックスエステルは、好ましくは、安定性のより高い上記(a)の方法により得られるコンプレックスエステルである。
コンプレックスエステルは、好ましくは、2〜4個のヒドロキシル基を有する多価アルコールから選ばれる少なくとも1種と、炭素数6〜12の多塩基酸から選ばれる少なくとも1種と、炭素数4〜18の一価アルコール及び炭素数2〜12の一価脂肪酸から選ばれる少なくとも1種とから合成されるエステルである。
2〜4個のヒドロキシル基を有する多価アルコールとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。2〜4個のヒドロキシル基を有する多価アルコールは、コンプレックスエステルを基油として用いたときに好適な粘度を確保し、良好な低温特性を得られる観点から、好ましくは、ネオペンチルグリコール及びトリメチロールプロパンから選ばれ、幅広く粘度調整のできる観点から、より好ましくはネオペンチルグリコールである。
潤滑性に優れる観点から、コンプレックスエステルを構成する多価アルコールは、好ましくは、2〜4個のヒドロキシル基を有する多価アルコールに加えて、ネオペンチルグリコール以外の炭素数2〜10の二価アルコールを更に含有する。ネオペンチルグリコール以外の炭素数2〜10の二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ペンタンジオール等が挙げられる。当該二価アルコールは、潤滑油基油の特性に優れる観点から、好ましくはブタンジオールである。ブタンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどが挙げられる。ブタンジオールは、良好な特性が得られる観点から、好ましくは1,3−ブタンジオール及び1,4−ブタンジオールから選ばれる。ネオペンチルグリコール以外の炭素数2〜10の二価アルコールの量は、2〜4個のヒドロキシル基を有する多価アルコール1モルに対して、好ましくは1.2モル以下、より好ましくは0.8モル以下、更に好ましくは0.4モル以下である。
炭素数6〜12の多塩基酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、トリメリット酸などが挙げられる。当該多塩基酸は、合成されたエステルの特性のバランスに優れ、入手が容易である観点から、好ましくはアジピン酸及びセバシン酸から選ばれ、より好ましくはアジピン酸である。炭素数6〜12の多塩基酸の量は、2〜4個のヒドロキシル基を有する多価アルコール1モルに対して、好ましくは0.4モル〜4モル、より好ましくは0.5モル〜3モル、更に好ましくは0.6モル〜2.5モルである。
炭素数4〜18の一価アルコールとしては、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコールが挙げられる。これらの一価アルコールは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。炭素数4〜18の一価アルコールは、特性のバランスの点から、好ましくは炭素数6〜10の一価アルコールであり、より好ましくは炭素数8〜10の一価アルコールである。当該一価アルコールは、合成されたコンプレックスエステルの低温特性が良好になる観点から、更に好ましくは2−エチルヘキサノール及び3,5,5−トリメチルヘキサノールから選ばれる。
炭素数2〜12の一価脂肪酸としては、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸などが挙げられる。これらの一価脂肪酸は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。炭素数2〜12の一価脂肪酸は、好ましくは炭素数8〜10の一価脂肪酸であり、これらの中でも低温特性の観点から、より好ましくは2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸である。
エーテルとしては、ポリビニルエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、パーフルオロエーテル及びこれらの混合物などが例示される。エーテルは、好ましくはポリビニルエーテル及びポリアルキレングリコールから選ばれ、より好ましくはポリビニルエーテルである。
ポリビニルエーテルは、下記式(1)で表される構造単位を有する。
[式(1)中、R
50、R
51及びR
52は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭化水素基を表し、R
53は2価の炭化水素基又は2価のエーテル結合酸素含有炭化水素基を表し、R
54は炭化水素基を表し、mは0以上の整数を表す。mが2以上である場合には、複数のR
53は互いに同一でも異なっていてもよい。]
R50、R51及びR52で表される炭化水素基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、また、好ましくは8以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは6以下である。R50、R51及びR52の少なくとも1つが水素原子であることが好ましく、R50、R51及びR52の全てが水素原子であることがより好ましい。
R53で表される2価の炭化水素基及びエーテル結合酸素含有炭化水素基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。R53で示される2価のエーテル結合酸素含有炭化水素基は、例えばエーテル結合を形成する酸素を側鎖に有する炭化水素基であってもよい。
