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JP2017038114A - 方向性結合器 - Google Patents

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JP2017038114A
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裕太 芦田
Yuta Ashida
裕太 芦田
康則 匂坂
Yasunori Sakisaka
康則 匂坂
識顕 大塚
Noriaki Otsuka
識顕 大塚
哲三 後藤
Tetsuzo Goto
哲三 後藤
壯氏 木島
Takeshi Kijima
壯氏 木島
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Abstract

【課題】広帯域で使用可能であると共に双方向性を有する方向性結合器を実現する。【解決手段】方向性結合器1は、第1ないし第4のポート11,12,13,14と、第1のポート11と第2のポート12を接続する主線路10と、それぞれ主線路10に対して電磁界結合する第1ないし第4の副線路部20A,20B,20C,20Dと、第1ないし第3の整合部30A,30B,30Cを備えている。第1の副線路部20Aは、第3のポート13に接続されている。第2の副線路部20Bは、第4のポート14に接続されている。第1の整合部30Aは、第1の副線路部20Aと第3の副線路部20Cの間に設けられている。第2の整合部30Bは、第2の副線路部20Bと第4の副線路部20Dの間に設けられている。第3の整合部30Cは、第3の副線路部20Cと第4の副線路部20Dの間に設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、広帯域で使用可能な方向性結合器に関する。
方向性結合器は、例えば、携帯電話機、無線LAN通信機器等の無線通信機器の送受信回路において、送受信信号のレベルを検出するために用いられている。
従来の方向性結合器としては、以下のような構成のものが知られている。この方向性結合器は、入力ポートと、出力ポートと、結合ポートと、終端ポートと、主線路と、副線路を備えている。主線路の一端は入力ポートに接続され、主線路の他端は出力ポートに接続されている。副線路の一端は結合ポートに接続され、副線路の他端は終端ポートに接続されている。主線路と副線路は、電磁界結合する。終端ポートは、例えば50Ωの抵抗値を有する終端抵抗を介して接地されている。入力ポートには高周波信号が入力され、この高周波信号は出力ポートから出力される。結合ポートからは、入力ポートに入力された高周波信号の電力に応じた電力を有する結合信号が出力される。
方向性結合器の特性を表す主要なパラメータとしては、結合度、アイソレーションおよび結合ポートの反射損失がある。以下、これらの定義について説明する。まず、入力ポートに電力P1の高周波信号が入力された場合に、結合ポートから出力される信号の電力をP3とする。また、出力ポートに電力P02の高周波信号が入力された場合に、結合ポートから出力される信号の電力をP03とする。また、結合ポートに電力P5の高周波信号が入力された場合に、結合ポートで反射される信号の電力をP6とする。また、結合度、アイソレーションおよび結合ポートの反射損失を、それぞれ記号C、I、RLで表す。これらは、以下の式で定義される。
C=10log(P3/P1)[dB]
I=10log(P03/P02)[dB]
RL=10log(P6/P5)[dB]
従来の方向性結合器では、入力ポートに入力される高周波信号の周波数が高くなるほど結合度が大きくなるため、結合度の周波数特性が平坦ではないという問題があった。結合度が大きくなるというのは、結合度を−c(dB)と表したときに、cの値が小さくなることである。
特許文献1には、上記の問題を解決するための方向性結合器が記載されている。特許文献1に記載された方向性結合器では、副線路が第1の副線路と第2の副線路とに分けられている。第1の副線路の一端は、結合ポートに接続されている。第2の副線路の一端は、終端ポートに接続されている。第1の副線路の他端と第2の副線路の他端の間には、位相変換部が設けられている。位相変換部は、所定の周波数帯域において、周波数が高くなるに従って0度以上180度以下の範囲で単調増加する絶対値を有する位相のずれを通過信号に対して生じさせる。位相変換部は、具体的にはローパスフィルタである。
ところで、近年、LTE(Long Term Evolution)規格の移動体通信システムが実用化され、LTE規格の発展規格であるLTE−Advanced規格の移動体通信システムの実用化が検討されている。LTE−Advanced規格における主要技術の一つに、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation、以下CAとも記す。)がある。CAは、コンポーネントキャリアと呼ばれる複数のキャリアを同時に用いて広帯域伝送を可能にする技術である。
CAに対応した移動体通信機器では、複数の周波数帯域が同時に使用される。そのため、CAに対応した移動体通信機器では、複数の周波数帯域の複数の信号について利用可能な方向性結合器、すなわち広帯域で使用可能な方向性結合器が求められている。
また、無線通信機器に用いられる方向性結合器では、入力ポートと出力ポートを逆にし、結合ポートと終端ポートを逆にして使用しても、これらを逆にする前と同様な特性が得られること(以下、双方向性と言う。)が求められる場合がある。この双方向性が求められる場合の例としては、送信信号をアンテナに供給する送信系回路に設けられた方向性結合器によって、送信信号のレベルを検出すると共に、送信信号がアンテナで反射して生じた反射波信号のレベルを検出する場合が挙げられる。方向性結合器によって反射波信号のレベルを検出する理由は、この反射波信号のレベルが十分に小さくなるように、送信回路とアンテナとの間に設けられるインピーダンス整合素子の特性を調整するためである。この例では、方向性結合器によって送信信号のレベルを検出する際には、送信信号は入力ポートに入力されて出力ポートから出力され、結合ポートから送信信号のレベルに応じた電力を有する信号が出力される。一方、方向性結合器によって反射波信号のレベルを検出する際には、反射波信号は出力ポートに入力されて入力ポートから出力され、終端ポートから反射波信号のレベルに応じた電力を有する信号が出力される。
特許文献2には、広帯域で使用可能で且つ双方向性を有する方向性結合器が記載されている。特許文献2に記載された方向性結合器では、副線路が、主線路との結合が強い第一結合部と、結合が弱く且つ第一結合部よりも結合ポート側に形成した第二結合部と、結合が弱く且つ第一結合部よりもアイソレーションポート(終端ポート)側に形成した第三結合部と、第一結合部と第二結合部の間に延在し且つ使用周波数帯に対応した波長の四分の一以上の長さを有する非結合部である第一非結合部と、第一結合部と第三結合部の間に延在し且つ使用周波数帯に対応した波長の四分の一以上の長さを有する非結合部である第二非結合部とを有している。
特開2013−5076号公報 特開2014−57207号公報
特許文献1に記載された方向性結合器では、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域において、アイソレーションが十分な大きさにならない。すなわち、アイソレーションを−i(dB)と表したとき、特許文献1に記載された方向性結合器では、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域において、iの値が十分な大きさにならない。そのため、特許文献1に記載された方向性結合器は、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域では機能しない。
ここで、特許文献1に記載された方向性結合器では、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域において、上記のiの値が十分な大きさにならない理由について説明する。この方向性結合器では、第1の副線路とローパスフィルタとの接続点とグランドとの間を第1のキャパシタのみを介して接続する経路と、第2の副線路とローパスフィルタとの接続点とグランドとの間を第2のキャパシタのみを介して接続する経路が形成される。そのため、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域においては、第1の副線路からローパスフィルタに向かう高周波信号の大部分は第1のキャパシタを経由してグランドに流れ、第2の副線路からローパスフィルタに向かう高周波信号の大部分は第2のキャパシタを経由してグランドに流れる。そのため、この方向性結合器では、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域において、高周波信号の大部分がローパスフィルタを通過しなくなる。
以上のことから、特許文献1に記載された方向性結合器では、使用可能な周波数帯域が、ローパスフィルタの遮断周波数よりも低い周波数帯域に制限される。そのため、特許文献1に記載された技術では、広帯域で使用可能な方向性結合器を実現することが困難である。
特許文献2に記載された方向性結合器では、結合度の周波数特性において1つの減衰極が生じる。これにより、ある程度広い周波数帯域において、周波数の変化に伴う結合度の変化を抑制することが可能になる。しかし、この方向性結合器では、結合度の周波数特性において、1つの減衰極が生じる周波数よりも高い周波数領域では、周波数が高くなるほど結合度が大きくなる。そのため、この方向性結合器では、より広い周波数帯域において、周波数の変化に伴う結合度の変化を抑制することが困難である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、広帯域で使用可能であると共に双方向性を有する方向性結合器を提供することにある。
