JP2016535270A - 膵臓癌に関連する物質及び方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、膵臓癌に関連する物質及び方法並びに膵臓癌に適用される個別化医療に関する。特に本発明は、腫瘍再発の確度又は膵臓癌組織における活性化された薬物標的の同定を基に最も適した治療計画の選択を導くことができる、腫瘍プロファイルを集合的に提供する、著しく調整されたタンパク質リン酸化及び/又は発現、並びにシグナル伝達経路の活性を決定する物質及び方法に関する。
タンパク質リン酸化は、発癌性タンパク質及び腫瘍抑制因子タンパク質の活性を調整する共通プロセスである[1-3]。多くの場合、リン酸化は、タンパク質フォールディング、基質親和性、安定性、及びその基質の活性の調整に起因したタンパク質機能におけるスイッチ様の変化を生じ、これは次に細胞の増殖、遊走、分化、及びアポトーシスを制御するシグナル伝達経路に影響を及ぼす。従ってリン酸化の異常制御は、癌表現型に寄与し[4]、且つゲノム法を用いては有意に測定することができない新規薬物標的、診断用及び予後判定用バイオマーカーの潜在的給源を提供する。膵臓癌は、生存期間の中央値が診断後6ヶ月である最も攻撃的な悪性新生物の一種である。これはひとつには、患者のかなりの部分は、治療の選択肢が非常に限定される進行した病期で診断されるという事実の結果である[5]。他の癌の場合のように、進行した又は再発した膵臓癌の治療に関して、分子標的治療が有望である[6]。様々な分子標的薬が最近10年間に利用可能になっており、且つ多くの他の薬品も、今後数年間に期待されているが、依然薬物効果の予測及び薬物選択に関するブレークスルーが必要とされている。例えば、機能亢進の血管内皮増殖因子受容体、血小板由来増殖因子受容体及びRafに作用するマルチキナーゼインヒビターであるソラフェニブは、進行した肝細胞癌患者の一部に有効であることが証明されている[7]が、治療開始前に個々の患者におけるその効果を予測することができる経路活性試験は現在存在しないので、その応答率は、依然苛立たしいほど低い。
本発明者らは、膵臓癌の治療のための、並びにこのような腫瘍の薬物耐性を予測及びモニタリングするための、最適薬物組合せを規定する信頼ができ且つ時間及び費用効果の高い手段の必要性を認識している。
(1)ここで情報通信ターミナル装置は:
(1a)対象の膵腫瘍試料から得られたタンパク質データを、膵腫瘍分類装置へと伝達する、タンパク質データ送信ユニット;
(1b)膵腫瘍分類装置から伝達された対象の膵腫瘍分類の結果を受け取る、結果-受信ユニット:を備え、
(2)ここで膵腫瘍分類装置は:
(2a)情報通信ターミナル装置から伝達された対象の膵腫瘍試料から得られたタンパク質データを受け取る、タンパク質データ-受信ユニット;
(2b)データ-受信ユニットからのデータを、記憶ユニットに保存されたデータと比較する、データ比較ユニット;
(2c)データ比較ユニットの結果を基に、対象の膵腫瘍のクラス(例えば分子表現型)を決定する、分類ユニット;及び
(2d)分類ユニットにより得られた対象の分類結果を、情報通信ターミナル装置へ伝達する、分類結果-送信ユニット:を備え;並びに
ここで記憶ユニットは、表2、3、4、11、12、13及び/又は15から選択された少なくとも1種(好ましくは複数)のタンパク質のタンパク質発現レベル及び/又はリン酸化のデータを含む。
(i)記憶部品に保存されたタンパク質発現レベルデータ及び/又はタンパク質リン酸化データと、対象から得られた表2、3、4、11、12、13及び/又は15から選択された少なくとも1種(好ましくは複数)のタンパク質のタンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルを基にしたデータを比較する、比較工程;並びに
(ii)比較工程で計算された比較を基に、該対象の膵腫瘍細胞を分類する、分類工程:を含み;並びに、ここで該腫瘍は、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;原発性腫瘍、続発性(転移性)腫瘍、及び/又は薬物感受性を含む表現型に分類される。
(a)該試料中の該1種以上の、又は複数のタンパク質の存在は、膵臓癌を有する対象を示すか;
(b)該1種以上の、又は複数のタンパク質の参照量と比較した該1種以上の、又は複数のタンパク質の量(濃度)は、膵臓癌を有する対象を示すか;
(c)該1種以上の、又は複数のタンパク質の参照量と比較した該1種以上の、又は複数のタンパク質の量(濃度)の変化は、膵臓癌を有する対象を示すか;或いは
(d)該1種以上の、又は複数のタンパク質の参照状態と比較した該1種以上の、又は複数のタンパク質のリン酸化状態の変化は、膵臓癌を有する対象を示す。
(1)該対象から得られた生体試料中の複数のタンパク質の発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルを決定すること;
(2)該試料に関する発現レベル及び/又はリンタンパク質プロファイルを作成すること;
(3)該対象プロファイルを、膵腫瘍分子表現型を表す参照プロファイルと比較すること;並びに、
(4)対象プロファイルと参照プロファイルの間の比較を基に膵腫瘍の分子表現型を決定すること:を含み、
ここで複数のタンパク質は、表2、3、4、11、12、13及び/又は15により表されるバイオマーカーパネルから選択される。
(1)該対象から得られた生体試料中の1種以上の、又は複数のタンパク質の発現レベル及び/又はリン酸化を決定する工程;
(2)該1種以上の、又は複数のタンパク質について、該発現レベル及び/又はリン酸化状態を、参照発現レベル及び/又はリン酸化レベルと比較する工程であって、該参照レベルが、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;原発性腫瘍、続発性(転移性)腫瘍、及び/又は薬物感受性から選択される膵腫瘍分子表現型を表す前記工程;
(3)生体試料中のタンパク質の発現レベル及び/又はリン酸化レベルと、参照発現レベルの間の比較を基に、膵腫瘍の分子を決定すること;並びに
(4)膵腫瘍の分子表現型を基に治療計画を選択すること:を含み、
ここで複数のタンパク質は、表2、3、4、11、12、13及び/又は15に表されたバイオマーカーパネルから選択される。
該試料を、1種以上の、又は複数のタンパク質に選択的且つ独立して結合する特異的結合メンバーと接触させること;並びに、
該特異的結合メンバー及び1種以上の、又は複数のタンパク質により形成された複合体を検出及び/又は定量すること:を含む。
(a)各々、その上に固定された複数の該分析物の1つに独立して特異的である、複数の結合メンバーを有する固体支持体;
(b)標識物を含むデベロッピング試薬;並びに、任意に、
(c)洗浄液、希釈剤及び緩衝液からなる群から選択される1種以上の構成要素:を含む。
前記結合メンバーは、前述のものであってよい。
(1)対象から採取された膵腫瘍試料及び膵非腫瘍試料の両方において、表12及び/若しくは表2から選択された1種以上の、又は複数のタンパク質のタンパク質発現レベルを決定すること;並びに/又は
(2)対象から採取された膵腫瘍試料及び膵非腫瘍試料において、表3、表13及び/若しくは表11から選択された1種以上の、又は複数のリンタンパク質のアップ若しくはダウンレギュレーションを決定すること;
