JP2017061649A - ポリアセタール樹脂複合組成物及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
特に、耐久性が要求される自動車用部品には、無機充填剤で強化されたポリアセタール樹脂組成物が用いられる。耐久性とは、例えば、一定応力下での破断寿命が長いことを意味し、耐クリープ性ともいう。
特許文献1には、耐クリープ性を改善する目的で、ポリアセタール樹脂と、繊維状無機充填材とを含むポリアセタール樹脂組成物が開示されている。また、特許文献1には、ポリアセタール樹脂の分子量が大きいほど耐クリープ性が向上することが開示されている。
特許文献2には、ガラス系無機充填材とポリアセタール樹脂とを含むポリアセタール樹脂組成物において、ガラス系無機充填材とポリアセタール樹脂の界面の密着性を改善するため、末端水酸基の含有量が異なる複数のポリアセタール樹脂を併用する方法が開示されている。
特許文献3には、ポリアセタール骨格を含むABA型ブロックコポリマーを用いることで、ガラス繊維等との密着性が向上することが開示されている。
特許文献4には、ガラス繊維を含むポリアセタール樹脂組成物の耐摩耗性を向上するために、潤滑剤を配合することが開示されている。また、特許文献4には、潤滑剤として超高分子量ポリエチレンが好ましいことが開示されている。
特許文献5には、機械的強度、耐摩耗性及び摺動性を改善する目的で、ガラス繊維を含むポリアセタール樹脂組成物に、トライボロジー改質剤を配合することが開示されている。特に、トライボロジー改質剤は平均分子量が1.0×106g/モル超である超高分子量ポリエチレンが好ましいことが開示されている。
高性能化としては、具体的には、機械的強度、耐久性及び耐摩耗性の向上が挙げられる。高品質化としては、具体的には、成形機滞留時の外観不良の抑制、低VOC化(揮発性有機成分の低減)が挙げられる。
しかし、耐久性の向上のためにポリアセタール樹脂を高分子量化すると、流動性が低下し成形が困難となるため、外観不良といった品質低下の原因となる。また、ポリアセタール樹脂が高分子量化すると、樹脂粘度が上がるため、押出時や成形時に樹脂が発熱しやすく、VOC性能は悪化しやすくなる。
また、ポリアセタール樹脂の末端水酸基が増加すると、熱安定性が低下するため、成形時の外観不良(シルバーストリークス)や、VOC性能の悪化といった品質低下の原因となる。
さらに、耐摩耗性の向上のため超高分子量ポリエチレンを添加した場合、超高分子量ポリエチレンの脱落等により切粉が発生しやすくなる。また、切粉の増加により、成形機へのフィード不良が起こりやすく成形サイクルが長くなるため、生産性の低下をまねくおそれもある。
特許文献1〜5に開示されるような、従来のポリアセタール樹脂組成物では、耐久性に優れ、高い耐摩耗性及び機械的強度を有し、そして、さらに高品質である成形体を製造することはできなかった。
本発明が解決しようとする課題は、高い耐久性、摺動性、耐摩耗性を有し、かつ高品質の成形体を得ることが可能な樹脂組成物を提供することである。
[1]
(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)ガラス系充填材10質量部以上100質量部以下と、(C)ホルムアルデヒド捕捉剤0.01質量部以上5質量部以下と、を含むポリアセタール樹脂組成物であって、該ポリアセタール樹脂組成物を成形して得られる成形体を引張破断した場合に、破断した成形体の破断面から突出した(B)ガラス系充填材の表面が平均厚み0.2μm以上3.0μm以下の(A)ポリアセタール樹脂を含む成分で覆われている、ポリアセタール樹脂組成物。
[2]
前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して(D)重量平均分子量が50万以下であるポリエチレン樹脂0.5質量部以上8質量部以下をさらに含む、[1]記載のポリアセタール樹脂組成物。
[3]
前記(D)重量平均分子量が50万以下であるポリエチレン樹脂の融点が115℃以下である、[2]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[4]
前記(B)ガラス系充填材のガラス系充填材の表面を変性する機能を有する物質として、少なくとも1種の酸を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
[5]
前記酸がカルボン酸である、[4]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[6]
前記カルボン酸がアクリル酸又はアクリル酸を含む重合体である、[5]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[7]
前記(A)ポリアセタール樹脂がブロック成分を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
[8]
前記ブロック成分が水素添加ポリブタジエン成分である、[7]に記載のポリアセタール樹脂組成物。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物を含む成形体。
[10]
(D)重量平均分子量が50万以下であるポリエチレン樹脂を含み、成形体の表層における(D)重量平均分子量50万以下のポリエチレン樹脂の存在量が、成形体の表層から1,000μmより深層を切り出した面の表層における(D)重量平均分子量が50万以下である重量平均分子量50万以下のポリエチレン樹脂の存在量よりも多い、[9]に記載の成形体。
[11]
少なくとも1種の酸を含み、(B)ガラス系充填材の表面を変性する機能を有する物質で(B)ガラス系充填材の表面を変性する工程と、前記変性されたガラス系充填材と(A)ポリアセタール樹脂とを混合する工程と、を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)ガラス系充填材10質量部以上100質量部以下と、(C)ホルムアルデヒド捕捉剤0.01質量部以上5質量部以下と、を含むポリアセタール樹脂組成物であって、該ポリアセタール樹脂組成物からなる成形体を引張破断した場合に、破断した成形体の破断面から突出した(B)ガラス系充填材の表面が平均厚み0.2μm以上3.0μm以下の(A)ポリアセタール樹脂を含む成分で覆われているポリアセタール樹脂組成物である。
該含有量が10質量部以上であることにより、機械的強度や耐クリープ性が向上する。
また、該含有量が100質量部以下であることにより、成形時においてガラス系充填材同士の接触によるガラス系充填材の破壊を抑制することができる。このため、機械的強度や耐クリープ性が向上する。さらに、該含有量が100質量部以下であることにより、安定した押出成形を行うことができ、成形体の外観不良を抑制することができる。
該含有量の下限値は、好ましくは12質量部であり、より好ましくは15質量部であり、さらに好ましくは20質量部であり、よりさらに好ましくは25質量部である。
