[go: up one dir, main page]

JP2017190469A - 絞り缶用冷延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

絞り缶用冷延鋼板及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017190469A
JP2017190469A JP2016078636A JP2016078636A JP2017190469A JP 2017190469 A JP2017190469 A JP 2017190469A JP 2016078636 A JP2016078636 A JP 2016078636A JP 2016078636 A JP2016078636 A JP 2016078636A JP 2017190469 A JP2017190469 A JP 2017190469A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
cold
rolled steel
less
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016078636A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6699310B2 (ja
Inventor
正春 岡
Masaharu Oka
正春 岡
啓達 小嶋
Hirotatsu Kojima
啓達 小嶋
裕太 大六野
Yuta Dairokuno
裕太 大六野
濃野 通博
Michihiro Koino
通博 濃野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2016078636A priority Critical patent/JP6699310B2/ja
Publication of JP2017190469A publication Critical patent/JP2017190469A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6699310B2 publication Critical patent/JP6699310B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

【課題】絞り加工性及び耐肌荒れ性に優れる絞り缶用冷延鋼板の提供。
【解決手段】質量%で、C:0.0060〜0.0110%、Si:0.50%以下、Mn:0.70%以下、P:0.070%以下、S:0.05%以下、Sol.Al:0.005〜0.100%、N:0.0025〜0.0080%、式(1)を満たすNb、B:0〜0.0030%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成と、結晶粒度番号が11.0以上であるフェライト単相組織とを有し、100℃で1時間の時効処理後、L方向の降伏点強度が220〜290MPa、引張強度が330〜390MPa、全伸びが32%以上、降伏点伸びが0%であり、平均塑性歪比が1.35超、及び、面内異方性が−0.30〜+0.15である絞り缶用冷延鋼板。440C+2.2≦Nb/C≦440C+5.2(1)ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
【選択図】図1

