JP2016138288A - 積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液及び積層多孔フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミナを分散媒に分散させてなる、積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液であって、B型粘度計を用いて周速100rpmで測定した、分散液作製後1時間静置時の粘度η1と、分散液作製後72時間静置時の粘度η72との比η72/η1が0.1以上10未満であり、かつη72が10〜3000mPa・sの範囲であることを特徴とする積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液である。
【選択図】なし
Description
すなわち本発明は以下の通りである。
[2]熱重量分析において前記アルミナを昇温速度10℃/分で加熱した際の、250℃におけるアルミナの質量W250と、400℃におけるアルミナの質量W400が、25℃におけるアルミナの質量Wに対して以下の関係を有することを特徴とする[1]に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
(W250−W400)/W≧0.00390
[3]前記アルミナの結晶構造中における酸化アルミニウム分子に対する水分子の含有モル比(Al2O3・xH2Oにおけるx)が1.0未満であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
[4]前記アルミナがαアルミナであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
[5]前記分散媒が、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、ジオキサン、アセトニトリル、低級アルコール、グリコール類、グリセリン、及び乳酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
[6]前記分散媒が、水と炭素数1〜4の低級アルコールとの混合分散媒であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
[7]樹脂バインダーを含有することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
[8]前記樹脂バインダーが、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[7]に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
[9]前記アルミナと前記樹脂バインダーとの総量に占める前記アルミナの含有率が80質量%以上、99.9質量%以下であることを特徴とする[7]又は[8]に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
[10]酸成分を10質量ppm以上、10000質量ppm以下含有することを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
[11][1]〜[10]のいずれかに記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液を、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に塗布する工程と、前記分散媒を除去する工程とを含むことを特徴とする、積層多孔フィルムの製造方法。
なお、本発明において、「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100質量%を含む)を占める意を包含するものである。
また、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
以下に、本発明の積層多孔フィルムを構成する各成分について説明する。
ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムに用いるポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンを重合した単独重合体又は共重合体が挙げられる。また、これらの単独重合体又は共重合体を2種以上混合することもできる。この中でもポリプロピレン系樹脂、又は、ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましく、特に、本発明の積層多孔フィルムの機械的強度、耐熱性などを維持する観点から、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、又はプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどα−オレフィンとのランダム共重合体又はブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、本発明の積層多孔フィルムの機械的強度、耐熱性などを維持する観点から、ホモポリプロピレンがより好適に使用される。
アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al(Macromolecules8,687,(1975))に準拠する。
ポリプロピレン系樹脂のMw/MnはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定される。
