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JP2017212090A - 蓄電デバイス用バインダー組成物、蓄電デバイス用スラリー、蓄電デバイス用セパレータ、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイス - Google Patents

蓄電デバイス用バインダー組成物、蓄電デバイス用スラリー、蓄電デバイス用セパレータ、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイス Download PDF

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JP2017212090A
JP2017212090A JP2016103927A JP2016103927A JP2017212090A JP 2017212090 A JP2017212090 A JP 2017212090A JP 2016103927 A JP2016103927 A JP 2016103927A JP 2016103927 A JP2016103927 A JP 2016103927A JP 2017212090 A JP2017212090 A JP 2017212090A
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JP
Japan
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storage device
polymer
mass
electricity storage
repeating unit
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Application number
JP2016103927A
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English (en)
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政宏 上田
Masahiro Ueda
政宏 上田
悠太 浅井
Yuta Asai
悠太 浅井
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JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】密着性及び安全性が高く充放電特性に優れる蓄電デバイスを与える、蓄電デバイス電極用バインダー組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る蓄電デバイス電極用バインダー組成物は、重合平均分子量(Mw)10000以上の重合体(A)と、脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位を含有する重合平均分子量(Mw)10000未満の樹脂(B)、とを含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電デバイス用バインダー組成物、蓄電デバイス用スラリー、蓄電デバイス用セパレータ、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイスに関する。
近年、電子機器の駆動用電源として高電圧、高エネルギー密度を有する蓄電デバイスが要求されている。特にリチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタは、高電圧、高エネルギー密度を有する蓄電デバイスとして期待されている。
このような高電圧・高エネルギー密度を有する蓄電デバイスは、さらに小型化も要求されている。蓄電デバイスの小型化を達成するためには、正極や負極等の発電要素の薄膜化だけではなく、正極と負極を隔離するセパレータ等の薄膜化も必須となる。しかしながら、蓄電デバイスの小型化によって正極と負極の間隔が狭まると短絡が発生しやすくなるという問題が生じ得る。
短絡や過充電などの異常時には、蓄電デバイスの高電圧・高エネルギー密度化に伴い従来以上に過剰な発熱に至る危険性が大きい。そのため蓄電デバイスには異常時でも安全を確保するための手段が数種施されており、その中の一つにセパレータのシャットダウン機能がある。シャットダウン機能とは、何らかの要因で電池の温度が上昇した際に、セパレータの孔が閉塞し、イオンの移動を阻止することにより電池反応を停止させ、過剰な発熱を抑制する機能である。特にリチウムイオンのような金属イオンを利用する蓄電デバイス用セパレータとしてポリエチレン多孔膜が多用されている理由の一つに、このシャットダウン機能に優れている点が挙げられる。しかしながら、蓄電デバイスの高電圧・高エネルギー密度化に伴い、異常発熱時の発熱量が大きくなり、急激に高温に至る場合やシャットダウン後の放熱に時間を要し長時間高温状態が維持される場合がある。そのような場合には、セパレータは収縮又は破膜して正負極間が短絡し、さらなる発熱を引き起こす危険性がある。
このような現象を避けるため、例えば特許文献1や特許文献2では、重合体と無機粒子を溶融混練して多孔質セパレータ基材上に微多孔膜を形成することで、電池特性を改良する技術が検討されている。一方、特許文献3では、多孔性保護膜を正極及び負極の少なくとも一方の表面に形成することで、電池特性を改良する技術が検討されている。また、特許文献4では、重合体と非導電性粒子を含む多孔膜を有機セパレータ基材上に積層させることで、電池特性を改良する技術が検討されている。
また、最近になって、蓄電デバイスの高出力化及び高エネルギー密度化の要求を達成する観点から、リチウム吸蔵量の大きい材料を利用する検討が進められている。例えば、より結晶性の高い黒鉛(グラファイト)を活物質として利用することでリチウム吸蔵量を向上させ、炭素材料の理論吸蔵量(約370mAh/g)に近い容量を実現するアプローチが進められている。一方、特許文献5には、リチウムの理論吸蔵量が最大で約4200mAh/gであるケイ素材料を活物質として活用するアプローチが開示されている。いずれにしても、このようなリチウム吸蔵量が大きい活物質を活用することで、蓄電デバイスの容量が大幅に向上すると考えられている。
しかしながら、このようなリチウム吸蔵量の大きい材料を利用した活物質は、リチウムの吸蔵・放出により大きな体積変化を伴う。このため、従来使用されている電極用バインダーを、このようなリチウム吸蔵量の大きい材料に適用すると、密着性を維持することができずに活物質が剥離するなどし、充放電に伴って顕著な容量低下が発生する。
国際公開第2006/025323号 特開2008−214425号公報 特開2009−54455号公報 国際公開第2010/074202号 特開2004−185810号公報
上述の特許文献1〜4に記載されているような無機粒子を用いた従来技術によれば、セパレータや電極表面に保護膜を形成することにより充放電に伴って発生するデンドライトに起因する短絡を抑制できるものの、異常発熱時にセパレータの孔が閉塞してシャットダウン機能を発現する際、セパレータが熱収縮を引き起こし、その収縮した箇所で正極と負極が短絡してしまい、シャットダウン機能が十分に発現しない危険性があった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、セパレータの熱収縮を抑制すると共に、蓄電デバイスの内部抵抗の上昇を抑制できる保護膜をセパレータや電極表面に形成するための蓄電デバイス用組成物、及び該組成物を含有する蓄電デバイス用スラリーを提供するものである。
一方、上記特許文献5に記載されているような電極用バインダーは、リチウム吸蔵量の大きい材料を利用した活物質を実用化するにあたり密着性が十分でなく、充放電を繰り返すことにより電極特性が劣化するため、実用化に必要な耐久性が十分に得られないという課題があった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、密着性及び充放電特性に優れる蓄電デバイス電極を作製するための蓄電デバイス用バインダー組成物、及び該組成物を含有する蓄電デバイス用スラリーを提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る蓄電デバイス用バインダー組成物の一態様は、
重合平均分子量(Mw)10000以上の重合体(A)と、
脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位を含有し重合平均分子量(Mw)10000未満の樹脂(B) と、
を含有することを特徴とする。
[適用例2]
適用例1の蓄電デバイス用バインダー組成物において、
前記重合体(A)の含有量をMa質量部、前記樹脂(B)の含有量をMb質量部としたときに、Mb/Maの値が0.1〜20の範囲であることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2の蓄電デバイス用バインダー組成物において、
前記重合体(A)が、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位と、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位と、を含有することができる。
[適用例4]
適用例3の蓄電デバイス用バインダー組成物において、
前記重合体(A)が、さらに共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位と、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位と、を含有することができる。
[適用例5]
適用例3または適用例4の蓄電デバイス用バインダー組成物において、
前記不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位が脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位を含み、前記重合体(A)の全繰り返し単位を100質量%とした際に、脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位が0.1〜20質量%であることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例の蓄電デバイス用バインダー組成物において、
前記重合体(A)が、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位を含む含フッ素系重合体であることができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか一例の蓄電デバイス用バインダー組成物において、
前記樹脂(B)が、脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位を50質量%以上であることができる。
[適用例8]
本発明に係る蓄電デバイス用スラリーの一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例の蓄電デバイス用バインダー組成物と、活物質と、を含有することを特徴とする。
[適用例9]
本発明に係る蓄電デバイス用電極の一態様は、
集電体と、前記集電体の表面上に適用例8の蓄電デバイス用スラリーが塗布及び乾燥
されて形成された層と、を備えることを特徴とする。
[適用例10]
本発明に係る蓄電デバイス用スラリーの一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例の蓄電デバイス用バインダー組成物と、フィラーと、を含有すること特徴とする。
[適用例11]
本発明に係る蓄電デバイス用セパレータの一態様は、
適用例10の蓄電デバイス用スラリーを塗布及び乾燥させて形成され
た層を表面に備えることを特徴とする。
[適用例12]
本発明に係る蓄電デバイスの一態様は、
適用例9の蓄電デバイス用電極および適用例11の蓄電デバイス用セパレータの少なくとも一方を備えることを特徴とする。
本発明に係る蓄電デバイス用組成物は、充放電に伴って発生するデンドライトに起因する短絡を抑制するための保護膜を形成するための材料として使用することもできるし、活物質同士の結合能力及び活物質と集電体との密着能力を向上させた蓄電デバイス電極を作製するための材料として使用することもできる。本発明に係る蓄電デバイス用組成物を用いてセパレータまたは電極表面に保護膜を形成することにより、セパレータの熱収縮を効果的に抑制し、電解液の浸透性及び保液性に優れると共に、内部抵抗の上昇を抑制することができる。これにより、充放電の繰り返しまたは過充電によっても蓄電デバイスの内部抵抗が上昇する程度が少なくなるので、充放電特性に優れた蓄電デバイスが得られる。
また、本発明に係る蓄電デバイス用組成物を用いて活物質層を形成することにより、密着性及び充放電特性に優れる蓄電デバイス電極を作製することができる。
第1の実施形態に係る蓄電デバイスの断面を示した模式図である。 第2の実施形態に係る蓄電デバイスの断面を示した模式図である。 第3の実施形態に係る蓄電デバイスの断面を示した模式図である。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜」及び「メタクリル酸〜」の双方を包括する概念である。また、「〜(メタ)アクリル酸エステル」とは、「〜アクリル酸エステル」および「〜メタクリル酸エステル」の双方を包括する概念である。