本発明の方向性結合器は、第1のポートと、第2のポートと、第3のポートと、第4のポートと、第1のポートと第2のポートを接続する主線路と、それぞれ主線路に対して電磁界結合する線路からなると共に互いに反対側に位置する第1の端部および第2の端部を有する第1の副線路部、第2の副線路部、第3の副線路部および第4の副線路部と、第1の整合部と、第2の整合部と、第3の整合部とを備えている。
第1の副線路部の第1の端部は、第3のポートに接続されている。第2の副線路部の第1の端部は、第4のポートに接続されている。第1の整合部は、第1の副線路部の第2の端部と第3の副線路部の第1の端部との間に設けられている。第2の整合部は、第2の副線路部の第2の端部と第4の副線路部の第1の端部との間に設けられている。第3の整合部は、第3の副線路部の第2の端部と第4の副線路部の第2の端部との間に設けられている。第1ないし第3の整合部の各々は、そこを通過する信号に対して位相の変化を生じさせる。
本発明の方向性結合器において、第3および第4の副線路部は、第1および第2の副線路部に比べて、主線路に対する結合の強さが大きくてもよい。また、第3の整合部は、第1および第2の整合部に比べて、同じ周波数の信号に対して生じさせる位相の変化が小さくてもよい。
また、本発明の方向性結合器において、第1の整合部と第2の整合部の各々は、その第1の端部と第2の端部とを接続する第1の経路と、第1の経路とグランドとを接続する第2の経路とを有していてもよい。第1の経路は、第1のインダクタを含んでいる。第2の経路は、直列に接続された第1のキャパシタと第2のインダクタとを含んでいる。第3の整合部は、線路であってもよい。
また、第1のインダクタは、互いに反対側に位置する第1の端部および第2の端部を有し、第2のインダクタは、回路構成上、第1の経路に最も近い第1の端部と、回路構成上、グランドに最も近い第2の端部とを有し、第1のキャパシタは、第1のインダクタの第1の端部と第2のインダクタの第1の端部との間に設けられていてもよい。この場合、第2の経路は、更に、第1のインダクタの第2の端部と第2のインダクタの第1の端部との間に設けられた第2のキャパシタを有していてもよい。
本発明の方向性結合器によれば、主線路に対して電磁界結合する副線路部の数が3以下の構成の方向性結合器に比べて、より広い周波数帯域において、周波数の変化に伴う結合度の変化を抑制することが可能になる。また、本発明の方向性結合器は、対称または対称に近い回路構成にすることができる。これらのことから、本発明によれば、広帯域で使用可能であると共に双方向性を有する方向性結合器を実現することが可能になるという効果を奏する。
本発明の一実施の形態に係る方向性結合器の回路構成を示す回路図である。 本発明の一実施の形態に係る方向性結合器の使用例を示す回路図である。 本発明の一実施の形態に係る方向性結合器の斜視図である。 図3に示した方向性結合器の積層体の内部を示す斜視図である。 図3に示した方向性結合器の積層体の断面図である。 図3に示した方向性結合器の積層体における1層目ないし4層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図3に示した方向性結合器の積層体における5層目ないし8層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図3に示した方向性結合器の積層体における9層目ないし12層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図3に示した方向性結合器の積層体における13層目ないし16層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図3に示した方向性結合器の積層体における17層目ないし20層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図3に示した方向性結合器の積層体における21層目ないし23層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図1に示した方向性結合器における第1および第2の結合部の各々の単独の結合度の周波数特性を示す特性図である。 図1に示した方向性結合器における第1および第2の整合部の各々の位相変化量の周波数特性を示す特性図である。 図1に示した方向性結合器における第3の整合部の位相変化量の周波数特性を示す特性図である。 図1に示した方向性結合器の一部である結合器部分を示す回路図である。 図15に示した結合器部分の結合度の周波数特性を示す特性図である。 比較例の中央結合部分を示す回路図である。 図17に示した中央結合部分の結合度の周波数特性を示す特性図である。 比較例の方向性結合器の結合度の周波数特性を示す特性図である。 本発明の一実施の形態に係る方向性結合器の結合度の周波数特性を示す特性図である。 本発明の一実施の形態に係る方向性結合器のアイソレーションの周波数特性を示す特性図である。 本発明の一実施の形態に係る方向性結合器の結合ポートの反射損失の周波数特性を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る方向性結合器の回路構成について説明する。図1に示したように、本実施の形態に係る方向性結合器1は、第1のポート11と、第2のポート12と、第3のポート13と、第4のポート14とを備えている。方向性結合器1は、更に、第1のポート11と第2のポート12を接続する主線路10と、それぞれ主線路10に対して電磁界結合する線路からなる第1の副線路部20A、第2の副線路部20B、第3の副線路部20Cおよび第4の副線路部20Dと、第1の整合部30Aと、第2の整合部30Bと、第3の整合部30Cとを備えている。第3のポート13と第4のポート14の一方は、例えば50Ωの抵抗値を有する終端抵抗を介して接地される。
第1の副線路部20Aは、互いに反対側に位置する第1の端部20A1および第2の端部20A2を有している。第2の副線路部20Bは、互いに反対側に位置する第1の端部20B1および第2の端部20B2を有している。第3の副線路部20Cは、互いに反対側に位置する第1の端部20C1および第2の端部20C2を有している。第4の副線路部20Dは、互いに反対側に位置する第1の端部20D1および第2の端部20D2を有している。第1の整合部30Aは、互いに反対側に位置する第1の端部30A1および第2の端部30A2を有している。第2の整合部30Bは、互いに反対側に位置する第1の端部30B1および第2の端部30B2を有している。第3の整合部30Cは、互いに反対側に位置する第1の端部30C1および第2の端部30C2を有している。
第1の副線路部20Aの第1の端部20A1は、第3のポート13に接続されている。第1の整合部30Aは、第1の副線路部20Aの第2の端部20A2と第3の副線路部20Cの第1の端部20C1との間に設けられている。第1の整合部30Aの第1の端部30A1は、第1の副線路部20Aの第2の端部20A2に接続されている。第3の副線路部20Cの第1の端部20C1は、第1の整合部30Aの第2の端部30A2に接続されている。
第2の副線路部20Bの第1の端部20B1は、第4のポート14に接続されている。第2の整合部30Bは、第2の副線路部20Bの第2の端部20B2と第4の副線路部20Dの第1の端部20D1との間に設けられている。第2の整合部30Bの第1の端部30B1は、第2の副線路部20Bの第2の端部20B2に接続されている。第4の副線路部20Dの第1の端部20D1は、第2の整合部30Bの第2の端部30B2に接続されている。
第3の整合部30Cは、第3の副線路部20Cの第2の端部20C2と第4の副線路部20Dの第2の端部20D2との間に設けられている。本実施の形態では、第3の整合部30Cは、線路である。第3の整合部30Cの第1の端部30C1は、第3の副線路部20Cの第2の端部20C2に接続されている。第3の整合部30Cの第2の端部30C2は、第4の副線路部20Dの第2の端部20D2に接続されている。
第1の整合部30Aは、その第1の端部30A1と第2の端部30A2とを接続する第1の経路31Aと、第1の経路31Aとグランドとを接続する第2の経路32Aとを有している。第1の経路31Aは、第1のインダクタL1Aを含んでいる。第1のインダクタL1Aは、互いに反対側に位置する第1の端部L1A1および第2の端部L1A2を有している。ここでは、第1の副線路部20A側の第1のインダクタL1Aの端部を第1の端部L1A1とし、第3の副線路部20C側の第1のインダクタL1Aの端部を第2の端部L1A2とする。
第2の経路32Aは、直列に接続された第1のキャパシタC1Aと第2のインダクタL2Aとを含んでいる。第2のインダクタL2Aは、回路構成上、第1の経路31Aに最も近い第1の端部L2A1と、回路構成上、グランドに最も近い第2の端部L2A2とを有している。第1のキャパシタC1Aは、第1のインダクタL1Aの第1の端部L1A1と第2のインダクタL2Aの第1の端部L2A1との間に設けられている。本実施の形態では、第2の経路32Aは、更に、第1のインダクタL1Aの第2の端部L1A2と第2のインダクタL2Aの第1の端部L2A1との間に設けられた第2のキャパシタC2Aを有している。第2のインダクタL2Aは、0.1nH以上のインダクタンスを有している。第2のインダクタL2Aのインダクタンスは、7nH以下であることが好ましい。
