JP2016035390A - pH判定装置、pH判定方法およびpH判定プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】pH判定装置10は、容器内のpH指示薬が付加された測定対象物のpHを画像処理で判定する装置であって、カメラ17、マスタチャート15、記憶部19、制御部18を備える。カメラ17は、ウェルプレート20を上方から撮影し、培地部分を含む画像を取得する。マスタチャート15は、ウェルプレート20の近傍に配置され、培地のpHによって変化する色の基準となる複数の色を示す。記憶部19は、マスタチャート15に含まれる各色に対応する基準pH値を記憶する。制御部18は、記憶部19に記憶された基準pH値とカメラ17において取得された画像に基づいて算出されたマスタチャート15の各色の測定pH値との差から求められた補正値を用いて測定pH値を補正する。
【選択図】図4
Description
培地のpH測定は、元来、接触式のpHセンサを用いて1箇所ずつ測定されていたが、近年では、培養容器の細胞保持用の凹部(ウェル)の数が増大していることから、作業効率の向上を図るために、センサ等を用いることなく、細胞を含む培地のpHの測定を行うことが可能な測定装置が要求されている。
例えば、特許文献1には、非接触で測定対象物のpHを計測し、カラー画像化して表示するpH分布変化の表示方法について開示されている。
すなわち、上記公報に開示されたpH分布変化の表示方法では、カラー画像を取得する際に用いられるカメラや光源、光学部品等に起因するばらつきが生じた場合には、検出される色にもバラつきが生じ、測定精度が低下してしまうおそれがある。
また、環境温度の変化や経時的な劣化等によって、カメラや光源、光学部品等の変化に起因する測定精度の低下を招くおそれもある。
本発明の課題は、装置ごと、経時的変化、培養容器の材質等のばらつきに起因して生じる測定精度の低下を防止することが可能なpH判定装置、pH判定方法およびpH判定プログラムを提供することにある。
第2の発明に係るpH判定装置は、第1の発明に係るpH判定装置であって、制御部は、基準となる画像取得部によって取得された画像を用いて算出された基準色表示部の各色の測定pH値と、装置ごとの測定pH値との差から補正値を求め、補正値を用いて、装置ごとの測定pH値を補正する。
これにより、装置側の構成(例えば、画像取得部(カメラ等)、光源等)の個体差に起因するバラつきを解消して、装置ごとの測定精度を向上させることができる。
ここでは、装置が起動されるたび、あるいは所定時間経過ごとに、自動的に、画像取得部(カメラ等)によって算出された基準色表示部の各色の測定pH値と、予め記憶された基準色表示部の各色のpH値とを比較して、差がある場合には、この差を解消するための補正値を求めて、測定pH値を補正する。
第4の発明に係るpH判定装置は、第1の発明に係るpH判定装置であって、容器は、基準色表示部の特定の色に対応する色表示部を有している。制御部は、基準となる容器の色表示部の色に対応する測定pH値と、容器ごとの色表示部の色の測定pH値との差から補正値を求め、補正値を用いて容器ごとに測定pH値を補正する。
ここで、上記色表示部とは、例えば、容器の角部分等に設けられており、基準色表示部に示された所定の位置と同じ色を示す部分であって、容器が変わっても常に一定の色を示すものである。
第5の発明に係るpH判定装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係るpH判定装置であって、容器は、細胞を含む測定対象物が入れられる複数の凹部を有している。基準色表示部は、容器の複数の凹部が配列された間隔に対応するピッチで、各色が配置されている。
これにより、容器と基準色表示部とが含まれる画像を画像処理する際には、pH測定時に容器の各凹部の部分を測定するピッチと同じピッチで、基準色表示部の測定も実施することができる。よって、制御部における画像処理をできるだけ簡素化して、効率よくpH測定を実施することができる。
ここでは、L*C*h表色系の色相を表すhの値を用いて、上述した測定pH値の補正を行う。
第7の発明に係るpH判定装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係るpH判定装置であって、容器の下方に配置されており容器に対して光を照射する光源部と、容器と画像取得部との間に配置されたテレセントリック性を有する光学系と、をさらに備えている。
ここで、テレセントリック性を有する光学系には、例えば、フレネルレンズ等が含まれる。また、光源部には、例えば、白色LED等が含まれる。
