JP2016030979A - 後施工アンカー、後施工アンカーの施工方法および後施工アンカーシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】コーン部を、アンカー穴の穴底に達するまで確実に打ち込むことができる後施工アンカー等を提供する。
【解決手段】拡径部4を形成したアンカー穴1に挿入されるアンカー本体11とコーン部12とを備えた後施工アンカーであって、アンカー本体11は、筒状本体21と、コーン部12により拡開される拡開部22と、コーン部12を受容するコーン受容部23とを備え、拡開部22は、拡径部4に対応する主拡開部31と、主拡開部31の基端側に連なる基端側拡開部32および先端側拡開部33とを有し、コーン受容部23は、主拡開部31に位置する狭窄部43と、基端側から狭窄部43に向かって先細り形状の狭窄受容部44と、狭窄部43から先端側に向かって先太り形状の拡開受容部45と、を有している。
【選択図】 図2
【解決手段】拡径部4を形成したアンカー穴1に挿入されるアンカー本体11とコーン部12とを備えた後施工アンカーであって、アンカー本体11は、筒状本体21と、コーン部12により拡開される拡開部22と、コーン部12を受容するコーン受容部23とを備え、拡開部22は、拡径部4に対応する主拡開部31と、主拡開部31の基端側に連なる基端側拡開部32および先端側拡開部33とを有し、コーン受容部23は、主拡開部31に位置する狭窄部43と、基端側から狭窄部43に向かって先細り形状の狭窄受容部44と、狭窄部43から先端側に向かって先太り形状の拡開受容部45と、を有している。
【選択図】 図2
Description
本発明は、コンクリート等の躯体に穿孔したアンカー穴にアンカリングされる後施工アンカー、後施工アンカーの施工方法および後施工アンカーシステムに関するものである。
従来、この種の後施工アンカーとして、フェライト系ステンレス鋼で構成された芯棒打込み式金属拡張アンカー(以下、「アンカー」と言う)が知られている(特許文献1参照)。
このアンカーは、冷間加工性や靱性に優れたフェライト系ステンレス鋼で構成されたアンカー本体と、アンカー本体に打ち込まれる芯棒とを備えている。アンカー本体は、外周面を浅山加工部とすると共に軸方向に延びる4本の溝を形成した拡張部を有している。一方、芯棒は、その先端部に先細状部を有している。また、芯棒が打ち込まれるアンカー本体の内周部は、拡張部において先端に向かって段階的に細くなるように形成されている。
コンクリートに形成した穴に挿入したアンカー本体に対し、芯棒を打ち込んでいくと、その先細状部が拡張部の基端側から先端側に移動してゆき、拡張部をコンクリートに喰い込むように拡張する。
このアンカーは、冷間加工性や靱性に優れたフェライト系ステンレス鋼で構成されたアンカー本体と、アンカー本体に打ち込まれる芯棒とを備えている。アンカー本体は、外周面を浅山加工部とすると共に軸方向に延びる4本の溝を形成した拡張部を有している。一方、芯棒は、その先端部に先細状部を有している。また、芯棒が打ち込まれるアンカー本体の内周部は、拡張部において先端に向かって段階的に細くなるように形成されている。
コンクリートに形成した穴に挿入したアンカー本体に対し、芯棒を打ち込んでいくと、その先細状部が拡張部の基端側から先端側に移動してゆき、拡張部をコンクリートに喰い込むように拡張する。
このような、従来のアンカー(後施工アンカー)では、アンカー本体が靱性を有しているため、芯棒の打込みに伴う先細状部の移動に合わせて、拡張部が基端側から先端側に向かって拡張してゆく。この場合、靱性がゆえに、拡張部の基端側内面に先細状部が位置している打込み初期状態では、拡張部の基端側が拡張しコンクリートにめり込むが、拡張部の先端側は逆にコンクリートから反力を受けて、内側に曲げ応力を受ける。一方で、拡張部の先端側は、打ち込みにより穴底から軸方向の反力(圧縮力)を受ける。このため、拡張部の先端側は、窄む方向に湾曲する。また、ハンマードリル等で穿孔した下穴は、穴底が円錐状に穿孔されているため、穴底に突き当てられた拡張部の先端側は、打込み力の分力により窄む方向に湾曲する傾向にあり、窄む方向への湾曲が助長される。
したがって、芯棒の打込み負荷が次第に大きくなり、芯棒の先細状部が穴底に達する前に、芯棒の打込みを終了し或いは打込み不能となる問題があった。かかる場合には、拡張部の拡張が不十分となり、設計上の引抜き強度が得られなくなるおそれがある。すなわち、打込み作業における個人差やアンカーの構造に起因して、引抜き強度が区々となるおそれがある。
したがって、芯棒の打込み負荷が次第に大きくなり、芯棒の先細状部が穴底に達する前に、芯棒の打込みを終了し或いは打込み不能となる問題があった。かかる場合には、拡張部の拡張が不十分となり、設計上の引抜き強度が得られなくなるおそれがある。すなわち、打込み作業における個人差やアンカーの構造に起因して、引抜き強度が区々となるおそれがある。
本発明は、コーン部を、アンカー穴の穴底に達するまで確実に打ち込むことができる後施工アンカー、後施工アンカーの施工方法および後施工アンカーシステムを提供することを課題としている。
本発明の後施工アンカーは、下穴部の所定の深さ位置に拡径部を形成したアンカー穴に挿入されるアンカー本体と、アンカー本体に対し打ち込まれるコーン部と、を備えた後施工アンカーであって、アンカー本体は、円筒状の筒状本体と、筒状本体の先端側に連なると共にコーン部により拡開される拡開部と、拡開部の内側に形成され、コーン部を受容するコーン受容部と、を備え、拡開部は、拡径部に対応する主拡開部と、主拡開部の基端側に連なる基端側拡開部と、主拡開部の先端側に連なる先端側拡開部と、を有し、コーン受容部は、主拡開部に位置する狭窄部と、基端側から狭窄部に向かって先細り形状に形成された狭窄受容部と、狭窄部から先端側に向かって先太り形状に形成された拡開受容部と、を有していることを特徴とする。
この構成によれば、拡開部に対しコーン部を打ち込んでゆくと、コーン部は、狭窄部を境に狭窄受容部に対し拡開力を作用させるが、拡開受容部に対し拡開力を作用させない。すなわち、コーン部は、先細り形状の狭窄受容部に対し拡開力を作用させ、主に拡開部の主拡開部を拡開させる一方、先太り形状の拡開受容部には拡開力を作用させない。
