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JP2017114718A - 化学強化用ガラス板及び化学強化ガラスの製造方法 - Google Patents

化学強化用ガラス板及び化学強化ガラスの製造方法 Download PDF

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JP2017114718A JP2015250883A JP2015250883A JP2017114718A JP 2017114718 A JP2017114718 A JP 2017114718A JP 2015250883 A JP2015250883 A JP 2015250883A JP 2015250883 A JP2015250883 A JP 2015250883A JP 2017114718 A JP2017114718 A JP 2017114718A
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洋貴 中村
Hirotaka Nakamura
洋貴 中村
直樹 三田村
Naoki Mitamura
直樹 三田村
都築 達也
Tatsuya Tsuzuki
都築  達也
松田 裕
Yutaka Matsuda
裕 松田
直也 平田
Naoya Hirata
直也 平田
村本 正
Tadashi Muramoto
正 村本
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Abstract

【課題】汎用フロートガラスと同等の溶融性を有しながら、高強度な化学強化ガラスとしやすく、さらにはクラックレジスタンスが大きいガラス板を提供することを課題とする。
【解決手段】ガラス組成が、mol%で、SiO 66〜71、Al 2〜3、NaO 13〜17、MgO 9〜14.5、CaO 0〜1.5であり、かつ、MgO+CaOが9〜16であり、CaOと、MgOとCaOの合計とのモル比において、CaO/(MgO+CaO)が0〜0.09であり、粘度が10dPa・sとなる温度が1560℃以下であることを特徴とする化学強化用ガラス板。
【選択図】なし

Description

本発明は、フロート法で製造しやすく、かつ、高強度な化学強化ガラスを得やすいガラス板に関する。
高強度の化学強化ガラスを得るためには、素板となるガラス板(以下、化学強化用ガラス板とも言う)のガラスは、組成的に、フロートガラス板として汎用的に流通しているソーダ石灰ケイ酸塩ガラス(当該ガラスの組成は、ISO16293−1:2008で規定されている。本明細書では、当該ガラスを以降「汎用フロートガラス」と表記する。)と比較して、Alと、ZrOを多く含有している必要がある(このようなガラスとしては、例えば、特許文献1、2等を参照されたい。)。しかしながら、ZrOを多く含有するガラスは、溶融温度が高くなり、フロート法による製造が難しくなるため、ZrOの含有量は少ないほうが好ましい。
他方、特許文献3には、フロート法による製造に適した溶融温度を有し、ZrOを含有していない、化学強化用のガラス組成物に関する発明が記載されている。
特開2005−015328号公報 特開平10−182182号公報 国際公開WO2014−148020号(特許第5779296号)公報
汎用フロートガラス並みの溶融性を有し、汎用フロートガラスよりも高強度な化学強化ガラスとしやすい化学強化用ガラス板としては、クラックレジスタンスが大きいものが求められている。これは、化学強化用ガラス板のクラックレジスタンスが大きいと、該化学強化用ガラス板を化学強化した化学強化ガラスもクラックレジスタンスが大きくなり、化学強化ガラス表面に傷や割れ(クラック)を生じにくくすることが出来るためである。
しかし、特許文献3に記載の化学強化用のガラス組成物は、クラックレジスタンスを向上させる余地があった(後述の比較例6、7参照)。
