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JP2016034647A - プレス成形方法及びプレス成形装置 - Google Patents

プレス成形方法及びプレス成形装置 Download PDF

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JP2016034647A
JP2016034647A JP2012258671A JP2012258671A JP2016034647A JP 2016034647 A JP2016034647 A JP 2016034647A JP 2012258671 A JP2012258671 A JP 2012258671A JP 2012258671 A JP2012258671 A JP 2012258671A JP 2016034647 A JP2016034647 A JP 2016034647A
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Masaki Urabe
正樹 卜部
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Abstract

【課題】縦壁部に反りが発生せず、フランジ部の成形を円滑かつ設計通りの形状にすることができるプレス成形方法、及びプレス成形装置を得る。【解決手段】本発明に係るプレス成形方法は、天板部Cをパッドで押え、かつ縦壁部(縦壁部W1と縦壁部W2)の端部がフランジ部Fを成形する金型に当接しない状態で縦壁部(縦壁部W1と縦壁部W2)を成形し、成形された縦壁部(縦壁部W1と縦壁部W2)を金型によって挟持した状態でフランジ部Fを成形するフランジ部成形工程を有し、該フランジ部成形工程は、フランジ部Fと縦壁部(縦壁部W1と縦壁部W2)との境界となる屈曲部Rを成形するには、湾曲部11aが形成されている固定金型ブロック11を用いて行うことを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、平板状の被加工材を、天板部と該天板部に対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部と該縦壁部の先端部に該縦壁部に対して前記天板部と反対方向に屈曲するフランジ部とを備えた形状の成形品を成形するプレス成形方法及びプレス成形装置に関する。
金属板をプレス成形することにより、一度に天板、縦壁、フランジを持つハット断面を有する部品を製造することは一般的に行われている。
しかし、このようなプレス成形品を、高い精度を保って量産することは容易ではない。高い精度を保つのが困難となる主な原因は、プレス成形品を金型から取り出したときに発生するスプリングバック(弾性回復)と呼ばれる現象により、プレス成形品が金型と異なる形状に変形してしまうためである。
ハット断面形状の部品をプレス成形によって加工した場合の主なスプリングバック発生部位と発生状況は、パンチ底部の反り、パンチ底と縦壁の間の曲げ部の角度戻り、縦壁部の反り、そして縦壁部とフランジ部の間の曲げ部の角度戻りである。
曲げ部の角度戻りに関しては、例えば特許文献1に開示されているような有効な技術が開発されているが、縦壁の反りについては精度と低コストを両立するための十分な解決方法が提供されていなかった。
ハット型断面形状のプレス成形方法は大きく2つに分けられる。即ち、両側のフランジ部をしわ押さえ力により保持した状態で成形するドロー(絞り)成形と、中央の天板部を保持した状態で成形する曲げ成形である。ドロー成形は長手方向に形状変化を持つ場合にもしわの発生を抑えることが可能な反面、縦壁部分はダイ肩部分による曲げ戻しの加工履歴を持つため、金型から取り出した後に壁反りが発生しやすいという特性を持つ。特に高張力鋼板では伸び限界が低いため、しわ押え力を強くすると縦壁や肩部が破断し易くて、十分なしわ押さえ力を付与することが困難なため、この傾向が強い。
一方で、曲げ成形は長手方向の形状変化に弱い反面、金型で挟み込んだ領域で曲げ変形が発生することで、壁反りが比較的発生しにくいものの、ダイ肩で曲げられる部分だけでなく、その周辺部にも塑性曲げが発生してしまう。
このスプリングバックによる精度悪化を防ぐために、従来から様々な手法が開発されてきた。一般的には、例えば特許文献2に示されているように、まず縦壁とフランジの間を曲げ成形し、その後、縦壁とパンチ底の間を成形する方法がとられているが、これは2工程を要する方法であり、1工程よりも高い費用を要する。
