以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際のものと異なる個所があるが、これらは適宜、設計変更することができる。
図1は、インクジェット記録装置1の正面図である。インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド2とインク循環装置3を含むインクジェット記録部を有している。インクジェット記録部は、インク色分の個数並列にキャリッジ100上に配置されている。本実施形態では、インクジェット記録装置1は一例として5つのインクジェット記録部4a、4b、4c、4d及び4eを有している。なお、インクジェット記録部4a、4b、4c、4d及び4eのうちの何れかを指して、インクジェット記録部4ということもある。
インクジェットヘッド2は、後述するようにインクI(図3参照)を内蔵する。インクジェットヘッド2は、画像形成信号に合わせてノズルプレート52(図3参照)に設けたノズル51(図3参照)からインクIを吐出させる。
インク循環装置3は、後述するように、インクジェットヘッド2へインクIを供給する。インク循環装置3は、ノズル51から吐出せずに残ったインクIをインクジェットヘッド2から回収する(戻す)。インク循環装置3は、再びインクジェットヘッド2へ回収したインクを供給する。このように、インク循環装置3は、インクジェットヘッド2内のインクを循環させる。
インクジェット記録部4aは、重力方向(矢印C方向)において、下向きにインクIを吐出するインクジェットヘッド2を有し、その上部にインク循環装置3が搭載されている。インクジェット記録部4b〜4eは、それぞれインクジェット記録部4aと同じ構成である。インクジェット記録部4aはシアンインク、インクジェット記録部4bはマゼンタインク、インクジェット記録部4cはイエローインク、インクジェット記録部4dはブラックインクを吐出する。インクジェット記録部4eはホワイトインクを吐出する。インクジェット記録部4eは、ホワイトインク以外に、例えば透明光沢インク、赤外線または紫外線を照射したときに発色する特殊インクなどを吐出させてもよい。
インクジェット記録部4a〜4eを搭載したキャリッジ100は、搬送ベルト101に固定されている。搬送ベルト101は、モータ102に連結されている。モータ102を正転または逆転させることで、キャリッジ100は、矢印A方向に往復移動する。キャリッジ100は、インクジェット記録部4を記録媒体Sに対して相対移動させる。図1に示すインクジェット記録部4a〜4eは、インクを重力方向(矢印C方向)にインクを吐出する。
テーブル103には、密閉された容器で上面に小径の穴110が開いている。テーブル103は、ポンプ104で容器内部を負圧にすることで上面に搭載された記録媒体Sを固定する。記録媒体Sは、例えば紙、樹脂や金属のフィルム、板材などである。テーブル103は、スライドレール105上に取り付けられ、後述する図2に示す矢印B方向に往復移動する。
インクジェットヘッド2は、インクIを吐出する複数のノズル51が形成されたノズルプレート52を有している。インクジェットヘッド2が往復移動する間、ノズルプレート52と記録媒体Sとの距離hは一定に維持されている。インクジェットヘッド2には、その長手方向に例えば300個のノズル51が並んでいる。インクジェット記録装置1は、インクジェット記録部4a〜4eを記録媒体Sの搬送方向に対して直交するように往復移動させながら画像を形成する。すなわち、ノズル配列された長手方向と記録媒体Sの搬送方向が同じなり、インクジェット記録装置1は、記録媒体S上に300ノズルの幅で画像を形成する。
インクジェット記録部4a〜4eの矢印A方向の走査範囲で、テーブル103の移動範囲外の位置にメンテナンスユニット310が配置されている。メンテナンスユニット310にインクジェットヘッド2が対峙する位置は、インクジェットヘッド2の待機位置Pである。メンテナンスユニット310は、上方が開放したケースで上下(図1に示す矢印C及びD方向)に移動可能に設けられている。
メンテナンスユニット310は、画像形成のためにキャリッジ100が矢印A方向に移動している場合には、下方(矢印C方向)に移動して待機する。メンテナンスユニット310は、画像形成動作が終了した場合には上方(矢印D方向)に移動する。画像形成動作が終了した時、インクジェットヘッド2は待機位置Pに戻り、メンテナンスユニット310が上方(矢印D方向)に移動し、インクジェットヘッド2のノズルプレート52を覆う。メンテナンスユニット310は、インクの蒸発やノズルプレート52にほこりや紙粉が付着することを防止(キャップ機能)する。
メンテナンスユニット310には、インクジェットヘッド2のノズルプレート52に付着したインク、ほこり、紙粉などを除去するゴム製のブレード120が内蔵されている。画像形成のためにキャリッジ100が矢印A方向に移動している場合には、メンテナンスユニット310は下方に移動する。ブレード120はノズルプレート52から下方(矢印C方向)へ離間している。ノズルプレート52に付着したインク、ほこり、紙粉を除去する場合には、メンテナンスユニット310は上方(矢印D方向)に移動し、ブレード120がノズルプレート52に接触する。メンテナンスユニット310は、ブレード120を矢印B方向へ移動させる機構を有している。ブレード120は、ノズルプレート52表面を払拭し、インク、ほこり、紙粉を除去(ワイプ機能)することができる。
メンテナンスユニット310は、廃インク受け部130を有している。インクジェット記録装置1は、メンテナンス動作を行う時に、ノズル51からインクを強制的に吐出させる。これにより、メンテナンスユニット310は、ノズル近傍で劣化したインクIを廃インク受け部130に廃棄(スピット機能)することもできる。廃インク受け部130は、ブレード120で払拭することで発生した廃インクおよびスピット動作によって発生した廃インクを収納する。
