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JP2017002352A - 二相ステンレス鋼材および二相ステンレス鋼管 - Google Patents

二相ステンレス鋼材および二相ステンレス鋼管 Download PDF

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Abstract

【課題】塩化物等の腐食性物質を含有する環境において、優れた耐食性を発現する二相ステンレス鋼材および二相ステンレス鋼管を提供する。【解決手段】フェライト相とオーステナイト相とからなる二相ステンレス鋼材であって、C:0〜0.05%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、P:0%超0.05%以下、S:0%超0.004%以下、Al:0%超0.05%以下、Ni:2.0〜6.0%、Cr:19.0〜25.0%、Mo:0%超1.0%以下、N:0.01〜0.20%、V:0〜0.01%を含有すると共に、Ta:0.01〜0.30%、REM:0.0005〜0.07%、Zr:0.01〜0.10%のいずれか少なくとも一種を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、二相ステンレス鋼材および二相ステンレス鋼管に関するものである。
ステンレス鋼材は、腐食環境において不働態皮膜と呼ばれるCrの酸化物を主体とする安定な表面皮膜を自然に形成して、耐食性を発現する材料である。特に、フェライト相とオーステナイト相からなる二相ステンレス鋼材は、高強度高耐食の材料として、化学プラント部材、熱交換器などに使用されている。更に、二相ステンレス鋼はオーステナイト系ステンレス鋼と比べて、低Niの成分系であるため、低コストかつ金属原料の価格変動の影響を受けにくい材料となっている。
ステンレス鋼の耐孔食性は、Crの含有量を[Cr]、Moの含有量を[Mo]、Nの含有量を[N]、Wの含有量を[W]とした際に、“[Cr]+3.3[Mo]+16[N]”で計算される孔食指数PRE:Pitting Resistance Equivalentや、Wを含む場合は、“[Cr]+3.3([Mo]+0.5[W])+16[N]”で計算される孔食指数PREWで表される。オーステナイト系ステンレス鋼と比較して高強度であり、更にコストが低いというメリットを有するため、SUS304やSUS316Lの代替鋼種として使用され始めている。尚、前記した各元素の含有量は全て質量%を示し、また、以下の説明で含有量と示すものは全て質量%を示す。
例えば、特許文献1には、SUS304代替を狙ってNi、Moの添加量を下げ、コスト面に優れた二相ステンレス鋼が開示されている。
また、非特許文献1では、ステンレス鋼において鋼中介在物のMnSが局部腐食の起点になっていることを実験的に示している。
また、特許文献2には、Mn添加量を増やすことで、フェライト量とオーステナイト量の比率を調整した二相ステンレス鋼が開示されている。
また、特許文献3には、Vの添加によってV窒化物を析出させ、HAZ靭性を向上させた二相ステンレス鋼が開示されている。しかしながら、Vはα相安定化元素として作用するため、σ相の析出が促進されることで溶接部のα分率が増え、耐食性および靭性を低下させることが想定される。
特開2009−35782号公報 特開2006−193823号公報 WO2009/119895号 武藤泉ら、ふぇらむVol.17(2012),No.12,pp.858−863
二相ステンレス鋼材は、強度特性に優れる反面、圧延や引抜きなどの加工が通常のステンレス鋼材よりも難しい場合が多い。また介在物を起点とした局部腐食を抑制するためには鋼中のSやO量を制御する必要があるが、これらの低減には工業的な観点から限度がある。
また、二相ステンレス鋼材に対して溶接を行う場合、鋭敏化により、溶接部の耐食性が母材より低下する場合がある。尚、鋭敏化とは、熱履歴によって鋼中に含まれるCrやMoなどの元素が、溶接熱影響部でCrNなどの析出物を形成し、母材のCr濃度が低下することによって耐食性が低下する現象である。
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、その主な目的は、例えば、塩化物等の腐食性物質を含有する環境において、優れた耐食性を発現する二相ステンレス鋼材および二相ステンレス鋼管を提供することである。
また、本発明の他の目的は、溶接を施した際の溶接熱影響部において、優れた耐食性を発現する二相ステンレス鋼材および二相ステンレス鋼管を提供することである。
また、本発明の他の目的は、加工性に優れた耐食性を発現する二相ステンレス鋼材および二相ステンレス鋼管を提供することである。
