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JP2016010765A - 炭化水素油の接触分解触媒および炭化水素油の接触分解方法 - Google Patents

炭化水素油の接触分解触媒および炭化水素油の接触分解方法 Download PDF

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JP2016010765A JP2014133511A JP2014133511A JP2016010765A JP 2016010765 A JP2016010765 A JP 2016010765A JP 2014133511 A JP2014133511 A JP 2014133511A JP 2014133511 A JP2014133511 A JP 2014133511A JP 2016010765 A JP2016010765 A JP 2016010765A
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Abstract

【課題】重質留分の得率の増加を抑制しつつ、オクタン価の高いガソリン留分およびプロピレン、ブテンの含有率が高いLPGを生産し得る炭化水素油の接触分解触媒を提供する。
【解決手段】格子定数が2.430〜2.445nmであるソーダライトケージ構造を有するゼオライト、シリカゾル由来のケイ素原子、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子、希土類金属を並びに粘土鉱物を各々所定量含み、接触分解触媒中におけるゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合の比が0.01〜0.45であり、接触分解触媒中におけるゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の接触分解触媒中の含有割合に対する、酸化物換算した希土類金属の含有割合の比が0.003〜0.27であることを特徴とする炭化水素油の接触分解触媒である。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭化水素油の接触分解触媒および炭化水素油の接触分解方法に関する。
近年、地球環境意識の高まりや温暖化への対策が重要視されるようになり、自動車の排気ガスについても、環境に与える影響を考慮して、そのクリーン化が望まれるようになっている。自動車の排気ガスのクリーン化は、自動車の性能とガソリンの燃料組成に影響を受けることが一般的に知られており、特に石油精製産業においては、高品質なガソリンを提供することが求められている。
ガソリンは、原油の精製工程で得られる複数のガソリン基材を混合することによって製造されている。特に、重質炭化水素油の流動接触分解反応によって得られるガソリン留分(以下、適宜FCCガソリンと称する)は、ガソリンへの配合量が多く、ガソリンの品質に与える影響が非常に大きい。
重質炭化水素油の接触分解反応は、石油精製工程で得られる低品位な重質油を接触分解することによって、軽質な炭化水素油へと変換する反応であるが、FCCガソリンを製造する際に、副生成物として、水素・コーク、液化石油ガス(Liquid Petroleum Gas(LPG))、中間留分である軽質分解軽油(Light Cycle Oil(LCO))とともに、重質留分として、重質分解軽油(Heavy Cycle Oil(HCO))や分解ボトム油(Slurry Oil(SLO))等のLCOよりも沸点の高い留分も生産される。
一方、近年、石油需要構造の変化に伴い、石油化学原料となるプロピレンやブテン等の軽質オレフィンの増産が求められており、この軽質オレフィンを製造する主な方法として、熱分解装置を用いて重質炭化水素油を分解する方法が知られている。
しかしながら、熱分解装置を用いた重質炭化水素油の分解法では、軽質オレフィンの収率が低く、また、原料油によって軽質オレフィンの収率が大きく変動することから、現在の需要増加に対応することは困難である。
また、流動接触分解装置を用いた軽質オレフィンの生産方法として、ZSM−5等の酸性質の高いハイシリカゼオライトを触媒に添加し、FCCガソリン留分を過分解し、プロピレンなどへ変換する方法が提案されているが、(特許文献1(特開昭60−208395号公報)参照)、この方法では重質留分の得率も増加してしまい、効果的な分解反応を行い難いという技術課題が存在していた。
特開昭60−208395号公報
上記技術課題を解決するため、本発明者等が鋭意検討した結果、ソーダライトケージ構造を有するゼオライト、シリカゾル由来のケイ素原子、希土類金属および粘土鉱物と、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子とを含有する接触分解触媒を用いた接触分解法により、重質留分の得率の増加を抑制しつつ、オクタン価の高いガソリン留分を高い得率で生産し得るとの知見を得た。
しかしながら、接触分解触媒としては、プロピレン等の軽質オレフィンをさらに高い収率でかつ簡便に生産し得るものが求められた。
接触分解装置から得られるプロピレンやブテンはLPG留分中に含まれており、このプロピレンやブテンは、接触分解装置の後段設備であるスプリッターで分離し、凝縮することにより、単離することができる。
このため、重質留分の得率を抑制し、オクタン価の高いガソリン留分を高い得率で生産することができるとともに、LPG留分中に含まれる軽質オレフィン濃度を高め得る接触分解触媒を提供することにより、スプリッターによる分離精製工程の省略ないしは効率化を図ることができ、高い収率でかつ簡便に軽質オレフィンを製造し得ると考えられた。
すなわち、本発明は、重質留分の得率の増加を抑制しつつ、オクタン価の高いガソリン留分を高い得率で生産することができるとともに、プロピレン、ブテンの含有率が高いLPGを生産することができる炭化水素油の接触分解触媒を提供するとともに、該触媒を用いた炭化水素油の接触分解方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の物性を有するゼオライト等の構成成分を特定の組成で含有する炭化水素油の接触分解触媒により、上記技術課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)格子定数が2.430〜2.445nmであるソーダライトケージ構造を有するゼオライトを20〜40質量%、シリカゾル由来のケイ素原子をSiO換算で10〜30質量%、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子をAl・3P換算で0.05〜2質量%、希土類金属を酸化物換算で0.01〜1質量%並びに粘土鉱物を27〜69.9質量%含み、
下記式(I)
Al={(a−2.425)/0.000868}×(結晶化度/100)×前記ゼオライトの含有割合 (I)
(ただし、FAlは接触分解触媒中における前記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合(個・質量%)、aは前記ゼオライトの単位格子寸法(nm)、2.425は単位格子骨格内の全アルミニウム原子が骨格外に脱離したときの単位格子寸法(nm)、0.000868(nm/個)は実験から求めた計算値、結晶化度/100は前記ゼオライトの結晶化度を100で割った値(無単位)、ゼオライトの含有割合は、接触分解触媒中における前記ゼオライトの含有割合(質量%))
により算出される、接触分解触媒中における前記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、前記第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合の比が0.01〜0.45であり、接触分解触媒中における前記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、前記酸化物換算した希土類金属の含有割合の比が0.003〜0.27である
ことを特徴とする炭化水素油の接触分解触媒、
(2)上記(1)に記載の炭化水素油の接触分解触媒と炭化水素油とを接触させることを特徴とする炭化水素油の接触分解方法
を提供するものである。
本発明によれば、重質留分の得率の増加を抑制しつつ、オクタン価の高いガソリン留分を高い得率で生産し得るとともに、プロピレン、ブテンの含有率が高いLPGを生産可能な炭化水素油の接触分解触媒を提供することができ、さらに該触媒を用いた炭化水素油の接触分解方法を提供することができる。
先ず、本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒について説明する。