R54は、好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基である。この炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アリール基、アリールアルキル基などが挙げられる。当該炭化水素基は、好ましくはアルキル基、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基である。
mは、好ましくは0以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下である。ポリビニルエーテルを構成する全構造単位におけるmの平均値は、好ましくは0〜10である。
ポリビニルエーテルは、式(1)で表される構造単位から選ばれる1種で構成される単独重合体であってもよく、式(1)で表される構造単位から選ばれる2種以上で構成される共重合体であってもよく、式(1)で表される構造単位と他の構造単位とで構成される共重合体であってもよい。ポリビニルエーテルが共重合体であることにより、冷凍機油の冷媒との相溶性を満足しつつ、潤滑性、絶縁性、吸湿性等を一層向上させることができる。この際、原料となるモノマーの種類、開始剤の種類、共重合体における構造単位の比率等を適宜選択することにより、上記の冷凍機油の諸特性を所望のものとすることが可能となる。共重合体は、ブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよい。
ポリビニルエーテルが共重合体である場合、当該共重合体は、好ましくは上記式(1)で表され且つR54が炭素数1〜3のアルキル基である構造単位(1−1)と、上記式(1)で表され且つR54が炭素数3〜20のアルキル基である構造単位(1−2)と、を有する。構造単位(1−2)におけるR54の炭素数は、好ましくは3〜10、更に好ましくは3〜8である。構造単位(1−1)におけるR54は特に好ましくはエチル基であり、構造単位(1−2)におけるR54は、特に好ましくはイソブチル基である。ポリビニルエーテルが上記の構造単位(1−1)及び(1−2)を有する共重合体である場合、構造単位(1−1)と構造単位(1−2)とのモル比は、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは20:80〜90:10、更に好ましくは70:30〜90:10である。当該モル比が上記範囲内であると、冷媒との相溶性をより向上させることができ、吸湿性を低くすることができる傾向にある。
ポリビニルエーテルは、上記式(1)で表される構造単位のみで構成されるものであってもよいが、下記式(2)で表される構造単位を更に有する共重合体であってもよい。この場合、共重合体はブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよい。
[式(2)中、R
55〜R
58は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。]
ポリビニルエーテルは、例えば、式(1)で表される構造単位に対応するビニルエーテル系モノマーの重合、又は、式(1)で表される構造単位に対応するビニルエーテル系モノマーと式(2)で表される構造単位に対応するオレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーとの共重合により製造される。式(1)で表される構造単位に対応するビニルエーテル系モノマーとしては、下記式(3)で表されるモノマーが好適である。
[式中、R
50、R
51、R
52、R
53、R
54及びmは、それぞれ式(1)中のR
50、R
51、R
52、R
53、R
54及びmと同一の定義内容を示す。]
ポリビニルエーテルは、好ましくは、以下の末端構造(I)又は(II)を有する。
(I)一方の末端が、式(4)又は(5)で表され、かつ他方の末端が式(6)又は(7)で表される構造。
[式(4)中、R
59、R
60及びR
61は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R
62は炭素数1〜10の2価の炭化水素基又は2価のエーテル結合酸素含有炭化水素基を示し、R
63は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、mは式(1)中のmと同一の定義内容を示す。mが2以上の場合には、複数のR
62は互いに同一でも異なっていてもよい。]
[式(5)中、R
64、R
65、R
66及びR
67は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。]
[式(6)中、R
68,R
69及びR
70は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R
71は炭素数1〜10の2価の炭化水素基又は2価のエーテル結合酸素含有炭化水素基を示し、R
72は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、mは式(1)中のmと同一の定義内容を示す。mが2以上の場合には、複数のR
71は同一でも異なっていてもよい。]
[式(7)中、R
73、R
74、R
75及びR
76は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。]
(II)一方の末端が上記式(4)又は(5)で表され、かつ他方の末端が下記式(8)で表される構造。
