従来のラジカル重合性の官能基を有する有機化合物(例えば、アクリル系単量体、及びアクリル系重合体(以下、「アクリル系化合物」という場合がある。))を主成分とする接着性を有する組成物に、アミノ基及び架橋性ケイ素基を含有する化合物(例えば、アミノシラン)を添加すると、自発的に望まない反応(例えば、失活等の反応)が進行したり、当該化合物に含まれる官能基が失活したりするので、硬化反応を適切に進行させることができない。そのため、従来の組成物では、所望のタイミングで硬化させることが困難である。したがって、従来は、アミノ基を有し、架橋性ケイ素基を含有する化合物をアクリル系化合物に添加することは、接着性が要求される組成物においては避けられてきた。
一方、本発明者は、ラジカル重合性の官能基を有する有機化合物の接着性の向上を検討した結果、アミノ基を有し、架橋性ケイ素基を含有する化合物とラジカル重合性の官能基を有する有機化合物との反応の開始を、アミン化合物を発生する化合物を用いること、具体的には、アミノ基を有する化合物に保護基を結合させた化合物を用いることで所望のタイミングに制御できることを見出した。すなわち、本実施の形態に係る硬化性組成物は、保護基を含む化合物を用いることで接着性の発現のタイミングを制御できる硬化性組成物である。更に、本実施の形態に係る硬化性組成物は、金属、及びアミド結合を有する高分子材料等に対する接着性が極めて優れていることも、本発明者によって初めて見出された。以下、詳細に説明する。なお、本実施の形態において「アクリル系」と表記した場合、「アクリル系」には、アクリル系、及びメタアクリル系の双方が含まれるものとする。また、「(メタ)アクリル」と表記した場合は、アクリル若しくはメタアクリルを指すものとする。
[硬化性組成物の概要]
本実施の形態に係る硬化性組成物は、例えば、接着剤として用いられる。この硬化性組成物は、光や熱等のエネルギーを外部から供給することで硬化する。そして、この硬化性組成物が硬化して得られる構造体は、例えば、電子デバイス等を構成するモジュールのプリント基板やフレキシブル基板等と所定の部材との接合部として用いられる。本実施の形態に係る硬化性組成物は、エネルギーを供給する前は実質的に硬化せずに流動性を保つので、対象物に所望の形状に塗布できる。そして、この状態の硬化性組成物に光や熱等のエネルギーを与えて硬化させることで薄膜や所定形状の構造体を形成できる。したがって、例えば、印刷等の手法を用いて硬化性組成物を対象物に塗布した後に、この硬化性組成物にエネルギーを与えて硬化させることで構造体を対象物上に形成できる。
具体的に本実施の形態に係る接着性を有する硬化性組成物は、有機化合物と、アミン化合物を発生するアミン化合物発生剤と、ラジカル発生剤とを含んで構成される。また、硬化性組成物に所定のフッ素化合物及び/又はシリル基含有の上記アミン化合物発生剤を更に含有させることで、接着性を更に向上させることができる。そして、本実施の形態に係る構造体は、この硬化性組成物に光や熱等のエネルギーを与えて硬化させることで得られる。また、本実施の形態に係る硬化性組成物を硬化して得られる構造体を、一の部材と他の部材との接合部に用いることで、この構造体を構成中に有するモジュールが得られる。
[硬化性組成物の詳細]
より具体的に、本実施の形態に係る硬化性組成物は、ラジカル重合性の官能基を有する有機化合物と、アミン化合物を発生するアミン化合物発生剤と、ラジカル発生剤とを含んで構成される。また、硬化性組成物は、フッ素化合物、及び/又はその他の各種添加剤を更に含むこともできる。
(有機化合物)
本実施の形態に係る有機化合物は、ラジカル重合性の官能基を有する有機化合物であって、具体的には、アクリル系単量体及びアクリル系重合体のうち少なくとも1種を含む。また、有機化合物は、1種類、又は2種類以上の有機化合物を含むことができる。この場合に、有機化合物は、官能基を有する第1の有機化合物と、官能基(第1の有機化合物が有する官能基と同一でも異なっていてもよい)を有し、第1の有機化合物とは異なる第2の有機化合物とを含むことができる。そして、第1の有機化合物の粘度と第2の有機化合物の粘度とは互いに異なっていてよい。例えば、硬化性組成物の作業性を調整する観点から、第1の有機化合物の粘度より低い粘度の第2の有機化合物を第1の有機化合物と併用することもできる。
本実施の形態に係る有機化合物としては、ラジカル重合性の官能基を有する化合物であれば様々な有機化合物を用いることができる。具体的には、ラジカル重合性のビニル基、ビニリデン基、及びビニレン基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有する有機化合物を用いることができる。特に、ビニル基を有する有機化合物を用いることが好ましい。一例として、反応性向上の観点から、ラジカル重合性の官能基は、アクリロイル基、及びメタクリロイル基からなる群から選択される少なくとも1つの基であることが好ましい。有機化合物として、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び窒素原子にビニル基が直接結合したN−ビニル化合物を用いることができる。なお、本実施の形態において「単量体」を「モノマー」と表すこともある。また、本実施の形態において「重合体」とは、「ポリマー」と「オリゴマー」とを含む用語として扱う。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、及び(メタ)アクリルアミド基を有する化合物等が挙げられる。貯蔵安定性の観点からは、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を用いることが好ましい。また、反応性向上の観点からは、(メタ)アクリルアミド基を有する化合物を用いることが好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、単量体及び重合体のいずれであってもよく、得られる組成物を作業性向上にとって適切な粘度に調整する観点からは(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体が好ましい。また、得られる硬化物の物性を向上させる観点からは(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合体が好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基を1個以上有する化合物であれば、特に限定されない。例えば、単官能(メタ)アクリレート類、多官能(メタ)アクリレート類等を(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマーとして用いることができる。
単官能(メタ)アクリレート類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリレート、1−メトキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性ブチル(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、イソボニルアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。硬化性組成物の硬化物に良好な柔軟性を与える観点からは、単官能(メタ)アクリレート類を用いることが好ましい。また、硬化性組成物の粘度を低下させることを目的とする場合、希釈性の高い化合物、例えば、立体障害の大きな基を有する単官能(メタ)アクリレート類(例えば、イソボニルアクリレート等)を併用することが好ましい。
多官能アクリレート類としては、例えば、1、3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、エチレンオキサイド変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能アクリレート類は、酸素阻害が生じにくい点から好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合体としては、アクリル系重合体、ポリエステル(メタ)アクリレート系重合体、エポキシ(メタ)アクリレート系重合体、ウレタン(メタ)アクリレート系重合体、及びポリエーテル(メタ)アクリレート系重合体等が挙げられる。
アクリル系重合体としては、主鎖が(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合体を用いることができる。このような重合体はアニオン重合又はラジカル重合によって製造されることが好ましく、モノマーの汎用性若しくは制御の容易さからラジカル重合を採用することがより好ましい。ラジカル重合の中でも、リビングラジカル重合若しくは連鎖移動剤を用いたラジカル重合を採用することが好ましく、リビングラジカル重合法がより好ましく、原子移動ラジカル重合法が特に好ましい。リビングラジカル重合法を用いた場合、重合体鎖末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合体を製造できる。
このようなアクリル系重合体として、例えば、WO2012/008127号公報の製造例1に記載されている両末端にアクリロイル基を有するポリアクリル酸n−ブチルや同公報の製造例2に記載されている片末端にアクリロイル基を有するポリアクリル酸n−ブチル、WO2005/000927号公報の製造例1に記載されている両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)、WO2006/112420号公報の製造例2に記載されている両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシル)、同公報の製造例3に記載されている両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)等を用いることができる。
アクリル系重合体の骨格成分(原料モノマー)としては、メタクリル酸メチル(PMMA)、スチレン(St)、スチレン−アクリロニトリル(St−AN)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)、メタクリル酸ブチル(BMA)、メタクリル酸イソブチル(IBMA)等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系重合体としては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物等が挙げられる。ここで、ポリエステルポリオールとしては、ポリオールとポリカルボン酸又はその無水物との反応物等が挙げられる。
ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリオールと反応するポリカルボン酸又はその無水物としては、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、及びトリメリット酸等の二塩基酸、又はこれらの無水物等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレート系重合体としては、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させた化合物が挙げられる。エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
芳香族エポキシ樹脂としては、具体的には、レゾルシノールジグリシジルエーテル;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン、又はそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル若しくはポリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;グリシジルフタルイミド;o−フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。その他に、芳香族エポキシ樹脂として、文献「エポキシ樹脂−最近の進歩−」(昭晃堂、1990年発行)2章や、文献「高分子加工」別冊9・第22巻増刊号エポキシ樹脂〔高分子刊行会、昭和48年発行〕の4〜6頁、9〜16頁に記載されている様々な樹脂を挙げることができる。
脂肪族エポキシ樹脂としては、具体的には、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等)のジグリシジルエーテル;ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等)のジグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、及びそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、及びそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル若しくはトリグリシジルエーテル、並びにペンタエリスリトール及びそのアルキレンオキサイド付加体のジグリジジルエーテル、トリグリジジルエーテル、若しくはテトラグリジジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;水素添加ビスフェノールA、及びそのアルキレンオキシド付加体のジグリジジルエーテル、若しくはポリグリシジルエーテル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエーテル;ハイドロキノンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
これら以外にも、文献「高分子加工」別冊エポキシ樹脂の3〜6頁に記載されている化合物を挙げることができる。これら芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂以外にも、トリアジン核を骨格に持つエポキシ化合物、例えばTEPIC(日産化学(株))、デナコールEX−310(ナガセ化成(株))等が挙げられ、また、文献「高分子加工」別冊エポキシ樹脂の289〜296頁に記載されている化合物等が挙げられる。アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、及びプロピレンオキサイド等が好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート系重合体としては、ポリオールと有機ポリイソシアネートとの反応物に対して、更にヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール及び/又はポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、及び/又はテレフタル酸等の二塩基酸若しくはその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらウレタン(メタ)アクリレート系重合体は、公知の合成法で製造できる。例えば、錫触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート等)等の付加触媒存在下において、有機イソシアネートとポリオール成分とを加熱撹拌して付加反応させ、ここにヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを添加し、加熱撹拌して付加反応させる方法等が挙げられる。
ポリエーテル(メタ)アクリレート系重合体としては、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド基を有する化合物としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−sec−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジベンジル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。また、(メタ)アクリルアミド基を有する化合物として、アクリロイルモルホリン、メタアクリロリルモルホリン等も挙げられる。硬化性組成物の硬化性を向上させる観点からは、アクリロイルモルホリンを用いることが好ましい。
N−ビニル化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。本実施の形態に係る硬化性組成物において、反応性の観点、又は酸素阻害が発生しにくい観点からは、N−ビニル化合物を用いることが好ましい。
本実施の形態に係る有機化合物においては、有機化合物1分子中に平均して1個以上5個以下、好ましくは1.1個以上3個以下の官能基を有することが好ましい。硬化性組成物の所期の硬化性を確保すると共に架橋反応を充分に進行させる観点からは、官能基数が1以上であることが好ましい。また、硬化性組成物が硬化して得られる構造体の良好な柔軟性を確保する観点からは、架橋による網目構造が密になり過ぎないように官能基数を5以下にすることが好ましい。そして、硬化性組成物が硬化して得られる構造体における架橋密度を低くし、小さなモジュラス特性と充分な大きさの破断時伸び特性とを確保することで初期状態における硬化物の柔軟性を確保する観点からは、官能基は、有機化合物1分子中に平均して1.0個以上1.5個以下、好ましくは1.1個以上1.5個以下有することが好ましい。なお、本実施の形態に係る有機化合物は、官能基を末端、及び/又は末端を除く他の位置に有する。合成の容易性等の観点からは、少なくとも一部の末端に官能基を有する有機化合物が好ましい。
また、有機化合物として重合体を用いる場合、重合体の数平均分子量は、10,000以上50,000以下が好ましい。重合体の柔軟性を確保する観点から重合体の数平均分子量は10,000以上が好ましく、作業性を確保する範囲内に重合体の粘度を制御する観点からは50,000以下が好ましい。なお、硬化性組成物の作業性確保、及び/又は柔軟性確保等の観点から硬化性組成物の粘度を所期の範囲内にすることを目的として、互いに分子量が異なる複数の有機化合物を併用することもできる。また、硬化性組成物を硬化して得られる構造体の他の特性(例えば、機械的特性等)を向上させる観点から、柔軟性の確保や作業性の確保を要さない場合、重合体の数平均分子量は10,000以上50,000以下の範囲に入らなくてもよい。
