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JP2017159002A - 医療用処置具 - Google Patents

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JP2017159002A
JP2017159002A JP2016183124A JP2016183124A JP2017159002A JP 2017159002 A JP2017159002 A JP 2017159002A JP 2016183124 A JP2016183124 A JP 2016183124A JP 2016183124 A JP2016183124 A JP 2016183124A JP 2017159002 A JP2017159002 A JP 2017159002A
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boron
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JP2016183124A
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松尾 誠
Makoto Matsuo
誠 松尾
喜直 岩本
Yoshinao Iwamoto
喜直 岩本
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IMOTT CO Ltd
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IMOTT CO Ltd
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Abstract

【課題】耐焼き付き性および耐摩耗性の向上した電極を備えてなる医療用処置具を提供する。【解決手段】ボロンドープダイヤモンドを電極として備えてなる医療用処置具であり、電極は、医療用処置具の先端チップ部のボロンドープダイヤモンドコーティング層である。【選択図】図5

Description

本発明は、医療用処置具に関し、より詳しくは、各種の電気手術において有用な医療用処置具に関する。
医科手術に用いられる医療用処置具として、例えばバイポーラピンセット(例えば、図5に示される)は、高周波発生装置に接続され、かつ互いに電気的に絶縁された一対のアームを開閉可能にした手術器具である。両アームは、手術者が操作しない状態では、各アームの先端チップ部間の対向する電極は互いに離間した開の状態であるが、一方手術者が操作する使用時には、両対向電極が生体組織を介して接触する閉の状態になった際に、対向電極間に高周波電流が流れ、生体組織に対して切断や凝固等の手術操作を行うことが可能になっている。
バイポーラピンセットの両アームは、その素材としてステンレス鋼などで構成されている。また、各先端チップ部の電極は、貴金属をメッキした皮膜が設けられている(例えば特許文献1)か、あるいは窒化チタン(TiN)のコーティングが施されている。基材は防錆目的でステンレス鋼の場合が多い。メッキの場合には下地に銅合金とニッケルメッキを行った上に金メッキが施されている。
メッキの原理は、陽極に接続された金属が陽イオン(+イオン)となり、陰極側に接続された基材に向かって泳動し、基材上に付着させるものである。付着力は両電極間の電圧に依存し、メッキの膜厚は両電極間の電流と通電時間に比例する。メッキを行う場合、電源は直流であり、常に被覆したい金属が陽極に接続され、被覆される基材は陰極に接続され、陽極から陰極へイオン化された金属が遷りメッキ層ができる。
