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JP2016004962A - 蓄電デバイス用電極材料及びその製造方法、蓄電デバイス用電極合材、並びに、蓄電デバイス用電極の製造方法 - Google Patents

蓄電デバイス用電極材料及びその製造方法、蓄電デバイス用電極合材、並びに、蓄電デバイス用電極の製造方法 Download PDF

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JP2016004962A JP2014126176A JP2014126176A JP2016004962A JP 2016004962 A JP2016004962 A JP 2016004962A JP 2014126176 A JP2014126176 A JP 2014126176A JP 2014126176 A JP2014126176 A JP 2014126176A JP 2016004962 A JP2016004962 A JP 2016004962A
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carbon
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Susumu Kajita
進 梶田
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Panasonic Corp
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Abstract

【課題】容量が大きく、かつ耐久性に優れた蓄電デバイスを実現できる蓄電デバイス用電極材料を提供する。
【解決手段】本発明の蓄電デバイス用電極材料は、X線回折測定による層間距離が0.36nm以上0.44nm以下の範囲内にある規則性層状構造を有する炭素材料であり、前記炭素材料における炭素、水素及び酸素の原子比をC8xyと規格化した場合、xは0以上0.2以下であり、yは0よりも大きい。
【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電デバイス用電極材料及びその製造方法と、前記電極材料を含む蓄電デバイス用電極合材と、前記電極材料を用いた蓄電デバイス用電極の製造方法とに関する。
自動車の燃費向上を目的とし、アクセルオフ時のエネルギーを回生し、蓄電デバイスに蓄えることにより、アクセルオン時にガソリン消費を伴う発電機(オルタネータ)の作動を抑える技術が近年盛んに開発されている。蓄電デバイスとしては、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタなどが挙げられる。これらの蓄電デバイスには炭素系の電極材料が使用されており、デバイスのエネルギー容量を上げることのできる新たな電極材料の開発が望まれている。
蓄電デバイスの中でも上述のエネルギー回生に適したものとして、電気二重層キャパシタがあり、電極材料としては活性炭が従来から広く使われている。この活性炭は、やし殻などの天然原料、フェノールなどの樹脂原料、又は、石油・石炭コークスが炭化されて、さらに表面積を大きくするために賦活処理が行われることによって、作製されている。ここで表面積を大きくする処理を行うのは、その表面積が大きい程表面に吸着できる電解質イオンの量が増えるため静電容量が大きくなるからである。賦活方法には大きく分けて2種類があり、アルカリ賦活と水蒸気賦活である。アルカリ賦活活性炭は、窒素吸着を用いたBET(Blunauer, Emmett, Teller)法による比表面積(BET比表面積)で2,500m2/gを超えるものも得られており、重量比容量が大きいのが特徴である。また水蒸気賦活活性炭は、アルカリ賦活活性炭に比べて低コストでの作製が可能であるが、比表面積がやや小さくせいぜい1,800m2/g程度であり、重量比容量はアルカリ賦活活性炭より劣る。
