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JP2017086036A - キトサン誘導体コート基材を用いる細胞培養物の製造方法 - Google Patents

キトサン誘導体コート基材を用いる細胞培養物の製造方法 Download PDF

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JP2017086036A JP2015223978A JP2015223978A JP2017086036A JP 2017086036 A JP2017086036 A JP 2017086036A JP 2015223978 A JP2015223978 A JP 2015223978A JP 2015223978 A JP2015223978 A JP 2015223978A JP 2017086036 A JP2017086036 A JP 2017086036A
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明石 満
Mitsuru Akashi
満 明石
友亮 樋上
Yusuke Higami
友亮 樋上
あすか 加藤
Asuka Kato
あすか 加藤
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University of Osaka NUC
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Osaka University NUC
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Abstract

【課題】刺激応答性ゲルを用いて細胞シートや三次元細胞集合体などの細胞培養物を製造する際に、刺激応答によって細胞培養物が培養器材から剥離する時間を短縮して製造効率を上げ、足場タンパク質をゲルに添加等の必要を無くする簡略化を行い、得られる細胞培養物中の細胞の損傷を少なくする、剥離できる細胞の種類を広範なものにする細胞培養物の製造方法の提供。【解決手段】下記工程を含む、細胞培養物の製造方法で、温度応答性キトサン誘導体が、キトサンの3−位並びに/或いは6−位のヒドロキシル基及び/又は2−位のアミノ基にヒドロキシアルキル基が置換し、温度応答性キトサン誘導体コートが足場タンパク質を含まないキトサン誘導体である、方法。(a)温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器に細胞を播種・培養し、(b)温度応答性キトサン誘導体を該細胞の培養温度より低温条件下に置いて、細胞培養物を容器から剥離させる【選択図】なし

Description

本発明は、キトサン誘導体コート基材を用いる細胞培養物の製造に関する。詳細には、キトサン誘導体をコートした培養容器を用いる細胞シートや三次元細胞集合体などの細胞培養物の製造に関する。
誘導多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)を中心とする再生医療の急速な発展に伴って、実験動物の代替モデル、薬剤スクリーニング、組織の再生に応用可能な細胞シートや三次元細胞集合体の構築がより重要になっている。具体的には、とりわけヒト細胞を用いていかに組織・臓器を構築するか、構築した組織・臓器をいかに回収するかといった技術の開発が重要な課題となっている。
従来の培養技術では、細胞をディッシュやフラスコなどの培養容器に接着、増殖させ、トリプシン等の酵素処理によって剥離・回収していた。しかしながら、このような酵素を用いた剥離では、細胞外に発達している表面のタンパク質が損傷し、構築した組織自体が崩れてしまう。
このような問題を解決するために、温度やpH、光に応答して物性が変化する刺激応答性ゲルを用いる試みが行われており、例えば、温度応答性ゲルを用いた剥離可能な培養器材が開発され(非特許文献1参照)、市販されている。これは、代表的な温度応答性高分子として知られているポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を共有結合で器材にグラフトさせたものである。しかし、細胞の剥離に長時間(約30分)を要する、剥離できない細胞種もある等の問題があった。また、このようなゲルを用いる方法では、フィブロネクチン等の足場タンパク質を用いる必要が生じることが多かった。足場タンパク質を用いる場合は、培養の前段階で足場タンパク質をゲルに添加あるいは重層する工程が必要となり、時間的、コスト的に不利になる、細胞の剥離が困難になるという問題があった。
