JP2016015285A - アルカリ形液体燃料電池用隔膜及びそれを備えた膜−電極接合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルカリ形液体燃料電池の特性の向上に寄与できるアルカリ形液体燃料電池用隔膜を提供する。
【解決手段】乾燥時の隔膜の重量に対する、含水時の隔膜の重量と乾燥時の隔膜の重量との重量差の比率が30重量%以上であり、乾燥時の隔膜の面積に対する、含水時の隔膜の面積と乾燥時の隔膜の面積との面積差の比率が20%未満である、アルカリ形液体燃料電池用隔膜である。ここで、乾燥時の隔膜とは、23℃相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上放置して寸法変化が生じなくなった状態の隔膜であり、含水時の隔膜とは、乾燥時の隔膜を30℃の水中に2時間浸漬して膨潤させた状態の隔膜である。
【選択図】図1
【解決手段】乾燥時の隔膜の重量に対する、含水時の隔膜の重量と乾燥時の隔膜の重量との重量差の比率が30重量%以上であり、乾燥時の隔膜の面積に対する、含水時の隔膜の面積と乾燥時の隔膜の面積との面積差の比率が20%未満である、アルカリ形液体燃料電池用隔膜である。ここで、乾燥時の隔膜とは、23℃相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上放置して寸法変化が生じなくなった状態の隔膜であり、含水時の隔膜とは、乾燥時の隔膜を30℃の水中に2時間浸漬して膨潤させた状態の隔膜である。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルカリ形液体燃料電池用隔膜及びそれを備えた膜−電極接合体に関する。
高分子電解質型燃料電池(PEFC)は、燃料電池としては低い温度での動作が可能であるとともに、出力密度が高い等の利点を有し、将来の普及に期待が寄せられている。PEFCは、アノードとカソードとの間に隔膜を備えており、隔膜としてはイオン伝導性を有する高分子電解質膜が用いられる。この隔膜としては、カチオン交換膜が用いられてきた。近年では、白金を触媒に用いることなく発電が可能なアニオン交換膜を用いたPEFCが報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
一方、水素よりも取り扱いが容易なメタノール等の液体を燃料として用いた燃料電池(液体燃料電池)が検討されている。
アニオンの移動を利用した液体燃料電池(以下、アルカリ形液体燃料電池)において、アノード側には燃料が、カソード側には空気等の酸化剤が供給される。アルカリ形液体燃料電池では、カソード側での反応には酸化剤の他に水が必要である。一般に、この水は、加湿器等の補機類を用いて外部から加湿して供給される。しかし、燃料電池の小型化、単位容積当たりの発電容量の向上等の観点から、補機類は可能な限り省略することが望ましい。補機類を省略するためには、アノード側に燃料と共に供給され、カソード側へと隔膜を透過する水を利用することが考えられる。この場合、良好に水を透過することができる隔膜を使用することが望まれる。
気体を燃料とする燃料電池と同様、液体燃料電池にも、隔膜と触媒層とが一体化した膜−電極接合体(MEA)が備えられる。液体燃料電池の安定した発電効率等の観点から、隔膜と触媒層との界面における剥離が生じにくいことが求められる。触媒層との界面における隔膜の変形が、この剥離の一因となり得るため、隔膜には良好な寸法安定性が求められる。
本発明は、アルカリ形液体燃料電池の特性の向上に寄与できるアルカリ形液体燃料電池用隔膜を提供することを目的とする。
本発明者等は、カソード側に良好に水を供給できる隔膜について検討を行った。その結果、含水率が特定の値以上の隔膜を用いることによって、カソード側へ安定して水を供給できることが見出された。
一方で、MEAにおける隔膜と触媒層との剥離を抑制するためには、良好な寸法安定性を有する隔膜、特に隔膜と触媒層との界面(隔膜の面積方向)における良好な寸法安定性を有することが好ましい。本発明者等の検討により、特定の範囲の面積膨潤率を有する隔膜を用いることによって、MEAにおける隔膜と触媒層との剥離を抑制できることが見出された。
すなわち本発明は、
乾燥時の隔膜の重量に対する、含水時の隔膜の重量と乾燥時の隔膜の重量との重量差の比率が30重量%以上であり、
乾燥時の隔膜の面積に対する、含水時の隔膜の面積と乾燥時の隔膜の面積との面積差の比率が20%未満である、
アルカリ形液体燃料電池用隔膜、を提供する。
ここで、乾燥時の隔膜とは、23℃相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上放置して寸法変化が生じなくなった状態の隔膜であり、含水時の隔膜とは、前記乾燥時の隔膜を30℃の水中に2時間浸漬して膨潤させた状態の隔膜である。
乾燥時の隔膜の重量に対する、含水時の隔膜の重量と乾燥時の隔膜の重量との重量差の比率が30重量%以上であり、
乾燥時の隔膜の面積に対する、含水時の隔膜の面積と乾燥時の隔膜の面積との面積差の比率が20%未満である、
アルカリ形液体燃料電池用隔膜、を提供する。
ここで、乾燥時の隔膜とは、23℃相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上放置して寸法変化が生じなくなった状態の隔膜であり、含水時の隔膜とは、前記乾燥時の隔膜を30℃の水中に2時間浸漬して膨潤させた状態の隔膜である。
別の側面において、本発明は、
本発明のアルカリ形液体燃料電池用隔膜を備えた膜−電極接合体(MEA)、を提供する。
本発明のアルカリ形液体燃料電池用隔膜を備えた膜−電極接合体(MEA)、を提供する。
本発明によれば、良好な水の供給性と、かつ良好な寸法安定性とを有するアルカリ形液体燃料電池用隔膜を提供することができる。本発明によれば、この隔膜の特性を活かしたMEAを得ることができる。
