JP2016190890A - 光硬化性樹脂組成物、及びその硬化物、並びに光学フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)光重合性成分、(B)下記一般式で表される光酸発生剤、(C)ラジカル重合開始剤を含有する、光硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
光硬化性樹脂は、その重合機構によりカチオン重合性樹脂とラジカル重合性樹脂に大別される。カチオン重合性光硬化性樹脂の一種である光硬化型エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂の持つ優れた接着力、高絶縁性、硬化時における低収縮性、耐薬品性の良さなどバランスのとれた特性を有するが、硬化速度が遅いという欠点を有している。一方、ラジカル重合性光硬化性樹脂の一種である光硬化型アクリレート系樹脂は光硬化速度が速いという特長を有しているが、酸素による重合阻害、顕著な硬化収縮の発生等の欠点を有している。
それらの欠点を解消するために、カチオン重合性化合物及びラジカル重合性化合物からなるハイブリッド型光硬化性樹脂の検討がなされ、保護層形成、接着剤、インクジェット用インク、光学的立体造形など多くの分野に展開されている。一方、光硬化性樹脂と共に用いられる光重合開始剤としては、高活性なアンチモン含有カチオン重合開始剤が使用される場合があるが、アンチモンは有毒な重金属であり、環境安全性の点からアンチモンを含まないカチオン重合開始剤を使用することが望まれる。
しかしながら特許文献1、2の実施例では、六フッ化リンイオンを有するカチオン重合開始剤の添加量が多く、このような光硬化膜を高温高湿度環境下に長時間おくと、カチオン重合開始剤から発生する酸に由来する析出物が膜表面にでてきて白化したり、黄変するという問題がある。一方で、析出物や着色を抑制するために、特許文献2の実施例に記載のカチオン重合開始剤UVI−6990とラジカル重合開始剤の組合せを用いて、カチオン重合開始剤の添加量を減らすと、カチオン重合性が低下し、カールが悪化するという問題が生じる。
特許文献3では、特定のカチオン重合性化合物と特定のラジカル重合性化合物混合系光硬化性組成物において、ジフェニルヨードニウム塩と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンの組合せが使用されているが、この組み合わせにおいても、後述の比較例に示したように、光硬化膜を高温高湿度環境下に長時間おくと、カチオン重合開始剤から発生する酸に由来する析出物が膜表面にでてきて白化する問題が生じる。更に、ジフェニルヨードニウム塩を含む光硬化性樹脂組成物は、組成物としての安定性が低く、経時で増粘するという欠点がある。
また、本発明の第二の目的は、薄膜の基材上に形成した、薄膜の硬化膜であっても一定の硬度を有し、且つ、積層体のカールが抑制される、光硬化性樹脂組成物、及びその硬化物、並びに当該光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む光学フィルムを提供することである。
本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
(A)下記(i)及び(ii)の少なくとも1種である光重合性成分
(i)カチオン重合性基を有する化合物、及び、ラジカル重合性基を有する化合物
(ii)カチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物
(B)下記一般式(1)又は一般式(1’)で表される光酸発生剤
(C)α−ヒドロキシアセトフェノン系ラジカル重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤、及びベンジルケタール系ラジカル重合開始剤よりなる群から選択される少なくとも1種のラジカル重合開始剤
X−は、[P(Rf)aF6−a]−であり、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、a=0〜6である。a個のRfはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
Aは、n価の化学構造であり、括弧内の構造をn個連結している。nは2以上の整数である。n個のX−、(R1)p’、(R2)q’、及び(R3)r’は各々、同一であっても異なっていても良い。
p、q、p’、及びq’は各々独立に、0〜4の整数である。
rは0〜5の整数であり、r’は0〜4の整数である。)
更に、本発明は、光透過性基材の一面側に、前記本発明に係る光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む保護層が配置された、光学フィルムも提供する。
また、本発明によれば、薄膜の基材上に形成した、薄膜の硬化膜であっても一定の硬度を有し、且つ、積層体のカールが抑制される、光硬化性樹脂組成物、及びその硬化物、並びに当該光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む光学フィルムを提供することができる。
なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
本発明に係る光硬化性樹脂組成物は、下記(A)、(B)、及び(C)を含有することを特徴とする。
(A)下記(i)及び(ii)の少なくとも1種である光重合性成分
(i)カチオン重合性基を有する化合物、及び、ラジカル重合性基を有する化合物
(ii)カチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物
(B)下記一般式(1)又は一般式(1’)で表される光酸発生剤
(C)α−ヒドロキシアセトフェノン系ラジカル重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤、及びベンジルケタール系ラジカル重合開始剤よりなる群から選択される少なくとも1種のラジカル重合開始剤
X−は、[P(Rf)aF6−a]−であり、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、a=0〜6である。a個のRfはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
Aは、n価の化学構造であり、括弧内の構造をn個連結している。nは2以上の整数である。n個のX−、(R1)p’、(R2)q’、及び(R3)r’は各々、同一であっても異なっていても良い。
p、q、p’、及びq’は各々独立に、0〜4の整数である。
rは0〜5の整数であり、r’は0〜4の整数である。)
