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JP2016203328A - 加工方法及び加工装置 - Google Patents

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JP2016203328A JP2015089873A JP2015089873A JP2016203328A JP 2016203328 A JP2016203328 A JP 2016203328A JP 2015089873 A JP2015089873 A JP 2015089873A JP 2015089873 A JP2015089873 A JP 2015089873A JP 2016203328 A JP2016203328 A JP 2016203328A
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Abstract

【課題】加工時の半径方向に沿って向きが一様でない立壁を形成する場合であっても、切削用工具と目標形状とが干渉して形状劣化が生じることを防止できる加工方法等を提供すること。【解決手段】切削用工具80に対してワークWを回転させつつ切削用工具80を径方向Rに相対的に移動させ、ワークWに対する切削用工具80の刃先80aの位置である刃先位置に応じて刃先80aが通る工具軸TXの延びる方向に切削用工具80を変位させることによって、ワークWの切削加工を行う加工方法である。ここで、ワークWに対する刃先位置に応じて、切削用工具80の工具軸TXのまわりの回転姿勢を調整する。これにより、加工時の径方向Rに沿って向きが一様でない立壁OWを形成する場合であっても、切削用工具80の刃先80aの側部80bと目標形状OFとが干渉することを防止できる。【選択図】図3

Description

本発明は、切削用工具によって旋盤型の加工を行う加工方法及び加工装置に関し、特に光学素子又はその成形金型等の高精度部品に適する加工方法及び加工装置に関する。
光学面等の加工方法として、旋盤を用いて材料を回転させながら切削工具を半径方向に移動させることで凹面等を形成するものがある。このような旋盤加工によって、材料に球面等の回転対称な形状を加工することができるが、軸外し面のような非回転対称面の加工ができない。これを克服するものとして、回転するワークの回転位置に同期させて切削工具の切込み方向の位置を変化させるツールサーボ加工と呼ばれる方法がある。このツールサーボ加工は、ワークの回転方向又は周方向の位置に応じて切削工具を突き出したり引込めたりするものであり、軸外し面、自由曲面等の非回転対称な加工面を形成することができる。
ツールサーボ加工としては、ファストツールサーボ(Fast Tool ServoもしくはFTS、圧電素子等で切削工具を取り付けた工具台を駆動制御する方法)、及びスローツールサーボ(Slow Tool ServoもしくはSTS、工具台を乗せた工作機械の軸を駆動させる方法)の2種類が知られている。
しかしながら、上記のようなツールサーボ加工を用いても、ワークの加工後の目標形状において半径方向に沿って向きが一様でない立壁が存在するとき、切削工具と目標形状とが干渉して高精度の加工を行えない場合が生じる。すなわち、例えばらせん状の回折格子のように、半径位置の増加に伴って向きが徐々に変化する立壁状の部分を有するものを形成する場合、このような目標形状の少なくとも一部に対して工具すくい面でない部分(例えば側面)や工具すくい面の周辺部との間で干渉が生じ、目標形状を崩しながら加工することになって、加工精度を低下させていた。
なお、アレイレンズ用の金型等の微細加工方法として、ワークを旋回させるのではなく切削工具側の回転姿勢を調節しつつ切削工具をワークに対して周回させるとともに切込み方向に変位させることによって、切削工具先端の軌跡として複数の凹面を加工する方法が公知となっている(特許文献1参照)。この微細加工方法は、立壁が存在する形状を前提とするものではなく、上記ツールサーボ加工の場合と同様の問題が生じると思われる。
また、旋盤主軸に保持されたワークに対し切り込み方向の振動を与えることでワークを切削する切削加工方法であって、振動周波数、振幅、工具逃げ角、プランジカット角度等を所定条件が満たされるような範囲に設定することで、振動に際して工具逃げ面とワークとが衝突することを回避するものが公知となっている(特許文献2参照)。この切削加工方法は、刃先を高速振動させる振動切削を前提とするものであり、この手法を上記ツールサーボ加工そのまま適用することはできない。
特開2011−11295号公報 特開2002−96201号公報
本発明は、上記背景技術の問題に鑑みてなされたものであり、加工時の半径方向に沿って向きが一様でない立壁状の形状部分を形成する場合であっても、切削用工具と目標形状とが干渉して形状劣化が生じることを防止できる加工方法及び加工装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る加工方法は、刃先にすくい面及び逃げ面を有する切削用工具に対してワークを回転させつつ切削用工具をワークの径方向に相対的に移動させ、ワークに対する切削用工具の刃先の位置(具体的には径方向や周方向に関する位置)である刃先位置に応じて刃先が通る工具軸の延びる方向に切削用工具を変位させることによって、ワークの切削加工を行う加工方法であって、ワークに対する切削用工具の刃先位置に応じて、切削用工具の工具軸のまわりの回転姿勢を調整する。なお、切削用工具の工具軸は、工具割出し軸とも呼ばれ、刃先位置に相当する加工点に対して切削用工具が延びる方向に相当し、通常はすくい面に略平行に延びるが、これに限るものではない。
