JP2016120724A - 多層ポリエステルシート及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステル樹脂を含む基体層と、該基体層の少なくとも一方の面に設けられたポリエステル樹脂を含む被覆層とを有する多層ポリエステルシート。被覆層のポリエステル樹脂は、1,4−シクロヘキサンジメタノールとイソソルバイドを含有し、イソソルバイドの含有割合が全ジオール成分に対して10〜50モル%であるジオール成分とジカルボン酸成分とを反応させて得られるポリエステル樹脂である。
【選択図】なし
Description
本発明の多層ポリエステルシートは、特に、自動販売機周辺の広告表示用プレートやディスプレイケース、ディスプレイ缶などのディスプレイ用品、化粧品や食品などの包装用の折り曲げ加工を行った透明ケースや熱成形加工品などに好適に使用される。
その他に、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(特許文献2)や無延伸PETシートなども一部採用されているが、前者は、成形性が悪く、後者は、耐熱性が不充分であるなどの問題点があった。
本発明の多層ポリエステルシートの被覆層を構成するポリエステル樹脂は、1,4−シクロヘキサンジメタノールとイソソルバイド(以下、「ISB」と記す場合がある。)とを含有し、ISBの含有割合が10モル%以上50モル%以下であるジオール成分とジカルボン酸成分とを反応させてなるポリエステル樹脂である。即ち、ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分とを縮重合させることにより得られるものであるが、本発明に係る被覆層には、ジオール成分として、上記のように、少なくとも1,4−シクロヘキサンジメタノールとイソソルバイドとを含むジオール成分を用いて得られるISB共重合ポリエステル樹脂を使用する。
ただし、2種以上のポリエステル樹脂を用いる場合であっても、混合ポリエステル樹脂を構成する全ジオール成分中のイソソルバイドの含有割合が上記範囲となり、また、好ましくは1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有割合や混合ポリエステル樹脂の固有粘度も上記範囲となるようにする。
本発明の多層ポリエステルシートの基体層を構成するポリエステル樹脂には特に制限はなく、具体的には、テレフタル酸とエチレングリコールとを縮重合させたポリエチレンテレフタレート(PET)や、テレフタル酸の一部を他のジカルボン酸に、又は、エチレングリコールの一部を他のジオールに、変更したPET系共重合ポリエステル樹脂などが使用できる。PET系共重合ポリエステル樹脂としては、全ジカルボン酸成分の60%以上がテレフタル酸であり、残部が他のジカルボン酸で置換されたジカルボン酸成分と、全ジオール成分の60モル%以上がエチレングリコールで、残部が他のジオールで置換されたジオール成分とを重縮合させたポリエステル樹脂などが挙げられる。
ただし、2種以上のポリエステル樹脂を用いる場合であっても、混合ポリエステル樹脂を構成する全ジオール成分中の含有割合が、上記の通り、被覆層のポリエステル樹脂を構成する全ジオール成分中のイソソルバイドの含有割合より少ないことが好ましく、混合ポリエステル樹脂の固有粘度も上記範囲となるようにすることが好ましい。
被覆層及び基体層を構成するポリエステル樹脂には、酸化防止剤、安定剤、滑剤、ワックス、帯電防止剤、紫外線吸収剤、衝撃改良剤などの各種の添加剤を配合することができる。特に、シート表面に後述の表面凹凸を付与する場合において、被覆層のポリエステル樹脂に脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等の有機系の滑剤やカチオン系、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等の帯電防止剤を添加することにより、シートの滑り性や帯電防止性を高め、加工性や取り扱いを更に向上させることができる。この場合、滑剤、帯電防止剤の添加量としては、被覆層中の含有量として0.01〜2重量%程度とすることが好ましい。
