以下、本発明の実施形態を図1〜図15を用いて説明する。ここで、本説明では、本発明に係る給紙装置1を備えた複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載される構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(複合機100の概要)
まず、図1を用いて、実施形態に係る複合機100の概要を説明する。図1は、複合機100の構造を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、正面前方に取り付けられた操作パネル2を有する。操作パネル2は、複合機100に関する情報や、ジョプに関する情報を表示する表示部21を含む。また、操作パネル2は、使用者の設定を受け付けるための入力部として、ハードキー23やタッチパネル部22を含む。
そして、複合機100の上部には、原稿搬送部3aと画像読取部3bとが設けられる。原稿搬送部3aは、セットされた原稿を搬送し、読み取り位置を通過させる。画像読取部3bは、搬送される原稿やコンタクトガラスにセットされた原稿を読み取って画像データを生成する。
又、複合機100は、内部に、印刷部4を含む。印刷部4は、給紙装置1、搬送部4a、画像形成部4b、定着部4cなどを含む。給紙装置1は、複数枚の用紙を収容し、印刷のとき、用紙を送り出す(詳細は後述)。搬送部4aは、給紙装置1から供給された用紙を画像形成部4bまで搬送し、定着部4cを通過した用紙を機外への排出のために搬送する。画像形成部4bは、印刷する画像データに基づき、トナー像を形成し、用紙にトナー像を転写する。定着部4cは、トナー像が転写された用紙を加熱・加圧し、用紙にトナー像を定着させる。
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、実施形態に係る複合機100のハードウェア構成を説明する。図2は、複合機100のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係る複合機100は、主制御部5を含む。主制御部5は、複合機100に含まれる各部を制御する。主制御部5は、CPU51や、印刷や送信に用いる画像データに対して画像処理を行う画像処理部52や、その他の電子回路や素子を含む。CPU51は、記憶部53に記憶される制御プログラムや制御用データに基づき複合機100の各部の制御や演算を行う。記憶部53は、ROM、フラッシュROM、HDDのような不揮発性と記憶装置と、RAMのような揮発性の記憶装置の組み合わせである。
そして、主制御部5は、印刷部4(給紙装置1、搬送部4a、画像形成部4b、定着部4cなど)を制御する(印刷を制御する)エンジン制御部6(制御部に相当)や、原稿搬送部3a、画像読取部3bに動作指示を与える。エンジン制御部6は、主制御部5の指示を受け、給紙装置1に給紙を行わせ、搬送部4aに用紙を搬送させ、画像形成部4bにトナー像の形成と転写を行わせ、定着部4cに定着を行わせる。例えば、主制御部5は、コンピューター200から受信した印刷用データや、原稿搬送部3aと画像読取部3bの原稿読み取りで得られた画像データに基づく印刷をエンジン制御部6に指示し、印刷部4に印刷を行わせる(コピー機能、プリンター機能)。
エンジン制御部6は、エンジンCPU61や、給紙装置1を含む印刷部4を制御するためのデータやプログラムを記憶するエンジンメモリー62を含む。エンジンCPU61は、主制御部5からの指示や、エンジンメモリー62のデータ、プログラムに基づき、印刷部4の動作を制御する。また、エンジン制御部6は、印刷部4に設けられる各種センサーの出力を受け、印刷部4の状態を認識する。尚、エンジン制御部6は、各種モーターのON/OFFや回転速度を制御するため、モーター制御回路63を含む(図3参照)。
又、主制御部5には、通信部54が接続される。主制御部5は、通信部54の動作、通信処理を制御する。通信部54は、パーソナルコンピューターやサーバーのようなコンピューター200やファクシミリ装置300と通信を行うためのインターフェイスである。又、主制御部5は、操作パネル2の報知等の動作を制御する。主制御部5は、操作パネル2でなされた操作、設定内容を認識し、設定内容や印刷の実行指示を認識する。
(給紙装置1の概要)
次に、図1、図3を用いて、実施形態に係る給紙装置1の概要を説明する。図3は、給紙装置1の一例を示す図である。
実施形態に係る給紙装置1は、ハウジング10内に、用紙が載置される左トレイ71(第1トレイに相当)と、用紙が載置される右トレイ81(第2トレイに相当)を含む。ハウジング10は、上面が開口しており、箱形状である。図1に示すように、ハウジング10の外側には、左右1箇所ずつに、スライドユニット12が設けられる。スライドユニット12により、ハウジング10(給紙装置1)、及び給紙装置1に取り付けられている部材を複合機100から前方に水平に引き出すことができる。
使用者は、ハウジング10を引き出し、用紙を上面方向から積載する。一つのトレイには500〜1000枚程度の用紙の束をセットすることができる。そして、用紙の補充後にハウジング10を押し戻すと、スライドユニット12によりハウジング10が複合機100の本体内に格納され、給紙装置1が閉じられる。給紙装置1には、ハウジング10の開閉(引き出されているか否か)を検知するための開閉センサーS1が設けられる。エンジン制御部6は、開閉センサーS1の出力に基づき、ハウジング10が引き出されている状態か、閉じられて本体に格納されている状態であるかを認識する。
左トレイ71と右トレイ81は、同じサイズであり、単体では、A4サイズの用紙まで積載可能である。左トレイ71は、左トレイ昇降機構72(第1昇降機構に相当)によって昇降される(詳細は後述)。また、右トレイ81は、右トレイ昇降機構82(第2昇降機構に相当)によって昇降される(詳細は後述)。左トレイ71と右トレイ81は、複合機100の左右方向であって、水平方向に並べて設けられる。
