以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
また、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い膜を指し、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指す。
また、本明細書等において、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる場合がある。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、場合によっては、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である酸化物半導体膜について説明する。
本発明の一態様の酸化物半導体膜は、インジウム(In)と、M(MはAl、Ga、Y、またはSnを表す。)と、亜鉛(Zn)と、を有する。特に、Mはガリウム(Ga)であると好ましい。以下では、MをGaとして説明する。
酸化物半導体膜がInを有すると、例えばキャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、酸化物半導体膜がGaを有すると、例えば酸化物半導体膜のエネルギーギャップ(Eg)が大きくなる。なお、Gaは、酸素との結合エネルギーが高い元素であり、酸素との結合エネルギーがInよりも高い。また、酸化物半導体膜がZnを有すると、酸化物半導体膜の結晶化が起こり易い。
ここで、本発明の一態様の酸化物半導体膜について、図1乃至図13を用いて説明する。
<1−1.相平衡状態図>
図1は、本発明の一態様の酸化物半導体膜の原子数比を説明する、相平衡状態図の一例である。
図1では、本発明の一態様の酸化物半導体膜が有する、In、M、及びZnの原子数比の好ましい範囲について例示している。なお、酸素の原子数比については図1には記載しない。
本発明の一態様の酸化物半導体膜は、Inと、Mと、Znと、を有する酸化物半導体膜であって、酸化物半導体膜は、In1+xM1−xO3(ZnO)y(xは0<x<0.5を満たす数、yは概略1を表す。)構造の固溶域近傍の組成である。すなわち、図1に示す領域11近傍の酸化物半導体膜である。
なお、本発明の一態様の酸化物半導体膜の成膜方法としては、例えば、スパッタリング法、パルスレーザ堆積(PLD)法、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、真空蒸着法などが挙げられる。熱CVD法の例としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。特に、本発明の一態様の酸化物半導体膜としては、スパッタリング装置を用いて形成すると、大面積のガラス基板などであっても均一な成膜が可能であるため好ましい。
ここで、相平衡状態図における、各元素の原子数の比について、図2(A)(B)を用いて説明する。図2(A)(B)には、X、Y及びZを頂点とする正三角形と、座標点の例として座標点R(4:2:1)を示す。ここで各頂点はそれぞれ元素X、Y及びZを表す。それぞれの原子数の比は、各頂点に近いほど高く、遠いほど低い。また、図2(A)に示すようにそれぞれの原子数の比は、座標点から、その三角形の頂点の対辺までの垂線の長さであらわされる。例えば、元素Xであれば、座標点から頂点Xの対辺、すなわち辺YZまでの垂線21の長さで表される。よって、図2(A)(B)に示す座標Rは、元素X、元素Y及び元素Zの原子数比が垂線21、垂線22及び垂線23の長さの比、すなわちx:y:z=4:2:1であることを表す。また、頂点Xと座標点Rを通る直線が辺YZと交わる点をγとする。この時、線分Yγの長さと線分γZの長さの比をYγ:γZとすると、Yγ:γZ=(元素Zの原子数):(元素Yの原子数)となる。
また、図2(B)に示すように、座標点Rを通り、三角形の3辺とそれぞれ平行な3つの直線を引く。この時3つの直線と3辺との交点を用いて、x、y、及びzは図2(B)に示す通り表すことができる。
なお、非特許文献1に記載されているように、In、元素M、及びZnを有する酸化物では、InMO3(ZnO)m(mは自然数)で表されるホモロガス相(ホモロガスシリーズ)が存在することが知られている。図1に示す太い直線は、In2O3、M2O3、及びZnOの粉末を混合し、1350℃で焼成した場合に、単一相の固溶域をとり得ることが知られている組成である。
より詳しくは、図1に示す相平衡状態図において、破線は、In:M:Zn=(1+α):(1−α):1構造(αは−1≦α≦1を満たす数)の固溶域、In:M:Zn=(1+α):(1−α):2構造の固溶域、In:M:Zn=(1+α):(1−α):3構造の固溶域、In:M:Zn=(1+α):(1−α):4構造の固溶域、及びIn:M:Zn=(1+α):(1−α):5構造の固溶域を表す。また、一点鎖線は、In:M=1:1、In:M=1:2、In:M=1:3、In:M=1:7、In:M=2:1、In:M=3:1、及びIn:M=5:1の組成となるラインを表す。
また、図1に示す四角のシンボルは、スピネル型の結晶構造が混在しやすいことが知られている組成である、ZnM2O4を示す座標である。また、図1に示す黒丸のシンボルで示す座標Aは、In:M:Zn=1.33:0.67:1(概ねIn:M:Zn=4:2:3)の組成である。また、図1に示す三角のシンボルで示す座標Bは、In:M:Zn=1:1:1の組成である。また、図1に示す二点鎖線は、Inを示す座標と、ZnM2O4を示す座標と、を結んだ直線である。また、図1に示す領域12は、スピネル型の結晶構造が共存しやすい領域である。
非特許文献1では、図1に示すIn:M:Zn=(1+α):(1−α):1構造の固溶域、In:M:Zn=(1+α):(1−α):2構造の固溶域、In:M:Zn=(1+α):(1−α):3構造の固溶域、In:M:Zn=(1+α):(1−α):4構造の固溶域、及びIn:M:Zn=(1+α):(1−α):5構造の固溶域は、In2O3、M2O3、及びZnOの粉末を混合し、1350℃で焼成した場合の平衡状態での結果である。
一方で、スパッタリング装置等を用いて形成された酸化物半導体膜は、高温(例えば、1000℃以上1500℃以下)の熱処理を行わない場合、準平衡状態を取り得る。この場合、非特許文献1に示す単一相の固溶域を取り得る範囲から多少のずれがあっても単一相を取り得る場合がある。
また、In:M:Zn=(1+α):(1−α):1構造の固溶域でも、領域12に示すスピネル相が共存しやすい領域に近づくと、単一相(例えばホモロガス相)の酸化物半導体膜を形成しようとしても、酸化物半導体膜中にスピネル型の結晶構造が含まれる場合がある。
また、In:M:Zn=(1+α):(1−α):1構造の固溶域から大きくずれた場合、すなわち、単一相を示すストイキオメトリから組成が大きく外れた場合においては、酸化物半導体膜中に複数の結晶構造が共存(例えば、二相共存、三相共存など)する場合がある。酸化物半導体膜中に複数の結晶構造が共存する場合、異なる結晶構造の間において、粒界(グレインバウンダリーともいう)が形成され、酸化物半導体膜の電気特性、または信頼性が悪くなる場合がある。または、酸化物半導体膜中に複数の結晶構造が共存する場合、酸化物半導体膜の結晶性等のばらつきの要因ともなり得る。
したがって、本発明の一態様の酸化物半導体膜としては、単一相、特にホモロガス相を示す結晶構造であると好適である。
そこで、本発明の一態様の酸化物半導体膜においては、In1+xM1−xO3(ZnO)y(xは0<x<0.5を満たす数、yは概略1を表す。)構造の固溶域近傍の組成とし、MよりもInの含有率を多くすることで、領域12に示すスピネル相が共存しやすい領域から離れ、単一相を示す結晶構造となることが可能となる。また、Inの含有率を多くすることで、酸化物半導体膜のキャリア移動度(電子移動度)を高くすることができる。
特に、本発明の一態様の酸化物半導体膜は、In1+xM1−xO3(ZnO)y(xは0<x<0.5を満たす数、yは概略1を表す。)構造の固溶域近傍の組成の中でも、特に図1に示す黒丸のシンボルで示す座標A(In:M:Zn=1.33:0.67:1(概ねIn:M:Zn=4:2:3))近傍の組成とすることが好ましい。
なお、本明細書等において、近傍とは、ある金属原子Mの原子数比に対して、プラス・マイナス1以内、さらに好ましくはプラス・マイナス0.5以内の範囲とすればよい。例えば、酸化物半導体膜の組成がIn:Ga:Zn=4:2:3の近傍である場合、Gaが1以上3以下(1≦Ga≦3)であり、且つZnが2以上4以下(2≦Zn≦4)、好ましくはGaが1.5以上2.5以下(1.5≦Ga≦2.5)であり、且つZnが2以上4以下(2≦Zn≦4)であればよい。また、本明細書等において、概略とは、ある数字のプラス・マイナス0.2もその範囲に含まれる。例えば、概略1とは、0.8以上1.2以下が範囲に含まれる。
また、酸化物半導体膜をスパッタリング装置にて成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される場合がある。特に、成膜時の基板温度によっては、Znは、ターゲットの原子数比よりも膜の原子数比が小さくなる場合がある。したがって、本発明の一態様の酸化物半導体膜においては、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の酸化物半導体膜も本発明の一態様の酸化物半導体膜の範疇に含めるものとする。なお、スパッタリング装置に用いるターゲットとしては、多結晶金属酸化物ターゲットであることが好ましい。
ここで、In、Ga、及びZnを有するターゲットの原子数比と、該ターゲットを用いてスパッタリング法で得られる酸化物半導体膜との原子数比の関係を調べた結果について説明する。用いたターゲットの原子数比と、スパッタリング法により得られた酸化物半導体膜の原子数比とを表1に示す。なお、ターゲットとしては、多結晶金属酸化物ターゲットを用いた。
成膜条件として、成膜ガスにアルゴン及び酸素を用い、酸素流量比を33%とした。ここで酸素流量比とは、酸素流量÷(酸素流量+アルゴン流量)×100[%]で表される量である。また、圧力は0.4Paから0.7Paの範囲とし、基板温度を200℃乃至300℃、電源電力を0.5kW(DC)とした。また、成膜装置としては、平行平板型スパッタリング装置を用いた。
また、表1に示す膜の原子数比は、ICP−MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)を用いて評価した。なお、表1において、膜の原子数比としては、Inを1または3として規格化し、Ga及びZnを算出した値である。
表1に示す結果より、膜の原子数比であるIn及びGaは、ターゲットの原子数比から、大きく変化しないことが分かる。一方で、膜の原子数比であるZnは、ターゲットの原子数比から、大きく変化していることが分かる。
そこで、ターゲットの原子数比と、膜のZnの残留率との関係について確認を行った。ターゲットの原子数比と、Znの残留率との関係を図3に示す。図3中の数字は、表1に示すターゲットのIn:Ga:Znの原子数比を表す。また、図3において、縦軸に示すZn(Film)とは、成膜によって得られた膜のZnの原子数比を、In、Ga、及びZnの原子数比の和で割った値であり、縦軸に示すZn(Target)とは、ターゲットのZnの原子数比を、ターゲットのIn、Ga、及びZnの原子数比の和で割った値である。また、図3において、縦軸に示すZn(Film)/Zn(Target)×100とは、酸化物半導体膜に含まれるZnの残留率を表す。また、図3において、横軸に示すZn(Film)/Ga(Film)とは、成膜によって得られた膜のZnの原子数比を、成膜によって得られた膜のGaの原子数比で割った値である。
図3に示す結果より、膜のGaに対するZnの原子数比(Zn(Film)/Ga(Film))と、Znの残留率(Zn(Film)/Zn(Target)×100)との間には良好な相関関係があることが分かる。すなわち、Gaに対してZnが少ない方が、Znの残留率が低くなっている。
また、図3に示す結果より、スパッタリング法により得られる酸化物半導体膜のZnの残留率は、ターゲットの原子数比に対し50%以上90%以下の範囲内であることがわかる。すなわち、ターゲットの原子数比と比較して、成膜された酸化物半導体膜のZnは大きく減少する場合がある。
例えば、酸化物半導体膜の組成がIn:Ga:Zn=4:2:3の組成を得たい場合、図3における横軸であるZn(Film)/Ga(Film)の値は1.5である。Zn(Film)/Ga(Film)=1.5のZn残留率としては、概ね74%となるため、ターゲットの組成を、In:Ga:Zn=4:2:4.1近傍とすればよいことが分かる。
なお、本発明の一態様の酸化物半導体膜は、後述するCAAC−OSであることが好ましい。また、CAAC−OSは、特にスピネル型の結晶構造が含まれないことが好ましい。スピネル型の結晶構造が含まれているかどうかは、例えば、酸化物半導体膜をX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって、分析することにより評価することができる。
<1−2.酸化物半導体の構造>
次に、本発明の一態様の酸化物半導体膜が有する酸化物半導体の構造について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous like Oxide Semiconductor)、非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、nc−OSなどがある。
非晶質構造の定義としては、一般に、準安定状態で固定化していないこと、等方的であって不均質構造を持たないことなどが知られている。また、結合角度が柔軟であり、短距離秩序性は有するが、長距離秩序性を有さない構造と言い換えることもできる。
逆の見方をすると、本質的に安定な酸化物半導体の場合、完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。ただし、a−like OSは、微小な領域において周期構造を有するものの、鬆(ボイドともいう。)を有し、不安定な構造である。そのため、物性的には非晶質酸化物半導体に近いといえる。
[CAAC−OS]
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
以下では、TEMによって観察したCAAC−OSについて説明する。図4(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって行うことができる。
図4(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を図4(B)に示す。図4(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層の配列は、CAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
図4(B)に示すように、CAAC−OSは特徴的な原子配列を有する。図4(C)は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。図4(B)および図4(C)より、ペレット一つの大きさは1nm以上3nm以下程度であり、ペレットとペレットとの傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC−OSのペレット5100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造となる(図4(D)参照)。図4(C)で観察されたペレットとペレットとの間で傾きが生じている箇所は、図4(D)に示す領域5161に相当する。
また、図5(A)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図5(A)の領域(1)、領域(2)および領域(3)を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ図5(B)、図5(C)および図5(D)に示す。図5(B)、図5(C)および図5(D)より、ペレットは、金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
次に、XRDによって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図6(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSの結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、CAAC−OSのout−of−plane法による構造解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。より好ましいCAAC−OSは、out−of−plane法による構造解析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さない。
一方、CAAC−OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。CAAC−OSの場合は、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図6(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに対し、InGaZnO4の単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図6(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図7(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図7(B)に示す。図7(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図7(B)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図7(B)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
上述したように、CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、逆の見方をするとCAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合がある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源となる場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
不純物および酸素欠損の少ないCAAC−OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体である。具体的には、キャリア密度を8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC−OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
[nc−OS]
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSは、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OSに対し、ペレットよりも大きい径のX線を用いた場合、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークは検出されない。また、nc−OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OSに対し、ペレットの大きさと近いかペレットより小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
[a−like OS]
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
a−like OSは、高分解能TEM像において鬆が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
電子照射を行う試料として、a−like OS(試料Aと表記する。)、nc−OS(試料Bと表記する。)およびCAAC−OS(試料Cと表記する。)を準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有することがわかる。
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図8は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさを調査した例である。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図8より、a−like OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体的には、図8中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×108e−/nm2においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、図8中の(2)および(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度および2.1nm程度であることがわかる。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られないことがわかる。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結晶の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
<1−3.CAAC−OSの成膜方法>
以下では、CAAC−OSの成膜方法の一例について説明する。
図9(A)は、成膜室内の模式図である。CAAC−OSは、スパッタリング法により成膜することができる。
図9(A)に示すように、基板5220とターゲット5230とは向かい合うように配置している。基板5220とターゲット5230との間にはプラズマ5240がある。また、基板5220の下部には加熱機構5260が設けられている。図示しないが、ターゲット5230は、バッキングプレートに接着されている。バッキングプレートを介してターゲット5230と向かい合う位置には、複数のマグネットが配置される。マグネットの磁場を利用して成膜速度を高めるスパッタリング法は、マグネトロンスパッタリング法と呼ばれる。
基板5220とターゲット5230との距離d(ターゲット−基板間距離(T−S間距離)ともいう。)は0.01m以上1m以下、好ましくは0.02m以上0.5m以下とする。成膜室内は、ほとんどが成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、または酸素を5体積%以上の割合で含む混合ガス)で満たされ、0.01Pa以上100Pa以下、好ましくは0.1Pa以上10Pa以下に制御される。ここで、ターゲット5230に一定以上の電圧を印加することで、放電が始まり、プラズマ5240が確認される。なお、ターゲット5230の近傍には磁場によって、高密度プラズマ領域が形成される。高密度プラズマ領域では、成膜ガスがイオン化することで、イオン5201が生じる。イオン5201は、例えば、酸素の陽イオン(O+)やアルゴンの陽イオン(Ar+)などである。
ターゲット5230は、複数の結晶粒を有する多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒には劈開面が含まれる。一例として、図10に、ターゲット5230に含まれるInMZnO4(元素Mは、例えばAl、Ga、YまたはSn)の結晶構造を示す。なお、図10は、b軸に平行な方向から観察した場合のInMZnO4の結晶構造である。InMZnO4の結晶では、酸素原子が負の電荷を有することにより、近接する二つのM−Zn−O層の間に斥力が生じている。そのため、InMZnO4の結晶は、近接する二つのM−Zn−O層の間に劈開面を有する。
高密度プラズマ領域で生じたイオン5201は、電界によってターゲット5230側に加速され、やがてターゲット5230と衝突する。このとき、劈開面から平板状またはペレット状のスパッタ粒子であるペレット5200が剥離する(図9(A)参照。)。ペレット5200は、図10に示す二つの劈開面に挟まれた部分である。よって、ペレット5200のみ抜き出すと、その断面は図9(B)のようになり、上面は図9(C)のようになることがわかる。なお、ペレット5200は、イオン5201の衝突の衝撃によって、構造に歪みが生じる場合がある。なお、ペレット5200の剥離に伴い、ターゲット5230から粒子5203も弾き出される。粒子5203は、原子1個または原子数個の集合体を有する。そのため、粒子5203を原子状粒子(atomic particles)と呼ぶこともできる。
ペレット5200は、三角形、例えば正三角形の平面を有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。または、ペレット5200は、六角形、例えば正六角形の平面を有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。ただし、ペレット5200の形状は、三角形、六角形に限定されない、例えば、三角形が複数個合わさった形状となる場合がある。例えば、三角形(例えば、正三角形)が2個合わさった四角形(例えば、ひし形)となる場合もある。
ペレット5200は、成膜ガスの種類などに応じて厚さが決定する。例えば、ペレット5200は、厚さを0.4nm以上1nm以下、好ましくは0.6nm以上0.8nm以下とする。また、例えば、ペレット5200は、幅を1nm以上100nm以下、好ましくは2nm以上50nm以下、さらに好ましくは3nm以上30nm以下とする。例えば、In−M−Zn酸化物を有するターゲット5230にイオン5201を衝突させる。そうすると、M−Zn−O層、In−O層およびM−Zn−O層の3層を有するペレット5200が剥離する。
ペレット5200は、プラズマ5240を通過する際に、表面が負または正に帯電する場合がある。例えば、ペレット5200がプラズマ5240中にあるO2−から負の電荷を受け取る場合がある。その結果、ペレット5200の表面の酸素原子が負に帯電する場合がある。また、ペレット5200は、プラズマ5240を通過する際に、プラズマ5240中のインジウム、元素M、亜鉛または酸素などと結合することで成長する場合がある。
プラズマ5240を通過したペレット5200および粒子5203は、基板5220の表面に達する。なお、粒子5203の一部は、質量が小さいため真空ポンプなどによって外部に排出される場合がある。
次に、基板5220の表面におけるペレット5200および粒子5203の堆積について図11を用いて説明する。
まず、一つ目のペレット5200が基板5220に堆積する。ペレット5200は平板状であるため、平面側を基板5220の表面に向けて堆積する。このとき、ペレット5200の基板5220側の表面の電荷が、基板5220を介して抜ける。
次に、二つ目のペレット5200が、基板5220に達する。このとき、既に堆積しているペレット5200の表面、および二つ目のペレット5200の表面が電荷を帯びているため、互いに反発し合う力が生じる。その結果、二つ目のペレット5200は、既に堆積しているペレット5200上を避け、基板5220の表面の少し離れた場所に平面側を基板5220の表面に向けて堆積する。これを繰り返すことで、基板5220の表面には、無数のペレット5200が一層分の厚みだけ堆積する。また、ペレット5200間には、ペレット5200の堆積していない領域が生じる(図11(A)参照)。
次に、プラズマからエネルギーを受け取った粒子5203が基板5220の表面に達する。粒子5203は、ペレット5200の表面などの活性な領域には堆積することができない。そのため、粒子5203は、ペレット5200の堆積していない領域へ動き、ペレット5200の側面に付着する。粒子5203は、プラズマから受け取ったエネルギーにより結合手が活性状態となることで、ペレット5200と化学的に連結して横成長部5202を形成する(図11(B)参照)。
さらに、横成長部5202が横方向に成長(ラテラル成長ともいう。)することで、ペレット5200間を連結させる(図11(C)参照)。このように、ペレット5200の堆積していない領域を埋めるまで横成長部5202が形成される。このメカニズムは、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法の堆積メカニズムに類似する。
したがって、ペレット5200がそれぞれ異なる方向を向けて堆積する場合でも、ペレット5200間を粒子5203がラテラル成長しながら埋めるため、明確な結晶粒界が形成されることがない。また、ペレット5200間を、粒子5203が滑らかに結びつけるため、単結晶とも多結晶とも異なる結晶構造が形成される。言い換えると、微小な結晶領域(ペレット5200)間に歪みを有する結晶構造が形成される。このように、結晶領域間を埋める領域は、歪んだ結晶領域であるため、該領域を指して非晶質構造と呼ぶのは適切ではないと考えられる。
次に、新たなペレット5200が、平面側を基板5220の表面に向けて堆積する(図11(D)参照)。そして、粒子5203が、ペレット5200の堆積していない領域を埋めるように堆積することで横成長部5202を形成する(図11(E)参照)。こうして、粒子5203がペレット5200の側面に付着し、横成長部5202がラテラル成長することで、二層目のペレット5200間を連結させる(図11(F)参照)。m層目(mは二以上の整数。)が形成されるまで成膜は続き、積層体を有する薄膜構造となる。
なお、ペレット5200の堆積の仕方は、基板5220の表面温度などによっても変化する。例えば、基板5220の表面温度が高いと、ペレット5200が基板5220の表面でマイグレーションを起こす。その結果、ペレット5200間が、粒子5203を介さずに連結する割合が増加するため、より配向性の高いCAAC−OSとなる。CAAC−OSを成膜する際の基板5220の表面温度は、室温以上340℃未満、好ましくは室温以上300℃以下、より好ましくは100℃以上250℃以下、さらに好ましくは100℃以上200℃以下である。したがって、基板5220として第8世代以上の大面積基板を用いた場合でも、CAAC−OSの成膜に起因した反りなどはほとんど生じないことがわかる。
一方、基板5220の表面温度が低いと、ペレット5200が基板5220の表面でマイグレーションを起こしにくくなる。その結果、ペレット5200同士が積み重なることで配向性の低いnc−OSなどとなる。nc−OSでは、ペレット5200が負に帯電していることにより、ペレット5200は一定間隔を空けて堆積する可能性がある。したがって、配向性は低いものの、僅かに規則性を有することにより、非晶質酸化物半導体と比べて緻密な構造となる。
また、CAAC−OSにおいて、ペレット同士の隙間が極めて小さくなることで、一つの大きなペレットが形成される場合がある。一つの大きなペレットの内部は単結晶構造を有する。例えば、ペレットの大きさが、上面から見て10nm以上200nm以下、15nm以上100nm以下、または20nm以上50nm以下となる場合がある。
以上のような成膜モデルにより、ペレットが基板の表面に堆積していくと考えられる。被形成面が結晶構造を有さない場合においても、CAAC−OSの成膜が可能であることから、エピタキシャル成長とは異なる成長機構である上述した成膜モデルの妥当性が高いことがわかる。また、上述した成膜モデルであるため、CAAC−OSおよびnc−OSは、大面積のガラス基板などであっても均一な成膜が可能であることがわかる。例えば、基板の表面(被形成面)の構造が非晶質構造(例えば非晶質酸化シリコン)であっても、CAAC−OSを成膜することは可能である。
また、被形成面である基板の表面に凹凸がある場合でも、その形状に沿ってペレットが配列することがわかる。
また、上述した成膜モデルより、結晶性の高いCAAC−OSを成膜するためには以下のようにすればよいことがわかる。まず、平均自由行程を長くするために、より高真空状態で成膜する。次に、基板近傍における損傷を低減するために、プラズマのエネルギーを弱くする。次に、被形成面に熱エネルギーを加え、プラズマによる損傷を成膜するたびに治癒する。
また、上述した成膜モデルは、ターゲットが複数の結晶粒を有するIn−M−Zn酸化物のような複合酸化物の多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒には劈開面が含まれる場合に限定されない。例えば、酸化インジウム、元素Mの酸化物および酸化亜鉛を有する混合物のターゲットを用いた場合にも適用することができる。
混合物のターゲットは劈開面を有さないため、スパッタされるとターゲットからは原子状粒子が剥離する。成膜時には、ターゲット近傍にプラズマの強電界領域が形成されている。そのため、ターゲットから剥離した原子状粒子は、プラズマの強電界領域の作用で連結して横成長する。例えば、まず原子状粒子であるインジウムが連結して横成長してIn−O層からなるナノ結晶となる。次に、それを補完するように上下にM−Zn−O層が結合する。このように、混合物のターゲットを用いた場合でも、ペレットが形成される可能性がある。そのため、混合物のターゲットを用いた場合でも、上述した成膜モデルを適用することができる。
ただし、ターゲット近傍にプラズマの強電界領域が形成されていない場合、ターゲットから剥離した原子状粒子のみが基板表面に堆積することになる。その場合も、基板表面において原子状粒子が横成長する場合がある。ただし、原子状粒子の向きが一様でないため、得られる薄膜における結晶の配向性も一様にはならない。即ち、nc−OSなどとなる。
<1−4.ラテラル成長>
以下では、ペレット5200の横方向に粒子5203が付着(結合または吸着ともいう。)し、ラテラル成長することを説明する。
図12(A)(B)(C)(D)(E)は、ペレット5200の構造と金属イオンが付着する位置を示す図である。なお、ペレット5200としては、InMZnO4の結晶構造から、化学量論的組成を保持しつつ、84個の原子を抜き出したクラスタモデルを仮定している。なお、以下では元素MがGaである場合について説明する。また、図12(F)は、ペレット5200をc軸に平行な方向から見た構造を示す。図12(G)は、ペレット5200をa軸に平行な方向からみた構造を示す。
