以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳述する。なお以下において、適宜、頂点を複数有する微小突起を多峰性微小突起と呼び、頂点が1つのみの微小突起を単峰性の微小突起と呼ぶ。また以下において、単に微小突起と呼称する場合は単峰性微小突起及び多峰性微小突起の両方を包含するものとする。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置を示す図(概念斜視図)である。この画像表示装置100は、液晶表示装置であり、バックライト装置101、液晶表示パネル102が順次配置される。ここでバックライト装置101は、エッジライト型、直射型等、種々の構成を広く適用することができる。液晶表示パネル102は、液晶セル103を直線偏光板104及び105により挟持して構成される。また液晶セル103は、液晶材料による液晶層110を、透明電極を作製したガラス基板111、112により挟持して形成される。画像表示装置100では、この液晶表示パネル102の出射面にフィルム状の反射防止物品である反射防止フィルム1が配置される。
ここで直線偏光板104及び105は、それぞれ保護層として機能する透明フィルム材である基材107及び108により直線偏光板としての機能を担う光学機能層(いわゆる偏光子である)106を挟持して形成される。この実施形態では、これらの直線偏光板104及び105のうちの、出射面側直線偏光板105においては、出射面側基材108が、反射防止フィルム1の基材2を兼用するように構成されて、反射防止フィルム1が直線偏光板と一体化して作製され、これにより全体の構成を簡略化すると共に、全体の厚みを薄くすることができるように構成される。なお反射防止フィルム1は、直線偏光板と別体に作製するようにしてもよい。
ここで反射防止フィルム1は、透明フィルムの形状(形態)の基材2の表面に多数の微小突起5、5A、5Bを密接配置して作製される。ここで基材2は、例えばTAC(Triacetylcellulose)、等のセルロース(纖維素)系樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等のアクリル系樹脂、PET(Polyethylene terephthalate)等のポリエステル系樹脂、PP(ポリプロピレン)等のポリオレフィン系樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)等のビニル系樹脂、PC(Polycarbonate)等の各種透明樹脂フィルムを適用することができる。なお反射防止フィルム1が画像表示装置に使用される場合は、基材2にはTACやアクリルが好ましく用いられる。
反射防止フィルム1は、基材2上に、微小突起群からなる微細な凹凸形状の受容層となる未硬化状態の樹脂層(いわゆる賦型用樹脂層であり、適宜、受容層とも呼ぶ)4を形成し、該受容層4を賦型処理して硬化せしめ、これにより基材2の表面に微小突起が密接して配置される。この実施形態では、この受容層4に、賦型処理に供する賦型用樹脂の1つであるアクリレート系紫外線硬化性樹脂が適用され、基材2上に紫外線硬化性樹脂層により受容層4が形成される。反射防止フィルム1は、この微小突起による凹凸形状により厚み方向に徐々に屈折率が変化するように作製され、モスアイ構造の原理により広い波長範囲で入射光の反射を低減する。またこれによりこの反射防止フィルム1は、微小突起5の密接配置による微小突起層5Xが形成され、この微小突起層5Xを基材2の上に保持する中間保持層が、受容層4による賦型用樹脂層により構成されることになる。
なお反射防止フィルム1は、必要に応じて、この中間保持層である受容層4の密着力を強化する下地層(基材側中間保持層である)が、中間保持層の基材2側形成される。このような中間保持層としては、基材2と受容層4に係る樹脂材料との密着力を強化することが可能な各種の材料層を広く適用でき、例えば紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂などが適用される。紫外線硬化樹脂を用いる場合は、ハーフキュア処理などもよく適用される。ここで基材側中間保持層と微小突起側中間保持層の屈折率差が大きいと、基材側中間保持層と微小突起側中間保持層における層間反射が大きくなるため、この屈折率差はなるべく小さいことが好ましく、屈折率差は0.03より小さいことがと好ましい。また基材2にPETフィルム等による透明フィルム材を適用する場合には、基材側中間保持層を設けるようにして、さらにこの基材側中間保持層の基材側に、密着力を強化し、かつ界面反射を軽減するように屈折率を調整した易接着層が設けられる。
さらにこの実施形態において、受容層4の作製に供する紫外線硬化性樹脂には、光拡散粒子8が混入される。ここでこの光拡散粒子8は、この反射防止物品において、反射防止に供する最短波長に比して十分に大きく、透過光を散乱可能な大きさにより作製され、その結果、微小突起5の付け根部分より各段に大きな大きさにより構成される。より具体的に、光拡散粒子は、粒径2μm以上、10μm以下により構成される。
さらにこの実施形態では、符号Aにより部分的に拡大して示すように、この受容層4による中間保持層において、この光拡散粒子8が基材2側に偏析するように、すなわち基材2側では光拡散粒子の粒子間距離が相対的に短く、基材2から遠ざかるに従って徐々に粒子間距離が長くなって、微小突起5側では相対的に粒子間距離が長くなるように作成される。これによりこの実施形態では、この中間保持層において、基材2に近い側に、光拡散粒子を備えた光拡散層4Bが作製される。また光拡散粒子8を備えた微小突起の賦型処理に供する賦型用樹脂層によりこの中間保持層を構成するようにして、この賦型用樹脂層において、基材2側で光拡散粒子8の粒子間距離が相対的に短くなって光拡散層4Bが形成され、微小突起5側で光拡散粒子の粒子間距離が相対的に長くなって、透過光の散乱を抑圧する光透過層4Aが形成される。なおこのように光拡散粒子8の偏析により光拡散層4B及び光透過層4Aを作製することにより、この実施形態では、基材2から遠ざかるに従って徐々に粒子間距離が長くなって、光拡散層4Bと光透過層4Aとはその境界が明確に把握できないように構成されるものの、符号Bにより示すように、光拡散層4Bと光透過層4Aとの境界を明確に把握できるように構成してもよい。なおこのように構成する場合には、光拡散層4Bに係る塗工液を塗工した後、光拡散層4Bとは同一又は異なる樹脂材料による光拡散粒子を混入していない光透過層4Aに係る塗工液を塗工することにより、又は光拡散層4Bに係る塗工液を塗工して硬化させた後、光拡散層4Bとは同一又は異なる樹脂材料による光拡散粒子を混入していない光透過層4Aに係る塗工液を塗工することにより、光拡散層B、光透過層4Aを積層して作成することができる。
このように光拡散層4Bを設ける場合には、この光拡散層4Bにより、内部反射光の発生源に近い側で内部反射光を散乱させることができることにより、効率良く内部反射光を散乱させて内部反射による映り込みを低減することができる。また光拡散層により映り込みを低減するようにして、表面にモスアイ構造が形成されていることにより、十分に光拡散層により内部反射光を散乱させるようにしても、その結果発生する散乱光の最表面における反射、散乱を低減することができる。これにより光拡散層に係る光拡散粒子を多量に混入して内部反射による映り込みを効率良く低減して、ヘイズ値の劣化による表示画面の白味等を有効に回避することができる。
