以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、走行用の駆動力源として機能するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間に設けられた動力伝達装置16とを備えている。動力伝達装置16は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース18(以下、ケース18という)内において、エンジン12に連結された流体式伝動装置としての公知のトルクコンバータ20、トルクコンバータ20に連結された車両用自動変速機22(以下、自動変速機22という)、自動変速機22の出力回転部材である出力軸24に連結されたプロペラシャフト26、そのプロペラシャフト26に連結された差動歯車装置(ディファレンシャルギヤ)28、その差動歯車装置28に連結された1対の車軸30等を備えている。このように構成された動力伝達装置16において、エンジン12の動力(或いはトルク)は、トルクコンバータ20、自動変速機22、プロペラシャフト26、差動歯車装置28、及び車軸30等を順次介して1対の駆動輪14へ伝達される。
図2は、トルクコンバータ20や自動変速機22を説明する骨子図である。尚、トルクコンバータ20や自動変速機22等は中心線(軸心RC)に対して略対称的に構成されており、図2ではその中心線の下半分が省略されている。又、図2中の軸心RCはエンジン12、トルクコンバータ20の回転軸心である。
図2において、トルクコンバータ20は、軸心RCと同心に配設されており、エンジン12に連結されたポンプ翼車20p、及び自動変速機22の入力回転部材である変速機入力軸32に連結されたタービン翼車20tを備えている。ポンプ翼車20pには、機械式のオイルポンプ34が連結されている。これにより、機械式のオイルポンプ34はエンジン12により回転駆動されることにより自動変速機22を変速制御したり、動力伝達装置16の動力伝達経路の各部に潤滑油を供給したりする為の作動油圧を発生する。
自動変速機22は、エンジン12から駆動輪14までの動力伝達経路の一部を構成し、複数の油圧式摩擦係合装置及びワンウェイクラッチF1のうちの何れか複数、本実施例では何れか2つが選択的に係合されることによりギヤ比(変速比)が異なる複数のギヤ段(変速段)が形成される有段式の自動変速機として機能する遊星歯車式多段変速機である。例えば、公知の車両によく用いられる所謂クラッチツゥクラッチ変速を行う有段変速機である。この自動変速機22は、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置36と、ラビニヨ型に構成されているシングルピニオン型の第2遊星歯車装置38及びダブルピニオン型の第3遊星歯車装置40とを同一軸線上(軸心RC上)に有し、変速機入力軸32の回転を変速して出力軸24から出力する。
第1遊星歯車装置36、第2遊星歯車装置38、及び第3遊星歯車装置40は、良く知られているように、サンギヤ(S1、S2、S3)、ピニオンギヤ(P1、P2、P3)を自転及び公転可能に支持するキャリヤ(CA1、CA2、CA3)、及びピニオンギヤを介してサンギヤと噛み合うリングギヤ(R1、R2、R3)によって各々3つの回転要素(回転部材)が構成されている。そして、それら各々3つの回転要素は、直接的に或いは油圧式摩擦係合装置(クラッチC1,C2,C3,C4、及びブレーキB1,B2)やワンウェイクラッチF1を介して間接的(或いは選択的)に、一部が互いに連結されたり、変速機入力軸32、ケース18、或いは出力軸24に連結されている。
上記クラッチC1,C2,C3,C4、及びブレーキB1,B2(以下、特に区別しない場合は、それ等を単にクラッチC、ブレーキB、或いは係合装置という)は、公知の車両用自動変速機においてよく用いられている油圧式の摩擦係合装置であって、油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型のクラッチやブレーキ、油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成される。このように構成されたクラッチC及びブレーキBは、自動変速機22に備えられた油圧制御回路50(図1、図4参照)が有するリニアソレノイドバルブSL1−SL6等からの油圧によりそれぞれのトルク容量(すなわち係合力)が変化させられて、係合と解放とが切り替えられる。
