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JP2017112858A - 新規グルコースデヒドロゲナーゼ - Google Patents

新規グルコースデヒドロゲナーゼ Download PDF

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JP2017112858A
JP2017112858A JP2015248863A JP2015248863A JP2017112858A JP 2017112858 A JP2017112858 A JP 2017112858A JP 2015248863 A JP2015248863 A JP 2015248863A JP 2015248863 A JP2015248863 A JP 2015248863A JP 2017112858 A JP2017112858 A JP 2017112858A
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Kyoichi Nishio
享一 西尾
裕三 小嶋
Yuzo Kojima
裕三 小嶋
庄太郎 山口
Shotaro Yamaguchi
庄太郎 山口
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Abstract

【課題】グルコースの測定に有用なフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.99.10)(FAD-GDH)及びその用途の提供。【解決手段】(1)作用:電子受容体存在下でグルコースの水酸基を酸化してグルコノ−δ−ラクトンを生成する反応を触媒;(2)基質特異性:D-グルコースに対する反応性を100%としたときのD-キシロースに対する反応性が15%以下;(3)pH安定性:pH4〜6で安定;(4)アミノ酸配列:特定のアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と80%以上同一のアミノ酸配列を含む;を備えるFAD−GDHを有効成分とした、グルコース測定用酵素剤。前記FAD−GDHを有効成分とするグルコース測定用試験、前記グルコース測定用試薬を含むグルコース測定用キット及びFAD−GDHを含むグルコースセンサー。【選択図】なし

Description

本発明は新規グルコースデヒドロゲナーゼ(グルコース脱水素酵素)に関する。詳しくは、アスペルギルス属由来のフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.99.10)及びその用途に関する。
糖尿病患者は年々増加しており、糖尿病患者、特にインスリン依存性の患者は血糖値を日常的に監視し血糖をコントロールする必要がある。近年、酵素を用いてリアルタイムで簡便にかつ正確に測定できる自己血糖測定器で糖尿病患者の血糖値をチェック出来るようになった。グルコースセンサ(例えば、自己血糖測定器に使用されるセンサ)用として、グルコースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.4)、PQQ依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.5.2)(例えば特許文献1〜3を参照)が開発されたが、酸素反応性、マルトース、ガラクトースへの反応性が問題となった。この問題を解決すべく、FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(以下、「FAD-GDH」と略称する)が開発された(例えば特許文献4、5、非特許文献1〜4を参照)。
一般に、糖尿病判定検査時には、経口グルコース負荷試験だけでなく、経口キシロース負荷試験、経静脈キシロース負荷試験が実施される。FAD-GDHは概してキシロースへ反応することが知られており、FAD-GDHを用いた場合、上記負荷試験時に血糖値へ影響することが問題となる。
特開2000−350588号公報 特開2001−197888号公報 特開2001−346587号公報 国際公開第2004/058958号パンフレット 国際公開第2007/139013号パンフレット 国際公開第2015/060150号パンフレット
Studies on the glucose dehydrogenase of Aspergillus oryzae. I. Induction of its synthesis by p-benzoquinone and hydroquinone, T.C. Bak, and R. Sato, Biochim. Biophys. Acta, 139, 265-276 (1967). Studies on the glucose dehydrogenase of Aspergillus oryzae. II. Purification and physical and chemical properties, T.C. Bak, Biochim. Biophys. Acta, 139, 277-293 (1967). Studies on the glucose dehydrogenase of Aspergillus oryzae. III. General enzymatic properties, T.C. Bak, Biochim. Biophys. Acta, 146, 317-327 (1967). Studies on the glucose dehydrogenase of Aspergillus oryzae. IV. Histidyl residue as an active site, T.C. Bak, and R. Sato, Biochim. Biophys. Acta, 146, 328-335 (1967).