また、特許文献3にはカムを用いる方法が開示されているが、縦壁部を成形する際に縦壁部を拘束しない自由な状態でフランジ部分をも曲げるため、3点曲げ状態となり、縦壁部に反りが発生するのを避けることはできない。
さらに、特許文献4においては、縦壁部に発生する反りを防止するために、縦壁部の成形時にはブランク材におけるフランジ部になる部位を拘束しないようにする技術が開示されている。
特開2009−262168号公報 特許4681420号公報 特許4746914号公報 特開2010−99700号公報
しかしながら、特許文献4に開示されたものは、特許文献4の図2および図3に示されるように、縦壁部を成形するポンチの下端部に外側に突出する張出し部を設けているので、縦壁部の成形時においてブランク材の端部がこの張出し部に当たり、3点曲げ状態になり、特許文献3と同様の反りの発生を完全に無くすることはできない。
他方、特許文献4における図6に示されたものは、ポンチの下端部に張出し部を設けておらず、張出し部があることによる縦壁部の反り発生は防止できる。
しかしながら、特許文献4における図6の場合には、雌型3の下端部におけるフランジ部と縦壁部との境界を成形する部位にはアール部が形成されているが、雌型3と協働してフランジ部を成形するブランクホルダ5におけるフランジ成形部位は平坦面になっているため、フランジ部を成形する際に、雌型3のアール部とブランクホルダ5の平坦部との間にわずかな隙間が生じ、この隙間が生ずることによって、場合によってはフランジ部を所望の形状に成形できない可能性があるという問題がある。また、縦壁部が垂直に近い角度の場合、ブランク材の先端がブランクホルダ5の平坦面に突き当たって座屈した形状になる問題もある。
なお、上記においては、成形品としてハット断面部材を例に挙げて説明したが、上記のような問題は、ハット断面部材に限らず、天板部と該天板部に対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部と該縦壁部の先端部に該縦壁部に対して前記天板部と反対方向に屈曲するフランジ部とを備えた形状の部品、例えばZ断面部材についても共通する問題である。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、天板部と該天板部に対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部と該縦壁部の先端部に該縦壁部に対して前記天板部と反対方向に屈曲するフランジ部とを備えた形状の部品の成形に際して、縦壁部に反りが発生せず、かつフランジ部の成形を円滑かつ所望の形状に成形することができるプレス成形方法、及びプレス成形装置を得ることを目的としている。
(1)本発明に係るプレス成形方法は、平板状の被加工材を、天板部と、該天板部に対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部と、該縦壁部の先端部に該縦壁部に対して前記天板部と反対方向に屈曲するフランジ部とを備えた形状の成形品を成形するプレス成形方法であって、
前記天板部をパッドで押え、かつ前記縦壁部の端部が前記フランジ部を成形する金型に当接しない状態で前記縦壁部を成形する縦壁部成形工程と、成形された縦壁部を金型によって挟持した状態で前記縦壁部との境界となる屈曲部と共に前記フランジ部を成形するフランジ部成形工程とを有し、
前記縦壁部を成形する下金型は平坦面からなり、前記フランジ部を成形する下金型は前記屈曲部を成形する湾曲部を備えてなることを特徴とするものである。
(2)本発明に係るプレス成形方法は、平板状の被加工材を、天板部と、該天板部に対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部と、該縦壁部の先端部に該縦壁部に対して前記天板部と反対方向に屈曲するフランジ部とを備えた形状の成形品を成形するプレス成形方法であって、
前記天板部をパッドで押え、かつ前記縦壁部の端部が前記フランジ部を成形する金型に当接しない状態で前記縦壁部を成形する縦壁部成形工程と、成形された縦壁部を金型によって挟持した状態で前記縦壁部との境界となる屈曲部と共に前記フランジ部を成形するフランジ部成形工程とを有し、
前記縦壁部を成形する下金型と前記フランジ部を成形する下金型とは、前記縦壁部を成形する下金型の下端部から前記フランジ部を成形する下金型にかけて、前記屈曲部を成形する湾曲部を備えてなることを特徴とするものである。