油圧制御回路50によってクラッチC及びブレーキBの係合と解放とが制御されることで、図3の作動図表に示すように、運転者のアクセル操作や車速V等に応じて前進8段の各ギヤ段が形成される。図3の「1st」−「8th」はそれぞれ前進ギヤ段としての第1速ギヤ段−第8速ギヤ段を意味しており、各ギヤ段に対応する自動変速機22のギヤ比γ(=変速機入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)は、第1遊星歯車装置36、第2遊星歯車装置38、及び第3遊星歯車装置40の各歯車比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)によって適宜定められる。
図3の作動図表は、上記各ギヤ段とリニアソレノイドバルブSL1−SL6に対するソレノイド指示との関係、及び上記各ギヤ段と係合装置の各作動状態との関係をまとめたものである。図3において、「○」はリニアソレノイドバルブSL1−SL6を作動させる(オンする)係合指令信号の出力および係合装置の係合を、空欄は上記係合指令信号の非出力および係合装置の非係合(解放)を、「EB」は被駆動時(エンジンブレーキ時)での態様をそれぞれ表している。このように、自動変速機22は、所定のリニアソレノイドバルブSL1−SL6等の作動による所定の係合装置への係合油圧の供給によってその所定の係合装置が係合されることで複数のギヤ段が択一的(選択的)に形成される自動変速機である。但し、本実施例の自動変速機22においては、互いに一体的に連結されたキャリヤCA2及びキャリヤCA3とケース18との間に、それらキャリヤCA2及びキャリヤCA3の正回転(変速機入力軸32と同じ回転方向)を許容しつつ逆回転を阻止するワンウェイクラッチF1がブレーキB2と並列に設けられている。従って、エンジン12側から駆動輪14側を回転駆動する駆動時には、ブレーキB2を係合しなくとも、ワンウェイクラッチF1の自動係合により第1速ギヤ段「1st」が形成される。
図1に戻り、車両10には、例えば自動変速機22の変速制御などに関連する自動変速機22の制御装置を含む電子制御装置60が備えられている。よって、図1は、電子制御装置60の入出力系統を示す図でもあり、又、電子制御装置60による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。電子制御装置60は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置60は、エンジン12の出力制御、自動変速機22の変速制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン出力制御用電子制御装置や油圧制御用電子制御装置等に分けて構成される。
電子制御装置60には、車両10が備える各種センサ(例えば各種回転速度センサ70,72,74、アクセル開度センサ76、スロットルセンサ78など)による検出信号に基づく各種実際値(例えばエンジン回転速度Ne(rpm)、タービン回転速度Nt(rpm)である変速機入力軸回転速度Nin(rpm)、車速Vに対応する出力軸回転速度Nout(rpm)、アクセル開度θacc(%)、スロットル弁開度θth(%)など)が、それぞれ供給される。又、電子制御装置60からは、エンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Se、自動変速機22の変速に関する油圧制御の為の油圧制御指令信号Sp等が、それぞれ出力される。油圧制御指令信号Spは、例えば所定の係合装置を係合させる為の係合指令信号であって、クラッチC、ブレーキBの各油圧アクチュエータACT1−ACT6へ供給される各係合油圧Pc1,Pc2,Pc3,Pc4,Pb1,Pb2を調圧する各リニアソレノイドバルブSL1−SL6を作動させる為の係合指令信号であり、油圧制御回路50(すなわち所定のリニアソレノイドバルブSL1−SL6)へ出力される。
図4は、クラッチC及びブレーキBの各油圧アクチュエータACT1−ACT6の作動を制御するリニアソレノイドバルブSL1−SL6等に関する油圧制御回路50の要部を示す回路図である。図4において、油圧制御回路50は、油圧供給装置52と、リニアソレノイドバルブSL1−SL6とを備えている。