FAD-GDHはキシロースに対する反応性の問題はあるものの、基質特異性に優れ、また、グルコースオキシダーゼのように測定サンプル中の溶存酸素の影響を受けることがないため、グルコースセンサ用の酵素として有望視されている。FAD-GDHを実用化するにあたっては、上記の通り、キシロースに対する反応性が問題となる。本発明は、このような状況に鑑み、特にグルコースセンサ用として実用性の高い新規FAD-GDH及びその用途等を提供することを課題とする。尚、キシロースに対する反応性が低いFAD-GDHも報告されているが(特許文献6)、グルコースセンサに応用した場合に特に重要となるpH安定性等の特性は明らかにされておらず、その実用的価値は不明である。
上記課題を解決すべく本発明者は、広範な微生物を対象として大規模なスクリーニングを実施した。その結果、キシロースに対する反応性が低い新規FAD-GDHを取得することに成功した。当該FAD-GDHの特性を調べたところ、pH安定性に優れ、グルコースセンサ用途に適し且つ実用性が高いことが判明した。
更なる検討の結果、取得に成功した新規FAD-GDHのアミノ酸配列及び遺伝子配列を同定することに成功した。同定したアミノ酸配列を問い合わせ配列として公共のデータベースで検索したところ、グルコースオキシダーゼとして登録されている配列と同一であった。FAD-GDHではなくグルコースオキシダーゼとして登録されていた事実は、当該タンパク質が物質としては既知であることを示す一方で、当該タンパク質の予想できない新規用途が見出されたことを意味する。
以上の通り、本発明者らの検討によって、グルコースオキシダーゼとして既知のタンパク質が、実際にはFAD-GDHとして機能し、且つグルコースセンサ用途に適したものであることが明らかとなった。
以下の発明は、以上の成果及び考察に基づく。
[1]以下の特徴、即ち、
(1)作用: 電子受容体存在下でグルコースの水酸基を酸化してグルコノ−δ−ラクトンを生成する反応を触媒する;
(2)基質特異性: D-グルコースに対する反応性を100%としたときのD-キシロースに対する反応性が15%以下である;
(3)pH安定性: pH4〜6で安定である;
(4)アミノ酸配列: 配列番号1に示すアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と80%以上同一のアミノ酸配列を含む;
を備えるグルコースデヒドロゲナーゼを有効成分とした、グルコース測定用酵素剤。
[2]前記グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列が、配列番号1に示すアミノ酸配列と85%以上同一のアミノ酸配列である、[1]に記載のグルコース測定用酵素剤。
[3]前記グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列が、配列番号1に示すアミノ酸配列と90%以上同一のアミノ酸配列である、[1]に記載のグルコース測定用酵素剤。
[4]アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・フォエチダス又はアスペルギルス・アウレウスに由来する酵素である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のグルコース測定用酵素剤。
[5]アスペルギルス・ニガーがCBS 513.88株であり、アスペルギルス・フォエチダスがNBRC4312株である、[4]に記載のグルコース測定用酵素剤。
[6][1]〜[5]のいずれか一項に定義したグルコースデヒドロゲナーゼを用いて試料中のグルコースを測定することを特徴とする、グルコース測定法。
[7][1]〜[5]のいずれか一項に定義したグルコースデヒドロゲナーゼを含む、グルコース測定用試薬。
[8][7]に記載のグルコース測定用試薬を含む、グルコース測定用キット。
[9][1]〜[5]のいずれか一項に定義したグルコースデヒドロゲナーゼを含む、グルコースセンサ。
Aspergillus awamori No.1751株の培養液から精製した酵素(精製酵素)のSDS-PAGEによる分析の結果。Mは分子量マーカー(上から200、116、97.2、66.4、44.3KDa)を表し、レーン番号はSuperdex 200で分離した際のフラクション番号である。 Aspergillus aureus No.2062株の培養液から精製した酵素(精製酵素)のSDS-PAGEによる分析の結果。Mは分子量マーカー(上から200、116、97.2、66.4、44.3KDa)を表し、レーン番号はSuperdex 200で分離した際のフラクション番号である。 Aspergillus awamori No.1751株の精製酵素のpH安定性。所定の処理(37℃、1時間)の後、残存活性を測定した。 Aspergillus aureus No.2062株の精製酵素のpH安定性。所定の処理(37℃、1時間)の後、残存活性を測定した。 N末端アミノ酸配列を問い合わせ配列としたBLAST解析の結果。
1.用語
本明細書において用語「単離された」は「精製された」と交換可能に使用される。用語「単離された」は、天然の状態、即ち、自然界において存在している状態のものと区別するために使用される。単離するという人為的操作によって、天然の状態とは異なる状態である、「単離された状態」となる。単離されたものは、天然物自体と明確且つ決定的に相違する。
単離された酵素の純度は特に限定されない。但し、純度の高いことが要求される用途への適用が予定されるのであれば、単離された酵素の純度は高いことが好ましい。
2.グルコース測定用酵素剤
本発明の第1の局面はグルコース測定用酵素剤を提供する。本発明の酵素剤の有効成分は、以下の特性を備えるグルコースデヒドロゲナーゼ(以下、「本酵素」ともいう)である。まず、本酵素は次の反応、即ち、電子受容体存在下でグルコースの水酸基を酸化してグルコノ−δ−ラクトンを生成する反応を触媒する。一方、本酵素は基質特異性に優れ、D-グルコースに対して選択的に作用する。詳しくは、本酵素はD-キシロースに対する反応性が低い。具体的にはD-グルコースに対する反応性を100%としたときのD-キシロースに対する反応性が15%以下である。