左トレイ71に対しては、左給紙ローラー73(第1給紙ローラーに相当)が設けられる。エンジン制御部6は、左トレイ昇降機構72の左上昇モーター74(第1上昇モーターに相当)を回転させ、左トレイ71が上限位置(給紙位置)まで上昇したことを左上限センサー75(第1上限センサーに相当)の出力に基づき認識し、左給紙ローラー73と接するまで左トレイ71を上昇させる。このように、エンジン制御部6は、左上昇モーター74のON/OFFを制御する。そして、左トレイ71から給紙を行うとき、エンジン制御部6は、左給紙モーター76を回転させる(図3参照)。これにより、左給紙ローラー73が回転する。左給紙ローラー73の用紙の送り出し先には、左給紙パス77が設けられる。左給紙パス77は、左給紙モーター76、あるいは、その他のモーターの駆動を受けて用紙を搬送する
左給紙パス77は、左トレイ71から給紙された用紙を搬送部4aに合流させる。左給紙パス77の上流部分に左分離ローラー対78が設けられる。左分離ローラー対78は、左分離モーター79の駆動を受けて回転する。左分離ローラー対78は、上側のローラーが用紙を順方向に、下側のローラーが逆方向に搬送する方向に回転する。左分離ローラー対78は、重送が生じたとき、下側の用紙を左トレイ71に送り返す。また、左給紙パス77には、用紙が適切に送り出されたか否かを検知するための左給紙センサー710が設けられる。
右トレイ81に対しては、右給紙ローラー83(第2給紙ローラーに相当)が設けられる。エンジン制御部6は、右トレイ昇降機構82の右上昇モーター84(第2上昇モーターに相当)を回転させ、右トレイ81が上限位置(給紙位置)まで上昇したことを右上限センサー85(第2上限センサーに相当)の出力に基づき認識し、右給紙ローラー83と接するまで右トレイ81を上昇させる。このように、エンジン制御部6は、右上昇モーター84のON/OFFを制御する。そして、右トレイ81から給紙を行うとき、エンジン制御部6は、右給紙モーター86を回転させる(図3参照)。これにより、右給紙ローラー83が回転する。右給紙ローラー83の用紙の送り出し先には、右給紙パス87が設けられる。右給紙パス87は、右給紙モーター86、あるいは、その他のモーターの駆動を受けて用紙を搬送する
右給紙パス87は、右トレイ81から給紙された用紙を搬送部4aに合流させる。右給紙パス87の上流部分に右分離ローラー対88が設けられる。右分離ローラー対88は、右分離モーター89の駆動を受けて回転する。右分離ローラー対88は、上側のローラーが用紙を順方向に、下側のローラーが逆方向に搬送する方向に回転する。重送が生じたとき、右分離ローラー対88は、下側の用紙を右トレイ81に送り返す。また、右給紙パス87には、用紙が適切に送り出されたか否かを検知するための右給紙センサー810が設けられる。
このような左給紙モーター76、左分離モーター79、左トレイ昇降機構72、左上限センサー75などによって、第1給紙部7が構成される。第1給紙部7は、給紙装置1の左側に格納された用紙束の給紙を行う部分である。また、右給紙モーター86、右分離モーター89、右トレイ昇降機構82、右上限センサー85などによって、第2給紙部8が構成される。第2給紙部8は、給紙装置1の右側に格納された用紙束の給紙を行う部分である。そして、第1給紙部7と第2給紙部8は、複合機100の左右方向であって、水平方向に並べて設けられる。
そして、図1に示すように、第1給紙部7と第2給紙部8の間に仕切板11が設けられる。仕切板11は、第1給紙部7と第2給紙部8の間で垂直方向に立つ板であり、複合機100の前後方向に沿って第1給紙部7と第2給紙部8の間を仕切る。この仕切板11によって、左トレイ71と右トレイ81のうち、何れか一方から他方に用紙がなだれ込まない。
詳細は後述するが、この仕切板11は、取り外し可能である。この仕切板11が取り付けられているか、取り外されているかを検知するために、給紙装置1の中央下方で仕切板11の設置箇所の下方に、仕切り有無センサーS2が設けられる。エンジン制御部6は、仕切り有無センサーS2の出力に基づき、仕切板11が取り付けられているか取り外されているかを認識、検知できる。尚、仕切板11が取り付けられているか否かの入力を操作パネル2が受け付けることにより、エンジン制御部6や主制御部5は、仕切板11の有無を認識してもよい。
(昇降機構)
次に、図3〜図5を用いて、左トレイ71と右トレイ81の昇降機構を説明する。図4は、左トレイ昇降機構72の一例を示す図である。図5は、右トレイ昇降機構82の一例を示す図である。
まず、左トレイ昇降機構72を説明する。まず、図4に示すように、左トレイ71には正面側と及び背面側のそれぞれに、水平方向に突出する突起72aが横方向(左右方向)に並べて2箇所ずつ設けられる(計4箇所)。そして、ハウジング10の前壁10aと後壁10bには、各突起72aに対応する位置にそれぞれ開口72bが設けられる。開口72bは、垂直に延びている。各突起72aは、開口72bからハウジング10の外側に突出する。
図4に示すように、ハウジング10の左側面側に左トレイ71の左トレイ昇降機構72が設けられる。左トレイ昇降機構72は、ワイヤー72c、リール72d、回転軸72e、プーリー72f、継手部72gを備える。ワイヤー72cは、ハウジング10の正面の外側と背面の外側との2箇所に、各々2本ずつ設けられる。リール72dは、ハウジング10の正面側及び背面側に1個ずつ、計2個設けられる。各ワイヤー72cは、その一端がリール72dに、他端が何れかの突起72aの上面に接続され、その間で各ワイヤー72cは、ハウジング10の外側上部に設けられたプーリー72fに掛けられる。
前後方向に延びる回転軸72eは、ハウジング10の左下部に設けられる。回転軸72eは、継手部72gを介して、左上昇モーター74に連結される。エンジン制御部6は、左上昇モーター74を駆動させ、左トレイ71が上昇する方向に回転軸72e、及びリール72dを回転させる。具体的に、リール72dにワイヤー72cが巻き取られると左トレイ71が上昇し、ワイヤー72cが繰り出されると左トレイ71が下降する。
