(本開示に至る経緯)
DC−DCコンバータにおいては、スイッチング素子のスイッチング損失を低減することが望まれている。スイッチング素子は、ドレイン−ソース間の電圧の応答速度を高速化させることでスイッチング損失が低減される。
しかしながら、応答速度を高速化させると、DC−DCコンバータ上の寄生インダクタンスと寄生キャパシタンスとからなる共振ループによりリンギングが発生し、スイッチング素子に過大な電圧が印加される虞がある。そのため、スイッチング素子として耐圧の高いスイッチング素子を採用する必要があり、回路の高コスト化を招いてしまう。また、リンギングに伴って過大な輻射ノイズが発生し、他の電気機器に悪影響を及ぼす虞がある。
また、スイッチング素子のゲートに入力される制御信号の電圧レベルは例えば5V程度であるのに対して、DC−DCコンバータが取り扱う電圧レベルは300V〜500Vと非常に大きく、制御信号をDC−DCコンバータにうまく伝播させるには、両回路の基準電位を電気的に絶縁する必要がある。そこで、スイッチング素子のゲートの前段や駆動装置を構成する各スイッチのゲートの前段にはアイソレータが設けられるのが一般的である。ここで、アイソレータには同相除去電圧と呼ばれる基準が設けられており、この基準を満たすためには、スイッチング素子の応答速度を、同相除去電圧が定める電圧変化率以下にする必要があり、応答速度の高速化には制限がある。
したがって、スイッチング素子のスイッチング損失を一定の値以下にし、スイッチング素子の応答速度をアイソレータが規定する電圧変化率以下にし、且つ、リンギング電圧を一定の値以下にするスイッチング速度(以下、「SW速度」と記述する。)のうち最速のSW速度を設定することでスイッチング素子の駆動を最適化できる。
しかしながら、スイッチング損失、応答速度、及びリンギング電圧は、スイッチング素子に入出力される電流、電圧、及び、デバイス温度といった負荷状態によって変動する。よって、DC−DCコンバータを実際に設計する際にはいずれの負荷状態も満足させることができるワーストのSW速度が設定される。そのため、実際に設定したSW速度がある負荷状態においては最適な値を持っていないケースが発生し、この場合、スイッチング素子を効率良く駆動することができない。
ここで、SW速度の高速化は、例えば、スイッチング素子のゲート容量に電荷を注入する期間(充電時間)を増大させることで実現できる。そこで、本発明者は、負荷状態に応じて最適な充電時間を動的に設定すれば、スイッチング素子を効率良く駆動させることができる点に着目した。
次に、特許文献1の問題点について説明する。
図13は、特許文献1のスイッチ装置SS1の回路図である。図14は、スイッチ装置SS1のタイムチャートである。スイッチ装置SS1は、4つのスイッチ回路(以下、「SW1〜SW4」と記述する。)と、SW1〜SW4に対応する4つの制御回路(以下、「CONT1〜CONT4」と記述する)を備える。
CONTiは、D−フリップフロップ(以下、「D−FFi1」と記述する。)と、NOR回路(以下、「NORi」と記述する。)と、D−フリップフロップ(以下、「D−FFi2」と記述する。)とを備える。ここで、iは、CONT1〜CONT4及びSW1〜SW4を特定するためのインデックスであり、1〜4の値をとる。
D−FFi1は、クロックCKの立ち上がりでD端子に入力されている第1の制御信号C1を取り込む。図14に示すように、第1の制御信号C1は、期間P1でレベルがH、期間P5でレベルがHというように、4期間毎にレベルがHにされている。
よって、期間P1では、D−FF11は、D端子にレベルがHの第1の制御信号C1が入力されているため、クロックCKが立ち上がると、レベルがHの第1の制御信号C1を取り込む。これにより、D−FF11のF端子から出力される出力信号F1のレベルがHとなる(C141)。
期間P2では、D−FF11は、D端子にレベルがLの第1の制御信号C1が入力されているため、クロックCKが立ち上がると、レベルがLの第1の制御信号C1を取り込む(C142)。
また、期間P2では、D−FF21は、クロックCKが立ち上がると、レベルがHの出力信号F1を取り込む。これにより、D−FF21のF端子から出力される出力信号F2はレベルがHとなる(C143)。
このように、期間P1,P2,P3,P4と進むにつれて、出力信号F1,F2,F3,F4のレベルが順次にHにされる(C144,C145)。
NOR1〜NOR4は、それぞれ、出力信号F1〜F4と第2の制御信号C2とのANDをとる(C146)。例えば、期間P2では、第2の制御信号C2のレベルがH、且つ、出力信号F2のレベルがHであるため、NOR2の出力信号のレベルがHとなる。
D−FFi2は、Fバー端子がD端子に接続されているため、T端子のレベルが反転する度に、F端子から出力するスイッチ切替信号Siのレベルを反転させる。そのため、期間P2では、D−FF22は、SW2に出力するスイッチ切替信号S2のレベルをHにする。
期間P6では、D−FF21は、再度、クロックCKの立ち上がりに同期して、レベルがHの出力信号F2を取り込む。これにより、D−FF21のF端子から出力される出力信号F2はレベルがHとなる。また、期間P6では、第2の制御信号C2のレベルがHである。よって、期間P6では、NOR2の出力信号のレベルがHとなる。
そのため、期間P6では、D−FF22は、SW2に出力するスイッチ切替信号S2のレベルをLにする。
このように、スイッチ装置SS1では、レベルがHの第1の制御信号C1をCONT1〜CONT4に順次に伝播させることで、制御線の本数の削減が図られている。
しかしながら、スイッチ装置SS1では、スイッチ切替信号Siは一度トグルすると、次にトグルするまでに、出力信号Fiが1順するのを待たなければならない。例えば、スイッチ切替信号S2は、期間P2において、出力信号F2の立ち上がりに同期してレベルがHになっているが、次に出力信号F2が立ち上がるまでに4期間を要するため、期間P6が到来するまで、レベルをLにすることができない。そのため、クロックCKのパルス幅を1期間の1/2とすると、スイッチ切替信号S2の最小パルス幅はクロックCKのパルス幅×8となる。
すなわち、スイッチSWiの個数がn個の場合、クロックCKのパルス幅をCKとすると、スイッチ装置SS1がスイッチSWiに出力できる最小のパルス幅がCK×2nとなる。
ここで、図13において、第1の制御信号C1の入力端子の前段にアイソレータを設けた構成を想定する。アイソレータには最小可能伝播時間が仕様で決められており、それよりも細いパルスをアイソレータは伝送できない。よって、スイッチ装置SS1にアイソレータを設けた構成では、第1の制御信号C1の最小パルス幅をアイソレータの仕様で定められた最小パルス幅よりも小さくできない。そして、スイッチ装置SS1では、スイッチ切替信号Siの最小パルス幅はCK×2n必要である。そのため、アイソレータが定めた最小パルス幅をP_ISとすると、スイッチ装置SS1にアイソレータを設けた構成では、スイッチ切替信号Siの最小パルス幅は、P_IS×2nとなる。
これでは、スイッチ切替信号Siの最小パルス幅を、アイソレータが定めた最小伝播時間よりも短くすることができない。そのため、スイッチ装置SS1を図3に示す駆動装置300に適用した場合、駆動装置300が制御対象とするスイッチング素子の充電時間をアイソレータが定めた最小伝播時間よりも短い時間に設定できない。よって、スイッチ装置SS1は、スイッチング素子の充電時間を負荷状態に応じて動的に変更させる駆動装置に適していない。
本開示は、上記の問題を鑑みたものであり、入力パルス信号の配線数を削減し、且つ、入力パルス信号以下のパルス幅を持つ出力パルス信号を生成する信号生成装置を提供する。
(1)本開示の一態様の信号生成装置は、
第1レベルと、前記第1レベルとは異なる第2レベルとの間で切り替わる第1、第2入力パルス信号を用いて、制御対象装置が備える第1〜第4スイッチを制御するための第1〜第4出力パルス信号を生成する信号生成装置であって、
前記第1、第2入力パルス信号は、アイソレータが規定する最小パルス幅以上のパルス幅を持ち、
前記第1、第2入力パルス信号が入力されるアイソレータと、
前記アイソレータから出力された前記第1、第2入力パルス信号のうち、一方の入力パルス信号のレベルと他方の入力パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりタイミングとの組み合わせから8つのタイミングを検知し、前記検知した8つのタイミングの中から、任意に2つずつタイミングを選択して、前記第1〜第4出力パルス信号のトグルタイミングに割り当て、前記第1〜第4出力パルス信号を生成する出力パルス生成部とを備える。
この態様では、第1,第2入力パルス信号は第1、第2レベルの2つレベル間で切り替わるため、第1,第2入力パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミングは4通りになる。よって、第1,第2入力パルス信号のうち、一方の入力パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミングに対して、他方の入力パルス信号のレベル(2通り)を組み合わせることで、4×2=8通りのタイミングを検知できる。
そして、8通りのタイミングの中から、予め定めておいたロジックにしたがって、2つずタイミングを選択して、第1〜第4出力パルス信号のトグルタイミングに割り当てる。これにより、第1,第2入力パルス信号の最小パルス幅以下のパルス幅を持つ出力パルス信号が得られる。よって、アイソレータが規定する最小パルス幅以下のパルス幅を持つ第1〜第4出力パルス信号が得られる。
また、本態様では、第1,第2入力パルス信号から第1〜第4出力パルス信号が生成されているので、入力パルス信号の配線数が2本で済み、配線数を削減できる。また、入力パルス信号の配線数が2本で済むのでアイソレータの個数も2つで済み、アイソレータの個数を削減できる。
また、本態様では、一方の入力パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミングと他方の入力パルス信号のレベルとの組み合わせで出力パルス信号のトグルタイミングが決定されている。そのため、一方の入力パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミングで、複数の出力パルス信号が立ち上がる又は立ち下がる事態を防止できる。
(2)上記態様において、
前記制御対象装置は、制御端子を備えるスイッチング素子を駆動する駆動装置であり、