Description

本発明は、絞り缶用冷延鋼板及びその製造方法に関するものである。
単1〜単5電池、ボタン電池、大型ハイブリッド電池等の電池缶や、各種容器は、冷延鋼板又は鋼板の表面にNiめっき、Ni拡散めっき、Snめっき、及びティンフリースチール(TFS)めっき(金属Cr層とCr水和酸化物層との二層からなるめっき)等の各種めっきが施されためっき鋼板(以降、冷延鋼板と呼ぶ)を厳しい多段の絞り加工やDI(Drawing and Ironing:絞りしごき)加工等を行って製造される。あるいは、冷延鋼板を製缶後にNiめっき、Snめっき、TFSめっき等の各種めっき又は塗装が施されて缶容器となる。
これらの缶容器に用いられる冷延鋼板に要求される主な特性は、(1)プレス成形性(加工時に割れ等の欠陥が発生することなく成形可能なこと)、(2)耐肌荒れ性(プレス加工後の表面肌荒れが小さいこと)、(3)イヤリング性(素材の異方性が小さく深絞り加工後の耳発生が小さいこと)、(4)非時効性(絞り加工時にストレッチャーストレインが発生しないこと)、である。
(1)のプレス成形性は一般に、平均塑性歪比rm(以降、平均r値と称することがある)が高いほど良好な特性が得られることが知られており、Nb添加極低炭素鋼(Nb-SULC)等に代表されるIF(Interstitial Free)鋼を用いることで達成できる。しかし、一般に、IF鋼の結晶粒は低炭素鋼に比べて粗大である。そのため、平均r値をより高めようとすると焼鈍時の温度を高めて結晶粒をさらに粗大化する必要がある。
(2)の耐肌荒れ性は結晶粒を細粒化するほど向上する。しかし、電池缶等の用途においては上蓋の封口部のシール性を確保する必要があるため、従来以上に極めて優れた絞り加工後の表面品位が要求され、結晶粒度番号を11.0以上(平均結晶粒径≦7.8μm)とする必要がある。耐肌荒れ性は結晶粒が大きいほど悪化する。そのため、結晶粒の大きいIF鋼を用いてプレス成形性と耐肌荒れ性を両立することは困難である。一方、低炭素鋼を用いれば結晶粒を細粒化することができるが、高い平均塑性歪比rmを得ることは困難である。したがって、低炭素鋼を用いてもプレス成形性と耐肌荒れ性を両立することは困難である。
(3)のイヤリング性は面内異方性Δr値が小さいほど良好であり、深絞り加工時の耳の発生が小さくなる。イヤリング性が良好であれば絞り缶のイヤリングに伴う鋼板歩留まりが改善し、多段の絞り加工やDI加工におけるイヤリング起因の工程間の順送りトラブルやイヤリング先端のちぎれによる押し傷等を低減することができる。
(4)の非時効性とは、絞り加工時にストレッチャーストレインが発生しないことである。ストレッチャーストレインが発生すれば、缶周面及び缶底に凹凸が形成される。電池缶(絞り缶)がこのような凹凸形状を有すれば、接触電気抵抗が大きくなるので好ましくないことに加え、缶の張り剛性が低下し、缶の耐内外圧強度も低下する場合がある。そのため、絞り缶用鋼板では、絞り加工後にストレッチャーストレインが発生しないことが要求される。なお、ストレッチャーストレインは、鋼板が変形する際の降伏点伸び(YP-EL:降伏直後に降伏点よりも小さい変形抵抗で進行する定常変形の伸び量)に起因して発生する。長期にわたってストレッチャーストレインの発生を抑制するためには時効処理後の降伏点伸びが0であることが必要である。
一方、ハイブリッド自動車などに用いられる電池缶ではますます性能向上が求められており、より厳しいプレス加工に耐え得る鋼板が求められている。上述の性能向上のためには、絞り加工性に優れ、高い平均塑性歪比rm及び低い面内異方性Δrを有し、非時効性を有し、耐肌荒れ性に優れた冷延鋼板が求められる。
従来の絞り缶用冷延鋼板はたとえば、特許第3516813号(特許文献1)、特許第3996754号(特許文献2)、特許第4374126号(特許文献3)及び特許第5359709号(特許文献4)に開示されている。
特許文献1に開示された絞り缶用鋼板は、C:≦0.0030wt%、Si:≦0.05wt%、Mn:≦0.5wt%、P :≦0.03wt%、S :≦0.020wt%、solAl:0.01〜0.100wt%、N :≦0.0070wt%、Ti:0.01〜0.050wt%、Nb:0.008〜0.030wt%、B :0.0002〜0.0007wt%、残部がFeおよび不可避元素からなる組成で、結晶粒度No.が10.0以上、HR30Tが47〜57であることを特徴とする。上記絞り缶用鋼板は、表面欠陥を抑制できる、と特許文献1には記載されている。
特許文献2に開示された絞り缶用鋼板は、C:0.0050〜0.0170%、Si:≦0.35%、Mn:≦1.0%、P :≦0.020%、S :≦0.025%、solAl:0.005〜0.100%、N :≦0.0070%、Ti:(6〜20)xC%、残部がFeおよび不可避元素からなる組成で、Δr値が+0.15〜―0.12の範囲、平均r値≧1.20、再結晶粒のGS.noが8.5〜11.0で、イヤリング率が1.0%以下であることを特徴とする。
特許文献3に開示された絞り缶用鋼板は、質量%で、C:0.045〜0.100%、Si:≦0.35%、Mn:≦1.0%、P:≦0.070%、S:≦0.025%、solAl:0.005〜0.100%、N:≦0.0060%、B:B/N=0.5〜2.5、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成で、板厚tが0.15〜0.60mm、Δr値が+0.15〜−0.08の範囲で、再結晶焼鈍時の加熱速度を5℃/sec以上とすることで鋼板の結晶方位をランダム化させたことを特徴とする。上記絞り缶用鋼板は特に、イヤリング性に優れる、と特許文献3には記載されている。
特許文献4に開示された絞り缶用鋼板は、質量%で、C:0.0035〜0.0080%、Si:≦0.35%、Mn:≦1.0%、P:≦0.030%、S:≦0.025%、solAl:0.003〜0.100%、N:≦0.0100%、Nb≦0.040%で且つ(3〜6)×C%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成で、Δr値が+0.15〜−0.15、平均r値:1.00〜1.35、再結晶粒のGS.No:11.0〜13.0,イヤリング率:2.5%以下であることを特徴とする。上記絞り缶用鋼板は、イヤリング性及び絞り加工後の表面品位に優れる、と特許文献4には記載されている。
特許第3516813号公報 特許第3996754号公報 特許第4374126号公報 特許第5359709号公報
しかしながら、特許文献1の冷延鋼板の結晶粒度番号が10.3〜10.9(特許文献1の表2参照)、特許文献2の冷延鋼板の結晶粒度番号は8.8〜10.8(特許文献2の表2参照)であり、いずれも粒径が大きい。また、特許文献3には、イヤリング性に優れた絞り缶用鋼板は開示されているものの、結晶粒度番号については開示がない。また、低炭素鋼なので平均塑性歪比rmが1.0程度の低い値であると推定される。特許文献4の冷延鋼板の結晶粒度番号は11.6〜12.1(特許文献4の表2参照)であり粒径は小さいが、平均r値が1.05〜1.35(特許文献4の表2参照)と低い。したがって、これらの文献に開示された鋼板では、缶の耐肌荒れ性及び絞り加工性が低い場合がある。以上のとおり、従来技術ではプレス成形性(絞り加工性)と耐肌荒れ性を両立し、さらに良好なイヤリング性と非時効性を有する鋼板を得ることは困難であった。