二相ステンレス鋼材は一般的に、フェライト相とオーステナイト相から構成されているため、これら異相界面で不連続性を有している。そのため、フェライト相とオーステナイト相との界面、または鋼中に不可避的に形成される酸化物、硫化物などの介在物と母材金属との界面において、不働態皮膜の連続性が低下することによって、不働態皮膜が不安定になる傾向が強い。その結果、塩化物イオンによる不働態皮膜の破壊作用を受けやすくなり、局部腐食が発生しやすくなる。
そこで、本発明者らは、製造面や諸特性を阻害しない範囲内において、二相ステンレス鋼材の不働態皮膜の安定性および保護性を強化することに着目し、これら局部腐食の原因となる介在物について鋭意検討を進めた。
特に鋼中介在物として鋼材の特性、耐食性に悪影響を与える代表的なものとしてMnSなどの硫化系介在物が挙げられる。例えば、MnSは非特許文献1に記載のように、他の酸化物系介在物と比較して水溶性が高く溶出しやすいことから、局部腐食の起点になりやすいことが知られている。しかし、Mnはオーステナイト形成元素であること、また鋼材強度を高める効果があるために一定量含有させなければならない。またSは鋼中の不純物元素として含有されるため、できるだけ含有量が低い方が好ましいが、前述の通りSの低減には工業的に限度がある。そのため本発明者らは、鋼中のMnやSを低減させることなく局部腐食の起点となる酸化物、硫化物などの介在物を無害化する方法を着想した。
その結果、Ta、REMまたはZrのいずれか少なくとも1種を添加し、その添加量を適切に制御することによって、MnSを高耐食な酸硫化物に改質したり、分散化させたりして、MnSによる耐食性への影響を低減することにより、耐食性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の二相ステンレス鋼材は、フェライト相とオーステナイト相とからなる二相ステンレス鋼材であって、質量%で、C:0〜0.05%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、P:0%超0.05%以下、S:0%超0.004%以下、Al:0%超0.05%以下、Ni:2.0〜6.0%、Cr:19.0〜25.0%、Mo:0%超1.0%以下、N:0.01〜0.20%、V:0〜0.01%を含有すると共に、Ta:0.01〜0.30%、REM:0.0005〜0.07%、Zr:0.01〜0.10%のいずれか少なくとも1種を含有し、残部が鉄および不可避的不純物であることを特徴とする。
前記のように、本発明に係る二相ステンレス鋼材は、所定量のC、Si、Mn、P、S、Al、Ni、Cr、Mo、N、Vを含有すると共に、Ta、REM、Zrのいずれか少なくとも1種を含有することによって、耐食性が向上すると共に、熱間加工性の低下が抑制される。Cは、所定値以下とすることによって、不要な炭化物が形成せず、耐食性の低下を抑制する効果がある。Si、Mn、Alは、脱酸によって熱間加工を高める効果がある。しかしながら、Mnの値が大きいと耐食性や加工性を低下させるMnSの析出を促進させる。Pは、所定値以下とすることによって、加工性および耐食性を向上させる効果がある。Sは、所定値以下とすることによって、耐食性および熱間加工性の低下を抑制する効果があり、特に、Sの値を抑制することによって、耐食性、靱性を損なうMnSの形成を低減させることができる。Cr、Mo、Nは、耐孔食性の向上に効果がある。Niは、耐食性の向上とオーステナイト相安定化に効果がある。TaおよびREMは、孔食の起点となる硫化物系介在物を、孔食の起点となりにくい酸硫化物系複合介在物に改質する効果がある。尚、Vは出来る限り含有しないことが好ましい。
また、本発明の二相ステンレス鋼材は、質量%で、Ta:0.01〜0.30%を含有し、[Ta]/[Mn]が0.02以上であることが好ましい。但し、前記した各式中、[ ]は質量%を示す。
前記のように、[Ta]/[Mn]を制御することで、孔食の起点となる硫化物系介在物を、孔食の起点となりにくいTa含有酸硫化物系複合介在物に改質する効果を高めることができる。
また、本発明の二相ステンレス鋼材は、更に、質量%で、Co:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜2.0%の少なくとも1種を含有することが好ましい。
前記のように、二相ステンレス鋼材は、更に、所定量のCo、Cuの少なくとも1種を含有することによって、耐食性が更に向上する。つまり、Co、Cuは、耐食性の向上およびオーステナイト相の安定化に効果がある。
また、本発明の二相ステンレス鋼材は、更に、質量%で、B:0.0005〜0.010%、Mg:0.0005〜0.020%、Ca:0.0005〜0.020%の少なくとも1種を含有することが好ましい。
前記のように、二相ステンレス鋼材は、更に、所定量のB、Mg、Caの少なくとも1種を含有することによって、熱間加工性が更に向上する。B、Mg、Caは、鋼中に不純物として含まれるSやOと結合して粒界に偏析するのを抑制し、熱間加工性の向上に効果がある。