前記駆動装置は、第1端子と第2端子とを備え、前記第2端子が前記制御端子に接続されたコイルを備え、
前記第1スイッチは、第1電位を与える第1電位線と前記第1端子との間に接続され、前記スイッチング素子をターンオンさせるためにオンされ、
前記第2スイッチは、前記第1電位線と前記第2端子との間に接続され、前記ターンオンされた前記スイッチング素子の前記制御端子を前記第1電位でクランプするためにオンされ、
前記第3スイッチは、前記第1電位より低い第2電位を与える第2電位線と前記第1端子との間に接続され、前記スイッチング素子をターンオフさせるためにオンされ、
前記第4スイッチは、前記第2電位線と前記第2端子との間に接続され、前記ターンオフされた前記スイッチング素子の前記制御端子を前記第2電位でクランプするためにオンされてもよい。
この態様では、上記の駆動装置が備える第1〜第4スイッチを制御するための第1〜第4出力パルス信号を生成できる。
(3)また、上記態様において、
前記第1スイッチは、前記スイッチング素子の負荷状態に応じてオン時間が調整され、
前記出力パルス生成部は、前記第1、第2入力パルス信号のうち、一方の入力パルス信号の立ち上がりタイミングを、第1〜第4出力パルス信号のうちの1つの出力パルス信号の一方のトグルタイミングとして選択した場合、他方の入力パルス信号の立ち下がりタイミングを前記1つの出力パルス信号の他方のトグルタイミングとして選択してもよい。
この態様では、一方の入力パルス信号の立ち上がりタイミングが1つの出力パルス信号のトグルタイミングとして選択された場合、この出力パルス信号の他方のトグルタイミングは、他方の入力パルス信号の立ち下がりタイミングが選択される。そのため、入力パルス信号の最小パルス幅よりも短いパルス幅を持つ出力パルス信号が得られる。そして、この出力パルス信号を用いて第1スイッチのオン時間を調整することで、第1スイッチのオン時間をアイソレータが規定する最小パルス幅よりも短い時間に設定でき、第1スイッチのオン時間の調整幅が増大する。その結果、第1スイッチのオン時間を負荷状態に応じて動的に設定する制御方式(後述の充電方式)を採用する駆動装置の制御に適した出力パルス信号を生成できる。
(4)また、上記態様において、
前記出力パルス生成部は、
前記第2入力パルス信号が前記第1レベルの場合に前記第1入力パルス信号が立ち上がったタイミングを前記第1出力パルス信号の立ち上がりタイミングとして選択し、且つ、前記第1入力パルス信号が前記第1レベルの場合に前記第2入力パルス信号が立ち下がったタイミングを前記第1出力パルス信号の立ち下がりタイミングとして選択し、
前記第2入力パルス信号が前記第2レベルの場合に前記第1入力パルス信号が立ち下がったタイミングを前記第2出力パルス信号の立ち上がりタイミングとして選択し、且つ、前記第2入力パルス信号が前記第2レベルの場合に前記第1入力パルス信号が立ち上がったタイミングを前記第2出力パルス信号の立ち下がりタイミングとして選択し、
前記第1入力パルス信号が前記第1レベルの場合に前記第2入力パルス信号が立ち上がったタイミングを前記第3出力パルス信号の立ち上がりタイミングとして選択し、且つ、前記第2入力パルス信号が前記第1レベルの場合に前記第1入力パルス信号が立ち下がったタイミングを前記第3出力パルス信号の立ち下がりタイミングとして選択し、
前記第1入力パルス信号が前記第2レベルの場合に前記第2入力パルス信号が立ち下がったタイミングを前記第4出力パルス信号の立ち上がりタイミングとして選択し、且つ、前記第1入力パルス信号が前記第2レベルの場合に前記第2入力パルス信号が立ち上がったタイミングを前記第4出力パルス信号の立ち下がりタイミングとして選択してもよい。
この態様では、第1スイッチのオン時間を動的に設定する制御方式を採用する駆動装置の制御に適した第1〜第4出力パルス信号を生成できる。
(5)上記態様において、
前記第2スイッチは、前記スイッチング素子をターンオンさせる際、前記第1スイッチがオフする前にオンされ、前記スイッチング素子から出力される信号のレベルに応じてオン時間が調整され、
前記出力パルス生成部は、
前記第1入力パルス信号が前記第2レベルの場合に前記第2入力パルス信号が立ち下がったタイミングを前記第1出力パルス信号の立ち上がりタイミングとして選択し、且つ、前記第1入力パルス信号が前記第1レベルの場合に前記第2入力パルス信号が立ち上がったタイミングを前記第1出力パルス信号の立ち下がりタイミングとして選択し、
前記第2入力パルス信号が前記第2レベルの場合に前記第1入力パルス信号が立ち上がったタイミングを前記第2出力パルス信号の立ち上がりタイミングとして選択し、且つ、前記第2入力パルス信号が前記第1レベルの場合に前記第1入力パルス信号が立ち下がったタイミングを前記第2出力パルス信号の立ち下がりタイミングとして選択し、
前記第2入力パルス信号が前記第1レベルの場合に前記第1入力パルス信号が立ち上がったタイミングを前記第3出力パルス信号の立ち上がりタイミングとして選択し、且つ、前記第2入力パルス信号が前記第2レベルの場合に前記第1入力パルス信号が立ち下がったタイミングを前記第3出力パルス信号の立ち下がりタイミングとして選択し、
前記第1入力パルス信号が前記第1レベルの場合に前記第2入力パルス信号が立ち下がったタイミングを前記第4出力パルス信号の立ち上がりタイミングとして選択し、且つ、前記第1入力パルス信号が前記第2レベルの場合に前記第2入力パルス信号が立ち上がったタイミングを前記第4出力パルス信号の立ち下がりタイミングとして選択してもよい。
この態様では、第1スイッチがオフする前に第2スイッチをオンする制御方式(後述のクランプ前倒し方式)を採用する駆動装置に適した出力パルス信号を生成できる。
(6)上記態様において、
前記第4スイッチは、前記スイッチング素子をターンオンさせる際、前記第1スイッチがオンされた後にオフされ、前記スイッチング素子から出力される信号のレベルに応じてオン時間が調整され、
前記出力パルス生成部は、
前記第1入力パルス信号が前記第2レベルの場合に前記第2入力パルス信号が立ち上がったタイミングを前記第1出力パルス信号の立ち上がりタイミングとして選択し、且つ、前記第1入力パルス信号が前記第1レベルの場合に前記第2入力パルス信号が立ち下がったタイミングを前記第1出力パルス信号の立ち下がりタイミングとして選択し、
前記第2入力パルス信号が前記第2レベルの場合に前記第1入力パルス信号が立ち下がったタイミングを前記第2出力パルス信号の立ち上がりタイミングとして選択し、且つ、前記第1入力パルス信号が前記第1レベルの場合に前記第2入力パルス信号が立ち上がったタイミングを前記第2出力パルス信号の立ち下がりタイミングとして選択し、
前記第2入力パルス信号が前記第2レベルの場合に前記第1入力パルス信号が立ち上がったタイミングを前記第3出力パルス信号の立ち上がりタイミングとして選択し、且つ、前記第2入力パルス信号が前記第1レベルの場合に前記第1入力パルス信号が立ち下がったタイミングを前記第3出力パルス信号の立ち下がりタイミングとして選択し、
前記第1入力パルス信号が前記第2レベルの場合に前記第2入力パルス信号が立ち下がったタイミングを前記第4出力パルス信号の立ち上がりタイミングとして選択し、且つ、前記第2入力パルス信号が前記第1レベルの場合に前記第1入力パルス信号が立ち上がったタイミングを前記第4出力パルス信号の立ち下がりタイミングとして選択してもよい。
この態様では、前記第1スイッチがオンされた後に第4スイッチをオフする制御方式(後述のプリチャージ方式)を採用する駆動装置に適した出力パルス信号を生成できる。
(実施の形態)
図1は、本開示における信号生成装置500が適用された駆動システム100の構成例を示す図である。駆動システム100は、4つのスイッチング素子(図略)がフルブリッジで接続された単相インバータを制御する。
駆動システム100は、入力パルス生成部200、4つの駆動装置300、及び4つの信号生成装置500を備える。
駆動装置300は、単相インバータの4つのスイッチング素子のそれぞれに対応して4つ設けられ、対応するスイッチング素子を制御する。
駆動装置300は、4つのスイッチSW1〜SW4、及びコイルL1を備えている。駆動装置300の詳細は後述する。
信号生成装置500は、4つの駆動装置300に対応して4つ設けられている。信号生成装置500は2つのアイソレータIS及び出力パルス生成部510を備える。ここで、信号生成装置500は4つあるので、アイソレータISの合計個数は8つである。
入力パルス生成部200は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)或いはCPLD(Complex Programmable Logic Device)で構成され、2つの入力パルス信号(第1、第2入力パルス信号)を生成する。第1,第2入力パルス信号は、H(ハイレベル)及びL(ローレベル)で電圧レベルが切り替わる信号である。
入力パルス生成部200は、アイソレータISのそれぞれと信号線Ln1を介して接続されている。信号生成装置500に設けられた2つのアイソレータISのうち、一方のアイソレータISは第1入力パルス信号を入力し、他方のアイソレータISは第2入力パルス信号を入力する。
出力パルス生成部510は、例えば、論理回路で構成され、第1,第2入力パルス信号をアイソレータISを介して入力する。そして、信号生成装置500は、入力した第1,第2入力パルス信号に対して所定の論理演算を行い、4つの出力パルス信号(第1〜第4出力パルス信号)を生成し、対応する駆動装置300のスイッチSW1〜SW4に出力する。第1〜第4出力パルス信号は、それぞれ、H及びLで電圧レベルが切り替わる信号である。
第1〜第4出力パルス信号は、それぞれ、スイッチSW1〜SW4の制御端子に入力され、スイッチSW1〜SW4のオンオフを制御する。信号生成装置500が第1〜第4出力パルス信号を生成する処理の詳細は後述する。
図15は、比較例における駆動システム100xの構成例を示す図である。駆動システム100xは、4つのスイッチング素子がフルブリッジで接続された単相インバータを制御対象とする。駆動システム100xは、4つのスイッチング素子に対応する4つの駆動装置300を備える。
駆動装置300が備える4つのスイッチSW1〜SW4の制御端子の前段には4つのアイソレータISが設けられている。
入力パルス生成部200は、駆動装置300のスイッチSW1〜SW4のオンオフを制御するための入力パルス信号を生成する。ここでは、合計16個のスイッチがあるため、入力パルス生成部200は、合計16個の入力パルス信号を生成する。