一方、本酵素はマルトースやD-ガラクトースなどに対する反応性も極めて低い。D-グルコースに対する反応性を100%としたときのマルトースに対する反応性、D-グルコースに対する反応性を100%としたときのD-ガラクトースに対する反応性は、いずれも5%以下、好ましくは3%以下である。更に好ましくは当該反応性が1%以下である。更に更に好ましくは当該反応性が実質0%である(即ちマルトース及びガラクトースに対する実質的な反応性がない)。
以上のような優れた基質特異性を有する本酵素は、試料中のグルコース量を正確に測定するための酵素として好ましい。即ち、本酵素によれば試料中にD-キシロースやマルトース或いはD-ガラクトースなどの夾雑物が存在していた場合であっても目的のグルコース量をより正確に測定することが可能である。従って本酵素は、試料中にこのような夾雑物の存在が予想又は懸念される用途(典型的には血液中のグルコース量の測定)に適したものであるといえ、しかも当該用途も含め様々な用途に適用可能であること、即ち汎用性が高いともいえる。尚、本酵素の反応性及び基質特異性は、後述の実施例に示す方法で測定・評価することができる。
本酵素の由来、即ち本酵素の生産菌はアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・フォエチダス(Aspergillus foetidus)又はアスペルギルス・アウレウス(Aspergillus aureus)である。上記特性を有する本酵素を産生可能である限りにおいて生産菌は限定されない。生産菌の具体例を示せば、アスペルギルス・フォエチダスNBRC4312株、アスペルギルス・ニガーCBS 513.88株(CBS 513.88株及びNBRC4312株は、実施例で使用したAspergillus awamori No.1751株と同一のFAD-GDHを産生する)である。NBRC4312株は独立行政法人製品評価技術基盤機構(NBRC)(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)から入手できる。CBS 513.88株はオランダ微生物株保存センター(Centraalbureau voor Schimmelcultures : CBS)に保存されている。
生産菌は野生株(天然からの分離株であって、遺伝子操作などの変異・改変処理が施されていないもの)であっても変異株であってもよい。尚、本酵素の遺伝子を宿主微生物に導入して得られた形質転換体を生産菌としてもよい。
本酵素の更なる特徴は、pH安定性に優れる点である。具体的には、本酵素はpH4.0〜6.0で安定である。即ち、処理に供する酵素溶液のpHがこの範囲内にあれば、37℃、1時間の処理後、70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上の活性を維持する。
一態様では、本酵素を構成するポリペプチド鎖は、配列番号1に示すアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列と等価なアミノ酸配列からなる。ここでの「等価なアミノ酸配列」とは、配列番号1に示すアミノ酸配列と一部で相違するが、当該相違がタンパク質の機能(ここではグルコースデヒドロゲナーゼ活性)に実質的な影響を与えていないアミノ酸配列のことをいう。従って、等価なアミノ酸配列からなるポリペプチド鎖を有する酵素はグルコースデヒドロゲナーゼ活性を示す。「グルコースデヒドロゲナーゼ活性」とは、グルコースの水酸基を酸化してグルコノ−δ−ラクトンを生成する反応を触媒する活性を意味するが、その活性の程度は、グルコースデヒドロゲナーゼとしての機能を発揮できる限り特に限定されない。但し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド鎖を有する酵素と同程度又はそれよりも高いことが好ましい。
「アミノ酸配列の一部の相違」とは、典型的には、アミノ酸配列を構成する1〜数個のアミノ酸の欠失、置換、若しくは1〜数個のアミノ酸の付加、挿入、又はこれらの組合せによりアミノ酸配列に変異(変化)が生じていることをいう。ここでのアミノ酸配列の相違はグルコースデヒドロゲナーゼ活性が保持される限り許容される(活性の多少の変動があってもよい)。この条件を満たす限りアミノ酸配列が相違する位置は特に限定されず、また複数の位置で相違が生じていてもよい。ここでの「複数」とは例えば全アミノ酸の約30%未満に相当する数であり、好ましくは約20%未満に相当する数であり、さらに好ましくは約10%未満に相当する数であり、より一層好ましくは約5%未満に相当する数であり、最も好ましくは約1%未満に相当する数である。等価タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列と例えば約80%以上、好ましくは約85%以上、より好ましくは約90%以上、より一層好ましくは約95%以上、さらに好ましくは約98%以上、更に更に好ましくは約99%以上の同一性を有する。
好ましくは、グルコースデヒドロゲナーゼ活性に必須でないアミノ酸残基において保存的アミノ酸置換を生じさせることによって等価なアミノ酸配列が得られる。ここでの「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基を、同様の性質の側鎖を有するアミノ酸残基に置換することをいう。アミノ酸残基はその側鎖によって塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)のように、いくつかのファミリーに分類されている。保存的アミノ酸置換は好ましくは、同一のファミリー内のアミノ酸残基間の置換である。
