JP2017123264A - 電気化学素子用導電性組成物、電気化学素子電極用組成物、接着剤層付集電体及び電気化学素子用電極 - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、本発明によれば、
(1) 0.5%酢酸水溶液に0.5質量%となるように溶解させた水溶液の粘度が1mPa・s以上500mPa・s以下であるキトサン化合物と、表面酸量が0.1mmol/g以上である粒子状共重合体と、導電材とを含む電気化学素子用導電性組成物、
(2) 前記粒子状共重合体の電解液膨潤度が100%以上500%以下である(1)記載の電気化学素子用導電性組成物、
(3) 前記キトサン化合物の質量を、前記粒子状共重合体の質量で除した値が0.1以上10以下である(1)又は(2)記載の電気化学素子用導電性組成物、
(4) 前記粒子状共重合体は芳香族ビニル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含み、前記粒子状共重合体に含まれる芳香族ビニル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計量に対する芳香族ビニル単量体単位の含有割合が10質量%以上70質量%以下である(1)〜(3)の何れかに記載の電気化学素子用導電性組成物、
(5) 前記粒子状共重合体は芳香族ビニル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含み、前記粒子状共重合体に含まれる芳香族ビニル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計量に対する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合が30質量%以上90質量%以下である(1)〜(4)の何れかに記載の電気化学素子用導電性組成物、
(6) (1)〜(5)の何れかに記載の電気化学素子用導電性組成物を含んでなり、電極活物質を含有する、電気化学素子電極用組成物、
(7) 集電体上に、(1)〜(5)の何れかに記載の電気化学素子用導電性組成物を用いてなる導電性接着剤層を有する、接着剤層付集電体、
(8) (7)に記載の接着剤層付集電体の前記導電性接着剤層上に、電極活物質を含む電極組成物層を有する、電気化学素子用電極
が提供される。
本発明の電気化学素子用導電性組成物は、0.5%酢酸水溶液に0.5質量%となるように溶解させた水溶液の粘度が1mPa・s以上500mPa・s以下であるキトサン化合物を含む。
キトサン化合物が非水溶性であると、スラリー状の導電性組成物(以下、単に「スラリー」と記載することがある)の塗工性が損なわれ、また電極のピール強度およびリチウムイオン二次電池の出力特性とサイクル特性が低下する問題が発生する。
本発明の電気化学素子用導電性組成物は、表面酸量が0.1mmol/g以上である粒子状共重合体を含む。本発明に用いられる粒子状共重合体としては、芳香族ビニル単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、脂肪族共役ジエン単量体単位、酸性基含有単量体単位等を含むものが挙げられ、芳香族ビニル単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、酸性基含有単量体単位を含むものであることが好ましい。
芳香族ビニル単量体単位を形成しうる芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらの中でも、塗膜の機械的強度を高める観点から、スチレンが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成しうる(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、イソペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル;などが挙げられる。これらの中でも、塗膜に十分な柔軟性と密着性を付与する観点から、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルのことを意味する。
脂肪族共役ジエン単量体単位を形成しうる脂肪族共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
酸性基含有単量体単位を形成しうる酸性基含有単量体としては、例えば、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、およびリン酸基を有する単量体が挙げられる。なお、本発明において酸性基を有する単量体は、酸性基以外の官能基(例えばアミド基やヒドロキシル基)を有している場合であっても、酸性基含有単量体に含まれるものとする。
