JP2017018032A - 玄米の保存方法、及び、玄米保存庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】収穫から時間が経過しても、玄米の風味を新米と同等程度に維持すること。【解決手段】玄米を−10℃以上0℃以下の温度範囲で、10日以上90日以下の期間保持する第一工程S1と、第一工程S1を施した玄米を1℃以上18℃以下の温度範囲で保持する第二工程S2と、を含む玄米の保存方法を構成する。玄米の保存方法をこのように構成することにより、玄米の古米化や、虫やカビの繁殖を防止するとともに、玄米の甘みを増大して、その風味を新米と同等以上に維持することが可能となる。【選択図】図1
Description
この発明は、玄米の保存方法、及び、その保存方法で玄米を保存する玄米保存庫に関する。
収穫期に収穫された玄米は、その収穫後の呼吸作用や脂肪の酸化(古米化)によって、新米のときと比較して風味が低下したり、虫やカビが繁殖したりすることがある。これらは、15℃を超える温度で玄米を保存したときに特に問題となりやすい。
玄米の古米化や、虫やカビの繁殖を防止すべく、例えば、特許文献1、2に示す保存庫を用いて玄米を保存することが多い。この保存庫の庫内には、玄米を収納した複数の袋が積み重ねられた状態で収納されている。この保存庫内を12〜14℃の低温、55〜75%の湿度に保つことによって、玄米の古米化を極力遅らせるとともに、虫やカビの発生を防止している。
特許文献1、2に示す保存庫は、単に玄米の古米化を遅らせるとともに、虫やカビの繁殖を防止することが目的なので、保存期間の経過に伴う風味の劣化は避けられないという問題がある。
そこで、この発明は、収穫から時間が経過しても、玄米の風味を新米と同等程度に維持することを課題とする。
上記の課題を解決するため、この発明は、玄米を−10℃以上0℃以下の温度範囲で、10日以上90日以下の期間保持する第一工程と、前記第一工程を施した玄米を1℃以上18℃以下の温度範囲で保持する第二工程と、を含む玄米の保存方法を構成した。
第一工程において、玄米は凍結しない程度の温度範囲でいわゆる氷温貯蔵され、その間にデンプンが分解されてブドウ糖が玄米内に蓄積される。このブドウ糖の蓄積により遊離全糖含量が増大し、ご飯の甘みの増大による風味向上を図ることができる。
第一工程の温度範囲は、上記の通り−10℃以上0℃以下の範囲内であるが、好ましい温度範囲は−3℃以上0℃以下、さらに好ましい温度範囲は−1.5℃以上−0.5℃以下である。この温度が−10℃よりも低いと、玄米が凍結してデンプンのブドウ糖への分解が進みにくくなる一方で、0℃よりも高いと、氷温貯蔵の効果(デンプンのブドウ糖への分解作用)が発揮されないため、上記の温度範囲とする必要がある。
また、第一工程の保持期間は、上記の通り10日以上90日以下の範囲内であるが、好ましい保持期間は25日以上45日以下、さらに好ましい保持期間は30日以上40日以下である。この期間が10日よりも短いと、デンプンのブドウ糖への分解が十分完了しないうちに氷温貯蔵が終了する一方で、90日よりも長いと、ブドウ糖への分解が十分完了しているにもかかわらず氷温に保持するための無駄な電力が必要となるため、上記の保持期間とする必要がある。
また、第二工程の温度範囲は、上記の通り1℃以上18℃以下の範囲内であるが、好ましい温度範囲は5℃以上14℃以下、さらに好ましい温度範囲は10℃以上14℃以下である。この温度が1℃よりも低いと、温度維持のための電力が多く必要となる一方で、18℃よりも高いと、玄米の呼吸が活発となり、古米化が進みやすくなるため、上記の温度範囲とする必要がある。なお、第二工程の保持期間は、出荷がなされるまでの期間とするのが好ましい。
このように、玄米を第一工程及び第二工程を通じて保管することにより、玄米の古米化や、虫やカビの繁殖を防止するとともに、玄米の甘みを増大して、その風味を新米と同等以上に維持することが可能となる。
前記構成においては、前記第一工程によって、玄米に含有される遊離全糖含量を1050mg/100g以上とするのが好ましい。このように、遊離全糖含量を高めることにより、玄米の風味をさらに向上することができる。