1.蓄電デバイス用バインダー組成物
本実施形態に係る蓄電デバイス用バインダー組成物は、重合平均分子量(Mw)10000以上の重合体(A)(以下、「重合体(A)」ともいう)と、脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位が50質量%以上であり重合平均分子量(Mw)10000未満の樹脂(B)(以下、「樹脂(B)」ともいう)と、を含有することを特徴とする。本実施形態に係る蓄電デバイス用バインダー組成物は、充放電に伴って発生するデンドライトに起因する短絡を抑制するための保護膜を形成するための材料として使用することもできるし、活物質同士の結合能力及び活物質と集電体との密着能力並びに粉落ち耐性を向上させた蓄電デバイス電極(活物質層)を作製するための材料として使用することもできる。以下、本実施形態に係る蓄電デバイス用バインダー組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
1.1.重合平均分子量(Mw)10000以上の重合体(A)
本実施形態に係る蓄電デバイス用バインダー組成物は、重合平均分子量(Mw)10000以上の重合体(A)を含有する。重合体(A)は、液状媒体に溶解した状態でも分散されたラテックス状であってもよいが、液状媒体中に重合体(A)の粒子が分散されたラテックス状であることが好ましい。本実施形態に係る蓄電デバイス用バインダー組成物がラテックス状であると、活物質と混合して作成される蓄電デバイス用スラリーの安定性が良好となるだけでなく、塗布性も良好となるため好ましい。
重合体(A)としては特に限定されないが、具体的にはアクリル系重合体、共役ジエン系重合体、含フッ素系重合体、ポリアミック酸及びそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種などが挙げられる。これらの中でも、アクリル系重合体、共役ジエン系重合体、含フッ素系重合体が好ましい。上記例示した重合体は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
重合体(A)は、単量体の重合方法を適宜調整して作製してもよい。
1.1.1.1.脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位(a1)
重合体(A)は、脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位(a1)を含有してもよい。脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位(a1)を使用すると、高い疎水性を有しているため、疎水性の高いセパレータや電極との接着性が良好となるため好ましい。
脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位(a1)としては特に限定されないが、具体的には(メタ)アクリル酸のシクロアルキルエステル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸のシクロアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
重合体(A)において、繰り返し単位(a1)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に0.1〜99質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましい。重合体(A)における繰り返し単位(a1)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.1.1.2.ニトリル基を有する繰り返し単位(a2)
重合体(A)は、ニトリル基を有する繰り返し単位(a2)を含有してもよい。ニトリル基を有する繰り返し単位(a2)を使用すると、高い疎水性を有しているため、疎水性の高いセパレータや電極との接着性が良好となるため好ましい。
ニトリル基を有する繰り返し単位(a2)としては特に限定されないが、具体的にはα,β−不飽和ニトリル化合物等が挙げられる。
α,β−不飽和ニトリル化合物の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられ、これらから選択される1種以上を使用することができる。これらのうち、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルよりなる群から選択される1種以上が好ましく、アクリロニトリルが特に好ましい。
重合体(A)において、繰り返し単位(a2)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に1〜50質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。重合体(A)における繰り返し単位(a2)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.1.1.3.不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(a3)
重合体(A)は、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(a3)を含有してもよい。不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(a3)を使用すると、電解液との親和性が良好となり、蓄電デバイス中で重合体粒子が電気抵抗成分となることによる内部抵抗の上昇を抑制するとともに、電解液を過大に吸収することによる結着性の低下を防ぐことができる。
不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(a3)としては特に限定されないが、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の、モノカルボン酸またはジカルボン酸を挙げることができ、これらから選択される1種以上を使用することができる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸から選択される1種以上を使用することが好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
重合体(A)において、繰り返し単位(a3)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に1〜99質量部であることが好ましく、10〜90質量部であることがより好ましい。重合体(A)における繰り返し単位(a3)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.1.1.4.フッ素原子を含有する繰り返し単位(a4)
重合体(A)は、フッ素原子を含有する繰り返し単位(a4)を含有してもよい。フッ素原子を含有する繰り返し単位(a4)を使用すると、耐酸化性を劣化させることなく、密着性及び柔軟性を発現することが可能となる。
フッ素原子を含有する繰り返し単位(a4)としては特に限定されないが、具体的にはフッ素原子を有するオレフィン化合物、フッ素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。フッ素原子を有するオレフィン化合物としては、例えばフッ化ビニリデン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。フッ素原子を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸3[4[1−トリフルオロメチル−2,2−ビス[ビス(トリフルオロメチル)フルオロメチル]エチニルオキシ]ベンゾオキシ]2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
重合体(A)において、繰り返し単位(a4)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に1〜90質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。重合体(A)における繰り返し単位(a4)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
<含フッ素系重合体粒子の態様>
含フッ素系重合体粒子の具体的態様としては、(1)フッ素原子を有する単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体粒子(A1)を一段階重合で合成して得られる共重合体粒子、(2)フッ素原子を有する単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体Xと不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位を有する重合体Yとを有する複合粒子、の二態様が挙げられる。これらのうち、耐酸化性に優れる観点から、複合粒子であることが好ましく、該複合粒子がポリマーアロイ粒子であることがより好ましい。製造方法としては、特許公報2014−081996号等に記載の方法により、得ることができる。
1.1.1.5.その他の不飽和カルボン酸エステル単量体(a5)
重合体(A)は、その他の不飽和カルボン酸エステル単量体(a5)を含有してもよい。所望の性能を得る目的で、適宜その他の不飽和単量体(a5)を使用することが可能となる。例えば、電解液との親和性が良好となり、蓄電デバイス中でバインダーが電気抵抗成分となることによる内部抵抗の上昇を抑制すると共に、電解液を過大に吸収することによる結着性の低下を防ぐことができる
その他の不飽和カルボン酸エステル単量体(a5)としては特に限定されないが、例えば不飽和カルボン酸エステル(但し、上記重合性不飽和基を二つ以上有する化合物および上記フッ素原子を有する単量体に該当するものを除く。)、芳香族ビニル化合物(但し、上記重合性不飽和基を二つ以上有する化合物に該当するものを除く。)及びその他の単量体が挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸エステルを好ましく使用することができ、例えば(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、炭素数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル等が挙げられる。上記例示した不飽和カルボン酸エステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのうち、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルであることが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルから選択される1種以上を使用することがより好ましい。
その他の単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸のアルキルアミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;エチレン性不飽和ジカルボン酸の酸無水物;モノアルキルエステル;モノアミド;アミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、メチルアミノプロピルメタクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸のアミノアルキルアミド;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スルホブチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−アクリルアミドプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などのスルホン酸基を有する化合物等を挙げることができ、これらから選択される1種以上を使用することができる。
重合体(A)において、繰り返し単位(a5)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。重合体(A)における繰り返し単位(a5)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.1.1.6.共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(a6)
重合体(A)は、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(a6)を含有してもよい。共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(a6)を含有すると、適度な柔軟性を付与することができ、重合体粒子同士の結着性が良好となるため好ましい。
共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(a6)としては特に限定されないが、具体的には共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物等を挙げることができる。