(アミン化合物発生剤)
本実施の形態に係るアミン化合物発生剤は、アミン化合物を発生させる化合物である。例えば、アミン化合物発生剤は、エネルギーが与えられることや所定の化合物との反応等を契機としてアミン化合物を発生させる。また、アミン化合物発生剤は、エネルギーが与えられるまでアミン化合物の発生を抑制する保護基を含み、保護基は、アクリルモノマーやアクリル重合体等の有機化合物とアミノ基との反応を抑制する。アミン化合物発生剤としては、紫外線、電子線、X線、赤外線、及び/又は可視光線等の活性エネルギー線、並びに熱等のエネルギーの作用により塩基としてのアミン化合物を発生する物質であれば様々な化合物を用いることができる。例えば、アミン化合物発生剤は、(1)紫外線、可視光、及び/又は赤外線等の活性エネルギー線の照射、又は加熱により脱炭酸して分解する有機酸と塩基との塩、(2)分子内求核置換反応や転位反応等により分解してアミン類を放出する化合物、若しくは(3)紫外線、可視光、及び/又は赤外線等の活性エネルギー線の照射、又は加熱により所定の化学反応を起こして塩基を放出する化合物等を用いることができる。一例として、アミン化合物発生剤は、エネルギーが与えられることによりアミン化合物を発生させる光潜在性アミン化合物、及び/又はアミノ基及び架橋性ケイ素基を有する架橋性ケイ素基含有化合物を含み、本実施の形態における保護基は、例えば、外部からのエネルギー供給に応答する官能基であって、一例として、光応答性官能基(以下、「光官能性基」、若しくは「光官能基」と称する場合がある。)である。本実施の形態においては、接着性を向上させる観点から、架橋性ケイ素基を有する架橋性ケイ素基含有化合物を含むことが特に好ましい。
アミン化合物発生剤から発生する塩基としては、例えば、アミン化合物等の有機塩基が挙げられる。一例として、この塩基として、エチルアミン、プロピルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、1,5−ジアミノペンタン等の第一級アルキルアミン類;N−メチルベンジルアミン、4,4’−メチレンジアニリン等の第一級芳香族アミン類;ジエチルアミン等の第二級アルキルアミン類;イミダゾール等の二級アミノ基を有するアミン類、及び三級アミノ基を有するアミン類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等の第三級アルキルアミン類;4−イソプロピルモルホリン等の第三級複素環式アミン;4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)アミン等の第三級芳香族アミン類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)等のアミジン類;トリス(ジメチルアミノ)(メチルイミノ)ホスホラン等のホスファゼン誘導体が挙げられる。これら塩基は単独で用いても2種類以上組み合わせて用いてもよい。
非環状アミジン類としては、例えば、グアニジン系化合物、ビグアニド系化合物等が挙げられる。グアニジン系化合物としては、グアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1−ブチルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−o−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン等が挙げられる。ビグアニド系化合物としては、ブチルビグアニド、1−o−トリルビグアニドや1−フェニルビグアニドが挙げられる。
また、非環状アミジン化合物の中でも、フェニルグアニジン、1−o−トリルビグアニドや1−フェニルビグアニド等のアリール置換グアニジン系化合物、若しくはアリール置換ビグアニド系化合物を発生するアミン化合物発生剤を用いた場合は、硬化性組成物の表面の硬化性が良好となる傾向を示し、硬化性組成物が硬化して得られる構造体の接着性が良好となる傾向を示す。
環式アミジン類としては、環式グアニジン系化合物、イミダゾリン系化合物、イミダゾール系化合物、テトラヒドロピリミジン系化合物、トリアザビシクロアルケン系化合物、ジアザビシクロアルケン系化合物が挙げられる。
環式グアニジン系化合物としては、例えば、1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン、7−エチル−1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン、7−イソプロピル−1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン等が挙げられる。
イミダゾリン系化合物としては、例えば、1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1−メチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−オクチルイミダゾリン等が挙げられる。
イミダゾール系化合物としては、例えば、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
テトラヒドロピリミジン系化合物としては、例えば、1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−メチル−2−エチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−メチル−2−ブチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−エチル−2−オクチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン等が挙げられる。
トリアザビシクロアルケン系化合物としては、例えば、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デセン−5、7−エチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デセン−5等が挙げられる。
ジアザビシクロアルケン系化合物としては、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.2.0]オクテン−5、1,8−ジアザビシクロ[7.2.0]ウンデセン−8、1,4−ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン−4、3−メチル−1,4−ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン−4、3,6,7,7−テトラメチル−1,4−ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン−4、7,8,8−トリメチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[7.3.0]ドデセン−8、1,7−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−6、8−フェニル−1,7−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−6、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,5−ジアザビシクロ[4.4.0]デセン−5、4−フェニル−1,5−ジアザビシクロ[4.4.0]デセン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]デセン−7、1,8−ジアザビシクロ[7.4.0]トリデセン−8、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−メチルブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−メチルオクチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ブチルベンジルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ジヘキシルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、9−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、9−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]デセン−7、1,6−ジアザビシクロ[5.5.0]ドデセン−6、1,7−ジアザビシクロ[6.5.0]トリデセン−7、1,8−ジアザビシクロ[7.5.0]テトラデセン−8、1,10−ジアザビシクロ[7.3.0]ドデセン−9、1,10−ジアザビシクロ[7.4.0]トリデセン−9、1,14−ジアザビシクロ[11.3.0]ヘキサデセン−13、1,14−ジアザビシクロ[11.4.0]ヘプタデセン−13等が挙げられる。
環式アミジン類のうち、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)は、工業的に入手が容易であり、共役酸のpKa値が12以上であることから高い触媒活性を示す。
本実施の形態に用いられるアミン化合物発生剤としては、例えば、活性エネルギー線の作用によりアミン化合物を発生する光潜在性アミン化合物が好ましい。この光潜在性アミン化合物としては、活性エネルギー線の作用により第一級アミノ基を有するアミン化合物を発生する光潜在性第一級アミン、活性エネルギー線の作用により第二級アミノ基を有するアミン化合物を発生する光潜在性第二級アミン、及び活性エネルギー線の作用により第三級アミノ基を有するアミン化合物を発生する光潜在性第三級アミンのいずれも用いることができる。硬化性組成物の接着性を向上させることを目的とする場合、三級アミン、二級アミン、一級アミンの順に接着性向上への寄与が大きくなるので、光潜在性第一級アミンを用いることが好ましい。
光潜在性第一級アミン及び光潜在性第二級アミンとしては、例えば、1,3−ビス〔N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジル〕プロパン、N−{[(3−ニトロ−2−ナフタレンメチル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン、N−{[(6,7−ジメトキシ−3−ニトロ−2−ナフタレンメチル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、N,N’−ビス(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ヘキシルジアミン、o−ニトロベンジルN−カルバミン酸シクロヘキシル、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカーバメート、1−(2−ニトロフェニル)エチルシクロヘキシルカーバメート、2,6−ジニトロベンジルシクロヘキシルカーバメート、1−(2,6−ジニトロフェニル)エチルシクロヘキシルカーバメート、1−(3,5−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチルシクロヘキシルカーバメート、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6−ジアミン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、オルトニトロベンジルウレタン等のオルトニトロベンジルウレタン系化合物;α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルシクロヘキシルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルシクロヘキシルカルバメート等のジメトキシベンジルウレタン系化合物;1−(3,5−ジメトキシベンゾイル)−1−(3,5−ジメトキシフェニル)メチルシクロヘキシルカルバメート、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノンシクロヘキシルカルバメート、ジベンゾインイソホロンジカルバメート、1−ベンゾイル−1−フェニルメチルシクロヘキシルカーバメート、2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルシクロヘキシルカーバメート等のカルバミン酸ベンゾイン類;o−ベンジルカルボニル−N−(1−フェニルエチリデン)ヒドロキシルアミン等のo−アシルオキシム類;[(ペンタン−1,5−ジイル)ビスカルバモイル]ビス(ジフェニルメチリデンヒドロキシルアミン)、α−(シクロヘキシルカルバモイルオキシイミノ)−α−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル等のo−カルバモイルオキシム類;N−(オクチルカルバモイルオキシ)フタルイミド、N−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)スクシンイミド等のN−ヒドロキシイミドカルバマート類;4,4’−メチレンビス(ホルムアリニド)等のホルムアニリド誘導体;N−シクロヘキシル−2−ナフタレンスルホンアミド、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド等の芳香族スルホンアミド類;Co(NH2C3H7)Br+ClO4 −等のコバルトアミン錯体等が挙げられる。なお、オルトニトロベンジルウレタンは、2−イソシアナトエチルアクリラートとo−ニトロベンジルアルコールとの反応により製造できる。
光潜在性第三級アミンとしては、例えば、α−アミノケトン誘導体、α−アンモニウムケトン誘導体、ベンジルアミン誘導体、ベンジルアンモニウム塩誘導体、α−アミノアルケン誘導体、α−アンモニウムアルケン誘導体、アミンイミド類、光によりアミジンを発生するベンジルオキシカルボニルアミン誘導体、及びカルボン酸と三級アミンとの塩等が挙げられる。
α−アミノケトン誘導体としては、例えば、下記式(i)〜(iv)で示されるα−アミノケトン化合物が好適な例として挙げられる。
式(i)中、R1は芳香族又は複素芳香族基であり、R1が、芳香族基(これは、非置換の芳香族基であるか、又は炭素数が1個以上18個以下のアルキル基、炭素数が3個以上18個以下のアルケニル基、炭素数が3個以上18個以下のアルキニル基、炭素数が1個以上18個以下のハロアルキル基、NO2、NR8R9、N3、OH、CN、OR10、SR10、C(O)R11、C(O)OR12、若しくはハロゲンにより1回以上置換されている芳香族基である。R8、R9、R10、R11及びR12は、水素又は炭素数が1個以上18個以下のアルキル基である。)であることが好ましく、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラシル、ピレニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアトレニル、ジベンゾフリル、クロメニル、キサンテニル、チオキサンチル、フェノキサチイニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、テルフェニル、スチルベニル、フルオレニル、及びフェノキサジニルからなる群から選択されることがより好ましい。R2及びR3は互いに同一か互いに異なっており、水素、炭素数が1個以上18個以下のアルキル基、炭素数が3個以上18個以下のアルケニル基、炭素数が3個以上18個以下のアルキニル基、又はフェニル基である。ここで、R2が水素又は炭素数が1個以上18個以下のアルキル基である場合、R3は、−CO−R13(式中、R13は、炭素数が1個以上18個以下のアルキル基、又はフェニル基である。)であるか、又はR1とR3とは、カルボニル基及びR3が結合しているC原子と共に、ベンゾシクロペンタノン基を形成する。R4及びR6は、非置換であるか、又は1個以上の炭素数が1個以上4個以下のアルキル基によって置換された炭素数が2個以上12個以下のアルキレンブリッジを形成する。R5及びR7は、R4及びR6とは独立して、非置換であるか、又は1個以上の炭素数が1個以上4個以下のアルキル基によって置換された炭素数が2個以上12個以下のアルキレンブリッジを形成する。R4とR6がC3アルキレンブリッジを形成し、R5とR7がプロピレン又はペンチレンであることが好ましい。
式(ii)〜(iv)において、R1〜R3はそれぞれ式(i)のR1〜R3と同様である。R14は、炭素数が1個以上12個以下のアルキル基;−OH、炭素数が1個以上4個以下のアルコキシ基、−CN若しくは−COOR’’(R’’は、炭素数が1個以上4個以下のアルキル基)で置換された炭素数が2個以上4個以下のアルキル基;炭素数が3個以上5個以下のアルケニル基、炭素数が5個以上12個以下のシクロアルキル基、又はフェニル基に炭素数が1個以上3個以下のアルキル基が結合した基を表す。
R15は、炭素数が1個以上12個以下のアルキル基;−OH、炭素数が1個以上4個以下のアルコキシ基、−CN若しくは−COOR’’(R’’は、炭素数が1個以上4個以下のアルキル基)で置換された炭素数が2個以上4個以下のアルキル基;炭素数が3個以上5個以下のアルケニル基、炭素数が5個以上12個以下のシクロアルキル基、フェニル基に炭素数が1個以上3個以下のアルキル基が結合した基、又は、置換若しくは非置換の炭素数が1個以上12個以下のアルキル基、炭素数が1個以上4個以下のアルコキシ基若しくは−COOR’’(R’’は、炭素数が1個以上4個以下のアルキル基)によって置換されたフェニル基を表す。
