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JP2016535270A - 膵臓癌に関連する物質及び方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、膵臓癌に関連する物質及び方法並びに膵臓癌に適用される個別化医療に関する。特に、本発明は、腫瘍再発の確度又は膵臓癌組織における活性化された薬物標的の同定を基に最も適した治療計画の選択を導くことができる、腫瘍プロファイルを集合的に提供する、著しく調整されたタンパク質リン酸化及び/又は発現、並びにシグナル伝達経路の活性を決定する物質及び方法に関する。【選択図】 なし

Description

(発明の分野)
本発明は、膵臓癌に関連する物質及び方法並びに膵臓癌に適用される個別化医療に関する。特に本発明は、腫瘍再発の確度又は膵臓癌組織における活性化された薬物標的の同定を基に最も適した治療計画の選択を導くことができる、腫瘍プロファイルを集合的に提供する、著しく調整されたタンパク質リン酸化及び/又は発現、並びにシグナル伝達経路の活性を決定する物質及び方法に関する。
(発明の背景)
タンパク質リン酸化は、発癌性タンパク質及び腫瘍抑制因子タンパク質の活性を調整する共通プロセスである[1-3]。多くの場合、リン酸化は、タンパク質フォールディング、基質親和性、安定性、及びその基質の活性の調整に起因したタンパク質機能におけるスイッチ様の変化を生じ、これは次に細胞の増殖、遊走、分化、及びアポトーシスを制御するシグナル伝達経路に影響を及ぼす。従ってリン酸化の異常制御は、癌表現型に寄与し[4]、且つゲノム法を用いては有意に測定することができない新規薬物標的、診断用及び予後判定用バイオマーカーの潜在的給源を提供する。膵臓癌は、生存期間の中央値が診断後6ヶ月である最も攻撃的な悪性新生物の一種である。これはひとつには、患者のかなりの部分は、治療の選択肢が非常に限定される進行した病期で診断されるという事実の結果である[5]。他の癌の場合のように、進行した又は再発した膵臓癌の治療に関して、分子標的治療が有望である[6]。様々な分子標的薬が最近10年間に利用可能になっており、且つ多くの他の薬品も、今後数年間に期待されているが、依然薬物効果の予測及び薬物選択に関するブレークスルーが必要とされている。例えば、機能亢進の血管内皮増殖因子受容体、血小板由来増殖因子受容体及びRafに作用するマルチキナーゼインヒビターであるソラフェニブは、進行した肝細胞癌患者の一部に有効であることが証明されている[7]が、治療開始前に個々の患者におけるその効果を予測することができる経路活性試験は現在存在しないので、その応答率は、依然苛立たしいほど低い。
高度に選択性である分子標的薬による化学療法は、耐性獲得のために、最終的には失敗することが、長い間認められている。典型的には、これは、薬物治療の選択圧下での、一つの発癌経路から別の経路へのスイッチにより駆動される。例として、B-RafのV600E変異は、攻撃性のメラノーマに共通の特徴であり、これはRafシグナル伝達経路の過活性につながる。V600E B-Rafの高度に選択性のインヒビターが、迅速に開発され、且つ劇的初回治療反応を基に承認された。しかし、異常な二量体化、Rafアイソフォームスイッチ、並びにMEK及びERKの交互活性化に関与する広範な様々な機構により、B-Rafシグナル伝達がサイレンス化されたとしても、患者の大部分は最終的には再発する。獲得された耐性のこのようなパターンについて提唱された解決法は、各々は、腫瘍を死滅するのに十分ではないが、集合的に作用し、耐性の発達をブロックする、複数の分子標的薬の組合せの投与である。この戦略は、「合成致死性(synthetic lethality)」と称される。
(発明の概要)
本発明者らは、膵臓癌の治療のための、並びにこのような腫瘍の薬物耐性を予測及びモニタリングするための、最適薬物組合せを規定する信頼ができ且つ時間及び費用効果の高い手段の必要性を認識している。
従って本発明者らは、薬物選択を補助するための分析的アプローチを確立することを詳述し、ここで複数の薬物標的の発現及び活性は、症例別(case by case)をベースに包括的に評価される。リン酸化は、タンパク質活性を調整する重要な事象であり、従ってタンパク質リン酸化の測定は、活性化状態の有用な指標である。
数百種の抗癌剤標的及び数千種の発癌のシグナル伝達タンパク質が存在し、並びに現在の究極の標準分析である免疫組織化学(IHC)を使用し、これら全ての発現及び活性化状態を測定し、最適治療の選択を導くことは実現可能ではない。逆相タンパク質マイクロアレイ(RPMA)は、IHCよりも、対象を広範にする可能性があるが、リン酸化部位-特異抗体の現在の小さいレパトア及び貧弱な特異性/交差反応性のために制限がある。腫瘍性タンパク質活性を制御する主要な制御プロセスは、翻訳後修飾であるので、ゲノムベースの技術は、代わりとなる解決法を提供することができない。先に、数千種のタンパク質及びそれらのリン酸化部位を同定及び定量するために、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS/MS)をベースにしたプロテオミクスアプローチが開発され[8, 9]、且つ本発明者らは現在、個々の腫瘍内で発現される最適薬物標的の同定のための、発癌のシグナル伝達経路の分析にこれらの方法を巧く適合及び適用させている。
本発明者らは、症例別ベースで網羅的な(global)又はシステム全体に及ぶレベルで、活性化されたタンパク質、活性化されたシグナル伝達経路、及び活性化された薬物標的を効果的に同定及び定量することに関連した、多くの技術的及びバイオインフォマティクスの難点を克服するために、新規のLC-MS/MSベースのプロテオミクスワークフローを開発した。具体的用語において、本発明者らは、複数の試料の同時分析を可能にする同位体及び/又はアイソバリック質量タグ標識を使用する、実験的癌細胞株、異種移植片腫瘍組織及び臨床組織に適用可能である、高密度ホスホ-プロテオミクスワークフローを提供している[10, 11]。好ましくは2種以上の試料が同時に分析される。最も好ましくは少なくとも10種の試料を、まとめて分析することができる。試料は、個人の患者からの、又は2名以上の患者、例えば少なくとも2名、少なくとも3名、若しくは少なくとも4名の患者からの、腫瘍由来の組織と隣接する健常組織を対にすることができる。最も好ましくは、患者5名由来の対にした腫瘍組織と健常組織を、単独の10-plex実験においてまとめて分析する。
個人の患者各々について作製された大量のデータが与えられた場合、データの保存、検索及び解析のためのシステムが提供されることは、本発明の特別な特徴である。特に本発明者らは、それらの複雑なデータセットから関連する生物学的情報を抽出するために、データベース、及び一組のデータ解析ツールを提供する。
具体的には、本発明者らは、癌性及び非-癌性の膵臓組織を比較するために、それらの網羅的ホスホプロテオミクスワークフロー(SysQuant)を適用する。このホスホプロテオミクスワークフローは、複数のリンタンパク質の同時測定を可能にし、且つ試料中のシグナル伝達経路活性の迅速な測定を提供する。このワークフローは、本発明者らが、膵臓癌表現型の共通のドライバーを決定するために、全ての膵臓癌症例にわたり平均レベルで癌性組織型と非癌性組織型の間で発現及び活性の有意な調整を示す、シグナル伝達経路及び薬物標的を同定することを可能にした。本発明者らはまた、全データベースを調べ、個々の症例又はサブグループに特有である癌表現型に寄与する分子事象の様々な組合せを同定することができた。従ってこのワークフローは、初めて、膵臓癌を診断する方法のみではなく、より重要なことに症例別ベースにこれらの新たに決定された標的の活性化の状態を基に、患者を異なる治療計画に分類する方法をも提供する。
加えてリンペプチド分子プロファイルの測定は、初めて、膵臓癌の予後判定ツールをもたらしている。リンペプチド存在量の階層的クラスタ化は、患者を再発及び非再発を基にした群に分けた。このことは、多くの予後判定リンペプチドの同定、及び結果的に本発明の独立した態様を形成するそれらの各リンタンパク質マーカーの同定につながった。
本発明者らにより採用されたアプローチは、膵頭腺癌患者由来の腫瘍、対、バックグラウンド膵臓組織中の、2000種を超えるタンパク質の5000を超えるリン酸化部位の同時測定を可能にした。これらの多くは、FYN、GSK3α/β、HDAC1/2、RAFキナーゼ、MAPK(p38及びERK2)、AKT、PKC、カゼインキナーゼなどの、薬物標的の活性に影響を及ぼすことがわかっている調整性リン酸化部位であると決定された。
本発明者らは、各タンパク質の相対存在量を計算する代理値としての各タンパク質に特有の、リン酸化されないペプチドの中央値log2 T/NT比を使用し、非腫瘍(NT)組織と比較した腫瘍(T)中のタンパク質の相対存在量を決定した。
この情報から、本発明者らは、組織試料を、腫瘍又は非腫瘍表現型に割り当てる、すなわち診断補助としての、予測アルゴリズムを開発することは可能であることがわかった。更に本発明者らは、示差的に活性化された経路タンパク質は、治療標的として使用することができることがわかった。すなわち、直接又は間接のいずれかで、正常な健常組織において認められるそれらのレベルに対し適切であるように、関心対象のタンパク質の発現、活性化又は阻害を調節することが可能である薬物を、開発することができる。
数千にも及ぶタンパク質にわたる個々のリン酸化部位状態の包括的データベースが作製されて初めて、本発明は、実行されるべき数多くの追加の分析手段を提供する。例えば、腫瘍再発の時期の確度及び可能性を予測する能力は、最適な治療戦略を設計する際に大きい利点を提供する。このデータの階層的クラスタ解析を使用し、本発明者らは、驚くべきことに、腫瘍を、あらゆる他の臨床データとは独立して、再発性及び非再発性表現型へ範疇化することができた。更により驚くべきことに、タンパク質リン酸化部位のサブセットは、再発と高度に相関され、且つこれらの各々は、膵臓癌における新規の治療用標的又はマーカーを表している。従って、本発明者らはまた、膵臓癌の治療のための分子標的薬の開発を可能にする、新規治療用標的も提供する。
また本発明の更なる態様において、再発性膵臓癌表現型に関連した1以上の制御されたタンパク質リン酸化部位は、再発性膵臓癌の診断及び予後判定のための新規バイオマーカーを表している。本発明のこの態様に従い、1以上の部位でのリン酸化を検出及び/又は定量する手段が、提供される。このような方法は、免疫組織化学、ウェスタンブロット、ELISA及び質量分析を含むが、これらに限定されるものではない。
各症例における、非腫瘍組織と比較した、腫瘍中の、キナーゼ、他の酵素及び他のクラスのタンパク質の相対活性化状態を確定するために、本発明者らは、酵素の活性化又は阻害のいずれかを誘導することがわかっている、リン酸化部位を含むリンペプチドの相対存在量を使用した。表15は、各症例において、リン酸化された酵素の活性化又は阻害のいずれかを誘導することがわかっているリン酸化部位を含む、log2 T/NT比≧1又は≦-1を示す、全てのリンペプチドを提供している。
本発明者らはまた、全症例について平均化した場合、どのタンパク質及びリンペプチドが、腫瘍組織と非腫瘍組織の間で存在量の有意差を示すかを決定することに加え、どのリンペプチドが、各個別の患者において高度に調整されるかを決定し、ここで膵臓癌の、再発及び薬物耐性の予測を含む、診断及び予後判定のためのマーカー及び標的を提供する。
例えば本発明者らは、以下の相対活性化状態を決定した:グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3α及びβ、ヒストンデアセチラーゼ1及び2、RAF癌原遺伝子セリン/スレオニン-プロテインキナーゼ、セリン/スレオニン-プロテインキナーゼA-Raf、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ6、マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ14(p38 MAPK)、及び20種を超える他の酵素(例えば、表4及び表15を参照)。
本発明者らは更に、どのようなそれらのLC-MSワークフローが、非腫瘍組織に対し腫瘍組織において数千ものシグナル伝達タンパク質及び構造タンパク質の存在量及び活性を同時に測定することができるかを示す実施例を提供し、且つどのようにそのような測定を癌に繋がる分子事象をより良く理解するために使用することができ、結果的に承認された又は実験的な分子標的薬の一つ又は組合せを使用し個人ベースで患者を治療するのに最も適している阻害剤の選択に導くかを示す。批評的に言えば、本発明者らは、同じ時点で再発を示す可能性がより少ない患者と比べ、膵臓癌の再発を示す可能性がより大きい患者を確定することができるリンペプチドlog2 T/NT比の階層的クラスタ化を使用することを明らかにした。
従って本発明は、その最も一般的には、癌性と非癌性の組織型の間で発現及び活性における有意な調整を示すシグナル伝達経路及び薬物標的の同定から生じる、膵臓癌の診断、予後判定及び治療(標的化された療法の選択を含む)のための物質及び方法を提供する。本明細書に提供されるデータは、症例別ベースで癌表現型を駆動する分子事象を示し、且つ初めて、臨床家に、最も有効な標的化療法を予測するのみではなく、膵臓癌の再発の確度をも予測する手段を提供する。
第一の態様において、膵腫瘍分類装置及び情報通信ターミナル装置を含む膵腫瘍分類システムが提供され、該膵腫瘍分類装置は、制御部品及び記憶部品を備え、該装置が、ネットワークを介して互いに通信可能に接続されており;
(1)ここで情報通信ターミナル装置は:
(1a)対象の膵腫瘍試料から得られたタンパク質データを、膵腫瘍分類装置へと伝達する、タンパク質データ送信ユニット;
(1b)膵腫瘍分類装置から伝達された対象の膵腫瘍分類の結果を受け取る、結果-受信ユニット:を備え、
(2)ここで膵腫瘍分類装置は:
(2a)情報通信ターミナル装置から伝達された対象の膵腫瘍試料から得られたタンパク質データを受け取る、タンパク質データ-受信ユニット;
(2b)データ-受信ユニットからのデータを、記憶ユニットに保存されたデータと比較する、データ比較ユニット;
(2c)データ比較ユニットの結果を基に、対象の膵腫瘍のクラス(例えば分子表現型)を決定する、分類ユニット;及び
(2d)分類ユニットにより得られた対象の分類結果を、情報通信ターミナル装置へ伝達する、分類結果-送信ユニット:を備え;並びに
ここで記憶ユニットは、表2、3、4、11、12、13及び/又は15から選択された少なくとも1種(好ましくは複数)のタンパク質のタンパク質発現レベル及び/又はリン酸化のデータを含む。
記憶ユニットは、表2、3、4、11、12、13及び/又は15の各々から選択された、少なくとも1種又は複数のタンパク質のタンパク質発現レベル及び/又はリン酸化データを含むことができる。すなわち、記憶ユニットは、表2からの2種以上のタンパク質のデータを、表3、4、11、12、13及び/又は15からの2以上、3以上、4以上若しくは5以上のタンパク質のデータと共に;又は、それらの任意の組合せを、含むことができる。この表2、3、4、11、12、13及び/又は15からのタンパク質の組合せは、本明細書記載の本発明のありとあらゆる態様に適用可能である。
対象の膵腫瘍試料から得られたデータは好ましくは、例えばLC-MS/MS及び他のプロテオミクスアプローチなどの、本明細書記載の方法により得られるものなどの、発現レベルデータ及び/又はリン酸化状態データである。このデータは、腫瘍(又は疑わしい腫瘍)試料からのみ得ることができるが、好ましい実施態様において、同じ対象の非腫瘍(バックグラウンド)膵臓組織から得られる第二のデータセットも提供され得る。
データ-受信ユニットにより受け取られるタンパク質データは、実際のタンパク質若しくはリンタンパク質のレベルであってよく、又はこれは、それによりタンパク質又はリンタンパク質レベルを計算することができるペプチド又はリンペプチドレベルであってよい。ペプチド又はリンペプチドは、少なくとも1種の(好ましくは複数の)タンパク質又はリンタンパク質に対し特有である。一部の実施態様において、全て該タンパク質に対し特有である、複数の、すなわち2、3、4又は5種のペプチドを使用することが、好ましい。複数のペプチドが使用される場合、データは、照合され、且つ任意に中央値が、データ比較工程において使用される。
記憶ユニットは好ましくは、膵腫瘍を表すタンパク質発現レベル及び/又はリンタンパク質レベルに関する、データセットを含む。好ましい実施態様において、タンパク質発現レベル及び/又はリンタンパク質レベルは、試料中の実際のペプチド又はリンペプチドレベルから得られる。これは、データが、本明細書に記載のLC-MS/MS法などの、プロテオミクス方法を使用し得られる場合に、特に当てはまる。データセットは、例えば表12により本明細書に提供されるような、データセットの集合からの膵腫瘍におけるタンパク質発現レベル又はリンタンパク質レベルの代表的(例えば平均)レベルを提供することができる。或いは、データセットに関して、同じ給源から得られたバックグラウンド(すなわち非腫瘍)組織のタンパク質発現レベル又はリンタンパク質レベルと比べた、タンパク質発現レベル又はリンタンパク質レベルの比を表す値を含むことが好ましい。例として、この値は、Log2 T/NTとして本明細書において提示される。
タンパク質データ-保存ユニット内で保持されるデータセットは、その試料が膵腫瘍であることを確認することに加え、このシステムが、腫瘍を、再発クラス又は非再発クラスに分類することを可能にする。対象から採取した膵臓組織試料のリンタンパク質レベルを表すデータ、及び任意に同じ対象から採取したバックグラウンド膵臓組織のリンタンパク質レベルを表すデータをインプットすることにより、データ比較ユニットは、このデータを、記憶ユニットに保持された表11から選択された複数のタンパク質に関するデータを少なくとも含むデータセットと比較することができる。
一実施態様において、治療後の対象における膵腫瘍の再発の確度を予測する方法が提供され、該方法は、該対象から得られた腫瘍試料中のホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質のリン酸化レベルを検出することを含み、ここでバックグラウンド(非腫瘍)レベルと比べリン酸化の上昇したレベルは、腫瘍再発の確度の指標である。
この方式において、システムは、膵腫瘍試料から得られたリンタンパク質レベルを、同じタンパク質の腫瘍再発表現型を表すリンタンパク質レベルと比較し、これにより腫瘍を、再発の確度のある腫瘍又は非再発の確度のある腫瘍のいずれかとして分類することができる。
好ましい実施態様において、リンタンパク質レベルの比較はまた、例えば、腫瘍の切除後、8〜33ヶ月の間、10〜20ヶ月の間、又は15〜17ヶ月の間など、腫瘍再発の時期の予測も提供することができる。
先に説明された膵腫瘍分類システムはまた、薬物感受性を基に膵腫瘍を分類するために使用することができる。この実施態様において、記憶ユニットは、表15又は表4から選択された、複数のタンパク質の少なくともリンタンパク質データを含むことができる。
