以下、本発明の実施の形態に係る緩衝器を、車両用の油圧緩衝器に適用した場合を例に挙げて、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図3は第1の実施の形態を示している。図1において、油圧緩衝器1は、その外殻をなす筒状の外筒2、後述の内筒6、ピストンロッド8、ピストン9、ロッドガイド10、ストッパ12を含んで構成されている。
油圧緩衝器1の外筒2は、その一端側としての基端側(図1中の下端)がボトムキャップ3によって閉塞された閉塞端となり、他端側としての先端側(図1中の上端)は開口端となっている。外筒2の開口端(先端)側には、径方向内側に屈曲して形成されたかしめ部2Aが設けられ、該かしめ部2Aは、外筒2の開口端側を閉塞する蓋体4を抜止め状態で保持している。
環状円板からなる蓋体4は、外筒2の開口端(先端)側を閉塞するため後述のロッドガイド10に当接した状態で、その外周側が外筒2のかしめ部2Aにより固定されている。蓋体4の内周側には、弾性材料からなるロッドシール5が取付けられ、該ロッドシール5は、後述のピストンロッド8と蓋体4との間をシールしている。
シリンダとしての内筒6は、外筒2内に同軸をなして設けられ、該内筒6の一端(基端)側は、ボトムキャップ3側にボトムバルブ7を介して嵌合、固定されている。内筒6の他端(先端)側である開口端側内周には、後述のロッドガイド10が嵌合して取付けられている。内筒6内には、油液を含んだ作動流体が封入されている。作動流体には、油液(オイル)に限らず、例えば添加剤を混在させた水等を用いることができる。
内筒6と外筒2との間には環状のリザーバ室Aが形成され、このリザーバ室A内には、前記油液と共にガスが封入されている。このガスは、大気圧状態の空気であってもよく、また圧縮された窒素ガス等の気体を用いてもよい。リザーバ室A内のガスは、ピストンロッド8の縮小時(縮み行程)に当該ピストンロッド8の進入体積分を補償すべく圧縮される。
ピストンロッド8は、基端側が内筒6内に挿入され、先端側が後述のロッドガイド10、蓋体4等を介して内筒6外へと伸縮可能に突出している。ピストンロッド8の基端側には、後述のピストン9が設けられている。また、ピストンロッド8には、ピストン9の取付位置から予め決められた寸法だけ上方に離間した位置に環状溝8Aが設けられている。この環状溝8Aには、後述のストッパピストン13の嵌合部13Bが嵌合して固定されている。
ピストン9は、ピストンロッド8の基端側に設けられ、内筒6内に摺動可能に嵌装されている。このピストン9は、内筒6内を下側のボトム側室Bと上側のロッド側室Cとの2室に画成している。また、ピストン9には、ボトム側室Bとロッド側室Cとを連通可能な油路9A,9Bが形成されている。さらに、ピストン9の一端面には、ピストンロッド8が縮小方向に摺動変位するときに、油路9Aを流通する油液に抵抗力を与えて所定の減衰力を発生する縮小側のディスクバルブ9Cが配設されている。一方、ピストン9の他端面には、ピストンロッド8が伸長方向に摺動変位するときに、油路9Bを流通する油液に抵抗力を与えて所定の減衰力を発生する伸長側のディスクバルブ9Dが配設されている。
ロッドガイド10は、外筒2の開口端側に嵌合されると共に、内筒6の開口端側にも固定して設けられている。これにより、ロッドガイド10は、内筒6の開口端側を外筒2と同軸となるように位置決めすると共に、その内周側でピストンロッド8を軸方向へと摺動可能に案内(ガイド)するものである。また、ロッドガイド10は、蓋体4を外筒2のかしめ部2Aにより外側からかしめ固定するときに、該蓋体4を内側(軸方向下側)から支持する支持構造物を構成している。
ロッドガイド10は、例えば金属材料、硬質な樹脂材料等に成型加工、切削加工等を施すことにより段付筒状体として形成されている。即ち、ロッドガイド10は、図1に示すように、上側に位置して外筒2の内周側に挿嵌される大径部10Aと、該大径部10Aの下側に位置して内筒6の内周側に挿嵌される小径部10Bとにより段付円筒状に形成されている。この小径部10Bの内周側には、ピストンロッド8を軸方向に摺動可能に案内するガイド部11が設けられている。このガイド部11は、例えば金属製筒体の内周面をフッ素系樹脂(4フッ化エチレン)等で被覆した摺動筒体として構成されている。
また、ロッドガイド10の大径部10Aには、蓋体4と対向する大径部10Aの上面側に環状の油溜め室10Cが設けられ、該油溜め室10Cは、ロッドシール5及びピストンロッド8を径方向外側から取囲む環状の空間部として形成されている。そして、油溜め室10Cは、ロッド側室C内の油液(または、この油液中に混入したガス)がピストンロッド8とガイド部11との僅かな隙間等を介して漏出したときに、この漏出した油液等を一時的に溜めるための空間を提供するものである。