第2の整合部30Bの回路構成は、第1の整合部30Aと同様である。すなわち、第2の整合部30Bは、その第1の端部30B1と第2の端部30B2とを接続する第1の経路31Bと、第1の経路31Bとグランドとを接続する第2の経路32Bとを有している。第1の経路31Bは、第1のインダクタL1Bを含んでいる。第1のインダクタL1Bは、互いに反対側に位置する第1の端部L1B1および第2の端部L1B2を有している。ここでは、第2の副線路部20B側の第1のインダクタL1Bの端部を第1の端部L1B1とし、第4の副線路部20D側の第1のインダクタL1Bの端部を第2の端部L1B2とする。
第2の経路32Bは、直列に接続された第1のキャパシタC1Bと第2のインダクタL2Bとを含んでいる。第2のインダクタL2Bは、回路構成上、第1の経路31Bに最も近い第1の端部L2B1と、回路構成上、グランドに最も近い第2の端部L2B2とを有している。第1のキャパシタC1Bは、第1のインダクタL1Bの第1の端部L1B1と第2のインダクタL2Bの第1の端部L2B1との間に設けられている。本実施の形態では、第2の経路32Bは、更に、第1のインダクタL1Bの第2の端部L1B2と第2のインダクタL2Bの第1の端部L2B1との間に設けられた第2のキャパシタC2Bを有している。第2のインダクタL2Bは、0.1nH以上のインダクタンスを有している。第2のインダクタL2Bのインダクタンスは、7nH以下であることが好ましい。
ここで、主線路10と第1の副線路部20Aの互いに結合する部分を第1の結合部40Aと言う。また、主線路10と第2の副線路部20Bの互いに結合する部分を第2の結合部40Bと言う。また、主線路10と第3の副線路部20Cの互いに結合する部分を第3の結合部40Cと言う。また、主線路10と第4の副線路部20Dの互いに結合する部分を第4の結合部40Dと言う。
また、第1ないし第4の結合部40A,40B,40C,40Dの結合の強さを、それぞれ以下のように定義する。第1の結合部40Aの結合の強さは、主線路10に対する第1の副線路部20Aの結合の強さである。第1の結合部40Aの結合の強さは、第1の結合部40Aの単独の結合度で表すことができる。第1の結合部40Aの単独の結合度が大きいほど、第1の結合部40Aの結合の強さが大きい。
第2の結合部40Bの結合の強さは、主線路10に対する第2の副線路部20Bの結合の強さである。第2の結合部40Bの結合の強さは、第2の結合部40Bの単独の結合度で表すことができる。第2の結合部40Bの単独の結合度が大きいほど、第2の結合部40Bの結合の強さが大きい。
第3の結合部40Cの結合の強さは、主線路10に対する第3の副線路部20Cの結合の強さである。第3の結合部40Cの結合の強さは、第3の結合部40Cの単独の結合度で表すことができる。第3の結合部40Cの単独の結合度が大きいほど、第3の結合部40Cの結合の強さが大きい。
第4の結合部40Dの結合の強さは、主線路10に対する第4の副線路部20Dの結合の強さである。第4の結合部40Dの結合の強さは、第4の結合部40Dの単独の結合度で表すことができる。第4の結合部40Dの単独の結合度が大きいほど、第4の結合部40Dの結合の強さが大きい。
本実施の形態では、第3および第4の副線路部20C,20Dは、第1および第2の副線路部20A,20Bに比べて、主線路10に対する結合の強さが大きい。すなわち、第3および第4の結合部40C,40Dの各々の結合の強さは、第1および第2の結合部40A,40Bの各々の結合の強さよりも大きい。
第1ないし第3の整合部30A,30B,30Cは、第3のポート13と第4のポート14の一方が、負荷である終端抵抗を介して接地され、この終端抵抗の抵抗値(例えば50Ω)と等しい出力インピーダンスを有する信号源が第3のポート13と第4のポート14の他方に接続された場合を想定して、信号源と負荷との間のインピーダンス整合を行う回路である。第1ないし第3の整合部30A,30B,30Cは、上記の場合を想定して、方向性結合器1の使用周波数帯域において、第3のポート13と第4のポート14の一方から他方側を見たときの反射係数の絶対値が0またはその近傍の値になるように設計される。第1ないし第3の整合部30A,30B,30Cの各々は、そこを通過する信号に対して位相の変化を生じさせる。本実施の形態では、第3の整合部30Cは、第1および第2の整合部30A,30Bに比べて、同じ周波数の信号に対して生じさせる位相の変化が小さい。
方向性結合器1の回路構成は、第3の整合部30Cを中心として、素子定数も含めて対称であることが好ましい。ただし、方向性結合器1の回路構成は、完全に対称ではなくても、対称に近ければよい。
以下、方向性結合器1の回路構成が対称である場合について説明する。この場合、第2の結合部40Bの結合の強さは、第1の結合部40Aの結合の強さと等しく、第4の結合部40Dの結合の強さは、第3の結合部40Cの結合の強さと等しい。また、第1および第2の整合部30A,30Bは、第3の整合部30Cを中心として、素子定数も含めて互いに対称な回路構成を有している。具体的に説明すると、対となる第1のインダクタL1A,L1Bのインダクタンスは互いに実質的に等しく、対となる第2のインダクタL2A,L2Bのインダクタンスは互いに実質的に等しく、対となる第1のキャパシタC1A,C1Bのキャパシタンスは互いに実質的に等しく、対となる第2のキャパシタC2A,C2Bのキャパシタンスは互いに実質的に等しい。第1および第2の整合部30A,30Bは、同じ周波数の信号がそれらを通過する際に、その信号に対して同じ大きさの位相の変化を生じさせる。方向性結合器1は、第3の整合部30Cを中心として対称な回路構成を有しているため、双方向性を有している。なお、対となる2つのインダクタのインダクタンスや、対となる2つのキャパシタのキャパシタンスが「互いに実質的に等しい」というのは、インダクタやキャパシタの製造上のばらつきによって生じるインダクタンスやキャパシタンスの誤差を許容するという意味である。
なお、図1に示した第1の整合部30Aでは、第1のキャパシタC1Aが、第1のインダクタL1Aの第1の端部L1A1と第2のインダクタL2Aの第1の端部L2A1との間に設けられ、第2のキャパシタC2Aが、第1のインダクタL1Aの第2の端部L1A2と第2のインダクタL2Aの第1の端部L2A1との間に設けられている。また、図1に示した第2の整合部30Bでは、第1のキャパシタC1Bが、第1のインダクタL1Bの第1の端部L1B1と第2のインダクタL2Bの第1の端部L2B1との間に設けられ、第2のキャパシタC2Bが、第1のインダクタL1Bの第2の端部L1B2と第2のインダクタL2Bの第1の端部L2B1との間に設けられている。しかし、第1の整合部30Aにおける第1および第2のキャパシタC1A,C2Aの回路構成上の配置と、第2の整合部30Bにおける第1および第2のキャパシタC1B,C2Bの回路構成上の配置は、それぞれ、図1に示した例とは逆になっていてもよい。すなわち、第1の整合部30Aでは、第1のキャパシタC1Aが、第1のインダクタL1Aの第2の端部L1A2と第2のインダクタL2Aの第1の端部L2A1との間に設けられ、第2のキャパシタC2Aが、第1のインダクタL1Aの第1の端部L1A1と第2のインダクタL2Aの第1の端部L2A1との間に設けられていてもよい。この場合、第2の整合部30Bでは、第1のキャパシタC1Bが、第1のインダクタL1Bの第2の端部L1B2と第2のインダクタL2Bの第1の端部L2B1との間に設けられ、第2のキャパシタC2Bが、第1のインダクタL1Bの第1の端部L1B1と第2のインダクタL2Bの第1の端部L2B1との間に設けられる。
次に、本実施の形態に係る方向性結合器1の作用について説明する。方向性結合器1は、以下の第1および第2の使用態様で使用可能である。第1の使用態様では、第1のポート11を入力ポートとし、第2のポート12を出力ポートとし、第3のポート13を結合ポートとし、第4のポート14を終端ポートとする。第1の使用態様では、第4のポート14が、例えば50Ωの抵抗値を有する終端抵抗を介して接地される。第2の使用態様では、第2のポート12を入力ポートとし、第1のポート11を出力ポートとし、第4のポート14を結合ポートとし、第3のポート13を終端ポートとする。第2の使用態様では、第3のポート13が、例えば50Ωの抵抗値を有する終端抵抗を介して接地される。
第1の使用態様では、第1のポート11に高周波信号が入力され、この高周波信号は第2のポート12から出力される。第3のポート13からは、第1のポート11に入力された高周波信号の電力に応じた電力を有する結合信号が出力される。
第1の使用態様では、入力ポートとなる第1のポート11と結合ポートとなる第3のポート13の間には、第1の結合部40Aを経由する第1の信号経路と、第3の結合部40Cおよび第1の整合部30Aを経由する第2の信号経路と、第4の結合部40D、第3の整合部30Cおよび第1の整合部30Aを経由する第3の信号経路と、第2の結合部40B、第2の整合部30B、第3の整合部30Cおよび第1の整合部30Aを経由する第4の信号経路が形成される。第1のポート11に高周波信号が入力されたとき、第3のポート13から出力される結合信号は、それぞれ第1ないし第4の信号経路を通過した信号が合成されて得られる信号である。第1の使用態様における方向性結合器1の結合度は、第1ないし第4の結合部40A,40B,40C,40Dのそれぞれの結合の強さと、それぞれ第1ないし第4の信号経路を通過した信号の位相の関係とに依存する。
第1の使用態様において、出力ポートとなる第2のポート12と結合ポートとなる第3のポート13の間には、第1の結合部40Aを経由する第5の信号経路と、第3の結合部40Cおよび第1の整合部30Aを経由する第6の信号経路と、第4の結合部40D、第3の整合部30Cおよび第1の整合部30Aを経由する第7の信号経路と、第2の結合部40B、第2の整合部30B、第3の整合部30Cおよび第1の整合部30Aを経由する第8の信号経路が形成される。第1の使用態様における方向性結合器1のアイソレーションは、第1ないし第4の結合部40A,40B,40C,40Dのそれぞれの結合の強さと、それぞれ第5ないし第8の信号経路を通過した信号の位相の関係とに依存する。
