JP2016031348A - 残留応力測定装置および残留応力測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属板の残留応力を全幅にわたって非破壊かつ高い精度で測定することができる残留応力測定装置および残留応力測定方法を提供する。【解決手段】金属板2の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加える加工部10と、加工部10による変形が加えられる前の変形前の状態と、変形が加えられた変形後の状態と、における金属板2の幅方向の表面温度を測定する測定部12と、測定部12により測定される変形前の状態と変形後の状態とにおける金属板2の温度変化量に基づいて、金属板2の幅方向の残留応力σrを算出する算出部14と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、金属板の残留応力を測定する残留応力測定装置および残留応力測定方法に関する。
圧延や冷却等の製造工程を経て製造される金属板は、製造工程で残留応力を生じることがある。残留応力が生じた金属板は、切断時に残留応力の方向や分布に応じて曲がり等の変形を生じるため、金属板を用いた製品の形状不良等の原因となる。
例えば、金属板が鉄鋼製品である鋼板の場合、変態組織制御による機械的性質の向上を目的として、熱間圧延工程において加速冷却が行われる場合がある。しかし、加速冷却時に冷却ムラが発生すると、鋼板の幅方向の温度分布が不均一となり、その後の空冷過程において熱収縮量が不均一となるため、温度偏差に応じて幅方向に不均一な長手方向残留応力が発生する。
例えば、金属板が鉄鋼製品である鋼板の場合、変態組織制御による機械的性質の向上を目的として、熱間圧延工程において加速冷却が行われる場合がある。しかし、加速冷却時に冷却ムラが発生すると、鋼板の幅方向の温度分布が不均一となり、その後の空冷過程において熱収縮量が不均一となるため、温度偏差に応じて幅方向に不均一な長手方向残留応力が発生する。
このように残留応力が発生した鋼板は、残留応力の低減を目的として、ロールが千鳥状に配置されたローラーレベラを用いた冷間矯正が行われる。従来、このような冷間矯正では幅方向に均一に繰返し曲げを加える方法がとられてきた。しかし、幅方向での残留応力分布が分からない場合、1パスの矯正では残留応力が十分に低減されず、複数パスでの矯正が必要となっていた。このため、このような冷間矯正を用いる場合、生産性の低下が問題となっていた。
このような生産性低下の問題に対し、冷間矯正前の鋼板の幅方向の残留応力分布を測定し、残留応力分布に応じてローラーレベラの圧下設定を変えることで、冷間矯正時のパス数を低減する方法が知られている。
このような生産性低下の問題に対し、冷間矯正前の鋼板の幅方向の残留応力分布を測定し、残留応力分布に応じてローラーレベラの圧下設定を変えることで、冷間矯正時のパス数を低減する方法が知られている。
金属板の残留応力を測定する方法は、破壊検査と非破壊検査とに大別される。破壊検査としては、金属板の測定部の応力を穿孔や切断等により開放し、開放により生じるひずみをひずみゲージやコンタクトゲージ等で計測することで残留応力を算出する方法がある。しかし、測定対象が製品である場合、このような破壊を伴う測定は不可能となる。
一方、非破壊検査としては、X線回折法により残留応力を測定する方法(特許文献1)がある。また、金属板を鋼板に限定した場合、熱間圧延された鋼板の熱間矯正前および熱間矯正後の板幅方向の温度分布を測定し、測定された温度から残留応力を推定する方法(特許文献2)がある。
一方、非破壊検査としては、X線回折法により残留応力を測定する方法(特許文献1)がある。また、金属板を鋼板に限定した場合、熱間圧延された鋼板の熱間矯正前および熱間矯正後の板幅方向の温度分布を測定し、測定された温度から残留応力を推定する方法(特許文献2)がある。
しかし、特許文献1に記載の非破壊検査方法では、放射線対策が必要となり、計測装置や遮蔽装置が大掛かりなものとなるため、利便性が悪くなり、さらには装置の導入や維持に掛かるコストが増大する。また、被測定物は、装置の制約によりサイズが小さく表面が平滑なものに限定されるため、製品の加工が必要となる。このため、特許文献1に記載の非破壊検査方法では、完全な非破壊検査ができなかった。
また、特許文献2に記載の非破壊検査方法では、熱間矯正後の空冷過程において鋼板が応力緩和を生じる場合があり、熱間矯正前および熱間矯正後の鋼板温度分布から推定される残留応力と実際に鋼板に生じている残留応力とが一致しない場合があった。
また、特許文献2に記載の非破壊検査方法では、熱間矯正後の空冷過程において鋼板が応力緩和を生じる場合があり、熱間矯正前および熱間矯正後の鋼板温度分布から推定される残留応力と実際に鋼板に生じている残留応力とが一致しない場合があった。
そこで、本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、金属板の残留応力を全幅にわたって非破壊かつ高い精度で測定することができる残留応力測定装置および残留応力測定方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る残留応力測定装置は、金属板の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加える加工部と、上記加工部による変形が加えられる前の変形前の状態と、変形が加えられた変形後の状態と、における上記金属板の幅方向の表面温度を測定する測定部と、上記測定部により測定される上記変形前の状態と上記変形後の状態とにおける上記金属板の温度変化量に基づいて、上記金属板の幅方向の残留応力を算出する算出部と、を備えることを特徴とする。
このように、上記変形前の状態と上記変形後の状態とにおける温度変化量から間接的に残留応力を測定することにより、金属板の残留応力を全幅にわたって非破壊かつ高い精度で測定することが可能となる。
このように、上記変形前の状態と上記変形後の状態とにおける温度変化量から間接的に残留応力を測定することにより、金属板の残留応力を全幅にわたって非破壊かつ高い精度で測定することが可能となる。