特開2007−269545号公報
しかしながら、これら従来の蓄電デバイス用電極材料であるアルカリ賦活活性炭及び水蒸気賦活活性炭は、蓄電デバイスの容量と耐久性という視点で捉えられた場合、両方を満足することが困難であるのが実状である。ここで耐久性とは、電気二重層キャパシタに電圧をかけた状態で例えば70℃などの想定される使用温度で長時間保持する「フロート試験」などの負荷試験を行った場合の、初期の容量維持率やIRドロップ変化率に代表される指標である。すなわち、容量維持率が高く、IRドロップ変化率が小さい程、耐久性が高い電極材料ということができる。アルカリ賦活活性炭は、前述したように重量比容量が大きいが耐久性に乏しく、負荷試験により容量が大きく減少し、またIRドロップは逆に大きくなってしまう。一方、水蒸気賦活活性炭は、耐久性には優れているが、容量が低いという欠点を持っている。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、容量が大きく、かつ耐久性に優れた蓄電デバイスを実現できる蓄電デバイス用電極材料を提供することを目的とする。
本発明は、
X線回折測定による層間距離が0.36nm以上0.44nm以下の範囲内にある規則性層状構造を有する炭素材料であり、前記炭素材料における炭素、水素及び酸素の原子比をC8xyと規格化した場合、xは0以上0.2以下であり、yは0よりも大きい、
蓄電デバイス用電極材料を提供する。
本発明の蓄電デバイス用電極材料によれば、容量が大きく、かつ耐久性に優れた蓄電デバイスの実現が可能となる。
実施例2における初期特性測定前後の蓄電デバイス用電極材料のX線回折チャート 実施例2及び比較例3におけるQSDFT(急冷固相密度汎関数理論)法により求めた細孔径分布
本発明の第1の態様は、
X線回折測定による層間距離が0.36nm以上0.44nm以下の範囲内にある規則性層状構造を有する炭素材料であり、前記炭素材料における炭素、水素及び酸素の原子比をC8xyと規格化した場合、xは0以上0.2以下であり、yは0よりも大きい、
蓄電デバイス用電極材料を提供する。
第1の態様に係る蓄電デバイス用電極材料によれば、容量が大きく、かつ耐久性に優れた蓄電デバイスの実現が可能となる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、
前記炭素材料における炭素、水素及び酸素の原子比をC8xyと規格化した場合、yは0.8以上1.4以下である、
蓄電デバイス用電極材料を提供する。
酸素の比率、すなわちyの値を0.8以上1.4以下の範囲内とすることにより、層間距離が0.36nm以上0.44nm以下の範囲内にある規則性層状構造を有し、かつ水素の比率、すなわちxの値が0.2以下である炭素材料を得やすくなる。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、
前記蓄電デバイス用電極材料を含む電極を有機電解液を用いて充放電した場合、前記炭素材料の前記規則性層状構造が破壊されて、前記炭素材料の層間距離がランダム化する、
蓄電デバイス用電極材料を提供する。
第3の態様に係る蓄電デバイス用電極材料では、充電電圧印加時には電解質イオンが規則性層状構造の層間を押し広げ、規則性層状構造を破壊し、層間距離をランダム化しながら侵入することにより、電極材料内に細孔が形成される。このように電解質イオンにより細孔が形成されるので、容量を発現するための電気二重層の形成に有効な表面を電極材料内に効率的に形成する(表面積を増加させる)ことが可能となり、そのため大容量化が可能となる。
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様の何れか1つの態様において、
窒素ガス吸着のBET法による比表面積が10m2/g以上50m2/g以下であり、
細孔容積が0.01cm3/g以上0.1cm3/g以下であり、
細孔径の最頻値が3nm以上4nm以下であり、
細孔容積に占めるメソ孔の比率が80%以上97%以下である、