上記加工方法では、ワークに対する切削用工具の刃先位置に応じて切削用工具の工具軸のまわりの回転姿勢を調整するので、加工時のワークの径方向に沿って向きが一様でない立壁等を形成する場合であっても、切削用工具の刃先の外側や周辺部の形状と目標形状とが干渉することを防止でき、得られる形状に形状劣化が生じることを防止できる。
本発明の具体的な側面によれば、上記加工方法において、切削用工具の刃先に対するワークの相対的な回転角と、ワークに対する刃先の回転軸を基準とする径方向位置とに応じて、刃先の工具軸のまわりの上記径方向を基準としての傾斜角を調整する。この場合、回転角及び径方向位置に基づいて、工具軸の方向の切込み量だけでなく工具軸のまわりの傾き角が調整されることになる。
本発明の別の側面によれば、刃先の工具軸のまわりの傾斜角は、最大で±45°の範囲で変化させる。この場合、刃先の工具軸のまわりの傾き角が大きくなることを防止でき、刃先位置に応じた刃先の工具軸のまわりの回転姿勢の調整の精度を高めることができる。
本発明のさらに別の側面によれば、切削用工具に対するワークの回転速度は、500rpm以下である。この場合、刃先位置の変動が大きくなることを防止でき、切削用工具による加工精度を高めることができる。
本発明のさらに別の側面によれば、ワークに形成される立壁状の形状部分に沿うように刃先の工具軸のまわりの回転姿勢を変化させる。この場合、立壁状の形状部分を高精度で形成することができる。なお、立壁状の形状部分の加工は、切削用工具の刃先の上記径方向に関する外側等が目標形状と干渉する典型的な場合である。
本発明のさらに別の側面によれば、刃先に対してワークを一方の第1回転方向に回転させつつ、少なくとも刃先の進行方向に関して所定傾斜角以上の立壁状の形状部分を、刃先を引込める動作によって選択的に加工し、刃先に対してワークを他方の第2回転方向に回転させつつ、少なくとも刃先の進行方向に関して所定傾斜角以上の立壁状の形状部分を、刃先を引込める動作によって選択的に加工し、第1及び第2回転方向のいずれかの回転に付随して、所定傾斜角以上の立壁状の形状部分を除いた非立壁状の形状部分を、刃先を切込ませ又は引込める動作によって加工する。
この場合、第1回転方向の回転に際して、進行方向に関して所定傾斜角以上の(比較的急峻に立ち上がるタイプの)立壁状の形状部分を切削用工具を引込める動作によって選択的に加工し、第2回転方向の回転に際して、進行方向に関して所定傾斜角以上の(比較的急峻に立ち上がるタイプの)立壁状の形状部分を切削用工具を引込める動作によって選択的に加工するので、第1及び第2回転方向のいずれの回転に際しても、切削用工具を突き出すように切り込ませることで形成されるような急峻な立壁を加工する必要がなくなり、切削用工具の裏面側つまり逃げ面側と立壁の頂点とが干渉して形状劣化が生じることを防止できる。
本発明のさらに別の側面によれば、ワークに形成される立壁状の形状部分の段差量は、切削用工具の軸方向位置の最大振幅以下である。この場合、立壁状の形状部分の精密な加工が可能になる。
上記目的を達成するため、本発明に係る加工装置は、刃先にすくい面及び逃げ面を有する切削用工具と、切削用工具に対してワークを回転軸のまわりに相対的に回転させる第1駆動機構と、切削用工具を回転軸に垂直な径方向に相対的に移動させる第2駆動機構と、ワークに対する切削用工具の刃先の位置である刃先位置に応じて、切削用工具の刃先が通る工具軸の延びる方向に切削用工具を変位させる第3駆動機構と、ワークに対する切削用工具の刃先位置に応じて、切削用工具の工具軸のまわりの回転姿勢を調整する第4駆動機構とを備える。
上記加工装置では、第4駆動機構がワークに対する切削用工具の刃先位置に応じて切削用工具の工具軸のまわりの回転姿勢を調整するので、加工時のワークの径方向に沿って向きが一様でない立壁状の形状部分を形成する場合であっても、切削用工具の刃先周辺の形状と目標形状とが干渉することを防止でき、形状劣化が生じることを防止できる。
実施形態に係る加工装置を説明するブロック図である。 (A)及び(B)は、切削用工具の側面図及び平面図である。 実施形態の加工方法を説明する概念図である。 (A)は、切削用工具の回転姿勢の調整を説明する拡大図であり、(B)は、切削用工具の傾斜角の調整範囲を説明する図である。 (A)は、第1回転方向の回転による加工を説明する概念的な断面図であり、(B)は、第2回転方向の回転による加工を説明する概念的な断面図である。 (A)及び(B)は、図5(A)及び5(B)を変更した変形例を説明する概念的な断面図である。 (A)は、第1回転方向の回転による加工を説明する平面図であり、(B)は、第2回転方向の回転による加工を説明する平面図である。 (A)は、加工例を説明する平面図であり、(B)は、加工例及び切削用工具の姿勢を説明する斜視図である。 図1の装置を用いた製造方法を説明するフローチャートである。 別の加工例を説明する平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る加工装置及び加工方法について説明する。
図1は、実施形態の加工装置を模式的に説明するブロック図である。図示の加工装置100は、ワークWを回転させつつ切削用工具80を3次元的に変位させる旋盤型の切削加工を可能にするNC駆動機構91と、NC駆動機構91を制御しつつ駆動する駆動制御装置97と、装置全体の動作を統括的に制御する主制御装置98とを備える。