これにより、例えば、容器の下から白色光を照射した状態で、容器の上面側に配置されたフレネルレンズによって、カメラ等の画像取得部に真上から見た容器の画像を取得させることができる。
第8の発明に係るpH判定装置は、第7の発明に係るpH判定装置であって、テレセントリック性を有する光学系は、画像取得部において容器と基準色表示部とを含む範囲の画像を取得できる位置に配置されており、その光学的な中心位置は、容器側にずれた位置に配置されている。
これにより、画像取得部において、基準色表示部と比較して、測定精度に影響を及ぼす可能性がある容器側の歪みをできるだけ小さくした画像を取得することができる。よって、取得された画像に基づいて、容器に保持された測定対象物のpH値をより正確に判定することができる。
第10の発明に係るpH判定方法は、第9の発明に係るpH判定方法であって、補正値算出ステップでは、基準となる画像取得部によって取得された画像を用いて算出された基準色表示部の各色の測定pH値と、装置ごとの測定pH値との差から補正値を求める。
これにより、装置側の構成(例えば、画像取得部(カメラ等)、光源等)の個体差に起因するバラつきを解消して、装置ごとの測定精度を向上させることができる。
ここでは、装置が起動されるたび、あるいは所定時間経過ごとに、自動的に、画像取得部(カメラ等)によって算出された基準色表示部の各色の測定pH値と、予め記憶された基準色表示部の各色のpH値とを比較して、差がある場合には、この差を解消するための補正値を求めて、測定pH値を補正する。
第12の発明に係るpH判定方法は、第9の発明に係るpH判定方法であって、容器は、基準色表示部の特定の色に対応する色表示部を有している。補正値算出ステップでは、基準となる容器の色表示部の色に対応する測定pH値と、容器ごとの色表示部の色の測定pH値との差から補正値を求める。
ここで、上記色表示部とは、例えば、容器の角部分等に設けられており、基準色表示部に示された所定の位置と同じ色を示す部分であって、容器が変わっても常に一定の色を示すものである。
第13の発明に係るpH判定方法は、第9から第12の発明のいずれか1つに係るpH判定方法であって、容器は、細胞を含む測定対象物が入れられる複数の凹部を有し、基準色表示部は、容器の複数の凹部が配列された間隔に対応するピッチで、各色が配置されている。補正値算出ステップでは、基準色表示部と容器とを含む画像を用いて、同じピッチで測定箇所を検出しながらpH判定を行う。
これにより、容器と基準色表示部とが含まれる画像を画像処理する際には、pH測定時に容器の各凹部の部分を測定するピッチと同じピッチで、基準色表示部の測定も実施することができる。よって、制御部における画像処理をできるだけ簡素化して、効率よくpH測定を実施することができる。
ここでは、L*C*h表色系の色相を表すhの値を用いて、上述した測定pH値の補正を行う。
第15の発明に係るpH判定プログラムは、容器内のpH指示薬が付加された測定対象物のpHを画像処理によって判定するpH判定方法をコンピュータに実行させるpH判定プログラムであって、取得ステップと、記憶ステップと、補正値算出ステップと、補正ステップと、を備えたpH判定方法をコンピュータに実行させる。取得ステップは、容器を上方から撮影して、測定対象物の部分を含む画像を取得する。記憶ステップは、画像に容器とともに含まれるように容器の近傍に配置されており、測定対象物のpHによって変化する色の基準となる複数の色を示す基準色表示部に含まれる各色ごとに対応する基準pH値を記憶する。補正値算出ステップは、基準pH値と、画像に基づいて算出された基準色表示部の各色の測定pH値との差から補正値を求める。補正ステップは、補正値を用いて測定pH値を補正する。
第16の発明に係るpH判定プログラムは、第15の発明に係るpH判定プログラムであって、補正値算出ステップでは、基準となる画像取得部によって取得された画像を用いて算出された基準色表示部の各色の測定pH値と、装置ごとの測定pH値との差から補正値を求める。
これにより、装置側の構成(例えば、画像取得部(カメラ等)、光源等)の個体差に起因するバラつきを解消して、装置ごとの測定精度を向上させることができる。
ここでは、装置が起動されるたび、あるいは所定時間経過ごとに、自動的に、画像取得部(カメラ等)によって算出された基準色表示部の各色の測定pH値と、予め記憶された基準色表示部の各色のpH値とを比較して、差がある場合には、この差を解消するための補正値を求めて、測定pH値を補正する。