本発明の目的は、絞り加工性及び缶の耐肌荒れ性に優れる絞り缶用冷延鋼板を提供することである
本実施形態の絞り缶用冷延鋼板は、質量%で、C:0.0060〜0.0110%、Si:0.50%以下、Mn:0.70%以下、P:0.070%以下、S:0.05%以下、Sol.Al:0.005〜0.100%、N:0.0025〜0.0080%、式(1)を満たすNb、及び、B:0〜0.0030%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成と、結晶粒度番号が11.0以上であるフェライト単相組織とを有し、板厚が0.15〜0.50mmであり、100℃で1時間の時効処理を実施した後の絞り缶用冷延鋼板のL方向において、降伏点強度YPが220〜290MPa、引張強度TSが330〜390MPa、全伸びELが32%以上、降伏点伸びYP−ELが0%であり、平均塑性歪比rmが1.35超、及び、面内異方性Δrが−0.30〜+0.15である。
440C+2.2≦Nb/C≦440C+5.2 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本実施形態による絞り缶用微細粒冷延鋼板は、絞り加工性及び缶の耐肌荒れ性に優れる。
図1は、C含有量及びF1(=Nb/C)と、材質特性との関係を示す図である。 図2は、N含有量と面内異方性Δrの関係を示す図である。
本発明者らは、絞り加工性及び缶の耐肌荒れ性について調査、検討を行い、次の知見を得た。
製缶後の冷延鋼板表面に発生する肌荒れは、製缶前の冷延鋼板の結晶粒が微細であるほど抑制できる。結晶粒が微細であればさらに、面内異方性Δrも低くなる。
前述したように、絞り缶用冷延鋼板では、絞り加工時にストレッチャーストレインが発生するのを抑制しなければならない。ストレッチャーストレインは、過剰な固溶Cが鋼中に存在する場合に、コットレル効果により発生する。具体的には、冷延鋼板に外力が働いた場合、固溶Cによるコットレル効果により、降伏点までは転位が移動せず、降伏点で転位が一気に固溶Cから解放されて移動することで降伏点伸び(YP−EL)が生じる。このとき、ストレッチャーストレインが発生する。
ストレッチャーストレインの発生を抑制しつつ、絞り加工性及び耐肌荒れ性を高めるために、フェライト単相組織となる冷延鋼板において、C含有量を0.0060〜0.0110%とし、かつ、Nb含有量を式(1)を満たす量とする。
440C+2.2≦Nb/C≦440C+5.2 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
F1=Nb/Cと定義する。F1は、C固溶量とNb炭化物によるフェライト粒の微細化とに関する指標である。
F1が440C+2.2よりも低ければ、鋼中のC含有量に対するNb含有量が少なすぎる。この場合、NbCとして析出せずに鋼中に固溶したままのC量(固溶C量)が過剰に多くなる。そのため、固溶Cのコットレル効果により、降伏点伸びYP−ELが生じるためストレッチャーストレインが発生してしまう。
一方、F1が440C+5.2よりも高ければ、C含有量に対するNb含有量が多すぎる。この場合、NbCが粗大化してピン止め効果が低下する。そのため、フェライト粒が粗大化して、結晶粒度番号が11.0未満となる。この場合、面内異方性Δrが高くなる。
F1が式(1)を満たす場合、適切な量のNb炭化物が生成してフェライト粒を微細化し、結晶粒度番号が11.0以上となる。そのため、耐肌荒れ性が高まる。さらに、固溶C量が低減されるため、ストレッチャーストレインが発生しない。さらに、フェライト粒が微細化されて、面内異方性Δrが低く抑えられる。
図1は、C含有量及びF1(=Nb/C)と、材質特性との関係を示す図である。図1は後で詳述する実施例のうちC含有量及びNb/C以外の成分及び製造条件が本発明の範囲にあるものについて、C含有量及びF1と材質特性との関係を整理したものである。材質特性については、結晶粒度番号が11.0以上であり、100℃で1時間の時効処理を実施した後の絞り缶用冷延鋼板のL方向において、降伏点強度YPが220〜290MPa、引張強度TSが330〜390MPa、全伸びELが32%以上、降伏点伸びYP−ELが0%であり、平均塑性歪比rmが1.35超、及び、面内異方性Δrが−0.30〜+0.15であるものを合格、上記材質特性のいずれかが外れた場合、不合格とした。
図1より、C含有量及びF1(=Nb/C)以外の成分及び製造条件を本発明の範囲に限定した上で、C含有量を0.0060〜0.010%とし、F1が式(1)を満たせば、所用の材質特性が得られることが明らかである。
さらに、本発明者らは、その他の元素の影響についても詳細に検討を行い、面内異方性ΔrはN含有量の影響を大きく受けることを知見した。図2は、N含有量と面内異方性Δrの関係を示す図である。図2は後で詳述する実施例のうちN含有量以外の成分及び製造条件が本発明の範囲にあるものについて、N含有量と面内異方性Δrの関係を整理したものである。
図2より、N含有量が大きいほどΔr値が0に近づき、面内異方性Δrが改善することがわかる。ただし、N含有量を過剰に大きくすると、平均塑性歪比rmが低下するため、N添加量の適正値は0.0025〜0.0080%であることを知見した。
以上の知見により完成した本実施形態の絞り缶用冷延鋼板は、質量%で、C:0.0060〜0.0110%、Si:0.50%以下、Mn:0.70%以下、P:0.070%以下、S:0.05%以下、Sol.Al:0.005〜0.100%、N:0.0025〜0.0080%、式(1)を満たすNb、及び、B:0〜0.0030%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成と、結晶粒度番号が11.0以上であるフェライト単相組織とを有し、板厚が0.15〜0.50mmであり、100℃で1時間の時効処理を実施した後の絞り缶用冷延鋼板のL方向において、降伏点強度YPが220〜290MPa、引張強度TSが330〜390MPa、全伸びELが32%以上、降伏点伸びYP−ELが0%であり、平均塑性歪比rmが1.35超、及び、面内異方性Δrが−0.30〜+0.15である。
440C+2.2≦Nb/C≦440C+5.2 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
上記絞り缶用冷延鋼板はさらに、Niめっき層、Ni拡散めっき層、Snめっき層、及び、ティンフリースチール(TFS)めっき層のうちのいずれかを表面に備えてもよい。
本実施形態による絞り缶用冷延鋼板の製造方法は、上記化学組成を有する鋳片を1000℃以上に加熱し、870〜960℃で仕上げ圧延を実施し、仕上げ圧延後冷却して450〜700℃未満で巻取り、熱延鋼板を製造する工程と、熱延鋼板に対して冷間圧延を実施して、0.15〜0.50mmの板厚を有する冷延鋼板を製造する工程と、冷延鋼板を740〜800℃で均熱し、その後、冷却する連続焼鈍を実施する工程と、冷却した冷延鋼板を0.5〜5.0%の圧下率で調質圧延する工程を備える。