蓄電デバイス用電極材料を提供する。
第4の態様に係る蓄電デバイス用電極材料は、蓄電デバイス用電極材料として従来用いられている活性炭とは異なる細孔構造を有しているので、第3の態様に係る蓄電デバイス用電極材料のような充放電に伴う構造変化が起こり、そのため大容量化が可能となる。
本発明の第5の態様は、
第1〜第4の態様のいずれか1つの態様に係る蓄電デバイス用電極材料を製造する方法であって、
黒鉛を化学的に酸化して酸化黒鉛を得る工程と、
前記酸化黒鉛に含まれる酸素含有基を部分的に還元する工程と、
を含む、蓄電デバイス用電極材料の製造方法を提供する。
第5の態様に係る製造方法によれば、容量が大きく、かつ耐久性に優れた蓄電デバイスを実現できる蓄電デバイス電極用材料を製造できる。
本発明の第6の態様は、第1〜第4の態様のいずれか1つの態様に係る蓄電デバイス用電極材料を総質量の80%以上95%以下の範囲内で含む、蓄電デバイス用電極合材を提供する。
第6の態様に係る蓄電デバイス用電極合材を用いることにより、より簡単に、容量が大きく、かつ耐久性に優れた蓄電デバイスを実現できる蓄電デバイス電極を作製できる。
本発明の第7の態様は、
第1〜第4の態様のいずれか1つの態様に係る蓄電デバイス用電極材料を含む蓄電デバイス用電極合材を準備する工程と、
前記蓄電デバイス用電極合材を用いて蓄電デバイス用電極を形成する工程と、
を含む、蓄電デバイス用電極の製造方法を提供する。
第7の態様に係る製造方法によれば、容量が大きく、かつ耐久性に優れた蓄電デバイスを実現できる蓄電デバイス電極を作製できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施形態1)
実施形態1では、蓄電デバイス用電極材料及び蓄電デバイス用電極材料の製造方法の実施形態について説明する。
まず、蓄電デバイス用電極材料の製造方法の実施形態について説明する。なお、ここで挙げられた材料及び方法は、いずれも本発明を限定するものではない。
出発原料には黒鉛を用いることができる。黒鉛には天然黒鉛と合成黒鉛があるが、どちらの黒鉛も使用が可能である。まず黒鉛を酸化して、酸化黒鉛を作製する。酸化の方法は、特には限定されず、Hummers法、Brodie法及びStaudenmaier法と呼ばれる化学法、並びに、電気化学法などを用いることができる。酸化された黒鉛は、層間に水酸基及びエポキシ基などの酸素含有基が形成され、また端部にはカルボキシル基などの酸素含有基が形成され、これら酸素含有基により層間距離は元の黒鉛よりも広がる。具体的には、Cu−Kα線を用いたX線回折による層間距離はおよそ0.6nm以上0.8nm以下の値となり、元の黒鉛の層間距離0.335nmよりもかなり大きくなる。
次に、得られた酸化黒鉛を還元することにより、還元化酸化黒鉛を得る。還元の方法は、特には限定されないが、熱処理による熱還元、ヒドラジンやヨウ化水素を用いた化学還元などを用いることができる。熱還元については、水素及びアンモニアなどの還元性ガスを用いる方法、並びに、真空雰囲気を用いる方法があり、その方法は限定されるものではない。しかし、熱還元では、温度としては250℃以上600℃未満が、また雰囲気としては還元性ガスを用いる方法よりも真空雰囲気を用いる方が好ましい。このような温度範囲及び雰囲気は、後述の本実施形態の蓄電デバイス用電極材料である、層間距離0.36nm以上0.44nm以下であり、かつ、C8xyで表す原子比においてxが0以上0.2以下で、yが0よりも大きい炭素材料を、熱還元によって得るためには好適である。この還元により酸化黒鉛の酸素含有基の脱離が生じ、脱離量の増加と共に層間距離は減少する。
以上から、本実施形態の蓄電デバイス用電極材料の製造方法は、例えば、
黒鉛を化学的に酸化して酸化黒鉛を得る工程と、
前記酸化黒鉛に含まれる酸素含有基を部分的に還元する工程と、
を含む方法ということができる。この方法によれば、以下に説明する本実施形態の蓄電デバイス用電極材料を製造することが可能となる。