そこで、本発明は、以上を鑑み、汎用フロートガラスと同等の溶融性を有し、汎用フロートガラスよりも高強度な化学強化ガラスとしやすい化学強化用ガラス板のうち、クラックレジスタンスが大きい化学強化用ガラス板を提供することを課題とする。
本発明の化学強化用ガラス板は、ガラス組成が、mol%で、SiO 66〜71、Al 2〜3、NaO 13〜17、MgO 9〜14.5、CaO 0〜1.5であり、かつ、MgO+CaOが9〜16であり、CaOと、MgOとCaOの合計とのモル比において、CaO/(MgO+CaO)が0〜0.09であり、粘度が10dPa・sとなる温度が1560℃以下であることを特徴とする。
また、本発明の化学強化用ガラス板は、ガラス組成が、mol%で、SiO 66〜69、Al 2〜3、NaO 13〜16、MgO 12〜14.5、CaO 0.5〜1.5であり、かつ、MgO+CaOが13〜15であり、CaOと、MgOとCaOの合計とのモル比において、CaO/(MgO+CaO)が0.05〜0.09であり、粘度が10dPa・sとなる温度が1550℃以下であることを特徴とする。
また、本発明の化学強化用ガラス板は、ガラス清澄剤としてのNaSO由来のSO、Sb、SnO、ガラスの着色を目的としたFe、TiO、CoO、NiOなどの遷移金属化合物の合計含有量が、0 .5mol%以下であることを特徴とする。
また、本発明の化学強化用ガラス板は、ガラス原料から不可避的に混入される不純物であるフッ素、ZnO、B、LiO,Pの合計含有量が、0.1mol%以下であることを特徴とする。
また、本発明の化学強化ガラスの製造方法は、上述の化学強化用ガラス板を、Naイオンのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する一価の陽イオンを含む溶融塩に浸漬することにより、前記ガラス板に含まれるNaイオンと前記一価の陽イオンとをイオン交換して得ることを特徴とする。
なお、本発明では、数値範囲や、mol比を規定する数値範囲は、特別に記載がない限り、表記されている数値を有効桁として考え、表記外の桁(小さい側桁)においては、表記外の桁のうち最大の桁を四捨五入して本発明の数値範囲内かどうかを決める。例えば、SiO 65〜70にあっては、最小側は、64.5、最大側は、70.4がその射程内と定義できる。
前記ガラス組成を有するガラス板とすることで、フロート法で製造しやすく、化学強化前のクラックレジスタンスが大きいガラス板とすることができる。尚、本発明でクラックレジスタンスが大きいとは、クラックレジスタンスが9.8N以上、好ましくは19.6N以上であることを意味する。化学強化用ガラス板のクラックレジスタンスが大きいと、該化学強化用ガラス板を化学強化した化学強化ガラスのクラックレジスタンスはさらに大きくなり、化学強化ガラス表面に傷や割れ(クラック)が生じにくくなるため、化学強化ガラスの機械的強度が低下しにくくなり、また機械的強度がばらつきにくくなる。また、粘度が10dPa・sとなる温度は、溶融温度と称されており、ガラス原料やガラスを溶融してガラス融液化を可能とする温度を示し、この値が1560℃以下であれば、汎用フロートガラスと同等のエネルギー量によりガラス原料やガラスを容易に溶かすことができ、脱泡や清澄が促進される。粘度が10dPa・sとなる温度は、好ましくは、1530℃以下、より好ましくは、1520℃以下である。この温度については、下限は特にはないが、1400℃未満だと得られるガラス板の化学的耐久性が低下するという傾向があるので、この下限は1400℃としてもよい。
また、本発明は、上記化学強化用ガラス板を、Naイオンのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する一価の陽イオンを含む溶融塩に浸漬することにより、前記ガラス板に含まれるNaイオンと前記一価の陽イオンとをイオン交換して得られた化学強化ガラス板である。本発明の化学強化ガラスでは、表面圧縮応力(CS)が500〜1300MPa、圧縮層深さ(DOL)が5〜50μmと比較的、高強度なものとすることができる。