発明者が検討の結果、当該白い析出物は、カチオン重合開始剤のリン成分(アニオン部)由来であることがわかった。カチオン重合性化合物とラジカル重合性化合物とを含有した樹脂組成物においてこのような問題が生じるのは、ラジカル重合反応が速く進行し易い中で、カチオン重合反応の進行が阻害されて密な架橋構造をとりづらくなり、カチオン重合開始剤から発生する酸由来の成分が硬化膜中に多量に存在すると、高温高湿度環境下で硬化膜表面にブリードするためと推定される。
それに対して、本発明においては、カチオン重合性化合物とラジカル重合性化合物とを含有した樹脂組成物において、カチオン重合開始剤(B)として、特定のチアントレン環構造を有する光酸発生剤と、特定のラジカル重合開始剤とを組み合わせて用いる。
特定のチアントレン環構造を有する光酸発生剤は、特定のラジカル重合開始剤と組み合わせて用いると、同様に特定のラジカル重合開始剤と組み合わせた従来のスルホニウム塩系光酸発生剤やヨードニウム塩系光酸発生剤と比べても、カチオン重合をより進行させ、光硬化性に優れることから、高温高湿環境下での硬化膜の耐久性が高くなり、高温高湿度環境下で保管した際に硬化膜表面に白い析出物が析出することを抑制できるようになる。また、本発明の特定のチアントレン環構造を有する光酸発生剤と、特定のラジカル重合開始剤との組み合わせによれば、光硬化性に優れるため、特定のチアントレン環構造を有する光酸発生剤を少量添加すればよいことから、光酸発生剤自体、又は光酸発生剤から発生する分解物や酸に由来する硬化物への悪影響を減らすことができ、例えば、硬化膜を高温高湿度条件下で保管した際の析出物の発生や、着色を抑制しやすい。
特定のチアントレン環構造を有する光酸発生剤は、従来のスルホニウム塩系光酸発生剤と比べて、前記特定のラジカル重合開始剤の光反応によって生成した電子供与性が高いラジカルによって、還元的に分解されやすく、より酸を発生させやすいことが推定される。
また、特定のチアントレン環構造を有する光酸発生剤は、従来のヨードニウム塩系光酸発生剤と比べて、長波長側のj線(313nm)の吸収が多いため、単独で用いてもカチオン重合性に優れる。そのため、従来のヨードニウム塩系光酸発生剤のように、チオキサントン系増感剤のような増感剤を併用する必要がなく、増感剤による硬化膜の着色を抑制することもできる。
以上のことから、本発明によれば、毒性の高いアンチモンを含まない組成物であって、光硬化性が良好で高温高湿環境下での耐久性が高く、黄色みが少ない硬化物が得られる。
また、本発明の光硬化性樹脂組成物を、薄膜基材への保護層形成用光硬化性組成物として利用すると、保護層形成後のカール低減と硬度を両立できる。また、薄膜基材へのコーティングにおいてはラジカル重合反応時の発熱により基材にシワがよって硬化する現象が起きやすいが、本発明の光硬化性樹脂組成物はカチオン重合が促進され、ラジカル重合の反応が適度な速度となることにより、シワの発生が抑制された硬化膜を得ることができる。
更に、本発明の光硬化性樹脂組成物は、経時で増粘し難く、貯蔵安定性にも優れる。
以下、このような本発明の光硬化性樹脂組成物の各成分について説明するが、本発明に特徴的な前記(B)成分から順に説明する。
本発明で用いられる光酸発生剤(B)は、下記一般式(1)又は一般式(1’)で表されるように、アニオン部とカチオン部で構成されるオニウム塩からなり、光照射により酸を発生する光酸発生剤である。
X−は、[P(Rf)aF6−a]−であり、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、a=0〜6である。a個のRfはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
Aは、n価の化学構造であり、括弧内の構造をn個連結している。nは2以上の整数である。n個のX−、(R1)p’、(R2)q’、及び(R3)r’は各々、同一であっても異なっていても良い。
p、q、p’、及びq’は各々独立に、0〜4の整数である。
rは0〜5の整数であり、r’は0〜4の整数である。)
一般式(1’)は、例えば、下記のような構造を有する化合物が挙げられる。
前記炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の直鎖、分岐若しくは環状の脂肪族炭化水素基、及び、炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、並びに、これらの組み合わせが挙げられる。
また化学構造Aに含まれる炭化水素基は更に置換基を有していても良く、当該置換基としては、後述するR1と同様のものが挙げられる。
一般式(1’−4)で表される繰り返し単位としては、例えば、以下のような一般式(1’−5)で表される繰り返し単位が好適に用いられる。この場合、一般式(1’−5)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として、(メタ)アクリル酸から誘導されるエステル類、アミド類、および芳香族ビニル化合物等適宜、エチレン性不飽和結合を有するモノマー由来の繰り返し単位と、一般式(1’−5)で表される繰り返し単位とを含む共重合体であっても良い。
R4は水素原子、又はアルキル基であることが好ましく、更に水素原子又はメチル基であることが好ましい。
前記一般式(1)又は一般式(1’)において、置換基は、例えば、光吸収波長の調整、溶剤に対する溶解性、光重合性成分との相溶性を目的として、適宜選択して用いられればよい。
1価の置換基としては、より更に好ましくは、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、及びヒドロキシアルキルスルホニル基よりなる群から選択される少なくとも1種である。
また、当該1価の置換基は炭素数20以下が好ましく、炭素数15以下がより好ましい。
また、隣接するR1同士、又はR2同士が結合して、前記ジカルボン酸イミド基が環状構造を形成して置換した構造は、長波長域のi線(波長365nm)に対する感度、溶媒への溶解性、樹脂との相溶性の点から好ましく用いられる。
一般式(1)又は一般式(1’)の括弧内のカチオン部の置換基の具体例としては、例えば以下の構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