さらに、ロッドガイド10の大径部10Aには、外筒2側のリザーバ室Aに常時連通した連通路10Dが設けられ、この連通路10Dは、前記油溜め室10Cに溜められた油液(ガスを含む)を外筒2側のリザーバ室Aへと導くものである。
ストッパ12は、ピストン9とロッドガイド10との間に位置して、ピストンロッド8の外周側に設けられている。このストッパ12は、ピストンロッド8が外筒2及び内筒6から大きく突出するように伸長して伸び切り位置に達したときに、後述の如く油圧的なクッション作用を発揮してピストンロッド8の伸長動作を停止させ、所謂伸び切り防止を行うものである。即ち、ストッパ12は、ピストンロッド8の伸び切り時に、ロッドガイド10及びピストンロッド8に発生する衝撃を油圧により緩和する。
ここで、ストッパ12は、ピストンロッド8の外周側に位置してピストンロッド8の環状溝8Aに固定されたストッパピストン13と、該ストッパピストン13に対して軸方向に相対変位可能に配置され、ピストンロッド8の外周側に変位可能に設けられた筒状カップ部材14と、ストッパピストン13と筒状カップ部材14との間に画成されたクッション室15と、筒状カップ部材14をロッドガイド10側に付勢するスプリング16と、筒状カップ部材14に形成されたオリフィス17と、ストッパピストン13に設けられたチェックバルブ19と、を含んで構成されている。
ストッパピストン13は、ロッドガイド10とピストン9との間に位置して設けられている。ストッパピストン13は、ピストンロッド8の外周側を取囲む短尺な筒部13Aと、該筒部13Aの軸方向一側(下側)の内周側から斜め下向きに突出する環状の嵌合部13Bとが一体に設けられている。この嵌合部13Bは、ピストンロッド8の環状溝8Aにメタルフロー(塑性流動)を行うための治具を用いて嵌合して固定される。この嵌合部13Bは、ストッパピストン13の内径と比較して所定寸法だけ小さい内径を有し、ストッパピストン13と一体物として形成されている。このため、ストッパピストン13は、ピストンロッド8の伸縮動作に応じて、ピストンロッド8と一体に内筒6内を上,下方向に変位する。
ストッパピストン13の筒部13Aの外周側には、筒状カップ部材14の内周側に摺接しクッション室15内の油液が漏出するのを防止するシール部材13Cが設けられている。また、ストッパピストン13の筒部13Aには、後述のチェックバルブ19の通路20が設けられている。これにより、ストッパピストン13の筒部13Aは、通路20の環状溝20Aにより段付き円筒状に形成されている。ここで、ストッパピストン13の筒部13Aのクッション室15に臨む上側面は、後述するチェックバルブ19の弁座23となっている。
筒状カップ部材14は、ストッパシリンダとして、ストッパ12の外殻を構成し、ピストンロッド8の外周側に相対変位可能に取付けられている。この筒状カップ部材14は、内筒6内に径方向に隙間をもって配置され、内筒6に接触することなくピストンロッド8とストッパピストン13との間で軸方向に所定の範囲だけ相対変位可能に支持されている。筒状カップ部材14は、一方側が蓋部14Aとなり他方側が開口端14Bとなった有蓋円筒状のカップ部材として形成されている。そして、筒状カップ部材14は、ストッパピストン13の外周囲を取囲み、ストッパピストン13に対して摺動可能に取付けられている。
即ち、筒状カップ部材14の一方側である蓋部14A側(上端側)はピストンロッド8の外周側に変位可能に取付けられている。また、筒状カップ部材14の他端側である開口端14B側(下端側)はストッパピストン13の筒部13Aの外周側を取囲んだ状態で軸方向に摺動可能に取付けられている。このため、ピストンロッド8の伸び切り時及び行程反転した縮小行程では、筒状カップ部材14がストッパピストン13の筒部13Aの軸方向に沿って摺動変位し、クッション室15の容積が拡縮されるものである。
筒状カップ部材14の開口端14B側には、径方向内向きに突出する環状の抜止め部材14Cが設けられている。この抜止め部材14Cは、例えばワッシャを用いて構成されている。抜止め部材14Cは、ストッパピストン13を筒状カップ部材14に対して抜止め状態に保持し、スプリング16の付勢力によりストッパピストン13が筒状カップ部材14から軸方向に抜出すのを規制している。ここで、抜止め部材14Cは、筒状カップ部材14の開口端14Bの基端側を径方向内側に屈曲させた(かしめた)固定部14Dにより、筒状カップ部材14の開口端14Bに固定されている。