第18の発明に係るpH判定プログラムは、第15の発明に係るpH判定プログラムであって、容器は、基準色表示部の特定の色に対応する色表示部を有している。補正値算出ステップでは、基準となる容器の色表示部の色に対応する測定pH値と、容器ごとの色表示部の色の測定pH値との差から補正値を求める。
ここで、上記色表示部とは、例えば、容器の角部分等に設けられており、基準色表示部に示された所定の位置と同じ色を示す部分であって、容器が変わっても常に一定の色を示すものである。
第19の発明に係るpH判定プログラムは、第15から第18の発明のいずれか1つに係るpH判定プログラムであって、容器は、細胞を含む測定対象物が入れられる複数の凹部を有し、基準色表示部は、容器の複数の凹部が配列された間隔に対応するピッチで、各色が配置されている。補正値算出ステップでは、基準色表示部と容器とを含む画像を用いて、同じピッチで測定箇所を検出しながらpH判定を行う。
これにより、容器と基準色表示部とが含まれる画像を画像処理する際には、pH測定時に容器の各凹部の部分を測定するピッチと同じピッチで、基準色表示部の測定も実施することができる。よって、制御部における画像処理をできるだけ簡素化して、効率よくpH測定を実施することができる。
ここでは、L*C*h表色系の色相を表すhの値を用いて、上述した測定pH値の補正を行う。
(pH判定装置10の構成)
本実施形態に係るpH判定装置10は、ウェルプレート(培養容器)20(図7参照)に入れられた細胞C(図7参照)の生育状態に応じて変化する培地のpH変化を培地の色の変化として画像処理によって検出する装置であって、図1および図2に示すように、筐体部11と、取付台12と、光源部13と、容器載置部14と、マスタチャート15と、フレネルレンズ16(テレセントリック性を有する光学系)と、カメラ(画像取得部)17と、制御部18(図4参照)と、記憶部19(図4参照)と、を備えている。
筐体部11は、箱型形状の前面側に図示しない観音開きの2枚の扉(double doors)を有しており、2枚の扉を閉じることで、内部に暗室を形成する。また、筐体部11は、図1および図2に示すように、内部に、取付台12、光源部13、容器載置部14、マスタチャート15、フレネルレンズ16、カメラ17等の主要構成を格納する。
本実施形態では、筐体部11内に形成される暗室において、光源部13から照射される光を用いてウェルプレート20に保持された細胞Cを含む培地のpHの変化を検出することで、周囲の光の影響を受けることなく、精度の高いpH判定を実施することができる。
取付台12は、図2および図3に示すように、光源部13、容器載置部14、マスタチャート15、カメラ17等を取り付ける台であって、基台部12a、支持部12b、2本の支柱12c,12c、カメラ取付部12dを有している。
基台部12aは、pH判定装置10が設置される設置面上に載置され、pH判定装置10の基台部分を形成する平板状の部材であって、内部に、光源部13が配置されている。また、基台部12aにおける光源部13が配置された部分の上には、マスタチャート15とウェルプレート20とが載置される。
2本の支柱12c,12cは、図2および図4に示すように、基台部12aにおけるウェルプレート20が導入される正面側とは反対側に、略鉛直方向に沿って立設されている。また、2本の支柱12c,12cは、上端部にカメラ17が取り付けられるカメラ取付部12dが固定されている。
カメラ取付部12dは、図2および図4に示すように、平面視において、略T字型の部材であって、2本の支柱12c,12cの上端部によって支持されている。また、カメラ取付部12dにおける略T字型の先端部分には、マスタチャート15およびウェルプレート20の方向に向かって配置されたカメラ17が取り付けられている。
光源部13は、白色LEDによって構成されており、基台部12aから上方に配置されたマスタチャート15およびウェルプレート20に向かって光を照射する。
なお、光源部13としては、ハロゲンランプ等の他の光源を用いてもよい。ただし、例えば、光源としてハロゲンランプを用いた場合には、発熱によって環境温度が上昇し、筐体部11内の温度も上昇してしまう。この場合、ウェルプレート20の各ウェル20aに入れられた細胞が高温環境下において死滅してしまうおそれがある。
(容器載置部14)
容器載置部14は、基台部12a上に設置された貫通穴を有する平板状の部材
であって、この貫通部分にウェルプレート20が載置される。容器載置部14の貫通部分は、ウェルプレート20の大きさに合わせて形成されている。
(マスタチャート15)
