以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の例を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明のノイズ付加装置を、映画投影機から投影された映画の盗撮を防止する映画盗撮防止装置に適用した場合を例として説明するが、映画以外の映像に対してノイズを付加するノイズ付加装置としてもよい。
[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態に係る映画盗撮防止装置の要部の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る映画盗撮防止装置10は、電子シャッタ12と、該電子シャッタ12の駆動を制御する制御装置14と、を備えている。なお、制御装置14は本発明の信号生成部及び駆動部に相当する。
本実施の形態に係る電子シャッタ12は、図1に示すように、スクリーン20に映像を投影する映画投影機16のレンズユニット16Aと、スクリーン20との間に設けられる。本実施の形態では、図1に示すように、映画投影機16のレンズユニット16Aに当接して電子シャッタ12を配置する。映像の一部、より好ましくは全部が電子シャッタ12を透過する範囲に含まれる位置であれば、電子シャッタ12を、レンズユニット16Aから離れて配置してもよい。
電子シャッタ12には、制御装置14が接続されており、制御装置14によって電子シャッタ12のオン/オフ(光の遮断/透過)が制御される。
本実施の形態に係る映画投影機16は、一般的なものが用いられる。例えば、映画投影機16には、コントローラ18が接続され、コントローラ18から映像を表す映像信号を受信する。そして、映画投影機16は、受信した映像信号に基づいて、光源16Cから入射した光を光変調器(例えば、液晶表示素子やDMD(Digital Mirror Device)など)16Bによって変調して、レンズユニット16Aを介して変調した映像光をスクリーン20に投影する。
図2は、本実施の形態に係る電子シャッタ12の構成の一例を示す分解斜視図である。なお、本実施の形態では、透過性圧電セラミックス(PLZT)24を用いた電子シャッタ12を一例として説明するが、電子シャッタ12はこれに限るものではない。液晶を利用した電子シャッタ等の他の電子シャッタを適用するようにしてもよい。
本実施の形態に係る電子シャッタ12は、図2に示すように、映画投影機16のレンズユニット16A側(投影光の入射側)に設けられた偏光子22、PLZT24、及びスクリーン20側(投影光の出射側)に設けられた検光子26を備えている。
なお、本実施の形態では、PLZT24として、図2に示すように、溝型の形状とされ、溝部分に電極が設けられたものを一例として示すが、PLZT24や電極の形状はこれに限るものではなく、種々の形状のものを採用することが可能である。
PLZT24の例としては、例えば、静岡大学論文(平野富夫、「シード層を用いたCSD法PLZT強誘電体薄膜の低温形成に関する研究」、SURE:Shizuoka University REpository、静岡大学、2000年9月22日、p.1-138、[平成25年10月24日検索]、インターネット<URL: http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/handle/10297/3241>)に記載の構成を一例として採用することができる。
上記論文に記載のように、光軸をxとし、光軸xに直交する面をyz面としたとき、PLZT24に電界を印加することで、PLZT24のx、y、z軸各方向の光の屈折率が変化する。ここで、偏光子22は、偏光方向がy軸方向とz軸方向に対して、例えば、45度となるように配置されると共に、検光子26は、偏光方向が偏光子22と直交するように配置される。このように配置することにより、PLZT24に電界が印加されないときは、PLZT24の結晶を通過した光はy成分とz成分で同位相となり、偏光方向は入射時と同一方向に保たれるため、検光子26によって遮られて光が遮断される。一方、PLZT24に電界が印加されると、y軸方向とz軸方向の屈折率が異なるため、PLZT24の結晶内を伝搬する間に各々の位相が徐々にずれて、2成分を合成した楕円偏光した光となり、検光子26を光が透過する。
