以下に、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムを適用したコンピュータネットワークシステムの構成例を示すブロック図である。図1において、10は与信サーバ、11は取引情報データベース、12は審査情報データベース、13は統計情報データベース、25はイントラネット、26及び27は与信担当者端末、28はインターネット、29及び30は販売業者端末、31は購入業者端末、32は外部信用情報サーバ、50は与信審査システムである。また、図2は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムを適用した場合におけるトランザクション・フロー図である。図2において、40は購入業者、41は請求・回収代行業者、42は販売業者、43は発注、44は取引情報登録、45aは与信システムによる審査、45bは与信担当者による審査、46は審査結果の通知、47は受注品の送付、48は取引確定登録、49は発注品の受領である。さらに、図3は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムにおけるトランザクション・フローと従来技術に係る与信審査システムにおけるトランザクション・フローとの概略比較図である。図3において用いた符号は、すべて図2と同じものを示す。くわえて、図13は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムの与信サーバにおけるウェブサイトの取引情報入力ページの一例を示す説明図である。
本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システム50は、請求・回収代行業者の社内に設置されているシステムであり、インターネット28に接続されることによって外部のコンピュータとの間で情報を送受信できる構成となっている。与信サーバ10は、与信審査システム50の中核となるハードウェアであり、請求・回収代行業者の社内に設置されたイントラネット25にも接続されている。また、図1に示すように、与信サーバ10には、与信審査で使用する取引情報データベース11、審査情報データベース12、及び、統計情報データベース13が図示していないハードディスクに保存されている。なお、これら3つのデータベースには、与信担当者端末26及び27が接続され、イントラネット25を介して与信サーバ10の審査情報データベース12などを閲覧や、メンテナンスが可能である。なお、与信サーバ10など与信審査システム50の一部をアプリケーション・サービス・プロバイダや、インターネット・プレゼンス・プロバイダなどが保有する社外のシステム上に構築してもよい。また、負荷分散や、冗長性の確保のために、複数台の与信サーバを設けてもよく、取引情報データベース11、審査情報データベース12、及び、統計情報データベース13のいずれかのものを他のサーバに分散して保存してもよい。また、インターネットに加えて、移動体通信網などを利用するものであってもよい。さらに、取引情報データベース11、審査情報データベース12、又は、統計情報データベース13のいずれか1つ、又は、複数のデータベースを一体にして、1つの与信データベースとすることも可能である。
与信サーバ10は、インターネット28を介して、販売業者端末29及び30、並びに、購入業者端末31との間で与信又はこれに関連する情報の送受信が可能である。しかし、与信審査に係る各種の手段は与信サーバ10に備えられており、さらにこれらの手段は与信サーバ10上ですべて実行される。さらに、後述するように、与信審査対象の取引内容によっては、請求・回収代行業者の与信担当者が与信担当者端末26及び27からインターネット28を介して外部信用情報サーバ32に接続し、購入業者の信用情報を得ることも可能である。なお、与信審査システム50は、販売業者42に対して、他の事業者へのなりすましを防止するために、与信サーバ10に接続するためのパスワードを予め付与してあり、当該パスワードによる認証を経てから与信サーバ10に接続し、後述する入力フォームに発注情報を入力して送信する構成としている。また、購入業者40に対しても、与信サーバ10に接続するためのパスワードを予め付与し、購入業者端末31から接続する際に当該パスワードを入力するようにしてもよい。さらに、購入業者40と販売業者42とのいずれか一方、又は、両方に対して電子認証を経た上で与信サーバ10に接続する構成としてもよい。
ところで、本発明における与信審査は、購入企業自体に対する与信審査ではなく、1件1件の取引が発生する度毎に、各々の取引に対して与信審査を行う点に最も大きな特徴がある。すなわち、本発明では、図3(a)に示すように、請求・回収代行業者41が提供する請求・回収代行サービスに加盟している販売業者42に対して、販売業者42の顧客である購入業者40から発注があった場合、購入業者40が購入しようとしている商品又はサービスの情報などの受注情報を請求・回収代行業者41に送信する。受注情報を受信した請求・回収代行業者41は、受注情報に基づいて与信審査を実行し、その結果を販売業者42に返信する。なお、購入業者40の属性(組織形態)は、株式会社だけでなく、合同会社、合資会社、合名会社、事業組合、大学などの学校法人、社会福祉法人、弁護士法人、特許業務法人、特定非営利活動法人などがあり、さらに、個人事業でも、会計事務所、建築事務所、商店などの法人に準じた形態や、著述業などの完全な個人事業主も存在するが、後述するように、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システム50は全ての属性(組織形態)に対応するものである。