油圧供給装置52は、オイルポンプ34が発生する油圧を元圧としてライン油圧PLを調圧し元圧バルブとして機能する例えばリリーフ型のプライマリレギュレータバルブ54と、スロットル弁開度θth等で表されるエンジン負荷(例えばエンジントルクTeや変速機入力トルクTat等)に応じてライン油圧PLが調圧される為にプライマリレギュレータバルブ54へ信号圧Psltを供給するリニアソレノイドバルブSLTと、ライン油圧PLを元圧としてモジュレータ油圧PMを一定値に調圧するモジュレータバルブ56と、シフトレバー80の切替操作に連動して機械的或いは電気的に油路が切り替えられるマニュアルバルブ58とを備えている。マニュアルバルブ58は、シフトレバー80が前進走行操作ポジションDにあるときには、入力されたライン油圧PLを前進油圧(Dレンジ圧)PDとして出力し、シフトレバー80が後進走行操作ポジションRにあるときには、入力されたライン油圧PLを後進油圧(Rレンジ圧)PRとして出力する。又、マニュアルバルブ58は、シフトレバー80がニュートラル操作ポジションN或いはパーキング操作ポジションPにあるときには、油圧の出力を遮断し、前進油圧PD及び後進油圧PRを排出側へ導く。このように、油圧供給装置52は、ライン油圧PL、モジュレータ油圧PM、前進油圧PD、及び後進油圧PRを出力する。
クラッチC1,C2,C4の各油圧アクチュエータACT1,ACT2,ACT4には、前進油圧PDを元圧としてそれぞれリニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL4により調圧された係合油圧Pc1,Pc2,Pc4が供給される。又、クラッチC3、ブレーキB1,B2の各油圧アクチュエータACT3,ACT5,ACT6には、ライン油圧PLを元圧としてそれぞれリニアソレノイドバルブSL3,SL5,SL6により調圧された係合油圧Pc3,Pb1,Pb2が供給される。リニアソレノイドバルブSL1−SL6は、基本的には何れも同じ構成であり、電子制御装置60によりそれぞれ独立に励磁、非励磁や電流制御が為される。なお、油圧制御回路50は、オンオフ弁バルブであるフェールセーフバルブ59をリニアソレノイドバルブSL3とクラッチC3との間およびリニアソレノイドバルブSL5とブレーキB1との間に更に備えており、係合油圧Pc3,Pb1はこのフェールセーフバルブ59を介して油圧アクチュエータACT3,ACT5へ供給される。
フェールセーフバルブ59は、たとえば係合油圧Pc3が流通する油路Lc3を油圧アクチュエータACT3へ接続し、かつ、係合油圧Pb1が流通する油路Lb1を油圧アクチュエータACT5へ接続する弁位置Aと、排出油路EXを油圧アクチュエータACT3へ接続し、かつ、排出油路EXを油圧アクチュエータACT5へ接続する弁位置Bとに、スプール弁子の弁位置が択一的に切り替えられる。フェールセーフバルブ59は、スプール弁子を弁位置A側へ付勢するスプリング59sと、スプール弁子を弁位置B側へ付勢する係合油圧Pc3、Pb1を受け入れる油室59cとを備えている。
図1に戻り、電子制御装置60は、エンジン出力制御手段すなわちエンジン出力制御部62、異常時変速制御手段すなわち異常時変速制御部64、変速異常判定手段すなわち変速異常判定部66および故障部品特定手段すなわち故障部品特定部68を備えている。
エンジン出力制御部62は、たとえば予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された(すなわち予め定められた)関係(例えば駆動力マップ)に実際のアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで要求駆動力Fdemを算出し、その要求駆動力Fdemが得られる目標エンジントルクTetgtを設定し、その目標エンジントルクTetgtが得られるようにエンジン12を出力制御するエンジン出力制御指令信号Seをそれぞれスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置などへ出力する。また、エンジン出力制御部62は、後述する変速異常判定部66で所定の変速段に対応する変速比が得られていないと判定された場合には、エンジン12の出力トルクの制限を実行する指令信号を出力する。
リニアソレノイドバルブSL1−SL6のいずれかに異常がある場合、たとえばリニアソレノイドバルブSL1−SL6のいずれかに所定の係合油圧が供給されない場合やリニアソレノイドバルブSL1−SL6のいずれかそのものに異常がある場合には、クラッチC、ブレーキBの各油圧アクチュエータACT1−ACT6のいずれかへ所定の係合油圧が供給されずに、タービン回転数の吹き上がり、いわゆるタービン吹きが発生する可能性がある。