本発明の化学強化用ガラス板は、汎用フロートガラスと同等の溶融性を有しながら、高強度な化学強化ガラスとでき、さらにはクラックレジスタンスを大きくすることに奏功する。
本発明の化学強化用ガラス板を化学強化したガラス板は、クラックレジスタンスが大きいため、例えば、落下の危険性のある携帯電話やタブレットPC等のモバイル機器のカバーガラスとして好適に用いることが出来る。また、モバイル機器は軽量・薄型化が要求されていることから、本発明のガラス板は、平面状で厚さ0.1mm〜4mm、好ましくは0.2〜3.5mm、より好ましくは0.3〜3.0mmであり、フロート法で製造されたものとすることが好ましい。以下、本発明のガラス板を形成するガラス組成の各成分と、その導入範囲について説明する。
1.ガラス組成の各成分について
<SiO
SiOはガラスの主成分となるもので、ガラスの網目構造の形成上必須不可欠の成分であり、その含有量は、66〜71mol%とされる。66mol%未満だと、ガラス構造が不安定となり、71%mol%超だと溶融温度が高くなり溶融し難くなる。好ましくは、67〜69mol%、さらには、67〜68mol%とすることが好ましい。
<Al
Alはガラス板の化学強化を容易にする成分で、その含有量は2〜3mol%とされる。その含有量において、2mol%未満だと、ガラス板は化学強化により得られる性能を発揮できなくなる傾向があり、3mol%超だと、溶融温度が高くなり溶融し難くなる傾向がある。これらを考慮すると、Alの含有量は、好ましくは、2.3〜3mol%、さらには、2.4〜2.9mol%とすることが好ましい。
<NaO、KO>
NaOは、ガラスの溶解性を向上させる成分でガラスの溶融温度の低減に効果を有する。また、ガラス板を溶融塩に浸漬した際に、溶融塩中のKイオンなどのNaイオンのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する一価の陽イオンとイオン交換されることにより、ガラス板の表面圧縮応力を向上させる成分でもある。本発明において、NaOの含有量は、13〜17mol%とされる。その含有量において、13mol%未満だと、化学強化で得られる表面圧縮応力が低くなる傾向があり、17mol%超だと、化学的耐久性が悪化する傾向がある。これらを考慮すると、NaOの含有量は、好ましくは、13〜16mol%、さらには、14〜15.6mol%とすることが好ましい。
Oは、NaOと同じくガラスの溶解性を向上させる成分であり、ガラスの溶融温度の低減に効果を有する。また、ガラス板を溶融塩に浸漬した際に、溶融塩中のKイオンなどのNaイオンのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する一価の陽イオンとイオン交換されることにより、ガラス板の圧縮層深さを深くさせる成分でもある。KOは必ずしも必須となるわけではないが、0〜1.5mol%の範囲内でガラス板に含有させることができる。KOの含有量が1.5mol%超だと、NaOとの混合アルカリ効果によりNaイオンの移動を抑制してイオン交換し難くなる傾向がある。これを考慮すると、KOの含有量は、1.4mol%以下、さらには、1mol%以下とすることが好ましい。一方、ガラス板中にNaOとKOが共存すると混合アルカリ効果により、ガラス板の耐水性などが向上するので、KOの含有量の下限は0.2mol%、さらには0.5mol%と設定してもよい。
また、NaO含有量とKO含有量の合計は14〜17mol%とされる。これら成分の合計量は、ガラスの溶融性と、ガラス板の化学的耐久性に影響が大きいものである。その含有量において、14mol%未満だと、化学強化性能を発揮できなく、ガラス粘性を高くなり生産性が悪くなる傾向があり、17mol%超となると、化学的耐久性が悪くなる傾向がある。これらを考慮すると、NaO含有量とKO含有量の合計は、好ましくは、15〜17mol%、さらには、15〜16mol%とすることが好ましい。