共役ジエン化合物としては特に限定されないが、具体的には1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。これらの中でも、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。芳香族ビニル化合物としては、上記のうち特にスチレンであることが好ましい。
重合体(A)において、繰り返し単位(a6)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。重合体(A)における繰り返し単位(a6)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.1.1.7.芳香族多官能ビニル化合物(a7)
重合体(A)は、芳香族多官能ビニル化合物(a7)を含有してもよい。芳香族多官能ビニル化合物(a7)を含有すると、適度な柔軟性を付与することができ、重合体粒子同士の結着性が良好となるため好ましい。
芳香族多官能ビニル化合物(a7)としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物が挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらのうち、ジビニルベンゼンであることが好ましい。上記例示した芳香族多官能ビニル化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
重合体(A)において、繰り返し単位(a7)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。重合体(A)における繰り返し単位(a7)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.1.1.8.分子量調整剤(a8)
分子量調整剤(a8)としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物;ターピノレン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノールなどのフェノール化合物;アリルアルコールなどのアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素化合物;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミドなどのビニルエーテル化合物などのほか、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらのうち、ドデシルメルカプタンであることが好ましい。上記例示した分子量調整剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
重合体(A)において、繰り返し単位(a8)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。重合体(A)における繰り返し単位(a8)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.1.2.重合体(A)の数平均粒子径(Da1)
重合体(A)が粒子である場合、重合体粒子の数平均粒子径(Da1)は、20〜450nmの範囲にあることが好ましく、30〜420nmの範囲にあることがより好ましく、50〜400nmの範囲にあることが特に好ましい。
重合体粒子の数平均粒子径(Da1)が前記範囲にあると、蓄電デバイス用組成物の安定性が向上すると共に、電極やセパレータに保護膜が形成されても内部抵抗の上昇(抵抗上昇率)を低く抑えることができる。
重合体粒子の数平均粒子径(Da1)とは、光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、小さい粒子から粒子を累積したときの粒子数の累積度数が50%となる粒子径(D50)の値である。このような粒度分布測定装置としては、例えばコールターLS230、LS100、LS13 320(以上、Beckman Coulter.Inc製)や、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)等を挙げることができる。これらの粒度分布測定装置は、重合体粒子の一次粒子だけを評価対象とするものではなく、一次粒子が凝集して形成された二次粒子をも評価対象とすることができる。従って、これらの粒度分布測定装置によって測定された粒度分布は、組成物中に含まれる重合体粒子の分散状態の指標とすることができる。
1.1.3.ポリアミック酸及びそのイミド化重合体
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物に含まれる重合体(A)は、ポリアミック酸及びそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有してもよい。ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。また、ポリアミック酸の部分イミド化物は、上記ポリアミック酸のアミック酸構造の一部を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物やジアミンとしては特に限定されないが、具体的には特開2010−97188号公報等に記載のテトラカルボン酸二無水物やジアミンを用いることができる。また、ポリアミック酸やそのイミド化重合体は、特許第5099394号公報に記載されている方法等により合成することができる。
1.1.4.重合体(A)の分子量
重合体(A)の重合平均分子量(Mw)10000以上が好ましく、100000以上が更に好ましく、5000000以上が特に好ましい。重合体(A)の分子量が前記範囲であると、充放電特性の良好な電極との密着性を含有する。
1.1.5.重合体(A)の吸熱特性
重合体(A)は、JIS K7121に準拠して示差走査熱量測定(DSC)を行ったときに、−50〜+80℃の温度範囲における吸熱ピークが1つのみ観測されることが好ましい。重合体(A)の吸熱挙動は、重合体粒子の形状安定性と相関すると推測される。このため、重合体(A)の吸熱ピークが前記温度範囲であれば、前記重合体の形状安定性が良好となり、形成された保護膜が十分な強度を有することができると推測できる。
1.1.6.重合体(A)の製造方法
重合体(A)が含フッ素系重合体粒子である場合、その製造、すなわち、フッ素原子を有する単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体を一段階重合で合成する場合の該重合、重合体Xの重合、ならびに重合体Xの存在下における重合体Yの重合は、それぞれ公知の重合開始剤、分子量調節剤、乳化剤(界面活性剤)等の存在下で行うことができる。
また、重合体(A)がジエン系重合体粒子である場合、一段重合で作製してもよく、二段重合、さらに多段重合で作製してもよく、それぞれの重合において公知の重合開始剤、分子量調節剤、乳化剤(界面活性剤)等の存在下で行うことができる。
1.2.脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位が50質量%以上であり重合平均分子量(Mw)10000未満の樹脂(B)
本実施形態に係る蓄電デバイス用バインダー組成物は、脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位が50質量%以上であり重合平均分子量(Mw)10000未満の樹脂(B)を含有する。樹脂(B)は疎水性が高いことから、疎水性の材料であるセパレータとの密着性向上に寄与すると推測される。
このような樹脂(B)は、脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位が50質量%以上であり重合平均分子量(Mw)が10000未満であれば特に限定されない。樹脂(B)としては、例えば、脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位のみからなる樹脂であっても、それ以外の繰り返し単位を含有していてもよい。
脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位は特に限定されないが、具体的にはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、芳香族炭化水素基を有する繰り返し単位を重合後に水添することによって得られる繰り返し単位でもよい。そのような繰り返し単位としては特に限定されないが、具体的には水添インデン、水添ジシクロペンタジエン、水添ビニルトルエン、水添スチレン、水添メチルスチレン等が挙げられる。これら繰り返し単位は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
樹脂(B)は、脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位を50質量%以上有することが好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位が前記範囲であると、樹脂(B)の疎水性が高くなり、疎水性の材料であるセパレータとの密着性向上に寄与しやすくなる。
樹脂(B)としては、市販の樹脂を用いることができる。例えば、AM−1000−NT、M−100、M−135(以上、荒川化学社製)、HB125(東燃ゼネラル社製)、Quintone1500(日本ゼオン社製)等が挙げられる。この中でも、密着性向上の観点から、AM−1000−NT、M−100、HB125が好ましい。
樹脂(B)の重合平均分子量(Mw)としては、10000未満であることが好ましく、9000以下がより好ましく、8000以下が更に好ましい。樹脂(B)の重合平均分子量(Mw)が前記範囲にあると、重合体(A)との相溶性が良好となりやすい。また、樹脂(B)の重合平均分子量(Mw)の下限としては1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上が更に好ましい。樹脂(B)の重合平均分子量(Mw)が前記範囲にあると、樹脂(B)が電解液への溶出が抑えられ、充放電特性が良好となりやすい。
本実施形態に係る蓄電デバイス用バインダー組成物を用いてセパレータ表面に保護膜もしくは電極を、形成もしくは積層する場合、前記重合体(A)の含有量をMa質量部、前記樹脂(B)の含有量をMb質量部とすると、Mb/Ma=0.1〜20の範囲であることが好ましく、0.2〜13の範囲であることがより好ましい。Mb/Maが前記範囲であると、重合体(A)と樹脂(B)が適度に相溶した構造体を形成することで、重合体(A)が疎水的な表面特性をもつセパレータと強固に密着すると推測できる。その結果、蓄電デバイスの異常発熱時にセパレータの孔が閉塞してシャットダウン機能を発現する際、セパレータが熱収縮することをより効果的に抑制することができると発明者は推測する。
本実施形態に係る蓄電デバイス用バインダー組成物を用いてセパレータ表面に保護膜もしくは電極を形成する場合、樹脂(B)の含有割合は、重合体(A)、後述する水溶性ポリマー(D)及びフィラー(E)の合計100質量部に対して、0.5〜15質量部であることが好ましく、0.9〜10質量部であることがより好ましい。前記範囲であると、樹脂(B)とセパレータ表面の密着性が向上するとともに、重合体(A)と樹脂(B)の相互作用により、密着性がさらに向上する。
1.3.液状媒体(C)
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、さらに液状媒体(C)を含有する。液状媒体(C)としては、水を含有する水性媒体であることが好ましい。この水性媒体は、水以外に少量の非水媒体を含有することができる。このような非水媒体としては、例えばアミド化合物、炭化水素、アルコール、ケトン、エステル、アミン化合物、ラクトン、スルホキシド、スルホン化合物等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。このような非水媒体の含有割合は、水性媒体の全量に対して、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。なお、水性媒体は、非水媒体を含有せずに水のみからなるものであることが最も好ましい。
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、液状媒体(C)として水性媒体を使用し、好ましくは水以外の非水媒体を含有しないことにより、環境に対する悪影響を与える程度が低く、取扱作業者に対する安全性も高くなる。
1.4.その他の成分
1.4.1.水溶性ポリマー(D)