また、上記の残留応力測定装置において、上記測定部は、上記変形後の状態として、上記加工部による変形が加えられた上記金属板の長さ方向の第1の位置における上記金属板の変形後の表面温度を測定し、上記変形前の状態として、上記加工部による変形荷重を受けない上記金属板の長さ方向の第2の位置における表面温度を測定してもよい。
また、上記の残留応力測定装置において、上記測定部は、上記変形後の状態として、上記加工部による変形が加えられた上記金属板の長さ方向の第1の位置における上記金属板の変形後の表面温度を測定し、上記変形前の状態として、上記第1の位置における上記金属板の変形前の表面温度を測定してもよい。
また、上記の残留応力測定装置において、上記測定部は、上記変形後の状態として、上記加工部による変形が加えられた上記金属板の長さ方向の第1の位置における上記金属板の変形後の表面温度を測定し、上記変形前の状態として、上記第1の位置における上記金属板の変形前の表面温度を測定してもよい。
また、上記の残留応力測定装置において、上記加工部は、3秒以内に上記金属板に変形を加えてもよい。
このように、短い時間で変形を加えることにより、上記金属板に生じた温度変化の拡散の影響を低減することができる。
また、上記の残留応力測定装置において、上記加工部は、上記金属板の幅よりも長手方向の長さが長い、第1のロールと第2のロールと第3のロールとを有し、上記第1のロールおよび上記第2のロールは、上記金属板の厚さ方向において互いに位置する上下面のうちの上面側に、上記金属板の長さ方向に互いに離間して設けられ、上記第3のロールは、上記金属板の下面側に、上記第1のロールと上記第2のロールとの間に配されて設けられ、上記第1のロールが上記金属板を圧下させることで上記金属板に変形を加えてもよい。
このように、短い時間で変形を加えることにより、上記金属板に生じた温度変化の拡散の影響を低減することができる。
また、上記の残留応力測定装置において、上記加工部は、上記金属板の幅よりも長手方向の長さが長い、第1のロールと第2のロールと第3のロールとを有し、上記第1のロールおよび上記第2のロールは、上記金属板の厚さ方向において互いに位置する上下面のうちの上面側に、上記金属板の長さ方向に互いに離間して設けられ、上記第3のロールは、上記金属板の下面側に、上記第1のロールと上記第2のロールとの間に配されて設けられ、上記第1のロールが上記金属板を圧下させることで上記金属板に変形を加えてもよい。
また、上記の残留応力測定装置において、上記測定部は、0.02℃以下の分解能を有してもよい。
このように、上記測定部が高い分解能を有することにより、残留応力分布を精度よく測定することができる。
また、上記の残留応力測定装置において、上記算出部は、上記金属板の残留応力を、下記(1)式を用いて算出してもよい。
このように、上記測定部が高い分解能を有することにより、残留応力分布を精度よく測定することができる。
また、上記の残留応力測定装置において、上記算出部は、上記金属板の残留応力を、下記(1)式を用いて算出してもよい。
また、本発明の一態様に係る残留応力測定方法は、金属板の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加える加工工程と、変形前の状態として上記加工工程による変形荷重を受けない上記金属板の長さ方向の第2の位置における上記金属板の幅方向の表面温度を測定し、変形後の状態として上記加工工程により変形が加えられた上記金属板の長さ方向の第1の位置における上記金属板の幅方向の表面温度を測定する測温工程と、上記測温工程により測定される上記変形前の状態と上記変形後の状態とにおける上記金属板の温度変化量に基づいて、上記金属板の幅方向の残留応力を算出する算出工程と、を備える。
また、本発明の一態様に係る残留応力測定方法は、変形前の状態として金属板の長さ方向の第1の位置における上記金属板の幅方向の表面温度を測定する第1の測温工程と、上記金属板の上記第1の位置の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加える加工工程と、変形後の状態として上記加工工程により変形が加えられた上記金属板の長さ方向の第1の位置における上記金属板の幅方向の表面温度を測定する第2の測温工程と、上記第1の測温工程と上記第2の測温工程とにより測定される上記変形前の状態と上記変形後の状態とにおける上記金属板の温度変化量に基づいて、上記金属板の幅方向の残留応力を算出する算出工程と、を備える
本発明に係る残留応力測定装置および残留応力測定方法によれば、金属板の残留応力を全幅にわたって非破壊かつ高い精度で測定することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<1.第1の実施形態>
[1−1.残留応力測定装置の構成]
まず、図1〜図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る残留応力測定装置1Aの装置構成について説明する。本実施形態に係る残留応力測定装置1Aは、3mm以上の厚みtを有する金属板2の幅方向の残留応力σrを測定する。さらに、残留応力測定装置1Aは、特に金属板2が鉄鋼製品である場合、6mm以上の厚みを有する金属板2に好適に用いられる。
<1.第1の実施形態>
[1−1.残留応力測定装置の構成]
まず、図1〜図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る残留応力測定装置1Aの装置構成について説明する。本実施形態に係る残留応力測定装置1Aは、3mm以上の厚みtを有する金属板2の幅方向の残留応力σrを測定する。さらに、残留応力測定装置1Aは、特に金属板2が鉄鋼製品である場合、6mm以上の厚みを有する金属板2に好適に用いられる。
図1に示すように、本実施形態に係る残留応力測定装置1Aは、加工部10と、測定部12と、算出部14と、搬送ロール16a〜16dとを備える。
