以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
まず、図1を用いて、本発明の実施の一形態に係る錠剤印刷装置10について説明する。
錠剤印刷装置10は、印字対象の錠剤Tの両面に印刷を施すものであり、錠剤Tを貯めるホッパー11を有している。このホッパー11の下端には、錠剤Tを下方に供給する開口を有する振動フィーダ12が設けられている。この振動フィーダ12の開口部分の下方には、無端状の錠剤搬送用ベルト13aを有する第1搬送フィーダ13の端部が対向配置されている。この錠剤搬送用ベルト13aは、振動フィーダ12から供給された錠剤Tを吸着保持して搬送方向下流(図中右方向)に搬送するもので、1対のプーリ―13b及び13cに架け渡され時計方向に回転するように構成されている。また、搬送方向下流(図中右方向)には、錠剤Tを整列するための整列ガイド13eが設けられている。また、この第1搬送フィーダ13には、模式的に示すが、内部に吸引機構13dが設けられており、この吸引機構13dは錠剤搬送用ベルト13a上に錠剤Tを吸着保持するための吸引チャンバであって、図示しない吸引源によってこの吸引チャンバ内を真空にすることにより、錠剤搬送用ベルト13a上の錠剤Tを吸着保持可能な構造となっている。
なお、錠剤搬送用ベルト13aについては、後ほど詳述するが、錠剤Tを吸引するための吸引孔が備えられており、錠剤Tはこの吸引孔を介して吸引機構13dからの吸引力を受けて吸着保持される。
また、この第1搬送フィーダ13の搬送方向下流側(図中右方向)には、第1搬送機構14が配置されている。この第1搬送機構14は、錠剤Tを吸着保持して搬送方向下流(図中右方向)に搬送する無端状の錠剤搬送用ベルト14aを有している。また、この錠剤搬送用ベルト14aは、モータMにより時計方向に回転する駆動プーリ―14b及び3点プーリ―14cに架け渡されている。また、この第1搬送機構14には、内部に吸引機構14dが設けられており、この吸引機構14dは錠剤搬送用ベルト14a上に錠剤Tを吸着保持するための吸引チャンバであって、図示しない吸引源によってこの吸引チャンバ内を真空にすることにより、錠剤搬送用ベルト14a上の錠剤Tを吸着保持可能な構造となっている。
なお、錠剤搬送用ベルト14aについては、後ほど詳述するが、錠剤Tを吸引するための吸引孔が備えられており、錠剤Tはこの吸引孔を介して吸引機構14dからの吸引力を受けて吸着保持される。
また、この第1搬送機構14と第1搬送フィーダ13との間の上方には、その両端が第1搬送機構14と第1搬送フィーダ13の各端部とラップするように第2搬送フィーダ15が配置されている。この第2搬送フィーダ15は、第1搬送フィーダ13から供給された錠剤Tを第1搬送機構14に受け渡すためのものである。この第2搬送フィーダ15は、無端状の錠剤搬送用ベルト15aを有しており、この錠剤搬送用ベルト15aは反時計方向に回転するプーリ―15b、15cに架け渡されている。
また、この第2搬送フィーダ15は、内部に吸引機構15dが設けられており、この吸引機構15dは錠剤搬送用ベルト15a上に錠剤Tを吸着保持するためのものである。この吸引機構15dは、上述の第1搬送機構14が有する吸引機構14dと同様、吸引チャンバであって、図示しない吸引源によってこの吸引チャンバ内を真空にすることにより錠剤搬送用ベルト15a上(第2搬送フィーダ15の下面)において錠剤Tを吸着保持可能な構造となっている。また、錠剤搬送用ベルト15aについては、後ほど詳述するが、錠剤Tを吸引するための吸引孔が備えられており、錠剤Tはこの吸引孔を介して吸引機構15dからの吸引力を受けて吸着保持される。
