JP2016127210A - 炭素材料複合組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素材料を含む炭素材料複合組成物であって、上記炭素材料は、グラフェン骨格を有し、上記組成物は、更にポリイミド及び/又はその前駆体を含む炭素材料複合組成物である。また、上記炭素材料複合組成物を用いてなる熱電変換材料である。更に、炭素材料及び樹脂を含む熱電変換材料であって、上記炭素材料は、グラフェン骨格を有し、グラフェン結晶の(0 0 2)面に由来するX線回折ピークからScherrerの式により算出される結晶子径が5nm以上、40nm以下であり、上記樹脂は、芳香族ポリマーを含む熱電変換材料である。
【選択図】図3
Description
ZT=(S2・σ/κ)・T
式中、Sは、ゼーベック係数(VK−1)を表す。σは、電気伝導率(Ω−1m−1)を表す。κは、熱伝導率(Wm−1K−1)を表す。Tは、絶対温度(K)を表す。
なお、S2・σをパワーファクター(PF)とも言う。パワーファクター(PF)が大きいほど、無次元性能指数ZTが大きくなり、熱電性能が優れる。
以上のようにして本発明者らは上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
本発明はまた、本発明の炭素材料複合組成物を用いてなる熱電変換材料でもある。
本発明は更に、炭素材料及び樹脂を含む熱電変換材料であって、上記炭素材料は、グラフェン骨格を有し、グラフェン結晶の(0 0 2)面に由来するX線回折ピークからScherrerの式により算出される結晶子径が5nm以上、40nm以下であり、上記樹脂は、芳香族ポリマーを含む熱電変換材料でもある。
本発明はそして、本発明の熱電変換材料を用いてなる熱電変換層を含んで構成される熱電変換素子でもある。
本発明はまた、本発明の熱電変換素子を含んで構成される熱電変換装置でもある。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において段落に分けて記載される個々の本発明の好ましい特徴を2つ以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態である。
本発明の炭素材料複合組成物は、炭素材料を含む炭素材料複合組成物であって、上記炭素材料は、グラフェン骨格を有し、上記組成物は、更にポリイミド及び/又はその前駆体を含むものである。これにより、本発明の炭素材料複合組成物を用いてなる熱電変換層のパワーファクターを非常に高いものとすることができる。この効果は、グラフェン骨格を有する炭素材料はアスペクト比が大きく、炭素材料間のネットワーク構造を形成しやすいこと、ポリイミド及び/又はその前駆体中で当該ネットワーク構造を好適に形成できること等に由来するものと考えられる。
また本発明の炭素材料複合組成物を用いてなる熱電変換層等の成形体は、充分な強度・離型性(成膜後の基材からの離型性)を有するために自立膜とすることが可能となり、種々の用途に好適に使用できる。
上記グラフェン骨格を有する炭素材料(以下では、本発明に係る炭素材料とも言う。)は、sp2結合で結合した炭素(C)を有し、該炭素が平面的に並んだものである限り特に制限されないが、酸素(O)と結合した炭素を有するものであることが好ましい。より好ましくは、グラフェンの炭素に酸素が結合した酸化グラフェンである。
なお、一般的にグラフェンとは、sp2結合で結合した炭素原子が平面的に並んだ1層からなるシートをいい、グラフェンシートが多数積層されたものはグラファイトといわれるが、本発明におけるグラフェン骨格を有する炭素材料や、本発明における酸化グラフェンには、1層のみからなるシートのみではなく、数層〜100層程度積層した構造を有するものも含まれる。後述するグラフェン結晶も同様である。
このような積層した構造を有する酸化グラフェンは、例えば、グラファイトを公知の酸化剤で処理して得ることができる。
本発明に係る炭素材料は、更に、カルボキシル基、水酸基、硫黄含有基等の官能基を有していてもよい。
上記比率は、5:95〜50:50であることがより好ましく、10:90〜30:70であることが更に好ましく、12:88〜30:70であることが特に好ましい。
ここで、O1s領域の全ピーク面積とは、O1s領域に観測される全てのピークの面積の合計のことであり、ベースラインのノイズの幅の2倍以上の高さのピーク全ての面積の合計である。C1s領域の全ピーク面積も同様である。
上記比率は、5:95〜50:50であることがより好ましく、10:90〜30:70であることが更に好ましく、12:88〜30:70であることが特に好ましい。