(3)本発明に係るプレス成形装置は、平板状の被加工材を、天板部と、該天板部に対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部と、該縦壁部の先端部に該縦壁部に対して前記天板部と反対方向に屈曲するフランジ部とを備えた形状の成形品を成形するプレス成形装置であって、
前記被加工材の前記天板部が載置される平坦面からなる頂部と、該頂部から下方に傾斜する傾斜部を有し、かつ上下方向に可動する可動雄型ブロックと、該可動雄型ブロックに載置された前記被加工材の前記天板部を押さえる板押えパッドと、前記可動雄型ブロックの脇に固定配置されて前記被加工材の前記フランジ部を成形する固定金型ブロックと、該固定金型ブロックの上方に上下動可能に配置されて前記可動雄型ブロックと協働して前記縦壁部を成形し、前記固定金型ブロックと協働して前記フランジ部および前記フランジ部と前記縦壁部との境界となる屈曲部を成形する可動雌型ブロックとを備えてなり、
前記可動雄型ブロックは、前記縦壁形部を成形する部位が平坦面からなり、前記固定金型ブロックは、前記屈曲部を成形する部位に湾曲部が形成されていることを特徴とするものである。
(4)本発明に係るプレス成形装置は、平板状の被加工材を、天板部と、該天板部に対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部と、該縦壁部の先端部に該縦壁部に対して前記天板部と反対方向に屈曲するフランジ部とを備えた形状の成形品を成形するプレス成形装置であって、
前記被加工材の前記天板部が載置される平坦面からなる頂部と、該頂部から下方に傾斜する傾斜部を有し、かつ上下方向に可動する可動雄型ブロックと、該可動雄型ブロックに載置された前記被加工材の前記天板部を押さえる板押えパッドと、前記可動雄型ブロックの脇に固定配置されて前記被加工材の前記フランジ部を成形する固定金型ブロックと、該固定金型ブロックの上方に上下動可能に配置されて前記可動雄型ブロックと協働して前記縦壁部を成形し、前記固定金型ブロックと協働して前記フランジ部および前記フランジ部と前記縦壁部との境界となる屈曲部を成形する可動雌型ブロックとを備えてなり、
前記固定金型ブロックは、前記屈曲部を成形する部位に湾曲部が形成されており、
前記可動雄型ブロックは、その下端部に、該可動雄型ブロックが下死点に移動したときに前記固定金型ブロックの前記湾曲部と連続する湾曲部が形成されていることを特徴とするものである。
本発明においては、縦壁部の端部がフランジ部を成形する金型に当接しない状態で縦壁部を成形し、かつフランジ部成形工程は、前記屈曲部を成形する下金型には湾曲部が形成されている金型を用いて行うようにしたので、縦壁部に反りが発生せず、フランジ部の成形を円滑かつ設計通りの形状にすることができる。
本発明の実施の形態に係るプレス成形装置の金型の立断面である。 本発明の実施の形態に係るプレス成形方法のプレス成形対象のハット断面部材について説明する説明図である。 図1のプレス成形装置の金型の一部を拡大して図示したものである。 本発明の実施の形態に係るプレス成形方法の流れを説明するための説明図である。 本発明の実施の形態に係るプレス成形方法における1工程を説明するための説明図である。 図3に示した金型の一部の他の態様について説明する説明図である(その1)。 図3に示した金型の一部の他の態様について説明する説明図である(その2)。 本発明の実施例における実験結果の評価方法について説明する説明図である。 本発明の実施例における実験結果について説明する説明図である。
[プレス成形装置]
本実施の形態にかかるプレス成形装置1について図1〜図3に基づいて説明する。
プレス成形装置1について説明する前に、まず、プレス成形対象の一例としてのハット断面部材3について説明する。ハット断面部材3は、図2に示すように、天板部Cと、天板部Cの両側の部分が天板部Cに対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部(縦壁部W1および縦壁部W2)と、各縦壁部の先端部に各縦壁部に対して天井板Cと反対方向に屈曲するフランジ部Fとを備えている。
天板部Cと縦壁部W1およびと縦壁部W2との間の部分はアール部になっている(肩部S)。また、縦壁部W1とフランジ部Fおよび縦壁部W2とフランジ部Fとの間の部分もアール部になっている(屈曲部R)。なお、図2に示す例においては、縦壁部W1の傾斜角度(縦壁部W1と垂線とのなす角度)をα1、縦壁部W2の傾斜角度(縦壁部W2と垂線とのなす角度)をα2とすると、α1<α2という関係となっており、縦壁部W1よりも縦壁部W2の開きが大きく、すなわち縦壁部W1よりも縦壁部W2の傾斜がなだらかになるように設定されている。
次に、プレス成形装置1について説明する。