このように、比較例の駆動システム100xでは、インバータを構成する1つのスイッチング素子に対して4種の入力パルス信号が必要なので、入力パルス生成部200とアイソレータISとを繋ぐ信号線Ln1が16本必要となる。また、スイッチSW1〜SW4毎にアイソレータISが設けられているので、アイソレータISが合計16個必要となる。よって、比較例の駆動システム100xでは、信号線Ln1及びアイソレータISの個数が増大するという問題がある。
一方、図1の駆動システム100は、2つの入力パルス信号から4つの出力パルス信号を生成する出力パルス生成部510を備えている。そのため、入力パルス生成部200は、2つの入力パルス信号を生成すれば済む。その結果、1つの信号生成装置500が備えるアイソレータISの個数は2個で済み、且つ、1つの信号生成装置500に対して入力パルス信号を供給する信号線Ln1の本数は2本で済む。つまり、駆動システム100は、アイソレータISの合計個数が2×4=8個、信号線Ln1の合計本数が2×4=8個で済む。そのため、駆動システム100は、配線数を削減できる。
次に、図1の駆動システム100がDC−DCコンバータを制御する場合を例に挙げて説明する。
図2は、本開示の駆動装置300によって制御されるDC−DCコンバータ400の構成例を示す図である。なお、図2のDC−DCコンバータ400は、スイッチング素子Q11,Q12の個数が2つであるため、駆動システム100を構成する駆動装置300の個数は2つとなる。
DC−DCコンバータ400は、リアクトルL11、入力用の平滑コンデンサC11、ロー側のスイッチング素子Q11、ハイ側のスイッチング素子Q12、及び出力用の平滑コンデンサC12を備える。スイッチング素子Q11,Q12は、それぞれ、駆動装置300,300により駆動される。
まず、昇圧動作について説明する。駆動装置300がロー側のスイッチング素子Q11をオンオフ制御することにより、入力電源E11のエネルギーは、リアクトルL11を介して、平滑コンデンサC12に移動する。平滑コンデンサC12の電圧は、入力電源E11の電圧に対して昇圧されている。この昇圧された電圧は、インバータ30で交流電圧に変換され、その交流電圧でモータ40が駆動される。
次に、降圧動作について説明する。モータ40で発電された交流電力は、インバータ30で直流電力に変換され、直流電力が平滑コンデンサC12に蓄えられる。駆動装置300がハイ側のスイッチング素子Q12をオンオフ制御することにより、平滑コンデンサC12に蓄えられたエネルギーが、リアクトルL11を介して入力電源E11に移動する。入力電源E11の電圧は、平滑コンデンサC12の電圧に対して降圧されている。
駆動装置300,300は、スイッチング素子Q11,Q12のゲートに駆動信号を供給する。スイッチング素子Q11,Q12は、例えばPWM制御によって、ターンオン及びターンオフされる。
図3は、図2に示すスイッチング素子Q11,Q12を制御する駆動装置300の構成例を示す図である。図3では、駆動装置300は、図2のスイッチング素子Q11を制御する。
駆動装置300と信号生成装置500とは、同一の基板に実装されてもよいし、別々の基板に実装されてもよい。
駆動装置300は、電源E1、共振回路部310及びクランプ部320を有する。共振回路部310は、コイルL1及び回収部を有する。回収部は、スイッチSW1(第1スイッチの一例)、スイッチSW2(第3スイッチの一例)、ダイオードD1、及びダイオードD2を含む。クランプ部320は、スイッチSW3(第2スイッチの一例)、スイッチSW4(第4スイッチの一例)、ダイオードD3、ダイオードD4、抵抗R1、及び抵抗R2を含む。
電源E1の正極には、第1電位線W1が接続されている。第1電位線W1は、第1電位Vccを与える。電源E1の負極には、第2電位線W2が接続されている。第2電位線W2は、第2電位Vssを与える。第1電位Vccは、第2電位Vssよりも高い。
共振回路部310のコイルL1の入力側端子Lt1(第1端子の一例)は、スイッチSW1を介して第1電位線W1と接続されている。コイルL1の入力側端子Lt1は、スイッチSW2を介して第2電位線W2と接続されている。
コイルL1の出力側端子Lt2(第2端子の一例)は、スイッチング素子Q11のゲート(制御端子の一例)に接続されている。スイッチング素子Q11のソースは、第2電位線W2により電源E1の負極に接続されている。したがって、第2電位Vssと、スイッチング素子Q11のソースの電位とは共通する。このような接続により、コイルL1と、スイッチング素子Q11のゲート−ソース間の容量Cissとは、LC直列共振回路を構成する。
本開示において、第1電位線W1は、第1電位Vccを有する電流経路であればよく、配線でなくてもよい。同様に、第2電位線W2は、第2電位Vssを有する電流経路であればよく、配線でなくてもよい。例えば、配線でない電流経路は、回路素子の端子同士を接続することによって形成される電流経路であってもよい。
電源E1は、スイッチング素子Q11のゲートに第1電位Vccまたは第2電位Vssを印加する。例えば、電源E1は、スイッチング素子Q11がオン状態のとき、スイッチング素子Q11のゲート電位を第1電位Vccと同電位に固定する。また、電源E1は、スイッチング素子Q11がオフ状態のとき、スイッチング素子Q11のゲート電位を第2電位Vssと同電位に固定する。換言すると、電源E1は、スイッチング素子Q11のスイッチングが完了した後の安定した状態において、スイッチング素子Q11のゲート−ソース間に、固定電圧を印加する。
図3に示される例では、第2電位Vssとスイッチング素子Q11のソースとが同電位である。そのため、スイッチング素子Q11のゲート電位が第1電位Vccに固定されるとき、スイッチング素子Q11のソースを基準とするゲートの電圧(Vgs11)は、Vcc−Vss、すなわち電源E1の電圧と等しい。スイッチング素子Q11のゲート電位が第2電位Vssに固定されるとき、スイッチング素子Q11のソースを基準とするゲートの電圧(Vgs11)は、0Vである。
なお、本開示において、「AとBが同じ電位である」、「Aの電位がBの電位に到達する」とは、Aの電位とBの電位との間に、例えば配線抵抗、トランジスタのオン抵抗、及び電気回路素子の寄生抵抗に由来する微小な電位差が生じる場合をも含む。なお、電源E1は、駆動装置300の外部に配置されてもよい。
スイッチSW1は、第1電位線W1とコイルL1の入力側端子Lt1との間に設けられる。スイッチSW2は、第2電位線W2とコイルL1の入力側端子Lt1との間に設けられる。図3の例では、スイッチSW1は、Pチャネル型MOSFETであり、スイッチSW2は、Nチャネル型MOSFETである。Pチャネル型MOSFETには、ドレインからソースに向かう方向を順方向とする寄生ダイオードが形成される。Nチャネル型MOSFETには、ソースからドレインに向かう方向を順方向とする寄生ダイオードが形成される。なお、スイッチSW1,SW2は、例えば、バイポーラトランジスタ、リレー等の他のスイッチング素子であってもよい。
ダイオードD1は、第1電位線W1とコイルL1の入力側端子Lt1との間に逆方向に設けられる。逆方向とは、第1電位Vcc側から第2電位Vss側に向かって電流が流れている状態で、電位が高い側にカソードが接続され、電位が低い側にアノードが接続される方向である。すなわち、ダイオードD1は、第1電位VccとコイルL1の入力側端子Lt1との間に逆バイアスで接続される。
ダイオードD2は、第2電位線W2とコイルL1の入力側端子Lt1との間に逆方向に設けられる。すなわち、ダイオードD2は、第2電位VssとコイルL1の入力側端子Lt1との間に逆バイアスで接続される。ダイオードD1のカソードは、第1電位線W1に接続されている。ダイオードD2のアノードは、第2電位線W2に接続されている。ダイオードD1及びダイオードD2は、例えば、ショットキーバリアダイオードであってもよい。
スイッチSW3及び抵抗R1の直列回路は、第1電位線W1とコイルL1の出力側端子Lt2との間に設けられる。スイッチSW4及び抵抗R2の直列回路は、第2電位線W2とコイルL1の出力側端子Lt2との間に設けられる。図1の例では、スイッチSW3は、Pチャネル型MOSFETであり、スイッチSW4は、Nチャネル型MOSFETである。
ダイオードD3は、第1電位線W1とコイルL1の出力側端子Lt2との間に逆方向に設けられる。すなわち、ダイオードD3は、第1電位VccとコイルL1の出力側端子Lt2との間に逆バイアスで接続される。ダイオードD4は、第2電位線W2とコイルL1の出力側端子Lt2との間に逆方向に設けられる。すなわち、ダイオードD4は、第2電位VssとコイルL1の出力側端子Lt2との間に逆バイアスで接続される。ダイオードD3及びダイオードD4は、例えば、ショットキーバリアダイオードであってもよい。
駆動装置300は、コイルL1、4つのスイッチSW1〜SW4、及び4つのダイオードD1〜D4を含むブリッジ回路を有する。スイッチSW3及びダイオードD3は並列接続される。スイッチSW3がオン状態のとき、スイッチング素子Q11のゲート電位が第1電位Vccより高くなると、ダイオードD3を介してスイッチング素子Q11のゲートから電流が引き抜かれる。スイッチング素子Q11のゲート電位が第1電位Vccより低くなると、スイッチSW3を介してスイッチング素子Q11のゲートに電流が供給される。このように、スイッチSW3がオン状態のとき、スイッチング素子Q11のゲート電位は第1電位Vccにクランプされる。
スイッチSW4及びダイオードD4は並列接続される。スイッチSW4がオン状態のとき、スイッチング素子Q11のゲート電位が第2電位Vssより高くなると、スイッチSW4を介してスイッチング素子Q11のゲートから電流が引き抜かれる。スイッチング素子Q11のゲート電位が第2電位Vssより低くなると、ダイオードD4を介してスイッチング素子Q11のゲートに電流が供給される。このように、スイッチSW4がオン状態のとき、スイッチング素子Q11のゲート電位は第2電位Vssにクランプされる。
信号生成装置500は、スイッチSW1、スイッチSW2、スイッチSW3、及びスイッチSW4を制御する。具体的には、信号生成装置500は、各スイッチSW1〜SW4の制御端子(図1ではゲート)に第1〜第4出力パルス信号を入力して、各スイッチSW1〜SW4をターンオン及びターンオフする。これにより、ゲート−ソース間電圧Vgs11が上昇し、ゲート電流Ig11が発生してスイッチング素子Q11のゲートに供給される。