ポリプロピレン系樹脂の密度は、密度勾配管法を用いてJIS K7112(1999年)に準じて測定される。
ポリプロピレン系樹脂のMFRはJIS K7210(1999年)に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びエチレンを主成分とする共重合体、すなわち、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどの炭素数3〜10のα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル、共役ジエンや非共役ジエンのような不飽和化合物の中から選ばれる1種又は2種以上のコモノマーとの共重合体又は多元共重合体あるいはその混合組成物が挙げられる。エチレン系重合体のエチレン単位の含有量は通常50質量%を超えるものである。
ポリエチレン系樹脂の密度は、密度勾配管法を用いてJIS K7112(1999年)に準じて測定される。
ポリエチレン系樹脂のMFRはJIS K7210(1999年)に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
本発明においては、前述した樹脂のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤を前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムに適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性及びポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂やシリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤又は着色剤などの添加剤が挙げられる。また開孔を促進するためや、成形加工性を付与するために、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、各種樹脂や、ワックス等の低分子量化合物を添加しても構わない。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムは、単層でも積層でもよく、特に制限されるものではない。中でも、前記ポリオレフィン系樹脂を含む層(以下「A層」と称する場合がある)の単層、当該A層の機能を妨げない範囲で、当該A層と他の層(以降「B層」と称する場合がある)との積層が好ましい。なお、B層がA層とは異なる前記ポリオレフィン系樹脂を含む層であっても構わない。
具体的にはA層/B層を積層した2層構造、A層/B層/A層、若しくは、B層/A層/B層として積層した3層構造などが例示できる。また、他の機能を持つ層と組み合わせて3種3層の様な形態も可能である。この場合、他の機能を持つ層との積層順序は特に問わない。更に層数としては4層、5層、6層、7層と必要に応じて増やしても良い。
ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの製造方法は、従来公知の多孔性フィルムの製造方法を好適に用いることができ、特に限定されるものではないが、通常、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを形成するための前駆体である無孔膜状物を作製し、これを多孔化することによってポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを形成する方法が好ましく採用される。
ポリプロピレン系樹脂の無孔膜状物中にβ晶を生成させる方法としては、前記ポリプロピレン系樹脂のα晶の生成を促進させる物質を添加しない方法や、特許第3739481号公報に記載されているように過酸化ラジカルを発生させる処理を施したポリプロピレンを添加する方法、及び組成物にβ晶核剤を添加する方法などが挙げられる。
本発明で用いるβ晶核剤としては以下に示すものが挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の生成・成長を増加させるものであれば特に限定される訳ではなく、また2種類以上を混合して用いても良い。
β晶核剤としては、例えば、アミド化合物;テトラオキサスピロ化合物;キナクリドン類;ナノスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分と周期表第2族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分とからなる二成分系化合物;環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられる。そのほか核剤の具体的な種類については、特開2003−306585号公報、特開平08−144122号公報、特開平09−194650号公報に記載されている。
β晶核剤の割合がポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.0001質量部以上であれば、製造時において十分にポリプロピレン系樹脂のβ晶を生成・成長させることができ、非水電解液二次電池用セパレータとして用いる際にも十分なβ晶活性が確保でき、所望の透気性能が得られる。また、β晶核剤の割合がポリプロピレン系樹脂100質量部に対して5質量部以下であれば、経済的にも有利になるほか、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム表面へのβ晶核剤のブリードなどがなく好ましい。
(i)各層を多孔化したのち、多孔化された各層をラミネートしたり接着剤等で接着したりして積層する方法。