X−は、PF6 -、又はa=1〜6のフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンである。フッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンにおいて、Rfはフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、好ましい炭素数は1〜8、さらに好ましい炭素数は1〜4である。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチルなどの直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの分岐アルキル基;さらにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基などが挙げられ、当該アルキル基の水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されている。当該フッ素原子で置換された割合は、80%以上であるが、好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%である。フッ素原子の置換率が80%未満では、カチオン重合開始能が低下するからである。
一方、前記光酸発生剤(B)が重合体の場合には、数平均分子量が1500〜40000であることが好ましく、更に2000〜20000であることが溶剤への溶解性及び後述する光重合性成分(A)との相溶性の点から好ましい。
本発明で用いられる(B)成分は、光硬化性樹脂組成物の固形分中に0.5〜4質量%含まれることが好ましく、更に、0.5〜2質量%含まれることが好ましい。(B)成分の含有量が下限値よりも少ないと、カチオン重合性化合物の硬化反応の進行が不十分となって、カール抑制効果が低下する恐れがある。一方、(B)成分の含有量が上限値よりも多いと、高温高湿度環境下での硬化膜表面に析出物が析出する恐れがある。
本発明で用いられる光重合性成分(A)は、下記(i)及び(ii)の少なくとも1種である光重合性成分である。
(i)カチオン重合性基を有する化合物、及び、ラジカル重合性基を有する化合物
(ii)カチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物
ここで、(i)におけるカチオン重合性基を有する化合物は、カチオン重合性基を有するが、ラジカル重合性基を有しない化合物(i-1)を表し、(i)におけるラジカル重合性基を有する化合物は、ラジカル重合性基を有するが、カチオン重合性基を有しない化合物(i-2)を表す。
本発明で用いられる光重合性成分(A)は、前記(i)及び(ii)の少なくとも1種であれば良く、以下の(1)〜(5)の態様が包含される。
(1)カチオン重合性基を有する化合物(i-1)、及び、ラジカル重合性基を有する化合物(i-2)
(2)カチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物(ii)
(3)カチオン重合性基を有する化合物(i-1)、及び、カチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物(ii)
(4)ラジカル重合性基を有する化合物(i-2)、及び、カチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物(ii)
(5)カチオン重合性基を有する化合物(i-1)、ラジカル重合性基を有する化合物(i-2)、及び、カチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物(ii)
中でも、上記(1)、(4)、又は(5)が好適に用いられる。
カチオン重合性基を有する化合物(i-1)は、1分子中にカチオン重合性基を1個以上有するが、ラジカル重合性基を有しない化合物である。カチオン重合性基としては、カチオン重合反応を生じ得る官能基であればよく、特に限定されないが、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基などが挙げられる。なお、カチオン重合性基を有する化合物(i-1)が2個以上のカチオン重合性基を有する場合、これらのカチオン重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。カチオン重合性基としては、中でも、逆カールの程度及び反応性の高さの点から、エポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種であることが好ましい。逆カールの点でからはエポキシ基が特に好ましい。
pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの{ }内の基におけるnは同一でもよいし異なっていてもよい。
本発明に用いられる上記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂の市販品としては、ダイセル化学工業株式会社製、EHPE3150(nの和が平均15)を好適なものとして挙げられる。
カール抑制効果、硬度、密着性、及び、高温高湿度環境下での白化抑制の点から、1分子中にカチオン重合性基を4個以上有する化合物は、カチオン重合性基を有する化合物(i-1)及びカチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物(ii)の合計量に対して、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが、好ましい。
また、カール抑制効果、硬度、密着性、及び、高温高湿度環境下での白化抑制の点から、1分子中にカチオン重合性基を4個以上有する化合物は、カチオン重合性基を有する化合物(i-1)中に、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることがより更に好ましく、100質量%であることが、特に好ましい。
ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε−カプロラクトン(エポリードGT−401:ダイセル製)、エタンテトラカルボン酸テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)等の、1分子中に4個以上のカルボキシ基を有する脂肪族多価カルボン酸誘導体であって、一種又は二種以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物;
3−エチル−3−オキセタンメタノールとシランテトラオール重縮合物の縮合反応生成物(アロンオキセタンOXT−191(シランテトラオール重縮合物の平均縮合度5):東亞合成工業製)、及び下記化学式(A)等の、シラントリオール若しくはシランテトラオール又はこれらの重縮合物誘導体であって、一種又は二種以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物;