スイッチング素子Q11をターンオンする際には、まず、信号生成装置500は、スイッチSW1をターンオンする。その結果、第1電位Vccを与える第1電位線W1から供給される電流により、スイッチング素子Q11のゲート(制御端子)とソース(基準端子)との間の容量Cissが充電され始め、コイルL1にエネルギーが蓄積される。その後、信号生成装置500は、スイッチSW1をターンオフする。すると、コイルL1、スイッチング素子Q11の容量Ciss及びダイオードD2により閉ループが形成される。そして、コイルL1に蓄積されたエネルギーによって、スイッチング素子Q11の容量Cissがさらに充電される。
一方、スイッチング素子Q11をターンオフする際には、信号生成装置500は、まず、スイッチSW2をターンオンする。その結果、スイッチング素子Q11の容量Cissが放電され始め、放電されたエネルギーがコイルL1に蓄積される。その後、信号生成装置500は、スイッチSW2をターンオフする。すると、コイルL1とスイッチング素子Q11の容量Cissに残っているエネルギーが、ダイオードD1を介して電源E1に回生される。
図2に示されるような、スイッチング素子Q11,Q12を駆動する駆動装置300では、スイッチング素子Q11,Q12におけるスイッチング損失を低減することが望まれている。スイッチング素子Q11,Q12としては、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)又は絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等の電圧制御型のスイッチング素子が用いられる。
スイッチング素子Q11,Q12は、制御端子と、第一導通端子と、第二導通端子とを備える。例えば、スイッチング素子Q11,Q12がMOSFETである場合、制御端子はゲートであり、第一導通端子及び第二導通端子の一方はソースであり、他方はドレインである。例えば、スイッチング素子Q11,Q12がIGBTである場合、制御端子はゲートであり、第一導通端子及び第二導通端子の一方はコレクタであり、他方はエミッタである。
また、第一導通端子及び第二導通端子の一方は、制御端子の電圧の基準となる基準端子となる。電圧制御型のスイッチング素子は、制御端子と基準端子との間に等価的に形成される容量を有する。
以下では、スイッチング素子Q11,Q12がMOSFETであり、制御端子はゲートであり、第一導通端子がソースであり、第二導通端子がドレインであり、ソースが基準端子であり、ゲートとソースとの間に容量Cissを有する例について説明する。但し、上述のように、スイッチング素子Q11,Q12としてIGBTを用いることもできる。
次に、図3に示す駆動装置300が図2に示すDC−DCコンバータ400を制御する際の動作について説明する。
図4は、スイッチング素子Q11をターンオンさせる際の駆動装置300のシミュレーション結果を概略的に示すタイミングチャートである。図4において、セクション(a)は、DC−DCコンバータ400のタイミングチャートであり、縦軸は電圧、電流、及び電力を示し、横軸は時間を示している。セクション(b)は、駆動装置300のタイミングチャートであり、縦軸は電圧及び電流を示し、横軸は時間を示している。なお、図4では、充電時間TAは65nsに設定されている。
時刻tm1から時刻tm2までの充電時間TAにおいて、スイッチSW1がオンされている。これにより、第1電位線W1からスイッチング素子Q11のゲートにゲート電流Ig11が供給され、スイッチング素子Q11のゲート−ソース間の電圧Vgs11が徐々に増大し、容量Cissが充電される。また、これにより、スイッチング素子Q11のドレイン−ソース間の電流Ids11が上昇し始め、且つ、スイッチング素子Q11のドレイン−ソース間の電圧Vds11が低下し始める。
時刻tm3では、電圧Vgs11が閾値を超えている。これにより、スイッチング素子Q12のドレイン−ソース間の電圧Vds12(図2)が上昇し始める。
時刻tm4では、電圧Vds11は完全に立ち下がり、電圧Vds12は完全に立ち上がり、電流Ids11は完全に立ち上がっている。
時刻tm4以降の電圧Vds12の波形は本来的には平坦に推移するべきであるが、セクション(a)に示すように、電圧Vdsの波形にはうねりが発生している。この波形のうねりがリンギングであり、その大きさを示すリンギング電圧Vds(H).maxは、電圧Vds12のピーク値で規定される。
Eon11は、スイッチング素子Q11のスイッチング損失を示し、時刻tm3の少し手前で上昇し始め、時刻tm3でピークに到達し、時刻tm4には立ち下がっている。
時刻tm5では、スイッチSW3がターンオンされている。これにより、スイッチング素子Q11の電圧Vgsが第1電位Vccでクランプされる。
図5は、図4よりも充電時間TAを長く設定した場合において、スイッチング素子Q11をターンオンさせる際の駆動装置300のシミュレーション結果を概略的に示すタイミングチャートである。図5のセクション(a)は、DC−DCコンバータ400のタイミングチャートであり、縦軸は電圧、電流、及び電力を示し、横軸は時間を示している。セクション(b)は、駆動装置300のタイミングチャートであり、縦軸は電圧及び電流を示し、横軸は時間を示している。なお、図4では、充電時間TAは80nsに設定されている。
図5のタイミングチャートにおける制御の概要は図4と同じあるが、図5では、充電時間TAが図4よりも長く設定されており、SW速度が速くなっている。そのため、図5では、スイッチング損失Eon11の波形の幅が狭くなっており、スイッチング損失Eon11が減少している。また、図5では、SW速度の増大に伴い、図4に比べて、リンギング電圧Vds(H).maxが若干高くなっている。また、図5では、SW速度の増大に伴い、図4に比べて、電圧Vds12,Vds11のの電圧変化率が高くなっている。
図2に参照を戻し、DC−DCコンバータ400とインバータ30との負側の接続ラインW11及び正側の接続ラインW12には、それぞれ、寄生インダクタンスLp1,Lp2が発生する。また、スイッチング素子Q11,Q12のドレイン−ソース間には、それぞれ、寄生キャパシタンスCp1,Cp2が発生する。
スイッチング素子Q11,Q12のSW速度を高め、スイッチング素子Q11,Q12のドレイン−ソース間の電圧の応答速度を高くすれば、スイッチング損失を低減させることができる。
しかしながら、スイッチング素子Q11,Q12のSW速度を速くすると、以下のような問題が生じる。例えば、スイッチング素子Q11をターンオンさせる場合を考える。この場合には、スイッチング素子Q11がオンで、スイッチング素子Q12がオフになっている。したがって、スイッチング素子Q11、寄生インダクタンスLp1、インバータ30、寄生インダクタンスLp2、寄生キャパシタンスCp2の共振ループが形成される。
これにより、オフになっているスイッチング素子Q12の寄生キャパシタンスCp2の両端にリンギング電圧Vds(H).max(Vds12のピーク電圧)が発生する。リンギング電圧Vds(H).maxが大きくなると、スイッチング素子Q11,Q12の耐圧を増大させる必要が生じ、スイッチング素子Q11,Q12の大型化及びコスト上昇を招く。
また、本開示はアイソレータISを備えているため、スイッチング素子Q11,Q12のドレイン−ソース間の電圧変化率は、アイソレータISの同相除去電圧が規定する電圧変化率以下にする必要がある。
したがって、リンギング電圧を所定値以下にするという条件、ドレイン−ソース間の電圧変化率をアイソレータISの同相除去電圧が規定する電圧変化率以下にするという条件及びスイッチング損失を所定損失以下にするという条件を全て満足するSW速度のうち、最速のSW速度を設定することでスイッチング損失を最適化できる。
しかしながら、リンギング電圧、ドレイン−ソース間の電圧変化率、及びスイッチング損失は、スイッチング素子Q11,Q12に入出力される電流及び電圧等の負荷状態によって変化する。
そこで、本開示では、リンギング電圧の条件、電圧変化率の条件、及びスイッチング損失の条件を満足する負荷状態に応じたSW速度のうち、最速のSW速度を予め求めておき、設定テーブル(図略)に記憶させておく。そして、本開示では、負荷状態をモニタし、モニタした負荷状態に対応するSW速度を設定テーブルから読み出して、1パルス毎にSW速度を変更する制御を行う。
ここで、SW速度は充電時間TAが増大するにつれて増大するため、SW速度としては充電時間TAが採用できる。また、負荷状態としては、DC−DCコンバータ400への入力電流Iin、DC−DCコンバータ400からの出力電流Iout、或いは、DC−DCコンバータ400からの出力電圧Voutが採用できる。入力電流IinはリアクトルL11と直列に電流センサを接続することでモニタできる。また、出力電流Ioutは、接続ラインW12に電流センサを設けることでモニタできる。出力電圧Voutは、平滑コンデンサC12と並列に電圧センサを設けることでモニタできる。
例えば、負荷状態として、入力電流Iinを採用した場合、設定テーブルには、複数の入力電流Iinと、各入力電流Iinにおいて、リンギング電圧の条件、電圧変化率の条件、及びスイッチング損失の条件を全て満足するSW速度のうち、最速のSW速度を実現する充電時間TAとが対応付けて格納される。なお、設定テーブルは、図1に示す入力パルス生成部200に記憶されており、負荷状態に応じてSW速度を変更する制御は、入力パルス生成部200で行われる。
図1に参照を戻し、本開示ではアイソレータISが設けられているため、第1、第2入力パルス信号はアイソレータISが規定する最小パルス幅以上のパルス幅にしなければならない。
したがって、スイッチSW1〜SW4に印加する出力パルス信号のパルス幅をアイソレータISが規定する最小パルス幅以下にすることはできない。そのため、上述のように、負荷状態に応じて充電時間TAを変動させる制御を採用した場合、充電時間TAをアイソレータISが規定する最小パルス幅以下にすることができなくなってしまう。これでは、充電時間TAの調整の自由度が低下し、負荷状態に応じて最適な充電時間TAを設定できなくなる虞がある。
そこで、本開示の駆動システム100では、出力パルス信号のパルス幅をアイソレータISが規定する最小パルス幅以下にするために、信号生成装置500が設けられている。
(信号生成装置500の構成)
以下、信号生成装置500の詳細について説明する。図6は、信号生成装置500の構成例を示す図である。
また、図6では、図2に示すスイッチング素子Q11に対応する駆動装置300の信号生成装置500が示されている。したがって、図6の信号生成装置500は、図3に示す駆動装置300のスイッチSW1〜SW4をオンオフ制御するための第1〜第4出力パルス信号を生成する。