本発明に用いる粒子状共重合体の表面酸量は、安定性及び塗工性が良好なスラリーが得られる観点から、0.1mmol/g以上、好ましくは0.15mmol/g以上、より好ましくは0.2mmol/g以上であり、好ましくは0.5mmol/g以下である。表面酸量が少なすぎると、得られるスラリーの安定性が低下し、塗工性が低下する。
粒子状共重合体を含む水分散液の電気伝導度が2.5〜3.0mSになるように、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液を、粒子状共重合体を含む水分散液に添加する。その後、5分経過してから、電気伝導度を測定する。この値を測定開始時の電気伝導度とする。
粒子状共重合体1g当たりの表面酸量は、下記の式(a)により、塩酸換算した値(mmol/g)として、与えられる。
粒子状共重合体1g当たりの表面酸量=A2−A1 …(a)
より具体的には、例えば、酸性基含有単量体単位の種類及びその割合を調整することにより、表面酸量を効率的に制御することができる。通常は、酸性基含有単量体のうちでも他の単量体と比べて反応性の違いが大きいもの(イタコン酸など)を用いると、酸性基含有単量体が粒子状共重合体の表面で共重合しやすくなるので、表面酸量が上昇し易い傾向がある。
本発明に用いる粒子状共重合体の電解液膨潤度は、塗膜の抵抗値が増加しない観点及び塗膜と電極組成物層との間の密着性が維持される観点から、好ましくは100%以上500%以下、さらに好ましくは100%以上300%以下、特に好ましくは100%以上150%以下である。粒子共重合体の電解液膨潤度が、上記範囲の上限値以下であると、塗膜の抵抗値が過度に増加する、という現象や、塗膜と電極組成物層との間の密着性が過度に低下する、という現象を抑えることができる。
粒子状共重合体を含む水分散液を用意し、この水分散液を室温下で乾燥させて、厚み0.2〜0.5mmのフィルムを形成する。このフィルムを10mmφの円形に打ち抜き、質量(浸漬前質量A)を測定する。質量測定後のフィルム片を温度60℃の電解液(エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を20℃での質量比がEC:EMC=3:7となるように混合してなる混合溶媒に、LiPF6が1.0mol/Lの濃度で溶解した溶液)中に浸漬する。浸漬したフィルムを72時間後に引き上げ、タオルペーパ一で電解液を拭きとってすぐに質量(浸漬後質量B)を測定する。下記式にしたがって質量変化を計算し、これを電解液膨潤度とする。
電解液膨潤度(%)=(B/A)×100
粒子状共重合体の製法は特に限定はされないが、上述したように、高分子化合物を構成する単量体を含む単量体混合物を乳化重合して得ることができる。乳化重合の方法としては、特に限定されず、従来公知の乳化重合法を採用すれば良い。
本発明の電気化学素子用導電性組成物は、導電材を含む。導電材としては、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェン等を含むことが好ましく、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブを含むことがさらに好ましく、カーボンブラック及びグラファイトを含むことが特に好ましい。導電材として、カーボンブラックとグラファイトを混合して用いることにより導電性が向上するため、これらを混合して用いることが好ましい。これらの導電材は、それぞれ単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の電気化学素子用導電性組成物は、濡れ材を含むことが好ましい。濡れ材としては、集電体に対する導電性組成物の濡れ性を高める観点、及び集電体に均一に塗工できる観点から、ポリアミド重合体、ポリエステル重合体等を用いることが好ましい。
ポリアミド重合体としては、下記一般式(1)で表されるものを用いることが好ましい。
(上記一般式(1)中、Rは、2、4、6あるいは8個のカルボン酸アミド基によって割りこまれた炭素数6〜150の脂肪族あるいは脂肪族と芳香族との両者を含む炭化水素基、炭素数2〜60の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、または2〜75個の酸素原子(−O−)によって割りこまれた炭素数4〜150の脂肪族炭化水素基、R’は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または−Z’−(Q)y−(OH)x、xは1〜3、yは0または1、Zは炭素数2〜6のアルキレン基、Z’は炭素数2〜6のZと同じまたは異なるアルキレン基、QはZおよび(または)Z′に−O−またはカルボキシル基を介して連結されており、0〜99個の酸素原子および(または)カルボン酸エステル基によって割りこまれている炭素数2〜200の脂肪族炭化水素基、nは2〜3である。)