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(EHPE3150:ダイセル製、1分子中のエポキシ基数 平均15)等の前記一般式(I)で表される化合物のうち、nの和が4以上の化合物;及び、繰り返し単位中にカチオン性重合性基を含むポリマー;等を挙げることができる。
ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール等)、イソシアネート基含有ビニルモノマー(例えば、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等)、N−メチロール基含有ビニルモノマー(例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、カルボキシエチルアクリレート、安息香酸ビニル等)、アルキルハライド含有ビニルモノマー(例えばクロロメチルスチレン、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート等)、酸無水物含有ビニルモノマー(例えばマレイン酸無水物等)、ホルミル基含有ビニルモノマー(例えばアクロレイン、メタクロレイン等)、活性メチレン含有ビニルモノマー(例えばアセトアセトキシエチルメタクリレート等)、酸クロライド含有モノマー(例えば(メタ)アクリル酸クロライド等)、アミノ基含有モノマー(例えばアリルアミン)、アルコキシシリル基含有モノマー(例えば(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等)などが挙げられる。
本発明に用いられるカチオン重合性基を有する化合物(i-1)としては、カール抑制効果、硬度、密着性、及び、高温高湿度環境下での白化抑制の点から、中でも、カチオン重合性化合物が1分子内に10個以上のカチオン重合性基を有し、カチオン重合性基の官能基当量が250以下である化合物を少なくとも含むことが、好ましい。
なお、カチオン重合性基を有する化合物(i-1)のカチオン重合性基の官能基当量は、下記式により算出することができる。
[カチオン重合性基の官能基当量]=[カチオン重合性基を有する化合物(i-1)の分子量]/[カチオン重合性基を有する化合物(i-1)が有するカチオン重合性基の数]
ラジカル重合性基を有する化合物(i-2)は、1分子中にラジカル重合性基を1個以上有するが、カチオン重合性基を有しない化合物である。ラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、特に限定されないが、例えば、炭素−炭素不飽和二重結合を含む基などが挙げられ、具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。なお、ラジカル重合性基を有する化合物(i-2)が2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのラジカル重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、P2は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基を含む一価の基である。以下に一般式(III)で表される繰り返し単位のL2とP2の組み合わせの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。その他の繰り返し単位としては、特開2003−147017号公報の段落0034〜0038に記載の繰り返し単位を挙げることができ、このような繰り返し単位を含むポリマーの調製は、特開2003−147017号公報の段落0039〜0050等を参照して調製することができる。
−COOCH2CH=CH2
−COOCH2CH2OC(=O)CH=CH2
−COOCH2CH2OC(=O)C(CH3)=CH2
−CONHCH2CH2OC(=O)CH=CH2
−CONHCH2CH2OC(=O)C(CH3)=CH2
−COOCH2CH2OC(=O)Ph−CH=CH2(Ph=フェニレン基)
−COOCH2CH(OH)CH2OC(=O)CH=CH2
−COOCH2CH(OH)CH2OC(=O)C(CH3)=CH2
−COOCH2CH2OCH2NHC(=O)CH=CH2
本発明に用いられるラジカル重合性基を有する化合物(i-2)としては、カール抑制効果、硬度、密着性、及び、高温高湿度環境下での白化抑制の点から、中でもラジカル重合性化合物が1分子内に3個以上のラジカル重合性基を有し、ラジカル重合性基の官能基当量が90〜120である化合物を少なくとも含むことが、好ましい。
なお、ラジカル重合性基を有する化合物(i-2)のラジカル重合性基の官能基当量は、下記式により算出することができる。
[ラジカル重合性基の官能基当量]=[ラジカル重合性基を有する化合物(i-2)の分子量]/[ラジカル重合性基を有する化合物(i-2)が有するラジカル重合性基の数]
カチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物(ii)は、1分子中にカチオン重合性基を1個以上とラジカル重合性基を1個以上とを有する化合物である。カチオン重合性基、及びラジカル重合性基としては、前記化合物(i)で例示した官能基と同様のものを用いることができる。なお、カチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物(ii)が2個以上のカチオン重合性基や2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのカチオン重合性基やラジカル重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
このような1分子中に1個のラジカル重合性基と1個又は2個のカチオン重合性基を有する化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等が挙げられる。
中でも、カチオン重合性基としてオキセタニル基を有し、且つ、ラジカル重合性基としてエチレン性不飽和結合を含む基を有する化合物が、保護層の硬度を向上しつつ硬化後の保護層のカール抑制効果が高くなり、且つ、耐光試験後の密着性が向上効果が高い点から好ましい。
カチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物(ii)としては、例えば、下記一般式(IV−1)、(IV−2)及び(IV−3)で表される化合物が挙げられる。
保護層の硬度を向上しつつ硬化後の保護層のカール抑制効果が高くなる点から、X2は、少なくとも1つが直鎖状のアルキレン基であることが好ましく、中でも炭素数1〜5の直鎖状アルキレン基であることが好ましい。