マスタチャート15は、図4および図5に示すように、基台部12aにおける容器載置部14の奥側(正面とは反対側)に隣接配置されている。また、マスタチャート15は、pH判定を実施する際の基準として、例えば、8段階で変化する色見15a〜15hを含むように構成されている。
なお、マスタチャート15の8色の各色見15a〜15hに対応するpH値は、予め記憶部19に記憶された各色見15a〜15hに相当する色相とpH値との対応関係を示すテーブルに基づいて算出される。なお、この対応関係は、まず様々なpH値を有する溶液を準備し(例えば、培地に希釈液を加えて任意のpH値溶液にする。)、それに発色のためのpH指示薬(例えば、フェノールレッド)を添加する。次に、それらのpH値を市販のpHメータで測定すると同時に、その発色を撮影することで、色相とpH値との対応関係を決めることができる。
以上のように、本実施形態のpH判定装置10では、マスタチャート15の配置間隔が、横方向、縦方向ともに、ウェルプレート20の各ウェル20aの間隔d1,d2を基準にして設定されている。これにより、制御部18において画像処理を行う際には、ウェルプレート20の各ウェル20aやマスタチャート15の各色見15a〜15hの部分を、同じ間隔で測定することができる。この結果、制御部18による画像処理時の処理を簡素化することができるため、処理負担を軽減することができる。
(フレネルレンズ16)
フレネルレンズ16は、図2および図3に示すように、上下方向において、基台部12a上に載置されたウェルプレート20とカメラ17との間に配置されており、テレセントリック性を有するレンズであって、結像するカメラ17の位置において光軸と主光線とが平行とみなせる特性を有している。
また、フレネルレンズ16は、図6(a)および図6(b)に示すように、表面に複数の凹凸が形成されており、凹凸のない面から焦点距離だけ離れた位置に結像する。
さらに、本実施形態では、フレネルレンズ16は、光学的な中心Xがマスタチャート15とウェルプレート20とを含む範囲の寸法的な中心Oから、ウェルプレート20寄りにずれた位置に配置されている(フレネルレンズは略平板状のレンズであるため、そのように切り出すことが可能。)。
(カメラ17)
カメラ17は、カラー画像を取得可能な撮像装置であって、図2から図4に示すように、上述した取付台12のカメラ取付部12dによって支持された状態で、フレネルレンズ16の上方に固定されている。
さらに、カメラ17は、取得したカラー画像を制御部18へと送る。
(制御部18)
制御部18は、カメラ17によって取得されたカラー画像に含まれるpH測定部位(ウェル20aおよび色見15a〜15h部分)を画像処理し、各pH測定部位の色相を数値化する。その後、制御部18は、予め記憶部19に記憶されている記憶された色相とpH値との関係を示すテーブルに基づいて、各測定部位の色相に対応するpH値を算出する。
具体的には、例えば、細胞Cの生育状態が良好な場合には、培地はある範囲内で酸性側に変化する。一方、細胞Cの生育状態が芳しくない場合には、培地は酸性側に変化することなく、多くの場合、pH値の変化はない、または少ない。
h(θ)=tan-1(b*/a*) ・・・・・(1)
なお、a*、b*は、L*a*b*表色系の色度を示し、L*C*h表色系のC*は、以下の関係式(2)によって求められる。
具体的には、制御部18は、カメラ17において取得されたカラー画像に含まれるマスタチャート15の各色見15a〜15hの部分の色相に関する情報をそれぞれ取得し、予め記憶部19に記憶された色相とpH値との関係を示すテーブルに基づいて、各色見15a〜15hに対応するpH値を算出する。
なお、制御部18による補正処理については、後段にて詳述する。
(記憶部19)
記憶部19は、図4に示すように、制御部18と接続されており、予め、マスタチャート15の各色見15a〜15hに対応する基準pH値に関する情報を格納している。
なお、補正値は、例えば、カメラ17や光源部13等に起因する装置ごとの個体差や、経時的変化に起因する測定誤差、ウェルプレート20の材質変化等に起因する測定誤差等を解消するために求められるものであって、新たな補正値に更新されるまで記憶されていればよい。
また、本実施形態のpH判定装置10では、図7に示すように、横8列、縦6行の計48個のウェル(凹部)20aが表面に形成されたウェルプレート20の各ウェル20aにそれぞれ細胞Cおよび培地を入れて細胞の培養を行う。
ウェルプレート20は、図示しないインキュベータ内に形成される高温多湿の培養空間において細胞Cを培養するための培養容器であって、表面に48個のウェル20aが形成されるように、樹脂の射出成形によって形成されている。