NC駆動機構91は、台座94a上に第1駆動機構94bと第2駆動機構94cとを載置した構造を有する。ここで、第1駆動機構94bは、ワークスピンドル95aを回転可能に支持している。第1駆動機構94bは、駆動制御装置97に駆動されてワークスピンドル95aをZ軸に平行で水平に延びる回転軸RAのまわりに所望の速度で正転又は逆転させることができるとともに、ワークスピンドル95aの回転角又は回転姿勢を検出して駆動制御装置97に角度情報として出力することができる。一方、第2駆動機構94cは、切削用工具80を取り付けた可動部95bを支持しており、この可動部95b内には、第3駆動機構95c及び第4駆動機構95dが組み込まれている。第2駆動機構94cは、可動部95b及び切削用工具80を支持して、これらを水平のX軸方向及び鉛直のY軸方向に沿った所望の位置に所望の速度で移動させることができる。また、第3駆動機構95cは、可動部95b内で第4駆動機構95dに支持されており、切削用工具80を水平のZ軸方向に沿った所望の位置に所望の速度で進退移動させることができる。第4駆動機構95dは、切削用工具80を水平に延びるZ軸方向のまわりに回転させることができる。より具体的には、第4駆動機構95dは、Z軸に平行で水平に延びる切削用工具80の工具割出し軸又は工具軸TXのまわりに切削用工具80を回転させ、その回転姿勢を調整することができる。駆動制御装置97では、第2駆動機構94c等を介して切削用工具80又はその刃先80aの位置や回転姿勢を制御することができる。
なお、加工対象であるワークWは、金属、ガラス、セラミックス、樹脂等からなり、それ自体に微細構造を直接切削形成することにより、特殊な回折格子、位相差板等の光学素子に形成されるものであるが、この種の光学素子を樹脂、ガラス等から成形するための型として対応する形状に加工されるものであってもよい。
図2(A)及び2(B)を参照して、切削用工具80の主要部の形状について説明する。切削用工具80は、刃先80aとして、実際に切削が行われる先端部82を有するチップ部81aと、チップ部81aを支持するシャンク部81bとを有する。チップ部81aは、表面側のすくい面83aと、先端の第1逃げ面83bと、裏面側の第2逃げ面83cとを有する。チップ部81aにおいて、先端部82の中央又は中心をZ軸方向に延びるように工具軸(工具割出し軸)TXが通る。工具軸TXに垂直な面に対して第1逃げ面83bがなす角γ1を第1逃げ角と呼び、工具軸TXに垂直な面に対して第2逃げ面83cがなす角γ2を第2逃げ角と呼ぶ。第2逃げ角γ2は、チップ部81aの最大逃げ角となっている。第1逃げ面83bの上下方向すなわちY軸方向の幅tを刃厚と呼ぶ。切削用工具80の先端部82は、すくい面83aと第1逃げ面83bとの境界に形成される円弧であり、図1に示すワークWに対して相対的にY軸方向に移動することで、ワークWの表面Waを切削する。具体的な適用例では、第1逃げ角γ1が10〜60°に設定され、第2逃げ角γ2が45〜60°に設定され、刃厚tが0.05mm程度以上に設定された。また、すくい面83aは、XZ面に略平行に延びているが、根元のシャンク部81b側で−Y側となるように若干傾いている。なお、図示のチップ部81aは、V字型の先端形状を有するが、用途に応じて半円型等の先端形状を採用することができる。
図1に戻って、駆動制御装置97は、高精度の数値制御を可能にするものであり、NC駆動機構91に内蔵されたモータや位置センサ等を主制御装置98の制御下で駆動することによって、第1及び第2駆動機構94b,94c、第3駆動機構95c、第4駆動機構95d等を目的とする状態に適宜動作させる。例えば、第1駆動機構94bによって、ワークスピンドル95a及びワークWを回転軸RAのまわりに比較的高速で回転させる。第1駆動機構94bによるワークスピンドル95aの回転は、例えば正方向のみとすることができるが、正逆の双方向とすることもできる。なお、ワークスピンドル95aを+Z軸方向に見て時計方向(CW)の回転を正方向の回転とし、ワークスピンドル95aを+Z軸方向に見て反時計方向(CCW)の回転を逆方向の回転とする。この際、第1駆動機構94bは、ワークスピンドル95aの回転角からワークWの回転角を割出す。
一方、第2駆動機構94cによって、切削用工具80の先端部82の加工点を最初に回転軸RA上に配置し、つまり回転軸RAと工具軸TXとを一致させ、先端部82をワークW又はワークスピンドル95aの径方向であるX軸方向に比較的低速で移動(送り動作)させる。これと並行して、第3駆動機構95cは、切削用工具80の先端部82をZ軸方向又は工具軸TX方向に比較的高速で進退移動させる。この進退移動のうち、+Z方向は、切削用工具80の切込み動作又は前進動作に対応し、−Z方向は、切削用工具80を引込める動作又は後退動作に対応する。このような進退に際して切削用工具80の刃先80aのZ位置、換言すれば切削用工具80の刃先80aの軸方向位置は、ワークスピンドル95a又はワークWの回転方向及び回転角と切削用工具80の径方向位置とに応じて調整される。これにより、ワークWの表面Wa上の任意の位置に所望の形状を有する鏡面等を形成することができる。ワークWの表面Wa上に形成される形状には、段差、斜面等の立壁形状のほか、これらと平面、球面、自由曲面等を複合したものが含まれる。さらに、以上の動作に対応させて、第4駆動機構95dは、切削用工具80の刃先80aの回転姿勢を変化させる。すなわち、第4駆動機構95dは、切削用工具80を水平に延びる工具軸(工具割出し軸)TXのまわりに回転させることにより、切削用工具80の刃先80aの側部80b等が目標形状と干渉することを防止する。ここで、干渉の原因となる側部80bには、チップ部81aの側面のほか、すくい面83aの周辺部が含まれる。このような干渉回避を達成すべく、切削用工具80又は刃先80aの回転姿勢又は傾き角は、ワークスピンドル95a又はワークWの回転方向及び回転角と切削用工具80の径方向位置とに応じて調整される。これにより、刃先80aの側部80b等が目標形状と干渉することを防止でき、刃先80a自体で目標形状を崩しながら加工することを防止して、表面Wa上に形成される段差、斜面等の立壁形状の加工精度を維持することができる。