[式(8)中、R
77、R
78及びR
79は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示す。]
このようなポリビニルエーテルの中でも、以下に挙げる(a),(b),(c),(d)及び(e)のポリビニルエーテルが基油として特に好適である。
(a)一方の末端が式(4)又は(5)で表され、かつ他方の末端が式(6)又は(7)で表される構造を有し、式(1)におけるR50、R51及びR52がいずれも水素原子、mが0〜4の整数、R53が炭素数2〜4の2価の炭化水素基、R54が炭素数1〜20の炭化水素基であるポリビニルエーテル。
(b)式(1)で表される構造単位のみを有するものであって、一方の末端が式(4)で表され、かつ他方の末端が式(6)で表される構造を有し、式(1)におけるR50、R51及びR52がいずれも水素原子、mが0〜4の整数、R53が炭素数2〜4の2価の炭化水素基、R54が炭素数1〜20の炭化水素基であるポリビニルエーテル。
(c)一方の末端が式(4)又は(5)で表され、かつ他方の末端が式(8)で表される構造を有し、式(1)におけるR50、R51及びR52がいずれも水素原子、mが0〜4の整数、R53が炭素数2〜4の2価の炭化水素基、R54が炭素数1〜20の炭化水素基であるポリビニルエーテル。
(d)式(1)で表される構造単位のみを有するものであって、一方の末端が式(5)で表され、かつ他方の末端が式(8)で表される構造を有し、式(1)におけるR50、R51及びR52がいずれも水素原子、mが0〜4の整数、R53が炭素数2〜4の二価の炭化水素基、R54が炭素数1〜20の炭化水素基であるポリビニルエーテル。
(e)上記(a),(b),(c)及び(d)のいずれかであって、式(1)におけるR54が炭素数1〜3の炭化水素基である構造単位と該R54が炭素数3〜20の炭化水素基である構造単位とを有するポリビニルエーテル。
ポリビニルエーテルの重量平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは600以上であり、また、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下、更に好ましくは1500以下である。ポリビニルエーテルの重量平均分子量が500以上であると、冷凍機油は冷媒共存下での潤滑性に優れる。重量平均分子量が3000以下であると、低温条件下で冷媒に対して相溶性を示す組成範囲が広くなり、冷媒圧縮機の潤滑不良や蒸発器における熱交換の阻害を抑制できる。
ポリビニルエーテルの数平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは600以上であり、また、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下、更に好ましくは1500以下である。ポリビニルエーテルの数平均分子量が500以上であると、冷凍機油は冷媒共存下での潤滑性に優れる。数平均分子量が3000以下であると、低温条件下で冷媒に対して相溶性を示す組成範囲が広くなり、冷媒圧縮機の潤滑不良や蒸発器における熱交換の阻害を抑制できる。
ポリビニルエーテルの重量平均分子量及び数平均分子量は、それぞれGPC分析により得られる重量平均分子量及び数平均分子量(ポリスチレン(標準試料)換算値)を意味する。重量平均分子量及び数平均分子量は、例えば以下のように測定することができる。
溶剤としてクロロホルムを使用し、希釈してポリビニルエーテル濃度を1質量%とした溶液を調製する。その溶液を、GPC装置(Waters Alliance2695)を用いて分析を行う。溶剤の流速は1ml/min、分析可能分子量100から10000のカラムを使用し、屈折率検出器を用いて分析を実施する。なお、分子量が明確なポリスチレン標準を用いてカラム保持時間と分子量との関係を求め、検量線を別途作成した上で、得られた保持時間から試料の分子量を決定する。
ポリビニルエーテルの不飽和度は、好ましくは0.04meq/g以下、より好ましくは0.03meq/g以下、更に好ましくは0.02meq/g以下である。ポリビニルエーテルの過酸化物価は、好ましくは10.0meq/kg以下、より好ましくは5.0meq/kg以下、更に好ましくは1.0meq/kg以下である。ポリビニルエーテルのカルボニル価は、好ましくは100重量ppm以下、より好ましくは50重量ppm以下、更に好ましくは20重量ppm以下である。ポリビニルエーテルの水酸基価は、好ましくは10mgKOH/g以下、より好ましくは5mgKOH/g以下、更に好ましくは3mgKOH/g以下である。
本発明における不飽和度、過酸化物価及びカルボニル価は、それぞれ日本油化学会制定の基準油脂分析試験法により測定した値をいう。すなわち、本発明における不飽和度は、試料にウィス液(ICl−酢酸溶液)を反応させ、暗所に放置し、その後、過剰のIClをヨウ素に還元し、ヨウ素分をチオ硫酸ナトリウムで滴定してヨウ素価を算出し、このヨウ素価をビニル当量に換算した値(meq/g)をいう。本発明における過酸化物価は、試料にヨウ化カリウムを加え、生じた遊離のヨウ素をチオ硫酸ナトリウムで滴定し、この遊離のヨウ素を試料1kgに対するミリ当量数に換算した値(meq/kg)をいう。本発明におけるカルボニル価は、試料に2,4−ジニトロフェニルヒドラジンを作用させ、発色性あるキノイドイオンを生ぜしめ、この試料の480nmにおける吸光度を測定し、予めシンナムアルデヒドを標準物質として求めた検量線を基に、カルボニル量に換算した値(重量ppm)をいう。本発明における水酸基価は、JIS K0070:1992に準拠して測定された水酸基価を意味する。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどが例示される。ポリアルキレングリコールは、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン等を構造単位として有する。これらの構造単位を有するポリアルキレングリコールは、それぞれモノマーであるエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドを原料として、開環重合により得ることができる。