本実施の形態では、上述のように構成された電子シャッタ12を映画投影機16のレンズユニット16Aの投影光の出射側に当接して配置する。映画館で鑑賞する観客の視覚には影響を与えずに、ビデオカメラ等のカメラ(以下、単に盗撮カメラと称する場合がある。)で撮影した場合に撮影映像を劣化させる所定の周波数で電子シャッタ12を駆動するように制御装置14が制御する。
ここで、上記所定の周波数として、投影された映像を目視した際に人間の眼には知覚されず、かつ盗撮カメラで撮影した撮影映像を目視した際に人間の眼に知覚される周波数を選択する。
具体的には、所定の周波数をN、人間の眼に知覚されないノイズの周波数をZ1、人間の眼に知覚されるノイズの周波数をZ2、投影された映像のフレーム周波数をP、盗撮カメラの撮影時のフレーム周波数をVとしたとき、所定の周波数Nとして、以下の(1)式及び(2)式を満たす値を選択する(ただし、m、n、kは、正または負の整数である。)。
Z1=mP+nN ・・・(1)
Z2=mP+nN+kV ・・・(2)
この所定の周波数Nで制御装置14が電子シャッタ12のオン/オフ駆動を制御して、電子シャッタ12によって発生したノイズ(以下では、単にシャッタ雑音と称する場合がある。)を投影される映像に重畳する。これにより、映画館で鑑賞する観客の視覚には影響を与えずに、盗撮カメラで撮影した場合に撮影映像を劣化させることができる。
また、本実施の形態では、電子シャッタ12をレンズユニット16Aの投影光の出射側に当接して配置することができるので、別途光を出射する照射部等を設ける場合よりも省スペースな構成とすることができる。
次に、本実施の形態において電子シャッタ12のオンオフ駆動を制御する原理について説明する。
電子シャッタのオンオフ駆動により単にノイズを付加する場合には、撮影映像では、画面内で明度を低減し暗くなる部分が十分暗くならない、という問題がある。
妨害を入れた画面暗部が十分暗くならない問題を解決するには図3の右側に示すように高輝度領域から低輝度領域の変化部分で急激に輝度を落とせば良い。具体的には電子シャッタを開状態から急速に閉状態に変化させれば、図3の左側に示すように急激に暗くなり、十分な妨害効果を得る。
単純に電子シャッタをオンオフ駆動するだけでは、暗部が十分暗くならない。この状況を図4の左側に示す。このときの輝度変化は図4の右側に示すようにするやかに輝度が下がっている。このような輝度の下がり方ではなだらかに下がる部分に影響を受け、人間の視覚は大きな輝度変化を感じない。ここで利用する人間の視覚特性にオブライエン効果がある(参考文献(末竹、「クレイク・オブライエン錯視効果に基づくディジタルカラー画像の色覚バリアフリー高速色変換システム構築」、Journal of the Franklin Institute、2012年6月)を参照)。オブライエン効果を利用すると、図5の右側に示すように、なだらかな変化であっても、人間の視覚には急激に輝度が低減した様に見える。図5の右側と図4の右側とを比較するとなだらかな変化部分は同様な波形である。しかし、図5の右側は急激に落ちてオーバーシュートが生じている。これこそがオブライエン効果の応用であり、輝度が急峻に低下したように見えて、急激に暗くなり、十分な妨害効果を得ることを可能とする。