加工部10は、長手方向の長さが金属板2の幅よりも長い金属製のロールであり、図1および図2に示すように金属板2の長さ方向であるx軸および金属板2の厚さ方向であるy軸からなるx−y平面に対して長手方向が垂直となるように設けられた、第1のロール10aと、第2のロール10bと、第3のロール10cとを有する。
加工部10は、長手方向の長さが金属板2の幅よりも長い金属製のロールであり、図1および図2に示すように金属板2の長さ方向であるx軸および金属板2の厚さ方向であるy軸からなるx−y平面に対して長手方向が垂直となるように設けられた、第1のロール10aと、第2のロール10bと、第3のロール10cとを有する。
第1のロール10aおよび第2のロール10bは、金属板2の厚さ方向に対して互いに反対側に位置する上下面のうちの上面側であるy軸の正方向側に、x軸方向に互いに離間して設けられる。第3のロール10cは、y軸の負方向側である金属板2の下面側に、x軸方向において第1のロール10aと第2のロール10bとの間に配されて設けられる。第1のロール10a、第2のロール10b、および第3のロール10cは、長手方向の両端部に油圧等により伸縮駆動するシリンダ(不図示)を有し、シリンダが伸縮駆動することでy軸方向に昇降可能に構成される。加工部10は、金属板2の厚さに応じて第1のロール10aおよび第2のロール10bが下降して金属板2の上面を抑え、その後第3のロール10cが金属板2の下面側からy軸正方向に上昇することで、幅方向に均一な曲げ変形を金属板2に加える。
測定部12は、第1の測定部12aと、第2の測定部12bとを有する。第1の測定部12aおよび第2の測定部12bは、金属板2の全幅にわたって、金属板2の表面温度を測定可能な赤外線サーモグラフィ等の測温計であり、金属板2の上面側(y軸正方向側)にそれぞれ設けられる。本実施形態に係る残留応力測定装置1Aは、後述するように曲げ変形に伴う金属板2の表面温度の温度変化量ΔTを測定する。第1の測定部12aおよび第2の測定部12bは、この温度変化量ΔTを測定可能な分解能を有する。具体的には、曲げ変形に伴う金属板2の温度変化量ΔTが1℃以下であるため、第1の測定部12aおよび第2の測定部12bは、それよりも2オーダー低い程度の分解能を有する必要があり、0.02℃以下の分解能を有することが好ましい。
第1の測定部12aは、x軸方向において第1のロール10aと第2のロール10bとの間の位置に設けられ、金属板2の長手方向の第1の位置21における幅方向の表面温度を測定する。金属板2の長手方向の第1の位置21は、第3のロール10cと金属板2が接するx軸方向の位置であり、加工部10によって曲げ変形が加えられる位置である。金属板2の第1の位置21に曲げ変形が加えられることにより、第1の位置21の上面側では引張りの応力が発生し、第1の位置21の下面側では圧縮の応力が発生する。第1の測定部12aは、加工部10により引張りの曲げ変形が加えられた金属板2の表面温度を全幅にわたって測定し、測定結果を変形後の状態における金属板2の表面温度として算出部14に出力する。
第2の測定部12bは、x軸方向において第2のロール10bよりも正方向側に設けられ、金属板2の長手方向の第2の位置22における幅方向の表面温度を測定する。第2の位置22は、第2のロール10bよりもx軸の正方向側の位置であり、加工部10による変形が加えられない位置である。第2の測定部12bは、加工部10により曲げ変形が加えられた金属板2の表面温度を測定し、測定結果を変形前の状態における金属板2の表面温度として、算出部14に出力する。
算出部14は、測定部12から出力された変形前の状態における金属板2の表面温度と、変形後の状態における金属板2の表面温度との温度差から、金属板2の幅方向の残留応力σrを算出する。残留応力σrの算出方法の詳細については、後述する。
搬送ロール16a〜16dは、回転駆動することにより金属板2をx軸方向に搬送する金属製のロールであり、金属板2のx軸方向の位置を調整する。
算出部14は、測定部12から出力された変形前の状態における金属板2の表面温度と、変形後の状態における金属板2の表面温度との温度差から、金属板2の幅方向の残留応力σrを算出する。残留応力σrの算出方法の詳細については、後述する。
搬送ロール16a〜16dは、回転駆動することにより金属板2をx軸方向に搬送する金属製のロールであり、金属板2のx軸方向の位置を調整する。
[1−2.残留応力測定方法]
次に、図1〜図4を参照して、本実施形態に係る残留応力測定方法について説明する。
まず、加工部10は、金属板2を圧下し、金属板2に曲げ変形を加える(S120)。ステップS120では、金属板2が搬送ロール6a〜16dにより図2に示す金属板2の長手方向の中央付近が第3のロール10cと対向する位置まで搬送された後、第1のロール10aおよび第2のロール10bがy軸負方向側に降下し、金属板2の上面にそれぞれ着接する。その後、第3のロール10cがy軸正方向側に上昇する。このとき、金属板2は、上面側が第1のロール10aおよび第2のロール10bにより抑えられているため、第3のロール10cが金属板2の下面と接しながら上昇することにより、x−y平面視で第1の位置21が凸型となるような幅方向に一様な曲げ変形が加えられる。金属板2の曲げ加工を伴う第3のロール10cの上昇動作は、第1の位置21におけるx−y平面の曲率係数Φが所定の値になるまで行われる。
次に、図1〜図4を参照して、本実施形態に係る残留応力測定方法について説明する。
まず、加工部10は、金属板2を圧下し、金属板2に曲げ変形を加える(S120)。ステップS120では、金属板2が搬送ロール6a〜16dにより図2に示す金属板2の長手方向の中央付近が第3のロール10cと対向する位置まで搬送された後、第1のロール10aおよび第2のロール10bがy軸負方向側に降下し、金属板2の上面にそれぞれ着接する。その後、第3のロール10cがy軸正方向側に上昇する。このとき、金属板2は、上面側が第1のロール10aおよび第2のロール10bにより抑えられているため、第3のロール10cが金属板2の下面と接しながら上昇することにより、x−y平面視で第1の位置21が凸型となるような幅方向に一様な曲げ変形が加えられる。金属板2の曲げ加工を伴う第3のロール10cの上昇動作は、第1の位置21におけるx−y平面の曲率係数Φが所定の値になるまで行われる。
