JP2016128751A - レーダ装置、信号処理方法、および、車両制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的急な加速および減速のいずれかの速度変化が生じた場合でも、時間的に連続する物標を確実に導出できる技術を提供する。【解決手段】レーダ装置は、送信信号の周波数が上昇するアップ区間のピークデータと、送信信号の周波数が下降するダウン区間のピークデータとを対応づけてペアデータを生成し、過去処理のペアデータと時間的な連続性を有するペアデータが存在するか否かを判定する。そしてレーダ装置は、時間的な連続性を有するペアデータと、過去処理のペアデータに基づく予測ペアデータとをそれぞれのフィルタ乗数によりフィルタリングし、フィルタデータを算出する。フィルタ乗数は、ペアデータの加速度に関する情報に基づき設定される。これによりレーダ装置は、比較的急な加速および減速のいずれかの速度変化が生じた場合でも、時間的に連続する物標を確実に導出できる。【選択図】図2
Description
本発明は、レーダ装置の信号処理に関する。
一般に、レーダ装置は、送信波を送信し物標からの反射波に基づき、その物標の位置を導出する処理を行う。具体的にはレーダ装置は、車両(レーダ装置)と物標との距離および相対速度を含む物標情報を導出する処理(以下、「物標導出処理」という。)を行う。レーダ装置は、所定時間(例えば、50msec)を1周期とする物標導出処理を繰り返し行う。そしてレーダ装置は、ある物標を異なるタイミングで導出した場合、それらの物標が時間的に連続する物標か否かを判定する。例えばレーダ装置は、今回の物標導出処理(以下、「今回処理」という。)で導出された物標の中に、前回の物標導出処理(以下、「前回処理」という。)で導出された物標と同じ物標が存在するか否かを判定する。
具体的にはレーダ装置は、前回処理の物標から今回処理の物標を予測した予測物標を算出し、この予測物標に基づく予測範囲内に、今回処理の物標が存在する場合は、前回処理の物標と今回処理の物標とが時間的な連続性を有する物標であると判定する。
そしてレーダ装置は、前回処理の物標と時間的な連続性を有する今回処理の物標が存在する場合、前回処理の物標と今回処理の物標とのフィルタ処理を行い、フィルタ処理後のフィルタデータを今回処理の確定した物標として導出する。このように前回処理の物標と今回処理の物標とのフィルタ処理を行うのは、ノイズ等の影響により今回処理の物標の物標情報が誤った情報の場合でも、その誤った情報による影響を小さくし、物標の位置等のずれを小さくするためである。
レーダ装置は、車両制御装置にフィルタデータを出力する。車両制御装置は、レーダ装置から取得したフィルタデータの物標情報に基づいて車両を制御する。すなわち車両制御装置は、そのフィルタデータの物標が例えば、車両の前方を走行する車両(以下、「先行車」という。)に対応する物標の場合、そのフィルタデータの物標情報に基づいて、先行車との車間距離を一定距離に保ちながら、車両を先行車に追従させるよう制御する。なお、本発明と関連する技術を説明する資料としては特許文献1がある。
ところでレーダ装置は、先行車が複数回の物標導出処理で略一定速度で移動している場合、前回処理の物標と今回処理の物標との連続性を正確に判定できる。その結果、車両制御装置は、先行車との車間距離を一定距離に保ちながら先行車に追従できる。しかし、先行車が比較的急な加速および減速のいずれかの速度変更を行った場合、今回処理の物標の位置が、予測物標に基づく予測範囲内に含まれないことがある。このように予測範囲内に今回処理の物標の位置が含まれない場合、レーダ装置は予測物標を今回処理で導出された物標と仮定する処理(以下、「外挿処理」という。)を行う。そしてレーダ装置は、外挿処理が複数回の物標導出処理で継続すると、先行車に対応するフィルタデータは既に存在しない(ロスト)と判定する。その結果、車両制御装置はレーダ装置からフィルタデータを取得できず、車両を先行車に追従させられないことがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、比較的急な速度変化が生じた場合でも、時間的に連続する物標を確実に導出できるレーダ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、送信信号の周波数が上昇するアップ区間のピークデータと、前記送信信号の周波数が下降するダウン区間のピークデータとを対応づけてペアデータを生成するペアリング手段と、過去処理の前記ペアデータと時間的な連続性を有する前記ペアデータが存在するか否かを判定する判定手段と、前記時間的な連続性を有するペアデータと、前記過去処理のペアデータに基づく予測ペアデータとをそれぞれのフィルタ乗数によりフィルタリングし、フィルタデータを算出するフィルタ手段と、を備え、前記フィルタ手段は、前記ペアデータの加速度に関する情報に基づき、前記フィルタ乗数を設定する。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のレーダ装置において、前記フィルタ手段は、前記加速度に関する情報の値が所定値以上の場合に、前記加速度に関する情報の値が所定値未満のときよりも、前記時間的な連続性を有するペアデータのフィルタ乗数を大きい値に設定する。
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載のレーダ装置において、前記加速度に関する情報は、相対加速度および相対ジャークの少なくともいずれかの情報である。
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のレーダ装置において、前記フィルタデータに基づき、前記アップ区間、および、前記ダウン区間の予測ピークデータを算出する予測手段をさらに備え、前記フィルタ手段は、前記予測ピークデータと前記ピークデータとの周波数差に基づき、前記フィルタ乗数を設定する。
また、請求項5の発明は、請求項4に記載のレーダ装置において、前記フィルタ手段は、前記予測ピークデータと前記ピークデータとの周波数差が第1の周波数差よりも大きい第2の周波数差の場合に、前記第1の周波数差に基づくフィルタ乗数よりも前記第2の周波数差に基づくフィルタ乗数を小さな値に設定する。