本発明の一実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施形態のMEAは、アルカリ形液体燃料電池に設置して用いることができる。この液体燃料電池は、MEA以外の部分に特に限定はなく、公知の部材を適用できる。
液体燃料は水に溶解された燃料であり、電解質を溶解している。
燃料は、水に溶解可能であれば特に限定はなく、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコール類、ヒドラジン(水和物)、アンモニア等のアミン類、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられ、反応性が高く、発電原理上CO2を発生しないことから、ヒドラジン(水和物)が好ましい。
燃料の供給量は、液体燃料中の燃料の濃度や供給速度(流量)によって制御することが可能である。必要な燃料の量は、取り出す電流量に応じて変化する。従って、取り出す電流量に応じてアノード側に供給する燃料の供給量を制御することが好ましい。取り出す電流量に対して過剰の燃料を供給すると、燃料の透過量が増加することがある。透過した燃料がカソード、より具体的にはカソード触媒上に存在すると、カソード触媒上で酸化剤と燃料とが直接反応して副反応が生じることがあり、燃料電池の発電効率が低下する。これを防止するために液体燃料の供給量の制御が可能な燃料提供システムを用いてもよい。
電解質は、水又は液体燃料に溶解でき、燃料電池反応においてイオン伝導体として機能する電解質であれば特に限定されない。例えば、アルカリ形液体燃料電池においてはアニオンがイオン伝導体として機能するため、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物イオン(OH-イオン)の解離が可能な電解質を用いることが好ましい。二酸化炭素との反応物である炭酸カリウムが水に溶解しやすく、析出しにくいことから、電解質としては水酸化カリウムが特に好ましい。ただし、水に溶解可能であって水に溶解したときにイオンを供給できるその他の無機塩、イオン液体等を電解質として用いることもできる。
液体燃料中の電解質の濃度は、特に限定されないが、例えば重量基準で0.5〜40%、特に1〜20%である。
アルカリ形液体燃料電池では、カソード触媒における反応に水が必要である。この水は通常、加湿器等の補機類を用いて電池外部から加湿している。しかし、本実施形態のMEAに備えられた隔膜は含水率が大きく、隔膜を介してアノード側からカソード側へ水を供給し得る。従って、本実施形態のMEAを用いると、加湿のための補機類の省略が可能となり、液体燃料電池の小型化や単位容積当たりの発電容量の向上を図る上で有利である。
上記の燃料電池は、アノード側からカソード側へと隔膜を透過した燃料やカソード触媒上でこの燃料と酸化剤とが直接反応して生じた副生成物の排出を抑制する観点から、カソード側の出口から排出されるガスを処理する補機類を備えていてもよい。
以下、MEAについて詳細を述べる。
本実施形態のMEAは、本発明の隔膜と、隔膜の表面に配置された触媒層とを備えている。
本実施形態のMEAでは、隔膜の表面に触媒層が配置されている。隔膜と触媒層とは、典型的には触媒インクのスプレー塗布等の加工工程を経て一体化されている。通常、触媒層は、アノード触媒層とカソード触媒層とを含んでいる。図1に、本実施形態のMEAの一例を示す。図1に示すMEAは、隔膜2とアノード触媒層3とカソード触媒層4とを備え、アノード触媒層3が隔膜の一方の主面に、カソード触媒層4が隔膜2の他方の主面にそれぞれ配置されている。
触媒層は、アルカリ形液体燃料電池に使用する公知のMEAが備える触媒層を用いることができる。触媒は、酸形燃料電池とは異なり、必ずしも白金のような貴金属である必要はなく、例えば、ニッケル、コバルト、鉄等の卑金属を使用できる。含まれる具体的な触媒等の触媒層の構成は、MEAのアノード側(アノード触媒層)とカソード側(カソード触媒層)とで異なっていても同一であってもよい。特にカソード触媒層は、隔膜を透過した燃料との反応を抑制し、発電効率の低下を防ぎ、副反応による部材劣化を防ぐ観点から、酸化還元反応の高い触媒を選択することが望ましい。
本実施形態のMEAは、本実施形態の効果を阻害しない限り、隔膜及び触媒層以外の任意の部材を有することができる。
以下、本実施形態のMEAに含まれる隔膜について詳細を述べる。
一般に、乾燥状態の隔膜は、吸水すると膨潤する。従って、良好な含水率と良好な寸法安定性(抑制された膨潤率)とを共に備えた隔膜を得ることは困難であった。
これに対し、本実施形態の隔膜の含水率は良好であり、隔膜の面積方向の膨潤が抑制されている。本実施形態の隔膜は、乾燥時の隔膜の重量に対する、含水時の隔膜の重量と乾燥時の隔膜の重量との重量差の比率(含水率)が30重量%以上であり、乾燥時の隔膜の面積に対する、含水時の隔膜の面積と乾燥時の隔膜の面積との面積差の比率(面積膨潤率)が20%未満である。
ここで、乾燥時の隔膜とは、23℃相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上放置して寸法変化が生じなくなった状態の隔膜であり、含水時の隔膜とは、乾燥時の隔膜を30℃の水中に2時間浸漬して膨潤させた状態の隔膜である。
含水率は、40〜100重量%の範囲にあることが好ましく、50〜80重量%の範囲にあることがより好ましい。本実施形態の隔膜は、このような含水率を有することによって、カソード触媒へ効率よく水を供給でき、電池の発電効率の向上に寄与し得る。
含水率は、具体的には以下の方法を用いて測定することができる。縦30mm横20mmの矩形に切り出したサンプルを、23℃相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上放置して寸法変化が生じなくなった状態のサンプル重量を測定する(含水前の重量)。その後、このサンプルを30℃の純水中に2時間浸漬した後、重量を測定する(含水後の重量)。なお、含水後の重量は、サンプル表面に付着した余剰な水を濾紙等で拭き取ってから測定する。含水率は、以下の式に基づいて計算した比率である。