本発明の二相ステンレス鋼管は、前記した二相ステンレス鋼材からなることを特徴とする。
前記のように、二相ステンレス鋼管は、鋼管を二相ステンレス鋼材で構成することによって、局部腐食の起点となる介在物が改質され、耐食性が向上する。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
本発明の一実施の形態によれば、耐食性に優れた二相ステンレス鋼材を提供することができる。また、本発明の一実施の形態によれば、海水熱交換器など塩化物イオンによる局部腐食が問題となる環境において、優れた耐食性を発現する二相ステンレス鋼管を提供することができる。
TIG溶接における溶接部の熱サイクルを再現した熱処理のヒートパターンを示すグラフ図である。
<二相ステンレス鋼材>
まず、本発明に係る二相ステンレス鋼材の実施形態について説明する。二相ステンレス鋼材は、フェライト相とオーステナイト相とからなる二相ステンレス鋼材である。二相ステンレス鋼材の成分組成は、所定量のC、Si、Mn、P、S、Al、Ni、Cr、Mo、N、Vを含有すると共に、Ta、REM、Zrの少なくともいずれか一種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるように構成されている。更に、Taの含有量を[Ta]、Mnの含有量を[Mn]とした際に、[Ta]/[Mn]が所定の範囲内に制御されるように構成されている。更には、二相ステンレス鋼材は、所定量のCo、Cuの少なくとも1種を含有することが好ましく、また、所定量のB、Mg、Caの少なくとも1種を更に含有することが好ましい。以下、本発明の二相ステンレス鋼材について、鋼材組織、成分組成、製造方法の順に説明する。
(鋼材組織)
本発明の二相ステンレス鋼材は、フェライト相とオーステナイト相の二相からなるものである。フェライト相とオーステナイト相からなる二相ステンレス鋼材においては、CrやMoなどのフェライト相安定化元素はフェライト相に濃縮し、NiやNなどのオーステナイト相安定化元素はオーステナイト相に濃縮する傾向にある。このとき、フェライト相のオーステナイト相に対する面積率が30%未満または70%を超える場合には、Cr、Mo、Ni、Nなどの耐食性に寄与する元素のフェライト相とオーステナイト相における濃度差異が大きくなりすぎて、フェライト相とオーステナイト相のいずれか耐食性に劣る側が選択腐食されて耐食性が劣化する傾向が大きくなる。従って、フェライト相とオーステナイト相との比率も最適化することが推奨され、フェライト相のオーステナイト相に対する面積率は、耐食性の観点から30〜70%が好ましい。面積率のより好ましい下限は40%、好ましい上限は60%である。尚、フェライト相とオーステナイト相の面積率は、フェライト相安定化元素とオーステナイト相安定化元素の含有量を調整することによって適正化することが可能である。
また、本発明の二相ステンレス鋼材は、フェライト相とオーステナイト相以外にσ相やCrの炭窒化物などの異相も耐食性や機械特性などの諸特性を害さない程度に許容できる。フェライト相とオーステナイト相との面積率の合計は、鋼材の全相、すなわち全組織に対して95%以上とすることが好ましく、97%以上とすることがより好ましい。
(成分組成)
次に、本発明の二相ステンレス鋼材の成分組成の数値範囲とその限定理由について詳細に説明する。尚、成分組成の表示単位である%は全て質量%を意味する。
・C:0〜0.05%
Cは、鋼材中でCr等との炭化物を形成して耐食性を低下させる有害な元素である。そのため、Cの含有量を0.05%以下とする。尚、Cの含有量はできる限り少ない方が良いため、好ましくは0.04%以下、より好ましくは0.03%以下とする。また、Cは鋼材中に含有されていなくても良く、すなわち、0%であっても良い。
・Si:0.1〜2.0%
Siは、脱酸とフェライト相の安定化のために必要な元素である。このような効果を得るために、Siの含有量を0.1%以上、好ましくは0.15%以上、より好ましくは0.2%以上とする。しかし、過剰にSiを含有させると加工性が劣化することから、Siの含有量は2.0%以下、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.0%以下とする。
・Mn:0.1〜2.0%
Mnは、強度確保およびオーステナイト相の安定化のために必要な元素である。Mnの含有量が不足している場合、溶接熱影響部におけるオーステナイト相量が不足し、フェライト相中に固溶できないNがCrNとして析出し、耐食性を低下させる。従って、Mnの含有量を0.1%以上、好ましくは0.15%以上、より好ましくは0.2%以上とする。しかし、過剰にMnを含有させると粗大なMnSの形成を促進し、かつ、Mn、Cr、O、Sの複合介在物の形成を促進させ、Ta含有酸硫化物の形成を抑制し、母材および溶接熱影響部の耐食性、冷間加工性が劣化することから、Mnの含有量は2.0%以下、好ましくは1.7%以下、より好ましくは1.5%以下とする。