第2の使用態様では、第2のポート12に高周波信号が入力され、この高周波信号は第1のポート11から出力される。第4のポート14からは、第2のポート12に入力された高周波信号の電力に応じた電力を有する結合信号が出力される。
第2の使用態様では、入力ポートとなる第2のポート12と結合ポートとなる第4のポート14の間には、第2の結合部40Bを経由する第9の信号経路と、第4の結合部40Dおよび第2の整合部30Bを経由する第10の信号経路と、第3の結合部40C、第3の整合部30Cおよび第2の整合部30Bを経由する第11の信号経路と、第1の結合部40A、第1の整合部30A、第3の整合部30Cおよび第2の整合部30Bを経由する第12の信号経路が形成される。第2のポート12に高周波信号が入力されたとき、第4のポート14から出力される結合信号は、それぞれ第9ないし第12の信号経路を通過した信号が合成されて得られる信号である。第2の使用態様における方向性結合器1の結合度は、第1ないし第4の結合部40A,40B,40C,40Dのそれぞれの結合の強さと、それぞれ第9ないし第12の信号経路を通過した信号の位相の関係とに依存する。
第2の使用態様において、出力ポートとなる第1のポート11と結合ポートとなる第4のポート14の間には、第2の結合部40Bを経由する第13の信号経路と、第4の結合部40Dおよび第2の整合部30Bを経由する第14の信号経路と、第3の結合部40C、第3の整合部30Cおよび第2の整合部30Bを経由する第15の信号経路と、第1の結合部40A、第1の整合部30A、第3の整合部30Cおよび第2の整合部30Bを経由する第16の信号経路が形成される。第2の使用態様における方向性結合器1のアイソレーションは、第1ないし第4の結合部40A,40B,40C,40Dのそれぞれの結合の強さと、それぞれ第13ないし第16の信号経路を通過した信号の位相の関係とに依存する。
ここで、図2を参照して、第1および第2の使用態様で使用される場合の方向性結合器1の使用例について説明する。図2は、方向性結合器1の使用例を示す回路図である。図2は、方向性結合器1を含む送信系回路を示している。図2に示した送信系回路は、方向性結合器1の他に、電力増幅器2と、自動出力制御回路(以下、APC回路と言う。)3と、インピーダンス整合素子5とを備えている。
電力増幅器2は、入力端と出力端とゲイン制御端とを有している。電力増幅器2の入力端には、高周波信号である送信信号が入力されるようになっている。電力増幅器2の出力端は、方向性結合器1の第1のポート11に接続されている。
APC回路3は、入力端と出力端とを有している。APC回路3の入力端は、方向性結合器1の第3のポート13に接続されている。APC回路3の出力端は、電力増幅器2のゲイン制御端に接続されている。
方向性結合器1の第2のポート12は、インピーダンス整合素子5を介してアンテナ4に接続されている。インピーダンス整合素子5は、送信信号がアンテナ4で反射して生じた反射波信号のレベルを十分に小さくするために、送信系回路とアンテナ4との間のインピーダンス整合を行う素子である。方向性結合器1の第4のポート14は、終端抵抗15を介して接地されている。
次に、図2に示した送信系回路における方向性結合器1の第1の使用態様について説明する。第1の使用態様では、電力増幅器2によって増幅された送信信号は、第1のポート11に入力されて第2のポート12から出力され、第3のポート13からは、第1のポート11に入力された送信信号の電力に応じた電力を有する結合信号が出力される。第2のポート12から出力された送信信号は、インピーダンス整合素子5を経て、アンテナ4から発信される。第3のポート13から出力された結合信号は、APC回路3に入力される。APC回路3は、第3のポート13から出力される結合信号のレベルに応じて、電力増幅器2の出力信号のレベルがほぼ一定になるように、電力増幅器2のゲインを制御する。
次に、図2に示した送信系回路における方向性結合器1の第2の使用態様について説明する。第2の使用態様における方向性結合器1は、送信信号がアンテナ4で反射して生じた反射波信号のレベルを検出するために用いられる。第2の使用態様では、反射波信号が、方向性結合器1に入力される高周波信号である。反射波信号は、第2のポート12に入力されて第1のポート11から出力される。従って、第2の使用態様では、第2のポート12が入力ポートとなり、第1のポート11が出力ポートとなり、第4のポート14が結合ポートとなり、第3のポート13が終端ポートとなる。第2の使用態様では、第3のポート13は、終端抵抗を介して接地される。第4のポート14には、図示しない電力検出器が接続される。第4のポート14からは、第2のポート12に入力された反射波信号の電力に応じた電力を有する結合信号が出力される。そして、この結合信号のレベルが、図示しない電力検出器によって検出される。この結合信号のレベルの情報は、反射波信号のレベルが十分に小さくなるようにインピーダンス整合素子5の特性を調整するために利用される。
方向性結合器1に入力される反射波信号のレベルは、方向性結合器1に入力される送信信号のレベルに比べて小さい。そのため、第1および第2の使用態様で使用される方向性結合器1には、第1の使用態様のみならず、第2の使用態様においても、十分な大きさのアイソレーションが必要である。
本実施の形態に係る方向性結合器1は、前述のように、第3の整合部30Cを中心として、対称または対称に近い回路構成を有し、その結果、双方向性を有している。従って、方向性結合器1は、第1および第2の使用態様で使用可能であると共に、第1の使用態様と第2の使用態様とで同様な特性が得られる。
次に、方向性結合器1の構造の一例について説明する。図3は、方向性結合器1の斜視図である。図3に示した方向性結合器1は、第1ないし第4のポート11〜14、主線路10、第1ないし第4の副線路部20A,20B,20C,20Dおよび第1ないし第3の整合部30A,30B,30Cを一体化するための積層体50を備えている。後で詳しく説明するが、積層体50は、積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含んでいる。そして、インダクタL1A,L1Bの各々は、積層体50の複数の導体層のうちの1つ以上の導体層を用いて構成されている。また、インダクタL2A,L2Bの各々は、積層体50の複数の誘電体層に形成された複数のスルーホールを用いて構成されている。また、キャパシタC1A,C2A,C1B,C2Bの各々は、複数の導体層のうちの2つ以上の導体層を用いて構成されている。
積層体50は、外周部を有する直方体形状をなしている。積層体50の外周部は、上面50Aと、底面50Bと、4つの側面50C〜50Fとを含んでいる。上面50Aと底面50Bは互いに反対側を向き、側面50C,50Dも互いに反対側を向き、側面50E,50Fも互いに反対側を向いている。側面50C〜50Fは、上面50Aおよび底面50Bに対して垂直になっている。積層体50において、上面50Aおよび底面50Bに垂直な方向が、複数の誘電体層および複数の導体層の積層方向である。図3では、この積層方向を、記号Tを付した矢印で示している。
図3に示した方向性結合器1は、第1の端子111と、第2の端子112と、第3の端子113と、第4の端子114と、2つのグランド端子115,116を備えている。第1ないし第4の端子111,112,113,114は、それぞれ、図1に示した第1ないし第4のポート11,12,13,14に対応している。グランド端子115,116は、グランドに接続される。端子111〜116は、積層体50の底面50Bに配置されている。
次に、図4ないし図11を参照して、積層体50について詳しく説明する。積層体50は、積層された23層の誘電体層を有している。以下、この23層の誘電体層を、下から順に1層目ないし23層目の誘電体層と呼ぶ。図4は、積層体50の内部を示す斜視図である。図5は、積層体50の断面図である。図6において(a)〜(d)は、それぞれ、1層目ないし4層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図7において(a)〜(d)は、それぞれ、5層目ないし8層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図8において(a)〜(d)は、それぞれ、9層目ないし12層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図9において(a)〜(d)は、それぞれ、13層目ないし16層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図10において(a)〜(d)は、それぞれ、17層目ないし20層目の誘電体層のパターン形成面を示している。図11において(a)〜(c)は、それぞれ、21層目ないし23層目の誘電体層の上面を示している。
図6(a)に示したように、1層目の誘電体層51のパターン形成面には、第1ないし第4の端子111,112,113,114と、グランド端子115,116とが形成されている。また、誘電体層51には、それぞれ端子111,112,113,114,115,116に接続されたスルーホール51T1,51T2,51T3,51T4,51T5,51T6が形成されている。
図6(b)に示したように、2層目の誘電体層52のパターン形成面には、グランド用導体層521が形成されている。また、誘電体層52には、スルーホール52T1,52T2,52T3,52T4,52T5,52T6,52T13,52T14,52T15,52T16,52T17,52T18,52T19が形成されている。スルーホール52T1〜52T4には、それぞれ図6(a)に示したスルーホール51T1〜51T4が接続されている。スルーホール52T5,52T6,52T13〜52T19と、図6(a)に示したスルーホール51T5,51T6は、導体層521に接続されている。