また、ウェルプレート20は、図5に示すように、取付台12の基台部12aに形成された容器載置部14の貫通部分に嵌合した状態で載置される。そして、ウェルプレート20は、横方向において間隔d1で各ウェル20aが配置されているとともに、縦方向において間隔d2で各ウェル20aが配置されている。
これにより、カメラ17において取得されたカラー画像に含まれるpH測定部位(ウェル20aおよび色見15a〜15h部分)を、同じピッチで検出しながら画像処理することで、各pH測定部位の測定pH値を算出することができる。よって、制御部18の処理負荷を軽減して、効率よくpH値の測定および測定pH値の補正を実施することができる。
本実施形態のpH判定装置10では、上述した測定pH値を取得した後、制御部18において、以下のように、様々な要因によって生じる測定誤差を解消するための補正を実施する。
(装置出荷時の装置個体差に起因する測定誤差の補正)
本実施形態のpH判定装置10では、装置ごとの個体差に起因する測定誤差を解消するために、装置を出荷する前の段階で、装置ごとの測定誤差を解消するための補正値を算出し、各装置の記憶部19内に記憶させる。
本実施形態のpH判定装置10では、まず、図8(a)に示すマスタとなる装置のカメラ17aによって取得されたマスタチャート15に示された各色見15a〜15hに対応する基準pH値を記憶部19に記憶させている。
そして、図8(b)および図8(c)に示すように、補正対象となる別のpH判定装置10のカメラ17bによって、同じ色見15a〜15hを示すマスタチャート15の部分の画像を取得し、画像処理によって各色見部分のpH値を測定する。
つまり、カメラ17bによって取得された画像では、色見15aが6.88、色見15bが6.93、色見15cが6.99、色見15dが7.03、色見15eが7.07、色見15fが7.12、色見15gが7.15、色見15hが7.18である。
以上の結果から、カメラ17bを搭載したpH判定装置10では、マスタとなるpH判定装置10によって設定された基準pH値よりも0.03ほど高いpH値として算出されていることから、この誤差を解消するための補正値(−0.03)を算出し、記憶部19に保存させる。
これにより、出荷前の段階において、マスタとなるpH判定装置10によって設定された基準pH値と、各装置によって測定されたマスタチャート15の測定結果とを比較して、誤差がある場合にはこの誤差を解消するための補正値を算出し、各装置の記憶部19に持たせておくことで、装置ごとの個体差に起因する測定誤差を解消することができる。よって、従来よりも測定精度の高いpH判定装置10を得ることができる。
本実施形態のpH判定装置10では、装置を繰り返し使用することによる経年劣化等、経時的変化に起因する測定誤差を解消するために、装置の起動時、あるいは所定時間経過ごとに、測定誤差を解消するための補正値を算出し、記憶部19内に記憶させる。
ここで、pH判定装置10における経時的変化としては、電源投入直後から所定時間経過した後の環境温度の上昇や、光源部13や光学系、カメラ17等の部品の経年劣化等が考えられる。
本実施形態のpH判定装置10では、まず、図9(a)に示すように、電源投入直後の環境温度25℃の状態でカメラ17によって取得されたマスタチャート15に示された各色見15a〜15hに対応する基準pH値を記憶部19に記憶させている。
そして、図9(b)に示すように、所定時間経過後に環境温度40℃となった状態で、カメラ17によって取得されたマスタチャート15に示された各色見15a〜15hに対応する測定pH値は、色見15aが6.82、色見15bが6.87、色見15cが6.93、色見15dが6.97、色見15eが7.01、色見15fが7.06、色見15gが7.09、色見15hが7.12である。
これにより、実際にウェルプレート20をセットして各ウェル20aの部分のpH値を測定した場合には、測定pH値に対して上記補正値(+0.03)を使って補正した結果を、測定pH値として算出することができる。
(培養容器の材質等に起因する測定誤差の補正)
本実施形態のpH判定装置10では、細胞Cが入れられたウェルプレート20の材質等の変化に起因する測定誤差を解消するために、測定誤差を解消するための補正値を算出し、記憶部19内に記憶させる。
本実施形態では、マスタチャート20ba,20bbは、ともに7.00を基準とする色を示している。なお、ウェルプレート20に付されるマスタチャートは、7.00を基準とするものではなく、他の数値を基準としてもよい。
一方、図10(b)に示すように、ウェルプレート20に付されたマスタチャート20bbの部分を画像処理した結果、得られた測定pH値が6.95の場合には、基準となる7.00よりも0.05低い値として算出されているため、この誤差0.05を補正によって解消する必要がある。