ハウジング10を前方に引き出したとき、継手部72gの作用により、左上昇モーター74と回転軸72eとの間を連結が外れる。ハウジング10を前方に引き出したとき、継手部72gの箇所で左上昇モーター74と回転軸72eとの連結が解除されるので、左トレイ71は重力の作用により自動的に下降しようとする。言い換えると、ハウジング10を前方に引き出し左トレイ71が引き出されるという予め定められた下降条件が満たされたとき、左トレイ昇降機構72は、重力の作用により、左トレイ71を下降させる。最終的に、左トレイ71は、下限位置(基準位置)まで下降する。尚、左トレイ71と右トレイ81の下限位置は同じである。そのため、ハウジング10を引き出すと、左トレイ71と右トレイ81の高さは同じとなる。
また、ハウジング10を閉じたとき、継手部72gの作用により、左上昇モーター74と回転軸72eが連結する。エンジン制御部6は、開閉センサーS1の出力に基づきハウジング10が閉じられたことを認識すると、左上昇モーター74を駆動させ、左トレイ71を給紙可能な位置まで上昇させる。
具体的には、左給紙ローラー73は、上下方向に揺動可能となっている。そして、左トレイ71の上昇によって、左給紙ローラー73が一定以上持ち上げられると、左給紙ローラー73に対して設けられた左上限センサー75(スイッチ)がON(又はOFF)する。この左上限センサー75の出力変化に基づき、エンジン制御部6は、左トレイ71が給紙位置(上限位置)に到達したことを検知する。そして、エンジン制御部6は、左上昇モーター74を停止させる。
次に、右トレイ昇降機構82を説明する。基本的に、右トレイ昇降機構82は、左トレイ昇降機構72と同様の構成である。まず、図5に示すように、右トレイ81には、正面側と及び背面側のそれぞれに、水平方向に突出する突起82aが横方向(左右方向)に並べて2箇所ずつ設けられる(計4箇所)。そして、ハウジング10の前壁10aと後壁10bには、各突起82aに対応する位置にそれぞれ開口82bが設けられる。開口82bは、垂直に延びている。各突起82aは、開口82bからハウジング10の外側に突出する。
図5に示すように、ハウジング10の右側面側に右トレイ81の右トレイ昇降機構82が設けられる。右トレイ昇降機構82は、ワイヤー82c、リール82d、回転軸82e、プーリー82f、継手部82gなどを備える。ワイヤー82cは、ハウジング10の正面の外側と背面の外側との2箇所に、各々2本ずつ設けられる。リール82dは、ハウジング10の正面側及び背面側に1個ずつ、計2個設けられる。各ワイヤー82cは、その一端がリール82dに、他端が何れかの突起82aの上面に接続され、その間で各ワイヤー82cは、ハウジング10の外側上部に設けられたプーリー82fに掛けられる。
前後方向に延びる回転軸82eは、ハウジング10の右下部に設けられる。回転軸82eは、継手部82gを介して、右上昇モーター84に連結される。エンジン制御部6は、右上昇モーター84を駆動させ、右トレイ81が上昇する方向に回転軸82e、及びリール82dを回転させる。具体的に、リール82dにワイヤー82cが巻き取られると右トレイ81が上昇し、ワイヤー82cが繰り出されると右トレイ81が下降する。
ハウジング10を前方に引き出したとき、継手部82gの作用により、右上昇モーター84と回転軸82eとの間を連結が外れる。ハウジング10を前方に引き出したとき、継手部82gの箇所で右上昇モーター84と回転軸82eとの連結が解除されるので、右トレイ81は重力の作用により自動的に下降しようとする。言い換えると、ハウジング10を前方に引き出して右トレイ81が引き出されるという予め定められた下降条件が満たされたとき、右トレイ昇降機構82は、重力の作用により、右トレイ81を下降させる。最終的に、右トレイ81は、下限位置(基準位置)まで下降する。
また、ハウジング10を閉じたとき、継手部82gの作用により、右上昇モーター84と回転軸82eが連結する。エンジン制御部6は、開閉センサーS1の出力に基づきハウジング10が閉じられたことを認識し、右上昇モーター84が駆動させ、右トレイ81を給紙可能な位置まで上昇させる。
具体的には、右給紙ローラー83は、上下方向に揺動可能となっている。そして、右トレイ81の上昇によって、右給紙ローラー83が一定以上持ち上げられると、右給紙ローラー83に設けられた右上限センサー85(スイッチ)がON(又はOFF)する。この右上限センサー85の出力変化に基づき、エンジン制御部6は、右トレイ81が給紙位置(上限位置)に到達したことを検知する。そして、エンジン制御部6は、右上昇モーター84を停止させる。
(トレイ並行上昇モード)
次に、図6を用いて実施形態に係る給紙装置1でのトレイ並行上昇モードの概要を説明する。図6は、トレイ並行上昇モードを説明するための図である。
実施形態に係る給紙装置1は、筐体(ハウジング10内)に、複数のトレイを有する。図6の上側の図で示すように、左トレイ71と右トレイ81は、別個独立して、給紙位置まで上昇させることができる。具体的に、エンジン制御部6は、左トレイ71の用紙束の厚みに応じて、左トレイ71を給紙位置(上限位置)まで上昇させ、右トレイ81の用紙束の厚みに応じて、右トレイ81を給紙位置(上限位置)まで上昇させる。これにより、給紙装置1内のスペースを有効活用し、給紙装置1に1つの用紙サイズのみ収容可能な給紙装置1に比べ、給紙装置1に収容できる用紙の枚数を増やすことができる。また、一方のトレイにA4用紙を、他方のトレイにB5用紙を載置、セットすることもでき、用紙サイズの種類も増やすことができる。
しかし、給紙装置1自体の断面積が同じ場合(例えば、複合機100の断面積と同じ、又は、ほぼ同じ面積)、給紙装置1内に複数のトレイを設けると、1つあたりのトレイのサイズは小さくなる。給紙装置1内のトレイが1つのとき、セット可能な用紙サイズは、複合機100のサイズにあわせ、A3サイズである場合が多い。しかし、例えば、給紙装置1内に2つのトレイを設けると、載置可能な用紙サイズがA3サイズの1/2のサイズ(即ち、A4サイズ)までとなる。従って、給紙装置1内に複数のトレイを設けると、大きなサイズ(例えば、A3やB4サイズ)の給紙は行えない。