(3)腫瘍試料中の該タンパク質発現レベルを、非腫瘍試料と比較すること;並びに/又は、腫瘍試料中のリンタンパク質のアップ若しくはダウンレギュレーションを、非腫瘍試料と比較すること;
(4)予測アルゴリズムを適用し、該対象の該タンパク質発現レベル及び/又はリンタンパク質レベルに関する予測値を生じること:
(5)該表現型を予測する値を含むデータベースを参照し、該膵腫瘍試料を、分子表現型へ分類すること:を含み、
ここで該データベースは、表2、3、4、11、12、13及び/又は15から選択された1種以上の、又は複数のタンパク質に関する予測値を含み;且つ、ここで分子表現型は、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;薬物感受性;原発性及び/又は続発性腫瘍から選択される。
(1)表15及び/又は表4から選択される1種以上の、又は複数のタンパク質マーカーのリンタンパク質レベルを決定すること、
(2)該決定を、先に決定された薬物感受性の参照代表と比較すること、及び
(3)該腫瘍の薬物感受性を基に、該対象の薬物治療計画を選択すること、
を含む。
対象から膵腫瘍の試料を得る工程であって;例えば試料を入手する前に該対象へ投与することにより、試験される分子標的薬と、該腫瘍を接触させる、前記工程;
例えばタンパク質又はリン酸化されたタンパク質の相対存在量などの、該試料からプロテオミクスデータを抽出すること;
該プロテオミクスデータを、参照データ、例えば試験下の分子標的薬と接触する前に同じ腫瘍の試料から得られたデータと比較すること、
を含み、
ここで、分子標的薬に接触後に採取された試料と、分子標的薬に接触前に採取された試料の間のプロテオミクスデータの変化は、治療する膵腫瘍における分子標的薬の有効性を示し;並びに
ここでプロテオミクスデータは、表15及び/又は表4から選択された複数のリンタンパク質の相対存在量レベルを含む。
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
SCX=強陽イオン交換
TiO2=二酸化チタン
IMAC=固定された金属アフィニティクロマトグラフィー
T=腫瘍
NT=非腫瘍
LC-MS=液体クロマトグラフィー−質量分析
STRING=遺伝子/タンパク質相互作用の検索のための検索ツール
GO=遺伝子オントロジー
KEGG=京都遺伝子ゲノム百科事典
TMT=タンデム質量タグ。
表現型「続発性腫瘍」又は「転移性腫瘍」は、対象において別所に位置した腫瘍に起源のある癌細胞により形成される膵腫瘍を意味することとする。
これは、式 nCk (すなわち、「n個からk個を選ぶ」)の形で表すことができる。表12の場合、n=12(表の合計)であり、及びkは選択されたサブセットの数である。
膵頭部の膵管腺癌の12症例を選択した(表5)。症例選択は、以下の補足的方法に説明している。簡単に述べると、12の腫瘍(T)、対、12の非腫瘍(NT)の膵臓組織標本を、SysQuantワークフローを用いて分析した。組織試料は、膵腫瘍塊から採取したのに対し、NT試料は、その腫瘍塊から離れた部位で同じ膵臓から採取した。全ての組織試料を、外科的切除の30分以内に凍結し、SysQuantによる分析まで、-80℃で貯蔵した(貯蔵期間の中央値18.5ヶ月(4〜28ヶ月の範囲))。実験の詳細は、以下の補足的方法に説明している。まとめると、これは、組織標本からのタンパク質抽出、タンパク質のペプチドへのトリプシン消化、ペプチドのTMT8-plex標識(1つのTMT8-plexにつき4症例由来の腫瘍及び非腫瘍組織)、それに続く単独の8-plex試料混合物を形成するための混合を伴っている(表9参照)。その後各TMT8-plex試料は、3つの独立したアリコートに分けられ、その各々は更に、強陽イオン交換(SCX)クロマトグラフィーにより、12画分に分けられる(表10)。次に12のSCX画分の第一のセットは、2つ組データ依存型捕捉試行を使用するナノフローHPLC-MS/MSにより直接分析し、引き続き試行1及び試行2において同定された全ての特徴の時間依存型棄却を使用し、3回目の試行を行った。12画分の残りの2つのセットは、IMAC又はTiO2のいずれかを使用し、リンペプチドについて最初に濃縮した(表10)。得られた24種のリンペプチドの濃縮画分は、同じナノフローHPLC-MS/MS分析に送った。合計108の個別のナノフローHPLC-MS/MSにおいて、各TMT8-plex試料について試行を行った。生MSデータは、Mascot及びSequest(プロテオームディスカバラーを介して)を使用し、ヒトUniProtKB/Swiss-Protデータベースに対して検索した。ペプチドスペクトルマッチ(PSM)は、それらが低い信頼のみ(≧5%FDR)で同定された場合には、棄却し、≦75%ホスホ-RS確率スコアを示し、且つ失われた定量的チャネルを有した(例えばアイソバリックタグについての全てのピークがスペクトルにおいて可視できるわけではない)。PSM通過フィルターからのアイソバリックタグの生の強度値を、定量のために使用し、且つこれらの値は、可能性のある実験バイアス/システムバイアスを減少するために、総和-スケーリングを用いて正規化した。第一の工程として、log2比は、アイソバリックタグ強度から計算し、これは全症例及び各症例に関するNTを上回るTの間の制御を示している。リンペプチドT/NT log2比は、その具体的ペプチド配列に特有の全てのPSMからのT/NT log2比の中央値である。タンパク質T/NT log2比は、その具体的タンパク質に特有の全て特有のリン酸化されないペプチドからのT/NT log2比の中央値である。データ分析のために、片側t-検定(一標本配置検定)を使用し、p-値を計算した。P-値は、ボルケーノプロット上で、log2 T/NT比に対してプロットし、全ての症例にわたる何らかの有意な制御を検出した。タンパク質レベルにおいて、GO-用語(http://www.geneontology.org/)、KEGG-経路(http://www.genome.jp/kegg/)及びDrugbank(http://www.drugbank.ca/)の情報を使用する注釈を追加し、DAVID (http://david.abcc.ncifcrf.gov/)及びSTRING (http://string-db.org/)などの情報源を同じく使用し、経路にマッピングした。リン酸化部位レベルで、既知のリン酸化部位の機能及び生物学的/病理学的役割を含む、PhosphoSitePlus (www.phosphosite.org)を使用する注釈を追加した。主成分分析(PCA)及び潜在的構造投影法(PLS)を使用し、ワークフローの全てのアーム(IMAC、TiO2及び非-エンリッチ)からの全てのペプチド比(リンペプチドと非-リンペプチド)からの、多変量データセットをモデル化/調査し、且つ外れ値及び群/クラスタを同定した。最後に、階層的クラスタ化を行い、TとNT組織型間のリンペプチド相対存在量に関連する、並びにまたタンパク質相対存在量にも関連する、症例/標本レベルでのクラスタの階層を構築した。ホスホプロテオミクス試料調製、LC-MS/MS分析、及びバイオインフォマティクス解析を組合せた、SysQuantワークフローを使用し、本発明者らがここで分析した症例において膵臓癌に寄与すると考える重要な分子事象を同定する。