これに対して、従来は、図3(b)に示すように、まず、請求・回収代行業者41に対して、取引が発生する見込みであることを予告して財務諸表などの財務情報等を提供し、次に購入業者40が販売業者42に対して発注する。次に、販売業者42が購入しようとしている商品又はサービスの情報などの受注情報を請求・回収代行業者41に送信する。受注情報を受信した請求・回収代行業者41は、財務情報等に基づいて購入業者40に対して与信審査を実行し、その結果を販売業者42に返信する。また、購入業者40に対しては、所定の金額の与信枠が設定されるので、その与信枠を超えない範囲であれば、次の取引に対する与信審査は省略される。しかしながら、財務情報等に基づいて人的な審査を行うので、審査にはどうしても一定程度の時間を要することになる。すなわち、本発明では、購入業者40が請求・回収代行業者41に対して、財務諸表などの財務情報等を提供することを前提としていないので、少額の購入である場合など、リスクが小さい取引について迅速に与信審査を完了できるという利点がある。
さらに、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムを適用した場合におけるトランザクション・フローについて説明する。図2に示すように、まず購入業者40が販売業者42に対して発注する(43)。販売業者42は、受信した購入業者40からの情報に基づいて図13に示すページ取引情報登録用の入力フォームのページに入力して送信する(44)。請求・回収代行業者41の与信サーバ10上の与信審査システムは、取引情報を受信すると、自動的に与信審査を実行する(45a)。そして、その取引のリスクを評価した結果、与信可能と判断した場合には、販売業者42に対して直ちに審査結果を通知する(46)。また、その取引のリスクを評価した結果、リスクが大きく、与信審査システムとして与信不可と判断した場合には、与信担当者による審査案件として扱い、与信担当者が与信審査を行う(45b)。与信担当者による審査を終了したら、審査結果を販売業者42に対して直ちに通知する(46)。販売業者42は、与信可能との審査結果を受信した場合には、受注品を送付し(47)、さらに与信サーバ10に構築してあるウェブサイトを利用して取引確定の登録を行う(48)。そして、購入業者40が発注品を受領して取引が完了する。
なお、購入業者40が販売業者42に対して発注する方法としては、例えば、販売業者42の営業用タブレット・コンピュータに発注用のアプリケーション・ソフトウェアを予めインストールしておき、販売業者42の営業担当者が購入業者40を訪問した際に、そのタブレット・コンピュータに発注情報を入力する、購入業者40が電子メール又はファクスで発注し、この電子メール又はファクスを受けた販売業者42の営業担当者が販売業者端末29又は30に発注情報を入力する、販売業者42又は請求・回収代行業者41のウェブサイトに発注用フォームを設けるなどの構成が考えられるが、いずれの方法も採用可能である。くわえて、購入業者40及び販売業者42の利便性を考慮するならば、複数の方法で発注できる構成とすることが望ましい。また、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)で使用できるフレーム機能によって、与信サーバ10の入力フォームが販売業者42のウェブサイトの注文受付ページと一体的に表示されるようにし、購入業者40が請求・回収代行業者41の存在を意識することなく発注できるようにしてもよい。くわえて、販売業者42の営業担当者が購入業者40を訪問し、聞き取った発注情報のメモ書きを元に販売業者端末29又は30に発注情報を入力する構成にしてもよい。与信サーバ10に構築してあるウェブサイトの取引情報登録用の入力フォームに入力する際には、購入業者40が入力フォームに入力した発注情報を与信サーバ10上で予め取り込んでおき、販売業者42が発注情報を手入力せずに済むような構成にすることが望ましい。
続けて、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムにおいて、与信のために用いられる情報について詳細について説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムの取引情報データベースの説明図である。