含水率(%)=((含水後の重量)−(含水前の重量))×100/(含水前の重量)
含水率(%)=((含水後の重量)−(含水前の重量))×100/(含水前の重量)
本実施形態の隔膜の面積膨潤率は、15%以下であることが好ましく、0%〜10%の範囲にあることがより好ましく、0%〜5%の範囲にあることが特に好ましい。面積膨潤率が大きくなりすぎると、隔膜の変形が生じることがある。また、隔膜の劣化が生じることがあり、電極間の短絡が生じることがある。また、MEAにおいて隔膜が剥離することがあり、燃料電池の発電効率が低下することがある。
面積膨潤率は、具体的には以下の方法を用いて測定することができる。縦30mm横20mmの矩形に切り出したサンプルを、23℃相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上放置して寸法変化が生じなくなった状態のサンプルの面積を測定する(含水前の面積)。その後、このサンプルを30℃の純水中に2時間浸漬した後、面積を測定する(含水後の面積)。面積膨潤率は、以下の式に基づいて計算した比率である。
面積膨潤率(%)=((含水後の面積)−(含水前の面積))×100/(含水前の面積)
面積膨潤率(%)=((含水後の面積)−(含水前の面積))×100/(含水前の面積)
本実施形態において、液体燃料電池用の隔膜は、膜厚が5μm〜130μmの範囲にあることが好ましく、10μm〜70μmの範囲にあることがより好ましい。膜厚が薄くなりすぎると、膜強度が低下することがあり、膜の破損やピンホール等の欠陥が生じることがある。また、燃料の透過量及び水の透水量が多くなることがある。膜厚が厚くなりすぎると、隔膜内での膜としての抵抗(膜抵抗)が高くなることがあり、燃料の透過量及び水の透水量が少なくなりすぎることがある。透水量が少なくなりすぎると、カソード触媒における反応に必要な水が不足し、発電効率が低下することがある。
このような特性を有する本実施形態の隔膜の構造は、本発明の効果を阻害しない限り、特に限定されない。
本発明の一実施形態において、このような特性を有する隔膜は、親水性官能基を有する多孔膜である。本実施形態において隔膜は、多孔膜と多孔膜上に存在する親水性官能基とを備える。
多孔膜としては、例えば無機基材からなる多孔膜、高分子基材からなる多孔膜が挙げられる。
以下、親水性官能基を有する高分子基材からなる多孔膜を例として取り上げつつ、詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。親水性官能基等の共通する部分は無機基材からなる多孔膜においても同様である。
本実施形態において、親水性官能基とは、親水性を有する官能基であれば特に限定されないが、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基(スルホ基)及びリン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、特にカルボキシル基である。
多孔膜は、例えば親水性官能基を有する重合性単量体を重合することによって形成できる。多孔膜が親水性官能基を備えていない場合には、親水化処理を実施して多孔膜の表面に親水性官能基を導入してもよい。
好ましい実施形態においては、親水性官能基は多孔膜の表面に親水化処理を実施することによって得られる。本発明の効果を阻害しない限り、親水化処理の種類は特に限定されず、例えばグラフト重合処理、コロナ処理、プラズマ処理、高分子材料又は無機材料を用いたスパッタ処理、スルホン化処理、界面活性剤又は親水性ポリマーを用いた処理、親水性無機粒子を用いたコーティング処理等の親水化処理を挙げることができる。
例えば、親水性ポリマーを用いた処理においては、親水性ポリマーを含む溶液を多孔膜に塗工し、多孔膜の表面及び細孔壁に親水性ポリマー膜を形成することによって、多孔膜の表面に親水性官能基を付加してもよい。この方法では、親水性ポリマーを塗布して形成された膜の厚みによって、親水性官能基の量を調整することができ、また膜の厚みを変更することによって、隔膜の孔径の調整が可能となる。
親水化処理は、均一系で処理できる観点から、グラフト重合処理を用いて実施することが好ましい。グラフト重合処理では、多孔膜にグラフト鎖を形成するモノマー(以下、「グラフトモノマー(M)」)を導入する。すなわち、本実施形態の液体燃料電池用の隔膜は、多孔膜と、多孔膜に導入されたグラフト鎖とを備え、グラフト鎖は親水性官能基を含む。
グラフトモノマー(M)は、親水性官能基を有していてもよく、親水性官能基を導入し得る部位を有していてもよい。すなわち、親水性官能基は、グラフトモノマー(M)が有していてもよく、グラフト重合後にグラフト鎖に導入されてもよい。
好ましい一形態において、グラフトモノマー(M)は炭素−炭素不飽和結合と親水性官能基とを有する。グラフトモノマー(M)は、特に限定されないが、例えばアクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−ヒドロキシメチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸の誘導体モノマー、酢酸ビニル等の酢酸ビニル系モノマー、アリルアミン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン等の窒素含有モノマー、スチレンスルホン酸ナトリウム等のスチレン誘導体モノマーが挙げられる。これらの中でもアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、及びスチレン誘導体モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つが含まれることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1つが含まれることが好ましい。