図2は、インクジェット記録装置1の平面図である。
インクジェット記録部4a〜4eが搭載されたキャリッジ100は、搬送ベルト101の移動によって2本のレール140に沿って矢印A方向に往復移動する。記録媒体Sを搭載したテーブル103は矢印B方向に往復移動する。インクジェット記録装置1で印字するための画像信号に合わせて、インクジェット記録装置1は、インクジェット記録部4a〜4eを搭載したキャリッジ100と記録媒体Sを載せたテーブル103を往復移動させながら、ノズル51からインクを吐出させて、記録媒体Sの全面に画像形成することができる。インクジェット記録装置1は、いわゆるシリアル型インクジェット記録装置である。
インクカートリッジ106aはシアンインクが充填され、チューブ107を介してインクジェット記録部4aのインク循環装置3に連通している。インクカートリッジ106bはマゼンタインクが充填され、チューブ107を介してインクジェット記録部4bのインク循環装置3に連通している。同様に、インクカートリッジ106cはイエローインクが充填され、インクジェット記録部4cのインク循環装置3に連通している。インクカートリッジ106dはブラックインクが充填され、インクジェット記録部4dのインク循環装置3に連通している。インクカートリッジ106eはホワイトインクが充填され、インクジェット記録部4eのインク循環装置3に連通している。なお、インクカートリッジ106a、106b、106c、106d及び106eのうちの何れかを指して、インクカートリッジ106ということもある。
インクジェット記録部4a〜4eは、それぞれ、インクジェットヘッド2の上部にインク循環装置3が搭載された構成である。インクジェットヘッド2の上方にインク循環装置3が搭載されていることで、キャリッジ100上でインクジェット記録部4a〜4eが並ぶ方向の間隔を狭められる。これに伴い、搬送方向(矢印A方向)におけるキャリッジ100の幅を短くすることができる。キャリッジ100は、少なくとも最大の記録媒体Sの幅にキャリッジ100幅の2倍の長さを加算した距離だけ、A方向に搬送される。そのためキャリッジ100の幅が狭いほど、搬送距離が減少し印字速度を高めると同時にインクジェット記録装置1を小型化することができる。さらに、インクジェットヘッド2の上方にインク循環装置3が搭載されていることで、インク循環装置3からインクジェットヘッド2までの経路を短くすることができる。そのため、インクジェット記録装置1を小型化することができる。
移動するテーブル103を利用した上記インクジェット記録装置1以外にも本実施形態で説明したインクジェット記録部4は適用可能である。本実施形態は、巻取り紙を引き出しその巻取り紙を直交するようにインクジェット記録部を移動させながら印字するインクジェット記録装置に適用可能である。本実施形態は、用紙を1枚ずつプラテンローラで送りその枚用紙を直交するようにインクジェット記録部を移動させながら印字するインクジェット記録装置に適用可能である。
次に、実施形態に係るインクジェット記録装置1に適用されるインクジェットヘッド2について説明する。
図3は、インクジェットヘッド2のインクIを吐出する部分の断面図である。
インクジェットヘッド2は、インクIを吐出するノズル51を有するノズルプレート52の上面側に、ノズル分岐部53が形成されている。ノズル分岐部53は、図3に示す矢印E方向に流れているインクIをノズル51から吐出させるインクIと、そのままインクジェットヘッド2内を流れてインク循環装置3に戻るインクIに分岐する部分である。
インクジェットヘッド2は、ノズル51と対向する側の面にアクチュエータ54を有している。アクチュエータ54は、圧電セラミック(圧電素子)55と振動板56が積層されたユニモルフ式の圧電振動板である。圧電セラミック材料は、一例としてPZT(チタン酸ジルコン酸鉛(Lead Zirconate Titanate)を用いた。PZTの上下面に金電極を形成し、分極処理して圧電セラミック55を形成している。その後、圧電セラミック55を窒化ケイ素製の振動板56に接合してアクチュエータ54を形成した。なお、インクの表面張力によって、ノズル51内ではインクと空気の界面であるメニスカス290を形成している。
図3(a)は、圧電セラミック55に電界を与えず、アクチュエータ54が無変形の状態を示している。図3(b)は、アクチュエータ54を変形させてインク滴IDを吐出させる様子を示している。圧電セラミック55に電界を与えてアクチュエータ54を変形させることで、ノズル分岐部53内のインクIはインク滴IDとなってノズル51から吐出する。
上記の圧電セラミック55と振動板56によるアクチュエータ54に替えて、インクに圧力を発生させる他の構成を用いることも可能である。例えば、静電気でダイアフラムを変形させてインクに圧力を加える構成であってもよい。ヒータでインクIを加熱してインクIに気泡が発生する時の圧力を利用する構成(サーマル方式)であってもよい。圧力発生体としていずれの構成を利用してもよい。
次に、図4を参照して、図3で説明したインクIを吐出する部分を有するインクジェットヘッド2内部のインクIの流れを説明する。
インクジェットヘッド2は、図3に示されるノズルプレート52、図3に示されるアクチュエータ54を有する基板60、マニフォルド61、インクIを流入させるインク供給口160、インクジェットヘッド2からインク循環装置3へインクIを環流させるインク排出口170、で構成されている。