上記熱延鋼板を製造する工程では、鋳片を1100〜1230℃で加熱し、600〜670℃で巻取り、熱延鋼板を製造してもよい。
上記製造方法はさらに、調質工程を実施した後、冷延鋼板の少なくとも一方の表面に対して、Niめっき処理、Snめっき処理及びTFSめっき処理のいずれかを実施してもよい。
上記製造方法はさらに、冷延鋼板を製造する工程後であって、連続焼鈍を実施する工程前に、冷延鋼板の少なくとも一方の表面に対して、Niめっき処理を実施してもよい。
以下、本実施形態の絞り缶用冷延鋼板について詳述する。
[化学組成]
本実施形態の絞り缶用冷延鋼板の化学組成は、次の元素を含有する。
C:0.0060〜0.0110%
炭素(C)は固溶して鋼の強度を高める。C含有量が0.0060%以上であれば、後述の他の化学組成及び製造条件を満たすことを前提に、促進時効処理後のL方向の降伏強度YPが220MPa以上となり、引張強度TSが330MPa以上となる。C含有量が0.0060%未満であれば、この効果が得られない。一方、C含有量が0.0110%を超えれば、冷延鋼板の硬さが高くなりすぎる。この場合、促進時効処理後のL方向の全伸びELが低下し、絞り加工性が低下する。したがって、C含有量は0.0060〜0.0110%である。C含有量の好ましい下限は0.0065%であり、さらに好ましくは0.0070%である。C含有量の好ましい上限は0,0105%である。
Si:0.50%以下
シリコン(Si)は、本実施形態の冷延鋼板においては、不可避的に含有される不純物である。Siは、冷延鋼板のめっき密着性、及び、製缶後の冷延鋼板の塗装密着性を低下する。したがって、Si含有量は0.50%以下である。Si含有量の好ましい上限は0.50%未満である。Si含有量はなるべく低い方が好ましい。
Mn:0.70%以下
マンガン(Mn)は、本実施形態の冷延鋼板においては、不可避的に含有される不純物である。Mnは、冷延鋼板を硬質化し、冷延鋼板の全伸びELを低下する。そのため、プレス成形性(絞り加工性)が低下する。したがって、Mn含有量は0.70%以下である。Mn含有量の好ましい上限は0.70%未満である。Mn含有量はなるべく低い方が好ましい。
P:0.070%以下
りん(P)は不可避的に含有される。Pは冷延鋼板の強度を高める。しかしながら、P含有量が高すぎれば、プレス成形性が低下する。具体的には、缶での耐二次加工脆性割れ性が低下する。深絞り加工された缶では、たとえば、−10℃のような低温において、落下時の衝撃又は曲げ加工歪みにより缶側壁端部が脆性破断する場合がある。このような破断のしやすさを二次加工脆性割れと称する。Pの過剰な含有は、二次加工脆性割れを引き起こしやすくする。したがって、P含有量は0.070%以下である。
S:0.05%以下
硫黄(S)は不純物である。Sは熱間圧延時の鋼板に表層脆性割れを発生させ、熱延鋼帯に耳荒れを生じさせる。したがって、S含有量は0.05%以下である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。
Sol.Al:0.005〜0.100%
アルミニウム(Al)は、スラブ製造時に鋼を脱酸する。Al含有量が0.005%未満であれば、上記効果が得られない。一方、Al含有量が0.100%を超えれば、上記効果が飽和して製造コストが高くなる。したがって、Al含有量は0.005〜0.100%である。本明細書において、Al含有量は酸可溶Al(Sol.Al)の含有量である。
N:0.0025〜0.0080%
窒素(N)は、鋼の面内異方性Δrを小さくする。N含有量が0.0025%未満であれば、面内異方性が大きくなり、イヤリング性が低下する。一方、N含有量が0.0080%を超えれば、平均塑性歪比rmが低下する。したがって、N含有量は0.0025〜0.0080%である。N含有量の好ましい下限は0.0030%であり、さらに好ましくは0.0045%である。N含有量の好ましい上限は0.0070%であり、さらに好ましくは0.0065%である。
Nb:式(1)を満たす含有量
440×C+2.2≦Nb/C≦440×C+5.2 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
Nbは、微細炭化物を形成して、固溶C量を抑制し、かつ、結晶粒を微細化する。F1=Nb/Cと定義する。F1は、Nb炭化物によるフェライト粒の微細化に関する指標である。F1が440C+2.2よりも低ければ、鋼中のC含有量に対するNb含有量が少なすぎる。この場合、NbCとして析出せずに鋼中に固溶したままのC量(固溶C量)が多くなる。そのため、固溶Cのコットレル効果により、降伏点伸びYP−ELが発生してしまう。一方、F1が440C+5.2よりも高ければ、C含有量に対するNb含有量が多すぎる。この場合、NbCが粗大化してピン止め効果が低下する。そのため、フェライト粒が粗大化して、結晶粒度番号が11.0未満となる。この場合、肌荒れが発生し得る。さらに、面内異方性Δrが大きくなり、絞り加工性が低下する。
F1が440C+2.2〜440C+5.2であれば、鋼中のC含有量に対するNb含有量が適切である。この場合、微細なNbCが十分に析出する。これら微細NbCのピン止め効果により、フェライト粒を微細化し、結晶粒度番号が11.0以上となる。さらに、固溶C量が抑えられるため、降伏点伸びYP-ELが生じない(YP-EL=0%)。そのため、トレッチャーストレインが発生しない。
本実施形態の絞り缶用冷延鋼板の化学組成の残部はFe及び不純物からなる。本明細書において、不純物とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、又は、製造環境などから混入するものを意味する。上記不純物はたとえば、Cu、Ni、Cr及びSnである。これらの元素の好ましい含有量は、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cr:0.3%以下、及びSn:0.05%以下である。
上記絞り缶用冷延鋼板の化学組成はさらに、Bを含有してもよい。
B:0〜0.0030%
ボロン(B)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Bは焼鈍時に再結晶粒を細粒化する。しかしながら、B含有量が0.0030%を超えれば、細粒化による最適冷延率が低下して、生産性が低下する。したがって、B含有量は0.0030%である。B含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%である。B含有量の好ましい上限は0.0020%である。
[ミクロ組織及び結晶粒度番号]
本実施形態の冷延鋼板のミクロ組織は、フェライトと、介在物及び/又は析出物とからなる。つまり、ミクロ組織のマトリクス(母相)はフェライト単相である。マトリクスがフェライト単相であるため、均一な変形を実現でき、全伸びELを30%以上とすることができる。そのため、優れた深絞り加工性が得られる。
さらに、フェライト粒の結晶粒度番号は、11.0以上である。結晶粒が粗大であれば肌荒れが発生しやすい。また、面内異方性Δrが大きくなり、イヤリング性が低下する。結晶粒度番号が11.0以上であれば、缶の耐肌荒れ性に優れ、かつ、面内異方性Δrが−0.30〜+0.15となり、イヤリング性にも優れる。本実施形態の冷延鋼板のフェライト粒の粒度番号は、好ましくは11.2以上である。