ポリアルキレングリコールとしては、例えば下記式(9)で表される化合物が挙げられる。
Rα−[(ORβ)f−ORγ]g (9)
[式(9)中、Rαは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアシル基又は2〜8個の水酸基を有する化合物の残基を表し、Rβは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Rγは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアシル基を表し、fは1〜80の整数を表し、gは1〜8の整数を表す。]
Rα、Rγで表されるアルキル基は、直鎖状、分枝状及び環状のいずれであってもよい。当該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜6である。アルキル基の炭素数が10以下であると、冷凍機油は冷媒との相溶性に優れる傾向にある。
Rα、Rγで表されるアシル基のアルキル基部分は直鎖状、分枝状及び環状のいずれであってもよい。アシル基の炭素数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜6である。当該アシル基の炭素数が10以下であると、冷凍機油は冷媒との相溶性に優れ、相分離が生じにくい傾向にある。
Rα、Rγで表される基が、ともにアルキル基である場合、あるいはともにアシル基である場合、Rα、Rγで表される基は同一でも異なっていてもよい。gが2以上の場合、同一分子中の複数のRα、Rγで表される基は同一でも異なっていてもよい。
Rαで表される基が2〜8個の水酸基を有する化合物の残基である場合、この化合物は鎖状であっても環状であってもよい。
Rα、Rγのうちの少なくとも1つは、相溶性に優れる観点から、好ましくはアルキル基、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、更に好ましくはメチル基である。熱・化学安定性に優れる観点からは、RαとRγとの両方が、好ましくはアルキル基、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、更に好ましくはメチル基である。製造容易性及びコストの観点からは、好ましくはRα及びRγのいずれか一方がアルキル基(より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)であり、かつ他方が水素原子であり、より好ましくは一方がメチル基であり、かつ他方が水素原子である。潤滑性及びスラッジ溶解性に優れる観点からは、好ましくはRα及びRγの両方が水素原子である。
Rβは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、このようなアルキレン基としては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。また、ORβで表される繰り返し単位のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。(ORβ)fで表されるオキシアルキレン基は、1種のオキシアルキレン基で構成されていてもよく、2種以上のオキシアルキレン基で構成されていてもよい。
式(9)で表されるポリアルキレングリコールは、冷媒との相溶性及び粘度−温度特性に優れる観点から、好ましくは、オキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)とを含む共重合体である。この場合、焼付荷重、粘度−温度特性に優れる観点から、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との総和に占めるオキシエチレン基の割合(EO/(PO+EO))は、好ましくは0.1〜0.8、より好ましくは0.3〜0.6である。吸湿性や熱・酸化安定性に優れる観点からは、EO/(PO+EO)は、好ましくは0〜0.5、より好ましくは0〜0.2、更に好ましくは0(すなわちプロピレンオキサイド単独重合体)である。
fは、オキシアルキレン基ORβの繰り返し数(重合度)を表し、1〜80の整数である。gは1〜8の整数である。例えばRαがアルキル基またはアシル基である場合、gは1である。Rαが2〜8個の水酸基を有する化合物の残基である場合、gは当該化合物が有する水酸基の数となる。
式(9)で表されるポリアルキレングリコールにおいて、fとgとの積(f×g)の平均値は、冷凍機油としての要求性能をバランスよく満たす観点から、好ましくは6〜80である。