また、R15とR3とは同一の基でもよく、この場合、炭素数が1個以上7個以下のアルキレン基、フェニル基に炭素数が1個以上4個以下のアルキレン基が結合した基、o−キシリレン基、2−ブテニレン基、又は炭素数が2個若しくは3個のオキサアルキレン基を表す。また、R14とR15とが、−O−、−S−若しくは−CO−で中断され得る炭素数が4個以上7個以下のアルキレン基を表すか、又はOH、炭素数が1個以上4個以下のアルコキシ基若しくは−COOR’’(R’’は、炭素数が1個以上4個以下のアルキル基)で置換され得る炭素数が3個以上7個以下のアルキレン基を表す。R14及びR15が複数存在する場合それらは同一でも互いに異なっていてもよい。
Y1は下記式(v)で示される2価の基、−N(R16)−、又は−N(R16)−R17−N(R16)−で示される2価の基を表し、R16は炭素数が1個以上8個以下のアルキル基、炭素数が3個以上5個以下のアルケニル基、フェニル基に炭素数が1個以上3個以下のアルキル基が結合した基、炭素数が1個以上4個以下のヒドロキシアルキル基若しくはフェニル基を表し、R17は1個若しくは複数の−O−又は−S−により中断され得る枝分かれしていない、若しくは枝分かれした炭素数が2個以上16個以下のアルキレン基を表す。Y2は、炭素数が1個以上6個以下のアルキレン基、シクロヘキシレン基、若しくは直接結合を表す。
式(i)で示されるα−アミノケトン化合物としては、例えば、5−(4’−フェニル)フェナシル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−フェナシル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−ナフトイルメチル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(1’−ピレニルカルボニルメチル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(4’−ニトロ)フェナシル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(2’、4’−ジメトキシ)フェナシル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(9’−アンスロイルメチル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、8−(4’−フェニル)フェナシル−(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)等が挙げられる。
式(ii)で示されるα−アミノケトン化合物としては、例えば、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(商品名:イルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン(商品名:イルガキュア369)、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン(商品名:イルガキュア379)等が挙げられる。
α−アンモニウムケトン誘導体としては、例えば、下記式(vi)で示されるα−アンモニウムケトン化合物が挙げられる。
式(vi)において、kは1又は2であって、カチオンの正電荷数に相当する。V−はカウンターアニオンである。V−としては、ボレートアニオン(テトラフェニルボレート、メチルトリフェニルボレート、エチルトリフェニルボレート、プロピルトリフェニルボレート、及びブチルトリフェニルボレート等)、フェノラートアニオン(フェノラート、4−tert−ブチルフェノラート、2,5−ジ−tert−ブチルフェノラート、4−ニトロフェノラート、2,5−ジニトロフェノラート、及び2,4,6−トリニトロフェノラート等)、及びカルボキシレートアニオン(安息香酸アニオン、トルイル酸アニオン、及びフェニルグリオキシル酸アニオン等)等が挙げられる。これらのうち、光分解性の観点から、ボレートアニオン及びカルボキシレートアニオンが好ましく、更に好ましくはブチルトリフェニルボレートアニオン、テトラフェニルボレートアニオン、安息香酸アニオン、及びフェニルグリオキシル酸アニオンが好ましい。そして、光分解性、及び熱安定性の観点からは、テトラフェニルボレートアニオン、及びフェニルグリオキシル酸アニオンが特に好ましい。
式(vi)において、R1〜R3はそれぞれ式(i)のR1〜R3と同様である。R18〜R20は、それぞれ同一でも互いに異なっていてもよく、水素、炭素数が1個以上18個以下のアルキル基、炭素数が3個以上18個以下のアルケニル基、炭素数が3個以上18個以下のアルキニル基若しくはフェニル基である。また、R18とR19と、及び/又はR20とR19とが、互いに独立に炭素数が2個から12個以下のアルキレンブリッジを形成していてもよい。更に、R18〜R20が、結合している窒素原子と共に、P1、P2、P<t/4>型のホスファゼン塩基を形成するか、若しくは下記構造式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、又は(g)の基を形成していてもよい。
式(a)のR’は、炭素数が1個以上10個以下のアルキル基である。また、式(a)〜(g)中、R1及びR2は式(i)のR1及びR2と同様であり、l及びqはそれぞれ互いに独立であり、2個以上12個以下の整数である。
α−アンモニウムケトン誘導体としては、例えば、フェナシルトリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、(4−メトキシフェナシル)トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、1−フェナシル−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2,2,2]−オクタン)テトラフェニルボレート、(1,4−フェナシル−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)ビス(テトラフェニルボレート)、1−ナフトイルメチル−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2,2,2]−オクタン)テトラフェニルボレート、1−(4’−フェニル)フェナシル−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン)テトラフェニルボレート、5−(4’−フェニル)フェナシル−(5−アゾニア−1−アザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)テトラフェニルボレート、5−(4’−メトキシ)フェナシル−(5−アゾニア−1−アザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)テトラフェニルボレート、5−(4’−ニトロ)フェナシル−(5−アゾニア−1−アザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)テトラフェニルボレート、5−(4’−フェニル)フェナシル−(8−アゾニア−1−アザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)テトラフェニルボレート等が挙げられる。
ベンジルアミン誘導体としては、例えば、下記式(vii)で示されるベンジルアミン化合物が挙げられる。
式(vii)において、R1、R4〜R7はそれぞれ式(i)のR1、R4〜R7と同様である。R21及びR22は、それぞれ互いに独立であってよく、水素原子、炭素数が1個以上20個以下のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数が1個以上20個以下のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、炭素数が1個以上20個以下のアルキルチオ基、炭素数が1個以上20個以下のアルキルシリル基、炭素数が1個以上20個以下のアシル基、アミノ基、シアノ基、炭素数が1個以上20個以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、及びフェニルチオ基の群から選ばれる基で置換されていてもよいフェニル基を表し、R21及びR22は互いに結合して環構造を形成していてもよい。
ベンジルアミン誘導体としては、例えば、5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(アントラセン−9−イル−メチル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(4’−シアノベンジル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(3’−シアノベンジル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(2’−クロロベンジル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(2’,4’,6’−トリメチルベンジル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(4’−エテニルベンジル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(3’−メトキシベンジル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(ナフト−2−イル−メチル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、1,4−ビス(1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナニルメチル)ベンゼン、8−(2’,6’−ジクロロベンジル)−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカン等のベンジルアミン誘導体等が挙げられる。
ベンジルアンモニウム塩誘導体としては、例えば、下記式(viii)で示されるベンジルアンモニウム塩が挙げられる。
式(viii)において、V−及びkは式(vi)のV−及びkと同様である。R1は式(i)のR1と同様である。R18〜R20はそれぞれ式(vi)のR18〜R20と同様である。R21及びR22は式(vii)のR21及びR22と同様である。
ベンジルアンモニウム塩誘導体としては、具体的には光塩基発生剤が挙げられる。ベンジルアンモニウム塩誘導体としては、例えば、(9−アントリル)メチルトリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチルトリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、(9−アントリル)メチル1−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタニウムテトラフェニルボレート、(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル1−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタニウムテトラフェニルボレート、9−アントリルメチル−1−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタニウムテトラフェニルボレート、5−(9−アントリルメチル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネニウムテトラフェニルボレート、8−(9−アントリルメチル)−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセニウムフェニルグリオキシラート、N−(9−アントリルメチル)−N,N,N−トリオクチルアンモニウムテトラフェニルボレート、8−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフェニルボレート、8−(4−ベンゾイルフェニル)メチル−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート、{8−(t−ブチル−2−ナフタリルメチル)−1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート、8−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート、N−ベンゾフェノンメチルトリ−N−メチルアンモニウムテトラフェニルボレート等が挙げられる。
α−アミノアルケン誘導体としては、例えば、5−(2’−(4”−ビフェニル)アリル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(2’−(2”−ナフチル)アリル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(2’−(4”−ジエチルアミノフェニル)アリル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(1’−メチル、2’−(4”−ビフェニル)アリル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(1’−メチル、2’−(2”−チオキサンチル)アリル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、5−(1’−メチル、2’−(2”−フルオレニル)アリル)−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン、8−(2’−(4”−ビフェニル)アリル)−(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)等が挙げられる。
α−アンモニウムアルケン誘導体としては、例えば、N−(2’−フェニルアリル)−トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、1−(2’−フェニルアリル)−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2,2,2]−オクタン)テトラフェニルボレート、1−(2’−フェニルアリル)−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2,2,2]−オクタン)テトラフェニルボレート、1−(2’−フェニルアリル)−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2,2,2]−オクタン)トリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレート等が挙げられる。
アミンイミド類としては、例えば、[(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)ジメチルアミニオ](4−ニトロベンゾイル)アミンアニオン、[(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)ジメチルアミニオ](4−シアノベンゾイル)アミンアニオン、[(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)ジメチルアミニオ](4−メトキシベンゾイル)アミンアニオン、[(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)ジメチルアミニオ]ベンゾイルアミンアニオン、[(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)ジメチルアミニオ][4−(ジメチルアミノ)ベンゾイル]アミンアニオン等が挙げられる。
光照射によりアミジンを発生するベンジルオキシカルボニルアミン誘導体としては、ベンジルオキシカルボニルイミダゾール類、ベンジルオキシカルボニルグアニジン類、ジアミン誘導体等が挙げられる。
ベンジルオキシカルボニルイミダゾール類としては、例えば、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(3−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−クロロ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(5−メチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4,5−ジメチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール等が挙げられる。
ベンジルオキシカルボニルグアニジン類としては、例えば、ベンジルオキシカルボニルテトラメチルグアニジン等が挙げられる。また、ジアミン誘導体としては、例えば、N−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エトキシ)カルボニル)アミノプロピル)−N−メチルアセトアミド、N−(N’−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタム等が挙げられる。
カルボン酸と三級アミンとの塩としては、α−ケトカルボン酸アンモニウム塩、及びカルボン酸アンモニウム塩等が挙げられる。そして、α−ケトカルボン酸アンモニウム塩としては、例えば、フェニルグリオキシル酸のジメチル・ベンジル・アンモニウム塩、フェニルグリオキシル酸のトリ−n−ブチル・アンモニウム塩等が挙げられる。更に、カルボン酸アンモニウム塩としては、例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)のケトプロフェン塩、2−メチルイミダゾールのケトプロフェン塩、ジアザビシクロウンデセン(DBU)のキサントン酢酸塩、ジアザビシクロウンデセン(DBU)のチオキサントン酢酸塩、2−(カルボキシメチルチオ)チオキサントンの3−キヌクリジノール塩、2−(カルボキシメトキシ)チオキサントンの3−キヌクリジノール塩、及びtrans−o−クマル酸の3−キヌクリジノール塩が挙げられる。