異常時変速制御部64は、リニアソレノイドバルブSL1(第1ソレノイドバルブ)およびリニアソレノイドバルブSL4(第2ソレノイドバルブ)からクラッチC1(第1油圧式摩擦係合装置)およびクラッチC4(第2油圧式摩擦係合装置)へ係合油圧を供給して第4速ギヤ段4th(第1変速段)を形成させたとき後述する変速異常判定部66により第1変速段に対応する第1変速比が得られないと判定された場合には、第1ソレノイドバルブおよび第2ソレノイドバルブとは異なるリニアソレノイドバルブSL2(第3ソレノイドバルブ)およびリニアソレノイドバルブSL3(第4ソレノイドバルブ)から係合油圧が供給されるクラッチC2(第3油圧式摩擦係合装置)およびクラッチC3(第4油圧式摩擦係合装置)を係合させて第2変速段へ変速させ、後述する変速異常判定部66により第7速ギヤ段7th(第2変速段)に対応する第2変速比が得られたと判定された場合には、第1変速段を形成させる第1ソレノイドバルブおよび第2ソレノイドバルブのうちの第1ソレノイドバルブ、およびリニアソレノイドバルブSL6(第5ソレノイドバルブ)から第1油圧式摩擦係合装置およびブレーキB2(第5油圧式摩擦係合装置)へ係合油圧を供給して第1変速段よりも低速側の第1速ギヤ段1st(第3変速段)を形成させる。すなわち、異常時変速制御部64は、所定の変速段においてタービン吹きが発生して所定の変速段に対応する変速比が得られないと判定された場合に、図3に示す作動図表に従って他の変速段が形成されるように係合装置を係合させる為の変速指令を出力する。
異常時変速制御部64は、具体的には、リニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL4からクラッチC1およびクラッチC4へ係合油圧が供給されて形成させられる第4速ギヤ段4thにおいて、タービン吹きが発生して後述する変速異常判定部66により第4速ギヤ段4thに対応する第1変速比が得られないと判定された場合には、リニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL4とは異なるリニアソレノイドバルブSL2およびリニアソレノイドバルブSL3を用いた変速段に変速させる。つまり、異常時変速制御部64は、リニアソレノイドバルブSL2およびリニアソレノイドバルブSL3から係合油圧が供給されるクラッチ2およびクラッチ3を係合させて第2変速段の第7速ギヤ段7thへ第4速ギヤ段4thから変速させる。
ここで、電子制御装置60は、通常(正常時)は車速V及びアクセル開度Accを変数として予め定められた関係(変速マップ、変速線図)に実際の車速V及びアクセル開度Accを適用することで変速判断を行い、その判断した所定の前進ギヤ段が得られるように自動変速機22の変速に関与する係合装置を係合させる変速指令として油圧制御指令信号Sp(係合指令信号)を油圧制御回路50へ出力する。この油圧制御指令信号Spに従って、自動変速機22の変速が実行されるように油圧制御回路50内のリニアソレノイドバルブSL1−SL6が駆動(作動)させられて、その変速に関与する係合装置の油圧アクチュエータACT1−ACT6が作動させられる。
異常時変速制御部64は、後述する変速異常判定部66により第7速ギヤ段7thに対応する第2変速比が得られたと判定された場合には、第4速ギヤ段4thを形成させるリニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL4のうち、最も低速側の変速段かつ、第7速ギヤ段7thとは異なる変速段を形成させるリニアソレノイドバルブSL1、およびリニアソレノイドバルブSL6を用いた変速段に変速させる。つまり、異常時変速制御部64は、リニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL6から係合油圧が供給されるクラッチC1およびブレーキB2を係合させて第4速ギヤ段4thよりも低速側の第1速ギヤ段1stに変速させる。
変速異常判定部66は、図3に示す作動図表に従って所定の変速段を形成させる変速出力時において、その変速段に対応する変速比が得られたか否かを判定する。クラッチC、ブレーキBの各油圧アクチュエータACT1−ACT6へ所定の係合油圧が供給されずにタービン吹きが発生すると、たとえば、第4速ギヤ段4thでは、第4速ギヤ段4thに対応する第1変速比が得られない場合が生じるため、変速異常判定部66の判定によって、所定の変速段でタービン吹きが発生したか否かが確認できる。
故障部品特定部68は、変速異常判定部66により第4速ギヤ4thに対応する第1変速比が得られないと判定されて、変速異常判定部66により第7速ギヤ段7thに対応する第2変速比が得られたと判定されて、変速異常判定部66により第1速ギヤ段1stに対応する第3変速比が得られないと判定された場合には、第1ソレノイドバルブの故障であると特定する。すなわち、所定の変速段での変速異常判定部66の判定結果、およびその判定結果に基づき異常時変速制御部64で変速された変速段での変速異常判定部66の判定結果によって、故障している部品を特定する。