曲率係数Φは、金属板2の曲げ曲率φ1[mm−1]の金属板2の弾性限曲率φ2[mm−1]に対する比であり、以下に示す(2)式で定義される。曲率係数Φは、1以上であれば金属板2の表面に塑性曲げが付与されたことを意味する。後述するように、曲げ変形が加えられた金属板2は、残留応力σrが測定された後、冷間矯正により曲げが取り除かれる。このため、曲率係数Φは1以上であればよく、好ましくは1.1程度となる。
本実施形態では、曲率係数Φは、図2に示す金属板2の変形量である圧下量δと、以下の(3)式に示す関係を有する。このため、本実施形態では、第3のロール10cのy軸の正方向への上昇量から得られる圧下量δが所定の値となるように調整されることにより、曲率係数Φが調整される。なお、(3)式において、Lは第3のロール10cと第1のロール10aおよび第2のロール10bとのy方向の中心間距離を示すロール半ピッチ[mm]、nは加工部10の形状等により決まる定数、σyは降伏応力[kgf/mm2]、tは金属板2の厚み[mm]、Eは金属板2のヤング率[kgf/mm2]をそれぞれ示す。
なお、本実施形態に係る残留応力測定方法では、後述するように、ステップS120の後、金属板2の曲げ変形に伴う温度変化量を調べるため、金属板2の表面温度の測定が行われる。この際、金属板2に生じた温度変化が拡散してしまうため、ステップS120における金属板2の圧下は、短時間で行われることが好ましく、好ましくは3秒以内で行われる。
ステップS120の後、測定部12は、金属板2の表面温度を測定する(S130)。この際、第1の測定部12aは金属板2の第1の位置21における全幅にわたる表面温度を測定し、第2の測定部12bは金属板2の第2の位置22における全幅にわたる表面温度を測定する。なお、上述のように金属板2に生じた温度変化は金属板2の変形後に拡散してしまうため、ステップS130における表面温度の測定は、ステップS120の金属板2の圧下が行われた直後に行われることが好ましい。ステップS130では、金属板2の表面温度が測定された後、第1の測定部12aおよび第2の測定部12bは、測定結果を変形後の状態および変形前の状態における金属板2の表面温度として算出部14にそれぞれ出力する。
次いで、算出部14は、ステップS130の測定結果に基づいて金属板2の全幅にわたる残留応力σrを算出する(S140)。この際、算出部14は、幅方向の同じ測定位置について、変形前の状態における金属板2の表面温度と変形後の状態における金属板2の表面温度との温度差である温度変化量に基づいて残留応力σrを算出する。
ここで、残留応力σrの算出方法について詳細に説明する。金属の弾性限内における応力変化量Δσと温度変化量ΔTとの関係として、以下の(4)式に示す関係が知られている。なお、(4)式において、ΔTは温度変化量[K]、Δσは応力変化量[kgf/mm2]、Kmは以下の(5)式で示される熱弾性係数[mm2/kgf]、T0は初期温度[K]をそれぞれ示す。また、(5)式において、αは線膨張係数[K−1]、ρは密度[kg/mm3]、Cpは比熱[kgf・mm/(kg・K)]をそれぞれ示す。
ここで、残留応力σrの算出方法について詳細に説明する。金属の弾性限内における応力変化量Δσと温度変化量ΔTとの関係として、以下の(4)式に示す関係が知られている。なお、(4)式において、ΔTは温度変化量[K]、Δσは応力変化量[kgf/mm2]、Kmは以下の(5)式で示される熱弾性係数[mm2/kgf]、T0は初期温度[K]をそれぞれ示す。また、(5)式において、αは線膨張係数[K−1]、ρは密度[kg/mm3]、Cpは比熱[kgf・mm/(kg・K)]をそれぞれ示す。
(4)式に示すように、金属に弾性限内の変形を加えた際、変形が引張変形の場合は吸熱反応により温度が低下し、変形が圧縮変形の場合は放熱反応により温度が上昇する。弾性限内からさらに変形を加え、金属の変形が塑性域に達すると、塑性加工発熱により温度が急激に上昇する。したがって、金属に変形を加え、引張変形が生じる場合には金属の温度変化が低下から増加に転じるまでの温度変化量ΔT、圧縮変形が生じる場合には金属の応力変化量に対する温度の傾きが変化するまでの温度変化量ΔTから応力変化量Δσが推定される。
発明者は、このような温度変化量ΔTと応力変化量Δσとの関係について、残留応力σrをさらに考慮することで、残留応力σrを算出することができることを想到した。
例えば、図4に示すように、残留応力のない金属板2に引張変形を加えた場合、金属板2は、実線で示すように応力σ2となるまで弾性変形し、吸熱反応により温度が低下する。この際、応力変化量に対して温度変化量は傾きpで変化する。さらに応力を加えていくと、金属板2は塑性変形し、発熱反応によって温度が上昇する。この際、応力変化量に対して温度変化量は傾きqで変化する。なお、応力σ2は、降伏応力σyと同じである。傾きpおよび傾きqは、材料定数なので、対象となる金属板2と同じ材質の金属板を用いて事前に測定しておくものとする。
例えば、図4に示すように、残留応力のない金属板2に引張変形を加えた場合、金属板2は、実線で示すように応力σ2となるまで弾性変形し、吸熱反応により温度が低下する。この際、応力変化量に対して温度変化量は傾きpで変化する。さらに応力を加えていくと、金属板2は塑性変形し、発熱反応によって温度が上昇する。この際、応力変化量に対して温度変化量は傾きqで変化する。なお、応力σ2は、降伏応力σyと同じである。傾きpおよび傾きqは、材料定数なので、対象となる金属板2と同じ材質の金属板を用いて事前に測定しておくものとする。
一方、残留応力のある金属板2に引張変形を加えた場合、金属板2は、図4の実線で示すように応力σ1となるまで変形し、吸熱反応により温度が低下する。この際、応力変化量に対して温度変化量は傾きpで変化する。さらに応力を加えていくと、図4の破線で示すように、金属板2は塑性変形し、発熱反応によって温度が上昇する。この際、応力変化量に対して温度変化量は傾きqで変化する。このように、金属板2に残留応力σrがある場合、降伏域に達するまでの応力変化量が異なるため、残留応力σrがない場合に比べ温度変化量ΔTが異なる。