主制御装置98は、ワークWの加工形状に関する情報を外部から受け付けて保管する記憶部(不図示)を有している。主制御装置98は、駆動制御装置97と協働してNC駆動機構91の動作を制御する制御部となっている。ワークWの加工形状に関する情報は、第1駆動機構94b、第2駆動機構94c、第3駆動機構95c、第4駆動機構95d等を動作させる工程に相当するものを含んでおり、より具体的には、主制御装置98は、ワークWの設計形状又はこれを実現するために補正を加えた修正形状である目標形状を加工形状情報として受付ける。この加工形状情報は、例えばワークスピンドル95a又はワークWの回転軸RAからの径方向位置と、当該径方向位置におけるワークスピンドル95aの回転角との関数として、切削用工具80の刃先80aの軸方向位置を含むとともに、切削用工具80の刃先80aの回転姿勢(具体的には傾斜角)を含むものとなっている。これにより、第2駆動機構94cからの径方向位置のフィードバックを受けつつ、第1駆動機構94bを介してワークスピンドル95a又はワークWの回転角を監視し、第3駆動機構95cによって切削用工具80の軸方向位置を調整するとともに切削用工具80の回転姿勢を調整することができ、切削用工具80の先端部82をワークWに対して相対的に回転させつつ目標形状に沿って移動させ、かつ、その傾斜姿勢を目標形状に対して適正に保つことができる。
さらに、主制御装置98では、図2(A)に示す形状を有する切削用工具80による加工の都合を考慮して、目標形状が溝形状又は畝形状のように反対向きの立壁を含む場合、加工工程を正転のみに限らず正逆の回転に対応する2つの切削工程に分けたものを準備する。すなわち、主制御装置98は、上記のような径方向位置、回転角、軸方向位置等を含む加工形状情報から、ワークスピンドル95aの正転に対応する第1切削工程での切削用工具80の先端部82に対応する加工点の軌跡と、ワークスピンドル95aの逆転に対応する第2切削工程での切削用工具80の先端部82に対応する加工点の軌跡とを算出する。このように、主制御装置98は、通常ならば一括して行う切削工程を、ワークスピンドル95aの正転を利用した第1切削工程と、ワークスピンドル95aの逆転を利用した第2切削工程とに分割して行わせることができる。具体的には、ワークスピンドル95aを第1回転方向である時計方向(CW)に回転させる第1切削工程について、切削用工具80の先端部82に対応する加工点の軌跡及び刃先80aの回転姿勢又は傾斜角を算出するとともに、ワークスピンドル95aを第2回転方向である反時計方向(CCW)に回転させる第2切削工程について、切削用工具80の先端部82に対応する加工点の軌跡及び刃先80aの回転姿勢又は傾斜角を算出し、これらを個別に記憶部に保管する。なお、上記した第1切削工程の軌跡や第2切削工程の軌跡は、予め外部で準備され主制御装置98に入力されるものであってもよい。
以下、図3等を参照して、ワークWの加工方法の基本概念について説明する。
図1に示すワークWは、第1駆動機構94bに支持されて、ワークスピンドル95aとともに回転軸RAのまわりに時計方向(CW)又は反時計方向(CCW)に回転する。一方、図3に示すようにワークWを固定して見た場合、切削用工具80が反対方向に回転し、円形の軌跡Aを描くことになる。つまり、ワークスピンドル95aとともにワークWが例えば時計方向に回転する場合、回転軸RAから径方向Rにおいて半径位置(径方向位置)rにある切削用工具80の刃先80a又は先端部82は、ワークWに対して反時計方向である相対的な進行方向又は回転方向Drに回転する。この際、切削用工具80の先端部82の相対的な回転角はθである。つまり、切削用工具80の刃先80a又は先端部82のZ軸方向の座標値ztである軸方向位置を制御することで、円筒座標(r,θ,zt)で表される刃先80a又は先端部82の軌跡Aを設定することができ、ワークWの表面Waに転写すべき形状を任意に設定することができる。この際、ワークスピンドル95aの回転数は、500rpm以下の比較的低速とする。ワークスピンドル95aやワークWの回転数が大きいと、切削用工具80の刃先80aをワークスピンドル95aの回転に同期させることが容易でなくなり、加工精度を確保することが容易でなくなるので、ワークスピンドル95aの回転数を500rpm以下として、加工精度を簡易に確保できるようにしている。
なお、切削用工具80の先端部82の軸方向位置である座標値ztの変化が従来の光学面のように緩やかに変化する経路に相当するものであれば特に問題が生じないが、先端部82の座標値ztが急激に変化する経路を与えるものである場合、切削用工具80の刃先80aがワークWに形成すべき目標形状と干渉する問題が生じる。
図3、4等を参照して、切削用工具80の刃先80aがワークWに形成すべき目標形状と干渉する現象の一例について説明する。
切削用工具80の刃先80aは、図2(A)に示すように、先端部82だけでなく、先端部82の近傍に側部80bを有する。このため、ワークWに加工する目標形状が比較的平坦な場合は特に問題が生じないが、ワークWに加工する目標形状が溝形状又は畝形状のような急峻な立壁を形成する場合、目標形状が刃先80aと干渉する可能性がある。