(ii)各層を積層して積層無孔膜状物を作製し、ついで当該無孔膜状物を多孔化する方法。
(iii)各層のうちいずれか1層を多孔化したのち、もう1層の無孔膜状物と積層し、多孔化する方法。
本発明においては、その工程の簡略さ、生産性の観点から(ii)の方法を用いることが好ましく、なかでも2層の層間接着性を確保するために、共押出で積層無孔膜状物を作製した後、多孔化する方法が特に好ましい。
本発明の積層多孔フィルムは、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、アルミナと樹脂バインダーを含有する被覆層を有する。
本発明に用いることができるアルミナは、すなわち酸化アルミニウム(Al2O3)分子の結晶であって、一般的には水酸化アルミニウム(Al(OH)3)の焼成(バイヤー法)や、アルミニウムアルコキシドのゲルの熱処理(アルコキシド法)等によって製造する。これらの方法で得られるアルミナとしては、その遷移形態に応じて、αアルミナ、γアルミナ、θアルミナ、κアルミナ、擬ベーマイトなどが挙げられる。遷移とは、出発物質を精製することで酸化アルミニウムの単結晶に至るまでの結晶形態の変化を指し、αアルミナが実質的に酸化アルミニウムの単結晶である。また、γアルミナ、θアルミナ、κアルミナ、擬ベーマイト等は、酸化アルミニウムの結晶構造中にわずかな水分子を含む構造(Al2O3・xH2O;0<x<1.0)であり、いわゆる水和物となっている。さらに、一般にγアルミナ等より著しく水分子を結晶構造中に含む酸化アルミニウム系化合物をベーマイトと呼び、結晶構造中の酸化アルミニウムに対する水分子の含有モル比x=1.0〜1.5である。
本発明においては、後述するアルミナの熱重量分析における質量減少を規定範囲とすると共に、被覆層形成用分散液の粘度安定性を高める観点、及び、非水電解液二次電池用セパレータとして電池に組み込んだ際に化学的に不活性であるという観点から、結晶構造中の酸化アルミニウム分子に対する水分子の含有モル比xができるだけ小さいアルミナが好ましく、酸化アルミニウムの単結晶であるαアルミナが特に好ましい。より具体的には、結晶構造中の酸化アルミニウム分子に対する水分子の含有モル比xが、好ましくは1.0未満、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.01以下であって、実質的にx=0が最も好ましい。
(W250−W400)/W≧0.00350
250℃〜400℃におけるアルミナの質量減少はアルミナ表面の活性水酸基が関与していると推測され、(W250−W400)/Wの値が0.00350以上であれば、後述するように被覆層形成用分散液を作製した際の粘度安定性が極めて高くなるという効果がある。但し、粘度安定性が単なるアルミナの吸水性に起因するものであるとは必ずしも言えず、(W250−W400)/Wの値と粘度安定性の技術的関連性の詳細は明らかではない。
なお、本実施の形態において「アルミナの平均粒径」とは、例えば画像解析装置を用いて、縦方向・横方向それぞれ2方向から当該アルミナを投影した場合の二次元的な投影像の短径と長径を平均した値を、各方向について算出した後にさらに平均した値として算出される。
なお、本実施の形態において「アルミナの比表面積」は定容量式ガス吸着法により測定される値である。
前記η72/η1の値や前記η72の値が係る範囲であれば、被覆層形成用分散液が長期保存性に優れ、該分散液を前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムに塗布して被覆層を形成する際の生産性(塗工性)に優れるため好ましい。
本発明に用いる樹脂バインダーとしては、前記アルミナと、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムとを良好に接着でき、電気化学的に安定で、かつ積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合に有機電解液に対して安定であれば、特に制限されるものではない。具体的には、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアラミド、ポリオキシエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル由来の構造単位が0〜20モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリル酸共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン−トリクロロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリメタクリル酸及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルセルロース、ポリビニルアルコール、シアノエチルポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリN−ビニルアセトアミド、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、マレイン酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの樹脂バインダーは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても構わない。これらの樹脂バインダーの中でもポリオキシエチレン、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸及びその誘導体、マレイン酸変性ポリオレフィンが水中でも比較的安定であることから好ましく、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがさらに好ましい。