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、その塗工性や密着性を改善する観点から、水溶性ポリマー(D)を含有してもよい。水溶性ポリマー(D)としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース化合物;上記セルロース化合物のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸、変性ポリ(メタ)アクリル酸等のポリカルボン酸;上記ポリカルボン酸のアルカリ金属塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系(共)重合体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸等の不飽和カルボン酸とビニルエステルとの共重合体の鹸化物;無水マレイン酸とイソブチレンとの交互共重合体;上記交互共重合体のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩等の水溶性ポリマーを挙げることができる。これらの中でも特に好ましい水溶性ポリマー(D)としては、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、無水マレイン酸とイソブチレンとの交互共重合体のアルカリ金属塩等である。
水溶性ポリマー(D)の市販品としては、例えばCMC1120、CMC1150、CMC2200、CMC2280、CMC2450(以上、株式会社ダイセル製)、メトローズSHタイプ、メトローズSEタイプ(以上、信越化学工業株式会社製)等のカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩を挙げることができる。また、無水マレイン酸とイソブチレンとの交互共重合体の市販品としては、イソバン06、イソバン10、イソバン18、イソバン110(以上、株式会社クラレ製)等を挙げることができる。
1.4.2.界面活性剤
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、分散性及び分散安定性を改善する観点から界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、「1.1.1.5.重合体(A)の製造方法」と同様に、公知のものを使用することができる。
2.蓄電デバイス用スラリー
本実施形態に係る蓄電デバイス用スラリーは、上述の蓄電デバイス用バインダー組成物を含有するものである。そして、上述の蓄電デバイス用バインダー組成物は、充放電に伴って発生するデンドライトに起因する短絡を抑制するための保護膜を形成するための材料として使用することもできるし、活物質同士の結合能力及び活物質と集電体との密着能力並びに粉落ち耐性を向上させた蓄電デバイス電極(活物質層)を作製するための材料として使用することもできる。そのため、保護膜を形成するための蓄電デバイス用スラリー(以下、「保護膜形成用スラリー」ともいう。)と、蓄電デバイス電極の活物質層を形成するための蓄電デバイス用スラリー(以下、「蓄電デバイス電極用スラリー」ともいう。)とに分けて説明する。
2.1.保護膜形成用スラリー
本明細書における「保護膜形成用スラリー」とは、これを電極またはセパレータの表面もしくはその両方に塗布した後、乾燥させて、電極またはセパレータの表面もしくはその両方に保護膜を形成するために用いられる分散液のことをいう。本実施形態に係る保護膜形成用スラリーは、上述した蓄電デバイス用バインダー組成物のみから構成されていてもよく、フィラー(E)をさらに含有していてもよい。以下、本実施形態に係る保護膜形成用スラリーに含まれる各成分について詳細に説明する。なお、蓄電デバイス用バインダー組成物については、上述した通りであるので説明を省略する。
2.1.1.フィラー(E)
本実施形態に係る保護膜形成用スラリーは、フィラー(E)を含有することにより、形成される保護膜のタフネスを向上させることができる。フィラーとしては、無機フィラー、有機フィラー等を用いることができるが、無機フィラーが好適に使用される。無機フィラーとしては、シリカ、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、及び酸化マグネシウム(マグネシア)よりなる群から選択される少なくとも1種の粒子を用いることが好ましい。これらの中でも、保護膜のタフネスをより向上させる観点から、酸化チタン、酸化アルミニウムが好ましい。また、酸化チタンとしてはルチル型の酸化チタンがより好ましい。
フィラー(E)の平均粒子径は、1μm以下であることが好ましく、0.1〜0.8μmの範囲内であることがより好ましい。なお、フィラー(E)の平均粒子径は、多孔質膜であるセパレータの平均孔径よりも大きいことが好ましい。これにより、セパレータへのダメージを軽減し、フィラー(E)がセパレータの微多孔に詰まることを防ぐことができる。
本実施形態に係る保護膜形成用スラリーは、フィラー(E)100質量部に対して、上述の蓄電デバイス用組成物が、固形分換算で0.1〜20質量部含有されていることが好ましく、1〜10質量部含有されていることがより好ましい。蓄電デバイス用組成物の含有割合が固形分換算で0.1〜10質量部であることにより、形成される保護膜のタフネスとリチウムイオンの透過性とのバランスが良好となり、その結果、得られる蓄電デバイスの抵抗上昇率をより低くすることができる。
2.1.2.その他の成分
本実施形態に係る保護膜形成用スラリーは、上述の蓄電デバイス用組成物の「1.4.その他の成分」に記載されている材料、添加量を必要に応じて用いることができる。
2.2.蓄電デバイス電極用スラリー
本明細書における「蓄電デバイス電極用スラリー」とは、これを集電体の表面に塗布した後、乾燥して、集電体表面上に活物質層を形成するために用いられる分散液のことをいう。本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、上述の蓄電デバイス用バインダー組成物と、活物質(F)とを含有する。以下、本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーに含まれる成分についてそれぞれ詳細に説明する。なお、蓄電デバイス用組成物については、上述した通りであるので説明を省略する。
2.2.1.活物質(F)
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーに使用される活物質(F)としては、例えば炭素材料、ケイ素材料、リチウム原子を含む酸化物、鉛化合物、錫化合物、砒素化合物、アンチモン化合物、アルミニウム化合物などを挙げることができる。
上記炭素材料としては、例えばアモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ピッチ系炭素繊維などが挙げられる。
上記ケイ素材料としては、例えばケイ素単体、ケイ素酸化物、ケイ素合金などを挙げることができるほか、例えばSiC、SiO(0<x≦3、0<y≦5)、Si、SiO、SiO(0<x≦2)で表記されるSi酸化物複合体(例えば特開2004−185810号公報や特開2005−259697号公報に記載されている材料など)、特開2004−185810号公報に記載されたケイ素材料を使用することができる。上記ケイ素酸化物としては、組成式SiO(0<x<2、好ましくは0.1≦x≦1)で表されるケイ素酸化物が好ましい。上記ケイ素合金としては、ケイ素と、チタン、ジルコニウム、ニッケル、銅、鉄及びモリブデンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属との合金が好ましい。これらの遷移金属のケイ素合金は、高い電子伝導度を有し、かつ高い強度を有することから好ましく用いられる。また、活物質がこれらの遷移金属を含むことにより、活物質の表面に存在する遷移金属が酸化されて表面に水酸基を有する酸化物となるため、バインダーとの結着力がより良好になる点でも好ましい。ケイ素合金としては、ケイ素−ニッケル合金またはケイ素−チタン合金を使用することがより好ましく、ケイ素−チタン合金を使用することが特に好ましい。ケイ素合金におけるケイ素の含有割合は、該合金中の金属元素の全部に対して10モル%以上とすることが好ましく、20〜70モル%とすることがより好ましい。なお、ケイ素材料は、単結晶、多結晶及び非晶質のいずれであってもよい。
上記リチウム原子を含む酸化物としては、例えばコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、三元系ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、LiFePO、LiCoPO、LiMnPO、Li0.90Ti0.05Nb0.05Fe0.30Co0.30Mn0.30POなどが挙げられる。
また、活物質層中には、以下に例示する活物質を含んでもよい。このような活物質としては、例えばポリアセン等の導電性高分子;A(但し、Aはアルカリ金属または遷移金属、Bはコバルト、ニッケル、アルミニウム、スズ、マンガン等の遷移金属から選択される少なくとも1種、Oは酸素原子を表し、X、Y及びZはそれぞれ1.10>X>0.05、4.00>Y>0.85、5.00>Z>1.5の範囲の数である。)で表される複合金属酸化物や、その他の金属酸化物等が例示される。
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、正極及び負極のいずれの蓄電デバイス電極を作製する際にも使用することができる。
正極を作製する場合には、上記例示した活物質の中でもリチウム原子を含む酸化物を使用することが好ましい。
負極を作製する場合には、上記例示した活物質の中でも炭素材料やケイ素材料を含有するものを使用することが好ましい。
活物質として炭素材料とケイ素材料とを併用する場合、ケイ素材料の使用量は、十分な結着性を維持する観点から、活物質100質量%に占めるケイ素材料の含有割合は、4〜40質量%であること好ましく、5〜35質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることが特に好ましい。ケイ素材料の使用量が前記範囲であると、リチウムの吸蔵に伴うケイ素材料の体積膨張に対する炭素材料の体積膨張が小さいため、これらの活物質を含有する活物質層の充放電に伴う体積変化を低減させることができ、集電体と活物質層との結着性をより向上させることができる。
活物質の形状としては、粒状であることが好ましい。活物質の平均粒子径としては、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
ここで、活物質の平均粒子径とは、レーザー回折法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、その粒度分布から算出される体積平均粒子径のことである。このようなレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えばHORIBA LA−300シリーズ、HORIBA LA−920シリーズ(以上、株式会社堀場製作所製)などを挙げることができる。この粒度分布測定装置は、活物質の一次粒子だけを評価対象とするものではなく、一次粒子が凝集して形成された二次粒子をも評価対象とする。従って、この粒度分布測定装置によって得られた平均粒子径は、蓄電デバイス電極用スラリー中に含まれる活物質の分散状態の指標とすることができる。なお、活物質の平均粒子径は、スラリーを遠心分離して活物質を沈降させた後、その上澄み液を除去し、沈降した活物質を上記の方法により測定することによっても測定することができる。
活物質(F)の使用割合は、活物質100質量部に対する重合体(A)の含有割合が、0.1〜25質量部となるような割合で使用することが好ましく、0.5〜15質量部となるような割合で使用することがより好ましい。このような使用割合とすることにより、密着性により優れ、しかも電極抵抗が小さく充放電特性により優れた電極を製造することができる。
3.蓄電デバイス電極
本実施形態に係る蓄電デバイス電極は、集電体と、前記集電体の表面上に上述の蓄電デバイス電極用スラリーが塗布、乾燥されて形成された層と、を備えるものである。かかる蓄電デバイス電極は、金属箔などの適宜の集電体の表面に、上述の蓄電デバイス電極用スラリーを塗布して塗膜を形成し、次いで該塗膜を乾燥することにより製造することができる。このようにして製造された蓄電デバイス電極は、集電体上に、上述の重合体(A)、樹脂(B)及び活物質、さらに必要に応じて添加した任意成分を含有する活物質層が結着されてなるものである。かかる蓄電デバイス電極は、重合体(A)と樹脂(B)とが適度に相溶することで、様々な表面特性をもつ基材と活物質層の密着性を向上させる。これにより、集電体およびセパレータと活物質層との密着性に優れるとともに、電気的特性の一つである充放電レート特性が良好となる。
集電体は、導電性材料からなるものであれば特に制限されない。リチウムイオン二次電池においては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの金属製の集電体が使用されるが、特に正極にアルミニウムを、負極に銅を用いた場合、上述の蓄電デバイス電極用スラリーの効果が最もよく現れる。ニッケル水素二次電池における集電体としては、パンチングメタル、エキスパンドメタル、金網、発泡金属、網状金属繊維焼結体、金属メッキ樹脂板などが使用される。集電体の形状及び厚さは特に制限されないが、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものとすることが好ましい。
蓄電デバイス電極用スラリーの集電体への塗布方法についても特に制限はない。塗布は、例えばドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビヤ法、エクストルージョン法、浸漬法、ハケ塗り法などの適宜の方法によることができる。蓄電デバイス電極用スラリーの塗布量も特に制限されないが、液状媒体を除去した後に形成される活物質層の厚さが、0.005〜5mmとなる量とすることが好ましく、0.01〜2mmとなる量とすることがより好ましい。