以下の説明では、第1入力パルス信号を入力パルス信号INA、第2入力パルス信号を入力パルス信号INBとして説明する。また、スイッチSW1に出力される第1出力パルス信号を出力パルス信号SH、スイッチSW3に出力される第3出力パルス信号を出力パルス信号MH、スイッチSW2に出力される第2出力パルス信号を出力パルス信号SL、及びスイッチSW4に出力される第4出力パルス信号を出力パルス信号MLとして説明する。
信号生成装置500は、入力パルス信号INA,INBが入力されるアイソレータIS1,IS2と、出力パルス生成部510とを備える。
出力パルス生成部510は、アイソレータIS1,IS2から出力された入力パルス信号INA,INBのうち、一方の入力パルス信号のレベルと他方の入力パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりタイミングとの組み合わせから8つのタイミングを検知する。そして、出力パルス生成部510は、検知した8つのタイミングの中から、2つずつタイミングを選択して、出力パルス信号SH,MH,SL,MLのトグルタイミングに割り当て、出力パルス信号SH,MH,SL,MLを生成する。
出力パルス生成部510は、入力パルス信号INA,INBに対応する2個の微分器(DIV)521,522と、微分器521の出力側に設けられた論理回路530と、論理回路530の出力側に設けられ、出力パルス信号SH,MH,SL,MLに対応する4つのフリップフロップ541,542,543,544と、発振器550とを備える。以下、アイソレータIS1,IS2を区別しない場合は、アイソレータISと表し、微分器521,522を区別しない場合は微分器520と表し、フリップフロップ541〜544を区別しない場合は、フリップフロップ540と表す。
アイソレータISは、例えば、フォトカプラで構成され、入力パルス生成部200と駆動装置300及びDC−DCコンバータ400とを電気的に絶縁させ、且つ、入力パルス信号INA,INBの信号成分のみを取り出す。これにより、入力パルス信号INA,INBの電圧レベルがDC−DCコンバータの電圧レベルに合わせられる。
アイソレータIS1は、入力パルス信号INAを微分器521に出力し、且つ、論理回路530に出力する。アイソレータIS2は、入力パルス信号INBを微分器522に出力し、且つ、論理回路530に出力する。
微分器521,522は、入力パルス信号INA,INBの立ち上がり又は立ち下がりタイミングを示すエッジを検知する。
具体的には、微分器521は、入力パルス信号INAの立ち上がりを示すエッジを検知し、エッジパルス(以下、「PED_A」と記述する。)を論理回路530に出力し、且つ、入力パルス信号INAの立ち下がりを示すエッジを検知し、エッジパルス(以下、「NED_A」と記述する。)を論理回路530に出力する。微分器522も微分器521と同様、入力パルス信号INBの立ち上がりを示すエッジパルス(以下、「PED_B」と記述する。)及び入力パルス信号INBの立ち下がりを示すエッジパルス(以下、「NED_B」と記述する。)を論理回路530に出力する。
論理回路530は、入力パルス信号INA,INBのうち一方の入力パルス信号のレベルと他方の入力パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりタイミングとに基づいて、出力パルス信号SH〜MLのトグルタイミングを示すトグルパルスを生成し、フリップフロップ540に出力する。
ここで、フリップフロップ541のJ,K端子に入力されるトグルパルスをSH_J,SH_Kと表し、フリップフロップ542のJ,K端子に入力されるトグルパルスをMH_J,MH_Kと表し、フリップフロップ543のJ,K端子に入力されるトグルパルスをSL_J,SL_Kと表し、フリップフロップ544のJ,K端子に入力されるトグルパルスをML_J,ML_Kと表す。
論理回路530は、出力パルス信号SHを立ち上げる場合、トグルパルスSH_J,SH_KのレベルをH,Lにし、出力パルス信号SHを立ち下げる場合、トグルパルスSH_J,SH_KのレベルをL,Hにする。
また、論理回路530は、出力パルス信号MHを立ち上げる場合、トグルパルスMH_J,MH_KのレベルをH,Lにし、出力パルス信号MHを立ち下げる場合、トグルパルスMH_J,MH_KのレベルをL,Hにする。
また、論理回路530は、出力パルス信号SLを立ち上げる場合、トグルパルスSL_J,SL_KのレベルをH,Lにし、出力パルス信号SLを立ち下げる場合、トグルパルスSL_J,SL_KのレベルをL,Hにする。
また、論理回路530は、出力パルス信号MLを立ち上げる場合、トグルパルスML_J,ML_KのレベルをH,Lにし、出力パルス信号MLを立ち下げる場合、トグルパルスML_J,ML_KのレベルをL,Hにする。
フリップフロップ541,542,543,544は、出力パルス信号SH,MH,SL,MLを出力する。
ここで、フリップフロップ540は、J,K端子のレベルがH,Lの場合においてクロックCLKが立ち下げられると、出力パルス信号を立ち上げ、J,K端子のレベルがL,Hの場合においてクロックCLKが立ち下げられると、出力パルス信号を立ち下げる。なお、フリップフロップ540はクロックCLKの立ち下がりではなく立ち上がりに同期して、出力パルス信号の立ち上げ及び立ち下げを行ってもよい。
発振器550は、フリップフロップ540に対してクロックCLKを出力する。ここで、クロックCLKの周期は、PED_A〜PED_Bのパルス幅よりも大幅に小さいものとする。
図7は、出力パルス生成部510の処理を示すタイミングチャートである。図7において、セクション(a)は、入力パルス信号INA,INBの波形を示し、セクション(b)はPED_A〜NED_Bの波形を示し、セクション(c)は論理回路530が出力する出力パルス信号SHのトグルタイミングを定めるトグルパルスSH_J,SH_Kを示し、セクション(d)は出力パルス信号SHの波形を示す。
図7に示すいずれの波形も、ハイレベル(以下、「H」と記述する。)及びローレベル(以下、「L」と記述する。)の2つのレベルで変動する。
以下、PED_A〜NED_Bが生成されるとは、PED_A〜NED_BのレベルがHにされることを意味する。また、トグルパルスSH_J,SH_Kが生成されるとは、トグルパルスSH_J,SH_KのレベルがHにされることを意味する。
セクション(a)を参照して、入力パルス信号INAはパルスPS1,PS2が繰り返される周期信号であり、入力パルス信号INBはパルスPS3,PS4が繰り返される周期信号である。この例では、パルスPS3の立ち上がりタイミング(時刻t1)は、パルスPS1の立ち上がりタイミング(時刻t2)よりも速く、パルスPS3の立ち下がりタイミングは(時刻t3)、パルスPS1の立ち下がりタイミング(時刻t4)よりも速く設定されている。また、この例では、パルスPS2の立ち上がりタイミング(時刻t5)は、パルスPS4の立ち上がりタイミング(時刻t6)よりも速く、パルスPS2の立ち下がりタイミングは(時刻t7)、パルスPS4の立ち下がりタイミング(時刻t8)よりも速く設定されている。また、この例では、パルスPS1〜PS4のパルス幅は同じ値に設定されている。
セクション(b)を参照し、時刻t1では、微分器522は、入力パルス信号INBの立ち上がりを検知し、PED_Bを論理回路530に出力する。
時刻t2では、微分器521は、入力パルス信号INAの立ち上がりを検知し、PED_Aを論理回路530に出力する。
時刻t3では、微分器522は、入力パルス信号INBの立ち下がりを検知し、NED_Bを論理回路530に出力する。
時刻t4では、微分器521は、入力パルス信号INAの立ち下がりを検知し、NED_Aを論理回路530に出力する。
以後、時刻t5〜t8に示すように、入力パルス信号INA,INBの立ち上がりに応じてPED_A,PED_Bが論理回路530に出力され、入力パルス信号INA,INBの立ち下がりに応じてNED_A,NED_Bが論理回路530に出力される。
セクション(c)を参照して、時刻t2では、論理回路530は、PED_A=H、INB=Hであり、両信号の論理積がHなので、トグルパルスSH_JのレベルをHにし、フリップフロップ541のJ端子に入力する。このとき、NED_B=Lなので、フリップフロップ541のK端子にはレベルがLのトグルパルスSH_Kが入力されている。この状態で、発振器550からのクロックCLKが立ち下げられると、フリップフロップ541は、J端子のレベルがH、K端子のレベルがLなので、出力パルス信号SHを立ち上げる。
時刻t3では、論理回路530は、NED_B=H、INA=Hであり、両信号の論理積がHなので、トグルパルスSH_KのレベルをHにし、フリップフロップ541のK端子に入力する。このとき、PED_A=Lなので、フリップフロップ541のJ端子にはレベルがLのトグルパルスSH_Jが入力されている。この状態で、発振器550からクロックCLKが立ち下げられると、フリップフロップ541は、J端子のレベルがL、K端子のレベルがHなので、出力パルス信号SHを立ち下げる。
これにより、時刻t2で立ち上がり、時刻t3で立ち下がるパルス幅を持つ出力パルス信号SHが生成される(セクション(d))。
ここで、出力パルス信号SHは、入力パルス信号INAが立ち上がるタイミング(時刻t2)で立ち上がり、入力パルス信号INBが立ち下がるタイミング(時刻t3)で立ち下がっている。そのため、出力パルス信号SHのパルス幅SH_Wは、INA,INBのパルス幅INA_W,INB_Wよりも短くできる。これにより、アイソレータISが規定する最小パルス幅以下のパルス幅を持つ出力パルス信号SHを生成できる。
このように、本開示では、入力パルス信号INA,INBの位相がずれているため、入力パルス信号INA,INBの立ち上がり又は立ち下がりタイミングは4通りになる。また、入力パルス信号INA,INBはH,Lの2つのレベルを持つ。よって、一方の入力パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミング(4通り)に対して、他方の入力パルス信号のレベル(2通り)を組み合わせることで、4×2=8通りのトグルタイミングを検知できる。
そして、8通りのトグルタイミングのうち、任意の2つのトグルタイミングを組み合わせることで、最大、8×7=56通りの出力パルス信号を生成できる。
そこで、本開示では、56通りの出力パルス信号のうち所望する4つの出力パルス信号を予め選んでおく。そして、一方の入力パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミングと、他方の入力パルス信号のレベルとから予め選んでおいた4つの出力パルス信号が得られるようなロジックを予め組んでおき、論理回路530に実装させる。これにより、所望のパルス幅を持つ出力パルス信号が得られる。