この場合、打込み初期において、躯体からの反力により先端側拡開部が窄むように湾曲しても、拡開受容部には、コーン部が挿入される十分な空間が確保されるため、コーン部の打込み負荷がほぼ一定に維持される。このため、打込み負荷がほぼ一定のまま打ち込みが進み、やがてコーン部の先端がアンカー穴の穴底に突き当たる。コーン部の先端がアンカー穴の穴底に突き当たると、打込み負荷が急激に大きくなるだけでなく、打込み音が極端に変化し、コーン部の打込み完了が把握される。したがって、コーン部を、アンカー穴の穴底に達するまで確実に打ち込むことができる。
また、コーン部を適切且つ確実に打ち込むことで、拡開された主拡開部がアンカー穴の拡径部に圧接する。これにより、アンカー本体の引抜き強度を格段に高めることができる。
なお、狭窄受容部は、先細りのテーパー形状とすることが好ましく、また拡開受容部は、先太りのテーパー形状とすることが好ましい。
この場合、打込み初期において、躯体からの反力により先端側拡開部が窄むように湾曲しても、拡開受容部には、コーン部が挿入される十分な空間が確保されるため、コーン部の打込み負荷がほぼ一定に維持される。このため、打込み負荷がほぼ一定のまま打ち込みが進み、やがてコーン部の先端がアンカー穴の穴底に突き当たる。コーン部の先端がアンカー穴の穴底に突き当たると、打込み負荷が急激に大きくなるだけでなく、打込み音が極端に変化し、コーン部の打込み完了が把握される。したがって、コーン部を、アンカー穴の穴底に達するまで確実に打ち込むことができる。
また、コーン部を適切且つ確実に打ち込むことで、拡開された主拡開部がアンカー穴の拡径部に圧接する。これにより、アンカー本体の引抜き強度を格段に高めることができる。
なお、狭窄受容部は、先細りのテーパー形状とすることが好ましく、また拡開受容部は、先太りのテーパー形状とすることが好ましい。
この場合、コーン部は、下穴部の穴底に達した打込み状態で、主拡開部を拡径部に圧接する形状に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、コーン部の打込みが完了した状態で、主拡開部を拡径部に適切に圧接することができ、アンカー本体は、設計上の引抜き強度を奏することになる。
また、拡開部は、基端側拡開部と主拡開部との間に介設され、コーン部による拡開に際し、基端側拡開部および主拡開部に優先して変形する第1変形部と、主拡開部と先端側拡開部との間に介設され、コーン部による拡開に際し、主拡開部および先端側拡開部に優先して変形する第2変形部と、を更に有していることが好ましい。
この構成によれば、コーン部の打込みにより拡開部を拡開させると、主拡開部は拡径部に向かって拡開し、基端側拡開部は下穴部における拡径部近傍の基端側部位に向かって拡開する。
このとき、主拡開部に挟んで両側に形成した第1変形部および第2変形部が優先的に変形するため、基端側拡開部は下穴部の拡径部近傍部位に圧接されるが、これと同時に、主拡開部は大きく拡開して、拡径部に圧接される。すなわち、主拡開部は、アンカー穴の拡径部に無理なく係止(圧接)され、拡径部に対し抜止め状態にアンカリングされる。
また、主拡開部に連なる基端側拡開部も、下穴部に圧接されるため、アンカー本体は、全体としてガタつき(グラつき)が生ずることがなく、振動等により緩みを生じ難くなる。しかも、主拡開部は大きく拡開させることができるので、予め主拡開部を他の部分に比して太径に形成しておく必要がなく、後施工アンカーの径とアンカー穴の径との間の寸法差を極力小さくすることができる。この点でも、ガタつきが生じ難い構造とすることができる。
したがって、後施工アンカーをアンカー穴に高い引抜き強度でアンカリングすることができ、且つ振動等によるガタつきが抑制され、高い引抜き強度が経時的に低下することを防止することができる。
このとき、主拡開部に挟んで両側に形成した第1変形部および第2変形部が優先的に変形するため、基端側拡開部は下穴部の拡径部近傍部位に圧接されるが、これと同時に、主拡開部は大きく拡開して、拡径部に圧接される。すなわち、主拡開部は、アンカー穴の拡径部に無理なく係止(圧接)され、拡径部に対し抜止め状態にアンカリングされる。
また、主拡開部に連なる基端側拡開部も、下穴部に圧接されるため、アンカー本体は、全体としてガタつき(グラつき)が生ずることがなく、振動等により緩みを生じ難くなる。しかも、主拡開部は大きく拡開させることができるので、予め主拡開部を他の部分に比して太径に形成しておく必要がなく、後施工アンカーの径とアンカー穴の径との間の寸法差を極力小さくすることができる。この点でも、ガタつきが生じ難い構造とすることができる。
したがって、後施工アンカーをアンカー穴に高い引抜き強度でアンカリングすることができ、且つ振動等によるガタつきが抑制され、高い引抜き強度が経時的に低下することを防止することができる。
また、第1変形部は、狭窄受容部に倣った先細り形状の薄肉部で構成されていることが好ましい。
この構成によれば、拡開部の外周面を狭窄受容部に倣った形状に研削するだけで、第1変形部を簡単に形成することができる。また、第1変形部の肉厚調整により、引抜き強度(引張り強度)を容易に調整することができる。
同様に、第2変形部は、拡開受容部に倣った先太り形状の薄肉部で構成されていることが好ましい。
この構成によれば、拡開部の外周面を拡開受容部に倣った形状に研削するだけで、第2変形部を簡単に形成することができる。また、第2変形部により、略ロート形状の基本形状となる先端側拡開部は、打込み力とその反力により圧縮力を受けたときに、外方に広がる方向に分力を受ける。したがって、先端側拡開部も、下穴部の拡径部近傍部位に圧接される。なお、第2変形部は、コーンの打込みに耐え得る強度を有していればよく、第1変形部より薄肉であってもよい。
一方、拡開部は、筒状本体と基端側拡開部との間に介設され、コーン部による拡開に際し、筒状本体および基端側拡開部に優先して変形する第3変形部を、更に有していることが好ましい。