また、筒状カップ部材14の蓋部14A側には、軸方向下向きに突出する筒状のばね受突部14Eが設けられ、該ばね受突部14Eの内周側には、ピストンロッド8の外周側が摺動可能に挿嵌されている。このばね受突部14Eは、後述する弱ばね22の上端側を支承し、またスプリング16が筒状カップ部材14に対して径方向にガタ付くのを規制している。さらに、ばね受突部14Eの上側に位置して筒状カップ部材14の内周側には、クッション室15内の油液が漏出するのを防止するシール部材14Fが設けられている。
クッション室15は、流体室として、ストッパピストン13と筒状カップ部材14との間に形成されている。即ち、クッション室15は、ピストンロッド8の外周面とストッパピストン13の上端面と筒状カップ部材14の内側面とにより画成された空間により形成されている。このクッション室15の下側は後述の通路20と連通し、クッション室15の外周側はオリフィス17を介してロッド側室Cと連通している。これにより、クッション室15は、ピストンロッド8の伸び切り時に油液をオリフィス17から流出させ、ピストンロッド8の縮小行程では後述のチェックバルブ19を介して油液を通路20から流入させる。
スプリング16は、ばね機構として構成され、ストッパ12のクッション室15内に位置して設けられている。この場合、スプリング16は、ストッパピストン13の上側面と筒状カップ部材14の蓋部14Aとの間に位置して、ピストンロッド8を径方向外側から取囲むように配設されている。このスプリング16は、例えばコイルばねにより構成され、筒状カップ部材14をストッパピストン13から離間する軸方向に常時付勢している。即ち、スプリング16は、筒状カップ部材14をストッパピストン13からロッドガイド10側に離間する方向に付勢している。この場合、筒状カップ部材14は、抜止め部材14Cおよび固定部14Dがストッパピストン13の筒部13Aの下面に当接することにより、ストッパピストン13に対する相対変位を規制する。
オリフィス17は、筒状カップ部材14の上側外周面に位置して、油液が流通する流路の一部をなし、筒状カップ部材14の内周面と外周面とを連通する小孔(径方向溝)として設けられている。このオリフィス17は、ピストンロッド8の伸び切り時に、クッション室15の内,外に流通する油液を絞ることにより減衰力を発生させる。この場合、オリフィス17は、例えばピストン9に設けられる縮小側のディスクバルブ9Cの固定オリフィス(図示せず)よりも大きな減衰力を発生できるように、オリフィス17の流路面積を設定するのが好ましい。
筒状カップ部材14の蓋部14Aの上面側には、緩衝部材としてのクッション材18が、接着、接合、貼付け等の手段で設けられている。クッション材18は、例えばゴム等の弾性材料により環状に形成され、ピストンロッド8の伸び切り時に弾性変形することにより、ロッドガイド10と筒状カップ部材14とが衝突するのを緩和するものである。
チェックバルブ19は、弁機構として構成され、ストッパ12内のクッション室15とロッド側室Cとの間に位置して設けられている。このチェックバルブ19は、ストッパピストン13に設けられた通路20と、該通路20を連通,遮断する弁体21と、該弁体21をストッパピストン13側へと常時閉弁方向に付勢する弱ばね22と、ストッパピストン13の筒部13Aの上側面に設けられ弁体21が離着座する弁座23と、を含んで構成されている。チェックバルブ19は、ピストンロッド8の伸長行程で弁体21が弁座23に着座することにより、クッション室15とロッド側室Cとの間を遮断し、クッション室15内の油液が通路20を介してロッド側室Cへと流出するのを抑える。一方、ピストンロッド8が縮小方向に行程反転したときに、チェックバルブ19は弁体21が弱ばね22に抗して弁座23から離座して開弁し、ロッド側室C内の油液を通路20を介してクッション室15内に流入するように流通させる。
通路20は、油液が流通する流路として、ストッパピストン13の筒部13Aに設けられている。この通路20は、ストッパピストン13の筒部13Aを上側から下向きに環状に切欠くことにより形成される環状溝20Aと、該環状溝20Aとロッド側室Cとを連通させるように斜めに穿設された貫通孔20Bとにより構成されている。即ち、通路20は、ストッパピストン13の筒部13Aの下側面と上側面とを連通させ、ロッド側室Cの油液をクッション室15に導くものである。ここで、貫通孔20Bは、環状溝20Aの下側から筒部13Aの下側面に向けて斜め下向きに貫通している。
弁体21は、通路20の環状溝20Aの上側に位置して、ストッパピストン13の筒部13Aの上側面に形成された弁座23に離着座する逆止弁体を構成している。この弁体21は、薄い環状平板として形成され、ピストンロッド8の伸長行程では通路20を閉塞し、ピストンロッド8の縮小行程では通路20を開放してクッション室15の内,外に連通させる。これにより、通路20の流路面積は、ピストンロッド8の伸長行程の流路面積より、ピストンロッド8の縮小行程の流路面積の方が大きくなる。