図4の一覧表に示した各項目は、取引情報データベース11に格納される情報であり、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システム50におけるシステム上の与信審査、及び、与信担当者による人的与信審査のために用いられる情報である。「取引ID」は、与信サーバ10上の取引情報データベース11において、全ての取引に対して自動的に付与される一意的な符号であり、販売業者を示す符号(文字)や、取引年月日などを示す符号によって構成される。以下の2番目からm番目までの項目は、販売業者42が入力する情報である。ただし、購入業者40が入力フォームに入力した発注情報を与信サーバ10上で予め取り込む構成とした場合は、取り込まれる項目について販売業者42による入力が不要となる。また、11番目の項目だけは、例外的に別のタイミングにおいて入力する。なお、25番目以降の項目は、購入業者40が商品を2品目以上発注したときに設けられるものであり、1品目だけであれば最後の項目は23番目となり、2品目であれば26番目となるなど、発注する品目数によって項目数が異なってくる。
2番目の「販売業者取引ID」は、例えば、販売業者42自身が保有する販売管理システムなどで付与するIDをそのまま付与して利用できるようにしたものである。3番目の「受注日」は、購入業者40からの発注をシステム的、又は、人的手段によって受け取った日である。4番目から10番目の項目は、販売業者42の名称や所在地、担当者に関する情報である。11番目の「売上確定日」は、販売業者42が商品を発送する、又は、サービスを提供することを完了したときに入力するものである。よって、「売上確定日」だけは、2番目から10番目、及び、12番目からm番目の項目とは入力時期が異なっている。
12番目の「購入者ID」は、販売業者42が購入業者40の識別符号として独自に付与するものである。13番目から19番目は、購入業者40の名称や所在地、担当者に関する情報である。本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システム50では、与信審査を実行する上で購入業者40の名称が特に重要な項目となる。20番目からm番目は、販売業者42が受注した商品又はサービスに関する情報である。20番目の「購入総額」は、21番目以下に記載された各商品又はサービスの購入額を合計した金額である。以上説明した取引情報データベース11の項目は、通常の商取引で必ず必要となる情報が大半であるが、与信審査システム50はこれらの情報に基づいて取引毎に与信審査を行う。したがって、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムは、与信審査の基礎となる情報自体も、企業の財務情報や、個人事業主の確定申告書などに基づいて与信審査を行う従来技術とは全く異なっている。
さらに、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システム50のリスク評価の考え方について説明する。図6は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムにおけるリスク評価概念を示す説明図である。
本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システム50では、与信審査対象となる1つ1つの取引について、購入総額リスク(R1)、購入業者リスク(R2)及び商品リスク(R3)の3種類のリスクを設定し、それぞれのリスクを数値化して定量的に把握できるようにしている。さらに、3種類のリスクのそれぞれに対して、一定の数値範囲毎にリスクをランク付けし、それぞれのリスクの大きさを直感的に把握できるようにしている。すなわち、購入総額リスク(R1)、購入業者リスク(R2)及び商品リスク(R3)の3種類のリスクに対して互いに直交する3次元の数値軸を設定すると、図6に示すような3次元グラフとなる。これら3種類のリスクは、原点から離れるにつれて大きくなる。例えば、購入総額リスクについて考察すると、購入総額を10,000円と仮定した場合、この程度の金額であれば、株式会社のような営利法人だけでなく、個人事業主にとっても、営業キャッシュフローへの影響はほとんどない金額と言える。購入総額が10,000,000円であれば、株式会社のような営利法人であっても、営業キャッシュフローが不足して、買掛金の支払いなどに影響することが考えられる。したがって、例えば、購入総額30,000円以下であれば、購入総額の大きさによるリスクは極めて小さく、その取引が発生することに対して財務諸表などによる与信審査は意味を成さないと言える。
ここで、購入総額リスクについて、購入総額1円から30,000円をリスク値0.1、購入総額30,001円から100,000円をリスク値0.4、購入総額100,001円から200,000円をリスク値0.8と仮定し、購入業者リスク及び商品リスクを同一のリスク値と仮定すると、購入総額リスクの数値軸方向に対して配列されたA01、A02及びA03という仮想的なリスク空間を設定できる。言うまでもなく、購入総額が大きくなるにつれて、債権を回収できないリスクの発生確率も大きくなって行く。つまり、購入総額の大きさによって、購入総額リスクの大きさを規定することができる。購入業者リスク(R2)については、事業主一人だけの事業体よりも、学校法人や一般財団法人などの方がリスクの発生確率が小さくなる。すなわち、購入業者の属性(組織形態)によって購入業者リスクの大きさを規定することができる。