上記比率は、本発明に係る炭素材料を後述する実施例の条件でXPS測定することにより測定することができる。
XPS測定で得られるC1sスペクトルのC−O結合由来のピークは、285〜287eV付近、炭素原子間の結合由来のピークは、284〜285eV付近に観測される。
ピーク面積は、バックグラウンド補正をShirley法で行い、フィッティング関数としてGauss−Lorentz関数を用いたピークフィット(ピーク分離)により求めることができる。
なお、実施例では樹脂に複合する前の炭素材料に対してXPS測定を行っているが、炭素材料複合組成物から炭素材料を通常の手法で抽出・精製してXPS測定してもよい。
上記結晶子径は、6nm以上であることがより好ましく、8nm以上であることが更に好ましく、10nm以上であることが特に好ましい。また、該結晶子径は、35nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることが更に好ましく、25nm以下であることが特に好ましい。
上記結晶子径は、後述する実施例の方法を行うことにより測定することができる。
上記比表面積は、窒素吸着BET法で比表面積測定装置により測定することができる。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
本発明に係る炭素材料の形状としては、微粉状、粉状、粒状、顆粒状、鱗片状、多面体状、ロッド状、曲面含有状等が挙げられる。なお、平均粒子径が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子をボールミル等により粉砕し、得られた粗粒子を分散剤に分散させて所望の粒子径にした後に乾固する方法や、該粗粒子をふるい等にかけて粒子径を選別する方法のほか、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、所望の粒径の(ナノ)粒子を得る方法等により製造することが可能である。
本発明に係る炭素材料は単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。
本発明の炭素材料複合組成物は、ポリイミド及び/又はその前駆体を含むものである。該前駆体とは、ポリイミドの前駆体樹脂及び/又は該前駆体樹脂の原料成分を言う。
以下では、先ず、ポリイミドの前駆体について説明し、次いで、該前駆体を用いて得られるポリイミドについて説明する。
上記ポリイミドの前駆体は、該前駆体を原料として用いてポリイミドを得ることができるものであれば特に限定されない。該前駆体としては、ポリアミド酸、ポリアミド酸を得るための酸二無水物とジアミンとの混合物が挙げられるが、前駆体がポリアミド酸を含むことが本発明における好ましい形態の1つである。言い換えれば、上記前駆体がポリアミド酸含有組成物であることが好ましい。
また上記ポリイミドの前駆体は、ポリアミド酸の原料である酸二無水物とジアミンとの混合物であってもよい。
上記酸二無水物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。なお、式中のYは、上記一般式(p)中のYと同様である。
3,3′,4,4′−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3′,3,4′−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボンジフェニルエーテル酸二無水物等の、1分子内に1個のエーテル結合を有する酸二無水物;
なお、本明細書中、酸二無水物が有する酸無水物基(O=C−O−C=O)中のC−O−C結合はエーテル結合とはみなさない。
上記酸二無水物は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
上記ジアミンとしては、下記一般式(2);
上記ジアミンは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
上記酸二無水物とジアミンとの反応工程は、有機溶媒中で行われることが好ましい。
上記有機溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、ニトロメタン、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メタノール等の極性溶媒;トルエンやキシレン等の非極性溶媒等が挙げられ、中でも、極性溶媒が好ましい。該有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上の混合物として使用してもよい。
また、重合反応時間は、1時間〜10日とすることが好ましく、より好ましくは1日〜7日である。