本発明の炭化水素油の接触分解触媒は、格子定数が2.430〜2.445nmであるソーダライトケージ構造を有するゼオライトを20〜40質量%、シリカゾル由来のケイ素原子をSiO換算で10〜30質量%、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子をAl・3P換算で0.05〜2質量%、希土類金属を酸化物換算で0.01〜1質量%、並びに粘土鉱物を27〜69.9質量%含み、
下記式(I)
Al={(a−2.425)/0.000868}×(結晶化度/100)×上記ゼオライトの含有割合 (I)
(ただし、FAlは接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合(個・質量%)、aは上記ゼオライトの単位格子寸法(nm)、2.425は単位格子骨格内の全アルミニウム原子が骨格外に脱離したときの単位格子寸法(nm)、0.000868(nm/個)は実験から求めた計算値、結晶化度/100は上記ゼオライトの結晶化度を100で割った値(無単位)、ゼオライトの含有割合は、接触分解触媒中における上記ゼオライトの含有割合(質量%))
により算出される、接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、上記第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合の比が0.01〜0.45であり、接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の接触分解触媒中の含有割合に対する、上記酸化物換算した希土類金属の含有割合の比が0.003〜0.27である
ことを特徴とするものである。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、格子定数がソーダライトケージ構造を有するゼオライトを含む。
本出願書類において、ソーダライトケージ構造を有するゼオライトとは、ソーダライトケージ構造、すなわちアルミニウム及びケイ素四面体を基本単位とし、頂点の酸素をアルミニウム又はケイ素が共有することにより形成される立体的な正八面体の結晶構造の各頂点を切り落とした、四員環や六員環等により規定される十四面体結晶構造により構成される空隙を有し、このソーダライトケージ同士が結合する場所や方法が変化することによって、種々の細孔構造、骨格密度、チャンネル構造を有するものを意味する。
上記ソーダライトケージ構造を有するゼオライトとしては、ソーダライト、A型ゼオライト、EMT、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、安定化Y型ゼオライト等から選ばれる一種以上を挙げることができ、安定化Y型ゼオライトであることが好ましい。
安定化Y型ゼオライトは、Y型ゼオライトを出発原料として合成され、Y型ゼオライトと比較して、結晶化度の劣化に対して耐性を示すものであり、一般には、Y型ゼオライトに対し高温での水蒸気処理を数回行った後、必要に応じて、塩酸等の鉱酸、水酸化ナトリウム等の塩基、フッ化カルシウム等の塩、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤で処理することにより作製されてなるものである。
上記方法で得られた安定化Y型ゼオライトは、水素、アンモニウムあるいは多価金属から選ばれるカチオンでイオン交換された形で使用することができる。また、安定化Y型ゼオライトとして、より安定性に優れたヒートショック結晶性アルミノシリケートゼオライト(特許第2544317号公報参照)を使用することもできる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒において、上記ソーダライトケージ構造を有するゼオライトは、格子定数(単位格子寸法)が2.430〜2.445nmであるものであり、2.435〜2.445nmであるものが好ましく、2.440〜2.445nmであるものがより好ましい。
上記ゼオライトの格子定数は、ゼオライトを構成する単位ユニット(単位格子骨格)のサイズを示すものであるが、上記格子定数が2.430nm以上であることにより、重質油の分解に必要なアルミニウム原子数が適当数となり、その結果分解反応を好適に行うことができる。上記格子定数が2.445nm以下であることにより、ゼオライト結晶の劣化を抑制しやすくなり、触媒の分解活性の低下を抑制しやすくなることに加え、水素移行反応を抑制し、軽質オレフィン濃度低下を防ぐことができる。
上記ゼオライトの格子定数は、X線回折装置(XRD)により測定することができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒において、上記ソーダライトケージ構造を有するゼオライトは、化学組成分析によるバルクのSiO/Alモル比が、4〜15であるものが好ましく、5〜10であるものがより好ましい。
上記化学組成分析によるバルクのゼオライトのSiO/Alモル比は、接触分解触媒の酸強度を示しており、上記モル比が大きいほど接触分解触媒の酸強度が強くなる。上記SiO/Alモル比が4以上であることにより、重質炭化水素油の接触分解に必要な酸強度を得ることができ、その結果分解反応を好適に行うことができる。また、上記SiO/Alモル比が15以下であることにより、接触分解触媒の酸強度が強くなり、必要な酸の数を確保でき、重質炭化水素油の分解活性を確保し易くなる。
上記化学組成分析によるバルクのゼオライトのSiO/Alモル比は、誘導結合プラズマ(ICP)により測定することができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒において、上記ソーダライトケージ構造を有するゼオライトは、ゼオライト内の全アルミニウム原子数に対するゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子数の比(モル比)が0.3〜1.0であるものが好ましく、0.4〜1.0であるものがより好ましい。
上記ゼオライト内の全アルミニウム原子数に対するゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子数の比(モル比)に関し、ゼオライト結晶を構成するアルミニウム原子の量が多くなりすぎると、ゼオライトの骨格から脱落したAl粒子が多くなり、強酸点を発現しないために接触分解反応が進行しなくなる場合があるが、ゼオライト内の全アルミニウム原子数に対するゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子数の比(モル比)が0.3以上であることにより、上記現象を回避し易くなる。また、上記比が1.0に近い場合には、ゼオライト内のアルミニウム原子の多くがゼオライト単位格子に取り込まれていることを意味し、ゼオライト内のアルミニウム原子が強酸点の発現に効果的に寄与するため好ましい。
接触分解触媒は、上記ソーダライトケージ構造を有するゼオライトを用いることによって、所望の高分解活性を発揮することができる。
上記ゼオライト内の全アルミニウム原子数に対するゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子数の比(モル比)は、上述した、ゼオライトの格子定数および化学組成分析によるバルクのSiO/Al比から、下記数式(A)〜(C)を用いて算出することができる(なお、数式(A)は、H.K.Beyer et al.,J.Chem.Soc.,Faraday Trans.1,(81),2899(1985).に記載の式を採用したものである)。
(A)NAl= (a−2.425)/0.000868
(数式(A)において、NAlはゼオライトの単位格子骨格あたりのアルミニウム原子数(個)、aは格子定数(nm)、2.425は単位格子骨格内の全アルミニウム原子が骨格外に脱離したときの格子定数(nm)、0.000868(nm/個)は実験により求めた計算値であり、aとNAlについて1次式で整理したとき(a=0.000868NAl+2.425)の傾きを表している。)
(B)(Si/Al)計算式=(192−NAl)/NAl
(数式(B)において、(Si/Al)計算式はバルクのゼオライトにおける計算上のSiO/Alモル比であり、NAlは数式(A)により算出される単位格子骨格あたりのアルミニウム原子数(個)であり、192はY型ゼオライトの単位格子寸法あたりのケイ素原子とアルミニウム原子の原子数の総数(個)である。)
(C)ゼオライト内の全アルミニウム原子数に対するゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子数の比(モル比)=(化学組成分析によるバルクのゼオライトのSiO/Alモル比)/(Si/Al)計算式