例えば本発明者らは、正常膵臓組織と比べ、膵腫瘍においてアップレギュレート若しくはダウンレギュレートされた(及び/又は異なるリン酸化状態を有する)これらのリンタンパク質を決定し、且つこれらから、リン酸化されたタンパク質の活性化又は阻害のいずれかを誘導することがわかっているリン酸化部位を含むもの(例えば酵素)を同定している(表15及び表4参照)。
従って膵腫瘍試料のリンタンパク質レベルを、表15及び/又は表4から選択された複数のタンパク質のリンタンパク質レベルと比較することにより、このシステムについて、薬物感受性を基に腫瘍を分類することが可能である。薬物は、GSK2141795、GSK2141796、GSK214179、ダサチニブ、AEZS-131、ボリノスタット、及びソラフェニブから選択されてよい。
一部の症例において、試料のリンタンパク質レベルは、以下のタンパク質の1種以上の、2種以上の、3種以上の又は全てのものと比較される:グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3α及びβ、ヒストンデアセチラーゼ1及び2、RAF癌原遺伝子セリン/スレオニン-プロテインキナーゼ、セリン/スレオニン-プロテインキナーゼA-Raf、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ6、マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ14(p38 MAPK)。
膵腫瘍分類システムを使用し、対象から得られた試料の腫瘍又は非腫瘍の表現型を決定することができ、ここで記憶ユニットは、表12又は表2から選択された複数のタンパク質のタンパク質発現レベルに関するデータを含む。
結果として、このシステムは、試料から決定されたタンパク質の発現レベルを、膵腫瘍を表す記憶ユニットに保持された発現レベルと比較することができる。この方式において、試料は、腫瘍又は非腫瘍として同定されることができる。
本発明者らは、このシステムは、表現型の独立した分類、すなわち、腫瘍対非腫瘍、再発表現型対非再発表現型、薬物感受性プロファイル、及び原発性腫瘍対続発性(転移性)腫瘍の独立した分類を実行するために使用することができることを知っているが、このシステムの記憶ユニット内に含まれたデータは、複数の表現型として、例えば腫瘍、予測された再発及び薬物感受性プロファイルとして、試料が分類されることを可能にすることが好ましい。
好ましい実施態様において、この新たなデータが、決定ユニットにより実行される分析に含まれることができるように、このシステムは更に、インプットされたデータを、データ送信ユニットを介して、記憶ユニットに既に保持された保存データへ加える手段を含む。この方式において、膵腫瘍分子表現型を表すデータは、絶えず更新される。
好ましい実施態様において、膵腫瘍分類システムは、膵腫瘍試料中のタンパク質発現レベル又はタンパク質リン酸化レベルを決定し、且つこのデータをタンパク質データ送信ユニットへ供給するための装置と接続される。
理想的にはこの装置は、本明細書に記載のようにLC-MS/MSを使用し、複数の試料を処理することができる。
この本発明の第一の態様に従い、制御部品及び記憶部品を備える情報処理装置に、対象の膵腫瘍を決定及び/又は分類する方法を実行させる、膵腫瘍細胞分類プログラムも提供され、この方法は:
(i)記憶部品に保存されたタンパク質発現レベルデータ及び/又はタンパク質リン酸化データと、対象から得られた表2、3、4、11、12、13及び/又は15から選択された少なくとも1種(好ましくは複数)のタンパク質のタンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルを基にしたデータを比較する、比較工程;並びに
(ii)比較工程で計算された比較を基に、該対象の膵腫瘍細胞を分類する、分類工程:を含み;並びに、ここで該腫瘍は、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;原発性腫瘍、続発性(転移性)腫瘍、及び/又は薬物感受性を含む表現型に分類される。
本発明のこの態様に従い、その上に記録された先に説明された膵腫瘍分類プログラムを含む、コンピュータ-可読記録媒体も提供される。
タンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベル(すなわち、リン酸化されたタンパク質の量)を表すデータは、試料中のペプチドレベル及び/又はリンペプチドレベルから得ることができ、ここで該ペプチド及び/又はリンペプチドは各々、特定された表から選択された特定のタンパク質に特有である。ペプチド及びリンペプチドの例は、各タンパク質に関してこれらの表中に提供される。しかしまた、例えばトリプシン、aspN、gluCなどタンパク質分解性消化酵素及び当該技術分野において周知の他のそのような酵素などにより、それらが誘導されるタンパク質に特有である他のペプチド及びリンペプチドが設計され得ることは理解されるであろう。
本明細書記載の本発明の全ての態様に関して、それからタンパク質データが得られる試料は、既に膵臓癌と診断された対象から得ることができるか、又はこれは膵臓癌を有することが疑われる対象から得ることができる。従って、後者に関して、癌の分類は、診断も含むことができる。
本発明の第二の態様において、対象から入手された生体試料中の表12及び/又は表2、表15及び/又は表3から選択された1種以上の、又は複数のタンパク質及び/又はリン酸化部位の調整を決定することを含む、該対象における膵臓癌を診断する方法が提供され、ここで:
(a)該試料中の該1種以上の、又は複数のタンパク質の存在は、膵臓癌を有する対象を示すか;
(b)該1種以上の、又は複数のタンパク質の参照量と比較した該1種以上の、又は複数のタンパク質の量(濃度)は、膵臓癌を有する対象を示すか;
(c)該1種以上の、又は複数のタンパク質の参照量と比較した該1種以上の、又は複数のタンパク質の量(濃度)の変化は、膵臓癌を有する対象を示すか;或いは
(d)該1種以上の、又は複数のタンパク質の参照状態と比較した該1種以上の、又は複数のタンパク質のリン酸化状態の変化は、膵臓癌を有する対象を示す。
第三の態様において、本発明は、膵腫瘍を、腫瘍、非腫瘍、再発、非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び続発性(転移性)腫瘍からなる群から選択される分子表現型に分類する方法が提供され、該方法は:
(1)該対象から得られた生体試料中の複数のタンパク質の発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルを決定すること;
(2)該試料に関する発現レベル及び/又はリンタンパク質プロファイルを作成すること;
(3)該対象プロファイルを、膵腫瘍分子表現型を表す参照プロファイルと比較すること;並びに、
(4)対象プロファイルと参照プロファイルの間の比較を基に膵腫瘍の分子表現型を決定すること:を含み、
ここで複数のタンパク質は、表2、3、4、11、12、13及び/又は15により表されるバイオマーカーパネルから選択される。
本発明のこの態様及び全ての他の態様に関して、参照タンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルのプロファイルは、同じ対象由来の非腫瘍膵臓組織から決定されてよい。この方式において、タンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルの差異を使用し、膵腫瘍の分子表現型を決定することができる。或いは参照レベルは、表2、3、4、11、12、13及び15のいずれか1以上から選択される関心対象のタンパク質に関する発現レベル及び/又はリン酸化レベルを表すデータを含むデータベースであることができる。理想的には、参照レベルは、第一の態様に従う膵腫瘍分類システムにより、提供される。発現レベル及び/又はタンパク質レベルを表すデータは、複数の腫瘍試料から得られ、且つ平均又は範囲として表されたデータの集合であることができる。データは、各々関心対象のタンパク質に特有である特異的ペプチド及び/又はリンペプチドのレベルに関係することができる。
本発明の第四の態様において、膵臓癌に罹患している対象のための治療計画を選択する方法が提供され、該方法は:
(1)該対象から得られた生体試料中の1種以上の、又は複数のタンパク質の発現レベル及び/又はリン酸化を決定する工程;
(2)該1種以上の、又は複数のタンパク質について、該発現レベル及び/又はリン酸化状態を、参照発現レベル及び/又はリン酸化レベルと比較する工程であって、該参照レベルが、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;原発性腫瘍、続発性(転移性)腫瘍、及び/又は薬物感受性から選択される膵腫瘍分子表現型を表す前記工程;
(3)生体試料中のタンパク質の発現レベル及び/又はリン酸化レベルと、参照発現レベルの間の比較を基に、膵腫瘍の分子を決定すること;並びに
(4)膵腫瘍の分子表現型を基に治療計画を選択すること:を含み、
ここで複数のタンパク質は、表2、3、4、11、12、13及び/又は15に表されたバイオマーカーパネルから選択される。
この生体試料は、好ましくは、膵腫瘍の試料(例えば生検)であるが、本発明のこの態様及び他の態様において、生体試料は、膵腫瘍において調節されるタンパク質の代表を提供することが可能である対象の任意の液体又は固体試料であることが想定される。例えば、本明細書において同定される生物学的マーカーが決定され、且つ対象由来の血液又は尿試料からそれらの量又は濃度、又はリン酸化状態が定量され、これにより生検の必要性を回避することができる。
本方法は、例えば使用者が、対象から得られた膵臓試料は、腫瘍であるかどうか、再発の確度を有するかどうか(すなわち、腫瘍の切除後8〜33ヶ月の間、10〜20ヶ月の間、又は15〜17ヶ月の間に)、及び/又はどの薬物標的が腫瘍に存在するかを決定することを可能にする。
例えば参照発現レベルとの比較により、本方法は、表12から選択された、又はより好ましくは表2から選択された、複数のアップレギュレートされたタンパク質を同定することができる。更に好ましい実施態様において、これらのアップレギュレートされたタンパク質は、少なくともホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ-1及び/又はムチン1;任意に表12及び/又は表2から選択された任意の1、2、3、4種又はそれよりも多い更なるタンパク質との組合せを含む。参照レベルと比較したこれらのアップレギュレートされたタンパク質の存在は、その試料が膵腫瘍であることを示すであろう。
同様に本方法は、参照レベルと比較して有意に制御されるリン酸化部位を伴うこれらのタンパク質を、すなわち複数のリン酸化されたタンパク質のレベルを、表3、11、4、13及び/又は15から選択された参照レベルと比較することにより、決定することができる。この比較は、試料が、再発の確度を伴う表現型腫瘍又は非再発の確度を伴う表現型腫瘍に分類されることを可能にする。例えば、調節されたリン酸化部位を伴う複数のタンパク質は、表11から、より好ましくは表11A(再発性腫瘍においてアップレギュレートされたリン酸化)及び表11B(再発性腫瘍においてダウンレギュレートされたリン酸化)から選択することができる。
実際、本発明者らにより得られた結果は、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2単独のリン酸化におけるアップレギュレーションは、腫瘍の切除後、8〜33ヶ月の間、10〜20ヶ月の間又は15〜17ヶ月の間の、腫瘍の再発の確度を予測するのに十分であり得ることを示唆している。従って膵腫瘍の再発の確度を予測するために、対象から得られた生体試料中の二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2の増加したリン酸化の決定は、本発明の更なる態様を形作る。場合によっては、増加したリン酸化は、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2のスレオニン394で決定され得る。本方法は、例えば免疫組織化学による、この部位のみでの、増加したリン酸化の決定に関与し得るか、又は他のリン酸化部位と組合せたこの部位での決定を含み得る。本方法は更に、表11から選択された1種以上の更なるタンパク質上の部位のリン酸化の増加又は減少の決定を含む。
本発明のこの第四の態様の更なる実施態様において、本方法は、試験下の該腫瘍の薬物感受性の決定を可能にする。本発明者らは、腫瘍が、非腫瘍と比べ影響を受けるシグナル伝達経路に関して分類され得るリンペプチドデータのそれらの分析から決定し、且つ結果的に個別化治療計画を、その腫瘍において最も感受性がある薬物標的を基に、設計することができる。特に表15は、タンパク質(酵素)の活性化又は阻害のいずれかを誘導することがわかっているリン酸化部位を含むそれらのタンパク質(酵素)を提供する。従って本方法は、調節された(アップ-又はダウンレギュレートされた)表15から選択された複数のタンパク質を同定することができ、従ってその腫瘍において影響されたシグナル伝達経路に関する情報を提供することができる。この情報は、臨床医が、該シグナル伝達経路における特定のタンパク質を標的化することがわかっているそれらの薬物を選択することにより、該対象に関して個別化薬物治療計画を決定することを可能にする。これらの薬物は、ダサチニブ、ソラフェニブ、ボリノスタット、テムシロリムス、AEZS-131及びGSK2141795からなる群から選択され得る。
好ましい実施態様において、表15から選択された複数のタンパク質は、チロシン-プロテインキナーゼ(Fyn)、チロシン-プロテインキナーゼCSK(Src)、RAF癌原遺伝子セリン/スレオニン-プロテインキナーゼ、ヒストンデアセチラーゼ1、ヒストンデアセチラーゼ2、mTORのラパムチン(Rapamucin)-非感受性コンパニオン(RICTOR);ERK1マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、ERK2マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、及び/又はRAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼを含む。
表15及び表4は、リン酸化された場合にタンパク質を阻害又は活性化することがわかっているリン酸化部位を含むこれらのペプチドの詳細を提供している。これらの部位を含むタンパク質は、本発明者らにより、バックグラウンド(正常)組織と比べ、腫瘍においてアップ又はダウンレギュレートのいずれかであることが同定されている。結果として、これらの部位は、膵腫瘍のマーカーとして使用することができ、且つ特定の試料中どのタンパク質が調節されるかに応じて、腫瘍の成長又は再発を阻害するために対象を治療するよう使用される薬物の組合せを選択するために使用することができる。
より更に好ましい実施態様において、複数のタンパク質が、インテグリンβ-4;カテニンα-1、接合部接着分子A(JAM-A);チロシンプロテインキナーゼFyn;マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1);RAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼ(AKT1);グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3αからなる群から選択される。
該対象から得られた生体試料は、好ましくは、膵臓癌を有することが疑われる個体から採取された生検試料である。本方法は、薬物治療の効果をモニタリングするために、ある期間にわたり、該対象由来の数多くの生検試料について実行されることができる。
好ましい実施態様において、発現レベル及び/又はリン酸化レベルを比較し且つ腫瘍の分子表現型を決定する工程は、第一の態様の膵腫瘍分類システムを使用し、実行することができる。
本発明者らは、膵腫瘍試料のプロテオミクス分析を行うために、適合された液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS/MS)法を使用している。これは、現在その特異的バイオマーカーが、すなわち非腫瘍とは対照的に腫瘍中で有意にアップ-又はダウンレギュレートされるこれらのタンパク質が、本発明者らにより決定される好ましい方法であるが、他の標準方法を、試料中のこれらのマーカーを決定するために採用することができる。実際、本発明者らは、個別のマーカーとして作用することができる、腫瘍組織中でそのように有意に調整されている数多くのマーカーを決定しており、これにより複数のマーカーの分析を避けている。
従って生体試料中の1種以上の、又は複数のタンパク質の量を決定するための、本発明のこの態様及び他の態様の方法は、いずれか好適な方法を使用し実現することができる。この決定は、タンパク質質量又は濃度の直接定量に関与し得る。この決定は、例えばタンパク質の量(例えば濃度)と相関される測定値を提供するアッセイを使用する間接定量に関与し得る。本発明のこの態様及び他の態様の方法のある場合において、1種以上の、又は複数のタンパク質の量を決定することは:
該試料を、1種以上の、又は複数のタンパク質に選択的且つ独立して結合する特異的結合メンバーと接触させること;並びに、
該特異的結合メンバー及び1種以上の、又は複数のタンパク質により形成された複合体を検出及び/又は定量すること:を含む。
特異的結合メンバーは、タンパク質バイオマーカーに選択的に結合する抗体又は抗体断片であることができる。抗体は、検出のために標識されることが好ましい。例えば、タンパク質濃度を決定するための簡便なアッセイフォーマットは、ELISAである。この決定は、ペプチド濃度に関して既知の濃度の標準を使用して標準曲線を作成し、且つ対象由来の試料で得られた読み値を標準曲線と比較し、これにより対象由来の試料中のタンパク質バイオマーカー濃度の測定値を誘導することを含む。様々な方法を、好適にはタンパク質の量(例えば濃度)の決定に利用することができ、その非限定的例は:ウェスタンブロット、ELISA(酵素-結合免疫吸着アッセイ)、RIA(放射免疫測定)、競合的EIA(競合的酵素免疫学的検定)、DAS-ELISA(二重抗体サンドイッチ-ELISA)、液体イムノアレイ技術(例えば、Luminex xMAP技術又はBecton-Dickinson FACS技術)、免疫細胞化学又は免疫組織化学技術、特異抗体を含むリバースタンパク質マイクロアレイ及びリバースリンタンパク質アレイを含むタンパク質マイクロアレイの使用を基にした技術、「ディップスティック」アッセイ、アフィニティクロマトグラフィー技術及びリガンド結合アッセイがある。特異的結合メンバーは、タンパク質バイオマーカーと選択的に結合する抗体又は抗体断片であることができる。任意の好適な抗体フォーマットを利用することができる。本発明の任意の態様に従う本明細書において意図される特異的結合メンバーの更なるクラスは、アプタマー(核酸アプタマー及びペプチドアプタマーを含む)を含む。有利なことに、タンパク質バイオマーカーに対するアプタマーは、米国特許第5,475,096号及び第5,270,163号に開示された、SELEX(試験管内進化法(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment))として公知のものなどの技術を使用し提供されることができる。