より具体的に、実験した結果によれば、それぞれヘイズ値38%、42%、59%の光拡散層を備えたフィルム材を基材2に適用して微小突起を作製して反射防止フィルムを作製したところ、それぞれヘイズ値は20%、25%、30%と成り、微小突起5を設けることにより、ヘイズ値を格段に小さくすることが確認された。このようなヘイズ値の減少は、微小突起を設けていない場合には、光拡散層により拡散された拡散光が、フィルム材の表面で反射したり拡散したりすることにより、光拡散層による内部ヘイズ値に比して、フィルム材として実測されるヘイズ値が大きくなるのに対し、微小突起を配置した場合には、このような表面での反射、拡散が低減されることにより、内部ヘイズ値にほぼ等しい値によるヘイズ値がフィルム材により計測されるものと考えられる。これにより効率良く内部反射による映り込みを低減することができ、さらにこの内部反射光の拡散により映り込みを防止することによる表示画面が白味を帯びる等の現象を実用上十分に抑圧することができる。なおこれらフィルム材による実験においては、微小突起を配置することによる正面反射率は、何れも0.18%であり、内部反射光を散乱させるようにしても、十分にモスアイ構造により反射率を低減できることが確認された。なおこのように内部反射光を拡散させる場合には、モスアイ構造のフィルム材を画像表示パネルのパネル面に配置して発生する表示画面のぎらつきについても、十分に抑圧することができる。
ここでこのような内部反射による映り込みの低減効果を確保するためには、十分に内部反射光を散乱させることが必要であるものの、散乱の程度が大きすぎると、表示画面が白味がかって観察されることにより、却って視認性が劣化することになる。そこで光拡散粒子8は、光拡散層4Bに対して重量比により2割以上、5割以下、添加される。またこのように添加量を設定しても、光拡散層4Bの厚みが薄い場合には、十分に透過光を拡散し得ず、映り込みが発生するのに対し、光拡散層4Bの厚みが厚い場合には、透過光の拡散が過ぎることになる。これによりこの実施形態において、中間保持層4は厚み5μm以上、50μm以下により構成される。なお符号Bにより示す構成においては、光拡散層4Bが厚み5μm以上、50μm以下により構成される。また光拡散粒子にあっては、受容層を構成する樹脂材料に対して屈折率の異なるアクリル系やスチレン系等の樹脂材料、シリカに代表される白色の材料等、種々の材料を広く適用することができる。
このようにして光拡散層4Bを作製することにより、反射防止フィルム1においては、直線偏光板に係る光学機能層106、基材108を設けない状態でヘイズ値が10以上、50以下により作製される。なおこのヘイズ値は好ましくは20以上40以下である。なおヘイズ値が低い場合には、内部反射の映り込みをぼかす効果が弱く、ヘイズ値が高いと白っぽさが目立ってくることになる。
〔微小突起の形状〕
反射防止フィルム1では、単峰性微小突起と多峰性微小突起5A、5Bとが混在するように設定される。ここで多峰性微小突起5A、5Bは、頂点を複数有する微小突起であり、単峰性微小突起は、頂点が1つのみの微小突起である。これによりこの実施形態では、反射防止物品の耐擦傷性を向上する。
すなわち図2は、この多峰性微小突起5A、5B及び単峰性微小突起の説明に供する図である。なおこの図2は、理解を容易にするために模式的に示す図であり、図2(a)は、連続する微小突起の頂点を結ぶ折れ線により断面を取って示す図である。この図2(b)及び(c)において、xy方向は、基材2の面内方向であり、z方向は微小突起の高さ方向である。
反射防止フィルム1において、多くの微小突起5は、基材2より離れて頂点に向かうに従って徐々に断面積(高さ方向に直交する面(図2においてXY平面と平行な面)で切断した場合の断面積)が小さくなって、頂点が1つにより作製される。しかしながら中には、複数の微小突起が結合したかのように、先端部分に溝gが形成され、頂点が2つになったもの(5A)、頂点が3つになったもの(5B)、さらには頂点が4つ以上のもの(図示略)を存在させることができる。単峰性微小突起5の形状は、概略、回転放物面の様な頂部の丸い形状、或いは円錐の様な頂点の尖った形状で近似することができる。一方、多峰性微小突起5A、5Bの形状は、概略、単峰性微小突起5の頂部近傍に溝状の凹部を切り込んで、頂部を複数の峰に分割したような形状で近似される。
このような頂点を複数有する多峰性微小突起は、単峰性微小突起に比して、頂点近傍の寸法に対する裾の部分の太さが相対的に太く、多峰性微小突起に比して周長が長い。これにより、多峰性微小突起は、単峰性微小突起に比して機械的強度が優れていると言える。これにより頂点を複数有する多峰性微小突起が存在する場合、反射防止物品では、単峰性微小突起のみによる場合に比して耐擦傷性が向上することになる。具体的に反射防止物品に外力が加わった場合、単峰性微小突起のみの場合に比して、外力をより多くの頂点で分散して受ける為、各頂点に加わる外力を低減し、微小突起が損傷し難いようにすることができ、これにより反射防止機能の局所的な劣化を低減し、さらに外観不良の発生を低減することができる。また仮に微小突起が損傷した場合でも、その損傷個所の面積を低減することができる。更に、多峰性微小突起は、外力を先ず各峰部分が受止めて犠牲的に損傷することによって、該多峰性微小突起の峰より低い本体部分、及び該多峰性微小突起よりも高さの低い微小突起の損耗を防ぐことができる。これによっても反射防止機能の局所的な劣化を低減し、さらに外観不良の発生を低減することができる。
なお多峰性微小突起は、その存在により耐擦傷性を向上できるものの、充分に存在しない場合には、この耐擦傷性を向上する効果を十分に発揮できないことは言うまでもない。係る観点より、表面に存在する全微小突起中における多峰性微小突起の個数の比率は10%以上とすることが望まれる。特に多峰性微小突起による耐擦傷性を向上する効果を十分に奏する為には、該多峰性微小突起の比率は30%以上、好ましくは50%以上であることが望まれる。又、多峰性微小突起の比率を増やすに伴い製造工程の管理の難度が増す為、当該比率は好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下とする。またこのように単峰性微小突起の存在比率を設定することにより、スティッキングを生じ難くすることができ、その結果、スティッキングによる特性の劣化を有効に回避することができる。またさらに単峰性微小突起と多峰性微小突起とを混在させる場合には、アスペクト比の異なる単峰性微小突起を混在させた場合と同様に、広い波長帯域で反射率を低減することができる。
なおアスペクト比とは、微小突起の高さHを谷底における径W(幅又は太さと言う事もできる)で除した比、H/Wとして定義される。ここで、谷底における径とは、微小突起の谷底近傍の形状が円柱であれば、該円柱の(底面の)直径と一致する。微小突起の谷底近傍形状が円柱では無く、谷底を連ねた仮想的平面と微小突起とが交叉して得られる底面の径の大きさが面内方向によって異なる場合は、その最大値を該微小突起の径とする。例えば、微小突起の底面形状が楕円の場合は、径はその長径となる。又、微小突起の底面形状が多角形の場合は、径はその最大の対角線長となる。又、谷底部(高さの極小点からなる領域)の幅が径に比べて小さく2割以下の場合には、各微小突起のアスペクト比H/Wの平均値(H/W)aveは、設計上は実質、Have/daveと見做すことができる。
図3は、頂点が複数の微小突起を示す写真であり、図3(a)は、AFMによるものであり、図3(b)及び(c)は、SEMによるものである。図3(a)では、溝g及び3つの頂点を有する微小突起、及び溝g及び2つの頂点を有する微小突起(2峰の多峰性微小突起)を見て取ることができ、図3(b)では、溝g及び4つの頂点を有する微小突起(4峰の多峰性微小突起)、及び溝g及び2つの頂点を有する微小突起を見て取ることができ、図3(c)では、溝g及び3つの頂点を有する微小突起(3峰の多峰性微小突起)、溝g及び2つの頂点を有する微小突起を見て取ることができる。