(数式(C)において、(Si/Al)計算式は数式(B)により算出されるバルクのゼオライトにおける計算上のSiO/Alモル比である。)
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒において、上記ソーダライトケージ構造を有するゼオライトは、結晶化度が、50質量%〜98質量%であるものが好ましく、60質量%〜98質量%であるものがより好ましく、70質量%〜98質量%であるものがさらに好ましい。
また、本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒において、上記ソーダライトケージ構造を有するゼオライトは、「結晶化度/100」(無単位)が、0.50〜0.98であるものが好ましく、0.60〜0.98であるものがより好ましく、0.70〜0.98であるものがさらに好ましい。
ソーダライトケージ構造を有するゼオライトの結晶化度または結晶化度/100が上記範囲内にあることにより、軽質オレフィンを含むLPG留分を増産することができ、かつ、重質留分量を低減することができる。
なお、本出願書類において、上記ゼオライトの結晶化度は、ASTM D3906−64に記載された方法により、(株)リガク製ULTIMA−IVを用いてX線回折スペクトルを測定したときの、Y型ゼオライト(日揮触媒化成(株)製Y型ゼオライト ZCP−50)のピーク強度に対する、測定対象となるゼオライトのピーク強度の割合((測定対象となるゼオライトのピーク強度/ZCP−50のピーク強度)×100)を意味するものとする。
上記格子定数、SiO/Al比、ゼオライト内の全アルミニウム原子数に対するゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子数の比(モル比)および結晶化度の規定を満たすソーダライトケージ構造を有するゼオライトとしては、天然のフォージャサイトと基本的に同一の結晶構造を有し、酸化物として下記組成式
(0.02〜1.0)R2/mO・Al・(5〜11)SiO・(5〜8)H
(上記組成式において、Rは、Na、Kその他のアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを表し、mはRの原子価を表している)を有する安定化Y型ゼオライトを挙げることができる。
また、上記の格子定数や結晶化度等の規定を満たすソーダライトケージ構造を有するゼオライトは、既知のゼオライトの製造方法法により製造することができ、また既存のゼオライトに対し特開平6−72707号公報に記載の酸処理方法や、特許第2544317号公報に記載の熱処理等を施すことにより、調製することもできる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、乾燥基準で、ソーダライトケージ構造を有するゼオライトを20〜40質量%含むものであり、25〜40質量%含むものであることが好ましく、25〜35質量%含むものであることがより好ましい。
ソーダライトケージ構造を有するゼオライトの含有量が20質量%以上であることにより、所望の分解活性を得ることができ、また、ソーダライトケージ構造を有するゼオライトの含有量が40質量%以下であることにより、粘土鉱物や、シリカゾル由来のケイ素原子、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子等の結合剤由来成分を容易に所望量含有することができることから、接触分解触媒の強度や嵩密度を維持しつつ、接触分解装置を好適に運転することができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、ソーダライトケージ構造を有するゼオライトとともに、シリカゾル由来のケイ素原子、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子、希土類金属並びに粘土鉱物を含む。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒中に含まれる、シリカゾル由来のケイ素原子としては、種々の珪素化合物ゾル由来のケイ素原子を挙げることができるが、水溶性のシリカゾル由来のケイ素原子であることが好ましい。
シリカゾルには、幾つかの種類が知られており、コロイダルシリカを例に挙げれば、ナトリウム型、リチウム型、酸型等があるが、本発明はいずれの型のシリカゾル由来のケイ素原子を含むものであってもよい。
また、商業的規模で生産する場合には、希釈水ガラス水溶液と硫酸水溶液とを反応させて得られるシリカヒドロゾル由来のケイ素原子であってもよい。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、通常、シリカゾル由来のケイ素原子を酸化物の状態で含有している。
シリカゾルは接触分解触媒の製造時において、結合剤として使用されるものであり、接触分解触媒の調製時に加熱されて酸化されるものであるが、接触分解触媒の調製時にシリカゾルを使用することにより、造粒化(微粒子化)する際の成形性を向上させ、容易に球状化することができ、また、接触分解触媒の流動性及び耐摩耗性を容易に向上させることができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、乾燥基準で、シリカゾル由来のケイ素原子をSiO換算で10〜30質量%含むものであり、15〜30質量%含むものであることが好ましく、15〜22質量%含むものであることがより好ましい。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、シリカゾル由来のケイ素原子の含有量がSiO換算で10質量%以上であることにより、接触分解触媒の強度が保たれるため、触媒の散飛や、生成油中への混入等の好ましくない現象を回避することができ、また、シリカゾル由来のケイ素原子の含有量がSiO換算で30質量%以下であることにより、使用量に見合った触媒性能の向上が認められ、経済的に有利となる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒において、第一リン酸アルミニウムは、一般式[Al(HPO]で示される水溶性の酸性リン酸塩であり、第一リン酸アルミニウム、モノリン酸アルミニウム又は重リン酸アルミニウムとも称される。
第一リン酸アルミニウムは加熱によって脱水され、水分を失うと、酸化物形態(リン酸アルミニウム酸化物(AlPO))となって安定化する。また、第一リン酸アルミニウムは、他のアルミニウム源と比較して、水溶液中で多核錯体のポリマーとして存在しており、表面に多量の水酸基を含有しているため、強い結合力を発揮することができ、このため、接触分解触媒の結合剤として好適である。
また、接触分解触媒は、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子を含有することによって、酸性質が変化して分解活性が向上する。
従って、本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、この第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子を含有するものであることによって、所期の高い分解活性を発揮するとともに、オクタン価の高い高品質なガソリン留分を製造することができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子を、乾燥基準、Al・3P換算で、0.05〜2質量%含むものであり、0.05〜1.5質量%含むものであることが好ましく、0.1〜1質量%含むものであることがより好ましい。
第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子の含有量がAl・3P換算で0.05質量%以上であることにより、炭化水素油の分解活性が向上し、また、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子の含有量がAl・3P換算で2質量%以下であることにより、使用量に見合った触媒性能の向上が認められ、かつ、オクタン価の高いガソリン留分を製造することができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、下記式(I)
Al={(a−2.425)/0.000868}×(結晶化度/100)×上記ゼオライトの含有割合 (I)
(ただし、FAlは接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合(個・質量%)、aは上記ゼオライトの単位格子寸法(nm)、2.425は単位格子骨格内の全アルミニウム原子が骨格外に脱離したときの単位格子寸法(nm)、0.000868(nm/個)は実験から求めた計算値、結晶化度/100は上記ゼオライトの結晶化度を100で割った値(無単位)、ゼオライトの含有割合は、接触分解触媒中における上記ゼオライトの含有割合(質量%))