該含有量の上限値は、好ましくは90質量部であり、より好ましくは80質量部であり、さらに好ましくは75質量部であり、よりさらに好ましくは70質量部である。
該平均厚みが0.2μm以上であることにより、耐クリープ性や機械的強度が向上する。また、切粉を抑制し、かつ得られる成形体の外観不良を抑制できるため、品質が向上する。
また、該平均厚みが3.0μm以下であることにより、ポリアセタール樹脂組成物の流動性の低下を抑制し、成形体の外観不良を抑制することができる。
該平均厚みの下限値は、好ましくは0.3μmであり、より好ましくは0.4μmである。
該平均厚みの上限値は、好ましくは2.5μmであり、より好ましくは2.0μmである。
本実施形態において、任意の形状を有する成形体に対して(B)ガラス系充填材の表面を覆うポリアセタール樹脂組成物を含む成分の平均厚みを求める場合には、任意の形状を有する成形体を、熱プレスにより小型引張試験片形状に再加工した成形体を用いて行ってもよい。
小型引張試験片形状に再加工する際の熱プレスは、220℃以下の温度にて5分以内で行うことで、(B)ガラス系充填材の表面を覆うポリアセタール樹脂組成物を含む成分の平均厚みには影響を与えずに、再加工した成形体を得ることができる。
任意の形状を有する成形体の大きさや形状等によって熱プレスにより小型引張試験片形状に再加工することができない場合は、任意の形状を有する成形体をそのまま用いて引張破断を行ってもよい。
特に限定されるものではないが、(B)ガラス系充填材としてガラス繊維を例にとり、以下、該平均厚みの測定方法について、具体的に説明する。
本実施形態においては、ガラス繊維の表面を覆うポリアセタール樹脂組成物を含む成分の平均厚みを測定する際は、測定するガラス繊維として、引張破断した成形体の破断面の中央付近に存在するガラス繊維を選択することが好ましい。
ガラス繊維の表面を均一に樹脂成分が覆っている場合、ガラス繊維と表面を覆う層との境界が明瞭でない場合がある。このような場合は、厚みを算出する際にガラス繊維単独の直径を用いてもよい。例えば、断面が円形であるガラス繊維の表面を均一に樹脂成分が覆っている場合、表面を覆う層の厚みは下記式により求められる。
ガラス繊維単独の直径は、成形体から樹脂成分を除去した残渣を計測して求めることができる。
成形体から樹脂成分を除去する方法としては、例えば、十分に高い温度(400℃以上)で成形体中の樹脂成分を焼却する方法、(A)ポリアセタール樹脂を溶解する溶剤に浸漬して成形体中の樹脂成分を除去する方法等が挙げられる。
本実施形態において、(B)ガラス系充填材の表面は、面積比率として、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは90%以上が(A)ポリアセタール樹脂を含む成分に覆われていることが好ましい。
面積比率が50%以上であることによって、成形体の耐クリープ性がより向上する。
中でも、ブロックコポリマー及び酸を含む被膜形成剤を併用すると、(A)ポリアセタール樹脂と(B)ガラス系充填材との界面の接着性が飛躍的に向上し、(B)ガラス系充填材の表面を覆うポリアセタール樹脂組成物を含む成分の平均厚みが増大する。
該平均厚みを上記範囲内とするためには、ポリアセタール樹脂組成物を溶融混練により製造する際に、(B)ガラス系充填材を(A)ポリアセタール樹脂と、より長時間混練することも有効である。一般的には、樹脂組成物の溶融混練時に、ガラス系充填材はより短時間で混練することが望ましいと考えられているが、本実施形態においては逆の傾向となる。具体的には、押出混練時において(B)ガラス系充填材をサイドフィーダーから供給する場合、より上流側から供給することが挙げられる。
後述するホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体の場合、0.1質量部以上3質量部以下、アルカリ土類金属の脂肪酸塩の場合、0.1質量部以上1質量部以下、ヒドラジド化合物の場合、0.01〜0.2質量部が好ましい。
0.01質量部未満であると、ホルムアルデヒドの放出量が増加する傾向にあり、5質量部よりも多いと、自動車用部品の製造において、金型でのモールドデポジットの生成やしやすくなる傾向にある。
上記ヒドラジド化合物は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.015〜0.3質量部であることがより好ましく、0.02〜0.2質量部であることがより好ましく、0.02〜0.1質量部であることがさらに好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において使用することができる(A)ポリアセタール樹脂(以下、(A)成分と記載することがある。)について、以下、詳細に説明する。
本実施形態において使用可能な(A)ポリアセタール樹脂としては、ポリアセタールホモポリマー、ポリアセタールコポリマー、架橋構造を有するポリアセタールコポリマー、ブロック成分を有するホモポリマーベースのブロックコポリマー、及びブロック成分を有するコポリマーベースのブロックコポリマーが挙げられる。
(A)ポリアセタール樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)ポリアセタール樹脂として、例えば、分子量の異なる組み合わせや、コモノマー量の異なるポリアセタールコポリマーの組み合わせ等も適宜使用可能である。
本実施形態においては、(A)ポリアセタール樹脂として、ブロックコポリマーを含むことが好ましい。
ポリアセタールコポリマーとして、ホルムアルデヒドの単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、単官能グリシジルエーテルとを、共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマー、並びに、多官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマーを用いることもできる。
ポリアセタールコポリマーは、ポリアセタールの繰り返し構造単位とは異なる異種のブロックを有するブロックコポリマーであってもよい。
R3は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種を示す。
mは1〜6の整数を示し、1〜4の整数が好ましい。
nは1〜10000の整数を示し、10〜2500の整数が好ましい。
上記式(1)で表されるブロック成分は、アルコールのアルキレンオキシド付加物から水素原子を脱離した残基であり、上記式(2)で表されるブロック成分は、カルボン酸のアルキレンオキシド付加物から水素原子を脱離した残基である。
式(1)又は(2)で表されるブロック成分を有するポリアセタールホモポリマーは、例えば、特開昭57−31918号公報に記載の方法で調製できる。