この粒子については後述する。
本発明の多層ポリエステルシートは、実質的に結晶化していない状態の無延伸シートであり、例えば、押出成形で、押出機に供給してTダイより押出し、キャストロールで急冷固化することにより得られる。ここで無延伸シートとは、シートの強度を高める目的で積極的に延伸しないシートを意味し、例えば、押出成形の際に延伸ロールによって2倍未満に延伸されたものは、無延伸シートに含まれる。
(1)予め被覆層及び基体層の各層をシート成形した後、熱又は接着剤により貼り合わせる方法
(2)予めシート成形した被覆層を、基体層シートを押出機のTダイから押出した直後に熱接着する方法
(3)被覆層及び基体層の各層をそれぞれ別の押出機で溶融押出し、ニップロールで溶融接着する方法
(4)被覆層及び基体層の各層をそれぞれ別の押出機で溶融し、多層ダイを用いて、溶融積層し積層シートとして押し出す方法
本発明の多層ポリエステルシートには、滑り性を高める目的で、シートの表面の少なくとも片面に表面凹凸を付与することができる。
本発明のシートの厚さは、特に規定はしないが、例えば50〜2000μm、好ましくは150〜1000μmの範囲で用途に応じて設定することができる。
また、基体層及び被覆層の厚さについても特に制限はないが、被覆層の厚さの割合がシート全体の厚さの1〜50%、特に3〜50%の範囲にあることが、好ましい。
ここで、被覆層の厚さの割合とは、基体層の両面に被覆層が設けられている場合には、これらの被覆層の合計の厚さの割合をさす。
なお、基体層の両面に被覆層を設けた場合、各被覆層の厚さは同一であっても異なるものであってもよいが、本発明において、耐熱性に優れた被覆層の効果を十分に得るために、1層当たりの被覆層の厚さは3μm以上であることが好ましい。
前述の方法で製造された本発明の多層ポリエステルシートには、一方又は双方の表面に帯電防止剤や、シリコーン、ワックス等の滑剤などのコート剤を塗布しても差し支えなく、これらのコート剤を塗布することにより、帯電防止性や滑り性をより一層改善することができる。特に、ワックスや、シリコーンなどを塗布した場合には、シートの滑り性をさらに高めることができ、加工性や取り扱いだけでなく、成形品などを積み重ねた際のスタッキング性などの改善効果を得ることもできる。
本発明の多層ポリエステルシートは、耐熱性、印刷性、成形性、加工性等に優れることから、特に自動販売機周辺の広告表示プレートやディスプレイケース、ディスプレイ缶などのディスプレイ用品、及び、化粧品や食品などの包装用の折り曲げ加工を行った透明ケ
ース、その他、熱成型容器等に有用である。
なお、本発明の多層ポリエステルシートは、長尺シートをロール状に巻回したものであってもよく、シート化した後カット装置を通して枚葉状にカットしてもよい。
以下の実施例及び比較例で用いた樹脂、粒子等の使用原材料は以下の通りである。
a:テレフタル酸と、ジオール成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノール45モル%、イソソルバイド30モル%、及びエチレングリコール25モル%の混合物とを縮重合させて得られた共重合ポリエステル樹脂(固有粘度:0.6dL/g)
b:テレフタル酸と、ジオール成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノール45モル%、イソソルバイド25モル%、及びエチレングリコール30モル%の混合物とを縮重合させて得られた共重合ポリエステル樹脂(固有粘度:0.65dL/g)
c:テレフタル酸と、ジオール成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノール50モル%、イソソルバイド12モル%、及びエチレングリコール38モル%の混合物とを縮重合させて得られた共重合ポリエステル樹脂(固有粘度:0.7dL/g)