ノズルプレート52は、紙面手前から奥方向に並ぶ複数のノズル51aを有する第1ノズル列、同様に紙面手前から奥方向に並ぶ複数のノズル51bを有する第2ノズル列を有している。前述したようにインクIは、各ノズル51(ノズル51a及び51b)を通して、吐出される。言い換えれば、インクジェットヘッド2は、紙面手前から奥方向に長く、その長手方向にノズル51a及び51bが配置されている。ノズル51a及び51bは、図2に示す矢印B方向に複数配列され、キャリッジ100の移動方向と直交する方向に並んでいる。
基板60は、内部にインクIを通す流路180を有している。流路180を形成するように、基板60にノズルプレート52が接着されている。インクIを吐出させる圧力を発生するアクチュエータ54は、その流路180に面し、かつ各ノズル51に対応して設けられている。アクチュエータ54によって流路180内のインクIに発生した圧力がノズル51に集中するように、隣接するノズル51間に境界壁190が設けられている。ノズルプレート52、アクチュエータ54、境界壁190で囲まれた流路180が、インク圧力室150となる。
インク圧力室150は、第1ノズル列のノズル51a及び第2ノズル列の51bに対応して複数設けられている。第1ノズル列及び第2ノズル列は、それぞれ例えば300個のノズルを有している。インク圧力室150に一方の端部からインクIが流入し、ノズル分岐部53を通り、他方の端部から流出する。インク圧力室150内のノズル分岐部53でインクIの一部はノズル51から吐出され、残りは他方の端部から流出する。
第1ノズル列内の各ノズル51aに対応して形成された複数のインク圧力室150と第2ノズル列内の各ノズル51bに対応して形成された複数のインク圧力室150との間の流路180は、共通インク供給室58である。共通インク供給室58は、インク圧力室150の一方の流入口へつながり、全インク圧力室150にインクIを供給する。
第1ノズル列に対応する複数のインク圧力室150と第2ノズル列に対応する複数のインク圧力室150の他端側から流出するインクIは、第1ノズル列及び第2ノズル列に繋がる共通インク室59へ流入する。共通インク室59は、基板60に設けられた流路180の一部である。
マニフォルド61は、基板60に接続され、流路180へインクIを供給する。マニフォルド61は、矢印F方向へインクIを流入させるインク供給口160、インク供給口160から共通インク供給室58に連通するインク分配通路62を有している。インクジェットヘッド2へ供給するインク温度を検出するために、ヘッド内温度センサ(上流)280がインク分配通路62に取り付けられている。また、マニフォルド61は、インクIを矢印G方向へ排出するインク排出口170と、2つの共通インク室59からインク排出口170に連通するインク環流通路63を有している。
インクジェットヘッド2から排出されるインク温度を検出するために、ヘッド内温度センサ(下流)281がインク環流通路63に取り付けられている。インクジェット記録装置1は、ヘッド内温度センサ(上流)280でインクジェットヘッド2内へ供給するインク温度を検出する。インクジェット記録装置1は、ヘッド内温度センサ(下流)281でインクジェットヘッド2から排出されるインク温度を検出する。インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド2内のインク温度によるインク粘度の変化を考慮して、インク循環装置3を制御している。
インク供給口160、インク分配通路62、共通インク供給室58、インク圧力室150、共通インク室59、インク環流通路63、インク排出口170の順に、インクIはインクジェットヘッド2内を移動する。このインクIの一部は、画像信号に従いノズル51から吐出され、残ったインクIは移動してインク排出口170からインク循環装置3へ環流する。
図5を参照して、インクジェット記録部4について説明する。
図5は、インクジェット記録部4の概略図である。
インクジェット記録部4は、インク循環装置3がインクジェットヘッド2の上方に配置され、インク循環装置3とインクジェットヘッド2が一体で構成されている。図5(b)は、図5(a)とは別の向きから見たインクジェット記録部4の図である。
インク循環装置3は、インクケーシング200、インク循環ポンプ201、インク供給ポンプ202、圧力調整部203、圧力センサ204、インク量計測センサ205A、インク量計測センサ205B、ヒータ207、インク供給管208及びインク戻し管209を有している。
インクケーシング200は、内部にインクIを貯留する供給側インク室210(図6参照)及び回収側インク室211(図6参照)を有している。供給側インク室210は、インク循環ポンプ201におけるインクIの出口である。回収側インク室211は、インク循環ポンプ201におけるインクIの入口である。供給側インク室210のインク液面上部及び回収側インク室211のインク液面上部は、空気室である。
インク循環ポンプ201は、インクケーシング200の外壁面に取り付けられている。インク循環ポンプ201は、圧電ポンプである。インク循環ポンプ201は、回収側インク室211からインクIを吸引し、供給側インク室210へインクIを流入させる。
インク供給ポンプ202は、インクケーシング200の外壁面に取り付けられている。インク供給ポンプ202は、圧電ポンプである。インク供給ポンプ202は、インクカートリッジ106a〜106dの何れかから印刷やメンテナンス動作等で消費した量のインクをインクケーシング200に補給する。さらに、インク供給ポンプ202は、回収側インク室211へインクIを供給する。
圧力調整部203は、インクジェットヘッド2のノズル51内のインク圧力を適正に保つためにインクケーシング200内部の圧力を調整する。