[隣接突起間距離]
反射防止フィルム1に作製される微小突起は、隣接する微小突起の間隔dが、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長Λmin以下(d≦Λmin)となるように密接して配置される。この実施形態では、画像表示パネルに配置して視認性を向上させることを主目的とするため、この最短波長は、個人差、視聴条件を加味した可視光領域の最短波長(380nm)に設定され、間隔dは、ばらつきを考慮して100〜300nmとされる。またこの間隔dに係る隣接する微小突起は、いわゆる隣り合う微小突起であり、基材2側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。反射防止フィルム1では微小突起が密接して配置されることにより、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作製すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。間隔dに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
なお微小突起に関しては、より詳細には以下のように定義される。モスアイ構造による反射防止では、透明基材表面とこれに隣接する媒質との界面における有効屈折率を、厚み方向に連続的に変化させて反射防止を図るものであることから、微小突起に関しては一定の条件を満足することが必要である。この条件のうちの1つである突起の間隔に関して、例えば特開昭50−70040号公報、特許第4632589号公報等に開示のように、微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合、隣接する微小突起の間隔dは、突起配列の周期P(d=P)となる。これにより可視光線帯域の最長波長をλmax、最短波長をλminとした場合に、最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、Λmin=λmaxであるため、P≦λmaxとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminであるため、P≦λminとなる。
なお波長λmax、λminは、観察条件、光の強度(輝度)、個人差等にも依存して多少幅を持ち得るが、標準的には、λmax=780nm及びλmin=380nmとされる。これらにより可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、d≦300nmであり、より好ましい条件は、斜め方向(基材2表面の法線に対して45度以上に角度をなす方向)から見た場合の白濁感を低減させる点から、d≦200nmとなる。なお反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、周期dの下限値は、通常、d≧50nm、好ましくは、d≧100nmとされる。これに対して突起の高さHは、十分な反射防止効果を発現させる観点より、H≧0.2×λmax=156nm(λmax=780nmとして)とされる。
しかしながらこの実施形態のように、微小突起が不規則に配置されている場合には、隣接する微小突起間の間隔dはばらつきを有することになる。より具体的には、図4に示すように、基材の表面又は裏面の法線方向から見て平面視した場合に、微小突起が一定周期で規則正しく配列されていない場合、突起の繰り返し周期Pによっては隣接突起間の間隔dは規定し得ず、また隣接突起の概念すら疑念が生じることになる。そこでこのような場合、以下のように算定される。
(1)すなわち先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope(以下、AFMと呼ぶ))又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope(以下、SEMと呼ぶ))を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。なお図4は、実際に原子間力顕微鏡により求められた拡大写真である。AFMのデータには微小突起群の高さの面内分布データを付随するため、この写真は輝度により高さの面内分布を示す写真であると言える。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と呼ぶ)を検出する。ここで極大点とは、高さが、其の近傍周辺の何れの点と比べても大(極大値)となる点を意味する。なお極大点を求める方法としては、(a)平面視形状の拡大写真上における平面座標とこれと対応する断面形状から求めた高さデータとを逐次対比して極大点を求める方法、(b)AFMで得られた基材上の平面座標における高さ分布データを2次元画像化してなる平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。図4はAFMによる拡大写真(画像濃度が高さに対応する)であり、図5は、図4に示した拡大写真に係る画像データの処理による極大点の検出結果を示す図であり、この図において黒点により示す個所がそれぞれ各突起の極大点である。なおこの処理では4.5×4.5画素のガウシアン特性によるローパスフィルタにより事前に画像データを処理し、これによりノイズによる極大点の誤検出を防止した。また8画素×8画素による最大値検出用のフィルタを順次スキャンすることにより1nm(=1画素)単位で極大点を求めた。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作製する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図6は、図5から求められるドロネー図(白色の線分により表される図である)を図5による原画像と重ね合わせた図である。ドロネー図は、ボロノイ図(Voronoi diagram)と双対の関係に有る。またボロノイ分割とは、各隣接母点間を結ぶ線分(ドロネー線)の垂直2等分線同士によって画成される閉多角形の集合体からなる網状図形で平面を分割することを言う。ボロノイ分割により得られる網状図形がボロノイ図であり、各閉領域がボロノイ領域である。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(以下、隣接突起間距離と呼ぶ)の度数分布を求める。図7は、図6のドロネー図から作製した度数分布のヒストグラムである。なお図4において符号5A及び5Bにより示すように、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作製する。
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している多峰性微小突起に係る微細構造においては、このような微細構造を備えてい無い単峰性微小突起の場合の数値範囲から、隣接極大点間距離が明らかに大きく異なることになる。これによりこの特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば図4に示すような微小突起(群)の平面視の拡大写真から、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性微小突起を選んで、その隣接極大点間距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに小さい方向に外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接極大点間距離平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。図7の例では、隣接極大点間距離が56nm以下のデータ(矢印Aにより示す左端の小山)を除外する。なお図5は、このような除外する処理を行う前の度数分布を示すものである。因みに上述の極大点検用のフィルタの設定により、このような除外する処理を実行してもよい。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離dの度数分布から平均値dAVG及び標準偏差σを求める。ここでこのようにして得られる度数分布を正規分布とみなして平均値dAVG及び標準偏差σを求めると、図7の例では、平均値dAVG=158nm、標準偏差σ=38nmとなった。これにより隣接突起間距離dの最大値を、dmax=dAVG+2σとし、この例ではdmax=234nmとなる。