アミン化合物発生剤の中では、貯蔵安定性が良好であること等の観点からはベンジルアンモニウム塩誘導体、ベンジル置換アミン誘導体、α−アミノケトン誘導体、α−アンモニウムケトン誘導体を用いることもできる。また、アミン化合物発生剤として、硬化性組成物に対する溶解性の観点からはα−アミノケトン誘導体を用いることもできる。α−アミノケトン誘導体として、入手のしやすさの観点からは式(ii)で示されるα−アミノケトン化合物を用いることもできる。
また、エネルギーが与えられることによりアミノ基を発生する架橋性ケイ素基含有化合物としては、光照射等によりエネルギーが与えられることで第一級アミノ基、及び第二級アミノ基からなる群から選択される1種類以上のアミノ基を発生する架橋性ケイ素基含有化合物を用いることができる。エネルギーが与えられることにより第一級アミノ基、及び第二級アミノ基からなる群から選択される1種類以上のアミノ基を発生する架橋性ケイ素基含有化合物としては、エネルギーが与えられることにより第一級アミノ基、及び第二級アミノ基からなる群から選択される1種類以上のアミノ基と、架橋性ケイ素基とを有するアミノシラン化合物を発生する化合物であればいかなる化合物も用いることができる。なお、本実施の形態において、光照射により第一級アミノ基及び第二級アミノ基からなる群から選択される1種類以上のアミノ基を発生する架橋性ケイ素基含有化合物を、光アミノシラン発生化合物と称する。
光照射により発生するアミノシラン化合物としては、架橋性ケイ素基、及び置換若しくは非置換のアミノ基を有する化合物が挙げられる。置換アミノ基の置換基としては、特に限定されず、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基等が挙げられる。また、架橋性ケイ素基としては、加水分解性基が結合したケイ素含有基が好ましい。
架橋性ケイ素基の具体的な構造としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基[−Si(OR)3]、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基[−SiR(OR’)2]が挙げられ、トリメトキシシリル基がより好ましい。ここでRの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。これらの中ではメチル基が好ましい。ここでR’は、メチル基やエチル基等のアルキル基である。
また、加水分解性基としては、各種の加水分解性基であればよい。具体的に加水分解性基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの中では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、及びアルケニルオキシ基が好ましく、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が更に好ましい。そして、加水分解性基が結合したケイ素含有基の中では、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点から、アルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ない基であるほど反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が増加すると反応性が低下する。本実施の形態に係る硬化性組成物を用いる目的や用途に応じて適宜この炭素数を変更できるが、例えば、メトキシ基やエトキシ基を用いることが、加水分解性が穏やかで取扱いやすいことから好ましい。アミノシラン化合物中、加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1個以上3個以下の範囲で結合することができ、2個以上が好ましく、特に3個が好ましい。
光照射により発生するアミノシラン化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−(N−エチルアミノ)−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン等のモノアミン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N,N'−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン等のジアミン、γ−(2−(2−アミノエチル)アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のトリアミン等が挙げられる。
光照射により発生するアミノシラン化合物のうち、良好な接着性を有する硬化性組成物を調整する観点からは、第一級アミノ基(−NH2)を有するアミノシラン化合物が好ましく、入手の容易性の観点からは、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが好ましく、良好な接着性と硬化性とを実現できる硬化性組成物を調整する観点からは、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランがより好ましい。
そして、光アミノシラン発生化合物としては、例えば、下記式(I)〜(II)で示される保護基としての光官能基を有するケイ素化合物、下記式(III)で示される芳香族スルホンアミド誘導体、下記式(IV)で示されるO−アシルオキシム誘導体、下記式(V)で示されるtrans−O−クマル酸誘導体等が挙げられる。
式(I)中、nは1以上3以下の整数であり、Yは水酸基又は加水分解性基を示す。Yは、アルコキシル基が好ましい。Yが複数存在する場合、それらは同一でも互いに異なっていてもよい。R23は炭素数が1以上20以下の炭化水素基若しくは置換基を有する炭化水素基を示す。本実施の形態においてR23は、ビニル基、アリル基、炭素数が1以上10以下の非置換若しくは置換アルキル基、非置換若しくは置換アリール基が好ましい。R23が複数存在する場合、それらは同一でも互いに異なっていてもよい。R24は水素原子又は有機基である。本実施の形態においてR24は、水素原子、炭素数が1以上20以下の炭化水素基若しくは置換基を有する炭化水素基が好ましく、水素原子がより好ましい。hは1以上5以下の整数であり、jは1個以上6個以下の整数である。R25は、h+j個の炭素原子でケイ素原子及び窒素原子に結合する、置換又は非置換の炭化水素基、及び1個以上のエーテル酸素原子を介して互いに結合した複数個の置換又は非置換の炭化水素基からなる群から選択されるh+j価の基であり、分子量は1,000以下である。R24及びR25はそれらが結合して環状構造を形成しても良く、ヘテロ原子の結合を含んでもよい。Zは酸素原子又は硫黄原子であり、酸素原子が好ましい。Qは光官能基を表す。
式(II)中、n、Y、R23、Z、及びQは式(I)と同様である。R27は、置換又は非置換の炭化水素基、及び1以上のエーテル酸素原子を介して互いに結合した複数個の置換又は非置換の炭化水素基からなる群から選択される2価の基である。tは1以上の整数であり、1又は2が好ましい。tが2以上の場合、R26に結合するt個の基は同一でも互いに異なっていてもよい。R26は水素原子又は有機基であり、水素原子又は置換若しくは非置換のt価の炭化水素基が好ましく、水素原子、置換若しくは非置換のt価のアルキル基がより好ましい。R26及びR27はそれらが結合して環状構造を形成してもよく、ヘテロ原子の結合を含んでもよい。
式(III)中、n、Y、R23〜R25、h及びjは式(I)と同様である。R28〜R32はそれぞれ独立であり、水素原子又は置換基を表す。この置換基としては、例えば、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アセチル基、カルボニル基、置換又は非置換のアリル基、置換又は非置換のアルキル基(好ましくは炭素数が1以上5以下のアルキル基)、置換又は非置換のアルコキシ基(好ましくは炭素数が1以上5以下のアルコキシ基)、非置換若しくは置換アリール基、非置換若しくは置換アリールオキシ基、複素環構造含有基、複数の環を有する基やこれらの組合せ等が挙げられる。R28〜R32のいずれかが互いに結合し、環状構造を形成してもよい。R28〜R32のいずれかが互いに結合して環状構造を形成する場合、複数のベンゼン環が縮合した構造、ベンゼン環と複素環、非芳香族性の環、若しくはカルボニル基等の官能基が結合した環等とが縮合した構造等を形成してもよい。
式(IV)中、n、Y、R23、R25、h及びjは式(I)と同様であり、R28〜R32は式(III)と同様である。R33は式(III)のR28〜R32と同様である。
式(V)中、n、Y、R23、R25、h及びjは式(I)と同様であり、R28〜R31は式(III)と同様である。R34は水素原子又は有機基であり、水素原子、炭素数が1以上20以下の炭化水素基若しくは置換基を有する炭化水素基が好ましく、水素原子がより好ましい。R25及びR34はそれらが結合して環状構造を形成してもよく、ヘテロ原子の結合を含んでもよい。R35及びR36はそれぞれ同一又は異なる基であり、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基であり、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アセチル基、アリル基、炭素数が1以上5以下のアルキル基、炭素数が1以上5以下のアルコキシ基、非置換若しくは置換アリール基、アリールオキシ基が好ましい。R37は水素原子又は置換基であり、水素原子、若しくは加熱及び/又は光照射により脱保護可能な基が好ましく、水素原子、シリル基、シラノール基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、又は有機基がより好ましい。
式(I)〜式(V)中、炭素数が1以上10以下(又は炭素数が1以上5以下)の非置換若しくは置換アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、クロロメチル基、クロロエチル基、フルオロメチル基、シアノメチル基等が挙げられる。炭素数が1以上5以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。非置換若しくは置換アリール基としては、例えば、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基等が挙げられる。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基等が挙げられる。
保護基としての光官能基Qとしては、各種の感光性基が挙げられる。光官能基Qは、例えば、下記式(VI)で示される環状構造を有する基、下記式(VII)で示されるオキシム残基や置換されたこれらの基等が挙げられ、下記式(VI)で示される環状構造を有する基が好ましい。
−A−Q’・・・(VI)
[式(VI)において、Aは直接結合又は2価の連結基であり、Q’は環状構造含有基である。直接結合とは、Q’が連結基を介することなく、Zに直接結合していることを意味する。Aにおける2価の連結基としては、例えば、それぞれ置換基を有していてもよい、アルキレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、−CONH−基、又はこれらの組合せを含む2価の連結基等が挙げられ、置換基を含んでいてもよいアルキレン基やカルボニル基及びそれらの組合せが好ましい。また、Aの置換基が環状構造を有していてもよく、また、置換基同士が結合し、環状構造を形成していてもよい。この環状構造としては、例えば、Q’と同様の基が挙げられる。Q’における環状構造は、単環及び複数の環のいずれでもよく、また、単素環式及び複素環式のいずれでもよいが、ビニル基やカルボニル基、イミノ基等の官能基を含んでいることが好ましく、芳香族性を示す環状構造を有していることがより好ましい。Q’としては、例えば、それぞれ置換基を有していてもよい、アリール基、アリールオキシ基、窒素や酸素、硫黄等のヘテロ原子を1種類以上含む複素環基、カルボニル基が結合した環状構造を含む基やこれらの組合せ、及びこれらの縮合環等が挙げられる。また、置換基が更に環状構造を有していてもよい。また、Aの置換基とQ’とが結合していてもよい。]
式(VII)中、R38及びR39はそれぞれ同一又は異なる基であり、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、炭素数が1以上50以下の置換若しくは非置換のアルキル基、アルキルオキシ基、炭素数が2以上50以下の置換若しくは非置換のアルケニル基、アルケニルオキシ基、炭素数が4以上50以下の置換若しくは非置換のアリール基、及びアリールオキシ基の群から選ばれる少なくとも1種である。R38及びR39は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。R38、R39、又はR38及びR39が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式中に示されるオキシム基が更に1個又は2個形成されていてもよい。
式(VI)で示される環状構造を有する基としては、例えば、下記式(VIII)で示される芳香族基や、複素環構造を有する基、これらの基の置換基が所定の基に置換された基が挙げられ、芳香族基が好ましい。また、光官能性基中の基が互いに結合し、環状構造を形成してもよい。
式(VIII)中、Aは式(VI)のAと同様であり、置換又は非置換のアルキレン基、カルボニル基、及び/又はこれらの組合せが好ましい。R40〜R44はそれぞれ同一又は互いに異なっており、水素原子又は置換基を表す。この置換基としては、例えば、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アセチル基、カルボニル基、置換又は非置換のアリル基、置換又は非置換のアルキル基(好ましくは炭素数が1以上5以下のアルキル基)、置換又は非置換のアルコキシ基(好ましくは炭素数が1以上5以下のアルコキシ基)、非置換若しくは置換アリール基、非置換若しくは置換アリールオキシ基、複素環構造含有基、複数の環を有する基やこれらの組合せ等が挙げられる。R40〜R44のいずれかが互いに結合し、環状構造を形成してもよい。R40〜R44のいずれかが互いに結合し、環状構造を形成する場合、この環状構造は、複数のベンゼン環が縮合した構造、ベンゼン環と複素環や非芳香族性の環、カルボニル基等の官能基が結合した環等とが縮合した構造等でもよい。また、Aの置換基とR40〜R44のいずれかが結合していてもよい。
式(VIII)で示される芳香族基としては、例えば、下記式(IX−1)で示されるo−ニトロベンジル基、下記式(IX−2)で示されるm−ニトロベンジル基、下記式(IX−3)で示されるp−ニトロベンジル基等のニトロベンジル基、下記式(X)で示されるベンジル基、下記式(XI)で示されるベンゾイル基等が挙げられ、これらの基の置換基が所定の官能基に置換された基も挙げられる。本実施の形態において式(VIII)で示される芳香族基としては、ニトロベンジル基が好ましく、o−ニトロベンジル基、及びp−ニトロベンジル基がより好ましく、o−ニトロベンジル基が特に好ましい。また、光官能性基中の基が互いに結合し、環状構造を形成してもよい。
式(IX−1)〜(IX−3)中、R40〜R43は式(VIII)と同様である。R45及びR46はそれぞれ同一又は互いに異なっており、水素原子、炭素数が1以上10以下の非置換若しくは置換アルキル基、フェニル基、置換フェニル基を示し、kは1又は2であり、kが2の場合、複数あるR45及びR46はそれぞれ同一でも互いに異なっていてもよい。
式(X)中、R40〜R44は式(VIII)と同様であり、R45及びR46は式(IX−1)と同様である。
式(XI)中、R40〜R44は式(VIII)と同様であり、R45及びR46は式(IX−1)と同様である。式(XI)で示されるベンゾイル基としては、例えば、下記式(XII)で示されるベンゾイルフェニルメチル基が好ましい。
式(XII)中、R40〜R44は式(VIII)と同様である。R47は、水素原子、炭素数が1以上10以下の非置換若しくは置換アルキル基、フェニル基、置換フェニル基を示す。R48〜R52はそれぞれ同一又は互いに異なっており、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アセチル基、アリル基、炭素数が1以上5以下のアルキル基、炭素数が1以上5以下のアルコキシ基、非置換若しくは置換アリール基、アリールオキシ基を示す。R48〜R52は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。R40〜R44及びR48〜R52はそれらが結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。
複素環構造を有する基としては、例えば、下記式(XIII)で示されるクマリン誘導体残基、下記式(XIV)で示されるイミド基や、これらの基の置換基が所定の置換基に置換された基等が挙げられる。
式(XIII)中、R58及びR59は、それぞれ同一又は互いに異なっており、水素原子又は置換基を表す。また、R53〜R57はそれぞれ同一又は互いに異なっており、水素原子又は置換基を表す。R53〜R57としては、例えば、式(VIII)のR40〜R44と同様であってよく、R53〜R57の2つ以上が結合して環状構造を形成してもよい。R53〜R57のいずれかが互いに結合して環状構造を形成する場合、複数のベンゼン環が縮合した構造、ベンゼン環と複素環や非芳香族性の環、カルボニル基等の官能基が結合した環等とが縮合した構造等を形成してもよい。