d:テレフタル酸とエチレングリコールとを縮重合させて得られたポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.8dL/g)
e:テレフタル酸と、ジオール成分として、エチレングリコール70モル%、及び1,4−シクロヘキサンジメタノール30モル%の混合物とを縮重合させて得られた共重合ポリエステル樹脂(固有粘度0.8dL/g)
ア:シリカ(屈折率1.46、平均粒径8μm)
イ:シリカ(屈折率1.46、平均粒径1.5μm)
ウ:シリカ(屈折率1.46、平均粒径18μm)
エ:アルミノシリケート(屈折率1.50、平均粒径8μm)
オ:スチレン架橋粒子(屈折率1.58、平均粒径8μm)
滑剤:グリセリンモノベヘネート
帯電防止剤:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
滑剤:信越化学工業社製 シリコーン離型剤「KM−9737」
帯電防止剤:アルキルトリメチルアンモニウム塩
各実施例及び比較例におけるシートの評価方法は以下の通りである。
ロール又は、平版印刷機にシートをセットし、紫外線硬化型インキを使用して印刷を行った。
なお、印刷は、カットしていない長尺状のシートの場合はロールを用い、カット板状のシートの場合は平版印刷機を用いて行った。
印刷直後に、テープ剥離試験を行い、剥離テスト面積に対するインキの剥離面積の割合を調べ、以下の基準で評価した。「○」「△」は、実用可能レベルである。
「○」…剥離テスト面積に対する、インキの剥離面積が3割未満。
「△」…剥離テスト面積に対する、インキの剥離面積が、3割以上、7割未満。
「×」…剥離テスト面積に対する、インキの剥離面積が、7割以上。
(滑り性(給紙性))
平版印刷機での印刷に当たり、滑り性を以下の基準で評価した。「◎」、「○」、「△」は、実用可能レベルである。
「◎」…滑り性が非常によく、給紙がスムーズであった。
「○」…滑り性が良く、給紙がスムーズであった。
「△」…滑り性はやや悪いが、給紙は可能である。
「×」…滑り性が悪く、スムーズな給紙ができなかった。
印刷を行ったシートを非印刷面側から目視観察し、印刷柄の透明感を以下の基準で評価した。「○」、「△」は、実用可能レベルである。
「○」…印刷柄の透明感が良好である。
「△」…印刷柄の透明感がやや悪いが、実用可能レベルである。
「×」…印刷柄の透明感が不十分である。
真空成形機を用いてシート表面を加熱して熱成形を行い、成形性と型離れ性を以下の基準で評価した。「○」、「△」は、実用可能レベルである。
成形型には、直径100mm×深さ30mmの円形のカップ状の型を用い、成形温度は、成形直前のシートの表面温度を確認することにより行った。
(成形性)
「○」…シート加熱温度130℃以下で成形可能。
「×」…成形不可能か、シート加熱温度130℃を超えないと成形できない。
(型離れ性)
「○」…成形型との型離れが良好。
「△」…成形型との型離れはやや悪いが、実用可能レベルである。
「×」…成形型との型離れが悪く、冷却時間が長くなる。
上記の熱成形性の評価でカップ状に成形した熱成形品を、90℃に保持したオーブン中に6時間放置した時の変形の有無を目視により観察し、以下の基準で評価した。「○」「△」は、実用可能レベルである。
「○」…変形無し。
「△」…軽微な変形は有るが、形状は保持している。
「×」…大きな変形が見られる。
エンボス加工又は粒子添加による凹凸付与面の最大突起高さ(Rmax)を測定した。
測定方法は、直接位相検出干渉法、いわゆる2光束干渉法を用いた非接触式3次元粗さ計(マイクロマップ社製512)で、428μm×320μmの測定領域におけるシート表面のP−V値を10点にわたり測定し、10点のP−V値を平均して、フィルムの最大突起高さ(Rmax)とした。
JISK−6911に準拠して、シートの表面固有抵抗率を測定し、その値を以下の基準で評価した。なお、表面凹凸を付与したシートでは表面凹凸付与面側を測定した。
「○」…表面固有抵抗率1×1013Ω未満
「△」…表面固有抵抗率1×1013Ω以上