たとえば、変速異常判定部66により第4速ギヤ段4thに対応する第1変速比が得られないと判定された後に、異常時変速制御部64で変速された第7速ギヤ段7thに対応する第2変速比が得られないと変速異常判定部66により判定された場合には、故障部品特定部68は、第4速ギヤ段4thおよび第7速ギヤ段7thに共用されている部品を故障部品として特定する。具体的には、故障部品特定部68は、第4速ギヤ段4thに対応する第1変速比が得られないと判定された結果により、リニアソレノイドバルブSL1またはリニアソレノイドバルブSL4の故障と、リニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL4に供給される油圧不足、つまりリニアソレノイドバルブSL1−SL6の元圧PL、PDを発生させる油圧源(たとえばプライマリレギュレータバルブ54)やリニアソレノイドバルブSLTなどの元圧バルブの故障とが考えられる。その条件下で、故障部品特定部68は、第7速ギヤ段7thに対応する第2変速比が得られないと判定された結果により、第4速ギヤ段4thと第7速ギヤ段7thとが共用している元圧バルブ、およびリニアソレノイドバルブSL2とクラッチC2との間およびリニアソレノイドバルブSL3とクラッチC3との間の少なくとも一方に介挿されているフェールセーフバルブ59のうち、少なくとも一つが故障している部品であると特定する。つまり、故障部品特定部68は、第4速ギヤ段4thと第7速ギヤ段7thとが共用していないリニアソレノイドバルブSL1またはリニアソレノイドバルブSL4の故障の可能性はないと特定する。また、変速異常判定部66により第4ギヤ段4thに対応する第1変速比が得られないと判定された後に、第7速ギヤ段7thに対応する第2変速比が得られたと判定されて、さらに、異常時変速制御部64で変速された第1速ギヤ段1stに対応する第3変速比が得られないと変速異常判定部66により判定された場合には、故障部品特定部68は、その判定に基づき、その判定を1条件として第4速ギヤ段4thおよび第1速ギヤ段1stに共用されているリニアソレノイドバルブSL1が故障している部品であると特定する。
詳細には、第1ギヤ段1stに対応する第3変速比が得られないと変速異常判定部66により判定された場合には、異常時変速制御部64は、リニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL4のうちのリニアソレノイドバルブSL4、およびリニアソレノイドバルブSL2からクラッチC4およびクラッチC2へ係合油圧を供給させて第1ギヤ段1stよりも高速側の第6ギヤ段6th(第4変速段)を形成させる。第6ギヤ段6thに対応する第4変速比が得られたと変速異常判定部66により判定された場合には、リニアソレノイドバルブSL1が故障している部品であると特定する。
図5は、電子制御装置60の制御作動の要部、すなわち所定の変速段に対応する変速比が得られていないと判定された場合に、故障した部品を特定するための制御作動を説明するフローチャートであり、繰り返し実行される。
変速異常判定部66に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10では、車両走行中において、リニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL4からクラッチC1およびクラッチC4へ係合油圧を供給して第4速ギヤ段4thを形成させたときに、第4速ギヤ段4thでタービン吹きが発生したか否か、すなわち、第4速ギヤ段4thの変速比が得られたか否かが判定される。S10の判断が否定される場合、つまりタービン吹きが発生せず第4速ギヤ段4thの変速比が得られている場合は本ルーチンが終了させられる。S10の判断が肯定される場合、つまりタービン吹きが発生して第4速ギヤ段4thの変速比が得られていない場合は、異常時変速制御部64に対応するS20が実行される。
異常時変速制御部64に対応するS20では、第4速ギヤ段4thに用いられたリニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL4とは異なるリニアソレノイドバルブSL2およびリニアソレノイドバルブSL3を用いてクラッチC2およびクラッチC3へ係合油圧を供給させて第7速ギヤ段7thに強制変速させる。
変速異常判定部66に対応するS30では、第7速ギヤ段7thにおいて、第7速ギヤ段7thでタービン吹きが発生したか否かの判定、すなわち、第7速ギヤ段7thの変速比が得られたか否かが判定される。S30の判断が肯定される場合、つまりタービン吹きが発生して第7速ギヤ段7thの変速比が得られていない場合は、故障部品特定部68に対応するS40が実行される。