により算出される、接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、上記第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合の比(上記第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合/接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合)が、0.01〜0.45であり、0.01〜0.15であることが好ましく、0.01〜0.13であることがさらに好ましい。
接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、上記第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合の比(第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合/接触分解触媒中におけるゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合)が、0.01以上であることにより、分解活性や結合剤としての効果を発揮しやすくなり、上記比が0.45以下であることにより、使用量に見合った触媒性能を発揮することができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒において、上記シリカゾルや第一リン酸アルミニウムは、触媒調製時に加熱処理されることによって触媒中に酸化物として含有されるものである。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、触媒調製時に結合剤としてアルミナゾル等の他の結合剤を使用してなるものであってもよく、この場合、接触分解触媒中にはアルミナゾルが酸化物として含有されることになる。
上記アルミナゾルとしては、塩基性塩化アルミニウム[Al(OH)Cl6−n(ただし、0<n<6、m≦10)、無定形のアルミナゾル、擬ベーマイト型のアルミナゾル、市販のアルミナゾル、更にジブサイト、バイアライト、ベーマイト、ベントナイト、結晶性アルミナを酸溶液中に溶解させた粒子等を挙げることができ、塩基性塩化アルミニウムであることが好ましい。
アルミナゾルも、加熱によって脱水され、水分を失うと、酸化物形態となって安定化する。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒において、希土類金属としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、ディスプロシウム、ホルミウム等から選ばれる一種以上を挙げることができ、これ等のうち、ランタンまたはセリウムが好ましい。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒が希土類金属を含有するものであることにより、ゼオライト結晶の崩壊を抑制し、触媒の耐久性を向上させることができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、希土類金属を、乾燥基準、酸化物換算で、0.01〜1質量%含むものであり、0.05〜0.7質量%含むものであることが好ましく、0.1〜0.5質量%含むものであることがより好ましい。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒が酸化物換算で希土類金属を上記割合で含有するものであることにより、接触分解反応に供したときに高分解活性を発揮し得るとともに、オクタン価の高いガソリン留分を製造することができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、下記式(I)
Al={(a−2.425)/0.000868}×(結晶化度/100)×上記ゼオライトの含有割合 (I)
(ただし、FAlは接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合(個・質量%)、aは上記ゼオライトの単位格子寸法(nm)、2.425は単位格子骨格内の全アルミニウム原子が骨格外に脱離したときの単位格子寸法(nm)、0.000868(nm/個)は実験から求めた計算値、結晶化度/100は前記ゼオライトの結晶化度を100で割った値(無単位)、ゼオライトの含有割合は、接触分解触媒中における上記ゼオライトの含有割合(質量%))
により算出される、接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、上記酸化物換算した希土類金属の含有割合の比(上記酸化物換算した希土類金属の含有割合/接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合)が0.003〜0.27であり、0.01〜0.1であることが好ましく、0.01〜0.05であることがより好ましい。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、上記酸化物換算した希土類金属の含有割合の比(上記酸化物換算した希土類金属の含有割合/接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合)が、0.003以上であることにより、希土類金属を含有することにより得られる効果を発揮しやすくなり、上記比が0.27以下であることにより、使用量に見合った触媒性能を発揮することができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒において、粘土鉱物としては、モンモリロナイト、カオリナイト、ハロイサイト、ベントナイト、アタパルガイト、ボーキサイト等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、乾燥基準で、粘土鉱物を27〜69.9質量%含むものであり、27.8〜59.9質量%含むものであることが好ましく、35〜59.8質量%含むものであることがより好ましい。
粘土鉱物の含有割合が27質量%以上であることにより、接触分解触媒の触媒強度を向上させ得るとともに、触媒の嵩密度を維持して接触分解装置を好適に運転することができる。また、粘土鉱物の含有割合が69.9質量%以下であることにより、ソーダライトケージ構造を有するゼオライトや、シリカゾル由来のケイ素原子や第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子等の結合剤由来成分を一定割合で含有させて、初期の分解活性を維持しつつ、所望量の結合剤の存在下に容易に触媒調製を行うことができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、上記粘土鉱物とともに、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、シリカ−マグネシア、アルミナ−マグネシア、リン−アルミナ、シリカ−ジルコニア、シリカ−マグネシア−アルミナ等から選ばれる一種以上の通常の接触分解触媒に使用される公知の無機酸化物を含むものであってもよい。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒において、ソーダライトケージ構造を有するゼオライトの含有量、シリカゾル由来のケイ素原子のSiO換算した含有量、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子をAl・3P換算した含有量、粘土鉱物の含有量及び希土類金属の酸化物換算した含有量は、触媒調製時に加えた各原料量から算出することができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒の粒子径は、接触分解触媒として通常使用し得る範囲であれば特に制限されないが、粒子径が20〜150μmの範囲にあるものが好ましい。
なお、上記粒子径は、筒井理化学器械(株)製“ミクロ形電磁振動ふるい器 M−2型”により測定した値を意味するものとする。
次に、本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒を製造する方法について説明する。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、例えば、格子定数が2.430〜2.445nmであるソーダライトケージ構造を有するゼオライト、シリカゾル、第一リン酸アルミニウムおよび粘土鉱物を各々含有する水性スラリーを調製し、得られた水性スラリーを乾燥処理した後、希土類金属源によるイオン交換を行うことにより製造することができる。