グラフトモノマー(M)は、グラフトモノマー(M)単独で重合に供してもよく、グラフトモノマー(M)を溶媒に溶解させた溶液(グラフトモノマー(M)溶液)として準備してもよい。
グラフトモノマー(M)を溶解させる溶媒に特に限定はないが、グラフトモノマー(M)は溶解するが、高分子基材は溶解しない溶媒を用いると、グラフトモノマー(M)と高分子基材との分離が容易である。また、副生成物であるグラフトモノマー(M)のみから形成されたポリマーの溶解が可能である溶媒を用いると、重合液を均一に保つことができる。なお、グラフトモノマー(M)、グラフトモノマー(M)のみから形成されたポリマー及び高分子基材の溶媒への溶解性は、グラフトモノマー(M)、グラフトモノマー(M)のみから形成されたポリマー及び高分子基材の構造又は極性等によって異なることがあるため、これらの化合物の溶解性に応じて適宜溶媒を選択してもよい。また、2種以上の化合物を混合して溶媒として用いてもよい。
グラフトモノマー(M)溶液に含まれる溶媒は具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、フェノール、クレゾール等のフェノール類等の芳香族化合物を挙げることができる。このような溶媒を用いることによって、グラフト率の高い隔膜を得ることができる。また、芳香族化合物は、副生成物であるグラフトモノマー(M)のみからなるポリマーを溶解するため、重合液を均一に保つことができる。
このグラフトモノマー(M)溶液中のグラフトモノマー(M)の濃度は、グラフトモノマー(M)の重合性や目標とするグラフト率に応じて定めればよいが、例えばグラフトモノマー(M)溶液全体の重量に対して20重量%以上のグラフトモノマー(M)を含ませることが好ましい。グラフトモノマー(M)の濃度が20重量%以上の溶液を用いることによって、グラフト反応が充分に進行しない事態を回避しやすくする。
酸素の存在によってグラフト重合反応が阻害されることを防ぐため、グラフトモノマー(M)又はグラフトモノマー(M)溶液中の酸素は、凍結脱気や窒素ガス等を用いたバブリング等の公知の方法を用いて除去することが好ましい。
グラフト重合法としては、均一系で処理できる観点から、放射線グラフト重合処理法を用いることが好ましい。具体的には、高分子基材に放射線を照射し、放射線照射後の高分子基材とグラフトモノマー(M)又はグラフトモノマー(M)溶液とを接触させてグラフト重合反応をさせることによって形成されることが好ましい。
高分子基材に照射される放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等の電離放射線があり、特にγ線又は電子線が好ましい。照射線量は、好ましくは1kGy〜400kGyの範囲にあり、より好ましくは10kGy〜300kGyの範囲にある。グラフト率は、放射線の照射量によって制御することができる。照射線量が低すぎるとグラフト率が低くなることがある。照射線量が多くなりすぎると、高分子基材の劣化や過剰な重合反応によって隔膜の機械的強度の低下が生じることがある。
放射線照射後の高分子基材は、低温(例えば−30℃以下)で保持してもよい。
酸素の存在によってグラフト重合反応が阻害されることを防ぐため、グラフト重合は、酸素濃度ができる限り低い雰囲気下で行うことが好ましく、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で実施することがより好ましい。
グラフト重合を実施する温度は、例えば0℃〜100℃であり、特に40〜80℃である。グラフト重合を実施する反応時間は、例えば2分〜12時間程度である。グラフト率は、これらの反応温度、反応時間によって制御することが可能である。
グラフト率は、例えば5〜200%の範囲にあり、15%〜100%の範囲にあることが好ましい。このようなグラフト率を有することにより、含水率の良好な多孔膜を得ることが可能となる。なお、グラフト率とは、グラフト重合前の膜(高分子基材)の重量に対する、グラフト重合後の膜(グラフト膜)の重量とグラフト重合前の膜の重量の重量差の比率を示す。
グラフト重合反応の一例として、固液二相系における反応例を述べる。まず、グラフトモノマー(M)と溶媒とを含むグラフトモノマー(M)溶液をガラスやステンレス等の容器に入れる。次に、グラフト反応を阻害する溶存酸素を除去するために、グラフトモノマー(M)溶液中の減圧脱気及び不活性ガス(窒素ガス等)によるバブリングを行う。その後、放射線照射後の高分子基材をグラフトモノマー(M)溶液に投入してグラフト重合を行う。グラフト重合によって高分子基材を構成するポリマーにグラフト鎖が導入される。次に、得られた膜を反応溶液から取り出して濾別する。さらに、溶媒、未反応のグラフトモノマー(M)、及びグラフトモノマー(M)のみからなるポリマーを除去するために、得られた膜を適量の溶剤で3〜6回洗浄した後、乾燥させる。溶剤としては、グラフトモノマー(M)及びグラフトモノマー(M)のみからなるポリマーが容易に溶解し、グラフト膜が溶解しない溶剤を用いればよい。例えば、溶剤として、水、トルエンやアセトン等を用いることも可能である。