本明細書におけるフェライト粒の結晶粒度番号は、JIS G 0551(2013)に準拠した結晶粒度番号を意味する。具体的には、結晶粒度番号は比較法による測定(同規格7.2参照)で測定される。
[機械特性]
上述の絞り缶用冷延鋼板に対して、100℃で1時間の時効処理(以下、促進時効処理という)を実施した後の、L方向における降伏点強度YP、全伸びEL、降伏点伸びYP−EL、平均塑性歪比rm値、面内異方性Δrは、次のとおりである。
YP:220〜290MPa、
TS:330〜390MPa、
El≧30%
YP−El≦0
平均塑性歪比rm>1.35
面内異方性Δr:−0.30〜+0.15
本実施形態の絞り缶用冷延鋼板の平均塑性歪比rmは好ましくは、1.40以上である。
ここで、L方向における降伏強度YP、全伸びEL、及び、降伏点伸びYP−ELは、次の方法で得られる。絞り缶用冷延鋼板から採取した、平行部がL方向(圧延方向)に平行なJIS5号引張試験片を作製する。作製された試験片に対して、100℃で1時間の時効処理(促進時効処理)を実施する。促進時効処理後の引張試験片に対して、JIS Z 2241(2011)に準拠して、室温(25℃)大気中にて、引張試験を実施して、降伏強度YP(MPa)、引張強度TS(MPa)、全伸びEL(%)を求める。
平均塑性歪比rm及び面内異方性Δrは次の方法で求める。絞り缶用冷延鋼板に対して、JIS Z 2254(2008)に準拠した塑性歪比試験を実施し、塑性歪量が15%の時の平均塑性歪比rm及び面内異方性Δrを求める。
[製造方法]
本実施形態の絞り缶用冷延鋼板の製造方法の一例を説明する。本実施形態の製造方法は、鋳片を製造する工程(製鋼工程)と、熱延鋼板を製造する工程(熱延工程)と、冷延鋼板を製造する工程(冷延工程)と、冷延鋼板に対してCAL(連続焼鈍)を実施する工程(CAL工程)と、CAL後の冷延鋼板に対して調質圧延を実施する工程(調質圧延工程)とを備える。以下、各工程について詳述する。
[製鋼工程]
初めに、上述の化学組成を有する溶鋼を製造する。製造された溶鋼から連続鋳造法により鋳片(スラブ)を製造する。
[熱延工程]
通常行われている熱延条件で、1000℃以上の加熱温度で加熱されたスラブを熱間圧延して、熱延鋼板を製造する。より具体的には、スラブの加熱温度はたとえば、1000℃〜1280℃である。スラブの加熱温度が1280℃を超えると、熱間圧延時に耳割れが生じやすくなる。また、平均塑性歪比rmが低下する。スラブの加熱温度が1000℃よりも低くなると、適切な仕上げ圧延温度を確保することが困難となる。スラブの好ましい加熱温度は1100℃〜1230℃である。熱間圧延ではたとえば、870〜960℃の仕上げ圧延温度FTで仕上げ圧延を行う。FTが960℃を超えると平均塑性歪比rmが低下し、FTが870℃よりも低くなると、面内異方性Δrが大きくなる。仕上げ圧延後の熱延鋼板を冷却帯で冷却後、コイルに巻取る。巻取り温度CTはたとえば450〜700℃未満である。CTが700℃を超えると冷延及び焼鈍後の結晶粒が粗大となり、CTが450℃よりも低くなると、平均塑性歪比rmが低下するとともに面内異方性Δrが大きくなる。好ましい巻取り温度CTは600〜670℃である。
[冷延工程]
熱延鋼板を冷間圧延して、冷延鋼板を製造する。冷間圧延は、周知の方法で実施されればよい。好ましくは、事前に、冷間圧延率を変化させて絞り缶用冷延鋼板の最適な冷間圧延率を検討し、鋼板の面内異方性Δrが小さくなるように冷間圧延率を設定する。冷延率が80%未満又は90%超の場合には鋼板の面内異方性が大きくなる。したがって、冷間圧延率は80%以上90%未満が好ましい。
[CAL(連続焼鈍)工程]
冷延鋼板に対して、連続焼鈍を実施する。連続焼鈍ラインを“Continuous Annealing Line”と称するため、本明細書では、連続焼鈍を「CAL」と称する。CALにおける焼鈍温度STは740〜800℃である。焼鈍温度STが740℃未満であれば、鋼中で再結晶が完了せず、未再結晶組織が残存する。この場合、所望の機械特性が得られない。一方、焼鈍温度STが800℃を超えれば、再結晶粒が粗大化して、結晶粒度番号が11.0を超える。したがって、焼鈍温度STは740〜800℃である。焼鈍温度STの好ましい下限は760℃である。焼鈍温度STの好ましい上限は780℃である。焼鈍温度STでの均熱時間はたとえば、10〜60秒である。
[BAF−OAについて]
本実施形態では、CAL後に箱焼鈍での過時効処理(箱焼鈍は“Box Annealing Furnace”、過時効処理は“Over Aging”、以降、BAF−OAと称する)を実施しなくても、本実施形態の高強度冷延鋼板では、促進時効処理後の降伏点伸びYP−ELが0%であり、ストレッチャーストレインが発生しない。したがって、本実施形態では、CAL後にBAF−OAを実施しない。そのため、生産性が高まる。
[調質圧延工程]
CAL後の冷延鋼板に対して、調質圧延(スキンパス圧延)を実施する。調質圧延での圧下率は0.5〜5.0%である。圧下率が0.5%未満であれば、促進時効処理後の冷延鋼板において、降伏点伸びYP−ELが発生する場合がある。圧下率が5.0%を超えれば、全伸びELが30%未満となり、プレス成形性(絞り加工性)が低下する。圧下率が0.5〜5.0%であれば、ストレッチャーストレインが発生せず、優れたプレス成形性(絞り加工性)も得られる。
以上の製造工程により、本実施形態の絞り缶用冷延鋼板が製造される。上記絞り缶用冷延鋼板の板厚は0.15〜0.50mmである。板厚が0.50mmを超えれば、優れた絞り加工性が得られにくくなる。板厚が0.15mm未満であれば、熱延鋼板の板厚を薄くしなければならず、この場合、上述の熱間圧延時の仕上げ温度を確保できない。したがって、冷延鋼板の板厚は0.15〜0.50mmである。
[めっき処理]
上述の絞り缶用冷延鋼板に対して、めっき処理を実施してもよい。めっき処理はたとえば、Niめっき処理、Ni拡散めっき処理、Snめっき処理、及び、ティンフリースチール(TFS)めっき処理のいずれか1種である。Niめっき処理、Snめっき処理及びTFSめっき処理についてはたとえば、調質圧延工程後の冷延鋼板に対して実施する。
Niめっき処理を実施する場合、冷延鋼板の表面に形成されるNiめっき層の好ましい厚さは、0.5〜5.0μm(Ni付着量として、4.45〜44.5g/m2)である。
Ni拡散めっき処理を実施する場合、冷延工程後であって、CAL工程前に、Niめっき処理を実施する。この場合、Niめっき層が形成された冷延鋼板に対してCALが実施される。CAL実施時において、Niめっき層のNiが拡散して、Ni拡散めっき層が形成される。
種々の化学組成を有する冷延鋼板を種々の製造条件で製造し、機械特性及びr値について調査した。
[供試材の製造方法]
表1に示す化学組成の鋼A〜Qのスラブを製造した。
Figure 2017190469
各試験番号のスラブを、表2に示す熱延条件(スラブ加熱温度(℃)、仕上げ圧延温度FT(℃)、巻取り温度CT(℃))で熱間圧延を実施して、熱延鋼板を製造した。