ここで、本実施形態に係る残留応力測定方法では、塑性変形域となる応力σ3まで金属板2を変形させ、変形後の金属板2の表面温度T4を測定する。また、変形前の金属板2の表面温度である初期温度T0を測定する。金属板2の残留応力σrは、応力σ2と応力σ1との差分で表され、測定される金属板2の表面温度T4と初期温度T0との温度変化量ΔTaから得られる温度変化量ΔTrを用いて算出される。具体的には、金属板2の残留応力σrは、温度変化量ΔTrまたは応力σ1,σ2を用いて下記(6)式で示される。なお、(6)式において、σrは残留応力[kgf/mm2]、pは金属板2が弾性変形する際の応力変化量に対する温度変化量の傾き、ΔTrは残留応力がある場合と残留応力がない場合とにおいて塑性変形域となる応力(σ1,σ2)をそれぞれ加えた時の表面温度(T1,T2)の温度差を示す温度変化量[K]、σ1およびσ2は応力[kgf/mm2]を示す。
さらに、残留応力のある金属板2および残留応力のない金属板2に、応力σ3をそれぞれ加えた場合における表面温度の温度変化量ΔTa,ΔTbは、下記(7)式および(8)式でそれぞれ示される。なお、(7)式および(8)式において、qは塑性変形する際の応力変化量に対する温度変化量の傾き、Tyは初期温度T0から、応力σ1を加えて表面温度がT1となるまでの温度変化量、σ3は応力[kgf/mm2]をそれぞれ示す。また、(7)式および(8)式を変形することで、下記(9)式および(10)式がそれぞれ算出される。
さらに、(6)式、(9)式および(10)式から、温度変化量ΔTrを示す下記(11)式が算出される。なお、温度変化量ΔTaは、変形前の状態における表面温度T0と、変形後の状態における表面温度T4との差分である。ここで、圧延工程や冷却工程で生じる金属板2の残留応力σrは、基本的に金属板2の長さ方向に均一で、幅方向に不均一な分布となる。このため、ステップS130で測定される、第1の位置21での変形前の状態における表面温度(初期温度T0)は、金属板2に変形が加えられた後の第2の位置22における表面温度と同じになる。このため、温度変化量ΔTaは、ステップS130の測定結果から算出することができる。また、温度変化量ΔTbは、残留応力σrがない同じ材質の金属板について、応力σ3を加えたときの温度変化量を予め計算または測定することで得ることができる。
したがって、本発明者らは、金属板2の表面温度の測定結果から残留応力σr相当の弾性変形に伴う温度変化量であるΔTrを算出できることを知見し、下記(1)式を用いることで、残留応力σrが算出されることを想到した。
(1)式に示す熱弾性係数Kmは、ステップS120の前に予め算出可能な値である。また、温度変化量ΔTrは、(11)式に示すようにステップS120の前に予め測定または算出される温度変化量ΔTbおよび傾きp,qと、ステップS130の測定結果から算出される温度変化量ΔTaとから得られる。このため、本実施形態では、予め得られるこれらの値と、ステップS130の測定結果とから、残留応力σrを容易に算出することが可能となる。
以上のステップS120〜S140により、金属板2の残留応力σrを測定することが可能となる。なお、本実施形態に係る残留測定方法では、ステップS120で金属板2に曲げ変形が加えられており、金属板2は若干の塑性曲げを有している。このため、ステップS130の後、冷間矯正にて曲げ変形を取り除くことが必要となる。
以上のステップS120〜S140により、金属板2の残留応力σrを測定することが可能となる。なお、本実施形態に係る残留測定方法では、ステップS120で金属板2に曲げ変形が加えられており、金属板2は若干の塑性曲げを有している。このため、ステップS130の後、冷間矯正にて曲げ変形を取り除くことが必要となる。
以上のように、本実施形態に係る残留応力測定方法は、金属板2に曲げ変形を加える加工工程(S120)と、金属板2の表面温度を測定する測温工程(S130)と、残留応力σrを算出する算出工程(S140)とを備える。測温工程(S130)では、変形前の状態の表面温度として、変形後の第2の位置22における表面温度を全幅にわたって測定し、変形後の状態の表面温度として、変形後の第1の位置21における表面温度を全幅にわたって測定する。さらに、算出工程(S140)では、変形前および変形後の状態における金属板2の表面温度から残留応力σrを算出する。これにより、本実施形態に係る残留応力測定方法では、熱間矯正後に測定が行われ、測定前後における金属板2の応力緩和が生じないため、金属板2の全幅にわたる残留応力σrを高い精度で測定することが可能となる。また、本実施形態に係る残留応力測定方法では、加工工程(S120)により加えられた曲げ変形は、後の冷間矯正にて取り除くことができるため、金属板2の破壊を伴わずに残留応力σrを測定することが可能となる。
また、本実施形態に係る残留応力測定方法は、測定精度の高い従来の測定方法である、ひずみゲージやコンタクトゲージ等で計測する測定方法、およびX線回折法による測定方法に比べ、測温工程(S130)〜算出工程(S140)に掛かる時間が短いことから、測定時間を短縮することができる。
また、本実施形態に係る残留応力測定方法は、測定精度の高い従来の測定方法である、ひずみゲージやコンタクトゲージ等で計測する測定方法、およびX線回折法による測定方法に比べ、測温工程(S130)〜算出工程(S140)に掛かる時間が短いことから、測定時間を短縮することができる。
<2.第2の実施形態>
[2−1.残留応力測定装置の構成]
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施形態に係る残留応力測定装置1Bについて説明する。本実施形態に係る残留応力測定装置1Bは、測定部12の構成が第1の実施形態に係る残留応力測定装置1Aと異なるが、その他の構成および動作については第1の実施形態と同様である。すなわち、本実施形態に係る残留応力測定装置1Aは、加工部10と、測定部12と、算出部14と、搬送ロール16a〜16dとを備える。加工部10は、第1のロール10aと、第2のロール10bと、第3のロール10cとを有する。
[2−1.残留応力測定装置の構成]