上記ポリイミドは、下記一般式(q)で表される構成単位を有するものである。なお、下記一般式(q)中のX、Yは、それぞれ、上記一般式(p)中のX、Yと同様である。本明細書中、下記一般式(q)で表される構成単位を有する樹脂は、上記一般式(p)で表される構成単位を有していてもポリイミドと言う。
上記ハロゲン化ポリイミド及び/又はその前駆体は、該ハロゲン化ポリイミド及びその前駆体の合計100質量%中、ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素原子)を1質量%以上含むことが好ましく、5質量%以上含むことがより好ましく、10質量%以上含むことが更に好ましい。また、該ハロゲン化ポリイミド及び/又はその前駆体は、該ハロゲン化ポリイミド及びその前駆体の合計100質量%中、ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素原子)を60質量%以下含むことが好ましく、50質量%以下含むことがより好ましく、40質量%以上含むことが更に好ましい。このような範囲とすることにより、本発明の効果をより充分に発揮できる。
上記ハロゲン化ポリイミド及びその前駆体の合計量とは、ポリイミド及びその前駆体のいずれか一方のみを用いる場合は、当該一方の量を意味する。
上記ポリイミドのその他の好ましい構成は、上述したポリアミド酸の好ましい構成と同様である。
上記熱処理温度は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、280℃以上であることが更に好ましい。該熱処理温度は、400℃以下であることが好ましく、380℃以下であることがより好ましく、330℃以下であることが更に好ましい。
また、該熱処理温度に加熱する熱処理時間は0.5〜5時間であることが好ましく、1〜2時間であることがより好ましい。
上記熱処理は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。熱処理を断続的に行う場合は、熱処理温度に加熱する時間の合計を上記熱処理時間とする。
上記イミド化率は、FT−IR(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製 Nicolet Nexus670)によるフィルム状ポリイミド分析で、ポリイミドのC−N伸縮振動に由来する1370cm−1付近の吸光度(A(1370cm−1))とベンゼン環骨格振動に由来する1500cm−1付近の吸光度(A(1500cm−1))との吸光度比(A(1370cm−1)/A(1500cm−1))を用いて、以下の式に基づいて算出した。
イミド化率(%)=[フィルム状ポリイミドの(A(1370cm−1)/A(1500cm−1)]÷[熱処理後のフィルム状ポリイミドの(A(1370cm−1)/A(1500cm−1)]×100
なお、上記[熱処理後のフィルム状ポリイミドの(A(1370cm−1)/A(1500cm−1)]は、フィルム状ポリイミドフィルムを、完全イミド化(イミド化率:100%)する温度及び時間の条件で処理したフィルム状ポリイミドにおける測定値である。
上記重量平均分子量は、後述する実施例の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
上記ポリイミド及びその前駆体の含有量とは、ポリイミド及びその前駆体のいずれか一方のみを用いる場合は当該一方の含有量を意味する。また、上記ポリイミド及びその前駆体樹脂、酸二無水物、ジアミンは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。
本発明の炭素材料複合組成物は、所望の用途に応じて本発明に係る炭素材料及び上記ポリイミド及び/又はその前駆体以外の成分(他の成分)を含有することができる。他の成分としては、例えば、上述した本発明に係る炭素材料以外の炭素材料、上述した上記ポリイミド及びその前駆体樹脂以外の樹脂のほか、前駆体樹脂の原料成分以外の成分である、分散剤、無機充填材、離型剤、カップリング剤、難燃剤等の各種添加剤が挙げられる。
なお、本発明の炭素材料複合組成物が上記他の成分を含有する場合、本発明の炭素材料複合組成物を用いてなる材料(例えば、熱電変換材料)は、重合体であるポリイミド以外のポリマー成分等を含むことがある。本発明において、本発明の炭素材料複合組成物から得られる材料は、このような本発明の炭素材料複合組成物由来の他の成分も含むものであってもよい。
本発明の熱電変換材料の好ましい形態は、上述した本発明の炭素材料複合組成物の好ましい形態と同様である。
本発明の熱電変換材料を用いて熱電性能に優れる熱電変換素子を得ることができる。