塗布後の塗膜からの乾燥方法(水および任意的に使用される非水媒体の除去方法)についても特に制限されず、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥;真空乾燥;(遠)赤外線、電子線などの照射による乾燥などによることができる。乾燥速度としては、応力集中によって活物質層に亀裂が入ったり、活物質層が集電体から剥離したりしない程度の速度範囲の中で、できるだけ早く液状媒体が除去できるように適宜に設定することができる。
さらに、乾燥後の活物質層をプレスすることにより、活物質層の密度を高めることが好ましい。プレス方法は、金型プレスやロールプレスなどの方法が挙げられる。プレス後の活物質層の密度としては、1.6〜2.4g/cmとすることが好ましく、1.7〜2.2g/cmとすることがより好ましい。
4.蓄電デバイス
以下、本発明に係る蓄電デバイスの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の一実施形態に係る蓄電デバイスは、正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に配置された保護膜と、電解液と、を備え、前記保護膜が上述の保護膜形成用スラリーを用いて作製されたものであることを特徴とする。以下、第1ないし第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
4.1.第1の実施形態
図1は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスの断面を示した模式図である。図1に示すように、蓄電デバイス1は、正極集電体12の表面に正極活物質層14を形成した正極10と、負極集電体22の表面に負極活物質層24を形成した負極20と、正極10と負極20との間に設けられた保護膜30と、正極10と負極20の間を満たす電解液40と、を備えたものである。なお、蓄電デバイス1では、正極10と負極20との間にセパレータが設けられていない。正極10と負極20とが固体電解質等で完全に固定されていれば、正極10と負極20とが接触して短絡することはないからである。
図1に示す正極10は、その長手方向に沿う一方の面において正極活物質層14が設けられておらず、正極集電体12が露出するように形成されているが、両面に正極活物質層14を設けてもよい。同様に、図1に示す負極20は、その長手方向に沿う一方の面において負極活物質層24が設けられておらず、負極集電体22が露出するように形成されているが、両面に負極活物質層24を設けてもよい。
正極集電体12としては、例えば金属箔、エッチング金属箔、エキスパンドメタル等を用いることができる。これらの材料の具体例としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、タンタル、ステンレス、チタン等の金属を挙げることができ、目的とする蓄電デバイスの種類に応じて適宜選択して用いることができる。例えばリチウムイオン二次電池の正極を形成する場合には、正極集電体12としては上記のうちのアルミニウムを用いることが好ましい。かかる場合、正極集電体12の厚みは、5〜30μmとすることが好ましく、8〜25μmとすることがより好ましい。
正極活物質層14は、リチウムをドープ/脱ドープ可能な正極材料の1種または2種以上の正極活物質を含んでおり、必要に応じてグラファイト等の導電付与剤を含んで構成されている。また、結着剤として、ポリフッ化ビニリデンやポリフッ化アクリル酸エステル等のフッ素含有ポリマーや正極活物質の分散に用いられる増粘剤、あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)や(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む重合体組成物を用いるようにしてもよい。これらの結着剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
負極集電体22としては、例えば金属箔、エッチング金属箔、エキスパンドメタル等を用いることができる。これらの材料の具体例としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、タンタル、ステンレス、チタン等の金属を挙げることができ、目的とする蓄電デバイスの種類に応じて適宜選択して用いることができる。負極集電体22としては上記のうちの銅を用いることが好ましい。かかる場合、集電体の厚みは、5〜30μmとすることが好ましく、8〜25μmとすることがより好ましい。
負極活物質層24は、リチウムをドープ/脱ドープ可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を負極活物質として含んで構成されており、必要に応じて正極電極と同様の結着剤を含んで構成されている。
なお、上述した活物質層は、プレス加工に供されることが好ましい。このプレス加工を行うための手段としては、例えばロールプレス機、高圧スーパープレス機、ソフトカレンダー、1トンプレス機等を挙げることができる。プレス加工の条件は、用いる加工機の種類ならびに活物質層の所望の厚みおよび密度に応じて、適宜に設定される。リチウムイオン二次電池正極の場合、厚みが40〜100μmであり、密度が2.0〜5.0g/cmであることが好ましい。リチウムイオン二次電池負極の場合、厚みが40〜100μmであり、密度が1.3〜1.9g/cmであることが好ましい。
保護膜30は、正極10と負極20との間に配置されている。なお、図1に示す蓄電デバイス1では、正極10と負極20との間に、保護膜30が正極活物質層14と接するように配置されているが、負極活物質層24と接するように配置されてもよい。また、保護膜30は、正極10または負極20と接することなく、正極10と負極20との間に自立膜として配置されてもよい。これにより、充放電を繰り返してデンドライトが析出した場合であっても、保護膜30でガードされるため短絡が発生しない。したがって、蓄電デバイスとしての機能を維持できる。
保護膜30は、例えば正極10(または負極20)の表面に、上述の保護膜形成用スラリーを塗布して乾燥させることにより形成することができる。正極10(または負極20)の表面に保護膜形成用スラリーを塗布する方法としては、例えばドクターブレード法、リバースロール法、コンマバー法、グラビヤ法、エアーナイフ法、ダイコート法等の方法を適用することができる。塗膜の乾燥処理は、好ましくは20〜250℃、より好ましくは50〜150℃の温度範囲において、好ましくは1〜120分間、より好ましくは5〜60分間の処理時間で行われる。
保護膜30の膜厚は、特に限定されるものではないが、0.5〜4μmの範囲であることが好ましく、0.5〜3μmの範囲であることがより好ましい。保護膜30の膜厚が前記範囲にあると、電極内部への電解液の浸透性および保液性が良好となると共に、電極の内部抵抗の上昇を抑制することもできる。
電解液40は、目的とする蓄電デバイスの種類に応じて適宜選択して用いられる。電解液40としては、適当な電解質が溶媒中に溶解された溶液が用いられる。
リチウムイオン二次電池を製造する場合には、電解質としてリチウム化合物が用いられる。具体的には、例えばLiClO、LiBF、LiI、LiPF、LiCFSO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、LiCHSO、LiCSO、Li(CFSON等を挙げることができる。この場合の電解質濃度は、好ましくは0.5〜3.0モル/Lであり、より好ましくは0.7〜2.0モル/Lである。
リチウムイオンキャパシタを製造する場合における電解質の種類及び濃度は、リチウムイオン二次電池の場合と同様である。
上記いずれの場合であっても、電解液に用いられる溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート;γ−ブチロラクトン等のラクトン;トリメトキシシラン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン誘導体;アセトニトリル、ニトロメタン等の窒素含有化合物;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム化合物;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;スルホラン等のスルホン化合物;2−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン誘導体;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、1,8−ナフタスルトン等のスルトン化合物を挙げることができる。
4.2.第2の実施形態
図2は、第2の実施形態に係る蓄電デバイスの断面を示した模式図である。図2に示すように、蓄電デバイス2は、正極集電体112の表面に正極活物質層114を形成した正極110と、負極集電体122の表面に負極活物質層124を形成した負極120と、正極110と負極120との間に設けられた保護膜130と、正極110と負極120の間を満たす電解液140と、正極110と負極120との間に設けられたセパレータ150と、を備えたものである。
蓄電デバイス2では、保護膜130が正極110とセパレータ150と間に挟持されるように配置されている点で、上述した蓄電デバイス1とは相違する。なお、図2に示す蓄電デバイス2では、保護膜130が正極110とセパレータ150との間に挟持されるように配置されているが、保護膜130が負極120とセパレータ150との間に挟持されるように配置されてもよい。このような構成とすることにより、充放電を繰り返してデンドライトが析出した場合であっても、保護膜130でガードされるため短絡が発生しない。したがって、蓄電デバイスとしての機能を維持できる。
保護膜130は、例えばセパレータ150の表面に保護膜形成用スラリーを塗布した後、正極110(または負極120)と貼り合わせて、その後乾燥させることにより形成することができる。セパレータ150の表面に保護膜形成用スラリーを塗布する方法としては、例えばドクターブレード法、リバースロール法、コンマバー法、グラビヤ法、エアーナイフ法、ダイコート法等の方法を適用することができる。塗膜の乾燥処理は、好ましくは20〜250℃、より好ましくは50〜150℃の温度範囲において、好ましくは1〜120分間、より好ましくは5〜60分間の処理時間で行われる。
セパレータ150は、電気的に安定であると共に、正極活物質、負極活物質あるいは溶媒に対して化学的に安定であり、かつ電気伝導性を有していなければどのようなものを用いてもよい。例えば、高分子の不織布、多孔質フィルム、ガラスあるいはセラミックスの繊維を紙状にしたものを用いることができ、これらを複数積層して用いてもよい。特に多孔質ポリオレフィンフィルムを用いることが好ましく、これをポリイミド、ガラスあるいはセラミックスの繊維等よりなる耐熱性の材料と複合させたものを用いてもよい。
第2の実施形態に係る蓄電デバイス2のその他の構成については、図1を用いて説明した第1の実施形態に係る蓄電デバイス1と同様であるので説明を省略する。
4.3.第3の実施形態
図3は、第3の実施形態に係る蓄電デバイスの断面を示した模式図である。図3に示すように、蓄電デバイス3は、正極集電体212の表面に正極活物質層214を形成した正極210と、負極集電体222の表面に負極活物質層224を形成した負極220と、正極210と負極220の間を満たす電解液240と、正極210と負極220との間に設けられたセパレータ250と、セパレータ250の表面を覆うようにして形成された保護膜230と、を備えたものである。
蓄電デバイス3では、保護膜230がセパレータ250の表面を覆うようにして形成されている点で、上述した蓄電デバイス1や蓄電デバイス2とは相違する。このような構成とすることにより、充放電を繰り返してデンドライトが析出した場合であっても、保護膜230でガードされるため短絡が発生しない。したがって、蓄電デバイスとしての機能を維持できる。
保護膜230は、例えばセパレータ250の表面に、保護膜形成用スラリーを塗布して乾燥させることにより形成することができる。セパレータ250の表面に保護膜形成用スラリーを塗布する方法としては、例えばドクターブレード法、リバースロール法、コンマバー法、グラビヤ法、エアーナイフ法、ダイコート法等の方法を適用することができる。塗膜の乾燥処理は、好ましくは20〜250℃、より好ましくは50〜150℃の温度範囲において、好ましくは1〜120分間、より好ましくは5〜60分間の処理時間で行われる。
第3の実施形態に係る蓄電デバイス3のその他の構成については、図1を用いて説明した第1の実施形態に係る蓄電デバイス1や図2を用いて説明した第2の実施形態に係る蓄電デバイス2と同様であるので説明を省略する。
4.4.蓄電デバイスの製造方法
上述したような蓄電デバイスの製造方法としては、例えば、2つの電極(正極および負極の2つ、またはキャパシタ用電極の2つ)を必要に応じてセパレータを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する方法が挙げられる。電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、適宜の形状であることができる。