Figure 2017190469
熱延鋼板を酸洗した後、表2に示す冷延条件(冷延率)で冷間圧延を実施して、板厚0.25mmの冷延鋼板を製造した。試験番号4の冷延鋼板に対しては、Ni拡散めっき処理を実施した。具体的には、CAL前に、冷延鋼板の表裏面に電気めっき法によりNiめっき皮膜を形成した。表面及び裏面のNiめっき皮膜の膜厚はいずれも2μmであった。試験番号4以外の他の試験番号の冷延鋼板では、めっき処理を実施しなかった。
得られた冷延鋼板に対して、CAL(連続焼鈍)を実施した。焼鈍温度ST(℃)は表2に示すとおりであった。各試験番号の冷延鋼板に対して、焼鈍温度ST(℃)で25秒間均熱した。その後、窒素ガスによるガス冷却を実施した。ガス冷却において、焼鈍温度ST(℃)から50℃以下になるまでの平均冷却速度はいずれも25℃/秒とした。
試験番号8の冷延鋼板ではさらに、CAL後、BAF−OAを実施した。BAF−OAでは、冷延鋼板を450℃で5時間均熱した後、72時間徐冷した。その他の試験番号の冷延鋼板に対しては、BAF−OAを実施しなかった。表2中の「焼鈍方式」欄において、「CAL+BAF-OA」は、CAL後にBAF−OAを実施したことを示す。「CAL」は、CALを実施し、BAF−OAを実施しなかったことを示す。
焼鈍後の冷延鋼板に対して、調質圧延を実施した。調質圧延での圧下率はいずれも、1.8%であった。以上の製造工程により、供試材となる冷延鋼板を製造した。
[試験方法]
[ミクロ組織観察及び結晶粒度番号測定]
調質圧延実施後の冷延鋼板のL断面にて、光学顕微鏡観察を行い、冷延鋼板の組織を特定した。特定された結果を表2に示す。ミクロ組織はいずれも、フェライト単相組織であった。さらに、各試験番号の冷延鋼板のフェライト粒の結晶粒度番号を、JIS G 0552(2013)に準拠して、上述の方法で求めた。得られた結果を表2に示す。
[機械特性評価試験]
各試験番号の冷延鋼板から、JIS5号引張試験片を作製した。引張試験片の平行部は、冷延鋼板のL方向(圧延方向)と平行であった。作製された引張試験片に対して、促進時効処理を実施した。具体的には、各引張試験片に対して、100℃で1時間の時効処理を実施した。
促進時効処理後の引張試験片に対して、JIS Z 2241(2011)に準拠して、室温(25℃)大気中にて、引張試験を実施して、降伏強度YP(MPa)、引張強度TS(MPa)、全伸びEL(%)、降伏点伸びYP−EL(%)、を求めた。得られた結果を表2に示す。
[rm値及びΔr値測定試験]
各試験番号の冷延鋼板に対して、JIS Z 2254(2008)に準拠した塑性歪比試験を実施し、塑性歪量が15%の時の平均塑性歪比rm及び面内異方性Δrを求めた。求めた結果を表2に示す。
[試験結果]
表2を参照して、試験番号1〜6の化学組成は適正であり、F1も式(1)の範囲内であった。さらに、製造条件も適切であった。そのため、これらの試験番号の冷延鋼板では、結晶粒度番号が11.0以上と高く、フェライト粒が微細であった。そのため、平均塑性歪比rmが1.35超、面内異方性Δrが−0.30〜+0.15であり、プレス成形性及び耐肌荒れ性が高かった。
さらに、いずれの試験番号においても、促進時効処理後の冷延鋼板のL方向において、降伏点強度YPが220〜290MPa、引張強度TSが330〜390MPa、全伸びELが32%以上、降伏点伸びYP−ELが0%であり、優れた機械特性が得られた。
一方、試験番号7では、C含有量が高すぎ、N含有量が低すぎた。さらに、焼鈍工程において、CAL及びBAF−OAを実施し、焼鈍温度STも740℃未満と低かった。その結果、平均塑性歪比rmが1.35以下と低く、プレス成形性が低かった。
試験番号8では、C含有量が低すぎた。その結果、結晶粒度番号が11.0未満となり、耐肌荒れ性が低かった。さらに、降伏点強度も220MPa未満と低かった。さらに、面内異方性Δrが−0.30よりも低く、プレス成形性が低かった。
試験番号9では、F1が式(1)の下限未満であった。そのため、降伏点伸びYP−ELが0%よりも高く、ストレッチャーストレインが発生した。
試験番号10では、F1が式(1)の上限を超えた。そのため、結晶粒度番号が11.0未満であり、耐肌荒れ性が低かった。さらに、面内異方性Δrが−0.30よりも低く、プレス成形性が低かった。
試験番号11では、F1が式(1)の下限未満であった。そのため、降伏点伸びYP−ELが0%よりも高く、ストレッチャーストレインが発生した。さらに、降伏点強度YPが390MPaを超え、全伸びELが32%未満であった。F1が式(1)の下限未満となり、固溶C量が過剰に多くなったため、ストレッチャーストレインが発生し、かつ、強度が過剰に高くなり、その結果、全伸びELが低かったと考えられる。
試験番号12では、C含有量が高すぎた。そのため、結晶粒度番号が11.0未満であり、耐肌荒れ性が低かった。さらに、面内異方性Δrが−0.30よりも低く、プレス成形性が低かった。
試験番号13では、N含有量が低すぎた。そのため、面内異方性Δrが−0.30よりも低く、プレス成形性が低かった。
試験番号14では、N含有量が高すぎた。そのため、平均塑性歪比rmが1.35以下と低く、プレス成形性が低かった。また、結晶粒度番号が11.0未満であり、耐肌荒れ性が低かった。
試験番号15では、F1が式(1)の上限を超えた。そのため、結晶粒度番号が11.0未満であり、耐肌荒れ性が低かった。さらに、面内異方性Δrが−0.30よりも低く、プレス成形性が低かった。
試験番号16では、F1が式(1)の上限を超えた。そのため、結晶粒度番号が11.0未満であり、耐肌荒れ性が低かった。さらに、面内異方性Δrが−0.30よりも低く、プレス成形性が低かった。
試験番号17では、F1が式(1)の下限未満であった。そのため、降伏点伸びYP−ELが0%よりも高く、ストレッチャーストレインが発生した。
試験番号18では焼鈍温度STが低すぎた。そのため、平均塑性歪比rmが1.35以下と低く、さらに、面内異方性Δrが−0.30よりも低く、プレス成形性が低かった。さらに、降伏点強度YPが280MPaよりも高く、引張強度TSも390MPaよりも高かった。
試験番号19では焼鈍温度STが高すぎた。そのため、結晶粒度番号が11.0未満となり、耐肌荒れ性が低かった。
試験番号20では熱延仕上げ温度FTが高すぎた。そのため、平均塑性歪比rmが1.35以下と低く、プレス成形性が低かった。
試験番号21では熱延仕上げ温度FTが低すぎた。そのため、面内異方性Δrが−0.30よりも低く、プレス成形性が低かった。
試験番号22では熱延巻取温度CTが高すぎた。そのため、結晶粒度番号が11.0未満となり、耐肌荒れ性が低かった。
試験番号23では熱延巻取温度CTが低すぎた。そのため、平均塑性歪比rmが1.35以下と低く、さらに、面内異方性Δrが−0.30よりも低く、プレス成形性が低かった。さらに、引張強度TSが390MPaを超えた。
試験番号24ではスラブ加熱温度が高すぎた。そのため、結晶粒度番号が11.0未満となり、耐肌荒れ性が低かった。さらに、平均塑性歪比rmが1.35以下と低く、プレス成形性が低かった。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。