バイポーラピンセットなどの電極に金メッキを施す場合もこの原理を用いて行われる。窒化チタン(TiN)は、チタンと窒素の化合物が薄膜として基材表面に付着される。被覆方法としてはイオンプレーティングという真空プロセスが一般に用いられ、原材料のチタンをアークや電子ビームで蒸発させ、窒素雰囲気中で、TiN薄膜を付着させる基材に直流電圧で打ち込むことで薄膜が基材に付着し、成膜される。バイポーラピンセットなどの電極に窒化チタン膜を形成する場合も、この方法が一般的に採用される。
バイポーラピンセットは、対向する電極で人体組織を挟み、挟んだ人体組織に高周波交流電流を流すための電極を備えている。人体組織は電気的抵抗を持つため、体液や生理食塩水などの電解液がある環境で高周波交流電流を流すとジュール熱により発熱し、組織は凝固する。この時、メッキの原理を考えると、電極からイオン化した金属(貴金属)やTiNが電解液を通して対向する電極に向かって泳動する。これは微小ながら金属や窒化物を電極から解離させる現象であり、避けられない。
TiNはヴィッカース硬度HV2000という高硬度であり、金属に穴をあけるドリルや、鋼を削る刃具の表面処理として使用されているような強固な保護膜であり、人体組織との接触やガーゼ拭き取りなどで磨滅するものではない。
しかし、電解液の存在下で、電気的に表面からイオンとなって、被膜の金属を剥し、取り去るような作用を受ければ、TiNといえども剥離・磨滅は免れない。貴金属でも容易にイオン化し、原子1個ずつ、電極から解離させられてしまう。
すなわち、電解質である生理食塩水が有る環境下で高周波交流電流を印加すると、金メッキ(金属)やTiN(窒化チタン)の膜を解離する方向のイオンが移動することにより表面被膜が剥離しやすくなってしまう。
近年使用される微細部位で使用する医科手術用高周波交流電源は周波数を上げる傾向となっている。その理由は、より細かな部位へ手術範囲が拡大し、より狭い範囲で血管凝固や切断をする要求を満たすためであり、周波数を上げることで電流の拡散を避ける(いわゆる表皮効果を利用して)ことができ、人体への熱影響や電流の影響を手術部位近辺の狭い範囲に制限できる効果が期待できる。
医師がなるべく狭い領域まで血管や組織を止血や凝固、切断、切断をするために、電極の先端は更に細く、小さくなっている。電流流出部分の表面積が減少すれば、電流密度が上がり、電流密度の上昇に伴ってイオン放出が増加し、結果的に金メッキやTiNの被覆が早く磨滅することが考えられる。
このようなバイポーラピンセットでは、先端チップ部の電極間に高周波交流電流を流して、生体組織を、凝固、止血、切開等の手術操作を行うが、ある程度大きな高周波交流電流を流さないといけないことから、通電時に発生する熱等によるタンパク質凝固により、タンパク質が先端チップ部の電極面上に付着し、焦げ付きにより固着する。この固着したタンパク質により先端チップ部の電極のインピーダンスが変化し、抵抗が大きくなり、高周波交流電流の通電が妨げられ、先端チップ部の電極における生体組織の凝固性能や切断・切開性能が著しく劣化する。
このほか、モノポーラ電気メス(例えば、図6に示される)も高周波を用いる医療用処置具の一種であり、電気メス先端の電極を患者の手術部位の生体組織に接触させ、高周波交流電流を流すことによって、生体組織を切断・焼結・凝固を行うものである。バイポーラピンセットと同様に電気メスの部分にタンパク質が固着し、凝固、切断・切開性能が劣化する。
特開平7−275255号公報
上記したように、現在一般に使用されているバイポーラピンセットやモノポーラ電気メスなどの医療処置具における電極は、使用中に生体組織が焼付くことを最小化する目的で金や銀、TiNなどの導電性の薄膜を表面に付けたものが使用されている。しかし、使用中に少しずつ生体組織が電極に焼き付き、医師や看護師がこの焼き付いた組織をガーゼなどで拭き取りながら使用している状況である。この凝固組織などに上述した浮き上がった金属や窒化物が含まれている。このため、表面の金、銀、TiNの薄膜は少しずつ削り取られ、また、表面に細かな傷が生じるために、より焼き付きが生じやすくなり、最後には使用頻度の高い場所(組織に触れる場所であって、この部分が通電し、金属等のイオンが浮き上がる場所)の薄膜は摩耗し、下地の金属面が出て来る。多くの場合、下地金属はステンレス鋼であり、ステンレス鋼表面には生体組織が焼き付きやすい。従って、電極表面に生体組織が固着しにくい上に、生体組織の除去が容易で、ガーゼ等による払拭の回数を大幅に延長できる電極を用いた医療処置具が強く望まれている。