そこで、本実施形態の給紙装置1は、図6の下側の図に示すように、仕切板11が取り外し可能とする。そして、図6の下側の図に示すように、仕切板11を取り外した状態で、左トレイ71の載置面71aと右トレイ81の載置面81aよりも大きなサイズの用紙(例えば、A3やB4)を左トレイ71と右トレイ81の両方にまたがってセットして両方のトレイを、用紙束を崩すことなく一緒に上昇させることができる。なお、両トレイを並行して上昇させるモードを、以下では、「トレイ並行上昇モード」と称する。
(トレイを並行的に上昇させるための構成)
次に、図7〜図10を用いて、両トレイを並行的に上昇させるための構成を説明する。図7は、各トレイへの上側センサー部9aと下側センサー部9bと遮光板90の取り付けの一例を示す図である。図8、図9は、各センサー部の一例を示す図である。
両トレイ(左トレイ71と右トレイ81)にまたがって用紙を載置して、両トレイを上昇させたとき、左トレイ71と右トレイ81の上昇速度の差があると、左トレイ71と右トレイ81の高さの差dが大きくなり、載置された用紙の束が崩れる場合がある。用紙の束が崩れた状態では、給紙を適切に行うことができない。また、途中、用紙束が崩れなくても、給紙位置に到達したとき、左トレイ71と右トレイ81の高さの差dが大きいと、給紙方向に対する用紙の傾きのため、給紙を適切に行うことができない場合がある。
そのため、本実施形態の給紙装置1のトレイ並行上昇モードで左トレイ71と右トレイ81にまたがって用紙をセットして各トレイを上昇させるとき、用紙枚数がどのような枚数でも用紙が崩れたり、給紙に問題が生じたりしないように、左トレイ71と右トレイ81の高さの差dが一定以上大きくならないようにして上昇させる。
ここで、本実施形態の給紙装置1では、左上昇モーター74と右上昇モーター84には、直流モーター(ブラシモーター)が用いられる。ブラシモーターは、多数の用紙が積載されているために負荷が大きくてもトレイを上昇させるためのトルクを得やすい、安価である、と言う利点がある。
しかし、ブラシモーターは、一定の電圧(電流)を供給した場合、回転速度に個体差がある、負荷の大きさによって回転速度が変わる、といった面も有する。従って、左上昇モーター74と右上昇モーター84にブラシモーターを用いるとき、2つのモーターを同じ速度で回転させ、同じ速度で左トレイ71と右トレイ81を上昇させることは、ステッピングモーターを使う場合に比べて難しい。ステッピングモーターを用いると、パルスの周波数を同じにして複数のモーターの回転速度を同調させることが比較的容易である。しかし、ステッピングモーターを用いると、ステッピングモーター自体がブラシモーターに比べ高価であり、更に、ステッピングモーターの駆動用の回路や基板が必要となる。そのため、ステッピングモーターを用いると給紙装置1のコストが大きく増大しかねない。
そこで、本実施形態の給紙装置1では、図7に示すように、上側センサー部9aと下側センサー部9bと遮光板90のみを用いて、2つのトレイの高さをほぼ同じで維持しつつ上昇させる。具体的に、上側センサー部9aと下側センサー部9bは、左トレイ71に取り付けられる。取り付け位置は、仕切板11の邪魔にならない位置であり、左トレイ71の下側であって、左トレイ71の右手前側又は右奥側の隅の位置に設けられる。上側センサー部9aと下側センサー部9bには、同じセンサー(同じ仕様のセンサー)を用いることができる。上側センサー部9aと下側センサー部9bは、いずれも、図8に示すような透過式の光センサーである。
図8に示すように、上側センサー部9aは、受光部92aに向けて光を発する発光部91a(例えば、LED)と、発光部91aからの光を受け、受光量に応じた電流(電圧)を出力する受光部92aを含む。また、図9に示すように、エンジン制御部6からの点灯を指示する信号に基づき、発光部91aを発光させ、消灯を指示する信号に基づき発光部91aを消灯させる点灯回路93aが設けられる。
また、下側センサー部9bは、上側センサー部9aと同様に、受光部92bに向けて光を発する発光部91b(例えば、LED)と、発光部91bからの光を受け、受光量に応じた電流(電圧)を出力する受光部92bを含む。また、図9に示すように、エンジン制御部6からの点灯を指示する信号に基づき、発光部91bを発光させ、消灯を指示する信号に基づき発光部91bを消灯させる点灯回路93bが設けられる。
そして、右トレイ81には、遮光板90が取り付けられる。遮光板90は、上側センサー部9aと下側センサー部9bの凹部分に対応する位置に設けられる。遮光板90は、右トレイ81の高さに応じ、発光部91aと受光部92aの間と、発光部91bと受光部92bの間を遮ったり、透過させたりする、言い換えると、遮光板90は、右トレイ81の上昇や下降がなされると、上側センサー部9aの発光部91aと受光部92aの間と、下側センサー部9bの発光部91bと受光部92bの間を遮光板90が通過するような位置に取り付けられる。
受光部92aの出力は、上側センサー部9aと下側センサー部9bの信号処理回路94aに入力される。尚、信号処理回路94aは、エンジン制御部6側に設けてもよいし、エンジンCPU61を用いて受光部92aの出力が処理されてもよい。そして、信号処理回路94aは、受光部92aの出力値が所定の閾値以上であるか否かにより、High又はLowを出力する。エンジン制御部6には、上側センサー部9a(信号処理回路94a)の出力が入力される。
一方、受光部92bの出力は、下側センサー部9bの信号処理回路94bに入力される。尚、信号処理回路94bは、エンジン制御部6側に設けてもよいし、エンジンCPU61を用いて受光部92bの出力が処理されてもよい。そして、信号処理回路94bは、受光部92bの出力値が所定の閾値以上であるか否かにより、High又はLowを出力する。エンジン制御部6には、下側センサー部9b(信号処理回路94b)の出力も入力される。
ここで、本説明では、上側センサー部9a(信号処理回路94a)と下側センサー部9b(信号処理回路94b)は、遮光板90に遮光されている意味(遮光出力値)としてHigh(ON)を出力し、遮光板90に遮光されておらず透過状態である意味(透過出力値)としてLow(OFF)を出力する例を説明する。尚、論理は逆でもかまわない。