4.5.用途
上述したような蓄電デバイスは、大電流密度での放電が必要なリチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等に適応可能である。この中でもリチウムイオン二次電池が特に好ましい。本発明の電極および蓄電デバイスにおいてバインダー組成物以外の部材は、公知のリチウムイオン二次電池用、電気二重層キャパシタ用やリチウムイオンキャパシタ用の部材を用いることが可能である。
5.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
5.1.重合体(A)の合成
5.1.1.合成例1
<重合体Xの合成>
電磁式撹拌機を備えた内容積6Lのオートクレーブの内部を十分に窒素置換した後、脱酸素した純水2.5L及び乳化剤としてパーフルオロデカン酸アンモニウム25gを仕込み、350rpmで撹拌しながら60℃まで昇温した。次いで、単量体であるフッ化ビニリデン(VDF)70質量%および六フッ化プロピレン(HFP)30質量%からなる混合ガスを、内圧が20kg/cmに達するまで仕込んだ。重合開始剤としてジイソプロピルパーオキシジカーボネートを20%含有するフロン113(CClF−CClF)溶液25gを、窒素ガスを使用して圧入し、重合を開始した。重合中は内圧が20kg/cmに維持されるようVDF60.2質量%およびHFP39.8質量%からなる混合ガスを逐次圧入して、圧力を20kg/cmに維持した。また、重合が進行するに従って重合速度が低下するため、3時間経過後に、先と同じ重合開始剤溶液の同量を、窒素ガスを使用して圧入し、さらに3時間反応を継続した。その後、反応液を冷却すると同時に撹拌を停止し、未反応の単量体を放出した後に反応を停止することにより、重合体Xの粒子を40質量%含有する水分散体を得た。得られた重合体Xにつき、19F−NMRにより分析した結果、各単量体の質量組成比はVDF/HFP=21/4であった。
<重合体粒子(A1)の合成>
容量7Lのセパラブルフラスコの内部を十分に窒素置換した後、上記の工程で得られた重合体Xの粒子を含有する水分散体を重合体X換算で20質量部、乳化剤「アデカリアソープSR1025」(商品名、株式会社ADEKA製)0.4質量部、メタクリル酸イソボニル(IMA)40質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)34質量部、アクリル酸(AA)4質量部およびエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)2質量部、並びに水104質量部を順次仕込み、70℃で3時間攪拌し、重合体Xに単量体を吸収させた。次いで油溶性重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル0.5質量部を含有するテトラヒドロフラン溶液20mLを添加し、75℃に昇温して3時間反応を行い、さらに85℃で2時間反応を行った。その後、冷却した後に反応を停止し、2.5N水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調節することにより、重合体X及び重合体Yを含有する重合体(A1)を40質量%含有する水系分散体を得た。
上記で得られた水系分散体について、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製、型式「FPAR−1000」)を用いて粒度分布を測定し、その粒度分布から数平均粒子径(Da1)を求めたところ330nmであった。
上記で得られた水系分散体の10gを直径8cmのテフロン(登録商標)シャーレへ秤り取り、120℃で1時間乾燥して成膜した。得られた膜(重合体)のうちの1gを、後述の蓄電デバイスの製造において電解液として用いるエチレンカーボネートおよびジエチルカーボネートからなる混合液(EC/DEC=1/2(容量比)、以下、この混合液を「EC/DEC」という。)400mL中に浸積して、60℃において24時間振とうした。次いで、300メッシュの金網で濾過して不溶分を分離した後、溶解分のEC/DECを蒸発除去して得た残存物の重量(Y(g))を測定した値から、下記数式(1)によって電解液不溶分を求めたところ、上記重合体粒子の電解液不溶分は98質量%であった。また上記の濾過で分離した不溶分(フィルム)の表面についたEC/DECを紙に吸収させて取り除いた後、該不溶分フィルムの重量(Z(g))を測定した値から、下記数式(2)によって電解液膨潤度を測定したところ、上記重合体粒子の電解液膨潤度は300質量%であった。
電解液不溶分(質量%)=((1−Y)/1)×100 (1)
電解液膨潤度(質量%)=(Z/(1−Y))×100 (2)
さらに、得られた膜(重合体(A1)から構成された膜)を示差走査熱量計(NETZSCH社製、DSC204F1 Phoenix)によって測定したところ、融解温度Tmは観察されず、単一のガラス転移温度Tgが30℃に観測されたことから、得られた重合体(A1)はポリマーアロイ粒子であると推定される。
上記で得られた重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、以下の条件により測定した。重量平均分子量(Mw)は2×10であり、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値(分散比)は10であった。
・測定機器:東ソー株式会社製、GPC(型番:HLC−8220)
・カラム:TSKgel guardcolum HHR(東ソー株式会社製)、TSK−GEL G2500PWXL(東ソー株式会社製)、TSK−GEL GMHHR−H(東ソー株式会社製)
・溶離液:トルエン
・検量線:標準ポリスチレン
・測定方法:重合体(A)の濃度が0.3wt%となるように溶離液に溶解し、フィルターろ過後に測定。
5.1.2.合成例2
容量7リットルのセパラブルフラスコに、水90質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を仕込み、セパラブルフラスコの内部を十分に窒素置換した。
一方、別の容器に、水60質量部、乳化剤としてエーテルサルフェート型乳化剤(商品名「アデカリアソープSR1025」、(株)ADEKA製)を固形分換算で0.8質量部ならびに単量体としてメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)10質量部、アクリロニトリル(AN)10質量部、メタクリル酸メチル(MMA)10質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)60質量部、アクリル酸(AA)8質量部およびトリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TMPTMA)2質量部を加え、十分に攪拌して上記単量体の混合物を含有する単量体乳化液を調製した。
上記セパラブルフラスコ内部の昇温を開始し、内部の温度が60℃に到達した時点で、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5質量部を加えた。そして、セパラブルフラスコの内部の温度が70℃に到達した時点で、上記で調製した単量体乳化液の添加を開始し、セパラブルフラスコの内部の温度を70℃に維持したまま単量体乳化液を3時間かけてゆっくりと添加した。その後、セパラブルフラスコの内部の温度を85℃に昇温し、この温度を3時間維持して重合反応を行った。3時間後、セパラブルフラスコを冷却して反応を停止した後、アンモニウム水を加えてpHを7.6に調整することにより、粒子状重合体(A2)を40質量%含有する水系分散体を得た。
上記の重合体(A2)を含有する水系分散体を用い、合成例A1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1に示した。
5.1.3.合成例3〜合成例5
上記合成例A2において、各単量体の種類および量を、それぞれ表1に記載のとおりとしたほかは、合成例A2と同様にして固形分濃度30質量%の重合体(重合体(A3)〜(A5))からなる粒子を含有する水系分散体を調製し、合成例A1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1に示した。
5.1.4.合成例6
撹拌機付きの温度調節可能なオートクレーブに、イオン交換水300質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5質量部、過硫酸カリウム0.5質量部、重亜硫酸ナトリウム0.1質量部、α−メチルスチレンダイマー0.1質量部、ドデシルメルカプタン0.1質量部、アクリロニトリル10質量部、アクリル酸2質量部、メタクリル酸2質量部、メタアクリル酸メチル11質量部、1,3−ブタジエン40質量部、スチレン35質量部を入れ、十分に撹拌した後、45℃に加温して24時間反応させ、その後過硫酸カリウム0.5質量部を添加後70℃に昇温し4時間反応を行った。固形分濃度から求めた重合転化率は約99%であった。40℃に冷却後、水酸化ナトリウムにてラテックスのpHを7.5に調節し、減圧下に残留単量体および水を蒸発させて、重合体(A6)を40%含有する水系分散体を作製した。得られた重合体(A6)を含有する水系分散体を用いて、合成例A1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1に示した。
5.1.5.合成例7〜合成例9
上記合成例6において、各単量体の種類および量を、それぞれ表1に記載のとおりとしたほかは、合成例6と同様にして固形分濃度40質量%の重合体(重合体(A7)〜(A9))からなる粒子を含有する水系分散体を調製し、合成例A1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1に示した。
5.1.6.合成例10
容量7Lのセパラブルフラスコの内部を十分に窒素置換した後、イオン交換水75質量部、乳化剤「リカサーフ M‐30」(商品名、新日本理化株式会社製)0.05質量部を仕込んだ後に75℃に昇温した。上記セパラブルフラスコとは別にSUS容器に乳化剤「リカサーフ M‐30」(商品名、新日本理化株式会社製)0.5質量部、メタクリル酸tert−ブチル(TBMA)10質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)80質量部、スチレン(ST)5質量部、メタクリル酸アリル(AMA)1質量部、アクリル酸(AA)2質量部およびメタクリル酸メチル(MMA)2質量部ならびに水50質量部を順次に仕込んだ後、撹拌し乳化液を得た。調整した乳化液の10重量%を前記7Lセパラブルフラスコに投入し30分撹拌後、開始剤である過硫酸カリウム0.5質量部を含有する5%水溶液をと脱酸素剤であるハイドロサルファイトナトリウム0.02質量部を含有する1%水溶液を投入し75℃で1時間反応を行った。その後、乳化液の残り90重量%を5時間かけて滴下し、さらに2時間反応させた後、40℃に冷却し反応を停止した。モノマー転化率は99.8%であった。次いで2.5N水酸化ナトリウム水溶液でpH7.5に調節し、防腐剤として2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン0.2質量部を30%含有する水懸濁液を、消泡剤として「SNデフォーマー388N」(商品名、サンノプコ株式会社製)を添加し、重合体(A10)からなる粒子を40質量%含有する水系分散体を得た。得られた重合体(A10)を含有する水系分散体を用いて、合成例A1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1に示した。
5.1.7.合成例11〜合成例13
上記合成例A10において、各単量体の種類および量を、それぞれ表1に記載のとおりとしたほかは、合成例A10と同様にして固形分濃度40質量%の重合体(重合体(A11)〜(A13))からなる粒子を含有する水系分散体を調製し、合成例A1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1に示した。
5.1.8.合成例17
容量7Lのセパラブルフラスコの内部を十分に窒素置換した後、合成例7で得られた重合体(A7)100質量部(固形分換算)、アクリロニトリル20質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5質量部を仕込んだ後に75℃に昇温した。開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド1質量部、開始助剤としてL−アスコルビン酸1質量部を添加し、75℃で4時間反応させ、その後85℃に昇温し、さらに2時間反応させた。固形分濃度から求めた重合転化率は約99%であった。その後、水酸化ナトリウムでpHを8.5に調整し、イオン交換水を加えて固形分濃度40質量%の重合体(A17)からなる粒子を含有する水系分散体を作製した。得られた重合体(A17)を含有する水系分散体を用いて、合成例A1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表2に示した。
5.1.9.合成例18〜27