また、mは、硬化膜の硬度の点から、3以下であることが好ましく、更に1以下であることが好ましい。
一般式(IV−1)、(IV−2)又は(IV−3)で表される化合物は、市販品を入手しても良いし、特開2011−168561号公報、特開2013−14076号公報の記載を参考に調製することが可能である。一般式(IV−1)、(IV−2)又は(IV−3)で表される化合物の市販品としては、例えば、OXE−10、OXE−30(大阪有機化学工業株式会社製)等が挙げられる。
中でも、薄膜の硬化膜の硬度を向上しつつ硬化後の積層体のカール抑制効果が高くなり且つ耐光試験後の密着性が向上する点から、カチオン重合性基を有するがラジカル重合性基を有しない化合物(i-1)に対する、カチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物(ii)の質量比((ii)/(i-1))が0.05以上であることが好ましく、更に0.1以上であることが好ましい。当該質量比が小さすぎると耐光試験後の密着性が不足する場合がある。
本発明において用いられるラジカル重合開始剤は、α−ヒドロキシアセトフェノン系ラジカル重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤、及びベンジルケタール系ラジカル重合開始剤よりなる群から選択される少なくとも1種のラジカル重合開始剤である。
本発明においては、前記特定のチアントレン環構造を有する光酸発生剤(B)に、このような特定のラジカル重合開始剤を組み合わせることにより、前記特定のラジカル重合開始剤の光反応によって生成した電子供与性が高いラジカルによって、前記特定のチアントレン環構造を有する光酸発生剤(B)が還元的に分解されやすくなり、より酸を発生させやすくなり、前述のような本願発明の効果を得ることができると推定される。
また、ベンジルケタール系ラジカル重合開始剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどが挙げられる。
(C)ラジカル重合開始剤としては、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
中でも、前記ラジカル重合開始剤(C)に、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンを少なくとも含むことが、特にカチオン重合を進行させ、酸素の存在によるラジカル重合の阻害が少なく、光硬化性に優れることから、高温高湿環境下での硬化膜の耐久性が高くなる点から好ましい。前記ラジカル重合開始剤(C)に、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンを少なくとも含むと、前記光酸発生剤(B)を比較的多く用いた場合で空気中で光照射して光硬化性反応を行う場合など、高温高湿環境下での硬化膜において白化現象が起こり易い状況においても、当該白化現象を抑制することができる。
本発明で用いられる(C)成分は、光硬化性樹脂組成物の固形分中に1〜5質量%含まれることが好ましく、更に、1〜3質量%含まれることが好ましい。(C)成分の含有量が下限値よりも少ないと、ラジカル重合性化合物の硬化反応の進行が不十分となって、硬度が低下する恐れがある。一方、(C)成分の含有量が上限値よりも多いと、ラジカル重合反応のみが優先して進行し、カールが顕著となる場合がある。
本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて他の成分を含有してもよい。例えば、帯電防止剤や防眩剤、防汚剤を含んでなるものが、更に帯電防止性や防眩性、防汚染性を付与できる点から好ましい。更に、硬度を上昇させる点から、シリカ微粒子、樹脂微粒子、反応性又は非反応性レベリング剤、各種増感剤等を混合しても良い。これらの添加剤は、公知の材料を適宜選択して用いることができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、及び必要に応じて溶剤を、必要に応じて例えば真空下で気泡を排除しつつ、撹拌、混合することにより調製される。撹拌、混合する際の温度は、例えば10〜60℃程度である。撹拌、混合には、公知の装置、例えば、自転公転型ミキサー、1軸又は多軸エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ニーダー、ディソルバー等を使用できる。
本発明に係る光学フィルムは、光透過性基材の一面側に、前記本発明に係る光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層が配置された、光学フィルムである。
図1は、本発明に係る光学フィルムの層構成の一例を模式的に示した断面図である。尚、図1に示す断面図において、説明の容易化のために、厚み方向(図の上下方向)の縮尺を幅方向(図の左右方向)の縮尺よりも大幅に拡大誇張して図示してある。
光学フィルム1は、光透過性基材10の一面側に、前記本発明に係る光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層20が設けられている。前記本発明に係る光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層20は、保護層の他、帯電防止層、防眩層、防汚層等各種機能層として機能する。
以下、本発明の光学フィルムを構成する各層について順に説明する。
光透過性基材は、光を透過するものであれば、透明、半透明、無色または有色を問わないが、可視光域380〜780nmにおける平均光透過率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは85%以上である場合が好ましい。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
本発明においては、光学フィルムが用いられる態様によって、光透過性樹脂基材を選択することが好ましい。例えば、目的とする光学フィルムに光学的等方性が要求される場合は、光透過性樹脂基材として、トリアセテートセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、アセテートプロピオネートセルロース、アセテートブチレートセルロース等のようなセルロースエステル、ポリノルボルネン系透明樹脂の製品名アートン(JSR製)やゼオノア(日本ゼオン製)等のような環状ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂による易接着処理がされたPET等が用いられることが好ましい。