本発明のこの態様及び他の態様における方法の一部の場合において、参照された表から選択されたタンパク質バイオマーカーの量の決定は、質量分析による該タンパク質に特有のペプチドのレベルの測定を含むことができる。質量分析によるペプチドのレベルの測定に適した技術は、当業者には容易に入手可能であり、且つSILAC、AQUA(その全内容が引用により本明細書中に具体的に組み込まれているWO 03/016861に開示)及びTMTキャリブレータ(その全内容が引用により本明細書中に具体的に組み込まれているWO 2008/110581に開示)を含む、選択的反応モニタリング(SRM)及びマルチ反応モニタリング(MRM)同位体希釈質量分析に関連した技術を含む。WO 2008/110581は、標準較正曲線をもたらすために、標識後に、定量的比で混合され得る参照試料中の全てのタンパク質の個別のアリコートを標識化するアイソバリック質量タグを使用する方法を開示している。次に患者試料が、アイソバリック質量タグの同じセットの更に独立したメンバーにより標識され、且つ較正曲線と混合される。この混合物は次に、タンデム質量分析に供され、且つ特定のタンパク質由来のペプチドは、MS/MSスペクトルにおいてアイソバリック質量タグから放出される特有の質量レポーターイオンの出現を基に同定及び定量されることができる。
参照レベルとして、表2、3、4、11、12、13及び/又は表15から選択されるマーカータンパク質を、使用することができる。場合によっては、タンパク質マーカーの質量分析を基にした決定を利用する場合、本発明の方法は、マーカーペプチドを含む少なくとも2種の異なるアリコートを含む較正試料を提供することを含み、各アリコートは、既知量であり、ここで該生体試料及び各該アリコートは、1以上のアイソバリック質量標識物により、示差的に標識される。好ましくは、アイソバリック質量標識物は各々、異なる質量の分光学的に区別される質量マーカー基を含む。
従って本発明の好ましい実施態様において、方法は、既知のタンパク質マーカー由来のペプチドに関する1以上の決定された転移を使用する選択的反応モニタリングにより、表2、3、4、11、12、13及び/又は表15から選択された1種以上の、又は複数のマーカータンパク質の発現レベル又はリン酸化レベルの変化を決定すること;試験下の試料中のペプチドレベルを、1種以上の、又は複数の該マーカータンパク質の発現の変化を基に膵臓癌を表すように先に決定されたペプチドレベルと比較することを含む。この比較工程は、対応する合成ペプチドの既知量により、試験下の試料由来のマーカーペプチドの量を決定することを含むことができる。この合成ペプチドは、試料から得られたペプチドと、配列が同一であるが、異なる質量のタグ又は重同位体などの標識物により識別され得る。
これらの合成マーカーペプチド(標識物を伴う又は伴わない)の1種以上は、本発明の更なる態様を形成する。これらの合成ペプチドは、対象における膵臓癌の診断を目的とする;又は、腫瘍、非腫瘍、再発の確度、又は非再発の確度、薬物感受性、原発性腫瘍、若しくは続発性(転移性)腫瘍から選択される分子表現型への対象由来の膵臓試料の分類を目的とする;又は、該対象に関する治療計画の選択のための、キットの形で提供され得る。
本発明のこの態様及び他の態様に関する好ましい実施態様において、1種以上のタンパク質、又は複数のタンパク質は、ムチン-1及び/又はホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ-1を;任意に表2、3、4、11、12、13及び/又は15から、好ましくは表12及び/又は表2から選択された1、2、3又は4種の更なるタンパク質と組合せて含む。
タンパク質発現のレベルを決定する他の好適な方法は、表面-増強レーザー脱離イオン化-飛行時間型(SELDI-TOF)質量分析;LS/MS/MSを含む、マトリクス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析;エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析;並びに、好ましいSRM及びTMT-SRMを含む。
本発明の更なる態様において、前記方法を実行するのに使用するためのキット、特に対象から得られた試料に関して腫瘍、非腫瘍、再発、非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍からなる群から選択される分子表現型へ、膵臓癌を分類するのに使用するためのキットが提供される。
全ての実施態様において、このキットは、試験下の試料中の、表2、3、4、11、12、13及び/又は15に提供された複数のマーカータンパク質又はそれらの断片並びに該マーカータンパク質に対する抗体から選択された複数の分析物のタンパク質発現及び/又はリン酸化状態の存在、レベル(アップ-又はダウン-レギュレーション)を使用者が決定することを可能にし、キットは:
(a)各々、その上に固定された複数の該分析物の1つに独立して特異的である、複数の結合メンバーを有する固体支持体;
(b)標識物を含むデベロッピング試薬;並びに、任意に、
(c)洗浄液、希釈剤及び緩衝液からなる群から選択される1種以上の構成要素:を含む。
前記結合メンバーは、前述のものであってよい。
一実施態様において、このキットは、アッセイ-互換性フォーマットで分析物を提供することができる。前述のように、試料中のタンパク質、抗体又は核酸分子の存在又は量を決定する様々なアッセイが、当該技術分野において公知である。様々な好適なアッセイは、より詳細に以下において説明され、且つ各々は本発明の実施態様を形成する。
本キットは、それにより1種以上のマーカータンパク質の発現レベルの決定を比較することができる定量的測定を提供する、標準又は参照を追加的に提供することができる。この標準は、膵臓癌を示す2種以上のバイオマーカーのレベルを示すことができる。
本キットはまた、本方法の実行に関する印刷された説明書を含むことができる。
好ましい実施態様において、本キットは、質量分析アッセイの実行のためであることができ、且つアッセイ互換性フォーマットにおける表2、3、4、11、12、13及び/又は15に提示されたタンパク質に由来した参照ペプチド(例えばSRMペプチド)のセットを含むことができ、ここでセット内の各ペプチドは、複数のマーカータンパク質の各々を独自に代表している。好ましくは2、3、4又は5種又はそれよりも多いこのような特有のペプチドが、そのためにキットが設計された各タンパク質のために使用され、ここで特有のペプチドの各セットは、該試料の標準調製品中のこのようなタンパク質のレベルを反映する既知量で提供される。任意に、SRMペプチドは、表13、3、11及び/又は表14に提示された標的タンパク質内の示差的にリン酸化された部位を表すリンペプチドである。任意に、キットはまた、該試料由来のタンパク質の単離及び抽出のためのプロトコール及び試薬、トリプシンなどのタンパク質分解酵素の精製された調製品、並びにモニタリングされるべき前駆体質量及び特異的転移の詳細を含む、方法の詳細なプロトコールを提供することができる。このペプチドは、合成ペプチドであることができ、且つ炭素、窒素、酸素及び/又は水素の1以上の重同位体を含むことができる。
本明細書に提供される分類方法はまた、リン酸化の結果としてのタンパク質調整の決定を含む。本発明者らは、数多くのタンパク質が、バックグラウンド組織とは対照的に、膵臓癌組織において誘導されるか又は阻害されることを示した。従って、本発明は、膵臓癌を有することが疑われる対象から得られた試料中の表13、3、11及び/又は表14から選択された1種以上の、又は複数のタンパク質のリン酸化状態を決定することを含む方法を提供する。
好ましくは、該1種以上の又は複数のタンパク質は、インテグリンβ-4、カテニンα-1、接合部接着分子A(JAM-A)、チロシンプロテインキナーゼFyn;マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1);RAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼ(AKT1);グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3αからなる群から選択される。
好ましい実施態様において、このタンパク質は、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2である。特に本発明者らは、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2のホスホ-T394でのリン酸化は、バックグラウンド(非腫瘍)に比べ腫瘍症例において増加したことを決定し、且つこの部位でのリン酸化は、中央値16.5ヶ月での腫瘍の再発と正相関している(図4)ことを示した。
表11、15及び/又は表4は、非腫瘍と比べ、膵腫瘍試料において調節されるタンパク質上の他のリン酸化部位のリストを提供する。これらの各部位は、再発の確度及び薬物感受性に関して膵腫瘍を分類するためのマーカーを提供する。従って各リン酸化部位は、確度及び再発の時期及び/若しくは薬物感受性に関する膵腫瘍の分類において使用するために、単独で、又は組合せて、本発明の態様を形成する。
例として、チロシン-プロテインキナーゼFyn上のホスホ-S21のレベルを決定することを含む、ダサチニブ(BMS-354825-スプリセル(商標))による治療に対する膵腫瘍の感受性を予測する方法が提供され、ここでこのタンパク質のアップレギュレーションは、その膵腫瘍は、ダサチニブによる治療に対し感受性であろうということを示す(表4)。
更に、マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1)上のホスホ-T185及び/又はホスホ-Y187のレベル;並びに、これに加えて又はこれの代わりに、マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ3(MAPK3/ERK1)のホスホ-T202及び/又はホスホ-Y204のレベルを決定することを含む、AEZS-131(Aeterna Zentaris社)及び/又はSCH772984(Merck社)による治療に対する膵腫瘍の感受性を予測する方法が提供され、ここでこのタンパク質リン酸化のアップレギュレーションは、その膵腫瘍は、AEZS-131及び/又はSCH772984による治療に対し感受性であろうということを示す。更なる例については、表4を参照されたい。
タンパク質のリン酸化の決定は、当該技術分野において標準である。例えば、特定のリン酸化モチーフに対し特異性を有する抗体が、宿主動物において産生され、且つその後免疫組織化学を使用しインサイチュで組織中の関連モチーフの検出、又はウェスタンブロット若しくは酵素-結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用する組織若しくは体液からの標的タンパク質の後続の抽出に使用することができる。他の抗体ベースの検出方法は、当業者に周知であり、且つ質量分析に連結されたビーズ-懸濁アレイ、平板アレイ、放射免疫学的検定及び免疫沈降を含む。しかし、標的タンパク質が検出前に最初に濃縮される二段階プロセスにおいては、リンタンパク質特異抗体を使用することが通常必要である。これは、特定のキナーゼの複数の基質内のそのような抗体により認識されたエピトープの共有性のためである。別の言い方をすると、キナーゼがその基質内のリン酸化部位を認識する様式は、4〜8個のアミノ酸の保存配列である抗体により認識されたエピトープに類似している。
場合によっては、タンパク質のリン酸化は、増殖培地中又は実験動物の食餌補給品中のリンの放射性同位元素、典型的にはP32を提供することにより、モニタリングすることができる。規定された期間の代謝物標識の後、特定のタンパク質中のP32の組込みをゲル電気泳動及び液体クロマトグラフィーなどの標準タンパク質分離法を使用する放射性シグナルの検出を続けることができる。
好ましい実施態様において、表13、表3及び/又は表11から選択された複数のタンパク質は、インテグリンβ-4;カテニンα-1、接合部接着分子A(JAM-A);チロシンプロテインキナーゼFyn;マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1);RAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼ(AKT1);グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3αを含む。
本発明の更なる態様において、膵腫瘍試料を1以上の分子表現型へ分類する方法が提供され、該方法は:
(1)対象から採取された膵腫瘍試料及び膵非腫瘍試料の両方において、表12及び/若しくは表2から選択された1種以上の、又は複数のタンパク質のタンパク質発現レベルを決定すること;並びに/又は
(2)対象から採取された膵腫瘍試料及び膵非腫瘍試料において、表3、表13及び/若しくは表11から選択された1種以上の、又は複数のリンタンパク質のアップ若しくはダウンレギュレーションを決定すること;
(3)腫瘍試料中の該タンパク質発現レベルを、非腫瘍試料と比較すること;並びに/又は、腫瘍試料中のリンタンパク質のアップ若しくはダウンレギュレーションを、非腫瘍試料と比較すること;
(4)予測アルゴリズムを適用し、該対象の該タンパク質発現レベル及び/又はリンタンパク質レベルに関する予測値を生じること:
Figure 2016535270
(式中、iは対象試料であり、T=腫瘍、及びNT=非腫瘍);
(5)該表現型を予測する値を含むデータベースを参照し、該膵腫瘍試料を、分子表現型へ分類すること:を含み、
ここで該データベースは、表2、3、4、11、12、13及び/又は15から選択された1種以上の、又は複数のタンパク質に関する予測値を含み;且つ、ここで分子表現型は、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;薬物感受性;原発性及び/又は続発性腫瘍から選択される。
好ましい実施態様において、タンパク質マーカーは、log2 T/NT比が≧1又は≦-1である場合に、調整される(発現又はリン酸化がアップレギュレートされるか又はダウンレギュレートされるかのいずれか)とみなされる。
好ましい実施態様において、この分類は、第一の態様に従う膵腫瘍分類システムにより実行される。
好ましくは、前記方法は、膵臓癌の対象の予後を決定するために使用することができる。これに関連して、予後は、切除手術、放射線療法又は化学療法の後の早期再発、後期再発又は非再発の決定を含む。例えば、本方法は、発現及びリン酸化の値を、表11、3、及び/又は13から選択された、1種以上の、又は複数のタンパク質に関する値と、比較することができる。
好ましい実施態様において、この1種以上の、又は複数のタンパク質は、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2を含む。
本発明のこの態様及び他の態様に関して、手術により切除された腫瘍又は腫瘍生検の総タンパク質内容物は、抽出され、且つ当該技術分野において公知の及び/又は本明細書に記載された方法による、ホスホプロテオミクス分析に供される。このような分析により検出された各リンペプチドの相対存在量は、データベースに記録され(例えば、第一の態様に従うシステムを使用し)、並びに総プロファイルは、凝集型クラスタ化(Agglomerative Clustering)などの方法を用い、再発及び非再発の膵臓癌の既知の症例と比較される。この「ボトムアップ」アプローチにより:各観察は、それ自身のクラスタにおいて開始し、且つクラスタ対が統合され、階層が一つ上がる。凝集型クラスタ化プロセスの最後に、分析される腫瘍は、その再発確度を表す群にクラスタ化されるであろう。好ましい実施態様において、データベースはまた、再発腫瘍プロファイルを伴う個別の患者に再発の起こり得る時間をまた割り当てるため、術後再発又は初回治療の具体的時間を伴う試料の十分な数を保持する。再発の起こり得る時間は、腫瘍の切除後、8〜33ヶ月、10〜20ヶ月、又は15〜17ヶ月である。
本発明の更なる態様において、膵臓癌の対象のための治療計画を選択する方法が提供され、該方法は:
(1)表15及び/又は表4から選択される1種以上の、又は複数のタンパク質マーカーのリンタンパク質レベルを決定すること、
(2)該決定を、先に決定された薬物感受性の参照代表と比較すること、及び
(3)該腫瘍の薬物感受性を基に、該対象の薬物治療計画を選択すること、
を含む。
好ましい実施態様において、薬物標的は、示差的リン酸化部位を保持する特定のタンパク質であるか、又はこれは、このような示差的リン酸化に寄与する上流キナーゼ又はホスファターゼである。
好ましい実施態様において、表15及び/又は表4から選択された複数のタンパク質は、チロシン-プロテインキナーゼFyn、チロシン-プロテインキナーゼCSK(Src)、RAF癌原遺伝子セリン/スレオニン-プロテインキナーゼ、ヒストンデアセチラーゼ1、ヒストンデアセチラーゼ2、mTORのラパムチン-非感受性コンパニオン(RICTOR);ERK1マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、ERK2マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、及び/又は、RAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼを含む。
好ましくは本薬物は、ダサチニブ、ソラフェニブ、ボリノスタット、テムシロリムス、AEZS-131及びGSK2141795からなる群から選択される。
本発明の全ての態様に関して、決定工程は、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS/MS)により実行されることが好ましい。
また更なる本発明の態様において、本発明の方法及びシステムが、表2、3、12、11、13、14及び/又は15から選択されたタンパク質に対する発癌の経路を調整する新規化合物の性能を分析するために使用される、分子標的薬のデザインを改善する方法が提供される。
従って本発明は更に、分子標的薬の有効性を試験する方法を提供し、この方法は:
対象から膵腫瘍の試料を得る工程であって;例えば試料を入手する前に該対象へ投与することにより、試験される分子標的薬と、該腫瘍を接触させる、前記工程;
例えばタンパク質又はリン酸化されたタンパク質の相対存在量などの、該試料からプロテオミクスデータを抽出すること;
該プロテオミクスデータを、参照データ、例えば試験下の分子標的薬と接触する前に同じ腫瘍の試料から得られたデータと比較すること、