N. Yamada et al., Makromol. Chem. Rapid Commun. 1990, 11, 571
本発明が解決しようとする課題は、刺激応答性ゲルを用いて細胞シートや三次元細胞集合体などの細胞培養物を製造する際に、刺激応答によって細胞培養物が培養器材から剥離する時間を短縮して製造効率を上げること、足場タンパク質をゲルに添加等する必要を無くして工程の簡略化を行うこと、得られる細胞培養物中の細胞の損傷を少なくする、剥離できる細胞の種類を広範なものにすること等である。
本発明者らは、上記課題を解決せんと鋭意研究を重ねたところ、ヒドロキシブチルキトサンを培養容器にコートし、足場タンパク質を用いずに該コート上で細胞を培養し、次いで、ヒドロキシブチルキトサンの下限臨界溶解温度よりも低い温度に置くと、細胞培養物が迅速に剥離することを見出し、本発明を完成させるに至った。なお、本明細書において、ヒドロキシブチルキトサンをHBCと略称することがある。
すなわち、本発明は以下のものに関する:
(1)下記工程:
(a)温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器に細胞を播種して培養し、次いで、
(b)温度応答性キトサン誘導体を該細胞の培養温度より低温条件下に置いて、細胞培養物を容器から剥離させる
を含む、細胞培養物の製造方法であって、温度応答性キトサン誘導体が、キトサンの3−位および/または6−位のヒドロキシル基、および/または2−位のアミノ基にヒドロキシアルキル基が置換したものであり、温度応答性キトサン誘導体コートが足場タンパク質を含まないものである、方法。
(2)ヒドロキシアルキル基の炭素数が3〜5個である、(1)記載の方法。
(3)ヒドロキシアルキル基がヒドロキシブチル基である、(2)記載の方法。
(4)ヒドロキシブチル基の導入率が1.5〜2.5である、(3)記載の方法。
(5)細胞培養物が細胞シートである、(1)〜(4)のいずれか記載の方法。
(6)細胞培養物が三次元細胞集合体である、(1)〜(4)のいずれか記載の方法。
(7)温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器を含む、細胞培養物を製造するためのキットであって、(1)〜(6)のいずれか記載の方法に使用されるキット。
(8)温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器であって、温度応答性キトサン誘導体が、キトサンの3−位および/または6−位のヒドロキシル基、および/または2−位のアミノ基にヒドロキシアルキル基が置換したものであり、温度応答性キトサン誘導体コートが足場タンパク質を含まないものである、培養容器。
(9)ヒドロキシアルキル基の炭素数が3〜5個である、(8)記載の培養容器。
(10)ヒドロキシアルキル基がヒドロキシブチル基である、(9)記載の培養容器。
(11)ヒドロキシブチル基の導入率が1.5〜2.5である、(10)記載の培養容器。
本発明によれば、簡便かつ迅速に細胞培養物を得ることができる。本発明により得られる細胞培養物中の細胞数は多く、細胞生存率も高い。また、培養可能な細胞の種類も多い。したがって、実用に適した大型の細胞シートや三次元細胞集合体を得ることができる。
図1は、本発明のHBCコートシャーレからのシート状の細胞培養物の剥離例を示す写真である。剥離した細胞培養物を丸で囲んだ。 図2は、本発明のHBCコートシャーレからの細胞培養物の剥離時間を示すグラフである。ボックス中の横線は平均値、縦棒は標準偏差を示す。
本発明は1の態様において、細胞培養物の製造方法を提供する。該方法は、下記工程:
(a)温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器に細胞を播種して培養し、次いで、
(b)温度応答性キトサン誘導体を該細胞の培養温度より低温条件下に置いて、細胞培養物を容器から剥離させる
を含む。該方法において、温度応答性キトサン誘導体は、キトサンの3−位および/または6−位のヒドロキシル基および/または2−位のアミノ基にヒドロキシアルキル基が置換したものであり、温度応答性キトサン誘導体コートは、足場タンパク質を含まないものである。
本発明の上記方法の第1工程(a)は、温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器に細胞を播種して培養する工程である。細胞は、温度応答性キトサン誘導体コート上に播種される。この工程は、温度応答性キトサン誘導体を培養容器にコートする工程を含んでいてもよい。