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のレーダ装置と、前記レーダ装置から取得した前記フィルタデータを使用するデータ使用装置と、を備える。
また、請求項7の発明は、(a)送信信号の周波数が上昇するアップ区間のピークデータと、前記送信信号の周波数が下降するダウン区間のピークデータとを対応づけてペアデータを生成する工程と、(b)過去処理の前記ペアデータと時間的な連続性を有する前記ペアデータが存在するか否かを判定する工程と、(c)前記時間的な連続性を有するペアデータと、前記過去処理のペアデータに基づく予測ペアデータとをそれぞれのフィルタ乗数によりフィルタリングし、フィルタデータを算出する工程と、を備え、前記工程(c)は、前記ペアデータの加速度に関する情報に基づき、前記フィルタ乗数を設定する。
本発明によれば、レーダ装置は、比較的急な加速および減速のいずれかの速度変化が生じた場合でも、時間的に連続する物標を確実に導出できる。
また本発明によれば、レーダ装置は、時間的に連続する物標の物標情報をペアリングの信頼度に応じて正確に導出できる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態>
<1.システムブロック図>
図1は、車両制御システム10の構成を示す図である。車両制御システム10は、例えば自動車などの車両に設けられている。車両は前方とその逆方向の後方とを進行方向として移動する。図に示すように、車両制御システム10は、レーダ装置1と、車両制御装置2と、車速センサ3とを主に備えている。
<1.システムブロック図>
図1は、車両制御システム10の構成を示す図である。車両制御システム10は、例えば自動車などの車両に設けられている。車両は前方とその逆方向の後方とを進行方向として移動する。図に示すように、車両制御システム10は、レーダ装置1と、車両制御装置2と、車速センサ3とを主に備えている。
本実施の形態のレーダ装置1は、例えば周波数変調した連続波であるFM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)を用いて、車両の周辺に存在する移動物標と静止物標とを含む物標を導出する。移動物標はある速度で移動し、車両の速度とは異なる相対速度を有する物標である。移動物標には、例えばレーダ装置1を搭載した車両が走行する自車線内の前方を、車両と同一方向に走行する先行車が該当する。また静止物標は、車両の速度と略同一の相対速度を有する物標である。静止物標には、例えば自車線の左右側方の少なくともいずれか一側方に設けられたガードレールが該当する。
またレーダ装置1は物標情報を導出する。物標情報は物標の縦距離、相対速度、横距離、および、相対速度、相対加速度、および、相対ジャーク等の情報である。縦距離[m]は、物標から反射した反射波がレーダ装置1の受信アンテナに受信されるまでの距離を示す値である。相対速度[km/h]は、車両に対する物標の速度を示す値である。相対加速度[m/s2]は、車両に対する物標の加速度を示す値である。相対ジャーク[m/s3]は、車両に対する物標の加加速度を示す値である。
横距離[m]は、車両の左右方向(車幅方向)におけるレーダ装置1の位置から物標の位置までの距離を示す値である。横距離は、後述する物標の角度に基づき導出される距離である。レーダ装置1は、物標情報を車両制御装置2に出力する。
車両制御装置2は、車両のブレーキおよびスロットル等に接続され、レーダ装置1から出力された物標情報を取得して車両の挙動を制御する。そのため車両制御装置2は、物標情報を使用するデータ使用装置であるともいえる。例えば車両制御装置2は、レーダ装置1から取得した物標情報を使用し、先行車との車間距離を一定距離に保ちながら、車両を先行車に追従させる。これにより本実施の形態の車両制御システム10は、先行車追従システムとして機能する。
また例えば車両制御装置2は、レーダ装置1から取得した物標情報を使用し、車両を減速させることで車両と車両の進行方向に存在する路上障害物との衝突を回避し、車両の乗員を保護する。これにより本実施の形態の車両制御システム10は、衝突回避システムとして機能する。
車速センサ3は、車両の車軸の回転数に基づき車両の速度に応じた信号を車両制御装置2に出力する。車両制御装置2は、車速センサ3からの信号に基づき現時点の車両の速度を検出する。なお車両制御装置2は、車両の速度をレーダ装置1に出力する。
<2.レーダ装置ブロック図>
図2は、レーダ装置1の構成を示す図である。レーダ装置1は、例えば車両のフロントグリル内に設けられ、車両外部に送信波を出力し物標からの反射波を受信する。またレーダ装置1は、送信部11、受信部12、および、信号処理部13を主に備える。
図2は、レーダ装置1の構成を示す図である。レーダ装置1は、例えば車両のフロントグリル内に設けられ、車両外部に送信波を出力し物標からの反射波を受信する。またレーダ装置1は、送信部11、受信部12、および、信号処理部13を主に備える。
送信部11は信号生成部101、発振器102、および、アンプAP1を主に備えている。信号生成部101は、三角波状に電圧が変化する変調信号を生成し、発振器102に供給する。発振器102は、信号生成部101で生成された変調信号に基づいて連続波の信号を周波数変調し、時間の経過に従って周波数が変化する送信信号を生成して、アンプAP1に送信する。
アンプAP1は、送信信号の振幅を増幅し、送信信号を送信アンテナTXに出力する。なお、複数のアンプAP1のそれぞれに送信アンテナTXが電気的に接続されており、1つのアンプAP1に電力が供給されることで、そのアンプAP1に接続された1本の送信アンテナTXが送信波TWを出力する。送信アンテナTXは例えば2本のアンテナであり、アンプAP1に電力が交互に供給されることで、2本の送信アンテナTXから送信波TWが順次出力される。
受信部12は、アンプAP2、および、ミキサ103を主に備えている。アンプAP2は、4本の受信アンテナRXのそれぞれに設けられている。アンプAP2は、反射波に対応する受信信号の振幅を増幅してミキサ103に出力する。