式(XIV)中、R60及びR61は、それぞれ同一又は互いに異なっており、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示す。R60及びR61は互いに結合して二重結合を形成するか、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。R60、R61、若しくはR60及びR61が互いに結合して形成される二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式中に示されるイミド基が更に1個又は2個形成されていてもよい。
光官能基Qが式(IX−1)で示されるo−ニトロベンジル基である−ZQ基(なお、Zは例えば酸素原子「O」である。以下の「−ZQ基」についても同様である。)としては、例えば、(2,6−ジニトロベンジル)オキシ基、(2−ニトロベンジル)オキシ基、(3−ニトロ−2−ナフタレン)メチルオキシ基、(6,7−ジメトキシ−3−ニトロ−2−ナフタレンメチル)オキシ基、[1−(2,6−ジニトロフェニル)エチル]オキシ基、[1−(2−ニトロフェニル)エチル]オキシ基、[1−(3,5−ジメトキシフェニル−2−ニトロベンジル)−1−メチルエチル]オキシ基、(2,4−ジニトロベンジル)オキシ基、(3,4,5−トリメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ基、(3,4−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ基、(3−メチル−2−ニトロベンジル)オキシ基、(3−メトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ基、(4,5,6−トリメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ基、(4,5−ジクロロ−2−ニトロベンジル)オキシ基、(4,5−ジメチル−2−ニトロベンジル)オキシ基、(5−メチル−4−メトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ基、(α−エチル−2−ニトロベンジル)オキシ基、[α−(2−ニトロフェニル)−2−ニトロベンジル]オキシ基等のニトロベンジルオキシ基が挙げられる。
光官能基Qが式(IX−3)で示されるp−ニトロベンジル基である−ZQ基としては、例えば、(2,4−ジニトロベンジル)オキシ基、(3,4−ジニトロベンジル)オキシ基、(4−ニトロベンジル)オキシ基、[1−(4−ニトロナフタレン)メチル]オキシ基、[1−(6,7−ジメトキシ−4−ニトロナフタレン)メチル]オキシ基、[1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル]オキシ基、[1−(4−ニトロフェニル)エチル]オキシ基、[1−(3,5−ジメトキシフェニル−4−ニトロベンジル)−1−メチルエチル]オキシ基、(2,3,5−トリメトキシ−4−ニトロベンジル)オキシ基、(2,3−ジメトキシ−4−ニトロベンジル)オキシ基、(3−メチル−4−ニトロベンジル)オキシ基、(3−メトキシ−4−ニトロベンジル)オキシ基、(2,5,6−トリメトキシ−4−ニトロベンジル)オキシ基、(2,5−ジクロロ−4−ニトロベンジル)オキシ基、(2,5−ジメチル−4−ニトロベンジル)オキシ基、(5−メチル−2−メトキシ−4−ニトロベンジル)オキシ基、(α−エチル−4−ニトロベンジル)オキシ基、[α−(4−ニトロフェニル)−4−ニトロベンジル]オキシ基等のニトロベンジルオキシ基が挙げられる。
光官能基Qが式(X)で示されるベンジル基である−ZQ基としては、例えば、3,5−ジメトキシベンジルオキシ基、[1−(3,5−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]オキシ基、9−アントリルメチルオキシ基、9−ファナントリルメチルオキシ基、1-ピレニルメチルオキシ基、[1−(アントラキノン−2−イル)エチル]オキシ基、9−フェニルキサンテン−9−イルオキシ基等のベンジルオキシ基が挙げられる。
光官能基Qが式(XII)で示されるベンゾイルフェニルメチル基である−ZQ基としては、例えば、1−(3,5−ジメトキシベンゾイル)−1−(3,5−ジメトキシフェニル)メチルオキシ基、1−ヒドロキシ−1−フェニルアセトフェノンオキシ基、1−ベンゾイル−1−フェニルメチルオキシ基、1−ベンゾイル−1−ヒドロキシ−1−フェニルエチルオキシ基等のベンゾインオキシ基が挙げられる。
光官能基Qが式(XIII)で示されるクマリン誘導体残基である−ZQ基としては、例えば、7−メトキシクマリン−4−イルメトキシ基、6−ブロモ−7−メトキシクマリン−4−イルメトキシ基等のクマリン−4−イルメトキシ基が挙げられる。
光官能基Qが式(XIV)で示されるイミド基である−ZQ基としては、例えば、フタルイミドオキシ基、スクシンイミドオキシ基、コハク酸イミドオキシ基、マレイン酸イミドオキシ基、ヘキサヒドロフタル酸イミドオキシ基、シクロヘキサンテトラカルボン酸イミドジオキシ基、テトラブロモフタル酸イミドオキシ基、テトラクロロフタル酸イミドオキシ基、ヘット酸イミドオキシ基、ハイミック酸イミドオキシ基、トリメリット酸イミドオキシ基、ピロメリット酸イミドジオキシ基、ナフタレンテトラカルボン酸イミドジオキシ基等のイミドオキシ基が挙げられる。
光官能基Qが式(VII)で示されるオキシム残基である−ZQ基としては、例えば、N−(1−フェニルエチリデン)アミノオキシ基、ジフェニルメチリデンアミノオキシ基、ジ(4−メトキシフェニル)メチリデンアミノオキシ基、N−(ジメチルメチリデン)アミノオキシ基、N−(アセトフェノンメチリデン)アミノオキシ基、N−[1−(2−ナフチル)エチリデン]アミノオキシ基、N−(シクロヘキシリデン)アミノオキシ基、N−(フルオレニリデン)アミノオキシ基、N−[ジ(ニトロフェニル)メチリデン]アミノオキシ基、N−(ニトロフルオレニリデン)アミノオキシ基、N−(ジニトロフルオレニリデン)アミノオキシ基、N−(トリニトロフルオレニリデン)アミノオキシ基等のオキシムオキシ基が挙げられる。
式(I)及び(II)中、ZQ基を除いた残基としては、例えば、3−(トリメトキシシリル)プロピルアミノカルボニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノカルボニル基、3−(トリイソプロポキシシリル)プロピルアミノカルボニル基、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルアミノカルボニル基、3−(メチルジエトキシシリル)プロピルアミノカルボニル基、N−[3−(トリメトキシシリル)−2−メチルプロピル]−N−エチルアミノカルボニル基、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−フェニルアミノカルボニル基、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−ベンジルアミノカルボニル基、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−N−ビニルベンジルアミノカルボニル基、N−トリエトキシシリルメチル−N−シクロヘキシルアミノカルボニル基、N−(メチルジエトキシシリル)メチル−N−シクロヘキシルアミノカルボニル基、N−トリメトキシシリルメチル−N−フェニルアミノカルボニル基等のモノアミノカルボニル基;N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミノカルボニル基、N−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミノカルボニル基、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミノカルボニル基、N−[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミノカルボニル基、N−[3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル]エチレンジアミノカルボニル基、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,6−ヘキシレンジアミノカルボニル基、N−(トリメトキシシリルメチル)エチレンジアミノカルボニル基、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミノカルボニル基等のジアミノカルボニル基;N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミノカルボニル基等のトリアミノカルボニル基等のアミノカルボニル基が挙げられる。
ここで、アミノカルボニル基のうち、硬化性組成物の接着性の観点からは、アミノ基(−NH2)を有するアミノカルボニル基が好ましく、3−(トリメトキシシリル)プロピルアミノカルボニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノカルボニル基、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルアミノカルボニル基、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミノカルボニル基がより好ましく、接着性及び硬化性に優れる硬化性組成物を調整する観点からは、3−(トリメトキシシリル)プロピルアミノカルボニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノカルボニル基が最も好ましい。
式(III)中、アリールスルホニル基としては、例えば、2−ナフタレンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の芳香族スルホニル基が挙げられる。
式(III)中、アリールスルホニル基を除いた残基としては、例えば、3−(トリメトキシシリル)プロピルアミノ基、3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ基、3−(トリイソプロポキシシリル)プロピルアミノ基、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルアミノ基、3−(メチルジエトキシシリル)プロピルアミノ基、N−[3−(トリメトキシシリル)−2−メチルプロピル]−N−エチルアミノ基、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−フェニルアミノ基、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−ベンジルアミノ基、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−N−ビニルベンジルアミノ基、N−トリエトキシシリルメチル−N−シクロヘキシルアミノ基、N−(メチルジエトキシシリル)メチル−N−シクロヘキシルアミノ基、N−トリメトキシシリルメチル−N−フェニルアミノ基等のモノアミノ基;N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミノ基、N−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミノ基、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミノ基、N−[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミノ基、N−[3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル]エチレンジアミノ基、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,6−ヘキシレンジアミノ基、N−(トリメトキシシリルメチル)エチレンジアミノ基、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミノ基等のジアミノ基;N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミノ基等のトリアミノ基が挙げられる。
式(IV)中、アリールオキシム基を除いた残基としては、例えば、3−(トリメトキシシリル)プロピルカルボニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピルカルボニル基、3−(トリイソプロポキシシリル)プロピルカルボニル基、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルカルボニル基、3−(メチルジエトキシシリル)プロピルカルボニル基等のカルボニル基が挙げられる。
式(V)中、trans−o−クマル酸誘導体残基としては、例えば、(E)−2−(2−ヒドロキシフェニル)エテニル基、(E)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−1−プロペニル基、(E)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−1−プロペニル基、(E)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルエテニル基、(E)−2−(2−ヒドロキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)エテニル基、(E)−2−(2−ヒドロキシ−4,5−ジメトオキシフェニル)−1−プロペニル基、(E)−2−(2−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1−プロペニル基、(E)−2−(1−ヒドロキシ−2−アントリル)−1−プロペニル基等のtrans−O−クマル酸残基が挙げられる。
なお、これらアミン化合物発生剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、アミン化合物発生剤の配合割合は、一例として、ラジカル重合性の官能基を有する有機化合物100質量部に対して、0.01質量部以上50.00質量部以下が好ましく、0.50質量部以上20.00質量部以下がより好ましく、1.00質量部以上10.00質量部以下が更に好ましい。
(ラジカル発生剤)
本実施の形態に係るラジカル発生剤は、例えば、光や熱等によりラジカルを発生する化合物である。ラジカル発生剤としては、例えば、光増感剤、アゾ系化合物(例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)、及び/又は過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル等)等が挙げられる。
光増感剤としては、225〜310kJ/molの三重項エネルギーを有するカルボニル化合物が好ましい。カルボニル化合物としては、例えば、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、フタルイミド、アントラキノン、9,10−ジブトキシアントラセン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、アシルナフタレン、2−(アシルメチレン)チアゾリン、3−アシルクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、及びケトクマリン等が挙げられ、チオキサントン、3−アシルクマリン、及び2−(アロイルメチレン)チアゾリンが好ましく、チオキサントン、及び3−アシルクマリンがより好ましい。
また、光増感剤としては、光等のエネルギー線を照射することにより光増感剤を構成する化合物が開裂してラジカルを発生するタイプの光ラジカル発生剤であるエネルギー線開裂型ラジカル発生剤がより好ましい。この光増感剤を用いた場合、硬化性組成物にエネルギー線を照射すると、硬化性組成物を直ちに硬化することができる。
エネルギー線開裂型ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾインエーテル誘導体、アセトフェノン誘導体等のアリールアルキルケトン類、オキシムケトン類、アシルホスフィンオキシド類、チオ安息香酸S−フェニル類、チタノセン類、及びそれらを高分子量化した誘導体が挙げられる。開裂型ラジカル発生剤としては、例えば、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−ベンゾイル−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(アクリロイルオキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、ジフェニルケトン、フェニル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシルケトン、ベンジルジメチルケタール、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリル−フェニル)チタン、(η6−イソプロピルベンゼン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド、又はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド等が挙げられる。
ラジカル発生剤の配合割合は、一例として、硬化性組成物中に0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.025質量%以上5質量%以下がより好ましい。これらラジカル発生剤は単独で用いることも、2種類以上を併用することもできる。
(フッ素化ポリマー)
本実施の形態に係る硬化性組成物は、フッ素化合物を更に含むことができる。フッ素化合物としては、Si−F結合を有するフッ素化合物を用いることができる。硬化性組成物がSi−F結合を有するフッ素化合物を更に含むことで、硬化性組成物の接着性が更に向上する。