pは2〜6の整数を示し、2つのpは各々同一であっても異なっていてもよい。
q及びrはそれぞれ正の数を示し、qとrとの合計を100モル%とする場合に、qは2〜100モル%、rは0〜98モル%であり、−(CH(CH2CH3)CH2)−単位及び−(CH2CH2CH2CH2)−単位はそれぞれランダム又はブロックで存在する。
ブロックコポリマー中における式(1)、(2)又は(3)で表されるブロック成分の挿入量は特に限定されないが、ブロックコポリマーを100質量%としたとき、例えば、0.001質量%以上30質量%以下である。
成形体の曲げ弾性率を低下させない観点から、該ブロック成分の挿入量は30質量%以下とすることが好ましく、成形体の引張強度の観点から該ブロック成分の挿入量は0.001質量%以上であることが好ましい。
該ブロック成分の挿入量の下限値は、より好ましくは0.01質量%であり、さらに好ましくは0.1質量%であり、よりさらに好ましくは1質量%である。
該ブロック成分の挿入量の上限値は、より好ましくは15質量%であり、さらに好ましくは10質量%であり、よりさらに好ましくは8質量%である。
該ブロック成分の分子量の下限値は特に限定されないが、100以上であることが、安定した摺動性を維持し続ける観点から好ましい。
ABA型ブロックコポリマーとは、式(3)で表されるブロック成分を有するブロックコポリマーであり、具体的には、ポリアセタールセグメントA(以下、Aと記す。)と、両末端がヒドロキシアルキル化された水素添加ポリブタジエンセグメントB(以下、Bと記す。)を、A−B−Aの順で構成させたブロックコポリマーのことを意味する。
式(1)、式(2)又は式(3)で表されるブロック成分を有するポリアセタールコポリマーは、例えば、国際公開第2001/09213号に開示されたポリアセタールブロックコポリマーが挙げられ、該公報に記載の方法により調製できる。
ブロックコポリマーとしてABA型ブロックコポリマーを用いることで、(B)ガラス系充填材の表面との接着性が向上する傾向にある。その結果、成形体の引張破壊応力及び曲げ弾性率を増大させることが可能となる傾向にある。
該ブロックコポリマーの比率の下限値は、より好ましくは10質量%であり、さらに好ましくは20質量%であり、よりさらに好ましくは、25質量%である。
該ブロックコポリマーの比率の上限値は、より好ましくは90質量%であり、さらに好ましくは80質量%であり、よりさらに好ましくは75質量%である。
本実施形態の樹脂組成物における、当該ブロックコポリマーの比率は、1H−NMRや13C−NMR等により測定することができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において使用することができる(B)ガラス系充填材(以下、(B)成分と記載することがある。)としては、特に限定されないが、ガラス繊維、ガラスビーズ、及びガラスフレーク等が挙げられる。
ガラス繊維としては、例えば、チョップドストランドガラス繊維、ミルドガラス繊維、ガラス繊維ロービング等が挙げられる。中でも、チョップドストランドガラス繊維が、取扱い性及び成形体の機械的強度の観点から好ましい。
(B)ガラス系充填材は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
チョップドストランドガラス繊維の場合、平均繊維径は、例えば、7μm以上15μm以下である。
該平均繊維径が上記範囲内にあることで、成形体の表面が平滑となり、摺動性の低下を抑制することができる。また、成形体の耐クリープ性を高めることができるとともに、成形時の金型表面の削れ等を防止することができる。
該平均繊維径の下限値は、好ましくは8μmであり、より好ましくは9μmである。
該平均繊維径の上限値は、好ましくは14μmであり、より好ましくは12μmである。
ガラス繊維は、繊維径の異なるガラス繊維を2種以上ブレンドして用いてもよい。
被覆形成剤としては、具体的には、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、及び酸成分を有する共重合体樹脂等が挙げられる。中でも、少なくとも1種の酸成分を有する共重合体樹脂を含む被膜形成剤を含むことが好ましい。
少なくとも1種の酸成分を有する共重合体樹脂としては、例えば、カルボン酸含有不飽和ビニル単量体及び該カルボン酸含有不飽和ビニル単量体以外の不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体及び該カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体以外の不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体等が挙げられる。中でも、カルボン酸含有不飽和ビニル単量体及び該カルボン酸含有不飽和ビニル単量体以外の不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体を用いることがより好ましい。
被膜形成剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボン酸含有不飽和ビニル単量体は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体として、具体的には、マレイン酸又はイタコン酸の無水物等が挙げられる。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体は、1種を単独でも用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、(A)ポリアセタール樹脂と、(B)ガラス系充填材の混練押出後のペレットを用いても同様に、酸成分を検出することができる
中でも、ブロック成分を含むポリアセタール樹脂と、被膜形成剤により変性されたガラス系充填材を組み合わせることで、耐クリープ性及び引張破壊応力が飛躍的に向上する。
カップリング剤は特に限定されず、公知のものを用いることができる。
カップリング剤としては、具体的には、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、有機アルミネート化合物等が挙げられる。
カップリング剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタアクリロキシプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルメトキシシランが好ましい。ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン及びγ−アミノプロピルトリエトキシシランが、経済性と樹脂組成物の熱安定性の観点より好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において使用することができる(C)ホルムアルデヒド捕捉剤(以下、(C)成分と記載することがある。)としては、特に限定されないが、具体的には、メラミン、ポリアミド系樹脂等のホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及びその重合体、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩、ヒドラジド化合物等が挙げられる。