圧力センサ204は、インクジェットヘッド2へ供給するインクIを貯める供給側インク室210のインク上部の空気圧を検出する。同様に、圧力センサ204は、インクジェットヘッド2から回収するインクを貯める回収側インク室211のインク上部の空気圧を検出する。圧力センサ204の検出部は、供給側インク室210と回収側インク室211の空気部と連通しており、2つのインク室の圧力を計測する。圧力センサ204は、制御基板500(図7参照)に接続されている。圧力センサ204は、供給側インク室210と回収側インク室211内の空気圧を電気信号として制御基板500へ出力する。なお、圧力センサ204は、供給側インク室210及び回収側インク室211それぞれに設けられていてもよい。圧力センサ204は1チップで2つの圧力検知ポートを有し、インクケーシング200内の2つのインク室(供給側インク室210と回収側インク室211)の圧力を検出するようにしてもよい。
インク量計測センサ205Aは、インクケーシング200の外面に取り付けられている。インク量計測センサ205Aは、供給側インク室210内のインク量を計測する。インク量計測センサ205Aは、例えば、供給側インク室210内のインクの液量を5段階で検知することができる。
インク量計測センサ205Bは、回収側インク室211の外面に取り付けられている。インク量計測センサ205Bは、回収側インク室211内のインク量を計測する。インク量計測センサ205Bは、例えば、回収側インク室211内のインクの液量を5段階で検知することができる。
ヒータ207は、インクケーシング200外部に設けられている。ヒータ207は、インクケーシング200に熱伝導性の高い接着剤で貼り付けられている。ヒータ207は、インクケーシング200内のインク粘度を調整するために、インクIを加熱する。インクケーシング200のヒータ207近傍にはインク温度センサ(図示せず)が取り付けられている。ヒータ207及びインク温度センサは、制御基板500に接続されている。ヒータ207は、印刷時に所望のインク粘度になるように制御されている。
インク供給管208は、供給側インク室210とインクジェットヘッド2とを繋ぐ。インク供給管208は、供給側インク室210からインクジェットヘッド2へインクIを供給する。
インク戻し管209は、回収側インク室211とインクジェットヘッド2とを繋ぐ。インク戻し管209は、インクジェットヘッド2から回収側インク室211へインクIを回収する。
図6は、図5に示すインク循環装置3の断面図である。図6を用いて、インク循環装置3の動作及びインクIの流れを説明する。
インク循環ポンプ201は、圧電アクチュエータ(圧電振動板)431を有している。圧電アクチュエータ(圧電振動板)431は、圧電体(圧電素子)を含む部材である。圧電アクチュエータ431は、駆動回路540e(図7参照)によって稼働する。インク循環ポンプ201は、圧電アクチュエータ431に含まれる圧電体への電界の印加によって稼働する。インク供給ポンプ202は、圧電アクチュエータ(圧電振動板)430を有している。圧電アクチュエータ(圧電振動板)430は、圧電体(圧電素子)を含む部材である。圧電アクチュエータ430は、駆動回路540f(図7参照)によって稼働する。インク供給ポンプ202は、圧電アクチュエータ430に含まれる圧電体への電界の印加によって稼働する。
インク循環装置3による送液動作では、駆動回路540eは、設定した周波数、電圧の交流電圧で圧電アクチュエータ430を動作させる。同様に、駆動回路540fは、設定した周波数、電圧の交流電圧で圧電アクチュエータ431を動作させる。例えば、駆動回路540a及び駆動回路540bは、それぞれ、周波数100Hz、電圧280Vppの交流電圧で圧電アクチュエータ430及び431を動作させる。圧電アクチュエータ430及び431の動作電圧は1mVppから500Vpp、周波数は1mHzから200Hzの範囲で動作可能であってもよい。駆動電圧及び駆動周波数は、インクの粘度、インクの搬送量によって決められてもよい。
インク循環装置3は、インク補給口221を有している。インク補給口221には、インクカートリッジ106a〜106dの何れかからインク循環装置3へインクIを送るチューブ107が接続されている。インク補給口221は、インク供給ポンプ202へインクを流入させるインクIの流入口である。
インク供給ポンプ202は、インク補給口221からインク室428へインクIを供給する。インク供給ポンプ202は、圧電アクチュエータ430がたわむことでポンプ内の容積(ポンプ室240)を周期的に変化させる。インク供給ポンプ202は、2つの逆止弁の開閉によってインクIを一方向に搬送させている。
インク供給ポンプ202の一方の逆止弁242は、インク補給口221とポンプ室240との間に設けられている。他方の逆止弁243は、ポンプ室240とインク室428との間に設けられている。圧電アクチュエータ430がたわみ、ポンプ室240が膨張すると、逆止弁242が開く。これにより、ポンプ室240にインクIが流入し、逆止弁243が閉じる。圧電アクチュエータ430が逆方向にたわみ、ポンプ室240が収縮すると、逆止弁242が閉じ、逆止弁243が開く。これにより、ポンプ室240からインク室428にインクIが流出する。この繰り返しにより、インクIは、インク補給口221からインク室428に送られる。
インク循環ポンプ201は、インク供給ポンプ202と同様に構成されている。インク室428は、インク供給ポンプ202とインク循環ポンプ201との共通の液室である。また、インク循環ポンプ201は、流入口412を介して回収側インク室211からインクIを吸引する。インク循環ポンプ201は、インク室428及びインク連通路296を介して供給側インク室210へインクIを流入させる。