この構成によれば、第3変形部を設けることにより、基端側拡開部を、コーン部により無理なく拡開させることができる。すなわち、基端側拡開部を、下穴部の基端側部位に確実に圧接させることができる。したがって、アンカー本体のガタつきを防止することができる。
この場合、基端側拡開部は、基端側の第1基端側拡開部と、先端側の第2基端側拡開部と、コーン部による拡開に際し、第1基端側拡開部および第2基端側拡開部に優先して変形する第4変形部と、を有していることが好ましい。
この構成によれば、下穴部と筒状本体との間に比較的大きな間隙があっても、少なくても第2基端側拡開部を、下穴部の基端側部位に確実に圧接させることができる。したがって、アンカー本体のガタつきを確実に防止することができる。
この場合、第3変形部および第4変形部は、拡開部の外周面に形成された環状溝により構成された薄肉部であることが好ましい。
この構成によれば、拡開部の外周面を研削或いは絞り込むだけで、第3変形部および第4変形部を簡単に形成することができる。なお、この場合の環状溝の溝底は、応力集中が生じないように、断面半円状とすることが好ましい。
この場合、第3変形部および第4変形部に対し第1変形部は、薄肉に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第3変形部および第4変形部を、拡開部の部分変形を優先する部位として、第1変形部を、拡開部の部分変形の他、引抜き強度を調整する部位として、機能させることができる。
また、先端側拡開部の先端から第3変形部まで軸方向に延在する複数のスリットを、更に備えることが好ましい。
この構成によれば、この複数のスリットと複数の変形部とにより、拡開部の拡開形態を自在にコントロールすることができる。
本発明の他の後施工アンカーは、アンカー穴に挿入されるアンカー本体と、アンカー本体に対し打ち込まれるコーン部と、を備えた後施工アンカーであって、アンカー本体は、コーン部により拡開される拡開部と、拡開部の内側に形成され、コーン部を受容するコーン受容部と、を備え、コーン受容部は、先端側が先太りの拡開形状に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、拡開部に対しコーン部を打ち込んでゆくと、コーン部は、拡開部に対し拡開力を作用させるが、拡開部の先端側に対しては、拡開力を作用させない。この場合、コーン部の打込み初期において、躯体からの反力により拡開部の先端側が窄むように湾曲しても、拡開形状の先端側には、コーン部が挿入される十分な空間が確保されるため、コーン部の打込み負荷がほぼ一定に維持される。このため、打込み負荷がほぼ一定のまま打ち込みが進み、やがてコーン部の先端がアンカー穴の穴底に突き当たる。コーン部の先端がアンカー穴の穴底に突き当たると、打込み負荷が急激に大きくなるだけでなく、打込み音が極端に変化し、コーン部の打込み完了が把握される。したがって、コーン部を、アンカー穴の穴底に達するまで確実に打ち込むことができる。
本発明の後施工アンカーの施工方法は、上記した後施工アンカーの施工方法であって、下穴部を穿孔する穿孔工程と、下穴部に拡径部を形成する拡径工程と、後施工アンカーを、アンカー穴に挿入する挿入工程と、コーン部の打込みにより拡開部を拡開させるアンカリング工程と、を備えたことを特徴とする後施工アンカーの施工方法。
この構成によれば、コーン部の打込むと、コーン部は、主拡開部を中心に拡開部に拡開力を作用させる。このコーン部の打込み初期において、躯体からの反力により先端側拡開部が窄むように湾曲しても、拡開受容部には、コーン部が挿入される十分な空間が確保される。このため、コーン部の打込み負荷がほぼ一定に維持されたまま打込みが進み、やがてコーン部の先端がアンカー穴の穴底に突き当たる。コーン部の先端がアンカー穴の穴底に突き当たると、打込み負荷が急激に大きくなるだけでなく、打込み音が極端に変化し、コーン部の打込み完了が把握される。したがって、コーン部を、アンカー穴の穴底に達するまで確実に打ち込むことができる。
また、コーン部を打ち込むと、主拡開部は、アンカー穴の拡径部に無理なく係止(圧接)される。また同時に、基端側拡開部も、拡径部近傍に下穴部の部位に圧接される。このため、アンカー本体をアンカー穴に強固に固定することができると共に、アンカー本体のガタツキを抑制することができる。特に、主拡開部は、拡径部に対し抜止め状態となるため、アンカー本体の引抜き強度を格段に高めることができる。
また、コーン部を打ち込むと、主拡開部は、アンカー穴の拡径部に無理なく係止(圧接)される。また同時に、基端側拡開部も、拡径部近傍に下穴部の部位に圧接される。このため、アンカー本体をアンカー穴に強固に固定することができると共に、アンカー本体のガタツキを抑制することができる。特に、主拡開部は、拡径部に対し抜止め状態となるため、アンカー本体の引抜き強度を格段に高めることができる。
この場合、拡径工程と挿入工程との間に、アンカー穴に接着剤を注入する注入工程を、更に備えたことが好ましい。
この構成によれば、後施工アンカーを、アンカー穴に対しメカニカルに定着させ得るだけでなく、接着剤によって定着させることができる。したがって、後施工アンカーをアンカー穴により強固に固定(グラつき防止)することができ、且つ引抜き強度が経時的に低下するのを有効に防止することができる。
本発明の後施工アンカーシステムは、上記した後施工アンカーと、先端部において、アンカー穴に拡径部を研削する切刃部を有する拡径用ドリルビットと、を備え、軸方向において、主拡開部の長さに対し切刃部の長さが長く形成され、且つ後施工アンカーの先端から主拡開部の中間位置までの距離と、拡径用ドリルビットの先端から切刃部の中間位置までの距離と、が同一に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、拡径用ドリルビットによりアンカー穴に形成した拡径部の位置と、アンカー穴にアンカリングされた後施工アンカーの主拡開部の位置と、を合致させることができる。このため、コーン部の適切且つ確実な打ち込みにより、アンカー穴にアンカリングされた後施工アンカーは、主拡開部が拡径部にアンカリング(圧接)され、拡径部の環状段部の部分に対し抜止め状態となる。したがって、後施工アンカーをアンカー穴に強固に固定することができるだけでなく、引抜き強度が経時的に低下するのを有効に防止することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る後施工アンカー、後施工アンカーの施工方法および後施工アンカーシステムについて説明する。この後施工アンカーは、スラブ、外壁、内壁等のコンクリートの躯体に対し、構造体を支持するために設けられる、いわゆる金属拡張アンカーである。