上記結晶子径を有する炭素材料は単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。
なお、本発明の熱電変換材料は、上記結晶子径を有する炭素材料を含む限り、カーボンナノチューブやグラファイト等の、上記結晶子径を有する炭素材料以外の炭素材料を1種以上含んでいてもよい。
また本発明の熱電変換材料は、本発明の炭素材料複合組成物において上述したのと同様のその他の成分を1種以上含んでいてもよい。該その他の成分の熱電変換材料中の好ましい含有量は、上述した本発明の炭素材料複合組成物中のその他の成分の好ましい含有量と同様である。
本発明はそして、本発明の熱電変換材料を用いてなる熱電変換層を含んで構成される熱電変換素子でもある。
本発明の熱電変換素子における熱電変換層に用いる熱電変換材料の好ましい構成は、上述した本発明の熱電変換材料の好ましい構成と同様である。
本発明の熱電変換素子は、本発明の熱電変換材料を用いてなる熱電変換層を含んで構成されるものであればよく、公知の種々の形態をとることができる。
本発明の熱電変換材料を用いてなる熱電変換層は、単層であってもよく、2層以上であってもよい。2層以上である場合は、その合計の平均厚みが上記平均厚みの好ましい範囲内であることが好ましい。
本発明の熱電変換素子が電気エネルギーを生じるものである場合、熱電変換素子中において生じる温度差により、その温度差のある部分間に電位差(起電力)が生じるものとすることができる。
例えば、上記熱電変換層は、本発明の熱電変換材料を基材へ塗布し、溶媒成分等を加熱等により蒸発させて成膜して得ることができる。加熱は、溶媒成分を蒸発できる程度に行えばよい。
なお、本発明の熱電変換材料がポリイミドの前駆体を含有する場合は、光照射等により成膜時にイミド化や原料成分の反応が進行するものであっても構わない。
上記熱電変換層は、成膜後に該膜に対して紫外線等の電磁波やその他のエネルギー線を照射してドーピング処理を行い、導電性が向上されたものであってもよい。
なお、上記熱電変換層の形状は、熱電変換素子における通常の熱電変換層と同様の機能を発揮するものであれば、通常の層状でなくてもよい。
上記基材としては、平面形状部分を有するガラス、セラミック、プラスチック、金属等を適宜使用できる。該基材は、成形時の温度に対する耐熱性を有することが好ましい。また、該基材は、透明であることが好ましい。
該電極材料としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明電極、金属、導電性炭素材料等が挙げられる。
本発明はまた、本発明の熱電変換素子を含んで構成される熱電変換装置でもある。
本発明の熱電変換装置は、本発明の熱電変換素子を含んで構成されるものであればよく、公知の種々の形態をとることができる。
本発明の熱電変換装置としては、例えば、地熱・温泉熱発電機、太陽熱発電機、工場や自動車等の廃熱発電機、体温発電機等の発電機や、該発電機を電源の少なくとも一つとして用いた各種電気製品、電動機、人工衛星等が挙げられる。
<重量平均分子量測定(GPC測定)>
装置:東ソー株式会社製 HCL−8220GPC
カラム:TSKgel Super AWM−H
溶離液(LiBr・H2O、リン酸入りNMP):0.01mol/L
炭素材料複合組成物に対して、試料水平型X線回折装置(リガク社製:Smart Lab)を用いて、以下の条件でXRD測定を行い、グラフェン結晶の(0 0 2)面に由来するX線回折ピーク(2θ=26.5°付近)からScherrerの式により算出した。
走査範囲:5°−90°
ステップサイズ:0.020°
スキャン速度:5.000°min−1
樹脂に複合する前の炭素材料(室温乾燥物)に対して、以下の装置を用い、以下の条件でXPS測定を行った。
装置:日本電子製 JPS−9000MX型
条件:Anode HT(10kV)、Emission(10mA)、Filament(Mg)、PassEnergy(50eV)、Step(1eV)、Dwelltime(100ms)
炭素材料複合組成物に対して、比抵抗測定装置(ロレスタGP MCP−T600、三菱化学株式会社製)を用いて、室温(約25℃)で測定した。
炭素材料複合組成物の表面において、平均温度が約25℃となるように一部を温め、別の一部を冷やすことによって、炭素材料複合組成物の表面に所定の温度差を生じさせて起電力を測定した。縦軸を起電力とし、横軸を温度差とするグラフを作成し、このグラフの傾きから、炭素材料複合組成物のゼーベック係数を算出した。
なお、パワーファクター(PF)は、上記のように測定した体積抵抗値の逆数(電気伝導率)と、ゼーベック係数の二乗との積により算出することができる。
調製例1