(凍結した臨床組織) 倫理的態様及び研究プロトコールは、King's College Hospital肝臓研究機関のバイオバンク委員会(BioBank Committee of the Institute of Liver Studies)により承認された。膵頭部膵管腺癌の12症例は、肝臓研究機関のBiobankデータベースにおいて選択した(表5)。最初に症例2及び症例3を選択したが、後者はこのワークフローのために抽出されたタンパク質が非常に少ないことがわかった。従って数値を12を超えるよう(number back to twelve)増し、2つの追加症例を選択した(症例13及び症例14)。Whipple標本から組織の小片を瞬間凍結し、BioBankフリーザーに貯蔵した(少なくとも2年間)。この組織採取プロセスは、30分以内に完了した。癌(腫瘍)及びバックグラウンド(非腫瘍)の対をなす試料を、各症例について使用した。表6は、腫瘍等級、及び再発が経過観察期間(8〜33ヶ月の範囲)の中央値16.5ヶ月で存在するかどうかを説明している。
Villen及びGygiのNature Protocolのアプローチに従い、還元、システインのアルキル化、及び消化を、該溶解液について行った[Villen, J.、Gygi S.の文献、「質量分析による網羅的リン酸化分析のためのSCX/IMAC濃縮アプローチ」、Nature Protocols. 3, 1630 (2008)]。消化された試料を、2,500gで10分間回転させ、100mgのSepPak tC18カートリッジ(Waters社、ミルフォード、MA、米国)上で脱塩した。ペプチドを、50%ACN/0.1%TFAにより溶出させ、凍結乾燥した。
凍結乾燥したペプチドの全部で9のアリコート(表9)を、SCX緩衝液C中に再懸濁し、次にSCX-HPLCにより、12画分に分離した。Villen及びGygiの、Nature Protocol26のアプローチに従い、この分画を、polySULFOETHYL-Aカラム(PolyLC)及び本発明者らのSCX HPLCシステム(Waters Alliance 2695)を用いて実行した。
緩衝液A:水中0.1%TFA。
緩衝液C:7mM KH2PO4、pH2.65、30%ACN(容積/容積)。
緩衝液D:7mM KH2PO4、350mM KCl、pH2.65、30%ACN(容積/容積)。
リンペプチドを、IMAC(Thermo Scientific Pierce社、製品コード88300)又はTiO2(Thermo Scientific Pierce社、製品コード88301)により、製造業者の指示に従い、濃縮した。
リンペプチドの濃縮後、ペプチドを、グラファイトスピンカラム(Thermo Scientific Pierce社、製品コード88302)を用い、製造業者の指示に従い精製した。
全部で108画分由来のペプチドを、2%ACN、0.1%FAの35μl中で再懸濁し、その後各試料8μLを、Thermo Scientific社Proxeon EASY-nLC IIシステムを使用し、ReproSil C18、5μm(Dr. Maisch)を自己充填した0.1×20mmプレ-カラム上に注入した。その後ペプチドを、流量300nL/分で、ReproSil C18, 3μm(Dr. Maisch)の0.075×150mm自己充填カラムを通し、アセトニトリル中の0.1%ギ酸の漸増勾配(90分間かけて10%から25%へ)を用いて分離した。クロマトグラフィー試行を通じて(115分間)、400m/zでの分解能15000で、10回の高エネルギー衝突誘起解離(HCD)のFTMS走査を使用する、質量スペクトルを、Thermo Scientific社LTQ Orbitrap Velos上で獲得し、その後各々FTMS走査した(400m/zでの分解能30000で2×μScans)。HCDは、各FTMS走査からの最も強いイオンの10種について実行し、その後、30秒間動的除外リストを行った(10ppm m/zウインドウ)。各FTMS1走査のためのAGCイオン注入標的は、1000000であった(最大注入時間500ms)。各HCD FTMS2走査のためのAGCイオン注入標的は、50000であった(最大イオン注入時間500ms)。各試料を、3回のLC-MSMS分析的反復により分析し、ここで3回目の分析的反復は、時間依存型棄却リストを使用し、最初の2回の分析的反復の一方において、1%FDRを伴うペプチドと同定された全てのペプチドイオンを棄却した。
(プロテオームディスカバラー(Proteome Discoverer))
全体で、324の生データファイルが存在し(3×TMT8plex試料×3つのアリコート×12画分×3回の分析的反復)、この場合各TMT8plexに属する108の生データファイルが存在した。第一のTMT8plex試料由来の合計108の生データファイルは、以下に説明したようなプロテオームディスカバラーを使用するMudpit検索のために一緒にした。これはまた、第二及び第三のTMT8plex試料についても実行した。
患者12名からのT(膵腫瘍組織)及びNT(非腫瘍組織)の疾患群に関して、関連した制御を調べるために、統計解析を行った。
質量分析定量アプローチの正確度及び精度は、実験バイアス、系統誤差、偶然誤差(分散の不均一性)、及び定量値の喪失などの問題を被り得る。正確度及び精度を改善するために、本発明者らは、それらのデータの質を評価し、次に以下に説明したようにフィルタリング及び正規化を行った。
全てのTMT-8 plexレポーター強度を含まないスペクトルは全て削除した。正規化のために、総和-スケーリングを行った。試料間の差異のために、更なるプロセシングの前に、データを正規化することが推奨される。正規化の効果は、以下のMAプロットにより観察することができる(http://en.wikipedia.org/wiki/MA_plot)。
第一工程として、log2比を計算し、これは全患者及び各患者に関する、NT(非腫瘍組織)を上回るT(膵腫瘍組織)の制御を示している。タンパク質比に関して、リン酸化されていない全てのペプチドを使用し、且つ中央値と組合せた。
本発明者らは、合計で2,101種のタンパク質群から、6,543種の特有のリンペプチド(6,284の特有のリン酸化部位)を同定した(表1)。図1は、各TMT 8-plexに関するSysQuantワークフローの3アーム(非-エンリッチ、TiO2、IMAC)の全てにわたる同定されたペプチド(リン酸化された及びリン酸化されない)分布を示している。図1はまた、1試料につき3つの分析的反復の各々に関する検出されたペプチドの数を図示している。平行した構成要素の各々の結果(TiO2、IMAC、非-エンリッチ)が比較される場合には、組合せたアプローチの恩恵が明らかである。リンペプチドの最大総数は、同定された全ての特有のリンペプチドの79%を占めるIMAC濃縮物を使用し、認めることができる。しかし、TiO2画分は、単独のリンペプチド濃縮物戦略を使用し喪失されるであろう全体のほぼ19%が独自に同定された(図1:TMT8plex-ALL:a)。同じことが、各試料について実行された3つの分析的試行について当てはまった。単独のデータ依存型試行が実行される場合、わずかに20,318の特有のペプチドが認められる(図1:TMT8plex-ALL:d)。第二のデータ-依存型試行は、5,868ペプチドを追加したのに対し、試行3における時間依存型棄却リストの使用は、更に3257のペプチドが、全体で同定されることを可能にした。合計すると(試行2及び試行3)、これは、試行1単独に加え更に45%及び特有のペプチドの総数の31%を表している。重要なことに、3回目の試行で同定されたペプチドは、一般により低い存在量である。