より具体的には、前記ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及びその重合体は、ホルムアルデヒドと反応可能な窒素原子を分子内に有する重合体又は化合物(単量体)である。
また、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及びその重合体としては、アクリルアミド及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。例えば、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られたポリ−β−アラニン共重合体が挙げられる。
さらに、ホルムアルデヒド反応性窒素を有する重合体又は化合物としては、アミド化合物、アミノ置換トリアジン化合物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの付加物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、尿素、尿素誘導体、イミダゾール化合物、イミド化合物も挙げられる。
前記アミノ置換トリアジン化合物の具体例としては、2,4−ジアミノ−sym−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジンが挙げられる。
前記アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの付加物の具体例としては、N−メチロールメラミン、N,N'−ジメチロールメラミン、N,N',N"−トリメチロールメラミンが挙げられる。
前記アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの縮合物の具体例としては、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。
前記尿素誘導体としては、例えば、N−置換尿素、尿素縮合体、エチレン尿素、ヒダントイン化合物、ウレイド化合物が挙げられる。
前記N−置換尿素の具体例としては、アルキル基等の置換基が置換したメチル尿素、アルキレンビス尿素、アリール置換尿素が挙げられる。
前記尿素縮合体の具体例としては、尿素とホルムアルデヒドとの縮合体が挙げられる。
前記ヒダントイン化合物の具体例としては、ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントインが挙げられる。
前記ウレイド化合物の具体例としては、アラントインが挙げられる。
前記イミド化合物の具体例としては、スクシンイミド、グルタルイミド、フタルイミドが挙げられる。
これらのホルムアルデヒド反応性窒素を有する重合体又は化合物は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
例えば、ヒドラジン;ヒドラジン水和物;コハク酸モノヒドラジド、グルタル酸モノヒドラジド、アジピン酸モノヒドラジド、ピメリン酸モノヒドラジド、スペリン酸モノヒドラジド、アゼライン酸モノヒドラジド、セバシン酸モノヒドラジド等のカルボン酸モノヒドラジド;蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド等の飽和脂肪族カルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等のモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸のジヒドラジド;
イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボジヒドラジド等の芳香族カルボン酸ジヒドラジド;ピロメリット酸のジヒドラジド;トリマー酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、ベンゼントリカルボン酸トリヒドラジド、ニトリロトリ酢酸トリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド等のトリヒドラジド;ピロメリット酸テトラヒドラジド、ナフトエ酸テトラヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド等のテトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジン又はヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラート)と反応させることにより得られるポリヒドラジド等のポリヒドラジド;
炭酸ジヒドラジド;ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート及びそれらから誘導されるポリイソシアネート化合物にN,N−ジメチルヒドラジン等のN,N−置換ヒドラジン及び/又は上記例示のヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド;上記ポリイソシアネート化合物とポリエーテルポリオール類又はポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネート基に、上記のいずれかのジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド;
上記多官能セミカルバジドと上記水系多官能セミカルバジドとの混合物;ビスアセチルジヒドラゾン等が挙げられる。
飽和脂肪族カルボン酸ヒドラジドとしては、例えば、コハク酸モノヒドラジド、グルタル酸モノヒドラジド、アジピン酸モノヒドラジド、ピメリン酸モノヒドラジド、スペリン酸モノヒドラジド、アゼライン酸モノヒドラジド、セバシン酸モノヒドラジド等のカルボン酸モノヒドラジド;コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド等のカルボン酸ジヒドラジドが挙げられる。
本実施形態においては、これらのホルムアルデヒド捕捉剤を含有することにより、VOCを低減できるほか、耐クリープ性及び外観の向上、並びにモールドデポジット発生の抑制という効果も得ることができる。
本実施形態の樹脂組成物においては、(D)重量平均分子量50万以下のポリエチレン樹脂(以下、(D)ポリエチレン樹脂又は(D)成分と記載することがある。)を含むことが好ましい。