ポリエステル重合体としては、下記一般式(2)で表されるものを用いることが好ましい。
(上記一般式(2)中、R1が、分子当たり1〜3個のヒドロキシル基を有する化合物の有機ラジカル、又はシリコン原子に結合しない1〜3個のヒドロキシル基を有するポリシロキサンのラジカルであり、R2が、二価の直鎖又は分枝脂肪酸又はシクロ脂肪酸ラジカルであり、xが2〜8、nが10〜500、且つmが1〜3である。)
本発明の電気化学素子用導電性組成物は、分散剤を含むことが好ましい。分散剤としては、アニオン系の界面活性剤、カチオン系の界面活性剤、両性界面活性剤、及び高分子系界面活性剤を例示することができる。具体的には、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩(例えば、デモールNL:花王株式会社製)、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド(例えば、サニゾールC:花王株式会社製)、ラウリルジメチルアミンオキサイド(例えば、アンヒトール20N:花王株式会社製)、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(例えば、エマルゲンA−60:花王株式会社製)等が挙げられ、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、およびポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルが好ましく、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩がより好ましい。
本発明の電気化学素子用導電性組成物は、上記したキトサン化合物、粒子状共重合体、導電材、濡れ材、及び分散剤が、分散媒に分散されたスラリー状の組成物である。ここで分散媒は、上記各成分を均一に分散でき、安定的に分散状態を保ちうる限り、水や、NMP、トルエン、キシレン、アセトン等の各種有機溶媒が特に制限されることなく使用できる。中でも、水、又はNMPを用いることが好ましく、水を用いることがさらに好ましい。
防腐剤の具体例としては、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下において「MIT」と表すことがある。)、1,2−ベンズ−4−イソチアゾリン−3−オン(以下において「BIT」と表すことがある。)等のイソチアゾリン系化合物が挙げられる。これらイソチアゾリン系化合物は、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、イソチアゾリン系化合物としては、MIT、及びBITを組み合わせて用いることがより好ましい。
本発明の電気化学素子用導電性組成物はスラリー状であり、その粘度は、良好な塗工性が得られる観点から、好ましくは200mPa・s以下、さらに好ましくは150mPa・s以下、特に好ましくは100mPa・s以下である。なお、上記粘度は、B型粘度計を用いて25℃、回転数60rpmで測定した時の値である。
導電性組成物の製造方法は、特に限定はされず、上記した分散媒に分散させることができればいかなる手段であってもよい。たとえば、まず、分散媒に分散剤、濡れ材、キトサン化合物、粒子状共重合体の分散液、および必要に応じ添加される任意の成分を一括添加し、均一に撹拌した後、導電材を添加し、撹拌することにより予備的な分散を行い原料組成物を得てから、次に、原料組成物に対し、高圧分散機を用いて高圧分散処理を行うことが好ましい。
本発明の接着剤層付集電体は、集電体上に上記の電気化学素子用導電性組成物から得られる導電性接着剤層を有する。
集電体の厚みは、5〜100μmで、好ましくは8〜70μm、特に好ましくは10〜50μmである。
本発明の電気化学素子用電極は、上記接着剤層付集電体の導電性接着剤層上に電極活物質を含む電極組成物層を有する。電極組成物層は、電極活物質、電極用バインダー、および必要に応じて用いられる電極用導電材等からなり、これら成分を含む電極用スラリーから調製される。
電極活物質は負極活物質であってもよく、また正極活物質であってもよい。電極活物質は、電池内で電子の受け渡しをする物質である。以下、本発明の電気化学素子用電極をリチウムイオン二次電池に用いる場合について説明する。
正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な化合物である。正極活物質は、無機化合物からなるものと有機化合物からなるものとに大別される。
電極用バインダーは、電極活物質、電極用導電材を相互に結着させることができる化合物であれば特に制限はない。