[酸化グラフェン(GO)水分散体の調製]
水浴に設置した1Lビーカーに濃硫酸300mlと鱗片状黒鉛(伊藤黒鉛工業製Z−5F)12gを投入し、撹拌翼で撹拌した。ビーカーの周りを氷で冷やしながら6gのKMnO4を徐々に加えた後、35℃まで昇温して、35℃で2時間撹拌を続けた。その後、ビーカーの周りを氷で冷やしながら、水300mlをゆっくりと加えた。続いて、濃度30%(w/v)の過酸化水素水3mlを加えて、20℃で30分間撹拌した。撹拌終了後、ビーカー内の液を4本の遠心瓶(500ml)に分けて入れ、遠心分離を行ってから上澄み液を除去して沈殿物を得た。沈殿物が残った遠心瓶に水を入れ、撹拌、振盪により沈殿物を分散させてから再度遠心分離を行う操作を、pHが6程度になるまで繰り返して、炭素材料(酸化グラフェン)が水に分散した酸化グラフェン水分散体を得た。
[酸化グラフェン(GO)分散溶液の調製]
上記で得られた酸化グラフェン水分散体10gにN−メチルピロリドン10gを入れ、真空乾燥機で水を蒸発し、溶媒置換を行った。最終的に固形分濃度1%の酸化グラフェンのN−メチルピロリドン溶液を得た。
図1及び図2より、O1s領域の全ピーク面積とC1s領域の全ピーク面積との比率は14:86である。図1より、C1sスペクトルにおけるC−O結合由来のピーク(286.0eV)の面積と炭素原子間の結合由来のピーク(284.5eV)の面積との比率は13:87である。これらのグラフから、酸化グラフェンがC−O結合を有することが示されている。
[マルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)分散溶液の調製]
100mlのガラス容器中に、溶媒としてN−メチルピロリドン40gと、炭素材料としてマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)(シグマアルドリッチ社より購入、SWeNT SMW200)0.4g、分散剤としてポリビニルピロリドン(日本触媒社製:K−30)0.2gと、直径1mmのビーズを入れ、ペイントシェーカー(商品名:試験用分散器、東洋精機社製)により1時間分散処理を行った後、ろ過することで、マルチウォールカーボンナノチューブ分散溶液を得た。
[シングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)分散溶液の調製]
100mlのガラス容器中に、溶媒としてN−メチルピロリドン40gと、炭素材料としてシングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)(シグマアルドリッチ社より購入、NANOCYL NC1100)0.4g、分散剤としてポリビニルピロリドン(日本触媒社製:K−30)0.2gと、直径1mmのビーズを入れ、ペイントシェーカー(商品名:試験用分散器、東洋精機社製)により1時間分散処理を行った後、ろ過することで、シングルウォールカーボンナノチューブ分散溶液を得た。
調製例4−1
[含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物の調製]
100ml容量の三口フラスコに、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン酸二無水物(10FEDAN)(別名:4,4′−[(2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン)ビス(オキシ)]ビス(3,5,6−トリフルオロフタル酸無水物)14.51g、1,3−ジアミノ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン(4FMPD)4.489g、及び、N−メチルピロリドン31.0gを仕込んだ。窒素雰囲気下、室温で、5日間攪拌することで、含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物30g(ポリアミド酸の固形分濃度:38%)を得た。また、GPCによる測定でポリアミド酸の重量平均分子量を測定した結果、分子量は8万だった。
[含フッ素ポリイミド樹脂組成物の調製]
調製例4−1において得られた含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物50gを100mlガラス容器に移し、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.079g(0.71ミリモル)、無水酢酸5.34g(0.05モル)を加え、5分間撹拌反応させた後24時間静置することで、含フッ素ポリイミド樹脂組成物を得た。
[ポリアミド酸樹脂組成物の調製]