本実施形態において用いる高分子基材の材質は特に限定されず、発明の効果を阻害しない範囲内で公知の樹脂を用いることができ、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ビスフェノールA型エポキシポリマー等のエポキシ樹脂;ポリフェニレンサルファイド等のポリサルファイド系樹脂;ポリエーテルケトン等のポリエーテル系樹脂;ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ビスフェノールA型エポキシポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン及びポリテトラフフルオロエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種が含まれることが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド及びポリエーテルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種が含まれることがさらに好ましい。耐汚染性、耐腐食性、高分子基材の製造価格等の観点から、ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンがより好ましい。高分子基材の強度及び、耐熱性向上の観点から、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンが特に好ましい。なかでも、高強度の高分子基材を得る観点から、重量平均分子量50万以上、特に100万以上の超高分子量ポリエチレンが好ましい。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
これらの樹脂は、架橋されていてもよい。架橋方法は、特に限定されるものではなく、樹脂に電子線等を照射する方法、シラン化合物又は有機過酸化物等の架橋剤を加える方法等の、公知の方法を用いることができる。架橋された樹脂を用いると、高分子基材の強度が向上し、電極の短絡の防止効果が向上することがある。
これらの高分子基材の多孔化方法は特に限定されず、乾式成膜法、湿式成膜法等の公知の方法を用いることができる。これらの方法には熱誘起相分離又は非溶媒誘起相分離を利用することができる。
例えば、無機系発泡剤、有機系発泡剤又は超臨界流体を用いて発泡処理を実施する方法、相溶性の低い高分子基材と相分離化剤とを混合後相分離させ、相分離化剤を溶媒(例えば超臨界二酸化炭素)によって抽出又は加熱して抽出する処理方法、成膜後に抽出可能な成分を含有する成形体を形成し相分離後、切削して膜を形成し、この膜から抽出可能な成分を除去する処理方法が挙げられる。
また、金型(例えば円筒状)に充填した粉末状の高分子基材を、水蒸気を用いて加熱し、焼結して成形体を形成し、この形成された成形体(例えば円筒状のブロック体)を所定の厚みに切削することによって、多孔膜を得てもよい。樹脂及び溶媒を含む組成物を溶融混練し、押出し後冷却してシート状成形物とした後、脱溶媒処理してもよく、又は押出後のシート状成形物を圧延若しくは一軸延伸した後、溶媒を除去することにより多孔膜を得てもよい。
多孔膜の空孔率は、燃料電池の運転条件又は使用条件等に応じて適宜選択することができる。例えば空孔率が5〜95%の範囲にあることが好ましく、10〜70%の範囲にあることがより好ましく、10%〜50%の範囲にあることがさらに好ましい。空孔率が大きくなりすぎると、燃料の透過が多くなることがある。また、隔膜の耐圧性が低下し、酸化剤の圧力を保てないことがある。空孔率が小さくなりすぎると、透水量が小さくなりすぎることがあり、含水率が低くなることがある。
多孔膜の平均孔径は1nm〜1000nmの範囲にあることが好ましく、2nm〜500nmの範囲にあることがより好ましく、5nm〜300nmの範囲にあることがさらに好ましい。平均孔径が大きくなりすぎると、電極間の短絡が生じることがある。また隔膜の耐圧性が低下し、隔膜が酸化剤の圧力に耐えることが困難になることがある。また、燃料の透過量が多くなることがある。平均孔径が小さくなりすぎると、透水量が少なくなることがあり、カソード触媒における反応に必要な水が不足し、発電効率が低下することがある。親水化処理によって、隔膜全体の平均孔径は変動することがあるので、その変動を想定して多孔膜の平均孔径を調整することが好ましい。
好ましい一実施形態において、隔膜は、アニオン交換能を有する官能基を実質的に有しない。実質的に有しないとは、隔膜の重量に対するアニオン交換能を有する官能基の量が0.1mmol/g以下であることを言い、好ましくは0.05mmol/g以下であることを言う。アニオン交換能を有する官能基とは、例えば4級アンモニウム塩基、4級ホスホニウム塩基等が挙げられる。
本実施形態の隔膜を備えたMEAが設置された液体燃料電池においては、液体燃料に溶解された電解質がイオン伝導性を担う。一般に用いられる液体燃料電池では、隔膜にアニオン交換膜を用いており、このアニオン交換膜の有するアニオン交換基がイオン伝導性を担う。従って、アニオン交換基が劣化すると、液体燃料電池の性能が低下する。これに対し、アニオン交換基を有しない本実施形態のMEAでは、アニオン交換基の劣化は考慮する必要が無い。
別の実施形態において、グラフトモノマー(M)は、炭素−炭素不飽和結合と親水性官能基を導入しえる部位とを有する。親水性官能基を導入しえる部位とは、例えばハロゲン化メチル基、ハロゲン化エチル基、ハロゲン化プロピル基、及びハロゲン化ブチル基等のハロゲン化アルキル基、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸またはアクリルホスホン酸等のアルキルエステル等が挙げられる。グラフトモノマー(M)は、スチレン、クロロメチルスチレン、ブロモブチルスチレン等のスチレン誘導体が挙げられる。これらのモノマー(M)は単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
本実施形態において、グラフトモノマー(M)はアニオン交換能を有する官能基を有しないことが好ましい。
さらに別の実施形態において、本発明の特性を有する隔膜は、親水性ゲル、親水性官能基を有する高分子基材からなる無孔膜、又は親水性官能基を有する高分子材料が細孔に充填された多孔膜である。必要に応じて、親水性官能基を有する高分子材料は、架橋構造を有していてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における物性は以下の方法を用いて測定した。
(A)フィルム厚
1/10000直読ダイヤル式膜厚測定器により測定した。