PLSは、このデータセット内に外れ値は存在しないことを明らかにした。PLS PC1及びPC2は、図2Aに示したように、3つのクラスタIMAC、TiO2及び総タンパク質(すなわち、ワークフローの非-エンリッチアーム)が存在することを示している。最初の2つの主成分のPC1及びPC2スコアプロットは、このデータの全分散の13.6%(PC1)及び10.6%(PC2)を説明している。円形は、95%信頼区間を基にしたT2収容空間を描いている。全ての試料は、このモデルの境界内にある。PC1は、濃縮法をいい、PC2は患者をいう。総タンパク質(非-エンリッチペプチド)は、本ワークフローの濃縮アームIMAC及びTiO2とは異なるクラスタを有する(図2A)。次の主成分のPC2及びPC3スコアプロットは、このデータの全分散の10.6%(PC2)及び14.4%(PC3)を説明している(図2B)。PC3において、PLSは、2つのクラスタにおいてTとNTに分割することができる。総タンパク質(非-エンリッチペプチド)は、それ自身のクラスタを有するが、これはまたT及びNTのクラスへ分けることができる。わずかに患者12名が、観察されたNTに比べTにおいて差がなかった。PLS/PCAは、本実験は成功したこと、及びTとNTの間に有意差が存在することを確認している。TiO2、IMAC及び総タンパク質(非-エンリッチ)の間に差異が存在するが、TiO2とIMACは、ほぼ等しい相関を有する。
階層的クラスタ分析を使用し、NTに比べTにおけるこれら5409種のリンペプチドの相対存在量の類似のプロファイルを明らかにする症例を、クラスタ化した(図3A-3Cは、関心対象の特定の領域を示す)。全部で5409種の特有のリンペプチドを使用し、12名の患者は、3つの独立した群にクラスタ化することができる。第一クラスタは、症例5、9、1、及び14を含み、第二クラスタは、症例7、6、12、4及び13を含むのに対し、症例8、10、及び11は、第三のクラスタに分離され、他の2つのクラスタのメンバーよりも互いの関連性の密度が低かった。興味深いことに、12名の患者の臨床既往歴が明らかにされない場合に、本発明者らは、症例5、9、1、及び14は、本試験において分析された腫瘍の切除後8〜33ヶ月の間(経過観察期間の中央値16.5ヶ月)に、腫瘍再発に冒された患者である一方で、症例7、6、12、4及び13は、この同じ期間に再発しない患者であったことを認めた。患者既往歴のより詳細については、表6及び表7に言及している。3つの外れ値のうち、2つは、その後再発した患者(症例10及び11)から、並びに1つは、非再発患者(症例8)からであった。3つの外れ値のうちの2つは、再発クラスタ(4/4名病期IIB、pT3N1M0)及び非再発クラスタ(4/5名病期IIB、pT3N1M0)に比べ、より進行していない病期IIA(pT3N0M0)であったことは興味深い。このクラスタ分析の更なる精緻化を、ピアソン相関係数についてクラスタ化することにより行った。ピアソン相関係数は、全症例にわたり全てのリンペプチドlog2 T/NT値を比較することにより得られた(図3D)。このクラスタ分析の精緻化は、再発症例と非再発症例をより良く分離する。
本発明者らは、各タンパク質の相対存在量を計算するための代理値として、各タンパク質に特有の非-リン酸化ペプチドの中央値log2 T/NT比を使用し、非腫瘍組織と比べた腫瘍におけるタンパク質の相対存在量を決定した。片側t-検定を使用し、p-値を計算し、且つこれらをボルケーノプロット上でlog2 T/NT比に対してプロットし、全症例にわたる有意な制御(Log2 T/NT≧0.3又は≦-0.3及びp≦0.05)を検出した(図5A)。全部で、Log2 T/NT≧0.3又は≦-0.3及びp≦0.05を基に有意に制御された150種のタンパク質が存在した(表12)。表2は、非腫瘍組織と比べ腫瘍において最も有意にアップレギュレートされた12種のタンパク質を展示し、且つ同じく各タンパク質の任意の公知の機能の説明又は癌との関係を提供している[13-31]。ムチン-1の過剰発現は、癌と関係することが多く、本発明者らはまた、ムチン-1は膵腫瘍組織において有意にアップレギュレートされることも発見した。興味深いことに、本発明者らは、ムチン-1よりもより有意にアップレギュレートされたタンパク質を発見し、その一部は、膵臓癌のより特異的マーカー、恐らく更に新たな治療用標的、例えばホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1であることを証明することができる。
リン酸化されたペプチドのlog2 T/NT比を使用し、特定の特有のリン酸化部位でのリン酸化の相対レベルを計算した。本発明者らは、t-検定を使用し、p-値を計算し、且つ図5B-5Dに示されるように、これらを、ワークフローのIMAC、TiO2、及び非-エンリッチのアームに関するボルケーノプロットにおいてlog2 T/NT比に対してプロットし、全症例にわたる有意な制御(Log2 T/NT≧0.75又は≦-0.75及びp≦0.05)を検出した。本試験で同定された6,543種のリンペプチドのうち、5409種は定量可能であった(データは示さず)。定量可能なペプチドのうち、635種は、有意な制御を示した(図5B-5D)。
本発明者らが特に関心があるのは、セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(表11a参照)由来のリンペプチドは、非腫瘍に比べ腫瘍において有意に上昇されるという知見であった。これは、リン酸化部位S1629を含むものに関して特に当てはまる。MRCKαは、Rho GTPase、CDC42の重要な下流エフェクターであり、且つ細胞骨格再組織化、細胞突起の形成の制御において、重要な役割を果たし、且つ細胞遊走を促進する。更なる情報は、Brittonらの文献、PLOS ONE March 2014; Vol. 9, Issue 3 e90948において認めることができ、その内容はそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