このようにオーバーシュートを発生させた波形を生成する回路を図6および図7で説明する。電子シャッタを駆動する場合、電流を流したり、止めたりしてON/OFFする必要がある。図7(A)はトランジスタを用いて電子シャッタを駆動する例である。電子シャッタの等価回路は、図8に示すとおり、コンデンサと抵抗の並列回路である。ここでは容量性負荷の低減に関する手法を説明するので、簡単化のため電子シャッタは容量のみから構成されるとする。即ち、抵抗値は非常に大きくは容量性負荷と仮定する。ここではトランジスタで駆動する例を示しているが、FET(電界効果トランジスタ)やカレントドライブICでも同様である。またここでは、エミッタ接地の回路例を示しているが、エミッタ接地以外の回路構成でも同様の効果を得ることが可能である。これらのデバイスは微少電流を増幅して大きな電流を制御可能である。トランジスタはB(ベース)、E(エミッタ)、C(コレクタ)の3電極を持つ。BE間に微少電流を流すとCB間には大きな電流が流れ、BE間に流れた電流と合成されてEから流れ出す。この結果Cは大きな電流が流れ、容量性負荷C1に電荷をチャージする。コンデンサ即ち容量性負荷なので、一度に電荷蓄積せず、図6(B)に示すように時間の経過ともに電荷の蓄積が増大する。容量性負荷C1の容量が小さければ急速に直流電源Vcの電位は変化するが、電流に比較して容量性負荷C1の容量が大きい場合は、直流電源Vcの電位変化に時間を要する。この電位変化は図4の右側の輝度変化に相当する。即ち、輝度を急速に低減させるには急速な電位変化が必要である。この解決策として図7(A)を示す。同図において容量性負荷C1は電子シャッタとする。容量性負荷C2の挿入によりトランジスタから見た総合の容量は低減する。図7(A)の等価回路を図7(C)に示す。C3はC1およびC2の合成容量であり、(C1C2)/(C1+C2)<C1となる。即ち、C2の挿入によりトランジスタから見た合成容量は低減する。
以上より、図9に示すように、本実施の形態に係る制御装置14は、発振器32と駆動回路30とを含んで構成されている。図9に示すように、駆動回路30は、スイッチ38と、容量性負荷C2および抵抗R2を並列に接続したCR並列回路34と、直流電源Vcとを直列に接続した直列回路を備えている。また、容量性負荷C1および抵抗R1を並列に接続したCR並列回路を電子シャッタ12とする。原理を図10で説明する。CR並列回路34が挿入され、図10(C)に示すパルス波形が入力されたとする。容量性負荷C2および抵抗R2を調整することで図10(B)に示す波形(以下エッジ波形)を出力可能である。この出力波形は入力波形の立ち上がりと立ち下がりで細いエッジを出力する。この波形が図5に示すオーバーシュートを発生させた波形となり、図5に示す効果をもたらす。図11にC2・R2とエッジ波形の形状の関係を示す。図11(A)に示す入力に対し、図11(B)、(C)に、時定数τ=C2・R2による変化を示す。ここで時定数τとは、立ち上がりから37%まで落ちる時間である。図11(B)、(C)に示すように、電子シャッタ12の負荷特性に応じて、C2・R2を調整することで対応可能である。
図12に、本実施の形態のCR並列回路34が無い場合とある場合の電子シャッタ12の入力信号となる、直流電源Vcの電位変化を示す。CR並列回路34の挿入により、直流電源Vcの電位にはエッジが生じ、所望のオブライエン効果が得られる。
以上説明したように、本実施の形態に係る制御装置14の駆動回路30は、上記図9に示すように、発振器32で生成された所定の周波数で変化するパルス信号に応じてオンオフを切り換えるスイッチ38と、抵抗R2と容量性負荷C2とのCR並列回路34と、直流電源Vcとを直列に接続した直列回路を含み、CR並列回路34と直流電源Vcとの接続点の電位に応じた信号を用いて、電子シャッタ12を所定の周波数で開閉させる。このとき、駆動回路30は、発振器32で生成されたパルス信号を、電子シャッタ12が開状態から閉状態へ変化するときにオーバーシュートを発生させるように変換し、変換した信号に基づいて、電子シャッタ12を所定の周波数で開閉させる。なお、駆動回路30は本発明の駆動部に相当し、発振器32は、信号生成部に相当する。