金属イオンの付着する位置を、位置A、位置B、位置a、位置bおよび位置cで示す。なお、位置Aは、ペレット5200上面において、ガリウム1個、亜鉛2個で囲まれた格子間サイトの上方である。位置Bは、ペレット5200上面おいて、ガリウム2個、亜鉛1個で囲まれた格子間サイトの上方である。位置aは、ペレット5200側面のインジウムサイトである。位置bは、ペレット5200側面において、In−O層と、Ga−Zn−O層との間の格子間サイトである。位置cは、ペレット5200側面のガリウムサイトである。
次に、仮定した位置A、位置B、位置a、位置bおよび位置cに金属イオンを配置した場合の相対エネルギーを第一原理計算によって評価した。第一原理計算には、VASP(Vienna Ab initio Simulation Package)を用いた。また、交換相関ポテンシャルにはPBE(Perdew−Burke−Ernzerhof)型の一般化勾配近似(GGA:Generallized Gradient Approximation)を用い、イオンのポテンシャルにはPAW(Projector Augmented Wave)法を用いた。また、カットオフエネルギーは400eVとし、k点サンプリングはΓ点のみとした。表2に、位置A、位置B、位置a、位置bおよび位置cに、インジウムイオン(In3+)、ガリウムイオン(Ga3+)および亜鉛イオン(Zn2+)を配置した場合の相対エネルギーを示す。なお、相対エネルギーは、計算したモデルにおいて、最もエネルギーが低いモデルのエネルギーを0eVとしたときの相対値である。
その結果、金属イオンはいずれもペレット5200の上面より、側面に付着しやすいことがわかった。特に、位置aのインジウムサイトにおいては、インジウムイオンだけでなく、亜鉛イオンも最も付着しやすい結果が得られた。
同様に、ペレット5200への酸素イオン(O2−)の付着しやすさを評価した。図13(A)(B)(C)(D)(E)は、ペレット5200の構造と酸素イオンが付着する位置を示す図である。また、図13(F)は、ペレット5200をc軸に平行な方向から見た構造を示す。図13(G)は、ペレット5200をb軸に平行な方向からみた構造を示す。
酸素イオンの付着する位置を、位置C、位置D、位置d、位置eおよび位置fで示す。なお、位置Cは、ペレット5200上面のガリウムと結合する位置である。位置Dは、ペレット5200上面の亜鉛と結合する位置である。位置dは、ペレット5200側面のインジウムと結合する位置である。位置eは、ペレット5200側面のガリウムと結合する位置である。位置fは、ペレット5200側面の亜鉛と結合する位置である。
次に、仮定した位置C、位置D、位置d、位置eおよび位置fに酸素イオンを配置した場合の相対エネルギーを第一原理計算によって評価する。表3に、位置C、位置D、位置d、位置eおよび位置fに、酸素イオン(O2−)を配置した場合の相対エネルギーを示す。
その結果、酸素イオンもペレット5200の上面より、側面に付着しやすいことがわかった。
したがって、ペレット5200に近づいた粒子5203は、ペレット5200の側面に優先的に付着していくことがわかる。即ち、ペレット5200の側面に付着した粒子5203によって、ペレット5200のラテラル成長が起こる上述の成膜モデルは妥当性が高いといえる。
以上のようなモデルにより、ペレット5200が基板5220の表面に堆積していくと考えられる。被形成面が結晶構造を有さない場合においても、CAAC−OSの成膜が可能であることから、エピタキシャル成長とは異なる成長機構であることがわかる。また、CAAC−OSおよびnc−OSは、大面積のガラス基板などであっても均一な成膜が可能である。例えば、基板5220の表面(被形成面)の構造が非晶質構造(例えば非晶質酸化シリコン)であっても、CAAC−OSを成膜することは可能である。
また、被形成面である基板5220の表面に凹凸がある場合でも、その形状に沿ってペレット5200が配列することがわかる。
本発明の一態様により、酸化物半導体膜中にスピネル型の結晶構造がない、または極めて少ない酸化物半導体膜を実現することができる。また、該酸化物半導体膜を有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に示す構成と適宜、組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、本発明の一態様の酸化物半導体膜を有する半導体装置、及び当該半導体装置の作製方法について、図14乃至図26を参照して説明する。
<2−1.半導体装置の構成例>
図14(A)は、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ200の上面図であり、図14(B)は、図14(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図14(C)は、図14(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。なお、図14(A)において、煩雑になることを避けるため、トランジスタ200の構成要素の一部(ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜等)を省略して図示している。また、一点鎖線X1−X2方向をチャネル長方向、一点鎖線Y1−Y2方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。なお、トランジスタの上面図においては、以降の図面においても図14(A)と同様に、構成要素の一部を省略して図示する場合がある。
トランジスタ200は、基板202上のゲート電極として機能する導電膜204と、基板202及び導電膜204上の絶縁膜206と、絶縁膜206上の絶縁膜207と、絶縁膜207上の酸化物半導体膜208と、酸化物半導体膜208に電気的に接続されるソース電極として機能する導電膜212aと、酸化物半導体膜208に電気的に接続されるドレイン電極として機能する導電膜212bと、を有する。また、トランジスタ200上、より詳しくは、導電膜212a、212b及び酸化物半導体膜208上には絶縁膜214、216、及び絶縁膜218が設けられる。絶縁膜214、216、及び絶縁膜218は、トランジスタ200の保護絶縁膜としての機能を有する。
また、絶縁膜206及び絶縁膜207は、トランジスタ200のゲート絶縁膜としての機能を有する。
酸化物半導体膜208に、先の実施の形態1に示す酸化物半導体膜を用いることができる。本発明の一態様の酸化物半導体膜は、当該酸化物半導体膜中にスピネル型の結晶構造がない、または極めて少ない酸化物半導体膜であるため、信頼性の高いトランジスタ200とすることができる。
以下に、本実施の形態の半導体装置に含まれる構成要素について、詳細に説明する。
[基板]
基板202の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板202として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板202として用いてもよい。なお、基板202として、ガラス基板を用いる場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2950mm×3400mm)などの大面積基板を用いることで、大型の表示装置を作製することができる。このような大面積基板を用いることで製造コストを低減させることができるため好ましい。
また、基板202として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ200を形成してもよい。または、基板202とトランジスタ200の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板202より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタ200を耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
[ゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極として機能する導電膜]
ゲート電極として機能する導電膜204、及びソース電極として機能する導電膜212a、及びドレイン電極として機能する導電膜212bとしては、クロム(Cr)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)から選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いてそれぞれ形成することができる。
また、導電膜204、212a、212bは、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
また、導電膜204、212a、212bには、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。
また、導電膜204、212a、212bには、Cu−X合金膜(Xは、Mn、Ni、Cr、Fe、Co、Mo、Ta、またはTi)を適用してもよい。Cu−X合金膜を用いることで、ウエットエッチングプロセスで加工できるため、製造コストを抑制することが可能となる。
[ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜]
トランジスタ200のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜206、207としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition))法、スパッタリング法等により、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜および酸化ネオジム膜を一種以上含む絶縁層を、それぞれ用いることができる。なお、絶縁膜206、207の積層構造とせずに、上述の材料から選択された単層の絶縁膜、または3層以上の絶縁膜を用いてもよい。
また、絶縁膜206は、酸素の透過を抑制するブロッキング膜としての機能を有する。例えば、絶縁膜207、214、216及び/または酸化物半導体膜208中に過剰の酸素を供給する場合において、絶縁膜206は酸素の透過を抑制することができる。
なお、トランジスタ200のチャネル領域として機能する酸化物半導体膜208と接する絶縁膜207は、酸化物絶縁膜であることが好ましく、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含有する領域(過剰酸素領域)を有することがより好ましい。別言すると、絶縁膜207は、酸素を放出することが可能な絶縁膜である。なお、絶縁膜207に過剰酸素領域を設けるには、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁膜207を形成すればよい。または、成膜後の絶縁膜207に酸素を導入して、過剰酸素領域を形成してもよい。酸素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理等を用いることができる。
また、絶縁膜207として、酸化ハフニウムを用いる場合、以下の効果を奏する。酸化ハフニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて絶縁膜207の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。すなわち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
なお、本実施の形態では、絶縁膜206として窒化シリコン膜を形成し、絶縁膜207として酸化シリコン膜を形成する。窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜と比較して比誘電率が高く、酸化シリコン膜と同等の静電容量を得るのに必要な膜厚が大きいため、トランジスタ200のゲート絶縁膜として、窒化シリコン膜を含むことで絶縁膜を物理的に厚膜化することができる。よって、トランジスタ200の絶縁耐圧の低下を抑制、さらには絶縁耐圧を向上させて、トランジスタ200の静電破壊を抑制することができる。
[酸化物半導体膜]
酸化物半導体膜208としては、実施の形態1に示す本発明の一態様の酸化物半導体膜を用いることができる。
また、酸化物半導体膜208は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタ200のオフ電流を低減することができる。
また、酸化物半導体膜208としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、酸化物半導体膜208は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上とすればよい。
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体膜208のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
なお、酸化物半導体膜208としては、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を用いることで、さらに優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができ好ましい。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、オフ電流が著しく小さく、チャネル幅が1×106μmでチャネル長Lが10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。
したがって、上記高純度真性、または実質的に高純度真性の酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとすることができる。なお、酸化物半導体膜のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
高純度真性の酸化物半導体膜208としては、例えば、酸化物半導体膜208がInと、Gaと、Znと、を有する場合、Inと、Gaと、Znと、Oとの合計が99.97atomic%以上である領域を有すると好ましい。
酸化物半導体膜に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。したがって、水素が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体膜208は水素ができる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体膜208において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。別言すると、酸化物半導体膜208は、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満である領域を有する。
また、酸化物半導体膜208において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体膜208において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、酸化物半導体膜208におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体膜208との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(SIMSにより得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体膜208において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、当該アルカリ金属または当該アルカリ土類金属が酸化物半導体膜中の酸素等と結合しキャリアを生成する場合がある。したがって、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体膜208中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体膜208中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、酸化物半導体膜208において、鉄、ニッケル、及びシリコンが含まれると、鉄、ニッケル、及びシリコンが酸化物半導体膜中の酸素等と結合しキャリアを生成する場合がある。したがって、鉄、ニッケル、及びシリコンが含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体膜208中の鉄、ニッケル、及びシリコンの濃度を低減することが好ましい。例えば、酸化物半導体膜208中の鉄、ニッケル、及びシリコンの合計の不純物濃度を0.03atomic%未満とすればよい。
また、酸化物半導体膜208において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加しn型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体膜において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、SIMSにより得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
[トランジスタの保護絶縁膜として機能する絶縁膜]
絶縁膜214、216は、酸化物半導体膜208に酸素を供給する機能を有する。また、絶縁膜218は、トランジスタ200の保護絶縁膜としての機能を有する。また、絶縁膜214、216は、酸素を有する。また、絶縁膜214は、酸素を透過することのできる絶縁膜である。なお、絶縁膜214は、後に形成する絶縁膜216を形成する際の、酸化物半導体膜208へのダメージ緩和膜としても機能する。
絶縁膜214としては、厚さが5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下の酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
また、絶縁膜214は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が3×1017spins/cm3以下であることが好ましい。これは、絶縁膜214に含まれる欠陥密度が多いと、該欠陥に酸素が結合してしまい、絶縁膜214における酸素の透過量が減少してしまうためである。
なお、絶縁膜214においては、外部から絶縁膜214に入った酸素が全て絶縁膜214の外部に移動せず、絶縁膜214にとどまる酸素もある。また、絶縁膜214に酸素が入ると共に、絶縁膜214に含まれる酸素が絶縁膜214の外部へ移動することで、絶縁膜214において酸素の移動が生じる場合もある。絶縁膜214として酸素を透過することができる酸化物絶縁膜を形成すると、絶縁膜214上に設けられる、絶縁膜216から脱離する酸素を、絶縁膜214を介して酸化物半導体膜208に移動させることができる。
また、絶縁膜214は、窒素酸化物に起因する準位密度が低い酸化物絶縁膜を用いて形成することができる。なお、当該窒素酸化物に起因する準位密度は、酸化物半導体膜の価電子帯の上端のエネルギー(EV_OS)と、酸化物半導体膜の伝導帯下端のエネルギー(EC_OS)との間に形成され得る場合がある。上記酸化物絶縁膜として、窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化シリコン膜、または窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化アルミニウム膜等を用いることができる。
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、昇温脱離ガス分析法において、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニア分子の放出量が1×1018分子/cm3以上5×1019分子/cm3以下である。なお、アンモニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
窒素酸化物(NOx、xは0より大きく2以下、好ましくは1以上2以下)、代表的にはNO2またはNOは、絶縁膜214などに準位を形成する。当該準位は、酸化物半導体膜208のエネルギーギャップ内に位置する。そのため、窒素酸化物が、絶縁膜214及び酸化物半導体膜208の界面に拡散すると、当該準位が絶縁膜214側において電子をトラップする場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁膜214及び酸化物半導体膜208界面近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向にシフトさせてしまう。
また、窒素酸化物は、加熱処理においてアンモニア及び酸素と反応する。絶縁膜214に含まれる窒素酸化物は、加熱処理において、絶縁膜216に含まれるアンモニアと反応するため、絶縁膜214に含まれる窒素酸化物が低減される。このため、絶縁膜214及び酸化物半導体膜208の界面において、電子がトラップされにくい。
絶縁膜214として、上記酸化物絶縁膜を用いることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
なお、トランジスタの作製工程の加熱処理、代表的には400℃未満または375℃未満(好ましくは、340℃以上360℃以下)の加熱処理により、絶縁膜214は、100K以下のESRで測定して得られたスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルが観測される。なお、第1のシグナル及び第2のシグナルのスプリット幅、並びに第2のシグナル及び第3のシグナルのスプリット幅は、XバンドのESR測定において約5mTである。また、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルのスピンの密度の合計が1×1018spins/cm3未満であり、代表的には1×1017spins/cm3以上1×1018spins/cm3未満である。
なお、100K以下のESRスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1シグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルは、窒素酸化物(NOx、xは0より大きく2以下、好ましくは1以上2以下)起因のシグナルに相当する。窒素酸化物の代表例としては、一酸化窒素、二酸化窒素等がある。即ち、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルのスピンの密度の合計が少ないほど、酸化物絶縁膜に含まれる窒素酸化物の含有量が少ないといえる。
また、上記酸化物絶縁膜は、SIMSで測定される窒素濃度が6×1020atoms/cm3以下である。
基板温度が220℃以上350℃以下であり、シラン及び一酸化二窒素を用いたPECVD法を用いて、上記酸化物絶縁膜を形成することで、緻密であり、且つ硬度の高い膜を形成することができる。
絶縁膜216は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物絶縁膜である。なお、上記TDSにおける膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
絶縁膜216としては、厚さが30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上400nm以下の、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
また、絶縁膜216は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が1.5×1018spins/cm3未満、さらには1×1018spins/cm3以下であることが好ましい。なお、絶縁膜216は、絶縁膜214と比較して酸化物半導体膜208から離れているため、絶縁膜214より、欠陥密度が多くともよい。
また、絶縁膜214、216は、同種の材料の絶縁膜を用いることができるため、絶縁膜214と絶縁膜216との界面が明確に確認できない場合がある。したがって、本実施の形態においては、絶縁膜214と絶縁膜216の界面を破線で図示している。なお、本実施の形態においては、絶縁膜214と絶縁膜216との2層構造について説明したが、これに限定されず、例えば、絶縁膜214または絶縁膜216の単層構造としてもよい。
絶縁膜218は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキングできる機能を有する。絶縁膜218を設けることで、酸化物半導体膜208からの酸素の外部への拡散と、絶縁膜214、216に含まれる酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体膜208への水素、水等の入り込みを防ぐことができる。
絶縁膜218としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
<2−2.半導体装置の構成例>
次に、図14(A)(B)(C)に示すトランジスタ200と異なる構成例について、図15(A)(B)(C)を用いて説明する。
図15(A)は、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ250の上面図であり、図15(B)は、図15(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図15(C)は、図15(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。
トランジスタ250は、基板202上のゲート電極として機能する導電膜204と、基板202及び導電膜204上の絶縁膜206と、絶縁膜206上の絶縁膜207と、絶縁膜207上の酸化物半導体膜208と、酸化物半導体膜208上の絶縁膜214、216と、絶縁膜214、216に設けられる開口部251aを介して酸化物半導体膜208に電気的に接続されるソース電極として機能する導電膜212aと、絶縁膜214、216に設けられる開口部251bを介して酸化物半導体膜208に電気的に接続されるドレイン電極として機能する導電膜212bと、を有する。また、トランジスタ250上、より詳しくは、導電膜212a、212b、及び絶縁膜216上には絶縁膜218が設けられる。絶縁膜214、216は、酸化物半導体膜208の保護絶縁膜としての機能を有する。絶縁膜218は、トランジスタ250の保護絶縁膜としての機能を有する。
先に示すトランジスタ200においては、チャネルエッチ型の構造であったのに対し、図15(A)(B)(C)に示すトランジスタ250は、チャネル保護型の構造である。このように、本発明の一態様の半導体装置は、チャネルエッチ型及びチャネル保護型の双方のトランジスタに適用することができる。その他の構成は、トランジスタ200と同様であり、同様の効果を奏する。
<2−3.半導体装置の構成例>
次に、図15(A)(B)(C)に示すトランジスタ250と異なる構成例について、図16(A)(B)(C)を用いて説明する。
図16(A)は、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ260の上面図であり、図16(B)は、図16(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図16(C)は、図16(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。
トランジスタ260は、基板202上のゲート電極として機能する導電膜204と、基板202及び導電膜204上の絶縁膜206と、絶縁膜206上の絶縁膜207と、絶縁膜207上の酸化物半導体膜208と、酸化物半導体膜208上の絶縁膜214、216と、酸化物半導体膜208に電気的に接続されるソース電極として機能する導電膜212aと、酸化物半導体膜208に電気的に接続されるドレイン電極として機能する導電膜212bと、を有する。また、トランジスタ260上、より詳しくは、導電膜212a、212b、及び絶縁膜216上には絶縁膜218が設けられる。絶縁膜214、216は、酸化物半導体膜208の保護絶縁膜としての機能を有する。絶縁膜218は、トランジスタ260の保護絶縁膜としての機能を有する。
トランジスタ260は、図15(A)(B)(C)に示すトランジスタ250と絶縁膜214、216の形状が相違する。具体的には、トランジスタ260の絶縁膜214、216は、酸化物半導体膜208のチャネル領域上に島状に設けられる。その他の構成は、トランジスタ250と同様であり、同様の効果を奏する。
<2−4.半導体装置の構成例>
次に、図14(A)(B)(C)に示すトランジスタ200と異なる構成例について、図17(A)(B)(C)を用いて説明する。
図17(A)は、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ270の上面図であり、図17(B)は、図17(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図17(C)は、図17(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。
トランジスタ270は、基板202上の第1のゲート電極として機能する導電膜204と、基板202及び導電膜204上の絶縁膜206と、絶縁膜206上の絶縁膜207と、絶縁膜207上の酸化物半導体膜208と、酸化物半導体膜208上の絶縁膜214、216と、酸化物半導体膜208に電気的に接続されるソース電極として機能する導電膜212aと、酸化物半導体膜208に電気的に接続されるドレイン電極として機能する導電膜212bと、導電膜212a、212b及び絶縁膜216上の絶縁膜218と、絶縁膜218上の導電膜220a、220bと、を有する。
また、トランジスタ270において、絶縁膜214、216及び絶縁膜218は、トランジスタ270の第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。また、トランジスタ270において、導電膜220aは、例えば、表示装置に用いる画素電極としての機能を有する。また、導電膜220aは、絶縁膜214、216及び絶縁膜218に設けられる開口部252cを介して、導電膜212bと接続される。また、トランジスタ270において、導電膜220bは、第2のゲート電極(バックゲート電極ともいう)として機能する。
また、図17(C)に示すように導電膜220bは、絶縁膜206、207、絶縁膜214、216、及び絶縁膜218に設けられる開口部252a、252bにおいて、第1のゲート電極として機能する導電膜204に接続される。よって、導電膜220bと導電膜204とは、同じ電位が与えられる。
なお、本実施の形態においては、開口部252a、252bを設け、導電膜220bと導電膜204を接続する構成について例示したが、これに限定されない。例えば、開口部252aまたは開口部252bのいずれか一方の開口部のみを形成し、導電膜220bと導電膜204を接続する構成、または開口部252a及び開口部252bを設けずに、導電膜220bと導電膜204を接続しない構成としてもよい。なお、導電膜220bと導電膜204を接続しない構成の場合、導電膜220bと導電膜204には、それぞれ異なる電位を与えることができる。
また、図17(B)に示すように、酸化物半導体膜208は、第1のゲート電極として機能する導電膜204と、第2のゲート電極として機能する導電膜220bのそれぞれと対向するように位置し、2つのゲート電極として機能する導電膜に挟まれている。第2のゲート電極として機能する導電膜220bのチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さは、酸化物半導体膜208のチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さよりもそれぞれ長く、酸化物半導体膜208の全体は、絶縁膜214、216及び絶縁膜218を介して導電膜220bに覆われている。また、第2のゲート電極として機能する導電膜220bと第1のゲート電極として機能する導電膜204とは、絶縁膜206、207、絶縁膜214、216、及び絶縁膜218に設けられる開口部252a、252bにおいて接続されるため、酸化物半導体膜208のチャネル幅方向の側面は、絶縁膜214、216、及び絶縁膜218を介して第2のゲート電極として機能する導電膜220bと対向している。
別言すると、トランジスタ270のチャネル幅方向において、第1のゲート電極として機能する導電膜204及び第2のゲート電極として機能する導電膜220bは、第1のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜206、207及び第2のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜214、216、及び絶縁膜218に設けられる開口部において接続すると共に、第1のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜206、207並びに第2のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜214、216、及び絶縁膜218を介して酸化物半導体膜208を囲む構成である。
このような構成を有することで、トランジスタ270に含まれる酸化物半導体膜208を、第1のゲート電極として機能する導電膜204及び第2のゲート電極として機能する導電膜220bの電界によって電気的に囲むことができる。トランジスタ270のように、第1のゲート電極及び第2のゲート電極の電界によって、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜を電気的に囲むトランジスタのデバイス構造をsurrounded channel(s−channel)構造と呼ぶことができる。
トランジスタ270は、s−channel構造を有するため、第1のゲート電極として機能する導電膜204によってチャネルを誘起させるための電界を効果的に酸化物半導体膜208に印加することができるため、トランジスタ270の電流駆動能力が向上し、高いオン電流特性を得ることが可能となる。また、オン電流を高くすることが可能であるため、トランジスタ270を微細化することが可能となる。また、トランジスタ270は、第1のゲート電極として機能する導電膜204及び第2のゲート電極として機能する導電膜220bによって囲まれた構造を有するため、トランジスタ270の機械的強度を高めることができる。