上記ソーダライトケージ構造を有するゼオライト、シリカゾル、第一リン酸アルミニウムおよび粘土鉱物の具体例は、上述したとおりである。
上記製造方法においては、先ず、ソーダライトケージ構造を有するゼオライト、シリカゾル、第一リン酸アルミニウムおよび粘土鉱物を含む水性スラリーを調製する。
上記水性スラリーは、先ず、シリカゾルを水中に添加し、混合して、均一な結合剤水溶液を調製した後、第一リン酸アルミニウム、ソーダライトケージ構造を有するゼオライト及び粘土鉱物を添加し、混合することにより、目的とする均一な水性スラリーを得ることができる。
上記水性スラリーの調製時、第一リン酸アルミニウムの一部又は全部を予め水中に添加、混合してもよい。
上記水性スラリーを調製する際、ソーダライトケージ構造を有するゼオライト、シリカゾル、第一リン酸アルミニウムおよび粘土鉱物の混合割合は、得ようとする炭化水素油の接触分解触媒を構成する各成分量が上述した範囲内の量になるように適宜選定すればよい。
また、上記製造方法において、ゼオライトおよび第一リン酸アルミニウムの使用量は、得られる接触分解触媒において、下記式(I)
Al={(a−2.425)/0.000868}×(結晶化度/100)×上記ゼオライトの含有割合 (I)
(ただし、FAlは接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合(個・質量%)、aは上記ゼオライトの単位格子寸法(nm)、2.425は単位格子骨格内の全アルミニウム原子が骨格外に脱離したときの単位格子寸法(nm)、0.000868(nm/個)は実験から求めた計算値、結晶化度/100は前記ゼオライトの結晶化度を100で割った値(無単位)、ゼオライトの含有割合は、接触分解触媒中における上記ゼオライトの含有割合(質量%))
により算出される、接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、上記第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合の比が上述した範囲を満たすように適宜調整する。
上記水性スラリーの調製時、水性スラリー中の固形分濃度が、5〜60質量%となるように調整することが好ましく、10〜50質量%となるように調整することがより好ましい。水性スラリー中の固形分濃度が上記範囲内にあることにより、後述する水性スラリーの乾燥時において、蒸発させる水分量が適当量となり、簡便に乾燥を行うことができ、また、スラリーの粘度上昇を招くことなく、簡便に輸送することができる。
上述した方法で得られた水性スラリーには、乾燥処理が施される。
上記水性スラリーの乾燥は、噴霧乾燥により行うことが好ましく、噴霧乾燥処理を施すことにより、微小球体(触媒前駆体)を得ることができる。
上記噴霧乾燥は、噴霧乾燥装置を用い、200〜600℃のガス入口温度、および100〜300℃のガス出口温度の条件下に行うことが好ましい。
噴霧乾燥により得られる微小球体は、20〜150μmの粒子径、5〜30質量%の水分を含有するものであることが適当である。
上記微小球体が過剰のアルカリ金属や可溶性の不純物等を含まないものである場合は、そのまま接触分解触媒とすることができる。
なお、本出願書類において、上記微小球体の粒子径は、JIS Z 8815に準拠して測定した値を意味するものとし、上記微小球体の水分量は、加熱炉において800℃で3時間加熱処理を行い、加熱前後の質量変化量を水分脱離量としてみなして算出した値を意味するものとする。
次に、上記乾燥処理して得られた微小球体に対し、さらに必要に応じて、公知の方法で洗浄処理及びイオン交換を行い、各種の原料から持ち込まれる過剰のアルカリ金属や可溶性の不純物等を除去してもよい。
上記の洗浄処理は、具体的には、水又はアンモニア水により行うことができ、水又はアンモニア水で洗浄することにより、可溶性不純物の含有量を低減させることができる。
イオン交換処理は、具体的には、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、ホスフィン酸アンモニウム、ホスホン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムなどのアンモニウム塩の水溶液によって行うことができ、このイオン交換によって微小球体に残存するナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属を低減させることができる。
上記洗浄処理は、通常イオン交換処理に先立って行われるが、洗浄処理及びイオン交換処理が好適に施される限りにおいては、イオン交換処理を先に行ってもよい。
上記洗浄処理及びイオン交換処理は、アルカリ金属の含有量及び可溶性不純物の含有量が所望量以下になるまで行うことが好ましく、アルカリ金属の含有量及び可溶性不純物の含有量が所望量以下であることにより、触媒活性を好適に高めることができる。
上記製造方法により得られる微小球体は、乾燥触媒基準で、アルカリ金属の含有量が、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、可溶性不純物の含有量が、2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましい。
上記の洗浄処理及びイオン交換処理を施された微小球体は、再度乾燥処理することが好ましい。この乾燥処理は、100〜500℃の温度の温度条件下、微小球体の水分含有量が1〜25質量%になるまで行うことが好ましい。
上記製造方法においては、得られた微小球体に希土類金属源によるイオン交換を施すことにより、希土類金属を含有させる。
希土類金属源によるイオン交換処理により付与される希土類金属としては、上述したものと同様のものを挙げることができ、希土類金属源としては、これ等希土類金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
希土類金属源によるイオン交換は、上記のように、水性スラリーを乾燥処理して得られた微小球体や、さらに洗浄処理及びイオン交換処理を施された微小球体に対して施すことができる。
上記微小球体に希土類金属源によるイオン交換を施して希土類金属を含有させる場合、従来公知の方法により行うことができる。例えば、希土類金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の化合物の単独あるいは2種以上を含有する水溶液により、上記微小球体をイオン交換するか上記水溶液に上記微小球体を含浸させ、必要に応じて加熱することにより行うことができる。
上記希土類金属源の使用量は、得ようとする炭化水素油の接触分解触媒を構成する希土類金属量が上述した範囲内の量になるように適宜選定すればよい。
上記希土類金属源によるイオン交換を施す際、微小球体中のゼオライト量に対する希土類金属源の使用量は、得られる接触分解触媒において、下記式(I)
Al={(a−2.425)/0.000868}×(結晶化度/100)×上記ゼオライトの含有割合 (I)
(ただし、FAlは接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合(個・質量%)、aは上記ゼオライトの単位格子寸法(nm)、2.425は単位格子骨格内の全アルミニウム原子が骨格外に脱離したときの単位格子寸法(nm)、0.000868(nm/個)は実験から求めた計算値、結晶化度/100は前記ゼオライトの結晶化度を100で割った値(無単位)、ゼオライトの含有割合は、接触分解触媒中における上記ゼオライトの含有割合(質量%))
により算出される、接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の接触分解触媒中の含有割合に対する、酸化物換算した上記希土類金属の含有割合の比が上述した範囲を満たすように適宜調整する。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒を製造する別法として、上記製造方法において、希土類金属源によるイオン交換を、水性スラリーの調製前に、予めソーダライトケージ構造を有するゼオライトに対して施す方法を挙げることができる。
この場合、ソーダライトケージ構造を有するゼオライトは、いわゆる希土類金属修飾型のソーダライトケージ構造を有するゼオライトとなり、該希土類金属修飾型のソーダライトケージ構造を有するゼオライトを用いて水性スラリーを調製することになる。
ソーダライトケージ構造を有するゼオライトに希土類金属源によるイオン交換を施して希土類金属を含有させる場合も、従来公知の方法により行うことができ、例えば、希土類金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の化合物の単独あるいは2種以上を含有する水溶液により、乾燥状態あるいは湿潤状態にあるソーダライトケージ構造を有するゼオライトをイオン交換し、必要に応じて加熱することにより行うことができる。