本発明における被覆層の形成に用いられる被覆層形成用分散液には、酸成分を含有していることが望ましい。当該酸成分は、本発明の積層多孔フィルムにおいては、酸そのものとして被覆層に残存していても良いし、被覆層中のアルカリ性不純物と反応して形成された塩として残存していても良い。酸成分の添加は被覆層の均一性を向上する効果がある。
含有量が10質量ppm以上であれば、均一性に優れた塗膜が得られるという効果があるため好ましい。また、含有量が10000質量ppm以下であれば、非水電解液二次電池の性能に悪影響を与えないため好ましい。
本発明の積層多孔フィルムにおける被覆層の形成方法としては、共押出法、ラミネート法、塗布乾燥法等の塗布法が挙げられるが、連続生産性の面で塗布法により形成することが好ましい。すなわち、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの表面に、被覆層形成用分散液を塗布して被覆層を形成することが好ましい。
上記の中でも、分散媒は水と炭素数1〜4の低級アルコールとの混合分散媒が好ましく、水と炭素数1〜4の1価のアルコールとの混合分散媒がより好ましく、水とイソプロピルアルコールとの混合分散媒がさらに好ましい。
分散媒中の炭素数1〜4の低級アルコールの含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下の範囲である。
また、前記被覆層形成用分散液は、その用途に照らし、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの片面だけに塗布されてもよいし、両面に塗布されてもよい。即ち、本発明の積層多孔フィルムにおいて、被覆層は、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの片面にのみ形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。
本発明の積層多孔フィルムの厚みは5〜100μmが好ましい。本発明の積層多孔フィルムの厚みはより好ましくは8〜50μm、更に好ましくは10〜30μmである。非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合、厚みが5μm以上であれば、実質的に必要な電気絶縁性を得ることができ、例えば電極の突起部分に大きな力がかかった場合でも、非水電解液二次電池用セパレータを突き破って短絡しにくく安全性に優れる。また、厚みが100μm以下であれば、積層多孔フィルムの電気抵抗を小さくすることができるので、電池の性能が十分に確保することができる。
一方、上限については70%以下が好ましく、65%以下がより好ましく、60%以下が更に好ましい。空孔率が70%以下であれば、積層多孔フィルムの強度を十分に保持することができ、ハンドリングの観点からも好ましい。
透気度はフィルム厚み方向の空気の通り抜け難さを表し、具体的には100mLの空気が当該フィルムを通過するのに必要な時間(秒数)で表現されている。そのため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方がフィルムの厚み方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方がフィルム厚み方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とはフィルム厚み方向の孔のつながり度合いである。本発明の積層多孔フィルムの透気度が低ければ様々な用途に使用することができる。例えば非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合、透気度が低いということはリチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れるため好ましい。
積層多孔フィルムの透気度は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
積層多孔フィルムの収縮率は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
続いて、本発明の前記積層多孔フィルムを電池用セパレータとして収容している非水電解液二次電池について、図1を参照して説明する。
正極板21、負極板22の両極は電池用セパレータ10を介して互いに重なるようにして渦巻き状に捲回し、巻き止めテープで外側を止めて捲回体とする。
前記捲回工程について詳しく説明する。電池用セパレータの片端をピンのスリット部の間に通し、ピンを少しだけ回転させて電池用セパレータの一端をピンに巻きつけておく。この時、ピンの表面と電池用セパレータの被覆層とが接触している。その後、電池用セパレータを間に挟むようにして正極と負極を配置し、捲回機によってピンを回転させて、正負極と電池用セパレータを捲回する。捲回後、ピンは捲回物から引き抜かれる。
(1)熱重量分析
アルミナを25mg(=Wとする)秤取し、熱重量分析装置(ティー・エイ・インスツルメント社製「Q5000IR」)にて25℃から10℃/分の昇温速度で加熱し、250℃でのアルミナの質量W250、400℃でのアルミナの質量W400をそれぞれ測定し、(W250−W400)/Wの値を計算して求めた。