<2−5.半導体装置の構成例>
次に、図17(A)(B)(C)に示すトランジスタ270と異なる構成例について、図18(A)(B)(C)(D)を用いて説明する。
図18(A)(B)は、図17(B)(C)に示すトランジスタ270の変形例の断面図である。また、図18(C)(D)は、図17(B)(C)に示すトランジスタ270の変形例の断面図である。
図18(A)(B)に示すトランジスタ270Aは、図17(B)(C)に示すトランジスタ270が有する酸化物半導体膜208を3層の積層構造としている。より具体的には、トランジスタ270Aが有する酸化物半導体膜208は、酸化物半導体膜208aと、酸化物半導体膜208bと、酸化物半導体膜208cと、を有する。
図18(C)(D)に示すトランジスタ270Bは、図17(B)(C)に示すトランジスタ270が有する酸化物半導体膜208を2層の積層構造としている。より具体的には、トランジスタ270Bが有する酸化物半導体膜208は、酸化物半導体膜208bと、酸化物半導体膜208cと、を有する。
ここで、酸化物半導体膜208a、208b、208c、及び酸化物半導体膜208b、208cに接する絶縁膜のバンド構造について、図19を用いて説明する。
図19(A)は、絶縁膜207、酸化物半導体膜208a、208b、208c、及び絶縁膜214を有する積層構造の膜厚方向のバンド構造の一例である。また、図19(B)は、絶縁膜207、酸化物半導体膜208b、208c、及び絶縁膜214を有する積層構造の膜厚方向のバンド構造の一例である。なお、バンド構造は、理解を容易にするため絶縁膜207、酸化物半導体膜208a、208b、208c、及び絶縁膜214の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)を示す。
また、図19(A)は、絶縁膜207、214として酸化シリコン膜を用い、酸化物半導体膜208aとして金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜208bとして金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=4:2:4.1の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜208cとして金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用いる構成のバンド図である。
また、図19(B)は、絶縁膜207、214として酸化シリコン膜を用い、酸化物半導体膜208bとして金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=4:2:4.1の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜208cとして金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用いる構成のバンド図である。
図19(A)(B)に示すように、酸化物半導体膜208a、208b、208cにおいて、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようなバンド構造を有するためには、酸化物半導体膜208aと酸化物半導体膜208bとの界面、または酸化物半導体膜208bと酸化物半導体膜208cとの界面において、トラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないとする。
酸化物半導体膜208a、208b、208cに連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。
図19(A)(B)に示す構成とすることで酸化物半導体膜208bがウェル(井戸)となり、上記積層構造を用いたトランジスタにおいて、チャネル領域が酸化物半導体膜208bに形成されることがわかる。
なお、酸化物半導体膜208a、208cを設けることにより、酸化物半導体膜208bに形成されうるトラップ準位を酸化物半導体膜208bより遠ざけることができる。
また、トラップ準位がチャネル領域として機能する酸化物半導体膜208bの伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)より真空準位から遠くなることがあり、トラップ準位に電子が蓄積しやすくなってしまう。トラップ準位に電子が蓄積されることで、マイナスの固定電荷となり、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。したがって、トラップ準位が酸化物半導体膜208bの伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)より真空準位に近くなるような構成にすると好ましい。このようにすることで、トラップ準位に電子が蓄積しにくくなり、トランジスタのオン電流を増大させることが可能であると共に、電界効果移動度を高めることができる。
また、酸化物半導体膜208a、208cは、酸化物半導体膜208bよりも伝導帯下端のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体膜208bの伝導帯下端のエネルギー準位と、酸化物半導体膜208a、208cの伝導帯下端のエネルギー準位との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下である。すなわち、酸化物半導体膜208a、208cの電子親和力と、酸化物半導体膜208bの電子親和力との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下である。
このような構成を有することで、酸化物半導体膜208bが電流の主な経路となり、チャネル領域として機能する。また、酸化物半導体膜208a、208cは、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜208bを構成する金属元素の一種以上から構成される酸化物半導体膜であるため、酸化物半導体膜208aと酸化物半導体膜208bとの界面、または酸化物半導体膜208bと酸化物半導体膜208cとの界面において、界面散乱が起こりにくい。従って、該界面においてはキャリアの動きが阻害されないため、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
また、酸化物半導体膜208a、208cは、チャネル領域の一部として機能することを防止するため、導電率が十分に低い材料を用いるものとする。または、酸化物半導体膜208a、208cには、電子親和力(真空準位と伝導帯下端のエネルギー準位との差)が酸化物半導体膜208bよりも小さく、伝導帯下端のエネルギー準位が酸化物半導体膜208bの伝導帯下端エネルギー準位と差分(バンドオフセット)を有する材料を用いるものとする。また、ドレイン電圧の大きさに依存したしきい値電圧の差が生じることを抑制するためには、酸化物半導体膜208a、208cの伝導帯下端のエネルギー準位が、酸化物半導体膜208bの伝導帯下端のエネルギー準位よりも0.2eV以上真空準位に近い材料、好ましくは0.5eV以上真空準位に近い材料を適用することが好ましい。
また、酸化物半導体膜208a、208cは、膜中にスピネル型の結晶構造が含まれないことが好ましい。酸化物半導体膜208a、208cの膜中にスピネル型の結晶構造を含む場合、該スピネル型の結晶構造と他の領域との界面において、導電膜212a、212bの構成元素が酸化物半導体膜208bへ拡散してしまう場合がある。なお、酸化物半導体膜208a、208cがCAAC−OSである場合、導電膜212a、212bの構成元素、例えば、銅元素のブロッキング性が高くなり好ましい。
酸化物半導体膜208a、208cの膜厚は、導電膜212a、212bの構成元素が酸化物半導体膜208bに拡散することを抑制することのできる膜厚以上であって、絶縁膜214から酸化物半導体膜208bへの酸素の供給を抑制する膜厚未満とする。例えば、酸化物半導体膜208a、208cの膜厚が10nm以上であると、導電膜212a、212bの構成元素が酸化物半導体膜208bへ拡散するのを抑制することができる。また、酸化物半導体膜208a、208cの膜厚を100nm以下とすると、絶縁膜214から酸化物半導体膜208bへ効果的に酸素を供給することができる。
また、本実施の形態においては、酸化物半導体膜208a、208cとして、金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用いる構成について例示したが、これに限定されない。例えば、酸化物半導体膜208a、208cとして、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]、In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比]、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、またはIn:Ga:Zn=1:3:6[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用いてもよい。
なお、酸化物半導体膜208a、208cとして、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いる場合、酸化物半導体膜208a、208cは、In:Ga:Zn=1:β1(0<β1≦2):β2(0<β2≦3)となる場合がある。また、酸化物半導体膜208a、208cとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いる場合、酸化物半導体膜208a、208cは、In:Ga:Zn=1:β3(1≦β3≦5):β4(2≦β4≦6)となる場合がある。また、酸化物半導体膜208a、208cとして、In:Ga:Zn=1:3:6[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いる場合、酸化物半導体膜208a、208cは、In:Ga:Zn=1:β5(1≦β5≦5):β6(4≦β6≦8)となる場合がある。
また、トランジスタ200、270が有する酸化物半導体膜208と、トランジスタ270A、270Bが有する酸化物半導体膜208cと、は図面において、導電膜212a、212bから露出した領域の酸化物半導体膜が薄くなる、別言すると酸化物半導体膜の一部が凹部を有する形状について例示している。ただし、本発明の一態様はこれに限定されず、導電膜212a、212bから露出した領域の酸化物半導体膜が凹部を有さなくてもよい。この場合の一例を図20(A)(B)(C)(D)に示す。図20(A)(B)(C)(D)は、半導体装置の一例を示す断面図である。なお、図20(A)(B)は、先に示すトランジスタ200の酸化物半導体膜208が凹部を有さない構造であり、図20(C)(D)は、先に示すトランジスタ270Bの酸化物半導体膜208が凹部を有さない構造である。
また、本実施の形態に係るトランジスタは、上記の構造のそれぞれを自由に組み合わせることが可能である。
<2−6.半導体装置の作製方法>
次に、本発明の一態様の半導体装置の作製方法について、図面を用いて説明する。
なお、本発明の一態様の半導体装置が有する、導電膜、絶縁膜、酸化物半導体膜などの様々な膜は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法、プラズマ化学気相堆積(PECVD)、真空蒸着法、パルスレーザ堆積(PLD)法、を用いて形成することができる。ただし、これに限定されず、例えば、塗布法、印刷法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、または原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法により形成してもよい。なお、熱CVD法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。また、MOCVD法を用いて、導電膜、絶縁膜、酸化物半導体膜などを形成してもよい。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順次チャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFETを作製する場合に適している。
MOCVD法などの熱CVD法は、上記実施形態の導電膜、絶縁膜、酸化物半導体膜、金属酸化膜などの様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、及びジメチル亜鉛を用いる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、In(CH3)3である。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CH3)3である。また、ジメチル亜鉛の化学式は、Zn(CH3)2である。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシド、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH)などのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。なお、テトラキスジメチルアミドハフニウムの化学式はHf[N(CH3)2]4である。また、他の材料液としては、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。なお、トリメチルアルミニウムの化学式はAl(CH3)3である。また、他の材料液としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスをと用いてタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−ZnO膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスとを用いてIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスとを用いてGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスとを用いてZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH3)3ガスの代わりに、In(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Ga(CH3)3ガスの代わりに、Ga(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Zn(CH3)2ガスを用いても良い。
[半導体装置の作製方法1]
まず、本発明の一態様の半導体装置である図18(C)(D)に示す、トランジスタ270Bの作製方法について、図21乃至図23を用いて説明する。なお、図21(A)乃至図21(F)、図22(A)乃至図22(F)、及び図23(A)乃至図23(F)は、半導体装置の作製方法を説明する断面図である。また、図21(A)(C)(E)、図22(A)(C)(E)、及び図23(A)(C)(E)は、チャネル長方向の断面図であり、図21(B)(D)(F)、図22(B)(D)(F)、及び図23(B)(D)(F)は、チャネル幅方向の断面図である。
まず、基板202上に導電膜を形成し、該導電膜をリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い加工して、ゲート電極として機能する導電膜204を形成する。次に、導電膜204上にゲート絶縁膜として機能する絶縁膜206、207を形成する(図21(A)(B)参照)。
本実施の形態では、基板202としてガラス基板を用い、ゲート電極として機能する導電膜204として厚さ100nmのタングステン膜をスパッタリング法により形成する。また、絶縁膜206として厚さ400nmの窒化シリコン膜をPECVD法により形成し、絶縁膜207として厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜をPECVD法により形成する。
なお、絶縁膜206としては、窒化シリコン膜の積層構造とすることができる。具体的には、絶縁膜206を、第1の窒化シリコン膜と、第2の窒化シリコン膜と、第3の窒化シリコン膜との3層積層構造とすることができる。該3層積層構造の一例としては、以下のように形成することができる。
第1の窒化シリコン膜としては、例えば、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
第2の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量2000sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが300nmとなるように形成すればよい。
第3の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、及び流量5000sccmの窒素を原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
なお、上記第1の窒化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、及び第3の窒化シリコン膜形成時の基板温度は350℃以下とすることができる。
絶縁膜206を、窒化シリコン膜の3層の積層構造とすることで、例えば、導電膜204に銅(Cu)を含む導電膜を用いる場合において、以下の効果を奏する。
第1の窒化シリコン膜は、導電膜204からの銅(Cu)元素の拡散を抑制することができる。第2の窒化シリコン膜は、水素を放出する機能を有し、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜の耐圧を向上させることができる。第3の窒化シリコン膜は、第3の窒化シリコン膜からの水素放出が少なく、且つ第2の窒化シリコン膜からの放出される水素の拡散を抑制することができる。
絶縁膜207としては、後に形成される酸化物半導体膜208(より具体的には、酸化物半導体膜208b)との界面特性を向上させるため、酸素を含む絶縁膜で形成されると好ましい。
次に、絶縁膜207上に、酸化物半導体膜の積層膜を形成し、該積層膜を所望の形状に加工することで、酸化物半導体膜208b及び酸化物半導体膜208cを有する、島状の酸化物半導体膜208を形成する(図21(C)(D)参照)。
酸化物半導体膜208を成膜する際の温度としては、室温以上340℃未満、好ましくは室温以上300℃以下、より好ましくは100℃以上250℃以下、さらに好ましくは100℃以上200℃以下である。酸化物半導体膜208を加熱して成膜することで、酸化物半導体膜208の結晶性を高めることができる。一方で、基板202として、大型のガラス基板(例えば、第6世代乃至第10世代)を用いる場合、酸化物半導体膜208を成膜する際の温度を150℃以上340℃未満とした場合、基板202が変形する(歪むまたは反る)場合がある。よって、大型のガラス基板を用いる場合においては、酸化物半導体膜208の成膜する際の温度を100℃以上150℃未満とすることで、ガラス基板の変形を抑制することができる。
なお、酸化物半導体膜208bと、酸化物半導体膜208cの成膜時の基板温度は、同じでも異なっていてもよい。ただし、酸化物半導体膜208bと、酸化物半導体膜208cとの、基板温度を同じとすることで、製造コストを低減することができるため好適である。
本実施の形態では、In−Ga−Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いて、スパッタリング法により酸化物半導体膜208bとなる酸化物半導体膜を成膜し、その後真空中で連続して、In−Ga−Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])を用いて、スパッタリング法により酸化物半導体膜208cとなる酸化物半導体膜を成膜する。また、酸化物半導体膜208となる酸化物半導体膜の成膜時の基板温度を170℃とする。また、酸化物半導体膜208となる酸化物半導体膜の成膜時の成膜ガスとしては、酸素と、アルゴンと、を用いる。
なお、スパッタリング法で酸化物半導体膜を成膜する場合、スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素、希ガス及び酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。また、スパッタリングガスの高純度化も必要である。例えば、スパッタリングガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下、より好ましくは−120℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物半導体膜に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
また、スパッタリング法で酸化物半導体膜を成膜する場合、スパッタリングガスは、酸素を含むと好ましい。酸化物半導体膜を成膜する際に、スパッタリングガスとして酸素を含むと、酸化物半導体膜の成膜と同時に、下層の膜(ここでは、絶縁膜207中)に、酸素を添加することが可能となる。したがって、絶縁膜207中に過剰酸素領域を設けることが可能となる。
また、スパッタリング法で酸化物半導体膜を成膜する場合、スパッタリング装置におけるチャンバーは、酸化物半導体膜にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空(5×10−7Paから1×10−4Pa程度まで)排気することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に気体、特に炭素または水素を含む気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
次に、絶縁膜207及び酸化物半導体膜208上にソース電極及びドレイン電極となる、導電膜212をスパッタリング法によって形成する(図21(E)(F)参照)。
本実施の形態では、導電膜212として、厚さ50nmのタングステン膜と、厚さ400nmのアルミニウム膜とが順に積層された積層膜をスパッタリング法により成膜する。なお、本実施の形態においては、導電膜212の2層の積層構造としたが、これに限定されない。例えば、導電膜212として、厚さ50nmのタングステン膜と、厚さ400nmのアルミニウム膜と、厚さ100nmのチタン膜とが順に積層された3層の積層構造としてもよい。
次に、導電膜212を所望の形状に加工することで、それぞれ互いに分離された導電膜212a、212bを形成する(図22(A)(B)参照)。
なお、本実施の形態においては、ドライエッチング装置を用い、導電膜212を加工する。ただし、導電膜212の加工方法としては、これに限定されず、例えば、ウエットエッチング装置を用いてもよい。なお、ウエットエッチング装置を用いて、導電膜212を加工するよりも、ドライエッチング装置を用いて導電膜212を加工した方が、より微細なパターンを形成することができる。一方で、ドライエッチング装置を用いて、導電膜212を加工するよりも、ウエットエッチング装置を用いて導電膜212を加工した方が、製造コストを低減することができる。
また、導電膜212a、212bの形成後に、酸化物半導体膜208(より具体的には酸化物半導体膜208c)の表面(バックチャネル側)を洗浄してもよい。当該洗浄方法としては、例えば、リン酸等の薬液を用いた洗浄が挙げられる。リン酸等の薬液を用いて洗浄を行うことで、酸化物半導体膜208cの表面に付着した不純物(例えば、導電膜212a、212bに含まれる元素等)を除去することができる。なお、当該洗浄を必ずしも行う必要はなく、場合によっては、洗浄を行わなくてもよい。
また、導電膜212a、212bの形成工程、及び上記洗浄工程のいずれか一方または双方において、酸化物半導体膜208の導電膜212a、212bから露出した領域が、薄くなる場合がある。例えば、酸化物半導体膜208bよりも酸化物半導体膜208cの膜厚が薄くなる領域が形成される場合がある。
次に、酸化物半導体膜208、及び導電膜212a、212b上に絶縁膜214、及び絶縁膜216を形成する(図22(C)(D)参照)。
なお、絶縁膜214を形成した後、大気に曝すことなく、連続的に絶縁膜216を形成することが好ましい。絶縁膜214を形成後、大気開放せず、原料ガスの流量、圧力、高周波電力及び基板温度の一以上を調整して、絶縁膜216を連続的に形成することで、絶縁膜214と絶縁膜216との界面において大気成分由来の不純物濃度を低減することができるとともに、絶縁膜214、216に含まれる酸素を酸化物半導体膜208に移動させることが可能となり、酸化物半導体膜208の酸素欠損量を低減することが可能となる。
例えば、絶縁膜214として、PECVD法を用いて、酸化窒化シリコン膜を形成することができる。この場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。また、上記の堆積性気体の流量に対する酸化性気体の流量を20倍より大きく100倍未満、好ましくは40倍以上80倍以下とし、処理室内の圧力を100Pa未満、好ましくは50Pa以下とするPECVD法を用いることで、絶縁膜214が、窒素を含み、且つ欠陥量の少ない絶縁膜となる。
本実施の形態においては、絶縁膜214として、基板202を保持する温度を220℃とし、流量50sccmのシラン及び流量2000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、処理室内の圧力を20Paとし、平行平板電極に供給する高周波電力を13.56MHz、100W(電力密度としては1.6×10−2W/cm2)とするPECVD法を用いて、酸化窒化シリコン膜を形成する。
絶縁膜216としては、PECVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上350℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する。
絶縁膜216の成膜条件として、上記圧力の反応室において上記パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、絶縁膜216中における酸素含有量が化学量論的組成よりも多くなる。一方、基板温度が、上記温度で形成された膜では、シリコンと酸素の結合力が弱いため、後の工程の加熱処理により膜中の酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁膜を形成することができる。
なお、絶縁膜216の形成工程において、絶縁膜214が酸化物半導体膜208の保護膜となる。したがって、酸化物半導体膜208へのダメージを低減しつつ、パワー密度の高い高周波電力を用いて絶縁膜216を形成することができる。
なお、絶縁膜216の成膜条件において、酸化性気体に対するシリコンを含む堆積性気体の流量を増加することで、絶縁膜216の欠陥量を低減することが可能である。代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が6×1017spins/cm3未満、好ましくは3×1017spins/cm3以下、好ましくは1.5×1017spins/cm3以下である欠陥量の少ない酸化物絶縁層を形成することができる。この結果トランジスタの信頼性を高めることができる。
また、絶縁膜214、216を成膜した後に、加熱処理(以下、第1の加熱処理とする)を行うと好適である。第1の加熱処理により、絶縁膜214、216に含まれる窒素酸化物を低減することができる。また、第1の加熱処理により、絶縁膜214、216に含まれる酸素の一部を酸化物半導体膜208に移動させ、酸化物半導体膜208に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
第1の加熱処理の温度は、代表的には、400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに好ましくは、150℃以上350℃以下とする。第1の加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい該加熱処理には、電気炉、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置等を用いることができる。
次に、絶縁膜216上にバリア膜230を形成し、バリア膜230を介して、絶縁膜216、214、または酸化物半導体膜208に酸素240を添加する(図22(E)(F)参照)。
なお、図22(E)(F)において、絶縁膜214または絶縁膜216中に添加される酸素を模式的に破線の矢印で示している。
バリア膜230は、酸素を透過し、且つ酸素の放出を抑制する機能を有する。バリア膜230としては、例えば、酸素と、金属(インジウム、亜鉛、チタン、アルミニウム、タングステン、タンタル、モリブデン、ハフニウム、またはイットリウムの中から選ばれる少なくとも一以上)と、を有する。特にバリア膜230としては、インジウムスズ酸化物(ITOともいう)、インジウムスズシリコン酸化物(In−Sn−Si酸化物:以下ITSOともいう)または酸化インジウムであると、凹凸に対する被覆性が良好であるため好ましい。または、バリア膜230に、先に記載の酸化物半導体膜(例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]、In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比]、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、In:Ga:Zn=1:3:6[原子数比]、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]など)を用いてもよい。
また、バリア膜230としては、スパッタリング法を用いて形成することができる。また、バリア膜230の膜厚が薄い場合、絶縁膜216から外部に放出されうる酸素を抑制するのが困難になる場合がある。一方で、バリア膜230の膜厚が厚い場合、絶縁膜216中に好適に酸素を添加できない場合がある。したがって、バリア膜230の厚さとしては、1nm以上20nm以下、または2nm以上10nm以下とすると好ましい。本実施の形態では、バリア膜230として、厚さ5nmのITSOを成膜する。
また、バリア膜230を介して絶縁膜216に酸素240を添加する方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法、プラズマ処理法等がある。また、酸素240を添加する装置または添加する条件によっては、絶縁膜216の下方に位置する絶縁膜214、または酸化物半導体膜208にも酸素240を添加できる場合がある。また、酸素240としては、過剰酸素または酸素ラジカル等が挙げられる。また、酸素240を添加する際に、基板側にバイアスを印加することで効果的に酸素240を絶縁膜216に添加することができる。上記バイアスとしては、例えば、アッシング装置を用い、当該アッシング装置が有する一対の電極間に印加するバイアスの電力密度を1W/cm2以上5W/cm2以下とすればよい。絶縁膜216上にバリア膜230を設けて酸素240を添加することで、バリア膜230が絶縁膜216から酸素が脱離することを抑制する保護膜として機能する。このため、絶縁膜216により多くの酸素を添加することができる。
また、バリア膜230を介して絶縁膜216に酸素240を添加した後に、加熱処理(以下、第2の加熱処理とする)を行ってもよい。第2の加熱処理としては、先に記載の第1の加熱処理と同様とすることができる。
次に、バリア膜230を除去し、絶縁膜216の表面を露出させた後に、絶縁膜216上に絶縁膜218を形成する(図23(A)(B)参照)。
なお、バリア膜230を除去する際に、絶縁膜216の一部も除去される場合がある。また、バリア膜230の除去方法としては、ドライエッチング法、ウエットエッチング法、またはドライエッチング法とウエットエッチング法を組み合わせる方法等が挙げられる。本実施の形態においては、ウエットエッチング法を用いて、バリア膜230を除去する。バリア膜230の除去方法として、ウエットエッチング法を用いる方が、製造コストを抑制できるため好適である。
絶縁膜218としては、例えば、スパッタリング法またはPECVD法を用いて形成することができる。例えば、絶縁膜218をPECVD法で成膜する場合、基板温度は400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに好ましくは180℃以上350℃以下である。絶縁膜218を成膜する場合の基板温度を、上述の範囲にすることで、緻密な膜を形成できるため好ましい。また、絶縁膜218を成膜する場合の基板温度を、上述の範囲にすることで、絶縁膜214、216中の酸素または過剰酸素を、酸化物半導体膜208に移動させることが可能となる。
また、絶縁膜218形成後に、先に記載の第2の加熱処理と同等の加熱処理(以下、第3の加熱処理とする)を行ってもよい。このように、酸素240を絶縁膜216に添加した後に、400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに好ましくは180℃以上350℃以下の温度で、加熱処理を行うことで、絶縁膜216中の酸素または過剰酸素を酸化物半導体膜208(特に酸化物半導体膜208b)中に移動させ、酸化物半導体膜208中の酸素欠損を補填することができる。
ここで、酸化物半導体膜208中に移動する酸素について、図24を用いて説明を行う。図24は、絶縁膜218成膜時の基板温度(代表的には375℃未満)、または絶縁膜218の形成後の第3の加熱処理(代表的には375℃未満)によって、酸化物半導体膜208中に移動する酸素を表すモデル図である。なお、図24中において、酸化物半導体膜208中に移動する酸素(酸素ラジカル、酸素原子、または酸素分子)を破線の矢印で表している。
図24に示す酸化物半導体膜208は、酸化物半導体膜208に接する膜(ここでは、絶縁膜207、及び絶縁膜214)から酸素が移動することで、酸素欠損が補填される。特に、本発明の一態様の半導体装置において、酸化物半導体膜208のスパッタリング成膜時に、酸素ガスを用い、絶縁膜207中に酸素を添加するため、絶縁膜207は過剰酸素領域を有する。また、バリア膜230を介して酸素を添加するため、絶縁膜214、216は過剰酸素領域を有する。よって、該過剰酸素領域を有する絶縁膜に挟まれた酸化物半導体膜208は、酸化物半導体膜208中の酸素欠損を好適に補填することが可能となる。