本実施形態の蓄電デバイス用電極材料は、X線回折測定による層間距離が0.36nm以上0.44nm以下の範囲内にある規則性層状構造を有する炭素材料である。この炭素材料における炭素、水素及び酸素の原子比をC8xyと規格化した場合、xは0以上0.2以下であり、yは0よりも大きい。すなわち、この炭素材料においては、水素原子は含まれないか(x=0)、又は、含まれる場合には炭素原子8に対して水素原子が0.2以下の比率である。
本発明者は、電極材料である炭素材料の層間距離が蓄電デバイスの容量及び耐久性に大きく影響することを見出し、上記の本実施形態の蓄電デバイス用電極材料に到達した。例えば蓄電デバイスが電気二重層キャパシタの場合、炭素材料の規則性層状構造における層間に電解質イオンが侵入することにより電気二重層を形成し、キャパシタとしての容量を発現する。本実施形態の電極材料である炭素材料の層間距離は0.36nm以上0.44nm以下である。一方、電解質イオンの大きさは、代表的な四級アンモニウム塩のカチオンであるTEA(テトラエチルアンモニウム)で0.686nm、アニオンであるBF4(テトラフルオロボレート)で0.458nmであり、本実施形態の電極材料である炭素材料の層間距離よりも大きい。ところが、この電極材料を用いてキャパシタを作製して充電を行うと、その充電電圧の力で電解質イオンが層間を拡大し侵入することがわかった。
炭素材料の層間距離が0.36nm未満の場合、代表的な電解液である1M TEA・BF4/PC(プロピレンカーボネート)の分解電圧である3.5Vまで充電電圧を上げても電解質イオンは電極材料の層間に侵入できず、大容量が得られないことがわかった。一方、炭素材料の層間距離が0.36nm以上であると、充電時に電解質イオンが3.0V未満の印加電圧で電極材料の層間に侵入することができた。さらには、炭素材料が有していた規則性層状構造は、この電解質イオンの層間への侵入(充電時)及び層間からの脱離(放電時)により規則性が破壊されてランダム化してしまうことがX線回折による分析の結果明らかになった。すなわち、本実施形態の電極材料は、当該電極材料を含む電極を有機電解液を用いて充放電した場合、炭素材料の規則性層状構造が破壊されて、炭素材料の層間距離がランダム化する材料ということができる。
また、炭素材料の層間距離が0.44nmより大きくなると、電解質イオンの侵入は容易になるものの、炭素材料の層間及び端部に残存する酸素含有基(水酸基、エポキシ基及びカルボキシル基など)が多くなり過ぎて、蓄電デバイスの耐久性が低下してしまう。酸素含有基が多すぎると、酸素含有基の中で特に水素を含んだ水酸基が充電及び分極時に電解質イオンや溶媒を酸化するため、蓄電デバイスの耐久性が低下する。
本実施形態の電極材料である炭素材料に含まれる炭素、水素及び酸素の原子比をC8xyと規格化した場合、yが0よりも大きく、かつxが0以上0.2以下であることが、高耐久性を得るために必要である。水素の原子比を表すxが0.2より大きい場合、上述したように電解質イオンや溶媒の酸化が顕著となり、耐久性が悪くなってしまう。高耐久性より確実に得るために、xの値は0.18以下とすることが好ましい。
また、酸素の原子比を表すyは、0.8以上1.4以下であることが好ましい。酸素の原子比を表すyが0.8よりも小さい場合は、層間距離が0.36nm未満となってしまう可能性が高いので、前述の理由により適さない。また、前述したように炭素材料に残存する酸素含有基は、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基であり、エポキシ基以外は水素を含んでいる。従ってyが1.4より大きい場合は必然的に水素量も多くなり、xが0.2を超えてしまう場合がある。したがって、酸素原子の比率はyが1.4以下となる範囲とすることが好ましい。
次に、本実施形態の電極材料である炭素材料の細孔構造について説明する。炭素材料は、窒素ガス吸着のBET法による比表面積(BET比表面積)が10m2/g以上50m2/g以下であり、細孔容積が0.01cm3/g以上0.1cm3/g以下であり、細孔径の最頻値が3nm以上4nm以下であり、細孔容積に占めるメソ孔の比率が80%以上97%以下である細孔構造を有することが好ましい。このような細孔構造を有する炭素材料を電極材料として用いることにより、蓄電デバイスのさらなる大容量化及び耐久性向上を実現することができる。