ところで、二つのアミノ酸配列又は二つの核酸(以下、これらを含む用語として「二つの配列」を使用する)の同一性(%)は例えば以下の手順で決定することができる。まず、最適な比較ができるよう二つの配列を並べる(例えば、第一の配列にギャップを導入して第二の配列とのアライメントを最適化してもよい)。第一の配列の特定位置の分子(アミノ酸残基又はヌクレオチド)が、第二の配列における対応する位置の分子と同じであるとき、その位置の分子が同一であるといえる。二つの配列の同一性は、その二つの配列に共通する同一位置の数の関数であり(すなわち、同一性(%)=同一位置の数/位置の総数 × 100)、好ましくは、アライメントの最適化に要したギャップの数およびサイズも考慮に入れる。
二つの配列の比較及び同一性の決定は数学的アルゴリズムを用いて実現可能である。配列の比較に利用可能な数学的アルゴリズムの具体例としては、KarlinおよびAltschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68に記載され、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77において改変されたアルゴリズムがあるが、これに限定されることはない。このようなアルゴリズムは、Altschulら (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10に記載のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。本発明の核酸分子に等価なヌクレオチド配列を得るには例えば、NBLASTプログラムでscore = 100、wordlength = 12としてBLASTヌクレオチド検索を行えばよい。本酵素に等価なアミノ酸配列を得るには例えば、XBLASTプログラムでscore = 50、wordlength = 3としてBLASTポリペプチド検索を行えばよい。比較のためのギャップアライメントを得るためには、Altschulら (1997) Amino Acids Research 25(17):3389-3402に記載のGapped BLASTが利用可能である。BLASTおよびGapped BLASTを利用する場合は、対応するプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。詳しくはhttp://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列の比較に利用可能な他の数学的アルゴリズムの例としては、MyersおよびMiller (1988) Comput Appl Biosci. 4:11-17に記載のアルゴリズムがある。このようなアルゴリズムは、例えばGENESTREAMネットワークサーバー(IGH Montpellier、フランス)またはISRECサーバーで利用可能なALIGNプログラムに組み込まれている。アミノ酸配列の比較にALIGNプログラムを利用する場合は例えば、PAM120残基質量表を使用し、ギャップ長ペナルティ=12、ギャップペナルティ=4とすることができる。
二つのアミノ酸配列の同一性を、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを用いて、Blossom 62マトリックスまたはPAM250マトリックスを使用し、ギャップ加重=12、10、8、6、又は4、ギャップ長加重=2、3、又は4として決定することができる。また、二つの核酸配列の相同度を、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで利用可能)のGAPプログラムを用いて、ギャップ加重=50、ギャップ長加重=3として決定することができる。
本酵素が、より大きいタンパク質(例えば融合タンパク質)の一部であってもよい。融合タンパク質において付加される配列としては、例えば、多重ヒスチジン残基のような精製に役立つ配列、組み換え生産の際の安定性を確保する付加配列等が挙げられる。
上記アミノ酸配列を有する本酵素は、遺伝子工学的手法によって容易に調製することができる。例えば、本酵素をコードするDNAで適当な宿主細胞(例えば大腸菌)を形質転換し、形質転換体内で発現されたタンパク質を回収することにより調製することができる。回収されたタンパク質は目的に応じて適宜精製される。このように組換えタンパク質として本酵素を得ることにすれば種々の修飾が可能である。例えば、本酵素をコードするDNAと他の適当なDNAとを同じベクターに挿入し、当該ベクターを用いて組換えタンパク質の生産を行えば、任意のペプチドないしタンパク質が連結された組換えタンパク質からなる本酵素を得ることができる。また、糖鎖及び/又は脂質の付加や、あるいはN末端若しくはC末端のプロセッシングが生ずるような修飾を施してもよい。以上のような修飾により、組換えタンパク質の抽出、精製の簡便化、又は生物学的機能の付加等が可能である。
本酵素は、本酵素の生産菌から取得することができる。具体的には、例えば、アスペルギルス・フォエチダスNBRC4312株、アスペルギルス・ニガーCBS 513.88株を培養するステップ(ステップ(1))及び培養後の培養液及び/又は菌体より、グルコースデヒドロゲナーゼを回収するステップ(ステップ(2))を行い、本酵素を製造する。
培養法及び培養条件は目的の酵素が生産されるものである限り特に限定されない。即ち、グルコースデヒドロゲナーゼが生産されることを条件として、使用する微生物の培養に適合した方法や培養条件を適宜設定できる。以下、培養条件として培地、培養温度及び培養時間を例示する。
培地としては、使用する微生物が生育可能な培地であれば、如何なるものでも良い。例えば、グルコース、シュクロース、ゲンチオビオース、可溶性デンプン、グリセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等の炭素源、更に硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、あるいは、ペプトン、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、ふすま、肉エキス等の窒素源、更にカリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩等の無機塩を添加したものを用いることができる。使用する微生物の生育を促進するためにビタミン、アミノ酸などを培地に添加してもよい。培地のpHは例えば約3〜8、好ましくは約5〜7程度に調整し、培養温度は通常約10〜50℃、好ましくは約25〜35℃程度で、1〜15日間、好ましくは2〜5日間程度好気的条件下で培養する。培養法としては例えば振盪培養法、ジャー・ファーメンターによる好気的深部培養法が利用できる。