よって、培養容器の製造ロットが変わるごと、あるいは所定時間経過ごとに補正値を算出して、新たな補正値に更新していくことで、ウェルプレート20等の培養容器の材質の変化等に起因する測定誤差の発生を解消して、より精度の高い測定を実施することが可能なpH判定装置10を得ることができる。
ここで、本実施形態のpH判定装置10による測定pH値の補正処理について、上述した経時的変化に起因する測定誤差を解消するための補正処理を実施する際の流れについて、図11に示すフローチャートを用いて説明すれば以下の通りである。
すなわち、本実施形態のpH判定装置10では、図11に示すように、ステップS11において、装置を起動すると、補正処理が開始される。
次に、ステップS13において、ステップS12において取得された画像中に含まれるマスタチャート15の各色見15a〜15hの部分に対応する基準pH値を記憶しておく。なお、このステップS13は、このフローが開始される前の段階において、予め記憶部19に記憶されていてもよい。
次に、ステップS15において、実際にウェルプレート20の各ウェル20aに保持された細胞Cを含む培地のpH値を測定し、その測定結果を、ステップS14において算出された補正値を用いて補正する。
次に、ステップS16において、装置起動、あるいは前回補正処理から所定時間経過したか否かを判定する。ここで、所定時間が経過した場合には、再び、ステップS12〜ステップS15を繰り返すことで、最新の補正値を算出し、これを記憶部19に記憶させることで、常に、測定精度の高い状態を維持することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、pH判定装置に対して本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上述した制御フロー(図11参照)に従って実行されるpH判定方法をコンピュータに実行させるpH判定プログラムとして本発明を実施してもよい。
このpH判定プログラムが導入されたPC等によっても、上記pH判定装置10によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。
上記実施形態では、画像処理によって得られたマスタチャート15の各色見部分の色相をpH値に変換し、pH値を基準にして補正を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、テーブルを用いてpH値に変換する前の、L*(明度)、C*(彩度)、h(色相角度)からなるL*C*h表色系のh値(色相)を用いて測定pH値を補正してもよい。あるいは、h値(色相)以外の要素によって、測定pH値を補正してもよい。
上記実施形態では、細胞を入れる容器として、複数のウェル(凹部)20aを含むウェルプレート20を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
ただし、ウェルプレートのように複数のウェルに細胞を入れて細胞の成育状態を確認しながら細胞培養を行うことで、細胞の培養効率を向上させることができるという点では、上述した実施形態のように、複数箇所において細胞培養を行うことが可能な培養容器を用いることがより好ましい。
上記実施形態では、ウェルプレート20の複数のウェル(凹部)20aの配置間隔(ピッチ)と、マスタチャート15の各色の配置間隔とが、縦方向、横方向ともに同じになるように配置された例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、縦方向、横方向のいずれかのピッチが同じになるように配置された構成であってもよい。
上記実施形態では、ウェル(凹部)20aの数が、8列×6行の計48個のウェルプレート20を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ウェル数が24列×16行の384個の場合で、8種類の色見を使う場合は、図5における横方向にウェルプレートの24列を対応させ、横方向のウェルピッチと同じピッチで色見を作成し、図12(a)に示すように、ウェルプレート32の左から8列に対応させて色見31aを配置してもよい。
さらに、図12(d)および図12(e)に示す色見31d,31eのように、その幅をウェルの2ピッチや3ピッチに対応して作成し配置してもよい。
この場合でも、ウェルプレートの上方に配置されたカメラ等で画像を取得することで、ウェルの数に関わらず、効率よくpH判定を実施することができる。