また、第1搬送機構14の錠剤搬送用ベルト14a上の搬送方向下流側(図中右方向)には、第1位置検出センサ16、第1姿勢確認カメラ17、第1インクジェットユニット18及び第1印字確認カメラ19が順に対向配置されている。この第1位置検出センサ16は、錠剤搬送用ベルト14a上に吸着保持された錠剤Tの錠剤搬送用ベルト14a上における位置を検出するものである。なお第1検出センサ16の検出信号は、トリガー信号として第1姿勢確認カメラ17、第1インクジェットユニット18及び第1印字確認カメラ19で用いられるようになっている。第1姿勢確認カメラ17は、錠剤搬送用ベルト14a上に吸着保持された錠剤Tの姿勢を確認するためのものである。ここで言う錠剤Tの姿勢とは、錠剤Tの位置や向き、例えば割線等のマークを有する錠剤である場合に、その割線等のマークの有無、割線等のマークの方向及び傾きなどを言う。
この第1インクジェットユニット18は、第1姿勢確認カメラ17からの錠剤Tの姿勢に関する情報を受け、錠剤搬送用ベルト14a上に吸着保持された錠剤Tの表面に文字、数字等の所定の印刷を行うものである。また、第1印字確認カメラ19は、第1インクジェットユニット18によってなされた錠剤Tの表面の印刷の状態を確認するものである。すなわち、この第1印字確認カメラ19は印刷の良否を判断するもので、この良品不良品の判断情報は、後段で別々に回収する際の判断信号として供給される。
また、この第1搬送機構14の下方には、錠剤Tの印刷面を乾燥させることにより、錠剤Tに印刷されたインクを錠剤Tに定着させる第1乾燥機構20が配置されている。この第1乾燥機構20の錠剤Tの搬送方向下流側(図中左方向)には、第2搬送機構21が設けられている。
この第2搬送機構21は、その端部で第1搬送機構14から錠剤Tを反転した状態で受け取る無端状の錠剤搬送用ベルト21aを有している。この錠剤搬送用ベルト21aは、錠剤Tを吸着保持して搬送方向下流(図中左方向)に搬送するもので、モータMにより反時計方向に回転する駆動プーリ―21b及び3点プーリ―21cに架け渡されている。
また、この第2搬送機構21は、内部に吸引機構21dが設けられており、この吸引機構21dは、錠剤搬送用ベルト21a上に錠剤Tを吸着保持するための吸引チャンバであって、図示しない吸引源によってこの吸引チャンバ内を真空にすることにより、錠剤搬送用ベルト21a上の錠剤Tを吸着保持可能な構造となっている。なお、錠剤搬送用ベルト21aについても上述した第1搬送機構14の錠剤搬送用ベルト14aと同様、錠剤Tを吸引するための吸引孔が備えられており、錠剤Tはこの吸引孔を介して吸引機構21dからの吸引力を受けて吸着保持される。
また、この錠剤搬送用ベルト21a上の搬送方向下流側(図中右方向)には、第2位置検出センサ22、第2姿勢確認カメラ23、第2インクジェットユニット24及び第2印字確認カメラ25が順に対向配置されている。これらの各部は、第1搬送機構14の錠剤搬送用ベルト14a上に対向配置されたものと同一機能を有しているので、各部の詳細な説明は省略する。
この第2搬送機構21の下方には、錠剤Tの印刷面を乾燥させる第2乾燥機構26が配置されている。この第2乾燥機構26の錠剤Tの搬送方向下流側(図中右方向)には、第2印字確認カメラ25及び第1印字確認カメラ19からの良品不良品の判断情報により、印刷が良好に印刷された良品とそれ以外の不良品を分別して収納する錠剤収納部27が設けられている。
これらの各部は、制御部28により総合的に制御されている。すなわち、この制御装置は、後述するように錠剤Tの位置情報及び姿勢情報を受け、第1、第2インクジェットユニット18、24に印字情報を供給するほか、錠剤Tを錠剤搬送用ベルト13a、14a,15a及び21a上に吸着保持させる各吸引機構13d、14d、15d及び21dの吸引力、錠剤Tを搬送する錠剤搬送用ベルト13a、14a,15a及び21aの搬送速度、錠剤Tにインクを定着させる乾燥機構20及び26の送風力及び良品不良品の選別収納等々の制御を行っている。