BET比表面積について、[背景技術]の欄に記載したように、従来の活性炭ではアルカリ賦活で2,500m2/gを超え、水蒸気賦活でも1,800m2/g程度というように非常に大きな値をとる。一方、本実施形態の電極材料における好ましいBET比表面積は、10m2/g以上50m2/g以下と非常に小さい。これは、本実施形態の電極材料における炭素材料の層間距離が0.36nm以上0.44nm以下であり、窒素分子が層間に入らないことに起因する。ところが、前述したように、この炭素材料を用いて形成された電極に充電電圧をかけると、電解質イオンが炭素材料の層間を拡大し、層間への電解質イオンの侵入が可能となる。従って、従来の活性炭では、賦活処理により細孔が形成されてその中に電解質イオンが侵入するのに対して、本実施形態の電極材料の場合は、充電電圧の力で炭素材料の規則性層状構造の層間に電解質イオンが侵入するメカニズムである。このため、本実施形態の電極材料における比表面積の好ましい範囲は、従来の活性炭と比べ遙かに小さい値となるのである。
細孔容積、細孔径の最頻値及び細孔容積に占めるメソ孔の比率については、QSDFT(急冷固相密度汎関数理論)法の「スリット型細孔モデルに基づいた77.4KでのQSDFT−N2−炭素平衡相転移カーネル」を用いて解析することができる。
細孔容積は、比表面積が大きい程大きくなる。従って、細孔容積は、[背景技術]の欄に記載した従来のアルカリ賦活活性炭で1.2cm3/g、水蒸気賦活活性炭で0.8cm3/g程度となる。一方、本実施形態の電極材料における細孔容積の好ましい範囲は0.01cm3/g以上0.1cm3/g以下であり、比表面積と同様に従来の活性炭と比べ遙かに小さい値となる。
本実施形態の電極材料における細孔径の最頻値は、3nm以上4nm以下の範囲内の値であることが好ましい。[背景技術]の欄に記載した従来のアルカリ賦活活性炭及び水蒸気賦活活性炭の場合、細孔径の最頻値は共に0.8nm程度の値をとり、ミクロ孔(2nm未満)が主な細孔である。これに対し、本実施形態の電極材料の場合、メソ孔(2nm以上50nm以下)が主であることが好ましい。従って、細孔容積に占めるメソ孔の比率が大きいことも、本実施形態の電極材料の特徴である。従来の活性炭の場合、アルカリ賦活活性炭及び水蒸気賦活活性炭共にメソ孔の比率が20%以下となるのに対し、本実施形態の電極材料の場合80%以上97%以下という高い値をとることができる。
このように、本実施形態の電極材料は、従来の活性炭と比較して比表面積及び細孔容積が遙かに小さい。また、細孔については、従来の活性炭がミクロ孔を主とするのに対し、本実施形態の電極材料ではメソ孔が中心となる。
(実施形態2)
実施形態2では、蓄電デバイス用電極合材及び蓄電デバイス用電極の製造方法の実施形態について説明する。
本実施形態の蓄電デバイス用電極合材は、実施形態1の蓄電デバイス用電極材料を含む。本実施形態の蓄電デバイス用電極合材は、電極材料の他に、カーボンブラックなどの導電助剤、PTFEなどのバインダーなどをさらに含んでいてもよい。本実施形態の合材は実施形態1の電極材料を含んでいるので、当該合材を用いて作製された電極によれば、大容量及び高耐久性を兼ね備えた蓄電デバイスを実電できる。蓄電デバイスの大容量化及び耐久性の向上をより確実に実現するために、本実施形態の合材は、実施形態1の電極材料を総質量の80以上95%以下の範囲内で含むことが好ましい。
蓄電デバイス用電極は、本実施形態の蓄電デバイス用合材を用いて製造することができる。例えば、本実施形態の蓄電デバイス用電極の製造方法は、
実施形態1の蓄電デバイス用電極材料を含む蓄電デバイス用電極合材を準備する工程と、
前記蓄電デバイス用電極合材を用いて蓄電デバイス用電極を形成する工程と、
を含む方法とすることができる。