また、本開示は、クロックCLKの立ち下がりタイミングで、出力パルス信号のレベルが反転されている。そのため、例えば、図7のセクション(a)において、入力パルス信号INAの立ち上がりタイミングと入力パルス信号INBの立ち下がりタイミングとのずれを、クロックCLKの周期と同等に設定し、且つ、クロックCLKのデューティー比を50%とすれば、出力パルス信号の最小パルス幅をクロックCLKの周期と同等までに設定できる。よって、本開示は、特許文献1に比べて出力パルス信号の最小パルス幅を大幅に短くできる。
更に、本開示は、一方の入力パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミングと他方の入力パルス信号のレベルとの組み合わせで出力パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミングが決定されている。そのため、一方の入力パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミングで、複数の出力パルス信号が立ち上がる又は立ち下がる事態を防止できる。
(充電方式)
次に、出力パルス生成部510が出力パルス信号SH〜MLを生成する処理の具体例について説明する。図8は、駆動装置300が充電方式でスイッチング素子Q11を制御する態様を採用した場合において、出力パルス生成部510が入力パルス信号INA,INBから出力パルス信号SH〜MLを生成する処理を示すタイミングチャートである。充電方式は、充電時間TAを調整してSW速度を調整する方式である。
図8の例では、入力パルス信号INAはパルスPS81,PS82が繰り返される周期信号であり、入力パルス信号INBはパルスPS83,PS84が繰り返される周期信号である。この例では、パルスPS83の立ち上がりタイミング(時刻t1)は、パルスPS81の立ち上がりタイミング(時刻t2)よりも速く、パルスPS83の立ち下がりタイミング(時刻t3)は、パルスPS81の立ち下がりタイミング(時刻t4)よりも速く設定されている。また、この例では、パルスPS82の立ち上がりタイミング(時刻t5)は、パルスPS84の立ち上がりタイミング(時刻t6)よりも速く、パルスPS82の立ち下がりタイミング(時刻t7)は、パルスPS84の立ち下がりタイミング(時刻t8)よりも速く設定されている。
(出力パルス信号SHの生成)
論理回路530は、入力パルス信号INBのレベルがHの場合に入力パルス信号INAが立ち上がったタイミングを検知すると(時刻t2)、このタイミングを出力パルス信号SHの立ち上がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスSH_J,SH_KのレベルをH,Lにする。これにより、出力パルス信号SHが立ち上がる。
また、論理回路530は、入力パルス信号INAのレベルがHの場合に入力パルス信号INBが立ち下がったタイミングを検知すると(時刻t3)、このタイミングを出力パルス信号SHの立ち下がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスSH_J,SH_KのレベルをL,Hにする。これにより、出力パルス信号SHが立ち下がる。
(出力パルス信号MHの生成)
論理回路530は、入力パルス信号INBのレベルがLの場合に入力パルス信号INAが立ち下がったタイミングを検知すると(時刻t4)、このタイミングを出力パルス信号MHの立ち上がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスMH_J,MH_KのレベルをH,Lにする。これにより、出力パルス信号MHが立ち上がる。
また、論理回路530は、入力パルス信号INBのレベルがLの場合に入力パルス信号INAが立ち上がったタイミングを検知すると(時刻t5)、このタイミングを出力パルス信号MHの立ち下がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスMH_J,MH_KのレベルをL,Hにする。これにより、出力パルス信号MHが立ち下がる。
(出力パルス信号SLの生成)
論理回路530は、入力パルス信号INAのレベルがHの場合に入力パルス信号INBが立ち上がったタイミングを検知すると(時刻t6)、このタイミングを出力パルス信号SLの立ち上がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスSL_J,SL_KのレベルをH,Lにする。これにより、出力パルス信号SLが立ち上がる。
また、論理回路530は、入力パルス信号INBのレベルがHの場合に入力パルス信号INAが立ち下がったタイミングを検知すると(時刻t7)、このタイミングを出力パルス信号SLの立ち下がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスSL_J,SL_KのレベルをL,Hにする。これにより、出力パルス信号SLが立ち下がる。
(出力パルス信号MLの生成)
論理回路530は、入力パルス信号INAのレベルがLの場合に入力パルス信号INBが立ち下がったタイミングを検知すると(時刻t8)、このタイミングを出力パルス信号MLの立ち上がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスML_J,ML_KのレベルをH,Lにする。これにより、出力パルス信号MLが立ち上がる。
また、論理回路530は、入力パルス信号INAのレベルがLの場合に入力パルス信号INBが立ち上がったタイミングを検知すると(時刻t1)、このタイミングを出力パルス信号MLの立ち下がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスML_J,ML_KのレベルをL,Hにする。これにより、出力パルス信号MLが立ち下がる。
出力パルス信号SHは、立ち上がりタイミングが、入力パルス信号INAの立ち上がりタイミングに設定されているが、立ち下がりタイミングが入力パルス信号INBの立ち下がりタイミングに設定されている。
同様に、出力パルス信号SLは、立ち上がりタイミングが、入力パルス信号INBの立ち上がりタイミングに設定されているが、立ち下がりタイミングが入力パルス信号INAの立ち下がりタイミングに設定されている。
そのため、出力パルス信号SH,SLのパルス幅を入力パルス信号INA,INBのパルス幅以下にすることができる。これにより、アイソレータISが規定する最小パルス幅以下のパルス幅で充電時間TAを設定できる。
次に、図3を適宜参照しつつ、図8のタイミングチャートを用いて充電方式を採用した場合の駆動装置300の動作を簡単に説明する。初期状態で、スイッチング素子Q11はオフされている。時刻t1では、出力パルス信号MLが立ち下げられ、スイッチSW4がオフされ、スイッチング素子Q11のゲートを第2電位VSSでクランプする処理が終了される。
時刻t2では、スイッチング素子Q11をオンするために、出力パルス信号SHが立ち上げられ、スイッチSW1がオンされ、ゲート−ソース間の容量Cissへの充電が開始される。
時刻t3では、出力パルス信号SHが立ち下げられ、スイッチSW1がオフされ、容量Cissへの充電が終了される。時刻t2から時刻t3までの充電時間TAが調整されることで、SW速度が調整される。
時刻t4では、出力パルス信号MHが立ち上げられ、スイッチSW3がオンされ、スイッチング素子Q11のゲートを第1電位Vccでクランプする処理が開始される。
時刻t5では、出力パルス信号MHが立ち下げられ、スイッチSW3がオフされ、スイッチング素子Q11のゲートを第1電位Vccでクランプする処理が終了される。
時刻t6では、スイッチング素子Q11をオフするために、出力パルス信号SLが立ち上げられ、スイッチSW2がオンされ、容量Cissの放電が開始される。
時刻t7では、出力パルス信号SLが立ち下げられ、スイッチSW2がオフされ、容量Cissの放電が終了される。ここで、時刻t6〜t7の期間が放電時間である。放電時間では、スイッチSW2がオンされ、容量Cissから電荷が引き抜かれる。
時刻t8では、出力パルス信号MLが立ち上げられ、スイッチング素子Q11のゲートを第2電位Vssでクランプする処理が開始される。
以上の動作が繰り返され、スイッチング素子Q11はオンオフ制御される。充電方式では、充電時間TA、放電時間を調整して、SW速度を調整できる。
なお、図9では、所望の充電時間TA及び放電時間が得られるように、入力パルス信号INA,INBの位相差及びパルス幅が予め定められている。
駆動装置300は充電方式以外の他の方式を用いてスイッチング素子Q11のSW速度を調整してもよい。他の方式としては、クランプ前倒し方式、プリチャージ方式がある。
(クランプ前倒し方式)
クランプ前倒し方式は、スイッチング素子Q11をターンオンさせる際に、スイッチSW1がオフする前にスイッチSW3をオンさせる方式である。そして、クランプ前倒し方式はスイッチSW1,SW3がオンしている前倒し時間を調整することで、SW速度を調整する。
図9の例では、入力パルス信号INAはパルスPS91,PS92が繰り返される周期信号であり、入力パルス信号INBはパルスPS93,PS94が繰り返される周期信号である。この例では、パルスPS93の立ち上がり及び立ち下がりタイミング(時刻t1,t2)は、パルスPS91の立ち上がりタイミング(時刻t3)よりも速く設定されている。また、パルスPS91の立ち下がりタイミング(時刻t5)は、パルスPS94の立ち上がりタイミング(時刻t4)よりも遅く設定されている。また、この例では、パルスPS92の立ち上がりタイミング(時刻t6)は、パルスPS94の立ち下がりタイミング(時刻t7)よりも速く設定されている。
図9は、駆動装置300がクランプ前倒し方式でスイッチング素子Q11を制御する態様を採用した場合において、出力パルス生成部510が入力パルス信号INA,INBから出力パルス信号SH〜MLを生成する処理を示すタイミングチャートである。
(出力パルス信号SHの生成)
論理回路530は、入力パルス信号INAのレベルがLの場合に入力パルス信号INBが立ち下がったタイミングを検知すると(時刻t2)、このタイミングを出力パルス信号SHの立ち上がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスSH_J,SH_KのレベルをH,Lにする。これにより、出力パルス信号SHが立ち上がる。