本発明において、培養容器は、細胞や微生物の培養に通常用いられている素材、形状のものであってよい。培養容器の素材としては、ガラス、ステンレス、プラスチックなどが例示されるが、これらに限定されない。培養容器の形状としては、ディッシュ、チューブ、フラスコ、ボトル、プレートなどが例示されるが、これらに限定されない。
培養容器への温度応答性キトサン誘導体のコートは、当業者に公知の方法にて行うことができる。コート法としては、ディップコート法、スピンコート法、キャストコート法などが例示されるが、これらに限定されない。培養容器にコートする際に、当業者であれば、温度応答性キトサン誘導体の分子量、溶液にしたときの粘度、得られるコートの厚さ等を考慮して、コート方法を選択し、コートに使用する温度応答性キトサン誘導体の量などのコート条件を決定することができる。コートは、培養容器の表面全体に行ってもよく、部分的に行ってもよい。また例えば、温度応答性キトサン誘導体をコートしたスライドガラスやプラスチック板などの基板をディッシュ等の容器中に置いてもよく、本明細書においてはかかる態様も培養容器と称する。
本発明において、温度応答性キトサン誘導体コートは足場タンパク質を含まない。足場タンパク質は、細胞が培養容器に接着するための足場となるタンパク質であり、ゼラチン、フィブロネクチン、コラーゲンなど様々な種類のものが当業者に知られている。足場タンパク質を含まないとは、温度応答性キトサン誘導体コート上に足場タンパク質がコートされていない状態のみならず、温度応答性キトサン誘導体コート中に足場タンパク質が含有されていない状態も包含する。実施例で示すように、コートが足場タンパク質を含まない場合に、足場タンパク質を含む場合と比較して、多くの細胞を回収することができる。したがって、本発明によれば、大型の細胞培養物を得ることができる。
キトサンは、キチン(ポリ−β1→4−N−アセチルグルコサミン)の脱アセチル化物であり、天然に存在する多糖である(エビ、カニなどの甲殻類、昆虫などに多く含まれている)。キトサンは、キチンの2−位において脱アセチル化反応を行うことによって得ることができる。キチンの脱アセチル化反応は、濃アルカリ中での煮沸処理等の公知の方法により行うことができる。キトサンの誘導体化方法も当業者に公知である。
温度応答性キトサン誘導体は、一定の温度よりも低温では水分子が水和して溶解するが、当該一定の温度よりも高温では高分子鎖が凝集してゲル化あるいは固化するキトサン誘導体である。
本発明に用いられる温度応答性キトサン誘導体の種類は、上記のような特性を有するものであれば、特に限定されない。かかる温度応答性キトサン誘導体は、キトサンの水酸基および/またはアミノ基が、ヒドロキシアルキル基などによって置換されているものが例示されるが、これらの基に限定されない。本発明に用いられる温度応答性キトサン誘導体は、好ましくは、キトサンの3−位および/または6−位のヒドロキシル基および/または2−位のアミノ基にヒドロキシアルキル基が置換したものである。上記ヒドロキシアルキル基中のアルキル基は、好ましくは低級アルキル基であり、炭素数は1〜6個、さらに好ましくは3〜5個、最も好ましくは4個である。したがって、本発明において最も好ましい温度応答性キトサン誘導体の典型例として、ヒドロキシブチルキトサンが挙げられる。なお、アルキル基はその構造異性体を包含する。本発明において、複数種類の温度応答性キトサン誘導体を用いてもよい。例えば、ヒドロキシブチルキトサンとヒドロキシプロピルキトサンを混合して用いてもよい。
ヒドロキシアルキルキトサンの製造方法は公知であり、例えば米国特許第4931271号、特開平6−65305号公報等を参照することができる。アルカリ処理したキトサンと1,2−ブチレンオキシドを反応させることにより、部分的にヒドロキシブチル基で修飾されたキトサンを得ることができる(国際公開WO2015/129881参照)。
HBCはゾル−ゲル転移を数秒以内に示すため、細胞培養物の剥離を迅速に行うことができる。さらに、ヒドロキシブチルキトサンは細胞毒性がないので、溶解したヒドロキシブチルキトサンが細胞培養物に混入しても細胞の機能への影響は見られない。