(D)ポリエチレン樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重量平均分子量が50万以下であることにより、切粉の発生を抑制することができるとともに、成形体と金属との摺動において、摩擦係数が低くかつ非常に安定した値となる。また、成形体のVOCの低減効果も得られる。
(D)ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1万以上40万以下であり、より好ましくは1.5万以上30万以下であり、さらに好ましくは2万以上20万以下であり、よりさらに好ましくは3万以上15万以下である。
次に、未溶融残渣分をトリクロロベンゼン(以下、TCBと略す。)に140℃で溶解させ、ろ過することでガラス系充填材をろ別する。得られたろ液を用い、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)で測定する。用いるカラムとしては、昭和電工(株)製UT−807(1本)と東ソー(株)製GMHHR−H(S)HT(2本)を直列に接続する。移動相としてTCBを用い、試料濃度は20〜30mg(ポリエチレン樹脂)/20ml(TCB)とする。カラム温度を140℃、流量は1.0ml/分とし、示差屈折計を検出器として用い、測定を行う。
重量平均分子量の算出は、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと略す。)を標準物質として用いて算出する。この際のPMMA標準物質は数平均分子量として、2,000程度から1,000,000程度の範囲で、少なくとも4サンプルを用いる。
該含有量を0.5質量部以上とすることにより、摺動性が良好で、かつ長期間にわたり安定となる。また耐摩耗性も向上する。さらには、成形体のVOC性能を改善する効果も得られる
該含有量を8質量部以下とすることで、機械的強度の低下、樹脂組成物の溶融混練時における切粉、及び成形体における剥離((D)ポリエチレン樹脂成分の脱離)を抑制できる。
次に、ポリアセタール樹脂組成物又は成形体に含まれるポリアセタール樹脂を塩酸分解し、残渣から先に求めた(B)ガラス繊維の配合比を引いたものが(D)ポリエチレン樹脂の含有量である。なお、状況に応じ、IR等で他の成分の有無を確認し、追加除去操作をしてもよい。
中でも、金属との摺動における摩擦係数の観点から、低密度ポリエチレンが好ましい。
Tmが115℃以下であることにより、金属との摺動において、摩擦係数が低く非常に安定したものとなる。また、ポリアセタール樹脂組成物を溶融混練により製造する際に、押出機のトルクを大幅に低減できる効果も奏する。これにより、従来ポリアセタール樹脂とガラス系充填材の複合材では困難であった、吐出量の増加を達成することができる。
本実施形態において、Tmは、ポリアセタール樹脂組成物の試料、又は成形体から切り出した試料4〜6mgを用い(プレス等で薄片化することが好ましい)、示差走査熱量測定(DSC)で、10℃/minの昇温した際に得られる吸熱のピーク値を用いる。
本実施形態のポリアセタール樹枝組成物の成形体は、本発明の目的を損なわない範囲で、通常ポリアセタール樹脂組成物に使用されている各種安定剤を含んでもよい。
安定剤としては特に限定されないが、具体的には、酸化防止剤、ギ酸の捕捉剤等が挙げられる。
安定剤は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、成形体の熱安定性向上の観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものが適宜使用可能である。
酸化防止剤の添加量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.1質量部以上2質量部以下が好ましい。
より具体的には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、硼酸カルシウム、脂肪酸カルシウム塩(ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム等)等が挙げられる。これらの脂肪酸は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい。
ギ酸の捕捉剤の添加量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、ギ酸の捕捉剤であるホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体が0.1質量部以上3質量部以下、アルカリ土類金属の脂肪酸塩が0.1質量部以上1質量部以下の範囲であると好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂の成形体は、本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリアセタール樹脂組成物に使用されている公知の、ガラス系充填剤以外の充填材(タルク、ウォラストナイト、マイカ、炭酸カルシウム等)、導電性付与剤(カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等)、着色剤(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、有機染料等)、摺動付与剤(各種エステル系化合物、有機酸の金属塩等)、紫外線吸収剤、光安定剤、滑材等の各種安定剤も含有することができる。
その他の成分の添加量は、ガラス繊維以外の充填材、導電性付与剤、着色剤については、ポリアセタール樹脂を100質量%とした場合に、好ましくは30質量%以下であり、摺動付与剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑材については、ポリアセタール樹脂100質量%に対して、好ましくは5質量%以下である。
その他の成分は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の成形体は、公知の方法による製造することができる。具体的には、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等により、以下のように原料成分を混合及び溶融混練し、成形することにより製造することができる。中でも、減圧装置・サイドフィーダー設備を装備した2軸押出機が好ましく使用できる。
原料成分を混合及び溶融混練する方法としては、特に限定されず、当業者が周知の方法を利用できる。具体的には、(A)成分及び(B)成分を、予めスーパーミキサー、タンブラー、V字型ブレンダー等で混合し、二軸押出機で一括溶融混練する方法、(A)成分を二軸押出機メインスロート部に供給し溶融混練しつつ、押出機の途中から(B)成分を添加する方法等が挙げられる。これらはいずれも利用できるが、本実施形態の成形体の機械的物性を高めるためには、(A)成分を二軸押出機メインスロート部に供給し溶融混練しつつ、押出機の途中から(B)成分を添加する方法が好ましい。また、(C)成分も押出機の途中から添加する方が好ましい。最適な条件は、押出機の大きさによって変動するため、当業者の調整可能な範囲で適宜調整することが好ましい。より好ましくは、押出機のスクリューデザインに関しても、当業者に調整可能な範囲で種々調整する。