続いて、上述のように構成された本実施の形態に係る映画盗撮防止装置10の作用について図13〜15を参照して説明する。なお、図13(A)は映像へのシャッタ雑音の重畳方法を説明するための模式図である。図13(B)はシャッタ雑音が重畳された映像を盗撮カメラが撮影して得られる撮影映像の状態を説明するための模式図である。また、図14(A)は正弦波で表した投影映像の一例を示す図である。図14(B)はシャッタ雑音の一例を示す図である。図14(C)はシャッタ雑音で変調された投影映像の一例を示す図である。さらに、図15(A)は通常の映像を盗撮カメラで撮影して得られる撮影映像の一例を示す図である。図15(B)はシャッタ雑音で変調された映像を盗撮カメラで撮影して得られる撮影映像の一例を示す図である。
本実施の形態に係る映画盗撮防止装置10では、映画投影機16によるスクリーン20への映画の投影を開始する際に、制御装置14による電子シャッタ12のオン/オフ(光の遮断/透過)制御を開始する。
これにより、レンズユニット16Aを透過した映像が電子シャッタ12を介してスクリーン20に投影される。すなわち、電子シャッタ12のオン/オフに応じてスクリーン20に映像が断続的に投影されるので、スクリーン20に投影される映像は、図13(A)に示すように、投影映像とシャッタ雑音とが乗算されてシャッタ雑音で変調された投影映像となる。例えば、図14(A)に示すような正弦波で表した投影映像と、図14(B)に示すような、オーバーシュートが発生するように変化するシャッタ雑音とが乗算されると、図14(C)に示すように、シャッタ雑音で変調された投影映像が得られる。
また、このようにスクリーン20に投影された映像を盗撮カメラで撮影すると、図13(B)に示すように、シャッタ雑音で変調された投影映像と、通常の映像を盗撮カメラで撮影したときの撮影映像とが乗算された撮影映像が得られる。例えば、図15(A)に示すような、通常の映像を盗撮カメラで撮影したときの撮影映像と、上述のシャッタ雑音で変調された投影映像とが乗算されると、図15(B)に示すような撮影映像が得られる。
このとき、上述したように、上記所定の周波数Nを、上述の(1)式及び(2)式を満たす値とすることで、映画館で鑑賞する観客の視覚には影響を与えずに、盗撮カメラで撮影した場合に撮影映像を劣化させることができる。また、電子シャッタ12が開状態から閉状態へ変化するときにオーバーシュートを発生させるように変換し、変換した信号に基づいて、電子シャッタ12を所定の周波数で開閉させることにより、図16に示すように、盗撮カメラで撮影した撮影映像に、暗部の輝度が十分下がったノイズを重畳させることができる。
以下、このように、制御装置14が周波数Nで電子シャッタ12を駆動することにより、映画館で鑑賞する観客の視覚には影響を与えずに、盗撮カメラの撮影映像を劣化させることのできる原理について説明する。
2種類の信号の乗算を行うと、必ず和の周波数と差の周波数との各信号が現れる。例えば、sinθとsinφとの各信号の乗算を行うと以下の(3)式に示すように、(θ−φ)と(θ+φ)との各信号が現れる。
すなわち、18世紀〜19世紀に活躍したフランスの数学者であるフーリエに端を発するフーリエ級数及びフーリエ変換と、その後の研究から、全ての信号は三角関数の合成で表現可能なことが証明されている。
映画館で投影される映像もその例外ではなく、位相及び周期の異なる正弦波(sin)と余弦波(cos)で表現することが可能である。
映画は通常、フレーム周波数が24Hzである。しかしながら、24Hzのフレーム周波数の映像は人間の目にはフリッカとして視認される。このため、1フレーム内でシャッタを切る(暗フレームを挿入する)ことにより、擬似的に48Hzを実現してフリッカを防止している。このため、映画は24Hz及び48Hzを基本のフレーム周波数としており、24Hzによるフーリエ級数展開が可能である。ここで、48Hzは24Hzの2倍の周波数であるから、映像信号を24Hzでフーリエ級数展開すると24Hzの整数倍の周波数の信号が現れる。このため、48Hzは24Hzの2倍の周波数として出現する。なお、この原理は、映画投影機16のフレーム周波数に依存しないため、以下の説明においては、一般化し、映画投影機16のフレーム周波数をPHzとして説明する。