<CaO、MgO>
CaOは、ガラス溶融時の溶融ガラスの粘性を下げる作用を有する成分であり、生産性を向上させる効果を有する。0〜1.5mol%の範囲内でガラス板に含有させることができる。CaOの含有量が1.5mol%超だと、イオン交換を抑制し、所望の化学強化性能が得られなくなる傾向がある。これを考慮すると、CaOの含有量は、0.1〜1.3mol%、さらには0.5〜1.2mol%とすることが好ましい。
MgOは、CaOと比較して、化学強化におけるイオン交換を妨げないという利点を有するが、ガラス溶融時の溶融ガラスの粘性を下げる作用はCaOと比較して小さい。そのため、9〜14.5mol%の範囲で調整される。14.5mol%超だと、ガラス粘性が高くなってしまい、生産性を悪化させる傾向がある。これらを考慮すると、MgOの含有量は、好ましくは、12〜14.5mol%、さらには、13.0〜14.0mol%とすることが好ましい。
また、MgO含有量とCaO含有量の合計は、9〜16mol%とされる。これら成分の合計量は、ガラスの溶融性と、ガラス板の化学的耐久性に影響が大きいものである。その含有量において、9mol%未満だと、ガラス粘性が高くなる傾向があり、16mol%超となると、化学的耐久性が悪化する傾向がある。これらを考慮すると、MgO含有量とCaO含有量の合計は、好ましくは、13〜15mol%、さらには、13.8〜15.3mol%とすることが好ましい。
<CaOと、MgOとCaOの合計とのモル比>
CaO/(MgO+CaO)は、ガラス板のクラックレジスタンスに影響する数値であり、その範囲は、0〜0.09とされる。0.09超だと、クラックレジスタンスが小さくなる傾向がある。当該数値範囲は、好ましくは、0〜0.08、より好ましくは、0.01〜0.08、さらに好ましくは0.05〜0.08と設定しても良い。
<その他の成分>
なお、本発明のガラス板において、ガラス組成には、上記の成分以外に、例えば、溶解時の脱泡を目的としたガラス清澄剤としてのNaSO由来のSO、Sb、SnO、ガラスの着色を目的としたFe、TiO、CoO、NiOなどの遷移金属化合物、工業ガラス原料起源の不純物などの各種成分を、本発明のガラス板の特性の本質を変えない程度に、例えば、それらの合計量が、0 .5mol%を超えない程度に含んでいてもよい。また、フッ素、ZnO、B、LiO,P等については、ガラス原料からの不可避的に混入される不純物量として、0.1mol%を超えない程度に含有してもよい。
2.化学強化用ガラス板の製造について
本発明のガラス板は、好適には、フロート法で製造される。また、フロート法以外にも、フュージョン法(オーバーフローダウンドロー法を含む)、ダウンドロー法、リドロー法、ロールアウト法、プレス法等の様々な成形方法を採用することができる。なお、ガラス板の表面は、上記の成形方法により成形されたままの状態でもよいし、弗酸などにより化学的に荒らす、もしくは、研磨やブラストなどにより物理的に荒らす、もしくは、その掛け合わせにより表面を荒らし、防眩性等の機能性を付与しても良い。また、ガラスの形状は特に限定されないが、板状体であることが好ましい。また、ガラスの形状が板状である場合、ガラス面に穴あけ加工等されたもの、又は、平板での曲げ板でもよく、種々の形状を包含する。また、平板状において、短形や円盤状なども本発明の範疇である。
3.化学強化ガラスの製造について
本発明の化学強化ガラスは、従来に開示された技術を適用でき、化学強化用ガラス板の表面層で、ガラス板中に最も多く含まれるアルカリ金属イオンAを、上記アルカリ金属イオンAよりもイオン半径の大きいアルカリ金属イオンBに置換するイオン交換により製造される。
例えば、アルカリ金属イオンAがナトリウムイオン(Naイオン)である場合には、アルカリ金属イオンBとして、カリウムイオン(Kイオン)、ルビジウム(Rbイオン)及びセシウムイオン(Csイオン)の少なくとも1つを用いることができる。アルカリ金属イオンAがナトリウムイオンである場合、アルカリ金属イオンBとして、カリウムイオンを用いることが好ましい。