また、絶縁膜207の下方には、絶縁膜206が設けられており、絶縁膜214、216の上方には、絶縁膜218が設けられている。絶縁膜206、218を酸素透過性が低い材料、例えば、窒化シリコン等により形成することで、絶縁膜207、214、216中に含まれる酸素を酸化物半導体膜208側に閉じ込めることができるため、好適に酸化物半導体膜208に酸素を移動させることが可能となる。
また、絶縁膜218としてPECVD法により窒化シリコン膜を形成する場合、シリコンを含む堆積性気体、窒素、及びアンモニアを原料ガスとして用いることが好ましい。窒素と比較して少量のアンモニアを用いることで、プラズマ中でアンモニアが解離し、活性種が発生する。該活性種が、シリコンを含む堆積性気体に含まれるシリコン及び水素の結合、及び窒素の三重結合を切断する。この結果、シリコン及び窒素の結合が促進され、シリコン及び水素の結合が少なく、欠陥が少なく、緻密な窒化シリコン膜を形成することができる。一方、窒素に対するアンモニアの量が多いと、シリコンを含む堆積性気体及び窒素の分解が進まず、シリコン及び水素結合が残存してしまい、欠陥が増大した、且つ粗な窒化シリコン膜が形成されてしまう。これらのため、原料ガスにおいて、アンモニアに対する窒素の流量比を5倍以上50倍以下、10倍以上50倍以下とすることが好ましい。
本実施の形態においては、絶縁膜218として、PECVD装置を用いて、シラン、窒素、及びアンモニアを原料ガスとして用いて、厚さ50nmの窒化シリコン膜を形成する。流量は、シランが50sccm、窒素が5000sccmであり、アンモニアが100sccmである。処理室の圧力を100Pa、基板温度を350℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて1000Wの高周波電力を平行平板電極に供給する。PECVD装置は電極面積が6000cm2である平行平板型のPECVD装置であり、供給した電力を単位面積あたりの電力(電力密度)に換算すると1.7×10−1W/cm2である。
次に、絶縁膜218上にリソグラフィ工程によりマスクを形成し、絶縁膜214、216、218の所望の領域に開口部252cを形成する。また、絶縁膜218上にリソグラフィ工程によりマスクを形成し、絶縁膜206、207、214、216、218の所望の領域に開口部252a、252bを形成する。なお、開口部252cは、導電膜212bに達するように形成される。また、開口部252a、252bは、それぞれ導電膜204に達するように形成される(図23(C)(D)参照)。
なお、開口部252a、252bと開口部252cとを、同じ工程で形成してもよく、異なる工程で形成してもよい。開口部252a、252bと開口部252cとを同じ工程で形成する場合、例えば、グレートーンマスクまたはハーフトーンマスクを用いて形成することができる。また、開口部252a、252bを複数回に分けて形成してもよい。例えば、事前に絶縁膜206、207に開口部を形成しておき、その後、当該開口部上の絶縁膜214、216、218を開口すればよい。
次に、開口部252a、252b、252cを覆うように絶縁膜218上に導電膜を形成し、当該導電膜を所望の形状に加工することで、導電膜220a、220bを形成する(図23(E)(F)参照。)
導電膜220a、220bとなる導電膜としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いることができる。とくに、導電膜220a、220bとしては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウムスズ酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物、インジウムスズシリコン酸化物(ITSO)などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。また、導電膜220a、220bとなる導電膜としては、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。本実施の形態においては、膜厚110nmのITSOをスパッタリング法で形成する。
以上の工程で図18(C)(D)に示すトランジスタ270Bを作製することができる。
また、トランジスタ270Bの全ての作製工程において、基板温度を400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに好ましくは180℃以上350℃以下とすることで、大面積の基板を用いても基板の変形(歪みまたは反り)を極めて少なくすることができるため好適である。なお、絶縁膜206、207の成膜時の温度(400℃未満、好ましくは250℃以上350℃以下)、酸化物半導体膜208の成膜時の温度(室温以上340℃未満、好ましくは100℃以上200℃以下、さらに好ましくは100℃以上150℃未満)、絶縁膜216、218の成膜時の温度(400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに好ましくは180℃以上350℃以下)、酸素240を添加後の第1の加熱処理または第2の加熱処理の温度(400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに好ましくは180℃以上350℃以下)などがトランジスタ270Bの作製工程中で基板に与えられる。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
[半導体装置の作製方法2]
次に、先に示す[半導体装置の作製方法1]と異なる作製方法について、以下説明する。
まず、[半導体装置の作製方法1]と同様に、図22(C)(D)に示す工程まで行う。次に、図22(E)(F)に示す、バリア膜230を形成し、酸素240の添加を行わない。その後、図23(A)(B)に示す工程を行わずに、図23(C)(D)、及び図23(E)(F)の工程を行う。
この場合、バリア膜230としては、先に記載した材料の中でも絶縁性の高い材料を選択すればよい。本作製方法で用いるバリア膜230としては、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、または酸化イットリウムを用いると好ましい。
バリア膜230として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、または酸化イットリウムをスパッタリング法にて成膜する場合、スパッタリングガスとして、少なくとも酸素を含むと好ましい。バリア膜230の形成時において、スパッタリングガスに酸素を用いることで、当該酸素がプラズマ中で酸素ラジカルとなり、当該酸素または当該酸素ラジカルのいずれか一方または双方が、絶縁膜216中に添加される場合がある。よって、図22(E)(F)に示す酸素240を添加する工程を行わなくても良い。別言すると、バリア膜230の成膜時において、酸素添加処理と、バリア膜230の成膜とを同時に行うことが可能となる。なお、バリア膜230は、バリア膜230の成膜時(特に成膜初期)においては、酸素を添加する機能を有するが、バリア膜230の形成後(特に成膜後期)においては、酸素をブロックする機能を有する。
また、バリア膜230として、例えば、酸化アルミニウムをスパッタリング法にて成膜する場合、絶縁膜216と、バリア膜230との界面近傍に混合層を形成する場合がある。例えば、絶縁膜216が酸化窒化シリコン膜の場合、該混合層としては、AlxSiyOzが形成されうる。なお、該混合層が過剰酸素領域を有していてもよい。
また、バリア膜230として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、または酸化イットリウムを用いる場合、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、及び酸化イットリウムは、高い絶縁性を有し、且つ高い酸素バリア性を有する。よって、図23(A)(B)に示す絶縁膜218を成膜する工程を行わなくてもよい。よって、バリア膜230を除去せずに、絶縁膜218の代わりに、そのまま用いてもよい。
また、バリア膜230の成膜時の基板温度を400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに好ましくは180℃以上350℃以下とすることで、絶縁膜216中に添加された酸素または過剰酸素を酸化物半導体膜208中に移動させることができる。
このように、バリア膜230として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、または酸化イットリウムを用いることで、半導体装置の製造工程を短くすることが可能となり、製造コストを抑制することができる。
[半導体装置の作製方法3]
次に、本発明の一態様の半導体装置である図15(A)(B)(C)に示すトランジスタ250の作製方法について、図25及び図26を用いて説明する。なお、図25(A)乃至図25(F)、及び図26(A)乃至図26(F)は、半導体装置の作製方法を説明する断面図である。また、図25(A)(C)(E)、及び図26(A)(C)(E)は、チャネル長方向の断面図であり、図25(B)(D)(F)、及び図26(B)(D)(F)は、チャネル幅方向の断面図である。
まず、基板202上に、導電膜204、絶縁膜206、207、酸化物半導体膜208、絶縁膜214、216、バリア膜230を形成する(図25(A)(B)参照)。
導電膜204、絶縁膜206、207、酸化物半導体膜208、絶縁膜214、216、バリア膜230としては、[半導体装置の作製方法1]の記載を参酌して形成すればよい。
次に、バリア膜230を介して絶縁膜214に酸素240を添加する(図25(C)(D)参照)。
次に、バリア膜230を除去する。その後、絶縁膜214上にリソグラフィ工程によりマスクを形成し、絶縁膜214及び絶縁膜216の所望の領域に開口部251a、251bを形成する。なお、開口部251a、251bは、酸化物半導体膜208に達する(図25(E)(F)参照)。
次に、開口部251a、251bを覆うように、絶縁膜214上に導電膜212を形成する(図26(A)(B)参照)。
次に、導電膜212上にリソグラフィ工程によりマスクを形成し、該導電膜を所望の形状に加工することで、導電膜212a、212bを形成する(図26(C)(D)参照)。
次に、絶縁膜214、及び導電膜212a、212b上に絶縁膜218を形成する(図26(E)(F)参照)。
以上の工程で図15(A)(B)(C)に示すトランジスタ250を作製することができる。
なお、図16(A)(B)(C)に示すトランジスタ260としては、開口部251a、251bを形成する工程において、酸化物半導体膜208のチャネル領域上にのみ、絶縁膜214及び絶縁膜216を形成する構成とすることで作製することができる。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態または他の実施例に示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、本発明の一態様の酸化物半導体膜を成膜することができるスパッタリング装置及び成膜装置について、図27乃至図34を用いて説明する。なお、以下に示すスパッタリング装置では、成膜時における動作を説明するため、基板及びターゲットなどを配置した状態で示す。ただし、基板及びターゲットなどは、実施者が適宜設置する物であるため、スパッタリング装置が基板及びターゲットを有さない場合もある。
<3−1.スパッタリング装置>
スパッタリング装置としては、例えば平行平板型スパッタリング装置、及び対向ターゲット型スパッタリング装置を用いることができる。なお、平行平板型スパッタリング装置を用いた成膜法を、PESP(parallel electrode sputtering)と呼ぶこともできる。また、対向ターゲット型スパッタリング装置を用いた成膜法を、VDSP(vapor deposition sputtering)と呼ぶこともできる。
[平行平板型スパッタリング装置(PESP)]
まず、平行平板型スパッタリング装置について、説明する。図27(A)は、平行平板型スパッタリング装置における成膜室301の断面図である。図27(A)に示す成膜室301は、ターゲットホルダ320と、バッキングプレート310と、ターゲット300と、マグネットユニット330と、基板ホルダ370と、を有する。なお、ターゲット300は、バッキングプレート310上に配置される。また、バッキングプレート310は、ターゲットホルダ320上に配置される。また、マグネットユニット330は、バッキングプレート310を介してターゲット300下に配置される。また、基板ホルダ370は、ターゲット300と向かい合って配置される。なお、本明細書では、複数のマグネット(磁石)を組み合わせたものをマグネットユニットと呼ぶ。マグネットユニットは、カソード、カソードマグネット、磁気部材、磁気部品などと呼びかえることができる。マグネットユニット330は、マグネット330Nと、マグネット330Sと、マグネットホルダ332と、を有する。なお、マグネットユニット330において、マグネット330N及びマグネット330Sは、マグネットホルダ332上に配置される。また、マグネット330Nは、マグネット330Sと間隔を空けて配置される。なお、成膜室301に基板360を搬入する場合、基板360は基板ホルダ370と接して配置される。
ターゲットホルダ320とバッキングプレート310とは、ネジ(ボルトなど)を用いて固定されており、等電位となる。また、ターゲットホルダ320は、バッキングプレート310を介してターゲット300を支持する機能を有する。
また、バッキングプレート310には、ターゲット300が固定される。例えば、インジウムなどの低融点金属を含むボンディング材によってバッキングプレート310とターゲット300とを固定することができる。
図27(A)に、マグネットユニット330によって形成される磁力線380a及び磁力線380bを示す。
磁力線380aは、ターゲット300の近傍における水平磁場を形成する磁力線の一つである。ターゲット300の近傍は、例えば、ターゲット300の上面から垂直距離が0mm以上10mm以下、特に0mm以上5mm以下の領域である。
磁力線380bは、マグネットユニット330の上面から、垂直距離dにおける水平磁場を形成する磁力線の一つである。垂直距離dは、例えば、0mm以上20mm以下または5mm以上15mm以下である。
このとき、強力なマグネット330N及び強力なマグネット330Sを用いることで、基板360の近傍においても強い磁場を発生させることができる。具体的には、基板360の近傍における水平磁場の磁束密度を10G以上100G以下、好ましくは15G以上60G以下、さらに好ましくは20G以上40G以下とすることができる。
なお、水平磁場の磁束密度の測定は、垂直磁場の磁束密度が0Gのときの値を測定すればよい。
成膜室301における磁場の磁束密度を上述の範囲とすることで、密度が高く、結晶性の高い酸化物半導体膜を成膜することができる。また、得られる酸化物半導体膜は、複数種の結晶相を含むことが少なく、ほとんど単一の結晶相を含む酸化物半導体膜となる。
図27(B)に、マグネットユニット330の上面図を示す。マグネットユニット330は、円形または略円形のマグネット330Nと、円形または略円形のマグネット330Sと、がマグネットホルダ332に固定されている。そして、マグネットユニット330を、マグネットユニット330の上面における中央または略中央の法線ベクトルを回転軸として回転させることができる。例えば、マグネットユニット330を、0.1Hz以上1kHz以下のビート(リズム、拍子、パルス、周波、周期またはサイクルなどと言い換えてもよい。)で回転させればよい。
したがって、ターゲット300上の磁場の強い領域は、マグネットユニット330の回転とともに変化する。磁場の強い領域は高密度プラズマ領域となるため、その近傍においてターゲット300のスパッタリング現象が起こりやすい。例えば、磁場の強い領域が特定の箇所となる場合、ターゲット300の特定の領域のみが使用されることになる。一方、図27(B)に示すようにマグネットユニット330を回転させることで、ターゲット300を均一に使用することができる。また、マグネットユニット330を回転させることによって、均一な厚さを有する膜、及び均一な質を有する膜とすることができる。
また、マグネットユニット330を回転させることにより、基板360の近傍における磁力線の向きも変化させることができる。
なお、ここではマグネットユニット330を回転させる例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、マグネットユニット330を上下または/及び左右に揺動させても構わない。例えば、マグネットユニット330を、0.1Hz以上1kHz以下のビートで揺動させればよい。または、ターゲット300を回転または移動させても構わない。例えば、ターゲット300を、0.1Hz以上1kHz以下のビートで回転または移動させればよい。または、基板360を回転させることで、相対的に基板360の近傍における磁力線の向きを変化させても構わない。または、これらを組み合わせても構わない。
成膜室301は、バッキングプレート310の内部または下部などに溝部を有してもよい。そして、該溝部に流体(空気、窒素、希ガス、水、オイルなど)を流すことで、スパッタ時にターゲット300の温度の上昇による放電異常や、部材の変形による成膜室301の損傷などを抑制することができる。このとき、バッキングプレート310とターゲット300とをボンディング材を介して密着させると、冷却性能が高まるため好ましい。
なお、ターゲットホルダ320とバッキングプレート310との間にガスケットを有すると、成膜室301内に外部や溝部などから不純物が混入しにくくなるため好ましい。
マグネットユニット330において、マグネット330Nとマグネット330Sとは、それぞれターゲット300側に異なる極を向けて配置されている。ここでは、マグネット330Nをターゲット300側がN極となるように配置し、マグネット330Sをターゲット300側がS極となるように配置する場合について説明する。ただし、マグネットユニット330におけるマグネット及び極の配置は、この配置に限定されるものではない。また、図27(A)の配置に限定されるものでもない。
成膜時、ターゲットホルダ320に接続する端子V1に印加される電位V1は、例えば、基板ホルダ370に接続する端子V2に印加される電位V2よりも低い電位である。また、基板ホルダ370に接続する端子V2に印加される電位V2は、例えば、接地電位である。また、マグネットホルダ332に接続する端子V3に印加される電位V3は、例えば、接地電位である。なお、端子V1、端子V2及び端子V3に印加される電位は上記の電位に限定されない。また、ターゲットホルダ320、基板ホルダ370、マグネットホルダ332の全てに電位が印加されなくても構わない。例えば、基板ホルダ370がフローティング状態であってもよい。なお、図27(A)では、ターゲットホルダ320に接続する端子V1に電位V1を印加する、いわゆるDCスパッタリング法の例を示したが、これに限定されない。例えば、ターゲットホルダ320に、周波数が13.56MHzまたは27.12MHzなどの高周波電源を接続する、いわゆるRFスパッタリング法を用いても構わない。
また、図27(A)では、バッキングプレート310及びターゲットホルダ320と、マグネットユニット330及びマグネットホルダ332と、が電気的に接続されない例を示したが、これに限定されない。例えば、バッキングプレート310及びターゲットホルダ320と、マグネットユニット330及びマグネットホルダ332と、が電気的に接続されており、等電位となっていても構わない。
また、得られる酸化物半導体膜の結晶性をさらに高めるために、基板360の温度を高くしても構わない。基板360の温度を高くすることで、基板360の近傍におけるスパッタ粒子のマイグレーションを助長させることができる。したがって、より密度が高く、より結晶性の高い酸化物半導体膜を成膜することができる。なお、基板360の温度は、例えば、室温以上340℃未満、好ましくは室温以上300℃以下、より好ましくは100℃以上250℃以下、さらに好ましくは100℃以上200℃以下である。
また、ターゲット300と基板360との垂直距離を、10mm以上600mm以下、好ましくは20mm以上400mm以下、さらに好ましくは30mm以上200mm以下、より好ましくは40mm以上100mm以下とする。ターゲット300と基板360との垂直距離を上述の範囲まで近くすることで、スパッタ粒子が、基板360に到達するまでの間におけるエネルギーの低下を抑制できる場合がある。また、ターゲット300と基板360との垂直距離を上述の範囲まで遠くすることで、スパッタ粒子の基板360への入射方向を垂直に近づけることができるため、スパッタ粒子の衝突による基板360へのダメージを小さくすることができる場合がある。
図28(A)に、図27(A)とは異なる成膜室の例を示す。
図28(A)に示す成膜室301は、ターゲットホルダ320aと、ターゲットホルダ320bと、バッキングプレート310aと、バッキングプレート310bと、ターゲット300aと、ターゲット300bと、マグネットユニット330aと、マグネットユニット330bと、部材342と、基板ホルダ370と、を有する。なお、ターゲット300aは、バッキングプレート310a上に配置される。また、バッキングプレート310aは、ターゲットホルダ320a上に配置される。また、マグネットユニット330aは、バッキングプレート310aを介してターゲット300a下に配置される。また、ターゲット300bは、バッキングプレート310b上に配置される。また、バッキングプレート310bは、ターゲットホルダ320b上に配置される。また、マグネットユニット330bは、バッキングプレート310bを介してターゲット300b下に配置される。
マグネットユニット330aは、マグネット330N1と、マグネット330N2と、マグネット330Sと、マグネットホルダ332と、を有する。なお、マグネットユニット330aにおいて、マグネット330N1、マグネット330N2及びマグネット330Sは、マグネットホルダ332上に配置される。また、マグネット330N1及びマグネット330N2は、マグネット330Sと間隔を空けて配置される。なお、マグネットユニット330bは、マグネットユニット330aと同様の構造を有する。なお、成膜室301に基板360を搬入する場合、基板360は基板ホルダ370に接して配置される。
ターゲット300a、バッキングプレート310a及びターゲットホルダ320aと、ターゲット300b、バッキングプレート310b及びターゲットホルダ320bと、は部材342によって離間されている。なお、部材342は絶縁体であることが好ましい。ただし、部材342が導電体または半導体であっても構わない。また、部材342が、導電体または半導体の表面を絶縁体で覆ったものであっても構わない。
ターゲットホルダ320aとバッキングプレート310aとは、ネジ(ボルトなど)を用いて固定されており、等電位となる。また、ターゲットホルダ320aは、バッキングプレート310aを介してターゲット300aを支持する機能を有する。また、ターゲットホルダ320bとバッキングプレート310bとは、ネジ(ボルトなど)を用いて固定されており、等電位となる。また、ターゲットホルダ320bは、バッキングプレート310bを介してターゲット300bを支持する機能を有する。
バッキングプレート310aは、ターゲット300aを固定する機能を有する。また、バッキングプレート310bは、ターゲット300bを固定する機能を有する。
図28(A)に、マグネットユニット330aによって形成される磁力線380a及び磁力線380bを示す。
磁力線380aは、ターゲット300aの近傍における水平磁場を形成する磁力線の一つである。ターゲット300aの近傍は、例えば、ターゲット300aから垂直距離が0mm以上10mm以下、特に0mm以上5mm以下の領域である。
磁力線380bは、マグネットユニット330aの上面から、垂直距離dにおける水平磁場を形成する磁力線の一つである。垂直距離dは、例えば、0mm以上20mm以下または5mm以上15mm以下である。
このとき、強力なマグネット330N1、強力なマグネット330N2及び強力なマグネット330Sを用いることで、基板360の近傍においても強い磁場を発生させることができる。具体的には、基板360の近傍における水平磁場の磁束密度を10G以上100G以下、好ましくは15G以上60G以下、さらに好ましくは20G以上40G以下とすることができる。
成膜室301における磁場の磁束密度を上述の範囲とすることで、密度が高く、結晶性の高い酸化物半導体膜を成膜することができる。また、得られる酸化物半導体膜は、複数種の結晶相を含むことが少なく、ほとんど単一の結晶相を含む酸化物となる。
なお、マグネットユニット330bもマグネットユニット330aと同様の磁力線が形成される。
図28(B)に、マグネットユニット330a及びマグネットユニット330bの上面図を示す。マグネットユニット330aは、長方形または略長方形のマグネット330N1と、長方形または略長方形のマグネット330N2と、長方形または略長方形のマグネット330Sと、がマグネットホルダ332に固定されていることわかる。そして、マグネットユニット330aを、図28(B)に示すように左右に揺動させることができる。例えば、マグネットユニット330aを、0.1Hz以上1kHz以下のビートで揺動させればよい。
したがって、ターゲット300a上の磁場の強い領域は、マグネットユニット330aの揺動とともに変化する。磁場の強い領域は高密度プラズマ領域となるため、その近傍においてターゲット300aのスパッタリング現象が起こりやすい。例えば、磁場の強い領域が特定の箇所となる場合、ターゲット300aの特定の領域のみが使用されることになる。一方、図28(B)に示すようにマグネットユニット330aを揺動させることで、ターゲット300aを均一に使用することができる。また、マグネットユニット330aを揺動させることによって、均一な厚さを有する膜、及び均一な質を有する膜とすることができる。
また、マグネットユニット330aを揺動させることにより、基板360の近傍における磁力線の状態も変化させることができる。これは、マグネットユニット330bにおいても同様である。
なお、ここではマグネットユニット330a及びマグネットユニット330bを揺動させる例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、マグネットユニット330a及びマグネットユニット330bを回転させても構わない。例えば、マグネットユニット330a及びマグネットユニット330bを、0.1Hz以上1kHz以下のビートで回転させればよい。または、ターゲット300を回転または移動させても構わない。例えば、ターゲット300を、0.1Hz以上1kHz以下のビートで回転または移動させればよい。または、基板360を回転させることで、相対的に基板360の上面における磁力線の状態を変化させることができる。または、これらを組み合わせても構わない。
成膜室301は、バッキングプレート310a及びバッキングプレート310bの内部または下部などに溝部を有してもよい。そして、該溝部に流体(空気、窒素、希ガス、水、オイルなど)を流すことで、スパッタ時にターゲット300a及びターゲット300bの温度の上昇による放電異常や、部材の変形による成膜室301の損傷などを抑制することができる。このとき、バッキングプレート310aとターゲット300aとをボンディング材を介して密着させると、冷却性能が高まるため好ましい。また、バッキングプレート310bとターゲット300bとをボンディング材を介して密着させると、冷却性能が高まるため好ましい。
なお、ターゲットホルダ320aとバッキングプレート310aとの間にガスケットを有すると、成膜室301内に外部や溝部などから不純物が混入しにくくなるため好ましい。また、ターゲットホルダ320bとバッキングプレート310bとの間にガスケットを有すると、成膜室301内に外部や溝部などから不純物が混入しにくくなるため好ましい。
マグネットユニット330aにおいて、マグネット330N1及びマグネット330N2とマグネット330Sとはそれぞれターゲット300a側に異なる極を向けて配置されている。ここでは、マグネット330N1及びマグネット330N2をターゲット300a側がN極となるように配置し、マグネット330Sをターゲット300a側がS極となるように配置する場合について説明する。ただし、マグネットユニット330aにおけるマグネット及び極の配置は、この配置に限定されるものではない。また、図28(A)の配置に限定されるものでもない。これは、マグネットユニット330bについても同様である。
成膜時、ターゲットホルダ320aに接続する端子V1と、ターゲットホルダ320bに接続する端子V4と、の間で、交互に高低が入れ替わる電位を印加すればよい。また、基板ホルダ370に接続する端子V2に印加される電位V2は、例えば、接地電位である。また、マグネットホルダ332に接続する端子V3に印加される電位V3は、例えば、接地電位である。なお、端子V1、端子V2、端子V3及び端子V4に印加される電位は上記の電位に限定されない。また、ターゲットホルダ320a、ターゲットホルダ320b、基板ホルダ370、マグネットホルダ332の全てに電位が印加されなくても構わない。例えば、基板ホルダ370がフローティング状態であってもよい。なお、図28(A)では、ターゲットホルダ320aに接続する端子V1と、ターゲットホルダ320bに接続する端子V4と、の間で、交互に高低が入れ替わる電位を印加する、いわゆるACスパッタリング法の例を示したが、これに限定されない。
また、図28(A)では、バッキングプレート310a及びターゲットホルダ320aと、マグネットユニット330a及びマグネットホルダ332と、は電気的に接続されない例を示したが、これに限定されない。例えば、バッキングプレート310a及びターゲットホルダ320aと、マグネットユニット330a及びマグネットホルダ332と、が電気的に接続されており、等電位となっていても構わない。また、バッキングプレート310b及びターゲットホルダ320bと、マグネットユニット330b及びマグネットホルダ332と、は電気的に接続されない例を示したが、これに限定されない。例えば、バッキングプレート310a及びターゲットホルダ320bと、マグネットユニット330b及びマグネットホルダ332と、が電気的に接続されており、等電位となっていても構わない。
また、得られる酸化物半導体膜の結晶性をさらに高めるために、基板360の温度を高くしても構わない。基板360の温度を高くすることで、基板360の近傍におけるスパッタ粒子のマイグレーションを助長させることができる。したがって、より密度が高く、より結晶性の高い酸化物半導体膜を成膜することができる。なお、基板360の温度は、例えば、室温以上340℃未満、好ましくは室温以上300℃以下、より好ましくは100℃以上250℃以下、さらに好ましくは100℃以上200℃以下である。
また、ターゲット300aと基板360との垂直距離を、10mm以上600mm以下、好ましくは20mm以上400mm以下、さらに好ましくは30mm以上200mm以下、より好ましくは40mm以上100mm以下とする。ターゲット300aと基板360との垂直距離を上述の範囲まで近くすることで、スパッタ粒子が、基板360に到達するまでの間におけるエネルギーの低下を抑制できる場合がある。また、ターゲット300aと基板360との垂直距離を上述の範囲まで遠くすることで、スパッタ粒子の基板360への入射方向を垂直に近づけることができるため、スパッタ粒子の衝突による基板360へのダメージを小さくすることができる場合がある。
また、ターゲット300bと基板360との垂直距離を、10mm以上600mm以下、好ましくは20mm以上400mm以下、さらに好ましくは30mm以上200mm以下、より好ましくは40mm以上100mm以下とする。ターゲット300bと基板360との垂直距離を上述の範囲まで近くすることで、スパッタ粒子が、基板360に到達するまでの間におけるエネルギーの低下を抑制できる場合がある。また、ターゲット300bと基板360との垂直距離を上述の範囲まで遠くすることで、スパッタ粒子の基板360への入射方向を垂直に近づけることができるため、スパッタ粒子の衝突による基板360へのダメージを小さくすることができる場合がある。
[対向ターゲット型スパッタリング装置(VDSP)]
次に、対向ターゲット型スパッタリング装置について、説明する。図29(A)は、対向ターゲット型スパッタリング装置における成膜室の断面図である。図29(A)に示す成膜室は、ターゲット300a及びターゲット300bと、ターゲット300a及びターゲット300bをそれぞれ保持するバッキングプレート310a及びバッキングプレート310bと、バッキングプレート310a及びバッキングプレート310bを介してターゲット300a及びターゲット300bの背面にそれぞれ配置されるマグネットユニット330a及びマグネットユニット330bと、を有する。また、基板ホルダ370は、ターゲット300a及びターゲット300bの間に配置される。なお、成膜室に基板360を搬入したのち、基板360は基板ホルダ370に固定される。
また、図29(A)に示すように、バッキングプレート310a及びバッキングプレート310bには、電位を印加するための電源390及び電源391が接続されている。バッキングプレート310aに接続する電源390と、バッキングプレート310bに接続する電源391と、の間で、交互に電位の高低が入れ替わる電位を印加する、いわゆるAC電源を用いると好ましい。また、図29(A)に示す電源390及び電源391はAC電源を用いた例を示しているが、これに限られない。例えば、電源390及び電源391としてRF電源、DC電源などを用いてもよい。または、電源390と電源391とで、異なる種類の電源を用いてもよい。
また、基板ホルダ370はGNDに接続されていることが好ましい。また、基板ホルダ370はフローティングの状態であってもよい。
図29(B)及び図29(C)は、図29(A)の一点鎖線A−B間におけるプラズマ340の電位分布を示している。図29(B)に示す電位分布は、バッキングプレート310aに高電位を印加し、バッキングプレート310bに低電位を印加した状態を示す。即ち、ターゲット300bに向けて陽イオンが加速される。図29(C)に示す電位分布は、バッキングプレート310aに低電位を印加し、バッキングプレート310bに高電位を印加した状態を示す。即ち、ターゲット300aに向けて陽イオンが加速される。本発明の一態様における酸化物半導体膜の形成は、図29(B)と、図29(C)と、の状態を交互に入れ替わるようにして行えばよい。