上記合成例17において、シード粒子の種類および量、各単量体の種類および量を、それぞれ表2に記載のとおりとしたほかは、合成例17と同様にして固形分濃度40質量%の重合体(重合体(A18)〜(A27))からなる粒子を含有する水系分散体を調製し、合成例A1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表2に示した。
5.2.樹脂(B)の合成
5.2.1.合成例14〜合成例16
上記合成例A2において、各単量体の種類および量を、それぞれ表1に記載のとおりとしたほかは、合成例A2と同様にして固形分濃度40質量%の樹脂(樹脂(B1)〜(B3))からなる粒子を含有する水系分散体を調製し、合成例A1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1に示した。
表1および表2における単量体の略称は、それぞれ以下の意味である。単量体欄における「−」は、その単量体を使用しなかったか、あるいはその単量体の評価値が観測されなかったことを示す。
<化合物(a1)>
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
IMA:メタクリル酸イソボニル
MAdMA:メタクリル酸2−(2−メチルアダマンチル)
CMA:メタクリル酸3−コレステリル
<化合物(a2)>
AN:アクリロニトリル
MAN:メタクリロニトリル
<化合物(a3)>
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
TA:イタコン酸
<化合物(a4)>
VdDF:フッ化ビニリデン
HFP:六フッ化プロピレン
TFE:四フッ化エチレン
2VE:1,1,2,2−テトラフルオロー1,2−ビス((トリフルオロビニル)オキシ)エタン
TFEMA:メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル
TFEA:アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル
HFIPA:アクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル
<化合物(a5)>
MMA:メタクリル酸メチル
EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
BA:アクリル酸n−ブチル
TBMA:アクリル酸t−ブチル
EA:アクリル酸エチル
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
<化合物(a6)>
BD:1,3−ブタジエン
ST:スチレン
<化合物(a7)>
DVB:ジビニルベンゼン
TMPTMA:トリメタクリル酸トリメチロールプロパン
EDMA:ジメタクリル酸エチレングリコール
AMA:メタクリル酸アリル
5.3.蓄電デバイス用バインダー組成物(G1)の調製
樹脂(B)として脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業製、商品名「M−100」)を用い、水を媒体として、特開平9−24265号に記載の高圧乳化法で固形分濃度50質量%の樹脂(B4)の水分散体を調整した。合成例1と同様に樹脂(B4)の重合平均分子量を測定した。評価結果を表3に示す。
容量7リットルのセパラブルフラスコに、上記合成例で得られた重合体(A1)を80質量部、上記樹脂(B4)の水分散体を20質量部、それぞれ固形分換算で仕込み、水を投入し固形分を40%に調製し、30分間十分に撹拌することによりバインダー組成物(G1)を得た。
重合体(A)の種類および量、樹脂(B)の種類および量を、それぞれ表3に記載のとおりとしたほかは、上記「5.3.蓄電デバイス用バインダー組成物の調製」と同様にして固形分濃度40質量%のバインダー組成物(重合体(G2)〜(G17))を得た。使用した樹脂(B)の分子量は樹脂(B1)と同様にして評価を行った。評価結果は表3に示した。
5.4.実施例1(バインダー組成物の保護膜への適用)
5.4.1.蓄電デバイスの製造および評価
<保護膜の形成(保護膜付きセパレータの製造)>
ポリプロピレン製多孔膜からなるセパレータ(セルガード製、商品名「セルガード#2400」)の片面に、上記で得られたバインダー組成物(G1)を、グラビア塗工機を用いて片面に塗布し、80℃で10分間乾燥した後、未塗工面に同様にバインダー組成物(G1)を塗工することにより、前記セパレータの両面に保護膜を形成し、保護膜付きセパレータを製造した。形成された保護膜の厚さは、各面2μm(両面合計で4μm)であった。
5.4.2.正極の製造
<正極活物質の調製>
市販のリン酸鉄リチウム(LiFePO)をめのう乳鉢で粉砕し、ふるいを用いて分級することにより、粒子径(D50値)が0.5μmである活物質粒子を調製した。
<正極用スラリーの調製>
二軸型プラネタリーミキサー(プライミクス株式会社製、商品名「TKハイビスミックス 2P−03」)にポリフッ化ビニリデン4質量部(固形分換算)、上記活物質粒子100質量部、アセチレンブラック5質量部及びN−メチルピロリドン68質量部を投入し、60rpmで1時間攪拌を行った。さらに、N−メチルピロリドン32質量部を投入し、1時間攪拌してペーストを得た。得られたペーストを、攪拌脱泡機(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎」)を使用して、200rpmで2分間、1800rpmで5分間、さらに真空下(5.0×10Pa)において1800rpmで1.5分間攪拌混合することにより、正極用スラリーを調製した。
<正極用電極の作製>
アルミニウム箔からなる集電体の表面に、上記正極用スラリーを、乾燥後の膜厚が100μmとなるようにドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃で20分間乾燥した。その後、膜(活物質層)の密度が2.0g/cmとなるようにロールプレス機によりプレス加工することにより、集電体の表面に正極活物質層が形成された正極を得た。
5.4.3.負極の製造
<負極用スラリーの調製>
二軸型プラネタリーミキサー「TKハイビスミックス 2P−03」に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)4質量部、負極活物質としてのグラファイト100質量部およびN−メチルピロリドン(NMP)80質量部を投入し、60rpmで1時間撹拌を行った。撹拌後の混合物にNMP20部を加え、攪拌脱泡機「あわとり練太郎」を使用して、200rpmで2分間、1,800rpmで5分間および真空下において1,800rpmで1.5分間撹拌混合することにより、負極用スラリーを調製した。
<負極用電極の作製>
銅箔からなる集電体の表面に、上記負極用スラリーを、乾燥後の膜厚が150μmとなるようにドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃で20分間乾燥した。その後、膜の密度が1.5g/cmとなるようにロールプレス機を使用してプレス加工することにより、負極を製造した。
(4)5.4.4.保護膜と電極との接着性
上記で製造した負極、保護膜付きセパレータ、および正極から、それぞれ幅2cm×長さ5cmの試験片を切り出し、負極活物質層および正極活物質層がそれぞれ保護膜付きセパレータに相対するように、負極/保護膜付きセパレータ/正極を積層した。得られた積層体にエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1(質量比)の溶媒を含浸させ、ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、250μm厚)に挟み、100℃×10分間、0.1MPaにて加熱加圧した。この後、溶媒が乾燥する前に負極および正極を保護膜付きセパレータから剥がし、以下のように評価した。評価結果は表3に示した。
◎:負極、正極ともに剥がした時に抵抗があり、活物質層の一部または全部が保護膜に接着して転写されている場合、特に良好と判断する。
○:負極、正極ともに剥がした時に抵抗があるが、活物質層が保護膜に転写されていない場合、良好と判断する。
×:負極および正極のいずれかを剥がした時に抵抗がなく、既に剥がれている場合、不良と判断する。
5.4.5.リチウムイオン電池セルの組立て
露点が−80℃以下となるようAr置換されたグローブボックス内で、上記で製造した負極を直径16.16mmに打ち抜き成形したものを、2極式コインセル(宝泉株式会社製、商品名「HSフラットセル」)上に載置した。次いで、直径24mmに打ち抜いた上記「5.3.3.保護膜の作製」で得られた保護膜付きセパレータを載置し、さらに、空気が入らないように電解液を500μL注入した後、上記で製造した保護膜つき正極を直径15.95mmに打ち抜き成形したものを上記セパレータと正極に形成された保護膜とが相対するように載置し、上記2極式コインセルの外装ボディーをネジで閉めて封止することにより、リチウムイオン電池セル(蓄電デバイス)を組み立てた。なお、ここで使用した電解液は、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1(質量比)の溶媒に、LiPFを1モル/Lの濃度で溶解した溶液である。
5.4.6.残存容量率及び抵抗上昇率の測定
上記で製造した電池セルを25℃の恒温槽に入れ、定電流(0.2C)にて充電を開始し、電圧が4.1Vになった時点で引き続き定電圧(4.1V)にて充電を続行し、電流値が0.01Cとなった時点を充電完了(カットオフ)とした。次いで、定電流(0.2C)にて放電を開始し、電圧が2.5Vになった時点を放電完了(カットオフ)とした(エージング充放電)。
上記エージング充放電後のセルを25℃の恒温槽に入れ、定電流(0.2C)にて充電を開始し、電圧が4.1Vになった時点で引き続き定電圧(4.1V)にて充電を続行し、電流値が0.01Cとなった時点を充電完了(カットオフ)とした。次いで、定電流(0.2C)にて放電を開始し、電圧が2.5Vになった時点を放電完了(カットオフ)とし、0.2Cにおける放電容量(初期)の値であるC1を測定した。
上記放電容量(初期)測定後のセルを25℃の恒温槽に入れ、定電流(0.2C)にて充電を開始し、電圧が4.1Vになった時点で引き続き定電圧(4.1V)にて充電を続行し、電流値が0.01Cとなった時点を充電完了(カットオフ)とした。
この充電状態のセルについてEIS測定(“Electrochemical Inpedance Spectroscopy”、「電気化学インピーダンス測定」)を行い、初期の抵抗値EISaを測定した。
次に、初期の抵抗値EISaを測定したセルを60℃の恒温槽に入れ、定電流(0.2C)にて充電を開始し、電圧が4.4Vになった時点で引き続き定電圧(4.4V)にて充電を168時間続行した(過充電の加速試験)。
その後、この充電状態のセルを25℃の恒温槽に入れてセル温度を25℃に低下してから、定電流(0.2C)にて放電を開始し、電圧が2.5Vになった時点を放電完了(カットオフ)として、0.2Cにおける放電容量(試験後)の値であるC2を測定した。
上記放電容量(試験後)のセルを25℃の恒温槽に入れ、定電流(0.2C)にて充電を開始し、電圧が4.1Vになった時点で引き続き定電圧(4.1V)にて充電を続行し、電流値が0.01Cとなった時点を充電完了(カットオフ)とした。次いで、定電流(0.2C)にて放電を開始し、電圧が2.5Vになった時点を放電完了(カットオフ)とした。このセルのEIS測定を行い、熱ストレス及び過充電ストレス印加後の抵抗値であるEISbを測定した。
上記の各測定値を下記式(7)に代入して求めた残存容量率は98%であり、上記の各測定値を下記式(8)に代入して求めた抵抗上昇率は40%であった。
残存容量率(%)=(C2/C1)×100 ・・・(7)
抵抗上昇率(%)=(EISb/EISa)×100 ・・・(8)
この残存容量率が75%以上であり、かつ、抵抗上昇率300%以下であるとき、耐久性は良好であると評価することができる。
なお、上記測定条件において「1C」とは、ある一定の電気容量を有するセルを定電流放電して1時間で放電終了となる電流値を示す。例えば「0.1C」とは、10時間かけて放電終了となる電流値のことであり、「10C」とは0.1時間かけて放電完了となる電流値のことをいう。
5.4.7.シャットダウン特性及び130℃抵抗維持率の評価
1M LiPF エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート(3/7重量比)(キシダ化学社製)と上記「5.3.3.保護膜の作製」で得られた保護膜付きセパレータを2枚のアルミニウム(ニラコ社製)集電体の間に接触、介在させたユニットを準備し、フラットセル(タクミ技研製、フラットセル)に装填して評価セルを作製した。
上記評価セルを熱風炉中に静置し、温度30℃から130℃まで5℃/分の速度で昇温させ、130℃で20分保持した後にLCRメーター(日置電機株式会社製、装置名「LCR HiTESTER」)で測定した1Hzでの抵抗は130Ωであった。130℃内部抵抗が100Ω以上であればシャットダウン特性が良好であると判断して「○」、100Ω未満であれば不良と判断して「×」と表3中に表記した。
5.4.8.実施例2〜10、比較例1〜6
上記実施例1において、重合体および添加樹脂の種類および量を、それぞれ表3に記載のとおりとしたほかは、実施例1と同様にして蓄電デバイス用バインダー組成物Gを調製し、実施例1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表3に示した。
5.4.9.実施例11