なお、第1搬送フィーダ13から第2搬送フィーダ15、第2搬送フィーダ15から第1搬送機構14、第1搬送機構14から第2搬送機構21への錠剤Tの受け渡しは、錠剤Tへの吸引力を調整することにより行える。たとえば、その受け渡しを行う領域での各吸引機構13d、14d、15d及び21dでの受け渡し側の吸引力を受け取り側の吸着保持力より弱くなるように構成する。あるいは、受け渡しを行う領域では、受け取る側の吸引のみが作用するように、受け渡す側の吸引力の働きを停止させる。このような構成を採用することにより良好な錠剤Tの受け渡しを行うことができる。
また、各錠剤搬送用ベルト13a、14a、15a及び21aの搬送方向と直交する位置には、それぞれブロワー(送風機構)29(29a、29c、29b、29d)が配置されている。このブロワー29は、各錠剤搬送用ベルト13a、14a、15a及び21a上に供給された錠剤Tのうち、後述するように、安定して吸着保持されていない錠剤Tを各錠剤搬送用ベルト13a、14a、15a及び21aから吹き飛ばし、除去するためのものであって、第1搬送機構14、第2搬送機構21においては、第1姿勢確認カメラ17および第2姿勢確認カメラ23よりも、錠剤の搬送方向上流側に設けられる。
このため、各ブロワー29は、対応するベルトにおける錠剤搬送経路の側方(図2参照。)に位置し、ベルトで搬送されてくる錠剤の側方側から気体が吹きつけられるように構成することができる。
次に、以上のように構成された錠剤印刷装置10の動作について、錠剤Tが搬送される順に沿って説明する。
ホッパー11に溜められた錠剤Tは、振動フィーダ12により第1搬送フィーダ13の錠剤搬送用ベルト13a上に複数供給される。この錠剤搬送用ベルト13a上に供給された錠剤は、整列ガイド13eにより整列されて搬送方向下流側(図中右方向)に吸引搬送される。この錠剤搬送用ベルト13a上に吸着保持されていない、または安定して吸着保持されていない錠剤Tは、ブロワー29aによる送風により錠剤搬送用ベルト13a上から吹き飛ばされ、錠剤搬送用ベルト13a上から除去される。なお、整列ガイド13eについては後ほど詳述する。
この整列ガイド13eにより整列された錠剤Tは、第2搬送フィーダ15に受け渡される。すなわち、錠剤搬送用ベルト13aに整列され搬送された錠剤Tは、その上部に位置する第2搬送フィーダ15に吸引され、引き渡される。このため第2搬送フィーダ15の吸引機構15dは、この第2搬送フィーダによって安定した吸着状態の錠剤Tが、第2搬送フィーダ15から落下しない吸引力を錠剤Tに供給している。
なお、この錠剤搬送用ベルト15a上に安定して吸着保持されていない錠剤Tは、ブロワー29bによる送風により錠剤搬送用ベルト15a上から吹き飛ばされ、錠剤搬送用ベルト15a上から除去される。
そして、この錠剤搬送用ベルト15aに吸着保持され搬送された錠剤Tは、第1搬送機構14の錠剤搬送用ベルト14aに受け渡される。
なお、この錠剤搬送用ベルト14a上に吸着保持されていない、または安定して吸着保持されていない錠剤Tは、ブロワー29cによる送風により錠剤搬送用ベルト14a上から吹き飛ばされ、錠剤搬送用ベルト14a上から除去される。
この錠剤搬送用ベルト14aに受け渡され吸着保持された錠剤Tは、搬送方向下流(図中右方向)に搬送される。したがって、錠剤搬送用ベルト14a上に安定して吸着保持された錠剤Tが、搬送方向下流(図中右方向)に配置された第1位置検出センサ16を通過し、第1姿勢確認カメラ17の下方に到達する。そして、第1姿勢確認カメラ17でその錠剤Tの姿勢、例えば錠剤Tに形成された割線等のマークの有無、割線等のマークの方向及び傾きなどが撮影される。この錠剤Tの姿勢情報は、後段の第1インクジェットユニット18に供給される。そして、第1姿勢確認カメラ17の下方を通過した錠剤Tは、第1インクジェットユニット18の印刷位置へと搬送され、この第1インクジェットユニット18により錠剤Tの一表面に文字、数字等の所定の印刷が施される。