なお同様の手法を適用して突起の高さを定義する。この場合、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。図8は、このようにして求められる突起付け根位置を基準(高さ0)とした突起高さHの度数分布のヒストグラムを示す図である。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値HAVG、標準偏差σを求める。ここでこの図8の例では、平均値HAVG=178nm、標準偏差σ=30nmである。これによりこの例では、突起の高さは、平均値HAVG=178nmとなる。なお図8に示す突起高さHのヒストグラムにおいて、多峰性微小突起の場合は、頂点を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが混在することになる。そこでこの場合は麓部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。また麓部を共有する全峰が同一高さの場合は、其の同一の高さを以って該微小突起の高さとする。
なお上述した突起の高さを測る際の基準位置は、隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、例えば後述するように、谷底の高さが微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でウネリを有する場合において、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合は、(1)先ず、基材2の表面又は裏面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が收束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを持ち、基材2の表面又は裏面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
突起が不規則に配置されている場合には、このようにして求められる隣接突起間距離の最大値dmax=dAVG+2σ、突起の高さの平均値HAVGが、規則正しく配置されている場合の上述の条件を満足することが必要であることが判った。具体的には、反射防止効果を発現する微小突起間距離の条件は、dmax≦Λminとなる。最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最短限の条件は、Λmin=λmaxであるため、dmax≦λmaxとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminであるため、dmax≦λminとなる。そして、可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、dmax≦300nmであり、更に好ましい条件は、dmax≦200nmである。また反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、通常、dmax≧50nmであり、好ましくは、dmax≧100nmとされる。また突起高さについては、十分な反射防止効果を発現する為には、HAVG≧0.2×λmax=156nm(λmax=780nmとして)とされる。しかしながら実用上十分な程度に反射防止機能を確保する観点からは、平均突起間距離daveを、dave≦λminとしても良い。
因みに、図4〜図8の例により説明するとdmax=234nm≦λmax=780nmとなり、dmax≦λmaxの条件を満足して十分に反射防止効果を奏し得ることが判る。また可視光線帯域の最短波長λminが380nmであることから、可視光線の全波長帯域において反射防止効果を発現する十分条件dmax≦λminも満たすことが判る。またdave≦dmaxであることから、dave≦λminの条件も満足していることが判る。また平均突起高さHAVG=178nmであることにより、平均突起高さHAVG≧0.2×λmax=156nmとなり(可視光波長帯域の最長波長λmax=780nmとして)、十分な反射防止効果を実現するための突起の高さに関する条件も満足していることが判る。なお標準偏差σ=30nmであることから、HAVG−σ=148nm<0.2×λmax=156nmとの関係式が成立することから、統計学上、全突起の50%以上、84%以下が、突起の高さに係る条件(178nm以上)の条件を満足していることが判る。なおAFM及びSEMによる観察結果、並びに微小突起の高さ分布の解析結果から、多峰性微小突起は相対的に高さの低い微小突起よりも高さの高い微小突起でより多く生じる傾向にあることが判明した。
なお上述の図7、図8の計測結果は、隣接突起間距離の説明に供するための測定結果であり、この実施形態に係る計測結果とは異なるものである。
〔高さ分布〕
ここで、反射防止物品上に形成される多峰性の微小突起は、上述の可視光域に係る入射光に対する反射防止機能を向上させるために、以下の条件を満たすようにして形成される必要がある。
図9は、反射防止物品に形成される微小突起の高さhの度数分布の例を示す図である。図9に示すように、微小突起の高さhの度数分布における高さの平均値をmとし、標準偏差をσとし、h<m−σの領域を微小突起の低高度領域とし、m−σ≦h≦m+σの領域を中高度領域とし、m+σ<hの領域を高高度領域とした場合に、各領域内の多峰性の微小突起の数Nmと、度数分布全体における微小突起の総数Ntとの比率が、以下の(a)、(b)の関係を満たすように作製される。
(a)中高度領域のNm/Nt>低高度領域のNm/Nt
(b)中高度領域のNm/Nt>高高度領域のNm/Nt
図10は、この実施形態に係る反射防止物品の高さの計測結果を示す図である。この図13において、微小突起の高さの平均値がm=145.7nmであり、その標準偏差がσ=22.1nmである。ここで、微小突起の高さhの度数分布において、低高度領域は、h<m−σ=123.6nmとなり、中高度領域は、m−σ=123.6nm≦h≦m+σ=167.8nmとなり、高高度領域は、h>m+σ=167.8nmとなる。
度数分布全体の微小突起の総数Ntは、263個である。また、中高度領域の多峰性の微小突起の数Nmは、23個であるので、中高度領域のNm/Ntは、0.087となる。低高度領域の多峰性の微小突起の数Nmは、2個であるので、低高度領域のNm/Ntは、0.008となる。高高度領域の多峰性の微小突起の数Nmは、5個であるので、高高度領域のNm/Ntは、0.019となる。
従って、本実施例の反射防止物品は、上述の(a)、(b)の関係、すなわち、
(a)中高度領域のNm/Nt=0.087>低高度領域のNm/Nt=0.008
(b)中高度領域のNm/Nt=0.087>高高度領域のNm/Nt=0.019
を満足する。