必要に応じて用いられる電極用導電材は、導電性を有し、電気二重層を形成し得る細孔を有さない、粒子状の炭素の同素体からなり、具体的には、ファーネスブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック(アクゾノーベルケミカルズベスローテンフェンノートシャップ社の登録商標)などの導電性カーボンブラックが挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックおよびファーネスブラックが好ましい。
電極組成物層は、導電性接着剤層上に設けられるが、その形成方法は制限されない。電極用スラリーは、電極活物質、電極用バインダーを必須成分として、必要に応じて電極用導電材、分散剤およびその他の添加剤を配合することができる。分散剤の具体例としては、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプンなどが挙げられる。これらの分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。これらの分散剤の量は、格別な限定はないが、電極活物質100質量部に対して、通常は0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは0.8〜2質量部の範囲である。
電気化学素子用電極の使用態様としては、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、ナトリウム電池、マグネシウム電池などが挙げられるが、上記電極を用いたリチウムイオン二次電池が好適である。たとえばリチウムイオン二次電池は、上記電気化学素子用電極、セパレータおよび電解液で構成される。
セパレータは、電気化学素子用電極の間を絶縁でき、陽イオンおよび陰イオンを通過させることができるものであれば特に限定されない。具体的には、(a)気孔部を有する多孔性セパレータ、(b)片面または両面に高分子コート層が形成された多孔性セパレータ、または(c)無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート層が形成された多孔性セパレータが挙げられる。これらの非制限的な例としては、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリオレフィン系、またはアラミド系多孔性セパレータ、ポリビニリデンフルオリド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルまたはポリビニリデンフルオリドヘキサフルオロプロピレン共重合体などの固体高分子電解質用またはゲル状高分子電解質用の高分子フィルム、ゲル化高分子コート層がコートされたセパレータ、または無機フィラー、無機フィラー用分散剤からなる多孔膜層がコートされたセパレータなどを用いることができる。セパレータは、上記一対の電極組成物層が対向するように、電気化学素子用電極の間に配置され、素子が得られる。セパレータの厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常は1〜100μm、好ましくは10〜80μm、より好ましくは15〜60μmである。
電解液は、特に限定されないが、例えば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものが使用できる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)NLiなどのリチウム塩が挙げられる。特に溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF6、LiClO4、CF3SO3Liは好適に用いられる。これらは、単独、または2種以上を混合して用いることができる。支持電解質の量は、電解液に対して、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、また通常は30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。支持電解質の量が少なすぎても多すぎてもイオン導電度は低下し電池の充電特性、放電特性が低下する。
また、本発明においては、粘度が適切な範囲に制御されたキトサン化合物と、表面酸量が適切な範囲に制御された粒子状共重合体を併用することにより、得られる導電性組成物は導電性カーボンの分散性が良好であり、この導電性組成物を用いて得られる導電性接着剤層は、強度及び耐電解液性に優れ、導電性接着剤層の上に形成される電極組成物層との密着性にも優れる。
粒子状共重合体の電解液膨潤度、及び表面酸量は上述の方法で算出及び測定を行った。
グラビアコーター(μCoater350TM、廉井精機製)を使用して、アルミニウム集電箔上に、スラリー状の導電性組成物を5m/分の速度で塗布した。アルミニウム集電箔上に形成された導電性接着剤層の表面を観察し、アルミニウム集電箔上の未塗工部発生率を求めた。未塗工部発生率を下記の基準により評価し、結果を表1に示した。未塗工部発生率が少ないほど塗工性に優れることを示す。