本明細書において、キトサンへの置換基の導入率は、グルコサミン1ユニット当たりの置換基の導入割合である。置換基の導入位置は2−、3−および6−位とする。置換基の導入割合は当業者が適宜調節することができる。本発明において、置換基がヒドロキシブチル基である場合、細胞の増殖性、剥離容易性を考慮すると、好ましい導入率は約1.5〜約2.5、より好ましくは約1.7〜約2.4である。置換基は1種類であってもよく、複数種類であってもよい。例えば、ヒドロキシブチル基とヒドロキシプロピル基によって置換されたキトサンであってもよい。
本発明に用いられる温度応答性キトサン誘導体の分子量は特に制限はない。当業者であれば、培養する細胞の種類や所望の細胞培養物の形状などの項目に応じて、温度応答性キトサン誘導体の分子量を適宜選択することができる。
本発明の上記方法に供される細胞は、動物細胞であれば特に限定されない。例えば、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、マウス、ラット等の細胞であってもよい。細胞の由来部位も特に限定されず、骨、筋肉、内臓、神経、脳、骨、皮膚、血液などに由来する体細胞であってもよく、生殖細胞であってもよい。さらに、本発明の上記方法に供される細胞としては、誘導多能性幹細胞細胞(iPS細胞)、胚性幹細胞(ES細胞)であってもよい。
細胞の播種は、動物細胞の分野で行われている一般的な方法により行うことができる。例えば、適当な数の細胞を含む培地を、温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器に注入あるいは添加することにより播種を行うことができる。
細胞の培養は、培養される細胞に適した培養条件下で行うことができる。当業者は、細胞の種類や所望の機能に応じて適切な培地を選択することができる。培養温度や培養時間等の諸条件も当業者が容易に定めうる。細胞シートを得るためには、コンフルエントになるまで細胞を培養する。培養温度は温度応答性キトサン誘導体が溶解する温度よりも高温とする。
本発明の上記方法の第2工程(b)は、温度応答性キトサン誘導体を、工程(a)の細胞培養温度より低温条件下に置いて、細胞培養物を容器から剥離させる工程である。
上で説明したように、本発明で用いられる温度応答性キトサン誘導体は、一定の温度よりも低温では水分子が水和して溶解するが、当該一定の温度よりも高温では高分子鎖が凝集してゲル化あるいは固化するキトサン誘導体である。したがって、本発明の第2工程(b)の低温条件とは、温度応答性キトサン誘導体が溶解する温度またはそれより低温の条件である。一般的には、本発明の第2工程(b)における低温条件とは、温度応答性キトサン誘導体の下限臨界溶液温度(LCST)よりも低温の条件である。好ましくは、第2工程(b)の低温条件は、工程(a)における細胞の培養温度よりも低温であり、かつ細胞に対して凍結等による損傷を与える温度よりも高い温度の条件である。第2工程(b)の低温条件を例示すると、約0℃〜約37℃、約4℃〜約35℃、約10℃〜約35℃、約15℃〜約35℃、約15℃〜約30℃、あるいは室温(例えば約15℃〜約25℃)等が挙げられるが、これらに限定されない。
様々な操作によって、温度応答性キトサン誘導体を細胞の培養温度よりも低温の条件下に置くことができる。かかる操作として、例えば、培地に所定の温度の培地を添加する、培地を所定の温度の培地や生理食塩水と交換する、あるいは培養容器を所定の温度のインキュベータ中に置く、培養容器を所望の温度の水浴に浸す等の操作が挙げられるが、これらの操作に限定されない。
多くの場合、温度応答性キトサン誘導体コート上の細胞培養物は、温度応答性キトサン誘導体を細胞の培養温度よりも低温の条件下に置いて放置するだけで培養容器から剥離させることができる。剥離はピンセット等の通常の器具を用いて行うことができる。必要な場合は、ピペッティング、タッピング、培養面の壁側の端部を切り離す等の操作により細胞培養物の剥離を促進してもよい。本発明において、温度応答性キトサン誘導体としてヒドロキシブチルキトサンを用いた場合には、剥離に必要な時間は、細胞の種類や培養条件にもよるが、長くても約20分以内であり、約10分以内、あるいは約5分以内で剥離することも可能である。すなわち、本発明における細胞培養物の剥離に要する時間は極めて短時間である。また、本発明において得られる細胞培養物は、損傷が少なく、細胞数が多く、しかも細胞生存率が高い。
本発明の方法で得られる細胞培養物の形状は特に限定されず、線状、シート状、三次元細胞集合体など様々な形状であってよい。本明細書において、三次元細胞集合体は、複数の細胞層を含む細胞集合体、またはかかる細胞集合体の増殖物をいう。
上述のように、コンフルエントになるまで細胞を培養することにより細胞シートを得ることができる。本発明により得られる細胞シートは細胞数が多く、細胞生存率も高い。したがって、本発明によれば、所望の機能を保持した大型の細胞シートを得ることができる。