また、イオン交換には、少なくともアルカリ金属イオンBを含む硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物塩及びリン酸塩のうち1種又は2種以上を用いることができる。そして、アルカリ金属イオンAがナトリウムイオンである場合、少なくともカリウムイオンを含む硝酸塩を用いることが好ましい。
前記アルカリ金属イオンBを含む塩に化学強化用ガラス板を接触させる工程により、化学強化ガラスが製造される。「塩に化学強化用ガラス板を接触させる」とは、化学強化ガラス板を塩浴に接触又は浸漬させることをいう。このように、本明細書において、「接触」とは「浸漬」も含む概念とする。
また、塩の接触形態としては、ペースト状の塩を直接接触させるような形態、又は、融点以上に加熱した溶融塩に浸漬させるような形態なども可能であるが、これらの中では、溶融塩に浸漬させるのが望ましい。
(予熱工程)
塩に接触させる化学強化用ガラス板の温度は、特に限定しない。即ち、室温でも良く、予め加熱しても良いが、好ましくは加熱された状態が良い。ただし、予熱温度は、ガラス板のガラス転移点以下であることが好ましい。ガラス転移点以上であると、該ガラス板の形状が変形し、化学強化後の所望の形状、又は、寸法が得られない。なお、予熱温度は、後述する接触させる塩の温度以上、もしくは、同じ温度、もしくは、それ以下でも構わない。予熱時間は特に限定されない。
(イオン交換工程)
接触させる塩の温度は特に限定されないが、該ガラス板を溶融塩に浸漬させる場合は、該ガラス板の歪点温度以下から接触させる塩の融点以上であることが好ましい。歪点以上だと、イオン交換により生じる圧縮応力が緩和されやすく、所望の表面圧縮応力が得られない。接触させる塩がアルカリ金属イオンBとしてカリウムイオンを用いる場合、硝酸カリウムの融点が333℃であるため、333℃から該ガラス板の歪点温度以下の温度で浸漬する。この場合、好ましくは、350℃〜(歪点温度−10℃)、より好ましくは、370℃〜(歪点温度−20℃)である。
該ガラス板を塩に接触させる時間は特に限定されないが、該ガラス板を溶融塩に浸漬させる場合は、0.5〜8時間であることが好ましい。0.5時間未満だとアルカリ金属イオンAとアルカリ金属イオンBのイオン交換が充分に進まず、所望の表面圧縮応力、及び、圧縮層深さが得られない。一方、8時間以上だと、イオン交換により生じる表面圧縮応力が緩和されやすくなる。好ましくは、0.5〜6時間、より好ましくは、1〜5時間である。
(冷却工程)
所定時間塩に接触させたガラス板は、冷却工程を介して、室温まで冷まされる。冷却工程とは、予め温度で保持された炉に塩に接触させたガラス板を入れて、冷却速度を制御する(徐冷)場合と、室温下に直接曝す急冷(放冷)のいずれの場合を含む。但し、急冷によりガラス板が割れることもあるため、徐冷工程を用いることが好ましい。冷却速度は、ガラス板寸法により、適宜調整する。なお、冷却工程時にガラス板に塩が付着した状態でも構わず、徐冷工程の雰囲気も特に限定しない。冷却後のガラス板は、温水、冷水などにより付着した塩を除去することにより、化学強化ガラスが得られる。
前記、予熱工程、イオン交換工程、冷却工程により、化学強化ガラスが製造されるが、1工程である必要もない。即ち、前記化学強化ガラスの製造工程を1回以上行ってもよく、その際の予熱工程、イオン交換工程、冷却工程の温度や時間は必ずしも等しくする必要もない。また、イオン交換工程における塩の構成も必ずしも同じとする必要も無い。更に、2回以上製造工程を用いる際には、イオン交換工程間の予熱工程、及び、徐冷工程のいずれか、もしくは、両方を省略しても良い。