密閉されている供給側インク室210は、インク量の増加で内圧が高くなる。インクIは、インク供給管208を通ってインクジェットヘッド2に流入する。反対に、回収側インク室211は、インク量が減少して内圧が低くなる。インクIは、インクジェットヘッド2からインク戻し管209を通って回収側インク室211に流入する。
以上のように、インク循環装置3は、主としてインク循環ポンプ201の駆動により、インク循環装置3とインクジェットヘッド2との間でインクIを循環させる。具体的には、インク循環装置3は、インク供給管208を通して、供給側インク室210から下方のインクジェットヘッド2へインクIを供給する。インク循環装置3は、インク戻し管209を通して、インクジェットヘッド2から上方の回収側インク室211へインクIを回収する。
なお、インクジェットヘッド2の上方にインク循環装置3が搭載されているため、インク循環装置3からインクジェットヘッド2までの経路を短くすることができる。そのため、インクジェット記録装置1を小型化することができる。
図7は、インクジェット記録装置1の動作を制御する制御基板500のブロック図である。制御基板500は、インクジェット記録装置1の各部を動作させる。制御基板500には、電源550と、表示装置560と、キーボード570と、タイマー580が接続されている。
電源550は電力を蓄えるバッテリである。
表示装置560は、インクジェット記録装置1の状況を表示する。
キーボード570は、入力装置である。
タイマー580は、時間をカウントする。
制御基板500は、マイコン510と、メモリ520と、A(Analog)/D(Digital)変換部530を有している。
マイコン510は、インクジェット記録装置1の各部の動作を制御する。マイコン510は、CPU(Central Processing Unit)を含む制御部である。
メモリ520は、プログラムを格納する。メモリ520は、各種情報を格納する。
A/D変換部530は、圧力センサ204、インク量計測センサ205A、インク量計測センサ205B、ヘッド内温度センサ(上流)280及びヘッド内温度センサ(下流)281それぞれの出力電圧を取り込む。なお、A/D変換部530は、増幅回路590aを介してインク量計測センサ205Aからの出力電圧を取り込む。同様に、A/D変換部530は、増幅回路590bを介してインク量計測センサ205Bからの出力電圧を取り込む。
制御基板500は、さらに駆動回路540a〜540gを有している。
駆動回路540aは、モータ102に接続されている。マイコン510は、駆動回路540aを介して、モータ102の動作を制御する。
駆動回路540bは、メンテナンスユニット310に接続されている。マイコン510は、駆動回路540bを介して、メンテナンスユニット310の動作を制御する。
駆動回路540cは、ポンプ104に接続されている。マイコン510は、駆動回路540cを介して、ポンプ104の動作を制御する。
駆動回路540dは、スライドレール105に接続されている。マイコン510は、駆動回路540dを介して、スライドレール105の動作を制御する。
駆動回路540eは、インク循環ポンプ201に接続されている。マイコン510は、駆動回路540eを介して、インク循環ポンプ201の動作を制御する。
駆動回路540fは、インク供給ポンプ202に接続されている。マイコン510は、駆動回路540fを介して、インク供給ポンプ202の動作を制御する。
駆動回路540gは、ヒータ207に接続されている。マイコン510は、駆動回路540gを介して、ヒータ207の動作を制御する。
なお、制御基板500は、他の構成を駆動するための駆動回路を有していてもよい。
次に、上記のように構成されているインクジェット記録装置1の動作について説明する。
インクジェット記録装置1で初めて印刷動作(画像出力)をする場合には、インクカートリッジ106からインク循環装置3とインクジェットヘッド2にインクを充填する必要がある。キーボード570から初期充填動作の指令が入ると、インクジェット記録装置1は、以下の順で動作する。すなわち、マイコン510は、インクカートリッジ106aからインクジェット記録部4aのインク循環装置3とインクジェットヘッド2にシアンインクを充填するように制御する。同様に、マイコン510は、インクカートリッジ106b〜106eからインクジェット記録部4b〜4eそれぞれにマゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、ホワイトインクを充填するように制御する。
なお、マイコン510は、圧力センサ204によって計測された圧力値から換算して、インク循環装置3とインクジェットヘッド2との間で循環するインクIの循環流量を求めることができる。
次に、印刷動作について説明する。キーボード570またはコンピュータ(図示せず)から印刷動作の指令が入ると、メンテナンスユニット310は、ノズルプレート52から離間する。圧力調整部203は、回収側インク室211内の圧力を調整する。
マイコン510による制御に基づいてインク循環ポンプ201は駆動する。インク循環ポンプ201の駆動に基づいて、インクIは、回収側インク室211からインク循環ポンプ201、供給側インク室210、インクジェットヘッド2、回収側インク室211の順に循環する。供給側インク室210のインク液面高さ及び回収側インク室211のインク液面高さが所望のインク液面高さでない場合、マイコン510はインク供給ポンプ202を駆動するように制御する。供給側インク室210のインク液面高さは、インク量計測センサ205Aによる検知に基づいて導かれる。回収側インク室211のインク液面高さは、インク量計測センサ205Bによる検知に基づいて導かれる。