ミキサ103は、4つのアンプAP2のそれぞれの後段に設けられ、発振器102から出力された送信信号と、アンプAP2から出力された受信信号とを混合する。これにより送信信号の周波数と、受信信号の周波数との差分周波数であるビート周波数を示すビート信号が生成される。ミキサ103は、ビート信号を後述するAD変換器14に出力する。
信号処理部13は、AD変換器14、および、メモリ15等を含むマイクロコンピュータを備えている。AD変換器14は、ミキサ103から出力されたビート信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して、フーリエ変換部16に出力する。
メモリ15は、演算の対象とする各種のデータや、後述するフィルタの処理で用いるフィルタ乗数を記憶する記憶装置である。メモリ15は、例えばEPROM(Erasable Programmable Read Only memory)やフラッシュメモリ等である。
また信号処理部13は、マイクロコンピュータでソフトウェア的に実現される機能として、フーリエ変換部16、データ処理部17、および、信号制御部18を備えている。フーリエ変換部16は、ビート信号を対象に高速フーリエ変換(FFT)を実行する。これによりフーリエ変換部16は、ビート信号を周波数領域のデータである周波数スペクトラムに変換する。フーリエ変換部16で得られた周波数スペクトラムは、データ処理部17に出力される。
データ処理部17は、フーリエ変換部16から出力された周波数スペクトラムに基づき、物標の物標情報を導出する。データ処理部17は、ピーク抽出部110、角度算出部111、ペアリング部112、連続性判定部113、フィルタ部114、および、出力部115を主に備える。
ピーク抽出部110は、フーリエ変換部16で得られた周波数スペクトラムにおいて、所定の信号レベルを超える周波数ピークを、送信信号の周波数が上昇するアップ区間と、周波数が下降するダウン区間とのそれぞれの区間で抽出する。周波数ピークは、主に周波数と信号レベル(周波数パワー)とを有する信号であり、所定の周波数パワーを超える信号である。
角度算出部111は、所定の角度推定方式を用いて、周波数ピークに関する物標の角度を示す角度ピークを、アップ区間とダウン区間とのそれぞれの区間で算出する。角度ピークは、主に角度と信号レベル(角度パワー)とのパラメータを有する信号であり、所定の角度パワーを超える信号である。所定の角度推定方式は、例えばESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)を用いた方式である。
なお、角度算出部111は、ESPRITの方式を用いた場合、1つの周波数ピークに関して最大3つの角度ピークを算出する。すなわち角度算出部111は、1つの区間(例えば、アップ区間)の周波数ピークが示す周波数において、同一周波数で角度が異なる角度ピークを最大3つまで算出できる。なお、周波数を別の単位で表した場合、BIN(ビン)となる。1BINは、約468Hzとなる。
以下では、角度算出部111が算出する角度ピークは、1つの場合について説明する。そのため、1つの角度ピークには1つの周波数ピークが対応する。また周波数ピークと角度ピークとをまとめて「ピークデータ」と表現することもある。
そして、上述のピーク抽出部110は、予測ピークデータに基づき、時間的な連続性を有するピークデータを抽出する処理を行う。予測ピークデータは、前回の物標導出処理(前回処理)のフィルタデータに基づき、今回の物標導出処理(今回処理)のピークデータを予測したデータである。
ピーク抽出部110は、予測ピークデータの周波数に対し、周波数が例えば±3BINの周波数範囲内の今回処理のピークデータを抽出する。このような抽出処理は、アップ区間およびダウン区間の両区間で行われる。この抽出処理の詳細な処理内容ついては後述する。
ペアリング部112は、アップ区間で抽出されたピークデータと、ダウン区間で抽出されたピークデータとを対応づけたペアデータを生成する。アップ区間のピークデータと、ダウン区間のピークデータとの対応づけは、例えばマハラノビス距離を用いて行われる。
ペアリング部112は、角度差を示すθdと、信号レベル差を示すθpと、係数aおよびbとを用い、数1でマハラノビス距離MDを算出する。角度差θdは、アップ区間の角度ピークとダウン区間の角度ピークとの角度差である。信号レベル差θpは、アップ区間の角度ピークとダウン区間の角度ピークとの信号レベル差である。
ここで、ペアリング部112が実行する物標情報の導出処理について、図3を用いて具体的に説明する。図3は、送信波TWと反射波RWとの関係を示す図である。説明を簡単にするため、図3に示す反射波RWは1つの物標からの理想的な反射波としている。送信波TWを実線で示し、反射波RWを破線で示す。
図3の上部において、縦軸は周波数[GHz]横軸は時間[msec]を示している。例えば2本の送信アンテナTXのうち、一方の送信アンテナTXが時間t1〜t2の区間で送信波TWを出力し、他方の送信アンテナTXが時間t2〜t3の区間で送信波TWを出力する。
図3に示すように、送信波TWは、所定の周波数を中心として所定の周期で周波数が上下する連続波となっている。送信波TWの周波数は、時間に対して線形的に変化する。送信波TWの中心周波数をf0、送信波TWの周波数の変位幅をΔF、送信波TWの周波数が上下する一周期の逆数をfmとする。
反射波RWは、送信波TWが物標で反射したものであるため、送信波TWと同様に、所定の周波数を中心として所定の周期で周波数が上下する連続波となる。ただし反射波RWには、送信波TWに対して時間遅延が生じる。この遅延する時間Tは、車両に対する物標の縦距離Rに応じたものとなる。
また、反射波RWには、車両に対する物標の相対速度Vに応じたドップラー効果により、送信波TWに対して周波数fdの周波数偏移が生じる。
このように、反射波RWには、送信波TWに対して、縦距離に応じた時間遅延とともに相対速度に応じた周波数偏移が生じる。このため図3の下部に示すように、ミキサ103で生成されるビート信号のビート周波数は、アップ区間とダウン区間とで異なる値となる。ビート周波数は、送信波TWの周波数と反射波RWの周波数との差の周波数である。以下、アップ区間のビート周波数をfup、ダウン区間のビート周波数をfdnとする。なお、図3の下部では、縦軸は周波数[kHz]、横軸は時間[msec]を示している。