特に、本実施形態の後施工アンカーは、建物の耐震補強や設備機器の設置に用いられ、特殊形状のアンカー穴と協働して、高い引抜き強度を得ることができると共に地震等の振動による経時的な引抜き強度の低下を防止し得るものである。また、この後施工アンカーは、高い引抜き強度を得るためにコーン部の打ち込みを適切且つ確実に行えるように構成したものである。一方、後施工アンカーシステムは、後施工アンカーと、この特殊形状のアンカー穴を形成するための拡径用ドリルビットと、をシステム化したものである。そこで、後施工アンカーの説明の前に、この特殊形状のアンカー穴について、簡単に説明する。
図1は、コンクリート等の躯体に形成されたアンカー穴を表している。同図に示すように、アンカー穴1は、躯体2に穿孔されたストレート形状の下穴部3と、下穴部3の奥部(先端部)に、下穴部3よりも太径に形成された拡径部4とを有している。この場合、拡径部4は、2箇所の環状段部5を存して下穴部3から外側に張り出した円筒状の部分で構成されている。また、下穴部3は、拡径部4を挟んで開口部3a側の長い開口側穴部3bと、穴底側の短い底側穴部3cと、を有している。
詳細は後述するが、下穴部3と拡径部4とは、異なるドリルビットを用いて形成される。下穴部3は、ダイヤモンドコアビット65やノンコアビットで穿孔することが好ましいが(図5(a)参照)、ハンマードリルや振動ドリル(コンクリートドリルビット)で穿孔することも可能である。コンクリートドリルビットで穿孔した場合には、図1の仮想線で示すように、円錐状の穴底か形成される。なお、実施形態の拡径部4は、円筒状に形成されているが。下穴部3に対し広がっている限りにおいて、その形状は任意である。
図2は、第1実施形態に係る後施工アンカーの正面図(a)および下面図(b)であり、図3は、その断面図である。両図に示すように、第1実施形態の後施工アンカー10は、いわゆる内部コーン打込み式のアンカーであり、略円筒状のアンカー本体11と、アンカー本体11に打ち込まれるコーン部12とで構成されている。アンカー本体11は、スチールやステンレス等で一体に形成されている。また、コーン部12も、スチールやステンレス等で一体に形成されている。
アンカー本体11は、円筒状に形成された基端側の筒状本体21と、筒状本体21の先端側に連なると共にコーン部12により拡開される拡開部22と、拡開部22の内側に形成され、コーン部12を受容するコーン受容部23と、を有している。筒状本体21の内周面には、雌ねじ部25が設けられており。この雌ねじ部25には、図示しないが、支持対象物のための吊りボルトや繋ぎボルトなどの連結ボルト(一般的には、全ねじボルト)がねじ込まれる。また、拡開部22に打ち込まれたコーン部12は、コーン受容部23内を先端に向かって移動し、その分力で拡開部22を内側から拡開させる。
拡開部22は、アンカー穴1の拡径部4に対応する主拡開部31と、主拡開部31の基端側に連なる基端側拡開部32と、主拡開部31の先端側に連なる先端側拡開部33と、を有している。また、基端側拡開部32は、筒状本体21側の第1基端側拡開部32Aと、主拡開部31側の第2基端側拡開部32Bと、を有している。
さらに、拡開部22は、基端側拡開部32と主拡開部31との間に介設した第1変形部35と、主拡開部31と先端側拡開部33との間に介設した第2変形部36と、筒状本体21と基端側拡開部32との間に介設した第3変形部37と、第1基端側拡開部32Aと第2基端側拡開部32Bとの間に介設した第4変形部38と、を有している。すなわち、拡開部22には、筒状本体21側から順に、第3変形部37、第1基端側拡開部32A、第4変形部38、第2基端側拡開部32B、第1変形部35、主拡開部31、第2変形部36および先端側拡開部33が、配設されている。
また、拡開部22には、その先端から切り込んだ複数のスリット41が形成されている。この実施形態では、周方向に均等配置した4つのスリット41が設けられており(図2(b)参照)、各スリット41は、先端側拡開部33の先端から第3変形部37の位置まで、軸方向に延在している。言うまでもないが、この4つのスリット41は、コーン部12の打ち込みによる拡開部22の拡開を促進する。なお、スリット41の数は5つ以上、或いは3つであってもよい(いずれも、周方向に均等配置する)。
拡開部22の内周面には、コーン受容部23が形成されている。コーン受容部23は、主拡開部31に位置する狭窄部43と、基端側から狭窄部43に向かって先細りテーパー形状に形成された狭窄受容部44と、狭窄部43から先端側に向かって先太りテーパー形状に形成された拡開受容部45と、を有している。また、拡開部22の内周面には、雌ねじ部25とコーン受容部23(狭窄受容部44)とを連通する連通孔部47が設けられている。
狭窄部43は、主拡開部31における軸方向の中間位置に配設されている。狭窄受容部44は、第2基端側拡開部32Bおける軸方向の中間位置から狭窄部43まで、先細りテーパー状に延在している。拡開受容部45は、狭窄部43から先端側拡開部33の先端まで先太りテーパー状に延在している。また、連通孔部47は、段付きのストレート孔で構成され、第3変形部37の位置から狭窄受容部44の基端まで延在している。なお、詳細は後述するが、狭窄受容部44のテーパーと、コーン部12のテーパーとは、同一の角度に形成されている。また、コーン部12の長さは、狭窄受容部44の長さよりも長く形成されている。