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施形態に係る残留応力測定装置1Bについて説明する。本実施形態に係る残留応力測定装置1Bは、測定部12の構成が第1の実施形態に係る残留応力測定装置1Aと異なるが、その他の構成および動作については第1の実施形態と同様である。すなわち、本実施形態に係る残留応力測定装置1Aは、加工部10と、測定部12と、算出部14と、搬送ロール16a〜16dとを備える。加工部10は、第1のロール10aと、第2のロール10bと、第3のロール10cとを有する。
測定部12は、y軸の正方向側である金属板2の上面側に設けられる第1の測定部12aを有する。第1の測定部12aは、x軸方向において第1のロール10aと第2のロール10bとの間に設けられ、第1の位置21における金属板2の表面温度を全幅にわたって測定する。この際、第1の測定部12aは、加工部10により変形が加えられる前の金属板2の表面温度と、加工部10により変形が加えられた後の金属板2の表面温度とを測定する。さらに、第1の測定部12aは、変形が加えられる前の表面温度の測定結果を変形前の状態における金属板2の表面温度とし、変形が加えられた後の表面温度の測定結果を変形後の状態における金属板2の表面温度として算出部14に出力する。
[2−2.残留応力測定方法]
次に、図6を参照して、本実施形態に係る残留応力測定方法について詳細に説明する。
まず、測定部12は、金属板2の表面温度を測定する(S210)。この際、第1の測定部12aは、金属板2の第1の位置21における表面温度を全幅にわたって測定し、測定結果を変形前の状態における金属板2の表面温度として算出部14に出力する。
次いで、加工部10は、金属板2を圧下し、金属板2に曲げ変形を加える(S220)。ステップS220は、第1の実施形態におけるステップS120と同様である。
次に、図6を参照して、本実施形態に係る残留応力測定方法について詳細に説明する。
まず、測定部12は、金属板2の表面温度を測定する(S210)。この際、第1の測定部12aは、金属板2の第1の位置21における表面温度を全幅にわたって測定し、測定結果を変形前の状態における金属板2の表面温度として算出部14に出力する。
次いで、加工部10は、金属板2を圧下し、金属板2に曲げ変形を加える(S220)。ステップS220は、第1の実施形態におけるステップS120と同様である。
さらに、測定部12は、金属板2の表面温度を測定する(S230)。この際、第1の測定部12aは、金属板2の第1の位置21における表面温度を全幅にわたって測定し、測定結果を変形後の状態における金属板2の表面温度として算出部14に出力する。なお、ステップS130で説明したように、金属板2に生じた温度変化は金属板2の変形後に拡散してしまうため、ステップS230における表面温度の測定は、ステップS220の金属板2の圧下が行われた直後に行われることが好ましい。
次いで、算出部14は、ステップS210およびステップS230の測定結果に基づいて金属板2の幅方向の残留応力σrを算出する(S240)。この際、算出部14は、幅方向の同じ測定位置について、変形前の状態における金属板2の表面温度(ステップS210の測定結果)と変形後の状態における金属板2の表面温度(ステップS230の測定結果)との温度変化量ΔTaから(11)式を用いて温度変化量ΔTrを算出する。その後、算出部14は、(1)式を用いて、温度変化量ΔTrから金属板2の全幅にわたる残留応力σrを算出する。残留応力σrの算出方法は、第1の実施形態のステップS140と同様である。
以上のように、本実施形態に係る残留応力測定方法は、金属板2の表面温度を測定する第1の測温工程(S210)と、金属板2に曲げ変形を加える加工工程(S220)と、金属板2の表面温度を測定する第2の測温工程(S230)と、残留応力σrを算出する算出工程(S240)とを備える。本実施形態に係る残留応力測定方法は、第1の測温工程(S210)では、変形前の金属板2の第1の位置21における表面温度を測定し、第2の測温工程(S220)では、変形後の金属板2の第1の位置21における表面温度を測定する。このため、本実施形態に係る残留応力測定方法は、測定部12が第2の測定部12bを有する必要がないため、第1の実施形態に比べ装置構成を簡略化することが可能となる。
<3.変形例>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、測定部12の構成は、金属板2の変形箇所の温度が全幅にわたって測定できるものであれば、上記実施形態に限定されない。例えば、測定部12は、第1の位置21において圧縮変形が起こる金属板2の下面側の表面温度を測定してもよい。また、測定部12は、赤外線サーモグラフィに限らず、放射温度計等の他の非接触式の温度計や、熱電対等の接触式の温度計でもよい。
また、加工部10の構成は、金属板2の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加えられれば、上記実施形態に限定されない。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、測定部12の構成は、金属板2の変形箇所の温度が全幅にわたって測定できるものであれば、上記実施形態に限定されない。例えば、測定部12は、第1の位置21において圧縮変形が起こる金属板2の下面側の表面温度を測定してもよい。また、測定部12は、赤外線サーモグラフィに限らず、放射温度計等の他の非接触式の温度計や、熱電対等の接触式の温度計でもよい。
また、加工部10の構成は、金属板2の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加えられれば、上記実施形態に限定されない。
<4.まとめ>
以上のように、本発明の一態様に係る残留応力測定装置1Aは、金属板2の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加える加工部10と、加工部10による変形が加えられる前の変形前の状態と、変形が加えられた変形後の状態と、における金属板2の幅方向の表面温度を測定する測定部12と、測定部12により測定される変形前の状態と変形後の状態とにおける金属板2の温度変化量ΔTrに基づいて、金属板2の幅方向の残留応力σrを算出する算出部14と、を備えることを特徴とする。