上記に示す玄米の保存方法は、玄米の保存庫に適用することができる。このように、保存庫に適用することにより、まとまった量(例えば、30kgの玄米収納袋を10袋まとめて)を保存することができ、保存効率を高めることができる。この保存庫の保存条件(第一工程の温度及び期間、第二工程の温度)は、例えば、保存庫の前面に設けられた操作パネルを操作することによって設定することができる。
この発明は、玄米を−10℃以上0℃以下の温度範囲で、10日以上90日以下の期間保持する第一工程と、前記第一工程を施した玄米を1℃以上18℃以下の温度範囲で保持する第二工程と、を含む玄米の保存方法を採用した。玄米の保存方法をこのように構成することにより、玄米の古米化や、虫やカビの繁殖を防止するとともに、玄米の甘みを増大して、その風味を新米と同等以上に維持することが可能となる。
本願発明の玄米の保存方法の処理フローの一例を図1に示す。この保存方法は、第一工程と第二工程から構成される。
第一工程(氷温貯蔵)は、例えば、−1℃の温度中で35日間行われる(図1のS1参照)。−1℃の温度中に玄米を曝すことによって、玄米が今は冬であると錯覚し、越冬のために玄米中のデンプンをブドウ糖に分解しエネルギーを蓄えて、発芽に備えようとする。このように、玄米中のデンプンがブドウ糖に分解されることによって、甘みが向上して玄米の風味を向上することができる。しかも、温度を0℃以下の氷温に保つことにより、虫やカビの繁殖を抑制することもできる。
この第一工程の温度は、−10℃以上0℃以下の範囲内で適宜変更することができる。また、第一工程は10日以上90日以下の期間内で適宜変更することができる。なお、玄米は通常、容量が30kg程度の袋体に封入された状態で保管されるが、室温状態(例えば、25℃)に置かれていた玄米を第一工程の保持温度(例えば、−1℃)に袋体内の玄米の中心部まで均一に下げるためには、通常5日程度を要する。このため、実際に第一工程の温度に保持する期間は、上記の期間(10日以上90日以下)に、室温から第一工程の保持温度に下げるのに必要な日数(5日程度)を加えた期間とする必要がある。この日数は、玄米を保存する保存庫の冷却能力、袋体の容量や数、保持温度及び室温等を考慮して、適宜変更することができる。
第二工程(低温保管)は、例えば、12℃の温度中で行われる(図1のS2参照)。12℃の温度中に玄米を曝すことによって、第一工程によって風味が向上した玄米の品質低下(古米化)を生じさせることなく保管することができる。この第二工程は、玄米の出荷時(図1のS3参照)までの間継続される。
この玄米の保存方法は、玄米の保存庫の温度調整に適用される。この保存庫は、第一工程の温度及び期間、第二工程の温度を、例えば保存庫の前面に設けられた操作パネルを操作することによって設定するように構成するのが好ましい。
本願発明に係る玄米の保存方法によって保存した玄米の諸特性について評価を行った。この実験では、(1)コシヒカリ、(2)ひとめぼれ、(3)きぬむすめ、の3種類の玄米を用いた。いずれの玄米も平成26年に鳥取県内にて収穫されたものである。−1℃の温度中で35日間保存した後に12℃で保管したもの(実施例(図1参照))、低温保存を行わなかった(室温で保存した)もの(比較例1)、12℃の温度中で35日間保存したもの(比較例2)、の3水準を各玄米についてそれぞれ用意した。
上記(1)〜(3)の各玄米を粉砕した後に乾燥させ、乾燥前後の重量変化から水分含量を測定した。また、各玄米を炊飯した上で、この炊飯米を所定の容器に充填し、容器中の炊飯米にレオメータ(RT−3002D、レオテック社製)に取り付けた円錐型プランジャーの底面を押し当てて炊飯米を圧縮し、炊飯米の物性(硬さ、粘り)を測定した。また、各玄米中の遊離全糖をエタノールで抽出し、フェノール硫酸法により遊離全糖含量を測定した。さらに、炊飯米の色調(L値)を、色差計(SZ−Σ80、日本電色工業社製)を用いて測定した。上記(2)及び(3)の各玄米については、最新型の家庭用精米機で精米し、その精米が完了するまでの精米時間を測定した。
上記(1)コシヒカリの評価結果を図2に、上記(2)ひとめぼれの評価結果を図3に、上記(3)きぬむすめの評価結果を図4にそれぞれ示す。