ここで、物標の相対速度が0(ゼロ)km/hの場合(ドップラー効果による周波数偏移がない場合)のビート周波数をfrとすると、この周波数frは次の数2で表される。
以上の説明では、1つの物標の縦距離、相対速度、相対加速度、相対ジャーク、および角度(横距離)を求めたが、実際には、レーダ装置1は、複数の物標からの反射波RWを同時に受信する。このためフーリエ変換部16が、受信信号から得たビート信号をFFT処理した周波数スペクトラムには、それら複数の物標に関する情報が含まれている。
次に、連続性判定部113は、前回処理において後述するフィルタ処理が行われたペアデータ(フィルタデータ)と、今回処理のペアデータとに
時間的な連続性が存在するか否かを判定する。すなわち、連続性判定部113は、前回処理で生成されたフィルタデータと時間的な連続性を有する(以下、「連続性のある」ともいう。)ペアデータが、今回処理で生成されたペアデータの中に存在するか否かを判定する。
時間的な連続性が存在するか否かを判定する。すなわち、連続性判定部113は、前回処理で生成されたフィルタデータと時間的な連続性を有する(以下、「連続性のある」ともいう。)ペアデータが、今回処理で生成されたペアデータの中に存在するか否かを判定する。
連続性判定部113は、前回処理のフィルタデータに基づき、今回処理のペアデータを予測した予測ペアデータを算出する。連続性判定部113は、予測ペアデータに基づく予測範囲内に今回処理のペアデータが存在するか否かを判定する。そして連続性判定部113は、予測範囲内に今回処理のペアデータが存在する場合、このペアデータと前回処理のフィルタデータとが連続性のあるデータであると判定する。
なお連続性判定部113は、予測範囲内に今回処理のペアデータが存在しない場合は、外挿処理を行う。外挿処理は、予測範囲内に今回処理のペアデータが存在しない場合に、予測ペアデータを、前回処理のフィルタデータと連続性あるデータとする処理である。すなわち予測ペアデータを今回処理のペアデータと仮定する処理である。データ処理部17は、複数回の物標の導出処理で、外挿処理が所定回数以上となる場合、その外挿処理の対象の物標は送信波TWの送信範囲内には存在しないとして、その物標の物標情報をメモリ15から削除する。
フィルタ部114は、複数回の物標導出処理における連続性判定の結果、ペアデータが所定回数(例えば、3回)以上の連続性を有するデータであると判定された場合、そのペアデータのフィルタ処理を行う。フィルタ処理は、予測ペアデータと、今回処理のペアデータとの2つのデータの物標情報を時間軸方向に平滑化する処理である。
フィルタ処理後のデータは、瞬時値を表すペアデータに対して「フィルタデータ」と呼ばれる。1つのペアデータは、1回の物標の導出処理(例えば、今回処理)で導出されたデータである。これに対してフィルタデータは、連続性のある今回処理のペアデータと、予測ペアデータとをそれぞれのフィルタ乗数によりフィルタリングして算出したデータである。
フィルタ部114は、所定条件に基づきそれぞれのフィルタ乗数を設定する。フィルタ部114は、ペアデータの加速度に関する情報に基づき、フィルタ乗数を設定する。加速度に関する情報は、例えば相対加速度および相対ジャークの少なくともいずれかの情報である。
またフィルタ部114は、今回処理のペアデータの生成に用いられたピークデータと、予測ピークデータとの周波数差に基づきフィルタ乗数を設定する。フィルタ部114は、このように周波数差を用いる第1条件と、加速度に関する情報を用いる第2条件とに基づきフィルタ乗数を設定する。
出力部115は、フィルタデータを車両制御装置2に出力する。このようにレーダ装置1は、物標の正確な物標情報を導出できる。そして車両制御装置2は、レーダ装置1から取得したフィルタデータの物標情報に基づき、車両に対して適切な制御を行える。
<3.処理フローチャート>
次に、信号処理部13が実行する物標導出処理の全体的な流れについて説明する。図4は、物標導出処理のフローチャートである。信号処理部13は、物標導出処理を一定時間(例えば、1/20秒)ごとに周期的に繰り返す。フーリエ変換部16は、物標導出処理の開始時点では4つの受信アンテナRX全てのアップ区間、および、ダウン区間双方の周波数スペクトラムをデータ処理部17に出力する。
次に、信号処理部13が実行する物標導出処理の全体的な流れについて説明する。図4は、物標導出処理のフローチャートである。信号処理部13は、物標導出処理を一定時間(例えば、1/20秒)ごとに周期的に繰り返す。フーリエ変換部16は、物標導出処理の開始時点では4つの受信アンテナRX全てのアップ区間、および、ダウン区間双方の周波数スペクトラムをデータ処理部17に出力する。
フーリエ変換部16は、4つのA/D変換器14のそれぞれから出力されるビート信号を対象に、高速フーリエ変換(FFT)を実行する(ステップS11)。これによりフーリエ変換部16は、複数の受信アンテナRXのそれぞれの受信信号に係るビート信号を、周波数領域のデータである周波数スペクトラムに変換する。フーリエ変換部16で得られた周波数スペクトラムは、データ処理部17に出力される。
ピーク抽出部110は、予測ピークデータに対して、所定の周波数範囲内に存在するピークデータを抽出する処理を行う。具体的には、ピーク抽出部110は、アップ区間およびダウン区間のそれぞれの区間において、予測ピークデータの周波数に対して、例えば±3BINの周波数範囲内に存在するピークデータを抽出する(ステップS12)。
角度算出部111は、ESPRIT等の所定の角度推定方式により、アップ区間のピークデータの角度と、ダウン区間のピークデータの角度とを算出する(ステップS13)。
ペアリング部112は、マハラノビス距離を用いる等の所定のペアリング方式により、アップ区間のピークデータと、ダウン区間のピークデータとを対応づけたペアデータを生成する(ステップS14)。
連続性判定部113は、前回処理のフィルタデータと今回処理のペアデータとの連続性の有無を判定する(ステップS15)。なお、連続性判定部113は、連続性を有するペアデータが存在しない場合、外挿処理を行う。この処理により、前回処理のフィルタデータと連続性あるデータは予測ペアデータとなる。