以上の条件で培養した後、培養液又は菌体よりグルコースデヒドロゲナーゼを回収する(ステップ(2))。培養液から回収する場合には、例えば培養上清をろ過(例えば珪藻土をろ過助剤としたろ過)、遠心処理等することによって不溶物を除去した後、限外ろ過膜による濃縮、硫安沈殿等の塩析、透析、各種クロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて分離、精製を行うことにより目的の酵素を得ることができる。他方、菌体内から回収する場合には、例えば菌体を加圧処理、超音波処理、ビーズ処理などによって破砕した後、上記と同様に分離、精製を行うことにより目的の酵素を得ることができる。ろ過、遠心処理などによって予め培養液から菌体を回収した後、上記一連の工程(菌体の破砕、分離、精製)を行ってもよい。尚、各精製工程では原則としてグルコースデヒドロゲナーゼ活性を指標として分画を行い、次のステップへと進む。但し、予備試験などによって、適切な条件を既に設定可能な場合にはこの限りでない。
本酵素を組換え体として取得することも可能である。即ち、本酵素の遺伝子を導入した形質転換体を用いて本酵素を製造することにしてもよい。この態様の製造法ではまず、本酵素の遺伝子を導入した形質転換体を用意する。本明細書において「本酵素の遺伝子」とは、それを発現させた場合に本酵素が得られる核酸のことをいい、本酵素のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する核酸は勿論のこと、そのような核酸にアミノ酸配列をコードしない配列が付加されてなる核酸をも含む。また、コドンの縮重も考慮される。
本酵素の遺伝子は、本明細書又は添付の配列表が開示する配列情報を参考にし、標準的な遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法、化学合成、PCR法(例えばオーバーラップPCR)或いはこれらの組合せによって、単離された状態に調製することができる。
本酵素の製造に利用できる形質転換体を用意するために、本酵素の遺伝子を含む発現ベクターを作製する。本明細書において用語「ベクター」は、それに挿入された核酸を細胞等のターゲット内へと輸送することができる核酸性分子をいう。
使用目的、宿主細胞等を考慮して適当なベクターが選択される。大腸菌を宿主とするベクターとしてはM13ファージ又はその改変体、λファージ又はその改変体、pBR322又はその改変体(pB325、pAT153、pUC8など)等、酵母を宿主とするベクターとしてはpYepSec1、pMFa、pYES2等、昆虫細胞を宿主とするベクターとしてはpAc、pVL等、哺乳類細胞を宿主とするベクターとしてはpCDM8、pMT2PC等を例示することができる。
「発現ベクター」とは、それに挿入された核酸を目的の細胞(宿主細胞)内に導入することができ、且つ当該細胞内において発現させることが可能なベクターをいう。発現ベクターは通常、挿入された核酸の発現に必要なプロモーター配列や、発現を促進させるエンハンサー配列等を含む。選択マーカーを含む発現ベクターを使用することもできる。かかる発現ベクターを用いた場合には、選択マーカーを利用して発現ベクターの導入の有無(及びその程度)を確認することができる。
本酵素の遺伝子のベクターへの挿入、選択マーカー遺伝子の挿入(必要な場合)、プロモーターの挿入(必要な場合)等は標準的な組換えDNA技術(例えば、Molecular Cloning, Third Edition, 1.84, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照することができる、制限酵素及びDNAリガーゼを用いた周知の方法)を用いて行うことができる。
宿主細胞としては、取り扱いの容易さの点から、大腸菌(エシェリヒア・コリ)、出芽酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)などの微生物を用いることが好ましいが、組換えDNAが複製可能で且つ本酵素の遺伝子が発現可能な宿主細胞であれば利用可能である。大腸菌の例としてT7系プロモーターを利用する場合は大腸菌BL21(DE3)pLysS、そうでない場合は大腸菌JM109を挙げることができる。また、出芽酵母の例として出芽酵母SHY2、出芽酵母AH22あるいは出芽酵母INVSc1(インビトロジェン社)を挙げることができる。
本酵素の遺伝子を含む発現ベクターを宿主細胞に導入し、形質転換体を得る。形質転換体は上記発現ベクターを用いたトランスフェクション乃至はトランスフォーメーションによって得ることができる。例えば、塩化カルシウム法(ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(J.Mol. Biol.)、第53巻、第159頁 (1970))、ハナハン(Hanahan)法(ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー、第166巻、第557頁 (1983))、SEM法(ジーン(Gene)、第96巻、第23頁(1990)〕、チャング(Chung)らの方法(プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第86巻、第2172頁(1989))、リン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション(Potter,H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81, 7161-7165(1984))、リポフェクション(Felgner, P.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84,7413-7417(1984))等によって実施することができる。