図6(c)に示したように、3層目の誘電体層53のパターン形成面には、グランド用導体層531が形成されている。また、誘電体層53には、スルーホール53T1,53T2,53T3,53T4,53T13,53T14,53T15が形成されている。スルーホール53T1〜53T4には、それぞれ図6(b)に示したスルーホール52T1〜52T4が接続されている。スルーホール53T13〜53T15と、図6(b)に示したスルーホール52T5,52T6,52T13〜52T19は、導体層531に接続されている。
図6(d)に示したように、4層目の誘電体層54には、スルーホール54T1,54T2,54T3,54T4,54T13,54T14,54T15が形成されている。スルーホール54T1〜54T4,54T13〜54T15には、それぞれ図6(c)に示したスルーホール53T1〜53T4,53T13〜53T15が接続されている。
図7(a)に示したように、5層目の誘電体層55のパターン形成面には、第1の副線路部20Aを構成するために用いられる導体層551と、第2の副線路部20Bを構成するために用いられる導体層552とが形成されている。導体層551,552の各々は、第1端と第2端を有している。また、誘電体層55には、スルーホール55T1,55T2,55T3,55T4,55T13,55T14,55T15が形成されている。スルーホール55T1,55T2,55T13〜55T15には、それぞれ図6(d)に示したスルーホール54T1,54T2,54T13〜54T15が接続されている。スルーホール55T3は、導体層551における第1端の近傍部分に接続されている。スルーホール55T4は、導体層552における第1端の近傍部分に接続されている。図6(d)に示したスルーホール54T3は、導体層551における第2端の近傍部分に接続されている。図6(d)に示したスルーホール54T4は、導体層552における第2端の近傍部分に接続されている。
図7(b)に示したように、6層目の誘電体層56には、スルーホール56T1,56T2,56T3,56T4,56T13,56T14,56T15が形成されている。スルーホール56T1〜56T4,56T13〜56T15には、それぞれ図7(a)に示したスルーホール55T1〜55T4,55T13〜55T15が接続されている。
図7(c)に示したように、7層目の誘電体層57には、スルーホール57T1,57T2,57T3,57T4,57T13,57T14,57T15が形成されている。スルーホール57T1〜57T4,57T13〜57T15には、それぞれ図7(b)に示したスルーホール56T1〜56T4,56T13〜56T15が接続されている。
図7(d)に示したように、8層目の誘電体層58のパターン形成面には、主線路10を構成するために用いられる導体層581が形成されている。導体層581は、第1端と第2端を有している。また、誘電体層58には、スルーホール58T3,58T4,58T13,58T14,58T15が形成されている。スルーホール58T3,58T4,58T13〜58T15には、それぞれ図7(c)に示したスルーホール57T3,57T4,57T13〜57T15が接続されている。図7(c)に示したスルーホール57T1は、導体層581における第1端の近傍部分に接続されている。図7(c)に示したスルーホール57T2は、導体層581における第2端の近傍部分に接続されている。
図8(a)に示したように、9層目の誘電体層59には、スルーホール59T3,59T4,59T13,59T14,59T15が形成されている。スルーホール59T3,59T4,59T13〜59T15には、それぞれ図7(d)に示したスルーホール58T3,58T4,58T13〜58T15が接続されている。
図8(b)に示したように、10層目の誘電体層60には、スルーホール60T3,60T4,60T13,60T14,60T15が形成されている。スルーホール60T3,60T4,60T13〜60T15には、それぞれ図8(a)に示したスルーホール59T3,59T4,59T13〜59T15が接続されている。
図8(c)に示したように、11層目の誘電体層61のパターン形成面には、第3の副線路部20Cを構成するために用いられる導体層611と、第4の副線路部20Dを構成するために用いられる導体層612とが形成されている。導体層611,612の各々は、第1端と第2端を有している。また、誘電体層61には、スルーホール61T3,61T4,61T7,61T8,61T9,61T10,61T13,61T14,61T15が形成されている。スルーホール61T3,61T4,61T13〜61T15には、それぞれ図8(b)に示したスルーホール60T3,60T4,60T13〜60T15が接続されている。スルーホール61T7は、導体層611における第1端の近傍部分に接続されている。スルーホール61T8は、導体層612における第1端の近傍部分に接続されている。スルーホール61T9は、導体層611における第2端の近傍部分に接続されている。スルーホール61T10は、導体層612における第2端の近傍部分に接続されている。
図8(d)に示したように、12層目の誘電体層62には、スルーホール62T3,62T4,62T7,62T8,62T9,62T10,62T13,62T14,62T15が形成されている。スルーホール62T3,62T4,62T7〜62T10,62T13〜62T15には、それぞれ図8(c)に示したスルーホール61T3,61T4,61T7〜61T10,61T13〜61T15が接続されている。
図9(a)に示したように、13層目の誘電体層63には、スルーホール63T3,63T4,63T7,63T8,63T9,63T10,63T13,63T14,63T15が形成されている。スルーホール63T3,63T4,63T7〜63T10,63T13〜63T15には、それぞれ図8(d)に示したスルーホール62T3,62T4,62T7〜62T10,62T13〜62T15が接続されている。
図9(b)に示したように、14層目の誘電体層64のパターン形成面には、グランド用導体層641と、導体層642,643とが形成されている。導体層642,643の各々は、第1端と第2端を有している。また、誘電体層64には、スルーホール64T3,64T4,64T7,64T8,64T9,64T10と、インダクタL2Aを構成するために用いられるスルーホール64T11と、インダクタL2Bを構成するために用いられるスルーホール64T12とが形成されている。スルーホール64T3,64T4,64T7,64T8には、それぞれ図9(a)に示したスルーホール63T3,63T4,63T7,63T8が接続されている。スルーホール64T9は、導体層642における第1端の近傍部分に接続されている。スルーホール64T10は、導体層643における第1端の近傍部分に接続されている。スルーホール64T11,64T12と、図9(a)に示したスルーホール63T13〜63T15は、導体層641に接続されている。図9(a)に示したスルーホール63T9は、導体層642における第2端の近傍部分に接続されている。図9(a)に示したスルーホール63T10は、導体層643における第2端の近傍部分に接続されている。
図9(c)に示したように、15層目の誘電体層65には、スルーホール65T3,65T4,65T7,65T8,65T9,65T10と、インダクタL2Aを構成するために用いられるスルーホール65T11と、インダクタL2Bを構成するために用いられるスルーホール65T12とが形成されている。スルーホール65T3,65T4,65T7〜65T12には、それぞれ図9(b)に示したスルーホール64T3,64T4,64T7〜64T12が接続されている。
図9(d)に示したように、16層目の誘電体層66のパターン形成面には、キャパシタC2Aを構成するために用いられる導体層661と、キャパシタC2Bを構成するために用いられる導体層662とが形成されている。また、誘電体層66には、スルーホール66T3,66T4,66T7,66T8,66T9,66T10と、インダクタL2Aを構成するために用いられるスルーホール66T11と、インダクタL2Bを構成するために用いられるスルーホール66T12とが形成されている。スルーホール66T3,66T4,66T9〜66T12には、それぞれ図9(c)に示したスルーホール65T3,65T4,65T9〜65T12が接続されている。スルーホール66T7は、導体層661と図9(c)に示したスルーホール65T7に接続されている。スルーホール66T8は、導体層662と図9(c)に示したスルーホール65T8に接続されている。
図10(a)に示したように、17層目の誘電体層67のパターン形成面には、キャパシタC1A,C2Aを構成するために用いられる導体層671と、キャパシタC1B,C2Bを構成するために用いられる導体層672とが形成されている。また、誘電体層67には、スルーホール67T3,67T4,67T7,67T8,67T9,67T10が形成されている。スルーホール67T3,67T4,67T7〜67T10には、それぞれ図9(d)に示したスルーホール66T3,66T4,66T7〜66T10が接続されている。図9(d)に示したスルーホール66T11は、導体層671に接続されている。図9(d)に示したスルーホール66T12は、導体層672に接続されている。
図10(b)に示したように、18層目の誘電体層68のパターン形成面には、キャパシタC1Aを構成するために用いられる導体層681と、キャパシタC1Bを構成するために用いられる導体層682とが形成されている。また、誘電体層68には、スルーホール68T3,68T4,68T7,68T8,68T9,68T10が形成されている。スルーホール68T3と、図10(a)に示したスルーホール67T3は、導体層681に接続されている。スルーホール68T4と、図10(a)に示したスルーホール67T4は、導体層682に接続されている。スルーホール68T7〜68T10には、それぞれ図10(a)に示したスルーホール67T7〜67T10が接続されている。