本発明者らはまた、全ての症例について平均化した場合に腫瘍と非腫瘍組織の間で、どのタンパク質及びリンペプチドが存在量の有意差を示すかを決定することに加え、どのリンペプチドが、症例別ベースで高度に調整されたかを決定することを欲した。log2 T/NT比≧1又は≦-1(2倍以上アップ/ダウン-レギュレーションされた)を明らかにしているリンペプチドを生じたタンパク質の寄託番号を、症例1から選択した。次にこれらの寄託番号を、症例1において最も調整されたKEGGシグナル伝達経路を同定したDAVIDバイオインフォマティックリソースにアップロードした。本発明者らは、各症例に関してこのアプローチを繰り返し、次に症例別ベースで、p値を基に、及びBenjaminiスコアを基に、有意性を明らかにしたKEGGシグナル伝達経路を選択した(表13)。Benjaminiスコア≦0.05を伴う表12の全てのこれらのKEGG経路は、黄色で強調した。DAVIDバイオインフォマティック出力からのp値を基に、密着結合シグナル伝達経路は、全症例において(12/12症例)非腫瘍と比べ腫瘍間で調整されることを決定し、引き続き接着結合シグナル伝達(10/12症例)及び焦点接着シグナル伝達(10/12症例)について決定した。図7は、3種のシグナル伝達経路を示し、且つ赤色星印で印をつけた長方形は、本発明者らが12症例の全てにわたりリン酸化されたとして同定したそれらのタンパク質を示している。表3は、密着結合及び焦点接着シグナル伝達経路、並びに有意に調整されたことが認められた他のシグナル伝達経路(アクチン細胞骨格及び血管平滑筋収縮の制御)に関連したタンパク質に属する、有意な制御を示す、全てのリンペプチドを示している。
各症例の非腫瘍組織と比べ腫瘍における酵素の相対活性化状態を解明するために、本発明者らは、酵素の活性化又は阻害のいずれかを誘導することがわかっているリン酸化部位を含むリンペプチドの相対存在量を使用した。表4及び表15は、各症例において、リン酸化された酵素の活性化又は阻害のいずれかを誘導することが分かっているリン酸化部位を含む、log2 T/NT比≧1又は≦-1を示す全てのリンペプチドを示す短いリストである。
Claims (74)
- 対象における膵腫瘍の分子表現型を決定するための、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択された複数のバイオマーカーの使用であって、ここで該分子表現型が、腫瘍、非腫瘍、再発、非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍からなる群から選択され;並びに、ここで該複数のバイオマーカーが、ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択されるバイオマーカーを少なくとも含む、前記使用。
- 前記複数のバイオマーカーが、ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択される2種のバイオマーカーを少なくとも含む、請求項1記載の使用。
- 前記複数のバイオマーカーが、ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)を少なくとも含む、請求項1記載の使用。
- 膵腫瘍分類装置及び情報通信ターミナル装置を含む膵腫瘍分類システムであって、該膵腫瘍分類装置が、制御部品及び記憶部品を備え、該装置が、ネットワークを介して互いに通信可能に接続されており;
(1)ここで情報通信ターミナル装置は:
(1a)対象の膵腫瘍試料から得られたタンパク質データを、膵腫瘍分類装置へと伝達する、タンパク質データ送信ユニット;
(1b)膵腫瘍分類装置から伝達された対象の膵腫瘍分類の結果を受け取る、結果-受信ユニット:を備え、
(2)ここで膵腫瘍分類装置は:
(2a)情報通信ターミナル装置から伝達された対象の膵腫瘍試料から得られたタンパク質データを受け取る、タンパク質データ-受信ユニット;
(2b)データ-受信ユニットからのデータを、記憶ユニットに保存されたデータと比較する、データ比較ユニット;
(2c)データ比較ユニットの結果を基に、対象の膵腫瘍の分子表現型を決定する、決定ユニット;及び
(2d)決定ユニットにより得られた対象の分類結果を、情報通信ターミナル装置へ伝達する、分類結果-送信ユニット:を備え、並びに
ここで記憶ユニットは、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択された複数のタンパク質のタンパク質発現レベルデータ及び/又はタンパク質リン酸化レベルデータを含む、前記膵腫瘍分類システム。 - 前記決定ユニットが、対象の膵腫瘍を、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;原発性腫瘍、続発性(転移性)腫瘍及び/又は薬物感受性を含む分子表現型へ分類する、請求項4記載の膵腫瘍分類システム。
- 前記記憶ユニットのタンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルデータが、膵腫瘍試料から得られた複数のデータセットを表す、請求項3又は5記載の膵腫瘍分類システム。
- 前記複数のデータセットが、同じ対象由来の対応する膵臓非腫瘍試料のタンパク質発現レベル又はタンパク質リン酸化レベルに対する、タンパク質発現レベル又はタンパク質リン酸化レベルを表す値を含む、請求項6記載の膵腫瘍分類システム。
- 前記記憶ユニットが、表11A及び11Bから選択された複数のタンパク質のタンパク質リン酸化データを含み、且つここで分類が、試料の腫瘍再発又は腫瘍非再発の予測を生じる、請求項1〜7のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システム。
- 前記記憶ユニットが、表15及び/又は表4から選択された複数のタンパク質のタンパク質リン酸化データを含み、且つここで分類が、膵腫瘍の薬物感受性の予測を生じる、請求項4〜7のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システム。
- 前記記憶ユニットが、表12及び/又は表2から選択された複数のタンパク質のタンパク質発現レベルを含み、且つここで分類が、試料の腫瘍又は非腫瘍の表現型の予測を生じる、請求項4〜7のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システム。
- 膵腫瘍試料中のタンパク質発現レベル又はタンパク質リン酸化レベルを決定するための装置に接続された、請求項1〜10のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システム。
- 前記装置が、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS/MS)を使用し、複数の試料を処理することができる、請求項11記載の膵腫瘍分類システム。
- 制御部品及び記憶部品を備える情報処理装置に、対象の膵腫瘍を決定及び/又は分類する方法を実行させる、膵腫瘍分類プログラムであって、該方法が:
膵臓癌に罹患しているか又は罹患していることが疑われる対象の組織試料から入手された表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択された複数のタンパク質のタンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルを基にしたデータを、記憶部品に保存されたタンパク質データと比較する、比較工程;並びに
比較工程で算出された比較を基に、該対象の膵腫瘍を分類する、分類工程:を含み、
ここで該腫瘍が、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;原発性腫瘍、続発性(転移性)腫瘍、及び/又は薬物感受性を含む表現型に分類される、前記膵腫瘍分類プログラム。 - その上に記録された請求項13記載の膵腫瘍細胞分類プログラムを含む、コンピュータ-可読記録媒体。