を含み、
ここで、分子標的薬に接触後に採取された試料と、分子標的薬に接触前に採取された試料の間のプロテオミクスデータの変化は、治療する膵腫瘍における分子標的薬の有効性を示し;並びに
ここでプロテオミクスデータは、表15及び/又は表4から選択された複数のリンタンパク質の相対存在量レベルを含む。
プロテオミクスデータは、複数のタンパク質の各々に特有のリンペプチドの相対存在量(例えば、アップレギュレートされた又はダウンレギュレートされた)を測定することにより得ることができる。好ましくは、リンペプチドは、表15及び/又は表4から選択される。
例として、ヒト膵臓癌-由来の細胞株は、ビヒクル対照を含む異なる濃度で、又は異なる時間、候補治療的化合物に曝露される。候補治療的化合物への曝露後、細胞は溶解され、且つ総タンパク質が抽出される。好ましくは、該タンパク質は、トリプシンなどのタンパク質分解酵素を用いて、消化され、且つ例えばアイソバリック質量タグを用いて、標識される。好ましくは、アイソバリック質量タグは、Tandem Mass Tag(Thermo Scientific社)である。いくつかの細胞株由来の標識されたペプチドは、LC-MS/MSによる分析前に、一緒に混合されることができる。好ましくは、候補薬物の既知の標的を表している1種以上の参照標識ペプチド(例えば、表15及び/又は表4から選択された)は、定量的内部標準を提供するために含まれてよい。LC-MS/MS分析の後、治療された各試料中の1種以上の、及び好ましくは全てのリンペプチドの相対存在量は、例えばSysQuantデータベースなどの、第一の態様に従うシステムにおける分析に提出され、且つ凝集型階層的クラスタ化(Agglomerative Heirarchical Clustering)に供され、治療表現型を得る。陽性治療表現型を達成する化合物は、更なる開発のために優先されてよい。
本発明のこの態様の方法は、異種移植片腫瘍及び臨床試験に参加しているヒト対象から採取された腫瘍を含む、創薬プロセスの任意の態様に適用され得ることは、理解されるべきである。
本発明のこの態様の方法はまた、切除された腫瘍由来の原発性腫瘍細胞培養物の調製品を基にした膵腫瘍を伴う患者において最も効果的な分子標的薬の決定、異なる分子標的薬への原発性細胞培養物の曝露、並びに例えば本発明者らのSysQuant法などの、本明細書に記載の方法を使用するリンタンパク質の相対レベルの分析に適用され得ることは、更に理解されるべきである。
好ましくは、本タンパク質(又はそれらの特有のペプチド)は、チロシン-プロテインキナーゼFyn、チロシン-プロテインキナーゼCSK(Src)、RAF癌原遺伝子セリン/スレオニン-プロテインキナーゼ、ヒストンデアセチラーゼ1、ヒストンデアセチラーゼ2、mTORのラパムチン-非感受性コンパニオン(RICTOR);ERK1マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、ERK2マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、インテグリンβ4、カテニンα-1、接合部接着分子A(JAM-A);マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1);グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3α;ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)、及び/又はRAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼの1種以上の、又は複数を含む。
本発明の更なる態様において、本発明の方法及びシステム、例えばSysQuantデータベースなどは、再発性膵臓癌の分析に適用することができる。新たな腫瘍が膵臓癌に関する治療を先に受けた患者において確定される、いわゆる再発性腫瘍であるか、又は新規腫瘍が、体の別所の腫瘍について先に治療された患者の膵臓において認められる、いわゆる転移性腫瘍である場合、再発性又は転移性腫瘍の治療に関して耐性の機序及び可能性のある新規標的を確定することは重要である。従って本発明の方法は、再発性又は転移性腫瘍におけるタンパク質及びリン酸化部位の変化の分析において利用することができる。
本発明はまた、対象における膵腫瘍の分子表現型を決定するために、表2、3、4、11、12、13及び/又は15から選択された複数のバイオマーカーの使用を提供し、ここで該分子表現型は、腫瘍、非腫瘍、再発、非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍からなる群から選択される。
好ましくは、本バイオマーカーは、表2及び/又は表12から選択され、且つ分子表現型は、腫瘍又は非腫瘍から選択される。
特にバイオマーカーは、ムチン-1、インテグリンβ4、及び/又はホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1を含むことができる。
更なる実施態様において、本バイオマーカーは、表3、11及び/又は表13から選択され、且つ分子表現型は、腫瘍再発又は腫瘍非再発、例えば二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2から選択される。
また更なる実施態様において、本バイオマーカーは、表4及び/又は15から選択され、且つ分子表現型は、薬物感受性から選択される。例えば、本バイオマーカーは、チロシン-プロテインキナーゼFyn、チロシン-プロテインキナーゼCSK(Src)、RAF癌原遺伝子セリン/スレオニン-プロテインキナーゼ、ヒストンデアセチラーゼ1、ヒストンデアセチラーゼ2、mTORのラパムチン-非感受性コンパニオン(RICTOR);ERK1マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、ERK2マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、インテグリンβ4、カテニンα-1、接合部接着分子A(JAM-A);マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1);グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3α;及び/又はRAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼ(AKT1)の1種以上、又は複数を含むことができる。
本発明者らは、腫瘍患者対非腫瘍患者において、一貫して示差的に発現される数多くのプロテインキナーゼを決定した。従って本発明は、膵臓癌の数多くの新規治療用標的を提供する。加えて、本発明は、キナーゼインヒビターを使用し、膵臓癌の対象を治療する方法を提供する。一実施態様において、本発明は、対象における膵臓癌を治療する方法を提供し、該方法は、HIPK1;MRCKα;及び、MLCKから選択される1種以上のタンパク質のキナーゼ活性を阻害するのに有効な化合物を投与することを含む。
本発明のある種の態様及び実施態様は、実施例により並びに先に説明された図面及び表を参照し、ここで例示される。本発明は、このような組合せが、明確に容認できないか又ははっきりと回避されるべきであると言及されている場合を除き、説明された態様及び好ましい特徴の組合せを含む。本明細書において言及された全ての文献は、全ての目的に関してそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
(図及び表の簡単な説明)
図1は、TMT8plexの総(TMT8plex-ALL)及び個別の(TMT8plex1、TMT8plex2、TMT8plex3)、全部で3種のTMT8plex試料にわたるSysQuantワークフローの、TiO2、IMAC、及び/又は非-エンリッチアームにおいて同定された、以下の数を表す、ベン図である:A.特有のリンペプチド、B.特有の非-リンペプチド、及び、C.特有の総ペプチド。図1.Dは、分析的試行1、分析的試行2、及び分析的試行3からのペプチド同定に関して、本発明者らが観察した重複レベルを表している(試行1及び2からの同定からコンパイルされた時間依存型棄却(time dependent rejection)リストを含む)。
図2A:該データにおける全分散の13.6%(PC1)及び10.6%(PC2)を説明する、最初の2種の主要構成要素のPC1及びPC2スコアプロット。円形は、95%信頼区間を基にしたT2収容空間を描写する。図2B:該データにおける全分散の10.6%(PC2)及び14.4%(PC3)を説明する、次の主要構成要素のPC2及びPC3スコアプロット。
図3:階層的クラスタ分析を、本試験において定量した合計5409種のリンペプチドのlog2 T/NT値において行った。リンペプチドは、行欄においてクラスタ化され、且つ症例は、列欄においてクラスタ化されている。3A:再発した患者由来の腫瘍組織においてより低いレベル(緑色)を表しているが、再発していない患者由来の腫瘍においてより高いレベル(赤色)を表している、リンペプチドを含む、クラスタマップの領域に焦点を当てている。赤色矢印は、再発と最良の相関関係にあるリンペプチドを指摘している。3B:3Aの逆を表している、リンペプチドを含む、クラスタマップの領域に焦点を当てている。3C:全症例由来の腫瘍においてより低いレベルを表すリンペプチド(上側パネル)、及び全症例由来の腫瘍においてより高いレベルを表すリンペプチド(下側パネル)。3D:ピアソン相関係数を、全症例にわたり計算し、且つ階層的クラスタ化を、これらの値について行った。この表は、各症例におけるリンパ節転移及び再発の存在又は非存在を示している。
図4:二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2のホスホ-T394を含むリンペプチドの全てのlog2 T/NT比を、合計し、且つ表に提示し、棒グラフ上にプロットした。再発した患者(経過観察の中央値16.5ヶ月)は、最終試験時に再発しない患者と一緒に群別した。試験時、再発時、-80℃のフリーザー内の組織貯蔵時及びリンパ節転移(mets)の存在は、表に示している。
図5:以下に関するlog2 T/NT比に関連している-log10 P-値を示す、ボルケーノプロット:SysQuantワークフローの、(A)タンパク質、及び(B)IMACにおいて測定されたリンペプチド、(C)TiO2において測定されたリンペプチド、並びに(D)非-エンリッチアームにおいて測定されたリンペプチド。赤色円は、それらが、log2 T/NT比≧0.75又は≦-0.75を示し、並びにp-値≦0.05を有するので、生物学的に有意なリンペプチドを指摘している。図E:有意に調整されたワークフローの3本のアームにわたる635種のリンペプチドの分布を図示している、ベン図である。
図6A:有意に制御されたリンペプチドを伴う全てのタンパク質由来の寄託番号を使用し構築されたSTRINGタンパク質相互作用ネットワークを示す。図示されたネットワークにおいて、合計で、408種のタンパク質由来の635種の有意に調整されたリンペプチドが存在する。図6B:同じSTRINGネットワークを示しているが、KEGG密着結合シグナル伝達経路に関与したそれらのタンパク質を赤色で強調している。密着結合タンパク質由来のリンペプチドも列挙している。図6C:GO生物学的プロセス「RASタンパク質シグナルトランスダクションの制御」に関連したそれらのタンパク質を赤色で強調しており、且つそれらのリンペプチドは、表に列挙している。
図7:膵臓癌組織において調整されたシグナル伝達経路。(A)このスキーマは、密着結合、接着結合及び焦点接着のKEGGシグナル伝達経路からリン酸化されたものとして同定された全てのタンパク質をまとめている。赤色星印は、12症例のいずれかにおいてリン酸化されたものとして同定されたそれらのタンパク質を示している。色つきの円により強調されたタンパク質は、既知の薬物標的である。(B)log2 T/NT比≧1又は≦-1を示す症例1由来のリンペプチド(図4B)は、KEGG由来の密着結合及び接着結合シグナル伝達経路に対するDAVIDバイオインフォマティックリソースにより、最大有意性でマッチしたタンパク質(Benjaminiを基に)に由来した。赤色星印は、症例1由来のlog2 T/NT比≧1又は≦-1のリンペプチドを生じるタンパク質を示し、且つ色つきの円は、最も好適な薬物標的を示し、これは症例1においてはFYNである。(C)log2 T/NT比≧1又は≦-1を示す症例10由来のリンペプチドは、KEGG由来の密着結合及び焦点接着シグナル伝達経路に対するDAVIDバイオインフォマティックリソースにより、最大有意性でマッチしたタンパク質(Benjaminiを基に)に由来した。赤色星印は、症例10由来のlog2 T/NT比≧1又は≦-1のリンペプチドを生じるタンパク質を示し、且つ色つきの円は、最も好適な薬物標的を示し、これは症例10においてはAKT1及びMAPK1であるように見える。
図8A:このMA-プロットは、完全非正規化データセットにわたる、対数変換された比、対、対数変換された強度を示す。 図8B:このMA-プロットは、図8Aと同じものを示すが、データは、総和-スケーリング(sum-scaling)により正規化されており、従ってより良くゼロ-中央値化されている。
表1:各TMT8plex及び合計において同定された、ペプチドスペクトルマッチの数、特有のペプチドの数及びリン酸化部位の数。
表2:全12症例にわたり平均した、バックグラウンド組織と比べ腫瘍において有意にアップレギュレートされたトップ12タンパク質。各タンパク質由来のリン酸化されないペプチドのlog2 T/NT比を、各タンパク質の相対存在量を計算するための代理値として使用した。リン酸化されないペプチドのlog2 T/NT比は、ワークフローの3アーム(IMAC、TiO2、非-エンリッチ)にわたり平均した。
表3:全12症例にわたり平均した、バックグラウンド組織と比べ腫瘍において有意に調節されたリンペプチド。全リンペプチドは、以下のKEGGシグナル伝達経路に関与したタンパク質に由来している;密着結合、焦点接着、血管平滑筋収縮、アクチン細胞骨格の再構築。ここで本発明者らは、タンパク質及びリンペプチドのp値及びlog2 T/NT比を提示している。
表4:抗癌剤標的であることがわかっているタンパク質上のリン酸化部位のアクチベーター及びインヒビターを含むペプチドの例を提示する。各ペプチド配列中のリン酸化された残基には、下線を引いている。log2 T/NT比は、ワークフローの3種のアーム全てから計算された中央値であり、且つ全ての比が≧1又は≦-1のものは、太字で強調した。赤色のペプチドは、アクチベーターリン酸化部位を含むのに対し、青色のペプチドは、インヒビターリン酸化部位を含む。黒色のペプチドは、機能が不明のリン酸化部位を含む。
表5:膵頭部膵管腺癌の14症例の特徴は、本試験において使用するために、肝臓研究機関(Institute of Liver Studies)のBioBankから選択した。
表6:試験下の各症例の腫瘍病期及び再発。黄色の症例は、腫瘍切除後、8〜33ヶ月の間の再発を示した(経過観察期間の中央値16.5ヶ月)。病期IIAと病期IIBの間の差異は、リンパ節転移の存在(IIB)又は非存在(IIA)である。
表7:試験下の各症例に関する臨床情報(例えば、再発の時期)。
表8:本試験においてSysQuantワークフローのために使用した各試料からのタンパク質量。
表9:ペプチドは、異なるタンデム質量タグ(TMT)により標識される。表9は、どのTMT8plexタグを、本試験において分析される3種の各TMT8plex試料のうちのどの試料の標識に使用したかを示している。
表10:3種のTMT8plex試料全てを、3つのアリコートに分けた。その後TMT標識されたペプチドの全部で9のアリコートを、SCX-HPLCにより各12の画分に分けた。3種のTMT8plex試料の各々について、12画分はIMACを用いリンペプチドについて濃縮し、12画分はTiO2を用いリンペプチドについてエンリッチし、並びに12画分はリンペプチドについてエンリッチしなかったが、代わりにLC-MS/MSにより直接分析し、正規化を目的として相対タンパク質存在量を決定した。
表11:図3Dで一緒にクラスタ化された再発を伴う症例由来の腫瘍、対、非腫瘍において、高レベル(Log2 T/NT≧0.7)及び低レベル(log2 T/NT≦-0.7)を提示しているリンペプチド。
表12:腫瘍、対、非腫瘍において有意に調節されたタンパク質(150種のタンパク質)。12症例にわたるT-検定p-値及び平均log2 T/NT比、並びに各症例に関するLog2 T/NT比を提供している。
表13:そこで同じく各症例からlog2 T/NT比≧1又は≦-1(2倍以上アップ/ダウンレギュレートされた)を明らかにするリンペプチドが得られたシグナル伝達経路(「用語」と題された列に示されたKEGG経路)に関与したタンパク質の寄託番号。p値及びBenjamini確率などの情報も示している。
表14:症例1−以下のKEGGシグナル伝達経路に関与したタンパク質由来の、log2 T/NT比≧1又は≦-1を示す症例1由来のリンペプチド:密着結合、接着結合及び焦点接着。
表15:症例別−リン酸化された酵素の活性化又は阻害のいずれかを誘導することがわかっている部位で、log2 T/NT比≧1又は≦-1を示す、リンペプチド。
(略語及び定義)
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
SCX=強陽イオン交換
TiO2=二酸化チタン
IMAC=固定された金属アフィニティクロマトグラフィー
T=腫瘍
NT=非腫瘍
LC-MS=液体クロマトグラフィー−質量分析
STRING=遺伝子/タンパク質相互作用の検索のための検索ツール
GO=遺伝子オントロジー
KEGG=京都遺伝子ゲノム百科事典
TMT=タンデム質量タグ。
本発明の文脈における表現型「腫瘍」は、膵臓の癌腫、特に膵頭腺癌の結果として、異常な増殖(悪性成長)を生じる新生物細胞を意味することとする。
本発明の文脈における表現型「非腫瘍」は、正常な、非-新生物性若しくは良性の新生物性の膵細胞を意味することとする。このような細胞は、異常な成長から得られることもあるが、このような成長は、悪性、例えば嚢胞ではないことは理解されるであろう。
表現型「再発の確度」は、例えば手術による切除後、8〜30ヶ月の間に再度出現する腫瘍の確度を意味することとする。
表現型「非再発の確度」は、例えば手術による切除後、再度出現しない腫瘍の確度を意味することとする。
本発明の文脈において表現型「薬物感受性」は、1以上の分子薬物標的を含む、細胞シグナル伝達経路の調整の分子プロファイル指標を示す膵腫瘍を意味することとする。薬物標的は、FYN、GSK3α/β、HDAC1/2、RAFキナーゼ、MAPK(p38及びERK2)、AKT、PKC、カゼインキナーゼから選択され得る。
表現型「原発性腫瘍」は、膵臓に起源のある腫瘍を意味することとする。