1/10000直読ダイヤル式膜厚測定器により測定した。
(B)空孔率
1/10000直読ダイヤル式膜厚測定器により測定した厚みを用い、フィルムの単位面積Sあたりの重量W、平均厚みt、密度dから下式により算出した値を使用した。
空孔率(%)=(1−(104×W/S/t/d))×100
1/10000直読ダイヤル式膜厚測定器により測定した厚みを用い、フィルムの単位面積Sあたりの重量W、平均厚みt、密度dから下式により算出した値を使用した。
空孔率(%)=(1−(104×W/S/t/d))×100
(C)含水率
縦30mm横20mmの矩形に切り出したサンプルを、23℃相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上放置して、寸法変化が生じなくなった状態のサンプル重量を測定した(含水前の重量)。その後、このサンプルを30℃の純水中に2時間浸漬した後、重量を測定した(含水後の重量)。なお、含水後の重量は、サンプル表面に付着した余剰な水を濾紙等で拭き取ってから測定した。含水率は、以下の式に基づいて計算した比率である。
含水率(%)=((含水後の重量)−(含水前の重量))×100/(含水前の重量)
縦30mm横20mmの矩形に切り出したサンプルを、23℃相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上放置して、寸法変化が生じなくなった状態のサンプル重量を測定した(含水前の重量)。その後、このサンプルを30℃の純水中に2時間浸漬した後、重量を測定した(含水後の重量)。なお、含水後の重量は、サンプル表面に付着した余剰な水を濾紙等で拭き取ってから測定した。含水率は、以下の式に基づいて計算した比率である。
含水率(%)=((含水後の重量)−(含水前の重量))×100/(含水前の重量)
(D)面積膨潤率
縦30mm横20mmの矩形に切り出したサンプルを、23℃相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上放置して、寸法変化が生じなくなった状態のサンプルの面積を測定した(含水前の面積)。その後、このサンプルを30℃の純水中に2時間浸漬した後の面積を測定した(含水後の面積)。面積膨潤率は、以下の式に基づいて計算した比率である。
面積膨潤率(%)=((含水後の面積)−(含水前の面積))×100/(含水前の面積)
縦30mm横20mmの矩形に切り出したサンプルを、23℃相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上放置して、寸法変化が生じなくなった状態のサンプルの面積を測定した(含水前の面積)。その後、このサンプルを30℃の純水中に2時間浸漬した後の面積を測定した(含水後の面積)。面積膨潤率は、以下の式に基づいて計算した比率である。
面積膨潤率(%)=((含水後の面積)−(含水前の面積))×100/(含水前の面積)
(E)電極剥離模擬試験
実施例又は比較例で得られた隔膜を縦40mm横40mmの正方形状に切り出し、測定用サンプルとした。測定用サンプルを23℃相対湿度55%の雰囲気下で12時間放置して乾燥状態とした後、この測定用サンプルとガス拡散層(SGLカーボン社製、35BC)とを、25℃、30kgf/cm2(2.9×106Pa)の条件下で30秒間、圧着させ、MEAを模した積層体を作製した。作製した積層体を80℃の水に12時間浸漬した。その後、80℃の水中でガス拡散層の剥離の有無を確認した。80℃の水中で、ガス拡散層と隔膜とが剥離していたサンプルを×、ガス拡散層と隔膜とが剥離せず積層体の形状を維持していたサンプルを〇と評価した。80℃の水中で積層体の形状を維持していたサンプルは、80℃の水中から取り出し風乾した後の状態でも積層体の形状を維持していた。
実施例又は比較例で得られた隔膜を縦40mm横40mmの正方形状に切り出し、測定用サンプルとした。測定用サンプルを23℃相対湿度55%の雰囲気下で12時間放置して乾燥状態とした後、この測定用サンプルとガス拡散層(SGLカーボン社製、35BC)とを、25℃、30kgf/cm2(2.9×106Pa)の条件下で30秒間、圧着させ、MEAを模した積層体を作製した。作製した積層体を80℃の水に12時間浸漬した。その後、80℃の水中でガス拡散層の剥離の有無を確認した。80℃の水中で、ガス拡散層と隔膜とが剥離していたサンプルを×、ガス拡散層と隔膜とが剥離せず積層体の形状を維持していたサンプルを〇と評価した。80℃の水中で積層体の形状を維持していたサンプルは、80℃の水中から取り出し風乾した後の状態でも積層体の形状を維持していた。
(F)発電試験
白金担持カーボンを使用した電極を20mmの正方形状に切り出し、エチレンジアミンとエタノールとの混合溶液(重量比でエチレンジアミン/エタノール=3/7)に室温雰囲気下12時間以上浸漬させた。この電極を風乾後、40mmの正方形状に切り出した隔膜とガスケットと共に、燃料電池用評価セルを組み立てた。
上記の燃料電池用評価セルを用いて、電解質を含む液体燃料としてヒドラジン水和物を10重量%と水酸化カリウムを1mol/L含む水溶液を、酸化剤として乾燥空気を用いて、40℃雰囲気下において発電試験を実施した。アノード側へは毎分2mlの液体燃料を供給し、カソード側へは毎分200mlの乾燥空気を供給した。この試験において、電流掃引の可否、限界電流密度、最大出力密度発現時のセル抵抗(電流遮断法を用いて測定。瞬間的に電流を遮断する際の電圧変化からセルの内部抵抗を測定した。)、及び最大出力密度を比較した。
白金担持カーボンを使用した電極を20mmの正方形状に切り出し、エチレンジアミンとエタノールとの混合溶液(重量比でエチレンジアミン/エタノール=3/7)に室温雰囲気下12時間以上浸漬させた。この電極を風乾後、40mmの正方形状に切り出した隔膜とガスケットと共に、燃料電池用評価セルを組み立てた。