コシヒカリの玄米においては(図2参照)、比較例1及び比較例2と比較して、実施例の水分量が1.0〜1.4ポイント程度高くなった(本図(a)参照)。物性(硬さ、粘り)は、粘りが若干向上していたものの、比較例1及び比較例2と実施例との間で、それほど大きな差は見られなかった(本図(b)(c)参照)。遊離全糖含量は、実施例の方が比較例1及び比較例2よりも、70mg/100g程度高くなっていることが確認できた(本図(d)参照)。色調(L値)は、実施例の方が比較例2よりも若干高かったものの、それほど大きな差は見られなかった(本図(e)参照)。
ひとめぼれの玄米においては(図3参照)、比較例1及び比較例2と比較して、実施例の水分量が0.8〜0.9ポイント程度高くなった(本図(a)参照)。物性(硬さ、粘り)は、比較例1及び比較例2と実施例との間で、それほど大きな差は見られなかった(本図(b)(c)参照)。遊離全糖含量は、実施例の方が比較例1及び比較例2よりも、50〜120mg/100g程度高くなっていることが確認できた(本図(d)参照)。色調(L値)は、実施例の方が比較例2よりも若干高かったものの、それほど大きな差は見られなかった(本図(e)参照)。精米時間は、実施例の方が比較例2よりも1分短かった(本図(f)参照)。
きぬむすめの玄米においては(図4参照)、比較例1及び比較例2と比較して、実施例の水分量が0.5〜0.9ポイント程度高くなった(本図(a)参照)。物性(硬さ、粘り)は、比較例1及び比較例2と実施例との間で、それほど大きな差は見られなかった(本図(b)(c)参照)。遊離全糖含量は、実施例の方が比較例1及び比較例2よりも、60〜100mg/100g程度高くなっていることが確認できた(本図(d)参照)。色調(L値)は、実施例と比較例2との間で、それほど大きな差は見られなかった(本図(e)参照)。精米時間は、実施例の方が比較例2よりも45秒短かった(本図(f)参照)。
図2〜図4に示した評価結果から、全ての種類の玄米に亘って総合的に判断すると、比較例1及び比較例2に対して実施例の方が、水分含量及び遊離全糖含量が高くなるとともに、精米時間が短縮する傾向が見られた。このことから、本願発明に係る玄米の保存方法における第一工程は、水分含量の増加に伴って炊飯米の食感を向上させるとともに、遊離全糖含量を1050mg/100g以上に高めて、米本来の甘みによる風味の向上を図る作用を有しているといえる。また、精米時には、玄米同士の摩擦によって玄米が発熱するが、精米時間を短時間化することが可能となったため、玄米の発熱を低減して、発熱に伴う玄米の品質劣化を極力防止することができる。その一方で、物性(硬さ、粘り)、色調(L値)は、大きな差は見られず、新米と同様の食感と見た目が確保されていることが確認できた。
上記は、あくまでも本願発明に係る玄米の保管方法を示す一例に過ぎず、収穫から時間が経過しても、玄米の風味を新米と同等程度に維持する、という本願発明の課題を解決し得る限りにおいて、保管方法の処理フローの一部に変更を加えたり、各工程の温度・保持時間を変更したりすることも許容される。
S1 第一工程(氷温貯蔵)
S2 第二工程(低温保管)
S2 第二工程(低温保管)
Claims (3)
- 玄米を−10℃以上0℃以下の温度範囲で、10日以上90日以下の期間保持する第一工程(S1)と、
前記第一工程を施した玄米を1℃以上18℃以下の温度範囲で保持する第二工程(S2)と、
を含む玄米の保存方法。 - 前記第一工程(S1)によって、玄米に含有される遊離全糖含量を1050mg/100g以上とする請求項1に記載の玄米の保存方法。
- 請求項1又は2に記載の玄米の保存方法によって、庫内の冷却制御を行なう玄米保存庫。
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| JP2015138510A JP2017018032A (ja) | 2015-07-10 | 2015-07-10 | 玄米の保存方法、及び、玄米保存庫 |
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2015
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