蓄電デバイス用電極合材は、例えば、実施形態1で説明した蓄電デバイス用電極材料とカーボンブラックなどの導電助剤、PTFEなどのバインダーなどとを、所定の比率で混合し、さらに混練することによって作製できる。
次に蓄電デバイス用電極を作製する。上記蓄電デバイス用電極合材を水系スラリー化し、それをアルミ箔などの集電体に塗工、乾燥することにより作製できる。また同じく上記蓄電デバイス用電極合材を乾式プレス成形によりペレット化したものをアルミ箔などの集電体にプレス圧着することにより作製することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
3000℃で焼成した平均粒径16μmの合成黒鉛を、発煙硝酸及び塩素酸カリウムを用いて60℃及び3時間の条件で酸化後、水洗、濾過、乾燥することにより酸化黒鉛を得た。次いでこの酸化黒鉛を、1.0Paの真空雰囲気下において270℃で1時間熱処理することにより蓄電デバイス用電極材料を得た。
得られた蓄電デバイス用電極材料について、Cu−Kα線を用いたX線回折装置にて層間距離を測定した。またC、H、Oの原子比については、CHN元素分析法により求めた蓄電デバイス用電極材料のC、H、Nの重量比から計算した。Oの重量比については、100%からC、H、Nの重量比を差し引いた値を用いた。窒素ガス吸着については、Quantachrome社のAutosorb−3を用い、比表面積は多点BET法、細孔容積、細孔径の最頻値及び細孔容積に占めるメソ孔の比率についてはQSDFT法の「スリット型細孔モデルに基づいた77.4KでのQSDFT−N2−炭素平衡相転移カーネル」を用いて解析を行った。
次いで、蓄電デバイス用電極材料を用いて電気二重層キャパシタ用の電極を作製し、その電極を用いてキャパシタ特性を評価した。
まず、得られた蓄電デバイス用電極材料を30mg、アセチレンブラック(電気化学工業(株))を3.75mg、PTFE粉末(三井・デュポンフロロケミカル(株))を3.75mgの重量で混合、混練後、プレス成形にてφ13mmのペレットに成形し、蓄電デバイス用電極合材を作製した。次いでこのペレット状の電極合材を、φ15.5mm、厚み50μmのカーボンコートアルミ箔(昭和電工パッケージング(株))にプレス圧着し、キャパシタ用電極を作製した。
キャパシタ特性の評価は、作製したキャパシタ用電極2枚とセパレータ(日本板硝子(株))及び二極式フラットセル(宝泉(株))を用いて行った。また電解液には、1.0M TEMA−BF4/PC(ホウフッ化トリエチルメチルアンモニウム/プロピレンカーボネート)を用いた。
初期特性について、重量比容量の初期値は25℃の雰囲気温度下において、電流密度80mA/gにて2.8V充放電を行い、その時の放電カーブに次式を適用して求めた。
重量比容量(F/g)=I×(t2−t1)/(V1−V2)/W
I:放電電流(=80mA/g×0.030g=0.0024A)
V1:充電電圧2.8Vの80%(=2.24V)
V2:充電電圧2.8Vの40%(=1.12V)
t1:放電開始よりV1に至る時間(秒)
t2:放電開始よりV2に至る時間(秒)
W:キャパシタ用電極2枚に用いた蓄電デバイス用電極材料の重量(=0.030g×2=0.060g)
またIRドロップは、放電開始後0.5秒以上2秒以下の範囲の放電カーブを直線近似し、放電開始時間との交点より降下後電圧(Vd)を求め、充電電圧である2.8VとVdの差の電圧をIRドロップとした。
初期特性測定後に実施したフロート試験の条件は2.8V、70℃とし、この条件下で1000時間保持した後の重量比容量とIRドロップを測定し、初期値に対する特性の変化(容量維持率、IRドロップ変化率)を調べた。ここで容量維持率は、フロート試験後の値を初期特性における値で除することにより求めた。またIRドロップ変化率は、フロート試験によるIRドロップの変化値を初期のIRドロップ値で除することにより求めた。
また別途キャパシタ用電極を作製し、初期特性の評価前と評価後について、Cu−Kα線を用いたX線回折装置を用いて、蓄電デバイス用電極材料の規則性層状構造の変化について調べた。