図4(A)は、目標形状OFが急峻な立壁OWである場合を示している。このような立壁OWを加工する場合において、仮に点線で示すように刃先80aのすくい面83aが径方向Rに延び目標形状OFの立壁OWと平行でないとすると、刃先80aのうち先端部82の外側に隣接する側部80bが目標形状OFの立壁OWにめり込むように配置されるので、これらの間で干渉が生じて、刃先80a自体で目標形状OFを崩しながら加工することになって、加工精度を低下させることになる。その一方で、刃先80aのすくい面83aが目標形状OFの立壁OWと平行に延びるように配置されるならば、刃先80aの側部80b等が目標形状OFの立壁OWと干渉することを防止でき、刃先80a自体で目標形状OFを崩しながら加工することを防止して加工精度を維持することができる。このため、図3に示すように、刃先80aの回転角θ及び径方向Rの半径位置r(例えばr1,r2)に応じて、刃先80aの回転姿勢、すなわち径方向Rに対する傾斜角αを調整し、図4(A)に実線で示すようにすくい面83aが立壁OWに沿って延びるように配置する。なお、立壁OWを加工しない場合、つまり、比較的平坦な部分を加工する場合、刃先80aの傾斜角αをゼロに戻すのが原則である。ただし、このように比較的平坦な部分を加工する場合、刃先80aの傾斜角αをゼロに戻さなくても、加工自体は可能であり精度の劣化はない。よって、刃先80aの回転角θが立壁OWの位置に対して所定角度以下の範囲内で近づく近傍角度領域では、刃先80aの傾斜角αを徐々に増減変化させて、立壁OWに達した状態では、すくい面83aが立壁OWに沿って延びるようにする。逆に、刃先80aの回転角θが立壁OWの位置に対して所定角度以下の範囲内で離れる近傍角度領域では、刃先80aの傾斜角αを徐々にゼロに戻すように変化させる。つまり、立壁OWを加工しない場合、刃先80aの傾斜角αの設定にある程度の自由度があるが、刃先80aの傾斜角αの変化は、連続的で緩やかなものとすることが望ましい。
図4(B)は、刃先80aの傾斜角αの適正な範囲を説明する図である。刃先80aの傾斜角αが±45°を超えると、すくい面83aが刃先80aの進行方向に対して大きく傾くことになり、先端部82による精密な加工が容易でなくなる。図示のように、刃先80aの傾斜角αが±45°の範囲内であれば、刃先80aの軌跡に応じた精密な形状加工が比較的容易に達成される。また、刃先80aの傾斜角αを45°に近い比較的大きな角度で変化させる場合、加工精度確保の観点から、ワークスピンドル95aやワークWの回転数を大きくすることは容易でなくなる。このように、刃先80aの傾斜角αを比較的大きな角度で変化させる場合、ワークスピンドル95aの回転数は、刃先80aの傾斜角αの変化速度又は回転数に近づけることが望ましくなる。
さらに、目標形状が溝形状又は畝形状のように反対向きの一対の立壁又は段差を含む場合、図2(A)に示す切削用工具80の先端部82に設けられている第2逃げ面(裏面)83c等がワークWに形成すべき目標形状と干渉して形状劣化が生じる可能性がある。このような現象は、目標形状の下がり段差の傾斜が第2逃げ角γ2よりも急峻な傾斜を有するような立壁OWの場合に顕著に生じる。
図5(A)及び5(B)は、切削用工具80の先端部82以外の第2逃げ面83c等がワークWに形成すべき目標形状と干渉して形状劣化が生じることを回避する手法を説明する断面図である。この断面図は、切削用工具80の先端部82の図3に示すような軌跡Aに沿った断面となっており、図面の縦方向は、±Z軸方向の位置を示し、図面の横方向は、先端部82の相対的な回転角θに対応する位置を示す。
図5(A)に示すように、ワークWが第1回転方向である時計方向(CW)に回転している場合において、目標形状OFに急峻な段差があっても、切削用工具80の回転方向又は進行方向Drの先で上がる段差であれば、切削用工具80を−Z軸方向に後退させて引込めるだけで精密な加工が可能になる。つまり、切削用工具80の逃げ面83b,83cと目標形状OFの立壁OW1とは干渉せず、目標形状OFを劣化させないで加工することができる。一方、ワークWが時計方向(CW)に回転している場合において、切削用工具80の回転方向又は進行方向Drの先で下がる段差を加工するときは、切削用工具80を+Z軸方向に切込むように動作させて切削を行うと、目標形状OFの立壁OW2の頂点等と切削用工具80の逃げ面83b,83cとが干渉して、点線Dで示すように立壁OW2の形状が鈍って加工されることになり、根元に加工残りが発生する。
なお、立壁OW2が切削用工具80と干渉する問題は、立壁OW2の傾斜角Δが切削用工具80のチップ部81aの第2逃げ角γ2よりも大きくなるときに生じる。ただし、チップ部81aの第1逃げ面83bが比較的広いときは、立壁OW2の傾斜角Δが第1逃げ面83bに対応する第1逃げ角γ1よりも大きくなるときにも、同様の干渉の問題が生じる。
そこで、図5(B)に示すように、図5(A)に示すものと同じ軌跡Aの一部に関して、ワークWを第2回転方向である反時計方向(CCW)に回転させる。この場合、立壁OW2の段差が逆転する。つまり、図5(A)に示す時計方向(CW)の回転で回転方向又は進行方向Drに急激に下がる段差である立壁OW2は、図5(B)に示す反時計方向(CCW)の回転で回転方向又は進行方向Drに急激に上がる段差となる。これにより、切削用工具80を−Z軸方向に引込めるように動作させて切削を行うことで立壁OW2を形成でき、立壁OW2の頂点等と切削用工具80の逃げ面83b,83cとが干渉して立壁OW2の形状が鈍って加工されることを確実に防止できる。
