JP2017190469A - 絞り缶用冷延鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.0060〜0.0110%、Si:0.50%以下、Mn:0.70%以下、P:0.070%以下、S:0.05%以下、Sol.Al:0.005〜0.100%、N:0.0025〜0.0080%、式(1)を満たすNb、B:0〜0.0030%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成と、結晶粒度番号が11.0以上であるフェライト単相組織とを有し、100℃で1時間の時効処理後、L方向の降伏点強度が220〜290MPa、引張強度が330〜390MPa、全伸びが32%以上、降伏点伸びが0%であり、平均塑性歪比が1.35超、及び、面内異方性が−0.30〜+0.15である絞り缶用冷延鋼板。440C+2.2≦Nb/C≦440C+5.2(1)ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
【選択図】図1
Description
440C+2.2≦Nb/C≦440C+5.2 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
440C+2.2≦Nb/C≦440C+5.2 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
440C+2.2≦Nb/C≦440C+5.2 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本実施形態の絞り缶用冷延鋼板の化学組成は、次の元素を含有する。
炭素(C)は固溶して鋼の強度を高める。C含有量が0.0060%以上であれば、後述の他の化学組成及び製造条件を満たすことを前提に、促進時効処理後のL方向の降伏強度YPが220MPa以上となり、引張強度TSが330MPa以上となる。C含有量が0.0060%未満であれば、この効果が得られない。一方、C含有量が0.0110%を超えれば、冷延鋼板の硬さが高くなりすぎる。この場合、促進時効処理後のL方向の全伸びELが低下し、絞り加工性が低下する。したがって、C含有量は0.0060〜0.0110%である。C含有量の好ましい下限は0.0065%であり、さらに好ましくは0.0070%である。C含有量の好ましい上限は0,0105%である。
シリコン(Si)は、本実施形態の冷延鋼板においては、不可避的に含有される不純物である。Siは、冷延鋼板のめっき密着性、及び、製缶後の冷延鋼板の塗装密着性を低下する。したがって、Si含有量は0.50%以下である。Si含有量の好ましい上限は0.50%未満である。Si含有量はなるべく低い方が好ましい。
マンガン(Mn)は、本実施形態の冷延鋼板においては、不可避的に含有される不純物である。Mnは、冷延鋼板を硬質化し、冷延鋼板の全伸びELを低下する。そのため、プレス成形性(絞り加工性)が低下する。したがって、Mn含有量は0.70%以下である。Mn含有量の好ましい上限は0.70%未満である。Mn含有量はなるべく低い方が好ましい。
りん(P)は不可避的に含有される。Pは冷延鋼板の強度を高める。しかしながら、P含有量が高すぎれば、プレス成形性が低下する。具体的には、缶での耐二次加工脆性割れ性が低下する。深絞り加工された缶では、たとえば、−10℃のような低温において、落下時の衝撃又は曲げ加工歪みにより缶側壁端部が脆性破断する場合がある。このような破断のしやすさを二次加工脆性割れと称する。Pの過剰な含有は、二次加工脆性割れを引き起こしやすくする。したがって、P含有量は0.070%以下である。
硫黄(S)は不純物である。Sは熱間圧延時の鋼板に表層脆性割れを発生させ、熱延鋼帯に耳荒れを生じさせる。したがって、S含有量は0.05%以下である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。
アルミニウム(Al)は、スラブ製造時に鋼を脱酸する。Al含有量が0.005%未満であれば、上記効果が得られない。一方、Al含有量が0.100%を超えれば、上記効果が飽和して製造コストが高くなる。したがって、Al含有量は0.005〜0.100%である。本明細書において、Al含有量は酸可溶Al(Sol.Al)の含有量である。
窒素(N)は、鋼の面内異方性Δrを小さくする。N含有量が0.0025%未満であれば、面内異方性が大きくなり、イヤリング性が低下する。一方、N含有量が0.0080%を超えれば、平均塑性歪比rmが低下する。したがって、N含有量は0.0025〜0.0080%である。N含有量の好ましい下限は0.0030%であり、さらに好ましくは0.0045%である。N含有量の好ましい上限は0.0070%であり、さらに好ましくは0.0065%である。