このように中高度領域における多峰性の微小突起の数(Nm)と度数分布における微小突起の総数(Nt)との比率(Nm/Nt)が、低高度領域及び高高度領域の比率よりも大きくなるように多峰性の微小突起を形成することにより可視光域に係る入射光に対する反射率を低減することができ、反射防止物品の反射防止機能の広帯域化を図ることができる。
また、この反射防止物品は、このような高さ分布において、多峰性の微小突起(頂点数が2つ及び3つのものをそれぞれ二峰、三峰により示す)についても、ほぼ高さの平均値が一致した正規分布とすることができるので、視野角特性を制限すると共に、光学干渉による虹ムラを抑制し、視聴者にとって低反射かつ視覚上好ましい画面を作ることができる。また、効率良く多峰性の微小突起の耐擦傷性を向上させることができる。
更に、上述の構成にすることによって、反射防止物品は、高さが高い(180nm以上)微小突起に分布する多峰性の微小突起の比率が小さく、単峰性の微小突起の比率が多いので、他の物体が微小突起に摩擦接触したとしても、高さの高い単峰性の微小突起が先に接触することとなり、反射防止機能を主に向上させる多峰性の微小突起に接触してしまうのを抑制することができる。
なお、これら多峰性の微小突起の特徴は、賦型用金型の対応する形状を備えた微細穴により作製される多峰性の微小突起の固有の特徴であり、特開2012−037670号公報に開示の樹脂の充填不良により生じる多峰性微小突起によっては得ることができない特徴である。すなわち樹脂の充填不良による多峰性の微小突起は、本来、単峰性の微小突起として作製される微細穴に十分に樹脂が充填されないことにより作製されるものであるので、頂点間の間隔が極めて微小であり、これにより耐擦傷性を十分に向上することが困難であり、また上述したような光学特性の向上も困難である。
また、充填不良による多峰性の微小突起にあっては、再現性が乏しく、これにより均一な製品を量産できない欠点もあり、これに対して、この実施形態に係る多峰性の微小突起は、いわゆる金型により高い再現性を確保することができる。また、上述の実施例について詳述するように、多峰性の微小突起の高さ分布について制御できるのに対し、充填不良の多峰性の微小突起については、このような制御が困難である。
〔製造工程〕
図11は、この反射防止フィルム1の製造工程を示す図である。この製造工程10は、樹脂供給工程において、ダイ11により帯状フィルム形態の基材2に受容層4を構成する未硬化で液状のアクリレート系紫外線硬化性樹脂を塗布する。なおこれらの塗工液の塗布については、ダイ11による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いてこの製造工程10は、受容層4に係る塗工液をレベリング処理、乾燥処理する。この実施形態では、このレベリング処理において、重力により光拡散粒子8が偏析して光拡散層4B及び光透過層4Aを構成することができるように、塗工液を塗布した側が基材2の上側となるように工程が設定されると共に、塗工液に係る溶剤量、レベリング工程の時間が設定される。続いてこの工程は、押圧ローラ14により、反射防止物品の賦型用金型であるロール版13の周側面に基材2を加圧押圧し、これにより基材2に未硬化状態で液状の紫外線硬化性樹脂を密着させると共に、ロール版13の周側面に作製された微細な凹凸形状の凹部に紫外線硬化性樹脂を充分に充填する。この製造工程は、この状態で、紫外線の照射により紫外線硬化性樹脂を硬化させ、これにより基材2の表面に微小突起群を作製する。この製造工程は、続いて剥離ローラ15を介してロール版13から、硬化した紫外線硬化性樹脂と一体に基材2を剥離する。製造工程10は、必要に応じてこの基材2に粘着層等を作製した後、所望の大きさに切断して反射防止フィルム1を作製する。これにより反射防止フィルム1は、ロール材による長尺の基材2に、賦型用金型であるロール版13の周側面に作製された微細形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。なお図1において符号Bにより示すように、光拡散層4Bと光透過層4Aとを積層により作製する場合には、それぞれ塗工液を塗布する工程が設けられ、必要に応じて硬化工程が追加される。また基材側中間保持層を配置する場合には、ダイ11による塗工液の塗工前に、この基材側中間保持層に係る塗工液を塗布して乾燥や硬化等する工程が設けられる。また易接着層を設ける場合、事前に基材2に易接着層を作製する工程が設けられる。
このようにして基材2の一方の面に微小突起5を作製した後、製造工程は、基材2の他方の面を鹸化処理した後、光学機能層106、基材107が順次設けられ、これにより基材2を兼用して直線偏光板と一体化される。
〔ロール版作製工程〕
図12は、ロール版13の構成を示す斜視図である。ロール版13は、円筒形状の金属材料である母材の周側面に、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、微細な凹凸形状が作製され、この微細な凹凸形状が基材2に賦型される。このためロール版13は、少なくとも周側面に純度の高いアルミニウム層が設けられた円柱形状又は円筒形状の部材が母材に適用される。より具体的に、この実施形態では、母材に中空のステンレスパイプが適用され、直接に又は各種の中間層を介して、純度の高いアルミニウム層が、谷底の包絡面9に対応する曲面形状により設けられる。なおステンレスパイプに代えて、銅やアルミニウム等のパイプ材等を適用してもよい。ロール版13は、陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより、母材の周側面に微細穴が密に作製され、この微細穴を掘り進めると共に、開口部に近付くに従ってより大きな径となるようにこの微細穴の穴径を徐々に拡大して凹凸形状が作製される。これによりロール版13は、深さ方向に徐々に穴径が小さくなる微細穴が密に作製され、反射防止フィルム1には、この微細穴に対応して、頂部に近付くに従って徐々に径が小さくなる多数の微小突起により微細な凹凸形状が作製される。
図13は、ロール版13の製造工程を示す図である。この製造工程は、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の周側面を超鏡面化する(電解研磨)。
アルミニウム層形成工程において、母材の周側面にアルミニウムをスパッタリングし、純度の高いアルミニウム層を作製する。続いてこの工程は、陽極酸化工程A1、…、AN、エッチング工程E1、…、ENを交互に繰り返して母材を処理し、ロール版13を作製する。
より具体的に、この製造工程において、陽極酸化工程A1、…、ANでは、陽極酸化法により母材の周側面に微細な穴を作製し、さらにこの作製した微細な穴を掘り進める。ここで陽極酸化工程では、例えば負極に炭素棒、ステンレス板材等を使用する場合のように、アルミニウムの陽極酸化に適用される各種の手法を広く適用することができる。また溶解液についても、中性、酸性の各種溶解液を使用することができ、より具体的には、例えば硫酸水溶液、シュウ(蓚)酸水溶液、リン酸水溶液等を使用することができる。この製造工程A1、…、ANは、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微細な穴をそれぞれ目的とする深さ及び微小突起形状に対応する形状に作製する。