また、本発明の一態様における酸化物半導体膜の形成は、基板360の表面に、プラズマ340が十分到達している状態で行うことが好ましい。例えば、図29(A)に示すように、基板ホルダ370及び基板360がプラズマ340中に配置された状態が好ましい。特にプラズマ340中における陽光柱の領域に、基板ホルダ370及び基板360が入るように配置することが好ましい。プラズマ340中の陽光柱の領域は、図29(B)及び図29(C)に示す電位分布において、A−B間の中間付近にある、電位分布の勾配が小さい領域である。つまり、図29(A)に示すように、プラズマ340における陽光柱の領域に基板360を配置することによって、プラズマ340下の強電界部に基板360が曝されないため、基板360はプラズマ340による損傷が少なく、欠陥を低減することができる。
また、図29(A)に示すように、基板ホルダ370及び基板360がプラズマ340中に配置された状態で成膜することにより、ターゲット300a及びターゲット300bの使用効率が高くなるため好ましい。
図29(A)に示すように、基板ホルダ370と、ターゲット300aと、の水平距離をL1とし、基板ホルダ370と、ターゲット300bと、の水平距離をL2とする。L1及びL2の長さは、それぞれ基板360と同等の長さであることが好ましい。また、上述したように、基板360がプラズマ340の陽光柱の領域に入るように、L1及びL2の距離を適宜調節することが好ましい。例えば、L1及びL2は、それぞれ10mm以上200mm以下とすればよい。
図29(A)に示す構成は、ターゲット300aとターゲット300bとが平行に向かい合って配置されている。また、マグネットユニット330aとマグネットユニット330bとが、異なる極を向かい合わせるように配置されている。このとき、磁力線は、マグネットユニット330bからマグネットユニット330aに向かう。そのため、成膜時には、マグネットユニット330aとマグネットユニット330bとで形成される磁場にプラズマ340が閉じ込められる。基板ホルダ370及び基板360は、ターゲット300aとターゲット300bとが向かい合っている間の領域(ターゲット間領域ともいう。)に配置される。なお、図29(A)では、ターゲット300aとターゲット300bとが向かい合う方向に平行に基板ホルダ370及び基板360を配置しているが、傾けて配置してもよい。例えば、基板ホルダ370及び基板360を30°以上60°以下(代表的には45°)傾けることによって、成膜時に基板360に垂直入射するスパッタ粒子の割合を高くすることができる。
図30に示す構成は、ターゲット300aとターゲット300bとが互いに平行ではなく、傾いた状態で向かい合って(V字状に)配置されている点が図29(A)に示した構成と異なる。よって、ターゲットの配置以外については、図29(A)の説明を参照する。また、マグネットユニット330aとマグネットユニット330bとが異なる極が向かい合うように配置されている。基板ホルダ370及び基板360は、ターゲット間領域に配置される。ターゲット300a及びターゲット300bを、図30に示すような配置とすることで、基板360に到達するスパッタ粒子の割合が高くなるため、堆積速度を高くすることができる。
また、図29(A)では、基板ホルダ370及び基板360がプラズマ340中に配置された状態を示したが、これに限られない。例えば図31に示すように、基板ホルダ370及び基板360が、プラズマ340の外側に配置されていてもよい。基板360がプラズマ340の高電界領域に曝されないことによって、プラズマ340による損傷を低減させることができる。ただし、プラズマ340から基板360を離すほど、ターゲット300a及びターゲット300bの使用効率が低くなってしまう。また、基板ホルダ370の位置は、図31に示すように可変とする構成が好ましい。
また、基板ホルダ370は、ターゲット間領域の上側に配置されるが、下側に配置されても構わない。また、下側及び上側に配置されても構わない。下側及び上側に基板ホルダ370を配置することにより、二以上の基板を同時に成膜することができるため、生産性を高めることができる。
対向ターゲット型スパッタリング装置は、高真空であってもプラズマを安定に生成することができる。例えば、0.005Pa以上0.09Pa以下でも成膜が可能である。そのため、成膜時に混入する不純物の濃度を低減することができる。
対向ターゲット型スパッタリング装置を用いることによって、高真空での成膜が可能となる、またはプラズマによる損傷の少ない成膜が可能となるため、基板360の温度が低い場合でも結晶性の高い膜を成膜することができる。例えば、基板360の温度が、室温以上100℃未満であっても結晶性の高い膜を成膜することができる。
図32(A)に、対向ターゲット型スパッタリング装置の別の例を示す。
図32(A)は、対向ターゲット型スパッタリング装置における成膜室の断面模式図である。図29(A)に示す成膜室とは異なり、ターゲットシールド322及びターゲットシールド323が設けられている。また、バッキングプレート310a及びバッキングプレート310bと接続する電源391を有する。
また、図32(A)に示すように、ターゲットシールド322及びターゲットシールド323は、GNDに接続されている。つまり、電源391の電位が与えられたバッキングプレート310a及びバッキングプレート310bと、GNDが与えられたターゲットシールド322及びターゲットシールド323と、の間に印加される電位差によって、プラズマ340が形成される。
また、本発明の一態様における酸化物半導体膜の形成は、基板360の表面に、プラズマ340が十分到達している状態で行うことが好ましい。例えば、図32(A)に示すように、基板ホルダ370及び基板360がプラズマ340中に配置された状態が好ましい。特にプラズマ340中における陽光柱の領域に、基板ホルダ370及び基板360が入るように配置することが好ましい。プラズマ中の陽光柱の領域は、電位分布の勾配が小さい領域である。つまり、図32(A)に示すように、プラズマ340における陽光柱の領域に基板360を配置することによって、プラズマ340下の強電界部に基板360が曝されないため、基板360はプラズマ340による損傷が少なく、良好な膜質の酸化物を得ることができる。
また、図32(A)に示すように基板ホルダ370及び基板360がプラズマ340中に配置された状態で成膜することにより、ターゲット300a及びターゲット300bの使用効率が高くなるため好ましい。
また、図32(A)に示すように、基板ホルダ370と、ターゲット300aと、の水平距離をL1とし、基板ホルダ370と、ターゲット300bと、の水平距離をL2とする。L1及びL2の長さは、それぞれ基板360のサイズと同等の長さであることが好ましい。また、上述したように、基板360がプラズマ340の陽光柱の領域に入るように、L1及びL2の距離を適宜調節することが好ましい。
また、図32(A)では、基板ホルダ370及び基板360がプラズマ340中に配置された状態を示したが、これに限られない。例えば図32(B)に示すように、基板ホルダ370及び基板360が、プラズマ340の外側に配置されていてもよい。基板360がプラズマ340の高電界領域に曝されないことによって、プラズマ340による損傷を低減させることができる。ただし、プラズマ340から基板360を離すほど、ターゲット300a及びターゲット300bの使用効率が低くなってしまう。また、基板ホルダ370の位置は、図32(B)に示すように可変とする構成が好ましい。
また、図32(B)に示すように、基板ホルダ370は、ターゲット間領域の上側に配置されるが、下側に配置されても構わない。また、下側及び上側に配置されても構わない。下側及び上側に基板ホルダ370を配置することにより、二以上の基板を同時に成膜することができるため、生産性を高めることができる。
以上に示した対向ターゲット型スパッタリング装置は、プラズマがターゲット間の磁場に閉じこめられるため、基板へのプラズマダメージを低減することができる。また、ターゲットの傾きによって、基板へのスパッタ粒子の入射角度を浅くすることができるため、堆積される膜の段差被覆性を高めることができる。また、高真空における成膜が可能であるため、膜に混入する不純物の濃度を低減することができる。
なお、成膜室に、平行平板型スパッタリング装置、イオンビームスパッタリング装置を適用しても構わない。
<3−2.成膜装置>
以下では、本発明の一態様の酸化物半導体膜を成膜することが可能な成膜室を有する成膜装置について説明する。
まず、成膜時などに膜中に不純物の混入が少ない成膜装置の構成について図33及び図34を用いて説明する。
図33は、枚葉式マルチチャンバーの成膜装置2700の上面図を模式的に示している。成膜装置2700は、基板を収容するカセットポート2761と、基板のアライメントを行うアライメントポート2762と、を備える大気側基板供給室2701と、大気側基板供給室2701から、基板を搬送する大気側基板搬送室2702と、基板の搬入を行い、かつ室内の圧力を大気圧から減圧、または減圧から大気圧へ切り替えるロードロック室2703aと、基板の搬出を行い、かつ室内の圧力を減圧から大気圧、または大気圧から減圧へ切り替えるアンロードロック室2703bと、真空中の基板の搬送を行う搬送室2704と、基板の加熱を行う基板加熱室2705と、ターゲットが配置され成膜を行う成膜室2706a、成膜室2706b及び成膜室2706cと、を有する。なお、成膜室2706a、成膜室2706b及び成膜室2706cは、上述した成膜室の構成を参酌することができる。
また、大気側基板搬送室2702は、ロードロック室2703a及びアンロードロック室2703bと接続され、ロードロック室2703a及びアンロードロック室2703bは、搬送室2704と接続され、搬送室2704は、基板加熱室2705、成膜室2706a、成膜室2706b及び成膜室2706cと接続する。
なお、各室の接続部にはゲートバルブ2764が設けられており、大気側基板供給室2701と、大気側基板搬送室2702を除き、各室を独立して真空状態に保持することができる。また、大気側基板搬送室2702及び搬送室2704は、搬送ロボット2763を有し、基板を搬送することができる。
また、基板加熱室2705は、プラズマ処理室を兼ねると好ましい。成膜装置2700は、処理と処理の間で基板を大気暴露することなく搬送することが可能なため、基板に不純物が吸着することを抑制できる。また、成膜や熱処理などの順番を自由に構築することができる。なお、搬送室、成膜室、ロードロック室、アンロードロック室及び基板加熱室は、上述の数に限定されず、設置スペースやプロセス条件に合わせて、適宜最適な数を設けることができる。
次に、図33に示す成膜装置2700の一点鎖線V1−V2、一点鎖線W1−W2、及び一点鎖線W2−W3に相当する断面を図34に示す。
図34(A)は、基板加熱室2705と、搬送室2704の断面を示しており、基板加熱室2705は、基板を収容することができる複数の加熱ステージ2765を有している。なお、基板加熱室2705は、バルブを介して真空ポンプ2770と接続されている。真空ポンプ2770としては、例えば、ドライポンプ、及びメカニカルブースターポンプ等を用いることができる。
また、基板加熱室2705に用いることのできる加熱機構としては、例えば、抵抗発熱体などを用いて加熱する加熱機構としてもよい。または、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導または熱輻射によって、加熱する加熱機構としてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)などのRTAを用いることができる。LRTAは、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する。GRTAは、高温のガスを用いて熱処理を行う。ガスとしては、不活性ガスが用いられる。
また、基板加熱室2705は、マスフローコントローラ2780を介して、精製機2781と接続される。なお、マスフローコントローラ2780及び精製機2781は、ガス種の数だけ設けられるが、理解を容易にするため一つのみを示す。基板加熱室2705に導入されるガスは、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下であるガスを用いることができ、例えば、酸素ガス、窒素ガス、及び希ガス(アルゴンガスなど)を用いる。
搬送室2704は、搬送ロボット2763を有している。搬送ロボット2763は、各室へ基板を搬送することができる。また、搬送室2704は、バルブを介して真空ポンプ2770と、クライオポンプ2771と、接続されている。このような構成とすることで、搬送室2704は、大気圧から低真空または中真空(数百Paから0.1Pa程度)まで真空ポンプ2770を用いて排気され、バルブを切り替えて中真空から高真空または超高真空(0.1Paから1×10−7Pa程度)まではクライオポンプ2771を用いて排気される。
また、例えば、クライオポンプ2771は、搬送室2704に対して2台以上並列に接続してもよい。このような構成とすることで、1台のクライオポンプがリジェネ中であっても、残りのクライオポンプを使って排気することが可能となる。なお、上述したリジェネとは、クライオポンプ内にため込まれた分子(または原子)を放出する処理をいう。クライオポンプは、分子(または原子)をため込みすぎると排気能力が低下してくるため、定期的にリジェネが行われる。
図34(B)は、成膜室2706bと、搬送室2704と、ロードロック室2703aの断面を示している。
ここで、図34(B)を用いて、成膜室(スパッタリング室)の詳細について説明する。図34(B)に示す成膜室2706bは、ターゲット2766aと、ターゲット2766bと、ターゲットシールド2767aと、ターゲットシールド2767bと、マグネットユニット2790aと、マグネットユニット2790bと、基板ホルダ2768と、電源2791と、を有する。図示しないが、ターゲット2766a及びターゲット2766bは、それぞれバッキングプレートを介してターゲットホルダに固定される。また、ターゲット2766a及びターゲット2766bには、電源2791が電気的に接続されている。マグネットユニット2790a及びマグネットユニット2790bは、それぞれターゲット2766a及びターゲット2766bの背面に配置される。ターゲットシールド2767a及びターゲットシールド2767bは、それぞれターゲット2766a及びターゲット2766bの端部を囲うように配置される。なお、ここでは基板ホルダ2768には、基板2769が支持されている。基板ホルダ2768は、可動部材2784を介して成膜室2706bに固定される。可動部材2784によって、ターゲット2766aとターゲット2766bとの間の領域(ターゲット間領域ともいう。)まで基板ホルダ2768を移動させることができる。例えば、基板2769を支持した基板ホルダ2768をターゲット間領域に配置することによって、プラズマによる損傷を低減できる場合がある。また、基板ホルダ2768は、図示しないが、基板2769を保持する基板保持機構や、基板2769を背面から加熱するヒーター等を備えていてもよい。
また、ターゲットシールド2767a及びターゲットシールド2767bによって、ターゲット2766a及びターゲット2766bからスパッタリングされる粒子が不要な領域に堆積することを抑制できる。ターゲットシールド2767a及びターゲットシールド2767bは、累積されたスパッタ粒子が剥離しないように、加工することが望ましい。例えば、表面粗さを増加させるブラスト処理、またはターゲットシールド2767a及びターゲットシールド2767bの表面に凹凸を設けてもよい。
また、成膜室2706bは、ガス加熱機構2782を介してマスフローコントローラ2780と接続され、ガス加熱機構2782はマスフローコントローラ2780を介して精製機2781と接続される。ガス加熱機構2782により、成膜室2706bに導入されるガスを40℃以上400℃以下、好ましくは50℃以上200℃以下に加熱することができる。なお、ガス加熱機構2782、マスフローコントローラ2780、及び精製機2781は、ガス種の数だけ設けられるが、理解を容易にするため一つのみを示す。成膜室2706bに導入されるガスは、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下であるガスを用いることができ、例えば、酸素ガス、窒素ガス、及び希ガス(アルゴンガスなど)を用いる。
なお、ガスの導入口の直前に精製機を設ける場合、精製機から成膜室2706bまでの配管の長さを10m以下、好ましくは5m以下、さらに好ましくは1m以下とする。配管の長さを10m以下、5m以下または1m以下とすることで、配管からの放出ガスの影響を長さに応じて低減できる。さらに、ガスの配管には、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで内部が被覆された金属配管を用いるとよい。前述の配管は、例えばSUS316L−EP配管と比べ、不純物を含むガスの放出量が少なく、ガスへの不純物の入り込みを低減できる。また、配管の継手には、高性能超小型メタルガスケット継手(UPG継手)を用いるとよい。また、配管を全て金属で構成することで、樹脂等を用いた場合と比べ、生じる放出ガス及び外部リークの影響を低減できて好ましい。
また、成膜室2706bは、バルブを介してターボ分子ポンプ2772及び真空ポンプ2770と接続される。
また、成膜室2706bは、クライオトラップ2751が設けられる。
クライオトラップ2751は、水などの比較的融点の高い分子(または原子)を吸着することができる機構である。ターボ分子ポンプ2772は大きいサイズの分子(または原子)を安定して排気し、かつメンテナンスの頻度が低いため、生産性に優れる一方、水素や水の排気能力が低い。そこで、水などに対する排気能力を高めるため、クライオトラップ2751が成膜室2706bに接続された構成としている。クライオトラップ2751の冷凍機の温度は100K以下、好ましくは80K以下とする。また、クライオトラップ2751が複数の冷凍機を有する場合、冷凍機ごとに温度を変えると、効率的に排気することが可能となるため好ましい。例えば、1段目の冷凍機の温度を100K以下とし、2段目の冷凍機の温度を20K以下とすればよい。なお、クライオトラップに替えて、チタンサブリメーションポンプを用いることで、さらに高真空とすることができる場合がある。また、クライオポンプやターボ分子ポンプに替えてイオンポンプを用いることでもさらに高真空とすることができる場合がある。
なお、成膜室2706bの排気方法は、これに限定されず、先の搬送室2704に示す排気方法(クライオポンプと真空ポンプとの排気方法)と同様の構成としてもよい。もちろん、搬送室2704の排気方法を成膜室2706bと同様の構成(ターボ分子ポンプと真空ポンプとの排気方法)としてもよい。
なお、上述した搬送室2704、基板加熱室2705、及び成膜室2706bの背圧(全圧)、ならびに各気体分子(原子)の分圧は、以下の通りとすると好ましい。とくに、形成される膜中に不純物が混入され得る可能性があるので、成膜室2706bの背圧、ならびに各気体分子(原子)の分圧には注意する必要がある。
上述した各室の背圧(全圧)は、1×10−4Pa以下、好ましくは3×10−5Pa以下、さらに好ましくは1×10−5Pa以下である。上述した各室の質量電荷比(m/z)が18である気体分子(原子)の分圧は、3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。また、上述した各室のm/zが28である気体分子(原子)の分圧は、3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。また、上述した各室のm/zが44である気体分子(原子)の分圧は、3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。
なお、真空チャンバー内の全圧及び分圧は、質量分析計を用いて測定することができる。例えば、株式会社アルバック製四重極形質量分析計(Q−massともいう。)Qulee CGM−051を用いればよい。
また、上述した搬送室2704、基板加熱室2705、及び成膜室2706bは、外部リークまたは内部リークが少ない構成とすることが望ましい。
例えば、上述した搬送室2704、基板加熱室2705、及び成膜室2706bのリークレートは、3×10−6Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。また、m/zが18である気体分子(原子)のリークレートが1×10−7Pa・m3/s以下、好ましくは3×10−8Pa・m3/s以下である。また、m/zが28である気体分子(原子)のリークレートが1×10−5Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。また、m/zが44である気体分子(原子)のリークレートが3×10−6Pa・m3/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m3/s以下である。
なお、リークレートに関しては、前述の質量分析計を用いて測定した全圧及び分圧から導出すればよい。
リークレートは、外部リーク及び内部リークに依存する。外部リークは、微小な穴やシール不良などによって真空系外から気体が流入することである。内部リークは、真空系内のバルブなどの仕切りからの漏れや内部の部材からの放出ガスに起因する。リークレートを上述の数値以下とするために、外部リーク及び内部リークの両面から対策をとる必要がある。
例えば、成膜室2706bの開閉部分はメタルガスケットでシールするとよい。メタルガスケットは、フッ化鉄、酸化アルミニウム、または酸化クロムによって被覆された金属を用いると好ましい。メタルガスケットはOリングと比べ密着性が高く、外部リークを低減できる。また、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどによって被覆された金属の不動態を用いることで、メタルガスケットから放出される不純物を含む放出ガスが抑制され、内部リークを低減することができる。
また、成膜装置2700を構成する部材として、不純物を含む放出ガスの少ないアルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニッケルまたはバナジウムを用いる。また、前述の部材を鉄、クロム及びニッケルなどを含む合金に被覆して用いてもよい。鉄、クロム及びニッケルなどを含む合金は、剛性があり、熱に強く、また加工に適している。ここで、表面積を小さくするために部材の表面凹凸を研磨などによって低減しておくと、放出ガスを低減できる。
または、前述の成膜装置2700の部材をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで被覆してもよい。
成膜装置2700の部材は、極力金属のみで構成することが好ましく、例えば石英などで構成される覗き窓などを設置する場合も、放出ガスを抑制するために表面をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで薄く被覆するとよい。
成膜室に存在する吸着物は、内壁などに吸着しているために成膜室の圧力に影響しないが、成膜室を排気した際のガス放出の原因となる。そのため、リークレートと排気速度に相関はないものの、排気能力の高いポンプを用いて、成膜室に存在する吸着物をできる限り脱離し、あらかじめ排気しておくことは重要である。なお、吸着物の脱離を促すために、成膜室をベーキングしてもよい。ベーキングすることで吸着物の脱離速度を10倍程度大きくすることができる。ベーキングは100℃以上450℃以下で行えばよい。このとき、不活性ガスを成膜室に導入しながら吸着物の除去を行うと、排気するだけでは脱離しにくい水などの脱離速度をさらに大きくすることができる。なお、導入する不活性ガスをベーキングの温度と同程度に加熱することで、吸着物の脱離速度をさらに高めることができる。ここで不活性ガスとして希ガスを用いると好ましい。また、成膜する膜種によっては不活性ガスの代わりに酸素などを用いても構わない。例えば、酸化物を成膜する場合は、主成分である酸素を用いた方が好ましい場合もある。なお、ベーキングは、ランプを用いて行うと好ましい。
または、加熱した希ガスなどの不活性ガスまたは酸素などを導入することで成膜室内の圧力を高め、一定時間経過後に再び成膜室を排気する処理を行うと好ましい。加熱したガスの導入により成膜室内の吸着物を脱離させることができ、成膜室内に存在する不純物を低減することができる。なお、この処理は2回以上30回以下、好ましくは5回以上15回以下の範囲で繰り返し行うと効果的である。具体的には、温度が40℃以上400℃以下、好ましくは50℃以上200℃以下である不活性ガスまたは酸素などを導入することで成膜室内の圧力を0.1Pa以上10kPa以下、好ましくは1Pa以上1kPa以下、さらに好ましくは5Pa以上100Pa以下とし、圧力を保つ期間を1分以上300分以下、好ましくは5分以上120分以下とすればよい。その後、成膜室を5分以上300分以下、好ましくは10分以上120分以下の期間排気する。
また、ダミー成膜を行うことでも吸着物の脱離速度をさらに高めることができる。ダミー成膜とは、ダミー基板に対してスパッタリング法などによる成膜を行うことで、ダミー基板及び成膜室内壁に膜を堆積させ、成膜室内の不純物及び成膜室内壁の吸着物を膜中に閉じこめることをいう。ダミー基板は、放出ガスの少ない基板が好ましい。ダミー成膜を行うことで、後に成膜される膜中の不純物濃度を低減することができる。なお、ダミー成膜はベーキングと同時に行ってもよい。
次に、図34(B)に示す搬送室2704、及びロードロック室2703aと、図34(C)に示す大気側基板搬送室2702、及び大気側基板供給室2701の詳細について以下説明を行う。なお、図34(C)は、大気側基板搬送室2702、及び大気側基板供給室2701の断面を示している。
図34(B)に示す搬送室2704については、図34(A)に示す搬送室2704の記載を参照する。
ロードロック室2703aは、基板受け渡しステージ2752を有する。ロードロック室2703aは、減圧状態から大気まで圧力を上昇させ、ロードロック室2703aの圧力が大気圧になった時に、大気側基板搬送室2702に設けられている搬送ロボット2763から基板受け渡しステージ2752に基板を受け取る。その後、ロードロック室2703aを真空引きし、減圧状態としたのち、搬送室2704に設けられている搬送ロボット2763が基板受け渡しステージ2752から基板を受け取る。
また、ロードロック室2703aは、バルブを介して真空ポンプ2770、及びクライオポンプ2771と接続されている。真空ポンプ2770、及びクライオポンプ2771の排気系の接続方法は、搬送室2704の接続方法を参考とすることで接続できるため、ここでの説明は省略する。なお、図33に示すアンロードロック室2703bは、ロードロック室2703aと同様の構成とすることができる。
大気側基板搬送室2702は、搬送ロボット2763を有する。搬送ロボット2763により、カセットポート2761とロードロック室2703aとの基板の受け渡しを行うことができる。また、大気側基板搬送室2702、及び大気側基板供給室2701の上方にHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)等のゴミまたはパーティクルを清浄化するための機構を設けてもよい。
大気側基板供給室2701は、複数のカセットポート2761を有する。カセットポート2761は、複数の基板を収容することができる。
ターゲットは、表面温度が100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは室温程度(代表的には25℃)とする。大面積の基板に対応するスパッタリング装置では大面積のターゲットを用いることが多い。ところが、大面積に対応した大きさのターゲットをつなぎ目なく作製することは困難である。現実には複数のターゲットをなるべく隙間のないように並べて大きな形状としているが、どうしても僅かな隙間が生じてしまう。こうした僅かな隙間から、ターゲットの表面温度が高まることで亜鉛などが揮発し、徐々に隙間が広がっていくことがある。隙間が広がると、バッキングプレートや、バッキングプレートとターゲットとの接合に用いているボンディング材の金属がスパッタリングされることがあり、不純物濃度を高める要因となる。したがって、ターゲットは、十分に冷却されていることが好ましい。
具体的には、バッキングプレートとして、高い導電性及び高い放熱性を有する金属(具体的には銅)を用いる。また、バッキングプレート内に溝部を形成し、該溝部に十分な量の冷却水を流すことで、効率的にターゲットを冷却できる。
上述した成膜装置を用いることで、水素濃度がSIMSにおいて、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満である酸化物半導体膜を成膜することができる。
また、窒素濃度がSIMSにおいて、5×1018atoms/cm3以下、好ましくは1×1018atoms/cm3以下である酸化物半導体膜を成膜することができる。
また、炭素濃度がSIMSにおいて、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下である酸化物半導体膜を成膜することができる。
不純物及び酸素欠損の少ない酸化物半導体膜は、キャリア密度の低い酸化物半導体膜である。具体的には、キャリア密度を8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。当該酸化物半導体膜は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体膜であるといえる。
また、TDSによるm/zが2(水素分子など)である気体分子(原子)、m/zが18である気体分子(原子)、m/zが28である気体分子(原子)及びm/zが44である気体分子(原子)の放出量が、それぞれ1×1019個/cm3以下、好ましくは1×1018個/cm3以下である酸化物半導体を成膜することができる。
以上の成膜装置を用いることで、酸化物半導体膜への不純物の混入を抑制できる。さらには、以上の成膜装置を用いて、酸化物半導体膜に接する膜を成膜することで、酸化物半導体膜に接する膜から酸化物半導体膜へ不純物が混入することを抑制できる。
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に示す構成と適宜、組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置について、図35を用いて説明を行う。
<4.表示装置に関する説明>
図35(A)に示す表示装置は、表示素子の画素を有する領域(以下、画素部502という)と、画素部502の外側に配置され、画素を駆動するための回路を有する回路部(以下、駆動回路部504という)と、素子の保護機能を有する回路(以下、保護回路506という)と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
駆動回路部504の一部、または全部は、画素部502と同一基板上に形成されていることが望ましい。これにより、部品数や端子数を減らすことが出来る。駆動回路部504の一部、または全部が、画素部502と同一基板上に形成されていない場合には、駆動回路部504の一部、または全部は、COGやTAB(Tape Automated Bonding)によって、実装することができる。
画素部502は、X行(Xは2以上の自然数)Y列(Yは2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動するための回路(以下、画素回路501という)を有し、駆動回路部504は、画素を選択する信号(走査信号)を出力する回路(以下、ゲートドライバ504aという)、画素の表示素子を駆動するための信号(データ信号)を供給するための回路(以下、ソースドライバ504b)などの駆動回路を有する。
ゲートドライバ504aは、シフトレジスタ等を有する。ゲートドライバ504aは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号が入力され、信号を出力する。例えば、ゲートドライバ504aは、スタートパルス信号、クロック信号等が入力され、パルス信号を出力する。ゲートドライバ504aは、走査信号が与えられる配線(以下、走査線GL_1乃至GL_Xという)の電位を制御する機能を有する。なお、ゲートドライバ504aを複数設け、複数のゲートドライバ504aにより、走査線GL_1乃至GL_Xを分割して制御してもよい。または、ゲートドライバ504aは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ゲートドライバ504aは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、シフトレジスタ等を有する。ソースドライバ504bは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号の他、データ信号の元となる信号(画像信号)が入力される。ソースドライバ504bは、画像信号を元に画素回路501に書き込むデータ信号を生成する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、スタートパルス、クロック信号等が入力されて得られるパルス信号に従って、データ信号の出力を制御する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、データ信号が与えられる配線(以下、データ線DL_1乃至DL_Yという)の電位を制御する機能を有する。または、ソースドライバ504bは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ソースドライバ504bは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。ソースドライバ504bは、複数のアナログスイッチを順次オン状態にすることにより、画像信号を時分割した信号をデータ信号として出力できる。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
複数の画素回路501のそれぞれは、走査信号が与えられる複数の走査線GLの一つを介してパルス信号が入力され、データ信号が与えられる複数のデータ線DLの一つを介してデータ信号が入力される。また、複数の画素回路501のそれぞれは、ゲートドライバ504aによりデータ信号のデータの書き込み及び保持が制御される。例えば、m行n列目の画素回路501は、走査線GL_m(mはX以下の自然数)を介してゲートドライバ504aからパルス信号が入力され、走査線GL_mの電位に応じてデータ線DL_n(nはY以下の自然数)を介してソースドライバ504bからデータ信号が入力される。