また、論理回路530は、入力パルス信号INAのレベルがHの場合に入力パルス信号INBが立ち上がったタイミングを検知すると(時刻t4)、このタイミングを出力パルス信号SHの立ち下がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスSH_J,SH_KのレベルをL,Hにする。これにより、出力パルス信号SHが立ち下がる。
(出力パルス信号MHの生成)
論理回路530は、入力パルス信号INBのレベルがLの場合に入力パルス信号INAが立ち上がったタイミングを検知すると(時刻t3)、このタイミングを出力パルス信号MHの立ち上がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスMH_J,MH_KのレベルをH,Lにする。これにより、出力パルス信号MHが立ち上がる。
また、論理回路530は、入力パルス信号INBのレベルがHの場合に入力パルス信号INAが立ち下がったタイミングを検知すると(時刻t5)、このタイミングを出力パルス信号MHの立ち下がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスMH_J,MH_KのレベルをL,Hにする。これにより、出力パルス信号MHが立ち下がる。
(出力パルス信号SLの生成)
論理回路530は、入力パルス信号INBのレベルがHの場合に入力パルス信号INAが立ち上がったタイミングを検知すると(時刻t6)、このタイミングを出力パルス信号SLの立ち上がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスSL_J,SL_KのレベルをH,Lにする。これにより、出力パルス信号SLが立ち上がる。
また、論理回路530は、入力パルス信号INBのレベルがLの場合に入力パルス信号INAが立ち下がったタイミングを検知すると(時刻t8)、このタイミングを出力パルス信号SLの立ち下がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスSL_J,SL_KのレベルをL,Hにする。これにより、出力パルス信号SLが立ち下がる。
(出力パルス信号MLの生成)
論理回路530は、入力パルス信号INAのレベルがHの場合に入力パルス信号INBが立ち下がったタイミングを検知すると(時刻t7)、このタイミングを出力パルス信号MLの立ち上がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスML_J,ML_KのレベルをH,Lにする。これにより、出力パルス信号MLが立ち上がる。
また、論理回路530は、入力パルス信号INAのレベルがLの場合に入力パルス信号INBが立ち上がったタイミングを検知すると(時刻t1)、このタイミングを出力パルス信号MLの立ち下がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスML_J,ML_KのレベルをL,Hにする。これにより、出力パルス信号MLが立ち下がる。
図9の例では、出力パルス信号SH〜MLは、立ち上がり及び立ち下がりタイミングが、同じ入力パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミングに設定されている。
そのため、出力パルス信号SH〜MLの最小パルス幅を、入力パルス信号INA,INBの最小パルス幅より短くすることはできない。しかしながら、入力パルス信号INA,INBが特許文献1の第1の制御信号C1に相当すると考えた場合、特許文献1では、第1の制御信号C1が1順する期間が出力パルス信号(スイッチ切替信号Si)の最小パルス幅となる。一方、本開示では、入力パルス信号INA,INBの最小パルス幅をそのまま、出力パルス信号SH〜MLの最小パルス幅に設定できる。そのため、特許文献1に比べて出力パルス信号SH〜MLの最小パルス幅を短くできる。
次に、図3を適宜参照しつつ、図9のタイミングチャートを用いて、クランプ前倒し方式を採用した場合の駆動装置300の動作を簡単に説明する。図8との相違点は、図8では、出力パルス信号SHが立ち下げられた後で、出力パルス信号MHが立ち上げられているが(時刻t3〜t4)、図9では、出力パルス信号SHが立ち下げられる前に出力パルス信号MHが立ち上げられている(時刻t3〜t4)。ここで、時刻t3〜t4の期間を前倒し時間TBと記述する。
また、図8では、出力パルス信号SLが立ち下げられた後で、出力パルス信号MLが立ち上げられているが(時刻t7〜t8)、図9では、出力パルス信号SLが立ち下げられる前に出力パルス信号MLが立ち上げられている(時刻t7〜t8)。ここで、時刻t7〜t8の期間も前倒し時間に該当する。
前倒し時間TBでは、スイッチSW1,SW3がオンされているので、ゲートの容量Cissへの充電速度が速くなり、それに応じてSW速度が増大される。また、時刻t7〜t8の前倒し時間では、スイッチSW2,SW4がオンしているので、ゲートの容量Cissからの電荷の放電速度が速くなり、それに応じてSW速度が増大される。
なお、図9では、所望の前倒し時間TBが得られるように、入力パルス信号INA,INBの位相差及びパルス幅が予め定められている。
さらに図8の構成と同様にSHのみがオンとなっている期間(t2〜t3)も制御することでさらに多様にSW速度を制御することができる。
(プリチャージ方式)
プリチャージ方式は、スイッチング素子Q11をターンオンさせる際に、スイッチSW1オンした後に、スイッチSW4をオフする方式である。そして、プリチャージ方式は、スイッチSW1,SW4がオンしているプリチャージ時間を調整することで、SW速度を調整する。
図10は、駆動装置300がプリチャージ方式でスイッチング素子Q11を制御する態様を採用した場合において、出力パルス生成部510が入力パルス信号INA,INBから出力パルス信号SH〜MLを生成する処理を示すタイミングチャートである。
図10の例では、入力パルス信号INAはパルスPS101,PS102が繰り返される周期信号であり、入力パルス信号INBはパルスPS103,PS104が繰り返される周期信号である。この例では、パルスPS103の立ち上がりタイミング(時刻t1)は、パルスPS101の立ち上がりタイミング(時刻t2)よりも速く、パルスPS103の立ち下がりタイミング(時刻t3)は、パルスPS101の立ち下がりタイミング(時刻t4)よりも速く設定されている。また、この例では、パルスPS102の立ち上がりタイミング(時刻t5)は、パルスPS104の立ち上がりタイミング(時刻t6)よりも速く、パルスPS102の立ち下がりタイミング(時刻t7)は、パルスPS104の立ち下がりタイミング(時刻t8)よりも速く設定されている。
(出力パルス信号SHの生成)
論理回路530は、入力パルス信号INAのレベルがLの場合に入力パルス信号INBが立ち上がったタイミングを検知すると(時刻t1)、このタイミングを出力パルス信号SHの立ち上がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスSH_J,SH_KのレベルをH,Lにする。これにより、出力パルス信号SHが立ち上がる。
また、論理回路530は、入力パルス信号INAのレベルがHの場合に入力パルス信号INBが立ち下がったタイミングを検知すると(時刻t3)、このタイミングを出力パルス信号SHの立ち下がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスSH_J,SH_KのレベルをL,Hにする。これにより、出力パルス信号SHが立ち下がる。
(出力パルス信号MHの生成)
論理回路530は、入力パルス信号INBのレベルがLの場合に入力パルス信号INAが立ち下がったタイミングを検知すると(時刻t4)、このタイミングを出力パルス信号MHの立ち上がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスMH_J,MH_KのレベルをH,Lにする。これにより、出力パルス信号MHが立ち上がる。
また、論理回路530は、入力パルス信号INAのレベルがHの場合に入力パルス信号INBが立ち上がったタイミングを検知すると(時刻t6)、このタイミングを出力パルス信号MHの立ち下がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスMH_J,MH_KのレベルをL,Hにする。これにより、出力パルス信号MHが立ち下がる。
(出力パルス信号SLの生成)
論理回路530は、入力パルス信号INBのレベルがLの場合に入力パルス信号INAが立ち上がったタイミングを検知すると(時刻t5)、このタイミングを出力パルス信号SLの立ち上がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスSL_J,SL_KのレベルをH,Lにする。これにより、出力パルス信号SLが立ち上がる。
また、論理回路530は、入力パルス信号INBのレベルがHの場合に入力パルス信号INAが立ち下がったタイミングを検知すると(時刻t7)、このタイミングを出力パルス信号SLの立ち下がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスSL_J,SL_KのレベルをL,Hにする。これにより、出力パルス信号SLが立ち下がる。
(出力パルス信号MLの生成)
論理回路530は、入力パルス信号INAのレベルがLの場合に入力パルス信号INBが立ち下がったタイミングを検知すると(時刻t8)、このタイミングを出力パルス信号MLの立ち上がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスML_J,ML_KのレベルをH,Lにする。これにより、出力パルス信号MLが立ち上がる。
また、論理回路530は、入力パルス信号INBのレベルがHの場合に入力パルス信号INAが立ち上がったタイミングを検知すると(時刻t2)、このタイミングを出力パルス信号MLの立ち下がりタイミングとして選択する。そして、論理回路530は、トグルパルスML_J,ML_KのレベルをL,Hにする。これにより、出力パルス信号MLが立ち下がる。
図10の例では、パルス幅が短い方の出力パルス信号SH,SLは、立ち上がり及び立ち下がりタイミングが、同じ入力パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミングに設定されている。