図10(c)に示したように、19層目の誘電体層69には、スルーホール69T3,69T4,69T7,69T8,69T9,69T10が形成されている。スルーホール69T3,69T4,69T7〜69T10には、それぞれ図10(b)に示したスルーホール68T3,68T4,68T7〜68T10が接続されている。
図10(d)に示したように、20層目の誘電体層70には、スルーホール70T3,70T4,70T7,70T8,70T9,70T1が形成されている。スルーホール70T3,70T4,70T7〜70T10には、それぞれ図10(c)に示したスルーホール69T3,69T4,69T7〜69T10が接続されている。
図11(a)に示したように、21層目の誘電体層71には、スルーホール71T3,71T4,71T7,71T8,71T9,71T10が形成されている。スルーホール71T3,71T4,71T7〜71T10には、それぞれ図10(d)に示したスルーホール70T3,70T4,70T7〜70T10が接続されている。
図11(b)に示したように、22層目の誘電体層72のパターン形成面には、インダクタL1Aを構成するために用いられる導体層721と、インダクタL1Bを構成するために用いられる導体層722と、第3の整合部30Cを構成するために用いられる導体層723とが形成されている。導体層721〜723の各々は、第1端と第2端を有している。図11(a)に示したスルーホール71T3は、導体層721における第1端の近傍部分に接続されている。図11(a)に示したスルーホール71T4は、導体層722における第1端の近傍部分に接続されている。図11(a)に示したスルーホール71T7は、導体層721における第2端の近傍部分に接続されている。図11(a)に示したスルーホール71T8は、導体層722における第2端の近傍部分に接続されている。図11(a)に示したスルーホール71T9は、導体層723における第1端の近傍部分に接続されている。図11(a)に示したスルーホール71T10は、導体層723における第2端の近傍部分に接続されている。
図11(c)に示したように、23層目の誘電体層73のパターン形成面には、マーク731が形成されている。
図3に示した積層体50は、1層目の誘電体層51の素子形成面が積層体50の底面50Bになるように、1層目ないし23層目の誘電体層51〜73が積層されて構成される。
図4は、積層体50の内部を示している。図5は、側面50D側から見た積層体50の断面を示している。
以下、図1に示した方向性結合器1の回路の構成要素と、図6ないし図11に示した積層体50の内部の構成要素との対応関係について説明する。主線路10は、図7(d)に示した導体層581によって構成されている。導体層581は、誘電体層58の素子形成面と同じ方向に向いた第1の面と、第1の面とは反対側の第2の面とを有している。導体層581の第1の面は、第1の部分と第2の部分とを含んでいる。導体層581の第2の面は、第3の部分と第4の部分とを含んでいる。
図7(a)に示した導体層551の一部は、誘電体層55〜57を介して、導体層581の第1の面の第1の部分に対向している。図7(a)に示した導体層552の一部は、誘電体層55〜57を介して、導体層581の第1の面の第2の部分に対向している。第1の副線路部20Aは、上記の導体層551の一部によって構成されている。第2の副線路部20Bは、上記の導体層552の一部によって構成されている。
図8(c)に示した導体層611の一部は、誘電体層58〜60を介して、導体層581の第2の面の第3の部分に対向している。図8(c)に示した導体層612の一部は、誘電体層58〜60を介して、導体層581の第2の面の第3の部分に対向している。第3の副線路部20Cは、上記の導体層611の一部によって構成されている。第4の副線路部20Dは、上記の導体層612の一部によって構成されている。
第1の整合部30AのインダクタL1Aは、図11(b)に示した導体層721によって構成されている。導体層721における第1端の近傍部分は、スルーホール55T3,56T3,57T3,58T3,59T3,60T3,61T3,62T3,63T3,64T3,65T3,66T3,67T3、導体層681およびスルーホール68T3,69T3,70T3,71T3を介して、第1の副線路部20Aを構成する導体層551に接続されている。導体層721における第2端の近傍部分は、スルーホール61T7,62T7,63T7,64T7,65T7,66T7,67T7,68T7,69T7,70T7,71T7を介して、第3の副線路部20Cを構成する導体層611に接続されている。
第1の整合部30AのキャパシタC1Aは、図10(a),(b)に示した導体層671,681と、導体層671,681の間の誘電体層67とによって構成されている。導体層681は、スルーホール55T3,56T3,57T3,58T3,59T3,60T3,61T3,62T3,63T3,64T3,65T3,66T3,67T3を介して、第1の副線路部20Aを構成する導体層551に接続されている。
第1の整合部30AのキャパシタC2Aは、図9(d)および図10(a)に示した導体層661,671と、導体層661,671の間の誘電体層66とによって構成されている。導体層661は、スルーホール61T7,62T7,63T7,64T7,65T7を介して、第3の副線路部20Cを構成する導体層611に接続されている。
第1の整合部30AのインダクタL2Aは、図9(b)〜(d)に示したスルーホール64T11,65T11,66T11によって構成されている。スルーホール66T11は、図10(a)に示した導体層671に接続されている。スルーホール64T11は、グランド用導体層641に接続されている。
第2の整合部30BのインダクタL1Bは、図11(b)に示した導体層722によって構成されている。導体層722における第1端の近傍部分は、スルーホール55T4,56T4,57T4,58T4,59T4,60T4,61T4,62T4,63T4,64T4,65T4,66T4,67T4、導体層682およびスルーホール68T4,69T4,70T4,71T4を介して、第2の副線路部20Bを構成する導体層552に接続されている。導体層722における第2端の近傍部分は、スルーホール61T8,62T8,63T8,64T8,65T8,66T8,67T8,68T8,69T8,70T8,71T8を介して、第4の副線路部20Dを構成する導体層612に接続されている。
第2の整合部30BのキャパシタC1Bは、図10(a),(b)に示した導体層672,682と、導体層672,682の間の誘電体層67とによって構成されている。導体層682は、スルーホール55T4,56T4,57T4,58T4,59T4,60T4,61T4,62T4,63T4,64T4,65T4,66T4,67T4を介して、第2の副線路部20Bを構成する導体層552に接続されている。
第2の整合部30BのキャパシタC2Bは、図9(d)および図10(a)に示した導体層662,672と、導体層662,672の間の誘電体層66とによって構成されている。導体層662は、スルーホール61T8,62T8,63T8,64T8,65T8を介して、第4の副線路部20Dを構成する導体層612に接続されている。
第2の整合部30BのインダクタL2Bは、図9(b)〜(d)に示したスルーホール64T12,65T12,66T12によって構成されている。スルーホール66T12は、図10(a)に示した導体層672に接続されている。スルーホール64T12は、グランド用導体層641に接続されている。
第3の整合部30Cは、図11(b)に示した導体層723によって構成されている。導体層723における第1端の近傍部分は、スルーホール61T9,62T9,63T9、導体層642およびスルーホール64T9,65T9,66T9,67T9,68T9,69T9,70T9,71T9を介して、第3の副線路部20Cを構成する導体層611に接続されている。導体層723における第2端の近傍部分は、スルーホール61T10,62T10,63T10、導体層643およびスルーホール64T10,65T10,66T10,67T10,68T10,69T10,70T10,71T10を介して、第4の副線路部20Dを構成する導体層612に接続されている。
積層体50において、第1ないし第3の整合部30A,30B,30Cを構成する複数の導体層と、主線路10を構成する導体層681の間には、グランドに接続されたグランド用導体層641が介在している。そのため、第1ないし第3の整合部30A,30B,30Cは、主線路10に対して電磁界結合しない。
図6(c)に示したグランド用導体層531は、第1および第2の副線路部20A,20Bのインピーダンスを所望の値に調整する作用を有する。図9(b)に示したグランド用導体層641は、第3および第4の副線路部20C,20Dのインピーダンスを所望の値に調整する作用を有する。
本実施の形態に係る方向性結合器1によれば、主線路に対して電磁界結合する副線路部の数が3以下の構成の方向性結合器に比べて、より広い周波数帯域において、周波数の変化に伴う結合度の変化を抑制することが可能になる。以下、これについて詳しく説明する。
方向性結合器1のうち、第3の結合部40C、第4の結合部40Dおよび第3の整合部30Cからなる部分は、2つの結合部と1つの整合部からなる方向性結合器を構成していると言える。以下の説明では、第3の結合部40C、第4の結合部40Dおよび第3の整合部30Cからなる部分を、結合器部分と言う。方向性結合器1は、大きく分けて、結合器部分と、第1および第2の結合部40A,40Bと、第1および第2の整合部30A,30Bを備えていると言える。以下、これらの特性について説明する。