本発明により得られる細胞培養物は、例えば三次元細胞集合体であってもよい。三次元細胞集合体の製造は、細胞シートを重層する方法が一般的であり、本発明により作製された細胞シートをこの方法に適用することができる。あるいは、本発明の温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器上に細胞の塊または立体構造体を置き、培養し、次いで剥離させることにより、さらに大型で機能的な三次元細胞集合体を得ることができる。細胞塊または立体構造体は、生体組織片であってもよく、人工的に立体構造を有するように構築されたものであってもよい。人工の細胞の塊または立体構造体は、例えば特開2007−228921、特開2012−115254、特開2014−057527、特開2015−100334などに記載の方法により作製することができるが、これらの方法以外によっても作製することができる。また、本発明の温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器上において、例えば上記の方法を用いて細胞の塊または立体構造体を作製し、培養し、次いで剥離させることにより、三次元細胞集合体を得ることもできる。
本発明は、もう1つの態様において、温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器を含む、細胞培養物を製造するためのキットであって、上で説明した本発明の方法の実施に使用されるキットを提供する。したがって、本発明のキットにおいて、温度応答性キトサン誘導体は、キトサンの3−位および/または6−位のヒドロキシル基および/または2−位のアミノ基にヒドロキシアルキル基が置換したものであり、温度応答性キトサン誘導体コートは足場タンパク質を含まないものである。本発明のキットは、温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器のほか、細胞培養物の剥離に必要なピンセット等の器具等を含んでいてもよい。通常は、取扱説明書をキットに添付する。本発明のキットにおける温度応答性キトサン誘導体、コート、培養容器は上で説明したとおりである。
本発明は、さらにもう1つの態様において、温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器であって、温度応答性キトサン誘導体が、キトサンの3−位および/または6−位のヒドロキシル基および/または2−位のアミノ基にヒドロキシアルキル基が置換したものであり、温度応答性キトサン誘導体コートが足場タンパク質を含まないものである、培養容器を提供する。この態様においても、温度応答性キトサン誘導体、コート、培養容器等については上で説明したとおりである。
以下に実施例を示して本発明をより詳細かつ具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1. HBCをコートした培養シャーレ上での細胞培養および細胞培養物の剥離
(1)実験材料
表1に示す3種のHBCを使用した。
培養用シャーレとして、Nunc社の表面コートのない35mmディッシュ(カタログ番号171099)を用いた。
細胞はヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)(Lonza社、カタログ番号CC−2509)を用いた。
培地は非動化済み10% FBS、1%抗生物質を含むD−MEM(ナカライテスク社、カタログ番号08458−16)を用いた。
これらの材料を実施例2および実施例3においても使用した。
(2)実験方法
HBC低分子品(SAK7)を超純水に溶解させ、10mg/mlの水溶液を作成した。表面コートのない培養用シャーレ(Nunc社)に500μL滴下し、室温にて30分放置した。その後、超純水1mLで2回、100% エタノール(EtOH) 1mLで1回洗浄し、25℃のインキュベータ内で一晩乾燥させた。上記の手順により形成されたHBC膜は、透明で肉眼では確認できなかった。
HBC高分子品(HD)を超純水に溶解させ、2.5mg/mlおよび1mg/lmの水溶液を作成した。表面コートのない培養用シャーレ(Nunc社)に各500μL滴下し、室温にて30分放置した。その後、超純水1mLで2回、100% EtOH 1mLで1回洗浄し、25℃のインキュベータ内で一晩乾燥させた。上記の手順により形成されたHBC膜は、透明で肉眼では確認できなかった。