そのため、図10では、出力パルス信号SH〜MLの最小パルス幅を、入力パルス信号INA,INBの最小パルス幅より短くにすることはできないが、図9と同じ理由により、特許文献1に比べて出力パルス信号SH〜MLの最小パルス幅を短くできる。
次に、図3を適宜参照しつつ、図10のタイミングチャートを用いて、プリチャージ方式を採用した場合の駆動装置300の動作を簡単に説明する。図8との相違点は、図8では、出力パルス信号MLが立ち下げられた後で、出力パルス信号SHが立ち上げられているが(時刻t1〜t2)、図10では、出力パルス信号SHが立ち上げられた後に出力パルス信号MLが立ち下げられている(時刻t1〜t2)。ここで、時刻t1〜t2の期間をプリチャージ時間TCと記述する。
また、図8では、出力パルス信号MHが立ち下げられた後で、出力パルス信号SLが立ち上げられているが(時刻t5〜t6)、図10では、出力パルス信号SLが立ち上げられた後に出力パルス信号MHが立ち下げられている(時刻t5〜t6)。
プリチャージ時間TCでは、スイッチSW1,SW4がオンされているので、コイルL1にエネルギーがチャージされた状態でスイッチSW1はオンすることができ、ゲートの容量Cissの充電速度が速くなり、それに応じてSW速度が増大される。
なお、図10では、所望のプリチャージ時間TCが得られるように、入力パルス信号INA,INBの位相差及びパルス幅が予め定められている。
さらに、図8、9の構成と同様にSHのみがオンとなっている期間(t2〜t3)、全てのスイッチがオフになっている期間(t3〜t4)の時間も制御することでさらに多様にSW速度を制御することができる。
次に、負荷状態に応じたスイッチング素子の最適駆動について説明する。
図11は、負荷状態に応じて最適な充電時間を求めるために行った実験結果を示すグラフである。図11の例では、負荷状態として、DC−DCコンバータ400から出力される入力電流Iin或いは出力電流Iout(以下、電流IDと記述する。)が採用されている。図11では、図2及び図3に示すDC−DCコンバータ400及び駆動装置300を用いた場合の実験結果が示されている。また、図11では、駆動装置300は充電方式で駆動させた。したがって、充電時間はスイッチSW1のオン時間を指す。
図11において左列のグラフは、充電時間を65ns,70ns,75ns,80ns,85nsのそれぞれに設定した場合における実験結果を示している。
また、図11において右列のグラフは、充電時間を65nsに設定した場合と、充電時間を最適値に設定した場合の実験結果を示している。なお、図11の右列のグラフでは、各電流IDにおいて、最適値の実験結果が三角形のマークでプロットされ、65nsの実験結果がひし形のマークでプロットされている。ここで、最適値は、スイッチング素子Q12のドレイン−ソース間のピークの電圧(Vds(H).max:リンギング電圧)を330V以下にすることができる充電時間であって、最大の充電時間が採用される。
図11において、セクション(a)は、充電時間に応じた、リンギング電圧(Vds(H).max)と電流IDとの関係を示すグラフであり、縦軸はリンギング電圧を示し、横軸は電流IDを示している。
セクション(b)は、充電時間に応じた、スイッチング損失(Eon)と電流IDとの関係を示すグラフであり、縦軸は損失を示し、横軸は電流IDを示している。
セクション(c)は、充電時間に応じた、スイッチング素子Q11のドレイン−ソース間の電圧V(L)の電圧変化率(dV(L)/dt)と電流IDとの関係を示すグラフであり、縦軸は電圧変化率を示し、横軸は電流IDを示している。
セクション(d)は、充電時間に応じた、スイッチング素子Q12のドレイン−ソース間の電圧V(H)の電圧変化率(dV(H)/dt)と電流IDとの関係を示すグラフであり、縦軸は電圧変化率を示し、横軸は電流IDを示している。
セクション(a)の左列に示すように、リンギング電圧(Vds(H).max)は、充電時間が増大するにつれて増大していることが分かる。そのため、セクション(a)の左列のグラフでは、各電流IDにおいて、電圧が低い側から順に、65ns,70ns,75ns,80ns,85nsの実験結果がひし形のマークでプロットされている。
ここでは、リンギング電圧(Vds(H).max)を330V以下にするという条件が課せられており、全電流IDにおいてリンギング電圧を330V以下にできる充電時間は65nsであった。そのため、負荷状態に応じて充電時間を変動させない構成を採用する手法(以下、「比較例の手法」と記述する。)では、充電時間として65nsが設定される。これでは、電流IDに応じて最適な充電時間を設定できない。例えば、電流IDが20Aの場合、充電時間を80nsに設定してもリンギング電圧(Vds(H).max)は330V以下になるにも拘わらず、比較例の手法では充電時間が65nsに設定されるため、最適値が設定されていない。
そこで、本実施の形態の手法(以下、「提案手法」と記述する。)では、セクション(a)の右列に示すように、各電流IDにおいて、リンギング電圧(Vds(H).max)を330V以下にできる充電時間のうち、最大の充電時間を設定する。これにより、充電時間の最適化が図られている。
セクション(b)の左列に示すように、スイッチング損失は、充電時間が減少するにつれて、増大していることが分かる。そのため、セクション(b)の左列のグラフでは、各電流IDにおいて、スイッチング損失が低い側から順に、85ns,80ns,75ns,70ns,65nsの実験結果がひし形のマークでプロットされている。
セクション(b)の右列では、セクション(a)で設定された充電時間の最適値を採用した場合の各電流IDに対するスイッチング損失が三角形のマークでプロットされている。この場合、全電流IDにおいて、提案手法の方が比較例よりもスイッチング損失が低く、電流IDが20Aにおいてはスイッチング損失が18%向上していた。
セクション(c)の左列に示すように、電圧変化率(dV(L)/dt)は、リンギング電圧(Vds(H).max)と同様、充電時間が増大するにつれて、増大していることが分かる。そのため、セクション(c)の左列のグラフでは、各電流IDにおいて、電圧変化率(dV(L)/dt)は、低い側から順に、65ns,70ns,75ns,80ns,85nsの実験結果がひし形のマークでプロットされている。
セクション(c)の右列では、セクション(a)で設定された充電時間の最適値を採用した場合の各電流IDに対する電圧変化率(dV(L)/dt)が三角形のマークでプロットされている。この場合、全電流IDにおいて、提案手法の方が比較例よりも電圧変化率(dV(L)/dt)が高くなっている。
セクション(d)の左列に示すように、電圧変化率(dV(H)/dt)は、リンギング電圧(Vds(H).max)と同様、充電時間が増大するにつれて、増大していることが分かる。そのため、セクション(d)の左列のグラフでは、各電流IDにおいて、電圧変化率(dV(H)/dt)は、低い側から順に、65ns,70ns,75ns,80ns,85nsの実験結果がひし形のマークでプロットされている。
セクション(d)の右列では、セクション(a)で設定された充電時間の最適値を採用した場合の各電流IDに対する電圧変化率(dV(H)/dt)が三角形のマークでプロットされている。この場合、全電流IDにおいて、提案手法の方が比較例よりも電圧変化率(dV(L)/dt)が高くなっている。
図12において、セクション(a)はリンギング電圧(Vds(H).max)と充電時間との関係を示したグラフであり、セクション(b)は電圧変化率(dV(L)/dt)と充電時間との関係を示したグラフであり、セクション(c)はスイッチング損失(Eon)と充電時間との関係を示したグラフであり、セクション(d)は電圧変化率(dV(H)/dt)と充電時間との関係を示したグラフである。
セクション(a)、(b)、(d)に示すように、リンギング電圧(Vds(H).max)、電圧変化率(dV(L)/dt)、及び電圧変化率(dV(H)/dt)は充電時間が増大するにつれて増大しているが、セクション(c)に示すようにスイッチング損失(Eon)は充電時間が増大するにつれて減少している。これは、リンギング電圧(Vds(H).max)、電圧変化率(dV(L)/dt)、及び電圧変化率(dV(H)/dt)はSW速度が増大するにつれて増大する特性を持つが、スイッチング損失(Eon)はSW速度が増大するにつれて減少する特性を持つからである。
本開示では、図11のセクション(b)の三角形のマークで示されるように、各電流IDに対して、リンギング電圧(Vds(H).max)を330V以下にするという条件を満足する充電時間のうち、最大の充電時間を予め求めておき、設定テーブルに記憶させておく。
この場合、入力パルス生成部200は、電流IDをモニタし、モニタした電流IDの電流値に対応する充電時間を設定テーブルから読み出す。また、入力パルス生成部200は、充電時間に応じた入力パルス信号INA,INBの波形データを予め記憶している。したがって、入力パルス生成部200は、図11のセクション(a)の右列の例では、モニタした電流IDの電流値が20Aであれば、充電時間として80nsを設定し、80nsに対応する入力パルス信号INA,INBを駆動装置300に出力する。
ここでは、リンギング電圧(Vds(H).max)を330V以下にするという条件の下、各電流IDにおける最適な充電時間を設定したが、本開示はこれに限定されない。例えば、リンギング電圧(Vds(H).max)を所定電圧以下にする、スイッチング損失を所定損失以下にする、電圧変化率(dV(L)/dt)を所定変化率以下にする、電圧変化率(dV(H)/dt)を所定変化率にするという条件のうち少なくとも1つ以上の条件を満足させることができる充電時間のうち、電流ID毎の最大の充電時間を設定テーブルに記憶させておいてもよい。
また、上記説明では、設定テーブルには各電流IDに応じて最適な充電時間が記憶されているとしたが、駆動装置300がクランプ前倒し方式を採用するのであれば、充電時間に代えて、上記の4つの条件のうち少なくとも1つ以上の条件を満足させることのできる前倒し時間(図9のTB)であって、電流ID毎の最大の前倒し時間を設定テーブルに記憶させてもよい。もしくは、電流ID毎の充電時間と前倒し時間の両方を設定テーブルに記憶させてもよい。
また、駆動装置300がプリチャージ方式を採用するのであれば、上記の4つの条件のうち少なくとも1つ以上の条件を満足させることのできるプリチャージ時間(図10のTC)であって、電流ID毎の最大のプリチャージ時間を設定テーブルに記憶させてもよい。もしくは、電流ID毎のプリチャージ時間と充電時間と前倒し時間全てを設定テーブルに記憶させてもよい。