コーン部12は、初期位置において、その先端が狭窄部43の位置にほぼ合致するように、接着等により狭窄受容部44に弱く固定されている。この状態からコーン部12を打ち込むと、コーン部12は、第2基端側拡開部32Bおよび主拡開部31を直接押し開きながら前進し、最終的にアンカー穴1の穴底に突き当たって停止する。そして、穴底に突き当たった打込み完了状態のコーン部12は、その基端側が狭窄部43および狭窄受容部44の一部に臨んでおり、主拡開部31の拡開状態を直接維持する。なお、狭窄受容部44は、段階的な先細り形状であってもよい。同様に、拡開受容部45は、段階的な先太り形状であってもよい。
基端側拡開部32、主拡開部31および先端側拡開部33は、いずれも環状に形成されている。基端側拡開部32および主拡開部31は、筒状本体21と同径に形成されている。また、先端側拡開部33は、基端側拡開部32および主拡開部31よりわずかに細径(0.8mm程度細径)に形成されている。一方、軸方向において、第1基端側拡開部32A、第2基端側拡開部32B、主拡開部31および先端側拡開部33は、例えば5:6:6:4の寸法比率で形成されている。なお、先端側拡開部33は、主拡開部31等と同径に形成されていてもよい。
そして、主拡開部31は、後施工アンカー10をアンカー穴1に投入したときに、拡径部4の深さ位置に合致するように設けられている。また、主拡開部31は、軸方向において拡径部4より短い寸法に形成されている。詳細は後述するが、先端側拡開部33の先端は、コーン部12を打ち込む際にアンカー穴1の穴底に突き当てられる。一方、拡径部4の穴底からの位置は、後述する拡径装置62との関係で規定される(図6(b)参照)。このため、先端側拡開部33の軸方向の長さは、拡径装置62との関係で設計されている。
軸方向において、第1変形部35および第2変形部36は、上記の寸法比率で言えば「3」の寸法比率にそれぞれ形成されている。また、第1変形部35および第2変形部36は、拡開部22の外周面に形成した環状溝49により形成されている。この場合、第1変形部35は、狭窄受容部44に倣った先細りテーパー形状の薄肉部で構成されている。この第1変形部35は、アンカー穴1の拡径部4に係止(圧接)される主拡開部31の基端側近傍に配設されており、第1変形部35の引張り強度が、アンカー本体11の引抜き強度(引張り強度)となるように、その肉厚が調整されている。
同様に、第2変形部36は、拡開受容部45に倣った先太りテーパー形状の薄肉部で構成されている。主拡開部31の拡開において、先端側拡開部33の剛性の影響を可能な限り絶縁する部位であり、コーン部12の打込みに耐え得る強度を有して、薄肉に形成されている。したがって、実施形態の第2変形部36は、第1変形部35より薄肉に形成されている。
第3変形部37および第4変形部38は、上記の寸法比率で言えば「2」の寸法にそれぞれ形成されている。この場合も、第3変形部37および第4変形部38は、拡開部22の外周面に形成した環状溝49により形成されている。但し、この環状溝49の溝底は、変形時に応力集中が生じないように、断面半円形に形成されている。上記の連通孔部47に面する第3変形部37および第4変形部38は、それぞれの肉厚が同一となるように形成されている。これにより、第3変形部37および第4変形部38は、物理的に略同一条件で変形する。また、第3変形部37および第4変形部38は、第1変形部35より厚肉(引張り強度が高い)に形成されている。
このように、第1変形部35、第2変形部36、第3変形部37および第4変形部38は、先端側拡開部33、主拡開部31および基端側拡開部32(第1基端側拡開部32Aおよび第2基端側拡開部32B)に比して十分に薄肉に形成されている。このため、打ち込んだコーン部12の拡開力により、第1変形部35、第2変形部36、第3変形部37および第4変形部38は、先端側拡開部33、主拡開部31および基端側拡開部32に優先して変形する。
より具体的には、第1変形部35は、主拡開部31および第2基端側拡開部32Bに優先して変形し、第2変形部36は、先端側拡開部33および主拡開部31に優先して変形し、第3変形部37は、第1基端側拡開部32Aおよび筒状本体21に優先して変形し、更に第4変形部38は、第2基端側拡開部32Bおよび第1基端側拡開部32Aに優先して変形する。もっとも、筒状本体21には、スリット41が形成されていないため、第3変形部37は、第1基端側拡開部32Aに優先して変形することとなる。このため、特に剛性の高い筒状本体21から離れた、第2基端側拡開部32B、主拡開部31および先端側拡開部33は、大きな拡開の自由度を有することとなる。
上述のように、主拡開部31は、アンカー穴1の拡径部4に対応している。このため、後施工アンカー10をアンカー穴1に挿填すると、主拡開部31が拡径部4に、基端側拡開部32が拡径部4近傍の開口側穴部3bに、さらに先端側拡開部33が拡径部4近傍の底側穴部3cに対峙する(図6(d)参照)。この状態から、コーン部12を打ち込むと、コーン部12は、主に主拡開部31の位置に喰い込む。これにより、拡開部22には、主拡開部31を中心に拡開力が作用するが、第1変形部35、第2変形部36、第3変形部37および第4変形部38が適宜変形するため、拡開部22は、アンカー穴1に倣った形状に変形する。
具体的には、基端側拡開部32は拡径部4近傍の開口側穴部3bに倣って、主拡開部31は拡径部4に倣って、さらに先端側拡開部33が拡径部4近傍の底側穴部3cに倣って変形する。すなわち、コーン受容部23の狭窄受容部44を介して、コーン部12から直接拡開力を受ける基端側拡開部32(第2基端側拡開部32B)および主拡開部31は、それぞれ開口側穴部3bおよび拡径部4に圧接される。一方、先端側拡開部33は、打込み力の反力を穴底から受け、その反力の分力により広がって、底側穴部3cに圧接される(図6(e)参照)。
図3および図4に示すように、コーン部12は、主体を為すテーパー部51と、テーパー部51の基端側に連なる被打込み部52と、を有している。コーン受容部23に接するテーパー部51の長さは、コーン受容部23の狭窄受容部44や拡開受容部45の長さに比して十分に長く形成されている。すなわち、実施形態のテーパー部51の長さは、上記の寸法比率で言えば「12」程度の寸法に形成されている。