Claims (6)

  1. 絞り缶用冷延鋼板であって、
    質量%で、
    C:0.0060〜0.0110%、
    Si:0.50%以下、
    Mn:0.70%以下、
    P:0.070%以下、
    S:0.05%以下、
    Sol.Al:0.005〜0.100%、
    N:0.0025〜0.0080%、
    式(1)を満たすNb、及び、
    B:0〜0.0030%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成と、
    結晶粒度番号が11.0以上であるフェライト単相組織とを有し、
    板厚が0.15〜0.50mmであり、
    100℃で1時間の時効処理を実施した後の前記絞り缶用冷延鋼板のL方向において、降伏点強度YPが220〜290MPa、引張強度TSが330〜390MPa、全伸びELが32%以上、降伏点伸びYP−ELが0%であり、
    平均塑性歪比rmが1.35超、及び、面内異方性Δrが−0.30〜+0.15である、絞り缶用冷延鋼板。
    440C+2.2≦Nb/C≦440C+5.2 (1)
    ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
  2. 請求項1に記載の絞り缶用冷延鋼板であってさらに、
    Niめっき層、Ni拡散めっき層、Snめっき層、及び、ティンフリースチール(TFS)めっき層のうちのいずれかを表面に備える、絞り缶用冷延鋼板。
  3. 請求項1に記載の化学組成を有する鋳片を1000℃以上に加熱し、870〜960℃で仕上げ圧延を実施し、仕上げ圧延後冷却して450〜700℃未満で巻取り、熱延鋼板を製造する工程と、
    前記熱延鋼板に対して冷間圧延を実施して、0.15〜0.50mmの板厚を有する冷延鋼板を製造する工程と、
    前記冷延鋼板を740〜800℃で均熱し、その後、冷却する連続焼鈍を実施する工程と、
    冷却した前記冷延鋼板を0.5〜5.0%の圧下率で調質圧延する工程を備える、絞り缶用冷延鋼板の製造方法。
  4. 請求項3に記載の製造方法であって、
    前記熱延鋼板を製造する工程では、前記鋳片を1100〜1230℃で加熱し、600〜670℃で巻取り、前記熱延鋼板を製造する、絞り缶用冷延鋼板の製造方法。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の絞り缶用冷延鋼板の製造方法であってさらに、
    前記調質工程を実施した後、前記冷延鋼板の少なくとも一方の表面に対して、Niめっき処理、Snめっき処理及びティンフリースチール(TFS)めっき処理のいずれかを実施する、絞り缶用冷延鋼板の製造方法。
  6. 請求項3又は請求項4に記載の絞り缶用冷延鋼板の製造方法であってさらに、
    前記冷延鋼板を製造する工程後であって、前記連続焼鈍を実施する工程前に、前記冷延鋼板の少なくとも一方の表面に対して、Niめっき処理を実施する、絞り缶用冷延鋼板の製造方法。
JP2016078636A 2016-04-11 2016-04-11 絞り缶用冷延鋼板及びその製造方法 Active JP6699310B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016078636A JP6699310B2 (ja) 2016-04-11 2016-04-11 絞り缶用冷延鋼板及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016078636A JP6699310B2 (ja) 2016-04-11 2016-04-11 絞り缶用冷延鋼板及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017190469A true JP2017190469A (ja) 2017-10-19
JP6699310B2 JP6699310B2 (ja) 2020-05-27