結果的に、図5(A)に示す時計方向(CW)の回転による加工と、図5(B)に示す反時計方向(CCW)の回転による加工とを合成すれば、ワークWの表面Waに目標形状OFを形成することができることが分かる。この際、図示の例では、目標形状OFのうち急峻な段差でない部分(非立壁状の形状部分)OF0についても、図5(A)に示す時計方向(CW)の回転による加工に付加して行うこととしている。つまり、図5(A)に示す第1切削工程で、正転方向の立壁OW1と急峻な段差でない部分(非立壁状の形状部分)OF0とを含めたパターンPA1が加工される。そして、次の図5(B)に示す第2切削工工程で、逆転方向の立壁OW2及びそれに続く付随部分を含めたパターンPA2が加工される。ただし、急峻な段差でない部分(非立壁状の形状部分)OF0については、図5(B)に示す反時計方向(CCW)の回転による第2切削工程に付加して行うこともできる。さらに、図5(A)のパターンPA1は、単一の立壁OW1を含むものに限らず、複数の立壁OW1を含むものであってもよいが、2つの第1タイプの立壁OW1の間に第2タイプの立壁OW2が存在する場合、この立壁OW2周辺はパターンPA1から外される。つまり、この場合、第1のパターンPA1と、第2のパターンPA2とは、交互に複数回繰り返される要素からなるものとなる。
図5(A)に示す加工と図5(B)に示す加工とは、ワークWに対して切削用工具80が反転する必要があるため一般に同時に行うことができない。よって、一連の目標形状OFであっても時計方向(CW)の回転による加工と反時計方向(CCW)の回転による加工とを切換えて個別に実施する必要があり、回転の切換えに際してワークWの回転角θがずれないように調整する必要がある。さらに、図5(A)に示す第1切削工程から図5(B)に示す第2切削工程に切換える際には、通常は切削用工具80の先端部82をZ軸方向にシフトさせる必要があるが、このシフトが大きくなると、先端部82の位置精度を保つことが容易でなくなる。このため、図5(A)に示す加工から図5(B)に示す加工に切換える際の先端部82の変位量又はシフトを20nm程度以下とすることが望ましい。ただし、かかる変位量又はシフトが上記20nmを超えても、先端部82の刃先位置は、リアルタイム又は事前の計測を用いた制御手法等を用いることで、精密に補正することができる。
また、図5(A)に示す第1切削工程を行う場合、段差が逆の立壁OW2やこれに付随する手前部分(立壁状の形状部分)を加工しない必要がある。つまり、立壁OW2を劣化させることを防止するため、立壁OW2を含む立壁状の形状部分を切削用工具80が通る際に、切削用工具80を−Z軸方向に十分なマージンを持って引込める空振りKが必要となる。この際、切削用工具80を引込めるマージンは、立壁OW2の段差量以上を確保する必要があるが、複数の立壁OW2が存在する場合、最大の段差量以上とする。このような最大段差は、切削用工具80のZ軸方向の可動量すなわち最大振幅以下とする必要があり、具体的な実施例では1000μm以下とした。逆に、また、図5(B)に示す第2切削工程を行う場合、段差が逆の立壁OW1やこれに付随する手前部分(立壁状の形状部分)を加工しない必要がある。このため、立壁OW1を含む立壁状の形状部分を切削用工具80が通る際に、切削用工具80を−Z軸方向に十分なマージンを持って引込める空振りKを行っている。
図6(A)及び6(B)は、図5(A)及び5(B)に示す加工動作の変形例を示している。この場合、図6(A)に示す反時計方向(CCW)の回転による加工が先行し、図6(B)に示す時計方向(CW)の回転による加工が続く。この場合も、図6(A)に示す反時計方向(CCW)の回転による第1切削工程と、図6(B)に示す時計方向(CW)の回転による第2切削工程とが合成され、ワークWの表面Waに目標形状OFを形成することができる。この際、目標形状OFのうち急峻な段差でない部分OF0については、図示の例では、図6(A)に示す反時計方向(CCW)の回転による加工に付加して行うこととしているが、図6(B)に示す時計方向(CW)の回転による加工に付加して行うこともできる。
以下、図5(A)に示す時計方向(CW)の回転による第1切削工程と、図5(B)に示す反時計方向(CCW)の回転による第2切削工程とを連続して行う具体的手法について説明する。
図7(A)に示す第1切削工程では、第2駆動機構94cを適宜動作させることにより、切削用工具80の先端部82つまり工具軸TXを回転軸RAの−X軸方向であってワークWの外周位置からスタートさせて、ワークWの中心である回転軸RAが通る位置Oまで+X方向に移動させる。つまり、ワークWの外周位置から中心の位置Oまでが先端部82の駆動範囲となっている。この際、第2駆動機構94cだけでなく、第3駆動機構95c及び第4駆動機構95dも、第1駆動機構94bと同期して動作する。これにより、ワークWの表面Wa全体に図5(A)に例示する第1パターンPA1の加工が、切削用工具80の回転姿勢を適正に保ちつつ実行される。なお、図7(A)に示すようにワークWの外周位置から加工を開始する場合、予め刃先80aの回転姿勢又は傾斜角αを調整し、すくい面83aが立壁OWに沿って延びるように事前準備動作を行うことが望ましい。これにより、刃先80aの回転姿勢の調節を精密にでき、ワークWの外周位置における加工精度を確保することができる。