また、テーパー部51は、先細りのテーパー形状(円錐台形状)に形成されており、上述のように、コーン受容部23の狭窄受容部44と同一のテーパー角度に形成されている。すなわち、テーパー部51(コーン部12)は、コーン受容部23と協働し、下穴部3の穴底に達した打込み状態で、主拡開部31を拡径部4に圧接する形状に形成されている。これにより、拡開部22(主拡開部31)は、外方に平行移動するように拡開される。
被打込み部52は、後述する打込み棒78が突き当てられる部分であり、テーパー部51の基端側に連なり、テーパー部51の元径と同径のストレート形状に形成されている。なお、製品の状態において、コーン部12は、コーン受容部23(狭窄受容部44)に軽く打ち込まれて固定されているか、或いは接着剤によりコーン受容部23に接着されていることが好ましい。また、被打込み部52を、テーパー部51に対し、逆テーパー形状に形成するようにしてもよい。
上述のように、コーン部12は、第2基端側拡開部32Bおよび主拡開部31を直接押し開きながら前進し、最終的にアンカー穴1の穴底に突き当たって停止する。このとき、先太りテーパー形状の拡開受容部45を内周面とする先端側拡開部33は、コーン部12を呼び込む十分な空間を維持している。このため、コーン部12は、先端側拡開部33に邪魔されることなく円滑に打ち込まれ、アンカー穴1の穴底に突き当たる。すなわち、コーン部12を適切且つ確実に打ち込むことが可能になる。
なお、コーン部12を打ち込むと、アンカー穴1の形状に倣って主拡開部31が大きく、基端側拡開部32(第2基端側拡開部32B)は小さく拡開する。このため、狭窄受容部44も変形し、結果的にコーン部12が抜け難いものとなる(図6(e)参照)。
次に、図5および図6を参照して、後施工アンカー10の施工方法(施工手順)について説明する。この施工方法は、穿孔装置61を用いて下穴部3を穿孔する穿孔工程(図5(a))と、拡径装置62を用いて下穴部3に拡径部4を形成する拡径工程(図5(b))と、注入装置63を用いてアンカー穴1に接着剤Aを注入する注入工程(図5(c))と、アンカー穴1に後施工アンカー10を挿入装着する挿入工程(図6(d))、挿入した後施工アンカー10の拡開部22を拡開させるアンカリング工程(図6(e))と、を備えている。
穿孔装置61は、電動ドリル(図示省略)にダイヤモンドコアビット65を装着して構成されている。ダイヤモンドコアビット65は、例えば円筒状の切刃部66と、切刃部66を支持するシャンク部67とから成り、切刃部66によりコンクリートのコアを抜くようにして、躯体2に下穴部3を穿孔する(図5(a)参照)。なお、ダイヤモンドコアビット65に代えて、ダイヤモンドのノンコアビットを用いてもよいし、ハンマードリルや振動ドリル(コンクリートドリルビット)により穿孔を行ってもよい。
拡径装置62は、電動ドリル(図示省略)に拡径用ドリルビット71を装着して構成されている。拡径用ドリルビット71は、例えば一対の切刃部72と、一対の切刃部72を径方向に移動自在に保持する切刃保持部73と、切刃保持部73を支持するシャンク部74とから成り、遠心力(回転)により一対の切刃部72を径方向に拡開(平行移動)して、拡径部4を研削する(図5(b)参照)。
そして、後施工アンカー10の先端(先端側拡開部33の先端)からの主拡開部31の中間位置までの寸法は、拡径用ドリルビット71の先端(切刃保持部73の先端)からの切刃部72の中間位置までの寸法と、が同一になるように設計されている。また、主拡開部31の長さに対し切刃部72の長さが長く形成されている。すなわち、切刃部72により形成される拡径部4に対し、アンカー穴1にアンカリングされる後施工アンカー10の主拡開部31を、位置合せし得るようにしている。
注入装置63は、ポンプ部(図示省略)とノズル部76とから成り、ポンプ部のポンピングにより、ポンプ部に貯留されている接着剤Aが、ノズル部76の先端から吐出しアンカー穴1に注入される(図5(c)参照)。
図5(a)の穿孔工程では、電動ドリルによりダイヤモンドコアビット65を回転させ、後施工アンカー10の長さに対応する深さの下穴部3を穿孔する。この場合、下穴部3の径(直径)が、後施工アンカー10の径(外径)より0.5mm前後の太い径となるダイヤモンドコアビット65を用いるものとする。なお、このダイヤモンドコアビット65では、シャンク部67を介して切刃部66に冷却液を供給するようになっている。
図5(b)の拡径工程では、拡径用ドリルビット71を、穴底に突き当てるように下穴部3に挿入し、電動ドリルにより拡径用ドリルビット71を回転させて、拡径部4を研削する。なお、この拡径用ドリルビット71でも、一対の切刃部72に冷却液を供給するようになっている。そして、拡径部4を形成した後にも、僅かな時間、冷却液の供給を続行し、アンカー穴1の洗浄を行うようにしている。これにより、注入工程に先立つアンカー穴1の清掃は不要となる。
図5(c)の注入工程では、ノズル部76を穴底に突き当てるようにアンカー穴1に挿入し、接着剤Aをアンカー穴1の最奥部から注入する。この場合、接着剤Aは、例えばエポキシ樹脂系の接着剤Aを用いる。また、接着剤Aの注入量は、アンカー穴1(拡径部4を含む)の体積から後施工アンカー10の体積を減算した量とする。これにより、アンカー穴1に後施工アンカー10を挿入したときに、接着剤Aがアンカー穴1からはみ出すのを防止することができる。なお、注入工程は、省略することも可能である。
図6(d)の挿入工程では、後施工アンカー10を、穴底に突き当てるようにアンカー穴1内に挿入する。この挿入により、後施工アンカー10の主拡開部31が、アンカー穴1の拡径部4と合致した状態となる。
図6(e)のアンカリング工程では、打込み棒78を、コーン部12に当接するように筒状本体21に挿入し、ハンマー79等により、打込み棒78を介してコーン部12を打ち込む。これにより、コーン部12が拡開部22(主拡開部31)に強く押し込まれ、拡開部22を構成する基端側拡開部32、主拡開部31および先端側拡開部33が、アンカー穴1の拡径部4廻りの形状に倣って拡開する。これにより、基端側拡開部32は開口側穴部3bに圧接され、主拡開部31は拡径部4に圧接され、先端側拡開部33は底側穴部3cに圧接される。