本実施の形態のプレス成形装置1は、図1に示すように、被加工材としての金属板5の天板部Cが載置される平坦面からなる頂部7aと頂部7aから下方に傾斜する傾斜部7bを有し、かつ上下方向に可動する可動雄型ブロック7と、可動雄型ブロック7に載置された金属板5の天板部Cを上方から押さえる板押えパッド9と、可動雄型ブロック7の両脇に固定配置されて金属板5のフランジ部Fを成形する固定金型ブロック11と、固定金型ブロック11の上方に上下動可能に配置されて可動雄型ブロック7と協働して縦壁部(縦壁部W1、縦壁部W2)を成形し、固定金型ブロック11と協働してフランジ部Fおよび屈曲部Rを成形する可動雌型ブロック13とを備えている。
上記各構成を以下に詳細に説明する。
<可動雄型ブロック>
可動雄型ブロック7の頂部7aと傾斜部7bとの境界部には、ハット断面部材3の肩部Sを成形するアール部7cが設けられている。
可動雄型ブロック7は、図示しない油圧シリンダ等によって支持されており、板押えパッド9と金属板5を挟持した状態で所定圧以上の圧力で押されると下降する。
可動雄型ブロック7の下部の幅は両脇に配置されている固定金型ブロック11の間に挿入可能な幅に設定されており、可動雄型ブロック7は下降することで両脇の固定金型ブロック11の間に挿入される。
<板押さえパッド>
板押えパッド9は可動雄型ブロック7の上方に配置され、上下動可能になっている。板押えパッド9の下面側は平面になっており、該平面は可動雄型ブロック7の頂部7aと協働して金属板5を挟持する板押さえ面9aになっている。金属板5の挟持された部分は、プレス成形後におけるハット断面部材3の天板部Cになる。
なお、板押えパッド9によって金属板5を押え付ける圧力は、可動雄型ブロック7が下降を開始する圧力よりも小さい圧力になるように設定されている。
<固定金型ブロック>
固定金型ブロック11の上面には、可動雄型ブロック7側に設けられて、固定金型ブロック11の立断面において約1/4円弧からなる湾曲部11aと、湾曲部11aに続く水平面からなりフランジ部Fを成形する平面部11bとを有している(図3参照)
<可動雌型ブロック>
可動雌型ブロック13は、可動雄型ブロック7の傾斜部7bと対向する傾斜部13aと固定金型ブロック11の上面に対向する下面部13bとを有している。
可動雌型ブロック13の傾斜部13aと下面部13bとの間には固定金型ブロック11の湾曲部11aと金属板5を挟圧することで、ハット断面部材3の屈曲部Rを成形するためのアール部13cが設けられている。
他方、傾斜部13aの上端部には、傾斜部13aの上端部から続くアール部からなり、可動雄型ブロック7のアール部7cと金属板5を挟圧することで、ハット断面部材3の肩部Sを成形するためのアール部13dが設けられている。
[プレス成形方法]
以上のように構成された本実施のプレス成形装置1を用いてプレス成形する方法の一例を、プレス成形装置1の動作と共に、図4に基づいて説明する。図4はプレス成形装置1を用いたプレス成形を、コンピュータを用いたプレス成形解析によってシミュレーションした際の図である。図4中に示す金型等(板押えパッド9、可動雄型ブロック7、固定金型ブロック11、可動雌型ブロック13)は板状で図示しているがこれらは解析の都合上簡略化したものである。また、可動雌型ブロック13は2つに分離しているが、1つの部材からなるものとしてもよい。
図4(a)はプレス成形前の状態を示している。図4(a)において可動雄型ブロック7は固定金型ブロック11の上方に配置されている。金属板5は、板押えパッド9の板押さえ面9aと可動雄型ブロック7の頂部7aで挟持されている。
また、可動雌型ブロック13は金属板5の上方に位置している。
図4(a)に示す状態から、可動雌型ブロック13を下降させると、金属板5に可動雌型ブロック13の下端部が当接しながら下降し、金属板5は可動雄型ブロック7のアール部7cに沿うように曲げられる(図4(b)参照)。
さらに可動雌型ブロック13を下降させて、可動雄型ブロック7と可動雌型ブロック13とで金属板5を挟圧する。こうすることで、可動雄型ブロック7のアール部7cと可動雌型ブロック13のアール部13dとでハット断面部材3の肩部Sが成形され、可動雌型ブロック13の傾斜部13aと可動雄型ブロック7の傾斜部7bとで縦壁部W1および縦壁部W2が成形される(縦壁部成形工程)。この際、縦壁部W1および縦壁部W2は、可動雄型ブロック7の傾斜部7bと可動雌型ブロック13の傾斜部13aとで挟持されている。
この状態における図4中右側の金属板5の端部近傍を図5に拡大して示す。図5において、金属板5の端部(縦壁部W1の端部)は固定金型ブロック11に当接していない。なお、図5は図4中右側の金属板5の端部のみを図示したものであるが、図4中左側の金属板5の端部(縦壁部W2の端部)も同様に固定金型ブロック11に当接していない。