ポリアルキレングリコールの重量平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは600以上であり、また、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下、更に好ましくは1500以下である。ポリアルキレングリコールの重量平均分子量が500以上であると、冷凍機油は冷媒共存下での潤滑性に優れる。重量平均分子量が3000以下であると、冷凍機油は低温条件下で冷媒に対して相溶性を示す組成範囲が広くなり、冷媒圧縮機の潤滑不良や蒸発器における熱交換の阻害を抑制できる。
ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは600以上であり、また、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下、更に好ましくは1500以下である。ポリアルキレングリコールの数平均分子量が500以上であると、冷凍機油は冷媒共存下での潤滑性に優れる。数平均分子量が3000以下であると、冷凍機油は低温条件下で冷媒に対して相溶性を示す組成範囲が広くなり、冷媒圧縮機の潤滑不良や蒸発器における熱交換の阻害を抑制できる。
ポリアルキレングリコールの重量平均分子量及び数平均分子量は、それぞれGPC分析により得られる重量平均分子量及び数平均分子量(ポリプロピレングリコール(標準試料)換算値)を意味する。重量平均分子量及び数平均分子量は、例えば以下のように測定することができる。
溶剤としてクロロホルムを使用し、希釈してポリアルキレングリコール濃度を1質量%とした溶液を調製する。その溶液を、GPC装置(Waters Alliance2695)を用いて分析を行う。溶剤の流速は1ml/min、分析可能分子量100から10000のカラムを使用し、屈折率検出器を用いて分析を実施する。なお、分子量が明確なポリアルキレングリコール標準を用いてカラム保持時間と分子量との関係を求め、検量線を別途作成した上で、得られた保持時間から試料の分子量を決定する。
ポリアルキレングリコールの水酸基価は、好ましくは100mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下、最も好ましくは10mgKOH/g以下である。
ポリアルキレングリコールは、公知の方法を用いて合成することができる(「アルキレンオキシド重合体」、柴田満太他、海文堂、平成2年11月20日発行)。例えば、アルコール(RαOH;Rαは式(9)中のRαと同一の定義内容を表す)に所定のアルキレンオキサイドの1種以上を付加重合させ、さらに末端水酸基をエーテル化もしくはエステル化することによって、式(9)で表されるポリアルキレングリコールが得られる。上記の製造工程において2種以上のアルキレンオキサイドを使用する場合、得られるポリアルキレングリコールは、ランダム共重合体及びブロック共重合体のいずれであってもよいが、酸化安定性及び潤滑性により優れる傾向にある点からは、好ましくはブロック共重合体であり、より低温流動性に優れる傾向にある点からは、好ましくはランダム共重合体である。
ポリアルキレングリコールの不飽和度は、好ましくは0.04meq/g以下、より好ましくは0.03meq/g以下、更に好ましくは0.02meq/g以下である。過酸化物価は、好ましくは10.0meq/kg以下、より好ましくは5.0meq/kg以下、更に好ましくは1.0meq/kg以下である。カルボニル価は、好ましくは100重量ppm以下、より好ましくは50重量ppm以下、更に好ましくは20重量ppm以下である。
潤滑油基油は、好ましくは含酸素油から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはエステル及びエーテルから選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはエステルである。
潤滑油基油の40℃における動粘度は、好ましくは3mm2/s以上、より好ましくは4mm2/s以上、更に好ましくは5mm2/s以上である。潤滑油基油の40℃における動粘度は、好ましくは1000mm2/s以下、より好ましくは500mm2/s以下、更に好ましくは400mm2/s以下である。潤滑油基油の100℃における動粘度は、好ましくは1mm2/s以上、より好ましくは2mm2/s以上である。潤滑油基油の100℃における動粘度は、好ましくは100mm2/s以下、より好ましくは50mm2/s以下である。本発明における動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定された動粘度を意味する。
潤滑油基油の含有量は、冷凍機油全量基準で、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってよい。
冷凍機油は、下記式(A)で表される化合物を含有する。そのため、この冷凍機油は、トリクレジルホスフェート等の従来のリン系添加剤を含有する場合に比べて、耐焼付き性(特に単位リン量あたりの耐焼付き性の向上効果)の点で優れている。
式(A)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、1価の炭化水素基を表し、アルキル基又はアリール基であってもよく、冷媒存在下での耐焼付き性に優れる点から、好ましくはアルキル基である。当該アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。R1及びR2で表される1価の炭化水素基又はアルキル基若しくはアリール基の炭素数は、2〜18、2〜16、2〜14、2〜12、2〜10又は2〜8であってよい。
R3は、2価の炭化水素基を表し、例えば直鎖又は分岐のアルキレン基であってよい。R3で表される2価の炭化水素基又はアルキレン基の炭素数は、1〜4、1〜3、1〜2又は1であってよい。