(D)成分を配合する場合には、押出機の途中から添加することもできるが、メインスロート部から供給することが好ましい。このような製法を取ることで、驚くべきことに押出機のトルクを大幅に低下する効果も得られることを見出した。これにより、大幅に生産性を改善することができる。
本実施形態の成形体は、成形体の表層における(D)重量平均分子量50万以下のポリエチレン樹脂の存在量が、成形体の表層から1,000μmより深層を切り出した面の表層における(D)重量平均分子量が50万以下である重量平均分子量50万以下のポリエチレン樹脂の存在量よりも多いことが好ましい。
(D)ポリエチレン樹脂の存在量は、X線光電子分光法(XPS)を用いて計測した炭素Cの相対元素濃度(atomic%)から算出する。測定装置としては、例えば、フィッシャーサイエンティフィック(株)製のESCALAB250等が挙げられる。
なお、本実施形態ではC2を測定する箇所を成形体の1,000μmより深層部としているが、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を成形して得られる成形体においては、その表層から100μmより深層部であれば、箇所によらず(D)ポリエチレン樹脂の存在量は仕込み比とほぼ同一の値となる。
好ましくは、1.01≦[C1]/[C2]≦1.20であり、より好ましくは1.02≦[C1]/[C2]≦1.18であり、さらに好ましくは、1.05≦[C1]/[C2]≦1.15である。
なお、厚みが2,000μm未満である成形体の場合、1,000μmより深層部における炭素濃度に代えて、成形体の深さ方向の中心部における炭素濃度を用いることができる。
成形体の表層における(D)ポリエチレン樹脂が、成形体の1,000μmより深層部よりも多く存在するようにするためには、配合する(D)ポリエチレン樹脂の重量平均分子量を50万以下とすることで達成できる。さらに、(D)ポリエチレン樹脂のTmを115℃以下とすることで、成形体の表層における(D)ポリエチレン樹脂の存在量を、成形体の1,000μmより深層部よりも多くすることができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、耐久性、機械的強度及び耐摩耗性が要求される成形体の原料として使用することができる。
本実施形態の成形体は自動車用部品として好適に使用でき、特に他の部材と接触するギアやプーリーとしての役割を担う部品に好適に使用できる。
これら以外にも、ポリアセタール樹脂の用途として公知の用途に適用できる。具体的には、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、リール、シャフト、関節、軸、軸受け、戸車、ガイド等に代表される機構部品;アウトサート成形の樹脂部品、インサート成形の樹脂部品、シャーシ、トレー、側板、自動車部品として、ドアロック、ドアハンドル、ウインドウレギュレータ、ウインドウレギュレータワイヤードラム、スピーカーグリル、ガラスホルダー等に代表されるドア廻り部品;シートベルト用スリップリング、プレスボタン等に代表されるシートベルト周辺部品;コンビスイッチ部品、スイッチ類、クリップ類等の部品ガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ等に代表される燃料廻り部品、プリンター、及び複写機に代表されるオフィスオートメーション機器用部品;デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ等の映像機器用部品;CD、DVD、Blu−ray(登録商標) Disc、その他光デイスクのドライブ;ナビゲーションシステム及びモバイルパーソナルコンピュータに代表される音楽、映像又は情報機器、携帯電話及びファクシミリに代表される通信機器用部品;電気機器用部品;電子機器用部品等に適用できる。また、その他用品として筆記具のペン先、芯を出し入れする機構部品;洗面台、排水口、排水栓開閉機構部品;衣料用のコードストッパー、アジャスター、ボタン;散水用のノズル、散水ホース接続ジョイント;階段手すり部、及び床材の支持具である建築用品;玩具、ファスナー、チェーン、コンベア、バックル、スポーツ用品、自動販売機(開閉部ロック機構、商品排出機構部品)、家具、楽器、住宅設備機器部品等が挙げられる。
実施例及び比較例で用いたポリアセタール樹脂組成物及び成形体の製造条件と評価項目は以下のとおりである。
スクリュー径Dに対するスクリュー長さLの比(L/D)=48(バレル数12)であり、第6バレルと第8バレルにサイドフィーダーを有し、第11バレルに真空ベントを備えた同方向回転二軸押出機(東芝機械(株)製TEM−48SS押出機)を用いた。第1バレルを水冷し、第2〜5バレルを210℃、第6〜12バレルを180℃に設定した。
押出に用いたスクリューは以下のデザインとした。第1〜4バレルの位置にフライトスクリュー(以下、FSと略す。)を配し、第5バレルの位置に送り能力を有するニーディングディスク(以下、RKDと略す。)2枚、送り能力のないニーディングディスク(以下、NKDと略す。)2枚、及び逆方向への送り能力を有するニーディングディスク(以下、LKDと略す。)1枚をこの順に配した。第6〜第8バレルの位置にFSを配し、第9バレルの位置にRKDとNKDを1枚ずつこの順に配し、第10〜第11バレルの位置にFSを配した。
ガラス系充填材を第6バレルのサイドフィーダーより供給し、スクリュー回転数150rpmとし、総押出量を70kg/hとして押出を行った。
上記押出後に、7/1000のクリアランスのストランドカッターに、80℃のストランドを投入しペレタイズを行った。ペレット選別機は通さなかった。
得られたペレット1kg±0.1kgを14メッシュの篩に3回に分けてかけ、メッシュを通過した重量を、篩がけに使用したペレット重量で割ることで切粉の量とした。値が小さいほど切粉は少なく、品質が良好である。
射出成形機(EC−75NII、東芝機械(株)製)を用いて、シリンダー温度設定を205℃に設定し、射出時間35秒、冷却時間15秒の射出条件で成形することにより、ISO294−2に準拠した小型引張試験片形状の成形体を得た。金型温度は90℃とした。ISO294−2に準拠した小型引張試験片形状の成形体を下記(4)、(5)、(7)、(8)の各測定において用いた。
下記(6)クリープ破断時間の測定に用いる耐クリープ試験用試験片としては、JIS K7139−5Aに準拠した小型引張試験片形状の成形体を得た。金型温度は90℃とした。
上記(3)で得られた成形体を用い、ISO527−1に準拠して、引張速度5mm/minで引張試験を行い、引張破壊応力を測定した。