以上のようにして用意した形質転換体を、それに導入された遺伝子(即ち、本酵素の遺伝子)によってコードされるタンパク質が産生される条件下で培養する(ステップ(i))。様々なベクター宿主系に関して形質転換体の培養条件が公知であり、当業者であれば適切な培養条件を容易に設定することができる。培養ステップに続き、産生されたタンパク質(即ち、グルコースデヒドロゲナーゼ)を回収する(ステップ(ii))。回収及びその後の精製については、上記態様(ステップ(1)及び(2)を含む製造方法)の場合と同様に行えばよい。
酵素の精製度は特に限定されないが、例えば比活性が10〜1000(U/mg)、好ましくは比活性が50〜500(U/mg)の状態に精製することができる。また、最終的な形態は液体状であっても固体状(粉体状を含む)であってもよい。
本発明の酵素剤は有効成分(本酵素)の他、賦形剤、緩衝剤、懸濁剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水などを含有していてもよい。賦形剤としてはデンプン、デキストリン、マルトース、トレハロース、乳糖、D-グルコース、ソルビトール、D-マンニトール、白糖、グリセロール等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としてはエタノール、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等を用いることができる。
3.グルコース測定法
本発明は、本酵素を用いたグルコース測定法も提供する。本発明のグルコース測定法では本酵素による酸化還元反応を利用して試料中のグルコース量を測定する。この反応による変化が利用できる各種用途に本発明を適用可能である。
本発明は例えば血糖値の測定、食品(調味料や飲料など)中のグルコース濃度の測定などに利用される。また、発酵食品(例えば食酢)又は発酵飲料(例えばビールや酒)の製造工程において発酵度を調べるために本発明を利用してもよい。
4.グルコース測定用試薬、キット、センサ
本発明は、本酵素を含むグルコース測定用試薬も提供する。当該試薬は上記の本発明のグルコース測定法に使用される。グルコース測定用試薬の安定化や使用時の活性化等を目的として、血清アルブミン、タンパク質、界面活性剤、糖類、糖アルコール、無機塩類等を添加してもよい。
グルコース測定用試薬を測定キットの構成要素にすることもできる。換言すれば、本発明は、上記グルコース測定用試薬を含むキット(グルコース測定用キット)も提供する。本発明のキットは必須の構成要素として上記グルコース測定用試薬を含む。また、反応用試薬、緩衝液、グルコース標準液、容器などを任意の要素として含む。尚、本発明のグルコース測定キットには通常、使用説明書が添付される。
本酵素を利用してグルコースセンサを構成することが可能である。即ち、本発明は、本酵素を含むグルコースセンサも提供する。本発明のグルコースセンサの典型的な構造では、絶縁性基板上に作用電極及び対極を備えた電極系が形成され、その上に本酵素とメディエータを含む試薬層が形成される。参照電極も備えた測定系を用いることにしてもよい。このような、いわゆる3電極系の測定系を用いれば、参照電極の電位を基準として作用電極の電位を表すことが可能となる。各電極の材料は特に限定されない。作用電極及び対極の電極材料の例を示せば、金(Au)、カーボン(C)、白金(Pt)、チタン(Ti)である。メディエータとしては、フェリシアン化合物(フェリシアン化カリウムなど)、金属錯体(ルテニウム錯体、オスミウム錯体、バナジウム錯体など)、キノン化合物(ピロロキノリンキノンなど)などが使用される。尚、グルコースセンサの構成、グルコースセンサを利用した電気化学的測定法については、例えば、バイオ電気化学の実際−バイオセンサ・バイオ電池の実用展開−(2007年3月発行、シーエムシー出版)に詳しい。
1.微生物からのスクリーニング
公的機関から入手した保存菌株や自然界から入手した菌株を含む13,000株を培養して得られた培養液を試料として、以下の条件、即ち、グルコースデヒドロゲナーゼ活性が高いこと、マルトースに反応しないこと、キシロースへの反応性が低いこと、及びグルコースオキシダーゼ活性を示さないこと、を満たすものを以下の方法で選出した。
グルコースデヒドロゲナーゼ活性の測定方法
(測定試液)
100 mmol/L PIPES cont. 0.1%(w/v) Triton X-100 pH 7.0: 24mL
3 mmol/L 1-Methoxy PMS(Phenazine methanesulfate): 2mL
6.6 mmol/L NTB(Nitrotetrazorium blue): 1mL
1 mol/L グルコース: 3mL
(測定手順)
サンプルを20μLずつ96wellプレートに分注後、測定試液を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃、60分後、570nmの吸光度をプレートリーダーで測定した。上記測定試液のうち、グルコースをマルトース又はキシロースへ変更して同様に測定し、マルトース、キシロースへの反応性も確認した。
グルコースオキシダーゼ活性の測定方法
(測定試液)
100 mmol/L PIPES cont. 0.1%(w/v) Triton X-100 pH 7.0: 23mL
5g/dL フェノール試液: 0.5mL
25u/mL PO“Amano”3(天野エンザイム株式会社)溶液: 3mL
0.5g/dL 4-アミノアンチピリン試液: 0.5mL
1 mol/L グルコース: 3mL
(測定手順)
サンプルを20μLずつ96wellプレートに分注後、測定試液を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃、60分後、500nmの吸光度をプレートリーダーで測定した。