・P:0%超0.05%以下
Pは、不純物として不可避的に混入し、耐食性に有害な元素であり、溶接性や加工性も劣化させる元素である。そのため、Pの含有量を0.05%以下とする。また、Pの含有量は、できる限り少ない方が良く、好ましくは0.04%以下、より好ましくは0.03%以下である。尚、Pは鋼材中に含有されていなくても良く可能であれば0%であっても良いと考えられるが、Pは前記したように不可避的に混入する元素でもある。また、Pの含有量の過度の低減は、製造コストの上昇をもたらすので、Pの含有量の実操業上の下限は0.01%程度である。
・S:0%超0.004%以下
Sは、Pと同様に不純物として不可避的に混入し、Mn等と結合してMnSなどの硫化物系介在物を形成して、耐食性や熱間加工性を劣化させる元素である。そして、Sを過剰に含有させると、酸硫化物系複合介在物へのTa添加による改質が不十分となり、耐食性が低下する。更に、熱間加工性も低化する。そのため、Sの含有量を0.004%以下、好ましくは0.003%以下、より好ましくは0.001%以下とする。尚、Sは背景技術に記載したように、その含有量が低ければ低いほど好ましく鋼材中に含有されていなくても良く、可能であれば0%であっても良いと考えられるが、Sは前記したように不可避的に混入する元素でもある。従って、Sの含有量の実操業上の下限は0.0004%程度である。
・Al:0%超0.05%以下
Alは、脱酸元素であり、溶製時のOの含有量およびSの含有量の低減に必要な元素である。しかし、過剰にAlを含有させると粗大な酸化物系介在物を生成させて、耐孔食性に悪影響を及ぼすことから、Alの含有量を0.05%以下とする。好ましくは0.04%以下、より好ましくは0.03%以下である。尚、本発明ではAlの含有量の下限値は特に限定しないが、好ましい下限は0.001%、より好ましい下限は0.003%、更に好ましい下限は0.005%である。
・Ni:2.0〜6.0%
Niは、耐食性向上に必要な元素であり、特に、塩化物環境における局部腐食抑制に効果が大きい。また、Niは、低温靱性を向上させるのにも有効であり、更にオーステナイト相を安定化させるためにも必要な元素である。Niの含有量が不足している場合、溶接熱影響部で十分な量のオーステナイト相が析出しないため、フェライト相中に固溶できないNがCrNとして析出し、耐食性を低下させる。従って、Niの含有量を2.0%以上、好ましくは2.5%以上、より好ましくは3.0%以上とする。しかし、過剰なNiの添加はコストの上昇を招くため、Niの含有量は6.0%以下、好ましくは5.0%以下、より好ましくは4.0%以下とする。
・Cr:19.0〜25.0%
Crは、不働態皮膜の主要成分であり、ステンレス鋼材の耐食性発現の基本元素である。また、Crは、フェライト相を安定化させる元素である。そのため、フェライトとオーステナイトの二相組織を維持して、耐食性、強度を両立させるためには、Crの含有量を19.0%以上、好ましくは20.0%以上、より好ましくは21.0%以上とする。Crの含有量が下限値未満であると均質な不働態皮膜を形成できず、母材および溶接熱影響部の耐食性が大きく低下する。しかし、過剰にCrを含有させると、溶接熱影響部でのフェライト相量が増加し、冷却時にフェライト相に残ったNがCrNとして析出し、耐食性を低下させる。従って、Crの含有量は、25.0%以下、好ましくは24.5%以下、より好ましくは24.0%以下とする。
・Mo:0%超1.0%以下
Moは、溶解時にモリブデン酸を生成して、インヒビター作用により耐局部腐食性を向上させる効果を発揮し、耐食性を飛躍的に向上させる元素である。また、Moは、フェライト相を安定化させる元素であり、鋼材の耐孔食性・耐割れ性を改善させる効果がある。一方で、非常に高コストかつ価格安定性に乏しい元素でもある。このことから、本発明においては、Moの含有量は、1.0%以下、好ましくは、0.8%以下、より好ましくは0.6%以下とする。尚、本発明ではMoの含有量の下限値は特に限定しないが、好ましい下限は0.1%、より好ましい下限は0.2%、より好ましい下限は0.25%である。
・N:0.01〜0.20%
Nは、強力なオーステナイト相を安定化させる元素であり、σ相の生成感受性を増加させずに耐食性を向上させる効果がある。更に、Nは、鋼の高強度化にも有効な元素である。Nの含有量が少なすぎる場合は、溶接熱影響部で十分な量のオーステナイト相が析出しないため、フェライト相中に固溶できないNがCrNとして析出し、耐食性を低下させる。従って、Nの含有量を、0.01%以上、好ましくは0.03%以上、より好ましくは0.05%以上とする。しかし、過剰にNを含有させると、オーステナイト相に拡散しきれなかったNがフェライト相中にCrNとして析出し、靭性や耐食性を低下させる。また、熱間加工性を劣化させ、鍛造・圧延時に耳割れや表面欠陥を生じさせる。そのため、Nの含有量の上限を、0.20%以下、好ましくは0.19%以下、より好ましくは0.17%以下とする。