このように、縦壁部W1、縦壁部W2を成形する際に、金属板5の端部は固定金型ブロック11に当接せず、縦壁部W1および縦壁部W2が3点曲げ状態にならない。従って、成形後に縦壁部W1および縦壁部W2に壁反りが発生することがない。
次に、板押えパッド9、可動雄型ブロック7および可動雌型ブロック13を一体にしたまま下降させて(図5中の矢印を参照)、金属板5の端部を固定金型ブロック11に押し当てることで、可動雌型ブロック13のアール部13cに沿って金属板5が曲がりはじめる(図4(c)参照)。
なお、金属板5における縦壁部W1、縦壁部W2の傾斜が急で、例えば直角に近いような場合には、金属板5の端部が固定金型ブロック11に突き当った際に座屈することが考えられるが、本実施の形態の固定金型ブロック11の上面には、図3に示すように、湾曲部11aが形成されており、縦壁部W1、縦壁部W2の傾斜が急な場合には、金属板5の端部は湾曲部11aに突き当り、金属板5の端部が外方に開くようにガイドされるため、金属板5を座屈させることなくスムーズに外方に曲げることができる。
さらに、板押えパッド9、可動雄型ブロック7および可動雌型ブロック13が下降して下死点に達すると、固定金型ブロック11の湾曲部11aと可動雌型ブロック13のアール部13c、および固定金型ブロック11の平面部11bと可動雌型ブロック13の下面部13bとで金属板5が挟圧される。こうすることで、ハット断面部材3の屈曲部Rとフランジ部Fが成形される(フランジ部成形工程、図4(d)参照)。
このとき、上述したとおり、縦壁部W1および縦壁部W2は、可動雄型ブロック7の傾斜部7bと可動雌型ブロック13の傾斜部13aとで挟持されているため、フランジ部Fの成形に伴う応力が縦壁部W1および縦壁部W2に作用することがなく、縦壁部W1および縦壁部W2にスプリングバック発生の要因を与えることがない。
また、ハット断面部材3の屈曲部Rは、固定金型ブロック11の湾曲部11aと可動雌型ブロック13のアール部13cで挟圧されて成形されるため、設計形状通りの屈曲部Rにすることができる。
この、屈曲部Rを固定金型ブロック11の湾曲部11aと可動雌型ブロック13のアール部13cで挟圧して成形することの効果について、より詳細に以下に説明する。
ハット断面部材3のフランジ部を成形する特許文献1に記載されるような一般的な金型においては、上金型には可動雌型ブロック13のアール部13cと同様のアール部が形成されているが、下金型は平坦面となっている。そのため、上金型が下死点に達した状態でも、上金型のアール部と下金型との間にはわずかな隙間が発生する。
このような隙間が発生する場合、金属板が「引張り曲げ」の状態になっていればそれなりに上金型のアール部に沿うことも考えられるが、「引張り曲げ」の状態になっていなければ、金属板は上金型のアール部に沿わず、上金型と下金型の間の隙間において、なりゆき任せで曲げられることになる。
このため、金属板の形状や配置のばらつきによって、金属板の端部が下金型に突き当る位置が変化し、この位置の変化で金属板に作用する応力も変動し、金属板を金型から取り出した際に発生するスプリングバックも種々のものとなり、その結果、成形品の形状(屈曲部Rの曲り角度)にばらつきが発生する。
また、金属板に作用する応力変化は、金属板の機械的特性が変動する場合にも生ずるので、金属板の機械的特性がばらつく場合にも成形品の形状にばらつきが発生することになる。
また、上金型のアール部と下金型との間に隙間が発生する場合、金属板は上金型のアール部よりも小さいアール(R)で曲げられることになり、特に高強度鋼板などの変形能の低い金属板では材料の変形限界を超え、曲げ部での亀裂の発生に至る危険も存在する。
さらに、縦壁部の角度が垂直に近い場合、金属板の先端が下金型の平坦面に突き当たって座屈した形状になる危険もある。
これに対して、本実施の形態の金型では、屈曲部Rを成形する際に、固定金型ブロック11の湾曲部11aと可動雌型ブロック13のアール部13cで金属板5を挟圧しており、金属板5と金型との間に隙間が生ずることがないので、上記のような問題が発生することがなく、設計形状通りの屈曲部Rにすることができ、屈曲部Rの曲げ角度が高精度に実現できる。
以上のように、本実施の形態に係るプレス成形方法によれば、縦壁部(縦壁部W1と縦壁部W2)とを成形する際は、金属板5の端部が固定金型ブロック11やその他の部位に当接せずフリーな状態であるため、縦壁部(縦壁部W1と縦壁部W2)に3点曲げ力が作用することがない。そのため、成形後において縦壁部(縦壁部W1と縦壁部W2)に壁反りが発生することがない。