上記の課題を達成するため、本発明は、モノポーラ電気メスやバイポーラピンセットのような医療用処置具において、生体組織の焼き付き難さは少なくとも金と同程度で、高周波交流電流の通電性能も基材のステンレス鋼に金メッキした従来のものと同程度であっても、ガーゼ拭き取りにおいて優れた耐摩耗性をもつ電極を先端チップ部に有する医療用処置具を提供することである。
本発明によれば、上記の課題を解決するために、以下の発明が提供される。
(1)ボロンドープダイヤモンドを電極として備えてなる医療用処置具。
(2)電極が、医療用処置具の先端チップ部のボロンドープダイヤモンド形成層である上記(1)に記載の医療用処置具。
(3)先端チップ部の基材が、モリブデン、ニッケル、タングステン、クロムおよびこれらの金属の合金、ならびにステンレス鋼から選ばれる上記(2)に記載の医療用処置具。
(4)医療用処置具がバイポーラピンセットである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の医療用処置具。
(5)医療用処置具がモノポーラ電気メスである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の医療用処置具。
本発明によれば、ボロンドープダイヤモンド膜を医療用処置具の先端チップ部の電極として基材に形成することにより、優れた電気的導電性を有し、経時的には劣化するも初期的には優れた生体組織の非付着性を有する金をコートしたものと同程度の生体組織の非付着性を有し、経時的にもその特性を維持でき、かつガーゼ等による固着生体物質の除去においても電極の剥離による劣化を防げる長期耐久性を有する医療用処置具を提供することができる。
ボロンドープダイヤモンド膜合成装置の概略図。 焼き付き試験により得られる荷重曲線の一例を示す。 単発焼き付き試験結果を示す。 連続焼き付き試験結果を示す。 バイポーラピンセットの代表例を示す。 モノポーラ電気メスの代表例を示す。 ボロンドープダイヤモンドの結晶構造イメージ。
本発明の医療用処置具は、ホウ素をドープしたダイヤモンド、すなわちボロンドープダイヤモンドを電極として備えてなる。電極は、医療用処置具の先端チップ部のボロンドープダイヤモンド形成層により構成される。先端チップ部の基材は、高温耐熱性のある金属であり、好適にはモリブデン、ニッケル、タングステン、クロムおよびこれらの金属の合金、ならびにステンレス鋼から選ばれる。
医療用処置具としては、好適にはバイポーラピンセットまたはモノポーラ電気メスが挙げられる。
バイポーラピンセットは、高周波発生装置に接続され、かつ互いに電気的に絶縁された一対のアームを開閉可能にした手術器具で、一対のアームの先端チップ部に備える電極間に手術部位を挟んで高周波交流電流を流すことによる発熱により、手術部位の生体組織を切断・焼結・凝固に用いられる。モノポーラ電気メスは、電気メス先端電極を患者の手術部位の生体組織に接触させ、他方の電極は離れた生体の部位に接続され、高周波交流電流を両電極間に流すことによって、手術部位の生体組織を切断・焼結・凝固に用いられる。本発明の電極は、これらの医療用処置具の先端チップ部のボロンドープダイヤモンド形成層により構成される。
ボロンドープダイヤモンド(図7)は、ダイヤモンドに13 族のホウ素をドープしたものであり、CVD法等によるダイヤモンドの合成においてホウ素を添加することにより合成され得る。炭素と比較して価数が少ないホウ素を結晶中にドープすると正孔が生じ,電圧が印加されると正孔が移動して電荷が運ばれる。このような挙動を示す半導体はp型半導体と呼ばれる。