検討の結果、マルトースに反応せず、キシロースへの反応性が低く、しかもグルコースオキシダーゼではない、Aspergillus awamori No.1751株とAspergillus aureus No.2062株の生産するグルコースデヒドロゲナーゼが見出された。Aspergillus awamori No.1751株とAspergillus aureus No.2062株について、マルトース及びキシロースへの反応性とグルコースオキシダーゼ(GO)活性を以下の表に示す。マルトース及びキシロースへの反応性は、グルコースへの反応性を100%としたときの相対値(マルトース(又はキシロース)を基質とした場合の測定値/グルコースを基質とした場合の測定値 × 100)で表した。また、グルコースオキシダーゼ(GO)はグルコースデヒドロゲナーゼに対する相対値(グルコースオキシダーゼ(GO)活性の測定値/グルコースデヒドロゲナーゼ活性の測定値 × 100)で表した。比較のため、グルコースオキシダーゼ(Aspergillus niger由来)、PQQ依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(Acinetobacter calcoaceticus由来)、FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(Aspergillus oryzae由来)の結果も示した。
Figure 2017112858
Aspergillus awamori No.1751株とAspergillus aureus No.2062株の生産するグルコースデヒドロゲナーゼは、既存のPQQ依存性グルコースデヒドロゲナーゼ及びFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼと比較して優位にマルトース及びキシロースへの反応性が低いことがわかる。尚、Aspergillus awamori No.1751株は独立行政法人製品評価技術基盤機構(NBRC)(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に保存されているAspergillus foetidus Thom&Raper NBRC 4312と同一株である。
2.精製酵素の調製
以上の検討によって見出された、Aspergillus awamori No.1751株とAspergillus aureus No.2062株の生産するグルコースデヒドロゲナーゼについて、その精製酵素を取得すべくAspergillus awamori No.1751株とAspergillus aureus No.2062株を小麦ふすまを用いた固体培養で30℃、5日間培養した。得られた培養麹から酵素を抽出し、粗酵素液とした。
粗酵素液を精製(塩析、疎水結合クロマト、イオン交換クロマト、ゲル濾過クロマトグラフィー)し、精製酵素を得た。精製酵素をゲル濾過(GEヘルスケア社製Superdex 200を使用)及びSDS-PAGEで分析した。Aspergillus awamori No.1751株のSDS-PAGEの結果を図1に、Aspergillus aureus No.2062株のSDS-PAGEの結果を図2に示す。Aspergillus awamori No.1751株の生産するグルコースデヒドロゲナーゼ活性が最も高いフラクション(No.36)、及びAspergillus aureus No.2062株の生産するグルコースデヒドロゲナーゼ活性が最も高いフラクション(No.32)を以降の実験に使用した。
3.精製酵素の基質特異性確認
上記2.で得た精製酵素の基質特異性を調べた。
(活性測定方法)
FAD-GDHは、電子受容体存在下でグルコースの水酸基を酸化してD-グルコノ-δ-ラクトンを生成する反応を触媒する。FAD-GDH活性の測定は下記の反応系で行った。
Figure 2017112858
尚、式中のPMSはフェナジンメタンスルフェート(Phenazine methanesulfate)を表し、NTBはニトロテトラゾリウムブルー(Nitrotetrazorium blue)を表す。反応(1)において、グルコースの酸化に伴って還元型PMSが生成し、更に反応(2)において還元型PMSによるNTBの還元により生成したDiformazanを570nmの波長で測定する。
酵素活性は、以下の計算式によって算出される。
Figure 2017112858
尚、式中のVtは総液量を、Vsはサンプル量を、20.1はDiformazanの0.5μ molあたりの吸光度係数(cm2 / 0.5μ mol)を、1.0は光路長(cm)を、dfは希釈倍数をそれぞれ表す。
0.1%(w/v)トリトンX-100を含む100mmol/L PIPES-NaOH緩衝液pH7.0 2.4mL、1mol/L D-グルコース溶液0.3mL、3 mmol/L PMS溶液0.2mL、及び6.6 mmol/L NTB溶液0.1mLを混合し、37℃で5分間保温後、酵素液0.1mLを添加し、反応を開始した。酵素反応の進行と共に570nmに吸収を持つDiformazanが生成される。1分間あたりの570nmにおける吸光度の増加を測定し、FAD-GDH活性を測定した。Aspergillus awamori No.1751株についての測定結果を以下の表に示す。尚、グルコースをマルトース又はキシロースへ変更して同様に測定し、マルトース、キシロースへの反応性を確認した。比較のため、Aspergillus oryzaeの生産するグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH”Amano”8 天野エンザイム株式会社)の結果を併記した。
Figure 2017112858
Aspergillus awamori No.1751株とAspergillus aureus No.2062株の生産するグルコースデヒドロゲナーゼは、Aspergillus oryzaeの生産するグルコースデヒドロゲナーゼと比較してキシロースへの反応性が低く、さらにマルトースには反応せず、血糖測定に適した性質を有していることが判明した。
4.精製酵素のpH安定性確認