図35(A)に示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GLに接続される。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DLに接続される。または、保護回路506は、ゲートドライバ504aと端子部507との間の配線に接続することができる。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと端子部507との間の配線に接続することができる。なお、端子部507は、外部の回路から表示装置に電源及び制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図35(A)に示すように、画素部502と駆動回路部504にそれぞれ保護回路506を設けることにより、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)などにより発生する過電流に対する表示装置の耐性を高めることができる。ただし、保護回路506の構成はこれに限定されず、例えば、ゲートドライバ504aに保護回路506を接続した構成、またはソースドライバ504bに保護回路506を接続した構成とすることもできる。あるいは、端子部507に保護回路506を接続した構成とすることもできる。
また、図35(A)においては、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bによって駆動回路部504を形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ504aのみを形成し、別途用意されたソースドライバ回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を実装する構成としても良い。
また、図35(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図35(B)に示す構成とすることができる。
図35(B)に示す画素回路501は、液晶素子570と、トランジスタ550と、容量素子560と、を有する。トランジスタ550に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
液晶素子570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶素子570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶素子570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
例えば、液晶素子570を有する表示装置の駆動方法としては、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super−Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric Aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、またはTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。
また、表示装置の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子及びその駆動方式として様々なものを用いることができる。
m行n列目の画素回路501において、トランジスタ550のソース電極またはドレイン電極の一方は、データ線DL_nに電気的に接続され、他方は液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。また、トランジスタ550のゲート電極は、走査線GL_mに電気的に接続される。トランジスタ550は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子560の一対の電極の一方は、電位が供給される配線(以下、電位供給線VL)に電気的に接続され、他方は、液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。なお、電位供給線VLの電位の値は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。容量素子560は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図35(B)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図35(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ550をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ550がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図35(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図35(C)に示す構成とすることができる。
図35(C)に示す画素回路501は、トランジスタ552、554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。トランジスタ552及びトランジスタ554のいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる配線(データ線DL_n)に電気的に接続される。さらに、トランジスタ552のゲート電極は、ゲート信号が与えられる配線(走査線GL_m)に電気的に接続される。
トランジスタ552は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子562の一対の電極の一方は、電位が与えられる配線(以下、電位供給線VL_aという)に電気的に接続され、他方は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
容量素子562は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続される。さらに、トランジスタ554のゲート電極は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572のアノード及びカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子572としては、これに限定されず、無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図35(C)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図35(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ552をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ552がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、書き込まれたデータ信号の電位に応じてトランジスタ554のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子572は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、本実施の形態においては、表示装置の表示素子として、液晶素子570及び発光素子572を有する構成について例示したが、これに限定されず、表示装置は様々な素子を有していてもよい。
上記表示装置は、例えば、液晶素子、EL素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブを用いた表示素子などの少なくとも一つを有している。これらの他にも、電気的または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有していても良い。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
また、本実施の形態の表示装置の表示方式としては、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、Rの画素とGの画素とBの画素とW(白)の画素の四画素から構成されてもよい。または、ペンタイル配列のように、RGBのうちの2色分で一つの色要素を構成し、色要素によって、異なる2色を選択して構成してもよい。またはRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加してもよい。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
また、表示装置のバックライト(有機EL素子、無機EL素子、LED、蛍光灯など)に白色光(W)を設けてもよい。また、表示装置に着色層(カラーフィルタともいう。)を設けてもよい。着色層としては、例えば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、イエロー(Y)などを適宜組み合わせて用いることができる。着色層を用いることで、着色層を用いない場合と比べて色の再現性を高くすることができる。このとき、着色層を有する領域と、着色層を有さない領域と、を配置することによって、着色層を有さない領域における白色光を直接表示に利用しても構わない。一部に着色層を有さない領域を配置することで、明るい表示の際に、着色層による輝度の低下を少なくでき、消費電力を2割から3割程度低減できる場合がある。ただし、有機EL素子や無機EL素子などの自発光素子を用いてフルカラー表示する場合、R、G、B、Y、ホワイト(W)を、それぞれの発光色を有する素子から発光させても構わない。自発光素子を用いることで、着色層を用いた場合よりも、さらに消費電力を低減できる場合がある。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態においては、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置、及び該表示装置に入力装置を取り付けた電子機器について、図36乃至図41を用いて説明を行う。
<5−1.タッチパネルに関する説明>
なお、本実施の形態において、電子機器の一例として、表示装置と、入力装置とを合わせたタッチパネル2000について説明する。また、入力装置の一例として、タッチセンサを用いる場合について説明する。
図36(A)(B)は、タッチパネル2000の斜視図である。なお、図36(A)(B)において、明瞭化のため、タッチパネル2000の代表的な構成要素を示す。
タッチパネル2000は、表示装置2501とタッチセンサ2595とを有する(図36(B)参照)。また、タッチパネル2000は、基板2510、基板2570、及び基板2590を有する。なお、基板2510、基板2570、及び基板2590はいずれも可撓性を有する。ただし、基板2510、基板2570、及び基板2590のいずれか一つまたは全てが可撓性を有さない構成としてもよい。
表示装置2501は、基板2510上に複数の画素及び該画素に信号を供給することができる複数の配線2511を有する。複数の配線2511は、基板2510の外周部にまで引き回され、その一部が端子2519を構成している。端子2519はFPC2509(1)と電気的に接続する。
基板2590は、タッチセンサ2595と、タッチセンサ2595と電気的に接続する複数の配線2598とを有する。複数の配線2598は、基板2590の外周部に引き回され、その一部は端子を構成する。そして、該端子はFPC2509(2)と電気的に接続される。なお、図36(B)では明瞭化のため、基板2590の裏面側(基板2510と対向する面側)に設けられるタッチセンサ2595の電極や配線等を実線で示している。
タッチセンサ2595として、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。
投影型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式などがある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
なお、図36(B)に示すタッチセンサ2595は、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用した構成である。
なお、タッチセンサ2595には、指等の検知対象の近接または接触を検知することができる、様々なセンサを適用することができる。
投影型静電容量方式のタッチセンサ2595は、電極2591と電極2592とを有する。電極2591は、複数の配線2598のいずれかと電気的に接続し、電極2592は複数の配線2598の他のいずれかと電気的に接続する。
電極2592は、図36(A)(B)に示すように、一方向に繰り返し配置された複数の四辺形が角部で接続される形状を有する。
電極2591は四辺形であり、電極2592が延在する方向と交差する方向に繰り返し配置されている。
配線2594は、電極2592を挟む二つの電極2591と電気的に接続する。このとき、電極2592と配線2594の交差部の面積ができるだけ小さくなる形状が好ましい。これにより、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、透過率のバラツキを低減できる。その結果、タッチセンサ2595を透過する光の輝度のバラツキを低減することができる。
なお、電極2591及び電極2592の形状はこれに限定されず、様々な形状を取りうる。例えば、複数の電極2591をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介して電極2592を、電極2591と重ならない領域ができるように離間して複数設ける構成としてもよい。このとき、隣接する2つの電極2592の間に、これらとは電気的に絶縁されたダミー電極を設けると、透過率の異なる領域の面積を低減できるため好ましい。
なお、電極2591、電極2592、配線2598などの導電膜、つまり、タッチパネルを構成する配線や電極に用いることのできる材料として、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等を有する透明導電膜(例えば、ITOなど)が挙げられる。また、タッチパネルを構成する配線や電極に用いることのできる材料として、例えば、抵抗値が低い方が好ましい。一例として、銀、銅、アルミニウム、カーボンナノチューブ、グラフェン、ハロゲン化金属(ハロゲン化銀など)などを用いてもよい。さらに、非常に細くした(例えば、直径が数ナノメール)複数の導電体を用いて構成されるような金属ナノワイヤを用いてもよい。または、導電体を網目状にした金属メッシュを用いてもよい。一例としては、Agナノワイヤ、Cuナノワイヤ、Alナノワイヤ、Agメッシュ、Cuメッシュ、Alメッシュなどを用いてもよい。例えば、タッチパネルを構成する配線や電極にAgナノワイヤを用いる場合、可視光において透過率を89%以上、シート抵抗値を40Ω/cm2以上100Ω/cm2以下とすることができる。また、上述したタッチパネルを構成する配線や電極に用いることのできる材料の一例である、金属ナノワイヤ、金属メッシュ、カーボンナノチューブ、グラフェンなどは、可視光において透過率が高いため、表示素子に用いる電極(例えば、画素電極または共通電極など)として用いてもよい。
<5−2.表示装置に関する説明>
次に、図37(A)(B)を用いて、表示装置2501の詳細について説明する。図37(A)(B)は、図36(B)に示す一点鎖線X1−X2間の断面図に相当する。
表示装置2501は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。該画素は表示素子と、該表示素子を駆動する画素回路とを有する。
[表示素子としてEL素子を用いる構成]
まず、表示素子としてEL素子を用いる構成について、図37(A)を用いて以下説明を行う。なお、以下の説明においては、白色の光を射出するEL素子を適用する場合について説明するが、EL素子はこれに限定されない。例えば、隣接する画素毎に射出する光の色が異なるように、発光色が異なるEL素子を適用してもよい。
基板2510及び基板2570としては、例えば、水蒸気の透過率が10−5g/(m2・day)以下、好ましくは10−6g/(m2・day)以下である可撓性を有する材料を好適に用いることができる。または、基板2510の熱膨張率と、基板2570の熱膨張率とが、およそ等しい材料を用いると好適である。例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、好ましくは5×10−5/K以下、より好ましくは1×10−5/K以下である材料を好適に用いることができる。
なお、基板2510は、EL素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2510aと、可撓性基板2510bと、絶縁層2510a及び可撓性基板2510bを貼り合わせる接着層2510cと、を有する積層体である。また、基板2570は、EL素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2570aと、可撓性基板2570bと、絶縁層2570a及び可撓性基板2570bを貼り合わせる接着層2570cと、を有する積層体である。
接着層2510c及び接着層2570cとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂もしくはシロキサン結合を有する樹脂などを用いることができる。
また、基板2510と基板2570との間に封止層2560を有する。封止層2560は、空気より大きい屈折率を有すると好ましい。また、図37(A)に示すように、封止層2560側に光を取り出す場合は、封止層2560は光学素子を兼ねることができる。
また、封止層2560の外周部にシール材を形成してもよい。当該シール材を用いることにより、基板2510、基板2570、封止層2560、及びシール材で囲まれた領域にEL素子2550を有する構成とすることができる。なお、封止層2560として、不活性気体(窒素やアルゴン等)を充填してもよい。また、当該不活性気体内に、乾燥材を設けて、水分等を吸着させる構成としてもよい。また、上述のシール材としては、例えば、エポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、シール材に用いる材料としては、水分や酸素を透過しない材料を用いると好適である。
また、図37(A)に示す表示装置2501は、画素2505を有する。また、画素2505は、発光モジュール2580と、EL素子2550と、EL素子2550に電力を供給することができるトランジスタ2502tと、を有する。なお、トランジスタ2502tは、画素回路の一部として機能する。
また、発光モジュール2580は、EL素子2550と、着色層2567とを有する。また、EL素子2550は、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極との間にEL層とを有する。
また、封止層2560が光を取り出す側に設けられている場合、封止層2560は、EL素子2550と着色層2567に接する。
着色層2567は、EL素子2550と重なる位置にある。これにより、EL素子2550が発する光の一部は着色層2567を透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580の外部に射出される。
また、表示装置2501には、光を射出する方向に遮光層2568が設けられる。遮光層2568は、着色層2567を囲むように設けられている。
着色層2567としては、特定の波長帯域の光を透過する機能を有していればよく、例えば、赤色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、緑色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、青色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、黄色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。各カラーフィルタは、様々な材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などで形成することができる。
また、表示装置2501には、絶縁層2521が設けられる。絶縁層2521はトランジスタ2502t等を覆う。なお、絶縁層2521は、画素回路に起因する凹凸を平坦化するための機能を有する。また、絶縁層2521に不純物の拡散を抑制できる機能を付与してもよい。これにより、不純物の拡散によるトランジスタ2502t等の信頼性の低下を抑制できる。
また、EL素子2550は、絶縁層2521の上方に形成される。また、EL素子2550が有する下部電極には、該下部電極の端部に重なる隔壁2528が設けられる。なお、基板2510と、基板2570との間隔を制御するスペーサを、隔壁2528上に形成してもよい。
また、走査線駆動回路2504は、トランジスタ2503tと、容量素子2503cとを有する。なお、駆動回路を画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができる。
また、基板2510上には、信号を供給することができる配線2511が設けられる。また、配線2511上には、端子2519が設けられる。また、端子2519には、FPC2509(1)が電気的に接続される。また、FPC2509(1)は、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を供給する機能を有する。なお、FPC2509(1)にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。
なお、トランジスタ2502t及びトランジスタ2503tのいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用すればよい。本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ状態における電流値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示装置2501に用いることで、画素回路のスイッチングトランジスタと、駆動回路に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素回路においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
[表示素子として液晶素子を用いる構成]
次に、表示素子として、液晶素子を用いる構成について、図37(B)を用いて以下説明を行う。なお、以下の説明においては、外光を反射して表示する反射型の液晶表示装置について説明するが、液晶表示装置はこれに限定されない。例えば、光源(バックライト、サイドライト等)を設けて、透過型の液晶表示装置、または反射型と透過型の両方の機能を備える液晶表示装置としてもよい。
図37(B)に示す表示装置2501は、図37(A)に示す表示装置2501と以下の点が異なる。それ以外の構成については、図37(A)に示す表示装置2501と同様である。
図37(B)に示す表示装置2501の画素2505は、液晶素子2551と、液晶素子2551に電力を供給することができるトランジスタ2502tと、を有する。
また、液晶素子2551は、下部電極(画素電極ともいう)と、上部電極と、下部電極と上部電極との間に液晶層2529と、を有する。液晶素子2551は、下部電極と上部電極との間に印加される電圧によって、液晶層2529の配向状態を変えることができる。また、液晶層2529中には、スペーサ2530aと、スペーサ2530bと、が設けられる。また、図37(B)において図示しないが、上部電極及び下部電極の液晶層2529と接する側に、それぞれ配向膜を設ける構成としてもよい。
液晶層2529としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。また、液晶表示装置として、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相を示す液晶を用いる場合、配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理が不要となる。ラビング処理が不要となることで、ラビング処理時に引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
スペーサ2530a、2530bは、絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる。スペーサ2530a、2530bとしては、基板2510と基板2570との間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられる。なお、スペーサ2530a、2530bは、それぞれ大きさを異ならせてもよく、柱状または球状で設けると好ましい。また、図37(B)においては、スペーサ2530a、2530bを、基板2570側に設ける構成について例示したが、これに限定されず、基板2510側に設けてもよい。
また、液晶素子2551の上部電極は、基板2570側に設けられる。また、該上部電極と、着色層2567及び遮光層2568と、の間には絶縁層2531が設けられる。絶縁層2531は、着色層2567及び遮光層2568に起因する凹凸を平坦化する機能を有する。絶縁層2531としては、例えば、有機樹脂膜を用いればよい。また、液晶素子2551の下部電極は、反射電極としての機能を有する。図37(B)に示す表示装置2501は、外光を利用して下部電極で光を反射して着色層2567を介して表示する、反射型の液晶表示装置である。なお、透過型の液晶表示装置とする場合、下部電極に透明電極として機能を付与すればよい。
また、図37(B)に示す表示装置2501は、絶縁層2522を有する。絶縁層2522は、トランジスタ2502t等を覆う。なお、絶縁層2522は、画素回路に起因する凹凸を平坦化するための機能と、液晶素子の下部電極に凹凸を形成する機能と、を有する。これにより、下部電極の表面に凹凸を形成することが可能となる。したがって、外光が下部電極に入射した場合において、下部電極の表面で光を乱反射することが可能となり、視認性を向上させることができる。なお、透過型の液晶表示装置の場合、上記凹凸を設けない構成としてもよい。
<5−3.タッチセンサに関する説明>
次に、図38を用いて、タッチセンサ2595の詳細について説明する。図38は、図36(B)に示す一点鎖線X3−X4間の断面図に相当する。
タッチセンサ2595は、基板2590上に千鳥状に配置された電極2591及び電極2592と、電極2591及び電極2592を覆う絶縁層2593と、隣り合う電極2591を電気的に接続する配線2594とを有する。
電極2591及び電極2592は、透光性を有する導電材料を用いて形成する。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元する方法としては、熱を加える方法等を挙げることができる。
例えば、透光性を有する導電性材料を基板2590上にスパッタリング法により成膜した後、フォトリソグラフィ法等の様々なパターニング技術により、不要な部分を除去して、電極2591及び電極2592を形成することができる。
また、絶縁層2593に用いる材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
また、電極2591に達する開口が絶縁層2593に設けられ、配線2594が隣接する電極2591と電気的に接続する。透光性の導電性材料は、タッチパネルの開口率を高めることができるため、配線2594に好適に用いることができる。また、電極2591及び電極2592より導電性の高い材料は、電気抵抗を低減できるため配線2594に好適に用いることができる。
電極2592は、一方向に延在し、複数の電極2592がストライプ状に設けられている。また、配線2594は電極2592と交差して設けられている。
一対の電極2591が1つの電極2592を挟んで設けられる。また、配線2594は一対の電極2591を電気的に接続している。
なお、複数の電極2591は、1つの電極2592と必ずしも直交する方向に配置される必要はなく、0度を超えて90度未満の角度をなすように配置されてもよい。
また、配線2598は、電極2591または電極2592と電気的に接続される。また、配線2598の一部は、端子として機能する。配線2598としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、またはパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
なお、絶縁層2593及び配線2594を覆う絶縁層を設けて、タッチセンサ2595を保護してもよい。
また、接続層2599は、配線2598とFPC2509(2)を電気的に接続させる。
接続層2599としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
<5−4.タッチパネルに関する説明>
次に、図39(A)を用いて、タッチパネル2000の詳細について説明する。図39(A)は、図36(A)に示す一点鎖線X5−X6間の断面図に相当する。
図39(A)に示すタッチパネル2000は、図37(A)で説明した表示装置2501と、図38で説明したタッチセンサ2595と、を貼り合わせた構成である。
また、図39(A)に示すタッチパネル2000は、図37(A)で説明した構成の他、接着層2597と、反射防止層2569と、を有する。
接着層2597は、配線2594と接して設けられる。なお、接着層2597は、タッチセンサ2595が表示装置2501に重なるように、基板2590を基板2570に貼り合わせている。また、接着層2597は、透光性を有すると好ましい。また、接着層2597としては、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂を用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはシロキサン系樹脂を用いることができる。
反射防止層2569は、画素に重なる位置に設けられる。反射防止層2569として、例えば円偏光板を用いることができる。
次に、図39(A)に示す構成と異なる構成のタッチパネルについて、図39(B)を用いて説明する。
図39(B)は、タッチパネル2001の断面図である。図39(B)に示すタッチパネル2001は、図39(A)に示すタッチパネル2000と、表示装置2501に対するタッチセンサ2595の位置が異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、タッチパネル2000の説明を援用する。
着色層2567は、EL素子2550の下方に位置する。また、図39(B)に示すEL素子2550は、トランジスタ2502tが設けられている側に光を射出する。これにより、EL素子2550が発する光の一部は、着色層2567を透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580の外部に射出される。
また、タッチセンサ2595は、表示装置2501の基板2510側に設けられている。
接着層2597は、基板2510と基板2590の間にあり、表示装置2501とタッチセンサ2595を貼り合わせる。
図39(A)(B)に示すように、発光素子から射出される光は、基板2510及び基板2570のいずれか一方または双方を通して射出されればよい。
<5−5.タッチパネルの駆動方法に関する説明>
次に、タッチパネルの駆動方法の一例について、図40を用いて説明を行う。
図40(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。図40(A)では、パルス電圧出力回路2601、電流検出回路2602を示している。なお、図40(A)では、パルス電圧が与えられる電極2621をX1−X6として、電流の変化を検知する電極2622をY1−Y6として、それぞれ6本の配線で例示している。また、図40(A)は、電極2621と、電極2622とが重畳することで形成される容量2603を示している。なお、電極2621と電極2622とはその機能を互いに置き換えてもよい。
パルス電圧出力回路2601は、X1−X6の配線に順にパルスを印加するための回路である。X1−X6の配線にパルス電圧が印加されることで、容量2603を形成する電極2621と電極2622との間に電界が生じる。この電極間に生じる電界が遮蔽等により容量2603の相互容量に変化を生じさせることを利用して、被検知体の近接、または接触を検出することができる。
電流検出回路2602は、容量2603での相互容量の変化による、Y1−Y6の配線での電流の変化を検出するための回路である。Y1−Y6の配線では、被検知体の近接、または接触がないと検出される電流値に変化はないが、検出する被検知体の近接、または接触により相互容量が減少する場合には電流値が減少する変化を検出する。なお電流の検出は、積分回路等を用いて行えばよい。
次に、図40(B)には、図40(A)で示す相互容量方式のタッチセンサにおける入出力波形のタイミングチャートを示す。図40(B)では、1フレーム期間で各行列での被検知体の検出を行うものとする。また図40(B)では、被検知体を検出しない場合(非タッチ)と被検知体を検出する場合(タッチ)との2つの場合について示している。なおY1−Y6の配線については、検出される電流値に対応する電圧値とした波形を示している。
X1−X6の配線には、順にパルス電圧が与えられ、該パルス電圧にしたがってY1−Y6の配線での波形が変化する。被検知体の近接または接触がない場合には、X1−X6の配線の電圧の変化に応じてY1−Y6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が近接または接触する箇所では、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化する。
このように、相互容量の変化を検出することにより、被検知体の近接または接触を検知することができる。
<5−6.センサ回路に関する説明>