弱ばね22は、クッション室15内に位置して、スプリングとして筒状カップ部材14のばね受突部14Eの下側面と弁体21との間に配設されている。この弱ばね22は、例えばコイルばねにより構成され、弁体21を弁座23に向けて弱いばね力で常時閉弁方向に付勢している。この弱ばね22は、比較的弱いばね力に設定され、ストッパ12のスプリング16よりもばね定数が小さいばねにより構成されている。
本実施の形態による油圧緩衝器1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
油圧緩衝器1は、ピストンロッド8の先端側を自動車の車体側に取付け、外筒2の基端側を車軸(いずれも図示せず)側に取付ける。これにより、自動車の走行時に振動が発生した場合には、ピストンロッド8が外筒2、内筒6から軸方向に縮小,伸長するときに、ピストン9のディスクバルブ9C,9D等によって縮小側,伸長側の減衰力が発生され、車両の上,下方向の振動を減衰するように緩衝することができる。
即ち、ピストンロッド8が伸長行程にある場合には、ロッド側室C内が高圧状態となるから、ロッド側室C内の油液がディスクバルブ9Dを介してボトム側室B内へと流通し、伸長側の減衰力が発生する。これにより、ピストンロッド8の伸長動作を抑えるように緩衝することができる。また、ピストンロッド8の伸長行程では、内筒6から進出したピストンロッド8の進出体積分に相当する分量の油液が、リザーバ室A内からボトムバルブ7を介してボトム側室B内に流入する。
ピストンロッド8が伸長行程にある場合では、ロッド側室C内が高圧状態となるから、ロッド側室C内の油液は、例えばピストンロッド8とガイド部11との僅かな隙間等を介して油溜め室10C内に漏出することがある。また、油溜め室10C内に漏出油が増えると、溢れた油液は、蓋体4とロッドガイド10との間に設けた逆止弁(図示せず)を介してロッドガイド10の連通路10D側に導かれ、徐々にリザーバ室A内に還流される。
一方、ピストンロッド8の縮小行程では、ピストン9の下側に位置するボトム側室B内がロッド側室Cよりも高圧になるから、ボトム側室B内の油液がピストン9のディスクバルブ9Cを介してロッド側室C内へと流通し、縮小側の減衰力を発生する。そして、内筒6内へのピストンロッド8の進入体積分に相当する分量の油液が、ボトム側室Bから前記ボトムバルブ7を介してリザーバ室A内に流入し、リザーバ室Aは内部のガスが圧縮されることにより、ピストンロッド8の進入体積分を吸収する。
ところで、ピストンロッド8が伸長行程にある場合には、ピストンロッド8の伸長動作に応じて、ストッパ12も軸方向上向きに変位する。即ち、ストッパピストン13の嵌合部13Bはピストンロッド8の環状溝8Aに固定されているので、ピストンロッド8の移動に応じて、ストッパピストン13も上向きに移動する。このとき、クッション室15内に設けられたスプリング16は、ストッパピストン13と筒状カップ部材14とを離間する方向に常時付勢しているので、ストッパピストン13の軸方向上向きの動作に応じて、筒状カップ部材14もロッドガイド10側に向けて上向きに押し上げられる。
次に、ピストンロッド8が外筒2及び内筒6から大きく突出するように伸長して伸び切り位置に達したときには、ストッパ12は油圧的なクッション作用を発揮してピストンロッド8の伸長動作を停止させる。即ち、ピストンロッド8が伸び切り位置まで伸長すると、筒状カップ部材14の蓋部14Aの上側面に設けられたクッション材18がロッドガイド10の下端面に当接し、筒状カップ部材14がこれ以上に軸方向上向きに移動するのを規制する。また、ストッパピストン13は、スプリング16を圧縮変形させつつクッション室15を縮小する方向で、軸方向上向きに移動する。
このとき、ストッパ12内のクッション室15は、ストッパピストン13と筒状カップ部材14との間で縮小されている。これにより、クッション室15内の油液は、オリフィス17を介してロッド側室Cに向けて流出する。そして、油液に対してオリフィス17により絞り作用が与えられ、減衰力が発生するので、ストッパ12は、ピストンロッド8の伸長動作を抑制する方向の力を、ピストンロッド8の伸び切り時の衝撃緩和力として発生することができる。図2に示すように、ストッパ12は、ピストンロッド8が万一過剰な伸び切り位置に達した場合でも、ピストンロッド8がこれ以上に伸び切るのを規制することができる。この場合、クッション室15内は、ロッド側室Cよりも高圧状態となっているので、チェックバルブ19の弁体21は、通路20をロッド側室Cに対して遮断した閉弁状態となる。