表現型「続発性腫瘍」又は「転移性腫瘍」は、対象において別所に位置した腫瘍に起源のある癌細胞により形成される膵腫瘍を意味することとする。
用語「複数」は、1以上の言及された表から選択された、1より多い、2より多い、3より多い、4より多い、5より多い、10より多い、15より多い、20より多い、25より多い、30より多い、タンパク質、ペプチド、リンタンパク質又はリンペプチドを意味することができる。
用語「複数」は、言及された表で割合として表現される、1種よりも多いタンパク質、ペプチド、リンタンパク質、リンペプチドも意味することができる。例えば、複数は、言及された表に提供されたタンパク質、ペプチド、リンタンパク質又はリンペプチドの10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%を含むことができる。
両方の場合において、複数が言及された表から選択される場合、タンパク質、ペプチド、リンタンパク質、又はリンペプチドの任意の組合せは、本発明の実施態様を形成することが想定される。例えば、12種のタンパク質が列挙されている表2に関して、複数のタンパク質は、ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1を、表2に列挙された残りのタンパク質の1種以上、2種以上、3種以上などと一緒に含み得ることが意図されている。これは、独立して各タンパク質について当てはまり、すなわちムチン-1は、表2に列挙された残りのタンパク質の1種以上、2種以上、3種以上などと組合せられ得る。
例として、このような組合せは、数学的表記「組合せ」で表わすことができる:
Figure 2016535270

これは、式 nCk (すなわち、「n個からk個を選ぶ」)の形で表すことができる。表12の場合、n=12(表の合計)であり、及びkは選択されたサブセットの数である。
表2、3、4、11、12、13、14及び/又は15の2種以上のマーカーの全ての組合せは、本明細書において具体的に意図されており、すなわち表2に関して、全部で66種の可能な対(12C2)、3種のマーカーの全部で220種の可能な組合せ(12C3)、4種のマーカーの全部で495種の可能な組合せ(12C4)、5種のマーカーの全部で792種の可能な組合せ(12C5)、6種のマーカーの全部で924種の可能な組合せ(12C6)などである。
用語「タンパク質」は、完全長タンパク質、又は、例えば翻訳後スプライシング変種、アイソフォーム、グリコシル化型、リン酸化型若しくは他の翻訳後修飾を含むなどのタンパク質の任意の形を含むように解釈されることとする。これらの表において言及されたタンパク質に関して、Uniprot-IDが、得られるその配列を含む、タンパク質の完全な詳細を可能にするよう提供される。各Uniprot-IDは、本発明の日付などの、任意の所定の日付に、具体的配列が該Uniprot-IDに関連付けられることを可能にするヒストリーログを有し、その後の改変又は改訂に関わりなく容易に決定することができることは、当該技術分野において理解される。この情報及びデータは、引用により本明細書中に組み込まれている。
従って、タンパク質の発現レベルの変化は、全てのその形でのタンパク質の発現のアップ若しくはダウンレギュレーションを意味するか、又はタンパク質の特定の形、例えばアイソフォーム、スプライシング変種などのアップ若しくはダウンレギュレーションを意味することができる。
用語「相対存在量」は、参照レベル、すなわちデータベース由来のレベルと、又は異なる/バックグラウンド試料から得られたレベルと比べたタンパク質のレベル、量又は濃度を意味することとする。タンパク質の相対存在量は、該タンパク質に特有の1種以上の、好ましくは2、3、4若しくは5種のペプチドのレベル、量又は濃度を測定し、且つこのレベル、量又は濃度を、参照試料中の同じペプチドと比較することから得ることができる。これは、各ペプチドに関する相対存在量レベルを提供する。次に中央値平均を入手し、タンパク質それ自身のレベル、量又は濃度を例示する。
用語「ペプチド」は、完全長タンパク質由来のアミノ酸配列を意味することとする。ペプチドは、その配列が、それが由来したタンパク質に特有のものであるのに十分なアミノ酸を含むであろう。これは、長さが少なくとも4、5、6、7、8、9若しくは10個と少ないアミノ酸であることができ、より好ましくは4個と50、40、35、30、25若しくは20個の間のアミノ酸、又は5個と50、45、40、35、30、25若しくは20個の間のアミノ酸、又は5個と50、45、40、35、30、25若しくは20個の間のアミノ酸であることができる。ペプチドは、合成により作製されることができるか、又は完全長タンパク質の例えばトリプシンなどのタンパク質分解酵素消化の結果であることができる。
用語「リンタンパク質」は、例えば、セリン、チロシン又はスレオニンなどのリン酸化部位でリン酸化されている任意のタンパク質を意味することとする。ここでこのような部位は、「ホスホ-Xyyy」として示され、ここでXは、1文字又は3文字アミノ酸コードを表し、且つyは、関連リンタンパク質のUniprot-ID内の残基の位置を規定する整数を表す。
用語「リンペプチド」は、1以上の、好ましくは1つのリン酸化部位、例えばセリン、チロシン又はスレオニンを含むペプチド配列を意味することとする。
リンタンパク質又はリンタンパク質由来のリンペプチドのレベル又はリン酸化状態の変化は、タンパク質それ自身の量(濃度)の変化を必ずしも意味するものではなく、むしろ恐らく特定部位での、該タンパク質のリン酸化された形の変化を意味する。
(材料及び方法)
膵頭部の膵管腺癌の12症例を選択した(表5)。症例選択は、以下の補足的方法に説明している。簡単に述べると、12の腫瘍(T)、対、12の非腫瘍(NT)の膵臓組織標本を、SysQuantワークフローを用いて分析した。組織試料は、膵腫瘍塊から採取したのに対し、NT試料は、その腫瘍塊から離れた部位で同じ膵臓から採取した。全ての組織試料を、外科的切除の30分以内に凍結し、SysQuantによる分析まで、-80℃で貯蔵した(貯蔵期間の中央値18.5ヶ月(4〜28ヶ月の範囲))。実験の詳細は、以下の補足的方法に説明している。まとめると、これは、組織標本からのタンパク質抽出、タンパク質のペプチドへのトリプシン消化、ペプチドのTMT8-plex標識(1つのTMT8-plexにつき4症例由来の腫瘍及び非腫瘍組織)、それに続く単独の8-plex試料混合物を形成するための混合を伴っている(表9参照)。その後各TMT8-plex試料は、3つの独立したアリコートに分けられ、その各々は更に、強陽イオン交換(SCX)クロマトグラフィーにより、12画分に分けられる(表10)。次に12のSCX画分の第一のセットは、2つ組データ依存型捕捉試行を使用するナノフローHPLC-MS/MSにより直接分析し、引き続き試行1及び試行2において同定された全ての特徴の時間依存型棄却を使用し、3回目の試行を行った。12画分の残りの2つのセットは、IMAC又はTiO2のいずれかを使用し、リンペプチドについて最初に濃縮した(表10)。得られた24種のリンペプチドの濃縮画分は、同じナノフローHPLC-MS/MS分析に送った。合計108の個別のナノフローHPLC-MS/MSにおいて、各TMT8-plex試料について試行を行った。生MSデータは、Mascot及びSequest(プロテオームディスカバラーを介して)を使用し、ヒトUniProtKB/Swiss-Protデータベースに対して検索した。ペプチドスペクトルマッチ(PSM)は、それらが低い信頼のみ(≧5%FDR)で同定された場合には、棄却し、≦75%ホスホ-RS確率スコアを示し、且つ失われた定量的チャネルを有した(例えばアイソバリックタグについての全てのピークがスペクトルにおいて可視できるわけではない)。PSM通過フィルターからのアイソバリックタグの生の強度値を、定量のために使用し、且つこれらの値は、可能性のある実験バイアス/システムバイアスを減少するために、総和-スケーリングを用いて正規化した。第一の工程として、log2比は、アイソバリックタグ強度から計算し、これは全症例及び各症例に関するNTを上回るTの間の制御を示している。リンペプチドT/NT log2比は、その具体的ペプチド配列に特有の全てのPSMからのT/NT log2比の中央値である。タンパク質T/NT log2比は、その具体的タンパク質に特有の全て特有のリン酸化されないペプチドからのT/NT log2比の中央値である。データ分析のために、片側t-検定(一標本配置検定)を使用し、p-値を計算した。P-値は、ボルケーノプロット上で、log2 T/NT比に対してプロットし、全ての症例にわたる何らかの有意な制御を検出した。タンパク質レベルにおいて、GO-用語(http://www.geneontology.org/)、KEGG-経路(http://www.genome.jp/kegg/)及びDrugbank(http://www.drugbank.ca/)の情報を使用する注釈を追加し、DAVID (http://david.abcc.ncifcrf.gov/)及びSTRING (http://string-db.org/)などの情報源を同じく使用し、経路にマッピングした。リン酸化部位レベルで、既知のリン酸化部位の機能及び生物学的/病理学的役割を含む、PhosphoSitePlus (www.phosphosite.org)を使用する注釈を追加した。主成分分析(PCA)及び潜在的構造投影法(PLS)を使用し、ワークフローの全てのアーム(IMAC、TiO2及び非-エンリッチ)からの全てのペプチド比(リンペプチドと非-リンペプチド)からの、多変量データセットをモデル化/調査し、且つ外れ値及び群/クラスタを同定した。最後に、階層的クラスタ化を行い、TとNT組織型間のリンペプチド相対存在量に関連する、並びにまたタンパク質相対存在量にも関連する、症例/標本レベルでのクラスタの階層を構築した。ホスホプロテオミクス試料調製、LC-MS/MS分析、及びバイオインフォマティクス解析を組合せた、SysQuantワークフローを使用し、本発明者らがここで分析した症例において膵臓癌に寄与すると考える重要な分子事象を同定する。
(補足的方法)
(凍結した臨床組織) 倫理的態様及び研究プロトコールは、King's College Hospital肝臓研究機関のバイオバンク委員会(BioBank Committee of the Institute of Liver Studies)により承認された。膵頭部膵管腺癌の12症例は、肝臓研究機関のBiobankデータベースにおいて選択した(表5)。最初に症例2及び症例3を選択したが、後者はこのワークフローのために抽出されたタンパク質が非常に少ないことがわかった。従って数値を12を超えるよう(number back to twelve)増し、2つの追加症例を選択した(症例13及び症例14)。Whipple標本から組織の小片を瞬間凍結し、BioBankフリーザーに貯蔵した(少なくとも2年間)。この組織採取プロセスは、30分以内に完了した。癌(腫瘍)及びバックグラウンド(非腫瘍)の対をなす試料を、各症例について使用した。表6は、腫瘍等級、及び再発が経過観察期間(8〜33ヶ月の範囲)の中央値16.5ヶ月で存在するかどうかを説明している。
(組織細胞溶解) 凍結した臨床組織試料を粉砕し、その後液体窒素の存在下で乳棒と乳鉢を使用し、細粉になるよう摩砕した。次にこの粉末を、氷冷した溶解緩衝液(8M尿素、75mM NaCl、50mMトリス-pH8.2、溶解緩衝液10mLにつきプロテアーゼインヒビターカクテル(コンプリートミニ、Roche社)1錠、及び溶解緩衝液10mLにつきホスファターゼインヒビターカクテル(Roche社)1錠)の1.3mLを含むエッペンドルフチューブに移した。次に試料を、氷上で(4℃)、パルスオン-オフしながら、20%振幅で、20×1秒間音波処理した。12,500g、4℃で10分間の遠心分離後、各試料のタンパク質濃度を、Bradfordタンパク質アッセイ及びマイクロプレート照度計を使用し決定した。各TMT 8-plexに関するこのワークフローに使用したタンパク質量は、表7に示している。
(溶液中トリプシン消化)
Villen及びGygiのNature Protocolのアプローチに従い、還元、システインのアルキル化、及び消化を、該溶解液について行った[Villen, J.、Gygi S.の文献、「質量分析による網羅的リン酸化分析のためのSCX/IMAC濃縮アプローチ」、Nature Protocols. 3, 1630 (2008)]。消化された試料を、2,500gで10分間回転させ、100mgのSepPak tC18カートリッジ(Waters社、ミルフォード、MA、米国)上で脱塩した。ペプチドを、50%ACN/0.1%TFAにより溶出させ、凍結乾燥した。
(TMT標識) 全ての試料由来の消化したペプチドを、200mM TEAB/10%ACN中に、個別に再懸濁し、以下の標識デザインに示したように、それらの各TMT8plex試薬(最終濃度15mM)と混合し、室温で1時間インキュベートするために放置した。その後TMT反応を、0.25%ヒドロキシルアミンにより15分間で終了させた。試料を、3つのTMT8plex(以下に示した標識デザイン)にプールし、更に15分間インキュベートするために放置した。各TMT8plex試料を酸性とし、アセトニトリル濃度を、5%以下まで希釈し、その後3つのアリコートに分割し、その各々を、200mg SepPak tC18カートリッジ上で脱塩し、溶出させ、次に凍結乾燥した。標識デザインは、表8に示している。
(SCX-HPLC)
凍結乾燥したペプチドの全部で9のアリコート(表9)を、SCX緩衝液C中に再懸濁し、次にSCX-HPLCにより、12画分に分離した。Villen及びGygiの、Nature Protocol26のアプローチに従い、この分画を、polySULFOETHYL-Aカラム(PolyLC)及び本発明者らのSCX HPLCシステム(Waters Alliance 2695)を用いて実行した。
緩衝液A:水中0.1%TFA。
緩衝液C:7mM KH2PO4、pH2.65、30%ACN(容積/容積)。
緩衝液D:7mM KH2PO4、350mM KCl、pH2.65、30%ACN(容積/容積)。
(固定化金属-アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)及びTiO2
リンペプチドを、IMAC(Thermo Scientific Pierce社、製品コード88300)又はTiO2(Thermo Scientific Pierce社、製品コード88301)により、製造業者の指示に従い、濃縮した。
(グラファイトスピンカラム)
リンペプチドの濃縮後、ペプチドを、グラファイトスピンカラム(Thermo Scientific Pierce社、製品コード88302)を用い、製造業者の指示に従い精製した。
(液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS))
全部で108画分由来のペプチドを、2%ACN、0.1%FAの35μl中で再懸濁し、その後各試料8μLを、Thermo Scientific社Proxeon EASY-nLC IIシステムを使用し、ReproSil C18、5μm(Dr. Maisch)を自己充填した0.1×20mmプレ-カラム上に注入した。その後ペプチドを、流量300nL/分で、ReproSil C18, 3μm(Dr. Maisch)の0.075×150mm自己充填カラムを通し、アセトニトリル中の0.1%ギ酸の漸増勾配(90分間かけて10%から25%へ)を用いて分離した。クロマトグラフィー試行を通じて(115分間)、400m/zでの分解能15000で、10回の高エネルギー衝突誘起解離(HCD)のFTMS走査を使用する、質量スペクトルを、Thermo Scientific社LTQ Orbitrap Velos上で獲得し、その後各々FTMS走査した(400m/zでの分解能30000で2×μScans)。HCDは、各FTMS走査からの最も強いイオンの10種について実行し、その後、30秒間動的除外リストを行った(10ppm m/zウインドウ)。各FTMS1走査のためのAGCイオン注入標的は、1000000であった(最大注入時間500ms)。各HCD FTMS2走査のためのAGCイオン注入標的は、50000であった(最大イオン注入時間500ms)。各試料を、3回のLC-MSMS分析的反復により分析し、ここで3回目の分析的反復は、時間依存型棄却リストを使用し、最初の2回の分析的反復の一方において、1%FDRを伴うペプチドと同定された全てのペプチドイオンを棄却した。
(ペプチド同定及び定量)
(プロテオームディスカバラー(Proteome Discoverer))
全体で、324の生データファイルが存在し(3×TMT8plex試料×3つのアリコート×12画分×3回の分析的反復)、この場合各TMT8plexに属する108の生データファイルが存在した。第一のTMT8plex試料由来の合計108の生データファイルは、以下に説明したようなプロテオームディスカバラーを使用するMudpit検索のために一緒にした。これはまた、第二及び第三のTMT8plex試料についても実行した。
生データは、スペクトルファイルノードを使用する、Termo Scientific社のプロテオームディスカバラー1.3ソフトウェアへ送付した。スペクトル選択装置は、そのデフォルト値に設定する一方で、Mascotノードは、uniprot_sprotデータベース、ホモ・サピエンス分類に対しデータを検索するように設定した。このノードは、カルバミドメチル(C)、TMT6plex(K)、及びTMT6plex(N-Term)の静的修正により、トリプシンペプチド(2つの誤切断)について検索するようにプログラムされた。動的修正は、STYの脱アミド化(N/Q)、酸化(M)、及びリン酸化に設定した。前駆体マストレランスは20ppmに設定し、フラグメント(bイオン及びyイオン)マストレランスは20mmuに設定した。スペクトルはまた、Mascotノードと同じデータベース、修正、及びトレランスを用い、SEQUESTに対して検索した。スペクトルはまた、PhosphoRS2.0(フラグメントマストレランス20mmu、CID及びHCDに関する中性脱離ピークを考慮)及びPercolatorノードを用い検索した。
レポーターイオン量記号ノードは、セントロイド化後、トレランス20ppmを用い;126.12773m/z (126)、127.12476m/z (127e)、127.13108m/z (127)、128.13444m/z (128)、129.13147m/z (129e)、129.13779m/z (129)、130.14115m/z (130)、131.13818m/z (131)で;同定されたPSM全てから、TMT8plexモノ-同位体イオンの生の強度値を測定するように設定した。プロテオームディスカバラーを使用するこの段階で、フィルターは適用せず、従って全ての生の強度値は、後の自家製ソフトウェアを使用するプロセシング及びフィルタリングのために、エクセルにエクスポートした。
(バイオインフォマティクス)
患者12名からのT(膵腫瘍組織)及びNT(非腫瘍組織)の疾患群に関して、関連した制御を調べるために、統計解析を行った。