アルミナ、イソプロピルアルコール、イオン交換水を後述の実施例及び比較例の通り所定量混合し、所定の条件にてビーズミル処理を行ない、分散液を得た。作製後1時間後と72時間後の分散液の粘度をB型粘度計(東機産業(株)製「TVB10H」)にて100rpmの周速にて測定し、それぞれη1、η72(mPa・s)とした。
分散液の粘度安定性については、下記の通り評価した。
○:η72/η1の値が10未満
×:η72/η1の値が10以上
ザラつき量は、微細形状測定機((株)小阪研究所製「ET4000A」)を用いて、積層多孔フィルムの被覆層側表面について300μm×400μmの視野角を観察し、周囲よりも5μm以上突き出た凸部の個数を集計した。表面平滑性は、このザラつき量の値をもって以下の基準で評価した。
○:ザラつき量が100個/mm2未満
×:ザラつき量が100個/mm2以上
積層多孔フィルムの総厚みは、1/1000mmのダイアルゲージにて、積層多孔フィルムの面内を不特定に5箇所測定し、その平均値として算出した。
被覆層の厚みは、被覆層形成後の積層多孔フィルムの総厚みと、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの厚みとの差として算出した。
透気度は、JIS P8117(2009年)に準拠して測定した。
実施例・比較例で作製した積層多孔フィルムを長さ150mm×幅10mmのサイズに切り出し、長さ方向に100mmの間隔で2点印を入れてサンプルを作製し、150℃に設定したオーブン(タバイエスペック社製「タバイギヤオーブンGPH200」)に当該サンプルを入れ、1時間静置した。当該サンプルをオーブンから取り出して冷却した後、印を入れた2点間の長さを測定し、以下の式にて収縮率を算出した。
収縮率(%)=100−加熱後の長さ
以上の測定は、積層多孔フィルムの縦方向、横方向についてそれぞれ行った。
耐熱性は、以下の評価基準において評価した。
○:150℃、1時間における収縮率が、縦方向と横方向いずれも10%未満
×:150℃、1時間における収縮率が、縦方向と横方向いずれか10%以上
(ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの作製)
ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP FY6HA」、密度:0.90g/cm3、MFR:2.4g/10分)と、β晶核剤として、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを準備した。このポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、β晶核剤を0.2質量部の割合で各原材料をブレンドし、東芝機械(株)製の同方向二軸押出機(口径:40mmφ、L/D:32)に投入し、設定温度300℃で溶融混合後、水槽にてストランドを冷却固化し、ペレタイザーにてストランドをカットし、原料ペレットを作製した。
前記膜状物を、縦延伸機を用いて100℃で縦方向に4.6倍延伸し、その後、横延伸機にて150℃で横方向に2.1倍延伸後、153℃で熱固定を行った。続いて弛緩処理を行い、さらにVETAPHONE社製ジェネレータCP1を使用し、出力0.4kW・速度10m/minでコロナ表面処理を施すことでポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを得た。
αアルミナ(日本軽金属(株)製「LS−410」、平均粒径:0.5μm、比表面積:6.9m2/g)について、温度80℃、相対湿度80%に設定した恒温恒湿槽に3日間静置し、放冷後取り出した。得られた処理後のαアルミナの熱重量分析による(W250−W400)/Wの値は0.00428であった。得られたαアルミナを52.6質量部、イソプロピルアルコール5.3質量部、イオン交換水42.1質量部混合し、ビーズミル処理を行い、分散液を得た。使用したビーズミルの詳細条件は下記のとおりであった。
装置 :アイメックス社製NVM−1.5
ビーズ:φ0.5mmジルコニア製 充填率85%
周速 :10m/秒
吐出量:350mL/分
得られた分散液を1週間静置したのち、該分散液61.8質量部、5質量%ポリビニルアルコール(クラレ(株)製「PVA−124」)水溶液9.9質量部、イオン交換水28.3質量部を混合し、全量に対し、70質量ppmとなるよう塩酸を加えることで、固形分濃度33質量%の被覆層形成用の分散液を得た。
得られた被覆層形成用の分散液を前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムにグラビアロール(格子型、線数:25L/インチ、深度290μm、セル容量145mL/m2)を用いて塗布した後、45℃の乾燥炉にて乾燥させて被覆層を形成し、積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムの評価を行い、その結果を表1にまとめた。
実施例1で使用したαアルミナと同グレード(日本軽金属(株)製「LS−410」)であるが別ロットのαアルミナについて、温度80℃、相対湿度80%に設定した恒温恒湿槽に3日間静置し、放冷後取り出した。得られた処理後のαアルミナの熱重量分析による(W250−W400)/Wの値は0.00390であった。この処理後のαアルミナを用いて、実施例1と同様にして積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムの評価を行い、その結果を表1にまとめた。
実施例1で使用したαアルミナと同一ロットのαアルミナを、恒温恒湿槽に入れずに用いた点以外、実施例1と同様にし、積層多孔フィルムを得た。αアルミナの熱重量分析による(W250−W400)/Wの値は0.00249であった。