上記の燃料電池用評価セルを用いて、電解質を含む液体燃料としてヒドラジン水和物を10重量%と水酸化カリウムを1mol/L含む水溶液を、酸化剤として乾燥空気を用いて、40℃雰囲気下において発電試験を実施した。アノード側へは毎分2mlの液体燃料を供給し、カソード側へは毎分200mlの乾燥空気を供給した。この試験において、電流掃引の可否、限界電流密度、最大出力密度発現時のセル抵抗(電流遮断法を用いて測定。瞬間的に電流を遮断する際の電圧変化からセルの内部抵抗を測定した。)、及び最大出力密度を比較した。
(実施例1)
実施例1では、高分子基材として、膜厚20μm、空孔率40%、透気度(ガーレー値)173sec/100ml・inch2の超高分子量ポリエチレン多孔膜を用いた。この超高分子量ポリエチレン多孔膜に、45kGyの電子線を照射することで、フリーラジカルを生成させた。電子線照射後の超高分子量ポリエチレン多孔膜を、−70℃に冷却し、次の工程を実施するまでの間保管した。次に、グラフトモノマー(M)であるメタクリル酸250gと、メタノール250gとを混合しグラフトモノマー(M)溶液を調製した。温度を25℃に保ったまま窒素ガスによるバブリングを1時間行うことで、グラフトモノマー(M)溶液に残存していた酸素を除去した。このグラフトモノマー(M)溶液に、上記の電子線を照射した超高分子量ポリエチレン多孔膜を投入し、液温を55℃まで昇温させた。液温を55℃に維持しながら、6分間重合処理を行い、超高分子量ポリエチレン多孔膜にメタクリル酸をグラフト重合した。その後、グラフト多孔膜を引き上げて、水洗して余分なモノマーを洗い流した後、表面部分の水分を除き、親水性を有する親水性隔膜を得た。得られたグラフト多孔膜のグラフト率は40%であった。この隔膜の各物性を測定した。この膜は透気度(ガーレー値)491sec/100ml・inch2であった。この隔膜を用いて発電試験を行った。
実施例1では、高分子基材として、膜厚20μm、空孔率40%、透気度(ガーレー値)173sec/100ml・inch2の超高分子量ポリエチレン多孔膜を用いた。この超高分子量ポリエチレン多孔膜に、45kGyの電子線を照射することで、フリーラジカルを生成させた。電子線照射後の超高分子量ポリエチレン多孔膜を、−70℃に冷却し、次の工程を実施するまでの間保管した。次に、グラフトモノマー(M)であるメタクリル酸250gと、メタノール250gとを混合しグラフトモノマー(M)溶液を調製した。温度を25℃に保ったまま窒素ガスによるバブリングを1時間行うことで、グラフトモノマー(M)溶液に残存していた酸素を除去した。このグラフトモノマー(M)溶液に、上記の電子線を照射した超高分子量ポリエチレン多孔膜を投入し、液温を55℃まで昇温させた。液温を55℃に維持しながら、6分間重合処理を行い、超高分子量ポリエチレン多孔膜にメタクリル酸をグラフト重合した。その後、グラフト多孔膜を引き上げて、水洗して余分なモノマーを洗い流した後、表面部分の水分を除き、親水性を有する親水性隔膜を得た。得られたグラフト多孔膜のグラフト率は40%であった。この隔膜の各物性を測定した。この膜は透気度(ガーレー値)491sec/100ml・inch2であった。この隔膜を用いて発電試験を行った。
(実施例2)
グラフト重合時間を4分にした以外は、実施例1と同様に実施し、グラフト率30%の親水性隔膜を得た。この隔膜の各物性を測定した。この膜は透気度(ガーレー値)366sec/100ml・inch2であった。また、この隔膜を用いて発電試験を行った。
グラフト重合時間を4分にした以外は、実施例1と同様に実施し、グラフト率30%の親水性隔膜を得た。この隔膜の各物性を測定した。この膜は透気度(ガーレー値)366sec/100ml・inch2であった。また、この隔膜を用いて発電試験を行った。
(比較例1)
実施例1で用いた超高分子量ポリエチレン多孔膜を、未処理のまま隔膜として使用した。この隔膜の各物性を測定した。また、この隔膜を用いて発電試験を行った。
実施例1で用いた超高分子量ポリエチレン多孔膜を、未処理のまま隔膜として使用した。この隔膜の各物性を測定した。また、この隔膜を用いて発電試験を行った。
(比較例2)
高分子基材として、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ETFE、膜厚50μm)の無孔膜を用いた。このETFE膜に、片面30kGyずつ(計60kGy)の電子線を室温真空下において照射することで、フリーラジカルを生成させた。電子線照射後のETFE膜を、−70℃に冷却し、次の工程を実施するまでの間保管した。次に、4−(クロロメチル)スチレン28gとキシレン12gとを混合してモノマー溶液を調製した。次に、このモノマー溶液を窒素ガスでバブリングすることによって、モノマー溶液内の酸素を除去した。そして、このモノマー溶液に、上記の電子線を照射したETFE膜を投入し、液温を70℃まで昇温させた。液温を70℃に維持しながら、2時間浸漬することによってグラフト重合を行い、ETFE膜にクロロメチルスチレンをグラフト重合させた。得られた膜のグラフト率は43.5%であった。次いで、トリメチルアミン水溶液に、上記グラフト膜を室温で24時間浸漬し、クロロメチル基の部分の4級化処理を行った。4級化処理後の膜をエタノールで30分間洗浄した後、1規定の塩酸を含むエタノール溶液で30分間洗浄し、さらに純水で洗浄した。このようにして、高分子基材がETFEフィルムであり、塩素イオン型の4級アンモニウム塩基を有する膜を得た。この隔膜の各物性を測定した。また、この隔膜を用いて発電試験を行った。