一方、図3に示すように、ピストンロッド8の伸び切り状態から行程が反転して、ピストンロッド8が縮小行程に切換わった場合には、ピストンロッド8の縮小動作に応じて、ストッパピストン13が軸方向下側に向けて変位する。この場合、筒状カップ部材14は、ピストンロッド8に対して相対変位可能に取付けられているだけであるから、ストッパピストン13の変位に追随することはない。このとき、ストッパ12のクッション室15内に設けられたスプリング16は、筒状カップ部材14をストッパピストン13から上向きに離間する方向に付勢している。しかし、ストッパ12は、クッション室15内に外部から油液が補給されないと、筒状カップ部材14をロッドガイド10側に向けて押し上げ、クッション室15を初期状態(定常状態)である元の大きさに早期に戻すことができない。
そこで、本実施の形態では、ストッパ12内のクッション室15にロッド側室Cから油液を補給するため、チェックバルブ19の通路20をストッパピストン13の筒部13Aに設けている。しかも、チェックバルブ19は、クッション室15とロッド側室Cとの間には、ピストンロッド8の伸長行程で通路20をロッド側室Cに対して遮断し、縮小行程では通路20をロッド側室Cに対して連通させる弁体21を備えている。このため、ピストンロッド8が縮小側に行程反転したときには、チェックバルブ19の弁体21がロッド側室Cの油液(油圧)によって開弁され、ロッド側室Cとクッション室15内とが連通される。
これにより、ロッド側室Cから通路20を介してストッパ12内のクッション室15に、油液が流入する。そして、ストッパ12のクッション室15内に補給された油液は、クッション室15を拡大させる方向に油圧を発生させる。この結果、ストッパ12のクッション室15は、通路20側から補給された油液の圧力により、早期に初期状態に戻されるようになる。そして、筒状カップ部材14は、ストッパピストンに対して相対的に軸方向上向きに押し上げられるように変位し、ストッパ12は、次なるピストンロッド8の伸び切り時に備えることができる。
かくして、第1の実施の形態によれば、ピストンロッド8の伸び切り防止用のストッパ12を、ピストンロッド8に固定して設けられたストッパピストン13と、ストッパピストン13との間にクッション室15を形成する筒状カップ部材14と、油液を絞ることにより減衰力を発生させるオリフィス17とを含んで構成している。また、ストッパ12のクッション室15とロッド側室Cとの間には、ストッパ12内のクッション室15にロッド側室Cから油液を導くためのチェックバルブ19を設けている。さらに、チェックバルブ19の弁体21は、ピストンロッド8の伸長行程では通路20をロッド側室Cに対して遮断し、クッション室15から通路20を介してロッド側室Cに油液が流出するのを規制する。一方、ピストンロッド8の縮小行程では、通路20をロッド側室Cに対して連通させ、ロッド側室Cから通路20を介してクッション室15に油液が流入するのを許す構成としている。
これにより、ピストンロッド8の伸び切り時には、チェックバルブ19の弁体21がロッド側室Cとクッション室15内との間の通路20を遮断し、クッション室15内の油液はオリフィス17から流出する。この結果、油液に対してオリフィス17により絞り作用が与えられるので、ピストンロッド8の伸び切り時に減衰力が発生し、ピストンロッド8の伸長動作を抑制する方向の力を、ピストンロッド8の伸び切り時の衝撃緩和力として発生することができる。
一方、ピストンロッド8が伸び切り時から行程反転した縮小行程時には、チェックバルブ19の弁体21がロッド側室Cとクッション室15内との間の通路20を連通させ、ロッド側室C内の油液が通路20を介してロッド側室Cからクッション室15に補給される。これにより、クッション室15内に流入した油液の圧力とスプリング16の付勢力とにより筒状カップ部材14を軸方向上向きへと相対的に押し上げることができ、クッション室15を初期状態である元の大きさに早期に戻すことができる。しかも、ピストンロッド8の戻り動作を速くスムーズに行うことができる。
この結果、従来技術のように、スプリングのみで流体室の大きさを元に戻す構成としたストッパに比べて、ストッパ12のクッション室15を早期に初期状態に戻すことができ、ピストンロッド8の行程反転動作を円滑にすることができる。従って、油圧緩衝器1が高周波数にて振動する環境においても、伸び切り時から行程反転した縮小行程の際に、クッション室15を早期に初期状態に戻すことができるので、次なる伸び切り時に備えることができる。