続くエッチング工程E1、…、ENは、母材をエッチング液に浸漬し、陽極酸化工程A1、…、ANにより作製、掘り進めた微細な穴の穴径をエッチングにより拡大し、深さ方向に向かって滑らか、かつ徐々に穴径が小さくなるように、これら微細な穴を整形する。なおエッチング液については、この種の処理に適用される各種エッチング液を広く適用することができ、より具体的には、例えば硫酸水溶液、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液等を使用することができる。これらによりこの製造工程では、陽極酸化処理とエッチング処理とを交互にそれぞれ複数回実行することにより、賦型に供する微細穴を母材の周側面に作製する。尚、陽極酸化処理で用いたシュウ酸水溶液等の陽極酸化処理液自体は、電圧を印加することなく、母材に接触させればエッチング液として機能する。従って、陽極酸化処理液とエッチング液とを同じ液とし、同液を入れた槽中に母材を浸漬したまま、順次、所定時間所定電圧を印加することで陽極酸化処理を行い、電圧無印加で所定時間浸漬することによってエッチング処理を行うこともできる。
〔陽極酸化処理、エッチング処理の詳細〕
図14は、このような単峰性微小突起と多峰性微小突起とを混在させる場合について、図13における陽極酸化処理、エッチング処理を詳細に示す図である。ここで陽極酸化処理の印加電圧と作製される微細穴のピッチとは比例関係である。しかしながら実際上、処理に供するアルミニウムの粒界等により微細穴のピッチは種々にばらつく。但し、この図14においては、このようなばらつきが無いものとして、また微細穴が規則正しい配列により作製されるものとして説明する。なお図14(a)〜(e)は、それぞれ各工程により作製される微細穴を平面視した図、及びa−a線により切り取って示す対応する断面図である。
ここで始めにこの実施形態では、低い印加電圧V1により第1の陽極酸化処理を実行した後、エッチング処理(以下、適宜、第1工程と呼ぶ)を実行し、これにより図14(a)に示すように、この低い印加電圧V1に係る基本ピッチによる微細穴f1を作製する。ここでこの第1の陽極酸化処理は、アルミニウム層の表面に、後続する陽極酸化のきっかけを作製するものである。なおこの場合、必要に応じてこの第1工程のエッチング処理を省略してもよい。
続いてこの実施形態では、第1の陽極酸化時より高い印加電圧V2(V2>V1)により第2の陽極酸化処理を実行した後、エッチング処理を実行する(以下、適宜、第2工程と呼ぶ)。ここでこの場合、図14(b)に示すように、印加電圧を上昇させたことにより、第1の陽極酸化処理により作製された微細穴f1のうち、この第2の陽極酸化処理に係る印加電圧に対応する微細穴のみ深さ方向に掘り進められ(符号f2により示す)、エッチング処理されることになる。これによりこの第2の工程により、例えば2段階により印加電圧を可変すれば、深さの異なる分布を呈する微細穴を混在させることができる。
続いてこの実施形態では、第2の陽極酸化時より高い印加電圧V3(V3>V2)により第3の陽極酸化処理を実行した後、エッチング処理を実行する(以下、適宜、第3工程と呼ぶ)(図14(c))。ここでこの第3工程は、ピッチの異なる微細穴を作製するための工程である。このためこの工程では、第2の陽極酸化工程における印加電圧V2から徐々に印加電圧を上昇させる。ここでこの印加電圧の上昇を離散的に(段階的に)実行すると、微小突起の高さ分布を離散的に設定することができ、深さの分布が異なる微細穴を混在させることができる。またこの印加電圧の上昇を連続的に変化させると、深さ分布を正規分布に設定することができる。
さらにこの第3の工程において、陽極酸化に係る特定電圧の印加時間、エッチング処理の時間が、第1、第2工程よりも長く設定され、これにより符号f3により示すように、第1工程、第2工程で作製された微細穴f1、f2を飲み込むように、これら微細穴f1、f2と合体して底部の略平坦な微細穴が作製される。
続いてこの実施形態では、第3の陽極酸化時より高い印加電圧V4(V4>V3)により第4の陽極酸化処理を実行した後、エッチング処理を実行する(以下、適宜、第4工程と呼ぶ)(図14(d))。ここでこの第4工程は、目的とする突起間間隔によるピッチにより微細穴を作製するための工程であり、これによりこの印加電圧V4はこのピッチに対応する電圧である。この第4工程において、印加電圧を上昇させることにより、第3工程により大きく掘り進められた微細穴の一部がさらに一段と掘り進められて、この掘り進められた微細穴が単峰性微小突起に対応する微細穴f4となる。
続いてこの実施形態では、第1工程における印加電圧V1により第5の陽極酸化処理を実行した後、エッチング処理を実行する(図14(e))。ここでこの第5の工程において、第3工程により底面が平坦面とされた微細穴であって、第4の工程の陽極酸化処理の影響を受けていない微細穴について、底面に微細な穴が複数個形成され、これにより多峰突起用の微細穴f5が作製される。ここでこの第5工程の印加電圧V1の大きさを調整することによって、底面に形成される微細な穴f5の数を増やしたり、減らしたりすることができる。
ここでこの一連の工程では、第1及び第2の工程により作製された深さの異なる微細穴f1、f2を、第3の工程で掘り進めて底面の略平坦な微小突起f3を作製し、第4の工程において、単峰性微小突起に係る微細穴を作製し、また第5の工程において、底面が平坦な微小突起f3の底面を加工して単峰性微小突起に係る微細穴を作製していることにより、これら第1〜第4の工程に係る陽極酸化処理の印加電圧、処理時間、エッチング処理の処理時間等を制御して各工程で作製される微細穴の深さ等を制御することにより、微小突起の高さの分布、多峰性微小突起の高さの分布を制御することができる。なおこれら第1〜第5の工程は、必要に応じて省略したり、繰り返したり、工程を一体化してもよいことは言うまでも無い。
なおこの実施形態では、高さ分布を上述したように正規分布の特性とすることにより、陽極酸化工程とエッチング工程とを5回繰り返すようにして、第1回目の陽極酸化工程の印加電圧をV1(15V〜35Vの範囲の一定電圧である)とし、第2回目、第3回目、第4回目、第5回目の陽極酸化工程の印加電圧をそれぞれ2V1、3.5V1、5V1、V1とした。なお陽極酸化処理は、濃度0.02Mのシュウ酸水溶液を使用して100秒実施した。エッチング工程は、濃度0.02Mのシュウ酸水溶液を使用して45秒間エッチング処理した後、濃度1.0Mのリン酸水溶液を使用して110秒間エッチング処理した。
以上の構成によれば、中間保持層の基材2側に光拡散層4Bを設けることにより、内部反射による映り込みを防止することができる。
またこの中間保持層を、光拡散粒子を備えた賦型用樹脂層により構成するようにして、この賦型用樹脂層において、基材側で光拡散粒子の粒子間距離が相対的に短くなって光拡散層を形成するようにし、微小突起側で光拡散粒子の粒子間距離が相対的に長くなって光透過層を形成することにより、賦型用樹脂層に混入した光拡散粒子の偏析により、又は同一又は異なる樹脂による光拡散層と光透過層との積層により、中間保持層を作製して、内部反射による映り込みを従来に比して一段と低減することできる。
また光拡散層と前記基材との間に、さらに基材側中間保持層を設けることにより、基材と賦型用樹脂層との密着力を強化することが可能な各種の材料層を適用して反射防止フィルムを構成して、内部反射による映り込みを従来に比して一段と低減することできる。
またこのような反射防止フィルムを直線偏光板と一体化することにより、微小突起に係る基材を直線偏光板に係る基材と共用化して構成を簡略化することができる。
〔第2実施形態〕
図15は、図1との対比により本発明の第2実施形態に係る反射防止物品を示す図である。この反射防止物品21は、中間保持層4の受容層(微小突起側中間保持層)6に代えて下地層7(基材側中間保持層)に光拡散粒子が混入され、これにより受容層6に代えて下地層7が光拡散層として機能する。この反射防止物品21は、この光拡散層に関する構成が異なる点を除いて、第1実施形態に係る反射防止フィルム1と同一に構成される。