質量分析定量アプローチの正確度及び精度は、実験バイアス、系統誤差、偶然誤差(分散の不均一性)、及び定量値の喪失などの問題を被り得る。正確度及び精度を改善するために、本発明者らは、それらのデータの質を評価し、次に以下に説明したようにフィルタリング及び正規化を行った。
(MSの品質−データフィルタリング及び正規化:)
全てのTMT-8 plexレポーター強度を含まないスペクトルは全て削除した。正規化のために、総和-スケーリングを行った。試料間の差異のために、更なるプロセシングの前に、データを正規化することが推奨される。正規化の効果は、以下のMAプロットにより観察することができる(http://en.wikipedia.org/wiki/MA_plot)。
(統計)
第一工程として、log2比を計算し、これは全患者及び各患者に関する、NT(非腫瘍組織)を上回るT(膵腫瘍組織)の制御を示している。タンパク質比に関して、リン酸化されていない全てのペプチドを使用し、且つ中央値と組合せた。
これらの比は、下記式で計算した:
Figure 2016535270
(式中、i=患者1、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14)。
データ解析に関して、片側t-検定(又は一標本配置検定)を使用する[http://en.wikipedia.org/wiki/T_test]。片側t-検定は、問題の対象における有意な制御を検出することができる。
P-値及びlog2比は、関心対象の添付されたリスト(表5)において認めることができる。有意なp-値は、赤色で強調した。GO-用語、KEGG-経路及びDrugbank情報による注釈は、タンパク質レベルで加え、且つリン部位プラスからの注釈は、リン酸化部位レベルで加えた。
リンペプチド比に関して、任意のリン酸化部位において75%を超えるプロテオームディスカバラーにおけるリン-RS有用性の確率を有する全てのペプチドを、使用した。
(結果及び考察)
本発明者らは、合計で2,101種のタンパク質群から、6,543種の特有のリンペプチド(6,284の特有のリン酸化部位)を同定した(表1)。図1は、各TMT 8-plexに関するSysQuantワークフローの3アーム(非-エンリッチ、TiO2、IMAC)の全てにわたる同定されたペプチド(リン酸化された及びリン酸化されない)分布を示している。図1はまた、1試料につき3つの分析的反復の各々に関する検出されたペプチドの数を図示している。平行した構成要素の各々の結果(TiO2、IMAC、非-エンリッチ)が比較される場合には、組合せたアプローチの恩恵が明らかである。リンペプチドの最大総数は、同定された全ての特有のリンペプチドの79%を占めるIMAC濃縮物を使用し、認めることができる。しかし、TiO2画分は、単独のリンペプチド濃縮物戦略を使用し喪失されるであろう全体のほぼ19%が独自に同定された(図1:TMT8plex-ALL:a)。同じことが、各試料について実行された3つの分析的試行について当てはまった。単独のデータ依存型試行が実行される場合、わずかに20,318の特有のペプチドが認められる(図1:TMT8plex-ALL:d)。第二のデータ-依存型試行は、5,868ペプチドを追加したのに対し、試行3における時間依存型棄却リストの使用は、更に3257のペプチドが、全体で同定されることを可能にした。合計すると(試行2及び試行3)、これは、試行1単独に加え更に45%及び特有のペプチドの総数の31%を表している。重要なことに、3回目の試行で同定されたペプチドは、一般により低い存在量である。
(PLS/PCA)
PLSは、このデータセット内に外れ値は存在しないことを明らかにした。PLS PC1及びPC2は、図2Aに示したように、3つのクラスタIMAC、TiO2及び総タンパク質(すなわち、ワークフローの非-エンリッチアーム)が存在することを示している。最初の2つの主成分のPC1及びPC2スコアプロットは、このデータの全分散の13.6%(PC1)及び10.6%(PC2)を説明している。円形は、95%信頼区間を基にしたT2収容空間を描いている。全ての試料は、このモデルの境界内にある。PC1は、濃縮法をいい、PC2は患者をいう。総タンパク質(非-エンリッチペプチド)は、本ワークフローの濃縮アームIMAC及びTiO2とは異なるクラスタを有する(図2A)。次の主成分のPC2及びPC3スコアプロットは、このデータの全分散の10.6%(PC2)及び14.4%(PC3)を説明している(図2B)。PC3において、PLSは、2つのクラスタにおいてTとNTに分割することができる。総タンパク質(非-エンリッチペプチド)は、それ自身のクラスタを有するが、これはまたT及びNTのクラスへ分けることができる。わずかに患者12名が、観察されたNTに比べTにおいて差がなかった。PLS/PCAは、本実験は成功したこと、及びTとNTの間に有意差が存在することを確認している。TiO2、IMAC及び総タンパク質(非-エンリッチ)の間に差異が存在するが、TiO2とIMACは、ほぼ等しい相関を有する。
(階層的クラスタ分析)
階層的クラスタ分析を使用し、NTに比べTにおけるこれら5409種のリンペプチドの相対存在量の類似のプロファイルを明らかにする症例を、クラスタ化した(図3A-3Cは、関心対象の特定の領域を示す)。全部で5409種の特有のリンペプチドを使用し、12名の患者は、3つの独立した群にクラスタ化することができる。第一クラスタは、症例5、9、1、及び14を含み、第二クラスタは、症例7、6、12、4及び13を含むのに対し、症例8、10、及び11は、第三のクラスタに分離され、他の2つのクラスタのメンバーよりも互いの関連性の密度が低かった。興味深いことに、12名の患者の臨床既往歴が明らかにされない場合に、本発明者らは、症例5、9、1、及び14は、本試験において分析された腫瘍の切除後8〜33ヶ月の間(経過観察期間の中央値16.5ヶ月)に、腫瘍再発に冒された患者である一方で、症例7、6、12、4及び13は、この同じ期間に再発しない患者であったことを認めた。患者既往歴のより詳細については、表6及び表7に言及している。3つの外れ値のうち、2つは、その後再発した患者(症例10及び11)から、並びに1つは、非再発患者(症例8)からであった。3つの外れ値のうちの2つは、再発クラスタ(4/4名病期IIB、pT3N1M0)及び非再発クラスタ(4/5名病期IIB、pT3N1M0)に比べ、より進行していない病期IIA(pT3N0M0)であったことは興味深い。このクラスタ分析の更なる精緻化を、ピアソン相関係数についてクラスタ化することにより行った。ピアソン相関係数は、全症例にわたり全てのリンペプチドlog2 T/NT値を比較することにより得られた(図3D)。このクラスタ分析の精緻化は、再発症例と非再発症例をより良く分離する。
階層的クラスタ分析は、再発及び非再発に応じて、患者を明確に群別し、結果的に本発明者らは、その存在量が再発と正相関及び逆相関したこれらのリンペプチドを同定することに特に興味を持ち、その理由は、これらは、有用な診断マーカーを実証し、且つそれらの切除されたT及びNT組織の分析後、新規患者の再発の確度の予想を支援するからである。これらのリンペプチドは、表11に見ることができる。表11は、図3Dにおいて一緒にクラスタ化されている再発症例由来の腫瘍、対、非腫瘍において、高レベル(log2 T/NT≧0.7)及び低レベル(log2 T/NT≦-0.7)を示している全てのリンペプチドを示している。表11のリンペプチドの組合せリストは、手術後31ヶ月以前に再発するであろう患者を臨床医が予測することを補助する、有用な診断マーカーを提供している。
TとNTの間の網羅的プロファイルにおける差異に加え、特に興味深い多くの個別のリン酸化部位の変化が存在する。例として、図2B(赤色矢印で強調した)及び図4に認められるように、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2のホスホ-T394を含むリンペプチドの相対存在量プロファイルは、中央値16.5ヶ月での腫瘍再発に冒された患者と正相関している。これらは、再発を示す全症例において、NTに対しTにおいて実質的に増加し、且つ再発を示さなかった全症例において、NTに対しTにおいて減少若しくはわずかにのみ増加した(図4)。このキナーゼは、RAS及びRAFの下流であるが、ERK1/2の上流であることがわかっている、RAS/RAF/MEK/ERKシグナル伝達経路の一部である。K-RAS遺伝子は、ほとんどの膵腫瘍において、最も一般的にはK-RASG12Dの形で、発癌型に変異されている[12]。残念なことに、K-RASペプチドは、本試験においては検出されなかった。しかしK-RASの下流である二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2のホスホ-T394の測定は、再発の時点の予測を支援する、重要な予後判定マーカーであることを実証することができる。ペプチドを検索するために本発明者らが使用したUniProtKB/Swiss-Protデータベースは、K-RAS点変異を含んでおらず、このことは、本試験において検出されたK-RASペプチドが欠けていることを説明している。これは、既知の発癌点変異を含むデータベースの必要性を強調している。他のRASシグナル伝達タンパク質は、STRINGマップにおいて認められるように、有意に調整されたリンペプチドを示すことが、確定された(下記参照)。
本発明者らはまた、NTに対するTにおけるタンパク質の相対存在量における類似のプロファイルを明らかにする症例をクラスタ化するために、階層的クラスタ分析を行ったが、しかしクラスタと再発/非再発の間の相関は、余り明確ではなく、このことは、総タンパク質発現レベルの変化は、リン酸化ほどは劇的には変化しないことを示唆し、且つ予後診断ツールとしての本発明者らのリンペプチド分析の重要性を表している。
(有意に制御されたタンパク質発現)
本発明者らは、各タンパク質の相対存在量を計算するための代理値として、各タンパク質に特有の非-リン酸化ペプチドの中央値log2 T/NT比を使用し、非腫瘍組織と比べた腫瘍におけるタンパク質の相対存在量を決定した。片側t-検定を使用し、p-値を計算し、且つこれらをボルケーノプロット上でlog2 T/NT比に対してプロットし、全症例にわたる有意な制御(Log2 T/NT≧0.3又は≦-0.3及びp≦0.05)を検出した(図5A)。全部で、Log2 T/NT≧0.3又は≦-0.3及びp≦0.05を基に有意に制御された150種のタンパク質が存在した(表12)。表2は、非腫瘍組織と比べ腫瘍において最も有意にアップレギュレートされた12種のタンパク質を展示し、且つ同じく各タンパク質の任意の公知の機能の説明又は癌との関係を提供している[13-31]。ムチン-1の過剰発現は、癌と関係することが多く、本発明者らはまた、ムチン-1は膵腫瘍組織において有意にアップレギュレートされることも発見した。興味深いことに、本発明者らは、ムチン-1よりもより有意にアップレギュレートされたタンパク質を発見し、その一部は、膵臓癌のより特異的マーカー、恐らく更に新たな治療用標的、例えばホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1であることを証明することができる。
本発明者らは、有意に調整されたタンパク質の全ての寄託番号を選択し、これらをDAVIDバイオインフォマティクスリソースにアップロードし、最も有意に調整されたこれらのKEGGシグナル伝達経路を同定した。焦点接着KEGGシグナル伝達経路は、最も有意に調整され、Benjaminiスコア1.0E-3をもたらす。有意に調整された焦点接着タンパク質は、以下を含む:タリン-1、フィラミン-A、フィラミン-C、ビンキュリン、フィラミンB、フィブロネクチン、焦点接着キナーゼ1、ザイキシン、タリン-2、プロテインホスファターゼ1調節サブユニット12A、及び平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(表12)。固定された若しくは不動化された細胞において、焦点接着は、正常条件下でかなり安定しているのに対し、運動性細胞においては安定性が低く、そこでは焦点接着は、一貫して集成及び解体され、その理由はこの細胞は、その最先端で新たな接触を確立し、その後端で古い接触を破壊するからである。
肝細胞癌由来の増殖因子も、ほとんどの腫瘍標本においてアップレギュレートされ、且つこれは、p-値を基に有意性がある(p≦0.05)。
本発明者らが特に関心があるのは、ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)は、非腫瘍組織と比べ腫瘍において有意に過剰発現される(中央値log2 T/NT=0.5及びp-値=2.95E-02)という決定であった。MLCKは、ミオシン軽鎖タンパク質のリン酸化を介して筋収縮及び細胞遊走などの様々な細胞機能を制御する、Ca2+/カルモジュリン-依存性プロテインキナーゼである。腫瘍細胞遊走は腫瘍の拡散において重要な工程であるので、ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)は、腫瘍の拡散を防止するための治療用標的とみなすことができる。実際、MLCKの活性化及び発現は、転移の傾向と正の相関があることがわかっている。
(有意に制御されたリンペプチド)
リン酸化されたペプチドのlog2 T/NT比を使用し、特定の特有のリン酸化部位でのリン酸化の相対レベルを計算した。本発明者らは、t-検定を使用し、p-値を計算し、且つ図5B-5Dに示されるように、これらを、ワークフローのIMAC、TiO2、及び非-エンリッチのアームに関するボルケーノプロットにおいてlog2 T/NT比に対してプロットし、全症例にわたる有意な制御(Log2 T/NT≧0.75又は≦-0.75及びp≦0.05)を検出した。本試験で同定された6,543種のリンペプチドのうち、5409種は定量可能であった(データは示さず)。定量可能なペプチドのうち、635種は、有意な制御を示した(図5B-5D)。
本発明者らは、非腫瘍組織と比べ腫瘍間で有意差のある存在量のリンペプチド(635種)を生じる、それらのタンパク質の全部で408種の特有の寄託番号を選択し、これらの寄託番号をSTRING(相互作用する遺伝子/タンパク質を検索するための探索ツール(Search Tool for the Retrieval of Interacting Genes/Proteins))にアップロードした。STRINGは、これらのタンパク質を、最大の有意性で密着結合KEGGシグナル伝達経路にマッチさせ、該経路への408種のタンパク質中14種のマッチ後、p-値2.50E-5をもたらした。本発明者らはまた、STRINGを使用し、どのGO用語(生物学的プロセス、分子機能、及び細胞の構成要素)に、これらの408種のタンパク質が最も強力に関連付けられたかを同定した。アクチンフィラメントベースのプロセス(n=29;p-値=4.47E-8)、アクチン結合(n=40;p-値=2.59E-18)、細胞骨格(n=77;p-値=2.66E-13)は、最大の有意性でマッチしたGO用語であった。本発明者らはまた、STRINGを使用し、RASは、膵臓癌における重要な腫瘍性タンパク質であることがわかっているので、408種のタンパク質のうちのいずれが、GOの生物学的プロセス「RASタンパク質シグナルトランスダクションの制御」に関連するかを同定した。408種のタンパク質のうちの16種は、p-値1.06E-2でこのGO生物学的プロセスにマッチした一方で、これらの16種のうちの10種は、STRINGネットワークにマッピングすることができた(図6C)。
(プロテインキナーゼのリン酸化)
本発明者らが特に関心があるのは、セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(表11a参照)由来のリンペプチドは、非腫瘍に比べ腫瘍において有意に上昇されるという知見であった。これは、リン酸化部位S1629を含むものに関して特に当てはまる。MRCKαは、Rho GTPase、CDC42の重要な下流エフェクターであり、且つ細胞骨格再組織化、細胞突起の形成の制御において、重要な役割を果たし、且つ細胞遊走を促進する。更なる情報は、Brittonらの文献、PLOS ONE March 2014; Vol. 9, Issue 3 e90948において認めることができ、その内容はそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
従ってMRCKαは、膵臓癌の重要な治療用標的として提供され、且つMRCKαのキナーゼインヒビターは、可能性のある治療薬として提供される。
(症例別)
本発明者らはまた、全ての症例について平均化した場合に腫瘍と非腫瘍組織の間で、どのタンパク質及びリンペプチドが存在量の有意差を示すかを決定することに加え、どのリンペプチドが、症例別ベースで高度に調整されたかを決定することを欲した。log2 T/NT比≧1又は≦-1(2倍以上アップ/ダウン-レギュレーションされた)を明らかにしているリンペプチドを生じたタンパク質の寄託番号を、症例1から選択した。次にこれらの寄託番号を、症例1において最も調整されたKEGGシグナル伝達経路を同定したDAVIDバイオインフォマティックリソースにアップロードした。本発明者らは、各症例に関してこのアプローチを繰り返し、次に症例別ベースで、p値を基に、及びBenjaminiスコアを基に、有意性を明らかにしたKEGGシグナル伝達経路を選択した(表13)。Benjaminiスコア≦0.05を伴う表12の全てのこれらのKEGG経路は、黄色で強調した。DAVIDバイオインフォマティック出力からのp値を基に、密着結合シグナル伝達経路は、全症例において(12/12症例)非腫瘍と比べ腫瘍間で調整されることを決定し、引き続き接着結合シグナル伝達(10/12症例)及び焦点接着シグナル伝達(10/12症例)について決定した。図7は、3種のシグナル伝達経路を示し、且つ赤色星印で印をつけた長方形は、本発明者らが12症例の全てにわたりリン酸化されたとして同定したそれらのタンパク質を示している。表3は、密着結合及び焦点接着シグナル伝達経路、並びに有意に調整されたことが認められた他のシグナル伝達経路(アクチン細胞骨格及び血管平滑筋収縮の制御)に関連したタンパク質に属する、有意な制御を示す、全てのリンペプチドを示している。
表14は、症例1からのlog2 T/NT比≧1又は≦-1を明らかにしている、全てのリンペプチドを示しており、これらは密着結合、接着結合及び焦点接着KEGGシグナル伝達経路に関与したタンパク質に属する。これらはまた、図7Bにマッピングされている。
(インテグリンβ-4)−インテグリンβ-4リン酸化部位S1483及びS1486を含む二重にリン酸化されたペプチドは、症例1での非腫瘍組織と比べ腫瘍組織において2倍以上上昇された。実際、このリンペプチドは、全ての測定された症例にわたり概して非腫瘍と比べ腫瘍組織において、有意に上昇されることがわかった(データは示さず)。インテグリンβ-4リン酸化は、遊走細胞の後端でのヘミデスモソームなどの、細胞のアンカリング結合の解体に関連している[32, 33]。このようなリン酸化事象は、Fyn(主にチロシン残基で)、PKC(主にセリン残基で)、及び他のキナーゼにより誘導されることが示されている[32]。