(実施例2)
蓄電デバイス用電極材料を作製する際の熱処理を300℃で1時間行った以外は、すべて実施例1と同じ方法で蓄電デバイス用電極材料を作製し、さらに実施例1と同じ方法でキャパシタ特性を評価した。
(実施例3)
蓄電デバイス用電極材料を作製する際の熱処理を400℃で1時間行った以外は、すべて実施例1と同じ方法で蓄電デバイス用電極材料を作製し、さらに実施例1と同じ方法でキャパシタ特性を評価した。
(実施例4)
蓄電デバイス用電極材料を作製する際の熱処理を500℃で1時間行った以外は、すべて実施例1と同じ方法で蓄電デバイス用電極材料を作製し、さらに実施例1と同じ方法でキャパシタ特性を評価した。
(実施例5)
使用した黒鉛を3000℃で焼成した平均粒径10μmの合成黒鉛とした以外は、すべて実施例3と同じ方法で蓄電デバイス用電極材料を作製し、さらに実施例1と同じ方法でキャパシタ特性を評価した。
(実施例6)
使用した黒鉛を平均粒径15μmの天然黒鉛とした以外は、すべて実施例3と同じ方法で蓄電デバイス用電極材料を作製し、さらに実施例1と同じ方法でキャパシタ特性を評価した。
(比較例1)
蓄電デバイス用電極材料を作製する際の熱処理を230℃で1時間行った以外は、すべて実施例1と同じ方法で蓄電デバイス用電極材料を作製し、さらに実施例1と同じ方法でキャパシタ特性を評価した。
(比較例2)
蓄電デバイス用電極材料を作製する際の熱処理を水素10%+窒素90%の混合ガスを大気圧でフローしながら500℃で1時間行った以外は、すべて実施例4と同じ方法で蓄電デバイス用電極材料を作製し、さらに実施例1と同じ方法でキャパシタ特性を評価した。
実施例1〜6、並びに、比較例1及び2の結果を表1に示す。
さらに、比較例3及び4として、従来より蓄電デバイス用電極材料として広く使用されている2種類の活性炭を挙げ、実施例1と同様にしてキャパシタ用電極及び特性評価用セルを作製し、初期特性及びフロート試験後特性を調べた。なお、比較例1はアルカリ賦活をした活性炭で、比較例4は水蒸気賦活をした活性炭である。これらの結果を表2に示す。
Figure 2016004962
Figure 2016004962
次に、表1及び2を用いて実施例及び比較例の結果を比較する。重量比容量の初期特性については、実施例1〜6及び比較例1〜3は40F/g以上という大きい値を示している。一方、比較例4は31F/gであり、他に比べて小さい値となっている。フロート試験後においては、実施例1〜6及び比較例4は容量維持率が77%以上88%以下の範囲内と高い値を保っているのに対し、比較例1〜3は60%以上68%以下の範囲内と低く、初期容量のフロート試験による劣化が顕著である。比較例4の容量維持率は81%であり、実施例と同程度であるが、初期容量が31F/gと小さいため、試験後の容量は実施例と比較してかなり小さなものとなっている。
またIRドロップについて比較すると、実施例1〜6及び、比較例4は、初期値及びフロート試験後の変化率共に小さな値となっているが、比較例1〜3は初期値こそ低いが試験後の変化率が極めて大きい。
実施例及び比較例の結果から、本発明において特定された構成を有する蓄電デバイス用電極材料は、容量が大きくかつ耐久性にも優れた蓄電デバイスを提供できるものであることが確認された。また、従来の代表的な蓄電デバイス用電極材料である活性炭においては、その賦活方法により大きく分けて2種類があり、いずれも一長一短である。すなわちアルカリ賦活による活性炭は、初期容量は大きいが耐久性に乏しく、フロート試験により容量が大きく減少し、またIRドロップは大きくなってしまう。また水蒸気賦活による活性炭は、耐久性は優れているが、容量が低いという欠点を持っている。
なお、初期特性測定前後の蓄電デバイス用電極材料の規則性層状構造の変化については、図1に実施例2における初期特性測定前後の蓄電デバイス用電極材料のX線回折チャートを示した。なお、初期特性測定後については、正極と負極のチャートをそれぞれ示した。この図からわかるように、初期特性測定前に2θ=20.7°に見られた規則性層状構造を示すピークは、初期特性測定後においては、正極、負極共にピークが消失、もしくはその強度が大きく減少し、初期に見られた規則性層状構造がランダム化していることがわかった。