このようにして、目的とする接触分解触媒を調製することができる。
上記製造方法においては、原料量を適宜調整することにより、乾燥触媒基準で、ソーダライトケージ構造を有するゼオライト、シリカゾル由来のケイ素原子、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子、粘土鉱物及び希土類金属の酸化物を所望量含有する接触分解触媒を調製することができる。
本発明によれば、重質留分の得率の増加を抑制しつつ、オクタン価の高いガソリン留分を高い得率で生産し得るとともに、プロピレン、ブテンの含有率が高いLPGを生産可能な炭化水素油の接触分解触媒を提供することができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒は、流動接触分解用触媒として好適に使用することができる。
次に、本発明に係る炭化水素油の接触分解方法について説明する。
本発明に係る炭化水素油の接触分解方法は、本発明に係る炭化水素油の接触分解触媒と炭化水素油とを接触させることを特徴とするものである。
本発明に係る炭化水素油の接触分解方法において、接触分解される炭化水素油としては、ガソリンの沸点以上の温度で沸騰する炭化水素油(炭化水素混合物)を挙げることができる。
ガソリン沸点以上の温度で沸騰する炭化水素油としては、原油の常圧あるいは減圧蒸留で得られる軽油留分や常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油等から選ばれる一種以上を挙げることができ、もちろんコーカー軽油、溶剤脱瀝油、溶剤脱瀝アスファルト、タールサンド油、シェールオイル油、石炭液化油、GTL(Gas to Liquids)油、植物油、廃潤滑油、廃食油等から選ばれる一種以上も挙げることができる。
さらに、上記炭化水素油としては、当業者に周知の水素化処理、即ちNi−Mo系触媒、Co−Mo系触媒、Ni−Co−Mo系触媒、Ni−W系触媒などの水素化処理触媒の存在下、高温・高圧下で水素化脱硫した水素化処理油も挙げることができる。
商業的規模での炭化水素油の接触分解処理は、通常、垂直に据え付けられたクラッキング反応器と触媒再生器との2種の容器からなる接触分解装置に、本発明に係る接触分解触媒を連続的に循環させることにより行うことができる。
すなわち、触媒再生器から供給される高温の再生触媒を、クラッキング反応器中で炭化水素油と混合して接触させ、上記触媒をクラッキング反応器の上方向に導きつつ、炭化水素油を分解する。次いで、上記炭化水素油を接触分解することにより表面に析出したコークによって失活した触媒を、分解生成物から分離し、ストリッピング後、触媒再生器に供給する。触媒再生器に供給された失活した接触分解触媒は、該触媒上のコークを空気燃焼により除去、再生した後、再びクラッキング反応器に循環する。
一方、接触分解反応により得られたクラッキング反応器内の分解生成物は、ドライガス、LPG、ガソリン留分、LCO、重質留分のような1種以上の留分に分離する。もちろん、分解生成物から分離したLCOや重質留分の一部あるいは全部を、クラッキング反応器内に再循環させて分解反応をさらに進めてもよい。
クラッキング反応器の運転条件としては、反応温度が400〜600℃であることが好ましく、450〜550℃であることがより好ましく、反応圧力が常圧〜0.49MPa(5kg/cm)であることが好ましく、常圧〜0.29MPa(3kg/cm)であることがより好ましく、本発明に係る接触分解触媒/炭化水素油の質量比が2〜20であることが好ましく、4〜15であることがより好ましい。
クラッキング反応器における反応温度が400℃以上であると、炭化水素油の分解反応が進行して、分解生成物を好適に得易くなる。また、クラッキング反応器における反応温度が600℃以下であると、分解により生成するドライガスやLPGなどの軽質ガス生成量を軽減することができ、目的物のガソリン留分の収率を相対的に増大させ易くなるため経済的である。
クラッキング反応器における反応圧力が0.49MPa以下であると、モル数が増加する分解反応の進行が阻害されにくい。また、クラッキング反応器における本発明に係る接触分解触媒/原料炭化水素油の質量比が2以上であると、クラッキング反応器内の触媒濃度を適度に保つことができ、原料炭化水素油の分解を好適に進行し易くなる。クラッキング反応器における本発明に係る接触分解触媒/原料炭化水素油の質量比が20以下である場合も、炭化水素油の分解反応が効果的に進行し、触媒濃度の上昇に見合った分解反応を進行させ易くなる。
本発明によれば、重質留分の得率の増加を抑制しつつ、オクタン価の高いガソリン留分を高い得率で生産し得るとともに、プロピレン、ブテンの含有率が高いLPGを生産可能な炭化水素油の接触分解触媒を用いた炭化水素油の接触分解方法を提供することができる。
本発明に係る炭化水素油の接触分解方法は、炭化水素油の流動接触分解方法として、好適に実施することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、これらは例示であって、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
<触媒調製>
以下の実施例および比較例においては、ソーダライトケージ構造を有するゼオライトとして表1の特性を有する安定化Y型ゼオライト(ゼオライト1〜ゼオライト6)を使用するとともに、シリカゾルとしてSiO濃度29.0質量%であるもの、第一リン酸アルミニウムとしてAl・3P換算濃度46.2質量%であるもの、粘土鉱物としてカオリナイトをそれぞれ使用した。
Figure 2016010765
(実施例1)
上記シリカゾル21.0g(乾燥基準、SiO換算量)を25%硫酸で希釈し、攪拌することによりシリカゾルの水溶液を得た。
一方、32.0g(乾燥基準)のゼオライト4に蒸留水を加え、ゼオライトスラリーを調製した。上記シリカゾルの水溶液に、上記カオリナイト46.63g(乾燥基準)と、上記第一リン酸アルミニウム0.07g(乾燥基準、Al・3P換算量)とを加えて混合し、更に上記ゼオライトスラリーを添加し、10分間攪拌混合して水性スラリーを調製した。
得られた水性スラリーを210℃の入口温度、および140℃の出口温度の条件で噴霧乾燥し、触媒前駆体である微小球体を得た。
次いで得られた微小球体を60℃に加温された5質量%硫酸アンモニウム水溶液3Lで2回イオン交換し、更に3Lの蒸留水で洗浄し、乾燥機中110℃で一晩乾燥することにより、中間体1を得た。
上記中間体1に希土類金属として0.3g(乾燥基準、酸化物換算量)のランタンを含有するようにランタン化合物でイオン交換処理することにより、目的とする触媒1を得た。
(実施例2)
第一リン酸アルミニウムの添加量を0.2g(乾燥基準、Al・3P換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を46.5g(乾燥基準)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、触媒2を得た。
(実施例3)
第一リン酸アルミニウムの添加量を0.5g(乾燥基準、Al・3P換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を46.2g(乾燥基準)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、触媒3を得た。
(実施例4)
第一リン酸アルミニウムの添加量を1.2g(乾燥基準、Al・3P換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を45.5g(乾燥基準)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、触媒4を得た。
(実施例5)
第一リン酸アルミニウムの添加量を1.8g(乾燥基準、Al・3P換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を44.9g(乾燥基準)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、触媒5を得た。
(実施例6)
希土類金属の添加量を0.02g(乾燥基準、酸化物換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を46.48g(乾燥基準)に変更した以外は実施例3と同様の方法で、触媒6を得た。
(実施例7)
希土類金属の添加量を0.1g(乾燥基準、酸化物換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を46.4g(乾燥基準)に変更した以外は実施例3と同様の方法で、触媒7を得た。