(カテニンα-1)−カテニンα-1リン酸化部位S655を含むペプチドは、症例1において非腫瘍と比べ腫瘍組織において2倍以上上昇された。実際、ホスホ-S655を含む単独にリン酸化されたペプチドは、全ての症例にわたり平均して腫瘍組織において、有意に上昇された(データは示さず)。S641、S655、及びS658でのリン酸化は、3症例を除き全ての症例の腫瘍組織において上昇され、これらの3症例中2症例は、病期IIAであった。興味深いことに、カテニンα-1のS641でのリン酸化は、カテニンα-1とカテニンβ-1(βカテニン)の間の分離に繋がることが示され、これはβ-カテニンの転写活性化及び腫瘍細胞侵襲の増加に繋がる[34]。
(接合部接着分子A(JAM-A))−JAM-Aリン酸化部位S284を含むペプチドは、症例1において非腫瘍と比べ腫瘍組織において2倍以上減少され、且つ全ての症例にわたり非腫瘍に比べ腫瘍組織において、有意に減少されることがわかった(データは示さず)。S284でのJAM-Aのリン酸化は、密着結合の形成及び成熟において重要な工程であることがわかっている[35]。ここで本発明者らは、このリン酸化事象は、腫瘍組織において有意に減少され、細胞の上皮間葉転換(EMT)に好ましい事象であり、結果的に転移性拡散することを認めている。
(薬物標的及び他の酵素の活性状態を示すリン酸化事象)
各症例の非腫瘍組織と比べ腫瘍における酵素の相対活性化状態を解明するために、本発明者らは、酵素の活性化又は阻害のいずれかを誘導することがわかっているリン酸化部位を含むリンペプチドの相対存在量を使用した。表4及び表15は、各症例において、リン酸化された酵素の活性化又は阻害のいずれかを誘導することが分かっているリン酸化部位を含む、log2 T/NT比≧1又は≦-1を示す全てのリンペプチドを示す短いリストである。
(チロシン-プロテインキナーゼFyn)−チロシン-プロテインキナーゼFynのホスホ-S21を含むペプチドの相対存在量は、症例1での非腫瘍組織と比べ腫瘍組織において2倍以上上昇されている(表4)。セリン21でのFynのリン酸化は、Fynキナーゼを活性化することが報告されている[36]。従ってこのことは、Fynは、症例1の非腫瘍組織と比べ腫瘍組織においてより活性があることを示唆している。興味深いことに、Fynのホスホ-セリン21は、12症例全てにおいて検出されたが、本発明者らがこのような非腫瘍と比べ腫瘍において比較的高いレベルを認めたのは、症例1のみである。逆に、症例7の腫瘍組織は、非腫瘍組織と比べ、このリンペプチドの2倍以上より低い存在量を示している。Fynは、承認されたキナーゼインヒビターであるダサチニブの標的であるので、この新たなデータは、本明細書記載のワークフロー方法を使用するホスホ-S21を含むペプチドの測定は、ダサチニブに関する魅力的な予測マーカーであり得ることを示唆している。
(マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1))−MAPK1のホスホ-T185及びホスホ-Y187を含むペプチドの相対存在量は、症例5、8、及び10での非腫瘍組織と比べ腫瘍組織において2倍以上上昇される(表4)。T185及び/又はY187でのMAPK1のリン酸化は、MAPK1を活性化することが報告されている[37]。従ってこれは、症例5、8、及び10の非腫瘍組織と比べ腫瘍組織においてMAPK1がより活性があることを示唆している。逆に、症例4及び11の腫瘍組織は、非腫瘍組織と比べ、このホスホ-T185及びホスホ-Y187含有リンペプチドが2倍以上より低いことを示している。MAPK1は、抗癌剤標的(AEZS-131及びSCH772984)であり、且つ同じく多くの他の抗癌剤標的(抗-HER TKI、抗-MEK KI)の下流にあり、従ってこの新たなデータは、本発明者らのワークフローを使用する、ホスホ-T185及びホスホ-Y187を含むペプチドの測定は、これらの標的化された抗-癌療法の予測マーカーであり得ることを示唆している。本発明者らはまた、ホスホ-T185又はホスホ-Y187を含む単独にリン酸化されたペプチドを測定し、更にはホスホ-T202及びホスホ-Y204を含むMAPK2の二重に及び単独にリン酸化されたペプチドを測定した。本明細書記載のワークフロー方法は、MAPK2は、T202及び/若しくはY204においてリン酸化されているかどうか、並びに/又はMAPK1は、T185及び/若しくはY187においてリン酸化されているかどうかを容易に決定することができ、重大なシグナル伝達経路の活性化状態の情報を生じる。
(RAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼ(AKT1))−AKT1のホスホ-S124を含む単独にリン酸化されたペプチド並びにホスホ-S124及びホスホ-S129を含む二重にリン酸化されたペプチドの相対存在量は、症例4、7、10、及び13での非腫瘍組織と比べ腫瘍組織において2倍以上上昇される(表4)。S124及び/又はS129でのAKT1のリン酸化は、AKT1を活性化することが報告されている[38、39]。このことは、AKT1は、症例4、7、10、及び13の非腫瘍組織と比べ腫瘍組織においてより活性があることことを示唆している。従って、抗-AKTキナーゼインヒビターは、これらの患者において有効であることができる。興味深いことに、症例10は、上昇したMAPK1活性も示し、このことはこの患者は、AKT1及びMAPK1インヒビター二重治療の候補であることを示唆しており、このような併用戦略は、膵臓癌細胞株及び異種移植片モデルにおいて有効性があることが証明されている[12]。逆に、これらのアクチベーターリン酸化部位を含むリンペプチドの比較的低い存在量は、AKT1は、症例1、6、8、9、11、及び14の非腫瘍組織と比べ腫瘍組織において活性が低いことを示唆している。AKT1は、抗癌剤標的であり、従って本発明者らのデータは、本明細書記載のワークフロー方法を使用する、ホスホ-S124及びホスホ-S129を含むペプチドの測定は、これらの標的化された抗-癌療法に関する魅力的な予測マーカーであり得ることを示唆している。
(グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3α)−グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3αリン酸化部位Y279を含むペプチドは、症例1、6、13、及び14での非腫瘍組織と比べ腫瘍組織において2倍以上増加される(表15)。Y279のリン酸化は、GSK3αの活性化を引き起こし、これは次に細胞生存を誘導し、及びグリコーゲン産生を減少する[40]。GSK3α発現が、12症例中8症例において測定され、且つ腫瘍において平均して有意に過剰発現されていることが示された。
アクチベーター又はインヒビターリン酸化部位を含むリンペプチドの相対存在量を測定するアプローチを使用し、本発明者らは、以下の相対活性化状態を決定することができた:グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3α及びβ、ヒストンデアセチラーゼ1及び2、RAF癌原遺伝子セリン/スレオニン-プロテインキナーゼ、セリン/スレオニン-プロテインキナーゼA-Raf、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ6、マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ14、及び20種以上の他のもの(表4及び表15)。
注目すべきは、最も有意に富化されたシグナル伝達経路は、主に、細胞骨格動態(dynamics)及び細胞接着、細胞運動性及び転移性拡散の間に通常脱制御される経路に属し、このことは膵臓癌などの高度に転移性の疾患におけるこれらのタンパク質の重要性を強調し、且つ本発明者らのアプローチの妥当性を明らかにしている。前述のKEGGシグナル伝達経路とは無関係の、多くの他の興味深い分子事象も、本実験において観察され、これは全ての腫瘍組織における微小管関連タンパク質Tauのリン酸化部位の一貫して有意な減少を含み(データは示さず)、その逆は、アルツハイマー病に関連した病理を引き起こすことがわかっている。同じく、カゼインキナーゼIアイソフォームε上のアクチベーターリン酸化部位S389は、腫瘍組織において平均して有意に上昇された。
結論として、本発明者らは、それらのLC-MSワークフローが、非腫瘍組織に対して腫瘍組織において数千種ものシグナル伝達タンパク質及び構造タンパク質の存在量及び活性を、どのようにして同時に測定するかを明らかにする実施例を提供し、且つこのような測定をどのように使用し、癌に繋がる分子事象をより良く理解することができるかを示し、結果的に症例別ベースで患者を治療するのに最も適している阻害薬を示す。重要なことは、本発明者らは、リンペプチドlog2 T/NT比の階層的クラスタ化を使用し、これらが、16.5ヶ月の経過観察の中央値で再発を示す可能性の低い患者と比べ、この時点で再発を示す可能性の高い患者を確定することができることを明らかにしている。
(参考文献)
Figure 2016535270
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Claims (74)

  1. 対象における膵腫瘍の分子表現型を決定するための、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択された複数のバイオマーカーの使用であって、ここで該分子表現型が、腫瘍、非腫瘍、再発、非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍からなる群から選択され;並びに、ここで該複数のバイオマーカーが、ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択されるバイオマーカーを少なくとも含む、前記使用。
  2. 前記複数のバイオマーカーが、ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択される2種のバイオマーカーを少なくとも含む、請求項1記載の使用。
  3. 前記複数のバイオマーカーが、ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)を少なくとも含む、請求項1記載の使用。
  4. 膵腫瘍分類装置及び情報通信ターミナル装置を含む膵腫瘍分類システムであって、該膵腫瘍分類装置が、制御部品及び記憶部品を備え、該装置が、ネットワークを介して互いに通信可能に接続されており;
    (1)ここで情報通信ターミナル装置は:
    (1a)対象の膵腫瘍試料から得られたタンパク質データを、膵腫瘍分類装置へと伝達する、タンパク質データ送信ユニット;
    (1b)膵腫瘍分類装置から伝達された対象の膵腫瘍分類の結果を受け取る、結果-受信ユニット:を備え、
    (2)ここで膵腫瘍分類装置は:
    (2a)情報通信ターミナル装置から伝達された対象の膵腫瘍試料から得られたタンパク質データを受け取る、タンパク質データ-受信ユニット;
    (2b)データ-受信ユニットからのデータを、記憶ユニットに保存されたデータと比較する、データ比較ユニット;
    (2c)データ比較ユニットの結果を基に、対象の膵腫瘍の分子表現型を決定する、決定ユニット;及び
    (2d)決定ユニットにより得られた対象の分類結果を、情報通信ターミナル装置へ伝達する、分類結果-送信ユニット:を備え、並びに
    ここで記憶ユニットは、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択された複数のタンパク質のタンパク質発現レベルデータ及び/又はタンパク質リン酸化レベルデータを含む、前記膵腫瘍分類システム。
  5. 前記決定ユニットが、対象の膵腫瘍を、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;原発性腫瘍、続発性(転移性)腫瘍及び/又は薬物感受性を含む分子表現型へ分類する、請求項4記載の膵腫瘍分類システム。
  6. 前記記憶ユニットのタンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルデータが、膵腫瘍試料から得られた複数のデータセットを表す、請求項3又は5記載の膵腫瘍分類システム。
  7. 前記複数のデータセットが、同じ対象由来の対応する膵臓非腫瘍試料のタンパク質発現レベル又はタンパク質リン酸化レベルに対する、タンパク質発現レベル又はタンパク質リン酸化レベルを表す値を含む、請求項6記載の膵腫瘍分類システム。
  8. 前記記憶ユニットが、表11A及び11Bから選択された複数のタンパク質のタンパク質リン酸化データを含み、且つここで分類が、試料の腫瘍再発又は腫瘍非再発の予測を生じる、請求項1〜7のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システム。
  9. 前記記憶ユニットが、表15及び/又は表4から選択された複数のタンパク質のタンパク質リン酸化データを含み、且つここで分類が、膵腫瘍の薬物感受性の予測を生じる、請求項4〜7のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システム。
  10. 前記記憶ユニットが、表12及び/又は表2から選択された複数のタンパク質のタンパク質発現レベルを含み、且つここで分類が、試料の腫瘍又は非腫瘍の表現型の予測を生じる、請求項4〜7のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システム。
  11. 膵腫瘍試料中のタンパク質発現レベル又はタンパク質リン酸化レベルを決定するための装置に接続された、請求項1〜10のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システム。
  12. 前記装置が、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS/MS)を使用し、複数の試料を処理することができる、請求項11記載の膵腫瘍分類システム。
  13. 制御部品及び記憶部品を備える情報処理装置に、対象の膵腫瘍を決定及び/又は分類する方法を実行させる、膵腫瘍分類プログラムであって、該方法が:
    膵臓癌に罹患しているか又は罹患していることが疑われる対象の組織試料から入手された表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択された複数のタンパク質のタンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルを基にしたデータを、記憶部品に保存されたタンパク質データと比較する、比較工程;並びに
    比較工程で算出された比較を基に、該対象の膵腫瘍を分類する、分類工程:を含み、
    ここで該腫瘍が、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;原発性腫瘍、続発性(転移性)腫瘍、及び/又は薬物感受性を含む表現型に分類される、前記膵腫瘍分類プログラム。
  14. その上に記録された請求項13記載の膵腫瘍細胞分類プログラムを含む、コンピュータ-可読記録媒体。
  15. 対象から入手された生体試料中の表12、表2、及び/又は表3から選択された複数のタンパク質の調整を決定することを含む、該対象における膵臓癌を診断する方法であって、ここで:
    (a)該試料中の該複数のタンパク質の存在は、膵臓癌を有する対象を示すか;
    (b)該複数のタンパク質の参照量と比較した該複数のタンパク質の量(濃度)は、膵臓癌を有する対象を示すか;
    (c)該複数のタンパク質の参照量と比較した該複数のタンパク質の量(濃度)の変化は、膵臓癌を有する対象を示すか;又は
    (d)該複数のタンパク質の参照状態と比較した該複数のタンパク質のリン酸化状態の変化は、膵臓癌を有する対象を示す:前記方法。
  16. 前記複数のタンパク質が、表2及び/又は表3に提供されたタンパク質を含む、請求項15記載の方法。
  17. 前記参照量又は参照状態との比較が、請求項3〜7のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システムを使用し得られる、請求項15又は16記載の方法。
  18. 膵腫瘍を分子表現型に分類する方法であって、該方法が:
    (1)対象から入手された生体試料のタンパク質発現及び/又はタンパク質リン酸化プロファイルを作製するために、該試料中の複数のタンパク質について発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルを決定する工程;
    (2)該プロファイルを、該複数のタンパク質の参照タンパク質発現及び/又はタンパク質リン酸化プロファイルと比較する工程であって、該参照プロファイルは、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;薬物感受性;原発性及び/又は続発性腫瘍から選択された膵腫瘍表現型を表す、前記工程;
    (3)膵腫瘍を、試料プロファイルと参照プロファイルの間の比較を基に表現型に分類する工程:を含み、
    ここでこの複数のタンパク質は、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15により表されるバイオマーカーパネルから選択される、前記方法。
  19. 前記参照プロファイルが、同じ対象から入手された非腫瘍膵臓試料のタンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルから得られる、請求項18記載の方法。
  20. 前記参照プロファイルが、先に入手された膵腫瘍試料のタンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルから得られる、請求項18記載の方法。
  21. 前記プロファイルを参照プロファイルと比較する工程が、請求項3〜7のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システムを使用し実行される、請求項20記載の方法。
  22. 前記膵腫瘍分類が、腫瘍再発又は腫瘍非再発を予測し、且つ複数のタンパク質が、表11から選択され;ここで腫瘍再発は、表11Aから選択された複数のタンパク質が、正常に対するリン酸化の増加を示し、並びに表11Bから選択された複数のタンパク質が、正常に対するリン酸化の減少を示す場合に、予測される、請求項18〜21のいずれか一項記載の方法。
  23. 前記複数のタンパク質が、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ2を含む、請求項22記載の方法。
  24. 前記膵腫瘍分類が、腫瘍と非腫瘍の間であり、且つ複数のタンパク質が、表12及び/又は表2から選択される、請求項18〜21のいずれか一項記載の方法。