また、電子シャッタ12を制御装置14が駆動することによって与える上述の所定の周波数(シャッタ雑音の周波数)をNHzとする。この所定の周波数を、本実施の形態では、電子シャッタ12によって重畳する場合の例を示すが、これに限るものではない。例えば、映画投影機16のバックライトや、映画投影機16で投影するための映像信号にシャッタ雑音に対応するノイズを直接重畳する手法もあり、これらも理論的には何れも同じ原理となる。
また、盗撮に用いられる一般的なビデオカメラ等の撮影装置はフレーム周波数が30Hz又は60Hzであるが、これを一般化するためにVHzとする。
フレーム周波数がPHzの映像信号にNHzのノイズ信号を重畳すると、(3)式で示したように、PHzとNHzを基本周波数とし、(N−P)Hzと(N+P)Hzの信号が現れる。人間の視覚には最も高輝度の部分と最も低輝度の部分が目立つ傾向があるので、目立つ部分だけに注目するとNHzの信号をPHzでサンプリングしたことになる。
従って、サンプリングの定理から、(m×P+n×N)Hzの信号が現れる。ここで、m、nは正または負の整数であり、m、n=±1、±2、±3・・・となる。例えば、P=24Hz、N=100Hzとすると、m=−4、n=1の場合や、m=5、n=−1の場合に、100−24×4=4Hzの信号や、24×5−100=20Hzの信号が現れる。劇場で人間は映画投影機16から投影された映像にシャッタ雑音が重畳された状態で鑑賞する。
ところで、人間の視覚は、低周波数のフリッカには非常に敏感である。ここで、低周波数のフリッカとは、人間にとって視認可能な程度の周波数のフリッカを示す。
ここで、上述の(1)式及び(2)式を満足する低周波数のフリッカの一例としては、特に6Hz〜14Hzの周期信号を挙げることができる。人間は、一般的に50Hz以下のフリッカを認識する傾向にあるが、特に15Hz以下のフリッカに対しては敏感に認識しやすい。このため、(m×P+n×N)Hzの信号が人間の視覚に敏感な周波数とならないように上記所定の周波数としてのシャッタ雑音の周波数を選ぶ必要がある。上記の例では、Z1=24×5−100=20Hzとなり、観客はシャッタ雑音が重畳された状態で映像を鑑賞することになるが、Z1の値が15Hzより大きいので、比較的フリッカを認識し難い。
盗撮カメラは、この状態の映像を撮影する。この場合、スクリーン20に投影された映像を盗撮カメラで撮影することにより得られる撮影映像は、盗撮カメラのフレーム周波数の信号がさらに重畳されたものとなる。すなわち、盗撮カメラのフレーム周波数をVHzとし、新たにk=±1、±2、±3・・・として、盗撮カメラの撮影により得られた撮影映像には、(m×P+n×N+k×V)Hzの信号が混入する。
ここで、(m×P+n×N)Hzの値が、人間がフリッカを視認しやすい周波数帯(例えば15Hz以下)から外れる周波数となり、かつ、(m×P+n×N+k×V)Hzの値が人間の視覚に視認されやすい周波数となるように、Nの値を選ぶ。すなわち、上述の(1)式及び(2)式を満足する所定の周波数をNとして選ぶことによって、劇場ではフリッカが視認されないが、盗撮した映像ではフリッカが視認される状態を作り出すことが可能となる。
例えば、P=24Hz、N=233Hz、V=60Hzとすると、スクリーン20上に投影された映像は、m=−9、n=1の場合に、233−24×9=17Hzとなり、上述のフリッカを敏感に認識し易い周波数から外れて人間の視覚では見え難くなる。N=55Hzでは、m=−2、n=1の場合に、55−24×2=7Hzとなり、人間がフリッカを敏感に認識し易い周波数の信号が混入することになる。
一方、映画投影機16からスクリーン20に投影された、シャッタ雑音が重畳された映像を盗撮カメラで撮影した場合には、(m×P+n×N+k×V)の値は、P=24Hz、N=233Hz、V=60Hz、m=5、n=−1、k=2の場合に(m×P+n×N+k×V)=5×24−233+2×60=7Hzとなり、盗撮により得られる撮影映像には、人間がフリッカを敏感に認識し易い周波数の信号が混入する状態となり、フリッカを視認される状態を作り出すことができる。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る映画盗撮防止装置によれば、駆動回路によって、映像光にノイズを重畳させるためのパルス信号を、シャッタを開状態から閉状態へ変化させるときにオーバーシュートを発生させるように変換し、変換した信号に基づいて、シャッタを所定の周波数で開閉させることにより、省スペースな構成で、映像を見る人間の視覚には影響を与えずに、撮影された映像の画質を十分に劣化させることができる。