以上のように、本発明の一態様に係る残留応力測定装置1Aは、金属板2の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加える加工部10と、加工部10による変形が加えられる前の変形前の状態と、変形が加えられた変形後の状態と、における金属板2の幅方向の表面温度を測定する測定部12と、測定部12により測定される変形前の状態と変形後の状態とにおける金属板2の温度変化量ΔTrに基づいて、金属板2の幅方向の残留応力σrを算出する算出部14と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る残留応力測定方法は、金属板2の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加える加工工程(S120)と、変形前の状態として上記加工工程による変形荷重を受けない金属板2の長さ方向の第2の位置22における金属板2の幅方向の表面温度を測定し、変形後の状態として加工工程により変形が加えられた金属板2の長さ方向の第1の位置21における金属板2の幅方向の表面温度を測定する測温工程(S130)と、測温工程により測定される変形前の状態と変形後の状態とにおける金属板2の温度変化量に基づいて、金属板2の幅方向の残留応力を算出する算出工程(S140)と、を備える。
また、本発明の一態様に係る残留応力測定方法は、変形前の状態として金属板2の長さ方向の第1の位置21における金属板2の幅方向の表面温度を測定する第1の測温工程(S210)と、金属板2の第1の位置21の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加える加工工程(S220)と、変形後の状態として加工工程により変形が加えられた金属板2の長さ方向の第1の位置21における金属板2の幅方向の表面温度を測定する第2の測温工程(S230)と、変形前の状態と変形後の状態とにおける金属板2の温度変化量に基づいて、金属板の幅方向の残留応力を算出する算出工程(S240)と、を備える
このような、残留応力測定装置1A,1Bおよび残留応力測定方法は、金属板2の変形前の状態と変形後の状態とにおける温度差から間接的に残留応力σrを測定することにより、金属板2の残留応力σrを全幅にわたって非破壊かつ高い精度で測定することができる。
また、金属板2が工業的に大量製造される場合、残留応力を短時間で測定できることが求められる。本発明に係る残留応力測定装置1A,1Bおよび残留応力測定方法は、ひずみゲージやコンタクトゲージ等で計測する測定方法、およびX線回折法による測定方法に比べ、測温工程(S130,S210,S230),加工工程(S120,S220)および算出工程(S140,S240)に掛かる時間が短いことから測定時間を短縮することができる。
また、金属板2が工業的に大量製造される場合、残留応力を短時間で測定できることが求められる。本発明に係る残留応力測定装置1A,1Bおよび残留応力測定方法は、ひずみゲージやコンタクトゲージ等で計測する測定方法、およびX線回折法による測定方法に比べ、測温工程(S130,S210,S230),加工工程(S120,S220)および算出工程(S140,S240)に掛かる時間が短いことから測定時間を短縮することができる。
次に、本発明者が行った実施例を説明する。
実施例では、金属板2として熱間圧延後に加速冷却された鋼板について残留応力を測定した。鋼板の圧延・加速冷却後のサイズは板厚14mm、板幅2500mmであり、機械的特性は降伏強度50kgf/mm2、ヤング率21000kgf/mm2である。この鋼板を長手方向中央部で2枚に切断し、切断した一方の鋼板の残留応力を第1の実施形態に係る残留応力測定方法で測定し、他方の鋼板の残留応力を比較としてコンタクトゲージ法による残留応力測定方法で測定した。
実施例では、金属板2として熱間圧延後に加速冷却された鋼板について残留応力を測定した。鋼板の圧延・加速冷却後のサイズは板厚14mm、板幅2500mmであり、機械的特性は降伏強度50kgf/mm2、ヤング率21000kgf/mm2である。この鋼板を長手方向中央部で2枚に切断し、切断した一方の鋼板の残留応力を第1の実施形態に係る残留応力測定方法で測定し、他方の鋼板の残留応力を比較としてコンタクトゲージ法による残留応力測定方法で測定した。
はじめに、本実施例による鋼板の残留応力測定方法について説明する。本実施例では、図3に示す第1の残留応力測定方法にて鋼板の残留応力を測定した。まず、ステップS120で説明したように、鋼板を圧下した。本実施例では、圧下量が1.4mm、ロール半ピッチが150mmの条件で圧下を行った。
次いで、ステップS130で説明したように、鋼板の第1の位置21および第2の位置22における表面温度を測定した。本実施例では、以下の仕様の赤外線サーモグラフィを用いた。
測定温度:5〜1500℃
精度:0.02℃
撮像速度:最大20000コマ/sec
撮像素子:インジウムアンチモン
次いで、ステップS130で説明したように、鋼板の第1の位置21および第2の位置22における表面温度を測定した。本実施例では、以下の仕様の赤外線サーモグラフィを用いた。
測定温度:5〜1500℃
精度:0.02℃
撮像速度:最大20000コマ/sec
撮像素子:インジウムアンチモン
さらに、ステップS140で説明したように、鋼板の第1の位置21および第2の位置22における表面温度の温度差である温度変化量ΔTaを算出し、温度変化量ΔTaと(11)式および(1)式とを用いて温度変化量ΔTrおよび残留応力σrを算出した。本実施例における鋼板の幅方向での温度変化量ΔTaおよび残留応力σrの算出結果を図7および図8にそれぞれ示す。