また、ピストンロッド8の伸び切り時から行程反転した縮小行程時には、ロッド側室Cからクッション室15内に油液を補給する構成とした。これにより、ボトム側室Bからクッション室15内に油液を補給する必要はなく、ピストンロッド8の縮小行程時の減衰力に影響を与えることはない。即ち、ピストンロッド8の縮小行程では、ロッド側室Cよりもボトム側室Bの方が圧力が高くなるが、この場合にボトム側室Bからクッション室15内に油液を補給すると、縮小行程の立上り時の減衰力が抑制される。一方、本実施の形態では、ロッド側室Cとクッション室15内との間にチェックバルブ19の通路20を設けているので、ピストン9のディスクバルブ9Cにより縮小行程の減衰力を発生させながら、クッション室15内に油液を補給することができる。
次に、図4は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、ストッパピストンにチェック弁収容室を設けたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
ここで、油圧緩衝器31は、前記第1の実施の形態で述べた油圧緩衝器1とほぼ同様に構成され、外筒2、内筒6、ピストンロッド8、ピストン9、ロッドガイド10、ストッパ32を含んで構成されている。
ストッパ32は、第1の実施の形態のストッパ12と同様に、ピストン9とロッドガイド10との間に位置して設けられ、ストッパピストン33と、筒状カップ部材34と、クッション室15と、スプリング16と、オリフィス17と、チェックバルブ35と、を含んで構成されている。
ストッパピストン33は、ロッドガイド10とピストン9との間に位置して設けられている。ストッパピストン33には、ピストンロッド8の外周側を取囲む短尺な筒部33Aと、軸方向一側(下側)の内周側から斜め下向きに突出する環状の嵌合部33Bとが一体に設けられている。また、ストッパピストン33の外周側には、筒状カップ部材34の内周側に摺接しクッション室15内の油液が漏出するのを防止するシール部材33Cが設けられている。さらに、ストッパピストン33には、後述のチェック弁収容室36および通路37が設けられている。これにより、ストッパピストン33の筒部33Aは、チェック弁収容室36および通路37の環状溝37Aにより、二段の段付き円筒状に形成されている。
筒状カップ部材34は、ストッパシリンダとして、ストッパ12の外殻を構成し、ピストンロッド8の外周側に変位可能に取付けられている。この筒状カップ部材34は、内筒6内に径方向に隙間をもって配置され、内筒6に接触することなくピストンロッド8とストッパピストン33との間で軸方向に所定の範囲だけ相対変位可能に支持されている。筒状カップ部材34は、一方側が蓋部34Aとなり他方側が開口端34Bとなった有蓋円筒状のカップ部材として形成されている。
筒状カップ部材34の開口端34B側(下端側)には、径方向内向きに突出する環状の抜止め部材34Cが設けられている。この抜止め部材34Cは、固定部34Dにより、筒状カップ部材34の開口端34Bに固定されている。
また、筒状カップ部材34の蓋部34A側(上端側)には、軸方向下向きに突出する筒状の内周側ばね受突部34Eが設けられている。内周側ばね受突部34Eの内周側には、ピストンロッド8の外周側が摺動可能に挿嵌されている。この内周側ばね受突部34Eは、スプリング16が筒状カップ部材34に対して径方向にガタ付くのを規制している。また、筒状カップ部材34の内側面には、スプリング16が過剰に撓むのを防止する段差部34Fが設けられている。これにより、筒状カップ部材34が摺動変位するときに、ストッパピストン33の上側に設けられた隔壁板41が段差部34Fと当接し、スプリング16が過剰に撓むのを防止する。さらに、内周側ばね受突部34Eの上側に位置して筒状カップ部材34の内周側には、クッション室15内の油液が漏出するのを防止するシール部材34Gが設けられている。
チェックバルブ35は、弁機構として構成され、ストッパ32内のクッション室15とロッド側室Cとの間に位置して設けられている。このチェックバルブ35は、後述の弱ばね39を収納するチェック弁収容室36と、ストッパピストン33に設けられた通路37と、該通路37を連通,遮断する弁体38と、該弁体38をストッパピストン33側へと常時閉弁方向に付勢する弱ばね39と、チェック弁収容室36の上側面に設けられ弁体38が離着座する弁座40と、ストッパピストン33の先端(上端)とスプリング16との間に設けられている隔壁板41と、を含んで構成されている。