商品リスク(R3)については、例えば、全国のスーパーマーケットやコンビニエンスストアで購入できる食品は、購入先の販売業業者への代金を踏み倒しても、他の販売業者から購入することが非常に容易である。一方、特定の職人が製作する利器や、陶器などは、販売業者が1業者、又は、数業者しかない場合がある。このような場合に、購入先の販売業業者への代金を踏み倒すと、その特定の職人が製作する利器を再び購入することは困難になる。また、商品には、百貨店の商品券のように、金券買取業者に持ち込めば直ちに換金できる、つまり、転売ないしは換金が非常に容易なものがある一方、校正用標準線源や銃器のように、出所などを明らかにせずに直ちに換金することが非常に困難なものがある。くわえて、側溝用ブロックのように、購入は比較的容易であっても、当該側溝ブロックを使用するような側溝整備事業や、宅地開発事業が実施されていないと、転売の余地がほとんどないものもある。さらに、例えば、食品における小麦粉のように、主要な原材料であり、商品原価に占める割合も比較的大きいものに対して、丁字油のように、主要な原材料と言えず、商品原価に占める割合も比較的小さいものもある。同様に、家屋を建築する際において、屋根下地材は必須であるが、石灯籠やステンドグラスのように必須とは言えないものがある。以上のように、原材料や部品として必要性が高く汎用性が高いものよりも、特定の製品の製造を中止する、あるいは、発注主が工事を中止するなどによって直ちに必要性を失う付帯的な原材料や部品は商品リスクが大きいと言える。さらに、販促品などのように、ある商品の直接的な原材料や部品でなく、販売活動の促進のために購入されるような製品は、付帯的な原材料や部品よりもさらに商品リスクが大きくなる。くわえて、以上の説明は商品に関するものであるが、サービスについても、同様の観点からサービス毎にリスク値を設定している。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムの審査情報データベースの説明図である。さらに、図7は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムの購入総額リスク(R1)テーブルを示す説明図である。また、図8は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムの購入業者リスク(R2)テーブルを示す説明図である。さらに、図9は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムの商品リスク(R3)テーブルを示す説明図である。くわえて、図11は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムのリスク評価テーブルを示す説明図である。
本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システム50は、前記与信サーバ10に前述の購入総額リスク、購入業者リスク及び商品リスクを図7、図8及び図9に示すテーブルの形式で審査情報データベース12の一部として保存している。審査情報データベース12は、図5に示すように、与信審査に関する情報を格納するものである。6番目、7番目及び8番目の項目には、以下に説明する購入総額リスク、購入業者リスク及び商品リスクの各々のリスク値が格納される。また、9番目、10番目及び11番目には、3つのリスク値の大きさに対する評価が格納される。12番目から17番目まで項目は、与信担当者による審査に関する項目である。購入総額リスクは、図7に示すように、金額帯毎にリスク値が設定されており、与信担当者がテーブルにおけるリスク値を適宜調整することができる。例えば、後述する統計作成手段で作成する統計を参照して、より適切なリスク値に調整することが可能である。購入業者リスクは、図8に示すように、株式会社、事業組合、一般財団法人などの属性に応じてリスク値を設定している。商品リスクは、図9に示すように、建設・土木資材、商品・サービス券など商品を商品グループ毎に大別し、さらに各々の商品グループにおいて商品毎に分類している。商品毎のリスクは、商品グループ内のバランスも考慮している。なお、図9に示すテーブルは、ごく一部のみを表したものであり、テーブル全体では、数百万件に及ぶ商品及びサービスのリスク値が設定されている。商品を複数種購入する場合には、商品のリスクも複数個存在することになるが、その場合には最大のリスク値を採用する。なお、これらのリスク値の設定は本発明の第1の実施の形態の1つであり、購入業者リスクにおいて、例えば株式会社であれば、取引情報に株式会社の売上高や従業員数に関する項目を設定し、売上高や従業員数の大きさに応じてリスク値に差を設けるなど、リスク値について他の設定をしてもよい。