遮光板90は、左トレイ71と右トレイ81の高さが同じ高さのとき、上側センサー部9aと下側センサー部9bの出力が何れも遮光出力値(High)を出力するように取り付けられる。また、遮光板90の上下方向の長さ90Lは、上側センサー部9aの光センサーの光軸95a(のレベル)と、下側センサー部9bの光センサーの光軸95b(のレベル)間の光軸間距離L0よりも長い(図7参照)。尚、図7以下の図面では、上側センサー部9aの光軸91aと、下側センサー部9bの光軸95bの位置(レベル)を破線で図示している。
そして、上側センサー部9aと下側センサー部9bの出力は、光センサーの光軸(のレベル)と遮光板90の上又は下のエッジが同じ高さとなったとき、LowとHigh間で切り替わるようになっている(透過出力値と遮光出力値間の切り替えがなされるようになっている)。そのため、信号処理回路94aの閾値は、遮光板90のエッジが光軸95aと重なる位置であるときの受光部92aの出力値であり、信号処理回路94bの閾値は、遮光板90のエッジが光軸95bと重なる位置であるときの受光部92bの出力値である。
より具体的には、遮光板90は、第1トレイと第2トレイ(左トレイ71と右トレイ81)が同じ高さのとき、上側のエッジは左トレイ71及び右トレイ81よりも上側に位置し、下側のエッジは左トレイ71及び右トレイ81よりも下側に位置し、上側センサー部9aと下側センサー部9bの両方の光センサーを遮光するように設けられる。そして、遮光板90の上下方向の長さ90Lは、上側センサー部9aの光センサーの光軸95aのレベルと下側センサー部9bの光センサーの光軸95aのレベルの間の光軸間距離L0よりも長い。また、遮光板90の上下方向の長さ90Lは、光軸間距離L0に限界値以下の値を加えた長さ以下とされる。
ここで、限界値は、トレイ並行上昇モードでの第1トレイと第2トレイ(左トレイ71と右トレイ81)の高さの差の限界を示す値である。限界値は、上昇後に適切に給紙を行えること、用紙束が崩れないことを勘案して、実験などに基づき定められる。例えば、限界値は、1〜4mm程度とされる。更に、遮光板90は、第1トレイと第2トレイが同じ高さのとき、上側センサー部9aの光センサーの光軸95aのレベルと下側センサー部9bの光センサーの光軸95bのレベルの中央(光軸間距離L0の中央)と、遮光板90の上下方向の中央が重なるように取り付けられる。
この場合、第1トレイと第2トレイ(左トレイ71と右トレイ81)を同じ高さとしたときの上側センサー部9aの光センサーの光軸95aのレベルから遮光板90の上端のエッジまでの上側突出長L1と、下側センサー部9bの光センサーの光軸95bのレベルから遮光板90の下端のエッジまでの下側突出長L2は、等しくなる。具体的に、上側突出長L1と下側突出長L2は、上側センサー部9aの光センサーと下側センサー部9bの光センサーの出力変化領域幅(例えば、±0.3mm程度)と、取付誤差と、板金長さ交差を考慮して定められる。そのため、この上側突出長L1と下側突出長L2は、例えば、0.5〜1mm程度とされる。上側突出長L1と下側突出長L2は短いほど(遮光板90の上下方向の長さ90Lを光軸間距離L0に近づけるほど)、上昇完了時や上昇中の両トレイの高さの差を小さくでき、精度を高めることができるが、誤差や交差が大きい場合、両トレイを同じ高さとしても上側センサー部9aの出力と下側センサー部9bの出力の両方が透過出力値となる可能性があるので、ある程度の上側突出長L1と下側突出長L2が設けられる。
これにより、多少の誤差は生ずるものの、トレイ並行上昇モードでは、両トレイの高さの差を、遮光板90の上下方向の長さ90Lから光軸間距離L0を減じた長さの1/2の長さ(限界値の1/2以下の長さ)以下で留めつつ、両トレイを上昇させることができる(詳細は後述)。
(トレイ並行上昇モードでのトレイ上昇の処理の流れ)
次に、図10〜図15を用いて、トレイ並行上昇モードでのトレイ上昇の処理の流れの一例を示す。図10は、トレイ並行上昇モードでの処理の流れの一例を示すフローチャートである。図11〜図15は、トレイ並行上昇モードでの両トレイの上昇の経過の一例を示す図である。
まず、図10のフローチャートのスタートを説明する。エンジン制御部6は、給紙装置1の仕切板11が外されていることをトレイ並行上昇モードで両トレイの並行上昇を開始するための条件とする。エンジン制御部6は、仕切板11が取り外されていることを、仕切り有無センサーS2の出力に基づき認識する。仕切り有無センサーS2を設けず、操作パネル2への操作により、仕切板11を取り外した旨の入力がなされてもよい。従って、エンジン制御部6は、操作パネル2への入力に基づき、仕切板11が外されていることを認識してもよい。
また、エンジン制御部6は、給紙装置1のハウジング10の引き出しがなされた後、押し戻しがなされたこと(開閉がなされたこと)をトレイ並行上昇モードで両トレイを給紙位置までの上昇開始の条件とする。ハウジング10の開閉によって、両トレイ(左トレイ71と右トレイ81)が基準位置(下限位置)まで下降する。
具体的には、図11に示す状態である。上昇させるためには、上昇前に両トレイが下降した状態である必要がある。また、ハウジング10の開閉がなされたとき、仕切板11の取り外しがなされたり、収容用紙の入れ替えや補給がなされ、両トレイにまたがって用紙の束がセットされたりする。更に、図11に示すように、両トレイの基準位置(下降しきった位置)は同じなので、両トレイは同じ高さとなる。
図10のスタートは、トレイ並行上昇モードで両トレイ(左トレイ71と右トレイ81)の並行的な上昇を開始する条件が満たされた状態である。