チェックバルブ35は、ピストンロッド8の伸長行程で弁体38が弁座40に着座することにより、クッション室15とロッド側室Cとの間を遮断し、クッション室15内の油液が通路37を介してロッド側室Cへと流出するのを抑える。一方、ピストンロッド8が縮小方向に行程反転したときに、チェックバルブ35は弁体38が弱ばね39に抗して弁座40から離座して開弁し、ロッド側室C内の油液を通路37を介してクッション室15内に流入するように流通させる。
チェック弁収容室36は、ストッパピストン33内に位置して設けられている。このチェック弁収容室36は、ストッパピストン33の上端側内周面を切欠くことにより形成され、クッション室15とは隔壁板41によって隔てられている。ここで、チェック弁収容室36の内径寸法は、通路37の環状溝37Aの内径寸法よりも大きく形成され、チェック弁収容室36内には、弁体38と弱ばね39とが配置されている。
通路37は、油液が流通する流路として、ストッパピストン33の筒部33Aに設けられている。この通路37は、ストッパピストン33の筒部33Aを上側から下向きに環状に切欠くことにより形成される環状溝37Aと、該環状溝37Aとロッド側室Cとを連通させるように斜めに穿設された貫通孔37Bとにより構成されている。ここで、環状溝37Aは、チェック弁収容室36の下端を切欠くことにより形成されている。また、貫通孔37Bは、環状溝37Aの下側から筒部33Aの下側面に向けて斜め下向きに貫通して、筒部33Aの周方向に等間隔で複数個(例えば、2個)配置されている。この通路37は、ストッパピストン33の筒部33Aの下側面とチェック弁収容室36の下側面とを貫通することにより、クッション室15をチェック弁収容室36を介してロッド側室Cに連通させるものである。
弁体38は、チェック弁収容室36内に位置して、通路37の環状溝37Aの上端側(ロッドガイド10側)に設けられている。この弁体38は、薄い環状平板として形成され、チェック弁収容室36の下端面に形成された弁座40に離着座する逆止弁体を構成している。弁体38は、ピストンロッド8の伸長行程では通路37を閉塞し、ピストンロッド8の縮小行程では通路37を開放してチェック弁収容室36を介してクッション室15を内,外に連通させる。
弱ばね39は、チェック弁収容室36内に位置して、スプリングとして弁体38と隔壁板41との間に設けられている。この弱ばね39は、例えばコイルばねにより構成され、弁体38を弁座40に向けて弱いばね力で常時閉弁方向に付勢している。弱ばね39は、比較的弱いばね力に設定され、ストッパ32のスプリング16よりもばね定数が小さいばねにより構成されている。
隔壁板41は、ストッパピストン33の筒部33Aの上側面に位置して、チェック弁収容室36を閉塞するように設けられ、ストッパ32内をクッション室15とチェック弁収容室36とに画成している。隔壁板41はストッパピストン33とは別体として設けられ、油液を流通するための切欠き孔41Aが隔壁板41の周方向に等間隔で複数個設けられている。
この隔壁板41は、上側がクッション室15内のスプリング16によるばね力を受承し、下側がチェック弁収容室36の弱ばね39を受承するばね受板として構成されている。この場合、チェック弁収容室36内の弱ばね39は、クッション室15内のスプリング16よりも弱いばね力としたので、弱ばね39がスプリング16の付勢力に抗して、隔壁板41をクッション室15側に離間させることはない。即ち、隔壁板41は、スプリング16により常時チェック弁収容室36を閉塞する方向に付勢されている。なお、隔壁板41は、ストッパピストン33とは別体として設ける構成としたが、隔壁板をストッパピストンに固定、または接着して、隔壁板とストッパピストンとを一体にしてもよい。
第2の実施の形態による油圧緩衝器31は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
ピストンロッド8が外筒2及び内筒6から大きく突出するように伸長して伸び切り位置に達したときには、ストッパ32は油圧的なクッション作用を発揮してピストンロッド8の伸長動作を停止させる。このとき、ストッパ32内のクッション室15は、ストッパピストン33と筒状カップ部材34との間で縮小されている。これにより、クッション室15内の油液は、オリフィス17を介してロッド側室Cに向けて流出し、ピストンロッド8の伸び切り時の衝撃緩和力として減衰力を発生させる。この場合、クッション室15内は、ロッド側室Cよりも高圧状態となっているので、チェックバルブ35の弁体38は、通路37をロッド側室Cに対して遮断した閉弁状態となる。
一方、ピストンロッド8の伸び切り状態から行程が反転して、ピストンロッド8が縮小行程に切換わった場合には、チェックバルブ35の弁体38がロッド側室Cの油液(油圧)によって開弁され、ロッド側室Cとクッション室15内とが連通される。