さらに、図11に示すように、購入総額リスク、購入業者リスク及び商品リスクをそれぞれ10段階、4段階、9段階の評価値にまとめることにより、リスク値の相対的な位置づけを把握しやすくなるようにしている。なお、これらの評価値の設定は本発明の第1の実施の形態の1つであり、例えば購入業者リスクの評価値を3段階とする、あるいは10段階にするなど、評価値の段階は適宜変更可能である。また、評価値にまとめることなく、購入総額リスク、購入業者リスク及び商品リスクのリスク値をそのまま与信判断に用いてもよい。以上説明したように、従来技術に係る評価システムが評価対象業者の財務情報を中心に評価しているのに対し、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システム50は、1つ1つの取引を購入総額リスク、購入業者リスク及び商品リスクの3種類の観点でリスクを評価しており、与信判断の基礎となる情報自体も従来技術と全く相違している。また、購入総額リスク、購入業者リスク及び商品リスクを決定する上で基礎となる情報も、通常の商取引では必ず必要となる情報であり、営業秘密に係るような情報を利用していない点も従来技術と全く相違している。
続けて、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムの与信サーバのメモリに保存された各手段の動作について説明する。図12は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムの与信サーバの構成を示すブロック図である。図12において、14はCPU、15はメモリ、16は発注情報受信手段、17は取引情報受信手段、18はリスク値処理手段、19はシステム審査手段、20は与信担当者補助手段、21は与信結果送信手段、22は売上確定日受信手段、23は統計作成手段、24はメンテナンス手段である。また、図15は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムにおける審査フローを示す説明図である。
与信サーバ10における各種の手段は、与信サーバ10に設けられたメモリ15に保存されたプログラムによって構成されている。図12に示すように、与信サーバ10に設けられたメモリ15には、発注情報受信手段16、取引情報受信手段17、リスク値処理手段18、システム審査手段19、与信担当者補助手段20、与信結果送信手段21、売上確定日受信手段22、統計作成手段23、メンテナンス手段24が保存されており、各々の手段に対応するプログラムをCPU14で実行することによって所定の動作が実行される。
発注情報受信手段16は、購入業者40が図1に示す購入業者端末31で、与信サーバ10に構築してあるウェブサイトの入力フォームに購入する商品又はサービス、つまり発注情報を入力して送信したときに、当該発注情報を受信し、販売業者42に電子メールの形式で送信する。このように、入力フォームを介して発注情報を販売業者42へ送信する構成にすると、記入漏れや簡単な誤記などを予め確認し、修正することができる。なお、当該発注情報を取引情報データベース11に格納し、販売業者42が販売業者端末29及び30からインターネット28を介して与信サーバ10に接続したときに、購入業者40からの発注があったことを通知する構成にしてもよい。また、購入業者40に対してウェブサイトの入力フォームを提供せず、販売業者42が自社のシステムや営業担当者によって発注情報を受け付けるようにしてもよい。さらに、発注情報受信手段16を、販売業者42のウェブサイトの入力用フォーム、又は、インターネット上のショッピングモールが自社のサーバ上で加盟店に提供している入力用フォームで入力された発注情報をインターネット経由で受信し、販売業者42に電子メールの形式で送信する、又は、与信サーバ10に発注情報を格納するものとしてもよい。このようにすれば、購入業者40が販売業者42のウェブサイト、又は、ショッピングモールのウェブサイトを離れることなく発注でき、購入業者40にとってなじみがなく、違和感のある請求・回収代行業者41のウェブサイト上で発注情報を入力せずに済むという利点がある。
取引情報受信手段17は、販売業者42が販売業者端末29及び30において、新たな取引について図13に示す与信サーバ10におけるウェブサイトの取引情報登録用の入力フォームに入力して送信したときに、当該取引に係る取引情報を受信し、取引情報データベース11に格納する。リスク値処理手段18は、新たに取引情報データベース11に格納された取引に対して、図4に示す取引情報データベースの各項目から、購入総額リスク、購入業者リスク及び商品リスクに関係する項目を参照し、これら3つのリスク値を決定する。さらに、図11に示すリスク評価テーブルを参照しての購入総額リスク、購入業者リスク及び商品リスクの評価値を決定し、システム審査日などの関連情報と共に審査情報データベース12に格納する。