図12は、第1および第2の結合部40A,40Bの各々の単独の結合度の周波数特性を示している。図12において、横軸は周波数、縦軸は結合度である。図12に示したように、第1および第2の結合部40A,40Bの各々の単独の結合度は、周波数が高くなるほど大きくなる。図示しないが、第3および第4の結合部40C,40Dの各々の単独の結合度も、周波数が高くなるほど大きくなる。第3および第4の結合部40C,40Dの各々の単独の結合度は、第1および第2の結合部40A,40Bの各々の単独の結合度よりも大きい。周波数2000MHzにおいて、第3および第4の結合部40C,40Dの各々の単独の結合度は、第1および第2の結合部40A,40Bの各々の単独の結合度よりも、5dB以上大きいことが好ましい。
ここで、整合部30A,30B,30Cの各々が、そこを通過する信号に対して生じさせる位相の変化量を、位相変化量と言う。整合部30A,30B,30Cは、いずれも、そこを通過する信号の位相を遅らせるため、位相変化量は負の値で表される。整合部30A,30B,30Cの各々において、位相変化量の絶対値が大きいほど、そこを通過する信号に対して生じさせる位相の変化が大きいと言える。
図13は、第1および第2の整合部30A,30Bの各々の位相変化量の周波数特性を示している。図14は、第3の整合部30Cの位相変化量の周波数特性を示している。図13および図14において、横軸は周波数、縦軸は位相変化量である。図13および図14に示したように、第3の整合部30Cは、第1および第2の整合部30A,30Bに比べて、同じ周波数の信号に対して生じさせる位相の変化が小さい。言い換えると、第3の整合部30Cは、第1および第2の整合部30A,30Bに比べて、位相変化量の絶対値が180度になる周波数が高い。図13に示した例では、第1および第2の整合部30A,30Bの各々の位相変化量の絶対値が180度になる周波数は、約3800MHzである。図14に示した例では、第3の整合部30Cの位相変化量の絶対値が180度になる周波数は、5000MHzを超えている。周波数2000MHzにおいて、第1および第2の整合部30A,30Bの各々の位相変化量の絶対値と第3の整合部30Cの位相変化量の絶対値との差は、10度以上であることが好ましい。
図15は、第3の結合部40C、第4の結合部40Dおよび第3の整合部30Cからなる前述の結合器部分を示している。第1の使用態様において、結合器部分では、入力ポートとなる第1のポート11と、結合器部分における結合ポートとなる第3の副線路部20Cの第1の端部20C1の間には、第3の結合部40Cを経由する信号経路と、第4の結合部40Dおよび第3の整合部30Cを経由する信号経路とが形成される。
図16は、図15に示した結合器部分の結合度の周波数特性を示している。図16において、横軸は周波数、縦軸は結合度である。図16に示したように、結合器部分の結合度は、約3000MHzまでは周波数が高くなるほど大きくなるが、約3000MHzから5000MHzまでの範囲では周波数が高くなるほど小さくなっている。これは、図16の横軸に示した周波数範囲において、周波数が高くなるほど、第3および第4の結合部40C,40Dの各々の単独の結合度は大きくなるが、第3の整合部30Cの位相変化量の絶対値が180度に近づくためである。第3の整合部30Cの位相変化量の絶対値が180度に近づくほど、第3の結合部40Cを経由する信号経路を通過した信号と、第4の結合部40Dおよび第3の整合部30Cを経由する信号経路を通過した信号が打ち消し合う度合いが大きくなる。このようにして、周波数の変化に伴う結合器部分の結合度の変化が抑制される。
ここで、図15に示した結合器部分と比較するために、図17に示した構成の結合部分を考える。この結合部分は、図15に示した結合器部分から第3の整合部30Cを除き、第3の副線路部20Cと第4の副線路部20Dを接続した構成である。この結合部分では、第3の副線路部20Cと第4の副線路部20Dの間で位相の変化は生じない。そのため、この結合部分では、第3の副線路部20Cと第4の副線路部20Dを合わせたものを1つの副線路部とみなすことができる。従って、この結合部分は、特許文献2に記載されているような副線路部の数が3である方向性結合器における中央の副線路部と主線路部の互いに結合する部分とみなすことができる。以下、図17に示した結合部分を、比較例の中央結合部分と言う。
図18は、図17に示した比較例の中央結合部分の結合度の周波数特性を示している。図18において、横軸は周波数、縦軸は結合度である。図18に示したように、比較例の中央結合部分の結合度は、図18の横軸に示した周波数範囲において、周波数が高くなるほど大きくなる。
ここで、方向性結合器1における結合器部分を図17に示した比較例の中央結合部分に置き換えた構成の方向性結合器を比較例の方向性結合器と言う。比較例の方向性結合器は、副線路部の数が3で整合部の数が2である方向性結合器とみなすことができる。比較例の方向性結合器では、中央結合部分の単独の結合度は、第1および第2の結合部40A,40Bの各々の単独の結合度よりも大きい。
図19は、比較例の方向性結合器の結合度の周波数特性を示している。図19において、横軸は周波数、縦軸は結合度である。
図20ないし図22に、本実施の形態に係る方向性結合器1の特性の一例を示す。図20ないし図22に示した例では、方向性結合器1の使用周波数帯域を673〜3800MHzとしている。図19および図20において、この使用周波数帯域の下限と上限を2本の点線で示している。図20ないし図22に示した特性は、シミュレーションによって求めたものである。図20ないし図22は、第1の使用態様で使用した場合の方向性結合器1の特性を示している。シミュレーションでは、第2の使用態様で使用した場合の方向性結合器1の特性は、第1の使用態様で使用した場合の方向性結合器1の特性と同じである。
図20は、方向性結合器1の結合度の周波数特性を示している。図20において、横軸は周波数、縦軸は結合度である。結合度を−c(dB)と表すと、方向性結合器1では、使用周波数帯域において、cの値は、20以上の十分な大きさである。
図21は、方向性結合器1のアイソレーションの周波数特性を示している。図21において、横軸は周波数、縦軸はアイソレーションである。アイソレーションを−i(dB)と表すと、方向性結合器1では、使用周波数帯域において、iの値は、45以上の十分な大きさである。
図22は、方向性結合器1の結合ポートの反射損失の周波数特性を示している。図22において、横軸は周波数、縦軸は結合ポートの反射損失である。結合ポートの反射損失を−r(dB)と表すと、方向性結合器1では、使用周波数帯域において、rの値は、20以上の十分な大きさである。これは、使用周波数帯域において、第3のポート13と第4のポート14の一方から他方側を見たときの反射係数の絶対値が0またはその近傍の値になっていることを意味している。
ここで、図19に示した比較例の方向性結合器の結合度の周波数特性と、図20に示した方向性結合器1の結合度の周波数特性を比較する。比較例の方向性結合器では、673〜3800MHzの周波数帯域において、結合度の最大値と最小値の差は約10dBである。これに対し、方向性結合器1では、673〜3800MHzの周波数帯域において、結合度の最大値と最小値の差は約5dBである。比較例の方向性結合器において結合度の最大値と最小値の差が約5dBとなる周波数範囲は、方向性結合器1において結合度の最大値と最小値の差が約5dBとなる周波数範囲よりも狭い。
図19と図20を比較すると分かるように、方向性結合器1によれば、比較例の方向性結合器に比べて、より広い周波数範囲において、周波数の変化に伴う結合度の変化を抑制することができる。なお、副線路部の数が2以下の構成の方向性結合器では、副線路部の数が3である構成の方向性結合器以上に、周波数の変化に伴う結合度の変化を抑制することは困難である。以上のことから、本実施の形態に係る方向性結合器1によれば、副線路部の数が3以下の構成の方向性結合器に比べて、より広い周波数範囲において、周波数の変化に伴う結合度の変化を抑制することができる。
以下、本実施の形態に係る方向性結合器1によれば、比較例の方向性結合器に比べて、より広い周波数範囲において、周波数の変化に伴う結合度の変化を抑制できる理由について、概念的に説明する。
まず、比較例の方向性結合器の結合度の周波数特性の性質について概念的に説明する。比較例の方向性結合器では、前述のように、中央結合部分の単独の結合度は、第1および第2の結合部40A,40Bの各々の単独の結合度よりも大きい。そのため、比較例の方向性結合器の結合度の周波数特性は、図18に示した中央結合部分の結合度の周波数特性に大きく依存する。
比較例の方向性結合器では、中央結合部分を経由した信号に対して、第1の結合部40Aを経由した信号と第2の結合部40Bを経由した信号が、それぞれ第1の整合部30Aと第2の整合部30Bで決まる位相の関係の下で合成されて、結合信号が形成される。第1および第2の整合部30A,30Bの各々の位相変化量の絶対値が180度に近づくほど、第1の結合部40Aを経由した信号と第2の結合部40Bを経由した信号が、中央結合部分を経由した信号を打ち消す合う度合いが大きくなる。このような作用により、比較例の方向性結合器の結合度の周波数特性は、図18に示した中央結合部分の結合度の周波数特性に比べて、周波数の変化に伴う結合度の変化が抑制されたものとなる。
しかし、比較例の方向性結合器では、周波数が、第1および第2の整合部30A,30Bの各々の位相変化量の絶対値が180度となる周波数を超えると、周波数が高くなるほど、中央結合部分と第1の結合部40Aと第2の結合部40Bの各々の結合度が大きくなり、且つ第1の結合部40Aを経由した信号と第2の結合部40Bを経由した信号が、中央結合部分を経由した信号を打ち消す合う度合いが小さくなる。その結果、比較例の方向性結合器では、周波数が、第1および第2の整合部30A,30Bの各々の位相変化量の絶対値が180度となる周波数を超えると、周波数が高くなるほど結合度が大きくなる。