これにより、ロッド側室Cから通路20および隔壁板41の切欠き孔41Aを介してストッパ32内のクッション室15に、油液が流入する。そして、ストッパ12のクッション室15内に補給された油液は、クッション室15を拡大させる方向に油圧を発生させる。そして、筒状カップ部材34は、ストッパピストン33に対して相対的に軸方向上向きに押し上げられるように変位し、ストッパ32は、次なるピストンロッド8の伸び切り時に備えることができる。
かくして、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。第2の実施の形態によれば、チェックバルブ35のチェック弁収容室36内に弱ばね39を設けて、該弱ばね39を隔壁板41により受ける構成とした。これにより、ピストンロッド8の伸長行程では、弱ばね39の付勢力により弁体38を通路37に対して閉塞することができる。
一方、ピストンロッドの縮小行程では、ロッド側室Cの油液によって弁体38が開弁し、油液が通路37、チェック弁収容室36、隔壁板41の切欠き孔41Aを介してクッション室15内に流入する。これにより、クッション室15内に油液を補給することができ、次なるピストンロッド8の伸び切り時に備えることができる。
なお、前記第1の実施の形態では、ロッド側室Cとクッション室15との間に位置して、ストッパピストン13にチェックバルブ19を設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、ストッパピストンに設けた弁機構を、例えば電磁式開閉弁、油圧パイロット式開閉弁等により構成してもよい。即ち、本発明で採用する弁機構は、ピストンロッド8の伸長行程で通路20をロッド側室Cに対して遮断し、ピストンロッド8の縮小行程では通路20をロッド側室Cに対して連通させる構成であればよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、前記第1の実施の形態では、ストッパ12の筒状カップ部材14にオリフィス17を設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばストッパピストンにオリフィスを設ける構成としてもよい。この場合のオリフィスも、例えばピストンに設けられる縮小側のディスクバルブの固定オリフィス(図示せず)よりも大きな減衰力を発生できるようにオリフィスの流路面積を設定するのが好ましい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、前記第1の実施の形態では、弱ばね22を、クッション室15内に位置して、ばね受突部14Eの下側面と弁体21との間に配設する構成とした。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、弱ばねとして引張りばねを用い、該引張りばねを通路20の環状溝20A内に設けて、弁体21を弁座23に離着座させる構成としてもよい。
さらに、前記第1の実施の形態では、4輪自動車の各車輪側に取付ける油圧緩衝器1を緩衝器の代表例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば2輪車に用いる油圧緩衝器であってもよく、車両以外の種々の機械、建築物等に用いる油圧緩衝器に用いてもよいものである。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
次に、前記各実施の形態に含まれる発明について記載する。本発明の弁機構は、ストッパピストンに設けられ流体室をロッド側室に連通させ流路を形成する通路と、ピストンロッドの伸長行程では前記通路を閉塞し、前記ピストンロッドの縮小行程では前記通路を開放する弁体と、前記弁体を常時閉弁方向に付勢するスプリングと、を備える構成としてなる。これにより、ピストンロッドの縮小行程ではロッド側室Cの油液により通路を開放することができるので、クッション室内に油液を補給して、流体室を早期に初期状態に戻すことができる。
また、ストッパシリンダは、一方側が蓋部となり他端側が開口端となった有蓋円筒状の筒状カップ部材により構成され、前記筒状カップ部材の前記蓋部側は、前記ピストンロッドの外周側に相対変位可能に取付けられ、前記筒状カップ部材の前記開口端側は、前記ストッパピストンの外周側に相対変位可能に取付けられている。これにより、ストッパピストンと筒状カップ部材との間に流体室を設けることができ、ピストンロッドの伸び切り時に、筒状カップ部材に設けた小孔としてのオリフィスから絞り作用を与えて油液を流出させることができる。この結果、ピストンロッドの伸び切り時においてストッパにより衝撃を緩和し、ピストンロッドの伸び切りを抑制できる。