また、ハット断面部材3の屈曲部Rは、固定金型ブロック11の湾曲部11aと可動雌型ブロック13のアール部13cで挟圧されて成形されるため、屈曲部Rの形状がばらつくことなく設計形状通りの屈曲部Rにすることができる。
なお、可動雌型ブロック13は板押えパッド9と一体化してもよい。
あるいは板押えパッド9を用いずに、可動雌型ブロック13の上部を板押さえ側に張り出した形状にして、該張り出し部で金属板5を押さえるようにしても構わない。この場合も、上記の構成と同様に、可動雌型ブロック13は上下に可動するように設けられる。
また、可動雌型ブロック13に下向き荷重を掛けて可動雌型ブロック13と可動雄型ブロック7との間に金属板5を挟んだ状態においても、図5に示すように、金属板5の端部が固定金型ブロック11から離れた状態で待機するようにする。
可動雄型ブロック7にプレス荷重を付与する方法としては、例えば、金型内に油圧シリンダ又はガスシリンダなどの加圧装置を組み込んでプレス荷重を付与する方法や、プレス機に付帯する加圧装置(ダイクッション)を用いてプレス荷重を付与する方法等がある。
また、上下に移動する金型(可動雄型ブロック7、可動雌型ブロック13)には、各々所定の下死点位置まで移動した後はそれ以上移動しないようにするストッパーを設けて、各々所定の下死点において十分なプレス荷重がかかる構造とすることが望ましい。
なお、縦壁部W1および縦壁部W2は可動雄型ブロック7と可動雌型ブロック13で挟圧する際に、必ずしも可動雄型ブロック7の傾斜部7bや、可動雌型ブロック13の傾斜部13aが、金属板5と全面で接触している必要はない。しかし本発明の効果を十分に発揮させるためには、少なくとも、縦壁部(縦壁部W1、縦壁部W2)の屈曲部Rの近傍を拘束することが好ましい。
なお、上記の構成では、固定金型ブロック11の湾曲部11aの形状は断面が1/4円弧からなるものとしたが、湾曲部11aの頂部を形成することが金型加工上困難である場合には、図6に示すように、湾曲部11aの頂部を切除したような形状にしてもよい。
また、上記では、ハット断面部材3の屈曲部Rを成形する下金型の部位として湾曲部11aを固定金型ブロック11のみに設けた例を示したが、ハット断面部材3の屈曲部Rを成形する部位が複数の金型に跨るように設けてもよい。
例えば、図7に示すように、ハット断面部材3の屈曲部Rを成形する部位として、可動雌型ブロック13の下死点状態において、固定金型ブロック11の湾曲部11aと連続するような湾曲部7cを可動雄型ブロック7の下端部に設けてもよい。すなわち、可動雄型ブロック7と固定金型ブロック11は、可動雄型ブロック7の下端部から固定金型ブロック11にかけて、ハット断面部材3の屈曲部Rを成形する湾曲部を備えている。
こうすることによって、金属板5を下降させる際に金属板5の端部が固定金型ブロック11に突き当たって金属板5の座屈や金型の損傷が発生する可能性を低減させることができる。
なお、図7に示す例は、前記1/4円弧の半分を固定金型ブロック11に、残りの半分を可動雄型ブロック7にそれぞれ設け、可動雄型ブロック7の湾曲部7dと固定金型ブロック11の湾曲部11aとが連続した状態で、1/4円弧になるようにしている。この場合、可動雄型ブロック7の下死点状態で、両円弧を完全に連続させることが金型加工上困難である場合にはいずれかあるいは双方の円弧の境界部分を面取りしてもよい。
また、上記では、可動雄型ブロック7が可動式で、固定金型ブロック11が固定式であったが、例えば、可動雄型ブロック7に相当する金型を固定式にして、固定金型ブロック11に相当する金型を可動式にしてもよい。つまり、ハット断面部材3の各部位を成形する各金型のうち、どの金型を可動式にするのか、あるいは固定式にするのかはさほど重要ではなく、可動式にする金型と固定式にする金型との相対位置関係が重要である。
上述した例の場合(可動雄型ブロック7に相当する金型を固定式にして、固定金型ブロック11に相当する金型を可動式にする場合)、図4(a)に示すように、金属板5を板押えパッド9と可動雄型ブロック7で挟持した状態で、可動雌型ブロック13を下降させて、金属板5を折り曲げてハット断面部材3の肩部Sと縦壁部W1および縦壁部W2を成形した後、固定金型ブロック11に相当する可動式金型を上昇させることで、フランジ部Fおよび屈曲部Rを成形するようにする。
なお、この場合には可動雌型ブロック13を所定の下死点位置で静止させ、その後に可動式のフランジ成形する金型ブロックを別途制御する必要があり、そのための装置を金型内部に組み込むか、このような制御が可能なプレス成形装置1を使用するか、あるいはこれらの併用が必要となる。