なお、本実施の形態では、電子シャッタ12を映画投影機16のレンズユニット16Aに当接して配置した例を説明したが、これに限るものではない。例えば、映画投影機16内(例えば、レンズユニット16Aと光変調器16Bの間や、光変調器16Bと光源16Cの間など)に設けるようにしてもよい。
[第2の実施の形態]
本第2の実施の形態では、発振器と駆動回路との間にもCR並列回路を挿入する形態例について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図17に示すように、第2の実施の形態に係る制御装置214の駆動回路230では、発振器32とスイッチ38のベース端子との間に設けられたCR並列回路234と、スイッチ38と、CR並列回路34と、直流電源Vcと含む。
パルス波形をスイッチ38のベース端子に入力しても、スイッチ38のベースエミッタ間に容量を持つため、電子シャッタ12への入力波形が崩れる。そこで、スイッチ38のベース端子と発振器32との間にCR並列回路234を挿入することで、図18に示すように、電子シャッタ12への入力波形にエッジを発生させることができるので、ベースエミッタ間による波形劣化を補正可能である。
このように、第2の実施の形態に係る映画盗撮防止装置によれば、駆動回路230が、発振器32で生成されたパルス信号に対し、スイッチ38のベースエミッタ間による波形劣化を補正した上で、電子シャッタ12を開状態から閉状態へ変換させるときにオーバーシュートを発生させるように変換し、変換した信号に基づいて、電子シャッタ12を所定の周波数で開閉させることにより、撮影された映像の画質を十分に劣化させることができる。
[第3の実施の形態]
本第3の実施の形態では、発振器と駆動回路との間にCR並列回路を挿入し、更にダイオードを設けた形態例について説明する。なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図19に示すように、第3の実施の形態に係る制御装置314の駆動回路330では、CR並列回路234と、スイッチ38のベースエミッタ間に設けられ、かつ、エミッタ端子からベース端子への電流の流れを防止するダイオード336と、スイッチ38と、CR並列回路34と、直流電源Vcと含む。
スイッチ38のベースエミッタ間の容量性負荷により、電子シャッタ12への入力波形が崩れるが、図19に示すように、ダイオード336を挿入することで、電子シャッタ12への入力波形の崩れを補正可能である。図20に原理を示す。スイッチ38のベースエミッタ間に図20(C)に示す理想的なパルスが入力されたとする。パルスがゼロとなった後、コレクタ端子に流れる電流は直ちにOFF即ちゼロとなることが望ましい。しかし、スイッチ38のベースコレクタ間の容量により、図20(A)に示すダイオードなしの例のように、コレクタ端子に流れる電流は、しばらくOFFとならない。これはスイッチ38のベースコレクタ間の容量性負荷が充電されるためである。一方、ダイオード336を挿入するとスイッチ38のベースコレクタ間の容量性負荷に充電される余分な電荷を低減可能である。この結果、図20(B)に示すダイオード有りの例のように、パルス波形がゼロとなった後、短時間でスイッチ38のコレクタ端子に流れる電流もゼロとなる。
このように、第3の実施の形態に係る映画盗撮防止装置によれば、駆動回路330のスイッチ38のベースコレクタ間にダイオード336を挿入することにより、スイッチ38のベースコレクタ間の容量性負荷に充電される余分な電荷を低減し、パルス波形がゼロとなった後、短時間でスイッチ38のコレクタ端子に流れる電流もゼロとなる。これによって、撮影された映像の画質を十分に劣化させることができる。