100ml容量の三口フラスコに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル2.393g(12.0ミリモル)、無水ピロメリット酸2.607g(12.0ミリモル)、N、N−ジメチルアセトアミド45.0gを仕込んだ。窒素雰囲気下、室温で、5日間攪拌することで、ポリアミド酸樹脂組成物(固形分濃度10.0質量%)を得た。該ポリアミド酸の重量平均分子量は80万であった。
[ポリイミド樹脂組成物の調製]
調製例5−1において得られたポリアミド酸樹脂組成物50gを100mlガラス容器に移し、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.040g(0.35ミリモル)、無水酢酸2.67g(0.026モル)を加え、5分間撹拌反応させた後24時間静置することで、ポリイミド樹脂組成物を得た。
[ポリスチレン溶液の調製]
市販のPSJ−ポリスチレン(グレード:HF77、PSジャパン株式会社製)をテトラヒドロフランに溶解し、15%の溶液を作製した。
[含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物の調製]
100ml容量の三口フラスコに1,4−ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン(TPEQ)2.976g(10.2ミリモル)、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物(6FDA)4.524g(10.2ミリモル)、N、N−ジメチルアセトアミド42.5gを仕込んだ。窒素雰囲気下、室温で、5日間攪拌することで、含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物(固形分濃度15.0質量%)を得た。該ポリアミド酸の重量平均分子量は18万であった。
[含フッ素ポリイミド樹脂組成物の調製]
調製例7−1において得られた含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物50gを100mlガラス容器に移し、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.032g(0.29ミリモル)、無水酢酸2.19g(0.02モル)を加え、5分間撹拌反応させた後24時間静置することで、含フッ素ポリイミド樹脂溶液を得た。得られた含フッ素ポリイミド樹脂溶液をアセトンで希釈し、水及びメタノール中に再沈させて、精製し、得られた粉末状含フッ素ポリイミド樹脂を15%濃度になるよう2−ブタノン溶液に溶解させて含フッ素ポリイミド樹脂組成物を得た。
225ml容量の三つ口フラスコに、4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(略称p,p−BPDE)16.74g、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FBA)10.14g、炭酸カリウム(K2CO3) 4.14g及びN−メチルピロリジノン 90gを仕込んだ。この混合物を60℃に加熱し5時間加熱した。反応終了後、冷却し、この溶液をブレンダーで激しく攪拌しながら、1%酢酸水溶液中に注加した。析出した重合体を濾別し、蒸留水及びメタノールで洗浄した後、減圧乾燥した。得られた粉末状含フッ素ポリアリールエーテルケトンを15%濃度になるよう2−ブタノン溶液に溶解させて含フッ素ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を得た。
[ポリイミド含有組成物(炭素材料複合樹脂組成物)の調製、及び、熱電変換層の調製]
50mL容量のサンプル管に、調製例4−2で得られた樹脂溶液である含フッ素ポリイミド樹脂組成物(固形分濃度34質量%)1gに、調製例1で得られた炭素材料分散液である酸化グラフェン分散溶液(固形分濃度1質量%)34gを加え、ペイントシェーカー(商品名:試験用分散器、東洋精機社製)で分散させ、炭素材料複合樹脂組成物であるポリイミド含有組成物(1)を調製した。得られた組成物(1)を硝子上に塗布し、200℃にて10分間加熱し、焼成して、熱電変換材料の膜であるフッ素樹脂含有ポリイミド膜(1)を得た。得られたフッ素樹脂含有ポリイミド膜(1)をXRD測定した結果(図3)、グラフェン結晶の(0 0 2)面に由来するX線回折ピーク(2θ=26.5°付近)からScherrerの式により算出される結晶子径は、22.1nmであった。
また、得られたフッ素樹脂含有ポリイミド膜(1)の体積抵抗値(Ω・cm)(電気伝導率の逆数)、ゼーベック係数(μV/K)を測定し、パワーファクター(PF)(μm/mK2)を算出した。結果を表1に示す。