上記(3)で得られた成形体を用い、引張速度50mm/minで引張試験にて成形体を破断させた。成形体の破断面に白金を蒸着することで観察用試験片を作製した。観察用試験片を用い、走査電子顕微鏡(SEM)で観察することにより計測した。観察倍率は5,000倍で行った。
観察部位としては、観察用試験片の破断面中央部を観察できるように調整を行った。破断面より突出しているガラス繊維のうち任意の50本を選出した。全てのガラス繊維において、断面が円形であるガラス繊維の表面を均一に樹脂成分が覆っていることが確認された。次に、樹脂成分で覆われているガラス繊維の直径を計測した。別途、予め試験片を450℃で3時間焼却して樹脂成分を除去して求めておいたガラス繊維の直径(100本の平均値)との差から、表面に付着した樹脂成分の厚みを求めた。50本について加算平均し、ガラス系充填材の表面を覆う成分の平均厚みとした。
上記(3)で得られた耐クリープ試験用試験片である成形体を用いて、クリープ試験機(東洋精機製作所(株)製)を用いて、80℃環境下で、25MPaの荷重をかけクリープ試験を行い、破断するまでの時間を測定した。測定を3回行い、その平均をクリープ破断時間とした。数値が大きい方が耐クリープ性に優れる。
上記(3)で得られた成形体を用いて、ボールオンディスク型往復動摩擦摩耗試験機(AFT−15MS型、東洋精密(株)製)を用いた。23℃、湿度50%の環境下で、荷重19.6N、線速度30mm/sec、往復距離20mm、往復回数5,000回の条件で、摺動試験を行った。ボール材料は、SUS304ボール(直径5mmの球)を用いた。摺動試験後のサンプルの摩耗量(摩耗深さ)を、共焦点顕微鏡(OPTELICS(登録商標)H1200、レーザーテック(株)社製)を用いて測定した。対SUS304ボール摩耗深さはn=5で測定した数値の平均値とした。数値が低い方が耐摩耗性に優れる。
サーモフィシャーサイエンティフィック(株)製のX線光電子分光法(XPS)ESCALAB250を用い、励起源としてmonoALKα(15kV×10mA)を用いた。分析サイズを1mm四方とした。成形体の表層の付着物を除去する為、市販の精密機器用洗浄剤(VALTRON DP97031)の1.5%水溶液を用いて、50℃の条件で3分間超音波洗浄を行い表面の有機物を除去したのち、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水で室温条件下にて15分超音波処理を行い、洗浄を実施した。次いで洗浄後の試料を、乾燥オーブンで80℃、1時間乾燥処理を行い、測定に供した。
当該測定において、光電子取出角は0°(成形体に対し垂直)とし、取込領域は、Surbey Scanを0〜1100eV、Narrow Scan 炭素Cは1sの領域とした。また、Pass EnergyはSurvey scanが100eV、Narrow scanが20eVで実施した。このときのC濃度は284eVから288eVの範囲のピーク面積比とした。面積比から相対元素濃度を算出し、四捨五入して1atomic%以上のものは有効数字2桁で、1atomic%未満のものは有効数字1桁で算出した。
測定サンプルとしては、上記(3)で得られた成形体を用いた。該成形体の表層における炭素濃度を[C1]とした。続いて、成形体の厚み方向の中央をミクロトームにて削り出し、同様の測定で厚み方向の中央部付近における炭素濃度[C2]を測定した。
射出成形機(IS−100GN、東芝機械(株)製)を用いて、シリンダー温度:条件1=200℃、条件2=220℃、射出圧力70MPa、射出時間:15秒、冷却時間:20秒、金型温度:80℃の条件で、後述する実施例及び比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物から規定された寸法の試験片(縦100mm×横40mm×厚み3mm)を成形した。
得られた試験片から放出されるホルムアルデヒド量を下記VDA275法に準じて測定し、成形品から放出されるホルムアルデヒド量を求めた。
VDA275法においては、まず、ポリエチレン容器に蒸留水50mLと上記試験片とを収容して密閉した。次いで、60℃で3時間容器を加熱後、蒸留水中のホルムアルデヒドをアンモニウムイオン存在下においてアセチルアセトンと反応させ、その反応物を対象としてUV分光計にて波長412nmの吸収ピークを測定し、成形品から放出されるホルムアルデヒド量(mg/kg)を求めた。
東芝機械(株)製IS−100GN射出成形機を用いて、シリンダー温度を180℃、金型温度を70℃に設定し、射出圧力70MPa、射出時間60秒、冷却時間15秒の射出条件で、実施例及び比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物を成形することにより、厚さ2mm、幅80mm×80mmのシボ付平板の試験片を得た。本条件で連続成形した後の金型内の汚染状態(モールドデポジット;以下「MD」とも記す)を目視にて50ショット毎に観察し、MDが確認できるようになったショット数を記録した。さらにMDの除去容易性を確認するために、金型に付着した物質のふき取りを行い、以下の判定基準でMDの除去容易性の判定を行った。
評価1:ティッシュで軽く乾拭きするだけで完全に除去できた。
評価2:ティッシュで強く乾拭きすることで完全に除去できた。
評価3:ティッシュで乾拭きするだけでは除去できなかったが、金型洗浄剤を使用すればすぐに除去できた。
評価4:金型への固着性が強く、金型洗浄剤を使用してもすぐには除去できなかった
射出成形機(EC5P、東芝機械(株)製)を用い、ポリアセタール樹脂組成物を可塑化溶融させ、射出成形機内に溶融樹脂を40分滞留させた。その後、下記の条件にて射出成形し、滞留後の成形片の表面状態を目視観察し、シルバーストリークスの発生状況により評価した。
(a) 成形条件
シリンダー設定温度:230℃
金型温度 :80℃
成形サイクル :射出/冷却=30秒/15秒
試験片 :127mm×12.7mm×3mm
(b)外観評価方法
評価1:シルバーストリークスの発生は見られなかった。
評価2:シルバーストリークスが成形体の流れ方向の1/10に見られた。
評価3:シルバーストリークスが成形体の流れ方向の1/6に見られた。
評価4:シルバーストリークスが成形体の流れ方向の1/4に見られた。
(A1)製品名:テナック(登録商標)−C 4520(旭化成ケミカルズ(株)製)、メルトフローレート(MFR)=9.0g/10分、数平均分子量Mn=約7万
(A2)製品名:テナック(登録商標)−C 7520(旭化成ケミカルズ(株)製)、メルトフローレート(MFR)=45.0g/10分、数平均分子量Mn=2.5万