[第4の実施の形態]
本第4の実施の形態では、映像に同期して電子シャッタ12を駆動する形態例について説明する。なお、第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図21に示すように、第4の実施の形態に係る映画盗撮防止装置410の制御装置414には、コントローラ18から映画投影機16へ出力された映像信号と同じ映像信号が入力されている。
制御装置14は、入力された映像信号から画面上の水平位置情報及び垂直位置情報を検出する同期分離部420と、同期分離部420によって検出された水平位置情報及び垂直位置情報を合成する合成回路422と、合成回路422から出力信号を入力とする駆動回路330とを備えている。なお、駆動回路330は本発明の駆動部に相当し、同期分離部420及び合成回路422は、信号生成部に相当する。
同期分離部420は、図22(A)に示すように、映像信号から水平同期信号を分離して出力すると共に、図22(B)に示すように、映像信号から垂直同期信号を分離して出力する。
合成回路422は、図22(C)に示すように、同期分離部420によって出力された水平同期信号及び垂直同期信号を合成したパルス信号を出力する。
駆動回路330は、合成回路422により出力されたパルス信号を入力として、電子シャッタ12のオンオフを駆動する。
このように、映画投影機16の映像信号に同期して、電子シャッタ12を駆動することで、図23に示すように、盗撮カメラの撮影によって得られる撮影映像におけるノイズの発生位置を固定的に画像の一部のみとすることができ、平均輝度の低下を抑制することができる。
なお、上記の第4の実施の形態では、同期分離部420によって出力された水平同期信号及び垂直同期信号を合成したパルス信号を出力する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、合成回路を用いずに、同期分離部420によって出力された水平同期信号又は垂直同期信号をそのままパルス信号として出力するようにしてもよい。
また、上記の第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、発振器から出力されたパルス信号を、駆動回路によって変換する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、シャッタを開状態から閉状態へ変化させるときにオーバーシュートを発生させるパルス信号を直接生成するようにしてもよい。
[第5の実施の形態]
本第5の実施の形態では、円状の電子シャッタと、当該円状の電子シャッタを映像光の光路方向に対して垂直な面上において囲むように設けられた枠状の遮蔽物とからなる遮蔽シャッタを、映像光の全部を遮蔽するように配置する形態について説明する。なお、第1から第4の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
まず、第5の実施の形態における映像光がスクリーンに投影される原理について図24を用いて説明する。なお、第5の実施の形態においては、遮蔽物を、光を遮蔽する物質からなるアダプタ502とするが、光を遮蔽する物質であれば、アダプタ502に限定されない。
具体的には、光源16Cは、集光後、光変調器16Bに入光される。ここで、図24においては、投影映像の光路が、遮蔽シャッタ500により全遮蔽され、かつ、投影映像の光路の一部が、電子シャッタ12を透過するように構成されている。
ここで、光には回折性があるが、投影映像の光路が遮蔽シャッタ500により全遮蔽されていることから、スクリーン20に投影される映像に確実にノイズを乗せることができる。
なお、投影映像のアダプタにより遮蔽される範囲が大きいほど、スクリーンに投影される全体映像は暗くなるため、投影される全体映像の明るさが足りない場合には、図25に示すように、遮蔽シャッタ500の位置を光源から遠ざけることにより調整が可能となる。また、図25中の点線部分は、移動前の遮蔽シャッタ500の位置を表すものとする。