上記の中でも、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエステルフィルム、及びアクリルフィルムから選ばれる基材フィルムが好ましい。機械的強度や寸法安定性の観点からは、延伸加工、特に一軸又は二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が好ましく、TAC、アクリルは光透過性及び光学的等方性の観点で好適である。
光学フィルムにおいて、前記本発明に係る光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層は、通常、前記本発明に係る光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層として形成される。
前記本発明に係る光硬化性樹脂組成物の硬化物には、前記光重合性成分(A)の重合物が含まれる。
塗布方法は、光透過性基材表面に前記本発明に係る光硬化性樹脂組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
本発明の硬化物は、上記光硬化性樹脂組成物の塗膜に紫外線を照射することにより製造することができる。上記光硬化性樹脂組成物に光を照射すると硬化反応(ラジカル重合反応及びカチオン重合反応)が促進され、硬化物が形成される。
中でも、ディスプレイ表面における反射を低減する観点からは、光学フィルムはさらに反射防止層を有することが好ましい。この場合、当該光学フィルムは、光透過性基材、本発明に係る光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる保護層、及び反射防止層をこの順に有する構成であり、最表面に反射防止層を有する構成が好ましい。
また、例えば低屈折率層は、上記の低屈折率微粒子、フッ化ビニリデン共重合体やシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体などの含フッ素化合物、1分子中に反応性官能基を2つ以上有する、例えばペンタエリスリトール骨格を有するような含フッ素モノマーを好ましく含む硬化性樹脂組成物を用いて形成してもよい。
なお、重量平均分子量はGPCにより標準ポリスチレン換算値として求めた。測定は、東ソー(株)製のHLC−8220GPCを用い、THFを溶離液として、測定カラムとして東ソー(株)製TSKgel SuperHZM−Mを用いて行った。
(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートのホモポリマーの合成)
窒素導入口、撹拌機、コンデンサーおよび温度計を備えた4つ口フラスコに、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート48部、メチルイソブチルケトン(MIBK)50部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.48部、ドデシルメルカプタン0.49部を入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら85℃に加熱して3時間反応を行った。得られたポリ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート)溶液の不揮発分は50%であり、当該ポリ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート)は重量平均分子量が15000であった。
窒素導入口、撹拌機、コンデンサーおよび温度計を備えた4つ口フラスコに、グリシジルメタクリレート48部、メチルエチルケトン70部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.48部、ドデシルメルカプタン0.49部を入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら75℃に加熱して5時間反応を行った。その後、反応系を50℃まで冷却した後、窒素導入管を空気導入管につけ替え、メタクリル酸9.7部、メトキノン0.1部及びトリフェニルフォスフィン0.2部を仕込み混合した後、空気をバブリングし、75℃に加熱して10時間反応を行った。冷却して不揮発分が35%となるようにメチルエチルケトンを加え、エポキシ基及びメタクリロイル基含有ポリマー溶液を調製した。当該エポキシ基及びメタクリロイル基含有ポリマーの重量平均分子量は、25000であり、エポキシ基/メタクリロイル基のモル比は、67/33であった。
(1)光硬化性樹脂組成物の調製
下記に示す組成の光硬化性樹脂組成物を調製した。
<光硬化性樹脂組成物1>
・カチオン重合性化合物(多官能エポキシ、EHPE3150、ダイセル製):10質量部
・ラジカル重合性化合物(多官能アクリレート(2)、商品名アロニックスM−403、東亞合成製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(水酸基含有)混合物、主成分はジペンタエリスリトールペンタアクリレート):45質量部
・ラジカル重合性化合物(多官能アクリレート(3)、商品名KAYARAD PET−30、日本化薬(株)製、ペンタエリスリトールトリアクリレート(水酸基含有)/ペンタエリスリトールテトラアクリレート混合物):45質量部
・ラジカル重合開始剤(α−ヒドロキシアセトフェノン系(1)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、商品名イルガキュア184、BASF製):4質量部
・光酸発生剤(前記一般式(1)で表される光酸発生剤(1)、下記化学式(B)で表される光酸発生剤、商品名 Esacure1187、Lamberti製、有効成分75質量%プロピレンカーボネート溶液):1.33質量部
・レベリング剤:メガファックF477:0.1質量部
・溶剤:メチルエチルケトン:75質量部
・溶剤:メチルイソブチルケトン:75質量部
光透過性基材として、25μmセルローストリアセテートフィルム(富士写真フィルム(株)製)を用い、当該基材上に、光硬化性樹脂組成物1を硬化後の膜厚が6μmとなるように塗布した。70℃にて60秒乾燥し、窒素雰囲気下で、紫外線150mJ/cm2を照射して光学フィルムを製造した。
(1)光硬化性樹脂組成物の調製
下記表1に示す組成の実施例2〜17の光硬化性樹脂組成物、及び比較例1〜8の光硬化性樹脂組成物を調製した。
実施例1で用いられた化合物以外の表1中の略称は以下のとおりである。なお、表1中のカチオン重合性化合物、カチオン重合性−ラジカル重合性化合物、光酸発生剤量は、有効成分量を記載している。