システム審査手段19は、購入総額リスク、購入業者リスク及び商品リスクの評価値がそれぞれ所定の評価値を超えていないか判断し、この判断を介して購入総額リスク値、購入業者リスク値及び商品リスク値のすべてにおいて購入総額リスク値のシステム審査上限値、購入業者リスク値のシステム審査上限値及び商品リスク値のシステム審査上限値を超えていないか判断する。いずれのリスク値も審査上限値を超えていない場合には、審査情報データベース12の3番目のシステム審査結果項目に与信可能と記録する。3つのリスク値のうち1つでも審査上限値を超えている場合には、人的審査必要、つまりシステム審査では最終的与信判断ができないと記録する。なお、システム審査手段19は、例えば、購入総額が非常に高額である場合など特別な条件を満たす場合に、人的審査を経ずに与信不可と直ちに判断して、システム審査結果項目に与信不可と記録するようにしてもよい。
さらに、システム審査手段19における別の判断基準として、取引における購入総額リスク値、購入業者リスク値及び商品リスク値について、それぞれ購入総額リスク値のシステム審査上限値、購入業者リスク値のシステム審査上限値及び商品リスク値のシステム審査上限値を超えておらず、かつ、購入総額リスク値、購入業者リスク値及び商品リスク値の合計値が所定値未満の場合には与信可能と判断し、取引における購入総額リスク値、購入業者リスク値及び商品リスク値のいずれか1つ以上のものが購入総額リスク値のシステム審査上限値、購入業者リスク値のシステム審査上限値及び商品リスク値のシステム審査上限値を超えている場合、又は、購入総額リスク値、購入業者リスク値及び商品リスク値の合計値が所定値以上の場合には与信担当者による審査が必要と判断するようにしてもよい。ここで、所定値は、例えば購入総額リスク値のシステム審査上限値、購入業者リスク値のシステム審査上限値及び商品リスク値のシステム審査上限の合計値の80%に設定する。このように、個別のリスク値だけでなく、購入総額リスク値、購入業者リスク値及び商品リスク値の合計値も判断条件とすることによって、リスク回避をより的確に行うことが可能になる。
また、さらに別の判断基準として、取引における購入総額リスク値、購入業者リスク値及び商品リスク値について、それぞれ購入総額リスク値のシステム審査上限値、購入業者リスク値のシステム審査上限値及び商品リスク値のシステム審査上限値を超えておらず、かつ、購入業者のシステム審査日から所定期間遡った基準日からシステム審査日までに購買業者が購入した合算額が基準日以前の所定期間毎の合算額の所定倍未満の場合には与信可能と判断し、取引における購入総額リスク値、購入業者リスク値及び商品リスク値のいずれか1つ以上のものが購入総額リスク値のシステム審査上限値、購入業者リスク値のシステム審査上限値及び商品リスク値のシステム審査上限値を超えている場合、又は、購入総額リスク値、購入業者リスク値及び商品リスク値の合計値が所定値以上、又は、購入業者のシステム審査日から所定期間遡った基準日からシステム審査日までに購買業者が購入した合算額が基準日以前の所定期間毎の合算額の所定倍以上の場合には与信担当者による審査が必要と判断するようにしてもよい。所定期間と所定倍とは、例えば30日と3倍と設定する。仮に、システム審査日から30日前までの30日間に購買業者が購入した合算額が90万円であって、31日前から60日前、さらにそれ以前の30日間の合算がそれぞれ30万円に満たなかった場合、システム審査日から30日前までの30日間の合算額がそれ以前の3倍を超えているので、与信担当者による審査が必要と判断する。このように、個別のリスク値だけでなく、所定期間に購入した合算額を時系列に従って比較することによって購入業者の経営状況の急変をある程度予測することができ、リスク回避をより的確に行うことが可能になる。
与信担当者補助手段20は、与信担当者端末26又は27上に、人的審査必要と判断した取引の審査情報データベース12の各項目を表示し、さらに、請求・回収代行業者41の与信担当者が図5の11番目から16番目の項目について入力した場合に、入力された情報を審査情報データベース12に格納する。なお、与信担当者は、図1に示す外部信用情報サーバ32の信用情報や、電話による問い合わせなどの方法によって与信が可能か判断し、与信可能と判断した場合には12番目の最終審査結果に与信可能と記録し、与信できない場合には与信不可と記録する。与信結果送信手段21は、審査情報データベース12のシステム審査結果項目に与信可能と記録されている場合と、最終審査結果に与信可能又は与信不可と記録されている、つまり与信担当者による最終審査が終わっている場合に、販売業者42に電子メールでその結果を送信すると共に、与信サーバ10のウェブサイトにログインしているときに販売業者端末29及び30の画面上に表示されるようにする。なお、与信結果送信手段21は、前述のように、システム審査手段19がシステム審査結果項目に与信不可と記録することを可能にした場合には、販売業者42に電子メールとウェブサイトによって与信不可と通知することも可能な構成とする。
売上確定日受信手段22は、与信可能となった取引の商品を購入業者40に発送する、又は、サービスを提供する手配をし、販売業者端末29及び30でウェブサイトの入力フォームに売上確定日を入力して送信したときに、売上確定日に係る情報を受信し、取引情報データベース11に格納する。なお、売上確定日は、商品が購入業者40に到着した日など他の日付を基準とするものであってもよい。また、取引情報データベース11の売上確定日の項目に売上確定日が格納された取引は、請求・回収代行業者41にとって請求・回収代行の対象となる。