このように、第1実施形態の後施工アンカー10によれば、コーン受容部23における拡開受容部45が、先太りテーパー形状に形成されているため、コーン部12の打込みに際し、先端側拡開部33が窄むように変形しても、コーン部12を呼び込む十分な空間を維持することができる。特に、アンカー穴1の穴底が円錐状に穿孔されている場合には、打込みの分力を受けて先端側拡開部33が窄むように変形する可能性がある。かかる場合に、先太りテーパー形状の拡開受容部45が変形するが、拡開受容部45に十分な空間を維持することができる。したがって、コーン部12を、先端側拡開部33に邪魔されることなく、アンカー穴1の穴底に突き当たるまで円滑に打ち込むことができる。すなわち、先太りテーパー状の拡開受容部45により、コーン部12を適切且つ確実に打ち込むことできる。これにより、拡開部22のアンカー穴1への圧接を適切かつ確実に行うことができる。
また、コーン部12の打ち込みにより、基端側拡開部32は開口側穴部3bに圧接され、主拡開部31は拡径部4に圧接され、先端側拡開部33は底側穴部3cに圧接される。特に、基端側拡開部32および先端側拡開部33の下穴部3への圧接は、後施工アンカー10のガタつき(グラつき)を防止し、振動等による後施工アンカー10の緩みを抑制する。また、主拡開部31の拡径部4への圧接は、軸方向に対する引っ掛かりとなり、後施工アンカー10の引抜き強度を高めることができ、且つ経時的にも高い引抜き強度を維持することができる。
さらに、主拡開部31は、第1変形部35および第2変形部36の変形により、大きく拡開させ得るため、拡径部4に適切に圧接させることができるだけでなく、筒状本体21と同径に形成しておくことができる。したがって、後施工アンカー10の挿入を考慮した下穴部3の径と後施工アンカー10の径との差を小さくすることができ、この点でも、施工後の後施工アンカー10をガタつき(グラつき)の生じ難い構造とすることができる。
次に、図7を参照して、第2実施形態に係る後施工アンカー10Aについて説明する。なお、第2実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
同図に示すように、この後施工アンカー10Aでは、上記の第4変形部38が無く、第1基端側拡開部32Aと第2基端側拡開部32Bとが一体の基端側拡開部32を構成し、且つ基端側拡開部32は短く形成されている。したがって、拡開部22には、筒状本体21側から順に、第3変形部37、基端側拡開部32、第1変形部35、主拡開部31、第2変形部36および先端側拡開部33が、配設されている。これにより、基端側拡開部32は開口側穴部3bに圧接され、主拡開部31は拡径部4に圧接され、先端側拡開部33は底側穴部3cに圧接される。
また、コーン受容部23は、第1実施形態と同様に、主拡開部31に位置する狭窄部43と、基端側から狭窄部43に向かって先細りテーパー形状に形成された狭窄受容部44と、狭窄部43から先端側に向かって先太りテーパー形状に形成された拡開受容部45と、を有している。
このような、第2実施形態の後施工アンカー10Aにおいても、先太りテーパー状の拡開受容部45により、コーン部12を適切且つ確実に打ち込むことできる。また、後施工アンカー10Aのガタつき(グラつき)が有効に防止され、且つ主拡開部31の拡径部4への圧接により、後施工アンカー10Aの引抜き強度を高めることができる。
次に、図8を参照して、第3実施形態に係る後施工アンカー10Bについて説明する。なお、第3実施形態では、主に第2実施形態と異なる部分について説明する。
同図に示すように、この後施工アンカー10Bでは、上記の第3変形部37が無く、基端側拡開部32は、筒状本体21に一体に連設されている。もっとも、4つのスリット41は、基端側拡開部32の位置まで延設されている。したがって、コーン部12が打ち込まれると、第1変形部35および第2変形部36に挟まれた主拡開部31は大きく拡開され、基端側拡開部32および先端側拡開部33は小さく拡開される。これにより、基端側拡開部32は開口側穴部3bに圧接され、主拡開部31は拡径部4に圧接され、先端側拡開部33は底側穴部3cに圧接される。
また、コーン受容部23は、第1実施形態と同様に、主拡開部31に位置する狭窄部43と、基端側から狭窄部43に向かって先細りテーパー形状に形成された狭窄受容部44と、狭窄部43から先端側に向かって先太りテーパー形状に形成された拡開受容部45と、を有している。
このような、第3実施形態の後施工アンカー10Bにおいても、先太りテーパー状の拡開受容部45により、コーン部12を適切且つ確実に打ち込むことできる。また、後施工アンカー10Bのガタつき(グラつき)が有効に防止され、且つ主拡開部31の拡径部4への圧接により、後施工アンカー10Bの引抜き強度を高めることができる。
次に、図9を参照して、第4実施形態に係る後施工アンカー10Cについて説明する。同図に示すように、この後施工アンカー10Cは、内部コーン打込み式の一般的な金属拡張アンカーの形態を有している。また、後施工アンカー10Cがアンカリングされるアンカー穴1は、拡径部4が無くストレート形状の下穴部3のみを有している。すなわち、第4実施形態の後施工アンカー10Cは、上記の第1から第3実施形態と異なり、ストレート穴に拡開部22(拡張部)を圧接する、一般的な形態となっている。
この後施工アンカー10Cは、アンカー本体11と、これに打ち込まれるコーン部12とを有しており、アンカー本体11は、筒状本体21と、4つのスリット41が形成された拡開部22(拡張部)と、で一体に形成されている。特に図示しないが、拡開部22の外周面には、ローレット加工等の凹凸を設けることが好ましい。
また、コーン受容部23は、第1実施形態と同様に、主拡開部31に位置する狭窄部43と、基端側から狭窄部43に向かって先細りテーパー形状に形成された狭窄受容部44と、狭窄部43から先端側に向かって先太りテーパー形状に形成された拡開受容部45と、を有している。