Family

ID=60086142

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016078636A Active JP6699310B2 (ja) 2016-04-11 2016-04-11 絞り缶用冷延鋼板及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6699310B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018194135A1 (ja) * 2017-04-19 2018-10-25 新日鐵住金株式会社 絞り缶用冷延鋼板、及びその製造方法
KR20190077178A (ko) * 2017-12-24 2019-07-03 주식회사 포스코 표면품질이 우수한 고강도 냉연강판 및 그 제조방법
US20210147996A1 (en) * 2018-04-13 2021-05-20 Nippon Steel Corporation Ni DIFFUSION-PLATED STEEL SHEET AND METHOD FOR MANUFACTURING Ni DIFFUSION-PLATED STEEL SHEET
US12031225B2 (en) 2018-04-13 2024-07-09 Nippon Steel Corporation Ni diffusion-plated steel sheet and method for manufacturing Ni diffusion-plated steel sheet
CN118600188A (zh) * 2024-05-15 2024-09-06 包头钢铁(集团)有限责任公司 一种提高钢轨拉伸性能合格率的方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11199991A (ja) * 1998-01-06 1999-07-27 Kawasaki Steel Corp 耐時効性と焼き付け硬化性に優れた缶用鋼板およびその製造方法
JPH11229085A (ja) * 1998-02-17 1999-08-24 Kawasaki Steel Corp 耐時効性に優れた塗装焼付硬化型冷延鋼板およびその製造方法
JP2003013146A (ja) * 2001-07-05 2003-01-15 Kawasaki Steel Corp 軽量2ピース缶用極薄高強度鋼板の製造方法
JP2007023385A (ja) * 2006-07-07 2007-02-01 Jfe Steel Kk 2ピース缶用冷延鋼板の打ち抜き方法
JP2008138234A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 Jfe Steel Kk 高強度高延性缶用鋼板およびその製造方法
JP2013139626A (ja) * 2011-12-09 2013-07-18 Jfe Steel Corp 缶用鋼板およびその製造方法
WO2015008454A1 (ja) * 2013-07-17 2015-01-22 Jfeスチール株式会社 缶用鋼板およびその製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11199991A (ja) * 1998-01-06 1999-07-27 Kawasaki Steel Corp 耐時効性と焼き付け硬化性に優れた缶用鋼板およびその製造方法
JPH11229085A (ja) * 1998-02-17 1999-08-24 Kawasaki Steel Corp 耐時効性に優れた塗装焼付硬化型冷延鋼板およびその製造方法
JP2003013146A (ja) * 2001-07-05 2003-01-15 Kawasaki Steel Corp 軽量2ピース缶用極薄高強度鋼板の製造方法
JP2007023385A (ja) * 2006-07-07 2007-02-01 Jfe Steel Kk 2ピース缶用冷延鋼板の打ち抜き方法
JP2008138234A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 Jfe Steel Kk 高強度高延性缶用鋼板およびその製造方法
JP2013139626A (ja) * 2011-12-09 2013-07-18 Jfe Steel Corp 缶用鋼板およびその製造方法
WO2015008454A1 (ja) * 2013-07-17 2015-01-22 Jfeスチール株式会社 缶用鋼板およびその製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018194135A1 (ja) * 2017-04-19 2018-10-25 新日鐵住金株式会社 絞り缶用冷延鋼板、及びその製造方法
JP6428986B1 (ja) * 2017-04-19 2018-11-28 新日鐵住金株式会社 絞り缶用冷延鋼板、及びその製造方法
US10907236B2 (en) 2017-04-19 2021-02-02 Nippon Steel Corporation Cold rolled steel sheet for drawn can and method for manufacturing same
KR20190077178A (ko) * 2017-12-24 2019-07-03 주식회사 포스코 표면품질이 우수한 고강도 냉연강판 및 그 제조방법
KR101999013B1 (ko) * 2017-12-24 2019-07-10 주식회사 포스코 표면품질이 우수한 고강도 냉연강판 및 그 제조방법
US20210147996A1 (en) * 2018-04-13 2021-05-20 Nippon Steel Corporation Ni DIFFUSION-PLATED STEEL SHEET AND METHOD FOR MANUFACTURING Ni DIFFUSION-PLATED STEEL SHEET
US11827996B2 (en) * 2018-04-13 2023-11-28 Nippon Steel Corporation Ni diffusion-plated steel sheet and method for manufacturing Ni diffusion-plated steel sheet
US12031225B2 (en) 2018-04-13 2024-07-09 Nippon Steel Corporation Ni diffusion-plated steel sheet and method for manufacturing Ni diffusion-plated steel sheet
CN118600188A (zh) * 2024-05-15 2024-09-06 包头钢铁(集团)有限责任公司 一种提高钢轨拉伸性能合格率的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6699310B2 (ja) 2020-05-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6428986B1 (ja) 絞り缶用冷延鋼板、及びその製造方法
EP2554699B1 (en) Steel sheet with high tensile strength and superior ductility and method for producing same
JP5217197B2 (ja) イヤリング性に優れた冷延鋼板およびその製造方法
JP6037084B2 (ja) 絞り缶用鋼板及びその製造方法
JP5930144B1 (ja) 絞り缶用鋼板及びその製造方法
CN103597110B (zh) 罐体部相对于外压的压曲强度高、且成形性及成形后的表面性状优异的罐用钢板及其制造方法
JP5924459B1 (ja) ステンレス冷延鋼板用素材
JP6699310B2 (ja) 絞り缶用冷延鋼板及びその製造方法
KR20190121810A (ko) 2피스 캔용 강판 및 그의 제조 방법
CN113242909A (zh) 罐用钢板及其制造方法
CN104619874B (zh) 成型加工性优异的铁素体系不锈钢板
JP5359709B2 (ja) 絞り缶用鋼板および絞り缶用めっき鋼板
JP6137436B2 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
CN110100022A (zh) 加工性优异的冷轧钢板及其制造方法
JP6881696B1 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
JP6210177B2 (ja) 缶用鋼板およびその製造方法
KR102484992B1 (ko) 강도, 성형성 및 표면 품질이 우수한 도금강판 및 이의 제조방법
JP2007204788A (ja) 電池用鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190910

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190917

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200331

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200413

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6699310

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151