Xは、−COOR4基を含む極性基を表す。R4は、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。R4で表される1価の炭化水素基は、例えば直鎖又は分岐のアルキル基であってよい。R4で表される1価の炭化水素基の炭素数は、1〜12、1〜8又は1〜2であってよい。
Xで表される−COOR
4基を含む極性基は、好ましくは−COOH基を含む極性基である。−COOR
4基を含む極性基は、例えば、−COOH基、−COOR基、−CH(COOH)CH
2COOH基、−CH(COOR)CH
2COOH基、下記式(X−1)で表される基又は下記式(X−2)で表される基であってよい。−COOR基中のRは、1価の炭化水素基を表す。該炭化水素基は、例えば直鎖又は分岐のアルキル基であってよい。該炭化水素基の炭素数は、1〜12、1〜8又は1〜2であってよい。
式(A)で表される化合物の含有量は、冷凍機油全量基準で、0.01質量%以上、0.02質量%以上又は0.05質量%以上であってよく、1.0質量%以下、0.5質量%以下又は0.2質量%以下であってよい。式(A)で表される化合物の含有量は、冷凍機油全量基準で、0.01〜1.0質量%、0.01〜0.5質量%、0.01〜0.2質量%、0.02〜1.0質量%、0.02〜0.5質量%、0.02〜0.2質量%、0.05〜1.0質量%、0.05〜0.5質量%又は0.05〜0.2質量%であってよい。
冷凍機油は、式(A)で表される化合物以外の添加剤を更に含有していてもよい。式(A)で表される化合物以外の添加剤としては、例えば、酸捕捉剤、酸化防止剤、極圧剤、油性剤、消泡剤、金属不活性化剤、耐摩耗剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤などが挙げられる。これらの添加剤の含有量は、冷凍機油全量基準で、10質量%以下又は5質量%以下であってよい。
冷凍機油中のリンの含有量は、冷凍機油全量基準で、20質量ppm以上、50質量ppm以上又は80質量ppm以上であってよく、1000質量ppm以下、500質量ppm以下又は200質量ppm以下であってよい。冷凍機油中のリンの含有量は、冷凍機油全量基準で、20〜1000質量ppm、20〜500質量ppm、20〜200質量ppm、50〜1000質量ppm、50〜500質量ppm、50〜200質量ppm、80〜1000質量ppm、80〜500質量ppm又は80〜200質量ppmであってよい。なお、「リンの含有量」とは、ICP元素分析法によって測定される含有量を意味する。
冷凍機油の40℃における動粘度は、好ましくは3mm2/s以上、より好ましくは4mm2/s以上、更に好ましくは5mm2/s以上である。冷凍機油の40℃における動粘度は、好ましくは500mm2/s以下、より好ましくは400mm2/s以下、更に好ましくは300mm2/s以下である。
冷凍機油の100℃における動粘度は、好ましくは1mm2/s以上、より好ましくは2mm2/s以上である。冷凍機油の100℃における動粘度は、好ましくは100mm2/s以下、より好ましくは50mm2/s以下である。
冷凍機油の流動点は、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下である。本発明における流動点は、JIS K2269−1987に準拠して測定された流動点を意味する。
冷凍機油の体積抵抗率は、好ましくは1.0×109Ω・m以上、より好ましくは1.0×1010Ω・m以上、更に好ましくは1.0×1011Ω・m以上である。本発明における体積抵抗率は、JIS C2101:1999に準拠して測定した25℃での体積抵抗率を意味する。
冷凍機油の水分含有量は、冷凍機油全量基準で、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。
冷凍機油の酸価は、好ましくは1.0mgKOH/g以下、より好ましくは0.1mgKOH/g以下である。本発明における酸価は、JIS K2501:2003に準拠して測定された酸価を意味する。
冷凍機油の灰分は、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下である。本発明における灰分は、JIS K2272:1998に準拠して測定された灰分を意味する。
本実施形態に係る冷凍機油は、通常、冷凍機において、冷媒と混合された冷凍機用作動流体組成物の状態で存在している。すなわち、本実施形態に係る冷凍機用作動流体組成物は、上記の冷凍機油と冷媒とを含有する。冷凍機用作動流体組成物における冷凍機油の含有量は、冷媒100質量部に対して、好ましくは1〜500質量部、より好ましくは2〜400質量部である。
冷媒としては、飽和フッ化炭化水素冷媒、不飽和フッ化炭化水素冷媒、炭化水素冷媒、パーフルオロエーテル類等の含フッ素エーテル系冷媒、ビス(トリフルオロメチル)サルファイド冷媒、3フッ化ヨウ化メタン冷媒、及び、アンモニア、二酸化炭素等の自然系冷媒が例示される。