図2(a)及び(b)に、QSDFT法により求めた実施例2及び比較例3の細孔径分布をそれぞれ示す。図2(a)及び(b)を比較すると、実施例2の細孔においては2nm以上のメソ孔が多くを占め、その細孔径の最頻値は3.4nmであることがわかる。一方、活性炭である比較例3の細孔は、0.9nm程度に細孔径の最頻値を持っており、細孔容積に占める2nm以上のメソ孔の比率は極めて小さいことがわかる。このように、実施例の蓄電デバイス用電極材料は、従来電極材料として広く使用されている活性炭とは大きく異なる細孔構造を有していることが確認された。
本発明の蓄電デバイス用電極材料は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ及び電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスの電極、特に大容量及び高耐久性が求められる蓄電デバイスの電極に好適に利用できる。

Claims (7)

  1. X線回折測定による層間距離が0.36nm以上0.44nm以下の範囲内にある規則性層状構造を有する炭素材料であり、前記炭素材料における炭素、水素及び酸素の原子比をC8xyと規格化した場合、xは0以上0.2以下であり、yは0よりも大きい、
    蓄電デバイス用電極材料。
  2. 前記炭素材料における炭素、水素及び酸素の原子比をC8xyと規格化した場合、yは0.8以上1.4以下である、
    請求項1に記載の蓄電デバイス用電極材料。
  3. 前記蓄電デバイス用電極材料を含む電極を有機電解液を用いて充放電した場合、前記炭素材料の前記規則性層状構造が破壊されて、前記炭素材料の層間距離がランダム化する、
    請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用電極材料。
  4. 窒素ガス吸着のBET法による比表面積が10m2/g以上50m2/g以下であり、
    細孔容積が0.01cm3/g以上0.1cm3/g以下であり、
    細孔径の最頻値が3nm以上4nm以下であり、
    細孔容積に占めるメソ孔の比率が80%以上97%以下である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極材料を製造する方法であって、
    黒鉛を化学的に酸化して酸化黒鉛を得る工程と、
    前記酸化黒鉛に含まれる酸素含有基を部分的に還元する工程と、
    を含む、蓄電デバイス用電極材料の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極材料を総質量の80%以上95%以下の範囲内で含む、蓄電デバイス用電極合材。
  7. 請求項1〜4の何れか1項に記載の蓄電デバイス用電極材料を含む蓄電デバイス用電極合材を準備する工程と、
    前記蓄電デバイス用電極合材を用いて蓄電デバイス用電極を形成する工程と、
    を含む、蓄電デバイス用電極の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018039685A (ja) * 2016-09-05 2018-03-15 旭化成株式会社 多孔質炭素材料及びその製造方法、複合体及びその製造方法、並びにリチウム硫黄電池用の正極材料
JP2018056409A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 旭化成株式会社 非水系リチウム型蓄電素子
CN113097472A (zh) * 2021-03-01 2021-07-09 华中科技大学 一种层状无锂正极材料容量调控方法

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