この錠剤Tの印刷状態は、搬送方向下流側(図中に右方向)に位置する第1印字確認カメラ19で確認される。第1印字確認カメラ19により、印刷が良好に行われている錠剤Tと良好に印刷が行われていない不良品とに判別され、その印刷情報により後段の錠剤収納部27で良品と不良品が分別され収納されることになる。そして、印刷された錠剤Tは、錠剤搬送用ベルト14aに吸着保持されたまま錠剤搬送用ベルト14aの下側に搬送され、第1乾燥機構20に対向する位置に搬送される。ここで、この第1乾燥機構20により、錠剤Tの一表面に印刷された文字、数字等が錠剤Tに定着し、印刷が完了する。
一表面に印刷が施された錠剤Tは、錠剤搬送用ベルト14a上に吸着保持されたまま第2搬送機構21が配置されている搬送方向下流側(図中左方向)に搬送され、錠剤搬送用ベルト14aから第2搬送機構21の錠剤搬送用ベルト21aに反転した状態で受け渡される。この受け渡しにより錠剤Tの印刷が施されていない他表面が錠剤搬送用ベルト21a上で上方に向いて配置される。
なお、錠剤搬送用ベルト14aから錠剤搬送用ベルト21aへの受け渡し時、あるいは搬送中に安定して吸着保持されていない状態となった錠剤Tは、ブロワー29dによる送風により錠剤搬送用ベルト21a上から吹き飛ばされ、錠剤搬送用ベルト21a上から除去される。
この反転された錠剤Tは、第2位置検出センサ22及び第2姿勢確認カメラ23でその位置及び姿勢が確認され、第2インクジェットユニット24の印刷位置へと搬送される。そして、錠剤Tの他表面に第2インクジェットユニット24により文字、数字等の所定の印刷が施される。この錠剤Tの印刷状態は、第2印字確認カメラ25で確認された後、第2乾燥機構26で乾燥され、インクが定着される。
このようにして、第2インクジェットユニット24により錠剤Tの他表面に印刷が施されることにより、錠剤Tの両面に印刷が施される。そして、第1、第2インクジェットユニット18、24によりその両面に印刷が施された錠剤Tは、第1印字確認カメラ19、第2印字確認カメラ25による判定結果に基づいて、錠剤収納部27に分別して収納される。
次に、図2乃至図4を用いて本発明の実施の形態に係る錠剤搬送用ベルトについて説明する。この錠剤搬送用ベルトは、先に説明した錠剤搬送用ベルト13a、14a、15a及び21aのいずれか、あるいはすべてに適用できるものであるが、ここでは第1搬送機構14の錠剤搬送用ベルト14aに適用した例を説明する。
さて、図2は、図1に示した第1搬送機構14の錠剤搬送用ベルト14a上に錠剤が載置されていない状態を示す平面図である。
この錠剤搬送用ベルト14aには、錠剤の外径より小さい円径の吸引孔30が設けられている。この吸引孔30は、密集して(一つの孔を基準として見た場合に、その孔に対して錠剤の搬送方向に対してだけでなく、搬送方向に直交する方向にも孔が形成されていることを言う。)吸引孔群31を形成している。この吸引孔群31が形成する吸引エリアは、錠剤を安定して吸着保持できるエリアであり、搬送方向に一定ピッチLで直線状に連続して配置されている。この各吸引孔群31のピッチLは、錠剤の径Sより広い間隔となっている。また、この吸引エリアは、直径dの円形に形成されており、たとえば搬送される錠剤の外径の80%の径で形成されている。もちろん、錠剤の外径より大きく構成されていてもよい。
図2に示されるように、この実施の形態において、複数の吸引孔群31は、1つの吸引孔群31によって形成される吸引エリアの中心、図2では直径dの円形の中心が、錠剤の搬送方向に沿って等間隔(L+d)となるように配置される。そして、1つの吸引孔群31において、各吸引孔30の隣接間隔は(L+d)以下とされる。