まず、エンジン制御部6は、上側センサー部9aと下側センサー部9bの両方の出力値がいずも遮光出力値であるか否か(左トレイ71と右トレイ81が同じ高さにあるか否か、両トレイが基準位置にあるか)を確認する(ステップ♯1)。もし、上側センサー部9aと下側センサー部9bの出力値のうち、何れか一方が透過出力値であるとき(ステップ♯1のNo)、両トレイが下限(基準位置)まで下がり切っておらず、両トレイの高さが大きくずれている可能性がある。このような状態でトレイを上昇させると、ずれが拡大し、収容された(セットされた)用紙束が崩れるおそれがある。また、位置ずれ、剥離といった遮光板90に問題が生じている可能性もあれば、各センサー部の位置ずれ、故障といった上側センサー部9aと下側センサー部9bで問題が生じている可能性もある。
そこで、エンジン制御部6は、透過出力値のとき、ハウジング10をもう一度開閉することを進める旨や、両トレイの高さが現時点でずれているので遮光板90や各センサーの点検をすべき旨のメッセージを操作パネル2の表示部21に表示させる(ステップ♯2)。そして、画面に表示された確認キー(不図示)に対する操作がタッチパネル部22で受け付けられると、フローは、ステップ♯1に戻る。
一方、エンジン制御部6は、上側センサー部9aと下側センサー部9bの両方の出力値がいずも遮光出力値であり、左トレイ71と右トレイ81の高さが近いことを確認できたとき(ステップ♯1のYes、図11の状態)、エンジン制御部6は、両トレイ(左トレイ71と右トレイ81)の並行的な上昇処理を開始する(ステップ♯13)。
そして、エンジン制御部6は、以下の手法により、両トレイを上昇させる(ステップ♯4)。
(1)上側センサー部9aの出力が遮光出力値であり、下側センサー部9bの出力も遮光出力値であるとき、エンジン制御部6は、左上昇モーター74と右上昇モーター84の両方を回転させる。
図12に示すように、上側センサー部9aと下側センサー部9bの出力が何れも遮光出力値であるとき、両トレイの高さは近い状態である。左上昇モーター74と右上昇モーター84にブラシモーターを用いるとき、回転速度の個体差などの理由によって、左トレイ71と右トレイ81の上昇速度は異なることが通常である。しかし、図12に示す状態では、左トレイ71と右トレイ81の高さに大きな差はなく、多少、高さの差が大きくなっても、用紙束の崩れや上昇完了後に適切給できないといった不具合は生じない。そこで、図12に示すように、エンジン制御部6は、左上昇モーター74と右上昇モーター84の両方を回転させ、左トレイ71と右トレイ81の両方を上昇させる。
(2)上側センサー部9aの出力が遮光出力値である一方で下側センサー部9bの出力が透過出力値のとき、エンジン制御部6は、右上昇モーター84を停止させつつ、左上昇モーター74のみを回転させる。図13に示すように、左トレイ71と右トレイ81の高さを揃えた後、上側センサー部9aの出力値が遮光出力値であり、下側センサー部9bの出力が透過出力値となったとき、エンジン制御部6は、右トレイ81の方が高い位置にあり、左トレイ71が低い位置にあると認識する。図13に示す状態で右トレイ81の上昇を続けると、左トレイ71と右トレイ81の高さの差が大きくなり、用紙束の崩れや上昇完了後に適切に給紙できないといった問題が生じ得る。そこで、図13に示す状態のとき、エンジン制御部6は、右上昇モーター84を停止させつつ、左上昇モーター74を回転させ、右トレイ81に追いつくように左トレイ71のみを上昇させる。
(3)上側センサー部9aの出力が透過出力値である一方で下側センサー部9bの出力が遮光出力値のとき、エンジン制御部6は、左上昇モーター74を停止させつつ、右上昇モーター84のみを回転させる。図14に示すように、左トレイ71と右トレイ81の高さを揃えた後、上側センサー部9aの出力値が透過出力値であり、下側センサー部9bの出力が遮光出力値となったとき、エンジン制御部6は、左トレイ71の方が高い位置にあり、右トレイ81が低い位置にあると認識する。図14に示す状態で左トレイ71の上昇を続けると、左トレイ71と右トレイ81の高さの差が大きくなり、用紙束の崩れや上昇完了後に適切に給紙できないといった問題が生じ得る。そこで、図14に示す状態のとき、エンジン制御部6は、左上昇モーター74を停止させつつ、右上昇モーター84を回転させ、左トレイ71に追いつくように右トレイ81のみを上昇させる。
そして、エンジン制御部6は、周期的に右上限センサー85の出力を確認する。具体的には、エンジン制御部6は、周期的に、載置された用紙束と右給紙ローラー83が接するとともに、上下方向で揺動する右給紙ローラー83が右トレイ81及び用紙に持ち上げられたことに基づき右上限センサー85の出力値に変化が生じたことで、左トレイ71と右トレイ81給紙位置(上限位置)となったか否かを確認する(ステップ♯5)。
右トレイ81(右給紙ローラー83)が給紙位置の高さに到っていなければ(ステップ♯5のNo)、フローは、ステップ♯4に戻る。その結果、給紙位置に到るまで、エンジン制御部6は、両トレイの高さの差dが大きくならないようにしつつ、両トレイ(第1トレイと第2トレイ)をほぼ同じ高さで維持しつつ上昇させる。
一方、右トレイ81(右給紙ローラー83)が給紙位置の高さに到ったとき(ステップ♯5のYes、図15の状態)、エンジン制御部6は、左上昇モーター74と右上昇モーター84を停止させる(ステップ♯6)。そして、本フローは、終了する(エンド)。
ここで、両トレイそれぞれから給紙を行えるように、給紙装置1には、各トレイに対しそれぞれ給紙ローラー(左給紙ローラー73と右給紙ローラー83)が設けられる。また、左トレイ71に載置された用紙のうちの最上位と左給紙ローラー73が接することにより左トレイ71が給紙位置に達したことを検知する左上限センサー75と、右トレイ81に載置された用紙のうちの最上位の用紙と、右給紙ローラー83が接することにより右トレイ81が給紙位置に達したことを検知する右上限センサー85が設けられる。
そして、右給紙ローラー83は、左給紙ローラー73よりも印刷位置(画像形成部4b)までの用紙搬送距離が短い位置に設置されている。給紙パスとの関係で、画像形成部4bまでの搬送距離が短い右給紙ローラー83及び右上限センサー85は、左給紙ローラー73及び左上限センサー75よりも下側に設けられる。そのため、左給紙ローラー73に用紙束の最上位を接するまで上昇させようとすると右給紙ローラー83が邪魔になる。また、用紙が左給紙ローラー73と接するまで両トレイを上昇させたとしても、左給紙ローラー73の給紙パスの入り口の位置との兼ね合いから、左給紙ローラー73を回転させても、左トレイ71と右トレイ81にまたがってセットされた大きなサイズの用紙を搬送部4aに向けて搬送できない。