・V:0〜0.01%
Vは不純物元素であるが、極微量でも含有すると二相ステンレス鋼の特性に悪影響を及ぼす。また、VはNと結合しやすく、固溶N量を低下させるため、耐食性を低下させる。加えて、強いフェライト形成元素として作用する元素である。介在物制御のためにオーステナイト安定化元素であるMnの量を制限している本発明では、Vを添加するとα/γ相比率のバランスが崩れ、σ相の析出が促進され、耐食性および靭性が低下する。従って、出来る限り含有させないことが好ましく、0%であることが最も好ましいが、許容できるVの含有量の上限は0.01%である。
Ta、REMおよびZrは、いずれもMnSなどの硫化物系介在物を改質したり、分散化させたりすることにより、耐食性を向上させる上で有用な元素であり、本発明では、それら元素のうち少なくとも1種を含有する。
・Ta:0.01〜0.30%
Taは、耐食性に悪影響を及ぼすMnSなどの硫化物系介在物を、Taを含有する酸硫化物系複合介在物に改質することで、耐食性を向上させる元素である。また、Taは、Oと結合することで、Cr系酸化物の生成を抑制する元素であり、鋼材の実質的なCr濃度向上に寄与する効果がある。このような効果を得るためには、Taの含有量を、0.01%以上、好ましくは0.02%以上、より好ましくは0.04%以上とする。しかし、Taは非常に高価な元素であることに加え、過剰にTaを含有させると、鋼中のNと結合することで窒化物として析出してしまい、靱性、熱間加工性およびNの有効濃度を低減させてしまう。そのため、耐食性が低下する。また、Taで改質された酸硫化物系複合介在物が多数析出してしまい、熱間加工性を低下させる。そのため、Ta含有量は、0.30%以下、好ましくは0.25%以下、より好ましくは0.20%以下とする。
・REM:0.0005〜0.07%
REMは、Taと同様に、耐食性に悪影響を及ぼすMnSなどの硫化物系介在物を、REMを含有する酸硫化物系複合介在物に改質することで、耐食性を向上させる元素であるため、Taに代えて、REMを用いても良い。このような効果を得るためには、REMの含有量の下限を、0.0005%以上、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.002%以上とする。しかし、過剰にREMを含有させると粒界にREMが偏析して熱間加工性が乏しくなることから、REMの含有量の上限を0.07%以下、好ましくは0.06%以下、より好ましくは0.05%以下とする。尚、本発明において、REMとは、ランタノイド元素、すなわちLaからLuまでの15元素およびScとYを含む意味である。これらの元素のなかでも、La、CeおよびYよりなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含有することが好ましく、LaまたはCeの少なくとも一種の元素を含有することがより好ましい。
・Zr:0.01〜0.10%
Zrは、強力な脱酸剤として作用する元素であり、耐食性に悪影響を及ぼすMnSなどの硫化物系介在物の核となるZrを含む酸化物や窒化物を均一に分散することで耐食性を向上する効果を有している。また、Zrの酸化物や窒化物は溶接熱影響部でのフェライト結晶粒のピン止めや、オーステナイト相の形成核として働き、溶接熱影響部の組織を微細化することができる。溶接熱影響部の組織を微細化することで、溶接によってCrやMoの析出物などの形成を抑制し、耐食性が低下することを防ぐことができる。このような効果を得るためには、Zrの含有量を0.01%以上、好ましくは0.015%以上、より好ましくは0.02%以上とする。しかしながら、過剰な添加により粗大なZr窒化物を多量に形成し、熱間加工性を低下させる。そのため、Zr含有量の上限は0.10%以下、好ましくは0.07%以下、より好ましくは0.05%以下とする。
・[Ta]/[Mn]が0.02以上
上記の通り、耐食性を改善するためには、鋼中介在物で局部腐食の起点になるようなMnSを抑制することが重要である。Taは、耐食性に悪影響を及ぼすMnSのような硫化物を、Taを含有する酸硫化物複合介在物に改質することができる。
Mnを過剰に含有し、[Ta]/[Mn]の比率が小さいときは、Taを含有した酸硫化物複合介在物を形成せず、Mnを多く含む酸硫化物複合介在物を形成する。この介在物はTaを含有したものと比べて耐食性が低く、環境によっては孔食の起点となりうるものである。[Ta]/[Mn]の比率を大きくすることで、Taを含有した酸硫化物複合介在物を形成させることができ、介在物におけるTa含有酸硫化物複合介在物の比率が多いほど耐食性が向上する。このような効果を得るには、[Ta]/[Mn]を0.02以上とすることが好ましい。より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.05以上とする。[Ta]/[Mn]の比率は高ければ高いほど好ましいが、Taは原料のコストや熱間加工性を考えて、過剰な添加を避けるべきであり、Mnはオーステナイト安定化元素として重要な元素であるため、その上限はおおよそ0.5程度である。