インク供給ポンプ202は、供給側インク室210のインク液面高さが所望の高さになるまでインクカートリッジ106から回収側インク室211にインクIを供給する。同様に、インク供給ポンプ202は、回収側インク室211のインク液面高さが所望の高さになるまでインクカートリッジ106から回収側インク室211にインクIを供給する。
マイコン510は、インクケーシング200に貼り付けられたヒータ207に通電するように制御する。ヒータ207は、インクIが所望の温度になるまで加熱を行う。インクIの温度が所望の温度に到達すると、マイコン510は、インク温度が一定の範囲に収まるようにヒータ207の通電を制御する。
次に、インクジェット記録装置1は、記録媒体Sをスライドレール105で所定距離移動させる。インクジェットヘッド2は、キャリッジ100の走査に同期して印刷する画像データに応じたインクIを記録媒体Sに対して吐出する。インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド2からインクIを吐出する動作を繰り返して、記録媒体Sに画像を形成する。
インクジェットヘッド2がインクIを吐出するとインクケーシング200内のインクIの量が瞬間的に減少する。そのため、回収側インク室211内の圧力は低下する。圧力センサ204が回収側インク室211内の圧力が低下したことを検知すると、圧力調整部203は圧力調整動作を実行する。それとともに、マイコン510は、インク供給ポンプ202を駆動するように制御する。インク供給ポンプ202は、インクジェットヘッド2が吐出したインク量相当のインクIをインクカートリッジ106から回収側インク室211へ送る。
次に、インク循環装置3の予備稼働について説明する。
マイコン510は、印刷動作の開始前にインク循環装置3の予備稼働を行うように制御する。予備稼働とは、印刷動作を伴うことなくインクIを循環させるためのインク循環装置3の稼働である。なお、インクIの循環は主としてインク循環ポンプ201の駆動によるので、インク循環装置3の予備稼働は、インク循環ポンプ201の予備稼働ということもできる。インク循環装置3は、例えば、予備稼働を所定期間行う。インクIは、予備稼働により、インク循環装置3とインクジェットヘッド2との間で循環する。インク循環装置3とインクジェットヘッド2との間で循環するインクIの流量(以下、循環流量という)は、予備稼働により、任意に設定された基準値(以下、流量基準という)以上になる。インクジェット記録装置1は、予備稼働の期間中に印刷動作の指令が入力されたとしても、予備稼働の期間中に印刷動作を行うことはない。インクジェット記録装置1は、予備稼働の期間経過後に印刷動作を開始する。そのため、インク循環装置3が予備稼働を行う間には、ノズル51からインクIが吐出されることはない。
インク循環装置3が予備稼働を行うタイミングを説明する。インク循環装置3は、印刷動作を開始する前の任意のタイミングで予備稼働を行うことができる。以下に、いくつかの例を挙げて説明する。
インク循環装置3は、例えば、インクジェット記録装置1を立上げた時に予備稼働を開始する。インクジェット記録装置1を立上げた時とは、インクジェット記録装置1の主電源をONにした時である。なお、主電源をONにした時は、例えば、インクジェット記録装置1を初めて稼働させる時である。これは、未使用のインク循環装置3を初めて稼働させる時ということもできる。また、主電源をONにした時は、例えば、主電源がOFFの状態で所定期間休止していたインクジェット記録装置1を再稼働させる時である。これは、主電源がOFFの状態で所定期間休止していたインク循環装置3を再稼働させる時ということもできる。インクジェット記録装置1を立上げた時には、インク循環装置3は稼働していない。そのため、インクIは、インク循環装置3とインクジェットヘッド2との間で循環しない。
インク循環装置3は、例えば、主電源がONの状態のままで所定期間休止していたインク循環装置3を再稼働させる時に予備稼働を開始してもよい。このケースでは、インク循環装置3は稼働していない。そのため、インクIは、インク循環装置3とインクジェットヘッド2との間で循環しない。
インク循環装置3は、インク循環装置3が稼働を停止した後から稼働を再開するまでの休止期間中に間欠的に(所定期間間隔で)予備稼働を行ってもよい。ここでは、インク循環装置3が稼働を停止した後から稼働を再開するまでの休止期間をインクジェット記録装置1の非稼働期間(以下、装置非稼働期間という)という。装置非稼働期間は、主電源のONまたはOFFによらない。装置非稼働期間から予備稼働の期間を除いた期間ではインク循環装置3は稼働していない。そのため、インクIは、インク循環装置3とインクジェットヘッド2との間で循環しない。装置非稼働期間には、インクジェット記録装置1は、印刷動作を行うことはない。
図8は、装置非稼働期間における間欠的な予備稼働のフローチャートである。インクジェット記録装置1は非稼働期間に入り、インク循環装置3は稼働していない。
マイコン510は、タイマー580を起動させるように制御する(Act1001)。
マイコン510は、タイマー580によるカウントにより、装置非稼働期間の開始後から所定期間経過したか否かを判断する(Act1002)。
所定期間経過していない場合(Act1002、No)、マイコン510は、所定期間経過するまで待機する。
所定期間経過した場合(Act1002、Yes)、マイコン510は、インク循環装置3の予備稼働を開始するように制御する(Act1003)。マイコン510は、予備稼働の開始後から所定期間経過後に、予備稼働を終了するように制御する(Act1004)。
マイコン510は、予備稼働の終了後から所定期間経過したか否かを判断する(Act1005)。所定期間経過した場合(Act1005、Yes)、Act1003に遷移し、マイコン510は再びインク循環装置3の予備稼働を開始するように制御する。