上記方法でHBCコートしたシャーレにNHDFを1×10個ずつ播種した。各条件でコンフルエントになるまで培養した。コンフルエントになった細胞は、室温5分放置、4℃のPBSを3mL滴下し剥離の様子を観察した。回収した細胞をトリパンブルーで染色し、Countess(ThermoFisher社)にて細胞の生存率を計測した。
比較実験のために、上記方法で得られたシャーレのHBCコート上に足場タンパク質であるフィブロネクチンをコートした。シャーレを10分間UV照射下に置き、0.2%フィブロネクチン溶液を滴下して30分コートした後、NHDFを1×10個ずつ播種した。各条件順次コンフルエントになるまで培養した。コンフルエントになった細胞は、室温5分放置、4℃のPBSを3mL滴下し剥離の様子を観察した。回収した細胞をトリパンブルーで染色し、Countess(ThermoFisher社)にて細胞の生存率を計測した。
(3)実験結果
HBC低分子品をディップコートしたシャーレを用いた場合の結果を表2に示す。NCはHBCコートがフィブロネクチンでコートされていないことを示す。FNはHBCコートがフィブロネクチンでコートされていることを示す。○は細胞が接着し、伸展し、温度応答により剥離できたことを示す。
HBC高分子品をディップコートしたシャーレを用いた場合の結果を表3に示す。NCはHBCコートがフィブロネクチンでコートされていないことを示す。FNはHBCコートがフィブロネクチンでコートされていることを示す。○は細胞が接着し、伸展し、温度応答により剥離できたことを示す。
実験した条件下において、低分子品、高分子品のいずれを用いた場合でも、細胞が接着し、伸展し、温度応答による剥離が可能であった。いずれの条件下でも、分割されない1枚のシート状の細胞培養物が得られた。フィブロネクチンコートしなかったものとフィブロネクチンコートしたものの差については、細胞が増殖する速度においてコートなし品が早い傾向が見られた(3日でコンフルエント)。
フィブロネクチンコートの有無によって最も大きな違いが見られたのは、温度応答により回収できた細胞の数で、フィブロネクチンコートしたものに比べて、フィブロネクチンをコートしなかったものでは1.2倍〜3倍もの細胞数が得られた。フィブロネクチンコートしたものは、剥離中に培養物が破損する、あるいはコート上に残るなどして回収が困難となったためである。細胞の生存率については、フィブロネクチンをコートしなかったものはフィブロネクチンコートしたものと同程度であった。
実施例2. HBCをスピンコートした培養シャーレ上での細胞培養および細胞培養物の剥離
迅速に均一なHBCコートを得やすいスピンコート法によりHBCコートを施して、その上でNHDFを培養し、剥離性等について検討した。
(1)実験材料
実施例1で説明したものを用いた。
(2)実験方法
3種類のHBC(低分子品(SAK7)、高分子品(HD)、購入品(大日精化品))を100%EtOHに溶解させ、0.5mg/mlのEtOH溶液を作成した。表面コートのない培養シャーレ(Nunc社)に滴下量を変え(20μL、10μL)スピンコーター(アイデン社)で8000rpm、20秒の条件でHBC溶液をスピンコートした。この実験では、HBCコート上に足場タンパク質フィブロネクチンをコートしなかった。また比較実験として、温度応答性高分子としてポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を用いた細胞剥離可能な市販の培養器材を使用した。
NHDFを1×10個播種した。各条件につき3枚ずつシャーレを用意し、培養5日目、7日目に室温に戻して、温度応答による細胞培養物の剥離を観察した。市販の培養器材については、付属のプロトコルに従い室温に30分放置して剥離の様子を観察した。細胞培養物の回収には、一部条件でピペッティングを併用した。回収した細胞はトリパンブルーで染色し、Countess(ThermoFisher社)にて細胞の生存率を計測した。
(3)実験結果
HBC低分子品、HBC高分子品、HBC市販品を用いた場合の結果を、表4〜表6に示す。○は細胞が接着し、伸展し、温度応答により剥離できたことを示す。
実験した条件下において、低分子品、高分子品、購入品のいずれを用いた場合でも、細胞が接着し、伸展し、温度応答による剥離が可能であった。いずれの条件でも同様に、分割されない1枚のシート状の細胞培養物が得られた。その典型例を図1に示す。
ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を用いた市販の培養器材を用いて5日培養した場合は細胞が接着し、伸展し、温度応答による剥離が可能であったが、回収細胞数は1.32x10個で本発明よりも少なく、生存率も95%と本発明よりも低い傾向が見られた。また、市販の培養器材を用いて7日培養した場合は細胞が剥離しなかった。
シャーレにスピンコートしたHBC上のフィブロネクチンコートの有無が細胞の接着、伸展、剥離に及ぼす影響について調べた。
実施例2に記載の方法を用いてHBC低分子品をスピンコートした。すなわち、HBC低分子品を100%EtOHに溶解させ、2.5mg/mlおよび1mg/mlのEtOH溶液を作成した。表面コートのない培養シャーレ(Nunc社)に滴下量を変え(20μL、10μL、5μL)スピンコーター(アイデン社)で8000rpm、20秒の条件でHBC溶液をスピンコートした。各条件につきシャーレを2枚調製し、そのうち1枚に実施例1の記載の方法にてフィブロネクチンをコートした。
結果を表7および表8に示す。NCはHBCコートがフィブロネクチンでコートされていないことを示す。FNはHBCコートがフィブロネクチンでコートされていることを示す。○は細胞が接着し、伸展し、温度応答により剥離できたことを示す。
フィブロネクチンコートしたものに比べて、フィブロネクチンをコートしなかったものでは回収細胞数が多い傾向が見られ、最大で4.6倍もの細胞数が得られた。この結果は、HBCをディップコートしたときと同様であった。細胞の生存率については、フィブロネクチンをコートしなかったものはフィブロネクチンコートしたものと同程度であった。
実施例4. HBCをスピンコートした培養シャーレからの細胞培養物の剥離時間の検討
実施例2と同じ方法で3種類のHBCをコートしたシャーレ上でNHDFを5日間培養し、剥離に要した時間を調べた。市販の培養器材は実施例3で使用したものと同じものであった。結果を図2に示す。
HBCの種類において、剥離時間に差はあったが、ほとんどの場合、市販の培養器材を用いる場合よりも短縮される結果が得られた(市販の培養器材を用いる場合は約30分)。特に高分子品を用いた場合は、剥離時間が5分前後と非常に短かった。
本発明は、再生医療に関連する技術分野において非常に有用である。

Claims (11)

  1. 下記工程:
    (a)温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器に細胞を播種して培養し、次いで、
    (b)温度応答性キトサン誘導体を該細胞の培養温度より低温条件下に置いて、細胞培養物を容器から剥離させる
    を含む、細胞培養物の製造方法であって、温度応答性キトサン誘導体が、キトサンの3−位および/または6−位のヒドロキシル基および/または2−位のアミノ基にヒドロキシアルキル基が置換したものであり、温度応答性キトサン誘導体コートが足場タンパク質を含まないものである、方法。
  2. ヒドロキシアルキル基の炭素数が3〜5個である、請求項1記載の方法。
  3. ヒドロキシアルキル基がヒドロキシブチル基である、請求項2記載の方法。
  4. ヒドロキシブチル基の導入率が1.5〜2.5である、請求項3記載の方法。
  5. 細胞培養物が細胞シートである、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 細胞培養物が三次元細胞集合体である、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  7. 温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器を含む、細胞培養物を製造するためのキットであって、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法に使用されるキット。
  8. 温度応答性キトサン誘導体をコートした培養容器であって、温度応答性キトサン誘導体が、キトサンの3−位および/または6−位のヒドロキシル基および/または2−位のアミノ基にヒドロキシアルキル基が置換したものであり、温度応答性キトサン誘導体コートが足場タンパク質を含まないものである、培養容器。
  9. ヒドロキシアルキル基の炭素数が3〜5個である、請求項8記載の培養容器。
  10. ヒドロキシアルキル基がヒドロキシブチル基である、請求項9記載の培養容器。
  11. ヒドロキシブチル基の導入率が1.5〜2.5である、請求項10記載の培養容器。
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