次に、図3及び図4を用いて錠剤Tの吸着保持状態について説明する。
図3は錠剤搬送用ベルト14a上に錠剤が載置されている状態を示しており、各錠剤は説明の都合上錠剤T1、T2……と符号を付す。
この錠剤搬送用ベルト14a上には、上流側フィーダから連続的に供給された、錠剤T1から錠剤T6で示すように6錠の錠剤が載置されている。
しかし、これらの錠剤T1からT6は、ホッパー11からランダムなタイミングで供給され、錠剤搬送用ベルト14aに至るため、錠剤搬送用ベルト14a上の搬送方向での搬送ピッチが規則的ではない。このため、錠剤搬送用ベルト14aに設けられた吸引孔群31とのラップ量が不規則となる。すなわち、吸引孔群31とほとんどラップする錠剤T1、錠剤T4及び錠剤T6、全くラップしない錠剤T2、錠剤T5、ラップするも僅かなラップ量となる錠剤T3とそれぞれ異なった状況となる。
錠剤T1、錠剤T4及び錠剤T6は、錠剤搬送用ベルト14aに設けられた吸引孔群31の上部に供給され、各錠剤は、平面視で、その面積の80%以上が吸引孔群31が形成する吸引エリアとラップしている。したがって、これらの錠剤T1、錠剤T4及び錠剤T6は、第1搬送機構14の内部に設けられた吸引機構14dの吸引力によりそれぞれ吸引孔群31を介して錠剤搬送用ベルト14a上に安定的に吸着保持される。
一方、錠剤T2、錠剤T3、錠剤T5は、吸引エリアとラップしていないか、ほとんどラップしていないため、吸引機構14dからの吸引力が作用せず、錠剤搬送用ベルト14a上に単に載置された状態となる。したがって、これらの錠剤T2、錠剤T3、錠剤T5は、その位置が固定されたものではなく、つまりベルトによる搬送に耐え得る十分な保持力で、保持されていない不安定状態となるため、後段の第1インクジェットユニット18による印刷には適していない。すなわち、第1位置検出センサ16で位置を検出した後、あるいは第1姿勢確認カメラ17で姿勢を確認した後、第1インクジェットユニット18に至るまでの間に位置や姿勢が変わってしまうことがある。したがって、これらの錠剤T2、錠剤T3、錠剤T5は、ブロワー29による送風により錠剤搬送用ベルト14a上から吹き飛ばされ、予め錠剤搬送用ベルト14a上から除去される。そのため、ブロワーからの風の強さ(風量)は、平面視で、たとえば錠剤の面積の8割程度が吸引孔群にラップするように保持されている場合には、その錠剤を吹き飛ばないような強さであるようにすることができる。言い換えれば、吸引孔群31に不安定に吸着保持されている、あるいは吸着保持されていない錠剤だけを排除する強さである
この錠剤と吸引孔群31が形成する吸引エリアとのラップ量により、吸引孔群31に適正に(安定して)吸着保持されるかどうかが決まる。そのラップ量は、重量、大きさ、形状など錠剤の特有の性質、吸引機構14dの吸引力あるいは搬送速度などに基づき、搬送ベルト上に錠剤が保持されたまま途中で著しく位置がずれることのないことを考慮して、実験等により適切な値に設定される。この場合、後段の第1インクジェットユニット18による印刷が適正に行えるように吸着保持されていることが重要である。概ねこのラップ量は70%以上が好ましい。また、錠剤搬送用ベルト14aに十分な保持力で保持されていない、不安定状態の錠剤を第1位置検出センサ16に到達する前の段階で除去するため、図1に示されるように、錠剤搬送用ベルト14に設けるブロワー29cは、第1位置検出センサ16に対し、錠剤の搬送方向上流側に配置することが好ましい。
ここで、図4を用いて適正に吸着保持された錠剤T1、錠剤T4及び錠剤T6について説明する。これらの錠剤T1、錠剤T4及び錠剤T6は、吸引孔群31に吸着保持されていることから、その搬送ピッチは、吸引孔群31の形成されたピッチLと略同一かあるいは整数倍となる。すなわち、これらの錠剤T1、錠剤T4及び錠剤T6が後段の第1位置検出センサ16、第1姿勢確認カメラ17、第1インクジェットユニット18及び第1印字確認カメラ19の各位置に到達するタイミングは、吸引孔群31の形成されたピッチLと略同一かあるいは整数倍となる。