その後、図7(B)に示す第2切削工程では、第2駆動機構94cを適宜動作させることにより、切削用工具80の先端部82をワークWの中心である回転軸RAが通る位置Oからスタートさせて、回転軸RAの+X軸方向であってワークWの外周位置まで+X方向に移動させる。つまり、ワークWの中心の位置Oから外周位置までが先端部82の駆動範囲となっている。この際、第2駆動機構94cだけでなく、第3駆動機構95c及び第4駆動機構95dも、第1駆動機構94bと同期して動作する。これにより、ワークWの表面Wa全体に図5(B)に例示する第2パターンPA2の加工が、切削用工具80又は刃先80aの回転姿勢を適正に保ちつつ実行さる。結果的に、両パターンPA1,PA2を合成したものによって、ワークWの表面Wa上に目標とする形状が得られる。
この場合、図7(A)に示す工程から図7(B)に示す工程に移る際に、回転方向が変わるため切削用工具80の先端部82を若干−Z軸方向に引込めることが望ましいが、引込めるとしても殆ど変位させる必要がないので、切削用工具80による加工精度を維持しやすい。なお、図7(A)に示す工程から図7(B)に示す工程に移る際に、切削用工具80は、そのまま回転しないでも、刃先80aのすくい面83aが自動的に回転方向又は進行方向Drを向く。つまり、切削用工具80の向きを回転方向に対応させて自動的に機能的な意味で反転させることになる。この際、切削用工具80の回転姿勢を調整することもでき、この場合、刃先80aの反転に傾斜角を追加した効果を得ることができる。
なお、図7(A)に示す工程から図7(B)に示す工程に移る切替えの際には、ワークWの回転方向の角度関係を整合させること、すなわち加工位置の回転角に関する座標を切換える必要がある。つまり、図7(B)の加工では、図7(A)の加工における回転角θの符号が反転するとともに位相が180°ずれることになる。
図7(A)及び7(B)に示す切削工程の組み合わせは例示であり、図7(B)に示すような外向きの切削加工後に、図7(A)に示す内向きの切削加工を行ったり、図7(A)に示す内向きの切削加工を−X方向に逆進させたような外向きの切削加工を行うこともできる。
図8(A)及び8(B)を参照して、ワークWに形成すべき目標形状の具体例について説明する。ワークWには、上記のような手法によって、らせん形状の微細構造を効率良く、かつ、高精度に作製することができ、これにより、高精度のらせん状の回折格子を得る。加工形状PAの具体例であるらせん形状は、溝1a又は突起1bが径方向外側に広がるように湾曲して延びており、各溝1a又は突起1bの円周方向断面は矩形となっている。この場合、目標形状の立壁OWの面方向が刃先80aの径方向Rの半径位置rの増加に伴って徐々に時計方向に回転するので、刃先80aの傾斜角αを半径位置rに合わせて徐々に増加させる、つまり時計方向に回転させる必要がある。さらに、目標形状の突起1bを構成する立壁OWが、ワークWが時計方向(CW)に回転している場合の立壁OW1と、ワークWが反時計方向(CCW)に回転している場合の立壁OW2とを含むので、上記のように、図5(A)に例示するような時計方向(CW)の回転による第1切削工程と、図5(B)に例示するような反時計方向(CCW)の回転による第2切削工程とを連続して行うことになる。
図9を参照して、図1の加工装置100を用いた加工方法の全体について簡単に説明する。まず、主制御装置98は、外部又は記憶部から対象とするワークWに関する加工形状情報を取り込む(ステップS11)。次に、主制御装置98は、ステップS11で取り込んだ加工形状情報から、第1回転方向である時計方向(CW)の回転に適合させた第1切削工程に関して加工点の軌跡及び刃先80aの傾斜角を算出するとともに、反時計方向(CCW)の回転に適合させた第2切削工程に関して加工点の軌跡及び刃先80aの傾斜角を算出する。つまり、加工形状情報を加工して第1及び第2回転方向に関する2つの分離された加工データを得る(ステップS12)。この際、図7(A)及び7(B)等を参照して説明したように、2つの加工データは、回転角θの符号を反転させるとともに位相を180°ずらすことで整合性が保たれる。さらに、干渉を避けるべく各加工データに対して空振り量が適宜設定される。次に、主制御装置98は、駆動制御装置97を介してNC駆動機構91を適宜動作させ、第1回転方向である時計方向(CW)の第1切削工程に適合するようにワークWの回転角と切削用工具80の径方向位置とを初期化する(ステップS13)。次に、主制御装置98は、駆動制御装置97を介してNC駆動機構91を適宜動作させ、第1回転方向の加工すなわち第1切削工程を実行する(ステップS14)。これにより、図5(A)に例示するような加工が刃先80aの回転姿勢又は傾斜角を適正に設定しつつ行われる。次に、主制御装置98は、駆動制御装置97を介してNC駆動機構91を適宜動作させ、第2回転方向である反時計方向(CCW)の第2切削工程に適合するようにワークWの回転角と切削用工具80の径方向位置とを初期化する(ステップS15)。次に、主制御装置98は、駆動制御装置97を介してNC駆動機構91を適宜動作させ、第2回転方向の加工すなわち第2切削工程を実行する(ステップS16)。これにより、図5(B)に例示するような加工が刃先80aの回転姿勢又は傾斜角を適正に設定しつつ行われる。
本実施形態に係る加工方法によれば、ワークWに対する切削用工具80の刃先位置に応じて切削用工具80の工具軸TXのまわりの回転姿勢を調整するので、加工時の径方向Rに沿って向きが一様でない立壁OWを形成する場合であっても、切削用工具80の刃先80aの側部80bと目標形状OFとが干渉することを防止でき、得られる形状に形状劣化が生じることを防止できる。