ボロンドープダイヤモンドは、ダイヤモンド中のホウ素の含有量に応じ、含有量0ではダイヤモンドであって絶縁性を示すが、含有量が増えるにつれて電気的特性が変化して、絶縁体⇒半導体⇒電導体⇒超電導体を示すことが知られている。すなわち、ダイヤモンドは絶縁体であり,その電気抵抗率は1013〜1016Ω・mである。しかし,ダイヤモンドにホウ素を添加していくと,導電性が現れ,青色になる。さらに高濃度に添加すると黒色になり,より導電性が高まる。ホウ素濃度が1020cm-3程度に至ると非金属-金属転移を起こし,金属的な物性を示す。また,ホウ素濃度が1021cm-3付近以上の領域では,超電導転移温度が2 K以上の超伝導体となることが知られている。
本発明のボロンドープダイヤモンド形成層は、電気抵抗率が好適には2×103Ω・m以下、好ましくは2×10Ω・m以下となるように、ホウ素濃度が1018cm-3〜1021cm-3程度であるのが好適である。
ボロンドープダイヤモンドの成膜方法としては、熱フィラメントCVD(化学的蒸着)法、マイクロ波プラズマCVD法、高周波プラズマCVD(RFプラズマCVD)法、直流放電プラズマCVD法、アーク放電プラズマジェットCVD法、パルスプラズマCVD法などが列挙される。成膜したい基材や形状、装置の大きさなど、医療用処置具の電極を作るうえで最適な方法を採用できる。電極に適した形状にあらかじめ成形した基材上にボロンドープダイヤモンドの膜を所定の面に成膜・合成・形成することもできる。
ボロンドープダイヤモンド膜の厚さは、通常1〜50μm程度、好適には2〜20μm程度である。
熱フィラメントCVD法による場合、たとえば高純度メタン,水素 およびトリメチルボレートを原料ガスとし、ホウ素/炭素の比率を10000〜30000ppm(0.01〜0.03%)として、ボロンドープダイヤモンド膜(BDD膜)を形成させるのが好適であり、膜中のホウ素濃度はXPS(X線光電子分光法)測定で0.001〜0.006%であるのが好適である。
本発明のボロンドープダイヤモンド形成層は、たとえば原料ガスであるメタンの流量が増加するにつれて,ダイヤモンドの結晶粒径が増大することで,レーザー顕微鏡により測定した表面粗さ(面粗さ)Sa(ISO 25178)が増大する。これにより粒子径のバラツキが大きくなり、表面粗さは大きくなり、異物(焼けた生体組織等)は剥離しやすくなる。結晶粒径が小さいと、2つの特徴を持つようになる。一つは表面粗さが小さくなり、異物との接触面積が増えて剥離性能が低下する。また、結晶粒界が多くなるため、電気抵抗率が増加する。
ボロンドープダイヤモンドは強固な結晶構造を持ち、容易にイオン化せず電気的に剥離することはない。ボロンを微小に含む結晶であるため、電荷の移動は正孔の移動によるからである。
物理的な摩耗は、人体組織との摩擦、先端を拭き清浄化するガーゼによる拭き払い、であるが、これらの物理的な摩耗はボロンドープダイヤモンドでは極めて起こりにくい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
本発明の医療処置具用電極として、その電気的特性、硬度、耐剥離性を定量的に測定するため、熱フィラメントCVD法によりボロンドープダイヤモンド形成層を寸法15X15mm,厚さ0.6mmのモリブデン基板上に合成した。
高純度メタン (CH4: 99.999 ),水素 (H2) およびトリメチルボレート (B(OCH3)3) を原料ガスとした。メタン,水素およびトリメチルボレートのガス流量を、それぞれ8、192および0.1cm3/分とした。合成装置の概略図を図1に示す。図1において、1はDC電源、2はTaフィラメント、3は基板、4は冷却水、5は排ガスを示す。
チャンバーは直径400 mm,高さ500 mm の円筒型とした。このチャンバーの壁面内には水が流れており,チャンバーを冷却できる。フィラメントは,直径0.5 mm のタンタル線をM6のネジの溝部に螺旋状に5回転巻き付け,螺旋状の部分の幅が約10 mm となるように均等に広げて作製し,基板台との距離が3 mm となるように設置した。基板台には直径20 mm のモリブデンを使用しており,アルミナスペーサーを介して銅パイプで保持されている。この銅パイプには水が流れており,基板を冷却できる。