・カチオン重合性化合物(エポキシ基含有ポリマー(2)、合成例1のポリ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート))
・カチオン重合性ラジカル重合性化合物(エポキシ基及びメタクリロイル基含有ポリマー、合成例2のポリマー)
・カチオン重合性ラジカル重合性化合物(オキセタニル基含有(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート、大阪有機化学工業製)
・ラジカル重合性化合物(多官能アクリレート(1)、商品名アロニックスM−405、東亞合成製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(水酸基含有)混合物、主成分はジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
・光酸発生剤(前記一般式(1)で表される光酸発生剤(2)、下記化学式(C)で表される光酸発生剤、WO2005−116038号明細書、及び特表2005−146001号公報に記載の方法に従って合成した。)
・スルホニウム塩系光酸発生剤(1)(商品名CPI−100P、サンアプロ製、有効成分50質量%プロピレンカーボネート溶液)
・スルホニウム塩系光酸発生剤(2)(ビス(ジフェニルスルホニオ)スルフィド、ビス(ヘキサフルオロホスフェイト)と[(フェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェイトの混合物、商品名AT−6992、ACETO製、有効成分42質量%プロピレンカーボネート溶液)
・ヨードニウム塩系光酸発生剤(ヨードニウム、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)、)商品名Irg250、BASF製、有効成分75質量%プロピレンカーボネート溶液)
・ラジカル重合開始剤(α−ヒドロキシアセトフェノン系(2)、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル-プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル-プロパン−1−オン、商品名イルガキュア127、BASF製)
・ラジカル重合開始剤(α−ヒドロキシアセトフェノン系(3)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、商品名イルガキュア2959、BASF製)
・ラジカル重合開始剤(α−ヒドロキシアセトフェノン系(4)、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]、商品名Esacure One、Lamberti製、)
・ラジカル重合開始剤(アシルフォスフィンオキサイド系、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、商品名Lucirin TPO、BASF製)
・ラジカル重合開始剤(ベンジルケタール系、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、商品名イルガキュア651、BASF製)
・ラジカル重合開始剤(α−アミノアルキルフェノン系、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、商品名イルガキュア907、BASF製)
・増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン 商品名:KAYACURE DETX−S、日本化薬製)
実施例1の光学フィルムの製造において、実施例1の光硬化性樹脂組成物を、それぞれ実施例2〜17の光硬化性樹脂組成物、及び比較例1〜8の光硬化性樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
実施例1〜17及び比較例1〜8の光学フィルムについて、カール幅、鉛筆硬度、着色、高温高湿度環境下の白化に関して、評価を行った。また、実施例1〜17及び比較例1〜8の光硬化性樹脂組成物について、貯蔵安定性の評価を行った。実施例1〜17及び比較例1〜8について結果を表2に示す。
(1)カール幅
作製した光学フィルムを100mm×100mmに切り出した後、保護層表面を上にして水平な場所に置き、フィルムの両端の距離を定規で計測した。カール幅は光学フィルムを作製1日後に測定した。
保護層塗工面側に反った場合(正カール)には未表示とし、基材面側に反った場合(逆カール)に「(逆)」と表示した。
<評価基準>
評価○: 70mm以上
評価△: 50mm以上〜70mm未満
評価×: 50mm未満
作製した光学フィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、硬度の評価は、JIS K5600−5−4に準拠する鉛筆硬度試験により実施した。
作製した光学フィルムを分光器(島津製作所製「UVPC2450」を用いて、5か所のb*を透過法で測定し、その平均値から判断した。
<評価基準>
評価○: b*の平均値が0.7以下
評価×: b*の平均値が0.7を超える
作製した光学フィルムを高温高湿度環境下(80℃、湿度90%)で24時間放置後に、保護層表面を目視して、表面に析出物が析出して白化しているか否か評価した。
<評価基準>
評価○: 保護層表面に析出物が析出しておらず、白化していない
評価×: 保護層表面に析出物が析出しており、白化している
光硬化性樹脂組成物を調製直後と40℃で7日保存後の粘度を25℃で測定し、増粘の程度で貯蔵安定性を判断した。粘度上昇の割合が小さいほど、組成物の貯蔵安定性がよい。
<評価基準>
評価○: 粘度変化が1.3倍未満
評価×: 粘度変化が1.3倍以上
本発明の(B)前記一般式(1)又は一般式(1’)で表される光酸発生剤と、(C)α−ヒドロキシアセトフェノン系ラジカル重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤、及びベンジルケタール系ラジカル重合開始剤よりなる群から選択される少なくとも1種のラジカル重合開始剤とを組み合わせて含有する光硬化性樹脂組成物は、毒性の高いアンチモンを含まず、光硬化性が良好で、カールが抑制され、高温高湿環境下での硬化膜表面の白化が抑制され、黄色みが少ない硬化物が得られることが明らかにされた。
それに対して、スルホニウム系光酸発生剤と、α−ヒドロキシアセトフェノン系ラジカル重合開始剤とを組み合わせて含有する比較例3及び比較例6の光硬化性樹脂組成物では、高温高湿度環境下で硬化膜表面に白い析出物が見られ白化することが明らかにされた。