フィルタ部114は、予測ペアデータと、今回処理のペアデータとをそれぞれのフィルタ乗数によりフィルタリングしてフィルタデータを生成する(ステップS16)。なお、連続性判定部113が外挿処理を行った場合、今回処理のペアデータは存在しないため、フィルタリングの処理は行われない。
出力部115は、フィルタデータを車両制御装置2に出力する(ステップS17)。
<4.フィルタ処理>
次に、フィルタ部114が実行するフィルタ処理について詳細に説明する。フィルタ部114は、このフィルタ処理において、周波数差を用いる第1条件と、加速度に関する情報を用いる第2条件の2つの条件に基づき、今回処理のペアデータと予測ペアデータとをフィルタリングする場合のそれぞれのフィルタ乗数を決定する。例えば、フィルタ部114は、今回処理のペアデータの相対速度と、予測ペアデータの相対速度とをフィルタリングするフィルタ乗数を決定する。
次に、フィルタ部114が実行するフィルタ処理について詳細に説明する。フィルタ部114は、このフィルタ処理において、周波数差を用いる第1条件と、加速度に関する情報を用いる第2条件の2つの条件に基づき、今回処理のペアデータと予測ペアデータとをフィルタリングする場合のそれぞれのフィルタ乗数を決定する。例えば、フィルタ部114は、今回処理のペアデータの相対速度と、予測ペアデータの相対速度とをフィルタリングするフィルタ乗数を決定する。
図5および図6は、フィルタ処理の処理内容を詳細に説明するフローチャートである。フィルタ部114は、フィルタ処理の対象となる全てのペアデータと予測ペアデータとに対してこの処理を行う。
フィルタ部114は、最初にペアデータが今回処理において外挿処理の対象か否かを判定する(ステップS21)。フィルタ部114は、ペアデータに対して完全外挿処理が行われていない場合(ステップS22でYes)、周波数差を用いる第1条件に基づく判定を行う。具体的にはフィルタ部114は、今回処理のペアデータの生成に用いられたピークデータと、予測ピークデータとの周波数差をメモリ15から取得して、その周波数差が以下に説明する周波数差のどの範囲に該当するのかを判定する(ステップS23)。
ここで、完全外挿処理とは、アップ区間およびダウン区間の両方の区間で予測ピークデータに基づく所定の周波数範囲内に今回処理のピークデータが存在しない場合に、予測ペアデータを今回処理のペアデータとする処理である。これに対して片側外挿処理は、アップ区間およびダウン区間のいずれか一方の区間で予測ピークデータに基づく周波数範囲内にピークデータが存在する場合に、この周波数範囲内に存在する一方の区間のピークデータに基づくペアデータを今回処理のペアデータとする処理である。
フィルタ部114は、今回処理のペアデータの生成に用いられたピークデータと、予測ピークデータとの周波数差をメモリ15から取得する。この周波数差は、ペアデータの生成に用いられたピークデータが予測ピークデータに対して±3BIN以内に存在し、ピーク抽出されたときの周波数差である。そしてこの周波数差は、例えば「第1範囲」、「第2範囲」、および、「第3範囲」の3つの範囲のいずれかに該当する。第1範囲は、0BIN以上、かつ、1BIN以下の範囲である。第2範囲は、1BINより大、かつ、2BIN以下の範囲である。第3範囲は、2BINより大、かつ、3BIN以下の範囲である。フィルタ部114は、予測ピークデータとピークデータとの周波数差が第1範囲〜第3範囲のうちのいずれの範囲に該当するのかを判定する。
ここで、予測ピークデータとピークデータとの周波数差が小さいほど今回処理のペアデータの組合せの信頼度は高くなる。また周波数差が大きいほど組み合わせの信頼度は低くなる。そのため後述するように、組み合わせの信頼度が高い場合は、今回処理のペアデータのフィルタ乗数が比較的大きな値となり、組み合わせの信頼度が低い場合は、今回処理のペアデータのフィルタ乗数が比較的小さい値となる。
次に、予測ピークデータとピークデータとの周波数差の具体例について、図7および図8を用いて説明する。図7は、アップ区間の予測ピークデータとピークデータとの周波数差について説明する図である。図8は、ダウン区間の予測ピークデータとピークデータとの周波数差について説明する図である。図7および図8の横軸は周波数[kHz]を示し、縦軸は信号レベル[dB]を示す。
フィルタ部114は、今回処理のペアデータの生成に用いられたアップ区間のピークデータPuと、ダウン区間のピークデータPdとについて、それぞれの区間の予測ピークデータとの周波数差が第1範囲〜第3範囲のどの範囲に該当するのかを判定する。
フィルタ部114は、図7に示すアップ区間の予測ピークデータの周波数fb0と、ピークデータPuの周波数fuとの周波数差が第1範囲(0bin以上、かつ、1bin以下)に該当すると判定する。
次にフィルタ部114は、図8に示すダウン区間の予測ピークデータの周波数fb1と、ピークデータPdの周波数fdとの周波数差が第1範囲(0bin以上、かつ、1bin以下)に該当すると判定する。
このように両区間の周波数差が同一の範囲となるため、第1条件の範囲は「第1範囲」となる。なお両区間の周波数差が異なる範囲の場合は、周波数差が大きい方の範囲が採用される。フィルタ部114は、例えばアップ区間の周波数差が第1範囲に該当し、ダウン区間の周波数差が第2範囲に該当する場合は、第1条件の範囲を第2範囲とする。
またフィルタ部114は、一方の区間の周波数差が第1範囲〜第3範囲のいずれかの範囲に該当し、他方の区間の周波数差がこれらの範囲のいずれにも該当しない場合、すなわち片側外挿の場合、第1条件の範囲を一方の区間の周波数差の範囲とする。
次にフィルタ部114は、第2条件の判定を行う。すなわち、フィルタ部114は、加速度に関する情報を用いて、所定条件を満たすか否かを判定する(ステップS24)。
ここで所定条件とは、例えば以下の(a1)および(a2)の条件である。フィルタ部114は、今回処理のペアデータが以下の(a1)および(a2)の条件のいずれかを満たすか否かを判定する。
(a1)|相対加速度|≧0.9G