図26は、第5の実施の形態に係る映像盗撮防止装置の要部の概略構成を示す斜視図である。
第5の実施の形態に係る遮蔽シャッタ500は、図26に示すように、スクリーン20に映像を投影する映画投影機16のレンズユニット16Aと、光変調器16Bとの間に設けられる。なお、第5の実施の形態においては、遮蔽シャッタ500を映画投影機16内部に配置する場合について説明するが、映画投影機16の外側に遮蔽シャッタ500を配置してもよい。
ここで、遮蔽シャッタ500は、図27に示すように、円状の電子シャッタ12と、当該円状の電子シャッタ12を映像光の光路方向に対して垂直な面上において囲むように設けられたアダプタ502とを含んで構成される。なお、第5の実施の形態では、遮蔽シャッタ500が、映像の全光路を遮蔽するように配置されているものとする。
このように、第5の実施の形態においては、映像の全光路を遮蔽シャッタ500で遮蔽し、当該遮蔽シャッタ500の一部である電子シャッタ12において、光の通過、又は光の非通過を制御することにより、電子シャッタの大きさが、映像の光路全体よりも小さい場合においても、映画の盗撮防止が可能となる。
また、第5の実施の形態では、遮蔽シャッタ500を図27に示す場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、遮蔽シャッタ500を図28、図29及び図30等のように、電子シャッタ12部分と遮蔽物部分との面積比を変化させてもよい。
また、第5の実施の形態では、遮蔽シャッタ500を図26に示すように映画投影機16のレンズユニット16Aと、光変調器16Bとの間に配置した例を説明したが、これに限るものではない。例えば、映像の全光路を、遮蔽シャッタ500で遮蔽できる場合には、映画投影機16内(例えばレンズユニット16Aと光変調器16Bとの間の任意の場所や、光変調器16Bと光源16Cとの間の任意の場所)の任意の位置に配置してもよい。また、映像の全光路が、遮蔽シャッタ500で遮蔽できる場合には、遮蔽シャッタ500を、映画投影機16のレンズユニット16Aとスクリーン20との間の任意の位置に配置してもよい。
また、第5の実施の形態では、電子シャッタ12を開状態から閉状態へ変化させるときにオーバーシュートを発生させるように変換した信号に基づいて、電子シャッタ12を所定の周波数で開閉させる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、映像を目視した際に人間の眼には知覚されず、かつ映像をカメラで撮影した撮影映像を目視した際に人間の眼に知覚される、所定の周波数で変化するノイズを、映像光に重畳させるための信号に基づいて、電子シャッタ12を所定の周波数で開閉させてもよい。
また、第5の実施の形態における電子シャッタ12のオン/オフ(光の遮断/透過)の制御は、第1の実施の形態に係る制御装置14において実現する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、電子シャッタ12のオン/オフ(光の遮断/透過)の制御を第2のから第4の実施の形態における制御装置214、制御装置314、又は制御装置414の何れにより実現してもよい。
また、第5の実施の形態における遮蔽シャッタは、円状の電子シャッタと、当該円状の電子シャッタを映像光の光路方向に対して垂直な面上において囲むように設けられた枠状の遮蔽物とからなる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、円状の電子シャッタと、当該円状の電子シャッタを囲むように設けられた枠状の遮蔽物とからなる遮蔽シャッタでもよい。
また、上記の第1の実施の形態〜第5の実施の形態では、映画の盗撮を防止する場合を例に説明したが、映画以外の映像の盗撮を防止する装置に、本発明を適用してもよい。また、映像の盗撮を防止する目的以外で、映像にノイズを付加する装置に、本発明を適用してもよい。例えば、映像の一部分のみを、撮影不可部分とするようにノイズを付加する装置に、本発明を適用してもよい。