スルホニウム塩系光酸発生剤を用い、有効成分量を低減した比較例7の光硬化性樹脂組成物では、窒素雰囲気下で紫外線照射を行い光学フィルムを作製したため、高温高湿度環境下での硬化膜表面の白化は抑制されたが、カールは悪化した。
また、ヨードニウム系光酸発生剤とアシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤とを組み合わせて含有する比較例4及び比較例5の光硬化性樹脂組成物では、高温高湿度環境下で硬化膜表面に白い析出物が見られ白化することが明らかにされた。更に、比較例4及び比較例5の光硬化性樹脂組成物は、貯蔵安定性も劣ることが明らかにされた。また、比較例4に更に増感剤を加えた比較例5の光硬化性樹脂組成物では、カールは抑制されたものの、着色した硬化物となった。
更に、本発明で用いられる(B)前記一般式(1)又は一般式(1’)で表される光酸発生剤に、本発明とは異なるα−アミノアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤を組み合わせた比較例8の光硬化性樹脂組成物では、カールが著しく悪化した。
また、比較例1及び2により、高温高湿度環境下で硬化膜表面に白い析出物が見られる白化現象は、ラジカル重合性化合物のみを用いた場合や、カチオン重合性化合物のみを用いた場合には、見られなかった。
光透過性基材として、25μmセルローストリアセテートフィルム(富士写真フィルム(株)製)を用い、当該基材上に、実施例3で得た光硬化性樹脂組成物3を硬化後の膜厚が6μmとなるように塗布した。70℃にて60秒乾燥し、空気中で、紫外線150mJ/cm2を照射して、光透過性基材の一面側に、前記光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層(保護層)が配置された光学フィルムを製造した。
実施例18の光学フィルムの製造において、光硬化性樹脂組成物を、比較例7で得た比較光硬化性樹脂組成物7に変更した以外は、実施例18と同様にして光学フィルムを製造した。
実施例18及び比較例9の光学フィルムについて、実施例1と同様にして高温高湿度環境下の白化評価を行った。
[評価結果]
実施例3の光硬化性樹脂組成物を用いた実施例18では、空気中で紫外線照射を行って光学フィルムを作製しても、実施例3と同様に保護層表面に析出物が析出せず、白化しなかった。それに対し、窒素雰囲気下で紫外線照射を行った比較例7の光学フィルムでは白化しなかったが、同じ比較例7の硬化性樹脂組成物を用いて空気中で紫外線照射を行った比較例9では、保護層表面に析出物が析出して、白化した。
スルホニウム塩系の光酸発生剤を用いた場合、有効成分量を低減して窒素雰囲気下で紫外線照射を行い光学フィルムを作製すると、高温高湿度環境下の白化は抑制されたが(但し、カールは悪化)、同様に有効成分量を低減しても空気中で紫外線照射を行い光学フィルムを作製すると、高温高湿度環境下で白化することが明らかにされた。それに対して、本発明で用いられる式(1)で表される光酸発生剤を用いると、当該比較例と同じ有効成分量で空気中で紫外線照射を行い光学フィルムを作製しても、高温高湿度環境下で白化が抑制されることが明らかにされた。
10 光透過性基材
20 本発明に係る光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層
Claims (8)
- 下記(A)、(B)、及び(C)を含有する、光硬化性樹脂組成物。
(A)下記(i)及び(ii)の少なくとも1種である光重合性成分
(i)カチオン重合性基を有する化合物、及び、ラジカル重合性基を有する化合物
(ii)カチオン重合性基及びラジカル重合性基を有する化合物
(B)下記一般式(1)又は一般式(1’)で表される光酸発生剤
(C)α−ヒドロキシアセトフェノン系ラジカル重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系ラジカル重合開始剤、及びベンジルケタール系ラジカル重合開始剤よりなる群から選択される少なくとも1種のラジカル重合開始剤
(一般式(1)及び一般式(1’)中、R1、R2、及びR3は各々独立に、置換基を表す。複数のR1、R2、又はR3は、各々、同一であっても異なっていても良く、また、互いに結合して環状構造を形成していても良く、当該環状構造はヘテロ原子の結合を含んでいても良い。
X−は、[P(Rf)aF6−a]−であり、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、a=0〜6である。a個のRfはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
Aは、n価の化学構造であり、括弧内の構造をn個連結している。nは2以上の整数である。n個のX−、(R1)p’、(R2)q’、及び(R3)r’は各々、同一であっても異なっていても良い。
p、q、p’、及びq’は各々独立に、0〜4の整数である。
rは0〜5の整数であり、r’は0〜4の整数である。) - 前記光重合性成分(A)の合計質量に対して、前記光酸発生剤(B)中のアニオンの含有量が3マイクロモル/g〜50マイクロモル/gである、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記光重合性成分(A)合計量中に、分子中にラジカル重合性基を有し、カチオン重合性基を有しない化合物が50質量%以上97質量%以下含まれる、請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記光重合性成分(A)に、分子中に水酸基とラジカル重合性基を少なくとも有する化合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記光重合性成分(A)に、1分子内に10個以上のカチオン重合性基を有し、カチオン重合性基数に対する分子量の比(分子量/カチオン重合性基数)が80〜150である化合物を少なくとも含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記ラジカル重合開始剤(C)に、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンを少なくとも含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物の硬化物。
- 光透過性基材の一面側に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層が配置された、光学フィルム。
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