上記実施例1において、蓄電デバイス用バインダー組成物をNMP92質量部、重合体(A1)の代わりにPVdFを8質量部、添加樹脂Quintone1500を2質量部、それぞれ固形分換算で仕込み、80℃で60分間十分に撹拌することにより調整したほかは実施例1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表3に示した。
5.5.実施例12(バインダー組成物の耐熱保護膜への適用)
5.5.1.保護膜用スラリーの調製
水500質量部に、フィラーとしての酸化マグネシウム(タテホ化学工業(株)製、商品名「PUREMAG(R) FNM−G」、数平均粒子径0.50μm)100質量部、
上記実施例1で得られた蓄電デバイス用バインダー組成物(G1)を固形分換算で10質量部に相当する量、および増粘剤として(株)ダイセル製の商品名「CMC1120」を1質量部投入し、プライミクス(株)製の薄膜旋回型高速ミキサー「T.K.フィルミックス(R)56−50型」を用いて混合分散処理を行うことにより、保護膜用スラリーを調製した。
5.5.2.蓄電デバイスの製造および評価
(1)<保護膜付き正極の製造>
上記実施例1の「正極の製造」と同様にして正極を製造した後に、正極の活物質層の表面に、上記で調製した保護膜用スラリーをダイコート法により塗布した後、120℃において5分間乾燥して正極活物質層表面に厚さ3μmの保護膜を形成することにより、保護膜付き正極を得た。
5.5.3.セパレータと保護膜付き電極との接着性
実施例1で製造した負極、上記で製造した正極を用い、セパレータはセルガード製、商品名「セルガード#2400」を用い、それぞれ幅2cm×長さ5cmの試験片を切り出し、負極活物質層および正極活物質層がそれぞれセパレータに相対するように、負極/セパレータ/保護膜付き正極を積層した。得られた積層体にエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1(質量比)の溶媒を含浸させ、ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、250μm厚)に挟み、100℃×10分間、0.1MPaにて加熱加圧した。この後、溶媒が乾燥する前に正極を保護膜付きセパレータから剥がし、以下のように評価した。評価結果を表4に示した。
◎:正極を剥がした時に抵抗があり、活物質層の一部または全部が保護膜に接着して転写されている場合、特に良好と判断する。
○:正極を剥がした時に抵抗があるが、活物質層が保護膜に転写されていない場合、良好と判断する。
×:正極を剥がした時に抵抗がなく、既に剥がれている場合、不良と判断する。
5.5.4.リチウムイオン二次電池セルの組立てと評価
正極として上記で製造した保護膜付き正極を用い、セパレータとしてセルガード製の商品名「セルガード#2400」(保護膜を有さないもの)を直径24mmに打ち抜き成形したものを用いたほかは上記実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池セル(蓄電デバイス)を製造し、残存容量率および抵抗上昇率を評価した。なお、コインセル中に保護膜付き正極を載置する際には、保護膜が下側(セパレータ側)を向く方向とした。評価結果は表4に示した。
5.5.5.実施例13〜22および比較例7〜12
上記実施例12において、「保護膜用スラリーの調製」で使用するフィラー(E)の種類および量、ならびに蓄電デバイス用バインダー組成物(G)の種類および量を、それぞれ、表4に記載のとおりとしたほかは実施例12と同様にして保護膜用スラリーを調製し、該保護膜用スラリーを用いてリチウムイオン二次電池セル(蓄電デバイス)を製造し、評価した。評価結果は、それぞれ表4に示した。
実施例23<バインダー組成物の電極への適用>
5.6.1.正極の製造および評価
(1)<正極用スラリーの調製>
二軸型プラネタリーミキサー(プライミクス(株)製、商品名「TKハイビスミックス 2P−03」)に、増粘剤(商品名「CMC1120」、(株)ダイセル製)の6質量%水溶液2質量部(固形分換算値)、電極活物質(市販のリン酸鉄リチウム(LiFePO)をめのう乳鉢で粉砕し、ふるいを用いて分級することにより得られた、粒子径(D50値)が0.5μmのもの)100質量部、導電付与剤としてアセチレンブラック3質量部および、水15質量部を投入し、90rpmで1時間攪拌を行った。次いでここに、上記実施例1で得られた蓄電デバイス用バインダー組成物(G1)を、該組成物中に含有される固形分の割合が4質量部となるように加え、さらに水85質量部を追加した後に1時間攪拌してペーストを得た。得られたペーストに水を加えて固形分濃度を40質量%に調整した後、攪拌脱泡機((株)シンキー製、商品名「あわとり練太郎」)を使用して、200rpmで2分間、1,800rpmで5分間、さらに減圧下(約5×10Pa)において1,800rpmで1.5分間攪拌混合することにより、正極用スラリーを調製した。
<正極の製造>
厚み30μmのアルミニウム箔からなる集電体の表面に、上記で調製した正極用スラリーを、乾燥後の膜厚が100μmとなるようにドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃において20分間乾燥した。その後、膜(電極活物質層)の密度が1.9g/cmになるようにロールプレス機によりプレス加工し、さらに絶対圧75Paの減圧下、150℃において4時間真空乾燥することにより、正極を得た。
5.6.2.保護膜と電極との接着性
上記で製造した正極を用いたほかは実施例12と同様にして、負極/セパレータ/正極を積層した。得られた積層体にエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1(質量比)の溶媒を含浸させ、ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10、250μm厚)に挟み、100℃×10分間、0.1MPaにて加熱加圧した。この後、溶媒が乾燥する前に正極をセパレータから剥がし、以下のように評価した。評価結果を表5に示した。
◎:正極を剥がした時に抵抗があり、活物質層の一部または全部がセパレータに接着して転写されている場合、特に良好と判断する。
○:正極を剥がした時に抵抗があるが、活物質層がセパレータに転写されていない場合、良好と判断する。
×:正極を剥がした時に抵抗がなく、既に剥がれている場合、不良と判断する。
(5)5.6.3.リチウムイオン二次電池セルの組立て
上記で製造した正極を用いたほかは実施例12と同様に電池セルを組立て電池評価した。評価結果は表5に示した。
5.6.4.実施例24〜32および比較例13〜17
上記実施例23において、「正極用スラリーの調製」で使用する蓄電デバイス用バインダー組成物(G)の種類を、それぞれ、表5に記載のとおりとしたほかは実施例23と同様にして保護膜用スラリーを調製し、該保護膜用スラリーを用いてリチウムイオン二次電池セル(蓄電デバイス)を製造し、評価した。評価結果は、それぞれ表5に示した。
5.6.4.実施例33
上記実施例23において、正極製造で電極活物質(市販のリン酸鉄リチウム(LiFePO)をめのう乳鉢で粉砕し、ふるいを用いて分級することにより得られた、粒子径(D50値)が0.5μmのもの)100質量部、導電付与剤としてアセチレンブラック3質量部および、NMP15質量部を用い、上記実施例11で得られた蓄電デバイス用バインダー組成物(G11)を、該組成物中に含有される固形分の割合が4質量部となるように加え、得られたペーストの固形分濃度を40質量%に調整したほかは上記実施例22と同様に評価した。評価結果は表5に示した。
実施例34〜44
上記実施例23において、「正極用スラリーの調製」で使用する蓄電デバイス用バインダー組成物(G)の種類を、それぞれ、表6に記載のとおりとしたほかは実施例23と同様にして正極用スラリーを調製し、該正極用スラリーを用いてリチウムイオン二次電池セル(蓄電デバイス)を製造し、評価した。評価結果は、それぞれ表6に示した。
上記表3から明らかなように、実施例1〜11に示した本願発明に係る保護膜を有するセパレータは電極との非常に良好な接着性を示し、これらを具備する蓄電デバイス(リチウムイオン電池)は、耐久試験後の残存容量、および抵抗上昇の抑制に優れたものであった。また、実施例5〜7のセパレータは電極との良好な密着性、優れた電池特性が示されると共に130℃での抵抗上昇が確認され電池の熱暴走時の安全性担保に対する効果が示された。一方、比較例1〜6では、電極との接着性が良好なセパレータは得られなかった。この理由として比較例1および2の重合体(A)のみで形成した保護膜ではセパレータに対する濡れ性が低く十分な接着性が発現されなかったためだと考えられる。比較例3では樹脂(B)のみで形成された保護膜のためセパレータに対する濡れ性は良好なものの接着性を担うバインダー成分が含まれていないため十分な接着性が得られなかったものと考えられる。比較例4および5では樹脂(B)にロジンエステルタイプを使用したところ樹脂(B)成分が電解液に溶解したため保護膜が脱落したためだと考えられる。
上記表4から明らかなように、実施例12〜22に示した本願発明に係る保護膜を有する電極はセパレータとの非常に良好な接着性を示し、これらを具備する蓄電デバイス(リチウムイオン電池)は、耐久試験後の残存容量が良好で優れた電池特性が示された。一方、比較例6〜10では、セパレータとの接着性が良好な保護膜は得られなかった。
上記表5および表6から明らかなように、実施例23〜44に示した本願発明に係る電極はセパレータとの非常に良好な接着性を示し、良好な電池特性を示した。一方、比較例11〜15では、セパレータとの接着性が良好な保護膜は得られなかった。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。
1,2,3…蓄電デバイス、10,110,210…正極、12,112,212…正極集電体、14,114,214…正極活物質層、20,120,220…負極、22,122,222…負極集電体、24,124,224…負極活物質層、30,130,230…保護膜、40,140,240…電解液、150,250…セパレータ。

Claims (12)

  1. 重合平均分子量(Mw)10000以上の重合体(A)と、脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位を含有し重合平均分子量(Mw)10000未満の樹脂(B) と、を含有する蓄電デバイス用バインダー組成物。
  2. 前記重合体(A)の含有量をMa質量部、前記樹脂(B)の含有量をMb質量部としたときに、Mb/Maの値が0.1〜20である、請求項1に記載の蓄電デバイス用バインダー組成物。
  3. 前記重合体(A)が、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位と、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位と、を含む重合体である、請求項1または請求項2に記載の蓄電デバイス用バインダー組成物。
  4. 前記重合体(A)が、さらに共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位と、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位と、を含む重合体である、請求項3に記載の蓄電デバイス用バインダー組成物。
  5. 前記不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位が脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位を含み、前記重合体(A)の全繰り返し単位を100質量%とした際に、脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位が0.1〜20質量%である、請求項3または請求項4に記載の蓄電デバイス用バインダー組成物。
  6. 前記重合体(A)が、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位を含む含フッ素系重合体である、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用バインダー組成物。
  7. 前記樹脂(B)が、脂環式炭化水素基を有する繰り返し単位を50質量%以上である、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用バインダー組成物。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用バインダー組成物と、活物質と、を含有する、蓄電デバイスの電極用スラリー。
  9. 請求項8に記載の蓄電デバイスの電極用スラリーを用いて作製された活物質層と、を備える蓄電デバイス用電極。
  10. 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用バインダー組成物と、フィラーと、を含有する、蓄電デバイスの保護膜用スラリー。
  11. 請求項10に記載の蓄電デバイスの保護膜用スラリーを用いて作製されたセパレータ。
  12. 請求項9に記載の蓄電デバイス用電極および請求項11に記載のセパレータの少なくとも一方を備える蓄電デバイス。
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