前記製造工程を介して製造された化学強化ガラスは、光導波路効果を観測原理とする表面応力計を用いて、表面圧縮応力(CS)と圧縮層深さ(DOL)を計測でき、表面圧縮応力は500〜1300MPa、圧縮層深さ(DOL)は5〜50μmの範囲内で調整することが可能である。汎用のフロートガラスを用いて製造された化学強化ガラスの表面圧縮応力は、通常500MPa未満である。表面圧縮応力が500MPa未満であると、高硬度部材との接触衝撃により、あるいは落下による衝撃などにより割れてしまうという懸念が生じる。一方、表面圧縮応力が1300MPa以上であると、圧縮応力層における圧縮応力の積算値との均衡を保つために必要な内部引っ張り応力(CT)が高くなり、例えば、該化学強化ガラスを切断する際に、チッピングと呼ばれるカケが生じやすくなり、歩留まりが低下する懸念が考えられる。従って、表面圧縮応力は550〜1200MPaがより好ましく、600〜1000MPaであるのがさらに好ましい。圧縮層深さは5μm未満であると、高硬度部材との接触により圧縮応力層を超える傷が付き、強度低下の懸念が考えられる。一方、50μm以上であると、内部引っ張り応力が高くなり、また、切断等に加工が難しくなる。従って、圧縮層深さは7〜40μmが好ましく、10〜30μmであるのはさらに好ましい。
坩堝で溶融したガラス板は、フロート成形されたガラス板に比べて、表面圧縮応力(CS)の値が一般的に100MPa以上大きい値となる。これは、坩堝で溶融したガラスの方が冷却速度が遅く、仮想温度が低くなり、同じ組成であっても密度が高くなっているため、表面圧縮応力(CS)が大きくなると考えられる。
<ガラス板の調製>
原料として、珪砂、酸化アルミニウム、ソーダ灰、硫酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムなどの原料を用いて表1に示す実施例1〜7、比較例1〜7に示すガラス成分の割合となるように調合された600gのガラスに相当するバッチを白金坩堝にバッチを充填し、1450〜1600℃で約8時間溶融し、清澄なガラス融液とした。その後、ガラス融液を耐熱、不活性なカーボン板上に流出、流延させて板ガラス状とし、次いで電気炉内でガラス転移点を越える温度に保持後徐冷し、冷却後にガラスブロックを得た。ガラスブロックを切断・研磨加工し、特性を評価した。
Figure 2017114718
Figure 2017114718
<得られたガラスの評価>
1)溶融温度の評価
溶融温度として、粘度が10dPa・sとなる温度を測定した。当該温度は、球引き上げ粘度計(オプト企業製)を用いて球引き上げ法により測定した。
2)熱膨張係数(30−300℃)、ガラス転移点、歪点、徐冷点の評価
熱膨張係数、及び、ガラス転移点は、熱機械分析装置TMA8310(リガク製)を用い、それぞれ、JIS R 3102:1995、IS R3103−3:2001の規定に基づき測定した。なお、熱膨張係数は、30〜300℃における平均線膨張係数である。徐冷点、及び、歪点は、ビームベンディング式粘度計(オプト企業製)を用いて、JIS R3103−2:2001の規定に基づくビーム曲げ法により測定した。
3)密度の評価
密度は、JIS Z 8807:1976の規定に基づき、アルキメデス法により測定した。
4)耐ヤケ性の評価
2〜3mm厚さの光学研磨したガラス板をPC−422R2(平山製作所社製)を用いて温度121℃、湿度99.8%、24時間でプレッシャークッカーテスト(PCT)を実施した。その後、テーブルヘーズメーターHZ−T(スガ試験機製)を用い、JIS K 7136:2000の規定に基づき、D65光源にて、ヘイズ(Haze)値を測定した。本結果は、表2中では、「PCT後のHaze」と表記している。
6)化学強化処理
2〜3mm厚さの光学研磨したガラス板を、430℃に保持された硝酸カリウム溶融塩浴中に2時間浸漬することにより、化学強化処理を行った。
7)化学強化処理されたガラスの表面圧縮応力(CS)、圧縮層深さ(DOL)の評価
化学強化処理されたガラス板について、表面応力計(折原製作所製、FSM−6000LE)用いて、表面圧縮応力(CS)、及び、ガラス表面に形成された圧縮応力層の深さ(DOL)をそれぞれ測定した。なお、表面応力計による測定において、屈折率は1.52、光弾性定数は26.8((nm/cm)/MPa)をそれぞれ用いた。