本発明の二相ステンレス鋼材の成分組成は、上記の通りであり、残部は鉄及び不可避不純物である。不可避的不純物は、溶製時に不可避的に混入する不純物であり、鋼材の諸特性を害さない範囲で含有される。不可避的不純物としては、O、Sb、Sn、As、Znを例示することができ、これらの元素の含有量は、合計で0.1%以下であることが好ましい。
また、上記元素に加えて更に、下記量のCo、Cu、B、Mg、Caを含有させることにより、耐食性や熱間加工性などを更に向上させることができる。また、本発明の二相ステンレス鋼材の効果に悪影響を与えない範囲で、前記成分に加えて、更に他の元素を含有させても良い。以下、これらの元素について説明する。
・Co:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜2.0%の1種または2種
Coは、耐食性の向上およびオーステナイト相を安定化させる元素である。このような効果を得るために、Coを含有させるときは、その含有量を0.1%以上、好ましくは0.2%以上とする。しかしながら、Coは非常に高価な元素であるため、原料コストの観点から、Coを含有させるときは1.0%以下、好ましくは0.7%以下とする。
Cuは、耐食性の向上およびオーステナイト相を安定化させる元素である。このような効果を得るために、Cuを含有させるときは、その含有量を0.1%以上、好ましくは0.2%以上とする。しかし、Cuを過剰に含有させると、ε−Cuが析出し、オーステナイト相安定化の効果が得られないばかりか、耐食性および熱間加工性を劣化させることから、Cuの含有量は2.0%以下、好ましくは1.5%以下とする。
・B:0.0005〜0.010%、Mg:0.0005〜0.020%、Ca:0.0005〜0.020%の1種または2種以上
Bは、粒界に偏析することで、熱間加工性を向上させる元素である。この効果を得るためには0.0005%以上含有させる必要があり、好ましくは0.0006%以上、より好ましくは0.0008%以上で、更に好ましくは0.001%以上である。しかしながら、過剰に含有させるとホウ化物を形成し、熱間加工性および耐食性を劣化させる。よって、好ましい含有量は0.010%以下であり、より好ましくは0.005%以下である。
MgおよびCaは、鋼中に不純物として含まれるSやOと結合して、これらの介在物が粒界に偏析するのを抑制して熱間加工性を向上させる元素である。また、Sと結合することにより、局部腐食の起点となりやすいMnSの形成を抑制して、耐局部腐食性を向上させる元素である。このような効果を得るために、Mg、Caを含有させるときは、Mgの含有量、Caの含有量の下限を、それぞれ0.0005%、好ましくは0.0010%とする。しかし、これらの元素を過剰に含有させると、酸化物系介在物の増加を招き、耐食性、加工性が劣化する。そのため、Mgの含有量、Caの含有量を、それぞれ0.020%以下、好ましくは0.010%以下とする。また、MgおよびCaの含有量の合計は、耐食性および熱間加工性を考慮して、0.001〜0.020%が好ましい。
・PRE
本発明に係る二相ステンレス鋼材は、Crの含有量を[Cr]、Moの含有量を[Mo]、Nの含有量を[N]とした際に、[Cr]+3.3[Mo]+16[N]の値であるPREが20〜30程度の省合金系の二相ステンレス鋼を対象としている。PREが高いほどステンレス鋼の再不働態化能は高くなり、介在物溶解の影響を無視できるようになるが、高価な合金の含有量が増えてしまうため、本発明ではこれらの合金の含有量を制限し、その上限を30としている。
(製造方法)
本発明の二相系ステンレス鋼材は、通常のステンレス鋼の量産に用いられている製造設備および製造方法によって製造することができる。鋼中の不純物としてのOを低減するためには、SiやAl等のOとの親和力の大きい元素を多めに添加して脱酸を行い、更に、真空脱ガスやアルゴンガス攪拌などの二次精錬の時間を長時間化したり、複数回行ったりすることによって酸化物系介在物を除去することができる。
ここで、耐食性に劣るMnSなどの硫化物系介在物を抑制し、耐食性に優れる所望の改質した酸硫化物系複合介在物とする、或いは分散化した状態とするためには、精錬工程で溶鋼中のS濃度に応じて、Ta源、REM源またはZr源を添加すればよい。これらの添加タイミングは、特に制限を受けるものではないが、脱酸および脱硫処理後に添加する方が、歩留りが高く望ましい。また、Ta源、REM源またはZr源としては、金属、合金、酸化物、フッ化物、金属塊・粉などを用いることができるが、特に限定はされない。