A:未塗工部が0%以上1%未満
B:未塗工部が1%以上5%未満
C:未塗工部が5%以上10%未満
D:未塗工部が10%以上
実施例および比較例で作製したラミネート型セルを用い、25℃で0.1Cの定電流で充電深度(SOC)50%まで充電し、電圧V1を測定した。その後、25℃で5Cの定電流で10秒間放電し、電圧V2を測定した。これらの測定結果から、電圧降下△V=V1−V2を算出した。算出された電圧降下△Vを、下記基準により評価し、結果を表1に示した。電圧降下△Vの値が小さいほど、出力特性に優れることを示す。
A:電圧降下△Vが100mV以上150mV未満
B:電圧降下△Vが150mV以上200mV未満
C:電圧降下△Vが200mV以上250mV未満
D:電圧降下△Vが250mV以上300mV未満
実施例および比較例で作製したリチウムイオン二次電池を25℃の環境下で24時間静置させた。その後、25℃の環境下で、1.0Cのレートにて4.2Vまで充電し、3.0Vまで放電する充放電の操作を行い、初期容量C0を測定した。さらに、このリチウムイオン二次電池を、60℃の環境下で、前記と同様の充放電を200回繰り返し(200サイクル)、200サイクル後の容量C1を測定した。サイクル特性(高温サイクル特性)は、ΔC=(C1/C0)×100(%)で示す容量維持率ΔCを算出し、以下の基準により評価した。この容量維持率ΔCの値が高いほど、サイクル特性に優れることを示す。
A:容量維持率ΔCが85%以上
B:容量維持率ΔCが80%以上85%未満
C:容量維持率ΔCが75%以上80%未満
D:容量維持率ΔCが75%未満
各実施例及び各比較例で用いるキトサン0.5%及び酢酸0.5%からなる水溶液を調製し、その粘度をブルックフィールドデジタル粘度計(以下、「B型粘度計」ということがある。)LVDV−IIProを使用して測定した。測定開始から60秒後の値をキトサン溶液の粘度の測定値とし、単位をmPa・sとして示した。測定条件は温度25℃、回転数60rpm、スピンドル形状を4とした。
(粒子状共重合体の製造)
撹拌装置を備えたステンレス製耐圧反応器に、2エチルヘキシルアクリレート63.4部、イタコン酸2.5部、スチレン34.1部、アンモニウムラウリルサルフェート(アニオン性界面活性剤)2部、およびイオン交換水108部を添加し、撹拌した。次いで、反応器内の温度を60℃に昇温した後、4%過硫酸カリウム水溶液10部を投入して重合反応を開始させた。そして、重合反応を進行させ、重合転化率が70%に達したとき、反応温度を70℃に昇温した。反応温度を70℃に維持しながら、重合転化率が97%に達するまで、重合反応を継続した。反応系を室温まで冷却して、重合反応を停止し、減圧して未反応単量体を除去した。イオン交換水を添加し、固形分濃度を45%、分散液のpHを7.5に調整することにより、粒子状共重合体の分散液を得た。なお、分散液のpHの調整は、10%アンモニア水溶液を添加することにより行った。得られた粒子状共重合体の体積平均粒子径は約300nmであり、表面酸量は0.2mmol/gであり、電解液膨潤度は120%であった。
イオン交換水に分散剤としてアニオン系の界面活性剤(デモールNL、花王製)1.5部、濡れ材としてポリエステル重合体(DISPERBYK−2010、BYK製)0.5部、粘度50mPa・sのキトサン水溶液(キトサン50(和光純薬工業株式会社製)0.5%、及び酢酸0.5%を含む水溶液)(以下の実施例及び比較例において、キトサン水溶液はキトサン化合物の他に酢酸を0.5%含む)をキトサン固形分相当で2部、上記にて得られた粒子状共重合体(スチレン/アクリル酸系ポリマー)を固形分相当で4部、及び防腐剤としてインチアゾリン化合物水溶液(ACTICIDE(登録商標)、MBS(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)/1,2−ベンズ−4−イソチアゾリン−3−オン(BIT)=50/50の5%水溶液)、ソー・ジャパン製)を固形分相当で0.1部添加し、1000rpmで10分間撹拌した。均一に撹拌されたことを確認した後、導電材として炭素材料(カーボンブラック(デンカブラック、電気化学工業社製)を5部、及びグラファイトを15部)を添加し、予備的な分散のため、ディスパーを使用して1200rpmで10分間撹拌した。その後、原料組成物の温度を20℃まで冷却し、高圧分散機としてナノヴェイタ(C−ES008、吉田機械興業株式会社製)を使用して、ノズル径が400μmのクロス型ノズルを用い、50MPaの条件で2回高圧分散処理を実施し、導電性組成物を作製した。得られた導電性組成物の固形分濃度は25質量%であった。また、得られた導電性組成物に含まれるキトサンの質量を粒子状共重合体の質量で除した値は、0.5であった。