8)化学強化前のガラス板のクラックレジスタンスの評価
乾燥空気中において微小硬さ試験機HM−124(Akashi製)を用いて、所定荷重(9.8N、19.6N)に設定したビッカース圧子を光学研磨したガラス表面に15秒間打ち込み、その15秒後に圧痕の4隅から発生するクラックの数をカウントする。このようにして圧子を10回打ち込んで総クラック発生数を求め、総クラック数/40×100の式から、クラック発生率を求めた。そして、クラック発生率が50%となる荷重を、クラックレジスタンスと定義した。
具体的には、9.8N、19.6Nの荷重の両方の場合でクラック発生率が50%未満であった場合は、クラックレジスタンスは19.6N以上とした。9.8Nの荷重の場合でクラック発生率が50%以上となった場合は、クラックレジスタンスは9.8N未満とした。9.8Nの荷重の場合ではクラック発生率は50%未満であり、19.6Nの荷重の場合ではクラック発生率が50%以上となった場合は、クラックレジスタンスは9.8N以上19.6N未満とした。
以上の1)〜8)で得られた評価を表2に示す。実施例1〜7で得られたガラス板は溶融しやすく、クラックレジスタンスが大きく、化学強化処理によって、汎用フロートガラスよりも高強度なガラス板となるものであった。実施例で得られた化学強化ガラスは、圧縮層深さ10〜22μm、表面圧縮応力630〜960MPaとなり、汎用フロートガラスから得られた化学強化ガラスよりも高強度なものであった。また、本発明で得られたガラスのクラックレジスタンスは、9.8N以上と大きいものであった。さらに、PCT後のHazeが0.1以下と、化学的耐久性にも優れるものであった。

Claims (5)

  1. ガラス組成が、mol%で、
    SiO 66〜71、
    Al 2〜3、
    NaO 13〜17、
    MgO 9〜14.5、
    CaO 0〜1.5であり、かつ、
    MgO+CaOが9〜16であり、
    CaOと、MgOとCaOの合計とのモル比において、CaO/(MgO+CaO)が0〜0.09であり、
    粘度が10dPa・sとなる温度が1560℃以下であることを特徴とする化学強化用ガラス板。
  2. ガラス組成が、mol%で、
    SiO 66〜69、
    Al 2〜3、
    NaO 13〜16、
    MgO 12〜14.5、
    CaO 0.5〜1.5であり、かつ、
    MgO+CaOが13〜15であり、
    CaOと、MgOとCaOの合計とのモル比において、CaO/(MgO+CaO)が0.05〜0.09であり、
    粘度が10dPa・sとなる温度が1550℃以下であることを特徴とする化学強化用ガラス板。
  3. ガラス清澄剤としてのNaSO由来のSO、Sb、SnO、ガラスの着色を目的としたFe、TiO、CoO、NiOなどの遷移金属化合物の合計含有量が、0 .5mol%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の化学強化用ガラス板。
  4. ガラス原料から不可避的に混入される不純物であるフッ素、ZnO、B、LiO,Pの合計含有量が、0.1mol%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の化学強化用ガラス板。
  5. 請求項1に記載の化学強化用ガラス板を、Naイオンのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する一価の陽イオンを含む溶融塩に浸漬することにより、前記ガラス板に含まれるNaイオンと前記一価の陽イオンとをイオン交換して得ることを特徴とする、化学強化ガラスの製造方法。
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