(a2)|相対ジャーク|≧1.8G/s
(a1)と(a2)の条件により、ペアデータに対応する物標(例えば、先行車)に急加速および急減速のいずれかの速度変化が生じたか否かが判定される。物標に対して急加速および急減速のいずれかの速度変化が生じる操作が行われた場合、操作の開始直後は相対加速度に比べて相対ジャークの値が大きくなり、その後、相対ジャークの値が小さくなるにつれて、相対加速度の値が大きくなる傾向がある。
(a2)|相対ジャーク|≧1.8G/s
(a1)と(a2)の条件により、ペアデータに対応する物標(例えば、先行車)に急加速および急減速のいずれかの速度変化が生じたか否かが判定される。物標に対して急加速および急減速のいずれかの速度変化が生じる操作が行われた場合、操作の開始直後は相対加速度に比べて相対ジャークの値が大きくなり、その後、相対ジャークの値が小さくなるにつれて、相対加速度の値が大きくなる傾向がある。
そのため、物標に対して急加速および急減速のいずれかの速度変化が生じる操作が行われた場合、今回処理のペアデータは、最初に(a2)の条件を満たし、その後(a1)の条件を満たす。また、(a1)の条件では「相対加速度」に注目し、(a2)の条件では「相対ジャーク」に注目している。そのためフィルタ部114は、先行車だけではなく、レーダ装置1を搭載した車両に急な速度変化が生じたか否かを判定可能であり、先行車および車両の両方に急な速度変化が生じたか否かも判定可能である。
フィルタ部114は、このようにペアデータが(a1)および(a2)のいずれかを満たす場合(ステップS24でYes)、第1の乗数をメモリ15から読み出し(ステップS25)、今回処理のペアデータと予測ペアデータとをそれぞれの乗数に基づきフィルタリングする(ステップS26)。
なお、フィルタ部114は、今回処理のペアデータが(a1)および(a2)の加速度判定条件のいずれも満たさない場合(ステップS24でNo)、第2の乗数をメモリから読み出し(ステップS27)、今回処理のペアデータと予測ペアデータとをそれぞれの乗数に基づきフィルタリングする(ステップS26)。
ここで、予測ペアデータとペアデータとのフィルタ乗数として設定される第1の乗数と第2の乗数との例について図9を用いて説明する。図9は、相対速度の第1の乗数と第2の乗数との例を示す図である。図9の表の縦の項目は、第1条件の周波数差が該当する範囲(第1範囲〜第3範囲)を示し、横の項目は、加速度に関する情報が第2条件の判定を満たす場合と、満たさない場合とを示す。フィルタ部114は、縦の項目に対応する第1条件と、横の項目に対応する第2条件との判定結果に応じて、予測ペアデータに適用される乗数と、今回処理のペアデータに適用される乗数とを設定する。
例えば、フィルタ部114は、予測ペアデータと今回処理のペアデータとの周波数差が第1範囲に該当し、今回処理のペアデータの加速度に関する情報が(a1)および(a2)のいずれかの条件を満たす場合、予測ペアデータのフィルタ乗数を0.55に設定し、今回処理のペアデータのフィルタ乗数を0.4 5に設定する。
これに対して、フィルタ部114は、2つのペアデータの周波数差が第1範囲に該当し、今回処理のペアデータの加速度に関する情報が(a1)および(a2)のいずれの条件も満たさない場合、予測ペアデータのフィルタ乗数を0.65に設定し、今回処理のペアデータのフィルタ乗数を0.35に設定する。
このようにフィルタ部114は、比較的急な加速および減速のいずれかの速度変化が生じたことを示す加速度に関する情報が得られた場合は、このような情報が得られない場合と比べて今回処理のペアデータのフィルタ乗数を大きい値に設定する。すなわち、フィルタ部114は、加速度に関する情報の値が所定値以上の場合に、加速度に関する情報の値が所定値未満のときよりも、時間的に連続性を有するペアデータのフィルタ乗数を大きい値に設定する。これにより、レーダ装置1は、比較的急な加速および減速のいずれかの速度変化が生じた場合でも、時間的に連続する物標を確実に導出できる。そして車両制御装置2は、レーダ装置1から取得した物標情報を使用し、先行車との車間距離を一定距離に保ちながら、先行車に追従できる。
また、フィルタ部114は、2つのペアデータの周波数差が第2範囲に該当し、今回処理のペアデータの加速度に関する情報が(a1)および(a2)のいずれかの条件を満たす場合、予測ペアデータのフィルタ乗数を0.75に設定し、今回処理のペアデータのフィルタ乗数を0.25に設定する。このようにフィルタ部114は、予測ピークデータと今回処理のピークデータとの周波数差が比較的大きくなることで、今回処理のペアデータのペアリングの信頼度は比較的低いと判定し、予測ピークデータと今回処理のピークデータとの周波数差が比較的小さいときよりも、今回処理のペアデータのフィルタ乗数を小さい値に設置する。
すなわち、フィルタ部114は、予測ピークデータと今回処理のピークデータとの周波数差が第1範囲よりも大きい第2範囲に該当する場合に、第1範囲に該当するピークデータのフィルタ乗数よりも、第2範囲に該当するピークデータのフィルタ乗数を小さい値に設定する。これによりレーダ装置1は、時間的に連続する物標の物標情報をペアリングの信頼度に応じて正確に導出できる。
ここで、予測ペアデータのフィルタ乗数をCとし、予測ペアデータの相対速度をV0、予測ペアデータの相対加速度をa0、1周期の物標導出処理の時間をΔtとすると、フィルタ処理後の相対速度Vf[km/h]は次の数7で表される。
図5のステップS22の処理に戻り、フィルタ部114は、今回処理で完全外挿処理が行われた場合(ステップS22でYes)に、前回処理のペアデータの加速度に関する情報が、第2条件を満たしたか否かを判定する(図6に示すステップS31)。ここで完全外挿処理が行われた場合、今回処理ではペアデータが生成されなかったこととなる。そのため、物標情報も導出されていないことから、物標の位置等を正確に判定するために相対加速度の値を設定する必要がある。