本発明のプレス成形方法およびプレス成形装置1による作用効果について確認するための具体的な実験を行ったので、その結果について以下に説明する。
実験は、図2に示すハット断面部材3をプレス成形の対象として、有限要素解析によりプレス成形解析を行い、次いでスプリングバック解析を行い、壁反りの発生具合を確認するというものである。
ハット断面部材3の屈曲部Rの半径は5mm、10mm、15mmの3通りとした。金属板5は板厚が1.2mm、引張強度が980MPa級の冷延鋼板とした。
また、板押えパッド9の板押さえ荷重は1tonf、可動雄型ブロック7の上昇荷重は10tonfとした。
金型は、上記実施の形態で説明した図3のタイプA(可動雄型ブロック7の縦壁部が平坦で固定金型ブロック11に湾曲部11aがあるもの)、図6のタイプB(タイプAの固定金型ブロック11の湾曲部11aの頂部を切削したもの)および図7のタイプC(可動雄型ブロック7と固定金型ブロック11の双方に半分ずつ湾曲部を設けたもの)の3種類を用いた。タイプAを用いたプレス成形解析を発明例1、タイプBを用いたプレス成形解析を発明例2、タイプCを用いたプレス成形解析を発明例3とする。
また、比較例として、従来のプレス成形方法である縦壁部とフランジを同時に成形するもの(比較例1)および、特許文献4の図2に示された平坦なブランクホルダー(固定金型ブロック11)を用いるプレス成形方法(比較例2)のそれぞれでプレス成形解析を行った。
壁反りの評価方法について説明する。壁反りは、図8の縦壁部W1と屈曲部R近傍の拡大図に示すように、ハット断面部材3の軸線方向(ハット断面に直交する方向)中央部の断面において、縦壁部W1と屈曲部Rとの境界点a、点aから縦壁部W1に沿って肩部R方向に30mm離れた点b、および点aと点bの中間点cの3点の座標から計算される3点間曲率(m-1)で評価した。この縦壁反り曲率が小さいほど縦壁反りが小さく良好な結果である。図8は例として、点a、点c、点bが一直線上にある理想的な状態(壁反りが全くない状態)を示しており、この場合、縦壁反り曲率は0m-1である。縦壁部W2についても縦壁部W1と同様の評価をした。
なお、有限要素法のソフトウエアにはLSTC社製のLS−DYNAバージョン971を用いた。プレス成形解析には動的陽解法を用い、スプリングバック解析には静的陰解法を用いた。
図9に各プレス成形解析後のスプリング解析結果を示す。図9は、プレス成形解析の種類毎(発明例1〜発明例3、比較例1、比較例2)に、屈曲部Rの半径毎の縦壁部W1および縦壁部W2の壁反り曲率を棒グラフで示したものである。図9において、横軸がプレス成形毎の屈曲部Rの半径を示し、縦軸が壁反り曲率(m-1)を示している。また、各棒グラフの上方にそれぞれの棒グラフの値を表す数字を記載している。
図9に示す通り、比較例1のプレス成形方法における縦壁部W1の壁反り曲率は、いずれの屈曲部Rの半径でも8.9m-1以上であった。縦壁部W2の壁反り曲率は、屈曲部Rの半径が5mmの場合で4.8m-1であり、屈曲部Rの半径が大きくなるにつれて壁反り曲率がさらに大きくなっている。
比較例2の場合は、比較例1の場合と比較していずれの屈曲部Rの半径の場合においても改善されているが、屈曲部Rの半径が大きくなるにつれて悪化する傾向がみられる。
また、比較例1および比較例2を見ると、縦壁部W2よりも開きが小さい縦壁部W1の方が、壁反り曲率が大きくなっている。
一方、発明例1、発明例2および発明例3を見ると、すべての屈曲部Rの半径の場合において壁反り曲率は1.0m-1以下、特に発明例3の屈曲部Rの半径15mm以外ではほぼ0m-1であり、比較例1および比較例2と比較して壁反りが著しく改善されていることが分かる。
以上のように、本発明のプレス成形方法によれば、屈曲部Rの形状を設計通りの形状に成形するとともに、縦壁部W1および縦壁部W2に壁反りを生ずることなくハット断面部材3をプレス成形することが実証できた。
なお、上記実施の形態および実施例では、プレス成形対象をハット断面部材3(図2参照)としたが、本発明に係るプレス成形方法では、天板部と該天板部に対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部と該縦壁部の先端部に該縦壁部に対して天板部と反対方向に屈曲するフランジ部とを備えた形状に適用できる。このような形状の例としては、天板部と天板部に続く1つの縦壁部と、該縦壁部に続くフランジ部とを備えた形状(Z断面形状)がある。
C 天板部
W1、W2 縦壁部
F フランジ部
S 肩部
R 屈曲部