(A3)ポリアセタールブロックコポリマーは、次のようにして調製した。熱媒を通すことのできるジャケット付きの2軸パドル型連続重合機を80℃に調整した。トリオキサンを40モル/時間、環状ホルマールとして1,3−ジオキソランを2モル/時間、重合触媒としてシクロヘキサンに溶解させた三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1モルに対し5×10-5モルとなる量、連鎖移動剤として下記式(5)で表される両末端ヒドロキシル基水素添加ポリブタジエン(数平均分子量Mn=2,330)をトリオキサン1モルに対し1×10-3モルになる量で、上記重合機に連続的に供給し重合を行った。
得られた粗ポリアセタールブロックコポリマー100質量部に対して、第4級アンモニウム化合物(日本国特許第3087912号公報に記載)を含有した水溶液1質量部を添加して、均一に混合した。第4級アンモニウム化合物の添加量は、窒素量に換算して20質量ppmとした。これをベント付き2軸スクリュー式押出機に供給し、押出機中の溶融しているポリアセタールブロックコポリマー100質量部に対して水を0.5質量部添加した。押出機設定温度200℃、押出機における滞留時間7分で、ポリアセタールブロックコポリマーの不安定末端部分の分解除去を行った。
このようにして得られたポリアセタールブロックコポリマーを、(A3)ポリアセタールブロックコポリマーとした。このブロックコポリマーは、ABA型ブロックコポリマーであり、メルトフローレートが15g/10分(ISO−1133 条件D)であった。メルトフローレートから算出した数平均分子量Mnは約5万であった。
(B1)日本国特許第4060831号公報の製造例1記載の被膜形成剤(アクリル酸とアクリル酸メチルの共重合体を含有する)等で処理したガラス繊維。
(B2)日本国特開2009−7179号公報の試料No.1記載の被膜形成剤(酸を含有しない)で処理したガラス繊維。
(C1)(株)日本ファインケム製 SDH(セバシン酸ジヒドラジド)
(D1)旭化成ケミカルズ(株)製 サンテック(登録商標)LD L1850A
重量平均分子量13.2万、Tm=107℃、密度918kg/m3
(D2)旭化成ケミカルズ(株)製、サンテック(登録商標)HD J240
重量平均分子量7.3万、Tm=127℃、密度966kg/m3
(D3)旭化成ケミカルズ(株)製 サンファイン(登録商標) UH901
分子量(粘度法) 330万、Tm=136℃、密度940kg/m3
重量平均分子量の測定は、(D)ポリエチレン樹脂をTCBに140℃で溶解させて得られた溶液を用い、以下のとおりGPCで測定した。用いるカラムとしては、昭和電工(株)製UT−807(1本)と東ソー(株)製GMHHR−H(S)HT(2本)を直列に接続した。移動相としてTCBを用い、試料濃度は20〜30mg((C)ポリエチレン樹脂)/20ml(TCB)とした。カラム温度を140℃、流量は1.0ml/分とし、示差屈折計を検出器として用い、測定を行った。
重量平均分子量の算出は、PMMAを標準物質として用いて算出した。
なお、(D4)は分子量が高く、トリクロロベンゼンに溶けない成分が含まれており、GPCによる分子量測定ができなかっため、JIS K7367−3に準拠した粘度法により分子量を測定した。
各成分がそれぞれ表1及び表2に記載の割合となるよう押出を行って樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物を用い、上記条件にて成形を行って成形体を製造した。各物性を評価した結果を表1及び表2に示す。
実施例1、5、比較例3、4、5、8の対比で、ホルムアルデヒド捕捉剤を添加することで、成形後の成形体から放出されるホルムアルデヒド量が少なくなるだけでなく、クリープ破断時間の延長や、MD発生ショット数の延長といった効果が見られた。
実施例1、3、比較例6、7の対比で、ポリエチレン樹脂を添加することで、対金属(SUS304)摺動性が良くなるだけでなく、成形後の成形体から放出されるホルムアルデヒド量も少なくなった。このことから、ホルムアルデヒド捕捉剤とポリエチレン樹脂の併用はVOC性能向上に効果的であった。
実施例1と比較例9の対比では、ホルムアルデヒド捕捉剤の量には最適の領域があることが分かった。多く添加しすぎると、MDが発生しやすく、かつMDの除去が困難となった。
Claims (11)
- (A)ポリアセタール樹脂100質量部と、(B)ガラス系充填材10質量部以上100質量部以下と、(C)ホルムアルデヒド捕捉剤0.01質量部以上5質量部以下と、を含むポリアセタール樹脂組成物であって、
該ポリアセタール樹脂組成物を成形して得られる成形体を引張破断した場合に、破断した成形体の破断面から突出した(B)ガラス系充填材の表面が平均厚み0.2μm以上3.0μm以下の(A)ポリアセタール樹脂を含む成分で覆われている、ポリアセタール樹脂組成物。 - 前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して(D)重量平均分子量が50万以下であるポリエチレン樹脂0.5質量部以上8質量部以下をさらに含む、請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(D)重量平均分子量が50万以下であるポリエチレン樹脂の融点が115℃以下である、請求項2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(B)ガラス系充填材のガラス系充填材の表面を変性する機能を有する物質として、少なくとも1種の酸を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記酸がカルボン酸である、請求項4に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記カルボン酸がアクリル酸又はアクリル酸を含む重合体である、請求項5に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアセタール樹脂がブロック成分を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記ブロック成分が水素添加ポリブタジエン成分である、請求項7に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物を含む成形体。
- (D)重量平均分子量が50万以下であるポリエチレン樹脂を含み、成形体の表層における(D)重量平均分子量50万以下のポリエチレン樹脂の存在量が、成形体の表層から1,000μmより深層を切り出した面の表層における(D)重量平均分子量が50万以下である重量平均分子量50万以下のポリエチレン樹脂の存在量よりも多い、請求項9に記載の成形体。
- 少なくとも1種の酸を含み、(B)ガラス系充填材の表面を変性する機能を有する物質で(B)ガラス系充填材の表面を変性する工程と、
前記変性されたガラス系充填材と(A)ポリアセタール樹脂とを混合する工程と、を含む、請求項1〜8のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
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