そこで、エンジン制御部6は、トレイ並行上昇モードでは右上限センサー85に基づき、右トレイ81の給紙位置まで、左トレイ71と右トレイ81を上昇させ、右給紙ローラー83を回転させて左トレイ71と右トレイ81にまたがって載置された用紙の給紙を行わせる。言い換えると、大サイズの用紙は、右給紙ローラー83から給紙がなされるようにセットされる。そして、トレイ並行上昇モードの両トレイの上昇完了後、左給紙ローラは回転させない。
1つの筐体内に複数のトレイが並んで設けられる給紙装置1では、大量の用紙がセットされたトレイを上昇させるための大トルクを得やすいなどの理由から、安価な直流モーター(ブラシモーター)が用いられる。しかし、負荷の大きさによって回転速度が変化する、同じ電圧、電流を供給したとき同じ負荷でも各モーターの回転速度にばらつきがある(個体差d)、などの理由で、安価なブラシモーターでは、全トレイの高さを同じ高さで維持しつつ、それぞれのモーターを等速回転させて全トレイの上昇速度を一致させることは難しい。
そこで、実施形態に係る給紙装置1は、用紙が載置される第1トレイ(左トレイ71)と、第1トレイに載置された用紙を送り出す第1給紙ローラー(左給紙ローラー73)と、第1トレイに載置された用紙が第1給紙ローラーと接するように第1上昇モーター(左上昇モーター74)からの動力を得て第1トレイを上昇させる第1昇降機構(左トレイ昇降機構72)と、を含む第1給紙部7と、用紙が載置される第2トレイ(右トレイ81)と、第2トレイに載置された用紙を送り出す第2給紙ローラー(右給紙ローラー83)と、第2トレイに載置された用紙が第2給紙ローラーと接するように第2上昇モーター(右上昇モーター84)からの動力を得て第2トレイを上昇させる第2昇降機構(右トレイ昇降機構82)と、を含み、第1給紙部7と水平方向に並べて設けられる第2給紙部8と、第1トレイと第2トレイの間に立てられる仕切板11と、第1トレイに取り付けられ、トレイの上面側に設けられる透過型の光センサーを含む上側センサー部9aと、第1トレイに取り付けられ、トレイの下面側に設けられる透過型の光センサーを含む下側センサー部9bと、第2トレイに取り付けられ、第1トレイと第2トレイが同じ高さのとき、上側のエッジは第2トレイよりも上側に位置し、下側のエッジは第2トレイよりも下側に位置して上側センサー部9aと下側センサー部9bの両方の光センサーを遮光するように設けられた遮光板90と、上側センサー部9aと下側センサー部9bの出力が入力され、第1上昇モーターと第2上昇モーターのON/OFFを制御する制御部(エンジン制御部6)と、仕切板11を取り外し、第1トレイと第2トレイのそれぞれの載置面(71a、81a)よりも大きなサイズの用紙を第1トレイと第2トレイの両方にまたがってセットして両方のトレイを上昇させるトレイ並行上昇モードと、を備える。そして、上側センサー部9aと下側センサー部9bは、遮光板90に遮光されている状態のとき遮光状態を示す遮光出力値を出力し、遮光板90に遮光されていない状態のとき透過状態を示す透過出力値を出力する。トレイ並行上昇モードのとき、制御部(エンジン制御部6)は、上側センサー部9aと下側センサー部9bの両方が遮光出力値のとき、第1上昇モーターと第2上昇モーターの両方を回転させて第1トレイと第2トレイの両方を上昇させ、上側センサー部9aの出力が遮光出力値である一方で下側センサー部9bの出力が透過出力値のとき、第2上昇モーターを停止させつつ第1上昇モーターを回転させて第1トレイのみを上昇させ、上側センサー部9aの出力が透過出力値である一方で下側センサー部9bの出力が遮光出力値のとき、第1上昇モーターを停止させつつ第2上昇モーターを回転させて第2トレイのみを上昇させる。
上側センサー部9aと下側センサー部9bの出力が何れも遮光出力値であり、両トレイ(第1トレイと第2トレイ)が同様の高さにあるとき(高さが近いとき)、第1上昇モーター(左上昇モーター74)と第2上昇モーター(右上昇モーター84)の両方が回転する。そのため、両トレイを素早く上昇させることができる。また、上側センサー部9aの出力値が透過出力値であるとき、遮光板90の上側のエッジが上側センサー部9aよりも下側にあり、第1トレイ(左トレイ71)よりも遮光板90が取り付けられた第2トレイ(右トレイ81)の上昇が遅れていることを認識することができる。この場合、第2トレイのみの上昇がなされるので、第1トレイと第2トレイの高さのずれは拡大しない。更に、また、下側センサー部9bの出力値が透過出力値であるとき、遮光板90の下側のエッジが下側センサー部9bよりも上側にあり、遮光板90が取り付けられた第2トレイよりも第1トレイの上昇が遅れていることを認識することができる。この場合も、第1トレイのみの上昇がなされるので、第1トレイと第2トレイの高さのずれは拡大しない。
従って、両トレイ(左トレイ71と右トレイ81)の高さの差は拡大せず、両トレイの高さの差を問題の無い(用紙束の崩れや上昇後の給紙ミスのない)範囲内で収めつつ、両トレイを並行的に、速やかに上昇させることができる。従って、各トレイ独立給紙型の給紙装置1で、従来ではセットできなかった大きなサイズの用紙(両トレイよりも大きな用紙)をセットし、給紙可能とすることができる。そして、使い勝手がよく、大きなサイズの用紙をセットしても、問題無く使用できる各トレイ独立給紙型の給紙装置1を提供することができる。
更に、ステッピングモーターやステッピングモーター用の駆動回路を用いず、ブラシモーターのような安価なモーターを用いても、またがって載置された用紙束の崩れを起こすことなく迅速に両トレイを上昇させることができる。従って、給紙装置1の製造コストを抑えつつ、使いやすい給紙装置1を提供することができる。