以上、本実施形態に係る加工方法等について説明したが、本発明に係る加工方法は、上記のものには限られない。例えば、上記実施形態では、切削用工具80をZ軸方向に進退させるとともにX軸方向に走査移動させたが、ワークW側をZ軸方向に進退させるとともにX軸方向に走査移動させることもできる。
また、上記実施形態では、ワークW側を回転させたが、ワークW側を回転させないで切削用工具80側を回転させることによっても同様の加工が可能になる。
また、図4(A)に示す時計方向(CW)の回転による第1切削工程と、図4(B)に示す反時計方向(CCW)の回転による第2切削工程との間で例えば誤差が生じる場合、これを補償するような制御を行うこともできるが、結果的に形成される意図しない段差が低いものであれば事後的に除去することもできる。段差の除去方法として、例えばGCIB(Gas Cluster Ion Beam)のようなビーム加工型の研磨法を用いることができる。
以上では、第1切削工程と第2切削工程とに分けたが、3つ以上の切削工程に分割してこれらを順次行うこともできる。
以上では、加工形状PAとしてらせん状の回折格子の作製を図示したが、本発明はこれに限ることなく、本発明の手法により多様な面を含む各種光学素子、その成形金型等を上記加工方法によって作製することができる。図10に、加工形状PAとして、扇状の領域にストライプ状に延びる多数の突起からなる回折格子を形成したものを例示した。このような光学素子も本発明の手法により精密かつ効率的に作製することができる。
また、ワークWに形成すべき目標形状は、図8(B)等に示すように円周方向断面が矩形のものに限る必要はなく、円周方向断面が三角形又は鋸歯状であってもよい。この場合、図5(A)に示す第1切削工程のみでワークWの加工を完結することも可能になる。
A…軌跡、 TX…工具軸、 RA…回転軸、 W…ワーク、 OF…目標形状、 OW…立壁、 OW1…立壁、 OW2…立壁、 80…切削用工具、 80b…側部、 81a…チップ部、 82…先端部、 81a…チップ部、 81b…シャンク部、 82…先端部、 83a…すくい面、 83b,83c…逃げ面、 91…NC駆動機構、 94b…第1駆動機構、 94c…第2駆動機構、 95a…ワークスピンドル、 95c…第3駆動機構、 95c…第3駆動機構、 97…駆動制御装置、 98…主制御装置、 100…加工装置

Claims (8)

  1. 刃先にすくい面及び逃げ面を有する切削用工具に対してワークを回転させつつ前記切削用工具をワークの径方向に相対的に移動させ、ワークに対する前記切削用工具の前記刃先の位置である刃先位置に応じて前記刃先が通る工具軸の延びる方向に前記切削用工具を変位させることによって、ワークの切削加工を行う加工方法であって、
    ワークに対する前記切削用工具の前記刃先位置に応じて、前記切削用工具の前記工具軸のまわりの回転姿勢を調整することを特徴とする加工方法。
  2. 前記切削用工具の前記刃先に対するワークの相対的な回転角と、ワークに対する前記刃先の回転軸を基準とする径方向位置とに応じて、前記刃先の前記工具軸のまわりの前記径方向を基準としての傾斜角を調整することを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
  3. 前記刃先の前記工具軸のまわりの傾斜角は、最大で±45°の範囲で変化させることを特徴とする請求項2に記載の加工方法。
  4. 前記切削用工具に対するワークの回転速度は、500rpm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の加工方法。
  5. ワークに形成される立壁状の形状部分に沿うように前記刃先の前記工具軸のまわりの回転姿勢を変化させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の加工方法。
  6. 前記刃先に対してワークを一方の第1回転方向に回転させつつ、少なくとも前記刃先の進行方向に関して所定傾斜角以上の立壁状の形状部分を、前記刃先を引込める動作によって選択的に加工し、
    前記刃先に対してワークを他方の第2回転方向に回転させつつ、少なくとも前記刃先の進行方向に関して所定傾斜角以上の立壁状の形状部分を、前記刃先を引込める動作によって選択的に加工し、
    前記第1及び第2回転方向のいずれかの回転に付随して、前記所定傾斜角以上の立壁状の形状部分を除いた非立壁状の形状部分を、前記刃先を切込ませ又は引込める動作によって加工することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の加工方法。
  7. ワークに形成される立壁状の形状部分の段差量は、前記切削用工具の軸方向位置の最大振幅以下であることを特徴とする請求項5及び6のいずれか一項に記載の加工方法。
  8. 刃先にすくい面及び逃げ面を有する切削用工具と、
    前記切削用工具に対してワークを回転軸のまわりに相対的に回転させる第1駆動機構と、
    前記切削用工具を前記回転軸に垂直な径方向に相対的に移動させる第2駆動機構と、
    ワークに対する前記切削用工具の前記刃先の位置である刃先位置に応じて、前記切削用工具の前記刃先が通る工具軸の延びる方向に前記切削用工具を変位させる第3駆動機構と、
    ワークに対する前記切削用工具の前記刃先位置に応じて、前記切削用工具の前記工具軸のまわりの回転姿勢を調整する第4駆動機構と、
    を備えることを特徴とする加工装置。
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