炭素材料分散液の種類、及び、樹脂溶液の種類を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして炭素材料複合樹脂組成物(2)〜(5)及び比較炭素材料複合樹脂組成物(1)〜(5)を調製した。また、これらの組成物を用い、実施例1と同様にして熱電変換材料の膜(2)〜(5)及び比較熱電変換材料の膜(1)〜(5)を得た。得られた熱電変換材料の膜(2)〜(5)をXRD測定した結果(図4〜7)、グラフェン結晶の(0 0 2)面に由来するX線回折ピーク(2θ=26.5°付近)からScherrerの式により算出される結晶子径は、熱電変換材料の膜(2)が21.2nm、(3)が25.9nm、(4)が18.0nm、(5)が21.0nmであった。
熱電変換材料の膜(2)、(3)及び比較熱電変換材料の膜(1)〜(5)については、体積抵抗値(Ω・cm)、ゼーベック係数(μV/K)を測定し、パワーファクター(PF)(μm/mK2)を算出した。結果を表1に示す。
GO:調製例1で調製した酸化グラフェン分散溶液
MWCNT:調製例2で調製したマルチウォールカーボンナノチューブ分散溶液
SWCNT:調製例3で調製したシングルウォールカーボンナノチューブ分散溶液
10F4F:調製例4−2で調製したポリイミド溶液(1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン酸二無水物〔10FEDAN〕と1,3−ジアミノ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン〔4FMPD〕との混合液から調製した下記式(a)で表される繰り返し単位から構成されるポリイミド溶液)
6FDA/TPEQ:調製例7−2で調製したポリイミド溶液(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物〔6FDA〕と1,4−ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン〔TPEQ〕との混合液から調製した下記式(c)で表される繰り返し単位から構成されるポリイミド溶液)
ポリイミド及び/又はその前駆体や芳香族ポリマーを含む樹脂にMWCNTやSWCNT等のカーボンナノチューブを配合した炭素材料複合樹脂組成物から得られる膜の場合、パワーファクターが低いものであった。一方、ポリイミド及び/又はその前駆体や芳香族ポリマーを含む樹脂に酸化グラフェンを配合した炭素材料複合樹脂組成物から得られる膜の場合は、パワーファクターが高く、熱電変換用途に特に好適なものであった。また、自立膜を構成することが可能なものであった。
Claims (9)
- 炭素材料を含む炭素材料複合組成物であって、
該炭素材料は、グラフェン骨格を有し、
該組成物は、更にポリイミド及び/又はその前駆体を含む
ことを特徴とする炭素材料複合組成物。 - 前記前駆体は、ポリアミド酸を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の炭素材料複合組成物。 - 前記炭素材料は、グラフェン結晶の(0 0 2)面に由来するX線回折ピークからScherrerの式により算出される結晶子径が5nm以上、40nm以下である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の炭素材料複合組成物。 - 前記ポリイミド及び/又はその前駆体は、フッ素原子を含有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素材料複合組成物。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の炭素材料複合組成物を用いてなる
ことを特徴とする熱電変換材料。 - 炭素材料及び樹脂を含む熱電変換材料であって、
該炭素材料は、グラフェン骨格を有し、グラフェン結晶の(0 0 2)面に由来するX線回折ピークからScherrerの式により算出される結晶子径が5nm以上、40nm以下であり、
該樹脂は、芳香族ポリマーを含む
ことを特徴とする熱電変換材料。 - 前記樹脂は、フッ素原子を含有する
ことを特徴とする請求項6に記載の熱電変換材料。 - 請求項5〜7のいずれかに記載の熱電変換材料を用いてなる熱電変換層を含んで構成される
ことを特徴とする熱電変換素子。 - 請求項8に記載の熱電変換素子を含んで構成される
ことを特徴とする熱電変換装置。
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