故障部品特定部68に対応するS40では、第4速ギヤ段4thおよび第7速ギヤ段7thでタービン吹きが発生していると変速異常判定部66で判定されたことにより、第4速ギヤ段4thと第7速ギヤ段7thとが共用している部品の元圧バルブおよびフェールセーフバルブ59のうち、少なくとも一つが故障していると特定される。したがって、リニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL4を用いている第4速ギヤ段4thでタービン吹きが発生して第4速ギヤ段4thの変速比が得られていない場合に、リニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL4を用いていない第7速ギヤ段7thへ強制変速させた後に、第7速ギヤ段7thでタービン吹きの発生の有無を判定するという簡便な手順により故障している部品が特定される。
S50では、S40で元圧バルブおよびフェールセーフバルブ59のうち、少なくとも一つが故障していると特定されると、エンジン12の出力トルクを制限して車両用自動変速機22に入力される入力トルクが制限されて所定の変速段によるタービン吹きが抑制される。そして、本ルーチンは終了させられる。
S30の判断が否定される場合、つまりタービン吹きが発生せず第7速ギヤ段7thの変速比が得られている場合は、異常時変速制御部64に対応するS60が実行され、走行している車両を停止させた後に強制変速させた第7速ギヤ段7thが解除される。
異常時変速制御部64に対応するS70では、第4速ギヤ段4thを形成させるクラッチC1およびクラッチC4に係合油圧を供給させるリニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL4のうちのリニアソレノイドバルブSL1、およびリニアソレノイドバルブSL6からクラッチC1およびブレーキB2へ係合油圧が供給される第1速ギヤ段1stへ変速段が変更されて車両が再走行させられる。
変速異常判定部66に対応するS80では、第1速ギヤ段1stにおいて、第1速ギヤ段1stでタービン吹きが発生したか否かの判定、すなわち、第1速ギヤ段1stの変速比が得られたか否かが判定される。S80の判断が肯定される場合、つまりタービン吹きが発生して第1速ギヤ段1stの変速比が得られていない場合は、S90が実行される。
異常時変速制御部64に対応するS90では、変速段が第1速ギヤ段1stから第6速ギヤ段6thに変更させられる。具体的には、リニアソレノイドバルブSL1を用いていない変速段であって、第7速ギヤ段7thとは異なる第1速ギヤ段1stよりも高速側の変速段、かつ、リニアソレノイドバルブSL4を用いた最も低速側の変速段を形成させる第6速ギヤ段6thに変速させる。第6速ギヤ段6thは、リニアソレノイドバルブSL4およびリニアソレノイドバルブSL2からクラッチC4およびクラッチC2へ係合油圧が供給されて形成される。これにより、変速比が第4速ギヤ段4thと第7速ギヤ段7thとの間の第6速ギヤ段6thが形成される。ここで、第1速ギヤ段1stからの変速は、第1速ギヤ段1stの変速比が得られているか否かの変速異常判定部66に対応するS80よる判定が行われるまで第6速ギヤ段6thへのアップシフトは許可されない。また、第6速ギヤ段6thへ変速された後に、変速異常判定部66による判定が行われた第1速ギヤ段1stおよび第4速ギヤ段4thへのダウンシフトは許可される。
変速異常判定部66に対応するS100では、第6速ギヤ段6thにおいて、第6速ギヤ段6thでタービン吹きが発生したか否かの判定、すなわち、第6速ギヤ段6thの変速比が得られたか否かが判定される。S100の判断が肯定される場合、つまりタービン吹きが発生して第6速ギヤ段6thの変速比が得られていない場合は、故障部品特定部68に対応するS140でリニアソレノイドバルブSL4が故障していると特定される。S140で故障部品が特定された後、本ルーチンは終了させられる。100の判断が否定される場合、つまりタービン吹きが発生せず第6速ギヤ段6thの変速比が得られている場合は、故障部品特定部68に対応するS110でリニアソレノイドバルブSL1が故障していると特定される。S110で故障部品が特定された後、本ルーチンは終了させられる。
S80の判断が否定される場合、つまりタービン吹きが発生せず第1速ギヤ段1stの変速比が得られている場合は、異常時変速制御部64に対応するS120では、変速段が第1速ギヤ段1stから第6速ギヤ段6thに変更させられる。具体的には、S90と同様に、リニアソレノイドバルブSL1を用いていない変速段であって、第7速ギヤ段7thとは異なる第1速ギヤ段1stよりも高速側の変速段、かつ、リニアソレノイドバルブSL4を用いた最も低速側の変速段を形成させる第6速ギヤ段6thに変速させる。また、S90と同様に、第1速ギヤ段1stからの変速は、第1速ギヤ段1stの変速比が得られているか否かの変速異常判定部66に対応するS80よる判定が行われるまで第6速ギヤ段6thへのアップシフトは許可されない。また、第6速ギヤ段6thへ変速された後に、変速異常判定部66による判定が行われた第1速ギヤ段1stおよび第4速ギヤ段4thへのダウンシフトは許可される。