  25. 前記膵腫瘍分類が、薬物感受性であり、且つ複数のタンパク質が、表15及び/又は表4から選択される、請求項18又は19記載の方法。
  26. 前記薬物が、ダサチニブ、ソラフェニブ、ボリノスタット、テムシロリムス、AEZS-131及びGSK2141795からなる群から選択される、請求項25記載の方法。
  27. 膵臓癌に罹患している対象のための治療計画を選択する方法であって、該方法が:
    (1)該対象の膵腫瘍の発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化プロファイルを作製するために、該腫瘍中の複数のタンパク質のタンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルを入手する工程;
    (2)該プロファイルを、参照プロファイルと比較する工程であって、該参照プロファイルは、腫瘍、非腫瘍、再発、非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍から選択される膵腫瘍表現型を表す、前記工程;
    (3)腫瘍プロファイルと参照プロファイルの間の比較を基に、対象の膵腫瘍を表現型へ分類する工程;並びに
    (4)対象の膵腫瘍の表現型に従い治療計画を選択する工程:を含み、
    ここで、複数のタンパク質は、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15により表されたバイオマーカーパネルから選択される、前記方法。
  28. 前記複数のタンパク質が、表15及び/又は表4から選択され、且つ治療計画が、チロシン-プロテインキナーゼFyn、マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1)、マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ3(MAPK3);RAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼ(AKT1)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ-3αのリン酸化レベルの増加又は減少により特徴づけられる薬物感受性表現型の決定に基づいて選択される、請求項27記載の方法。
  29. 膵腫瘍試料を1種以上の分子表現型へ分類する方法であって、該方法が:
    (1)対象から採取された膵腫瘍試料及び膵非腫瘍試料の両方について、表12及び/若しくは表2から選択された1種以上のタンパク質のタンパク質発現レベルを決定すること;並びに/又は
    (2)対象から採取された膵腫瘍試料及び膵非腫瘍試料中の、表3、表13及び/若しくは表11A及び/若しくは表11Bから選択された1種以上のタンパク質のリン酸化の増加又は減少を決定すること;
    (3)腫瘍試料の該タンパク質発現レベルを、非腫瘍試料と比較すること;並びに/又は、腫瘍試料中のリン酸化の増加又は減少を、非腫瘍試料と比較すること;
    (4)下記の予測アルゴリズムを適用し、該対象の該タンパク質発現レベル及び/又はリン酸化レベルに関する予測値を生じること:
    Figure 2016535270
    (式中、iは対象試料であり、T=腫瘍、及びNT=非腫瘍);
    (5)該表現型を予測する値を含むデータベースを参照し、該膵腫瘍試料を、分子表現型へ分類すること:を含み、
    ここで該データベースは、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択された1種以上のタンパク質に関する予測値を含み;且つ
    ここで分子表現型は、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;薬物感受性;原発性及び/又は続発性腫瘍から選択される、前記方法。
  30. 前記log2 T/NT比が≧1又は≦-1である場合に、タンパク質は増加又は減少すると考えられる、請求項29記載の方法。
  31. 前記分類が、請求項3〜7のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システムにより実行される、請求項29又は30記載の方法。
  32. 前記試料中の1種以上の、又は複数のタンパク質のタンパク質発現レベル又はタンパク質リン酸化レベルを決定する工程が、質量分析により実行される、請求項1〜31のいずれか一項記載の方法。
  33. 前記1種以上の、又は複数のタンパク質のタンパク質発現レベル又はタンパク質リン酸化レベルを決定する工程が、タンパク質由来のペプチド又はリンペプチドの1以上の転移を使用し;並びに、試験下の試料中のペプチド又はリンペプチドレベルを、分子表現型を表すために先に決定されたペプチド又はリンペプチドレベルと比較する、選択的反応モニタリングにより実行される、請求項1〜31のいずれか一項記載の方法。
  34. 前記ペプチドレベルの比較が、対応する合成ペプチドの既知量により、膵臓試料からのタンパク質由来のペプチドの量を決定することを含み、ここでこの合成ペプチドは、標識物を除いて試料から得られたペプチドと配列が同一である、請求項33記載の方法。
  35. 前記標識物が、異なる質量のタグ又は重同位体である、請求項34記載の方法。
  36. 対象における膵腫瘍の分子表現型を決定するための、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択された複数のバイオマーカーの使用であって、ここで該分子表現型が、腫瘍、非腫瘍、再発、非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍からなる群から選択される、前記使用。
  37. 前記バイオマーカーが、表2及び/又は表12から選択され、且つ表現型が腫瘍又は非腫瘍から選択される、請求項36記載の使用。
  38. 前記バイオマーカーが、ムチン-1、インテグリンβ4、及び/又はホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1を含む、請求項37記載の使用。
  39. 前記バイオマーカーが、表3、11A、11B及び/又は表13から選択され、且つ表現型が、腫瘍再発又は腫瘍非再発から選択される、請求項36記載の使用。
  40. 前記バイオマーカーが、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2を含む、請求項39記載の使用。
  41. 前記バイオマーカーが、表4及び/又は15から選択され、且つ表現型が、薬物感受性から選択される、請求項36記載の使用。
  42. 前記バイオマーカーが、チロシン-プロテインキナーゼFyn、チロシン-プロテインキナーゼCSK(Src)、RAF癌原遺伝子セリン/スレオニン-プロテインキナーゼ、ヒストンデアセチラーゼ1、ヒストンデアセチラーゼ2、mTORのラパムチン-非感受性コンパニオン(RICTOR);ERK1マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、ERK2マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、インテグリンβ4、カテニンα-1、接合部接着分子A(JAM-A);マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1);グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3α;及び/又は、RAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼ(AKT1)の1種以上を含む、請求項41記載の使用。
  43. 1種以上の、又は複数のマーカータンパク質の量を決定することにより、膵臓組織試料を、腫瘍、非腫瘍、再発、非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍から選択される表現型へ分類する方法であって、該方法が:
    該試料を、1種以上のタンパク質に選択的且つ独立して結合する特異的結合メンバーと接触させること;並びに
    該特異的結合メンバーと1種以上のタンパク質により形成された複合体を検出及び/又は定量すること;
    該複合体の検出又は量を基に膵臓組織試料を分類すること:を含み、
    ここで該1種以上のタンパク質が、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択される、前記方法。
  44. 前記特異的結合メンバーが、タンパク質マーカーに特異的な抗体又は抗体断片である、請求項43記載の方法。
  45. 前記特異的結合メンバーが、アプタマーである、請求項43記載の方法。
  46. 前記結合メンバーが、固体支持体上に固定されている、請求項43〜45のいずれか一項記載の方法。
  47. 前記複数のタンパク質又は該タンパク質をコードしている核酸配列の1つへ各々が特異的且つ選択的に結合することが可能である、複数の結合メンバーを含む固体支持体であって;ここで該タンパク質が、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択される、前記固体支持体。
  48. 各々が、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択される複数のマーカータンパク質の一つの断片と同一の配列を有する、合成ペプチド又は複数の合成ペプチドであって、該断片が、トリプシン、ArgC、AspN又はLys-C消化による、タンパク質の消化から生じる、前記合成ペプチド又は複数の合成ペプチド。
  49. 前記複数のマーカータンパク質が、ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択される少なくとも1種のマーカータンパク質を含む、請求項48記載の合成ペプチド又は複数の合成ペプチド。
  50. 標識物を更に含む、請求項48又は49記載の合成ペプチド。
  51. 前記標識物が、重同位体である、請求項50記載の合成ペプチド。
  52. 選択的反応モニタリングにおける使用のための、請求項50又は51記載の合成ペプチド。
  53. 膵臓組織試料の、腫瘍、非腫瘍、腫瘍再発、腫瘍非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍から選択された分子表現型への分類において使用するためのキットであって、該キットが、試験下の試料中の、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15のタンパク質、該タンパク質に対する1種以上の抗体、並びに該タンパク質をコードしている1種以上の核酸分子又はそれらの断片から選択された1種以上の分析物のアップ-又はダウン-レギュレーションを使用者が決定することを可能にし、該キットが:
    (a)各々、その上に固定化された分析物の1種に結合することが可能である、複数の結合メンバーを有する固体支持体;
    (b)標識物を含むデベロッピング試薬;並びに、任意に、
    (c)洗浄液、希釈剤及び緩衝液からなる群から選択される1種以上の構成要素:を含む、前記キット。
  54. 前記表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15のタンパク質が、ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質を含む、請求項53記載のキット。
  55. 膵臓組織試料を、腫瘍、非腫瘍、腫瘍再発、腫瘍非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍から選択された分子表現型へ分類するためのキットであって、該キットが、試験下の試料中の、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択された複数のマーカータンパク質の発現レベル及び/又はリン酸化レベルの増加又は減少を使用者が決定することを可能にし、該キットが:
    (a)アッセイに適合可能なフォーマットの参照ペプチド及び/又は参照リンペプチドのセットであって、ここでセット内の各ペプチド及び/又はリンペプチドが、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15のいずれか1つに提供される複数のマーカータンパク質の1つをユニークに表し;並びに、任意に、
    (b)洗浄液、希釈剤及び緩衝液からなる群から選択される1種以上の構成要素:を含む、前記キット。
  56. 前記タンパク質リン酸化のレベルが、表3、4、11A、11B、13及び/又は15に示されたマーカータンパク質内の示差的にリン酸化された部位を表している参照リンペプチドを用いて決定される、請求項55記載のキット。
  57. 前記参照リンペプチドが、チロシン-プロテインキナーゼFyn、チロシン-プロテインキナーゼCSK(Src)、RAF癌原遺伝子セリン/スレオニン-プロテインキナーゼ、ヒストンデアセチラーゼ1、ヒストンデアセチラーゼ2、mTORのラパムチン-非感受性コンパニオン(RICTOR);ERK1マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、ERK2マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、インテグリンβ4、カテニンα-1、接合部接着分子A(JAM-A);マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1);グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3α;二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2;及び/又は、RAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼ(AKT1)からなる群の1種以上に特有のものである、請求項56記載のキット。
  58. 対象の腫瘍試料中の二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2のホスホT-394でのリン酸化のレベルを検出することを含む、治療後の該対象における膵腫瘍の再発の確度を予測する方法であって、ここでバックグラウンド(非腫瘍)レベルと比べT-394でのリン酸化の上昇したレベルは、腫瘍再発の確度を示す、方法。
  59. 再発が、術後2〜33ヶ月の間である、請求項58記載の方法。
  60. 前記二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2のホスホ-T394でのリン酸化のレベルが、免疫組織化学を用いて決定される、請求項58又は59記載の方法。
  61. 対象における治療後の膵腫瘍の再発の確度を予測する方法であって、該方法が、該対象から得られた腫瘍試料中のホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼI(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質のリン酸化のレベルを検出することを含み、ここでバックグラウンド(非腫瘍)レベルと比べ上昇したリン酸化のレベルは、腫瘍再発の確度を示す、前記方法。
  62. ダサチニブ(BMS-354825-スプリセル(Sprycel)(商標))による治療に対する膵腫瘍の感受性を予測する方法であって、チロシン-プロテインキナーゼFyn上のホスホ-S21のレベルを決定することを含み、ここでこのタンパク質のアップレギュレーションは、その膵腫瘍が、ダサチニブによる治療に対し感受性があることを示す、前記方法。
  63. AEZS-131(Aeterna Zentaris社)及び/又はSCH772984(Merck社)による治療に対する膵腫瘍の感受性を予測する方法であって、マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1)上のホスホ-T185及び/又はY187のレベルを決定することを含み、ここでこのタンパク質のアップレギュレーションは、その膵腫瘍が、AEZS-131及び/又はSCH772984による治療に対し感受性があることを示す、前記方法。
  64. 前記リン酸化のレベルを決定する工程が、免疫組織化学による、請求項62又は63記載の方法。
  65. 対象における膵腫瘍を診断する方法であって、該方法が:
    (a)MLCKの発現のレベルを決定すること;
    (b)MRCKαのリン酸化のレベルを決定すること;又は
    (c)HIPK1のリン酸化のレベルを決定すること:を含み、
    ここで、健常組織と比べたMLCKの発現のレベルの増加が、膵腫瘍を有する対象を示し、並びにここで健常組織におけるリン酸化のレベルと比べたMRCKα及びHIPK1のリン酸化の増加は、膵腫瘍を有する対象を示す、前記方法。
  66. 対象における膵腫瘍を診断する方法であって、該対象から得られた生体試料中のカテニンα-1のホスホ-S655でのリン酸化のレベルを決定することを含み、ここでリン酸化レベルの増加は、膵腫瘍を有する対象を示す、前記方法。
  67. カテニンα-1のホスホ-S641、S655及び/又はS658のレベルを更に決定する、請求項66記載の方法。
  68. 対象における膵腫瘍を診断する方法であって、該対象から得られた生体試料中のインテグリンβ-4のホスホ-S1483でのリン酸化のレベルを決定することを含み、ここでリン酸化レベルの増加は、膵腫瘍を有する対象を示す、前記方法。
  69. インテグリンβ-4のホスホ-S1486のレベルを更に決定する、請求項68記載の方法。
  70. 対象における膵腫瘍を診断する方法であって、該対象から得られた生体試料中の接合部接着分子A(JAM-A)のホスホ-S284でのリン酸化のレベルを決定することを含み、ここでリン酸化レベルの減少は、膵腫瘍を有する対象を示す、前記方法。
  71. 前記リン酸化のレベルが、免疫組織化学を用いて決定される、請求項65〜70のいずれか一項記載の方法。
  72. 前記タンパク質上のリン酸化部位に特異的に結合することが可能である抗体又は抗体断片を含む、請求項65〜71のいずれか一項記載の方法を実行するためのキット。
  73. 前記抗体又は抗体断片が、検出及び定量を補助するように標識されている、請求項72記載のキット。
  74. 膵臓癌を有する対象を治療する方法であって;ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択されるプロテインキナーゼの活性を阻害することが可能である、キナーゼインヒビターの投与を含む、前記方法。
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