- 対象から入手された生体試料中の表12、表2、及び/又は表3から選択された複数のタンパク質の調整を決定することを含む、該対象における膵臓癌を診断する方法であって、ここで:
(a)該試料中の該複数のタンパク質の存在は、膵臓癌を有する対象を示すか;
(b)該複数のタンパク質の参照量と比較した該複数のタンパク質の量(濃度)は、膵臓癌を有する対象を示すか;
(c)該複数のタンパク質の参照量と比較した該複数のタンパク質の量(濃度)の変化は、膵臓癌を有する対象を示すか;又は
(d)該複数のタンパク質の参照状態と比較した該複数のタンパク質のリン酸化状態の変化は、膵臓癌を有する対象を示す:前記方法。 - 前記複数のタンパク質が、表2及び/又は表3に提供されたタンパク質を含む、請求項15記載の方法。
- 前記参照量又は参照状態との比較が、請求項3〜7のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システムを使用し得られる、請求項15又は16記載の方法。
- 膵腫瘍を分子表現型に分類する方法であって、該方法が:
(1)対象から入手された生体試料のタンパク質発現及び/又はタンパク質リン酸化プロファイルを作製するために、該試料中の複数のタンパク質について発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルを決定する工程;
(2)該プロファイルを、該複数のタンパク質の参照タンパク質発現及び/又はタンパク質リン酸化プロファイルと比較する工程であって、該参照プロファイルは、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;薬物感受性;原発性及び/又は続発性腫瘍から選択された膵腫瘍表現型を表す、前記工程;
(3)膵腫瘍を、試料プロファイルと参照プロファイルの間の比較を基に表現型に分類する工程:を含み、
ここでこの複数のタンパク質は、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15により表されるバイオマーカーパネルから選択される、前記方法。 - 前記参照プロファイルが、同じ対象から入手された非腫瘍膵臓試料のタンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルから得られる、請求項18記載の方法。
- 前記参照プロファイルが、先に入手された膵腫瘍試料のタンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルから得られる、請求項18記載の方法。
- 前記プロファイルを参照プロファイルと比較する工程が、請求項3〜7のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システムを使用し実行される、請求項20記載の方法。
- 前記膵腫瘍分類が、腫瘍再発又は腫瘍非再発を予測し、且つ複数のタンパク質が、表11から選択され;ここで腫瘍再発は、表11Aから選択された複数のタンパク質が、正常に対するリン酸化の増加を示し、並びに表11Bから選択された複数のタンパク質が、正常に対するリン酸化の減少を示す場合に、予測される、請求項18〜21のいずれか一項記載の方法。
- 前記複数のタンパク質が、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ2を含む、請求項22記載の方法。
- 前記膵腫瘍分類が、腫瘍と非腫瘍の間であり、且つ複数のタンパク質が、表12及び/又は表2から選択される、請求項18〜21のいずれか一項記載の方法。
- 前記膵腫瘍分類が、薬物感受性であり、且つ複数のタンパク質が、表15及び/又は表4から選択される、請求項18又は19記載の方法。
- 前記薬物が、ダサチニブ、ソラフェニブ、ボリノスタット、テムシロリムス、AEZS-131及びGSK2141795からなる群から選択される、請求項25記載の方法。
- 膵臓癌に罹患している対象のための治療計画を選択する方法であって、該方法が:
(1)該対象の膵腫瘍の発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化プロファイルを作製するために、該腫瘍中の複数のタンパク質のタンパク質発現レベル及び/又はタンパク質リン酸化レベルを入手する工程;
(2)該プロファイルを、参照プロファイルと比較する工程であって、該参照プロファイルは、腫瘍、非腫瘍、再発、非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍から選択される膵腫瘍表現型を表す、前記工程;
(3)腫瘍プロファイルと参照プロファイルの間の比較を基に、対象の膵腫瘍を表現型へ分類する工程;並びに
(4)対象の膵腫瘍の表現型に従い治療計画を選択する工程:を含み、
ここで、複数のタンパク質は、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15により表されたバイオマーカーパネルから選択される、前記方法。 - 前記複数のタンパク質が、表15及び/又は表4から選択され、且つ治療計画が、チロシン-プロテインキナーゼFyn、マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1)、マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ3(MAPK3);RAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼ(AKT1)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ-3αのリン酸化レベルの増加又は減少により特徴づけられる薬物感受性表現型の決定に基づいて選択される、請求項27記載の方法。
- 膵腫瘍試料を1種以上の分子表現型へ分類する方法であって、該方法が:
(1)対象から採取された膵腫瘍試料及び膵非腫瘍試料の両方について、表12及び/若しくは表2から選択された1種以上のタンパク質のタンパク質発現レベルを決定すること;並びに/又は
(2)対象から採取された膵腫瘍試料及び膵非腫瘍試料中の、表3、表13及び/若しくは表11A及び/若しくは表11Bから選択された1種以上のタンパク質のリン酸化の増加又は減少を決定すること;
(3)腫瘍試料の該タンパク質発現レベルを、非腫瘍試料と比較すること;並びに/又は、腫瘍試料中のリン酸化の増加又は減少を、非腫瘍試料と比較すること;
(4)下記の予測アルゴリズムを適用し、該対象の該タンパク質発現レベル及び/又はリン酸化レベルに関する予測値を生じること:
(式中、iは対象試料であり、T=腫瘍、及びNT=非腫瘍);
(5)該表現型を予測する値を含むデータベースを参照し、該膵腫瘍試料を、分子表現型へ分類すること:を含み、
ここで該データベースは、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択された1種以上のタンパク質に関する予測値を含み;且つ
ここで分子表現型は、腫瘍、非腫瘍;腫瘍再発、腫瘍非再発;薬物感受性;原発性及び/又は続発性腫瘍から選択される、前記方法。 - 前記log2 T/NT比が≧1又は≦-1である場合に、タンパク質は増加又は減少すると考えられる、請求項29記載の方法。