フィルタ部114は、前回処理のペアデータの加速度の情報に関するが第2条件を満たした場合(ステップS31でYes)は、前回処理のフィルタデータの相対加速度を今回処理のペアデータの相対加速度として設定する(ステップS32)。なお、フィルタ部114は、前回処理のペアデータの加速度の情報に関するが第2条件を満たしていない場合(ステップS31でNo)は、相対加速度「0」を今回処理のペアデータの相対加速度として設定する(ステップS33)。これによりレーダ装置1は、物標の急な速度変更の有無に応じた適切な相対加速度を設定でき、次回の物標導出処理で連続性のある物標の物標情報を導出できる。
<4.効果>
次にフィルタ部114が、第1条件および第2条件の2つの条件を用いた急加減速の判定によりフィルタ乗数を設定した場合の効果について説明する。図10は、急加減速の判定を行わない場合のピークデータと予測ピークデータとの関係を示した図である。図11は、急加減速の判定を行った場合のピークデータと予測ピークデータとの関係を示した図である。図10および図11に示すピークデータは、例えばアップ区間のデータであり、ダウン区間のピークデータも、アップ区間のピークデータと同様な特徴を有するものとして説明を行う。図10および図11のグラフの横軸は時間[sec]を示し、縦軸は周波数[BIN]を示す。
次にフィルタ部114が、第1条件および第2条件の2つの条件を用いた急加減速の判定によりフィルタ乗数を設定した場合の効果について説明する。図10は、急加減速の判定を行わない場合のピークデータと予測ピークデータとの関係を示した図である。図11は、急加減速の判定を行った場合のピークデータと予測ピークデータとの関係を示した図である。図10および図11に示すピークデータは、例えばアップ区間のデータであり、ダウン区間のピークデータも、アップ区間のピークデータと同様な特徴を有するものとして説明を行う。図10および図11のグラフの横軸は時間[sec]を示し、縦軸は周波数[BIN]を示す。
図10の時間t0〜時間t11までは今回処理のピークデータP1(●)と、予測ピークデータP2(□)との周波数は略同一の周波数となる。すなわち、ピークデータP1は予測ピークデータP2との周波数差が所定の周波数範囲内(例えば、±3BIN以内)となり、予測ペアデータと連続性のあるペアデータが生成される。そして、この時間t0〜時間t11までの間は図10の下段に示す外挿フラグはOFFとなっている。外挿フラグは、予測ピークデータP2に対して所定の周波数範囲内にピークデータP1が存在するか否かを示すフラグであり、フラグがOFFの場合は、所定の周波数範囲内にピークデータP1が存在し、フラグがONのときは、所定の周波数範囲内にピークデータP1が存在しない。
図10では時間t11以降、徐々にピークデータP1と予測ピークデータP2との周波数差が大きくなり始める。このような周波数差は例えば、先行車に対応する物標が急減速したことで生じる差である。そして時間t12では外挿フラグがONとなる。すなわち、予測ピークデータP2に対して±3BIN以内にピークデータP1が存在しなくなり、今回処理のペアデータが生成されない状態となる。以降も引き続きペアデータが生成されることがなく、このような状態が物標の導出処理において所定回数以上継続することで、先行車に対応する物標の物標情報はメモリ15から削除される。
これに対して、図11では、時間t11で先行車に対応する物標が急減速した場合であっても、フィルタ部114が、第1条件と第2条件とに基づく急加減速の判定を行い、その判定条件を満たすことで、今回処理のペアデータのフィルタ乗数を、判定条件を満たさない場合と比べて大きな値に設定する。その結果、予測ピークデータとピークデータとの周波数差が大きくなることはない。また時間t12以降、外挿フラグはONになることはない。したがって、レーダ装置1は比較的急な加速および減速のいずれかの速度変化が生じた場合でも、時間的に連続する物標を確実に導出できる。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
上記実施の形態では、フィルタ部114は、第1条件と第2条件との2つの条件に基づきフィルタ乗数を設定することについて説明した。これに対して、フィルタ部114は、第1条件および第2条件のいずれか1つの条件のみに基づき、フィルタ乗数を設定してもよい。
また上記実施の形態では、データ処理部17は前回処理のデータと今回処理のデータとを用いて各種処理を行うことについて説明した。これに対してデータ処理部17は、前回処理以外の別の処理のデータを用いてもよい。例えば、前々回の処理等の過去に行われた物標導出処理(過去処理)のデータと今回処理のデータとを用いて各種処理を行ってもよい。
また上記実施の形態では、第2条件の(a1)および(a2)に関する相対加速度および相対ジャークは、今回処理のペアデータの値として説明した。これに対して、これらの値は複数回の物標導出処理における平均値であってもよい。
平均値の算出方法は例えば、次のような方法がある。相対加速度の算出を例にあげると、今回処理のペアデータの相対速度と前回処理のペアデータの相対速度との差の第1加速度と、今回処理のペアデータの相対速度と前々回処理のペアデータの相対速度との差の第2加速度とを平均して、今回処理の相対加速度を算出する方法がある。また第1加速度と、前回処理のペアデータの相対速度と前々回処理のペアデータの相対速度との差の第3加速度とを平均して、今回処理の相対加速度を算出する方法がある。このようにフィルタ部114は、複数回の物標の導出処理で算出した加速度の平均値を第2条件に用いることもできる。またフィルタ部114は、複数回の物標の導出処理で算出したジャークの平均値を第2条件に用いることもできる。
また上記実施の形態では、フィルタ部114は、前回処理のペアデータが加速度に関する情報が第2条件を満たした場合(ステップS31でYes)は、前回処理のフィルタデータの相対加速度を今回処理のペアデータの相対加速度として設定する(ステップS32)と説明した。これに対してフィルタ部114は、前回処理のペアデータの相対加速度と、前回処理以前の複数のペアデータの相対加速度との平均値を今回処理のペアデータの相対加速度として設定してもよい。平均値の算出は前回処理のペアデータの相対加速度と、前回以前の複数のペアデータの相対加速度とのそれぞれの相対加速度に異なる重み付けをして算出する方法や、それぞれの相対加速度に等しい重み付けをして算出方法などがある。そして、相対加速度に異なる重み付けが行われる場合、フィルタ部114は複数の物標導出処理のうち、処理の順序が時間的に前の相対加速度の重み付けを比較的小さくし、処理の順序が時間的に後の相対加速度の重み付けを比較的大きくする。