440×C+2.2≦Nb/C≦440×C+5.2 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
ボロン(B)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Bは焼鈍時に再結晶粒を細粒化する。しかしながら、B含有量が0.0030%を超えれば、細粒化による最適冷延率が低下して、生産性が低下する。したがって、B含有量は0.0030%である。B含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%である。B含有量の好ましい上限は0.0020%である。
本実施形態の冷延鋼板のミクロ組織は、フェライトと、介在物及び/又は析出物とからなる。つまり、ミクロ組織のマトリクス(母相)はフェライト単相である。マトリクスがフェライト単相であるため、均一な変形を実現でき、全伸びELを30%以上とすることができる。そのため、優れた深絞り加工性が得られる。
上述の絞り缶用冷延鋼板に対して、100℃で1時間の時効処理(以下、促進時効処理という)を実施した後の、L方向における降伏点強度YP、全伸びEL、降伏点伸びYP−EL、平均塑性歪比rm値、面内異方性Δrは、次のとおりである。
YP:220〜290MPa、
TS:330〜390MPa、
El≧30%
YP−El≦0
平均塑性歪比rm>1.35
面内異方性Δr:−0.30〜+0.15
本実施形態の絞り缶用冷延鋼板の平均塑性歪比rmは好ましくは、1.40以上である。
本実施形態の絞り缶用冷延鋼板の製造方法の一例を説明する。本実施形態の製造方法は、鋳片を製造する工程(製鋼工程)と、熱延鋼板を製造する工程(熱延工程)と、冷延鋼板を製造する工程(冷延工程)と、冷延鋼板に対してCAL(連続焼鈍)を実施する工程(CAL工程)と、CAL後の冷延鋼板に対して調質圧延を実施する工程(調質圧延工程)とを備える。以下、各工程について詳述する。
初めに、上述の化学組成を有する溶鋼を製造する。製造された溶鋼から連続鋳造法により鋳片(スラブ)を製造する。
通常行われている熱延条件で、1000℃以上の加熱温度で加熱されたスラブを熱間圧延して、熱延鋼板を製造する。より具体的には、スラブの加熱温度はたとえば、1000℃〜1280℃である。スラブの加熱温度が1280℃を超えると、熱間圧延時に耳割れが生じやすくなる。また、平均塑性歪比rmが低下する。スラブの加熱温度が1000℃よりも低くなると、適切な仕上げ圧延温度を確保することが困難となる。スラブの好ましい加熱温度は1100℃〜1230℃である。熱間圧延ではたとえば、870〜960℃の仕上げ圧延温度FTで仕上げ圧延を行う。FTが960℃を超えると平均塑性歪比rmが低下し、FTが870℃よりも低くなると、面内異方性Δrが大きくなる。仕上げ圧延後の熱延鋼板を冷却帯で冷却後、コイルに巻取る。巻取り温度CTはたとえば450〜700℃未満である。CTが700℃を超えると冷延及び焼鈍後の結晶粒が粗大となり、CTが450℃よりも低くなると、平均塑性歪比rmが低下するとともに面内異方性Δrが大きくなる。好ましい巻取り温度CTは600〜670℃である。
熱延鋼板を冷間圧延して、冷延鋼板を製造する。冷間圧延は、周知の方法で実施されればよい。好ましくは、事前に、冷間圧延率を変化させて絞り缶用冷延鋼板の最適な冷間圧延率を検討し、鋼板の面内異方性Δrが小さくなるように冷間圧延率を設定する。冷延率が80%未満又は90%超の場合には鋼板の面内異方性が大きくなる。したがって、冷間圧延率は80%以上90%未満が好ましい。
冷延鋼板に対して、連続焼鈍を実施する。連続焼鈍ラインを“Continuous Annealing Line”と称するため、本明細書では、連続焼鈍を「CAL」と称する。CALにおける焼鈍温度STは740〜800℃である。焼鈍温度STが740℃未満であれば、鋼中で再結晶が完了せず、未再結晶組織が残存する。この場合、所望の機械特性が得られない。一方、焼鈍温度STが800℃を超えれば、再結晶粒が粗大化して、結晶粒度番号が11.0を超える。したがって、焼鈍温度STは740〜800℃である。焼鈍温度STの好ましい下限は760℃である。焼鈍温度STの好ましい上限は780℃である。焼鈍温度STでの均熱時間はたとえば、10〜60秒である。
本実施形態では、CAL後に箱焼鈍での過時効処理(箱焼鈍は“Box Annealing Furnace”、過時効処理は“Over Aging”、以降、BAF−OAと称する)を実施しなくても、本実施形態の高強度冷延鋼板では、促進時効処理後の降伏点伸びYP−ELが0%であり、ストレッチャーストレインが発生しない。したがって、本実施形態では、CAL後にBAF−OAを実施しない。そのため、生産性が高まる。