上記実施形態では、テレセントリック光学系のレンズとして、フレネルレンズを用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、フレネルレンズの代わりに、他のテレセントリック性を有する光学系を用いてもよい。
上記実施形態では、筐体部11の内部に形成される暗室内において、pH判定を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、周囲の明るさに起因する測定誤差を考慮して、明るさが一定の室内において、pH判定を行ってもよい。
上記実施形態では、基準色表示部として、8色の基準色を示すマスタチャート15を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、マスタチャートが示す基準色の数は、8色に限らず、4色、6色あるいは12色等、8色より少なくても多くてもよい。
上記実施形態では、pHの変化を色の変化として認識するために、細胞が入れられた培地に添加されるpH指示薬として、フェノールレッドを用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、フェノールレッド以外にも、メチルオレンジ、フェノールフタレイン、リトマス等のpH指示薬を用いてもよい。
11 筐体部
12 取付台
12a 基台部
12b 支持部
12c 支柱
12d カメラ取付部
13 光源部
14 容器載置部
15 マスタチャート(基準色表示部)
16 フレネルレンズ(テレセントリック性を有する光学系)
17 カメラ(画像取得部)
18 制御部
20 ウェルプレート(容器)
20a ウェル(凹部)
20ba,20bb マスタチャート(色表示部)
31a,31b,31c,31d,31e マスタチャート
32 ウェルプレート
C 細胞
O フレネルレンズの光学的な中心
X ウェルプレートの寸法的な中心
L カメラの光学的な中心
Claims (20)
- 容器内のpH指示薬が付加された測定対象物のpHを画像処理によって判定するpH判定装置であって、
前記容器を上方から撮影して、前記測定対象物の部分を含む画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得される画像に前記容器とともに含まれるように前記容器の近傍に配置されており、前記測定対象物のpHによって変化する色の基準となる複数の色を示す基準色表示部と、
前記基準色表示部に含まれる各色ごとに対応する基準pH値を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された基準pH値と、前記画像取得部において取得された画像に基づいて算出された前記基準色表示部の各色の測定pH値との差から補正値を求め、前記補正値を用いて前記測定pH値を補正する制御部と、
を備えているpH判定装置。 - 前記制御部は、基準となる前記画像取得部によって取得された画像を用いて算出された前記基準色表示部の各色の測定pH値と、装置ごとの測定pH値との差から補正値を求め、前記補正値を用いて、装置ごとの前記測定pH値を補正する、
請求項1に記載のpH判定装置。 - 前記制御部は、起動時ごとあるいは所定時間経過ごとに、前記補正値を更新し、更新後の前記補正値を用いて、前記測定pH値を補正する、
請求項1に記載のpH判定装置。 - 前記容器は、前記基準色表示部の特定の色に対応する色表示部を有しており、
前記制御部は、基準となる前記容器の前記色表示部の色に対応する測定pH値と、容器ごとの前記色表示部の色の測定pH値との差から補正値を求め、前記補正値を用いて前記容器ごとに測定pH値を補正する、
請求項1に記載のpH判定装置。 - 前記容器は、細胞を含む測定対象物が入れられる複数の凹部を有しており、
前記基準色表示部は、前記容器の複数の凹部が配列された間隔に対応するピッチで、各色が配置されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のpH判定装置。 - 前記制御部は、L*(明度)、C*(彩度)、h(色相角度)からなるL*C*h表色系のh値を用いて前記測定pH値を補正する、
請求項2から4のいずれか1項に記載のpH判定装置。 - 前記容器の下方に配置されており、前記容器に対して光を照射する光源部と、
前記容器と前記画像取得部との間に配置されたテレセントリック性を有する光学系と、をさらに備えている、