統計作成手段23は、与信審査の精度向上のために、各データベースの任意の項目について統計を作成するものである。例えば、与信可能と判断した過去の取引において、図11に示す購入総額リスク、購入業者リスク及び商品リスクの評価値毎に、債権回収に失敗した案件の発生率を算出し、当該発生率から見て購入業者リスクの評価値が購入総額リスク及び商品リスクの評価値よりも小さすぎる場合には、B04をB05に、B03をB04に、B02をB03に変更し、B01をB01とB02に分割するなど、評価値の見直しなどに活用できる。なお、作成した統計情報は、統計情報データベース13に格納し、例えば、年度毎の統計情報を出力することを可能にしている。メンテナンス手段24は、各データベースに記載された情報を与信担当者端末26又は27から随時閲覧できるようにすると共に、各データベースの項目の追加などの編集を行うものである。
さらに、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムの与信サーバの動作について説明する。図15は、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システムにおける審査フローを示す説明図である。なお、図15では、図2の発注43に対応する動作の記載を省略している。
図15に示すように、与信サーバ10は、販売業者42からの取引情報を受信したかどうか判断し(ステップ1)、受信した場合には当該取引情報を取引情報データベース11に格納する(ステップ2)。次に、当該取引情報に基づいて、購入総額リスク、購入業者リスク及び商品リスクの各リスク値を決定し、さらに3つのリスクに対する評価値を決定して審査情報データベース12に格納する(ステップ3)。そして、審査情報データベース12に格納された評価値が所定の評価値を超えていないか判断する(ステップ4)。判断した結果、上限を超えていない場合には、審査情報データベース12のシステム審査結果項目に与信可能と記録する(ステップ5)。また、上限を超えている場合には、与信担当者による人的審査が必要と記録する。次に、審査情報データベース12のシステム審査結果項目に与信可能と記録されている場合と、最終審査結果に与信可能又は与信不可と記録されている場合には、与信審査を終えたと判断し(ステップ7)、当該与信審査結果を販売業者42へ電子メールで送信すると共に、与信サーバ10のウェブサイトにログインしたときに当該与信審査結果が表示されるようにする(ステップ8)。そして、最終的に与信可能と判断された取引について、販売業者42から送信された売上確定日を受信した場合に、取引が確定したと判断し(ステップ9)、売上確定日を取引情報データベース11に格納し(ステップ10)、当該取引に関する処理を終了する。
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る与信審査システム50は、販売業者42と購入業者40との間で予定されているそれぞれの取引に対して、財務情報に係るリスクではなく、購入総額リスク値、購入業者リスク値、及び、商品リスク値の3つの観点によるリスク値を決定し、さらにこれら3つのリスク値から評価値を決定し、3つの評価値のいずれか1つ以上のものが所定の評価値を超えていない場合に、そのまま与信可能と判断するので、取引のリスクが小さい場合には、極めて迅速に、かつ、適切に与信を行うことができる。また、購入総額リスク値、購入業者リスク値、及び、商品リスク値に対応する3つの評価値のいずれか1つ以上のものが所定の評価値を超えている場合でも、システム上で与信不可とするのではなく、与信担当者による審査を行うことが可能である。したがって、与信担当者による慎重な審査が必要な取引に対して、十分な時間を掛けて購入業者の現在の営業力や技術力、受注状況を精緻に把握し、審査した上で、与信の可否を決定することができる。さらに、リスクが小さい取引については、与信担当者による審査無しにシステム上で与信可否の判断を行うので、与信にかかるコストアップを抑制することも可能となる。与信審査システム50が販売業者42に対してインターネットを介して電子メールの形式で与信結果を送信すると共に、与信サーバ10のウェブサイトにログインしたときに与信審査結果が表示されるようにしたので、販売業者42が与信の可否に基づいて迅速に業務を行うことが可能となる。ひいては、与信に時間がかかることを理由として、購入業者40が他の販売業者に乗り換えて販売の機会を損失することを低減することができる。くわえて、審査担当者が取引情報、購入総額リスク値、購入業者リスク値及び商品リスク値を与信審査システム50上の与信担当者端末26又は27に表示して審査業務を行うことができるので、与信審査を効率的に行うことができる。また、販売業者42は、与信サーバ10のウェブサイトに設けた図13の入力フォームを利用して取引情報を入力するので、例えば電話やファクスで取引情報を伝えるときのように、聞き漏らしや、聞き間違い、書き漏らし、読み間違いなどによって、与信審査に必要な情報が不足したり、間違った情報に基づいて与信審査されたりすることを防止できる。くわえて、入力フォームであれば、記入漏れなどによって取引情報に不足又は誤りがある場合、修正を指示するメッセージを表示させることによって情報を正確に入力させることができる。さらに、請求・回収代行業者41は、販売業者42と購入業者40との間で予定されているそれぞれの取引のうち、どの取引が実際に実行されたかを与信担当者端末26又は27から随時把握することが可能となる。