鋼塊の製造は、例えば、転炉あるいは電気炉にて溶解した溶鋼に対して、AOD法やVOD法などによる精錬を行って成分調整した後、連続鋳造法や造塊法などの鋳造方法で鋼塊とする。得られた鋼塊を1000〜1200℃程度の温度域にて熱間加工を行い、次いで冷間加工を行って所望の寸法形状にすることができる。また、熱間加工時の総加工比=元鋼塊の断面積/加工後の断面積は、通常通り10〜50程度とする。
本発明においては、機械特性に有害な析出物を低減させるため、必要に応じて固溶化熱処理を施して急冷することが好ましい。固溶化熱処理の温度は、1000〜1100℃が好ましく、保持時間は10〜30分が好ましく、急冷は10℃/秒以上の冷却速度で冷却することが好ましい。また、必要に応じてスケール除去などの表面調整のための酸洗を行うことができる。
以上の製造方法によって製造された二相ステンレス鋼材は、腐食性物質を含有する環境において、優れた耐食性を発現すると共に、熱間加工性や溶接部耐食性にも優れたものである。
<二相ステンレス鋼管>
次に、本発明に係る二相ステンレス鋼管の実施形態について説明する。二相ステンレス鋼管は、前記二相ステンレス鋼材からなるもので、通常のステンレス鋼管の量産に用いられる製造設備および製造方法によって製造することができる。例えば、丸棒を素材とした押出製管やマンネスマン製管、板材を素材として成形後に継ぎ目を溶接する溶接製管などによって、所望の寸法にすることができる。また、二相ステンレス鋼管の寸法は、鋼管が使用される海水淡水化プラント、LNG気化器、燃料噴射管等に応じて適宜設定することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
(鋼材の作製)
小型溶解炉:容量20kg/1chによって、表1,2に示す成分組成の鋼を溶製し、円柱鋳型:本体:φ110×約200mmを用いて鋳造した。また、各鋼について、PRE=[Cr]+3.3[Mo]+16[N]の算出結果についても表2に示す。尚、表1,2の成分組成欄において、空欄は該当成分が含有されていないことを示し、残部はFeおよび不可避的不純物である。凝固した鋼塊を1200℃まで加熱し、同温度で熱間鍛造:鍛造温度:1000〜1200℃を施し、その後切断した。次に1100℃で30分保持の固溶化熱処理を施し、冷速12℃/秒で水冷後に切断し、40×100×400mmの鋼材に仕上げた。
(試料の採取)
次に、前記鋼材から加工方向に平行に採取した試料:20mm×30mm×2mmtを用いて、以下に示す手順で、耐孔食性などの耐食性、熱間加工性などを評価した。
また、前記試料を加工方向と垂直な断面を埋め込み、鏡面研磨し、シュウ酸水溶液中で電解エッチングを行った後、倍率100倍の光学顕微鏡観察を行い、各試料の組織を観察した。その結果、いずれの試料もフェライト相とオーステナイト相の二相からなるものであった。
(母材の耐食性の評価)
母材の耐食性の評価は、JISG0577に記載の方法を参考にして評価を行った。試料表面をSiC#600研磨紙で湿式研磨し、超音波洗浄した後、スポット溶接で試料に導線の取り付けを行い、試料表面の試験面:10mm×10mmの部分以外をエポキシ樹脂で被覆した。その試料を80℃に保持した3.5%人工海水中に10分間浸漬した。その後、20mV/minの掃引速度でアノード分極を行い、電流密度が0.1mA/cmを超えた時点の電位を孔食電位:VC‘100とした。耐食性の評価は、孔食電位が130mV vs.SCEを基準とし、150mV vs.SCEを超えるものを良好として評価した。その結果を表3,4に示す。尚、SCEとは飽和カロメル電極のことである。
(溶接熱影響部の耐食性の評価)
溶接熱影響部の耐食性の評価は、図1に示すように、1300℃まで15秒で加熱した後、5秒間保持し、1300℃から500℃まで7℃/secで冷却し、更に500℃から室温まで3℃/secで冷却するという、TIG溶接における溶接部の熱サイクルを再現した熱処理を鋼材に与えた後、前記した母材の耐食性の評価と同様の条件で評価を行った。耐食性の評価は、孔食電位が130mV vs.SCEを基準とし、150mV vs.SCEを超えるものを良好として評価した。その結果を表3,4に示す。
(熱間加工性の評価)
熱間加工性の評価は、溶製した材料を30%熱間鍛造した際に発生する表面欠陥を目視で観察することで行った。端面から1cmを除いた箇所で、長さ1cm以上の表面欠陥が試料1cmあたり0.05個未満のものを欠陥なし、0.05個以上のものを欠陥ありとして熱間加工性を評価した。その結果を表3,4に示す。
表3に示す試験結果は、表1に示すTaを含有する二相ステンレス鋼材を用いて行った試験結果である。表3、および後述する表4において、孔食電位が130mV vs.SCEであり、且つ熱間加工性で欠陥がなかったものを、耐食性および加工性の基準を満たす鋼材として、総合判定をAで表示した。更に、孔食電位が150mV vs.SCEであり、且つ熱間加工性で欠陥がなかったものを、更に耐食性が優れる鋼材として、総合判定をAAで表示した。