- 前記分類が、請求項3〜7のいずれか一項記載の膵腫瘍分類システムにより実行される、請求項29又は30記載の方法。
- 前記試料中の1種以上の、又は複数のタンパク質のタンパク質発現レベル又はタンパク質リン酸化レベルを決定する工程が、質量分析により実行される、請求項1〜31のいずれか一項記載の方法。
- 前記1種以上の、又は複数のタンパク質のタンパク質発現レベル又はタンパク質リン酸化レベルを決定する工程が、タンパク質由来のペプチド又はリンペプチドの1以上の転移を使用し;並びに、試験下の試料中のペプチド又はリンペプチドレベルを、分子表現型を表すために先に決定されたペプチド又はリンペプチドレベルと比較する、選択的反応モニタリングにより実行される、請求項1〜31のいずれか一項記載の方法。
- 前記ペプチドレベルの比較が、対応する合成ペプチドの既知量により、膵臓試料からのタンパク質由来のペプチドの量を決定することを含み、ここでこの合成ペプチドは、標識物を除いて試料から得られたペプチドと配列が同一である、請求項33記載の方法。
- 前記標識物が、異なる質量のタグ又は重同位体である、請求項34記載の方法。
- 対象における膵腫瘍の分子表現型を決定するための、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択された複数のバイオマーカーの使用であって、ここで該分子表現型が、腫瘍、非腫瘍、再発、非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍からなる群から選択される、前記使用。
- 前記バイオマーカーが、表2及び/又は表12から選択され、且つ表現型が腫瘍又は非腫瘍から選択される、請求項36記載の使用。
- 前記バイオマーカーが、ムチン-1、インテグリンβ4、及び/又はホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1を含む、請求項37記載の使用。
- 前記バイオマーカーが、表3、11A、11B及び/又は表13から選択され、且つ表現型が、腫瘍再発又は腫瘍非再発から選択される、請求項36記載の使用。
- 前記バイオマーカーが、二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2を含む、請求項39記載の使用。
- 前記バイオマーカーが、表4及び/又は15から選択され、且つ表現型が、薬物感受性から選択される、請求項36記載の使用。
- 前記バイオマーカーが、チロシン-プロテインキナーゼFyn、チロシン-プロテインキナーゼCSK(Src)、RAF癌原遺伝子セリン/スレオニン-プロテインキナーゼ、ヒストンデアセチラーゼ1、ヒストンデアセチラーゼ2、mTORのラパムチン-非感受性コンパニオン(RICTOR);ERK1マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、ERK2マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、インテグリンβ4、カテニンα-1、接合部接着分子A(JAM-A);マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1);グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3α;及び/又は、RAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼ(AKT1)の1種以上を含む、請求項41記載の使用。
- 1種以上の、又は複数のマーカータンパク質の量を決定することにより、膵臓組織試料を、腫瘍、非腫瘍、再発、非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍から選択される表現型へ分類する方法であって、該方法が:
該試料を、1種以上のタンパク質に選択的且つ独立して結合する特異的結合メンバーと接触させること;並びに
該特異的結合メンバーと1種以上のタンパク質により形成された複合体を検出及び/又は定量すること;
該複合体の検出又は量を基に膵臓組織試料を分類すること:を含み、
ここで該1種以上のタンパク質が、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択される、前記方法。 - 前記特異的結合メンバーが、タンパク質マーカーに特異的な抗体又は抗体断片である、請求項43記載の方法。
- 前記特異的結合メンバーが、アプタマーである、請求項43記載の方法。
- 前記結合メンバーが、固体支持体上に固定されている、請求項43〜45のいずれか一項記載の方法。
- 前記複数のタンパク質又は該タンパク質をコードしている核酸配列の1つへ各々が特異的且つ選択的に結合することが可能である、複数の結合メンバーを含む固体支持体であって;ここで該タンパク質が、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択される、前記固体支持体。
- 各々が、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択される複数のマーカータンパク質の一つの断片と同一の配列を有する、合成ペプチド又は複数の合成ペプチドであって、該断片が、トリプシン、ArgC、AspN又はLys-C消化による、タンパク質の消化から生じる、前記合成ペプチド又は複数の合成ペプチド。
- 前記複数のマーカータンパク質が、ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択される少なくとも1種のマーカータンパク質を含む、請求項48記載の合成ペプチド又は複数の合成ペプチド。
- 標識物を更に含む、請求項48又は49記載の合成ペプチド。
- 前記標識物が、重同位体である、請求項50記載の合成ペプチド。
- 選択的反応モニタリングにおける使用のための、請求項50又は51記載の合成ペプチド。
- 膵臓組織試料の、腫瘍、非腫瘍、腫瘍再発、腫瘍非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍から選択された分子表現型への分類において使用するためのキットであって、該キットが、試験下の試料中の、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15のタンパク質、該タンパク質に対する1種以上の抗体、並びに該タンパク質をコードしている1種以上の核酸分子又はそれらの断片から選択された1種以上の分析物のアップ-又はダウン-レギュレーションを使用者が決定することを可能にし、該キットが:
(a)各々、その上に固定化された分析物の1種に結合することが可能である、複数の結合メンバーを有する固体支持体;
(b)標識物を含むデベロッピング試薬;並びに、任意に、
(c)洗浄液、希釈剤及び緩衝液からなる群から選択される1種以上の構成要素:を含む、前記キット。 - 前記表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15のタンパク質が、ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質を含む、請求項53記載のキット。