高分子基材として、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ETFE、膜厚50μm)の無孔膜を用いた。このETFE膜に、片面30kGyずつ(計60kGy)の電子線を室温真空下において照射することで、フリーラジカルを生成させた。電子線照射後のETFE膜を、−70℃に冷却し、次の工程を実施するまでの間保管した。次に、4−(クロロメチル)スチレン28gとキシレン12gとを混合してモノマー溶液を調製した。次に、このモノマー溶液を窒素ガスでバブリングすることによって、モノマー溶液内の酸素を除去した。そして、このモノマー溶液に、上記の電子線を照射したETFE膜を投入し、液温を70℃まで昇温させた。液温を70℃に維持しながら、2時間浸漬することによってグラフト重合を行い、ETFE膜にクロロメチルスチレンをグラフト重合させた。得られた膜のグラフト率は43.5%であった。次いで、トリメチルアミン水溶液に、上記グラフト膜を室温で24時間浸漬し、クロロメチル基の部分の4級化処理を行った。4級化処理後の膜をエタノールで30分間洗浄した後、1規定の塩酸を含むエタノール溶液で30分間洗浄し、さらに純水で洗浄した。このようにして、高分子基材がETFEフィルムであり、塩素イオン型の4級アンモニウム塩基を有する膜を得た。この隔膜の各物性を測定した。また、この隔膜を用いて発電試験を行った。
含水率、含水時の面積膨潤率、電極剥離試験の結果をまとめて表1に示す。表1において、PEは超高分子量ポリエチレン、CMSはクロロメチルスチレン、TMAはトリメチルアミンを示す。また、実施例1〜2、比較例1〜2で得られた隔膜を用いて、電池試験を行った。結果を表2にまとめて示す。
比較例1で得られた隔膜(ポリエチレン多孔膜)は、親水性官能基を有していないため含水率が低く、この隔膜を用いた発電試験において電流は掃引できなかった。比較例2で得られた隔膜(ETFE無孔膜、CMSグラフト鎖)は、面積膨潤率が高く、電極剥離模擬試験では隔膜が剥離した。比較例1、2で得られた隔膜では、高い含水率と低い面積膨潤率とを兼ね備えた膜を得ることは困難であった。これに対し、実施例1、2では、高い含水率と低い面積膨潤率とを兼ね備えた隔膜が得られた。
1 膜−電極接合体(MEA)
2 隔膜
3 アノード触媒層
4 カソード触媒層
2 隔膜
3 アノード触媒層
4 カソード触媒層
Claims (8)
- 乾燥時の隔膜の重量に対する、含水時の隔膜の重量と乾燥時の隔膜の重量との重量差の比率が30重量%以上であり、
乾燥時の隔膜の面積に対する、含水時の隔膜の面積と乾燥時の隔膜の面積との面積差の比率が20%未満である、
アルカリ形液体燃料電池用隔膜。
ここで、乾燥時の隔膜とは、23℃相対湿度50%の雰囲気下に24時間以上放置して寸法変化が生じなくなった状態の隔膜であり、含水時の隔膜とは、前記乾燥時の隔膜を30℃の水中に2時間浸漬して膨潤させた状態の隔膜である。 - 前記隔膜が、アニオン交換能を有する官能基を実質的に有しない、
請求項1に記載のアルカリ形液体燃料電池用隔膜。 - 前記隔膜が、
多孔膜と、
前記多孔膜上に存在する親水性官能基と、
を備える、
請求項1又は2に記載のアルカリ形液体燃料電池用隔膜。 - 前記多孔膜が、高分子基材からなる、
請求項3に記載のアルカリ形液体燃料電池用隔膜。 - 前記高分子基材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド及びポリエーテルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、
請求項4に記載のアルカリ形液体燃料電池用隔膜。 - 前記親水性官能基が、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基及びリン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1つである、
請求項3〜5のいずれか1項に記載のアルカリ形液体燃料電池用隔膜。 - 前記親水性官能基が、前記高分子基材上にアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びスチレン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを重合して得られた、
請求項4〜6のいずれか1項に記載のアルカリ形液体燃料電池用隔膜。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルカリ形液体燃料電池用隔膜を備えた膜−電極接合体。
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|---|---|---|---|
| JP2014137790A JP2016015285A (ja) | 2014-07-03 | 2014-07-03 | アルカリ形液体燃料電池用隔膜及びそれを備えた膜−電極接合体 |
| PCT/JP2015/003348 WO2016002227A1 (ja) | 2014-07-03 | 2015-07-02 | 液体燃料電池用隔膜及びそれを備えた膜-電極接合体 |
Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|
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| JP (1) | JP2016015285A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN114457379A (zh) * | 2022-01-24 | 2022-05-10 | 天津市大陆制氢设备有限公司 | 用于碱性电解槽的凝胶填充膜及其制备方法 |
-
2014
- 2014-07-03 JP JP2014137790A patent/JP2016015285A/ja active Pending
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| CN114457379A (zh) * | 2022-01-24 | 2022-05-10 | 天津市大陆制氢设备有限公司 | 用于碱性电解槽的凝胶填充膜及其制备方法 |
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