なおこれによりこの反射防止物品21においては、光拡散層に係る光拡散粒子の粒径、混入量が、第1実施形態に係る反射防止フィルム1と同一に設定されて、下地層7により受容層6と基材2との密着力を充分に確保できるように、かつこの下地層7が光拡散層として十分に機能して内部反射による映り込みを防止できるように、厚み1μm以上、30μm以下、より好ましくは5μm以上、15μm以下により作製される。
この第2実施形態のように、中間保持層が基材側中間保持層と微小突起側中間保持層との積層体である場合に、この基材側中間保持層に光拡散粒子を混入して光拡散層を形成するようにしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。またこの場合、基材と賦型用樹脂層との密着力を強化することが可能な各種の材料層を適用して基材側中間保持層を構成する場合に、この基材側中間保持層への光拡散粒子の混入により光拡散層を形成することができる。
またこのようにして反射防止フィルムを構成するようにして、反射防止フィルムを直線偏光板と一体化することにより、微小突起に係る基材を直線偏光板に係る基材と共用化して構成を簡略化することができる。
〔比較検討結果〕
図16は、実施例の検討結果を示す図表である。この図16において、比較例は、上述の第1実施形態の構成において、光拡散粒子の混入を中止した構成であり、光拡散層を設けない構成である。より具体的に比較例においては、基材2に厚み80μmのTACフィルムを適用した。またペンタエリスリトールトリアクリレート又はイソホロンジイソシアネートを溶剤により希釈して塗工液を作製し、この塗工液の塗布、乾燥、硬化により厚み1μmによる下地層を作製した。またポリエチレングリコールジアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの70wt%及び30wt%による混合物、又はポリエチレングリコールジアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの70wt%及び30wt%による混合物を溶剤により希釈し、シリコーンオイル系の重合性樹脂に係る受容層の塗工液を作製し、この塗工液を塗工、乾燥、賦型処理して微小突起を作製するようにして受容層を厚み40〜50μmにより作製した。
従ってこの比較例では、微小突起層のみが作製されていることになり、この微小突起層のみによるヘイズ値は、0.50、反射率は、0.14%であった。
また実施例1、実施例2、実施例3は、上述の第1実施形態の構成であり、比較例1の構成において、受容層の塗工液に光拡散微粒子を混入して光拡散粒子の偏析により光拡散層を作製した構成である。実施例1〜3は、この塗工液中の光拡散粒子と樹脂の重量比がそれぞれ10%、15%、20%に設定され、これにより光拡散層のみのヘイズ値が38.0、42.0、59.0%に設定された。なおこの光拡散層のみのヘイズ値は、賦型処理することなく受容層を硬化させて計測した。なお混入した光拡散粒子は、アクリル系樹脂によるものであり、粒径は2μm〜6μmであった。
比較例では、内部反射により輪郭がシャープな映り込みが見て取られ、この映り込みにより表示画面の品位の劣化が知覚された。しかしながら実施例1〜3では、完全には映り込みを防止することができないまでも、映り込んだ対象物及びその輪郭がぼやけて観察され、これにより映り込みによる品位の劣化が格段的に低減することが確認された。図16においては、この評価を「小」により示す。
なおこの対象物及び輪郭のぼけ具合にあっては、光拡散微粒子とその周囲の樹脂との屈折率差や光拡散微粒子のサイズ、P/V比、光拡散層厚み等で調整することができる。ヘイズ値が強すぎると画面が白味を帯びて観察されるものの、この実施例1〜3の範囲においては、十分に映り込みを低減することができ、これら実施例1〜3で最も好適な構成あっては、ユーザーによる好みにより異なる所であり、この実施例1〜3の範囲は、ユーザに依存する範囲である。
なおこの図16による評価結果においては、ヘイズ値にあっては、十分に小さな値が得られており、また透過率にあっても、十分に大きな値が得られており、これらにより何ら実用に問題の無いことが判る。また反射率にあっても、0.4%以下であることにより、最表面での反射による正面物体の映り込みついても十分に防止できることが判る。
これらによりこれら実施例によれば、十分に映り込みを低減できることが判る。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更し、さらには従来構成と組み合わせることができる。
すなわち上述の実施形態では、基材の上に下地層等を順次作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の作成手法を広く適用することができ、例えば押し出し成型により基材と一体に微小突起を作製するようにして、この成型に係る樹脂材料に光拡散粒子を混入して基材自体が光拡散層として機能するように設定してもよい。
また上述の実施形態では、ロール版を使用した賦型処理によりフィルム形状による反射防止物品を生産する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、反射防止物品の形状に係る透明基材の形状に応じて、例えば平板、特定の曲面形状による賦型用金型を使用した枚葉の処理により反射防止物品を作成する場合等、賦型処理に係る工程、金型は、反射防止物品の形状に係る透明基材の形状に応じて適宜変更することができる。
また上述の実施形態では、賦型用樹脂にアクリレート系の紫外線硬化性樹脂を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、エポキシ系、ポリエステル系等の各種紫外線硬化性樹脂、或いはアクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電子線硬化性樹脂、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施形態では、図1にも図示の如く、基材2の一方の面上にのみ(直接或いは他の層を介して)微小突起群5、5A、5B、・・を形成しているが、本発明はかかる形態には限定され無い。基材2の両面上に(直接或いは他の層を介して)各々微小突起群5、5A、5B、・・を形成した構成であっても良い。
また、図示は略すが、図1等に図示の如き本発明の反射防止フィルム1において、基材2の微小突起群形成面とは反対側の面(図1においては基材2の下側面)に各種接着剤層を形成し、更に該接着剤層表面に離型フィルム(離型紙)を剥離可能に積層してなる接着加工品の形態とすることも出来る。かかる形態においては、離型フィルムを剥離除去して接着剤層を露出せしめ、該接着剤層により所望の物品の所望の表面上に本発明の反射防止フィルム1を貼り合わせ、積層することが出来、簡便に所望の物品に反射防止性能を付与することが出来る。接着剤としては、粘着剤(感圧接着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱熔融型接着剤等の公知の接着形態のものが各種使用出来る。
また、図示は略すが、図1等に図示の如き本発明の反射防止フィルム1において、微小突起群5、5A、5B、・・形成面上に剥離可能な保護フィルムを仮接着した状態で保管、搬送、売買、後加工乃至施工を行い、しかる後に適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることも出来る。かかる形態においては、保管、搬送等の間に微小突起群が損傷乃至は汚染して反射防止性能が低下することを防止することが出来る。