また、図40(A)ではタッチセンサとして配線の交差部に容量2603のみを設けるパッシブ型のタッチセンサの構成を示したが、トランジスタと容量とを有するアクティブ型のタッチセンサとしてもよい。アクティブ型のタッチセンサに含まれるセンサ回路の一例を図41に示す。
図41に示すセンサ回路は、容量2603と、トランジスタ2611と、トランジスタ2612と、トランジスタ2613とを有する。
トランジスタ2613はゲートに信号G2が与えられ、ソースまたはドレインの一方に電圧VRESが与えられ、他方が容量2603の一方の電極およびトランジスタ2611のゲートと電気的に接続する。トランジスタ2611は、ソースまたはドレインの一方がトランジスタ2612のソースまたはドレインの一方と電気的に接続し、他方に電圧VSSが与えられる。トランジスタ2612は、ゲートに信号G1が与えられ、ソースまたはドレインの他方が配線MLと電気的に接続する。容量2603の他方の電極には電圧VSSが与えられる。
次に、図41に示すセンサ回路の動作について説明する。まず、信号G2としてトランジスタ2613をオン状態とする電位が与えられることで、トランジスタ2611のゲートが接続されるノードnに電圧VRESに対応した電位が与えられる。次に、信号G2としてトランジスタ2613をオフ状態とする電位が与えられることで、ノードnの電位が保持される。
続いて、指等の被検知体の近接または接触により、容量2603の相互容量が変化することに伴い、ノードnの電位がVRESから変化する。
読み出し動作は、信号G1にトランジスタ2612をオン状態とする電位を与える。ノードnの電位に応じてトランジスタ2611に流れる電流、すなわち配線MLに流れる電流が変化する。この電流を検出することにより、被検知体の近接または接触を検出することができる。
トランジスタ2611、トランジスタ2612、及びトランジスタ2613に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。とくにトランジスタ2613に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することにより、ノードnの電位を長期間に亘って保持することが可能となり、ノードnにVRESを供給しなおす動作(リフレッシュ動作)の頻度を減らすことができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示モジュール、電子機器、及び表示装置について、図42乃至図44を用いて説明を行う。
<6−1.表示モジュールに関する説明>
図42に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002との間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、FPC8005に接続された表示パネル8006、バックライト8007、フレーム8009、プリント基板8010、バッテリ8011を有する。
本発明の一態様の酸化物半導体膜または半導体装置は、例えば、表示パネル8006に用いることができる。
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004及び表示パネル8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチパネル8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル8006に重畳して用いることができる。また、表示パネル8006の対向基板(封止基板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示パネル8006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。
バックライト8007は、光源8008を有する。なお、図42において、バックライト8007上に光源8008を配置する構成について例示したが、これに限定さない。例えば、バックライト8007の端部に光源8008を配置し、さらに光拡散板を用いる構成としてもよい。なお、有機EL素子等の自発光型の発光素子を用いる場合、または反射型パネル等の場合においては、バックライト8007を設けない構成としてもよい。
フレーム8009は、表示パネル8006の保護機能の他、プリント基板8010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリ8011による電源であってもよい。バッテリ8011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール8000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
<6−2.電子機器に関する説明>
図43(A)乃至図43(G)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有することができる。
図43(A)乃至図43(G)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信または受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図43(A)乃至図43(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。また、図43(A)乃至図43(G)には図示していないが、電子機器には、複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
図43(A)乃至図43(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
図43(A)は、携帯情報端末9100を示す斜視図である。携帯情報端末9100が有する表示部9001は、可撓性を有する。そのため、湾曲した筐体9000の湾曲面に沿って表示部9001を組み込むことが可能である。また、表示部9001はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部9001に表示されたアイコンに触れることで、アプリケーションを起動することができる。
図43(B)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を省略して図示しているが、図43(A)に示す携帯情報端末9100と同様の位置に設けることができる。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、3つの操作ボタン9050(操作アイコンまたは単にアイコンともいう)を表示部9001の一の面に表示することができる。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することができる。なお、情報9051の一例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示、電子メールやSNSなどの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置に、情報9051の代わりに、操作ボタン9050などを表示してもよい。
図43(C)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば、携帯情報端末9102の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、その表示(ここでは情報9053)を確認することができる。具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
図43(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
図43(E)(F)(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図43(E)が携帯情報端末9201を展開した状態の斜視図であり、図43(F)が携帯情報端末9201を展開した状態または折り畳んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図であり、図43(G)が携帯情報端末9201を折り畳んだ状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9201を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、携帯情報端末9201は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
また、図44(A)(B)は、複数の表示パネルを有する表示装置の斜視図である。なお、図44(A)は、複数の表示パネルが巻き取られた形態の斜視図であり、図44(B)は、複数の表示パネルが展開された状態の斜視図である。
図44(A)(B)に示す表示装置9500は、複数の表示パネル9501と、軸部9511と、軸受部9512と、を有する。また、複数の表示パネル9501は、表示領域9502と、透光性を有する領域9503と、を有する。
また、複数の表示パネル9501は、可撓性を有する。また、隣接する2つの表示パネル9501は、それらの一部が互いに重なるように設けられる。例えば、隣接する2つの表示パネル9501の透光性を有する領域9503を重ね合わせることができる。複数の表示パネル9501を用いることで、大画面の表示装置とすることができる。また、使用状況に応じて、表示パネル9501を巻き取ることが可能であるため、汎用性に優れた表示装置とすることができる。
また、図44(A)(B)においては、表示領域9502が隣接する表示パネル9501で離間する状態を図示しているが、これに限定されず、例えば、隣接する表示パネル9501の表示領域9502を隙間なく重ねあわせることで、連続した表示領域9502としてもよい。
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有する。ただし、本発明の一態様の半導体装置は、表示部を有さない電子機器にも適用することができる。また、本実施の形態において述べた電子機器の表示部においては、可撓性を有し、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる構成、または折り畳み可能な表示部の構成について例示したが、これに限定されず、可撓性を有さず、平面部に表示を行う構成としてもよい。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示モジュールの作製に用いることができる成膜装置について、図45を用いて説明する。
図45は本発明の一態様の表示モジュールの作製に用いることができる成膜装置3000を説明する図である。なお、成膜装置3000は、バッチ式のALD装置の一例である。
<7−1.成膜装置の構成例>
本実施の形態で説明する成膜装置3000は、成膜室3180と、成膜室3180に接続される制御部3182と、を有する(図45参照)。
制御部3182は、制御信号を供給する制御装置(図示せず)ならびに制御信号を供給される流量制御器3182a、流量制御器3182b、及び流量制御器3182cを有する。例えば、高速バルブを流量制御器に用いることができる。具体的にはALD用バルブ等を用いることにより、精密に流量を制御することができる。また、流量制御器、及び配管の温度を制御する加熱機構3182hを有する。
流量制御器3182aは、制御信号ならびに第1の原料、及び不活性ガスを供給され、制御信号に基づいて第1の原料または不活性ガスを供給する機能を有する。
流量制御器3182bは、制御信号ならびに第2の原料、及び不活性ガスを供給され、制御信号に基づいて第2の原料または不活性ガスを供給する機能を有する。
流量制御器3182cは、制御信号を供給され、制御信号に基づいて排気装置3185に接続する機能を有する。
[原料供給部]
なお、原料供給部3181aは、第1の原料を供給する機能を有し、流量制御器3182aに接続されている。
原料供給部3181bは、第2の原料を供給する機能を有し、流量制御器3182bに接続されている。
気化器または加熱手段等を原料供給部に用いることができる。これにより、固体の原料や液体の原料から気体の原料を生成することができる。
なお、原料供給部は2つに限定されず、3つ以上の原料供給部を有することができる。
[原料]
さまざまな物質を第1の原料に用いることができる。例えば、揮発性の有機金属化合物、金属アルコキシド等を第1の原料に用いることができる。第1の原料と反応をするさまざまな物質を第2の原料に用いることができる。例えば、酸化反応に寄与する物質、還元反応に寄与する物質、付加反応に寄与する物質、分解反応に寄与する物質または加水分解反応に寄与する物質などを第2の原料に用いることができる。
また、ラジカル等を用いることができる。例えば、原料をプラズマ源に供給し、プラズマ等を用いることができる。具体的には酸素ラジカル、窒素ラジカル等を用いることができる。
ところで、第1の原料と組み合わせて用いる第2の原料は、室温に近い温度で反応する原料が好ましい。例えば、反応温度が室温以上200℃以下好ましくは50℃以上150℃以下である原料が好ましい。
[排気装置]
排気装置3185は、排気する機能を有し、流量制御器3182cに接続されている。なお、排出される原料を捕捉するトラップを排出口3184と流量制御器3182cの間に有してもよい。ところで、除害設備を用いて排気を除害する。
[制御部]
制御部3182は、流量制御器を制御する制御信号または加熱機構を制御する制御信号等を供給する。例えば、第1のステップにおいて、第1の原料を加工部材の表面に供給する。そして、第2のステップにおいて、第1の原料と反応する第2の原料を供給する。これにより第1の原料は第2の原料と反応し、反応生成物が加工部材3010の表面に堆積することができる。
なお、加工部材3010の表面に堆積させる反応生成物の量は、第1のステップと第2のステップを繰り返すことにより、制御することができる。
なお、加工部材3010に供給される第1の原料の量は、加工部材3010の表面が吸着することができる量により制限される。例えば、第1の原料の単分子層が加工部材3010の表面に形成される条件を選択し、形成された第1の原料の単分子層に第2の原料を反応させることにより、極めて均一な第1の原料と第2の原料の反応生成物を含む層を形成することができる。
その結果、入り組んだ構造を表面に有する加工部材3010の表面に、さまざまな材料を成膜することができる。例えば3nm以上200nm以下の厚さを有する膜を、加工部材3010に形成することができる。
例えば、加工部材3010の表面にピンホールと呼ばれる小さい穴等が形成されている場合、ピンホールの内部に回り込んで成膜材料を成膜し、ピンホールを埋めることができる。
また、余剰の第1の原料または第2の原料を、排気装置3185を用いて成膜室3180から排出する。例えば、アルゴンまたは窒素などの不活性ガスを導入しながら排気してもよい。
[成膜室]
成膜室3180は、第1の原料、第2の原料および不活性ガスを供給される導入口3183と、第1の原料、第2の原料および不活性ガスを排出する排出口3184とを有する。
成膜室3180は、単数または複数の加工部材3010を支持する機能を有する支持部3186と、加工部材を加熱する機能を有する加熱機構3187と、加工部材3010の搬入および搬出をする領域を開閉する機能を有する扉3188と、を有する。
例えば、抵抗加熱器または赤外線ランプ等を加熱機構3187に用いることができる。また、加熱機構3187は、例えば80℃以上、100℃以上または150℃以上に加熱する機能を有する。ところで、加熱機構3187は、例えば室温以上200℃以下好ましくは50℃以上150℃以下の温度になるように加工部材3010を加熱する。
また、成膜室3180は、圧力調整器および圧力検知器を有していてもよい。
[支持部]
支持部3186は、単数または複数の加工部材3010を支持する。これにより、一回の処理ごとに単数または複数の加工部材3010に例えば絶縁膜を形成できる。
<7−2.膜の一例>
本実施の形態で説明する成膜装置3000を用いて、作製することができる膜の一例について説明する。
例えば、酸化物、窒化物、フッ化物、硫化物、三元化合物、金属またはポリマーを含む膜を形成することができる。
例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムシリケート、ハフニウムシリケート、酸化ランタン、酸化珪素、チタン酸ストロンチウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、酸化エルビウム、酸化バナジウムまたは酸化インジウム等を含む材料を成膜することができる。
例えば、窒化アルミニウム、窒化ハフニウム、窒化珪素、窒化タンタル、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化モリブデン、窒化ジルコニウムまたは窒化ガリウム等を含む材料を成膜することができる。
例えば、銅、白金、ルテニウム、タングステン、イリジウム、パラジウム、鉄、コバルトまたはニッケル等を含む材料を成膜することができる。
例えば、硫化亜鉛、硫化ストロンチウム、硫化カルシウム、硫化鉛、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウムまたはフッ化亜鉛等を含む材料を成膜することができる。
例えば、チタンおよびアルミニウムを含む窒化物、チタンおよびアルミニウムを含む酸化物、アルミニウムおよび亜鉛を含む酸化物、マンガンおよび亜鉛を含む硫化物、セリウムおよびストロンチウムを含む硫化物、エルビウムおよびアルミニウムを含む酸化物、イットリウムおよびジルコニウムを含む酸化物等を含む材料を成膜することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態または他の実施例と適宜組み合わせることができる。
本実施例では、本発明の一態様である酸化物半導体膜の結晶性及び組成について、評価を行った。なお、本実施例においては、試料A1乃至A5と、試料B1乃至B5を作製した。試料A1乃至A5が比較用の酸化物半導体膜であり、試料B1乃至B5が本発明の一態様の酸化物半導体膜である。
<1−1.試料A1乃至A5及び試料B1乃至B5について>
まず、本実施例で作製した試料A1乃至A5及び試料B1乃至B5について、説明する。
試料A1乃至A5及び試料B1乃至B5は、ガラス基板上に膜厚100nmの酸化物半導体膜が形成された構造である。なお、試料A1乃至A5及び試料B1乃至B5は、酸化物半導体膜の成膜条件、及びターゲットの組成が異なる。試料A1乃至A5及び試料B1乃至B5の成膜条件の主な項目を表4に示す。なお、試料A1乃至A5、及び試料B1乃至B5は、それぞれ平行平板型スパッタリング装置を用いて形成した。また、試料A1乃至A5及び試料B1乃至B5の成膜時にターゲットに印加する電源としては、AC電源を用いた。
表4に示す通り、比較用の試料A1乃至A5は、In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比]の組成のターゲットを用い、本発明の一態様の試料B1乃至B5は、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の組成のターゲットを用いた。
<1−2.ターゲット組成と膜組成について>
次に、表4に示す試料A1乃至A5に用いたターゲット組成と、当該ターゲットを用いて成膜した試料A3の膜組成と、を分析した。同様に、試料B1乃至B5に用いたターゲットの組成と、当該ターゲットを用いて成膜した試料B3の膜組成と、を分析した。試料A1乃至A5に用いたターゲット組成、及び試料A3の膜組成を表5に示す。また、試料B1乃至B5に用いたターゲット組成、及び試料B3の膜組成を表6に示す。
なお、ターゲット組成の分析方法としては、ターゲットの欠片をICP−MSを用いて評価した。また、膜組成の分析方法としては、スパッタリング法で形成された膜をX線光電子分光法(XPS:X−Ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて評価した。
表5及び表6に示す通り、In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比]の組成のターゲットを用いて形成された試料A3の膜組成は、概ねIn:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]であった。また、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の組成のターゲットを用いて形成された試料B3の膜組成は、概ねIn:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]であった。
<1−3.XRDによる結晶性評価について>
次に、上述の試料A1乃至A5及び試料B1乃至B5の結晶性を評価するために、XRDを行った。XRDの結果を図46に示す。なお、XRDとしては、多機能薄膜材料評価X線回折装置D8 DISCOVER Hybrid(Bruker AXS社製)を用いた。また、図46に示すXRDの結果は、out−of−plane法による解析結果である。
図46に示すように、試料A1乃至A5及び試料B1乃至B5には、それぞれ2θ=31°近傍にピークが見られた。2θ=31°近傍のピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、いずれの試料も酸化物半導体膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが示唆された。また、試料A1乃至A5と、試料B1乃至B5とを比較すると、試料B1乃至B5の方が、2θ=31°近傍のピーク強度が高いことが分かる。また、比較用の試料(試料A1乃至A5)、及び本発明の一態様の試料(試料B1乃至B5)ともに、成膜時の酸素流量を増加した条件の方が、2θ=31°近傍のピーク強度が高いことが分かる。
また、図46に示すように、比較用の試料A3、試料A4及び試料A5は、2θ=36°近傍にピークを有する。2θ=36°近傍のピークは、スピネル相に起因すると示唆される。一方で、本発明の一態様の試料B1乃至B5は、成膜時の酸素流量を増加させても、膜中にスピネル相に相当するピークが観察されない。これは、In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比]の組成のターゲットを用いて形成した酸化物半導体膜と比較し、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の組成のターゲットを用いて形成した酸化物半導体膜の方が、スピネル相が形成されづらいと示唆される。
<1−4.断面TEM像による結晶性評価について>
次に、上記作製した試料A3及び試料B3の断面TEM像の観察を行った。図47に断面TEM像を示す。なお、図47(A)が試料A3の断面TEM像であり、図47(B)が試料B3の断面TEM像である。
図47(A)(B)に示すように、試料A3と比較し、本発明の一態様である試料B3は、c軸配向性を有する結晶の明確な格子像が観察される。したがって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の組成のターゲットを用いて形成した酸化物半導体膜は、高い結晶性を有することが確認された。
なお、本実施例に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に記載の構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、本発明の一態様である酸化物半導体膜の結晶性について、評価を行った。なお、本実施例においては、試料C1乃至C4と、試料D1乃至D4と、試料E1及びE2と、試料F1乃至F6と、を作製した。なお、試料C1乃至C4及び試料F1乃至F6は、本発明の一態様の酸化物半導体膜であり、試料D1乃至D4、及び試料E1、E2は、比較用の酸化物半導体膜である。
<2−1.試料C1乃至C4、試料D1乃至D4、試料E1、E2、及び試料F1乃至F6について>
まず、本実施例で作製した各試料について、説明する。
試料C1乃至C4は、ガラス基板上に膜厚100nmの酸化物半導体膜が形成された構造である。試料D1乃至D4は、ガラス基板上に膜厚100nmの酸化物半導体膜が形成された構造である。試料E1及びE2は、ガラス基板上に膜厚100nmの酸化物半導体膜が形成された構造である。試料F1乃至F6は、ガラス基板上に膜厚50nmの第1の酸化物半導体膜と、第1の酸化物半導体膜上に膜厚50nmの第2の酸化物半導体膜とが形成された構造である。なお、上述の各試料は、成膜時の基板温度、酸化物半導体膜を成膜するターゲットの組成、及び積層構造が異なる。試料C1乃至C4、試料D1乃至D4、試料E1、E2、及び試料F1乃至F6の成膜条件の主な項目を表7及び表8に示す。なお、上述の各試料は、それぞれ平行平板型スパッタリング装置を用いて形成した。また、上述の各試料の成膜時にターゲットに印加する電源としては、AC電源を用いた。また、上述の各試料に用いたガラス基板は、600mm×720mmサイズとした。
なお、表8に示す試料F1乃至F4の成膜条件としては、第1の酸化物半導体膜(In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比])は、表7に示す試料C1乃至C4と同様とし、第2の酸化物半導体膜(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])は、表7に示す試料D1乃至D4と同様とした。また、表8に示す試料F5、F6の成膜条件としては、第1の酸化物半導体膜(In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比])は、表7に示す試料C1乃至C4と同様とし、第2の酸化物半導体膜(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])は、表7に示す試料E1、E2と同様とした。
<2−2.XRDによる結晶性評価について>
次に、上述の各試料の結晶性を評価するために、XRDを行った。なお、XRDを行ったガラス基板の座標を図48に示す。図48は、600mm×720mmサイズのガラス基板のXRDを行った場所を表す座標である。XRDを行った座標としては、図48に示す丸印のシンボルである、B、E、Hに対応する位置とした。
XRDの結果を図49乃至図53に示す。なお、XRDとしては、実施例1と同様の測定装置を用いた。また、図49乃至図53に示すXRDの結果は、out−of−plane法による解析結果である。なお、図49は試料C1乃至試料C4のXRD結果であり、図50は試料D1乃至試料D4のXRD結果であり、図51は試料E1及び試料E2のXRD結果であり、図52は試料F1乃至試料F4のXRD結果であり、図53は試料F5及び試料F6のXRD結果である。
図49乃至図53に示すように、本発明の一態様である試料C1乃至C4、及び試料F1乃至F6は、CAAC−OSを示す、2θ=31°近傍に明確なピークが確認される。また、本発明の一態様である試料C1乃至C4、及び試料F1乃至F6は、スピネル相に起因すると示唆される2θ=36°近傍にピークが見られない。
表7、表8、及び図49乃至図53に示すように、本発明の一態様の酸化物半導体膜は、成膜時の基板温度が、100℃以上170℃以下の範囲内において、c軸配向性を有し、かつ高い結晶性を有することが確認された。特に、試料C4、試料F3、及び試料F4においては、600mm×720mm面内(図48乃至図53中に示すB,E,H)において、面内分布のばらつきが少ない良好な結晶性を有することが確認された。
なお、本実施例に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に記載の構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、ターゲット、及び当該ターゲットを用いて成膜した酸化物半導体膜の水素濃度について、分析を行った。なお、本実施例においては、試料G1乃至G4、及び試料H1乃至H4を作製した。なお、試料G1乃至G4は、本発明の一態様の酸化物半導体膜であり、試料H1乃至H4は、比較用の酸化物半導体膜である。
<3−1.ターゲット中の水素濃度について>
まず、本実施例で用いたターゲットの水素濃度を表9に示す。なお、ターゲットの水素濃度は、SIMSにより得られた結果である。
<3−2.試料G1乃至G4及び試料H1乃至H4について>
次に、本実施例で作製した各試料について、説明する。
試料G1乃至G4は、ガラス基板上に膜厚100nmの酸化物半導体膜が形成された構造である。また、試料H1乃至H4は、ガラス基板上に膜厚100nmの酸化物半導体膜が形成された構造である。なお、上述の各試料は、成膜時の基板温度、及び酸化物半導体膜を成膜するターゲットの組成が異なる。試料G1乃至G4及び試料H1乃至H4の成膜条件の主な項目を表10に示す。なお、上述の各試料は、それぞれ平行平板型スパッタリング装置を用いて形成した。また、上述の各試料の成膜時にターゲットに印加する電源としては、AC電源を用いた。
<3−3.SIMSによる膜中H濃度評価について>
次に、上述の各試料の膜中のH濃度を評価するために、SIMSを行った。各試料のSIMS結果を図54に示す。
図54に示す通り、本発明の一態様である試料G1乃至G4の水素濃度は、膜中20nm近傍において、概ね3.0×1019atoms/cm3であった。また、比較用の試料H1乃至H4の水素濃度は、膜中20nm近傍において、概ね5.0×1019atoms/cm3であった。試料G1乃至G4と、試料H1乃至H4と、を比較した場合、本発明の一態様の酸化物半導体膜の方が、水素濃度が低いことが確認された。
また、試料G1乃至G4及び試料H1乃至H4ともに、成膜時の基板温度における、酸化物半導体膜中の水素濃度に顕著な差は確認されなかった。
なお、本実施例に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に記載の構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例においては、図18(C)(D)に示すトランジスタ270Bに相当するトランジスタを作製し、該トランジスタのId−Vg特性の評価を行った。本実施例においては、以下に示す試料J1及び試料J2を作製し評価を行った。また、試料J1及び試料J2は、それぞれチャネル長L=6μm、チャネル幅W=50μmのトランジスタサイズとし、それぞれ合計10個のトランジスタが形成されている。
本実施例で作製した試料について、以下説明を行う。なお、以下の説明において、図18(C)(D)に示すトランジスタ270Bに付記した符号を用いて説明する。
<4−1.試料J1の作製方法について>
まず、基板202上に導電膜204を形成した。基板202としては、ガラス基板を用いた。また、導電膜204としては、厚さ100nmのタングステン膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。
次に、基板202及び導電膜204上に絶縁膜206、207を形成した。絶縁膜206としては、厚さ400nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。また、絶縁膜207としては、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。
絶縁膜206の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量200sccmのシランガスと、流量2000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスをチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に2000WのRF電力を供給して、厚さ50nmの窒化シリコン膜を成膜し、次に、アンモニアガスの流量を2000sccmに変更して、厚さ300nmの窒化シリコン膜を成膜し、次に、アンモニアガスの流量を100sccmに変更して、厚さ50nmの窒化シリコン膜を成膜した。
また、絶縁膜207の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量20sccmのシランガスと、流量3000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を40Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に100WのRF電力を供給して成膜した。
次に、絶縁膜207上に酸化物半導体膜208を形成した。なお、酸化物半導体膜208としては、第1の酸化物半導体膜208bと、第2の酸化物半導体膜208cとを、スパッタリング装置を用いて、真空中で連続して形成した。なお、以下の説明においては、第1の酸化物半導体膜208bをIGZO−1と、第2の酸化物半導体膜208cをIGZO−2と、それぞれ呼称する。
IGZO−1としては、厚さ10nmのIn−Ga−Zn酸化物膜(以下、IGZO膜とする)を形成した。なお、IGZO−1の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量140sccmのアルゴンガスと、流量60sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
IGZO−2としては、厚さ15nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZO−2の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.2Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
次に、絶縁膜207及び酸化物半導体膜208上に導電膜212a、212bを形成した。導電膜212a、212bとしては、厚さ50nmのタングステン膜と、厚さ400nmのアルミニウム膜と、厚さ100nmのチタン膜とを、スパッタリング装置を用いて真空中で連続して形成した。
次に、絶縁膜207、酸化物半導体膜208、及び導電膜212a、212b上に絶縁膜214及び絶縁膜216を形成した。絶縁膜214としては、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。また、絶縁膜216としては、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。なお、絶縁膜214及び絶縁膜216としては、PECVD装置により真空中で連続して形成した。