(実施例8)
希土類金属の添加量を0.6g(乾燥基準、酸化物換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を45.9g(乾燥基準)に変更した以外は実施例3と同様の方法で、触媒8を得た。
(実施例9)
希土類金属の添加量を0.9g(乾燥基準、酸化物換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を45.6g(乾燥基準)に変更した以外は実施例3と同様の方法で、触媒9を得た。
(実施例10)
ゼオライト4をゼオライト1に変更した以外は実施例3と同様の方法で、触媒10を得た。
(実施例11)
ゼオライト4をゼオライト2に変更した以外は実施例3と同様の方法で、触媒11を得た。
(実施例12)
ゼオライト4をゼオライト3に変更した以外は実施例3と同様の方法で、触媒12を得た。
(実施例13)
ゼオライト4の添加量を22.0g(乾燥基準)に変更し、カオリナイトの添加量を56.2g(乾燥基準)に変更した以外は実施例3と同様の方法で、触媒13を得た。
(実施例14)
ゼオライト4の添加量を27.0g(乾燥基準)に変更し、カオリナイトの添加量を51.2g(乾燥基準)に変更した以外は実施例3と同様の方法で、触媒14を得た。
(実施例15)
ゼオライト4の添加量を39.0g(乾燥基準)に変更し、カオリナイトの添加量を39.2g(乾燥基準)に変更した以外は実施例3と同様の方法で、触媒15を得た。
(実施例16)
希土類金属の添加量を0.9g(乾燥基準、酸化物換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を46.03g(乾燥基準)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、触媒16を得た。
(実施例17)
第一リン酸アルミニウムの添加量を1.8g(乾燥基準、Al・3P換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を44.3g(乾燥基準)に変更した以外は実施例9と同様の方法で、触媒17を得た。
(実施例18)
希土類金属の添加量を0.02g(乾燥基準、酸化物換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を46.91g(乾燥基準)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、触媒18を得た。
(比較例1)
第一リン酸アルミニウムの添加量を0.02g(乾燥基準、Al・3P換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を46.68g(乾燥基準)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、比較触媒1を得た。
(比較例2)
第一リン酸アルミニウムの添加量を2.5g(乾燥基準、Al・3P換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を44.2g(乾燥基準)に変更した以外は実施例1と同様の方法で、比較触媒2を得た。
(比較例3)
希土類金属を添加せず、カオリナイトの添加量を46.5g(乾燥基準)に変更した以外は実施例3と同様の方法で、比較触媒3を得た。
(比較例4)
希土類金属の添加量を1.5g(乾燥基準、酸化物換算量)に変更し、カオリナイトの添加量を45.0g(乾燥基準)に変更した以外は実施例3と同様の方法で、比較触媒4を得た。
(比較例5)
ゼオライト4をゼオライト5に変更した以外は実施例3と同様の方法で、比較触媒5を得た。
(比較例6)
ゼオライト4をゼオライト6に変更した以外は実施例3と同様の方法で、比較触媒6を得た。
(比較例7)
ゼオライトの添加量を10.0g(乾燥基準)に変更し、カオリナイトの添加量を68.2g(乾燥基準)に変更した以外は実施例3と同様の方法で、比較触媒7を得た。
(比較例8)
ゼオライトの添加量を50.0g(乾燥基準)に変更し、カオリナイトの添加量を28.2g(乾燥基準)に変更した以外は実施例3と同様の方法で調製したが、触媒化できなかった。
触媒1〜触媒18、比較触媒1〜比較触媒7の組成を、表2〜表7に示す。
なお、以下の表において、「ゼオライト」欄は、安定化Y型ゼオライトの乾燥基準での含有量を示し、「シリカゾル(SiO換算)」欄は、シリカゾル由来のケイ素原子を乾燥基準でSiO換算したときの含有割合(質量%)を示し、「第一リン酸アルミニウム(Al・P換算)」欄は、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子を乾燥基準でAl・3P換算したときの含有割合(質量%)を示し、「希土類金属(酸化物換算)」欄は、希土類金属を乾燥基準で酸化物換算したときの含有割合(質量%)を示し、「粘土鉱物」欄は、粘土鉱物の乾燥基準での含有割合(質量%)を示している。
また、以下の表において、「ALP/FAL」欄は、下記式(I)
Al={(a−2.425)/0.000868}×(結晶化度/100)×上記ゼオライトの含有割合 (I)
(ただし、FAlは接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合(個・質量%)、aは上記ゼオライトの単位格子寸法(nm)、2.425は単位格子骨格内の全アルミニウム原子が骨格外に脱離したときの単位格子寸法(nm)、0.000868(nm/個)は実験から求めた計算値、結晶化度/100は前記ゼオライトの結晶化度を100で割った値(無単位)、ゼオライトの含有割合は、接触分解触媒中における上記ゼオライトの含有割合(質量%))
により算出される、接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、上記第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合の比(上記第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合/接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合)を意味し、「RE/FAL」欄は、上記式(I)により算出される接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、上記酸化物換算した希土類金属の含有割合の比(上記酸化物換算した希土類金属の含有割合/接触分解触媒中における上記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合)を意味する。
Figure 2016010765
Figure 2016010765
Figure 2016010765
Figure 2016010765
Figure 2016010765
Figure 2016010765
<流動接触分解>
上記触媒1〜触媒18および比較触媒1〜比較触媒7を用い、反応容器と触媒再生器とを有する流動床式接触分解装置であるベンチスケールプラントにより、各々同一の原料油を同一の条件下で接触分解させた。
接触分解に先立ち、実際の使用状態に近似させるべく、即ち平衡化させるべく、上記触媒1〜触媒18および比較触媒1〜比較触媒7を、500℃で5時間乾燥させた後、各接触分解触媒のニッケル及びバナジウムの含有量がそれぞれ1000質量ppmおよび2000質量ppmになるように、ナフテン酸ニッケル及びナフテン酸バナジウムを含むシクロヘキサン溶液を吸収させ、乾燥させた上で、500℃で5時間の焼成を行い、引き続き、各触媒を100%水蒸気雰囲気中785℃で6時間処理した。
続いて、上記実際の使用状態に近似させた各触媒を用い、表8に記載の性状を有する、脱硫減圧軽油(VGO)50容量%と脱流残油(DDSP)50容量%とを混合してなる炭化水素油を、表9に記載の反応条件により、触媒/原料比(質量比)を6、8、10、12となるように変更しつつ接触分解反応を行った。
Figure 2016010765
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<調製した触媒の接触分解反応結果>
上記分解条件で得られた、ドライガス(水素ガス、炭素数が1である炭化水素(C1留分)および炭素数が2である炭化水素(C2留分))、LPG(炭素数が3である炭化水素(C3留分)および炭素数が4である炭化水素(C4留分))、ガソリン留分(沸点25〜190℃)、中間留分(LCO(沸点190℃超350℃未満))および重質留分(沸点350℃以上)の生成量を、Agilent technologies社製 AC Simdis Analyzerを用いたガスクロ蒸留法により測定し、各含有割合を求めた。