さらに、本発明の第2の実施の形態に係る与信審査システムについて説明する。図10は、本発明の第2の実施の形態に係る与信審査システムの商品リスク(R3)テーブルを示す説明図である。図14は、本発明の第2の実施の形態に係る与信審査システムの与信サーバにおけるウェブサイトの取引情報登録用の入力フォームページの一例を示す説明図である。
本発明の第2の実施の形態に係る与信審査システムは、商品リスク(R3)テーブルのみが第1の実施の形態に係る与信審査システムと異なっており、図1に示した第1の実施の形態に係る与信審査システムのコンピュータネットワークシステムの構成や、図12に示した第1の実施の形態に係る与信審査システムの与信サーバの構成、図7に示した第1の実施の形態に係る与信審査システムの購入総額リスク(R1)テーブル、図8に示した第1実施の形態に係る与信審査システムの購入業者リスク(R2)テーブルなどその他の構成は全く共通しているので、商品リスク(R3)テーブルに係る構成以外の説明を省略する。
第2の実施の形態に係る与信審査システムにおける商品リスク(R3)テーブルは、商品及びサービス毎にリスク値を設定するのではなく、商品及びサービスを複数のカテゴリに分類し、それらの分類に対してリスク値を設定している。具体的には、図10に示すように、全ての商品及びサービスを50〜60分類のメインカテゴリに分類し、さらにそれぞれのメインカテゴリに含まれる商品及びサービスを50〜60分類のサブカテゴリに分類している。各々のサブカテゴリの商品及びサービスには、個別にリスク値を設定するのではなく、各々のサブカテゴリに含まれる商品及びサービスに対して共通のリスク値を設定している。この共通の当該リスク値は、各々のサブカテゴリに含まれる商品及びサービスの平均値である。例えば、建築外装材であれば、竪樋であっても、図示していない屋根用下地材、屋根下地材、断熱材などすべてについてリスク値を0.7としている。したがって、この実施の形態の商品リスク(R3)テーブルは、設定しているリスク値の総数が第1の実施の形態の商品リスク(R3)テーブルにおけるリスク値の百分の一以下なので、テーブルの検索にかかる時間を短縮することができ、与信審査をさらに迅速に行うことができる。さらに、商品リスク(R3)テーブルのメンテナンスに必要となるコストも削減することができる。
なお、各々のサブカテゴリに含まれる商品又はサービスにおいて、リスク値が突出して大きいものが存在する場合には、当該サブカテゴリから分離し、当該商品又はサービスのみに対して商品又はサービスを設定することが望ましい。さらに、サブカテゴリの総数を例えば500にするなどさらに少なくすれば、テーブルの検索にかかる時間をさらに短縮することが可能になる。ただし、当該サブカテゴリのリスク値に対して偏差が大きくなると、リスク値を適切に評価することが困難になるので、サブカテゴリは一千分類を超えていることが望ましい。もちろん、サブカテゴリが一万分類を超えていてもよい。また、この実施の形態のシステム審査手段19においては、特にリスクの大きい商品及びサービスを含んでいる場合については、直ちに与信担当者による人的審査が必要であると判断して、当該取引に関する処理を終了するように構成してもよい。
また、第2の実施の形態に係る与信審査システムでは、与信サーバ10のウェブサイトに図14に示す入力フォームを用意しており、販売業者42が販売業者端末29及び30において、メインカテゴリ及びサブカテゴリを容易に選択できるようにしている。すなわち、メインカテゴリと記載した仮想的ボタン押すと、「建築・土木資材」などメインカテゴリを示す語がプルダウンメニューとして展開する。このプルダウンメニュー上において特定のメインカテゴリを示す語を選択した後に、サブカテゴリと記載した仮想的ボタン押すと、サブカテゴリを示す語がプルダウンメニューとして展開するので、特定のサブカテゴリを示す語を選択して与信審査の基礎となるサブカテゴリの設定を終える。
本発明は以上に説明した内容に限定されるものではなく、例えば、負荷分散を目的として、第1の与信サーバ、第2の与信サーバを有するものとし、第1の与信サーバと第2の与信サーバとでミラーリングによって、取引情報データベースと審査情報データベースとを共有するようにしてもよい。また、与信サーバに、外部信用情報サーバから取得した情報を審査情報データベースに自動的に格納する手段を設けてもよい。さらに、リスクの評価値は、購入総額リスク値、購入業者リスク値、及び、商品リスク値を合計した数値に対して付与するものとしてもよい。このように、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限りにおいて種々の変形を加えることが可能である。