次に、比較例であるコンタクトゲージ法による残留応力測定方法について説明する。比較例では、切断後の鋼板の長手方向中央部付近に長手方向に並んだ2つの鋼球を1組として、幅方向に55点打ち込み、各組の鋼球間の距離を測定した。この際、加速冷却後の鋼板の温度分布は、幅方向端部側で急峻な温度勾配となっている。したがって、幅方向端部側での残留応力分布を詳細に調査するため、幅方向の鋼球の各組の間隔は、幅方向の両端部から6点が25mm間隔、それ以外が50mm間隔となるように鋼球を打ち込んだ。その後、鋼板を長手方向に条切りし、再度各組の鋼球間の距離を測定し、条切り前後の各組の鋼球間の距離の差から残留応力を算出した。
図8に示した本実施例における残留応力の測定結果と、比較例における残留応力の測定結果との比較を図9に示す。図9に示すように、本実施例の測定結果と、比較例の測定結果とがほぼ一致し、本実施例が高い精度で残留応力を測定できていることが確認された。
また、比較例の残留応力測定方法では、測定に掛かる時間が3日間であった。これに対して、本実施例における残留応力測定方法では、測定に掛かる時間が3秒以下であり、比較例の残留応力測定方法に比べ測定時間を大幅に低減することができ、工業的に有用な測定方法であることが確認された。
以上の結果から、本発明に係る残留応力測定装置および残留応力測定方法により、金属板2の残留応力を全幅にわたって非破壊かつ高い精度で測定することができることが確認できた。
また、比較例の残留応力測定方法では、測定に掛かる時間が3日間であった。これに対して、本実施例における残留応力測定方法では、測定に掛かる時間が3秒以下であり、比較例の残留応力測定方法に比べ測定時間を大幅に低減することができ、工業的に有用な測定方法であることが確認された。
以上の結果から、本発明に係る残留応力測定装置および残留応力測定方法により、金属板2の残留応力を全幅にわたって非破壊かつ高い精度で測定することができることが確認できた。
1 :残留応力測定装置
2 :金属板
6a :搬送ロール
10 :加工部
10a :第1のロール
10b :第2のロール
10c :第3のロール
12 :測定部
12a :第1の測定部
12b :第2の測定部
14 :算出部
16a〜16d :搬送ロール
21 :第1の位置
22 :第2の位置
2 :金属板
6a :搬送ロール
10 :加工部
10a :第1のロール
10b :第2のロール
10c :第3のロール
12 :測定部
12a :第1の測定部
12b :第2の測定部
14 :算出部
16a〜16d :搬送ロール
21 :第1の位置
22 :第2の位置
Claims (9)
- 金属板の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加える加工部と、
前記加工部による変形が加えられる前の変形前の状態と、変形が加えられた変形後の状態と、における前記金属板の幅方向の表面温度を測定する測定部と、
前記測定部により測定される前記変形前の状態と前記変形後の状態とにおける前記金属板の温度変化量に基づいて、前記金属板の幅方向の残留応力を算出する算出部と、
を備えることを特徴とする残留応力測定装置。 - 前記測定部は、
前記変形後の状態として、前記加工部による変形が加えられた前記金属板の長さ方向の第1の位置における前記金属板の変形後の表面温度を測定し、
前記変形前の状態として、前記加工部による変形荷重を受けない前記金属板の長さ方向の第2の位置における表面温度を測定することを特徴とする請求項1に記載の残留応力測定装置。 - 前記測定部は、
前記変形後の状態として、前記加工部による変形が加えられた前記金属板の長さ方向の第1の位置における前記金属板の変形後の表面温度を測定し、
前記変形前の状態として、前記第1の位置における前記金属板の変形前の表面温度を測定することを特徴とする請求項1に記載の残留応力測定装置。 - 前記加工部は、3秒以内に前記金属板に変形を加えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の残留応力測定装置。
- 前記加工部は、前記金属板の幅よりも長手方向の長さが長い、第1のロールと第2のロールと第3のロールとを有し、
前記第1のロールおよび前記第2のロールは、前記金属板の厚さ方向において互いに位置する上下面のうちの上面側に、前記金属板の長さ方向に互いに離間して設けられ、
前記第3のロールは、前記金属板の下面側に、前記第1のロールと前記第2のロールとの間に配されて設けられ、
前記第1のロールが前記金属板を圧下させることで前記金属板に変形を加えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の残留応力測定装置。 - 前記測定部は、0.02℃以下の分解能を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の残留応力測定装置。
- 金属板の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加える加工工程と、
変形前の状態として前記加工工程による変形荷重を受けない前記金属板の長さ方向の第2の位置における前記金属板の幅方向の表面温度を測定し、変形後の状態として前記加工工程により変形が加えられた前記金属板の長さ方向の第1の位置における前記金属板の幅方向の表面温度を測定する測温工程と、
前記測温工程により測定される前記変形前の状態と前記変形後の状態とにおける前記金属板の温度変化量に基づいて、前記金属板の幅方向の残留応力を算出する算出工程と、を備えることを特徴とする残留応力測定方法。 - 変形前の状態として金属板の長さ方向の第1の位置における前記金属板の幅方向の表面温度を測定する第1の測温工程と、
前記金属板の前記第1の位置の幅方向に均一に引っ張りまたは圧縮の少なくとも一方の変形を加える加工工程と、
変形後の状態として前記加工工程により変形が加えられた前記金属板の長さ方向の第1の位置における前記金属板の幅方向の表面温度を測定する第2の測温工程と、
前記第1の測温工程と前記第2の測温工程とにより測定される前記変形前の状態と前記変形後の状態とにおける前記金属板の温度変化量に基づいて、前記金属板の幅方向の残留応力を算出する算出工程と、を備えることを特徴とする残留応力測定方法。
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