上記2.で得た精製酵素のpH安定性を調べた。1 U/mLになるように酵素液を各種pHの緩衝液で調製後、37℃、1時間加温処理した。その後、測定に用いる緩衝液で希釈し、上記3.と同じ方法で残存活性を測定した。
Aspergillus awamori No.1751株の生産するグルコースデヒドロゲナーゼの測定結果を図3に、Aspergillus aureus No.2062株の生産するグルコースデヒドロゲナーゼの測定結果を図4に示す。いずれもpH 4〜pH 6の範囲において高い安定性を示した(残存活性が90%以上)。即ち、pH安定性に優れ、グルコースセンサ用途に適し且つ実用性が高いことが判明した。
5.N末端アミノ酸及びアミノ酸配列の決定
Aspergillus awamori No.1751株の活性ピークであるフラクションNo.36と、Aspergillus aureus No.2062株の活性ピークであるフラクションNo.32をSDS-PAGEで分離して得られたバンドについて、常法に従い、PVDF膜へブロッティングした後、N末アミノ酸解析を実施したところ、約60KDaのタンパク質(図1矢印、図2矢印)で「GPQYDYIVVGGGTSGLVVA(配列番号3)」の配列情報が得られた。同配列を問い合わせ配列として、NCBIが提供するBLAST解析を実施したところ、グルコースオキシダーゼファミリーである可能性が高いことが判明した。BLAST解析結果を図5に示す。
一方で、糸状菌由来のグルコースオキシダーゼファミリーはいくつか知られており、C末側に共通のモチーフを有することが知られている。中でも相同性の高い部分の配列情報「N,V/L,RVVDASV,L/M/I/F,P」からアンチセンスプライマー「NGGNADNACNSWRGCRTCNACNACNCKNAVRTT(配列番号4)」を設計した。本プライマーとN末アミノ酸配列をもとにして設計したプライマーを用いて、ゲノムDNAをテンプレートにPCRで増幅し、常法に従い塩基配列を決定した。さらに、得られた部分配列から常法に従いインバースPCRの方法で未決定部分の配列を決定し、全長塩基配列を入手したところ、Aspergillus awamori No.1751株とAspergillus aureus No.2062株で全く同じ配列(配列番号5)であった。得られた配列(配列番号5)はイントロン配列を含むことから、イントロン予測ソフトFGENESH(http://linux1.softberry.com/berry.phtml?topic=fgenesh&group=programs&subgroup=gfind)を用いてイントロン部分を予測し、新規FAD-GDHの遺伝子配列(配列番号2)を入手し、得られた遺伝子配列から新規FAD-GDHのアミノ酸配列(配列番号1)を決定した。
決定したアミノ酸配列(配列番号1)をBLAST(登録商標)で検索したところ、アスペルギルス・ニガーのグルコースオキシダーゼとして登録されている配列(glucose oxidase[Aspergillus niger CBS 513.88, Accession No. XP_001391138])と100%同一であった。即ち、グルコースオキシダーゼとして既知のタンパク質が、実際にはFAD-GDHとして機能することが判明した。
本発明のグルコースデヒドロゲナーゼはキシロースに対する反応性が低く、またpH安定性に優れる。本発明のグルコースデヒドロゲナーゼは特にグルコースセンサへの利用に適したものであり、その実用性は高い。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (9)

  1. 以下の特徴、即ち、
    (1)作用: 電子受容体存在下でグルコースの水酸基を酸化してグルコノ−δ−ラクトンを生成する反応を触媒する;
    (2)基質特異性: D-グルコースに対する反応性を100%としたときのD-キシロースに対する反応性が15%以下である;
    (3)pH安定性: pH4〜6で安定である;
    (4)アミノ酸配列: 配列番号1に示すアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と80%以上同一のアミノ酸配列を含む;
    を備えるグルコースデヒドロゲナーゼを有効成分とした、グルコース測定用酵素剤。
  2. 前記グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列が、配列番号1に示すアミノ酸配列と85%以上同一のアミノ酸配列である、請求項1に記載のグルコース測定用酵素剤。
  3. 前記グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列が、配列番号1に示すアミノ酸配列と90%以上同一のアミノ酸配列である、請求項1に記載のグルコース測定用酵素剤。
  4. アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・フォエチダス又はアスペルギルス・アウレウスに由来する酵素である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のグルコース測定用酵素剤。
  5. アスペルギルス・ニガーがCBS 513.88株であり、アスペルギルス・フォエチダスがNBRC4312株である、請求項4に記載のグルコース測定用酵素剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に定義したグルコースデヒドロゲナーゼを用いて試料中のグルコースを測定することを特徴とする、グルコース測定法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に定義したグルコースデヒドロゲナーゼを含む、グルコース測定用試薬。
  8. 請求項7に記載のグルコース測定用試薬を含む、グルコース測定用キット。
  9. 請求項1〜5のいずれか一項に定義したグルコースデヒドロゲナーゼを含む、グルコースセンサ。
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