Si−F結合を有するフッ素化合物としては、Si−F結合を有するケイ素基(以下、フルオロシリル基と称することがある。)を含む各種の化合物を用いることができる。Si−F結合を有するフッ素化合物としては、低分子化合物、又は高分子化合物のいずれも用いることができ、フルオロシリル基を有する有機フッ素化合物が好ましく、フルオロシリル基を有する有機重合体が、安全性が高くより好適である。また、配合物が低粘度となる点からフルオロシリル基を有する低分子有機フッ素化合物が好ましい。
Si−F結合を有するフッ素化合物としては、具体的には、下記式(1)で示されるフルオロシラン類、下記式(2)で示されるフルオロシリル基を有する化合物(本実施形態では、フッ素化化合物と称することもある。)、フルオロシリル基を有する有機重合体(本実施形態では、フッ素化ポリマーと称することもある。)等が好適な例として挙げられる。
R62 4−dSiFd ・・・(1)
(式(1)において、R62は、置換若しくは非置換の炭素数が1以上20以下の炭化水素基、又はR63SiO−(R63は、炭素数が1以上20以下の置換若しくは非置換の炭化水素基、又はフッ素原子である。)で示されるオルガノシロキシ基のいずれかを示す。dは1以上3以下の整数であり、dは3であることが好ましい。R62及び/又はR63が複数存在する場合、それらは同一でも互いに異なっていてもよい。)
−SiFdR62 eX’f ・・・(2)
(式(2)中、R62及びdはそれぞれ式(1)と同じであり、X’は水酸基、又はフッ素を除く加水分解性基であり、eは0以上2以下の整数であり、fは0以上2以下の整数であり、d+e+f=3の関係を満たす。R62及びX’が複数存在する場合、それらは同一でも互いに異なっていてもよい。)
式(1)で示されるフルオロシラン類としては、式(1)で示されるフルオロシラン類が挙げられる。フルオロシラン類としては、例えば、フルオロトリメチルシラン、フルオロトリエチルシラン、フルオロトリプロピルシラン、フルオロトリブチルシラン、フルオロジメチルビニルシラン、フルオロジメチルフェニルシラン、フルオロジメチルベンジルシラン、フルオロジメチル(3−メチルフェニル)シラン、フルオロジメチル(4−メチルフェニル)シラン、フルオロジメチル(4−クロロフェニル)シラン、フルオロトリフェニルシラン、ジフルオロジメチルシラン、ジフルオロジエチルシラン、ジフルオロジブチルシラン、ジフルオロメチルフェニルシラン、ジフルオロジフェニルシラン、トリフルオロエチルシラン、トリフルオロプロピルシラン、トリフルオロブチルシラン、トリフルオロフェニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフルオロシラン、γ−グリシドキシプロピルジフルオロメチルシラン、ビニルトリフルオロシラン、ビニルジフルオロメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルフルオロジメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルジフルオロメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3−メルカプトプロピルトリフルオロシラン、オクタデシルフルオロジメチルシラン、オクタデシルジフルオロメチルシラン、オクタデシルトリフルオロシラン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラフルオロ−1,3,5,7−テトラシラトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン、1,1−ジフルオロ−1−シラシクロ−3−ペンテン、フルオロトリス(トリメチルシロキシ)シラン等が挙げられる。
これらの内、原料の入手が容易なこと、合成が容易なこと等から、フルオロジメチルビニルシラン、フルオロジメチルフェニルシラン、フルオロジメチルベンジルシラン、ビニルトリフルオロシラン、ビニルジフルオロメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルフルオロジメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルジフルオロメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリフルオロシラン、3−メルカプトプロピルトリフルオロシラン、オクタデシルフルオロジメチルシラン、オクタデシルジフルオロメチルシラン、オクタデシルトリフルオロシラン、1,3−ジフルオロ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等を用いることが好ましい。
式(2)で示されるフルオロシリル基を有する化合物において、式(2)中のX’で示される加水分解性基としては、水素原子、フッ素を除くハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、及び/又はアルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からはアルコキシ基が特に好ましい。
また、式(2)中のR62としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R63SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基(ただし、R63はメチル基、又はフェニル基等である。)等が挙げられる。これらの中ではメチル基がR62として特に好ましい。
式(2)で表されるフルオロシリル基を例示すると、フッ素以外に加水分解性基を有さないケイ素基として、フルオロジメチルシリル基、フルオロジエチルシリル基、フルオロジプロピルシリル基、フルオロジフェニルシリル基、フルオロジベンジルシリル基等のケイ素基上に1個のフッ素が置換したケイ素基;ジフルオロメチルシリル基、ジフルオロエチルシリル基、ジフルオロフェニルシリル基、ジフルオロベンジルシリル基等のケイ素基上に2個のフッ素が置換したケイ素基;トリフルオロシリル基等のケイ素基上に3個のフッ素が置換したケイ素基が挙げられる。また、フッ素とその他の加水分解性基との双方を有するケイ素基として、フルオロメトキシメチルシリル基、フルオロエトキシメチルシリル基、フルオロメトキシエチルシリル基、フルオロメトキシフェニルシリル基、フルオロジメトキシシリル基、フルオロジエトキシシリル基、フルオロジプロポキシシリル基、フルオロジフェノキシシリル基、フルオロビス(2−プロペノキシ)シリル基、ジフルオロメトキシシリル基、ジフルオロエトキシシリル基、ジフルオロフェノキシシリル基、フルオロジクロロシリル基、ジフルオロクロロシリル基等が挙げられる。ここで、フッ素以外に加水分解性基を有さないケイ素基やR62がメチル基であるフルオロシリル基が好ましく、トリフルオロシリル基がより好ましい。また、合成の容易さからフルオロジメチルシリル基、ジフルオロメチルシリル基、トリフルオロシリル基、フルオロメトキシメチルシリル基、フルオロエトキシメチルシリル基、フルオロメトキシエチルシリル基、フルオロジメトキシシリル基、フルオロジエトキシシリル基、ジフルオロメトキシシリル基、ジフルオロエトキシシリル基がより好ましく、安定性の観点からフルオロジメチルシリル基、ジフルオロメチルシリル基、トリフルオロシリル基等のフッ素以外に加水分解性基を有さないケイ素基が更に好ましく、硬化性の高さからは、ジフルオロメチルシリル基、ジフルオロメトキシシリル基、ジフルオロエトキシシリル基、トリフルオロシリル基等、ケイ素基上に2個乃至3個のフッ素が置換したケイ素基が好ましく、トリフルオロシリル基が最も好ましい。
式(2)で示されるフルオロシリル基を有する化合物としては、低分子化合物、高分子化合物のいずれも用いることができる。フルオロシリル基を有する化合物としては、例えば、テトラフルオロシラン、オクタフルオロトリシラン等の無機フッ素化合物;式(1)で示されるフルオロシラン類、フルオロトリメトキシシラン、ジフルオロジメトキシシラン、トリフルオロメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、ジフルオロジエトキシシラン、トリフルオロエトキシシラン、メチルフルオロジメトキシシラン、メチルジフルオロメトキシシラン、メチルトリフルオロシラン、メチルフルオロジエトキシシラン、メチルジフルオロエトキシシラン、ビニルフルオロジメトキシシラン、ビニルジフルオロメトキシシラン、ビニルトリフルオロシラン、ビニルフルオロジエトキシシラン、ビニルジフルオロエトキシシラン、フェニルフルオロジメトキシシラン、フェニルジフルオロメトキシシラン、フェニルトリフルオロシラン、フェニルフルオロジエトキシシラン、フェニルジフルオロエトキシシラン、フルオロトリメチルシラン等の低分子有機フッ素化合物;末端に式(2)で示されるフルオロシリル基を有するフッ素化ポリシロキサン等の高分子化合物が挙げられ、式(1)で示されるフルオロシラン類や、主鎖又は側鎖の末端に式(2)で示されるフルオロシリル基を有する重合体が好適である。
式(1)で示されるフルオロシラン類、及び式(2)で示されるフルオロシリル基を有する化合物は、市販の試薬を用いることや、所定の原料化合物から合成することもできる。合成方法としては特に制限はないが、下記式(3)で示される加水分解性ケイ素基を有する化合物とフッ素化剤とを公知の方法(例えば、Organometallics 1996年,15,2478頁(Ishikawa他)等)を用いて反応させることにより得られる化合物が好適に用いられる。
−SiR62 3−qX’q・・・(3)
(式(3)中、R62及びX’はそれぞれ式(2)と同じであり、qは1以上3以下の整数である。)
式(3)で示される加水分解性ケイ素基としては、例えば、アルコキシシリル基、シロキサン結合、クロロシリル基等のハロシリル基、ヒドロシリル基等が挙げられる。
アルコキシシリル基のフッ素化に用いられるフッ素化剤としては、例えば、NH4F、Bu4NF(ただし、Buはブチル基)、HF、BF3、Et2NSF3(ただし、Etはエチル基)、HSO3F、SbF5、VOF3、CF3CHFCF2NEt2等が挙げられる。ハロシリル基のフッ素化に用いられるフッ素化剤としては、例えば、AgBF4、SbF3、ZnF2、NaF、KF、CsF、NH4F、CuF2、NaSiF6、NaPF6、NaSbF6、NaBF4、Me3SnF(ただし、Meはメチル基)、KF(HF)1.5〜5等が挙げられる。ヒドロシリル基のフッ素化に用いられるフッ素化剤としては、例えば、AgF、PF5、Ph3CBF4(ただし、Phはフェニル基)、SbF3、NOBF4、NO2BF4等が挙げられる。シロキサン結合を有する化合物は、例えば、BF3等により開裂し、フルオロシリル基を生成する。
これらのフッ素化剤を用いたフルオロシリル基の合成方法のうち、反応が簡便であること、反応効率が高いこと、安全性が高いこと等から、BF3を用いたアルコキシシランのフッ素化法、CuF2又はZnF2を用いたクロロシランのフッ素化法を用いることが好ましい。
BF3としては、BF3ガス、BF3エーテル錯体、BF3チオエーテル錯体、BF3アミン錯体、BF3アルコール錯体、BF3カルボン酸錯体、BF3リン酸錯体、BF3水和物、BF3ピペリジン錯体、BF3フェノール錯体等を用いることができる。取扱いの容易性の観点からは、BF3エーテル錯体、BF3チオエーテル錯体、BF3アミン錯体、BF3アルコール錯体、BF3カルボン酸錯体、BF3水和物が好ましい。これらのうちBF3エーテル錯体、BF3アルコール錯体、BF3水和物は反応性が高く好ましく、BF3エーテル錯体が特に好ましい。
フルオロシリル基を有する有機重合体(本実施形態では、フッ素化ポリマーと称する場合もある。)としては、Si−F結合を有する有機重合体が挙げられ、Si−F結合を有する各種の有機重合体を用いることができる。有機重合体中のSi−F結合の位置に制限はなく、有機重合体分子のいずれの部位に存在していても効果を発揮する。Si−F結合の位置が有機重合体分子の主鎖又は側鎖の末端に位置する場合は−SiRn 2Fと表され、有機重合体分子の主鎖に組み込まれている場合は−SiRnF−又は≡SiF(Rnはいずれも任意の基である。)と表される。主鎖又は側鎖の末端にSi−F結合を有する有機重合体としては、式(2)で示されるフルオロシリル基を有する有機重合体が好適である。フルオロシリル基が有機重合体の主鎖中に組み込まれた有機重合体の例としては、−Si(CH3)F−、−Si(C6H5)F−、−SiF2−、≡SiF等が挙げられる。
フッ素化ポリマーは、フルオロシリル基及び主鎖骨格が同種である単一の重合体、すなわち、1分子あたりのフルオロシリル基の数、その結合位置、及びフルオロシリル基が有するFの数、並びに主鎖骨格が同種である単一の重合体であってもよく、これらのいずれか、又はすべてが異なる複数の重合体の混合物であってもよい。フッ素化ポリマーが単一の重合体、又は複数の重合体の混合物のいずれの場合においても、フッ素化ポリマーは、速硬化性を示す硬化性組成物の樹脂成分として好適に用いることができる。なお、高い硬化性を発揮し、かつ高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状の構造体を形成することを目的とする場合、フッ素化ポリマーに含有されるフルオロシリル基は、有機重合体1分子あたり平均して少なくとも1個、好ましくは1.1個以上5個以下、更に好ましくは1.2個以上3個以下存在することが好ましい。硬化性組成物の硬化性を十分に保持すると共に、硬化して得られる構造体のゴム弾性挙動を良好にすることを目的として、フッ素化ポリマーに含有されるフルオロシリル基は、有機重合体1分子中あたり平均して1個以上であることが好ましい。また、硬化性組成物を硬化して得られる構造体において、十分な伸びを確保することを目的として、フッ素化ポリマーに含有されるフルオロシリル基は、有機重合体1分子中あたり平均して5個以下が好ましい。なお、上述のように、フルオロシリル基は、有機重合体分子鎖の主鎖の末端若しくは側鎖の末端に存在していてもよく、又は主鎖中に組み込まれていてもよい。フルオロシリル基が有機重合体の主鎖の末端に存在する場合、最終的に形成される硬化物に含まれる有機重合体成分の有効網目長が長くなるので、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状の構造体が形成されやすくなる。有機重合体の1分子中にフルオロシリル基が2個以上存在する場合は、それぞれのケイ素基は同一でも互いに異なっていてもよい。
また、フッ素化ポリマーは、フルオロシリル基と共に、加水分解性基としてフッ素を除く加水分解性基のみを有するケイ素基(例えば、メチルジメトキシシリル基等)等のフルオロシリル基を除く他の置換基を含有していてもよい。このようなフッ素化ポリマーとしては、例えば、一方の主鎖末端がフルオロシリル基であり、他方の主鎖末端が、加水分解性基としてフッ素を除く他の加水分解性基のみを有するケイ素基である重合体を挙げることができる。
フッ素化ポリマーにおいて、フルオロシリル基の導入は、様々な手法で実現できる。例えば、フルオロシリル基を有する低分子フッ素化合物と重合体との反応による導入方法(方法(i))と、フッ素を除く他の加水分解性基を有する反応性ケイ素基を含有する重合体(以下、「重合体(X)」と称することがある。)のケイ素基をフルオロシリル基に変性する方法(方法(ii))が挙げられる。
方法(i)の具体例として、以下の方法が挙げられる。
(イ)分子中に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有する重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基及びフルオロシリル基を有する化合物を反応させる方法。例えば、末端に水酸基を有する重合体とイソシアネートプロピルジフルオロメチルシランとを反応させる方法や、末端にSiOH基を有する重合体とジフルオロジエトキシシランとを反応させる方法が挙げられる。
(ロ)分子中に不飽和基を含有する重合体に、フルオロシリル基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する方法。例えば、末端にアリル基を有する重合体に、ジフルオロメチルヒドロシランを反応させる方法が挙げられる。
(ハ)不飽和基を含有する重合体に、メルカプト基及びフルオロシリル基を有する化合物を反応させる方法。例えば、末端にアリル基を有する重合体に、メルカプトプロピルジフルオロメチルシランを反応させる方法が挙げられる。
方法(ii)で用いるフッ素を除く他の加水分解性基を有する反応性ケイ素基を含有する重合体(重合体(X))としては、架橋性ケイ素基含有有機重合体(A)が好適に用いられる。
また、方法(ii)において、フッ素を除く他の加水分解性基を有する反応性ケイ素基をフルオロシリル基に変換する方法としては、例えば、式(3)で示される加水分解性ケイ素基を、フッ素化剤でフルオロシリル基に変換する方法が挙げられる。フッ素化剤としては、例えば、前述したフッ素化剤が挙げられ、特にBF3エーテル錯体、BF3アルコール錯体、BF3二水和物は活性が高く、効率よくフッ素化が進行し、更に副生成物に塩等が生じず、後処理が容易であるためにより好ましく、BF3エーテル錯体が特に好ましい。更に、BF3エーテル錯体によるフッ素化は、加熱しなくても反応が進行するものの、より効率よくフッ素化を進行させる場合は加熱処理が好ましい。加熱温度としては50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上130℃がより好ましい。すなわち、BF3エーテル錯体によるフッ素化反応を効率よく進行させ、フッ素化の時間を短縮することを目的として、加熱温度は50℃以上であることが好ましく、フッ素化ポリマーの分解を抑制することを目的として、加熱温度は150℃以下であることが好ましい。BF3錯体によるフッ素化において、用いる重合体(X)の種類によっては生成物が着色する場合がある。この着色の抑制を目的とする場合は、BF3アルコール錯体、BF3二水和物を用いることが好ましい。