次に、本実施の形態に係る方向性結合器1の結合度の周波数特性の性質について概念的に説明する。方向性結合器1では、前述のように、第3および第4の結合部40C,40Dの各々の単独の結合度は、第1および第2の結合部40A,40Bの各々の単独の結合度よりも大きい。そのため、方向性結合器1の結合度の周波数特性は、図16に示した結合器部分の結合度の周波数特性に大きく依存する。
方向性結合器1では、結合器部分を経由した信号に対して、第1の結合部40Aを経由した信号と第2の結合部40Bを経由した信号が、それぞれ第1の整合部30Aと第2の整合部30Bで決まる位相の関係の下で合成されて、結合信号が形成される。第1および第2の整合部30A,30Bの各々の位相変化量の絶対値が180度に近づくほど、第1の結合部40Aを経由した信号と第2の結合部40Bを経由した信号が、結合器部分を経由した信号を打ち消す合う度合いが大きくなる。このような作用により、方向性結合器1の結合度の周波数特性は、図16に示した結合器部分の結合度の周波数特性に比べて、周波数の変化に伴う結合度の変化が抑制されたものとなる。
また、第3の整合部30Cは、第1および第2の整合部30A,30Bに比べて、位相変化量の絶対値が180度になる周波数が高い。これにより、図16に示したように、結合器部分の結合度の周波数特性として、第1および第2の整合部30A,30Bの各々の位相変化量の絶対値が180度となる周波数を超えた周波数範囲において周波数の変化に伴う結合度の変化が抑えられた特性が得られる。その結果、方向性結合器1によれば、第1および第2の整合部30A,30Bの各々の位相変化量の絶対値が180度となる周波数を超えた周波数範囲において、比較例の方向性結合器に比べて、周波数の変化に伴う結合度の変化を抑制することができる。従って、方向性結合器1によれば、比較例の方向性結合器に比べて、より広い周波数範囲において、周波数の変化に伴う結合度の変化を抑制することができる。
また、前述のように、方向性結合器1は、対称または対称に近い回路構成にすることができる。これにより、双方向性を有する方向性結合器1を実現することができる。
以上のことから、本実施の形態によれば、広帯域で使用可能であると共に双方向性を有する方向性結合器1を実現することが可能になる。本実施の形態に係る方向性結合器1は、例えば、CAで用いられる複数の周波数帯域の複数の信号について利用することが可能である。
また、本実施の形態では、第3の整合部30Cは、第1および第2の整合部30A,30Bに比べて、同じ周波数の信号に対して生じさせる位相の変化が小さい。そのため、第3の整合部30Cは、比較的短い線路によって簡単に構成することができる。これにより、第3の整合部30Cを、第1および第2の整合部30A,30Bのように複数のインダクタおよび複数のキャパシタを用いて構成する場合に比べて、方向性結合器1の構成を簡単にすることができる。
なお、第1の整合部30A内の第2のインダクタL2Aと第2の整合部30B内の第2のインダクタL2Bは、いずれも、前述のように、0.1nH以上のインダクタンスを有している。一般的に、積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含み、電子部品を構成するために用いられる積層体において、グランドに接続される導体層が有する寄生インダクタンスは、0.1nH未満である。従って、第2のインダクタL2A,L2Bが有する0.1nH以上のインダクタンスは、寄生インダクタンスとは明らかに区別される。
本実施の形態では、方向性結合器1の回路構成は、完全に対称ではなくても、対称に近ければよい。この場合にも、広帯域で使用可能であると共に双方向性を有する方向性結合器1を実現することができる。方向性結合器1の回路構成が対称に近いという要件を満たすために必要な要件および好ましい要件は、具体的には、例えば以下の通りである。
周波数2000MHzにおける第1の結合部40Aと第2の結合部40Bの結合度の差は、2dB以下である必要があり、1dB以下であることが好ましい。周波数2000MHzにおける第1の整合部30Aと第2の整合部30Bの位相変化量の差は、20度以下である必要があり、10度以下であることが好ましく、5度以下であることがより好ましい。また、周波数2000MHzにおける第3の結合部40Cと第4の結合部40Dの結合度の差は、2dB以下である必要があり、1dB以下であることが好ましい。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明における第1ないし第3の整合部の構成は、実施の形態に示したものに限定されず、特許請求の範囲に記載された要件を満たすことを前提として、種々の変更が可能である。例えば、第3の整合部30Cは、素子定数を除いて、第1および第2の整合部30A,30Bと同様の構成であってもよい。あるいは、第1および第2の整合部30A,30Bが、第3の整合部30Cと同様に線路であってもよい。
また、本発明の方向性結合器は、第3の副線路部の第2の端部と第4の副線路部の第2の端部との間に、第3の整合部の他に、1組以上の追加の副線路部と追加の整合部が設けられてもよい。この場合、第3の副線路部の第2の端部と第4の副線路部の第2の端部との間には、回路構成上、両端にそれぞれ整合部が位置し、整合部と副線路部が交互に並ぶように、2つ以上の整合部と1つ以上の副線路部が直列に設けられる。この場合には、第3の副線路部および第4の副線路部と、それらの間の2つ以上の整合部および1つ以上の副線路部とによって、実施の形態における結合器部分に換わる新たな結合器部分を構成することができる。そして、この新たな結合器部分の結合度の周波数特性を、周波数の変化に伴う結合器部分の結合度の変化が抑制された特性にすることができる。また、1組以上の追加の副線路部と追加の整合部が設けられた場合でも、方向性結合器の回路構成を対称または対称に近いものにすることができる。従って、この場合にも、実施の形態で説明した作用効果を得ることができる。
1…方向性結合器、10…主線路、11…第1のポート、12…第2のポート、13…第3のポート、14…第4のポート、15…終端抵抗、20A…第1の副線路部、20B…第2の副線路部、20C…第3の副線路部、20D…第4の副線路部、30A…第1の整合部、30B…第2の整合部、30C…第3の整合部。

Claims (5)

  1. 第1のポートと、
    第2のポートと、
    第3のポートと、
    第4のポートと、
    前記第1のポートと前記第2のポートを接続する主線路と、
    それぞれ、前記主線路に対して電磁界結合する線路からなると共に互いに反対側に位置する第1の端部および第2の端部を有する第1の副線路部、第2の副線路部、第3の副線路部および第4の副線路部と、
    第1の整合部と、
    第2の整合部と、
    第3の整合部とを備えた方向性結合器であって、
    前記第1の副線路部の第1の端部は、前記第3のポートに接続され、
    前記第2の副線路部の第1の端部は、前記第4のポートに接続され、
    前記第1の整合部は、前記第1の副線路部の第2の端部と前記第3の副線路部の第1の端部との間に設けられ、
    前記第2の整合部は、前記第2の副線路部の第2の端部と前記第4の副線路部の第1の端部との間に設けられ、
    前記第3の整合部は、前記第3の副線路部の第2の端部と前記第4の副線路部の第2の端部との間に設けられ、
    前記第1ないし第3の整合部の各々は、そこを通過する信号に対して位相の変化を生じさせることを特徴とする方向性結合器。
  2. 前記第3および第4の副線路部は、前記第1および第2の副線路部に比べて、前記主線路に対する結合の強さが大きいことを特徴とする請求項1記載の方向性結合器。
  3. 前記第3の整合部は、前記第1および第2の整合部に比べて、同じ周波数の信号に対して生じさせる位相の変化が小さいことを特徴とする請求項1または2記載の方向性結合器。
  4. 前記第1の整合部と前記第2の整合部の各々は、その第1の端部と第2の端部とを接続する第1の経路と、前記第1の経路とグランドとを接続する第2の経路とを有し、
    前記第1の経路は、第1のインダクタを含み、
    前記第2の経路は、直列に接続された第1のキャパシタと第2のインダクタとを含み、
    前記第3の整合部は、線路であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方向性結合器。
  5. 前記第1のインダクタは、互いに反対側に位置する第1の端部および第2の端部を有し、
    前記第2のインダクタは、回路構成上、前記第1の経路に最も近い第1の端部と、回路構成上、グランドに最も近い第2の端部とを有し、
    前記第1のキャパシタは、前記第1のインダクタの第1の端部と前記第2のインダクタの第1の端部との間に設けられ、
    前記第2の経路は、更に、前記第1のインダクタの第2の端部と前記第2のインダクタの第1の端部との間に設けられた第2のキャパシタを有することを特徴とする請求項4記載の方向性結合器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018207473A (ja) * 2017-06-01 2018-12-27 株式会社村田製作所 双方向性結合器、モニタ回路、およびフロントエンド回路
CN119165655A (zh) * 2024-11-22 2024-12-20 济南东汉半导体设备有限公司 一种耦合器平坦度调节方法、装置、介质及设备

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