基板にはモリブデン(角寸法15X15mm、厚さ0.6 mm)を用いた。全ての基板には,核生成密度を向上させるために,粒径が1 μm のダイヤモンドペーストを用いて傷付け処理を行った後,アセトン(10分)→石鹸水(10分)→蒸留水(10分×4回)→エタノール(10分×2回)→アセトン(10分×2回)の超音波洗浄を行った。
合成前の排気は,油回転ポンプ(日本アルカテル・ルーセント株式会社製: PASCAL 2015 SD)および油拡散ポンプ(キヤノンアネルバ株式会社製: CDP-600)を用いて行った。その後,メタン,水素およびトリメチルボレートをチャンバー内に導入し,ニードルバルブにより排気量を調整することで,圧力を 4.00×103Pa に保ち,フィラメントを約2100℃ まで加熱して(モリブデン基板温度約850℃),ボロンドープダイヤモンド膜を合成した。なお,フィラメントの温度測定は光高温計(株式会社チノー製: PYROSTAR MODEL IR-U)によって行った。
得られたボロンドープダイヤモンド形成層の電気抵抗率を調べた。単結晶ダイヤモンドが高い電気抵抗率(1013〜1016Ω・m)を有するのに対し、ボロンドープダイヤモンドは例えば1.8×10Ω・m程度と低い電気抵抗率を示した。これは金の電気抵抗率2.21×10-8Ω・mよりは高いが、生理的食塩水や体液を介して高周波電流を通電するには十分な導電性を有する。
次に、ボロンドープダイヤモンド形成層の耐焼き付き性評価を行った。一般的に電気メスなどのタンパク質の耐焼き付き性の評価の多くは、外科手術における臨床試験や人間の生体組織と同様にタンパク質を主成分とする鶏肉等を用いた基礎実験を実施し、人間の感性により定性的に行われる。しかし、これらの方法では、先端の電極部に働く力や電極間距離等の使用環境によるばらつきが生じる。さらに、人間の感性を評価基準とするとばらつきも生じやすい。定量的な評価を行うため、試作の焼き付き試験機により、従来の電極材料である金コーティングおよびステンレスとボロンドープダイヤモンド形成層とを比較評価した。
(焼き付き試験機)
定量的な耐焼き付き性評価を,試作した焼き付き試験機により行った。ロードセル先端に取り付けた試料を上部電極とし,下部電極にはM6 の平先止めねじ(材質: SUS304)を用いた。
サーボプレス(エーテック株式会社製: ASBP-20A)を用いて位置制御を行うことで,ロードセル先端に取り付けた試料を0.1 mm/s で鶏肉に押し込み,最下点(電極間距離2.5 mm)で保持する間に電気メス電源装置(ジョンソン・エンド・ジョンソン製: SYNERGY マリス プレジョン バイポーラ コアギュレーター)により基本周波数1 MHz の高周波電流を1秒間印加した後,0.1 mm/s で鶏肉から引き離した。電気メス電源装置は,50Ωの無誘導抵抗を用いた場合の標準値で出力28.9W,電流0.76 A となる出力値に設定した。鶏肉には,表面の脂肪分の除去や内部の水分および塩分濃度の均一化を目的として,生理食塩水に2 時間浸漬させた後,表面の水分を減少させて焼き付きが起こりやすくするために,紙ウエスに30 分間挟んだものを用いた。また,厚さを約3.5 mm に統一し,試料に焼き付いた際に持ち上がらないようにポリスチレンカバーで押さえた。
(耐焼き付き性の評価方法)
1)1 枚の試料に対して1 回の高周波電流印加を行う単発焼き付き試験、および1 枚の試料に対して10 回の高周波電流印加を行う連続焼き付き試験を行った。
焼き付き試験により得られた荷重曲線の一例を図2に示す。図2の領域a〜eは,
a: 試料を鶏肉に押し込む前の領域(試料と鶏肉は非接触)
b: 試料を鶏肉に押し込んでいる領域
c: 最下点で保持している領域(最下点に到達して3秒後に高周波電流を印加)
d: 試料を鶏肉から引き離している領域