得られた積層多孔フィルムの評価を行い、その結果を表1にまとめた。
実施例2で使用したαアルミナと同一ロットのαアルミナを、恒温恒湿槽に入れずに用いた点以外、実施例1と同様にし、積層多孔フィルムを得た。αアルミナの熱重量分析による(W250−W400)/Wの値は0.00348であった。
得られた積層多孔フィルムの評価を行い、その結果を表1にまとめた。
実施例1で使用したαアルミナと同一ロットのαアルミナを、恒温恒湿槽に入れずに用いた。アルミナの熱重量分析による(W250−W400)/Wの値は0.00249であった。このαアルミナ44.6質量部、イソプロピルアルコール5.8質量部、イオン交換水49.6質量部を混合し、ビーズミル処理を行ない、分散液を得た。ビーズミルの詳細条件は下記のとおりであった。
装置 :アイメックス社製NVM−1.5
ビーズ:φ0.5mmジルコニア製 充填率85%
周速 :10m/秒
吐出量:350mL/分
得られた分散液を1週間静置したのち、該分散液72.8質量部、5質量%ポリビニルアルコール(クラレ(株)製「PVA−124」)水溶液9.9質量部、イオン交換水17.3質量部を混合し、全量に対し、70質量ppmとなるよう塩酸を加えることで、固形分濃度33質量%の被覆層形成用の分散液を得た。得られた被覆層形成用の分散液を実施例1と同様にポリオレフィン系樹脂多孔フィルムに塗布し乾燥させて被覆層を形成し、積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムの物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムのみの評価を行い、その結果を表1にまとめた。
一方、比較例1及び2で得た積層多孔フィルムは、実施例に比べ、分散液の粘度安定性が悪く、表面平滑性の低いフィルムとなった。
比較例3で得た積層多孔フィルムも、比較例1と同様、分散液の粘度安定性が悪く、表面平滑性の低いフィルムとなった。比較例3の分散液は実施例1の分散液より水の分量が多いものであるにも関わらず、粘度安定性が悪いことから、分散液の粘度安定化効果が単にアルミナの吸水に起因するものだけでないことが示唆されている。
比較例4のポリオレフィン系樹脂多孔フィルムは、被覆層が積層されていないため、耐熱性が不十分であった。
20 二次電池
21 正極板
22 負極板
24 正極リード体
25 負極リード体
26 ガスケット
27 正極蓋
Claims (11)
- アルミナを分散媒に分散させてなる、積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液であって、B型粘度計を用いて周速100rpmで測定した、分散液作製後1時間静置時の粘度η1と、分散液作製後72時間静置時の粘度η72との比η72/η1が0.1以上10未満であり、かつη72が10〜3000mPa・sの範囲であることを特徴とする積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
- 熱重量分析において前記アルミナを昇温速度10℃/分で加熱した際の、250℃におけるアルミナの質量W250と、400℃におけるアルミナの質量W400が、25℃におけるアルミナの質量Wに対して以下の関係を有することを特徴とする請求項1に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
(W250−W400)/W≧0.00390 - 前記アルミナの結晶構造中における酸化アルミニウム分子に対する水分子の含有モル比(Al2O3・xH2Oにおけるx)が1.0未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
- 前記アルミナがαアルミナであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
- 前記分散媒が、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、ジオキサン、アセトニトリル、低級アルコール、グリコール類、グリセリン、及び乳酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
- 前記分散媒が、水と炭素数1〜4の低級アルコールとの混合分散媒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
- 樹脂バインダーを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
- 前記樹脂バインダーが、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項7に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
- 前記アルミナと前記樹脂バインダーとの総量に占める前記アルミナの含有率が80質量%以上、99.9質量%以下であることを特徴とする請求項7又は8に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
- 酸成分を10質量ppm以上、10000質量ppm以下含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムの被覆層形成用分散液を、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に塗布する工程と、前記分散媒を除去する工程とを含むことを特徴とする、積層多孔フィルムの製造方法。
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