得られた導電性組成物を、グラビアコーター(μCoater350TM、廉井精機製)を使用して5m/分の速度でアルミニウム集電箔の片面に塗布した。乾燥温度を100℃として、厚さ約1μmの導電性接着剤層を形成した。
正極の電極活物質として、体積平均粒子径が20μmのリチウム含有ニッケルマンガンコバルト複合酸化物を94部、正極用バインダーとしてポリフッ化ビニリデンの9.0%水溶液(HSV900、Kynar社製)を固形分相当で3部、電極用導電材としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状、電気化学工業社製)を3部、及び溶媒としてN−メチルピロリドンを加えてスラリーを作製した。N−メチルピロリドンを徐々に加えて固形分濃度を落としつつ、混練機(練太郎、シンキー社製)を使用して混練を繰り返した。最終的には全固形分濃度を55%まで落とし、塗工に適する粘度とし、正極用スラリーを得た。前記にて導電性接着剤層を形成したアルミニウム集電体に前記正極用スラリーを20m/分の電極成形速度で集電体の表面に塗布し、80℃で20分間、さらに120℃で20分間乾燥した後、4.0cm×3.8cmとなるように切り出して、片面厚さ100μmの正極組成物層を形成した。次いで、ロールプレスで圧延して厚さ50μmの正極用極板を得た。
前記正極、負極及びセパレータを用いて、積層型ラミネートセル形状のリチウムイオン電池を作製した。電解液としてはエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートを質量比3:7で混合したものに、ビニレンカーボネートを質量比で2.0%加え混合した溶媒に、LiPF6を1.0mol/リットルの濃度で溶解させたものを用いた。
使用するキトサン化合物の種類をキトサン5(和光純薬工業株式会社製)に変更し、粘度5mPa・sのキトサン水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様に導電性組成物の製造を行った。この導電性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に電極の作製および電池の製造を行った。
使用するキトサン化合物の種類をキトサン500(和光純薬工業株式会社製)に変更し、粘度500mPa・sのキトサン水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様に導電性組成物の製造を行った。この導電性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に電極の作製および電池の製造を行った。
2エチルヘキシルアクリレートの量を63.7部、イタコン酸の量を2部、スチレンの量を34.3部に変更したこと以外は、実施例1と同様に粒子状共重合体の製造を行った。得られた粒子状共重合体の体積平均粒子径は約300nmであり、表面酸量は0.15mmol/gであり、電解液膨潤度は120%であった。この粒子状共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様に導電性組成物の製造を行った。また、この導電性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に電極の作製および電池の製造を行った。
2エチルヘキシルアクリレートの量を64部、イタコン酸の量を1.5部、スチレンの量を34.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様に粒子状共重合体の製造を行った。得られた粒子状共重合体の体積平均粒子径は約300nmであり、表面酸量は0.1mmol/gであり、電解液膨潤度は120%であった。この粒子状共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様に導電性組成物の製造を行った。また、この導電性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に電極の作製および電池の製造を行った。
2エチルヘキシルアクリレートの量を73.1部、スチレンの量を24.4部に変更したこと以外は、実施例1と同様に粒子状共重合体の製造を行った。得られた粒子状共重合体の体積平均粒子径は約300nmであり、表面酸量は0.2mmol/gであり、電解液膨潤度は150%であった。この粒子状共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様に導電性組成物の製造を行った。また、この導電性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に電極の作製および電池の製造を行った。
粘度50mPa・sのキトサン水溶液をキトサン固形分相当で0.4部用いたこと以外は、実施例6と同様に導電性組成物の製造を行った。得られた導電性組成物に含まれるキトサンの質量を粒子状共重合体の質量で除した値は、0.1であった。この導電性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に電極の作製および電池の製造を行った。