このような、第4実施形態の後施工アンカー10Cにおいても、先太りテーパー状の拡開受容部45により、コーン部12を適切且つ確実に打ち込むことできる。したがって、設計上の引抜き強度を奏するようにアンカリングすることができる。
なお、上記の実施形態では、本発明を内部コーン打込み式の後施工アンカーに適用した場合について説明したが、本発明は、打込みに際し拡開部が移動することのない、心棒打込み式のアンカー等にも適用可能である。
1 アンカー穴、2 躯体、3 下穴部、4 拡径部、10、10A、10B 10C 後施工アンカー、11 アンカー本体、12 コーン部、21 筒状本体、22 拡開部、23 コーン受容部、31 主拡開部、32 基端側拡開部、32A 第1基端側拡開部、32B 第2基端側拡開部、33 先端側拡開部、35 第1変形部、36 第2変形部、37 第3変形部、38 第4変形部、41 スリット、43 狭窄部、44 狭窄受容部、45 拡開受容部、49 環状溝、61 穿孔装置、62 拡径装置、63 注入装置、71 拡径用ドリルビット、72 切刃部、A 接着剤、
Claims (14)
- 下穴部の所定の深さ位置に拡径部を形成したアンカー穴に挿入されるアンカー本体と、前記アンカー本体に対し打ち込まれるコーン部と、を備えた後施工アンカーであって、
前記アンカー本体は、円筒状の筒状本体と、前記筒状本体の先端側に連なると共に前記コーン部により拡開される拡開部と、前記拡開部の内側に形成され、前記コーン部を受容するコーン受容部と、を備え、
前記拡開部は、前記拡径部に対応する主拡開部と、前記主拡開部の基端側に連なる基端側拡開部と、前記主拡開部の先端側に連なる先端側拡開部と、を有し、
前記コーン受容部は、前記主拡開部に位置する狭窄部と、基端側から前記狭窄部に向かって先細り形状に形成された狭窄受容部と、前記狭窄部から先端側に向かって先太り形状に形成された拡開受容部と、を有していることを特徴とする後施工アンカー。 - 前記コーン部は、前記下穴部の穴底に達した打込み状態で、前記主拡開部を前記拡径部に圧接する形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の後施工アンカー。
- 前記拡開部は、
前記基端側拡開部と前記主拡開部との間に介設され、前記コーン部による拡開に際し、前記基端側拡開部および前記主拡開部に優先して変形する第1変形部と、
前記主拡開部と前記先端側拡開部との間に介設され、前記コーン部による拡開に際し、前記主拡開部および前記先端側拡開部に優先して変形する第2変形部と、を更に有していることを特徴とする請求項1または2に記載の後施工アンカー。 - 前記第1変形部は、前記狭窄受容部に倣った先細り形状の薄肉部で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の後施工アンカー。
- 前記第2変形部は、前記拡開受容部に倣った先太り形状の薄肉部で構成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の後施工アンカー。
- 前記拡開部は、
前記筒状本体と前記基端側拡開部との間に介設され、前記コーン部による拡開に際し、前記筒状本体および前記基端側拡開部に優先して変形する第3変形部を、更に有していることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか一項に記載の後施工アンカー。 - 前記基端側拡開部は、
基端側の第1基端側拡開部と、
先端側の第2基端側拡開部と、
前記コーン部による拡開に際し、前記第1基端側拡開部および前記第2基端側拡開部に優先して変形する第4変形部と、を有していることを特徴とする請求項6に記載の後施工アンカー。 - 前記第3変形部および前記第4変形部は、前記拡開部の外周面に形成された環状溝により構成された薄肉部であることを特徴とする請求項7に記載の後施工アンカー。
- 前記第3変形部および前記第4変形部に対し第1変形部は、薄肉に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の後施工アンカー。
- 前記先端側拡開部の先端から前記第3変形部まで軸方向に延在する複数のスリットを、更に備えたことを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の後施工アンカー。
- アンカー穴に挿入されるアンカー本体と、前記アンカー本体に対し打ち込まれるコーン部と、を備えた後施工アンカーであって、
前記アンカー本体は、前記コーン部により拡開される拡開部と、前記拡開部の内側に形成され、前記コーン部を受容するコーン受容部と、を備え、
前記コーン受容部は、先端側が先太りの拡開形状に形成されていることを特徴とする後施工アンカー。 - 請求項1ないし10のいずれかに記載の後施工アンカーの施工方法であって、
前記下穴部を穿孔する穿孔工程と、
前記下穴部に拡径部を形成する拡径工程と、
前記後施工アンカーを、前記アンカー穴に挿入する挿入工程と、
前記コーン部の打ち込みにより前記拡開部を拡開させるアンカリング工程と、を備えたことを特徴とする後施工アンカーの施工方法。 - 前記拡径工程と前記挿入工程との間に、前記アンカー穴に接着剤を注入する注入工程を、更に備えたことを特徴とする請求項12に記載の後施工アンカーの施工方法。
- 請求項1ないし10のいずれかに記載の後施工アンカーと、
先端部において、前記アンカー穴に拡径部を研削する切刃部を有する拡径用ドリルビットと、を備え、
軸方向において、前記主拡開部の長さに対し前記切刃部の長さが長く形成され、且つ前記後施工アンカーの先端から前記主拡開部の中間位置までの距離と、前記拡径用ドリルビットの先端から前記切刃部の中間位置までの距離と、が同一に形成されていることを特徴とする後施工アンカーシステム。
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