1 プレス成形装置
3 ハット断面部材
5 金属板
7 可動雄型ブロック
7a 頂部
7b 傾斜部
7c アール部
7d 湾曲部
9 板押えパッド
9a 板押さえ面
11 固定金型ブロック
11a 湾曲部
11b 平面部
13 可動雌型ブロック
13a 傾斜部
13b 下面部
13c アール部
13d アール部

Claims (4)

  1. 平板状の被加工材を、天板部と、該天板部に対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部と、該縦壁部の先端部に該縦壁部に対して前記天板部と反対方向に屈曲するフランジ部とを備えた形状の成形品を成形するプレス成形方法であって、
    前記天板部をパッドで押え、かつ前記縦壁部の端部が前記フランジ部を成形する金型に当接しない状態で前記縦壁部を成形する縦壁部成形工程と、成形された縦壁部を金型によって挟持した状態で前記縦壁部との境界となる屈曲部と共に前記フランジ部を成形するフランジ部成形工程とを有し、
    前記縦壁部を成形する下金型は平坦面からなり、前記フランジ部を成形する下金型は前記屈曲部を成形する湾曲部を備えてなることを特徴とするプレス成形方法。
  2. 平板状の被加工材を、天板部と、該天板部に対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部と、該縦壁部の先端部に該縦壁部に対して前記天板部と反対方向に屈曲するフランジ部とを備えた形状の成形品を成形するプレス成形方法であって、
    前記天板部をパッドで押え、かつ前記縦壁部の端部が前記フランジ部を成形する金型に当接しない状態で前記縦壁部を成形する縦壁部成形工程と、成形された縦壁部を金型によって挟持した状態で前記縦壁部との境界となる屈曲部と共に前記フランジ部を成形するフランジ部成形工程とを有し、
    前記縦壁部を成形する下金型と前記フランジ部を成形する下金型とは、前記縦壁部を成形する下金型の下端部から前記フランジ部を成形する下金型にかけて、前記屈曲部を成形する湾曲部を備えてなることを特徴とするプレス成形方法。
  3. 平板状の被加工材を、天板部と、該天板部に対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部と、該縦壁部の先端部に該縦壁部に対して前記天板部と反対方向に屈曲するフランジ部とを備えた形状の成形品を成形するプレス成形装置であって、
    前記被加工材の前記天板部が載置される平坦面からなる頂部と、該頂部から下方に傾斜する傾斜部を有し、かつ上下方向に可動する可動雄型ブロックと、該可動雄型ブロックに載置された前記被加工材の前記天板部を押さえる板押えパッドと、前記可動雄型ブロックの脇に固定配置されて前記被加工材の前記フランジ部を成形する固定金型ブロックと、該固定金型ブロックの上方に上下動可能に配置されて前記可動雄型ブロックと協働して前記縦壁部を成形し、前記固定金型ブロックと協働して前記フランジ部および前記フランジ部と前記縦壁部との境界となる屈曲部を成形する可動雌型ブロックとを備えてなり、
    前記可動雄型ブロックは、前記縦壁形部を成形する部位が平坦面からなり、前記固定金型ブロックは、前記屈曲部を成形する部位に湾曲部が形成されていることを特徴とするプレス成形装置。
  4. 平板状の被加工材を、天板部と、該天板部に対して屈曲して縦方向に延びる縦壁部と、該縦壁部の先端部に該縦壁部に対して前記天板部と反対方向に屈曲するフランジ部とを備えた形状の成形品を成形するプレス成形装置であって、
    前記被加工材の前記天板部が載置される平坦面からなる頂部と、該頂部から下方に傾斜する傾斜部を有し、かつ上下方向に可動する可動雄型ブロックと、該可動雄型ブロックに載置された前記被加工材の前記天板部を押さえる板押えパッドと、前記可動雄型ブロックの脇に固定配置されて前記被加工材の前記フランジ部を成形する固定金型ブロックと、該固定金型ブロックの上方に上下動可能に配置されて前記可動雄型ブロックと協働して前記縦壁部を成形し、前記固定金型ブロックと協働して前記フランジ部および前記フランジ部と前記縦壁部との境界となる屈曲部を成形する可動雌型ブロックとを備えてなり、
    前記固定金型ブロックは、前記屈曲部を成形する部位に湾曲部が形成されており、
    前記可動雄型ブロックは、その下端部に、該可動雄型ブロックが下死点に移動したときに前記固定金型ブロックの前記湾曲部と連続する湾曲部が形成されていることを特徴とするプレス成形装置。
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