変速異常判定部66に対応するS130では、第6速ギヤ段6thにおいて、S100と同様に、第6速ギヤ段6thでタービン吹きが発生したか否かの判定、すなわち、第6速ギヤ段6thの変速比が得られたか否かが判定される。S130の判断が肯定される場合、つまりタービン吹きが発生して第6速ギヤ段6thの変速比が得られていない場合は、故障部品特定部68に対応するS140でリニアソレノイドバルブSL4が故障していると特定される。S140で故障部品が特定された後、本ルーチンは終了させられる。つまり、つまり、S30の判断が否定されて故障部品の特定が不十分である場合には、走行中の車両を停止させて強制変速させた変速段を解除し、低速側の変速段から車両の走行を開始して順番に変速段を変速させて、所定の変速段でタービン吹きの発生の有無を判定するという簡便な手順により故障している部品を特定している。
このように、本実施例によれば、変速異常判定部66により第4速ギヤ段4th(第1変速段)に対応する変速比が得られないと判定された場合には、異常時変速制御部64は、リニアソレノイドバルブSL1(第1ソレノイドバルブ)およびリニアソレノイドバルブSL4(第2ソレノイドバルブ)とは異なるリニアソレノイドバルブSL2(第3ソレノイドバルブ)およびリニアソレノイドバルブSL3(第4ソレノイドバルブ)から油圧が供給されるクラッチC2(第3油圧式摩擦係合装置)およびクラッチC3(第4油圧式摩擦係合装置)を係合させて第7速ギヤ段7th(第2変速段)に変速させ、変速異常判定部66により第7速ギヤ段7thに対応する変速比が得られたと判定された場合には、異常時変速制御部64は、リニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL4のうちのリニアソレノイドバルブSL1、およびリニアソレノイドバルブSL6(第5ソレノイドバルブ)から係合油圧が供給されるクラッチC1(第1油圧式摩擦係合装置)およびブレーキB2(第5油圧式摩擦係合装置)を係合させて第4速ギヤ段4thよりも低速側の第1速ギヤ段1st(第3変速段)に変速させ、変速異常判定部66により第1速ギヤ段1stに対応する変速比が得られないと判定された場合には、故障部品特定部68は、その判定に基づいてリニアソレノイドバルブSL1の故障であると特定できる。これにより、付加的な部品、たとえば油圧式摩擦係合装置の回転数を計測するセンサを必要としない簡素な特定手順によって、故障した第1ソレノイドバルブを特定できるため、コストの低減を図るとともに、簡便に故障部品を特定することができる。
また、本実施例によれば、変速異常判定部66により第1速ギヤ段1stに対応する変速比が得られないと判定された場合には、異常時変速制御部64は、第4速ギヤ段4thを形成させるリニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL4のうちのリニアソレノイドバルブSL4、およびリニアソレノイドバルブSL2から係合油圧が供給されるクラッチC4およびクラッチC2係合させて第1速ギヤ段1stよりも高速側の第6速ギヤ段6th(第4変速段)に変速させ、変速異常判定部66により第6速ギヤ段6thに対応する変速比が得られたと判定された場合には、故障部品特定部68は、リニアソレノイドバルブSL1の故障であると特定できる。これにより、付加的な部品、たとえば油圧式摩擦係合装置の回転数を計測するセンサを必要としない簡素な特定手順によって、より高い精度で故障した第1ソレノイドバルブを特定できるため、コストの低減を図るとともに、簡便に故障部品を特定することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の様態にも適用される。たとえば、前述の実施例では、変速異常判定部66で第1変速段に対応する第1変速比が得られないと判定された場合には、第1変速段よりも高速側に第2変速段に変速させたが、必ずしもこれに限らず、第1変速段よりも低速側の第2変速段に変速させてもよい。
また、前述の実施例では、オンオフ弁バルブを用いた実施形態で故障部品の特定を行っているが、必ずしもこれに限らず、オンオフ弁バルブを用いない実施形態で故障部品の特定を行ってもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。