所定期間経過していない場合(Act1005、No)、マイコン510は、装置非稼働期間が終了したか否かを判断する(Act1006)。Act1006では、マイコン510は、例えば、以下のように装置非稼働期間が終了したと判断する。マイコン510は、装置非稼働期間の開始後から予め決められた期間の経過に基づいて、装置非稼働期間が終了したと判断することができる。マイコン510は、インクジェット記録装置1の主電源のONの検出に基づいて、装置非稼働期間が終了したと判断することができる。マイコン510は、インク循環装置3の稼働の指令の入力に基づいて、装置非稼働期間が終了したと判断することができる。マイコン510は、印刷動作の指令の入力に基づいて、装置非稼働期間が終了したと判断することができる。
装置非稼働期間が終了していない場合(Act1006、No)、Act1005に遷移し、マイコン510は、直近の予備稼働の終了後から所定期間経過したか否かを判断する。
装置非稼働期間が終了した場合(Act1006、Yes)、マイコン510は、装置非稼働期間における間欠的なインク循環装置3の予備稼働の処理を終了する。装置非稼働期間の終了後には、マイコン510は、インク循環装置3を再稼働させる。
上記のような予備稼働のタイミング、予備稼働の間隔などの条件は一例であり、限定されるものではない。これらの条件は、例えば、温度や扱う液体の物性などによって変わる。
装置非稼働期間における予備稼働は、主電源がONであれば、外部電源からの電力供給により行われる。主電源がOFFであれば、予備稼働は、電源550の電力供給によって行われる。
上記のように、装置非稼働期間であっても、インクIは、予備稼働によりインク循環装置3及びインクジェットヘッド2内で撹拌される。そのため、予備稼働は、インク循環装置3及びインクジェットヘッド2内におけるインクIの含有物の沈降や付着を防止することができる。予備稼働は、ノズル51の目詰まりも防止することができる。その結果、インクジェットヘッド2は、印刷動作時にインクIを安定して吐出することができる。
下記に示す比較例と実施例を参照して、本実施形態の作用及び効果を説明する。
はじめに、比較例について説明する。図9は比較例に係る循環流量のデータである。横軸は、インク循環装置3の総稼働時間、縦軸は循環流量を示している。図9に示す流量基準は、インクジェット記録装置1が所定の印刷性能を満たすことができるように任意に設定された循環流量の値である。インク循環装置3は、総稼働時間550Hの時の長期間の停止を除いて連続的に稼働している。インク循環装置3が稼働している状態は、インクIがインク循環装置3とインクジェットヘッド2との間で循環し、インクジェット記録装置1が印刷動作を行える状態である。
未使用のインク循環装置3を試験に用いて循環流量の確認を行なった。搬送液体の循環流量は前述した圧力センサ204による圧力検知により評価を行なった。比較例では、予備稼働は行われていない。
未使用のインク循環装置3を初めて稼働させた時(総稼働時間が0の時)には、循環流量は低く、目標の流量基準に達していない状況であった。循環流量が流量基準よりも低い時には、インク循環装置3からインクジェットヘッド2へのインクIの送り量が不足した。そのため、インクジェット記録装置1が所定の印刷性能を満たさないなどの問題が明らかとなった。結果として、画像のインク濃度が低いなどの画質悪化の影響が出てしまった。
さらに、総稼働時間550Hの時にインク循環装置3の稼働を一旦停止させた。インク循環装置3を長期間(ここでは4日間)休止させた後、インク循環装置3を再稼働させた。インク循環装置3を再稼働させた時には、循環流量が低く、流量基準に達していない状況であった。上記と同様に、循環流量が流量基準よりも低い時には、インク循環装置3からインクジェットヘッド2へのインクIの送り量が不足した。そのため、インクジェット記録装置1が所定の印刷性能を満たさないなどの問題が明らかとなった。結果として、画像のインク濃度が低いなどの画質悪化の影響が出てしまった。
このような結果になった原因をインク循環ポンプ201及びインク供給ポンプ202について調査した。圧電アクチュエータ430を担持している端部押えの部品(例えばゴム)が加圧された状態でしばらく動かない状態で放置されると、この部品には永久歪みが起っていた。圧電アクチュエータ431を担持している端部押えの部品についても同様であった。そのため、未使用のインク循環装置3を初めて稼働させた時には圧電アクチュエータ430及び圧電アクチュエータ431の振動量が不十分であった。所定期間休止していたインク循環装置3を再稼働させる時にも圧電アクチュエータ430及び圧電アクチュエータ431の振動量が不十分であった。このような原因によりインクジェット記録装置1が流量基準以上の循環流量を得られていなかったことが分かった。
インクジェット記録装置1が所定の印刷性能を満たすようにするために、圧電アクチュエータ430を担持している端部押えの部品を交換することが考えられる。同様に、圧電アクチュエータ431を担持している端部押えの部品を交換することが考えられる。しかしながら、一旦、インク循環ポンプ201及びインク供給ポンプ202に組み込んだ部品を交換することは容易ではない。部品の交換は、かえってコストが掛かり、簡易的な構成で液体の搬送を行なうことができる圧電ポンプの特長にそぐわない。また、インク循環ポンプ201及びインク供給ポンプ202に用いる部品の材料として、永久ひずみが極力起らない材料を選択することも考えられる。しかしながら、インク循環ポンプ201及びインク供給ポンプ202の機構上ゴムなどを使用している場合、理想的な部品材料が見つからない。