したがって、例えば第1姿勢確認カメラ17は、吸引孔群31の形成されたピッチLに基づくタイミングをトリガー信号の代わりとして利用し、吸引孔群31の到来する予め定まったタイミングに合わせて、その吸引孔群部分を撮影するようにしても良い。このようにすれば、従来のように錠剤のランダムな位置情報を常に把握し、後段の各部の制御信号とする必要がなくなり、これにより後段の制御が簡便となる。
このトリガー信号に代わるタイミングは、第1インクジェットユニット18でも利用することが可能であることはもちろんである。すなわち、第1インクジェットユニット18は、錠剤搬送用ベルト14aの吸引孔群31の到来に合わせて、第1姿勢確認カメラ17からの錠剤の姿勢に関する情報を得て前記錠剤表面に印刷を施すことができる。
このように予め定まっているタイミングで搬送された錠剤T1、錠剤T4及び錠剤T6は、図1で説明したように、第1位置検出センサ16を通過し、第1姿勢確認カメラ17の下方に到達し、第1姿勢確認カメラ17でその錠剤Tの姿勢、例えば錠剤Tに形成された割線等のマークの有無、割線等のマークの方向及び傾きなどが撮影される。この錠剤Tの姿勢情報は、後段の第1インクジェットユニット18に供給される。そして、第1姿勢確認カメラ17の下方を通過した錠剤Tは、第1インクジェットユニット18の印刷位置へと搬送され、この第1インクジェットユニット18により錠剤Tの一表面に文字、数字等の所定の印刷が施されることになる。
尚、吸引孔群31が形成する吸引エリアのピッチLは、印刷を施す錠剤の径Sより大きいことが重要である。すなわち、このピッチLが錠剤の径Sより小さい場合、一つの錠剤が、隣接する吸引エリア間で吸着固定されてしまう可能性があり、この状態で後段に搬送されると予め予測可能なタイミングでの制御ができなくなる。
次に、図5を用いて、本発明を、第1搬送フィーダ13の錠剤搬送用ベルト13aに適用した例を説明する。この錠剤搬送用ベルト13a上には、振動フィーダ12から多くの錠剤が供給され、この多量に供給された錠剤を整列ガイド13eにより整列して後段へ搬送するように構成されている。この整列ガイド13eは、図5に示すように搬送ベルト13aの幅方向における搬送領域を狭めるように、搬送ベルト13aの両端にそれぞれ設けられる、例えば平面視で五角形の部材である。この整列ガイド13eの先端部に錠剤Tが衝突することによって、一対の整列ガイド13eの間に整列できなかった錠剤Tを錠剤搬送用ベルト13a上から除去する。さらにここでは、錠剤搬送用ベルト13aの搬送方向と直交する位置にブロワー29aを設け、整列ガイド13eの上流側において、錠剤搬送用ベルト13a上に吸着保持されていない、または安定して吸着保持されていない錠剤Tを強制的に錠剤を除去するような構成を採用している。
したがって、余分な錠剤を強制的に除去することにより、整列ガイド13eの入り口で錠剤が詰まる等の支障が生じることがなくなり、スムースに錠剤を整列して搬送することが可能となる。
なお、本発明の実施形態では、円形の吸引孔あるいは略円形状に配置された吸引孔群を用いて説明したが、これらの形状は矩形状でも楕円形状でも良く、搬送される錠剤を十分に吸着保持できる形状であればよい。
例えば、図6に示すように、楕円形の吸引孔と真円の吸引孔とを組み合わせた吸引孔群、つまり異なる形状の吸引孔の集合体から構成される吸引孔群であっても良いし、あるいは図7に示すように、矩形状の吸引孔を複数有する吸引孔群であっても良い。