表1に示す基体層および被覆層の樹脂を原料として、押出温度270℃に設定した2台の2軸ベント式押出機にて、それぞれの原料を溶融混合して、2種2層又は2種3層のTダイを用いて押出後、40℃に設定した鏡面仕上げの2本のキャストロールで挟み込んで急冷し、シート状に成形し、表1に示す基体層及び被覆層厚さの非結晶性の多層ポリエステルシートを得た。各層の厚さは、樹脂押出量によって調整し、シート断面を観察して各層の厚さを確認した。
なお、表1中、2種3層のシートの被覆層厚さは、基体層の両方の面に設けられた被覆層の合計の厚さであり、各被覆層の厚さは同一とした。
得られたシートの印刷適性、熱成形性、耐熱性を評価し、結果を表1に示した。
実施例1において、鏡面仕上げの2本のキャストロールの内、1本を凹凸のあるエンボスロールに変更する以外は同様にして、被覆層にエンボス加工された非結晶性の多層ポリエステルシートを得た。さらに、カット装置へ供給し、カット板状の多層ポリエステルシートを得た。
得られたシートの表面凹凸、印刷適性、帯電防止性を評価し、結果を表2に示した。
実施例1において、両側の被覆層のポリエステル樹脂に、表2に示す粒子を被覆層中の含有割合が表2に示す割合となるように添加した以外は、実施例1と同様にして(ただし、実施例20では、基体層の厚さを160μm、被覆層の厚さを各々20μmとし、シートの厚さを200μmとした。)非結晶性の多層ポリエステルシートを得た。さらに、カット装置へ供給し、カット板状の多層ポリエステルシートを得た。なお、粒子は、被覆層に使用するポリエステル樹脂との高濃度マスターバッチを予め作成し、このマスターバッチをポリエステル樹脂で希釈して所定の添加量とした。
得られたシートの表面凹凸、印刷適性、帯電防止性を評価し、結果を表2に示した。
被覆層のポリエステル樹脂に滑剤と、帯電防止剤を各々0.3重量%添加した以外は、実施例17と同様にして非結晶性の多層ポリエステルシートを得た。なお、添加剤は、被覆層に使用するポリエステル樹脂との高濃度マスターバッチを予め作成し、このマスターバッチをポリエステル樹脂で希釈して所定の添加量とした。
得られたシートの表面凹凸、印刷適性、帯電防止性を評価し、結果を表2に示した。
表2に示す通り、この実施例25では、実施例17に比べ、帯電防止性及び滑り性(給紙性)が向上した。
実施例17と同様にして得た非結晶性ポリエステルシートの片面に、各々表2に示すコート剤を塗布した。
得られたシートの表面凹凸、印刷適性、帯電防止性を評価し、結果を表2に示した。
表2に示す通り、実施例26は、実施例17に比べて帯電防止性が向上し、実施例27は、実施例17に比べて、滑り性(給紙性)が向上した。
以下の市販品について、各々評価を行い、結果を表1,2に示した。
比較例4:ポリカーボネートシート(厚さ400μm)
比較例5:2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシート(厚さ188μm)
また、被覆層のポリエステル樹脂のイソソルバイド含有割合が低い比較例1や被覆層のポリエステル樹脂がイソソルバイドを含まない比較例3では、耐熱性が悪く、被覆層がポリエチレンテレフタレートからなる比較例2では熱成形時の型離れ性が悪い。
Claims (3)
- ポリエステル樹脂を含む基体層と、該基体層の少なくとも一方の面に設けられたポリエステル樹脂を含む被覆層とを有する多層ポリエステルシートにおいて、
前記被覆層のポリエステル樹脂が、1,4−シクロヘキサンジメタノールとイソソルバイドを含有し、
イソソルバイドの含有割合が全ジオール成分に対して10モル%以上50モル%以下であり、
1,4−シクロヘキサンジメタノールをイソソルバイドに対して1〜5モル倍含有するジオール成分とジカルボン酸成分とを反応させて得られるポリエステル樹脂であることを特徴とする多層ポリエステルシート。 - 請求項1に記載の多層ポリエステルシートを成形してなる成形品。
- 請求項2において、広告表示用プレート、ディスプレイ用品、包装用折り曲げケース又は包装用成形品であることを特徴とする成形品。
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