次に、実施例について説明する。図10は図9に示した比較例と共に実施例に係る循環流量のデータも示している。実施例では、予備稼働が行われた。なお、総稼働時間には予備稼働の時間は含まれていない。
未使用のインク循環装置3を初めて稼働させた時に、印刷動作の前にインク循環装置3の予備稼働を行った。予備稼働は、インク循環ポンプ201及びインク供給ポンプ202を構成する部品の永久歪みをできるだけ緩和するために行われた。通常の印刷動作と同じ駆動条件をインク循環装置3に適用して予備稼働を行った。実施例のデータにおいて、総稼働時間=0の循環流量は、予備稼働終了後の値である。総稼働時間=0の時点において、比較例では循環流量は流量基準に達していなかったのに対して、実施例では循環流量は流量基準を超えた。予備稼働は、総稼働時間=0の時点における循環流量を改善することができた。
さらに、比較例と同様に、総稼働時間550Hの時にインク循環装置3の稼働を一旦停止させた。インク循環装置3を長期間(ここでは4日間)休止させた後、インク循環装置3を再稼働させた。インク循環装置3の稼働を一旦停止させた後からインク循環装置3を再稼働させるまでの期間は、上記の装置非稼働期間に相当する。装置非稼働期間中には、定期的に1日ごとに10分間インク循環装置3の予備稼働を行なった。
装置非稼働期間の終了後にインク循環装置3を再稼働させた時の循環流量は、比較例では流量基準に達していなかったのに対して、実施例では流量基準を超えた。予備稼働は、装置非稼働期間の終了後にインク循環装置3を再稼働させた時における循環流量を改善することができた。
本実施形態によれば、インク循環装置3の予備稼働は、インク循環ポンプ201及びインク供給ポンプ202を構成する部品の永久歪みを原因とする循環流量の低下を改善することができる。循環流量の改善によって、インクジェット記録装置1は、印刷動作時にインクIを安定して吐出することができる。インクジェット記録装置1は、インク吐出の安定化及び循環流量の安定化の両立によって、印刷性能を向上させることができる。その結果、安定した品質の画像が得られる。
次に、本実施形態の第1の変形例を説明する。
インク循環装置3の予備稼働は、上記のように所定期間行われることに代えて、以下のように行われてもよい。図11は、第1の変形例に係るインク循環装置3の予備稼働のフローチャートである。予備稼働は、上記のように任意のタイミングで開始される。
マイコン510は、インク循環装置3の予備稼働を開始するように制御する(Act2001)。マイコン510は、循環流量が流量基準以上か否かを判断する(Act2002)。Act2002では、マイコン510は、予備稼働におけるインクIの循環流量を検知する。マイコン510は、上記のように圧力センサ204による圧力検知によって循環流量を導く。循環流量が流量基準以上でない場合(Act2002、No)、マイコン510は、循環流量が流量基準以上になるまでインク循環装置3の予備稼働を継続するように制御する。
循環流量が流量基準以上である場合(Act2002、Yes)、マイコン510は、予備稼働を終了するように制御する(Act2003)。マイコン510は、印刷動作の指令が入力されたか否かを判断する(Act2004)。Act2004では、マイコン510は、予備稼働終了後の所定期間内だけてなく、予備稼働の期間中に印刷動作の指令が入力されたか否かを判断する。
印刷動作の指令が入力されていない場合(Act2004、No)、マイコン510は、処理を終了し、次の指令が入力されるまで待機する。
印刷動作の指令が入力されている場合(Act2004、Yes)、マイコン510は、ヘッド駆動指令をインクジェットヘッド2へ送る(Act2005)。ヘッド駆動指令は、インクジェットヘッド2に対して印刷処理の開始を許可する指令である。これにより、インクジェット記録装置1は、印刷処理を開始する。
なお、第1の変形例は、上記のようなインクジェット記録装置1を立上げた時、インク循環装置3の再稼働時及び装置非稼働期間中以外にも適用できる。例えば、マイコン510は、インク循環装置3の稼働中であっても、印刷動作の指令が入力された時に第1の変形例で説明した処理を行ってもよい。例えば、マイコン510は、印刷動作の指令が入力されたとしても、循環流量が流量基準以上でなければ、印刷動作を開始しない。インク循環装置3の稼働によって循環流量が流量基準以上になった後に、マイコン510は、印刷動作を開始するように制御する。
第1の変形例によれば、インクジェット記録装置1が印刷動作を開始する前には、循環流量は確実に流量基準以上となる。予備稼働が行われる期間は、予め決められている期間よりも短縮することがある。そのため、第1の変形例によれば、安定した品質の画像が得られるだけでなく、ユーザの利便性が向上する。
次に、本実施形態の第2の変形例を説明する。
インク循環装置3は、メンテナンスユニット310によるインクジェットヘッド2に対するメンテナンス動作に連動させて、または、並行に予備稼働を行ってもよい。メンテナンス動作は、インクジェットヘッド2の吐出安定のために行われる。インクジェット記録装置1で扱う液体によっては、インクIを吐出するノズル51の目詰まりを無くすためのメンテナンス動作が必要となる。第2の変形例によれば、予備稼働は、メンテナンス動作に連動させて、または並行に効率的に行われる。また、インクIが長時間撹拌されないと、インクIの含有物は沈降し、インク循環装置3及びインクジェットヘッド2内の部材に付着する。第2の変形例によれば、予備稼働は、インク循環装置3及びインクジェットヘッド2内を含む循環経路のインクIを撹拌する意味でも効果的である。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。