- 膵臓組織試料を、腫瘍、非腫瘍、腫瘍再発、腫瘍非再発、薬物感受性、原発性腫瘍及び/又は続発性(転移性)腫瘍から選択された分子表現型へ分類するためのキットであって、該キットが、試験下の試料中の、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15から選択された複数のマーカータンパク質の発現レベル及び/又はリン酸化レベルの増加又は減少を使用者が決定することを可能にし、該キットが:
(a)アッセイに適合可能なフォーマットの参照ペプチド及び/又は参照リンペプチドのセットであって、ここでセット内の各ペプチド及び/又はリンペプチドが、表2、3、4、11A、11B、12、13及び/又は15のいずれか1つに提供される複数のマーカータンパク質の1つをユニークに表し;並びに、任意に、
(b)洗浄液、希釈剤及び緩衝液からなる群から選択される1種以上の構成要素:を含む、前記キット。 - 前記タンパク質リン酸化のレベルが、表3、4、11A、11B、13及び/又は15に示されたマーカータンパク質内の示差的にリン酸化された部位を表している参照リンペプチドを用いて決定される、請求項55記載のキット。
- 前記参照リンペプチドが、チロシン-プロテインキナーゼFyn、チロシン-プロテインキナーゼCSK(Src)、RAF癌原遺伝子セリン/スレオニン-プロテインキナーゼ、ヒストンデアセチラーゼ1、ヒストンデアセチラーゼ2、mTORのラパムチン-非感受性コンパニオン(RICTOR);ERK1マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、ERK2マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ、インテグリンβ4、カテニンα-1、接合部接着分子A(JAM-A);マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1);グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3α;二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2;及び/又は、RAC-αセリン/スレオニン-プロテインキナーゼ(AKT1)からなる群の1種以上に特有のものである、請求項56記載のキット。
- 対象の腫瘍試料中の二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2のホスホT-394でのリン酸化のレベルを検出することを含む、治療後の該対象における膵腫瘍の再発の確度を予測する方法であって、ここでバックグラウンド(非腫瘍)レベルと比べT-394でのリン酸化の上昇したレベルは、腫瘍再発の確度を示す、方法。
- 再発が、術後2〜33ヶ月の間である、請求項58記載の方法。
- 前記二重特異性マイトジェン-活性化プロテインキナーゼキナーゼ2のホスホ-T394でのリン酸化のレベルが、免疫組織化学を用いて決定される、請求項58又は59記載の方法。
- 対象における治療後の膵腫瘍の再発の確度を予測する方法であって、該方法が、該対象から得られた腫瘍試料中のホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼI(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質のリン酸化のレベルを検出することを含み、ここでバックグラウンド(非腫瘍)レベルと比べ上昇したリン酸化のレベルは、腫瘍再発の確度を示す、前記方法。
- ダサチニブ(BMS-354825-スプリセル(Sprycel)(商標))による治療に対する膵腫瘍の感受性を予測する方法であって、チロシン-プロテインキナーゼFyn上のホスホ-S21のレベルを決定することを含み、ここでこのタンパク質のアップレギュレーションは、その膵腫瘍が、ダサチニブによる治療に対し感受性があることを示す、前記方法。
- AEZS-131(Aeterna Zentaris社)及び/又はSCH772984(Merck社)による治療に対する膵腫瘍の感受性を予測する方法であって、マイトジェン-活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1)上のホスホ-T185及び/又はY187のレベルを決定することを含み、ここでこのタンパク質のアップレギュレーションは、その膵腫瘍が、AEZS-131及び/又はSCH772984による治療に対し感受性があることを示す、前記方法。
- 前記リン酸化のレベルを決定する工程が、免疫組織化学による、請求項62又は63記載の方法。
- 対象における膵腫瘍を診断する方法であって、該方法が:
(a)MLCKの発現のレベルを決定すること;
(b)MRCKαのリン酸化のレベルを決定すること;又は
(c)HIPK1のリン酸化のレベルを決定すること:を含み、
ここで、健常組織と比べたMLCKの発現のレベルの増加が、膵腫瘍を有する対象を示し、並びにここで健常組織におけるリン酸化のレベルと比べたMRCKα及びHIPK1のリン酸化の増加は、膵腫瘍を有する対象を示す、前記方法。 - 対象における膵腫瘍を診断する方法であって、該対象から得られた生体試料中のカテニンα-1のホスホ-S655でのリン酸化のレベルを決定することを含み、ここでリン酸化レベルの増加は、膵腫瘍を有する対象を示す、前記方法。
- カテニンα-1のホスホ-S641、S655及び/又はS658のレベルを更に決定する、請求項66記載の方法。
- 対象における膵腫瘍を診断する方法であって、該対象から得られた生体試料中のインテグリンβ-4のホスホ-S1483でのリン酸化のレベルを決定することを含み、ここでリン酸化レベルの増加は、膵腫瘍を有する対象を示す、前記方法。
- インテグリンβ-4のホスホ-S1486のレベルを更に決定する、請求項68記載の方法。
- 対象における膵腫瘍を診断する方法であって、該対象から得られた生体試料中の接合部接着分子A(JAM-A)のホスホ-S284でのリン酸化のレベルを決定することを含み、ここでリン酸化レベルの減少は、膵腫瘍を有する対象を示す、前記方法。
- 前記リン酸化のレベルが、免疫組織化学を用いて決定される、請求項65〜70のいずれか一項記載の方法。
- 前記タンパク質上のリン酸化部位に特異的に結合することが可能である抗体又は抗体断片を含む、請求項65〜71のいずれか一項記載の方法を実行するためのキット。
- 前記抗体又は抗体断片が、検出及び定量を補助するように標識されている、請求項72記載のキット。
- 膵臓癌を有する対象を治療する方法であって;ホメオドメイン-相互作用プロテインキナーゼ1(HIPK1);セリン/スレオニン-プロテインキナーゼMRCKα(MRCKα);及び、平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)からなる群から選択されるプロテインキナーゼの活性を阻害することが可能である、キナーゼインヒビターの投与を含む、前記方法。
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