また前述した通り、「密集」とは一つの吸引孔を基準として見た場合に、その吸引孔に対して錠剤の搬送方向に直交する方向に吸引孔が形成されていることを言う。したがって、例えば図8に示すように、吸引孔が搬送方向に直交する方向に複数並んでいる吸引孔群であっても良い。
また、本発明の実施形態では、錠剤と吸引孔群が形成する吸引エリアとのラップ量が70%以上であることが好ましいとしたが、これに限られない。例えば図9に示すように、錠剤と、各々の吸引孔の外側を結んだエリア310のラップする量が十分であれば錠剤が十分に保持される。したがって、錠剤と、吸引孔の外側を結んでできるエリア310とのラップ量が70%以上であることが好ましい。
さらに、錠剤の両面に印刷を施す錠剤印刷装置10に利用する例を説明したが、錠剤の片面に印刷を施す装置に利用できることはもちろんである。
また、各ベルトにブロアー29を設けて良いことを記載したが、例えば第2の搬送フィーダ15においては、不安定な保持状態の錠剤は、その自重で落下することも考えられるので、ブロワー29bを省略するようにしても良い。
また、例えば第2の搬送フィーダ15に本発明を適用した場合には、ベルトによる錠剤の搬送ピッチを所定ピッチL或いはその整数倍とすることができるので、錠剤搬送用ベルト14a、21a等のベルトは、単一の孔が錠剤の搬送方向に所定ピッチで複数設けられる等のベルトでも構わない。この場合、錠剤搬送用ベルト14a、21a等に対応して、ブロワーが必要なくなる。
なお、本発明を錠剤搬送用ベルト14aに用いた場合を説明したが、13a、15a、21aで用いるようにしても良い。
本発明を錠剤搬送用ベルト13aに用いた場合には、装置構成上、回収機構を設けやすい位置であるため、ベルト上から排除された錠剤を回収・再利用することが容易となる。
また、第1印字確認カメラ19で印刷が良好に行なわれていないと判定された錠剤に対しては、第2インクジェットユニット24で印刷しないようにしても良い。
また、各ブロワーからの気体噴射は、連続噴射でもよいが、間欠噴射でもよい。間欠噴射の場合、吸引孔群と吸引孔群の間の位置に向けて気体を噴出するようにすると不安定な吸着状態にある錠剤を除去する点において効果的である。
また、各ベルトに対応して配置するブロワーの設置位置に関しては、ブロワー29から噴出される気体によって、錠剤の受け渡しに支障が生じない場所が良く、例えば各ベルトによる錠剤の搬送方向長さの中央部よりやや下流側とすることができる。
また、各ベルトに対応して配置するブロワーの設置位置と対向する位置に、ブロワーによって吹き飛ばされた錠剤Tを受ける吸引機構(不図示)設けるようにしても良い。この吸引機構によって、各ベルト上に吸着保持されていない、または安定して吸着保持されていない錠剤Tを回収することができ、再度、印刷に供することができる。また、ブロワーによって吹き飛ばされた錠剤Tが錠剤印刷装置10内の複数箇所に散乱するのを防ぐことができる。
また、第1搬送機構14で得たタイミング情報は、第2搬送機構21における印刷でも利用することができる。このとき、第2搬送機構21は、第1搬送機構14と同様の吸引孔群を有するベルトであっても良いし、第2搬送機構21は、全体が吸引可能になっているようなベルトであっても良い。なおこの場合は、第1搬送機構14、第2搬送機構21の回転を孔の位置を含め完全に同期させておくようにすることができる。
また、錠剤としては、円形の錠剤を用いて説明を進めるが、錠剤としては、裸錠(素錠剤)、糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠、多層錠、有核錠等の錠剤やタブレットを含むほか、硬カプセル、軟カプセル等のカプセル錠、その他これに類する小型の固形物を含み得るもので、医薬用、食用、洗剤用、工業用等、その用途を問わない。
以上、本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。