e: 試料を鶏肉から引き離した後の領域(試料と鶏肉は非接触)
と解釈できる。耐焼き付き性を評価する際に,図2の斜線部の面積を付着エネルギーと見なし,各試料の付着エネルギーを算出した。
2)単発焼き付き試験
単発焼き付き試験では、実施例で得られたボロンドープダイヤモンド(BDD)膜、BDD膜表面に金をスパッタリングした(膜厚300nm)金コーティング、および耐水研磨紙(#100、#240および#320)研磨したステンレス鋼SUS316Lを6枚ずつ用いた。用いた各試料の表面粗さSaの平均値を表1に示す。
3)連続焼き付き試験
連続焼き付き試験では,ボロンドープダイヤモンド形成層および金を1 枚ずつ用いた。用いた各試料の表面粗さSaを図4に示す。
(評価結果)
単発焼き付き試験結果を図3に示す。ボロンドープダイヤモンド膜(BDD膜)の耐焼き付き性は、金コーティングよりやや劣り、ステンレス鋼より優れている。電極表面の粗さが生体組織の焼き付きに影響を与えることがわかる。
連続焼き付き試験結果を図4に示す。BDD膜の第1回目の耐焼き付き性は、金コーティングより平均値で50%程度劣る(図3)が、ステンレス鋼より平均的に10〜50%程度良いことが示された。回数を重ねると耐焼き付き性は、どうなるかを調べた結果、10回までの複数回の焼き付き性は、金コーティングとほぼ同等であることが示された(付着エネルギーの平均値はBDD膜:3.88×10-5N・m、金コーティング:3.65×10-5N・m)。すなわち、BDD膜は、金コーティングと同程度にタンパク質の吸着を抑制し得、ステンレス鋼よりもタンパク質を吸着しにくい。この時のBDD膜の平均表面粗さSaは0.477μm、金コーティングは0.423μmであり、同等であった。
(耐摩耗性の評価)
ボロンドープダイヤモンド形成層の耐摩耗性を評価した。この評価は、実際に医療現場で行われている、高周波処置具である先端チップ部のガーゼ払拭を模擬した摩耗試験により評価した。すなわち金コーティング基板とボロンドープダイヤモンド基板をそれぞれ回転させ、それぞれにガーゼ払拭を模擬した麺棒を一定圧力で付加してコーティング膜がどの程度維持されるかを比較した。表2に耐摩耗性試験の結果を示す。
ボロンドープダイヤモンド形成層は金コーティングと比べ大幅に長持ちし、同一膜厚換算で約90倍の改善を得るという優れた耐久性を維持することが分かった。
本発明は、バイポーラピンセットやモノポーラ電気メスなどの医療用処置具の先端チップ部に適用して耐久性に優れるボロンドープダイヤモンド電極を提供するものである。本発明は、これらの例に限定されるものではなく、耐久性を要する医療用処置具の電極として有用な応用に制限なく適用できる。
本発明によれば、耐焼き付き性および耐摩耗性の向上した電極を備えてなる医療用処置具を提供し得る。
1 DC電源
2 Taフィラメント
3 基板
4 冷却水
5 排ガス

Claims (5)

  1. ボロンドープダイヤモンドを電極として備えてなる医療用処置具。
  2. 電極が、医療用処置具の先端チップ部のボロンドープダイヤモンド形成層である請求項1に記載の医療用処置具。
  3. 先端チップ部の基材が、モリブデン、ニッケル、タングステン、クロムおよびこれらの金属の合金、ならびにステンレス鋼から選ばれる請求項2に記載の医療用処置具。
  4. 医療用処置具がバイポーラピンセットである請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用処置具。
  5. 医療用処置具がモノポーラ電気メスである請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用処置具。
JP2016183124A 2016-03-08 2016-09-20 医療用処置具 Pending JP2017159002A (ja)

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