本発明の要件を満たす鋼材No.A1〜A17の実施例については、いずれも耐食性、加工性の基準を満足していることが分かる。更に、鋼材No.A1〜A16の実施例については、TaとMnの比を適切に制御しているため、優れた耐食性を有していることが分かる。それに対して、本発明の要件を満たさない鋼材No.B1〜B8の比較例については、以下の不具合を有している。
鋼材No.B1は、Mnの含有量が本発明の上限を超えるため、MnSが析出し、溶接熱影響部での耐食性、熱間加工性が基準を満たさなかった。鋼材No.B2は、Sの含有量が本発明の上限を超えるため、MnSを析出し、母材および溶接熱影響部での耐食性、熱間加工性が基準を満たさなかった。鋼材No.B3、鋼材No.B4は、Ni、Nの含有量が本発明の下限を下回っているため、フェライト相量が過剰となり、母材および溶接熱影響部での耐食性、熱間加工性が基準を満たさなかった。鋼材No.B5は、Crの含有量が本発明の下限を下回っているため、母材および溶接熱影響部での耐食性が基準を満たさなかった。鋼材No.B6、鋼材No.B7は、Taの含有量が本発明の上限または下限から外れるものである。下限を下回ると溶接熱影響部での耐食性が基準を満たさず、上限を超えると粗大なTa窒化物を形成し熱間加工性が基準を満たさなかった。鋼材No.B8は、Vの含有量が上限を上回っており、窒化物形成による有効窒素濃度の低下、および溶接熱影響部でのフェライト相の形成により、溶接熱影響部の耐食性が基準を満たさなかった。
表4に示す試験結果は、表2に示すZrを含有する二相ステンレス鋼材を用いて行った試験結果である。本発明の要件を満たす鋼材No.C1〜C15の実施例については、いずれも優れた耐食性を有していることが分かる。それに対して、本発明の要件を満たさない鋼材No.D1〜D7の比較例については、以下の不具合を有している。
鋼材No.D1は、Mnの含有量が本発明の上限を超えるため、粗大なMnSが析出し、母材および溶接熱影響部での耐食性が基準を満たさなかった。鋼材No.D2は、Zrの含有量が本発明の上限を超えるため、粗大なZr窒化物の析出によって、熱間加工性が基準を満たさなかった。鋼材No.D3は、Zrの添加量が極めて微量のため、粗大なMnSが析出し、母材および溶接熱影響部での耐食性が基準を満たさなかった。鋼材No.D4は、Sの含有量が本発明の上限を超えるため、粗大なMnSが析出し、母材および溶接熱影響部での耐食性、熱間加工性が基準を満たさなかった。鋼材No.D5は、Niの含有量が本発明の下限を下回っているため、フェライト相量が過剰となり、母材および溶接熱影響部での耐食性が基準を満たさなかった。鋼材No.D6は、Crの含有量が本発明の下限を下回っているため、母材および溶接熱影響部での耐食性、熱間加工性が基準を満たさなかった。鋼材No.D7は、Vの含有量が本発明の上限を上回っており、窒化物形成による有効窒素濃度の低下、および溶接熱影響部でのフェライト相の形成により、溶接熱影響部の耐食性、熱間加工性が基準を満たさなかった。

Claims (5)

  1. フェライト相とオーステナイト相とからなる二相ステンレス鋼材であって、
    質量%で、C:0〜0.05%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、P:0%超0.05%以下、S:0%超0.004%以下、Al:0%超0.05%以下、Ni:2.0〜6.0%、Cr:19.0〜25.0%、Mo:0%超1.0%以下、N:0.01〜0.20%、V:0〜0.01%を含有すると共に、Ta:0.01〜0.30%、REM:0.0005〜0.07%、Zr:0.01〜0.10%のいずれか少なくとも1種を含有し、残部が鉄および不可避的不純物であることを特徴とする二相ステンレス鋼材。
  2. 質量%で、Ta:0.01〜0.30%を含有し、
    [Ta]/[Mn]が0.02以上である請求項1記載の二相ステンレス鋼材。
    但し、前記した各式中、[ ]は質量%を示す。
  3. 更に、質量%で、Co:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜2.0%の少なくとも1種を含有する請求項1または2に記載の二相ステンレス鋼材。
  4. 更に、質量%で、B:0.0005〜0.010%、Mg:0.0005〜0.020%、Ca:0.0005〜0.020%の少なくとも1種を含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の二相ステンレス鋼材。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の二相ステンレス鋼材からなることを特徴とする二相ステンレス鋼管。
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