飽和フッ化炭化水素冷媒は、好ましくは炭素数1〜3、より好ましくは1〜2の飽和フッ化炭化水素である。飽和フッ化炭化水素冷媒としては、具体的には、ジフルオロメタン(R32)、トリフルオロメタン(R23)、ペンタフルオロエタン(R125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(R134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(R143a)、1,1−ジフルオロエタン(R152a)、フルオロエタン(R161)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(R227ea)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(R236ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(R236fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(R245fa)、および1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(R365mfc)、又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
飽和フッ化炭化水素冷媒は、上記の中から用途や要求性能に応じて適宜選択される。飽和フッ化炭化水素冷媒は、例えばR32単独;R23単独;R134a単独;R125単独;R134a/R32=60〜80質量%/40〜20質量%の混合物;R32/R125=40〜70質量%/60〜30質量%の混合物;R125/R143a=40〜60質量%/60〜40質量%の混合物;R134a/R32/R125=60質量%/30質量%/10質量%の混合物;R134a/R32/R125=40〜70質量%/15〜35質量%/5〜40質量%の混合物;R125/R134a/R143a=35〜55質量%/1〜15質量%/40〜60質量%の混合物などである。飽和フッ化炭化水素冷媒は、さらに具体的には、R134a/R32=70/30質量%の混合物;R32/R125=60/40質量%の混合物;R32/R125=50/50質量%の混合物(R410A);R32/R125=45/55質量%の混合物(R410B);R125/R143a=50/50質量%の混合物(R507C);R32/R125/R134a=30/10/60質量%の混合物;R32/R125/R134a=23/25/52質量%の混合物(R407C);R32/R125/R134a=25/15/60質量%の混合物(R407E);R125/R134a/R143a=44/4/52質量%の混合物(R404A)などであってよい。
不飽和フッ化炭化水素(HFO)冷媒は、好ましくは炭素数2〜3の不飽和フッ化炭化水素、より好ましくはフルオロプロペン、更に好ましくはフッ素数が3〜5のフルオロプロペンである。不飽和フッ化炭化水素冷媒は、好ましくは、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ye)、及び3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)のいずれか1種又は2種以上の混合物である。不飽和フッ化炭化水素冷媒は、冷媒物性の観点からは、好ましくは、HFO−1225ye、HFO−1234ze及びHFO−1234yfから選ばれる1種又は2種以上である。不飽和フッ化炭化水素冷媒は、フルオロエチレンであってもよく、好ましくは1,1,2,3−トリフルオロエチレンである。
炭化水素冷媒は、好ましくは炭素数1〜5の炭化水素、より好ましくは炭素数2〜4の炭化水素である。炭化水素としては、具体的には例えば、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン(R290)、シクロプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、メチルシクロプロパン、2−メチルブタン、ノルマルペンタン又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。炭化水素冷媒は、これらの中でも好ましくは、25℃、1気圧で気体の炭化水素冷媒であり、より好ましくは、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、2−メチルブタン又はこれらの混合物である。
本実施形態に係る冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物は、往復動式や回転式の密閉型圧縮機を有するエアコン、冷蔵庫、開放型又は密閉型のカーエアコン、除湿機、給湯器、冷凍庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラント等の冷凍機、遠心式の圧縮機を有する冷凍機等に好適に用いられる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例においては、以下に示す基油及び添加剤を用いて表1に記載の組成(冷凍機油全量基準での質量%)を有する冷凍機油を調製した。
(基油)
基油:ペンタエリスリト−ルと、2−メチルプロパン酸/3,5,5−トリメチルヘキサン酸の混合脂肪酸(質量比:35/65)とのポリオ−ルエステル(40℃における動粘度:67.2mm
2/s、粘度指数:84)
(添加剤)
A1:下記式(A−1)で表される化合物
a1:トリクレジルホスフェート
実施例及び比較例の各冷凍機油について、以下に示す手順で耐焼付き性を評価した。結果を表1に示す。
(耐焼付き性)
FALEX Pin/Vee−Block試験を実施した。回転数:290rpm、温度:52±8℃、油量:120mL、空気雰囲気の条件下で、300lbfの荷重の下で慣らし運転を5分間行い、次いで、荷重を加えていき、焼付きが発生した時点での荷重を焼付き荷重とした。なお、試験片として、ASTM標準片を用いた。