また、上記分解条件下で得られたLPG中のC3留分およびC4留分の各生成量と、上記分解条件下で得られたLPG中に含まれるプロピレン、ブテンの各生成量を、ガスクロマトグラフ(GLサイエンス社製GC4000)により測定し、各含有割合を求めた。
さらに、上記分解条件下で得られたコーク生成量は、触媒再生時に発生した一酸化炭素および二酸化炭素の生成量をガスクロマトグラフ(GLサイエンス社製GC−3200)により測定し、触媒再生時に燃焼した炭素量を求めることによって算出した。
また、得られたガソリン留分のオクタン価(RON)を、ヒューレッドパッカード社製PONA分析装置を用い、ガスクロマトグラフ法によるGC−RONにより算出した。
上記各生成物の生成量およびガソリン留分のオクタン価(RON)を、4種類の触媒/原料油比毎にそれぞれ求めた。
次いで、得られたデータに基づいて、上記触媒/原料油比と各生成物の生成割合(質量%)との相関式および上記触媒/原料油比と得られたガソリン留分のオクタン価(RON)との相関式を最小二乗法により求めた。
また、転化率(質量%)は(100−LCO留分の得率−重質留分の得率)により算出し、上記触媒/原料油比と転化率との相関式を求めた。
上記相関式のうち触媒/原料油比と転化率(質量%)との相関式から、転化率が63質量%である場合における触媒/原料油比Rを求めた上で、触媒/原料油比と各生成物の生成割合(質量%)との相関式から、触媒/原料油比がRである場合における各生成物の生成割合を各生成物の得率(質量%)として求めるとともに、触媒/原料油比と得られたガソリン留分のオクタン価(RON)との相関式から、触媒/原料油比がRである場合におけるガソリン留分のオクタン価(RON)を算出した。
表10〜表15に、触媒1〜触媒18及び比較触媒1〜比較触媒7を各々用いて接触分解し、上記相関式に基づいてそれぞれ求められた、ドライガスの得率(質量%)、C3留分の得率(質量%)、C4留分の得率(質量%)、ガソリン留分の得率(質量%)、LCO留分の得率(質量%)、重質留分の得率(質量%)、プロピレンの得率(質量%)、ブテンの得率(質量%)、さらに、C3留分およびC4留分の合計得率に対するプロピレンおよびブテンの合計得率の割合{(プロピレンおよびブテンの合計得率/C3留分およびC4留分の合計得率)×100}を示すオレフィニシティーおよびガソリン留分のオクタン価(RON)を示す。
Figure 2016010765
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表10〜表13より、実施例1〜18で用いた触媒1〜触媒18は、特定の格子定数を有するゼオライト、シリカゾル由来のケイ素原子、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子、希土類金属並びに粘土鉱物を各々所定量含むとともに、触媒中におけるゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、上記第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合の比(ALP/FAL)と、上記酸化物換算した希土類金属の含有割合の比(RE/FAL)とが各々所定範囲内になるように含有するものであるので、接触分解触媒として用いたときに、重質留分の得率の増加を抑制しつつ、オクタン価の高いガソリン留分を高い得率で生産し得るとともに、プロピレン、ブテンの含有率が高い(オレフィニシティーが高い)LPGを生産し得ることが分かる。
一方、表14より、比較例1で用いた比較触媒1は、実施例1〜実施例5で用いた触媒1〜触媒5との関係では、Al・3P換算した第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子の含有割合の比(ALP/FAL)が0.003と低いために、ゼオライト安定性向上効果が十分に得られず分解活性が低くなると考えられ、このために接触分解反応に供したときに重質留分の得率が高くなることが分かる。
また、表14より、比較例2で用いた比較触媒2は、実施例1〜実施例5で用いた触媒1〜触媒5との関係では、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合が2.5質量%と多いことから、第一リン酸アルミニウムによる水素移行反応が促進されると考えられ、このために接触分解反応に供してもオレフィニシティーが低くなることが分かる。
表14より、比較例3で用いた比較触媒3は、実施例6〜実施例9で用いた触媒6〜触媒9との関係では、希土類金属を含有せず、酸化物換算した希土類金属の含有割合の比(RE/FAL)が0.000と低いことから、ゼオライト安定性効果が十分に得られず、分解活性が低くなると考えられ、このために接触分解反応に供したときに重質留分の得率が高くなったことが分かる。
また、表14より、比較例4で用いた比較触媒4は、実施例6〜実施例9で用いた触媒6〜触媒9との関係では、希土類金属の含有量が1.5質量%と多いことから、希土類金属による水素移行反応が促進されると考えられ、このために接触分解反応に供してもオレフィニシティーが低くなることが分かる。
表15より、比較例5で用いた比較触媒5は、実施例3および実施例10〜実施例12で用いた触媒3および触媒10〜触媒12との関係では、ゼオライトの格子定数が2.429で結晶化度も40質量%と低いために、水素移行反応が抑制されると考えられ、このために接触分解反応に供したときに分解活性が低下して、接触分解反応に供したときに重質留分の得率が高くなったことが分かる。
また、表15より、比較例6で用いた比較触媒6は、実施例3および実施例10〜実施例12で用いた触媒3および触媒10〜触媒12との関係では、ゼオライトの格子定数が2.455で結晶化度も100質量%と高いために、ゼオライトの安定性が低く、水素移行反応が進行し易くなると考えられ、このために接触分解反応に供したときに、十分な重質留分分解能が得られずに重質留分の得率が高くなり、オレフィニシティーが低くなることが分かる。
表15より、比較例7で用いた比較触媒7は、実施例3および実施例13〜実施例15で用いた触媒3および触媒10〜触媒15との関係では、ゼオライトの含有量が10質量%と少ないために、接触分解反応に供したときに、十分な分解活性が得られず、重質留分の得率が高くなることが分かる。
本発明によれば、重質留分の得率の増加を抑制しつつ、オクタン価が高いガソリン留分を高い得率で生産することができるとともに、特にプロピレン、ブテンの含有率が高いLPGを生産することができる炭化水素油の接触分解触媒を提供することができるとともに、該触媒を用いた炭化水素油の接触分解方法を提供することができる。

Claims (2)

  1. 格子定数が2.430〜2.445nmであるソーダライトケージ構造を有するゼオライトを20〜40質量%、シリカゾル由来のケイ素原子をSiO換算で10〜30質量%、第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子をAl・3P換算で0.05〜2質量%、希土類金属を酸化物換算で0.01〜1質量%、並びに粘土鉱物を27〜69.9質量%含み、
    下記式(I)
    Al={(a−2.425)/0.000868}×(結晶化度/100)×前記ゼオライトの含有割合 (I)
    (ただし、FAlは接触分解触媒中における前記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合(個・質量%)、aは前記ゼオライトの単位格子寸法(nm)、2.425は単位格子骨格内の全アルミニウム原子が骨格外に脱離したときの単位格子寸法(nm)、0.000868(nm/個)は実験から求めた計算値、結晶化度/100は前記ゼオライトの結晶化度を100で割った値(無単位)、ゼオライトの含有割合は、接触分解触媒中における前記ゼオライトの含有割合(質量%))
    により算出される、接触分解触媒中における前記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の含有割合に対する、前記第一リン酸アルミニウム由来のリン原子およびアルミニウム原子のAl・3P換算した含有割合の比が0.01〜0.45であり、接触分解触媒中における前記ゼオライトの単位格子骨格内に存在するアルミニウム原子の接触分解触媒中の含有割合に対する、前記酸化物換算した希土類金属の含有割合の比が0.003〜0.27である
    ことを特徴とする炭化水素油の接触分解触媒。
  2. 請求項1に記載の炭化水素油の接触分解触媒と炭化水素油とを接触させることを特徴とする炭化水素油の接触分解方法。
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