また、上述の実施形態では、図1、図2(a)に示すように、各隣接微小突起間の谷底(高さの極小点)を連ねた面は高さが一定な平面であったが、本発明はこれに限らず、図17に示すように、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、可視光線帯域の最長波長λmax以上の周期D(すなわちD>λmaxである)でうねった構成としてもよい。又該周期的なうねりは、基材2の表裏面に平行なXY平面(図2参照)における1方向(例えばX方向)のみでこれと直交する方向(例えばY方向)には一定高さであっても良いし、或いはXY平面における2方向(X方向及びY方向)共にうねりを有していても良い。D>λmaxを満たす周期Dでうねった凹凸面9が多数の微小突起からなる微小突起群に重畳することによって、微小突起群で完全に反射防止し切れずに残った反射光を散乱し、残留反射光、とくに鏡面反射光を更に視認し難くし、以って、反射防止効果を一段と向上させることができる。
尚、係る凹凸面9の周期Dが前面に渡って一定では無く分布を有する場合は、該凹凸面について凸部間距離の度数分布を求め、その平均値をDAVG、標準偏差をΣとしたときの、
DMIN=DAVG―2Σ
として定義する最小隣接突起間距離を以って周期Dの代わりとして設計する。即ち、微小突起群の殘留反射光の散乱効果を十分奏し得る条件は、
DMIN>λmax
である。通常、D又はDMINは1〜200μm、好ましくは10〜100μmとされる。
各微小突起の谷底を連ねた包絡面形が、D(又はDMIN)>λmax、なる凹凸面9を呈する樣な微小突起群を形成する具体的な製造方法の一例を挙げると以下の通りである。即ち、ロール版13の製造工程において、円筒(又は円柱)形状の母材の表面にサンドブラスト又はマット(つや消し)メッキによって凹凸面9の凹凸形状に対応する凹凸形状を賦形する。次いで、該凹凸形状の面上に、直接或いは必要に応じて適宜の中間層を形成した後、アルミニウム層を積層する。その後、該凹凸形状表面に対応した表面形状を賦形されたアルミニウム層に上述の実施形態と同様にして陽極酸化処理及びエッチング処理を施して微小突起5、5A、5Bを含む微小突起群を形成する。
また上述の実施形態では、陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより微細穴を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、フォトリソグラフィーの手法を適用して微細穴を作製する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施形態では画像表示パネルのパネル面に反射防止物品を配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば壁材、家具材等の表面に配置される化粧用フィルム材の表面に配置する場合等にも広く適用することができる。この場合には、化粧用フィルム材において、内部反射による映り込みを防止できることにより、極端に艶消しした化粧フィルム、種々の方向から見て化粧に係る木目模様等が損なわれることの無い化粧フィルム等を提供することができる。
また上述の実施形態では、反射防止フィルムに係る画像表示パネルにフィルム形状による反射防止物品を配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の用途に適用することができる。具体的には、画像表示パネルの画面上に間隙を介して設置されるタッチパネル、各種の窓材、各種光学フィルタ等による表面側部材の裏面(画像表示パネル側)に配置する用途に適用することができる。
また店舗のショウウインドウや商品展示箱、美術館の展示物の展示窓や展示箱等に使用する硝子板表面(外界側)、或いは表面及び裏面(商品又は展示物側面)の両面に配置するようにしても良い。なおこの場合、該硝子板表面の光反射防止による商品、美術品等の顧客や観客に対する視認性を向上することができる。
また眼鏡、望遠鏡、写真機、ビデオカメラ、銃砲の照準鏡(狙撃用スコープ)、双眼鏡、潜望鏡等の各種光学機器に用いるレンズ又はプリズムの表面に配置する場合にも広く適用することができる。この場合、レンズ又はプリズム表面の光反射防止による視認性を向上することができる。またさらに書籍の印刷部(文字、写真、図等)表面に配置する場合にも適用して、文字等の表面の光反射を防止し、文字等の視認性向上することができる。また看板、ポスター、其の他各種店頭、街頭、外壁等における各種表示(道案内、地図、或いは禁煙、入口、非常口、立入禁止等)の表面に配置して、これらの視認性を向上することができる。またさらに白熱電球、発光ダイオード、螢光燈、水銀燈、EL(電場発光)等を用いた照明器具の窓材(場合によっては、拡散板、集光レンズ、光学フィルタ等も兼ねる)の入光面側に配置するようにして、窓材入光面の光反射を防止し、光源光の反射損失を低減し、光利用効率を向上することができる。またさらに時計、其の他各種計測機器の表示窓表面(表示観察者側)に配置して、これら表示窓表面の光反射を防止し、視認性を向上することができる。
またさらに、自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の乗物の操縦室(運転室、操舵室)の窓の室内側、室外側、あるいはその両側の表面に配置して窓における室内外光を反射防止して、操縦者(運転者、操舵者)の外界視認性を向上することができる。またさらに、防犯等の監視、銃砲の照準、天体観測等に用いる暗視装置のレンズないしは窓材表面に配置して、夜間、暗闇での視認性を向上することができる。
またさらに、住宅、店舗、事務所、学校、病院等の建築物の窓、扉、間仕切、壁面等を構成する透明基板(窓硝子等)の表面(室内側、室外側、あいはその両側)の表面に配置して、外界の視認性、あるいは採光効率を向上することができる。またさらに、温室、農業用ビニールハウスの透明シート、ないしは透明板(窓材)の表面に配置して、太陽光の採光効率を向上することができる。さらにまた、太陽電池表面に配置して、太陽光の利用効率(発電効率)を向上することができる。
またさらに透明の部位以外の、不透明な部位についても、広く適用して、反射防止を図る場合に広く適用することができる。
またさらに、上述の実施形態においては、反射防止を図る電磁波の波長帯域を、専ら、可視光線帯域(の全域又は一部帯域)としたが、本発明はこれに限らず、反射防止を図る電磁波の波長帯域を赤外線、紫外線等の可視光線以外の波長帯域に設定しても良い。その場合は前記の各条件式中において、電磁波の波長帯域の最短波長Λminを、それぞれ、赤外線、紫外線等の波長帯域における反射防止効果を希望する最短波長に設定すれば良い。例えば、最短波長Λminが850nmの赤外線帯域の反射防止を希望する場合は、隣接突起間距離d(乃至は其の最大値dmax)を850nm以下、例えば、d(dmax)=800nmと設計すれば良い。尚、この場合は、可視光線帯域(380〜780nm)においては反射防止効果は期待し得ず、專ら波長850nm以上の赤外線に対しての反射防止効果を奏する反射防止物品が得られる。
以上例示の各種実施形態において、硝子板等の透明基板の表面、裏面、或いは表裏両面に本発明のフィルム状の反射防止物品を配置する場合、該透明基板の全面に亙って配置、被覆する以外に、一部分の領域にのみ配置することも出来る。かかる例としては、例えば、1枚の窓硝子について、其の中央部分の正方形領域において、室内側表面にのみフィルム状の反射防止物品を粘着剤で貼着し、その他領域には反射防止物品を貼着し無い場合を挙げることが出来る。透明基板の一部分の領域にのみ反射防止物品を配置する形態の場合は、特別な表示や衝突防止柵等の設置無しでも、該透明基板の存在を視認し易くして、人が該透明基板に衝突、負傷する危険性を低減する効果、及び室内(屋内)の覗き見防止と該透明基板の(該反射防止物品の配置領域における)透視性とが両立出来ると言う効果を奏し得る。