フッ素化ポリマーの製造に用いられるフッ素化剤は、フッ素化ポリマーの硬化触媒としても作用する。上記(ii)の方法を用いてフッ素化ポリマーを製造する場合に製造雰囲気に水分が存在すると、シラノール縮合反応が進行することにより、得られるフッ素化ポリマーの粘度が上昇する場合がある。したがって、フッ素化ポリマーの粘度を所期の粘度範囲に制御することを目的とする場合、この製造雰囲気の水分量を抑制することが好ましい。例えば、フッ素化反応を進行させる前に、フッ素化する重合体(X)をトルエンやヘキサン等を利用して共沸脱水する等の脱水工程を実施することが好ましい。なお、BF3アミン錯体を用いる場合は、フッ素化反応の反応性を向上させることを目的として、粘度上昇が許容される範囲で微量の水分を添加することもできる。また、フッ素化ポリマーの安定性の観点から、フッ素化後にフッ素化剤及び副生したフッ素化剤由来成分を、濾過、デカンテーション、分液、及び/又は減圧脱揮等で除去することが好ましい。上記したBF3系のフッ素化剤を用いてフッ素化ポリマーを製造する場合には、製造されたフッ素化ポリマー中に残存するBF3及び反応によって生成したBF3由来成分が、B量で500ppm未満であることが好ましく、100ppm未満であることがより好ましく、50ppm未満であることが特に好ましい。BF3及びBF3由来成分を除去することで、得られたフッ素化ポリマー自身及びフッ素化ポリマーと重合体(X)との混合物の粘度上昇等を抑制できる。粘度上昇等を抑制する観点からは、BF3エーテル錯体、BF3アルコール錯体を用いたフッ素化法は、ホウ素成分を真空脱気により比較的簡便に除去できることから好ましく、BF3エーテル錯体を用いた方法が特に好ましい。
ここで、重合体(X)が、フッ素を除く他の加水分解性基を2個以上有する場合は、すべての加水分解性基をフッ素化してもよいし、フッ素化剤の量を減量する等の方法によってフッ素化の条件を調整することにより、部分的にフッ素化することもできる。例えば、(ii)の方法において、重合体(X)を用いてフッ素化ポリマーを製造する場合、フッ素化剤の使用量は特に制限されず、フッ素化剤中のフッ素原子のモル量が、重合体(X)のモル量に対して等モル以上になる量であればよい。(ii)の方法により、重合体(X)が含有する加水分解性基のすべてをフッ素化する場合は、フッ素化剤中のフッ素原子のモル量が、重合体(X)が含有する反応性ケイ素基中の加水分解性基の総モル量に対して等モル以上となる量のフッ素化剤を用いることが好ましい。ここで、「フッ素化剤中のフッ素原子」とは、フッ素化剤中のフッ素化に有効なフッ素原子、具体的には、重合体(X)の反応性ケイ素基中の加水分解性基を置換できるフッ素原子をいう。
方法(i)におけるフルオロシリル基を有する低分子化合物も、上記フッ素化方法を利用して、市販の反応性ケイ素基含有低分子化合物から合成できる。そして、方法(i)では、フルオロシリル基と共に、重合体とケイ素含有低分子化合物とを反応させる反応性基が存在しているので、反応が複雑になる場合には、方法(ii)によってフッ素化ポリマーを得ることが好ましい。
フッ素化ポリマーのガラス転移温度は、20℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、−20℃以下であることが特に好ましい。冬季又は寒冷地で粘度が高くなることにより取扱いが容易でなくなることを抑制すること、また、硬化性組成物を硬化して得られる構造体の柔軟性を確保し、伸びが低下することを抑制することを目的として、ガラス転移温度は20℃以下であることが好ましい。なお、ガラス転移温度はDSC測定により計測できる。
フッ素化ポリマーは直鎖状でも、又は分岐を有してもよい。フッ素化ポリマーの数平均分子量は、GPCにおけるポリスチレン換算において3,000以上100,000以下が好ましく、より好ましくは3,000以上50,000以下であり、特に好ましくは3,000以上30,000以下である。硬化性組成の硬化物である構造体の伸び特性を確保することを目的として、数平均分子量は3,000以上であることが好ましく、硬化性組成物の粘度を適切な粘度範囲に調整することで作業性を良好な状態に保つことを目的として、数平均分子量は100,000以下であることが好ましい。
Si−F結合を有するフッ素化合物の配合割合は、フッ素化ポリマー等の数平均分子量3,000以上の高分子化合物を用いる場合、ラジカル重合性の官能基を有する有機化合物100質量部に対して、0.2質量部以上80質量部以下が好ましく、0.3質量部以上30質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上20質量部以下が更に好ましい。数平均分子量3,000未満のフルオロシリル基を有する低分子化合物(例えば、式(1)で示されるフルオロシラン類や式(2)で示されるフルオロシリル基を有する低分子有機フッ素化合物、フルオロシリル基を有する無機フッ素化合物等)を用いる場合、ラジカル重合性の官能基を有する有機化合物100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましく、0.05質量部以上5質量部以下がより好ましい。
(フッ素系化合物)
本実施の形態に係る硬化性組成物は、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素の錯体、フッ素化剤、及び多価フルオロ化合物のアルカリ金属塩からなる群から選択される1種類以上のフッ素系化合物を更に含有できる。
三フッ化ホウ素の錯体としては、例えば、三フッ化ホウ素のアミン錯体、アルコール錯体、エーテル錯体、チオール錯体、スルフィド錯体、カルボン酸錯体、水錯体等が挙げられる。三フッ化ホウ素の錯体の中では、安定性に優れたアミン錯体が特に好ましい。
三フッ化ホウ素のアミン錯体に用いられるアミン化合物としては、例えば、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グアニジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、N−メチル−3,3′−イミノビス(プロピルアミン)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、ペンタエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,9−ジアミノノナン、ATU(3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)、CTUグアナミン、ドデカン酸ジヒドラジド、ヘキサメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジアニシジン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、トリジンベース、m−トルイレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、メラミン、1,3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、サンテクノケミカル社製ジェファーミン等の複数の第一級アミノ基を有する化合物、ピペラジン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、シス−2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、N,N′−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)−プロパン、4−アミノプロピルアニリン、ホモピペラジン、N,N′−ジフェニルチオ尿素、N,N′−ジエチルチオ尿素、N−メチル−1,3−プロパンジアミン等の複数の第二級アミノ基を有する化合物、メチルアミノプロピルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノエチルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、3−アミノピロリジン、1−o−トリルビグアニド、2−アミノメチルピペラジン、N−アミノプロピルアニリン、エチルアミンエチルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、式H2N(C2H4NH)nH(n≒5)で表される化合物(商品名:ポリエイト、東ソー社製)、N−アルキルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、N−アルキルピペリジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン等の複環状第三級アミン化合物等の他、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−3−[アミノ(ジプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物が挙げられる。三フッ化ホウ素のアミン錯体の市販品としては、例えば、エアプロダクツジャパン株式会社製のアンカー1040、アンカー1115、アンカー1170、アンカー1222、BAK1171等が挙げられる。
フッ素化剤には、フッ素アニオンを活性種とする求核的フッ素化剤と、電子欠乏性のフッ素原子を活性種とする求電子的フッ素化剤とが含まれる。
求核的フッ素化剤としては、例えば、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−ジエチルアミノプロパン等の1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−ジアルキルアミノプロパン系化合物、トリエチルアミントリスヒドロフルオライド等のトリアルキルアミントリスヒドロフルオライド系化合物、ジエチルアミノサルファートリフルオライド等のジアルキルアミノサルファートリフルオライド系化合物等が挙げられる。
求電子的フッ素化剤としては、例えば、ビス(テトラフルオロホウ酸)N,N’−ジフルオロ−2,2’−ビピリジニウム塩化合物,トリフルオロメタンスルホン酸N−フルオロピリジニウム塩化合物等のN−フルオロピリジニウム塩系化合物、ビス(テトラフルオロホウ酸)4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン塩等の4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン系化合物、N−フルオロビス(フェニルスルホニル)アミン等のN−フルオロビス(スルホニル)アミン系化合物等が挙げられる。これらの中では、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−ジエチルアミノプロパン系化合物が液状化合物であり、入手が容易なため特に好ましい。
多価フルオロ化合物のアルカリ金属塩としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモン酸ナトリウム、ヘキサフルオロアンチモン酸カリウム、ヘキサフルオロヒ酸ナトリウム、ヘキサフルオロヒ酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、ペンタフルオロヒドロキソアンチモン酸ナトリウム、ペンタフルオロヒドロキソアンチモン酸カリウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ホウ酸ナトリウム、トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸カリウム、ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸カリウム等が挙げられる。これらの中でも、多価フルオロ化合物のアルカリ金属塩における多価フルオロ化合物成分としては、テトラフルオロホウ酸又はヘキサフルオロリン酸が好ましい。また、多価フルオロ化合物のアルカリ金属塩におけるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、及びカリウムからなる群から選ばれる一種類以上のアルカリ金属であることが好ましい。
フッ素系化合物の配合割合は、一例として、ラジカル重合性の官能基を有する有機化合物100質量部に対して、0.001質量部以上10質量部以下が好ましく、0.001質量部以上5質量部以下がより好ましく、0.001質量部以上2質量部以下が更に好ましい。これらフッ素系化合物は単独でも2種類以上を併用してもよい。
(その他添加剤)
本実施の形態に係る硬化性組成物には、必要に応じて、接着性向上剤、シリカ、希釈剤、増量剤、可塑剤、水分吸収剤、引張特性等を改善する物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、顔料、染料、樹脂フィラー、及び/又はラジカル発生剤用の希釈剤等の各種添加剤を加えることもできる。
接着性向上剤としては、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン等のケチミン型シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;ビニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等の塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート含有シラン類;ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルキルシラン類;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のフェニル基含有シラン類等が挙げられる。また、アミノ基含有シラン類とシラン類を含むエポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、(メタ)アクリロイル基含有化合物とを反応させて、アミノ基を変性した変性アミノ基含有シラン類を用いることもできる。
ケチミン型シラン類は水分の存在下でアミノ基含有シラン類を生成し、生成したアミノ基含有シラン類は、シラノール縮合触媒として作用する。したがって、ケチミン型シラン類を除く他のシランカップリング剤を用いることが好ましい。ただし、ケチミン型シラン類を用いることもでき、この場合、本実施形態に係る硬化性組成物の目的や効果が達成される範囲で、ケチミン型シラン類の種類や添加量を調整することが望ましい。
増量剤としては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ素、含水ケイ素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種類以上を併用して用いることもできる。
可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステル等の脂肪族一塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種類以上を併用して用いることもできる。
水分吸収剤としては、シランカップリング剤やシリケート等を用いることができる。シリケートとしては、例えば、テトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物が挙げられ、より具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン(テトラアルキルシリケート)、及びそれらの部分加水分解縮合物が挙げられる。
樹脂フィラーは、有機樹脂等からなる粒子状のフィラーであり、ポリアクリル酸エチル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の有機質微粒子を用いることができる。例えば、尿素樹脂系フィラーとしては、ALBEMARLE社製の「PERGOPAKシリーズ」等が挙げられる。また、メラミン樹脂系フィラーとしては、日本触媒株式会社製の「エポスターM30」等が挙げられる。また、ウレタン樹脂系フィラーとしては、根上工業株式会社製の「アートパールC−200、C−300、C−400、C−800」等の架橋ウレタン樹脂フィラー等が挙げられる。更に、ベンゾグアナミン樹脂系フィラーとしては、日本触媒株式会社製の「エポスターM05、MS」等が挙げられる。フェノール樹脂系フィラーとしては、住友ベークライト社製「PR−RES−5」、昭和高分子社製「ショウノールPMB−1010」等が挙げられる。アクリル樹脂系フィラーとしては、積水化成品工業株式会社製の「テクポリマーMBXシリーズ」、根上工業社製のアートパールG−400、G−800、GR−400、GR−800、J−4P、J−4PY、J−5P、J−7P、J7PY、S−5P等が挙げられる。また、スチレン樹脂系フィラーとしては、積水化成品工業株式会社製の「テクポリマーSBXシリーズ」等が挙げられる。
本実施の形態に係る樹脂フィラー(樹脂微粉末)としては、単量体(例えば、メタクリル酸メチル)等を懸濁重合させること等によって得られる真球状のフィラーが好ましい。また、本実施の形態に係る樹脂フィラーは、流動性を有する硬化性組成物に充填材として含有される場合、球状の架橋樹脂フィラーが好ましい。
樹脂フィラーとしては、ラジカル重合性の官能基を有する有機化合物に対する相溶性が良好である点でウレタン樹脂系フィラー及びアクリル樹脂系フィラーを用いることが好ましく、ウレタン樹脂系フィラーを用いることがより好ましい。
樹脂フィラーの平均粒子径は1μm以上150μm以下が好ましく、5μm以上30μm以下がより好ましい。なお、平均粒子径はレーザー回折散乱法により測定される50%累積粒径である。硬化性組成物中に樹脂フィラーを適切に分散させることを目的として、平均粒子径は1μm以上であることが好ましい。また、硬化性組成物を所定のノズルから流出させる場合、当該ノズルから滑らかに流出させることを目的として、平均粒子径は150μm以下が好ましい。