CAL後の冷延鋼板に対して、調質圧延(スキンパス圧延)を実施する。調質圧延での圧下率は0.5〜5.0%である。圧下率が0.5%未満であれば、促進時効処理後の冷延鋼板において、降伏点伸びYP−ELが発生する場合がある。圧下率が5.0%を超えれば、全伸びELが30%未満となり、プレス成形性(絞り加工性)が低下する。圧下率が0.5〜5.0%であれば、ストレッチャーストレインが発生せず、優れたプレス成形性(絞り加工性)も得られる。
上述の絞り缶用冷延鋼板に対して、めっき処理を実施してもよい。めっき処理はたとえば、Niめっき処理、Ni拡散めっき処理、Snめっき処理、及び、ティンフリースチール(TFS)めっき処理のいずれか1種である。Niめっき処理、Snめっき処理及びTFSめっき処理についてはたとえば、調質圧延工程後の冷延鋼板に対して実施する。
表1に示す化学組成の鋼A〜Qのスラブを製造した。
[ミクロ組織観察及び結晶粒度番号測定]
調質圧延実施後の冷延鋼板のL断面にて、光学顕微鏡観察を行い、冷延鋼板の組織を特定した。特定された結果を表2に示す。ミクロ組織はいずれも、フェライト単相組織であった。さらに、各試験番号の冷延鋼板のフェライト粒の結晶粒度番号を、JIS G 0552(2013)に準拠して、上述の方法で求めた。得られた結果を表2に示す。
各試験番号の冷延鋼板から、JIS5号引張試験片を作製した。引張試験片の平行部は、冷延鋼板のL方向(圧延方向)と平行であった。作製された引張試験片に対して、促進時効処理を実施した。具体的には、各引張試験片に対して、100℃で1時間の時効処理を実施した。
各試験番号の冷延鋼板に対して、JIS Z 2254(2008)に準拠した塑性歪比試験を実施し、塑性歪量が15%の時の平均塑性歪比rm及び面内異方性Δrを求めた。求めた結果を表2に示す。
表2を参照して、試験番号1〜6の化学組成は適正であり、F1も式(1)の範囲内であった。さらに、製造条件も適切であった。そのため、これらの試験番号の冷延鋼板では、結晶粒度番号が11.0以上と高く、フェライト粒が微細であった。そのため、平均塑性歪比rmが1.35超、面内異方性Δrが−0.30〜+0.15であり、プレス成形性及び耐肌荒れ性が高かった。
Claims (6)
- 絞り缶用冷延鋼板であって、
質量%で、
C:0.0060〜0.0110%、
Si:0.50%以下、
Mn:0.70%以下、
P:0.070%以下、
S:0.05%以下、
Sol.Al:0.005〜0.100%、
N:0.0025〜0.0080%、
式(1)を満たすNb、及び、
B:0〜0.0030%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成と、
結晶粒度番号が11.0以上であるフェライト単相組織とを有し、
板厚が0.15〜0.50mmであり、
100℃で1時間の時効処理を実施した後の前記絞り缶用冷延鋼板のL方向において、降伏点強度YPが220〜290MPa、引張強度TSが330〜390MPa、全伸びELが32%以上、降伏点伸びYP−ELが0%であり、
平均塑性歪比rmが1.35超、及び、面内異方性Δrが−0.30〜+0.15である、絞り缶用冷延鋼板。
440C+2.2≦Nb/C≦440C+5.2 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。 - 請求項1に記載の絞り缶用冷延鋼板であってさらに、
Niめっき層、Ni拡散めっき層、Snめっき層、及び、ティンフリースチール(TFS)めっき層のうちのいずれかを表面に備える、絞り缶用冷延鋼板。 - 請求項1に記載の化学組成を有する鋳片を1000℃以上に加熱し、870〜960℃で仕上げ圧延を実施し、仕上げ圧延後冷却して450〜700℃未満で巻取り、熱延鋼板を製造する工程と、
前記熱延鋼板に対して冷間圧延を実施して、0.15〜0.50mmの板厚を有する冷延鋼板を製造する工程と、
前記冷延鋼板を740〜800℃で均熱し、その後、冷却する連続焼鈍を実施する工程と、
冷却した前記冷延鋼板を0.5〜5.0%の圧下率で調質圧延する工程を備える、絞り缶用冷延鋼板の製造方法。 - 請求項3に記載の製造方法であって、
前記熱延鋼板を製造する工程では、前記鋳片を1100〜1230℃で加熱し、600〜670℃で巻取り、前記熱延鋼板を製造する、絞り缶用冷延鋼板の製造方法。 - 請求項3又は請求項4に記載の絞り缶用冷延鋼板の製造方法であってさらに、
前記調質工程を実施した後、前記冷延鋼板の少なくとも一方の表面に対して、Niめっき処理、Snめっき処理及びティンフリースチール(TFS)めっき処理のいずれかを実施する、絞り缶用冷延鋼板の製造方法。 - 請求項3又は請求項4に記載の絞り缶用冷延鋼板の製造方法であってさらに、
前記冷延鋼板を製造する工程後であって、前記連続焼鈍を実施する工程前に、前記冷延鋼板の少なくとも一方の表面に対して、Niめっき処理を実施する、絞り缶用冷延鋼板の製造方法。
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