また上記実施の形態では、フィルタ部114は第2の条件の(a1)では相対加速度を用い、(a2)では相対ジャークを用いて判定を行うと説明した。これに対してフィルタ部114は、(a1)の判定対象を例えば縦距離とし、(a2)の判定対象を例えば相対速度とする等、他のパラメータを用いて判定を行うようにしてもよい。
また上記各実施の形態では、レーダ装置1の送信アンテナTXの本数は2本、受信アンテナRXの本数は4本として説明した。このようなレーダ装置1の送信アンテナTXおよび受信アンテナRXの本数は一例であり、複数の物標を導出できれば他の本数であってもよい。
また上記各実施の形態では、レーダ装置の角度推定方式は、ESPRITを例に説明したが、ESPRIT以外に、DBF(Digital Beam Forming)、PRISM(Propagator method based on an Improved Spatial-smoothing Matrix)、および、MUSIC(Multiple Signal Classification)等の角度推定方式を用いてもよい。
また上記各実施の形態では、レーダ装置1は車両の前部(例えばフロントバンパー内)に設けられると説明した。これに対してレーダ装置1は、車両外部に送信波を出力できる箇所であれば、車両の後部(例えばリアバンパー)、左側部(例えば、左ドアミラー)、および、右側部(例えば、右ドアミラー)の少なくともいずれか1ヶ所に設けてもよい。
また上記各実施の形態では、送信アンテナTXからの出力は、電波、超音波、光、および、レーザ等の物標情報を検出できる方法であればいずれを用いてもよい。
また上記各実施の形態では、レーダ装置1は車両以外に用いられてもよい。例えばレーダ装置1は、航空機および船舶等に用いられてもよい。
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。
1 レーダ装置
2 車両制御装置
3 車速センサ
10 車両制御システム
11 送信部
12 受信部
13 信号処理部
14 A/D変換部
15 メモリ
16 フーリエ変換部
17 データ処理部
18 信号制御部
2 車両制御装置
3 車速センサ
10 車両制御システム
11 送信部
12 受信部
13 信号処理部
14 A/D変換部
15 メモリ
16 フーリエ変換部
17 データ処理部
18 信号制御部
Claims (7)
- 送信信号の周波数が上昇するアップ区間のピークデータと、前記送信信号の周波数が下降するダウン区間のピークデータとを対応づけてペアデータを生成するペアリング手段と、
過去処理の前記ペアデータと時間的な連続性を有する前記ペアデータが存在するか否かを判定する判定手段と、
前記時間的な連続性を有するペアデータと、前記過去処理のペアデータに基づく予測ペアデータとをそれぞれのフィルタ乗数によりフィルタリングし、フィルタデータを算出するフィルタ手段と、
を備え、
前記フィルタ手段は、前記ペアデータの加速度に関する情報に基づき、前記フィルタ乗数を設定すること、
を特徴とするレーダ装置。
- 請求項1に記載のレーダ装置において、
前記フィルタ手段は、前記加速度に関する情報の値が所定値以上の場合に、前記加速度に関する情報の値が所定値未満のときよりも、前記時間的な連続性を有するペアデータのフィルタ乗数を大きい値に設定すること、
を特徴とするレーダ装置。
- 請求項1または2に記載のレーダ装置において、
前記加速度に関する情報は、相対加速度および相対ジャークの少なくともいずれかの情報であること、
を特徴とするレーダ装置。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載のレーダ装置において、
前記フィルタデータに基づき、前記アップ区間、および、前記ダウン区間の予測ピークデータを算出する予測手段をさらに備え、
前記フィルタ手段は、前記予測ピークデータと前記ピークデータとの周波数差に基づき、前記フィルタ乗数を設定すること、
を特徴とするレーダ装置。
- 請求項4に記載のレーダ装置において、
前記フィルタ手段は、前記予測ピークデータと前記ピークデータとの周波数差が第1の周波数差よりも大きい第2の周波数差の場合に、前記第1の周波数差に基づくフィルタ乗数よりも前記第2の周波数差に基づくフィルタ乗数を小さな値に設定すること、
を特徴とするレーダ装置。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のレーダ装置と、
前記レーダ装置から取得した前記フィルタデータを使用するデータ使用装置と、
を備えること、
を特徴とする車両制御システム。
- (a)送信信号の周波数が上昇するアップ区間のピークデータと、前記送信信号の周波数が下降するダウン区間のピークデータとを対応づけてペアデータを生成する工程と、
(b)過去処理の前記ペアデータと時間的な連続性を有する前記ペアデータが存在するか否かを判定する工程と、
(c)前記時間的な連続性を有するペアデータと、前記過去処理のペアデータに基づく予測ペアデータとをそれぞれのフィルタ乗数によりフィルタリングし、フィルタデータを算出する工程と、
を備え、
前記工程(c)は、前記ペアデータの加速度に関する情報に基づき、前記フィルタ乗数を設定すること、
を特徴とする信号処理方法。
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Cited By (3)
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| JP2022157159A (ja) * | 2021-03-31 | 2022-10-14 | 株式会社Soken | 物体追跡装置 |
-
2015
- 2015-01-09 JP JP2015002771A patent/JP2016128751A/ja active Pending
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