樹脂フィラーのTgは、20℃〜−60℃であることが好ましく、0℃〜−50℃がより好ましい。なお、Tgは示差走査熱量測定法(DSC法)により測定できる。樹脂フィラーの配合割合は特に制限はないが、ラジカル重合性の官能基を有する有機化合物100質量部に対して、0.5質量部以上200質量部以下が好ましく、1質量部以上50質量部以下がより好ましい。樹脂フィラーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施の形態に係る硬化性組成物は、必要に応じて1液型とすることができ、2液型にすることもできる。本実施の形態においては、硬化性組成物は、特に1液型として好適に用いることができる。本実施の形態に係る硬化性組成物は、光や熱等のエネルギーを与えることで硬化する硬化性組成物であって、常温(例えば、23℃)で硬化する常温硬化性組成物であり、常温硬化型硬化性組成物として好適に用いられる。なお、硬化性組成物は、使用目的等に応じて、適宜、加熱により硬化を促進させることもできる。
硬化性組成物の硬化時に活性エネルギー線を用いる場合、活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できる。ここで、硬化性組成物を硬化させる硬化速度、照射装置の入手のしやすさ及び価格、太陽光や一般照明下での取扱いの容易性等から紫外線、又は電子線照射による硬化が好ましく、紫外線照射による硬化がより好ましい。活性エネルギー線源としては、硬化性組成物に含有されるアミン化合物発生剤の性質に応じて、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。本実施の形態において硬化性組成物の硬化には、一例として、メタルハライドランプ、若しくはキセノンランプをパルス発光させて用いることができる。キセノンランプをパルス発光させることで、対象物に熱による損傷を与えることを抑制できる。
照射エネルギーとして、例えば、紫外線を用いる場合、10mJ/cm2以上20,000mJ/cm2以下が好ましく、50mJ/cm2以上10,000mJ/cm2以下がより好ましい。硬化性組成物の硬化性を十分に確保することを目的として、照射エネルギーは10mJ/cm2以上が好ましく、硬化性組成物が接している基材の損傷を抑制すること、及び硬化に要する時間とコストとを低減することを目的として、照射エネルギーは20,000mJ/cm2以下が好ましい。
本実施の形態に係る硬化性組成物は、作業性及び保存安定性に優れた速硬化型の硬化性組成物であり、特に、粘着性組成物、接着性組成物として有用である。また、硬化性組成物は、対象物としての基材に塗布又は印刷して硬化させることにより構造体になる。本実施の形態に係る構造体は、例えば、半導体素子チップ部品やディスクリート部品等の電子部品を、これらを搭載するプリント基板やフレキシブル基板に接着固定する接合部等として用いることができる。例えば、本実施の形態に係る硬化性組成物は、携帯電話やスマートフォン等の情報端末を構成するモジュール(例えば、カメラ、加速度センサー等)の組立や、モジュール及び/又は部品を所定の基板等に固定する接着剤として用いることができる。そして、硬化性組成物が硬化した構造体は、情報端末等のモジュールを構成する。また、硬化性組成物は、シーリング材、粘着材、コーティング材、ポッティング材、塗料、パテ材、及びプライマー等に用いてもよい。
また、本実施の形態に係る硬化性組成物は、有機系及び/又は無機系の基材上に、メッシュスクリーン印刷、ステンシル印刷、ロール印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スピンコート、ロール塗布、インクジェット、スプレー、ローラーコーター、ディスペンサー、ディッピング等の手法のそれぞれに合わせて粘度を適宜調整することで、これらの手法を用いて、塗布、印刷、若しくは吹き付けることができる。本実施の形態に係る硬化性組成物は、光照射等をするまで実質的に対象物に接着しないので、塗工装置上に長時間、滞留させることができ、ロールコーター、ナイフコーター、スクリーン印刷等に用いることができる。
[構造体の製造]
本実施の形態に係る構造体は、上記において説明した硬化性組成物を用いて製造される。まず、本実施の形態に係る流動性を有する硬化性組成物を準備する(組成物準備工程)。すなわち、所定量のラジカル重合性の官能基を有する有機化合物、アミン化合物発生剤、ラジカル発生剤、及び/又はその他の所定の添加剤を秤量し、混合することで硬化性組成物を準備する。
次に、準備した硬化性組成物を対象物の予め定められた領域に塗布する(塗布工程)。なお、対象物の表面には、印刷等の手法を用いて硬化性組成物を塗布する。そして、対象物に塗布した硬化性組成物に光や熱等のエネルギーを与えて硬化させる(硬化工程)。これにより、所望の形状を有する本実施の形態に係る構造体が形成される。なお、構造体の形状は、薄膜状、又は薄膜よりも厚い平板状(シート状)等にすることができる。また、硬化工程後に、硬化して得られる構造体を所定の雰囲気下に放置することにより、硬化をより強固に進行させてもよい。
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る硬化性組成物は、ラジカル重合性の官能基を有する有機化合物と、アミン化合物発生剤と、ラジカル発生剤とを含み、アミン化合物発生剤は保護基を有しているので、アクリル系化合物が自然に反応することを抑制できる。すなわち、アミン化合物発生剤はエネルギーが与えられるまでアミン化合物の発生を抑制するので、本実施の形態に係る硬化性組成物によれば、硬化性組成物の接着性の発現タイミングを所望のタイミングに制御できる。
また、本実施の形態に係る硬化性組成物は、シリル基を含むと共にアミン化合物を含むので、金属材料、及びアミド結合を有する高分子材料(例えば、ポリアミド等)に対する高い接着性を発揮することができる。
[実施例]
以下、本実施の形態に係る硬化性組成物、及び硬化性組成物を硬化させて得られる構造体について、実施例を用いて説明する。
(数平均分子量の測定)
以下の説明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記条件で測定した。具体的には、測定対象物を下記測定条件でGPCにより測定し、標準ポリエチレングリコールで換算した最大頻度の分子量を数平均分子量とした。
・分析装置:Alliance(Waters社製)、2410型示差屈折検出器(Waters社製)、996型多波長検出器(Waters社製)、Milleniamデータ処理装置(Waters社製)
・カラム:Plgel GUARD+5μmMixed−C×3本(50×7.5mm,300×7.5mm:PolymerLab社製)
・流速:1mL/分
・換算したポリマー:ポリエチレングリコール
・測定温度:40℃
・GPC測定時の溶媒:THF
(NMR及びIRの測定)
NMR及びIRの測定には、下記測定装置を用いた。
FT−NMR測定装置:日本電子(株)製JNM−ECA500(500MHz)
FT−IR測定装置:日本分光(株)製FT−IR460Plus
(合成例1:光によりアミノ基を生成する架橋性ケイ素基含有化合物の合成)
フラスコにp−ニトロベンジルアルコールとトルエンとを加え、約113℃で60分間還流した。その後、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを滴下して撹拌し、合成物(光によりアミノ基を生成する架橋性ケイ素基含有化合物(以下、「光アミノシラン発生化合物B1」と称する。))を合成した。合成後トルエンを留去し、光アミノシラン発生化合物B1を得た。光アミノシラン発生化合物B1のIRスペクトル測定の結果、−N=C=O結合は検出されなかった。
(合成例2:光によりアミノ基を生成する架橋性ケイ素基含有化合物の合成)
フラスコにo−ニトロベンジルアルコールとトルエンとを加え、約113℃で60分間還流した。その後、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを滴下して撹拌し、合成物(光によりアミノ基を生成する架橋性ケイ素基含有化合物(以下、「光アミノシラン発生化合物B2」と称する。))を合成した。合成後トルエンを留去し、光アミノシラン発生化合物B2を得た。光アミノシラン発生化合物B2のIRスペクトル測定の結果、−N=C=O結合は検出されなかった。
(合成例3:フッ素化ポリマーC1の合成)
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計、及び環流冷却器を備えたフラスコに、分子量約2,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させた。これにより、水酸基価換算分子量が14,500、かつ、分子量分布が1.3のポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオールにナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加し、加熱減圧下でメタノールを留去してポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換した。これにより、ポリオキシアルキレン系重合体M3を得た。
次に、ポリオキシアルキレン系重合体M3に塩化アリルを反応させた。そして、未反応の塩化アリルを除去し、精製して、末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得た。この末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体に対し、水素化ケイ素化合物であるメチルジメトキシシランと白金含量が3wt%の白金ビニルシロキサン錯体イソプロパノール溶液150ppmとを添加して反応させ、末端にメチルジメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A4を得た。
得られた末端にメチルジメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体A4の分子量をGPCにより測定した結果、ピークトップ分子量は15,000、分子量分布は1.3であった。1H−NMR測定により末端のメチルジメトキシシリル基は1分子あたり1.7個であることが示された。
次に、攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計、及び環流冷却器を備えたフラスコに、減圧脱気後、窒素ガス置換して、窒素気流下にてBF3ジエチルエーテル錯体2.4gを入れ、50℃に加温した。続いて、BF3ジエチルエーテル錯体を脱水メタノールに溶かして得られた1.6gの混合物をゆっくりと滴下して混合した。
続いて、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計、及び還流冷却管を備えた新たなフラスコに、上記で合成したポリオキシアルキレン系重合体A4を100g、トルエンを5g入れた。23℃にて30分間撹拌後、110℃に加温し、2時間、減圧撹拌してトルエンを除去した。この容器に先ほど得られたBF3ジエチルエーテル錯体と脱水メタノールとの混合物4.0gを窒素気流下にてゆっくりと滴下し、滴下終了後、反応温度を120℃に昇温し、30分間反応させた。反応終了後、減圧脱気して未反応物を除去した。これにより、末端にフルオロシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体C1(以下、フッ素化ポリマーC1と称する)を得た。得られたフッ素化ポリマーC1の1H−NMRスペクトル(Shimazu社製のNMR400を用いて、CDCl3溶媒中で測定)を測定したところ、原料であるポリオキシアルキレン系重合体A4のシリルメチレン(−CH2−Si)に対応するピーク(m,0.63ppm)が消失し、低磁場側(0.7ppm〜)にブロードピークが現れた。
(実施例1)
実施例1に係る硬化性組成物は、以下のようにして製造した。まず、ウレタン(メタ)アクリレート系重合体としての80質量部のポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマーを準備した。このポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマーは、例えば、公知の合成法を用いて得られるオリゴマーである。具体的に、実施例1に係るポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマーは、アクリロイル基を有し、オリゴマー官能基数が2個であり、数平均分子量が38000であり、粘度が30000mPa・s/60℃〜60000mPa・S/60℃であるオリゴマーである。
また、1官能のアクリロイル基を含む有機化合物としての20質量部のイソボニルアクリレート(IBXA、大阪有機化学工業株式会社製)と、1.91質量部のp−ニトロベンジルアルコールと3.09質量部の3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとを用いて合成例1で説明した製法により得られたアミン化合物発生剤としての光アミノシラン発生化合物B1(添加量は、5質量部である)と、ラジカル発生剤としての2質量部の2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(イルガキュア379EG、BASF社製)と、2質量部のフッ素化ポリマーC1と、ラジカル発生剤の希釈剤としての2質量部のプロピレンカーボネート(2−オキソ−4−メチル−1,3−ジオキソラン)とをそれぞれ秤量した。
そして、攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管、及び水冷コンデンサーを備えるフラスコに秤量した各原料を投入し、撹拌して混合させた。これにより、実施例1に係る硬化性組成物を製造した。
(構造体の作製)
続いて、実施例1に係る硬化性組成物を、各種の被着体に厚さが100μmになるように塗布した。各種の被着体としては、6−ナイロン、SPCC鋼板、Al、及びABS樹脂からなる板を用いた。そして、各種の被着体に塗布した硬化性組成物にコロナ放電処理を施すことで易接着加工した。コロナ放電の放電量は、240W/m2/minに設定した。続いて、硬化性組成物にPETフィルム(ルミラー100S、厚さ100μm)の易接着面を貼り合わせた。そして、PETフィルム側からUV光を照射した。用いたUV光の光源はメタルハライドランプ(コールドカットフィルタを装着)であり、照射条件は160mW/cm2、1000mJ/cm2である。UV光を照射後、23℃50%RHの条件下において一晩養生した。これにより、実施例1に係る構造体を作製した。
(剥離試験方法)
剥離試験は、JIS K6854−2に準拠して実行した。具体的には、万能引張試験機を用いて180度剥離試験を実行した。なお、引張速度は200mm/minに設定した。
(実施例2)
実施例2に係る硬化性組成物は、実施例1とはアミン化合物発生剤の構成が異なる点を除き、同一の成分を採用し、同一の工程で製造すると共に同様に評価した。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。実施例2においては、アミン化合物発生剤として光アミノシラン発生化合物B2を用いた。具体的に、1.91質量部のo−ニトロベンジルアルコールと3.09質量部の3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとを用い、合成例2で説明した製法により得られた光アミノシラン発生化合物B2(添加量は、5質量部である)を用いた。
(実施例3)
実施例3に係る硬化性組成物は、実施例1とはアミン化合物発生剤の構成、及びフッ素化ポリマーを用いなかった点が異なる点を除き、同一の成分を採用し、同一の工程で製造すると共に同様に評価した。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。実施例3においては、アミン化合物発生剤として2.60質量部のo−ニトロベンジルアルコールと2.40質量部の2−イソシアナトエチルアクリラート(カレンズAOI(登録商標)、昭和電工株式会社製)とを反応させて得られた化合物(添加量は、5質量部である)を用いた。
(比較例1)
比較例1に係る硬化性組成物は、実施例1とは構成成分が一部異なる点を除き、略同一の工程で製造すると共に、同様に評価した。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。比較例1においては、実施例1とは異なり、アミン化合物発生剤、及びフッ素化ポリマーを用いなかった。
実施例1乃至実施例3、及び比較例1に係る硬化性組成物の原料組成と各試験結果について表1に示す。
表1を参照して分かるように、実施例1乃至実施例3に係る硬化性組成物はいずれも、各種被着体に対する接着性が比較例1に係る硬化性組成物よりも極めて優れていることが示された。例えば、6−ナイロンに対する接着性は、実施例2に係る硬化性組成物は比較例1に比べ約12倍の接着性を有することが示された。また、SPCC鋼板に対する接着性は、実施例2に係る硬化性組成物は比較例1に比べ約16倍の接着性を有し、Alに対する接着性は、実施例2に係る硬化性組成物は比較例1に比べ約5倍の接着性を有することが示された。更に、ABS樹脂に対する接着性は、実施例1に係る硬化性組成物は比較例1に比べ約2倍の接着性を有することが示された。
実施例に係る硬化性組成物はいずれも、特に、金属材料に対する接着性が比較例1に比べて優れていた。金属材料に対する接着性が優れている理由は、実施例1乃至実施例2に係る硬化性組成物はシリル基を有しており、このシリル基が金属材料の表面に形成されている自然酸化膜等の酸化物膜に化学結合することで、有機層を形成することに起因すると推測される。
また、樹脂に対する接着性が優れている理由は、実施例1乃至実施例3に係る硬化性組成物はアミン化合物を含んでおり、このアミン化合物が樹脂に含まれるアミド結合との親和性が高く、この親和性の高さによって接着性が向上すると推測される。したがって、アミド結合を含む他の樹脂に対しても、実施例1乃至実施例3に係る硬化性組成物の接着性は優れていると推測される。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せのすべてが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。