絶縁膜214の成膜条件としては、基板温度を220℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量2000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を20Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に100WのRF電力を供給して成膜した。また、絶縁膜216の成膜条件としては、基板温度を220℃とし、流量160sccmのシランガスと、流量4000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を200Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に1500WのRF電力を供給して成膜した。
次に、第1の加熱処理を行った。該第1の加熱処理としては、窒素ガス雰囲気下で350℃1時間とした。
次に、絶縁膜216上に、厚さ5nmのITSO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。該ITSO膜の成膜条件としては、基板温度を室温とし、流量72sccmのアルゴンガスと、流量5sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.15Paとし、スパッタリング装置内に設置された金属酸化物ターゲット(In2O3:SnO2:SiO2=85:10:5[重量%])に1000WのDC電力を供給して成膜した。
次に、ITSO膜を介して、酸化物半導体膜208、及び絶縁膜214、216に酸素添加処理を行った。該酸素添加処理としては、アッシング装置を用い、基板温度を40℃とし、流量250sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を15Paとし、基板側にバイアスが印加されるように、アッシング装置内に設置された平行平板の電極間に4500WのRF電力を120sec供給して行った。
次に、ITSO膜を除去し、絶縁膜216を露出させた。また、ITSO膜の除去方法としては、ウエットエッチング装置を用い、濃度5%のシュウ酸水溶液を用いて、300secのエッチングを行った後、濃度0.5%のフッ化水素酸を用いて、15secのエッチングを行った。
次に、絶縁膜216上に絶縁膜218を形成した。絶縁膜218としては、厚さ100nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。絶縁膜218の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量5000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスと、をチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に1000Wの27.12MHzの高周波電力を供給して成膜した。
次に、導電膜212bに達する開口部252c及び、導電膜204に達する開口部252a、252bを形成した。開口部252a、252b、252cとしては、ドライエッチング装置を用いて形成した。
次に、開口部252a、252b、252cを覆うように絶縁膜218上に導電膜を形成し、該導電膜を加工することで導電膜220a、220bを形成した。導電膜220a、220bとしては、厚さ100nmのITSO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。ITSO膜に用いたターゲットの組成としては、先に示すITSO膜の成膜に用いたターゲットの組成と同様とした。
次に、第2の加熱処理を行った。該第2の加熱処理としては、窒素ガス雰囲気下で250℃1時間とした。
以上の工程で本実施例の試料J1を作製した。なお、試料J1のプロセスにおける最高温度は350℃であった。
<4−2.試料J2の作製方法について>
試料J2は、先に示す試料J1と比較し、酸化物半導体膜208の成膜条件が異なる。それ以外の工程については、試料J1と同様とした。
試料J2の酸化物半導体膜208としては、第1の酸化物半導体膜208bと、第2の酸化物半導体膜208cとを、スパッタリング装置を用いて、真空中で連続して形成した。なお、以下の説明においては、第1の酸化物半導体膜208bをIGZO−1aと、第2の酸化物半導体膜208cをIGZO−2aと、それぞれ呼称する。
IGZO−1aとしては、厚さ10nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZO−1aの成膜条件としては、基板温度を130℃とし、流量140sccmのアルゴンガスと、流量60sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
IGZO−2aとしては、厚さ15nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZO−2aの成膜条件としては、基板温度を130℃とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.2Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
すなわち、試料J1と、試料J2とは、酸化物半導体膜208成膜時の基板温度が異なる。
以上の工程で本実施例の試料J2を作製した。なお、試料J2のプロセスにおける最高温度は350℃であった。
<4−3.Id−Vg特性結果について>
次に、上記作製した試料J1及び試料J2のId−Vg特性を測定した。試料J1及び試料J2のId−Vg特性結果を、図55(A)(B)に示す。また、図55(A)(B)において、第1縦軸がId(A)を、第2縦軸がμFE(cm2/Vs)を、横軸がVg(V)を、それぞれ表す。なお、図55(A)が試料J1のId−Vg特性結果であり、図55(B)が試料J2のId−Vg特性結果である。
また、トランジスタ270Bの第1のゲート電極として機能する導電膜204に印加する電圧(以下、ゲート電圧(Vg)ともいう。)、及び第2のゲート電極として機能する導電膜220bに印加する電圧(Vbg)としては、−15Vから+20Vまで0.25Vのステップで印加した。また、ソース電極として機能する導電膜212aに印加する電圧(以下、ソース電圧(Vs)ともいう。)を0V(comm)とし、ドレイン電極として機能する導電膜212bに印加する電圧(以下、ドレイン電圧(Vd)ともいう。)を0.1Vまたは20Vとした。
図55(A)(B)に示す結果から、酸化物半導体膜208の成膜時の基板温度が170℃、130℃ともに、良好な電気特性であることが確認された。
<4−4.GBT試験について>
次に、上記作製した試料J1及び試料J2の信頼性評価を行った。信頼性評価としては、バイアス−熱ストレス試験(以下、GBT試験と呼ぶ。)を用いた。
本実施例でのGBT試験条件としては、ゲート電圧(Vg)を±30V、とし、ドレイン電圧(Vd)とソース電圧(Vs)を0V(comm)とし、ストレス温度を60℃とし、ストレス印加時間を1時間とし、測定環境をダーク環境及び光照射環境(白色LEDにて約10000lxの光を照射)の2つの環境で、それぞれ行った。すなわち、トランジスタのソース電極とドレイン電極を同電位とし、ゲート電極にはソース電極及びドレイン電極とは異なる電位を一定時間(ここでは1時間)印加した。
また、ゲート電極に与える電位がソース電極及びドレイン電極の電位よりも高い場合をプラスストレスとし、ゲート電極に与える電位がソース電極及びドレイン電極の電位よりも低い場合をマイナスストレスとした。したがって、測定環境と合わせて、プラスGBT(ダーク)、マイナスGBT(ダーク)、プラスGBT(光照射)、及びマイナスGBT(光照射)の合計4条件にて信頼性評価を実施した。なお、プラスGBT(ダーク)をPBTS(Positive Bias Temperature Stress)とし、マイナスGBT(ダーク)を、NBTS(Nagative Bias Temperature Stress)とし、プラスGBT(光照射)をPBITS(Positive Bias Illuminations Temperature Stress)とし、マイナスGBT(光照射)をNBITS(Nagative Bias Illuminations Temperature Stress)として、以下記載する場合がある。
試料J1及び試料J2のGBT試験結果を図56に示す。また、図56において、縦軸がトランジスタのしきい値電圧の変化量(ΔVth)及びシフト値の変化量(ΔShift)を、横軸が各試料名、プロセス条件等を、それぞれ示す。なお、Shift値とは、トランジスタのドレイン電流(Id)−ゲート電圧(Vg)特性における、対数で表されるドレイン電流(Id)の最大の傾きの接線と1×10−12Aの軸との交点のゲート電圧(Vg)である。また、ΔShiftとは、Shift値の変化量である。
図56に示す結果から、試料J1及び試料J2ともにGBT試験における、しきい値電圧の変化量(ΔVth)及びShift値の変化量(ΔShift)が、±2V以内であった。したがって、本発明の一態様の酸化物半導体膜を有するトランジスタは、高い信頼性を有することが確認された。
なお、本実施例に示す構成は、他の実施の形態、または実施例と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例においては、図18(C)(D)に示すトランジスタ270Bに相当するトランジスタを作製し、該トランジスタのId−Vg特性、及び該トランジスタの断面観察の評価を行った。
また、本実施例においては、以下に示す試料K1乃至K3を作製し評価を行った。試料K1は、チャネル長L=3μm、チャネル幅W=5μmのトランジスタサイズとし、試料K2は、チャネル長L=3μm、チャネル幅W=50μmのトランジスタサイズとし、試料K3は、チャネル長L=6μm、チャネル幅W=50μmのトランジスタサイズとした。なお、試料K1乃至K3としては、トランジスタのサイズが異なるのみで同じ工程で作製した。
本実施例で作製した試料について、以下説明を行う。なお、以下の説明において、図18(C)(D)に示すトランジスタ270Bに付記した符号を用いて説明する。
<5−1.試料K1乃至K3の作製方法について>
まず、基板202上に導電膜204を形成した。基板202としては、ガラス基板を用いた。また、導電膜204としては、厚さ100nmのタングステン膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。
次に、基板202及び導電膜204上に絶縁膜206、207を形成した。絶縁膜206としては、厚さ400nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。また、絶縁膜207としては、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。
絶縁膜206の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量200sccmのシランガスと、流量2000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスをチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に2000WのRF電力を供給して、厚さ50nmの窒化シリコン膜(以下、絶縁膜206_1とする)を成膜し、次に、アンモニアガスの流量を2000sccmに変更して、厚さ300nmの窒化シリコン膜(以下、絶縁膜206_2とする)を成膜し、次に、アンモニアガスの流量を100sccmに変更して、厚さ50nmの窒化シリコン膜(以下、絶縁膜206_3とする)を成膜した。
また、絶縁膜207の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量20sccmのシランガスと、流量3000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を40Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に100WのRF電力を供給して成膜した。
次に、絶縁膜207上に酸化物半導体膜208を形成した。なお、酸化物半導体膜208としては、第1の酸化物半導体膜208bと、第2の酸化物半導体膜208cとを、スパッタリング装置を用いて、真空中で連続して形成した。なお、以下の説明においては、第1の酸化物半導体膜208bをIGZO−1と、第2の酸化物半導体膜208cをIGZO−2と、それぞれ呼称する。
IGZO−1としては、厚さ10nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZO−1の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量35sccmのアルゴンガスと、流量15sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.2Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に1500WのAC電力を投入して成膜した。
IGZO−2としては、厚さ20nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZO−2の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量25sccmのアルゴンガスと、流量25sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.2Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に500WのAC電力を投入して成膜した。
次に、絶縁膜207及び酸化物半導体膜208上に導電膜212a、212bを形成した。
なお、導電膜212a、212bとしては、厚さ50nmのタングステン膜(以下、導電膜212a_1及び導電膜212b_1とする)と、厚さ30nmの窒化タンタル膜(以下、導電膜212a_2及び導電膜212b_2とする)と、厚さ200nmの銅膜(以下、導電膜212a_3及び導電膜212b_3とする)と、厚さ30nmの窒化タンタル膜(以下、導電膜212a_4及び導電膜212b_4とする)と、厚さ50nmのチタン膜(以下、導電膜212a_5及び導電膜212b_5とする)との積層構造とした。
導電膜212a、212bの形成方法としては、まず、厚さ50nmのタングステン膜と、厚さ30nmの窒化タンタル膜と、厚さ200nmの銅膜とを、スパッタリング装置を用いて成膜した。その後、銅膜上にレジストを塗布し所望の領域の銅膜を、ウエットエッチング装置を用いて除去したのち、レジストを除去した。その後、窒化タンタル膜、及び銅膜上に厚さ30nmの窒化タンタル膜と、厚さ50nmのチタン膜とを、スパッタリング装置を用いて成膜した。その後、チタン膜上にレジストを塗布し、所望の領域のチタン膜、窒化タンタル膜、及びタングステン膜を、ドライエッチング装置を用いて除去した。
次に、酸化物半導体膜208の表面(バックチャネル側)の洗浄を行った。当該洗浄方法としては、スピン洗浄装置を用いて、リン酸(濃度が85体積%)を水で1/100に希釈したリン酸水溶液を、酸化物半導体膜208及び導電膜212a、212b上から15秒間塗布した。
次に、絶縁膜207、酸化物半導体膜208、及び導電膜212a、212b上に絶縁膜214及び絶縁膜216を形成した。絶縁膜214としては、厚さ30nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。また、絶縁膜216としては、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。なお、絶縁膜214及び絶縁膜216としては、PECVD装置により真空中で連続して形成した。
絶縁膜214の成膜条件としては、基板温度を220℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量2000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を20Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に100WのRF電力を供給して成膜した。また、絶縁膜216の成膜条件としては、基板温度を220℃とし、流量160sccmのシランガスと、流量4000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を200Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に1500WのRF電力を供給して成膜した。
次に、第1の加熱処理を行った。該第1の加熱処理としては、窒素ガス雰囲気下で350℃1時間とした。
次に、絶縁膜216上に、厚さ6nmのITSO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。該ITSO膜の成膜条件としては、基板温度を室温とし、流量72sccmのアルゴンガスと、流量5sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.15Paとし、スパッタリング装置内に設置された金属酸化物ターゲット(In2O3:SnO2:SiO2=85:10:5[重量%])に1000WのDC電力を供給して成膜した。
次に、ITSO膜を介して、酸化物半導体膜208、及び絶縁膜214、216に酸素添加処理を行った。該酸素添加処理としては、アッシング装置を用い、基板温度を100℃とし、流量300sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を25.06Paとし、基板側にバイアスが印加されるように、アッシング装置内に設置された平行平板の電極間に4750WのRF電力を60sec供給して行った。
次に、ITSO膜を除去し、絶縁膜216を露出させた。また、ITSO膜の除去方法としては、ウエットエッチング装置を用い、濃度5%のシュウ酸水溶液を用いて、300secのエッチングを行った後、濃度0.5%のフッ化水素酸を用いて、15secのエッチングを行った。
次に、絶縁膜216上に絶縁膜218を形成した。絶縁膜218としては、厚さ100nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。絶縁膜218の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量5000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスと、をチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に1000Wの27.12MHzの高周波電力を供給して成膜した。
次に、導電膜212bに達する開口部252c及び、導電膜204に達する開口部252a、252bを形成した。開口部252a、252b、252cとしては、ドライエッチング装置を用いて形成した。
次に、開口部252a、252b、252cを覆うように絶縁膜218上に導電膜を形成し、該導電膜を加工することで導電膜220a、220bを形成した。導電膜220a、220bとしては、厚さ100nmのITSO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。ITSO膜に用いたターゲットの組成としては、先に示すITSO膜の成膜に用いたターゲットの組成と同様とした。
次に、第2の加熱処理を行った。該第2の加熱処理としては、窒素ガス雰囲気下で250℃1時間とした。
以上の工程で本実施例の試料K1乃至K3を作製した。なお、試料K1乃至K3のプロセスにおける最高温度は350℃であった。
<5−2.Id−Vg特性結果について>
次に、上記作製した試料K1乃至K3のId−Vg特性を測定した。試料K1乃至K3のId−Vg特性結果を、図57(A)(B)(C)に示す。なお、図57(A)が試料K1のId−Vg特性結果であり、図57(B)が試料K2のId−Vg特性結果であり、図57(C)が試料K3のId−Vg特性結果である。また、図57(A)(B)(C)において、第1縦軸がId(A)を、第2縦軸がμFE(cm2/Vs)を、横軸がVg(V)を、それぞれ表す。
また、トランジスタ270Bの第1のゲート電極として機能する導電膜204に印加する電圧(以下、ゲート電圧(Vg)ともいう。)、及び第2のゲート電極として機能する導電膜220bに印加する電圧(Vbg)としては、−15Vから+20Vまで0.25Vのステップで印加した。また、ソース電極として機能する導電膜212aに印加する電圧(以下、ソース電圧(Vs)ともいう。)を0V(comm)とし、ドレイン電極として機能する導電膜212bに印加する電圧(以下、ドレイン電圧(Vd)ともいう。)を0.1Vまたは20Vとした。
図57(A)(B)(C)に示す結果から、本実施例で作製した試料K1乃至K3は、良好な電気特性であることが確認された。特に、本実施例で作製した試料K1乃至K3は、ノーマリオフ型のトランジスタであり、移動度が30cm2/Vs程度と高いことがわかる。
<5−3.試料K2の断面観察>
次に、上記作製した試料K2の断面観察を行った。断面観察としては、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)を用いた。
試料K2の断面TEM像を図58(A)(B)に示す。なお、図58(A)は、トランジスタ270B全体を20,000倍の倍率で観察した断面TEM像であり、図58(B)は、導電膜212a近傍を50,000倍の倍率で観察した断面TEM像である。図58(A)(B)に示すように、本実施例で作製した試料K2は、良好な断面形状であることが確認された。特に、導電膜212a_1、導電膜212a_2、導電膜212a_4、及び導電膜212a_5によって、導電膜212a_3として形成した銅膜を囲んでいる様子が分かる。
なお、本実施例に示す構成は、他の実施の形態、または実施例と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例においては、図18(C)(D)に示すトランジスタ270Bに相当するトランジスタを作製し、該トランジスタのId−Vg特性、ゲートBTストレス試験、及びId−Vd特性の評価を行った。
また、本実施例においては、以下に示す試料L1を作製し評価を行った。試料L1は、チャネル長L=3μm、チャネル幅W=5μmのトランジスタと、チャネル長L=6μm、チャネル幅W=5μmのトランジスタと、がそれぞれ複数形成された試料である。
本実施例で作製した試料について、以下説明を行う。なお、以下の説明において、図18(C)(D)に示すトランジスタ270Bに付記した符号を用いて説明する。
<6−1.試料L1の作製方法について>
まず、基板202上に導電膜204を形成した。基板202としては、ガラス基板を用いた。また、導電膜204としては、厚さ100nmのタングステン膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。
次に、基板202及び導電膜204上に絶縁膜206、207を形成した。絶縁膜206としては、厚さ400nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。また、絶縁膜207としては、厚さ15nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。
絶縁膜206の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量200sccmのシランガスと、流量2000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスをチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に2000WのRF電力を供給して、厚さ50nmの窒化シリコン膜を成膜し、次に、アンモニアガスの流量を2000sccmに変更して、厚さ300nmの窒化シリコン膜を成膜し、次に、アンモニアガスの流量を100sccmに変更して、厚さ50nmの窒化シリコン膜を成膜した。
また、絶縁膜207の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量20sccmのシランガスと、流量3000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を40Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に100WのRF電力を供給して成膜した。
次に、絶縁膜207上に酸化物半導体膜208を形成した。なお、酸化物半導体膜208としては、第1の酸化物半導体膜208bと、第2の酸化物半導体膜208cとを、スパッタリング装置を用いて、真空中で連続して形成した。なお、以下の説明においては、第1の酸化物半導体膜208bをIGZO−1と、第2の酸化物半導体膜208cをIGZO−2と、それぞれ呼称する。
IGZO−1としては、厚さ10nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZO−1の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量35sccmのアルゴンガスと、流量15sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.2Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に1500WのAC電力を投入して成膜した。
IGZO−2としては、厚さ20nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZO−2の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量25sccmのアルゴンガスと、流量25sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.2Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に500WのAC電力を投入して成膜した。
次に、第1の加熱処理を行った。該第1の加熱処理としては、窒素ガス雰囲気下で350℃の1時間の処理を行ったのち、続けて、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気下で350℃の1時間の処理を行った。
次に、絶縁膜207及び酸化物半導体膜208上に導電膜212a、212bを形成した。
なお、導電膜212a、212bとしては、厚さ30nmのチタン膜と、厚さ200nmの銅膜と、厚さ50nmのチタン膜との積層構造とした。
導電膜212a、212bの形成方法としては、まず、厚さ30nmのチタン膜と、厚さ200nmの銅膜とを、スパッタリング装置を用いて成膜した。その後、銅膜上にレジストを塗布し、所望の領域の銅膜をウエットエッチング装置を用いて除去したのち、レジストを除去した。その後、チタン膜及び銅膜上に厚さ50nmのチタン膜を、スパッタリング装置を用いて成膜した。その後、チタン膜上にレジストを塗布し、所望の領域のチタン膜を、ドライエッチング装置を用いて除去した。
次に、酸化物半導体膜208の表面(バックチャネル側)の洗浄を行った。当該洗浄方法としては、スピン洗浄装置を用いて、リン酸(濃度が85体積%)を水で1/100に希釈したリン酸水溶液を、酸化物半導体膜208及び導電膜212a、212b上から15秒間塗布した。
次に、絶縁膜207、酸化物半導体膜208、及び導電膜212a、212b上に絶縁膜214及び絶縁膜216を形成した。絶縁膜214としては、厚さ30nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。また、絶縁膜216としては、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。なお、絶縁膜214及び絶縁膜216としては、PECVD装置により真空中で連続して形成した。
絶縁膜214の成膜条件としては、基板温度を220℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量2000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を20Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に100WのRF電力を供給して成膜した。また、絶縁膜216の成膜条件としては、基板温度を220℃とし、流量160sccmのシランガスと、流量4000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を200Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に1500WのRF電力を供給して成膜した。
次に、第2の加熱処理を行った。該第2の加熱処理としては、窒素ガス雰囲気下で350℃1時間とした。
次に、絶縁膜216上に、厚さ6nmのITSO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。該ITSO膜の成膜条件としては、基板温度を室温とし、流量72sccmのアルゴンガスと、流量5sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.15Paとし、スパッタリング装置内に設置された金属酸化物ターゲット(In2O3:SnO2:SiO2=85:10:5[重量%])に1000WのDC電力を供給して成膜した。
次に、ITSO膜を介して、酸化物半導体膜208、及び絶縁膜214、216に酸素添加処理を行った。該酸素添加処理としては、アッシング装置を用い、基板温度を100℃とし、流量300sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を25.06Paとし、基板側にバイアスが印加されるように、アッシング装置内に設置された平行平板の電極間に4750WのRF電力を60sec供給して行った。
次に、ITSO膜を除去し、絶縁膜216を露出させた。また、ITSO膜の除去方法としては、ウエットエッチング装置を用い、濃度5%のシュウ酸水溶液を用いて、300secのエッチングを行った後、濃度0.5%のフッ化水素酸を用いて、15secのエッチングを行った。
次に、絶縁膜216上に絶縁膜218を形成した。絶縁膜218としては、厚さ100nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。絶縁膜218の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量5000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスと、をチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に1000Wの27.12MHzの高周波電力を供給して成膜した。
次に、導電膜212bに達する開口部252c及び、導電膜204に達する開口部252a、252bを形成した。開口部252a、252b、252cとしては、ドライエッチング装置を用いて形成した。
次に、開口部252a、252b、252cを覆うように絶縁膜218上に導電膜を形成し、該導電膜を加工することで導電膜220a、220bを形成した。導電膜220a、220bとしては、厚さ100nmのITSO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。ITSO膜に用いたターゲットの組成としては、先に示すITSO膜の成膜に用いたターゲットの組成と同様とした。
次に、第3の加熱処理を行った。該第3の加熱処理としては、窒素ガス雰囲気下で250℃1時間とした。
以上の工程で本実施例の試料L1を作製した。なお、試料L1のプロセスにおける最高温度は350℃であった。
<6−2.Id−Vg特性結果について>
次に、上記作製した試料L1のId−Vg特性を測定した。試料L1のId−Vg特性結果を、図59に示す。なお、図59に示すId−Vg特性としては、試料L1に形成されたチャネル長L=3μm、チャネル幅W=5μmのトランジスタを測定した。また、図59において、第1縦軸がId(A)を、第2縦軸がμFE(cm2/Vs)を、横軸がVg(V)を、それぞれ表す。
また、Id−Vg特性の測定条件としては、実施例5と同じとした。
図59に示す結果から、本実施例で作製した試料L1は、良好な電気特性であることが確認された。特に、本実施例で作製した試料L1は、ノーマリオフ型のトランジスタであり、移動度が30cm2/Vs程度と高いことがわかる。
<6−3.GBT試験結果について>
次に、上記作製した試料L1のGBT試験を行った。GBT試験の条件としては、先の実施例4に示す条件と同じとした。試料L1のGBT試験結果を図60に示す。なお、図60に示すGBT試験結果としては、試料L1に形成されたチャネル長L=3μm、チャネル幅W=5μmのトランジスタを測定した。
図60に示す結果から、試料L1のGBT試験における、しきい値電圧の変化量(ΔVth)が、±1V以内であった。したがって、本発明の一態様の酸化物半導体膜を有するトランジスタは、高い信頼性を有することが確認された。
<6−4.Id−Vd特性結果について>
次に、試料L1のId−Vd特性について評価を行った。試料L1のId−Vd特性結果を図61(A)(B)に示す。なお、図61(A)は、試料L1に形成されたチャネル長L=3μm、チャネル幅W=5μmのトランジスタの測定結果であり、図61(B)は、試料L1に形成されたチャネル長L=6μm、チャネル幅W=5μmのトランジスタの測定結果である。
また、試料L1に形成されたL/W=3/5μmのトランジスタのId−Vd特性の測定条件としては、ソース電位を接地電位(GND)とし、ドレイン電位を10Vとし、ゲート電位を3.16Vとした。また、試料L1に形成されたL/W=6/5μmのトランジスタのId−Vd特性の測定条件としては、ソース電位を接地電位(GND)とし、ドレイン電圧を10Vとし、ゲート電位を4.62Vとした。
図61(A)(B)に示すように、本実施例で作製した試料L1としては、Id−Vd特性の飽和性が高いことが示された。Id−Vd特性の飽和性が向上したトランジスタを、例えば、有機EL表示装置等の駆動用FETに好適に用いることができる。
なお、本実施例に示す構成は、他の実施の形態、または実施例と適宜組み合わせて用いることができる。