請求項1から6のいずれか1項に記載のpH判定装置。 - 前記テレセントリック性を有する光学系は、前記画像取得部において前記容器と前記基準色表示部とを含む範囲の画像を取得できる位置に配置されており、その光学的な中心位置は、前記容器側にずれた位置に配置されている、
請求項7に記載のpH判定装置。 - 容器内のpH指示薬が付加された測定対象物のpHを画像処理によって判定するpH判定方法であって、
前記容器を上方から撮影して、前記測定対象物の部分を含む画像を取得する取得ステップと、
前記画像に前記容器とともに含まれるように前記容器の近傍に配置されており、前記測定対象物のpHによって変化する色の基準となる複数の色を示す基準色表示部に含まれる各色ごとに対応する基準pH値を記憶する記憶ステップと、
前記基準pH値と、前記画像に基づいて算出された前記基準色表示部の各色の測定pH値との差から補正値を求める補正値算出ステップと、
前記補正値を用いて前記測定pH値を補正する補正ステップと、
を備えているpH判定方法。 - 前記補正値算出ステップでは、基準となる前記画像取得部によって取得された画像を用いて算出された前記基準色表示部の各色の測定pH値と、装置ごとの測定pH値との差から補正値を求める、
請求項9に記載のpH判定方法。 - 前記補正値算出ステップでは、起動時ごとあるいは所定時間経過ごとに、前記補正値を更新し、
前記補正ステップでは、更新後の前記補正値を用いて、前記測定pH値を補正する、
請求項9に記載のpH判定方法。 - 前記容器は、前記基準色表示部の特定の色に対応する色表示部を有しており、
前記補正値算出ステップでは、基準となる前記容器の前記色表示部の色に対応する測定pH値と、容器ごとの前記色表示部の色の測定pH値との差から補正値を求める、
請求項9に記載のpH判定方法。 - 前記容器は、細胞を含む測定対象物が入れられる複数の凹部を有し、前記基準色表示部は、前記容器の複数の凹部が配列された間隔に対応するピッチで、各色が配置されており、
前記補正値算出ステップでは、前記基準色表示部と前記容器とを含む画像を用いて、同じピッチで測定箇所を検出しながらpH判定を行う、
請求項9から12のいずれか1項に記載のpH判定方法。 - 前記制御部は、L*(明度)、C*(彩度)、h(色相角度)からなるL*C*h表色系のh値を用いて前記測定pH値を補正する、
請求項10から12のいずれか1項に記載のpH判定方法。 - 容器内のpH指示薬が付加された測定対象物のpHを画像処理によって判定するpH判定方法をコンピュータに実行させるpH判定プログラムであって、
前記容器を上方から撮影して、前記測定対象物の部分を含む画像を取得する取得ステップと、
前記画像に前記容器とともに含まれるように前記容器の近傍に配置されており、前記測定対象物のpHによって変化する色の基準となる複数の色を示す基準色表示部に含まれる各色ごとに対応する基準pH値を記憶する記憶ステップと、
前記基準pH値と、前記画像に基づいて算出された前記基準色表示部の各色の測定pH値との差から補正値を求める補正値算出ステップと、
前記補正値を用いて前記測定pH値を補正する補正ステップと、
を備えたpH判定方法をコンピュータに実行させるpH判定プログラム。 - 前記補正値算出ステップでは、基準となる前記画像取得部によって取得された画像を用いて算出された前記基準色表示部の各色の測定pH値と、装置ごとの測定pH値との差から補正値を求める、
請求項15に記載のpH判定プログラム。 - 前記補正値算出ステップでは、起動時ごとあるいは所定時間経過ごとに、前記補正値を更新し、
前記補正ステップでは、更新後の前記補正値を用いて、前記測定pH値を補正する、
請求項15または16に記載のpH判定プログラム。 - 前記容器は、前記基準色表示部の特定の色に対応する色表示部を有しており、
前記補正値算出ステップでは、基準となる前記容器の前記色表示部の色に対応する測定pH値と、容器ごとの前記色表示部の色の測定pH値との差から補正値を求める、
請求項15に記載のpH判定プログラム。 - 前記容器は、細胞を含む測定対象物が入れられる複数の凹部を有し、前記基準色表示部は、前記容器の複数の凹部が配列された間隔に対応するピッチで、各色が配置されており、
前記補正値算出ステップでは、前記基準色表示部と前記容器とを含む画像を用いて、同じピッチで測定箇所を検出しながらpH判定を行う、
請求項15から18のいずれか1項に記載のpH判定プログラム。 - 前記制御部は、L*(明度)、C*(彩度)、h(色相角度)からなるL*C*h表色系のh値を用いて前記測定pH値を補正する、
請求項16から18のいずれか1項に記載のpH判定プログラム。
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