2エチルヘキシルアクリレートの量を82.9部、スチレンの量を14.6部に変更したこと以外は、実施例1と同様に粒子状共重合体の製造を行った。得られた粒子状共重合体の体積平均粒子径は約300nmであり、表面酸量は0.2mmol/gであり、電解液膨潤度は180%であった。この粒子状共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様に導電性組成物の製造を行った。また、この導電性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に電極の作製および電池の製造を行った。
2エチルヘキシルアクリレートの量を64.7部、イタコン酸の量を0.5部、スチレンの量を34.8部に変更したこと以外は、実施例1と同様に粒子状共重合体の製造を行った。得られた粒子状共重合体の体積平均粒子径は約300nmであり、表面酸量は0.05mmol/gであり、電解液膨潤度は120%であった。この粒子状共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様に導電性組成物の製造を行った。また、この導電性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に電極の作製および電池の製造を行った。
導電性組成物の製造において、粘度0.5mPa・sのキトサン水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様に導電性組成物の製造を行った。この導電性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に電極の作製および電池の製造を行った。
なお、粘度0.5mPa・sのキトサン水溶液は、キトサン5(和光純薬工業株式会社製)0.5%、及び酢酸0.5%を含む水溶液を高圧分散機としてナノヴェイタ(C−ES008、吉田機械興業株式会社製)を使用して、ノズル径が400μmのクロス型ノズルを用い、200MPaの条件で3回高圧分散処理を実施することにより得た。
導電性組成物の製造において、粘度1000mPa・sのキトサン水溶液(ダイキトサンH(大日精化工業製)0.5%、及び酢酸0.5%を含む水溶液)を用いたこと以外は、実施例1と同様に導電性組成物の製造を行った。この導電性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に電極の作製および電池の製造を行った。
Claims (8)
- 0.5%酢酸水溶液に0.5質量%となるように溶解させた水溶液の粘度が1mPa・s以上500mPa・s以下であるキトサン化合物と、
表面酸量が0.1mmol/g以上である粒子状共重合体と、
導電材と
を含む電気化学素子用導電性組成物。 - 前記粒子状共重合体の電解液膨潤度が100%以上500%以下である請求項1記載の電気化学素子用導電性組成物。
- 前記キトサン化合物の質量を、前記粒子状共重合体の質量で除した値が0.1以上10以下である請求項1又は2記載の電気化学素子用導電性組成物。
- 前記粒子状共重合体は芳香族ビニル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含み、前記粒子状共重合体に含まれる芳香族ビニル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計量に対する芳香族ビニル単量体単位の含有割合が10質量%以上70質量%以下である請求項1〜3の何れかに記載の電気化学素子用導電性組成物。
- 前記粒子状共重合体は芳香族ビニル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含み、前記粒子状共重合体に含まれる芳香族ビニル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計量に対する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合が30質量%以上90質量%以下である請求項1〜4の何れかに記載の電気化学素子用導電性組成物。
- 請求項1〜5の何れかに記載の電気化学素子用導電性組成物を含んでなり、電極活物質を含有する、電気化学素子電極用組成物。
- 集電体上に、請求項1〜5の何れかに記載の電気化学素子用導電性組成物を用いてなる導電性接着剤層を有する、接着剤層付集電体。
- 請求項7に記載の接着剤層付集電体の前記導電性接着剤層上に、電極活物質を含む電極組成物層を有する、電気化学素子用電極。
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