また、トレイ並行上昇モードでの第1トレイ(左トレイ71)と第2トレイ(右トレイ81)の高さの差の限界値が予め定められており、遮光板90の上下方向の長さ90Lは、上側センサー部9aの光センサーの光軸95aのレベルと下側センサー部9bの光センサーの光軸95bのレベルの間の光軸間距離L0よりも長く、光軸間距離L0に限界値以下の値を加えた長さ以下である。
これにより、遮光板90の上下方向の長さ90Lは、両トレイ上昇時(トレイ並行上昇モードのとき)、両トレイの高さの差が限界値以下となるような長さに設定される。従って、両トレイの高さの差が限界値を超えないような範囲で両トレイが上昇することになり、上昇時の用紙束の崩れや、上昇完了後の給紙ミスを生じ難くするこができる。
また、 遮光板90は、第1トレイ(左トレイ71)と第2トレイ(右トレイ81)が同じ高さのとき、上側センサー部9aの光センサーの光軸95aのレベルと下側センサー部9bの光センサーの光軸95bのレベルの中央と、遮光板90の上下方向の中央が重なるように取り付けられる。
これにより、遮光板90は、第1トレイ(左トレイ71)と第2トレイ(右トレイ81)が同じ高さのとき、第1トレイと第2トレイの上下方向の中央位置と、遮光板90の上下方向の中央位置が重なるように取り付けられる。これにより、上昇完了時、第1トレイと第2トレイの平均的な高さの差を0(ゼロ)に近づけることができる。従って、両トレイの高さはより一層、一致しやすくなる。
また、第2給紙ローラー(右給紙ローラー83)は、第1給紙ローラー(左給紙ローラー73)よりも印刷がなされる位置までの用紙搬送距離が短い位置に設置される。給紙装置1は、第1トレイ(左トレイ71)に載置された用紙のうちの最上位と第1給紙ローラーが接することにより第1トレイが給紙位置に達したことを検知する第1上限センサー(左上限センサー75)と、第2トレイ(右トレイ81)に載置された用紙のうちの最上位の用紙と、第2給紙ローラーが接することにより第2トレイが給紙位置に達したことを検知し、第1上限センサーよりも下側に設けられる第2上限センサー(右上限センサー85)と、を含む。制御部(エンジン制御部6)は、トレイ並行上昇モードでは第2上限スイッチに基づき、第2トレイの給紙位置まで、第1トレイと第2トレイを上昇させ、第2給紙ローラーを回転させて第1トレイと第2トレイにまたがって載置された用紙の給紙を行う。
これにより、下側に位置する給紙ローラーで給紙を行える位置を上限位置として、第1トレイと第2トレイの上昇がなされ、両トレイの上昇に要する時間は短くてすむ。また、第1トレイと第2トレイにまたがって載置された用紙を速やかに印刷位置まで送り届けることができる。
また、予め定められた下降条件が満たされたとき、第1昇降機構(左トレイ昇降機構72)は、第1トレイ(左トレイ71)が引き出されると、重力の作用により、第1トレイを基準位置まで下降させ、第2昇降機構(右トレイ昇降機構82)は、第2トレイ(右トレイ81)が引き出されると、重力の作用により、第2トレイを第1トレイと同じ位置まで下降させる。
例えば、給紙装置1の両トレイが引き出されたとき(ハウジング10が引き出されたとき)など、予め定められた下降条件が満たされたとき、両トレイの高さが同じとなる。これにより、各トレイにまたがって用紙をセットするとき、載置する時点から用紙束が傾くことや崩れることがない。また、第1トレイと第2トレイの上昇を開始する当初から両トレイをほぼ同じ高さで維持しつつ上昇させることができる。
また、画像形成装置(複合機100)は、実施形態に係る給紙装置1を含む。従来ではセットできなかった大きなサイズをセットすることができ、大きなサイズの用紙をセットしても、問題無く使用できる各トレイ独立給紙型の給紙装置1を含むので、使い勝手のよい画像形成装置を提供することができる。また、従来よりも利便性が高められても、給紙装置1の製造コストの上昇が抑えられるので、コスト的な競争力の高い画像形成装置を提供することができる。
(変形例1)
上記の実施形態では、左トレイ71に上側センサー部9aと下側センサー部9bを、右トレイ81に遮光板90を設ける例を説明した。しかし、左トレイ71に遮光板90を、右トレイ81に上側センサー部9aと下側センサー部9bを設けてもよい。この場合、遮光板90が取り付けられた左トレイ71が第2トレイとなり、左トレイ71を上昇させる左上昇モーター74が第2上昇モーターとなる。また、上側センサー部9aと下側センサー部9bが取り付けられた右トレイ81が第1トレイとなり、右トレイ81を上昇させる右上昇モーター84が第1上昇モーターとなる。エンジン制御部6は、上側センサー部9aと下側センサー部9bの両方が遮光出力値のとき、右上昇モーター84と左上昇モーター74の両方を回転させて第1トレイと第2トレイの両方を上昇させる。また、上側センサー部9aの出力が遮光出力値である一方で下側センサー部9bの出力が透過出力値のとき、エンジン制御部6は、左上昇モーター74(第2上昇モーター)を停止させつつ、右上昇モーター84(第1上昇モーター)を回転させて第1トレイ(右トレイ81)のみを上昇させる。また、上側センサー部9aの出力が透過出力値である一方で下側センサー部9bの出力が遮光出力値のとき、エンジン制御部6は、右上昇モーター84(第1上昇モーター)を停止させつつ右上昇モーター84(第2上昇モーター)を回転させて第2トレイ(左トレイ71)のみを上昇させる。
そのため、実施形態では、「左」=「第1」、「右」=「第2」の対応関係であったが本変形例では、「右」=「第1」、「左」=「第2」の対応関係となるものの、上記の説明を全て適用することができる。
(変形例2)
上記の実施形態では、トレイから右方向に用紙を送るタイプの給紙装置1を説明した。しかし、トレイから右方向に用紙を送るタイプの給紙装置1にも本発明を適用することができる。この場合、上記説明での左トレイ71は、左方向に用紙を送るタイプの給紙装置1では、上記の実施形態の説明での右トレイ81(第1トレイ)に相当する。また、左方向に用紙を送るタイプの給紙装置1での右トレイ81は、上記の実施形態の説明での左側のトレイ(第2トレイ)に相当する。
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。